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Saturday, 28 October 2006

Fanny Hill: Memoirs of a Woman of Pleasure by John Cleland (1) ジョン・クレランド / ジョン・クリーランド 『ファニー・ヒル 快楽の女の回想』『ファニー・ヒル:一娼婦の手記』『情婦ヒル』『ファーニィ・ヒル』 (1)

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        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Image  挿絵 Illustration by Erich von Götha
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 小林 2012
  (J2) 及川 2005
  (J3) 松戸 2004
  (J4) 吉田 1993, 1997
  (J5) 中野 1994
  (J6) 伴 1970
  (J7) 根岸 1969
  (J8) 中込 1969
  (J9) 江藤 1968
  (J10) 松戸 1951
  (J11) 原 1951
 Video  テレビ ファニー・ヒル—禁断の扉 (2007) TV Fanny Hill (2007)
 Audio  英語原書オーディオブック Full audiobook in English
■英語原文 The original text in English
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

西洋で初の近代的ポルノ小説と目されている作品。その内容ゆえに、「出版物の検閲」「わいせつ物」「発禁本」の歴史には必ず登場するタイトルでもある。


 Image 
『ファニー・ヒル』挿絵 Fanny Hill: An Illustration
Scarletfannycover
Fanny Hill. Author: John Cleland,  Illustrator: Erich von Götha. Size: 210x145mm. 156 pp. Binding: Cloth hardback bound with dustwrapper, sewn. Image source: EroticPrints.org


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小林 2012
[略]わたしの身体に乗ったまま、まだ物足りない様子を見せています。すると抜かずにいてもぐにゃりとなる気配を見せなかったものが、またしても硬さを増してきたため、再びうれしそうな顔になって、もう一度わたしに挑みかかってきました。今度は全面突破をめざすと、幸いなことに通路もかなり楽に進めるようになりました。というのも先ほどの攻撃で、あの香りのいい精液がたっぷりと壁面を濡らしていたからです。彼が力強く攻撃を加え、これに合わせて欲望に駆られたわたしが激しく腰を揺すって応えると、柔らかくねっとりした壁ももはや持ち堪(こた)えることはできず、ついに進入路が開いたのです。本能のままに突進を繰り返す男。それを懸命に応援するわたし。この二つが大きな力となって、彼は突いたり押したりしながら、ようやく一インチずつ先へ進み、奥深くまで達して、最後の乾坤一擲(けんこんいってき)の突き押しで槍の根元まで収まりました。二人の身体はぴったりと重なり[略]


(J2) 及川 2005
 彼はいまだに自分がいるべき場所を正当に占拠していた。[略]
 彼は今や完璧に回復していた。
 [略]
 彼自身の樹液の注入をすでに受けているわたしの内径は過剰なほどに潤っていて、彼の行進を少なからず容易にさせていた。前回とは明らかに違っていたし、勢いは倍加されていた。それはわたしを狂喜させた。
 油が塗られた柔らかな小部屋は、鍵をあけて押し入ろうとしていた侵入者の勢いに、もはや耐えることはできなかった。
 降伏した。
 そしてその扉を侵入者に大きく開いた。いつの間にかわたしの体は彼を助けることに専念していた。体が自然にそんなふうに動いた。
 彼は自分が進むべき道を開き、押し込んできていた。徐々に、徐々に、前進を重ね、完璧に彼の道を勝ち取ろうとし、そして最後には、強力な一押しにより、完全に、その鍔まで鞘の中に納めることに成功した。

   ファースト・レター
   ジョン・クレランド=著 及川寛平(おいかわ・かんぺい)=訳
   『新訳 ファニー・ヒル』 宝島社文庫 2005/10


(J3) 松戸 2004
[この訳書は抄訳のようです。問題の箇所は訳出されていません]

  • 第一の手紙 14. 悲しき復讐
    ジョン・クリーランド=著 松戸淳(まつど・じゅん)=訳 『情婦ヒル—謎の訳者の古典ポルノ3』 論創社 2004/10
  • 本書は下の松戸淳=訳 1951/03 を底本として再刊したもの。用字や仮名づかいなどが改められています。松戸氏の所在は不明の模様。論創社では氏に関する情報を求めています。

(J4) 吉田 1993, 1997
[略]彼にとってはまったく新しいこういう経験を改めて味わっている様子で前のままでいるうちに、その最中にも別に感じたとは思えなかった固さがもと通りになって、またしても私の奥に向い、今度はそこが彼が降らせた雨を吸って、前よりも彼が進むのをずっと楽にしました。それに彼は力を得ていっそう烈しくそれを繰り返し、私の方でも全身でそれに応え、十分に油を塗った錠前はこれほどの鍵にも向って外れずにはいなくて、道を開きました。彼は私も努力するのと自然に手伝われて突き進み、分け入って、少しずつ押し行くうちにようやく沈め終り、最後の大きな一突きで鍔(つば)まで鞘(さや)に納めて、私たちの体が合わさった具合で[略]

   第一信
   ジョン・クレランド=著 吉田健一(よしだ・けんいち)=訳
   a.ファニー・ヒル』 河出文庫 河出書房新社 1997/08
   b. ファニー・ヒル』 単行本 河出書房新社 1993/09


(J5) 中野 1994
[略]一服しながらも彼は鞍にまたがったままで、この新しい悦楽をまだ味わい足りぬような顔を見せていましたが、一度も鞘を抜かないままその間ほとんど目に見える弛緩を示さなかったあの硬直が再び体に蘇ってきたので、彼は今や陣形を立て直して完全な中央突破を目指して攻めかかりました。彼がつい先程通路の壁面全体を自分のおびただしい芳香性の発出液で濡らしたことで、その作業はかなり容易になりました。そこで私の激しい腰の動きと呼応して彼が突撃の力を一段と強めると、柔らかく滑らかな内壁はついにこの効果的打撃を支え切れず、錠前は破壊されて入口が開きました。そして今や自分の本能と私の懸命な応援に励まされながら、彼は突き通し押し進みながら一インチ一インチと進出を重ねてついに完全に目的を達成し、最後の止めの一撃を加えて鍔元(つばもと)まですっぽり嵌めこんだのでした。

  • 第一信
    ジョン・クレランド=著 中野好之(なかの・よしゆき)=訳 『ファニー・ヒル:一娼婦の手記』 ちくま文庫 1994/06
  • 本書は、中地知夫=訳 『一娼婦の手記——ファニー・ヒル』 田園書房 1969/11 を底本として再刊したもの。「中地知夫」というのは、中野好之氏の偽名らしい。同書および上掲ちくま文庫版の刊行の経緯については、中野氏による、ちくま文庫版の「文庫版あとがき」をご参照ください。

(J6) 伴 1970
[この訳書も抄訳のようです。問題の箇所は訳出されていません。この本は、国会図書館や東京都立図書館(中央・日比谷・多摩)のオンライン蔵書目録には出ていないようです。あたしは札幌市中央図書館の蔵書を取り寄せて閲読しました]

   第九章 浮気の報酬
   ジョン・クレランド=著 伴吉彦=訳
   『カラー版 ファニーヒル』 路書房 1970/07


(J7) 根岸 1969
[不思議な本です。著者名が、表紙にも背にも奥付にも、どこにも記されていません。図書館の蔵書目録には、ジョン・クレランドと記載されていますが。訳者による「序文」や「あとがき」もありません。かわりに、ヌードを含む映画化作品からの写真が、巻頭に多数おさめられています。この訳書も抄訳。問題の箇所は訳出されていません]

   第九章 不倫の報酬
   根岸達夫=訳 『ファニー・ヒル』 浪速書房 1969/10


(J8) 中込 1969
[略]そのままの位置でしばらく休みながら、生まれて初めて経験する悦楽の喜びをかみしめていました。そしてやがて再び起き上がった彼はそのままのすがたであらためて進みはじめました。ところが彼の香りゆたかな潤いのために、今度はとてもらくになりました。しかもわたしの激しい情熱に助けられて彼の力も倍加しましたので、すべりのよい油を塗った錠前が、錠前やぶりのものすごい力に負けてしまうように扉が開きました。

   ジョン・クレランド=著 中込純次(なかごめ・じゅんじ)=訳
   『ファニー・ヒル』 三笠書房 1969/09


(J9) 江藤 1968
[略]はじめて味わいました喜びをくみつくせぬまま、なおじっと立ち去る気配がありません。とうとう元どおりの姿にかえるまでそのままいつづけてしまいました。やがて再起のときがまいりましたが、すでにバルサムの香高い油もぞんぶんにまかれておりますこととて、またそれに加えて、先ほど流された喜びの涙もまだ地をうるおしておりますこととて、こんどばかりはいささかの困難もございません。それで若者はいっそう力を得ましたようで、わたくしもそれに応じて全身を燃やしたのでございます。わずかに香油にひたされた鍵はすべりもよく、たちまちのうちに錠をはずしてしまいます。

   第一の手紙
   ジョン・クレランド=著 江藤潔(えとう・きよし)=訳
   『ファーニィ・ヒル』 角川文庫 1968/12


(J10) 松戸 1951
[目次には「全譯 情婦ヒル」と印刷されていますが、じつはこれも抄訳のようです。問題の箇所は訳出されていません]

  • 一四 悲しき復讐
    ジョン・クリーランド=著 松戸淳(まつど・じゅん)=訳 『情婦ヒル』 紫書房 1951/03
  • 本書を再刊したのが、上の松戸淳=訳 2004/10です。この本を含む刊行当時の発禁本については、ここをご参照ください。

(J11) 原 1951
[まだこの本の実物を見たことがありません]

   クレランド=著 原笙二=訳 『ファニー・ヒル』 美和書院 1951


 Video 
イギリスTVシリーズ ファニー・ヒル—禁断の扉 (2007) 英語音声、スペイン語字幕
Fanny Hill (2007) Sound in English with Spanish subtitles

ジェームズ・ホーズ監督、レベッカ・ナイト主演 Uploaded to YouTube by crayolina21 on 29 Dec 2009. Directed by James Hawes, Starring Rebecca Night


 Audio 
ファニー・ヒル全巻オーディオブック 朗読: チップ
Fanny Hill - Full audiobook read by Chip

下に引用する箇所の朗読は 3:49:42 から始まります。 Uploaded to YouTube by GreatestAudioBooks on 28 Sep 2013. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 3:49:42. .


■英語原文 The original text in English

[Omission] he still kept his post, yet unsated with enjoyment, and solacing in these so new delights; till his stiffness, which had scarce perceptibly remitted, being thoroughly recovered to him, who had not once unsheath'd, he proceeded afresh to cleave and open to himself an entire entry into me, which was not a little made easy to him by the balsamic injection with which he had just plentifully moisten'd the whole internals of the passage. Redoubling, then, the active energy of his thrusts, favoured by the fervid appetite of my motions, the soft oiled wards can no longer stand so effectual a picklock, but yield, and open him an entrance. And now, with conspiring nature, and my industry, strong to aid him, he pierces, penetrates, and at length, winning his way inch by inch, gets entirely in, and finally mighty thrust sheaths it up to the guard [Omission]


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013/10/02 目次を新設し、オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/01/22 原笙二=訳 1951 の書誌情報を追加しました。
  • 2012/01/19 小林章夫=訳 2012/01/10を追加しました。
  • 2010/04/04 YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/04/01 「はじめに」の項を新設しました。また、書誌情報を修正補足し、外部リンクも補足しました。
  • 2009/07/10 「外部リンク」の項を新設しました。また、このブログ記事のタイトルを次のとおり変更しました。
    • 旧題: Fanny Hill by John Cleland ジョン・クレランド『ファニー・ヒル』
    • 新題: Fanny Hill: Memoirs of a Woman of Pleasure by John Cleland ジョン・クレランド / ジョン・クリーランド 『ファニー・ヒル:一娼婦の手記』『情婦ヒル』『ファーニィ・ヒル』
  • 2008/12/30 このブログ記事のタイトルを次のとおり変更しました。
    • 旧題: Fanny Hill ファニー・ヒル by John Cleland ジョン・クレランド
    • 新題: Fanny Hill by John Cleland ジョン・クレランド『ファニー・ヒル』
  • 2006/11/21 及川寛平=訳 2005/10 と中野好之=訳 1994/06 を追加しました。
  • 2006/11/17 根岸達夫=訳 1969/10 を追加しました。
  • 2006/11/07 伴吉彦=訳 1970/07 を追加しました。

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(2) ジョン・「クリーランド」表記のもの

  

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