A Cat Named Lunch: A Novella 3 of 4
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A Cat Named Lunch: A Novella 3 of 4
ランチという名の猫 第3話(全4話)
2002年9月29日(日曜日)は、ランチにとっておめでたい日でした。理由は二つあります。
1. 9月29日はランチの誕生日
—— ではなくて「招き猫の日」。詳しくは知りませんが、日本招猫倶楽部 http://www.nekoma.net/club/ と愛知県瀬戸観光協会(瀬戸は招き猫の代表的産地の一つ)が1995年に制定した招き猫の記念日だそうです。
人間のために日夜手を挙げて福を招き続けている招き猫に感謝する日があってもいいのではないかということから、倶楽部の心ある会員たちに呼びかけて、できた日だそうです。
9月29日が「来る福(くるふく)」と読めることから、この日が選ばれたとか。ランチも、海の向うの小さな島国に住む親戚たちが、年に一度お祝いされていることを喜んでいます。——いるはずです。——たぶん喜んでいるでしょう。……? さあ、どうでしょうか……。
2. 9月29日は日中国交正常化30周年記念の日。
そもそもランチが広州のレストランで、蛇とニワトリと仲良く香辛料入りの熱湯の釜風呂に入れられる代わりに、北京の大学の留学生宿舎の部屋で比較的平穏な人生(たしかに「人生」と書きました!)をスタートすることになったのも、
元をただせば、Tomoki & Jsに拾われたからで、そして、それは何ゆえに起こり得たかというと、
あの、きわめて小柄でヘビースモーカーで若い頃はフランスにいて、「小瓶」という単語と同じ発音の名前を持っていて、「白い猫でも黒い猫でも鼠を捕る猫が良い猫だ」と言ったとか言わないとかいう(1)、おまけに1989年6月4日に天安門広場で学生や市民に対して戦車から発砲させた責任者でもある、今は亡き中国共産党最高指導者が、
文化大革命やら旧四人組(Tomoki & Jsの新四人組と混同しないこと)やらのゴタゴタを、きれいに片付けてくれたおかげで、外国人が平和で安全に中国へ留学できるようになったからで、
それを遡れば、1972年の今日の午前11時に北京の人民大会堂で、ちょび髭で汗っかきで「よっしゃ」のセリフが得意で「コンピューター付きブルドーザー」の渾名で、逮捕されたり裁判にかけられたり、ゲタ履きでお屋敷の鯉にエサをまいたり忙しかった、真紀子さんの亡くなられたお父さんが、
中国の周恩来首相と一緒に「日中共同声明」という一枚の文書にサインしてハンコを押して握手して乾杯したおかげなわけで(いや、乾杯は前の日の晩餐会のときに済ませてました)、
そして、それは、さらに遡れば、同じ年の2月にリチャード・M・ニクソンがヘンリー・キッシンジャーを露払いとして突如北京に乗り込んで、世界と日本をあっと言わせてくれたおかげなわけで……。
つまるところ、Mr Kakuei Tanaka や、にくそんダイトウリョウがいなければ、Tomoki & Js はランチの尊顔に接することが出来なかったという理屈になるのです。論理の飛躍はないでしょう。たぶん。だから……
Hurrah Lucky Cat(2)! 祝賀日中及米中友好! Hooray Lunch!
注:
1. 「白い猫でも黒い猫でも鼠を捕る猫が良い猫だ」
同氏の現実主義路線を象徴する文句としてよく引用されますが、本当は「黄色い猫でも、黒い猫でも」と言ったらしいです。同氏はもちろん、自分は猫の色に好き嫌いがないという意味で言ったのではなくて、鼠を「捕る」か「捕らない」かを問題にしたのでしょう。
2. Lucky Cat
Lucky cat, welcome cat, beckoning cat, lucky beckoning cat など訳し方はいろいろありますが、説明的に述べれば、a cat with a beckoning paw でしょうか。
2002 (C) Tomoki Yamabayashi
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