Billedbog uden billeder / Picture Book Without Pictures by Hans Christian Andersen アンデルセン 『絵のない絵本』『畫のない畫本』『繒なき繒本』『繒のない畫帳』『月のみたことども』『月の物語』
目次 Table of Contents
■アンデルセンの肖像入り郵便切手 Postage stamp depicting H. C. Andersen
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
(J1) katokt 2013
(J2) 荒俣 2005
(J3) 大塚 2003
(J4) 山野辺 1991
(J5) 鈴木 1990
(J6) 山室 1975, 1984
(J7) 毛利 1973
(J8) 平林=訳 上崎=文 1964
(J9) 大畑 1953, 1975
(J10) 矢崎 1952, 1987
(J11) 川崎 1950, 1994, etc.
(J12) 茅野 1934
(J13) 松原 1926
(J14) 竹友 1924
(J15) 野村 1923
(J16) 山君 1906, 1996
■フランス語訳 Translation into French
■英訳 Translation into English
■ドイツ語訳 Translation into German
■デンマーク語原文 The original text in Danish
■邦題の異同 Variation of the title translated into Japanese
■更新履歴 Change log
■アンデルセンの肖像を描いた郵便切手
Postage stamp depicting Hans Christian Andersen
Image source: Artstamps.dk
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
一位印度姑娘從這濃密的樹林走出來了。她輕巧得像瞪羚,美麗得像夏娃。這位印度女兒是那麼輕靈,但同時又是那麼豐滿。我可以透過她細嫩的皮膚看出她的思想。
■日本語訳 Translations into Japanese
(J1) katokt 2013
そのこんもりとしているところから、カモシカのように身軽でイブのように美しい、一人のインド人の娘が飛び出してきました。このヒンドゥーの娘は立ちすくんでいて、見た目は軽やかでとても美しく、それでいてまわりの闇からははっきりと目立ちました。彼女の繊細な表情から、どうしてここにきたかを読み取ることが出来ます。
- ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 katokt=訳 『絵のない絵本』 第一夜 ブログ「その空はあまりにも高くて」 2013/01/19
(J2) 荒俣 2005
その茂みの間から、カモシカのように身軽でイブのように美しい、ひとりのインド娘が飛びだしてきました。この娘は空気のように軽やかで、それでいてその姿は、あたりを包む闇のなかでも際立っていました。うすい肌を通して、彼女が何のつもりでここへきたかが、読み取れました。
-
ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 ハリー・クラーク=挿画 荒俣宏=訳 「絵のない絵本」 『アンデルセン童話集』 新書館 2005/08/10 所収 この本の詳細は ここ。
- 原書: Fairly Tales by Hans Christian Andersen, 1916. Illustrated by Harry Clarke. Published by George G. Harrap & Co. Ltd.
(J3) 大塚 2003
そのとき、茂(しげ)みの中(なか)から、ひとりのインド娘(むすめ)がでてきました。まるでガゼルのように身(み)が軽(かる)くて、イブのように美(うつく)しい娘(むすめ)でした。その娘(むすめ)は、まるで大気(たいき)のように軽(かろ)やかでしたけれど、それでも、インドの娘(むすめ)らしく、ゆたかで、きりっとした体(からだ)つきでした。わたしは、そのきれいな肌(はだ)をとおして、その娘(むすめ)がなにを考(かんが)えているのか、見(み)てとることができましたよ。
- ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 大塚勇三=編・訳 イブ・スパング・オルセン=画 『絵のない絵本』 アンデルセンの童話4 福音館文庫 S-28 2003/11
(J4) 山野辺 1991
と、現われた、しげみから、ヒンズーの少女が。軽やかにカモシカのように、なよやかにイヴのように。なにやら吹けば飛ぶよな、しかも打てば響くよな、インドの娘。透けて見えたその想(おも)いが、そのきめ細かな肌をとおして。
- ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 山野辺五十鈴(やまのべ・いすず)=訳 『絵のない絵本』 集英社文庫 1991/11
(J5) 鈴木 1990
と、その茂(しげ)みのかげから、カモシカみたいに身がるで、イブのように美しいヒンズー人の少女がひとりあらわれたのさ。そのインド人のむすめは、どことなく幻(まぼろし)のようにかげがうすく、それでいて、からだじゅうに、はちきれそうにはりつめたものが、みなぎっていた。すきとおるように美しいそのはだをすかして、わたしにはこの少女の心の中が見とおせるような気がした。
- ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 鈴木徹郎(すずき・てつろう)=訳 牧野鈴子=絵 『絵のない絵本』 少年少女世界名作の森16 集英社 1990/07
(J6) 山室 1975, 1984
しげみの中から、カモシカのように身がるで、イヴのように美しいひとりのインドのむすめが、走りでてきました。このむすめは、どこか空気の精みたいでいて、いかにもインドのむすめらしく、ぴちぴちした生命にあふれていましたっけ。わたしには、そのうすい肌をとおして、心の中までがすいて見えました。
-
ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 山室静=訳
- b. は絶版。引用は b. に拠りました。a. と b. の訳文の異同は未確認。
(J7) 毛利 1973
そのとき森の奥からひとりのインド娘があらわれました。カモシカのように軽やかで、イヴのように美しい娘でした。いきいきした肉づきのいいからだ、わたしはそのつややかな肌をとおして、娘の中にある考えを、はっきり読みとることができました。
- アンデルセン=著 毛利三彌(もうり・みつや)=訳 『絵のない絵本』 講談社文庫 1973/06/15
(J8) 平林=訳 上崎=文 1964
そのとき、茂みの中から、ひとりのインド娘が飛びだしました。娘はかもしかのように軽やかに、川のほうへ走っていきました。旧約聖書にある、人類最初の女性イブのように美しい娘でした。
わたしはその娘を照らしました。わたしの青い光が、娘の美しいはだにふれたとき、わたしは娘の心の中を知ることができました。
-
アンデルセン=原作 平林広人(ひらばやし・ひろんど)=訳 上崎美恵子(こうざき・みえこ)=文 「絵のない絵本」 『少年少女世界の名作文学38 北欧編1』 小学館 1964/10/20
- 原文は総ルビですが、ここではすべて省略しました。
(J9) 大畑 1953, 1975
その時、茂みのなかから、かもしか のように身のかるい、そして、イヴのように美しい、ひとりのインド娘が出てきました。このインド娘は空気の精かなにかのように軽やかですが、それでいて、きりっと引きしまったからだつきをしていました。わたしはそのこまやかな皮膚をとおして、娘の思っていることを見ることができました。
- ハンス・クリスチアン・アンデルセン(アネルセン)=作 大畑末吉=訳
- 引用は a. 岩波文庫 1975 に拠りました。「かもしか」の傍点を下線で置き換えました。
(J10) 矢崎 1952, 1987
するとそのとき、茂みの中から、カモシカのように身軽で、イブのように美しい、ひとりのインド娘(むすめ)が出てきました。このインド娘は、なにかしら空気のように軽(かろ)やかでしたが、それでいて、ぴちぴちとした、ゆたかなからだつきをしていました。わたしは、この娘のきゃしゃな皮膚(ひふ)をとおして、考えていることを読みとることができました。
- ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 矢崎源九郎=訳
- 引用は a. 新潮文庫 1987 に拠りました。
(J11) 川崎 1950, 1994, etc.
と、そのとき、しげみのなかから かもしか みたいに身もかるく、イヴのように美しいインド娘(むすめ)がただひとり、ひょっこりすがたをあらわしました。その娘のからだつきは、なにかこう、なよなよとやさしいようすでありながら、まるまるとはちきれんばかりに見えましたので、わたしは娘の考えを、うすいひふごしに、のぞくことさえできそうでした。
- ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 川崎芳隆=訳
- 引用は b. 角川文庫 1994 に拠りました。「かもしか」の傍点を下線で置き換えました。
(J12) 茅野 1934
その時木の茂みの中から、羚羊のやうに身輕に、イヴのやうに美しい一人の印度娘が出て來た。この印度の娘には何だか空氣のやうなものがあつたが、しかしまた瑞々した生活の充實があつた。私はその繊細な皮膚を透してその考を見ることが出來た。
-
アンデルセン=作 茅野蕭々(ちの・せうせう)=譯 『繒なき繒本』 岩波文庫 定價二十錢 1934/09/30(昭和9)
- 注意: 「譯者後記」によれば、この訳は重訳。レクラム版のドイツ語訳を底本とし、二、三の他のドイツ語訳を参照して、そのよいと思われる方に従ったという。
(J13) 松原 1926
一人の印度の少女が茂みの中から、そつと出てきました。イヴのやうに綺麗で、若い羚羊のやうに輕やかで——大氣の中にゐる仙女のやうな姿をして、それでゐて、東の國の娘たちがもつ柔かな楽しみを求める熱い生命をもつた少女でした。私にはその少女の美しい透きとほる肌をとほして、少女の抱いてる思ひがよくわかりました。
-
ハンス・クリスチャン・アンデルセン=作 松原至大(まつばら・みちとも)=譯 「繒のない畫帳」 『世界短篇小説大系 南欧・北欧篇』 近代社 1926/05/06(大正15)
- 説・欧・社の旧字は新字で置き換えました。
(J14) 竹友 1924
その木立の中からインドの娘が小走りして現れて來た。身輕な擧動は羚羊のやうで、美しいことは、イヴのやうであつた。まぼろしのやうに輕くほのぼのとしてゐたが、しかしぐるりのもの影の中にくつきりとゑがかれて、そのインド少女は立つてゐた。美しいおもざしにはここへ來るにつけて考へたことが讀まれた。
- アンデルセン=著 竹友藻風(たけとも・そうふう)=譯 「月のみたことども」 『世界童話大系 第4卷(北歐篇) アンデルセン童話集』 世界童話大系刊行會 非賣品 1924/07/10(大正13)
- 国立国会図書館デジタル化資料
(J15) 野村 1923
その時、その茂みのなかゝら一人の印度の少女が出て來ました。それは羚羊(かもしか)のようにすばやくでした。美しいこの少女は、何をおもつてやつて來たのでせうか。[略]
- アンデルセン=著 野村吉哉(のむら・きちや)=譯 『月の物語』 丁未出版社 定価壹圓 1923/05/20(大正12)
- 国立国会図書館デジタル化資料
- 完訳ではありません。原文は総ルビですが、ここではその一部を省略しました。
(J16) 山君 1906, 1996
其時に茂みの中から羚羊のやうに身輕くエワのやうに美しい印度の少女が出て來た。輕いことは風のやうでどこか又ゆたかに活氣に充ちた有樣が見えて居た。私は細やかな肌を通して胸の思も見る事が出來た。
-
アンデルセン=著 山君=譯 「畫のない畫本」
- 川戸道昭+榊原貴教=編 ナダ出版センター=制作 『明治翻訳文学全集 新聞雑誌編46 アンデルセン集』 (全50巻・別巻2) 大空社 1996/06 所収
- 『心の花』1906/01(明治39)
- a. は b. を複製したもの。初出は b.。引用は a. 大空社版に拠りました。
■フランス語訳 Translation into French
Voilà que de dessous les arbres apparaît une jeune fille hindoue, légère comme une gazelle, belle comme Ève dans le paradis. Quelle figure idéale, aérienne, la grâce même, et si pleine de caractère ! Sous sa peau fine, je voyais s’agiter ses pensées tumultueuses.
-
Livre d’images by Hans Christian Andersen. Translated from Danish by David Soldi
- E-text at Biblisem.net
■英訳 Translation into English
From the thicket, a Hindu maiden stepped out, graceful as a gazelle and beautiful as Eve. There was something truly spiritual, and yet material, about her, and I could even make out her thoughts beneath her delicate skin.
-
Picture Book Without Pictures. A translation of Hans Christian Andersen's "Billedbog uden Billeder" by Jean Hersholt
- E-text at The Hans Christian Andersen Center
■ドイツ語訳 Translation into German
Da kam aus dem Dickicht ein Hindumädchen, leicht wie die Gazelle, schön wie Eva; es war etwas so Luftiges, und doch wieder eine so üppige Lebensfülle in dieser Tochter Indiens! Ich konnte die Gedanken durch die feine Haut sehen; die dornigen Lianen zerrissen ihre Sandalen ( . . . )
-
Bilderbuch ohne Bilder by Hans Christian Andersen
- E-text at Projekt Gutenberg-DE
■デンマーク語原文 The original text in Danish
Da kom fra tykningen en hinduisk pige, let som gazellen, skøn som Eva; der var noget så luftigt og dog så fyldigt fast ved Indiens datter, jeg kunne se tanken gennem den fine hud ( . . . )
-
Billedbog uden billeder by Hans Christian Andersen
- E-text at H.C. Andersens Fortællinger
■邦題の異同 Variation of the title translated into Japanese
-
『繒なき繒本』…………茅野 1934
- 『繒のない畫帳』………松原 1926
- 『絵のない絵本』………katokt 2013
- 『絵のない絵本』………荒俣 2005
- 『絵のない絵本』………大塚 2003
- 『絵のない絵本』………山野辺 1991
- 『絵のない絵本』………鈴木 1990
- 『絵のない絵本』………山室 1975, 1984
- 『絵のない絵本』………毛利 1973
- 『絵のない絵本」………平林=訳 上崎=文 1964
- 『絵のない絵本』………大畑 1953, 1975
- 『絵のない絵本』………矢崎 1952, 1987
- 『絵のない絵本』………川崎 1950, 1994, etc.
- 『月のみたことども』…竹友 1924
- 『月の物語』……………野村 1923
- 『畫のない畫本』………山君 1906, 1996
■更新履歴 Change log
- 2016/02/18 katokt=訳 2013/01/19 を追加しました。
- 2013/08/09 目次を新設し、竹友藻風=譯 1924/07/10 と野村吉哉=譯 1923/05/20 を追加しました。
- 2012/03/30 松原至大=譯 1926/05/06 を追加しました。また、邦題の異同の項を新設しました。
- 2010/08/22 平林広人=訳 上崎美恵子=文 1964/10/20 を追加しました。
- 2009/11/03 毛利三彌=訳 1973/06/15 を追加しました。
- 2009/08/19 中國語譯(繁體字)の電子テキストのリンクがリンク切れだったのを修正しました。また、茅野蕭々=譯 1934/09/30 とドイツ語訳を追加しました。
- 2009/08/03 荒俣宏=訳 2005/08/10 を追加しました
- 2007/07/02 山君=譯 1906/01, 1996/06 を追加しました。
- 2006/10/14 山室静=訳 1975/12 を追加しました。
- 2006/09/01 鈴木徹郎=訳 1990/07 を追加しました。
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