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Thursday, 06 April 2006

99年前、漱石は京都で

4000918192

99年まえのちょうど今頃、夏目漱石は京都へ来ていた。京大(当時は、京都帝国大学文科大学)の先生たちに会ったり、大阪へ足を運んで朝日新聞の社主に会ったりしている。その合い間には、あちこち観光もしている。1907(明治40)年の日記に、こうある。

 三月二十八日〔木〕 八時東京発。
(中略)
◯夜七条ニツク車デ下加茂ニ行ク。京都ノ first impression 寒イ
◯湯ニ飛ビ込ム
◯糺ノ森ノ中ニ宿ス。
  春寒く社頭に鶴ヲ夢ミケリ
◯暁ニ烏ガ鳴く。への字ニ鳴きくの字ニ鳴く
◯夜中に時計がチーーーーーーーーンと鳴る。

当時のダイヤによると、新橋・神戸間の最急行(いまでいう特急)の所要時間は13時間40分。これに先立つこと15年、漱石が、まだ元気だった正岡子規といっしょに初めて京都を訪れたとき、新橋・七条(京都)間の所要時間は、17時間40分だった。だから、かなりのスピードアップではあった。当時、東海道線の京都駅があったのは烏丸七条あたり。いまの京都駅よりも北寄りだった。「車」というのは、人力車のことだろう。「下加茂」は、今はふつう「下鴨」と書く。七条から下鴨までは、約6キロメートル。人力車で行くには、かなりの距離だ。

「京都ノ first impression 寒イ」というのが、おもしろい。いまもむかしも、この時季に東京から来る人は、みんなそう思うらしい。むかし名古屋から来て京都暮しを始めたばかりだった私も、そう思った。京都というのは、えらく寒いところだなあって。上に述べたように、漱石にとっては、これが京都への初旅行だったわけではない。第一印象といっているのは、「東京から着いてすぐの」といった意味なのだろう。

糺ノ森ノ中ニ宿ス」というのは、下鴨神社の境内で野宿したという意味では、もちろんない。森の近くに狩野亨吉という京大の先生の家があって、そこに漱石は泊めてもらったのだそうだ。カラスが「への字ニ鳴きくの字ニ鳴く」って、どんな鳴き方だろうか。

漱石が、この1907年の旅で、いつまで京都に滞在したのかは、知らない。調べればわかるだろうけれど。ちなみに、4月10日の日記を見ると、まだ「平八茶屋」や「都踊」などの字句がある。この日の日記は「一力亭。芸者が無暗に来る。舞子が舞ふ。」で終っている。漱石先生、けっこう暢気に遊んでいたのかな。

参考文献:
夏目金之助 『漱石全集 第十二巻 小品』 「京に着ける夕」 岩波書店 1994
夏目金之助 『漱石全集 第十九巻 日記・断片 上』 岩波書店 1995


■外部リンク External links

 [en] English
   * Natsume Sōseki - Wikipedia (1867-1916)

 [ja] 日本語
   * 京に着ける夕 - 夏目漱石.com
   * 夏目漱石 - Wikipedia (1867-1916)


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