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Monday, 25 September 2006

The Happy Prince by Oscar Wilde オスカー・ワイルド 『しあわせな王子』『幸福の王子』『幸福な王子』『幸福な皇子』『幸せの王子』『幸福王子』『幸福皇子』『皇子と燕』

           目次 Contents

    Gallery 1  ワイルドの肖像写真 Photographs of Oscar Wilde
     Video 1   朗読 シスター・ユニティ Sister Unity recites The Happy Prince
     Video 2   アニメ映画 The Happy Prince (1983)
     Video 3   アニメ映画 The Happy Prince (1974)
   ■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese
   ■韓国語訳 Translations into Korean
     (Ko1)
     (Ko2)
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 小尾 2017
     (J2) 柴田 2011
     (J3) 曽野 2006
     (J4) 金原 2006
     (J5) 結城 2000
     (J6) 大橋 1999
     (J7) 富山 1999
     (J8) 今村 1993
     (J9) 井村 1989
     (J10) 西村 1988
     (J11) 矢川 1988
     (J12) 海老池 1987
     (J13) 三浦 1979
     (J14) 西村 1968
     (J15) 大石 1965
     (J16) 松村 1960
     (J17) 阿部 1954, 1961
     (J18) 西村 1950
     (J19) 守屋 1950, 1974
     (J20) 葉河 1932
     (J21) 南日 1932
     (J22) 佐藤 1927
     (J23) 本間 1926
   ■邦題の異同 Variations of the title in Japanese
   ■インドネシア語訳 Translation into Bahasa Indonesia
   ■ロシア語訳 Translations into Russian
     (R1) Сергеев & Нуждин
     (R2) Чуковского 1990
   ■イタリア語訳 Translations into Italian
     (It1)
     (It2)
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
   ■フランス語訳 Translation into French
   ■ドイツ語訳 Translations into German
     (D1) Seiffert
     (D2) Salvani, 2000
   ■オランダ語訳 Translations into Dutch
     (NL1)
     (NL2)
     Audio 1   朗読 スティーヴン・フライ Stephen Fry reads The Happy Prince
     Audio 2   ラジオドラマ O・ウェルズほか出演 Radio drama with Orson Welles
     Audio 3   朗読 CCプローズ CCProse presents The Happy Prince
     Audio 4   朗読 ジョン・ギールグッド John Gielgud reads The Happy Prince
   ■英語原文 The original text in English
    Gallery 2  1910年版サンプル頁 Sample pages from the 1910 edition
   ■更新履歴 Change log


 Gallery 1 
ワイルドの肖像写真 Photographs of Oscar Wilde

a. 2n215 b. 2n16 c. 2n11

  • Photographer: Elliott & Fry, London.  Place: London.  Date: 19 March 1881?
  • Photographer: unknown.  Place: unknown.  Date: late 1881 (per Merlin Holland)
  • Photographer: unknown.  Place: unknown.  Date: late 1881

Image source: William Andrews Clark Memorial Library, University of California Los Angeles


  Video 1  
朗読 シスター・ユニティ Sister Unity recites The Happy Prince

物語は脚色されており、下に引用する原文と完全には一致しません。 Uploaded to YouTube by SisterUnity on 3 Apr 2009. The story has been adapted and does not correspond exactly to the original text quoted below.


  Video 2  
アニメ映画 The Happy Prince (1983)

下に引用した箇所は 5:17 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by whitty1074 on 26 Sep 2010. Illustrations by Peter Dennis. Read by Tim Curry. A Marshall Cavendish Production for Story Teller. Reading of the excerpt below starts around 5:17.


  Video 3  
アニメ映画 The Happy Prince (1974) Part 2

下に引用する箇所の朗読は 3:13 から始まります。 Uploaded to YouTube by 4Gingergirl4 on 4 Jul 2009. Director: Michael Mills. Voice of the Prince: Christopher Plummer. Reading of the excerpt below starts at 3:13.


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

(C1) 王林
  「我願意陪你再過一夜,」燕子説,他的確有顆善良的心。「我是不是再送他一塊紅寶石?」
  「唉!我現在沒有紅寶石了。」王子説,「所剩的只有我的雙眼。它們由稀有的藍寶石做成,是一干多年前從印度出産的。取出一顆給他送去。他會將它賣給珠寶商,好買回食物和木柴,完成他寫的劇本。」
  「親愛的王子,」燕子説,「我不能這樣做,」説完就哭了起來。
  「燕子,燕子,小燕子,」王子説,「就照我説的話去做吧。」

   [英] 王爾德   王林譯 《快樂王子》
   E-text at:
   * 好讀網站 (haodoo.net)
   * tw001.net


(C2) 巴金
  "我願意陪你再待一夜,"燕子説,他的確有好心腸,"你要我也給他送一塊紅寶石去嗎?"
  "唉! 我現在沒有紅寶石了,"王子説,"我就只剩下一對眼睛。它們是用珍奇的藍寶石做成的,這對藍寶石還是一千年前在印度出産的,請你取出一顆來給他送去。他會把它賣給珠寶商,換錢來買食物、買木柴,好寫完他的戲。"
  "我親愛的王子,我不能(多句)這樣做。"燕子説著哭起來了。
  "燕子,燕子,小燕子,"王子説,"你就照我吩咐你的話做罷。"

   《快樂王子》 [英] 王爾德  譯者  巴金
   E-text at wei9 的個人首頁 (wei9's homepage)


■韓国語訳 Translations into Korean

(Ko1)
"그럼 하룻밤만 더 왕자님 곁에 머물게요."
마음씨 착한 제비가 말했습니다.

"그 사람에게도 루비를 가져다 줄까요?"
"아니, 이제 루비는 없단다."
왕자는 슬픈 목소리로 말했습니다.

"남은 것은 내 두 눈뿐이야. 내 눈에는 아주 귀한 사파이어가 박혀있지. 천 년 전에 인도에서 들여온 거란다. 그 중 하나를 빼서 저 청년에게 가져다주렴. 그가 이걸 보석상에 가져가 팔면 먹을 것과 땔감을 살 수 있을 거야."

"눈을 뽑으라고요? 전 그렇게 할 수 없어요."
제비는 마음이 너무 아팠습니다.
"제비야, 제발 내 부탁을 들어줘."

   행복한 왕자/오스카 와일드
   E-text at 그런 날도 있으리니


(Ko2)
“그럼 하룻밤만 더 왕자님 곁에 머물게요. 그 사람에게도 루비를 가져다 줄까 요?”
“아니, 이제 루비는 없단다. 남은 것은 내 두 눈뿐이야. 내 눈에는 아주 귀한 사파이어가 박혀 있지. 천 년 전에 인도에서 들여온 거란다. 그 중 하나를 빼 서 저 청년에게 가져다 주렴. 그가 이걸 보석상에 가져가 팔면 먹을 것과 땔감 을 살 수 있을 거야.”
“눈을 뽑으라고요? 전 그렇게 할 수 없어요.”
제비는 마음이 너무 아팠습니다.
“제비야, 제발 내 부탁을 들어줘.”

   행복한 왕자 오스카 와일드
   E-text at 행복한 왕자 [PDF] 작은별들 주일학교


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小尾 2017

「もう一晩だけ、おそばにいましょう」燕はほんとうに温かな心の持ち主だったのである。「紅玉(ルビー)をまたひとつ届けてやりましょうか?」

「ああ、悲しいかな! もう紅玉はないのだよ」王子は申された。「残っているのはわたしの二つの目だけなのだ。目は珍しい蒼玉(サファイア)で、千年も昔にインドからもたらされたものだ。片方の目を突つきだして、それをあの青年のところに届けてやってはくれまいか。宝石商に売れば、食べ物と薪(まき)を買って芝居を書き上げることができるだろう」

「王子さま、わたしにそんなことはできません」そういうと燕は泣きだした。

「燕よ、燕よ、かわいい燕よ」王子は申された。「わたしの命じたとおりにしておくれ」

   オスカー・ワイルド=作 小尾芙佐(おび・ふさ)=訳 「幸福な王子」

   『幸福な王子/柘榴の家』 光文社古典新訳文庫 2017/01/20


(J2) 柴田 2011
「あとひと晩あなたのもとで待ちましょう」とツバメは言った。ほんとうはこころやさしいツバメだったのだ。「またルビーをもっていきましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだ」と王子は言った。「わたしにはもう目しかのこっていない。この目はたぐいまれな、一千年前にインドからもち出されたサファイアでできている。片方をもぎとって、若者にもっていってやりなさい。そうすれば宝石商に売って、たきぎを買って、お芝居を仕上げられるだろう」
「王子さま、それはできません」とツバメは言って、しくしく泣きだした。
「ツバメよ、ツバメよ、ちいさなツバメ」と王子は言った。「わたしの命じるとおりにしなさい」

   オスカー・ワイルド=著 柴田元幸(しばた・もとゆき)=訳 「しあわせな王子」
   柴田元幸=責任編集 『モンキービジネス 2011 Winter vol.12 人生の意味号
   ヴィレッジブックス 2011/01/20


(J3) 曽野 2006
 ほんとうは心の優しいつばめは言った。
「もう一晩、お付き合いしますよ。ルビーをもう一つ持っていきましょうか?」
 王子は言った。
「私には、もうルビーはないんだ。残っているのは私の眼だけだ。これはめずらしいサファイアで、千年も昔にインドから持ってこられたものなんだ。これを一つ、えぐり出して、あの青年に持っていってやってくれないか。彼は宝石屋に売って、食べ物と薪(まき)を買って、書きかけの芝居を完成させるだろう」
「王子さん。それはできませんよ」
 つばめはそう言って泣き始め、王子は言った。
「かわいいつばめ君、言われた通りにしなさい」

   オスカー・ワイルド=原作 曽野綾子=訳 
   建石修志(たていし・しゅうじ)=画・装幀
   『幸福の王子』 バジリコ 2006/12


(J4) 金原 2006
「もうひと晩、ここにいましょう」
つばめはほんとうに優しい心を持っていた。
「またルビーを持っていきましょうか?」
「いや、残念だけど、もうルビーはない。この目が残っているだけだ。目は珍しいサファイアで、一千年前にインドから持ってこられたものだ。ひとつ取って、持っていってくれないか。宝石商に売れば、食べ物と薪(たきぎ)が買えるし、そうすれば芝居もしあがる」
「そんなこと、できませんよ」つばめは泣きだした。
「つばめ、つばめ、小さなつばめ」王子が声をかけた。
「たのむから、そうしてくれ」

   オスカー・ワイルド=原作 金原瑞人(かねはら・みずひと)=訳 
   清川あさみ=絵 今井智己(いまい・ともき)=写真
   『幸せな王子』 リトルモア 2006/03


(J5) 結城 2000
「もう一晩、あなたのところに泊まりましょう」よい心をほんとうに持っているツバメは言いました。「もう一つルビーを持っていきましょうか」
「ああ! もうルビーはないのだよ」王子は言いました。「残っているのは私の両目だけだ。私の両目は珍しいサファイアでできている。これは一千年前にインドから運ばれてきたものだ。私の片目を抜き出して、彼のところまで持っていっておくれ。 彼はそれを宝石屋に売って、食べ物と薪を買って、芝居を完成させることができるだろう」
「王子様」とツバメは言いました。「私にはできません」そしてツバメは泣き始めました。
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「私が命じたとおりにしておくれ」
 
   オスカー・ワイルド=作 結城浩=訳 「幸福の王子」
   プロジェクト杉田玄白正式参加作品 2000/11
   E-text at:
   * 青空文庫
   * 翻訳の部屋


(J6) 大橋 1999
「じゃあ、もう一晩だけ、あなたのところにいましょう」とツバメはいいました。根はやさしい心の持ち主だったのです。「その人にもルビーをもっていってあげますよ」
「いえ、もうルビーはないのです」と王子。「残っている宝石は、この両眼だけ。世にもめずらしいサファイアで、千年まえインドからわたってきたものです。そのひとつをくりぬいて、あの人のところにもっていってください。あの人が宝石商に売れば、そのお金で食べ物と薪が手に入る。芝居も完成するのです」
「王子さま」とツバメはいいました。「ぼくに、そんなことできない」と泣きはじめました。
「ツバメさん、ツバメさん、ちいさなツバメさん」と王子。「いわれたとおりにしなさい」

   オスカー・ワイルド=作 大橋洋一=訳 「幸福な王子」
   O・ワイルドほか=作 大橋洋一=監訳 『ゲイ短編小説集
   平凡社ライブラリー 1999/12


(J7) 富山 1999
「もうひと晩だけ、あなたのおそばにいることにします」と、ツバメは答えました。ほんとうに心がやさしいのです。「またルビーをとどけましょうか?」
「ああ、残念だけれど、もうルビーはないんだよ。残っているのは、わたしのこの目だけ。千年も前にインドからもち出した珍しいサファイアでできたこの目だけ。その片方をとりだして、とどけてほしい。そしたらそれを宝石商に売って、食べものと、まきが買える、劇がしあがる」。
「王子さま、やさしい王子さま。ぼくにはそんなこと、できません」。そう言って、ツバメは泣きはじめました。
「ツバメくん、ツバメくん、わたしの言うとおりにしてくれないか」。

   オスカー・ワイルド=作 富山多佳夫=訳
   富山多佳夫+富山芳子=編 『幸福な王子
   妖精文庫1 青土社 1999/08


(J8) 今村 1993
「ぼく、もうひと晩(ばん)だけ、お役にたつことにします」
 ほんとうのところは、心根(こころね)のやさしいツバメがいいました。
「べつのルビーを、ぼく、あの人にとどけましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだ」
 王子はいいました。
「この私のふたつの目が、私にのこされたもののすべてだ。私の目は、千年ものむかしにインドからもたらされた、めずらしいサファイアでできている。私の片目をとりだして、彼のところにもってゆけ。それを宝石商に売れば、薪(まき)を買って、芝居(しばい)をかきあげることができるだろう」
「王子さま」
 ツバメはいいました。
「そんなこと、ぼくにはできません」
 そしてツバメは、泣(な)きはじめました。
「ツバメよ、ツバメ、小さなツバメ」
 王子がいいました。
「私の命(めい)じるままにするがよい」

   オスカー・ワイルド=作 今村葦子(いまむら・あしこ)=訳
   『幸せの王子』 偕成社 1993/10


(J9) 井村 1989
「もう一晩、王子さまのところにいてあげます。」ツバメはいいました。ほんとうは、やさしい心の持(も)ち主(ぬし)だったのです。「その人にもルビーをもっていきましょうか。」
「ああ。わたしにはもうルビーはないんだ。」王子はいいました。「残(のこ)っているのはこの目だけなんだ。めずらしいサファイアで、千年も昔(むかし)にインドからもってきたものなんだ。
 わたしの目を一つぬきとって、あの男にもっていってやってくれないか。あの男は、それを宝石商(ほうせきしょう)に売って、食(た)べ物(もの)と薪(まき)を買い、あの脚本(きゃくほん)を書きあげるだろう。」
「王子さま。そんなこと、ぼくにはできません。」ツバメはこういうと、泣(な)きだしました。
 王子はいいました。
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん。わたしの言(い)いつけどおりにしてください。」

   オスカー=ワイルド=作 井村君江=訳
   『幸福の王子—オスカ−=ワイルド童話集』 偕成社文庫 1989/03


(J10) 西村 1988
「あとひと晩だけご用をつとめましょう、」と根はやさしい心の持ち主だけに、つばめはそういいました。「その人にもルビーをもっていってあげましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだよ。残ってるのはただこの目だけ。千年も昔にインドから到来した、めったにないサファイアで作ってある。それをひとつ抜きとって、あの青年のところへもっていって。かれはそれを宝石商に売って、たべものと薪(まき)を買い、劇をしあげるだろう。」
「王子さま、そんなこと、できません」とつばめはいうと、泣きだしました。
「つばめちゃん、つばめちゃん、小さなつばめちゃん、いいつけどおりになさい。」

   オスカー・ワイルド=作 西村孝次=訳 「幸福の王子」
   『オスカー・ワイルド全集3』 青土社 1988/09


(J11) 矢川 1988
「ぼく、もうひと晩のこりますよ」つばめは言ってしまった。まったくお人好しもいいいところだった。「またルビイでも届けましょうか?」
「それがもう、ルビイはないんだ」王子がいう。「あとはこの両眼だけだ。千年もまえにインドからもってきた、世にもめずらしいサファイアでね、こいつを片っぽ、つつきだして、あの若者にもってっておやり。宝石商に売れば、食物や薪(まき)を買えるし、それで芝居を仕上げられるだろう」
「王子さま、そんなことできませんよう」つばめはいい、すすり泣きはじめた。
「つばめ、つばめ、小さなつばめ、わたしのいうとおりにするんだ」

   オスカー・ワイルド=作 矢川澄子=訳 「幸せの王子」
   J・L・ボルヘス=編纂・序文 『アーサー・サヴィル卿の犯罪
   バベルの図書館6 国書刊行会 1988/07


(J12) 海老池 1987
「もうひと晩ここにいることにしましょう」とつばめは言った。ほんとうにやさしい心の持ち主だったから。「もひとつのルビーを持って行ってやりましょうか」
「残念だが、もうルビーはないのだ」と王子は言った。「残っているのはこの目だけだ。珍しいサファイアでできている。千年も昔にインドから持って来たものだ。それをひとつ抜き取って、あの男のところへ持って行ってやりなさい。あの男はそれを宝石屋に売って、食物とまきを買うだろう。そして、戯曲を書き上げるだろう」
「王子さま」とつばめは言った。「そんなことはできません」そして、泣き始めた。
「つばめよ、つばめよ、小さいつばめよ」と王子は言った。「わたしの命令どおりにしなさい」

   Oscar Wilde=作 海老池俊治=訳注 「幸福な王子」
   『The Happy Prince and Other Stories 幸福な王子 他4編
   [改訂版]研究社新訳注双書 研究社出版 1987/02


(J13) 三浦 1979
「もう一晩だけ、おそばにいましょう」とツバメが言いました。根がやさしいたちなのです。「またルビーを持ってゆきましょうか」
「残念なことに、もうルビーはない」と王子が言いました。「目しか残っていないのだ。これは珍しいサファイアで、千年も前にインドからわたってきたものだ。これを一つくりぬいて、彼の所に持っていってやれ。彼はこれを宝石屋に売って、薪を買い、戯曲を仕上げるだろう」
「王子さま」とツバメが言いました。「それはできません」そしてツバメが泣きはじめました。
「ツバメよ、ツバメ、小さなツバメ」と王子が言いました。「命令した通りにするのだ」

   ワイルド=著 三浦朱門(みうら・しゅもん)=訳 「幸福王子」
   『世界中短編名作集』 世界文学全集46(全50巻)
   学習研究社(学研) 1979/08/01


(J14) 西村 1968
「もうひと晩だけご用をつとめましょう」とつばめは言いましたが、ほんとうはやさしい心の持ち主なのです。「もうひとつのルビーを持っていってやりましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだ。残っているのはこの目だけなのだ。珍しいサファイアでできていて、千年も昔にインドから到来した品なのだ。それをひとつ抜きとって、あの男のところへ持っていってください。あの男はそれを宝石商に売って、食べものと薪(たきぎ)を買い、戯曲を書きあげるだろう」
「王子様、そんなことはできません」とつばめは言うと、泣きだしました。
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、わたしの言いつけどおりにしなさい」

   ワイルド=作 西村孝次=訳 「幸福な王子」
   『幸福な王子—ワイルド童話全集』 新潮文庫 1968/01


(J15) 大石 1965
[略]気のいいつばめは、おもわず、こういってしまいました。
「しかたがない。じゃあ、あなたのために、もうひと晩だけ泊まってあげましょう。こんどは、なにを持っていっていくんですか。ルビーですか。」
「いや、もう、ルビーはないのだよ。残っているのは、わたしの目だけだ。この目は、千年もまえにインドから運んできたサファイアでできているのだ。
 これを引き抜いて、あの若者のところに持っていっておくれ。そうすれば、あの若者はこれを宝石商に売ってお金にかえ、まきでもパンでも買うことができるだろう。そうしたら若者も戯曲を仕上げることができるにちがいない。」
「王子さま、あなたの目を引きぬくなんて‥‥そんなひどいことは、わたしはできません。」
 そういっって、つばめは、しくしく泣きだしました。
「いや、泣かなくてもよい。かわいいつばめ、いいから、わたしのいうとおりにしなさい。」

   ワイルド=原作 大石真(おおいし・まこと)=訳・文 「幸福な王子」
   『少年少女世界の名作文学 7 イギリス編5』(全50巻) 小学館 1965/09/20
   原文は総ルビですが、上の引用ではすべて省略しました。


(J16) 松村 1960
「それじゃ、もう一(ひと)ばんだけ、あなたのおそばに、のこりましょう。そしてまた、ルビーの玉(たま)をもっていってやりましょうか」
と、やさしいつばめはいいました。
「ところが、こまったことに、もうルビーはないのだ。」
と、王子(おうじ)はいいました。
「もうのこっているのは、ぼくの目(め)だけなんだ。この、ぼくの目(め)は、インドからもってきた、 すばらしいサファイアでできているのだ。つばめさん、どうか、この目(め)を一つだけ、あのわかもののところへ、もっていっておくれ。そしたら、わかものは、それをほうせき屋(や)にうって、たべものと、まきとをかって、おしばいをかきあげられるだろうよ。」
「でも、王子(おうじ)さま、そんなことが、このぼくにどうしてできましょう。」
と、つばめはいって、なきだしました。
「つばめさん、かわいいつばめさん、どうかおねがいだから、ぼくのいうとおりに、しておくれ。」
と、王子(おうじ)はいいました。

   オスカー・ワイルド=作 松村達雄(まつむら・たつお)=訳 「しあわせな王子」
   久米元一(くめ・げんいち)+白木茂(しらき・しげる)+松村達雄=訳
   『世界童話文学全集 5 イギリス童話集』(全18巻) 講談社 1960/07/10


(J17) 阿部 1954, 1961
「ぼく、もうひと晩だけここにいましょう」根から心のやさしいこのつばめは、それをきいてこたえた。「で、紅玉をもうひとつ持って行ってやりましょうか」
「残念なことに、もう紅玉はないのだよ」と王子はいった。「のこっているのは、ただこのわたしの目だけだ。これは、千年も前にインドからはこんできたという、この上もない青玉でできている。一方をつついて取って、あの男に持っていってやりなさい。それを宝石屋に売って、食物とまきとを買って、芝居を書くことができるだろうから」
「王子さま、とてもそんなこと、ぼくにはできません」そういって、つばめは泣きだした。
「つばめ、つばめ、小さなつばめ、わたしの言いつけどおりにするのだ」と王子はいった。

   オスカー・ワイルド=作 阿部知二=訳 「幸福の王子」
   a.モーム編 世界文学100選2』 河出書房新社 1961/05
   b.世界少年少女文学全集6 イギリス編4』 創元社 1954/05
   引用は a. に拠りました。


(J18) 西村 1950
「もう一晩だけ御用をいたしましょう、」燕はいったが、ほんとうは燕は親切な心をもっていたのである。「もうひとつの紅玉をその男のところへもってまいりましょうか?」
「ああ! 紅玉はもうないのです、」王子はいった。「兩眼だけしか殘っていないのです。ぼくの兩眼は世にも珍しい青玉で出來ていて、千年も昔にインドからもってきたものです。そのひとつを抜きとってあの男のところへもっていってください。それを寶石商へ賣って、食べものと薪を買い、脚本を仕上げるでしょう。」
「王子様、」燕はいった、「そればかりはできません。」そうして燕は泣き出した。
「燕さん、燕さん、可愛い燕さん、」王子はいった、「ぼくのいうとおりになさい。」

   ワイルド=作 西村孝次=訳 「幸福の王子」
   『世界文學全集 ワイルド篇』 河出書房 1950/12


(J19) 守屋 1950, 1974
 「もうひと晩、君のとこにいたげよう」つばめはいうのでした。つばめは、ほんとうは、思いやりのある心を持っていたのです。「もう一つのルビイを持ってこうか?」
 「ああ! ぼくにはもうルビイはないんだ」王子はいいました。「ぼくの眼(め)が、手許(てもと)に残ってるすべてなんだ。それらは、珍らしいサファイアでできている。千年も前に、インドから持ってきたものなんだ。ぼくの眼をひとつ抜きとって、あの男に持ってってやってくれないか。あの男は、それを宝石商(ほうせきしょう)に売って、食物やまきを買うだろう。そうして脚本を書き上げるだろう」
 「王子さん」つばめはいいました。「ぼくにそんなことできない」そしてつばめは、泣き始めるのでした。
 「つばめ、つばめ、小さなつばめ」王子はいいました。「ぼくのいう通りになさい」

   ワイルド=作 守屋陽一(もりや・よういち)=訳 「幸福な王子」
   a.改訳 幸福な王子 他四篇』 角川文庫 改訳版20版 1974/08
   b.幸福な王子 他四篇』 角川文庫 初版 1950/11
   引用は a. に拠りました。


(J20) 葉河 1932
 「貴方のところでもう一晩だけ御用を致しませう。」と燕は云つた。燕は本當に親切な心を持つてゐたのであつた。「もう一つの紅玉をあの男のところへ持つて參りませうか。」
 「あゝ! 紅玉はもう無いのです。」と皇子は答へた。「兩眼だけが殘つてゐるのです。私の兩眼は青玉で出來てゐます。千年も前に印度から持つて來たものです。一方を拔き取つて男のところへ持つて行つてお呉れ。それを寶石商へ賣つて食物と薪を買ひ、そして脚本を仕上げるでせう。」
 「皇子さま」と燕は云つた。「私にはそんなことは出來ません。」さうして燕は泣き出した。
 「燕よ、燕よ、小燕よ。」皇子は云つた。「私のいふ通りになさい。」

   Oscar Wilde=作 葉河憲吉(はがわ・けんきち)=譯 「幸福な皇子」
   葉河憲吉=譯註 『英學生文庫7 ハツピープリンス
   春陽堂 1932/06(昭和7)
   扉の表題は "The Happy Prince and Other Tales"


(J21) 南日 1932
 「ではもう一晩延ばしませう」と燕は云ひましたが、實際中々情に篤いのでした。「又たルビー(紅玉)を持つて行つてやるのですか。」
 「情けないこッたがもうルビーは無い」と皇子が云つた、「今殘つてゐるのは兩眼ばかり。どちらも珍しいサファイア(碧玉)で、千年前に印度から來たものです。これを一つ拔き取つてやつて來ておくれ。靑年はこれを寳玉商に賣つて、食物と薪を買つて脚本を仕上げようから。」
 「皇子さま、私にそんなことは出來ません」と燕が云つて泣き出しました。
 「燕、燕、可愛い燕さん」と皇子は云ひました、「私の命令通りなさい。」

   オスカ・ワイルド=作 南日恒太郎(なんにち・つねたろう)=譯 「幸福皇子」
   南日恒太郎=著 『英詩文鑑賞』 北星堂書店 1932/05/01(昭和7)
   情・福・通の旧字はそれぞれ新字で置き換えました。


(J22) 佐藤 1927
 「ぢや、もう一晩(ひとばん)、あなたのそばに泊(とま)りませう。」
と、燕(つばめ)が答(こた)へました。心(こゝろ)だてのやさしい燕(つばめ)でありました。
 「ルビーをまた、その人(ひと)において來(き)ませう。」
 「あゝ、もうルビーは持(も)つてゐない。この目(め)だけしか殘(のこ)つてゐない。この二(ふた)つの目(め)は、たぐひまれなサフハイヤで作(つく)つたもので、千年前(せんねんぜん)にインドから持(も)つてきたもの。この二(ふた)つのどれかを拔(ぬ)き出(だ)して、あの若者(わかもの)にやつてくれ。若者(わかもの)は寶玉商(はうせきしやう)に賣(う)るだらう。そして食物(しよくもつ)と薪(たきゞ)とを買(か)つて、あの脚本(きやくほん)を書(か)きあげようから。」
 「王子(わうじ)さま。僕(ぼく)にはとても、そんなことができません。」
 燕(つばめ)は言(い)つて泣(な)きだしました。
 「燕(つばめ)よ、燕(つばめ)よ、小(ちひ)さな燕(つばめ)よ。」
と,王子(わうじ)は聲(こゑ)をかけました。
 「わたしの言(い)ふとほりにしておくれ。」

   ワイルド=原作 佐藤武(さとう・たけし)=訳
   「幸福な王子」 ワイルド物語
   佐藤武=編著 『世界名作物語讀本 3』 定價金貳圓五拾錢
   文敎書院 1927/02/27(昭和2)


(J23) 本間 1926
 『もう一晩、あなたさまとご一しよに居りませう』本當に善良な心を持つて居りますので、燕はかう申しました。『も一つの紅玉(ルビー)をあの男のところへ持つて參りませうかしら?』
 『あゝ、予(わし)にはもう紅玉(ルビー)はない』皇子は云ひました。『予(わし)に殘つてゐるのは二つの眼ばかりだ。予(わし)のこの二つの眼は、何千年か前に印度から持つて來た、類(たぐい)のない靑玉(サフアイヤー)で出來てゐる。一つの方を啄(つゝ)き出して、あの男のところへ行つてお呉れ。あの男はそれを寳(たから)玉商人のところへ賣つて、食物と薪とを買ひ、そして芝居を書き上げるだらうから。』
 『でも、そんなことはいたされません。皇子さま』燕はかう云つて、やがてしく/\泣き出しました。
 『燕よ、燕よ、小さい燕よ。かまはないから予(わし)の言ひつけた通りにしてお呉れ』皇子は云ひました。

   オスカア・ワイルド=作 本間久雄(ほんま・ひさお)=譯 「皇子と燕」
   『世界短篇小説大系 英吉利篇(上)』 非賣品 近代社 1926/01/28(大正15)
   通の旧字は新字で置き換えました。また、傍点を下線で置き換えました。


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

ご覧のとおり、日本語訳の題名はバラバラです。

  「しあわせな王子」 柴田 2011 松村 1960
  「幸福な王子」   小尾 2017 大橋 1999 富山 1999 海老池 1987
            守屋 1974 西村 1968 大石 1965 守屋 1950
            佐藤 1927
  「幸福の王子」   曽野 2006 結城 2000 井村 1989
            西村 1988 阿部 1954, 1961 西村 1950
  「幸せの王子」   矢川 1988 今村 1993
  「幸せな王子」   金原 2006
  「幸福な皇子」   葉河 1932
  「幸福王子」    三浦 1979
  「幸福皇子」    南日 1932
  「皇子と燕」    本間 1926


■インドネシア語訳 Translation into Bahasa Indonesia

" Aku akan menemanimu satu malam lagi," kata burung layang-layang, yang sebenarnya memiliki hati yang baik. " Haruskah aku mengambil sebuah batu rubi merah delima lain?"

" Aduh! Aku tidak memiliki batu rubi merah delima lainnya," katakan Pangeran; " Satu-satunya yang aku miliki adalah mataku. Mereka dibuat dari batu safir langka, dibawa jauh dari India beribu tahun yang lalu. Cabutlah satu dan bawa kepadanya. Ia akan menjual ke toko permata, dan menggunakan uangnya untuk membeli makanan dan kayu bakar, dan menyelesaikan naskah dramanya."

" Pangeranku sayang," katakan burung layang-layang kecil, " Aku tidak bisa melakukannya"; dan iapun mulai menangis.

" Burung layang-layang, burung layang-layang kecil," yang dikatakan Pangeran, " lakukanlah sesuai perintahkanku."

   Pangeran Yang Bahagia by Oscar Wilde
   E-text at Wikisource


■ロシア語訳 Translations into Russian

(R1) Сергеев & Нуждин
  "Я останусь с тобой еще на одну ночь", -- сказал  Скворец. У  него действительно было доброе сердце. "Мне отнести еще один рубин?"

  "Увы! У меня больше нет рубинов", --  сказал  Принц.  "Все что   осталось   --  это  мои  глаза.  Они  сделаны  из  редких драгоценных сапфиров, которые  привезли  из  Индии  тысячу  лет назад.  Выклюй  один  из  них,  и  отнеси юноше. Он продаст его ювелиру, купит себе дров, и окончит пьесу.

  "Дорогой Принц", -- сказал Скворец, -- но я не могу  этого сделать",  и горько заплакал. "Маленький, маленький скворчонок, -- промолвил Принц, -- сделай, как я велю".

   Оскар Уайлд. Счастливый Принц
   Translated by П.В.Сергеев, Г.Нуждин
   E-text at Lib.Ru


(R2) Чуковского 1990
  - Хорошо, я останусь с тобой до утра! - сказала   Ласточка Принцу. У  нее было предоброе сердце. - Где же у тебя другой рубин?
  - Нет у меня больше рубинов, увы! -  молвил  Счастливый  Принц.  -  Мои глаза - это все, что осталось. Они сделаны из редкостных сапфиров  и  тысячу лет назад были привезены  из  Индии.  Выклюй  один  из  них  и  отнеси  тому человеку. Он продаст его ювелиру и купит себе еды и  дров  и  закончит  свою пьесу.
  - Милый Принц, я не могу сделать это! - И Ласточка стала плакать.
  - Ласточка, Ласточка, маленькая Ласточка! Исполни волю мою!

   Оскар Уайльд. Счастливый принц
   Translated by К. Чуковского
   Оскар Уайльд. Избранное. М., Просвещение, 1990
   E-text at Lib.Ru


■イタリア語訳 Translations into Italian

(It1)
"Resterò con te un'altra notte", disse la Rondine, che in verità aveva buon cuore. "Devo portargli un altro rubino?"

"Ahimé! Non ho più rubini" disse il Principe. "Mi restano solo gli occhi. Sono fatti di zaffiri rari, portati dall'India mille anni fa. Spiccamene uno e portarglielo. Egli lo venderà al gioielliere, e comprerà del cibo e della legna, e finirà la sua commedia".

"Caro Principe", disse la rondine, "non posso far questo", e cominciò a piangere.

"Rondine, Rondine, piccola Rondine", disse il Principe, "fa' quello che ti ordino".

   Il Principe Felice
   in Tutte le opere by Oscar Wilde
   Newton Compton Editori, 2011/04/19
   E-text at Homolaicus.com [PDF]


(It2)
"Va bene, aspetterò presso di te un'altra notte" disse il Rondinotto, che aveva proprio un cuore d'oro. "Devo portargli un altro rubino?"

"Ahimè, non ho più rubini, ormai" disse il Principe, "tutto ciò che mi è rimasto sono i miei occhi, ma sono fatti di zaffiri rari, e furono portati dall'India più di mille anni fa. Strappane uno e portaglielo. Lo venderà al gioielliere, e si comprerà legna da ardere, e finirà la sua commedia".

"Caro Principe" disse il Rondinotto, "io non posso fare questo"

"Rondinotto, Rondinotto, piccolo Rondinotto" disse il Principe, piangendo, "ubbidiscimi, ti prego".

   Il principe felice by Oscar Wilde
   E-text at Pinu raccolta di fiabe (pinu.it)


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

— Ficarei contigo mais uma noite — disse a andorinha, que tinha realmente um bom coração. Queres que lhe leve outro rubi?

— Ai! Já não tenho mais rubis — disse o Príncipe Feliz. — Só me restam os meus olhos. São duas raras safiras há mil anos trazidas da índia. Arranca-me um deles e leva-o. Ele o venderá a um joalheiro, comprará comida e lenha e acabará a sua peça.

— Querido Príncipe — disse a andorinha — não posso fazer semelhante coisa. E pôs-se a chorar.

— Andorinha, andorinha, querida andorinha — disse o Príncipe — fazes o que te mando.

   O Príncipe feliz by Oscar Wilde
   E-text at:
   * A Liberdade É Amoral
   * Dil e Lú Ateliê


■スペイン語訳 Translation into Spanish

      —Bueno, me quedaré otra noche aquí contigo —dijo la golondrina que de verdad tenía buen corazón—. ¿Hay que llevarle otro rubí?
      —¡Ay, no tengo más rubíes! —se lamentó el Príncipe—. Sin embargo aún me quedan mis ojos. Son dos rarísimos zafiros, traídos de la India hace mil años. Sácame uno de ellos y llévaselo. Lo venderá a un joyero, comprará pan y leña y podrá terminar de escribir su obra.
      —Pero mi Príncipe querido —dijo la golondrina—, eso yo no lo puedo hacer.
      Y se puso a llorar.
      —Golondrina, golondrina, pequeña golondrina —le rogó el Príncipe—, por favor, haz lo que te pido.

   El Príncipe Feliz by Oscar Wilde
   E-text at literatura.us


■フランス語訳 Translation into French

—Je demeurerai encore une nuit avec vous, dit l'Hirondelle, qui avait réellement un bon coeur. Dois-je lui porter un autre rubis?
—Hélas! je n'ai plus de rubis, dit le Prince. Mes yeux sont la seule chose qui me reste. Ce sont de rares saphirs qui furent rapportés des Indes il y a un millier d'années. Arrachez l'un d'eux et prenez-le pour lui. Il le vendra à un joaillier. Il achètera de quoi se nourrir et de quoi se chauffer et finira sa pièce.
—Cher Prince, dit l'Hirondelle, je ne puis faire cela.
Et elle se mit à pleurer.
—Hirondelle, Hirondelle, petite Hirondelle! dit le Prince. Faites ce que je vous commande.

   Le Prince Heureux de Oscar Wilde
   Traduit de l'anglais par Albert Savine
   E-text at Project Gutenberg


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1) Seiffert
»Ich will diese eine Nacht noch bei dir bleiben«, sagte die Schwalbe, die wirklich ein gutes Herz hatte. »Soll ich ihm auch einen Rubin bringen?«

»Ach nein, ich habe keinen Rubin mehr«, sagte der Prinz, »meine Augen sind alles, was mir geblieben ist. Sie sind aus köstlichen Saphiren gemacht, die man vor tausend Jahren aus Indien hergebracht hat. Reiß eines von ihnen aus und trag es zu ihm hin. Er wird den Edelstein zum Goldschmied bringen und Nahrung und Feuerholz kaufen und sein Stück vollenden.«

»Lieber Prinz«, sagte die Schwalbe, »das kann ich nicht.« Und sie begann zu weinen.

»Schwalbe, Schwalbe, kleine Schwalbe«, sagte der Prinz, »tu, wie ich dich heiße.«

   Der glückliche Prinz by Oscar Wilde
   Translated by Alice Seiffert
   E-text at Projekt Gutenberg-DE - Kultur - Spiegel Online


(D2) Salvani, 2000
"Gut, ich werde noch eine weitere Nacht bei dir bleiben", sagte die Schwalbe, die wirklich ein gutes Herz hatte. "Soll ich auch ihm einen Rubin bringen?"

"O weh, ich habe keinen Rubin mehr", sagte der Prinz, "meine Augen sind alles, was mir geblieben ist. Sie sind aus kostbaren Saphiren gefertigt, die vor tausend Jahren aus Indien hergebracht wurden. Brich einen von ihnen heraus und bring ihn dem jungen Mann. Er wird ihn dem Juwelier verkaufen, dafür Essen und Brennholz erwerben und das Theaterstück beenden".

"Lieber Prinz", sagte die Schwalbe, "das kann ich nicht machen", und sie begann zu weinen.

"Schwalbe, Schwalbe, kleine Schwalbe, tu, wie ich es dich geheißen habe", sagte der Prinz.

   Der glückliche Prinz, Ein Kunstmärchen, by Oscar Wilde
   Translated by Jean Francesco Salvani, www.salvani.de, April 2000
   E-text at:
   * Projekt Gutenberg-DE - Kultur - Spiegel Online
   * Welt der Fantasie


■オランダ語訳 Translations into Dutch

(NL1)
'Ik zal nog één nacht bij je blijven,' zei de zwaluw, die echt een goed hart had. 'Zal ik een andere robijn naar hem toe brengen?'

'Helaas, heb ik nu geen robijn meer,' zei de prins. 'Mijn ogen zijn alles wat ik over heb. Ze zijn gemaakt van saffieren, die duizend jaar geleden uit India zijn gebracht. Pik ze eruit en breng ze naar hem. Hij zal het aan de juwelier verkopen en voedsel en brandhout kopen en zijn toneelstuk afmaken.'

'Lieve prins,' zei de zwaluw, 'dat kan ik niet doen.' En hij begon te huilen.'Zwaluw, zwaluw, kleine zwaluw,' zei de prins, 'doe wat ik je opdraag.'

   De gelukkige prins by Oscar Wilde
   E-text at absolute1.net


(NL2)
"Goed, ik blijf nog één nacht," zei de zwaluw, "moet ik hem ook een robijn brengen?"

"Een robijn heb ik niet meer," zei de prins, "maar mijn ogen zijn gemaakt van kostbare saffieren. Neem één van mijn ogen en breng die naar hem toe. Hij kan er eten en brandstof voor kopen en dan zijn stuk afmaken."

"Dat kan ik niet doen," zei de zwaluw en begon te huilen.

"Kleine zwaluw," zei de prins, "doe toch wat ik je vraag!"

   De gelukkige prins by Oscar Wilde
   E-text at beleven.org


  Audio 1  
朗読 スティーヴン・フライ Stephen Fry reads The Happy Prince 2 of 3

下に引用した箇所は 1:29 あたりから始まります。 Uploaded by macolleague on May 11, 2010. Unabridged presentation by Harper Collins Publishers Limited. The excerpt below starts around 1:29.


  Audio 2  
ドラマ録音 The Happy Prince (1946)

デッカ・レコードによるドラマ仕立ての録音。脚色・演出: オーソン・ウェルズ 出演: オーソン・ウェルズ、ビング・クロスビー。1946年製作。下に引用した箇所は 5:15 あたりから。
Orson Welles and Bing Crosby star in the storytelling adaptation recording of "The Happy Prince" (adapted and directed by Welles), made by Decca for one of its Specialty Series albums in 1946. The recording was reissued as The Masterworks of Orson Welles: The Happy Prince/The Red Room/Shredni Vashtar/The Secret Sharer/Wakefield/The Tell-Tale Heart/Letter to the Reverend Dr. Hyde [Abridged] [Audio Cassette]. More info is here. The excerpt below starts around 5:15.


  Audio 3  
The Happy Prince, presented by CCProse

下に引用した箇所は 0:12:01 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by CCProse on Dec 3, 2011. The excerpt below starts around 0:12:01.


  Audio 4  
朗読 ジョン・ギールグッド(物語冒頭のサンプル録音)
John Gielgud reads The Happy Prince (sample recording)
Naxos_music_library_john_gielgud_th
音源: ナクソス・ミュージック・ライブラリー (NML) 全文の朗読CDおよびダウンロード用MP3は Amazon.co.jp で購入可能。 Source: Naxos Music Library. Full audio CD available from Amazon.com


■英語原文 The original text in English

"I will wait with you one night longer," said the Swallow, who really had a good heart. "Shall I take him another ruby?"

"Alas! I have no ruby now," said the Prince; "my eyes are all that I have left. They are made of rare sapphires, which were brought out of India a thousand years ago. Pluck out one of them and take it to him. He will sell it to the jeweller, and buy food and firewood, and finish his play."

"Dear Prince," said the Swallow, "I cannot do that"; and he began to weep.

"Swallow, Swallow, little Swallow," said the Prince, "do as I command you."


 Gallery 2 
D・ナット社刊1910年版のサンプルページ
Sample pages from the 1910 edition published by D. Nutt

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

Happyprinceother00wild_0016_2 Happyprinceother00wild_0017_2
The happy prince and other tales, Seventh impression, by Oscar Wilde ; illustrated by Walter Crane and Jacomb Hood. Published 1910 by D. Nutt in London. Full bibliography at Open Library Image source: Internet Archive


■更新履歴 Change log

  • 2017/02/02 小尾芙佐=訳 2017/01/20 を追加しました。
  • 2013/12/15 アニメ映画 The Happy Prince (1983) の YouTUbe 画面を追加しました。
  • 2013/08/23 2種類の韓国語訳、ジョン・ギールグッドによる朗読のサンプル録音、およびD・ナット社刊1910年版のサンプルページを追加しました。
  • 2013/07/24 松村達雄=訳 1960/07/10 を追加しました。
  • 2013/05/24 シスター・ユニティによる朗読の YouTube 動画、南日恒太郎=譯 1932/05/01、および本間久雄=譯 1926/01/28を追加しました。
  • 2012/08/08 もう1種類のイタリア語訳を追加しました。
  • 2012/08/04 CCProse による朗読の YouTUbe 画面を追加しました。
  • 2012/06/26 大石真=訳・文 1965/09/20 を追加しました。
  • 2012/06/15 2種類のロシア語訳を追加しました。
  • 2012/04/22 三浦朱門=訳 1979/08/01 を追加しました。
  • 2011/12/04 スティーヴン・フライによる朗読の YouTUbe 画面を追加しました。
  • 2011/03/04 アニメ映画 The Happy Prince (1974) と ドラマ録音 The Happy Prince (1946) の2本の YouTube 動画、柴田元幸=訳 2011-01-20、およびインドネシア語訳を追加しました。また、ブログ記事のタイトルに邦題『しあわせな王子』を追加しました。さらに、目次を新設しました。
  • 2011/01/12 ポルトガル語訳を追加しました。また、イタリア語訳にあった訳文の誤りを修正しました。
  • 2010/12/18 Alice Seiffert によるドイツ語訳を追加しました。
  • 2008/10/23 巴金による中國語譯(繁體字)を追加しました。また、阿部知二=訳の書誌情報を補足しました。
  • 2007/10/03 葉河憲吉=譯 1932/06 の引用箇所がまちがっておりましたので訂正しました。他の版とテキストが呼応していない、原書が異なるせいか? この版が抄訳であるからか? などと、これまで記載しておりましたのは、完全に私の勘違い。葉河譯でも、他の訳に対応する箇所は、ちゃんと訳出されております。お恥ずかしい。また、この記事のタイトルに、異題『幸せの王子』を追加しました。
  • 2007/09/30 海老池俊治=訳 1987/02 を追加しました。
  • 2007/09/20 葉河憲吉=譯 1932/06 を追加しました。また、この記事のタイトルに、異題『幸福な王子』を追加しました。さらに、中國語譯(繁體字)の電子テキストへのリンクがリンク切れになっていましたので、訂正して他のサイトにリンクを張りなおしました。
  • 2007/06/05 曽野綾子=訳 2006/12 を追加しました。
  • 2007/02/08 「邦題の異同」の項を補足しました。
  • 2006/10/17 富山多佳夫=訳 1999/08 を追加しました。
  • 2006/09/27 大橋洋一=訳 1999/12、今村葦子=訳 1993/10、井村君江=訳 1989/03、西村孝次=訳 1988/09、守屋陽一=訳 1974/08、阿部知二=訳 1961/05、および西村孝次=訳 1950/12 を追加しました。

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