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November 2006

Thursday, 30 November 2006

Faust: Der Tragödie Erster Teil / Faust: A Tragedy, Part 1, by Johann Wolfgang von Goethe ゲーテ 『ファウスト 第1部』

Faust_und_margarete_1
Image source: Online-Didaktik Deutsch (www.fachdidaktik-einecke.de)


        目次 Table of Contents

■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 和田 2012
  (J2) 荒俣 2011
  (J3) 池内 1999, 2004
  (J4) 柴田 1999, 2003
  (J5) 小西 1998
  (J6) 山下 1992, 2003
  (J7) 井上 1976, 1991
  (J8) 手塚 1964, 1971, etc.
  (J9) 高橋(義)1962, 1967, etc.
  (J10) 久保 1962
  (J11) 大山 1960, 1964, etc.
  (J12) 相良 1958, 1960, etc.
  (J13) 高橋(健)1951, 1989
  (J14) 阿部 1937, 1947
  (J15) 文藝社編輯部 1929
  (J16) 森 1913, 1928, etc.
  (J17) 高橋(五)1904
  (J18) その他
■ゲーテ作品の北東アジアにおける受容
■ロシア語訳 Translation into Russian
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 1  英語版朗読 Audiobook of the English translation by Bayard Taylor
■英訳 Translations into English
  (E1) Taylor, 1935, 2012
  (E2) Swanwick, 1913
  (E3) Brooks, 1868
 Audio 2  ドイツ語原文朗読 Audiobook of the original German text
■ドイツ語原文 The original text in German
■更新履歴 Change log


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

浮士德:
  唉,真是难熬,
  难道一小时也不能安逸地偎在你的怀抱,
  使咱们的胸口相连,心灵相照?

玛嘉丽特:
  哦,但愿我是一个人独寝!
  今夜我定为你打开房门;
  可是我妈妈睡眠不稳,
  要是我们被她碰见,
  我立即没有性命!

浮士德:
  我的天使,这没啥要紧。
  我这儿有个小瓶!
  你只消拌和三滴让她倾饮,
  她便一觉睡到天明。

玛嘉丽特:
  我为你还有什么不依?
  但愿这药水不致于伤她的身体!

浮士德:
  我的爱人,难道有害的东西我敢奉进?

  • 歌德 《浮士德》 悲剧 第一部 玛尔特的花园
  • E-text at 歌德作品集

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 和田 2012
ファウスト:
  ああ僕には、ほんの1時間でもいいから時間を気にせずに、君をこの胸に
  抱きしめて、胸と胸、心と心をぶつけあうことが許されないのか?
     ☆要するにセックスしたいと言っているのである。

マルガレーテ:
  私が一人で寝るのならいいのだけど! 出来れば今夜にでも、寝室を
  閉めないでおきたいのだけど、私の母の眠りは深くないのよ。若し私達が
  二人でいるところを母に見つかってしまったら、私はその場で死んで
  しまいたいわ。
     ☆マルガレーテも母さえいなければファウストを受け入れると言う。

ファウスト:
  ねえ、君、そんなことは難しくないよ。ここに小壜がある*。お母さんの
  飲み物にほんの3滴**もたらせば、彼女はぐっすりと眠ってしまうよ。
     * 小壜がある  ファウストは母親を眠らせて、マルガレーテと密会すべく、予め用意して
         いたことを示す。
     ** ほんの3滴  母親を眠らせるには3滴で十分であるという意味であるが、3滴以上は
         いけないという警告の意味もある。このことは後で母親を死なせてしまうことに
         繋がる。

マルガレーテ:
  あなたの為ならなんでもするわ。でも毒になるようなことはないのでしょうね?

ファウスト:
  そうでなければ、これを使えなどと言わないよ。

  • J.W.v.ゲーテ=作 和田孝三(わだ・こうぞう)=訳 『ファウスト』 創英社/三省堂書店 2012/10/29
  • ☆は訳者による解説。*は訳者による注。

(J2) 荒俣 2011
ファウスト:
  せめてあと小一時間でも——そのくらいの時間すらないのかい——いま
  いちど、きみの乳房を喜びとともに愛撫し、ぼくの心と気味の心とを
  繋ぎたいよ。

マーガレット:
  ああ、わたしに自分の寝室があったなら! ひとりでベッドに寝る
  ことができるなら、今夜も、喜んでドアを開けたままにしておくわ。
  でも今はダメね。母はすぐに起きてしまうのよ。あなたを見つけたら、
  その場でわたし、殺されちゃうかも。

ファウスト:
  親愛なる天使よ、おびえることはないさ。このガラスの小ビンをもって
  おいき。三滴だけ、おかあさんの飲み物にたらしてみるんだ——たちまち
  深い眠りの世界におちてしまうよ。

マーガレット:
  わたしに、あなたを拒むことなんてできないわ。何でもおっしゃる
  とおりにします。でも、まさか、身体に毒になるようなことは?

ファウスト:
  まさか。もしそんな恐れが少しでもあれば、ぼくがすすめるはずがないだろう?

  • ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ=作 ハリー・クラーク=挿画 荒俣宏(あらまた・ひろし)=訳 『ファウスト』 新書館 2011/10/01
  • この本は次の英訳版からの重訳: Faust. From the German of John Anster. Illustrated by Harry Clarke. George G. Harrap, London. 1925. Quoto.

(J3) 池内 1999, 2004
ファウスト:
  もうちょっと、この乳房(おちち)を抱いていたいよ。胸と胸と、心と心を
  ぶつけていたいじゃないか。

マルガレーテ:
  自分の部屋があったらいいのに! ひとりで寝ているんだったら今夜だって
  戸口の鍵をあけておくわ。でも、母さんがわきで寝ている。母さんはすぐに
  目をさますの。見つかったら、その場でわたし殺されるわ!

ファウスト:
  簡単だ。いいね、この小瓶から三滴ばかり、飲物に垂らしておく。すると
  ぐっすりおやすみだ。

マルガレーテ:
  あなたのためなら何だってするわ。でも、からだに悪いことはないんで
  しょうね。

ファウスト:
  それなら、すすめるものか。

  • ヨハーン・ヴォルフガング・ゲーテ=作 池内紀=訳 『ファウスト 第1部』 集英社(単行本 1999/10|文庫 2004/05)

(J4) 柴田 1999, 2003
ファウスト:
  ああ いったい いつになったら
  ただの一時間でいい 時間を気にせずお前と寄り添い
  胸と胸 心と心とで求め合えるのだろう?

マルガレーテ:
  ああ 私がひとりで寝るのだったらねえ!
  本当はあなたのために 今晩にだって閂(かんぬき)を開けて置きたい
  けれど母さんは眠りが浅いたちなの
  もし あなたと一緒のところを見つかりでもしたら
  私その場で死んでしまうわ!

ファウスト:
  ねえお前 そんなこと何でもありはしない。
  ほら、この小さな瓶から たった三滴
  母さんのお飲物にたらして置きさえすれば
  気持よくぐっすり眠って 決してお眼を覚ましたりなど されはしない。

マルガレーテ:
  私 あなたのためになら何だってすることよ。
  これ 母さんに毒にならないといいのだけれど。

ファウスト:
  毒をお前に使わせると思うのかい?

  • J・W・ゲーテ=作 柴田翔(しばた・しょう)=訳 『ファウスト』 講談社(単行本1999/09|文庫(上) 2003/01)

(J5) 小西 1998
ファウスト:
  ああ、せめて
  ひと時、ゆっくりきみを抱きしめて
  胸と胸、心と心を思いっきりぶっつけ合えないかね?

マルガレーテ:
  ああ 寝るときだけでも、あたし一人でいられたら!
  今夜にでも掛け金をはずしておけますのに。
  母は、とても目ざといほうですの、
  もし、見つかったりしたら
  あたし、その場で死んでしまうわ、きっと!

ファウスト:
  かわいい人、そんなことなら心配はいらない。
  この小瓶をあげる! ほんの少滴ほど
  飲み物に混ぜてさしあげれば
  お母さんは、気持ちよくぐっすりお眠りになれるんだ。

マルガレーテ:
  あなたのために、何かいやだと言ったことありまして?
  もしかして、からだに障るようなことっは、まさか!

ファウスト:
  そんなものをぼくが奨(すす)めると思うかい?

  • ゲーテ=作  小西悟(こにし・さとる)=訳 『ファウスト』 大月書店 1998/08

(J6) 山下 1992, 2003
ファウスト:
  ああ、ぼくはほんの小一時間でも
  君のやさしい胸ふところに身も心も休めて、
  胸と胸、心と心を触れあわすことができないのか?

マルガレーテ:
  ああ あたしがいつも一人きりで寝(やす)むのでしたらね!
  でしたら、今夜にも錠をあけっぱなしにしておくんですけど。
  でも、うちの母は眠りが浅くて、目ざといんですの。
  万一母に見つかりでもしたら、
  あたし、その場ですぐ死んでしまいます!

ファウスト:
  ねえ君、そんなことなら別に苦労はないさ。
  ここに小壜があるんだ! これをほんの三滴でも
  母さんの飲みつけのものにたらしておけば、
  いい気持でぐっすり眠って、何も気がつきはしないよ。

マルガレーテ:
  あたし、あなたのためなら、何だって。
  でも、まさか毒にはならないんでしょうね!

ファウスト:
  そんな、ぼくがそんなもの君に勧めるものか。


(J7) 井上 1976, 1991
ファウスト:
  ああ、せめてほんのちょっとの時間でも、
  ゆっくり、きみのふところに寄り添って、
  胸と胸、心と心をぴったり合わせることができないものだろうか?

マルガレーテ:
  ああ あたくしがひとりだけで寝(やす)むんでしたら!
  今夜、掛金をはずしておきたいんですけれど。
  でも、母がすぐ目をさますんですの。
  もし、見つかりでもしたら
  あたくし、もう生きていられません!

ファウスト:
  ねえ、そんなことなら心配はないよ。
  ここに瓶がある! ほんの三滴ばかり
  お母さんの飲物のなかに垂らせば、
  気持よく、ぐっすり眠り込んでしまうよ。

マルガレーテ:
  あなたのためですもの、あたくし、なんでもしますわ!
  でも、まさか毒にはならないでしょうね?

ファウスト:
  毒になるものを、ぼくがすすめたりするだろうか?


(J8) 手塚 1964, 1971, etc.
ファウスト:
  ああ、ただの一時間も、
  やさしいおまえのふところにやすらって、
  胸と胸、心と心を触れあわすことはできないのか。

マルガレーテ:
  ああ、わたし、いつもひとりで寝(やす)むのだったら!
  それなら、わたし今夜錠をかけないでおくのだけれど。
  でも、お母さんは眼ざといんですの。
  もし見つかりでもしようものなら、
  わたし、その場で死んでしまうわ。

ファウスト:
  おまえ、そのことならわけはないよ。
  さあ、この小壜(こびん)だ。ほんの三滴、
  お母さんが飲みつけているものの中へたらしておけば、
  いい気持にぐっすり寝こんで、なにもかもわからなくなるんだ。

マルガレーテ:
  あなたのためなら、わたしどんなことでもします。
  けれど、毒にはならないでしょうね。

ファウスト:
  毒になるようなものを、ぼくがおまえにすすめると思うの。


(J9) 高橋(義)1962, 1967, etc.
ファウスト:
  なんだ、ただの一時間でも、
  ゆっくりと君の胸に縋って、
  胸と胸、心と心を触れ合せていられないのか。

マルガレーテ:
  ほんとにねえ、あたし、ひとりで寝るのならいいんだけれど。
  そうしたら今夜だって錠を下ろさずにおくんだけれど。
  でも、お母さんはすぐ目を覚ますんですもの。
  もしあたしたちが一緒にいるところを見つかったら、
  あたし、その場で死んでしまうわ。

ファウスト:
  そのことなら大丈夫だ。
  この瓶(びん)の中の薬、たった三滴、
  お母さんの飲み物の中へたらしておけば、
  いい気持でぐっすり眠ってしまうのだ。

マルガレーテ:
  やれとおっしゃれば、あたし、なんでもします。
  だけれど、もしものことでもあったら。

ファウスト:
  障(さわ)りになるようなものを誰がすすめるものか。


(J10) 久保 1962
ファウスト:
  ああ、せめて
  一時間でもおまえのそばを離れずに、
  胸と胸を、心と心を通わせてはいられないのか?

マルガレーテ:
  ああ、あたしが、独りで寝るんだったら!
  今夜、鍵をかけずに置くんだけれど、
  でもお母さんが眼ざといんですもの、
  お母さんにみつかりでもしたら、
  あたし、その場で死んでしまうわ!

ファウスト:
  ねえ、おまえ、そんなことなら訳はないよ。
  ここに小さな壜がある! これを三滴(みた)らし
  飲みもののなかに垂らしておけば
  正体もなく深い眠(ねむ)りに落ちてしまうさ。

マルガレーテ:
  あなたのためなら、あたし何んでもしますわ。
  このお薬、まさか毒ではないでしょうね?

ファウスト:
  毒なら、おまえに勧めるものか。


(J11) 大山 1960, 1964, etc.
ファウスト:
  ああ、ただの一時間も
  ゆっくりとおまえのふところに寄りすがって、
  胸と胸、心と心をふれあわすことができないのか。

マルガレーテ:
  ええ、わたしがひとりで休むのでしたら、
  今夜にもそっと掛け金をはずしておくわ。
  でも、母はすぐと目をさますんですもの。
  ひょっとして母にでも見つかったら、
  わたし、とても生きていられないわ。

ファウスト:
  それは、おまえ、べつに造作はないよ。
  この薬びんを持ってゆきたまえ。お母さんの飲むものに
  そっと三滴だけ落しておけば、
  おかあさんの飲み物の中にたらすと、
  いい気持でぐっすり寝てしまうのだ。

マルガレーテ:
  あんたのためですもの、どんなことでもしてよ。
  でも、毒にはならないわね。

ファウスト:
  毒になるなら、どうしてぼくがすすめるものか。


(J12) 相良 1958, 1960, etc.
ファウスト:
  ああ、ただの小(こ)一時間でもいい、
  ゆっくりとお前のふところに寄り縋(すが)って、
  胸と胸、心と心を触(ふ)れ合わせることはできないのかな。

マルガレーテ:
  わたし、たったひとりでやすむんだといいんだけれど。
  そうすれば今夜掛金(かけがね)をはずしておいてあげるのに。
  お母さんは眠りが浅いでしょう、
  見つけられでもしたら、
  わたしその場で死んでしまうわ。

ファウスト:
  それはお前、別にむずかしいことはないよ。
  ここに小さな瓶(びん)がある。ただ三滴(さんてき)だけ、
  お母さんの飲物の中へたらすと、
  いい気持でぐっすりと眠ってしまうんだがね。

マルガレーテ:
  あなたのためなら、わたし何だってしてよ。
  まさかお母さんの毒にはならないでしょう。

ファウスト:
  そりゃ、毒になるようなことを勧(すす)めるものか。


(J13) 高橋(健)1951, 1989
ファウスト:
  ああ、ほんの小一時間でも
  落ち着いておまえの胸にすがり、
  胸と胸、心と心をかよわせることはできないかなあ?

マルガレーテ:
  ああ、わたしひとりだけで寝るのですと!
  今晩かけがねをはずしておくんですけど。
  うちのおかあさんはぐっすりは眠りませんの。
  おかあさんに、見つけられでもしたら、
  わたしその場で死んでしまいますわ!

ファウスト:
  ねえ、おまえ、それはなんでもないよ。
  ここに小さいビンがあるがね、これを三滴だけ、
  おかあさんの飲み物の中にたらすと、
  いい気もちでぐっすり眠りこんでしまうんだよ。

マルガレーテ:
  あんたのためなら、わたしなんでもしますわ。
  毒にはならないでしょうね!

ファウスト:
  毒になるようなら、おまえにすすめなんかしないよ。


(J14) 阿部 1937, 1947
フアウスト:
  あゝ。ほんの一時間でも
  落着いてお前の胸に縋って、
  胸と胸、魂と魂とを寄せ合ふ出來ないのかなあ?

マルガレーテ:
  あゝ、私が一人で寢むのでさへあったら!
  私は貴君のために、今夜、喜んで掛金を外して置くのだけれど。
  かあさんはすぐ眼を醒ますせう——
  私達がかあさんに見附かりでもしようもんなら、
  私、すぐその場で死んでしまふわ!

フアウスト:
  天使さん。それはなんでももないことだ。
  此處に小さい瓶がある! たった三滴だけ
  飲みなさる物の中に入れゝば、
  いゝ心持に、正體なく、熟睡なさるのだ。

マルガレーテ:
  貴君のためなら、何だっていやといふものですか?
  どうぞかあさんの毒になりませんやうに!

フアウスト:
  可哀い子よ、毒になるやうなことを僕がお前にさせるものか。

  • 阿部次郎=訳 「ファウスト(第1部)」
  • 引用は b. 改造社版 1937 に拠りました。a. 國立書院版も仮名遣いの細部などを除けば b. とほぼ同文。

(J15) 文藝社編輯部 1929
フアウスト:
  あゝ暫らくの間でいゝから、心置きなくお前の側へ寢かしてくれないか。
  心と心、胸と胸とを着けたいものだ。

マルガレエテ
  まあ、妾(わたし)獨(ひと)りですと、今夜戸締(とじま)りをしないでおく
  ことは御安いことですが。女は夜中うと/\してゐますから、目付かつたら
  大變(たいへん)ですわ。

フアウスト
  それなら心配(しんぱい)はいらないよ。此の瓶(びん)を御覧(ごらん)。
  二三滴(てき)お母さんの御飯に落しておけば、うまくぐつすり寢(ね)て
  起きつこなしだよ。

[以下の数行は訳出されていません]

  • ゲーテ=著 文藝社編輯部=編著 『フアウスト』 世界文藝叢書 3 文藝社 定價參拾錢 1929/10/05(昭和4) 国立国会図書館デジタル化資料 
  • 原文にはない「フアウスト」「マルガレエテ」などの話者の表示を追加しました。また、起の旧字を新字で置き換えました。

(J16) 森 1913, 1928, etc.
フアウスト:
  あゝ。只の一時間も
  落ち著いてお前と一しよになつてゐて、
  胸と胸、心と心の通ふやうには出来ないのかなあ。

マルガレエテ:
  えゝ。それはわたくし一人で休むのですと、
  今晩錠を掛けないで置くのですが、
  母(か)あ様がすぐ目を醒ますんですもの。
  ひよつとに、母(か)あ様に見附からうもんなら、
  わたくしその場で死んでしまつてよ。

フアウスト:
  それか。それは造做もない事だ。
  こゝに瓶(びん)があるがな、此藥を三滴
  不斷飲みなさる物の中へ入れゝば、
  好い心持に寐て、何も分からなくなるのだ。

マルガレエテ:
  それはあなたの爲(ため)ですもの、なんでもしてよ。
  毒になりやしませんでせうね。

フアウスト:
  毒になるやうなものなら、己がしろと云うものか。

  • 森林太郎 / 森鴎外=訳 「ファウスト」 「フアウスト」
  • 引用は b. 岩波書店版全集 1972 に拠りました。

(J17) 高橋(五)1904
(ファウ、)
  嗚呼我は一小時間だも、
  卿(きみ)が懐(ふところ)に安んじ温まる能はざる乎、
  胸と胸、心と心、暫く相接するを得ざる乎!

(マーガ、)
  嗚呼わらは唯獨り寐(いね)たらば〔嬉しからんに〕!
  今夜わらは君が爲に肯て鎖(じよう)を開(あけ)れかん、
  然(しか)し妾(わらは)が母は甚だ目ざとし、
  若し我々母に看つけられたらんには、
  妾は即座に忽ち死せん而已!

(ファウ、)
  〓は毫も困難事にあらず、天女よ!
  茲に小藥瓶あり—僅かに之が三滴は、
  彼女の飲物(のみもの)の中にありてや、
  熟睡を以って快よく彼女の身體(からだ)を包まん。

(マーガ、)
  君の爲とし云えば妾何事をか爲(なさ)ざらんや、
  是(こ)れ望むらくは母に害を及ぼさゞるべき乎。

(ファウ、)
  最愛者よ! 然らずば卿に开を我勸むべけんや。

  • ゲーテ=著 高橋五郎=訳
  • b. はファウスト第1部の訳としては本邦初訳。a. は b. の全ページのスキャン画像を掲載したもの。上の引用は a. を私 tomoki y. が見ながら打ち出したしたものです。誤読など、お気づきの点がありましたらご指摘ください。

(J18) その他
以上のほかにも、おびただしい数の「ファウスト」邦訳版が出ています。上に引用した箇所を収載する「第1部」に限って挙げると、たとえばつぎのようなものがあります。


■日本語による注釈書

「ファウスト」については、訳書のほかに注釈書も多数出ています。うち、とくに1冊だけを挙げておきます。青木昌吉氏による下の本は「ファウスト」1作品だけを取りあげて、日本語で書かれた注釈書のうち、今日まで伝わるものの中では、最も古い部類に属するようです。

   青木昌吉=編『ファウスト註解』郁文堂書店 1946(初版は1928年か?)
   京都府立図書館蔵書 三康図書館蔵書


■ゲーテ作品の北東アジアにおける受容

日本語・韓国語・中国語におけるゲーテの翻訳・紹介・研究の文献に関する詳細な
リストが、上智大学文学部ドイツ文学科 名誉教授・上智大学ドイツ語圏文化研究所
名誉所員・木村直司氏による、つぎのサイトに掲載されています。

   I.ゲーテの日本語訳作品
   (Goethes Werke in japanischer Uebersetzung)
   木村直司+今村武=編
   Zusammengestellt von Prof. Naoji Kimura und Dr. Takeshi Imamura
   アジアにおけるゲーテ受容
   Goethe-Rezeption in Asien
   --日本語・韓国語・中国語のゲーテ文献--
   - Goethe-Literatur in japanischer, koreanischer und chinesicher
   Sprache -
   (Stand: Oktober 1999)


■ロシア語訳 Translation into Russian

Фауст
  Хоть раз нельзя ли без боязни
  Побыть часочек мне с тобой
  Грудь с грудью и душа с душой?

Маргарита
  Ax, если б я спала одна,
  Сегодня ночью, веришь слову,
  Я б не задвинула засова.
  Но рядом дремлет мать вполсна.
  Когда бы нас она застала,
  Я б тут же замертво упала!

Фауст
  О, вздор! Вот с каплями флакон.
  Немного их накапай в воду,
  Дай выпить ей, и до восхода
  Ее охватит крепкий сон.

Маргарита
  Ты у меня не знал отказа.
  А эти капли без вреда?

Фауст
  Я б не дал их тебе тогда.

   Иоганн Гете. Фауст
   Translated by Борис Пастернак (Boris Pasternak)
   М.: Государственное издательство художественной литературы, 1960.
   E-text at Lib.Ru


■イタリア語訳 Translation into Italian

FAUST.
  Deh, non potrò io mai riposarmi una breve ora con te; stringere
  il mio cuore al tuo cuore; mescere anima con anima?

MARGHERITA.
  Ah, s'io dormissi pur sola, io ti vorrei lasciar aperto l'uscio stanotte.
  Ma mia madre ha il sonno sì sottile; e s'ella ci avesse a cogliere,
  io cascherei morta sul fatto.

FAUST.
  Non vi è pericolo, mio bell'angelo! Togli quest'ampolletta;
  e sol tre gocciole che gliene mesci nella sua bevanda,
  la sommergeranno in un placido e profondo sonno.

MARGHERITA.
  Che non farei per l'amor tuo! Non le può far danno, non è vero?

FAUST.
  Cuor mio, vorrei io proportelo se potesse?

   Faust by Johann Wolfgang von Goethe
   Translated by Scalvini, Giovita e Gazzino, Giuseppe
   E-text at www.liberliber.it [pdf]


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

FAUSTO
  O que eu dera, Margarida,
  por poder, uma hora, uma só hora,
  passar contigo descansado! unidos
  peito a peito! alma a alma!

MARGARIDA
  Tu bem sabes
  que não durmo sozinha. Eu, por meu gosto,
  deixava-te ficar já hoje a porta
  fechada em falso, e então... Mas a mãezinha
  tem o sono tão leve! E se ela fosse
  dar connosco, eu morria de repente.

FAUSTO
  Para isso, meu anjo, há bom remédio.
  Toma este vidro! basta que lhe lances
  três gotas na bebida, e adormeceu-ta
  a bom levar: nenhum rumor ta esperta.

MARGARIDA
  Desejas, cumpro. Esta água, já se sabe,
  não pode fazer mal...

FAUSTO
  Pois, se o pudesse,
  eu dava-ta, querida?

   Fausto by Johann Wolfgang von Goethe
   Translated by António Feliciano de Castilho
   E-text at eBookLibris


■スペイン語訳 Translation into Spanish

FAUSTO
  ¡Ah! ¿No podré yo jamás, durante una horita, reposar, tranquilo
  en tu seno, oprimir pecho contra pecho y penetrar el alma en el alma?

MARGARITA
  ¡Ah! ¡si tan siquiera durmiese sola! De buen grado te dejaría
  descorrido el cerrojo esta noche, pero mi madre tiene el sueño ligero,
  y si nos sorprendiese, yo moriría al punto allí mismo.

FAUSTO
  No hay cuidado, ángel mío. Toma este pomito. Tres gotas tan sólo
  en su bebida sumen plácidamente la naturaleza en profundo sueño.

MARGARITA
  ¿Qué no haría yo por ti? Espero que eso no la dañará.

FAUSTO
  De no ser así, ¿te lo aconsejara yo, amor mío?

   Fausto, El Jardin de Marta
   by Johann Wolfgang von Goethe
   E-text at Scribd


■フランス語訳 Translation into French

FAUST:
  Ah! ne pourrai-je jamais reposer une seule heure contre ton sein...
  presser mon cœur contre ton cœur, et mêler mon âme à ton âme ? '

MARGUERITE:
  Si seulement je couchais seule, je laisserais volontiers ce soir les
  verrous ouverts ; mais ma mère ne dort point profondément ; et si
  elle nous surprenait, je tomberais morte à l'instant.

FAUST:
  Mon ange, cela n'arrivera point. Voici Un petit flacon; deux gouttes
  seulement versées dans sa boisson l'endormiront aisément d'un
  profond sommeil.

MARGUERITE:
  Que ne fais-je pas pour toi! Il n'y a rien là qui puisse lui faire mal ?

FAUST:
  Sans cela, te le conseillerais-je, ma bien-aimée ?

   Faust, Première partie, by Johann Wolfgang von Goethe
   Translation by Gérard de Nerval
   Édition de 1877 (Garnier)
   E-text at Wikisource

疑問:「三滴」のはずが、「二滴」deux gouttes に減っている。のこりの一滴は、どこへいってしまったのだろう。マルガレーテが自分で飲む? まさか。このフランス語版だけ薬の分量が変えて訳してある、なにか特別の理由があるのかしら。ご存じの方、お教えください。- tomoki y.


 Audio 1 
英語版オーディオブック(ベイヤード・テイラー訳)
Audiobook of the English translation by Bayard Taylor

下に引用する箇所の朗読は 3:14:01 から始まります。 Uploaded to YouTube by GreatestAudioBooks on 20 Aug 2013. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 3:14:01.


■英訳 Translations into English

(E1) Taylor, 1935, 2012
FAUST
  Ah, shall there never be
  A quiet hour, to see us fondly plighted,
  With breast to breast, and soul to soul united?

MARGARET
  Ah, if I only slept alone!
  I'd draw the bolts to-night, for thy desire;
  But mother's sleep so light has grown,
  And if we were discovered by her,
  'Twould be my death upon the spot!

FAUST
  Thou angel, fear it not!
  Here is a phial: in her drink
  But three drops of it measure,
  And deepest sleep will on her senses sink.

MARGARET
  What would I not, to give thee pleasure?
  It will not harm her, when one tries it?

FAUST
  If 'twould, my love, would I advise it?

   Faust by Johann Wolfgang Von Goethe
   Illustrated by Harry Clarke. Translated by Bayard Taylor
   Three Sirens Press, 1935. Free Kindle edition, 2012
   E-text at Project Gutenberg


(E2) Swanwick, 1913
FAUST:
  For one brief hour then may I never rest,
  And heart to heart, and soul to soul be pressed?

MARGARET:
  Ah, if I slept alone! Tonight
  The bolt I fain would leave undrawn for thee;
  But then my mother's sleep is light,
  Were we surprised by her, ah me!
  Upon the spot I should be dead.

FAUST:
  Dear angel! there's no cause for dread.
  Here is a little phial--if she take
  Mixed in her drink three drops, 'twill steep
  Her nature in a deep and soothing sleep.

MARGARET:
  What do I not for thy dear sake!
  To her it will not harmful prove?

FAUST:
  Should I advise it else, sweet love?


(E3) Brooks, 1868
Faust.
  Ah, can I ne'er recline One little hour upon thy bosom,
  pressing My heart to thine and all my soul confessing?

Margaret.
  Ah, if my chamber were alone,
  This night the bolt should give thee free admission;
  But mother wakes at every tone,
  And if she had the least suspicion,
  Heavens! I should die upon the spot!

Faust.
  Thou angel, need of that there's not.
  Here is a flask! Three drops alone
  Mix with her drink, and nature
  Into a deep and pleasant sleep is thrown.

Margaret.
  Refuse thee, what can I, poor creature? I hope, of course, it will not harm her!

Faust.
  Would I advise it then, my charmer?

  • Martha's Garden. Faust, A Tragedy, by Johann Wolfgang von Goethe. Translated by Charles T. Brooks. Seventh Edition. Boston Ticknor and Fields, 1868.
  • E-text at:

 Audio 2 
ドイツ語原文朗読 Audiobook of the original German text

下に引用する箇所の朗読は 1:24:58 から始まります。 Uploaded to YouTube by AnchisHSP on 4 May 2012. Reading of the excerpt below starts at 1:24:58.


■ドイツ語原文 The original text in German

Faust:
  Ach kann ich nie Ein Stündchen ruhig dir am Busen hängen
  Und Brust an Brust und Seel in Seele drängen?

Margarete:
  Ach wenn ich nur alleine schlief!
  Ich ließ dir gern heut nacht den Riegel offen;
  Doch meine Mutter schläft nicht tief,
  Und würden wir von ihr betroffen,
  Ich wär gleich auf der Stelle tot!

Faust:
  Du Engel, das hat keine Not.
  Hier ist ein Fläschchen!
  Drei Tropfen nur In ihren Trank umhüllen
  Mit tiefem Schlaf gefällig die Natur.

Margarete:
  Was tu ich nicht um deinetwillen?
  Es wird ihr hoffentlich nicht schaden!

Faust:
  Würd ich sonst, Liebchen, dir es raten?


■更新履歴 Change log

  • 2015/02/23 和田孝三=訳 2012/10/29 を追加しました。
  • 2013/08/25 目次を新設し、文藝社編輯部=訳 1929 と Bayard Taylor による英訳を追加しました。また、Taylor 訳に基づく英語版オーディオブックとドイツ語原文オーディオブックの2つの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/06/09 ロシア語訳、ポルトガル語訳、イタリア語訳、およびスペイン語訳を追加しました。
  • 2011/11/05 荒俣宏=訳 2011/10/01 を追加しました。また、高橋五郎=訳 1904/08 の文中の、これまで入力方法がわからなかった漢字「开」を入力しました。
  • 2011/06/22 Charles T. Brooks による英訳を追加しました。また、ブログ記事のタイトルにドイツ語表記を挿入するなどして、つぎのとおり変更しました。
    • 旧題: Faust, Part 1, by Johann Wolfgang von Goethe ゲーテ『ファウスト 第1部』
    • 新題: Faust: Der Tragödie Erster Teil / Faust: A Tragedy, Part 1, by Johann Wolfgang von Goethe ゲーテ 『ファウスト 第1部』
  • 2008/06/27 小西悟=訳 1998/08 を追加しました。
  • 2007/03/02 阿部次郎=訳 1937/11 を追加しました。また、 これまで日本語訳の項に含めていた「日本語による注釈書」を、別立ての項として新設しました。
  • 2006/12/13 邦訳版の一つとして、これまで挙げておりました次の本ををリストから削除しました。
    • 越塚信行(こしづか・のぶゆき)=訳 『ゲーテ・ファウスト第1部—解説と注釈』 郁文堂(初版 1974/09|再版(?) 1981)
    • この本が邦訳だと思っていたのは私の勘違いでした。実物にあたるまで、副題を知らなかったのですが、上の副題から察せられるように、この本は訳書ではなく、解説書/注釈書です。
  • 2006/12/08 久保栄=訳 1962/04/25 を追加しました。また、日本語訳の配列を修正しました。おおむね出版年月の新しい→古いの順に並べたつもりです。けれども、初訳の版を確認できていないものも、いくつか含まれているので、完全に新→旧の順には、なっていないかもしれません。
  • 2006/12/05 手塚富雄=訳 1960/07 を追加し、書誌情報を修正・補足しました。
  • 2006/12/03 フランス語訳についての「疑問」を追記しました。
  • 2006/12/02 山下肇=訳 1992/06、森林太郎=訳 1972/10、大山定一=訳 1972/01、高橋義孝=訳 1971/03、および相良守峯=訳 1958/01 を追加しました。また、書誌情報を修正・補足しました。

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Wednesday, 29 November 2006

The Rich Boy by F. Scott Fitzgerald フィッツジェラルド / フィツジェラルド 「お坊ちゃん」「リッチ・ボーイ」「金持ち階級の青年」「金持の御曹子」「金持の青年」「富豪青年」

        目次 Table of Contents

 Trivia Quiz  トリヴィア・クイズ
■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese
  (Zh1) 陆琼 2010
  (Zh2) 張力慧 2005
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 小川 2008
  (J2) 佐伯 1992
  (J3) 沼澤 1990
  (J4) 野崎 1990
  (J5) 村上 1988, 1991
  (J6) 宮本 1981
  (J7) 野崎 1961, 1964
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
■ドイツ語訳 Translation into German
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
 Video 1  メイキング映像—ホセ・ルイス・アグレダ挿絵のスペイン語版「リッチ・ボーイ」
       Making of El Joven Rico illustrated by José Luis Ágreda
■スペイン語訳(部分) Translations into Spanish (fragments)
  (Es1)
  (Es2)
■フランス語訳(部分) Translation into French (fragments)
 Video 2 
「リッチ・ボーイ」——冒頭部分の朗読
       The Rich Boy: Reading of the opening sentences
■英語原文 The original text in English
■「フィッツジェラルド」か「フィツジェラルド」か?——著者名の日本語表記
 Transliteration variations of "Fitzgerald" in Japanese
■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
■更新履歴 Change log


 Trivia Quiz 
トリヴィア・クイズ
Scottzelda
Image source: The Barcelona Review

SCOTT & ZELDA FITZGERALD QUIZ

1. F. Scott Fitzgerald and Zelda Sayre met . . .
 F・スコット・フィッツジェラルドとゼルダ・セイヤーが初めて会ったのは?

  a. at a party at Princeton University
    プリンストン大学のパーティで
  b. in Zelda's hometown of Montgomery, Alabama
    ゼルダの故郷アラバマ州モンゴメリーで
  c. at a country club in St. Paul, Minnesota
    ミネソタ州セントポールのカントリークラブで
  d. through a mutual friend in New York
    ニューヨークにいる共通の友人を通じて

For the rest of the questions and answers, go to The Barcelona Review website.
正解とほかのクイズは The Barcelona Review にあります。


■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh1) 陆琼 2010
让我来告诉你们富人的事情吧。他们与你我不同,他们早就拥有财富,自得其乐,这对他们有些影响,我们感到坚硬之处,他们却觉得柔软无比,我们深信不疑的东西,他们却冷嘲热讽。从某种程度上说,除非你生于富豪之门,否则这是很难理解的。他们在内心深处认为,他们优于我们,因为我们不得不自己寻找生活补偿、谋求生路。即使他们深入到我们的世界,落魄到不如我们的境地,他们还是认为自己比我们优越。他们与我们不同。

   〈富家子弟〉 作者: 菲茨杰拉德 译者: 陆琼
   《永恒之恋:菲茨杰拉德文萃》 东方出版社 2010-07-01
   E-text at 百度 贴吧


(Zh2) 張力慧 2005
让我来告诉你吧。这些富裕得非同一般的人,他们与你我不一样。他们从小就拥有和享受,这在某种程度上塑造了他们的性格:在我们坚韧的地方他们软弱,在我们深信不疑的地方他们玩世不恭,以一种不是生来就富有的人难以理解的方式。在他们的心灵深处,他们觉得比我们优越,因为我们必须自己去寻找生活的补偿和庇护。即使深深地陷入了我们的世界,甚至沦落到比我们还不如的地步,他们仍旧觉得高人一等。他们是不一样的。

   〈富家公子〉 作者: 菲茨杰拉德 译者: 张力慧
   《疯狂星期日:菲茨杰拉德中短篇小说选》 上海译文出版社 2005-07-01
   Excerpt at 百蹊助学 (Baixi.org)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小川 2008
大金持ちともなると、もはや人種が違うとしか言いようがない。若いうちから何一つ不自由がないので、人間の質が違っている。世知辛(せちがら)くはない。鷹揚(おうよう)だ。お人好しではない。うがった見方をする。というような品性は、もともと金持ちに生まれた者でなければ、容易に見てとれるものではない。自力で算段せざるを得なかった連中よりも上等だ、と心の奥では思っているだろう。世間並み、あるいはそれ以下に、ずぶずぶ沈み込むことがあったとしても、まだ優越感を捨てられない。やはり出来が違うのだ。

   フィッツジェラルド=著 小川高義(おがわ・たかよし)=訳
   「お坊ちゃん」
   『若者はみな悲しい』 光文社古典新訳文庫 2008-12-20


(J2) 佐伯 1992
とびきりの大金持ちについて言わせてもらうと、やっこさんたちは、ぼくらとはそもそもモノがちがう。幼いうちからいろいろなものをわがものにし、楽しむから、その経験が血となり肉となり、ぼくらならきつく出るところを柔らかく、ぼくらが素直になるところで冷笑をもらすようになるわけだ。そのあたりの微妙な呼吸は、生まれながらの金持ちでなければとうていのみこめない。金持ち連中は心の奥底では、コンプレックスを拭い去ってくれるものだとか逃避の手段を自力で見出さねばならなかったぼくらよりも、自分たちのほうが上等だと思っている。連中がぼくらの世界に深くとけこんだとしても、あるいはぼくら以下のレベルにおちぶれたとしても、自分たちのほうが上等だという考えは変わらないだろう。とにかくかれらは別世界の住人なのだ。

   フィッツジェラルド=作 佐伯泰樹(さえき・やすき)=訳
   「金持ち階級の青年」
   佐伯泰樹=編訳 『フィッツジェラルド短篇集』 岩波文庫 1992-04


(J3) 沼澤 1990
一言言っておこう。大富豪という連中は、君やぼくとは人種が違う。彼らは早いうちに物持ちになり楽しみを知る。それが何らかの作用を起こし、おかげで彼らはぼくらがきついところでは柔らかくなり、ぼくらがお人好しのところでは冷笑的になる。この辺の按配(あんばい)は生まれつきの金持ちでない限り、なかなか分かるものではない。心の奥底で、彼らは自分たちがぼくらよりもましな人間だと思っている。人生の慰めにせよ救いにせよ、ぼくらのような手合いは自力でそれを見つけなければならなかった、という理由でだ。ぼくらの世界に深くはまりこみ、あるいはぼくらより下のほうに落ちこんでしまった時ですら、彼らは自分たちがぼくらよりましな人間だと思っている。とにかく人種が違うのだ。

   フィッツジェラルド=作 沼澤洽治(ぬまざわ・こうじ)=訳 「富豪青年」
   『バビロン再訪—フィッツジェラルド短篇集』 集英社文庫 1990-12-20

   この訳者の姓は他の本では「ぬまさわ」とルビを振ってある例も見かけます。
   「ぬまざわ」と「ぬまさわ」のどちらが正しいのでしょう? - tomoki y.


(J4) 野崎 1990
大金持というものは、わたしに言わせれば、あなたやわたしなんかとは別人種なのだ。彼らは幼いときから物を所有し生活をエンジョイする。それが彼らに何らかの影響を与えないわけがなくて、われわれならば厳しい態度をとる場合に彼らはやさしく出ることもあれば、われわれがまじめに信頼するものの価値を、彼らは疑問視してせせら笑うことにもなる。その辺の消息は、金持に生まれついた者でなければ、とても理解できないだろう。彼らは、心の奥底では、自分たちの方がわれわれよりも上等な人間だと思っている。彼ら金持連中と違ってわれわれは、みずからの人生の不足を埋め合わせ不幸を慰めるよすがを探し出しながら生きなければならなかったわけだからというのだ。われわれの世界の人間とえらぶところがなくなり、あるいはわれわれよりももっと下まで落ち込んだ場合でも、なお彼らは自分たちをわれわれよりも上等な人間だと思っている。とにかくわれわれとは人種が違うのだ。

   フィツジェラルド=作 野崎孝(のざき・たかし)=訳 「金持の御曹子」
   『フィツジェラルド短編集』 新潮文庫 1990-08-25


(J5) 村上 1988, 1991
とびきりの金持の話をしよう。彼らは僕ともあなたともまるで違っている。子供の頃から何の不足もなく育ち、人生を楽しむ術を身につけてきた彼らには、何かしら特別なものが備わっているのである。たとえば我々がムキになるところで彼らは力を抜くし、我々が全幅の信頼を置くところで彼らは冷笑的になる。こういうのはまあ金持に生まれでもしない限り理解しづらいところだろう。彼らは心の奥底では、自分たちの方が我々より上等だと思っている。どうしてかと言えば我々は自分の手で金を稼いだり家庭を作りあげたりしなくてはならないからだ。たとえ我々と同じ世界まで落っこちてきたとしても、あるいは我々よりもっと下に沈んだとしても、彼らはまだ我々よりは自分たちの方が上等だと思っている。とにかく我々とは作りが違うのだ。

   スコット・フィッツジェラルド=作 村上春樹(むらかみ・はるき)=訳
   「リッチ・ボーイ(金持の青年)」
   a.ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』 中央公論社 中公文庫 1991-04
   b.ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』 TBSブリタニカ 単行本 1988-04-08


(J6) 宮本 1981
とびきり裕福な人たちについて、一言(ひとこと)言っておこう。あの連中はきみやぼくとは別なのだ。まだ年のゆかぬうちに資産に恵まれ、生活を楽しむ。これがある程度働きかけ、ぼくたちが厳しい態度をとるときにおだやかであり、ぼくたちが頼りにしているのに皮肉な態度をとる。この辺の事情は裕福な生れでないかぎり、とても理解できるものではない。彼らは心の底で自分のほうが上だと思っている。なぜならぼくらとはちがって、自分の生活を補償するものや逃避の場所を、自分で見つける必要がないからだ。ぼくたちの生活の中に深く入りこみ、ぼくたち以下の生活に落ち込んでも、相変らず、ぼくたちよりも上だと思っている。彼らは人種がちがう。

   フィッツジェラルド=作 宮本陽吉(みやもと・ようきち)=訳
   「裕福な青年」
   渥美昭夫+井上謙治=編
   『すべて悲しき若者たち フィッツジェラルド作品集2』(全3巻)
   荒地出版社 1981-07


(J7) 野崎 1961, 1964
ここで私は、大金持というものについてことわっておきたいのだが、大金持というものは諸君や私などとは別種の存在なのだ。彼らは幼い時から所有ということと享楽ということとを知るわけだが、これが彼らに影響を与え、われわれがきびしくする所で彼らは寛大な態度をとるし、われわれが信じて疑わぬことに対して彼らは冷笑的な態度を示す。しかもそれが、自ら金持に生れついた者でなければとても理解できぬほどとっぴに見えるのだ。彼らは、心の底では、自分たちの方がわれわれよりも優秀な人間なのだと考えている。それというのも、われわれの方は、生活の中に、自分の存在をつぐなってくれるものや逃避の場所を見つけ出さねばなるまいからというのだ。だから彼らは、われわれの世界にすっかり入りこんでからでも、さらにはわれわれ以下の境涯に沈んでしまってからですら、まだ自分たちの方がわれわれより上だと思っている。彼らは別種の存在なのだ。

   フィッツジェラルド=作 野崎孝=訳 「金持の青年」
   a. 平井正穂+佐藤晃一+小林正+西川正身=編
     『世界文学大系92 近代小説集2』 筑摩書房 1964-07
   b. サマセット・モーム=編 中野好夫=訳者代表
     『モーム編 世界文学100選5』 河出書房新社 1961-09


■ロシア語訳 Translation into Russian

Позвольте мне рассказать вам об очень богатых людях. Они не похожи на нас с вами. С самого детства они владеют и пользуются всяческими благами, а это не проходит даром, и потому они безвольны в тех случаях, когда мы тверды, и циничны, когда мы доверчивы, так что человеку, который не родился в богатой семье, очень трудно это понять. В глубине души они считают себя лучше нас, оттого что мы вынуждены собственными силами добиваться справедливости и спасения от жизненных невзгод. Даже когда им случится нырнуть в самую гущу нашего мира, а то и пасть еще ниже, они все равно продолжают считать себя лучше нас. Они из другого теста

   Фрэнсис Скотт Фицджеральд - Очень богатые люди
   Excerpt at Fitzgerald.Narod.ru


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

Позволете да ви разкажа за много богатите. Те се различават от вас и от мен. Те получават земните блага и им се наслаждават по-рано и това ги прави крехки там, където ние сме устойчиви, и цинични тогава, когато ние сме доверчиви, по такъв начин, че ако не сте богати по рождение, ще ви бъде трудно да го разберете. Дълбоко в душите си те са убедени, че са по-добри от нас, защото ние трябва сами да откриваме убежищата и насладите в живота. Даже когато навлязат напълно в нашия свят или паднат още по-ниско, те все още мислят, че са подобрите. Те не са като нас.

   Ф. Скот Фицджералд. Младият богаташ
   Translated by Пепа Дочева, 1986
   E-text at Моята библиотека


■ドイツ語訳 Translation into German

Laß dir von den Steinreichen erzählen. Sie sind anders als du und ich. Sie besitzen und genießen früh, und das hat seine Wirkung. Es läßt sie sanft sein, wo wir hart sind, und zynisch, wo wir vertrauen. Es ist schwierig, das zu verstehen, wenn man selbst nicht reich geboren ist. Tief im Herzen denken sie, daß sie besser sind als wir, die wir den Ausgleich und die Auswege im Leben selbst zu entdecken hatten. Selbst wenn sie weit in unsere Welt eindringen, oder tief unter uns sinken, denken sie immer noch, daß sie besser sind als wir. Sie sind anders.

   Rich Boy by F. Scott Fitzgerald
   Quoted in Interpretationen 11: Amerikanische literatur des 20. Jahrhunderts
   Edited by Jost Schillemeit
   Published by Fischer, 1972
   Snippet view at Google Books


■イタリア語訳 Translation into Italian

Lasciate che vi parli dei molto ricchi. Sono diversi da voi e me. Possiedono e godono presto, e questo gli fa qualcosa, li fa morbidi dove siamo duri, e cinici dove siamo fiduciosi, in un modo che, se non siete nati ricchi, è difficilissimo da capire. Pensano, nel profondo del cuore, che sono migliori di noi perché abbiamo dovuto scoprire i compensi e rifugi della vita per nostro conto. Anche quando entrano veramente nel nostro mondo o scendono sotto di noi, pensano ancora di essere migliori. Sono diversi.

   Il ragazzo ricco by F. Scott Fitzgerald
   Quoted in L'oro e l'alloro: letteratura ed economia nella tradizione occidentale :
   atti del Convegno internazionale, San Salvatore Monferrato, 10-12 maggio 2001
   Studi (Novara.1966) Vol. 36, edited by Giovanna Ioli. Interlinea, 2003
   Excerpt at L’impatto di un dollaro


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Deixe-me contar-lhe sobre os muito ricos. Eles são diferentes de mim ou de você. Habituaram-se desde cedo a possuir e a usufruir, e isso modifica alguma coisa dentro deles, faz com que sejam suaves naquilo em que somos duros, cínicos quando somos esperançosos. É difícil de entender, a não ser que você tenha nascido rico. No fundo, acham-se melhores do que nós, porque temos de descobrir por conta própria os refúgios e as compensações da vida. E, mesmo quando mergulham profundamente no nosso mundo ou descem abaixo do nosso nível, ainda assim continuam achando que são melhores do que nós. [Omission]

   Os Muito Ricos by F. Scott Fitzgerald
   Excerpt at A Tasca do Sr João


 Video 1 
メイキング映像—ホセ・ルイス・アグレダ挿絵のスペイン語版「リッチ・ボーイ」
Making of El Joven Rico illustrated by José Luis Ágreda

Uploaded to YouTube by Jose Luis Agreda on 7 Feb 2013. El joven rico by F. Scott Fitzgerald. Translation into Spanish by Felipe Benítez Reyes. Illustrations by José Luis Ágreda. Publisher: Metropolisiana Ediciones.


■スペイン語訳(部分) Translations into Spanish (fragments)

(Es1)
“Permítanme contarles de los ricos”, escribió F. Scott Fitzgerald. “Son como usted y como yo. Desde temprano poseen cosas y las disfrutan, y eso les hace algo, los hace más flojos en lo que nosotros somos más duros, cínicos en lo que nosotros somos confiados, de una forma que es difícil de comprender, a no ser que usted haya nacido rico”. [Omission]

   El niño rico by F. Scott Fitzgerald
   Excerpts at El Clarín de Chile


(Es2)
“Déjenme contarles sobre los muy ricos”, escribió F. Scott Fitzgerald. “Ellos son diferentes a usted y a mi. Ellos poseen y disfrutan desde épocas tempranas y esto los forma de alguna manera, los hace blandengues donde nosotros somos fuertes, cínicos donde nosotros somos confiados, de una manera que es muy difícil de entender a no ser que usted haya nacido rico”. [Omission]

   El Niño Rico by F. Scott Fitzgerald
   Excerpts at Cubanow


■フランス語訳(部分) Translation into French (fragments)

Permettez-moi de vous parler de la très riche. Ils sont différents de vous et moi. Ils possèdent et apprécient tôt, et il fait quelque chose pour eux, les rend doux où nous sommes durs et cyniques où nous sont confiants, d’une manière qui, sauf si vous étiez né riche, il est très difficile à comprendre. [Omission] Ils sont différents.

   Le Garçon riche by F. Scott Fitzgerald
   Excerpt at RTBF Info


 Video 2 
「リッチ・ボーイ」——冒頭部分の朗読
The Rich Boy: Reading of the opening sentences

映像に現れる男性はアメリカの大富豪デイヴィッド・ロックフェラー (1915-  )。 Uploaded to YouTube by Betsy McGee on 27 Oct 2012. The man on the video is the billionaire David Rockefeller (1915- ).


■英語原文 The original text in English

Let me tell you about the very rich. They are different from you and me. They possess and enjoy early, and it does something to them, makes them soft where we are hard, and cynical where we are trustful, in a way that, unless you were born rich, it is very difficult to understand. They think, deep in their hearts, that they are better than we are because we had to discover the compensations and refuges of life for ourselves. Even when they enter deep into our world or sink below us, they still think that they are better than we are. They are different.

   The Rich Boy (1926) by F. Scott Fitzgerald
   Excerpt at Project Gutenberg of Australia


■「フィッツジェラルド」か「フィツジェラルド」か?——著者名の日本語表記
 Transliteration variations of "Fitzgerald" in Japanese

Fitzgerald の日本語表記は、今日では「フィッツジェラルド」が一般的ですが、新潮文庫や角川文庫などでは「フィツジェラルド」を採用しているようです。また、古い文献などでは、「フィッツゼラルド」というのも見かけます。


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  「お坊ちゃん」……………………………小川 2008
  「リッチ・ボーイ(金持の青年)」……村上 1988, 1991
  「富豪青年」………………………………沼澤 1990
  「裕福な青年」……………………………宮本 1981
  「金持ち階級の青年」……………………佐伯 1992
  「金持の御曹子」…………………………野崎 1990
  「金持の青年」……………………………野崎 1961, 1964


■更新履歴 Change log

  • 2014-12-02 「リッチ・ボーイ」冒頭部分の朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013-05-08 もう1種類のスペイン語訳とフランス語訳、および El Joven Rico メイキング映像の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013-01-26 イタリア語訳を追加しました。
  • 2013-01-25 ブルガリア語訳とドイツ語訳を追加しました。
  • 2012-07-12 スペイン語訳を追加しました。
  • 2011-03-31 2種類の中国語訳(簡体字)、ロシア語訳、およびポルトガル語訳を追加しました。
  • 2010-02-07 小川高義=訳 2008-12-20 を追加しました。
  • 2009-02-16 ブログ記事のタイトルに日本語訳/日本語表記を追加しました。
  • 2006-12-04 沼澤洽治=訳 1990-12-20 を追加しました。

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Tuesday, 28 November 2006

Churchill at War 1940-45 by Lord Moran

Churchill_at_war
 
  
■日本語訳 Translation into Japanese

一九四五年七月二十三日

 首相の部屋に入ると、彼は朝食をとっていた。ソーヤーズを引き取らせたあと、ひどくおごそかな表情になっていう。
「絶対に他言無用だぞ。われわれは原子爆弾の実験に成功したのだ……米国は世界を変える力が与えられた。ロシア人が先に原子爆弾を持ったとしたら、文明世界は抹殺されたに違いない。ロンドンに落としたら、全市が消えてなくなるだろう。この爆弾は日本の軍隊ではなく、都市に対して使われることになる。ロシア人に隠しておくのは礼儀に反するので、きょう通告が行なわれるはずだ。世界を救うために間に合ってよかったと思う」
 日本に原子爆弾を使用するという残酷な決定は、わたしに深刻なショックを与えたことを認めないわけにいかない。大戦の全期間を通じて、このときほど黯然とし、将来が絶望的に感じられたことがない。わたしは息子たちの行く末に思いをはせた。

   ロード・モーラン=著 新庄哲夫=訳
   『チャーチル—生存の戦い』河出ワールド・ブックス9
   河出書房新社 1967/03
   (1966年刊 英国コンスタブル社版の抄訳)
 
 
■英語原文 The original text in English

July 23, 1945

When I went into the P.M.'s room this morning he was breakfasting. I found Sawyers mopping the table by the bed; (......)
  'Oh, leave it, Sawyers, leave it. Come back later.'
  Immediately Sawyers had left the room the P.M. turned to me with great solemnity.
  I am going to tell you something you must not tell to any human being. We have split the atom. The report of the great experiment has just come in. A bomb was let off in some wild spot in New Mexico. (......) It gives the Americans the power to mould the world. (......) If the Russians had got it, it would have been the end of civilization. Dropped on London, it would remove the City. It is to be used in Japan, on cities, not on armies. We thought it would be indecent to use it in Japan without telling the Russians, so they are to be told today. It has just come in time to save the world.'
(......)
  I own I was deeply shocked by this ruthless decision to use the bomb in Japan. (......) There had been no moment in the whole war when things looked to me so black and desperate, and the future so hopeless. (......) I thought of my boys.

   Churchill at War 1940-45
   by Lord Moran
   This abridged and revised editioni published by Robinson,
   an imprint of Constable & Robinson Ltd, 2002

   First published in the UK as:
   Churchill: The Struggle for Survival 1940-1965
   by Constable and Company, 1966
 
 
■著者について About the author

ロード・モーラン(モーラン卿)の、もともとの名はチャールズ・マクモーラン・ウィルソン。1943年、初代モーラン男爵に叙せられた。1940年からウィンストン・チャーチルの主治医を務めた。本書はチャーチルの死から1年後に、医師本人の日記を出版したもの。患者についての守秘義務などとの関係から、公刊は物議をかもした。   

Charles McMoran Wilson was created 1st Baron Moran of Manton in 1943. He became Winston Churchill's doctor in 1940 and remained so until Churchill's death in 1965. 
 
 
■関連サイト Related websites

* Charles Wilson, 1st Baron Moran - Wikipedia

* Wellcome Library blurb on Lord Moran
 
 
■洋書 Books in non-Japanese languages

■和書 Books in Japanese

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Cannibalism in the Cars by Mark Twain マーク・トウェイン 「列車内の人食い事件」「人喰い列車」「車中人肉を喰ふ話」「雪に埋もれた汽車」

 Video 
Biography of Mark Twain (1835-1910) Part 1 of 5

Uploaded to YouTube by dizzo95 on 5 Feb 2008


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

(……)
  “你打算给我讲——”
  “请不要打断我的话。早饭后我们推选了一个从底特律来的名叫沃克的人当晚餐。他很不错,我后来给他老婆写信就是这么说的。怎么夸他都不过份,我将永远怀念沃克。他煮得嫩了点儿,可是非常好。第二天早上,我们又把亚拉巴马州的摩尔根当早餐。他是我们享用过的最好的人之——仪表堂堂,很有教养,文质彬彬,能流利地讲几种语言——一个十全十美的绅士——他是个十全十美的绅士,油水多得出奇。晚饭我们选的是那个俄勒冈的老头儿,他的确是个骗人的货色,这一点毫无疑问——又老又瘦又粗,谁也无法形容那种状况。(……)”

   《火车上的嗜人事件》  马克·吐温 译者:蒲隆
   E-text at 语文备课大师


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

(……)
  “你打算給我講——”
  “請不要打斷我的話。早飯后我們推選了一個從底特律來的名叫沃克的人當晚餐。他很不錯,我后來給他老婆寫信就是這么說的。怎么夸他都不過份,我將永遠怀念沃克。他煮得嫩了點儿,可是非常好。第二天早上,我們又把亞拉巴馬州的摩爾根當早餐。他是我們享用過的最好的人之——儀表堂堂,很有教養,文質彬彬,能流利地講几种語言——一個十全十美的紳士——他是個十全十美的紳士,油水多得出奇。晚飯我們選的是那個俄勒岡的老頭儿,他的确是個騙人的貨色,這一點毫無疑問——又老又瘦又粗,誰也無法形容那种狀況。(……)”

   《火車上的嗜人事件》 作者:馬克·吐溫 譯者:蒲隆
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 勝浦 1993
(……)
 「あなたが話そうとなさるのは——」
 「どうか口を出さないで下さい。朝食後わたしたちは、デトロイトから来たウォーカーという男を夕食に選びました。この人はとてもおいしかったです。わたしは後で、この男の奥さんにそう書いておきました。彼は絶賛するだけの値打はありました。ウォーカーは決して忘れません。少々生(なま)焼けだったが、実においしかった。それから翌朝は、アラバマのモーガンを朝食にしました。これまでじゃ最高のご馳走の一人でした——ハンサムで、教養もあり、洗練されていて、数カ国語をペラペラ——全く申し分のない紳士でした——確かに完璧な紳士で、珍しいほど汁っけの多い人でした。夕食には、オレゴンのあの長老をやりましたが、奴は確かに(#原文は太字でなく傍点)ペテン師で、この点についちゃ疑問の余地はありません——年をとっていて、痩せこけて、硬くて、何とも想像のしようもありません(……)」

   マーク・トウェイン=著 勝浦吉雄(かつうら・よしお)=訳
   「列車内の人食い事件」
   『マーク・トウェイン短編全集(上)』 文化書房博文社 1993/11 所収


(2) 坂下 1977
(……)
 「まさか、あなた、そんな馬鹿な——」
 「話の腰を折らんでくれよ、まあ。朝飯の次は、おいらは、デトロイトのウォーカーを昼飯用に選出したな。こいつがまた、とってもうめえんでよ。おれは後で奴の細君に手紙を書いちゃってさ。奴はあらゆる賞讃に値する人間よな。ウォーカーの味は生涯忘れるもんじゃねえ。ちょっぴり生焼(なまやけ)だったけどさ、それがとってもうめえんだぜ。それから翌る朝は、アラバマのモーガンを食っちまった。おれが箸(はし)をつけたもんで、あんな最高の美味は存在しないっていう人間の一人だろうぜ——美男で、教育があって、洗練されてて、数カ国語をぺらぺらやれて——完全な紳士ってとこよな——そうさ、完全な紳士で、汁もたっぷりあらあな。昼飯には、例のオレゴンのおっさんを食っちまったけどよ、こいつが詐欺師だってことはもう疑問の余地はねえや——おいぼれの、骨と皮だらけ、ごついのなんのって、この現実感を描ける文学者がいるもんかってんだ!(……)」

   マーク・トウェイン=作 坂下昇(さかした・のぼる)=訳
   「人喰い列車」
   『バック・ファンショーの葬式 他十三篇』 岩波文庫 1977/06 所収


(3) 鍋島 1976
(……)
 「あなたが話そうとなさるのは——?」
 「どうか口を出さないで下さい。朝飯の後、われわれは、デトロイトからきたウォーカーという名前の男を、夕飯の食物に選んだのだった。奴はなかなかうまかったのです。私は後で、女房へそう手紙に書いてやったんですがね。奴はどんなに褒めてもいいくらいだ。ウォーカーは決して忘れない。奴は少し珍しい方だったが、とてもうまかったのだ。それから次の朝、われわれはアラバマ州のモーガンを朝飯に食った。奴のような立派な男に向かったことはない。——男っぷりもよく、教育もあり、洗練されていて、二三カ国語もぺらぺら喋る——申し分のない紳士だった——たしかに申し分のない紳士であって、珍しいほど汁っ気も多かったのです。夕飯の食物には、あのオレゴン州の長老をやっつけた。奴は確かに(#「確かに」に傍点)まやかしものであった。これは疑いもないことだ。——年とって、痩せこけて、固くって、本当に何といってよいやら分らない。(……)」

   マーク・トウェーン=作 鍋島能弘(なべしま・のりひろ)=訳
   「列車内の人食い事件」
   『マーク・トウェーン短篇全集1』 出版協同社 1976/05 所収

   原文の "rare" を「レア=生焼け」でなく「珍しい」と誤訳しているのは、
   いまとなってみれば、ご愛嬌か?(笑) - tomoki y.


(4) 杉木 1932
(……)
 「ぢや、どうでせう、一つお話して下さらないでせうか——」
 まあ、默つて聽いてゐて下さい、どうぞ。朝食後、私たちは、デトロイトのウォーカーといふ人を夕食に選びました。この人は素的でしたね。後になつて、私はその人の奥さんにそのことを書き送つて上げました。あの人は實に賞讃に値した人でしたよ。私はウォーカーといふ名前はいつも忘れないことゝ思ひます。少し生燒けでしたが、實に素的でした。それから翌朝はアラバマのモーガンを朝食にしました。その人は私が御馳走になつた人のうちでは一等素的な人でした——美男で、教育があり、洗練されてゐて、數ヶ國の言葉を流暢に喋り——何といひますか、まあ完全な紳士ですね——全く完全な紳士で、而も非常に汁氣(つゆけ)の多い人でした。夕食にはあのオレゴンの大長老を御馳走になりましたが、あの人はぺてん師でしたよ。それはたしかです——年を老つてゐて、骨張つてゐて、硬くつて、誰もその本當の姿を想像しかねますね。(……)

   Mark Twain 著 杉木喬(すぎき・たかし)=譯註 「車中人肉を喰ふ話」
   『ユーモア・小説集』 英學生文庫 第16卷
   春陽堂 1932/10(昭和7)所収
   (奥付の譯註者表示は、末弘淺次郎)


(5) 梅田=編 1928
 朝の食事がすんでから、私たちは夕食のためにデトロイド州のウォーカといふ男を選出いたしました。この男は非常に結構でした私はこの男の細君に、そのことを後日報告してやりましたよ。實にその味ひは賞讃に値するものがありましたからね。私はウォーカを永久に忘れません。ちよつと風變りな味ひではあつたが、なか/\うまかつたです。
 さて、又、その翌朝はアラバマのモルガンを採用しました。モルガンは今までのうちで最も美味でした。彼は美男で、上品で、數ヶ國語を自由にあやつる、完全な紳士でした。しかもたつぷりと汁氣(しるけ)がありました。
 その夕食には、あのオリガンの長老ドエイビスが選に當つたといふわけです。この人はあの議會討論の時に、ごまかしものだと云はれましたが、なる程やつぱりその通りでしたね。老ぼれてゐて、骨と皮ばかりで、硬(かた)くて、全く齒のたゝない代物(しろもの)でしたよ。それも貴方がたの想像も及ばぬ程度の代物なんです。(……)

   原作: マーク・トウェイン(目次の表記)
       マーク・トゥウェイン(本文13ページの表記)
    「二、ユーモラスな話五篇」 雪に埋もれた汽車
   梅田寛=編 『諧謔文學 外國後篇』 名作物語
   文敎書院 1928/08/01(昭和3)所収
   雪・選・又・採・通の旧字は新字で置き換えました。


■Sketches New and Old

Cannibalism_1
↑Click to enlarge↑

Cannibalism in the Cars in Sketches New and Old, Part 7, by Mark Twain. Image source: Project Gutenberg


■スペイン語訳 Translation into Spanish

  —¿Me quiere usted decir que realmente usted...?
  —No me interrumpa, se lo ruego.
  «Después de aquel frugal almuerzo, había que pensar en la comida; elegimos a un talWalker, oriundo de Detroit. Era excelente; se lo escribí a su mujer algo después. Noolvidaré en mi vida a Walker. ¡Qué plato tan delicioso! Algo delgado, pero suculento a pesar de todo. Al día siguiente, nos regalamos con Morgan, de Alabama, para almorzar.Era uno de los hombres más atractivos que yo haya visto nunca; apuesto, elegante, demodales distinguidos; hablaba corrientemente varios idiomas; en suma, un muchachocompleto, que nos proporcionó un jugo muy gustoso. Para la comida, nos prepararon elviejo patriarca del Oregón. Con él recibimos un buen «escopetazo»: viejo, seco, coriáceo,fue imposible de comer.

   Canibalismo en los vagones
   in Narraciones by Mark Twain
   E-text at Scribd


 Audio 1 
フランス語訳のオーディオブック(朗読) Audiobook in French

下に引用する箇所は 20:05 あたりから。 The excerpt below starts around 20:05.


■フランス語訳 Translation into French

— Me donnez-vous à entendre que réellement vous... ?
— Ne m'interrompez pas, je vous en prie.
« Après ce frugal déjeuner, il fallait songer au dîner ; nous portâmes notre choix sur un nommé Walker, originaire de Détroit. Il était excellent ; je l'ai d'ailleurs écrit à sa femme un peu plus tard. Ce Walker ! je ne l'oublierai de ma vie ! Quel délicieux morceau ! Un peu maigre, mais succulent malgré cela. Le lendemain, nous nous offrîmes Morgan de l'Alabama pour déjeuner. C'était un des plus beaux hommes que j'aie jamais vus, bien tourné, élégant, distingué de manières ; il parlait couramment plusieurs langues ; bref un garçon accompli, qui nous a fourni un jus plein de saveur. Pour le dîner, on nous prépara ce vieux patriarche de l'Orégon. Là, nous reçûmes un superbe « coup de fusil » ; — vieux, desséché, coriace, il fut impossible à manger. Quelle navrante surprise pour tous !

   Cannibalisme en voyage
   in Plus fort que Sherlock Holmès by Mark Twain
   E-text at Project Gutenberg


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック(朗読: マイク・ベネット)
The Cannibalism in the Cars. Audiobook in English. Read by Mike Bennett.

下に引用する箇所は 20:16 あたりから。 Uploaded to YouTube by angrypyjamas on 12 Nov 2011. The excerpt below starts around 20:16.


■英語原文 The original text in English

(......)
"Do you mean to tell me that--"
"Do not interrupt me, please. After breakfast we elected a man by the name of Walker, from Detroit, for supper. He was very good. I wrote his wife so afterward. He was worthy of all praise. I shall always remember Walker. He was a little rare, but very good. And then the next morning we had Morgan of Alabama for breakfast. He was one of the finest men I ever sat down to handsome, educated, refined, spoke several languages fluently a perfect gentleman he was a perfect gentleman, and singularly juicy. For supper we had that Oregon patriarch, and he was a fraud, there is no question about it--old, scraggy, tough, nobody can picture the reality. (......)"

   Cannibalism in the Cars
   Written circa 1867 by Mark Twain
   Sketches New and Old, Part 7
   E-text at Project Gutenberg


■更新履歴 Change log

2013/07/16 スペイン語訳を追加しました。
2013/07/15 フランス語版朗読の YouTube 画面とフランス語訳を追加しました。
2012/09/02 梅田寛=編 1928/08/01 とマイク・ベネットによる朗読の YouTube
         動画を追加しました。
2011/04/01 中国語訳(簡体字)を追加しました。
2010/05/20 Biography of Mark Twain (1835-1910 part 1 of 5) の
         YouTube 動画を追加しました。
2007/09/04 杉木喬=譯註 1932/10 を追加しました。
2007/07/27 勝浦吉雄=訳 1993/11 を追加しました。


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Sunday, 26 November 2006

魯迅 『狂人日記』 A Madman's Diary by Lu Xun

■表紙画像 Cover photos
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[Left] English translation by William A. Lyell
[Right] Japanese translation by Yoshimi Takeuchi


■ロシア語訳 Translation into Russian

Несколько дней тому назад из деревни Волчьей пришел арендатор сообщить о неурожае, он рассказал моему старшему брату, что жители этой деревни сообща убили одного злодея из своей же деревни; потом вынули у него сердце и печень, зажарили и съели, чтобы стать более храбрыми. Я вмешался было в разговор, но тут арендатор и брат несколько раз взглянули на меня. Только сегодня я понял, что их взгляды были точно такими же, как и у тех людей на улице.

При мысли об этом меня всего, с головы до пят, бросило в дрожь.

Раз они могут есть людей, значит, могут съесть и меня.

   Лу Синь - Записки сумасшедшего
   Translated by Сергей Леонидович Тихвинский
   E-text at FictionBook.ru


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Hace algunos días, uno de nuestros arrendatarios de la aldea de los Lobos, al venir a informar sobre la sequía que reina en el campo, contó a mi hermano mayor que los campesinos habían dado muerte a un conocido malhechor del lugar. Luego algunos hombres le arrancaron el corazón y el hígado, los frieron y se los comieron, para criar valor. Los interrumpí con una palabra y mi hermano y el labrador me lanzaron muchas miradas raras. Hoy comprendo que sus miradas eran absolutamente iguales a las de los hombres de la calle.

Sólo de pensar en ello me estremezco de la cabeza a los pies.

Si comen hombres, ¿por qué no habrían de comerme a mí?

   El diario de un loco by Lu Sin
   E-text at Ciudada Seva


■フランス語訳 Translation into French

Il y a quelques jours, l’un de nos fermiers du village du Louveteau vint annoncer que les récoltes étaient désastreuses, et il raconta à mon frère aîné que les villageois avaient battu à mort un mauvais garçon de l’endroit; puis, certains lui avaient enlevé le cœur et le foie, les avaient fait frire à l’huile et les avaient mangés dans le but de stimuler leur courage. Le fermier et mon frère me dévisagèrent lorsque je voulus risquer un mot. Et je réalise aujourd’hui seulement que leurs regards avaient exactement la même expression que celle des gens dans la rue.

Rien que d’y penser, j’en frissonne du sommet de la tête à la plante des pieds.

Ils se nourrissent de chair humaine, pourquoi un jour ne me mangeraient-ils pas?

   Le journal d’un fou by Lu Sin
   E-text at Les contes de Lu Xun - hst1061


■英訳 Translations into English

(E1) Lyell, 1990
A few days back one of our tenant farmers came in from Wolf Cub Village to report a famine. Told my elder brother the villagers had all ganged up on a "bad" man and beaten him to death. Even gouged out his heart and liver. Fried them up and ate them to bolster their own courage! When I tried to horn in on the conversation, Elder Brother and the tenant farmer both gave me sinister looks. I realized for the first time today that the expression in their eyes was just the same as what I saw in those people on the street.

As I think of it now, a shiver's running from the top of my head clear down to the tips of my toes.

If they're capable of eating people, then who's to say they won't eat me?

   Diary of a madman and other stories by Lu Xun
   Translated by William A. Lyell
   University of Hawaii Press, 1990


(E2) Yang & Yang, 1960, 1972

A few days ago a tenant of ours from Wolf Cub Village came to report the failure of the crops, and told my elder brother that a notorious character in their village had been beaten to death; then some people had taken out his heart and liver, fried them in oil and eaten them, as a means of increasing their courage. When I interrupted, the tenant and my brother both stared at me. Only today have I realized that they had exactly the same look in their eyes as those people outside.

Just to think of it sets me shivering from the crown of my head to the soles of my feet.

They eat human beings, so they may eat me.

   A Madman's Diary
   Selected Stories of Lu Hsun (Lu Xun)
   By Lu Hsun (Lu Xun)
   [The True Story of Ah Q, and Other Stories (written 1918-1926)]
   Translated by Yang Hsien-yi and Gladys Yang
   Published by Foreign Languages Press, Peking, 1960, 1972
   * E-text at the Marxists Internet Archive
   * PDF at the Dickinson State University website


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 藤井 2009
 数日前、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えてきて、僕の大兄(おおにい)さんに向かって言うには、村にとんでもない悪人がいて、みんなで殴り殺したところ、数人の者がその男の心臓と肝臓をえぐり出し、油で炒めて食べたという――肝っ玉が太くなるからだ。僕が口を挟むと、小作人も大兄さんもジロジロと僕を見ていた。今日になって二人が、外の連中とまったく同じ目つきをしていたことに気がついた。
 思い出すと、全身に寒気を覚える。
 奴らは人食いをするのだから、僕のことも食べてしまうかもしれない。

   魯迅=作 藤井省三(ふじい・しょうぞう)=訳 「狂人日記」
   『故郷/阿Q正伝』 光文社古典新訳文庫 2009/04 所収


(J2) 駒田 1998
 数日前、狼子村(ろうしそん)の小作人が凶作を訴えに来て、兄に話していた。彼らの村の極悪人がみんなになぐり殺されたが、数人の者がその男の心臓と肝臓をえぐり出し、油でいためて食った。そうすると肝っ玉が大きくなるという。おれが口をはさんだら、小作人も兄貴もじろじろとおれを見た。今日やっとわかったのだが、彼らの眼つきは外のあの連中とまったく同じだ。
 思い出すと、頭のてっぺんから足のつまさきまでゾッとする。
 彼らは人間を食うのだ。とすれば、おれを食わないとはかぎらない。

   魯迅=作 駒田信二=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝・藤野先生』 講談社文芸文庫 1998/05 所収


(J3) 竹内 1955, 1981
 二、三日前、狼子村(ランズツン)から小作人が来て、不作をこぼして、兄貴に話していったっけ。やつらの村に大悪人がいて、みんなに殴り殺されたが、そいつの内臓をえぐり出して、油でいためて食ったやつがあるそうで、そうすると肝っ玉が太くなるという話だ。おれがちょっと脇から口を入れたら、小作人と兄貴とが、じろじろおれの方を見たっけ。今日やっとわかった。やつらの眼つきは、町にいた連中の眼つきとそっくりそのままじゃないか。
 思い出しただけで、おれは頭のてっぺんから脚の先まで、ゾッとなる。
 やつらは人間を食いやがる。してみると、おれを食わないという道理はない。

   魯迅=作 竹内好=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊)』
   岩波文庫(初版 1955/11|改訳 1981/02)所収


(J4) 松枝+和田 1976
 二、三日前、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えにきたとき、兄貴にこんな話をしていた。やつらの村に大悪党がいて村の連中になぐり殺されたそうだ。そのとき、そいつの臓腑(はらわた)をえぐり出して、油でいためて食ったものがいて、なんでもそれを食うと、肝っ玉が大きくなるんだそうだ。わきからおれがちょっと口をはさんだら、小作人も兄貴も、じろじろおれのほうを見たっけ。きょうになって気がついたんだが、その目つきが、あの町の連中の目つきとまるっきりそっくりじゃないか。
 そう思うだけで、おれは頭のてっぺんから足の先までゾッとなる。
 やつらは人間を食うんだ。おれを食わないという保証はないぞ。

   魯迅=作 松枝茂夫+和田武司=訳 「狂人日記」
   『豪華版 世界文学全集35 魯迅』 講談社 1976/10 所収


(J5) 丸山 1975
 数日前、狼子(ランツ)村の小作人が、不作の訴えにきて、兄貴に話していた。彼らの村に大悪人が一人いたが、みんなに殴り殺された、数人のものがその心臓と肝臓をえぐり出して、油でいためて食った、肝(きも)が太くなるのだ、という。おれがひとこと口をはさむと、小作人も兄貴もおれをじろじろ見た。きょうはじめてわかった、彼らの眼つきも、外のあの連中とそっくりなのだ。
 考えて、おれは頭のてっぺんからかかとの先までぞっとした。
 彼らが人を食えるのだとすれば、おれを食わないとは限らない。

   魯迅=作 丸山昇=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝 他九編』 新日本文庫 1975/11 所収


(J6) 松枝 1970
 何日か前に、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えに来て、おれの兄に向かって話していた。彼らの村の大悪党がみんなになぐり殺され、何人かの者はそいつの臓腑(はらわた)をえぐり出して、油でいためて食ったんだそうだ。それを食うと肝っ玉が大きくなるというのだ。おれがわきから一言口をはさんだら、小作人も兄もおれをじろじろ見た。彼らの目つきが、町の連中のそれとそっくり同じであることを、きょうになって気がついた。
 思い出すと、おれは頭のてっぺんから足のカカトまで、ぞうっとする。
 彼らは人間を食うことができるんだから、おれを食うことができないとはいえない。

   魯迅=作 松枝茂夫=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝・狂人日記 他六編』 旺文社文庫 1970/03 所収


(J7) 高橋 1967
 数日前、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えにきて、兄に話していた。彼らの村の極悪人が、皆に殴り殺され、数人が彼の心臓と肝臓をえぐり出して、油でいためて食った、と。胆力が増すのだそうだ。わたしが言葉をはさむと、小作人と兄がじろじろとわたしを見た。今日になってわかったことだが、彼らの眼付は、街のやつらと全く同じだった。
 想い出すと、頭のてっぺんから足の先までぞっとする。
 彼らは人間を食えるのだ。とすればわたしを食わないとは言いきれぬ。
  
   魯迅=作 高橋和己=訳 「狂人日記」
   『世界の文学47 魯迅』 中央公論社 1967/06 所収


(J8) 増田 1961
 五、六日前、狼子(ランツ)村の小作人が饑饉(ききん)で収穫のないことを訴えてきて、私の兄貴(あにき)に、彼等の村の一人の大悪人が、大勢に打ち殺された話をした。何人かの者はその男の内臓をほじくり出し、肝(きも)ッ玉を太くするのだといって、油でいためて食ったという。私が一こと口をはさむと、小作人と兄貴は私をジロジロと見た。今日はじめて私は彼等の眼の色が、外部のあの一群の者たちと全く同じであることを知った。
 それを思い出すと、私は頭のてっぺんから足のさきまでサッと冷たくなる。
 彼等は人を食うことができる、だとすれば私を食わないものでもない。

   魯迅=作 増田渉=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝』 角川文庫 1961/04 所収


(J9) 井上 1932, 2004
 四五日前に狼村(おおかみむら)の小作人が不況を告げに来た。彼はわたしの大(おお)アニキと話をしていた。村に一人の大悪人(だいあくにん)があって寄ってたかって打殺(うちころ)してしまったが、中には彼の心臓をえぐり出し、油煎(あぶらい)りにして食べた者がある。そうすると肝が太くなるという話だ。わたしは一言(ひとこと)差出口(さしでぐち)をすると、小作人と大アニキはじろりとわたしを見た。その目付がきのう逢った人達の目付に寸分違いのないことを今知った。
 想い出してもぞっとする。彼等は人間を食い馴(な)れているのだからわたしを食わないとも限らない。

   魯迅=作 井上紅梅=訳 「狂人日記」
   E-text at 青空文庫
   底本: 『魯迅全集』 改造社 1932/11/18
   旧字、旧仮名を新字、新仮名に改めてあります。
   底本は総ルビですが、一部を省いてあります。
   入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(上村要)
   校正:京都大学電子テクスト研究会(高柳典子)
   2004/11/19 作成


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

  前几天,狼子村的佃户来告荒,对我大哥说,他们村里的一个大恶人,给大家打死了;几个人便挖出他的心肝来,用油煎炒了吃,可以壮壮胆子。我插了一句嘴,佃户和大哥便都看我几眼。今天才晓得他们的眼光,全同外面的那伙人一模一样。
  想起来,我从顶上直冷到脚跟。
  他们会吃人,就未必不会吃我。

   鲁迅 《狂人日记》
   E-text at Lu Xun Home Page


■更新履歴 Change log

2013/05/24 フランス語訳を追加しました。
2012/03/19 William A. Lyell によるもう一つの英訳を追加しました。
2012/03/02 ロシア語訳を追加しました。
2012/01/28 スペイン語訳を追加しました。
2009/04/14 藤井省三=訳 2009/04 を追加しました。
2006/11/30 井上紅梅=訳 1932/11/18 を追加しました。


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肉饅頭の肉 - 水滸伝 Water Margin

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忠義水滸全書 Image source: Wikimedia Commons
 
 
■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 駒田 2005
女はつづけさまに四、五へん酒をつぎ、そしてかまどから肉饅頭を蒸籠(せいろ)で一枚ぶんはこんできて机の上においた。役人はふたりともすぐに手を出してむしゃむしゃやり出したが、武松は、ひとつとりあげてぱくんと割ってなかをあらためながら、「おい、この肉饅頭は人間の肉か犬の肉か」
 女はにこにこしながら、
「お客さんご冗談を。この太平無事なご時世に、人間の肉饅頭や犬の肉饅頭があるものですか。あたしのところの肉饅頭は、先祖代々、牛ときまっておりますわ」
(……)
「この饅頭の餡(あん)のなかに、人間のあそこの毛のようなのが何本かはいってやがるんで、そうじゃないかと思ったのさ」
(……)
「これだけ肉付きがよけりゃ、牛肉として売るのはおあつらえむきだ。むこうの痩せっぽちは水牛ってとこか。かつぎこんで、まずこいつから料理だ」

   第二十七回 母夜叉 孟州道に人肉を売り 武都頭 十字坡に張青に遇う
   施耐庵=著 駒田信二=訳
   1a. 水滸伝2』(全8巻) ちくま文庫 2005/08    
   1b. 中国古典文学大系28 水滸伝(上)』(全60巻)
      平凡社 1967/10
   1b. は、細部の違いを除き 1a. とほぼ同文。
   引用は 1a. に拠りました。
 
 
(J2) 松枝 2001
 女はにこにこしながら、中から料理をはこんできた。ふたりの護送人はさっそく肉饅頭(にくまんじゅう)をぱくついた。
 武松(ぶしょう)は一つ取ると、中をわってみて、さけんだ。
「おい、おかみさん、この饅頭(まんじゅう)のあんは人間の肉じゃないか? それとも犬の肉(にく)かな?」
 女はにこにこ笑いながら、「あら、お客さんはご冗談ばっかり。太平無事のご時世に、人間の肉や犬の肉のお饅頭があるものですか。うちのお饅頭は先祖代々黄牛(あめうし)でございますよ」
(……)
「そうかね? あんの中にどうも人間の毛のようなのがはいっているから、そうじゃないかと思ったんだ……」
(……)
「(……)こいつはふとっているから、黄牛の肉として売れるよね。あのふたりはやせているから、せいぜい水牛の肉ってところだけど……」

[原文にあるルビを、一部略しました - tomoki y.]

   二五 孫二娘、十字坡にて人肉饅頭を売ること
   施耐庵(し・たいあん)=作 松枝茂夫=編訳
   『水滸伝(中)』(全3冊) 岩波少年文庫(初版 1959/10|新版 2001/06)
 
 
(J3) 吉川+清水 1998
つづけさまに四、五わたり酒をつぎますと、台所へ行って取って来た饅頭一籠、それを食卓の上におきます。警吏二人は、取り上げるなりすぐ食べましたが、武松は一つ取って割って見て、
 「おい酒屋、この饅頭の餡は、人の肉か犬の肉か。」
 女、ひひひと笑って、「旦那、ご冗談でしょう。この太平の世の中に、お天道様の照ってる下で、人肉の饅頭、犬の肉のご馳走などあるものですか。昔からうちの饅頭は、先祖代々黄牛(あめうし)の餡です。」
(……)
 武松、「この饅頭の餡には、毛が何本かまじってるが、人間のあそこの毛とよく似ている。それで疑ぐったのだ。」
(……)
 「これだけ肥えてりゃ、黄牛(あめうし)の肉にして売るのにもってこい。そちらの痩せた下っ端二人は、せいぜい水牛の肉とするぐらいだがね。さあかついで行って、まずこいつから料理しよう。」

   第二十七回 母夜叉 孟州道にて人肉を売り 武都頭 十字坡にて張青に遇う
   吉川幸次郎+清水茂=訳
   『完訳 水滸伝3』(全10冊) 岩波文庫 1998/12
 
 
(J4) 嵐山 1998
護送役は、腹が減っていたせいもあって、だされた肉まんじゅうをがつがつと食べた。武松はその肉まんじゅうを食おうとして、
「おい、ちょっと、このまんじゅうのなかの肉は、人間の肉じゃないだろうな。」
ときいてみた。女は、
「人間の肉を食べさせるわけないでしょう。うちの肉は、牛肉のいちばん上等なところを使っていますよ。」「そうかな、まんじゅうのなかに、ちりちりと縮れた毛がはいっていたから、人の毛じゃないかと思ってきいてみたんだよ。」
(……)
「……この男は太っているから、上等の肉になるわよ。さっきの護送役は、スープのだしね。やせてるからね。」

[原文は総ルビですが、ここでは省略しました - tomoki y.]

   15 なぞの居酒屋
   嵐山光三郎(あらしやま・こうざぶろう)=文(再話)
   施耐庵(し・たいあん)=原作 譚小勇(たん・しょうゆう)=絵
   『痛快世界の冒険文学11 水滸伝』 講談社 1998/08
 
 
(J5) 杉本+中村 1977
ふたりの役人はすぐにむしゃむしゃやりはじめたが、武松はひとつを手にすると、割(わ)ってみて首をひねった。
「おかみさん、このまんじゅうの中味は、犬の肉かい、人間の肉かい。」
「お客さん、ごじょうだんばっかり。うちのはむかしから牛肉ですよ。」
「だって、あやしい毛がはいっているぞ。」
(……)
「きょうは三びきも仕入れたんで、当分肉まんじゅうの材料にこまらないわね。(……)」

   あやしい肉まんじゅう
   杉本達夫+中村愿(なかむら・すなお)=訳
   『水滸伝(上)』 中国の古典文学11 さ・え・ら書房 1977/06
 
 
(J6) 佐藤一郎 1975
たてつづけに四、五回酒を注(つ)ぐと、竈(かまど)のところから蒸籠(せいろう)をひと重ね取ってきて卓上に置いた。役人はふたりとも手を伸ばして食べたが、武松はひとつつまんで割ってみて、
「おい、おかみ。この饅頭は人間の肉か、それとも犬の肉かい」
 女はにたにた笑って、
「お客さん、ご冗談ばっかり。このありがたいご時世に、人肉饅頭や犬の肉をつかう手があるもんですか。わたしどものは、代々、黄牛(あめうし)で通っておりますよ」
(……)
「この饅頭の餡(あん)の中に、人間さまのあそこの毛がまじっているので、ちょっくら解せねえと思ったわけさ」
(……)
「これだけよく肥えていりゃ牛肉として売っても立派に通るよ。あの痩せっぽちどもはせいぜい水牛の肉さね。ひっ担いでいって、こいつから先に腑分(ふわ)けするとするか」

   第二十六回 母夜叉 孟州道に人肉を売り 武都頭 十字坡に張青に遇う
   金聖嘆(きん・せいたん)=著 佐藤一郎=訳
   『愛蔵版 世界文学全集5』 集英社 1975/03
 
 
(J7) 佐藤春夫 1952
(……)つづけざまに四五へん酒をつぎ、竈(かまど)のうへから蒸籠(せいろう)に一枚のまんじゆうを取つて來て、つくゑの上にさしだした。
 護送人等は、すぐ手づかみでパクついたが、武松は一つ取りあげると、割つて、なかの餡(あん)をみて、
 「おかみ、こいつァ人間の肉か、犬の肉か?」
 女はにったり顏で、
 「お客さん、ご常談(じやうだん)でせう。吹く風も枝をならさずってご當節(たうせつ)、どこに人間の肉や、犬の肉のおまんじゆうがございませう。あたしン(注1)とこのは前(まへ)っから名題(なだい)の黄牛(あめうし)のなんですよ。」
(……)
 「おらァこの餡のなかに、人間のあそこン(注2)とこの毛みたいのが二三本まじつてゐるので、聞いてみたのさ。」
(……)
 「(……)これだけ肥つてゐりや、黄牛(あめうし)の肉にして、だいぢやうぶ、賣れるだらうし、あっちの痩(や)せたのは水牛の肉ってとこだね。かつぎ込んで、こいつから、さきにつぶすさ。」

(注1) (注2) ともに、原文は小さい「ン」。 - tomoki y.

   第二十七囘 母夜叉 孟州道に人肉を賣り 武都頭 十字坡に張青に遇ふ
   佐藤春夫=譯 『新譯 水滸傳3』 中央公論社 1952/11
 
 
(J8) 幸田 1940, 2000
(……)一連に四五巡の酒を篩ぎ、竈上去り一籠の饅頭を取り來り、卓子上に放在す。兩箇の公人拏起し來りて便ち喫す。武松一箇を取りて拍開し看了す。叫び道ふ、酒家、這の饅頭は是人肉的か是狗肉的か?。那の婦人〓〓笑ひ道ふ、客官、笑を取るを要するを休めよ、清平の世界、蕩蕩たる乾坤、那裏に人肉的饅頭、狗肉的滋味有らん、我家の饅頭は積祖より黄牛的なり。
(……)
 我見る這の饅頭の餡の内に幾根の毛有り、一に人の小便の處的の毛に像て一般なり、此を以て疑忌す。
(……)
 這等肥胖せるは、好し黄牛肉と做して賣るに、那の兩箇の痩蠻山子は只好し水牛肉と做して賣るに、扛進し去りて先づ這厮を開剥せん。
(#〓〓は〔口に喜〕を2字重ねる)

[原文は次のとおり総ルビ]
(……)一連(れん)に四五巡(じゆん)の酒(さけ)を篩(つ)ぎ、竈上(さうじやう)去(よ)り一籠(ろう)の饅頭(まんぢう)を取(と)り來(きた)り、卓子上(たくしじやう)に放在(はうざい)す。兩箇(りやうこ)の公人(こうじん)拏起(だき)し來(きた)りて便(すなは)ち喫(きつ)す。武松(ぶしよう)一箇(こ)を取(と)りて拍開(はくかい)し看了(かんれう)す。叫(よ)び道(い)ふ、酒家(しゆか)、這(こ)の饅頭(まんぢう)は是(これ)人肉的(じんにくてき)か是(これ)狗肉的(くにくてき)か?。那(か)の婦人(ふじん)〓〓笑(わら)ひ道(い)ふ、客官(かくくわん)、笑(わらひ)を取(と)るを要(えう)するを休(や)めよ、清平(せいへい)の世界(せかい)、蕩蕩(たうたう)たる乾坤(けんこん)、那裏(いづく)に人肉的(じんにくてき)饅頭(まんぢう)、狗肉的(くにくてき)滋味(じみ)有(あ)らん、我家(わがいへ)の饅頭(まんぢう)は積祖(せきそ)より黄牛的(くわうぎうてき)なり。
(……)
 我(われ)見(み)る這(こ)の饅頭(まんぢう)の餡(あん)の内(うち)に幾根(いくこん)の毛(け)有(あ)り、一に人(ひと)の小便(せうべん)の處的(ところてき)の毛(け)に像(に)て一般(ぱん)なり、此(ここ)を以(もつ)て疑忌(ぎき)す。
(……)
 這等(かく)肥胖(ひはん)せるは、好(よ)し黄牛肉(くわうぎうにく)と做(な)して賣(う)るに、那(か)の兩箇(りやうこ)の痩蠻山子(さうばんさんし)は只(ただ)好(よ)し水牛肉(すゐぎうにく)と做(な)して賣(う)るに、扛進(かうしん)し去(さ)りて先(ま)づ這厮(こやつ)を開剥(かいはく)せん。
(#〓〓は〔口に喜〕を2字重ねる)

   第二十七回 母夜叉孟州道に人肉を賣り、武都頭十字坡に張青に遇ふ
   幸田露伴=譯註 「國譯水滸傳」(國譯忠義水滸全書 上卷)
   8a.国訳漢文大成 第7巻 文学部第二集(上)
      日本図書センター 2000/09
   8b.國譯漢文大成 第四卷 文學部第二輯
      國民文庫刊行會 1940/02(昭和15)
   8a.8b. の複製。引用は 8b. に拠りました。
 
 
(J9) 岡島 1907
五七碗(わん)篩(つぎ)ければ。又肉包(にくはう)を持(もつ)て座(ざ)上に出ける處に。武松先これを執(とつ)て。二(ふた)つに開(わり)。乃ち其内を看(み)て云けるは。此肉包(にくはう/ニクマンヂウ)は人肉(にく)を用ひぬるや。彼女打咲(わらつ)て曰。客官戲(たわむれ)を云玉ふことなかれ。今の世(よ)に何ぞ人肉の肉包(にくはう/ニクマンヂウ)あらんや。我が家の肉包(にくはう/ニクマンヂウ)は先祖(せんぞ)より牛肉(ぎうにく)を用ひ候ふなり。(……)武松が曰。我此肉包(にくはう/ニクマンヂウ)の内の肉(にく)を見るに。人の頭髪(かみのけ)あり。是に因(よつ)て我これを疑(うたが)ふ。(……)

   第五十四囘 武都頭十字坡遇張青
   〔羅貫中=著〕 岡島冠山=譯編
   『忠義水滸傳(前編)』(前後二冊) 共同出版株式會社 1907(明治40)
 
 
■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

一连筛了四五巡酒,去灶上取一笼馒头来放在桌子上。两个公人拿起来便吃。武松取一个拍开看了,叫道:“酒家,这馒头是人肉的,是狗肉的?”那妇人嘻嘻笑道:“客官,休要取笑。清平世界,荡荡乾坤,那里有人肉的馒头,狗肉的滋味。我家馒头积祖是黄牛的。”
[略]
武松道:“我见这馒头馅内有几根毛——一像人小便处的毛一般,以此疑忌。”
[略]
“这等肥胖,好做黄牛肉卖。那两个瘦蛮子只好做水牛肉卖。扛进去先开剥这厮用!”

   施耐庵 《水浒传》
   第二十六回  母夜叉孟州道卖人肉 武都头十字坡遇张青
   E-text at 百万书库 (millionbook.com)


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

一連篩了四五巡酒,去 上取一籠饅頭來放在桌子上。兩個公人拿起來便喫。武松取一個拍開看了,叫道:『酒家,這饅頭是人肉的,是狗肉的?』那婦人嘻嘻笑道:『客官,休要取笑。清平世界,蕩蕩軟乾坤;那裏有人肉的饅頭,狗肉的滋味。我家饅頭積祖是黃牛的。』
[略]
武松道:『我見這饅頭餡有幾根毛--一像人小便處的毛一般,以此疑忌。』
[略]
『這等肥胖,好做黃牛肉賣。那兩個瘦蠻子只好做水牛肉賣。扛進去先開剝這廝用!』

   施耐庵 《水滸傳》
   第二十六回 母夜叉孟州道賣人肉 武都頭十字坡遇張青
   E-text at 熾天使書城 (angelibrary.com)


■日本語訳と中国語原書の章立て
 Variation of chapter numbers in the Japanese translation and
 the Chinese original

上の引用の出典表示が、それぞれ「第二十六回」であったり「第二十七回」であったり、その他であったり、バラバラなのには理由があります。

水滸伝は、その成立当初から今日にいたるまでのあいだに、「回」の追加、削除、回数の振り直しなどの変遷があります。

中国では、今日いわゆる「七十回本」または「七十一回本」が一般的であるのに対して、日本ではふつう「百二十回本」や「百回本」が読まれ、七十回本はあまり紹介されていません。そのため、原書と訳本の各版のあいだで回数の付け方に、ずれが生じることがあるのです。

   参考:水滸伝の原本 - Wikipedia
 
 
■吉川英治『新・水滸伝』の場合 Shin Suikoden by Eiji Yoshikawa

『三国志』とならんで永年多くの読者に愛されている吉川英治氏の『新・水滸伝』は、いうまでもなく、たいへんすぐれた娯楽作品です。けれども、上に引用したような日本語訳とは、同列にあつかえません。やはり翻訳ではなく、一種の再話と呼ぶべきでしょうか。

   十字坡(じは)の毒苺(どくいちご)は、蛇も食わないよ
   苺酒(いちござけ)は人間の血
   肉饅頭を割ると、亡霊の声がするよ

土地の童(わっぱ)が謡うという、無気味な唄を挿入して、雰囲気を出しているところは、さすがに味があります。しかし、武松と孫二娘(=おかみ)とのあいだの、ある種とぼけたユーモアのただよう会話部分は、はしょってあります。完訳版とくらべると、こういった細部のちがいは、気になってしまいます。でも、そもそも吉川英治作品を、そんなふうに重箱の隅を楊子でほじくるような読み方をすること自体が、そもそもまちがっているのでしょう。

  唄の出典は、
   * 吉川英治 『新・水滸伝(二)』 吉川英治文庫121 講談社 1975/03
  ほかに、
   * 吉川英治 『新・水滸伝(二)』 六興出版 1991/11
   * 吉川英治 『新・水滸伝(二)』 吉川英治歴史時代文庫72 講談社 1989/06
  などもあります。
 
 
■参考 For your information

水滸伝と「人食い」の関係については、たとえば下の本に読みやすい考察があります。

   高島俊男=著 『水滸伝の世界』 八 人を食った話
   単行本:大修館書店 1987/10 文庫:筑摩書房 2001/12
 
 
■英訳、映画、テレビ、マンガなど Translations and adaptations

英訳版、および映画、テレビ、マンガなどの翻案については、下の Wikipedia 各項をご参照ください。

   * Water Margin | Translations - Wikipedia
   * Water Margin | Modern transformations - Wikipedia
 
 
■更新履歴 Change log

2007/12/02 幸田露伴=譯 2000/09, 1940/02 を追加しました。
2007/05/12 杉本達夫+中村愿=訳 1977/06 を追加しました。
2006/12/11 参考の項を新設しました。
2006/12/08 (1) 嵐山光三郎=文(再話)1998/08 を追加しました。
         (2) 吉川英治『新・水滸伝』の場合の項を新設しました。
         (3) 英訳、映画、テレビ、マンガなどの項を新設しました。
2006/11/30 松枝茂夫=編訳 2001/06 および佐藤一郎=訳 1975/03 を
         追加しました。
2006/11/29 佐藤春夫=譯 1952/11 を追加しました。
2006/11/28 吉川幸次郎+清水茂=訳 1998/12、および岡島冠山=譯編
         1907 を追加しました。


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Saturday, 25 November 2006

「首飛ばし族」「首の飛ぶ女」「ろくろ首」「落頭民」(干宝『捜神記』より) The Tribe with Flying Heads (from In Search of the Supernatural: The Written Record) by Bao Gan

 Gallery 1 
中国語原書、英訳版、フランス語訳版 Books in Chinese, English, and French

a. Zh_9787538247916 b. En_9780804725064 c. Fr_9782070727674

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■英訳 Translation into English

In Ch'in times, in the south, there lived the Headfall people whose heads were capable of flying about. This particular tribe conducted sacrifices which they named "Insect Fall," and from that ceremony they took their name.

In Wu times, General Chu Huan took a captive maid from there, and each night when he had fallen asleep, her head would suddenly begin to fly about. It would fly in and out of the dog door or the skylight using its ears as wings; toward dawn it would return to its proper place— and this happened many, many times.

Those around General Chu Huan found this very strange, and late one night they came with torches to observe. They found only the body of the girl, the head being missing. Her body was slightly chilled, and her breathing was labored. They covered the body completely with a counterpane, and near dawn the head returned, only to be balked by the bedcovers. Two or three times it attempted to get under the covers with no success; it finally fell to the floor. The sounds it made were piteous indeed, and the body's breathing became agitated. It appeared to be on the brink of death when the men pulled back the covers, and the head rose again to attach itself to the neck. A short while later, her respiration became tranquil.


■フランス語訳 Translation into French

Sous les Qin, existait dans le sud un peuple appelé les Têtes dispersées. Leur tête pouvait, en effet, s'envoler. Ces gens pratiquaient un type de sacrifices appelés « bêtes dispersées », d'où leur nom. 

A l'époque de Wu, le général d'armée Zhu Huan captura une esclave. Chaque nuit, après s'être couchée, sa tête la quittait en s'en volant; passant parfois dans le trou réservé aux chiens, parfois sortant ou rentrant par une lucarne; ses oreilles faisaient office d'ailes. Quand l'aube était sur le point de blanchir, elle revenait à sa place.

Cela dura un certain temps, mais son compagnon soupçonna quelque étrangeté. Au beau milieu de la nuit, il scruta sa couche et n'y vit qu'un corps sans tête. Ce corps était presque froid et le souffle de la respiration en était absent en permanence. Il le recouvrit d'une couverture. Mais quand l'aube parut, la tête revint. Empêchée par ce couvre-lit, elle ne trouva pas le repos : à deux ou trois reprises, elle tomba à terre en criant de douleur et de colère, gagnée par l'inquiétude. Ses souffles corporels furent pris d'une agitation extrême, donnant l'impression d'être sur le point de trépasser. La couverture ôtée, la tête se releva et vint se rattacher au cou. En peu de temps, elle retrouva son calme.


 Gallery 2 
日本語訳各種 Various translations in Japanese

a. 200611_sano_soushinki_meijishoin  b. 200608_chugoku_kaiki_shousetsushu_n  c. Okamoto_frontier_nisen

d. 2004_soushinki_hakuteisha  e. 2000_soushinki_heibonsha_library  f. 1964_soushinki_toyobunko
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■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 佐野 2006
秦の時代のこと。南方に落頭民(らくとうみん)という種族がいた。落頭民の首は空を飛ぶことができた。その人達には「虫落」という祭りがあったため、そこから、この名前がつけられた。

呉の時代のこと。将軍の朱桓(しゅかん)は一人の婢を雇った。毎晩、夜寝た後、婢
の首が飛んで行ってしまう。あるときはイヌくぐりから、またあるときは、天窓から出入りし、耳が翼の代わりをしていた。夜が明けようとする頃になると首が戻ってくるのだった。このようなことがたびたびあり、周りの人は不審に思った。夜中に婢を照らしてみると、ただ首から下の胴体だけがあり、頭部がなかった。体はすこし冷たくなっていて、呼吸もかすかだった。そこで、体に布団をかぶせておいた。明け方に、首が帰ってきたところ、布団に遮られ、合体できなかった。首は二三度近づいては離れ、床に落ちて、悲しげにうめいた。呼吸も荒くなり、今にも死にそうなようすだった。そこで、布団をはがすと、首は再び起きあがり、首の付け根と繋がった。しばらくたつと落ち着いた。(『捜神記』巻12-306、『博物誌』巻3-101)


(J2) 前野 1959, 竹田 1964
秦のころ、南方に「落頭民」という部族があった。その人々は首だけが飛ぶのである。部族には祭りの儀式があって、それを虫落と呼ぶために、この名前がつけられた。

三国の呉の時代に、将軍の朱桓(かん)がひとりの女中をやとったが、毎晩寝たあとで、その首が飛んで行ってしまう。時には犬くぐり(注)、時には天窓から出入りするのであって、耳を翼にして飛ぶ。夜明けが近づくと帰って来るのである。こんなことが何度もあったので、わきに寝ている者が不審を抱き、夜中にあかりをつけて見たら、胴体だけで首がなかった。からだはいくらか冷たくなっており、息はどうやら通っている程度である。そこで蒲団をかぶせておくと、明け方になって首が帰って来た。しかし蒲団に邪魔されて胴体につくことができず、二、三度近づいては離れたのち、地上に落ちしまった。そして、悲しそうに溜息をつき、息づかいもたいそう荒くなり、今にも死にそうな様子に見える。そこで蒲団をどけてやると、首はまた飛びあがって、頸(くび)のつけ根についた。そしてまもなく、すやすやと寝息を立て始めた。

(注) 犬くぐり 壁や垣根の下部に穴をあけ、夜間でも犬が出入りできるようにしてあるもの。

  • 前野氏は下の b. 全集版の訳を、弟子である竹田氏に譲渡した。そのため、竹田氏はこれを a. 東洋文庫版に竹田訳として再録した。

(J3) 岡本 1935, 1978, etc.
秦(しん)の時代に、南方に落頭民(らくとうみん)という人種があった。その頭(かしら)がよく飛ぶのである。その人種の集落に祭りがあって、それを虫落(ちゅうらく)という。その虫落にちなんで、落頭民と呼ばれるようになったのである。

呉(ご)の将、朱桓(しゅかん)という将軍がひとりの下婢(かひ)を置いたが、その女は夜中に睡(ねむ)ると首がぬけ出して、あるいは狗竇(いぬくぐり)から、あるいは窓から出てゆく。その飛ぶときは耳をもって翼(つばさ)とするらしい。そばに寝ている者が怪しんで、夜中にその寝床を照らして視(み)ると、ただその胴体があるばかりで首が無い。からだも常よりは少しく冷たい。そこで、その胴体に衾(よぎ)をきせて置くと、夜あけに首が舞い戻って来ても、衾にささえられて胴に戻ることが出来ないので、首は幾たびか地に堕(お)ちて、その息づかいも苦しく忙(せわ)しく、今にも死んでしまいそうに見えるので、あわてて衾を取りのけてやると、首はとどこおりなく元に戻った。 


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

秦时,南方有“落头民”,其头能飞。其种人部有祭祀,号曰“虫落”,故因取名焉,吴时,将军朱桓,得一婢,每夜卧后,头辄飞去。或从狗窦,或从天窗中出入,以耳为翼,将晓,复还。数数如此,傍人怪之,夜中照视,唯有身无头,其体微冷,气息裁属。乃蒙之以被。至晓,头还,碍被不得安,两三度,堕地。噫咤甚愁,体气甚急,状若将死。乃去被,头复起,傅颈。有顷,和平。

  • 干宝 《搜神记》 第十二卷
  • E-text at 维基文库 (Wikisource)

■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

秦時,南方有「落頭民,」其頭能飛。其種人部有祭祀,號曰「蟲落,」 故因取名焉,吳時,將軍朱桓,得一婢,每夜臥後,頭輒飛去。或從狗竇 ,或從天窗中出入,以耳為翼,將曉,復還。數數如此,傍人怪之,夜中照視,唯有身無頭,其體微冷,氣息裁屬。乃蒙之以被。至曉,頭還,礙被不得安,兩三度,墮地。噫吒甚愁,體氣甚急,狀若將死。乃去被,頭復起,傅頸。有頃,和平。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/05/01 英訳、フランス語訳、簡体字中国語原文、および表紙画像を追加しました。また、「参考」の項を「外部リンク」と改め、リンクを追加しました。
  • 2013/11/15 岡本綺堂=訳の書誌情報を修正・補足しました。
  • 2007/12/09 佐野誠子=著 2006/11 を追加しました。また、この記事のタイトルを「首の飛ぶ女 - 干宝『捜神記』」から「「首飛ばし族」「首の飛ぶ女」「ろくろ首」「落頭民」(干宝『捜神記』より)」に変更しました。

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■和書 Books in Japanese

  

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Wednesday, 22 November 2006

Unbeaten Tracks in Japan by Isabella L. Bird (1) イザベラ・バード/イサベラ・バード 『日本奥地紀行』『イザベラ・バードの日本紀行』 (1)

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           目次 Table of Contents

    Images  本の表紙と肖像写真 Book covers and a portrait
   ■イザベラ・バードとは? Who is Isabella L. Bird?
   ■複数ある邦訳と邦題、ならびに著者名の日本語表記について
    On differences among editions and titles of Japanese translations
    as well as transliteration of the author's name
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 金坂 2012
     (J2) 時岡 2008
     (J3) 高梨 1973, 2000
    Audio  英語原書朗読 第1信 Audiobook, Letter 1
   ■英語原文+朗読音声 Audio_button_icon_2 The original text in English with audio Audio_button_icon_2
   ■tomoki y.によるコメント Comments by tomoki y.
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


 Images 
本の表紙と肖像写真 Book covers and a portrait

a. Jpn94 b. Isabella_l_bird


■イザベラ・バードとは? Who is Isabella L. Bird?

イザベラ・バード (1831-1904) はイギリスの女性旅行家。オーストラリア、北米、アジアなど、世界各地を旅行。日本へは1878(明治11)年5月に来訪。横浜に上陸し、同年12月に横浜から離日するまで丸7か月間の滞在中に、東京から北海道や京都・伊勢方面まで足をのばした。彼女がスコットランドにいる妹へ書き送った手紙をもとにまとめられた本が、下に引用する "Unbeaten Tracks in Japan"。


■複数ある邦訳と邦題、ならびに著者名の日本語表記について
 On Japanese translations and their titles as well as transliteration
 of the author's name

従来、高梨健吉氏による『日本奥地紀行』という邦題で知られていたが、2008年に出た時岡敬子氏による新訳では『イザベラ・バードの日本紀行』となっている。高梨訳は版によっては、ファーストネームを「イサベラ」と表記している。また、2012年3月に刊行が始まり2013年3月に完結した金坂清則氏による全4巻の完訳版は高梨氏訳を踏襲して『日本奥地紀行』と題されている。


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 金坂 2012
第一報 第一印象
五月二一日[火曜日] 横浜 オリエンタルホテルにて

[略]上陸してまず印象的だったのは浮浪者が一人もおらず、通りにいる男たちが、小柄で、不恰好で、顔は人が良さそうだがしわくちゃで貧相で、蟹股(がにまた)で、猫背で、胸がへこんだように見えるものの、みな自分の仕事をもっていることだった。上陸用の階段をあがった所に屋台[挿絵]が一つあった。小ぎれいで、実にこぢんまりとまとまり、炭火を使う七輪(しちりん)と調理器具と食器が揃っていた。ただ、あたかも人形が人形のために作ったものであるかのように見えた。屋台の男の背丈も五フィート[一五二センチ]に届かず、小人のようだった。[……]


(J2) 時岡 2008
第一信
五月二一日、横浜、オリエンタル・ホテルにて

[略]上陸してつぎにわたしが感心したのは、浮浪者がひとりもいないこと、そして通りで見かける小柄で、醜くて、親切そうで、しなびていて、がに股で、猫背で、胸のへこんだ貧相な人々には、全員それぞれ気にかけるべきなんらかの自分の仕事というものがあったことです。上陸用の段々を上がったところには、移動のできるレストラン[屋台]があり、これはとてもコンパクトにまとまった案配のいいもので、七輪、調理器具と食器の一切が備わっています。ただし人形のために人形がつくったように見え、これの持ち主である小人は身長が五フィート[約一五二センチ]ないのです。[略]

  • イザベラ・バード=著 時岡敬子(ときおか・けいこ)=訳 『イザベラ・バードの日本紀行(上)』(全2冊) 講談社学術文庫 2008-04-10
  • 原書: Unbeaten Tracks in Japan: An Account of Travels in the Interior, Including Visits to the Aborigines of Yezo and the Shrines of Nikkô and Isé, by Isabella L. Bird, with Maps and Illustrations, London, John Murray, Albermarle Street, 1880.

(J3) 高梨 1973, 2000
第一信
横浜 オリエンタル・ホテル 五月二十一日

[略]上陸して最初に私の受けた印象は、浮浪者が一人もいないことであった。街頭には、小柄で、醜くしなびて、がにまたで、猫背で、胸は凹み、貧相だが優しそうな顔をした連中がいたが、いずれもみな自分の仕事をもっていた。桟橋の上に屋台が出ていた。これは、こぎれいで、こじんまりとした簡易食堂で、火鉢があり、料理道具や食器類がそろっていた。それは人形が人形のために作ったという感じのもので、店をやっている男も五フィートたらずの一寸法師であった。[略]

  • イサベラ・バード=著 高梨健吉(たかなし・けんきち)=訳

 Audio 
英語原書オーディオブック(朗読) 第1信
Unbeaten Tracks In Japan, Letter I. Audiobook read by Availle

Uploaded to YouTube by FULL audio books for everyone on 15 Jul 2013. Audio courtesy of LibriVox.


■英語原文+朗読音声(Audio_button_icon_2 をクリック)
 The original text in English (Click Audio_button_icon_2 for the recording)

Audio_button_icon_3 LETTER I

ORIENTAL HOTEL, YOKOHAMA, May 21.

[Omission] Audio_button_icon_4 The first thing that impressed me on landing was that there were no loafers, and that all the small, ugly, kindly-looking, shrivelled, bandy-legged, round-shouldered, concave-chested, poor-looking beings in the streets had some affairs of their own to mind. At the top of the landing-steps there was a portable restaurant, a neat and most compact thing, with charcoal stove, cooking and eating utensils complete; but it looked as if it were made by and for dolls, and the mannikin who kept it was not five feet high. [Omission]


■tomoki y.によるコメント Comments by tomoki y.

イザベラ・バードが横浜に上陸したのは、130年まえの5月末。

バードは日本人の身体的特徴についてボロクソに描写している。金坂訳と時岡訳の「小人」はコドモではなく、コビトと読むはず。高梨訳の「一寸法師」という表現もすごい。その後、日本人の体格は、かなり向上した。とはいえ、いまでもわが同胞が欧米人より一般に小柄なのは事実だ。

ニッポン文化の大きな特徴のひとつで、130年まえも今も、変わらないこと。そして、130年まえも今も、外国人が感心すること。それは、ケータイ文化だ。屋台のことをバードは「ポータブル・レストラン」と表現している。直訳すれば、まさに携帯レストラン。上陸初日についての、わずか数行の描写のなかに早くも、するどい観察眼が発揮されている。このイギリス人のおばちゃん、えらいよ。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013-10-10 「はじめに」の項でバードの滞日期間について誤った記述をしてしまっていたことに気づいたので、訂正しました。 
  • 2013-09-16 金坂清則=訳注の全4巻の刊行が完結したのに伴い、記述を修正・補足しました。また、外部リンクを追加しました。
  • 2013-09-14 オーディオブックの YouTube 画面を追加し、本文にも録音へのリンクを張りました。
  • 2012-12-21 金坂清則=訳注 2012-03-21 を追加しました。
  • 2008-05-26 時岡敬子=訳 2008-04 の訳文を挿入しました。また、tomoki y.によるコメントの項を新設しました。
  • 2008-05-14 時岡敬子=訳 2008-04 についての書誌情報を挿入しました。訳文は追って挿入するつもりです。

 

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Monday, 20 November 2006

A Modest Proposal by Jonathan Swift スウィフト 「慎ましき提案」「ささやかな提案」「つつましい提案」「ある控え目な提案」

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
  Video   A Modest Proposal by $trick9 and the Truth
【警告! Warning! 】
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 原田 2015
  (J2) 柴田 2011
  (J3) SOGO 2001
  (J4) 田中 1986
  (J5) 平井 1968, 2007
  (J6) 山本 1968
  (J7) 深町 1950, 1988
  (J8) 夏目 1909, 1995
 The Book 
■ロシア語訳 Translation into Russian
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 1  英語原文の朗読: Mr. Frerking Audiobook read by Mr. Frerking
 Audio 2  英語原文の朗読: クリス・シュルツ Audiobook read by Chris Schultz
 Audio 3  英語原文の朗読: ジョン・ゴンザレス Audiobook read by John Gonzales
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

『ガリヴァー旅行記』の作者が、祖国アイルランドの貧困について書いた、痛烈でグロテスクな皮肉。


  Video  
A Modest Proposal by $trick9 and the Truth

スウィフトの痛烈な皮肉を現代に置き換えたヒップホップ版「つつましい提案」。アルバム 『Mother Earth』 に収録。iTunes からダウンロード購入可能。 Uploaded by yostrick9 on Mar 25, 2006. A Modest Proposal, in the album Mother Earth by $trick9 and the Truth, is available from iTunes.


【警告! Warning! 】
以下の引用は、あなたに不快感を催させるかもしれません。
とくにお食事前の方は、読むのを控えたほうがよいかもしれません。


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 原田 2015
ロンドンにいる私の知己で、いろいろなことをとてもよく知っているアメリカ人がいる。この人物によれば、大事に育てられた一歳になる健康な幼児は、たいへんおいしく、滋養にも優れ、実に結構な健康食品であり、シチューにしても炙っても焼いても煮てもよいそうである。フリカッセもしくはラグー〔いずれもシチューのような煮込み料理〕に相当すると言ってもよかろう。

それゆえ私がここで控えめながらも広くお考えいただきたいと思っていることは、次の通りである。すなわち、先に計算した一二万人の子供たちのうち、二万人は子孫のために残す。(略) そして残る一◯万人については、一歳になったならば、王国を通じて、身分も財産もある人々に売られていくということにする。母親たちには、特に最後のひと月はたっぷりと乳を飲ませ、丸々と太らせて食卓に提供できるよう常に留意させる。友人をもてなす場合、幼児一人で料理は二つできる。家族だけで食べようとする場合、まずは両手両足だけで十分であろう。残りは胡椒ないしは塩をちょっとふって味付けをし、四日目に煮て食べるのがよいだろう。特に冬場は最高だ。

  • ジョナサン・スウィフト=著 原田範行(はらだ・のりゆき)=訳 「慎ましき提案 アイルランドにおける貧民の子供たちが親や国の重荷とならぬようにするために、彼らが公益に資するようにするために。一七二九年執筆」 原田範行=編訳 『召使心得 他四篇 スウィフト諷刺論集』 平凡社ライブラリー 2015-01-10

(J2) 柴田 2011
小生の知人で、ロンドンに住む非常な物知りのアメリカ人が請けあったところによると、健康な子供は、十分乳を与えられていれば、一歳時にはこの上なく美味で、栄養も豊富、体によい食材であって、煮る、焙(あぶ)る、焼く、茹でる等いかようにも料理できるといい、小生個人としては蒸焼(フリカッセ)、煮込(ラグー)も等しく有望と信じる。

そこで、ここにおいて提示申し上げる案を、読者諸兄にご検討いただければと思う。まず、すでに計算した十二万の子供のなかで、二万は繁殖に供すべく残す。(略) 残った十万人を、一歳になった時点で、国中の、地位も資産もある方々に向けて売りに出すのである。その際、母親にはつねに、最後の一か月は、たっぷり乳を与え、よき食事となるべくぽっちゃり太らせておくよう促す。子供一体あれば、知人を招いての会食なら料理が二品出来る。家族のみの食事であれば、頭や尻の四分の一でまっとうな一品となろうし、若干の塩か胡椒で味付けて茹でれば(特に冬は)四日目でも十分美味であろう。


(J3) SOGO 2001
私はかつて、ロンドンで知り合った非常に物知りなアメリカ人から話を聞いたことがある。彼曰く、よく世話された健康な赤ん坊は、丸一歳を迎えると、とてもおいしく、滋養のある食物になるそうだ。シチューにしても、焼いてもあぶっても茹でてもいいとのことだった。たぶんフリカシーやラグー[#注二]にしてもいけるだろうと思う。

それゆえ、私は諸君に以下のことを考えていただこうと思っている。すでに計算した子供十二万人のうち、二万人を繁殖用に残しておく。(略) 残りの十万人は、満一歳になったら、国中の貴族や富豪に売りつける。母親に言い含めて、最後の一月にはたっぷりお乳を吸わせ、まるまると太らせて、どんな立派な献立にも出せるようにしておくことが肝要である。友人へのもてなしには子供一人で二皿分作ることができる。もし家族だけで食べるなら、四分の一もあればリーズナブルな料理となろう。塩か胡椒で少し味付けして、殺してから四日目に茹でればいい料理になるだろう。冬には特に十分煮込む必要がある。

   [#注二]ともに料理の名前。肉を細切りにし、フライやシチューにして、
   ソースをかけたもの。フリカシーの方は鶏、小鳥、兎などの肉を主として
   用いる。

  • スウィフト ジョナサン=作 SOGO=訳(責任編集) 「アイルランドにおける貧民の子女が、その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案」 Copyright (C) 2001 by SOGO_e-text_library
  • E-text at 青空文庫 プロジェクト杉田玄白正式参加テキスト

(J4) 田中 1986
これは、ロンドンに住む私の知り合いで、物知りのアメリカ人からしかと聞いたことであるが、発育の良い、幼くて健康な子供は、一歳になると、非常にうまい、栄養たっぷりの、健全な食べ物になるのだそうである。シチューにしても、油で焼いても、あぶっても、煮てもいいのだという。そして疑いなく、フリカッセやラグーにしても十分用を足すに違いなかろう。

そこで、ここに謹んで皆さんにご考慮ねがいたいことがある。すでに算出した十二万人の子供のうち、二万人は種族保存のために取っておく方がよかろう。(略) 残りの十万人を、一歳で国中の貴人や金持ちの方々に売り込むのである。そうして母親たちには、最後の一か月の間はたっぷり乳を呑ませるように始終説き聞かせる。彼らを丸々と太らせてから食用に供するためである。子供一人で、友人の歓待用の二皿ぐらいにはなるだろう。それに家族だけで食事する時には、前後の四半分もあればけっこうましな料理になるし、こしょうや塩で少々味つけし、殺してから四日ぐらい経って茹(ゆ)でれば非常に美味になる。特に冬がいいということである。

  • スウィフト=著 田中光夫(たなか・みつお)=訳 「ある控え目な提案」 『スウィフト小品集』 山口書店 1986/11/25

(J5) 平井 1968, 2007
わたしの知人のあるアメリカの青年は、とても物知りの男だが、ロンドンでわたしに保証した。十分健康で、栄養のよくとれた幼児は、一歳の時には、煮ても焼いても、蒸煮にしても、天火にかけても、美味で、とても栄養があり、とても健康によい食物だと。そしてわたしは同じように、フリカセ・シチューにも、あるいはラグー・シチュー[訳注]にも使いうることを疑わない。

そこでわたしはつつましやかに計画を述べて、公衆の考察にまかせたい。以上算出された十二万の子供のうち、二万は種の繁殖のためにのこしておいてよい。(略) 残る十万の子供は、一歳のときに、王国全体の上流の人々や財産家たちに売り立てられることができる。ただいつでも、母親に、知らせておくのだ。最後の月には、どっさりとかれらに乳をやっておき、子供たちをまるまると肥えふとらせて、よい食物となるようにしておくようにと。一人の子供は、友人を招いての食事の席で、二人前の料理となるだろう。家族だけで食事する時には、身体の前半分、あるいは後半分は、すこし胡椒と塩をふりかければ、恰好の、なかなか乙な料理となり、四日目に、冬などは特に、ゆで肉にすれば、たいへん結構な味わいとなろう。

   [訳注]フリカセは細切り肉のシチュー料理。ラグーは胡椒を多く加え、
   野菜を煮込んだシチュー料理。

  • ジョナサン・スウィフト=著 平井照敏(ひらい・てるとし)=訳 「アイルランドの貪民の子供たちが その両親あるいは郷国に負担とならず、公衆にたいして有益なものとなるためのつつましい提案」 アンドレ・ブルトン=編著 山中散生+窪田般弥+小海永二(ほか)=訳
  • a. は b. を底本として、新たに編集を加えたもの。引用は a. 河出文庫版に拠りました。

(J6) 山本 1968
私がロンドンで知りあいになった大層物知りのアメリカ人がはっきり言ったことだが、ちゃんと育てられた健康な子供は、一歳の時が、極めて美味で滋養にとみ、健康によい食物で、シチューによく、焙ってよく、焼いてよく、煮てよいそうである。さらにまた、フリカッセにしてもラグーにしてもいいだろうと私は確信する。

そこでどうか次の提案を御考察いただきたい。上に算出せる十二万のうち二万を繁殖用に残す。(略) 残った分は一歳になった時に、全国の貴族や富豪に売りつけることができよう。母親には忠告して、最後の一月にはたっぷり乳を飲ませて、子供が立派な献立にむくように丸々肥らせる。友人の歓待には、子供一人で二品できる。家族だけの食事であれば、頭や尻の四分の一だけでかなりの料理になる。少量の胡椒か塩で味つけし、四日目に茹でるとおおいによろしい。冬は殊更である。

  • ジョナサン・スウィフト=著 山本和平(やまもと・わへい)=訳 「アイルランドの貪民の子供たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案」 『書物合戦・ドレイピア書簡 ほか3編』 古典文庫 現代思潮社 1968/06

(J7) 深町 1950, 1988
ロンドンで知合になった大變物識のアメリカ人の話によると、よく育った健康な赤ん坊は丸一歳になると、大變美味(うま)い滋養のある食物になる。スチューにしても焼いても炙(あぶ)っても茹(ゆ)でてもいいそうだが、フリカシーやラグーにしてもやはり結構だろうと思う。

それ故、以下私見を述べて大方の御考慮を煩わす次第である。先に計算した十二萬の子供の中二萬は子孫繁殖用に保留しておく(略) 殘った十萬を丸一歳になったら國中の貴族、富豪に賣りつける。母親に忠告して、最後の一月(ひとつき)はたっぷり乳を飲ませ、どんな立派なお獻立にも出せるように丸々と肥らしておくことが肝要である。友人を招待するなら赤ん坊一人で二品の料理が出來る。家族だけなら、頭の方でも脚の方でも四半分で相當の料理が出來る。少量の胡椒、鹽で味をつけ、殺してから四日目に茹(ゆ)でると丁度よい、特に冬分はそうである。

  • スウィフト=作 深町弘三(ふかまち・こうぞう)=訳 「貧家の子女がその兩親並びに祖國にとっての重荷となることを防止し、且社會に對して有用ならしめんとする方法についての私案」
  • a. は b. を底本にして、旧字を新字に改めたもの。引用は b. 岩波文庫版に拠りました。

(J8) 夏目 1909, 1995
余は嘗(かつ)て倫敦(ロンドン)で懇意に成つた物識りの亜米利加(アメリカ)人から、当才位の赤ん坊は健全でよく育つてさへ居れば、スチユーにしても、焼いても、炙(あぶ)つても茹(ゆで)ても実に美味(うま)いもので、滋養分に富んで居るといふことを聞いたことがあるが、フリカシーやラグーにしてもかなり喰へるだらうと思ふ。

そこで余は謹んで世人の一顧を煩はしたい。外でもないが、今計算致した児童十二万の中で、二万人だけは子孫繁殖の為に残して置いても宜(よろ)しいとする。(略) 偖(さ)て自余の十万人をば、一歳位生長したところで、国中の貴族又は富豪へ売附ける。それには母親に忠告して、その一箇月位前から乳を沢山に呑ませて、立派な献立てにも出せるやうに肥(ふと)らせて置く必要がある。もし友人を招待するなら小児一人で二皿位は出来る。家族だけなら胴の方でも足の方でも構はない、四半分で沢山である。それから胡椒と塩で味を附けて殺してから四日目位に茹(ゆで)ると丁度好い、冬は尚更(なおさら)然(そ)うである。

  • スウィフト=作 夏目漱石=訳 「愛蘭土(アイルランド)に於ける貧家の児女の両親及び国家に負担と成ることを除き、彼等をして社会に有用の材たらしめんとする卑見」
    • 夏目金之助=著 『漱石全集15 文学評論』(全28巻・別巻1) 岩波書店 1995/06 第四編 スヰフトと厭世文学 『ガリヷー旅行記』
    • 夏目金之助=著 『文学評論』 春陽堂 1909/03(明治42)
  • a. の底本は b.。b. は漱石が東京帝国大学文科大学で行なった「講義」を「訂正」「書き直し」て出版したもの。引用は a. 漱石全集版に拠りました。

 The Book 

A_modest_proposal
A Modest Proposal and Other Prose (Library of Essential Reading Series)
by Jonathan Swift, Lewis C. Daly (Introduction)
Image source: Barnes & Noble.com


■ロシア語訳 Translation into Russian

Один очень образованный американец, с которым я познакомился в Лондоне, уверял меня, что маленький здоровый годовалый младенец, за которым был надлежащий уход, представляет собою в высшей степени восхитительное, питательное и полезное для здоровья кушанье, независимо от того, приготовлено оно в тушеном, жареном, печеном или вареном виде. Я не сомневаюсь, что он так же превосходно подойдет и для фрикассе или рагу.

Я беру на себя смелость просить всех обратить внимание и на то обстоятельство, что из учтенных нами ста двадцати тысяч детей двадцать тысяч можно сохранить для дальнейшего воспроизведения потомства, [Omission] Остальные же сто тысяч, достигнув одного года, могут продаваться знатным и богатым лицам по всей стране. Следует только рекомендовать матерям обильно кормить их грудью в течение последнего месяца, с тем чтобы младенцы сделались упитанными и жирными и хорошо годились бы в кушанье для изысканного стола. Из одного ребенка можно приготовить два блюда на обед, если приглашены гости; если же семья обедает одна, то передняя или задняя часть младенца будет вполне приемлемым блюдом, а если еще приправить его немного перцем или солью, то можно с успехом употреблять его в пищу даже на четвертый день, особенно зимою.

  • Джонатан Свифт. Скромное предложение, имеющее целью не допустить, чтобы дети бедняков в Ирландии были в тягость своим родителям или своей родине, и, напротив, сделать ихzполезными для общества 
  • E-text at Инвалиды ума или Снимая маски (на минуту)

■イタリア語訳 Translation into Italian

Un Americano, mia conoscenza di Londra, uomo molto istruito, mi ha assicurato che un infante sano e ben allattato all’età di un anno è il cibo piú delizioso, sano e nutriente che si possa trovare, sia in umido, sia arrosto, al forno, o lessato; ed io non dubito che possa fare lo stesso ottimo servizio in fricassea o al ragú.

Espongo allora alla considerazione del pubblico che, dei centoventimila bambini già calcolati, ventimila possono essere riservati alla riproduzione della specie, [Omission] I rimanenti centomila, all’età di un anno potranno essere messi in vendita a persone di qualità e di censo in tutto il Regno, avendo cura di avvertire la madre di farli poppare abbondantemente l’ultimo mese, in modo da renderli rotondetti e paffutelli, pronti per una buona tavola. Un bambino renderà due piatti per un ricevimento di amici; quando la famiglia pranzerà da sola, il quarto anteriore o posteriore sarà un piatto di ragionevoli dimensioni e, stagionato, con un po’ di pepe e sale, sarà ottimo bollito al quarto giorno, specialmente d’inverno.


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Eu tenho sido assegurada por um americano muito saber do meu conhecimento, em Londres, que uma criança saudável e bem nutrido é menos um ano de idade um alimento mais delicioso, nutritivo e saudável, seja cozido, assado, cozido ou cozido; e eu faço nenhuma dúvida de que ele vai igualmente servir em um fricassé ou um ragu.

Faço, portanto, humildemente ofereço a consideração pública do que cento e vinte mil crianças já computados, 20.000 podem ser reservados para a raça, [Omission] Que os restantes cem mil pode, em um ano de idade, ser oferecidos na venda para as pessoas de qualidade e fortuna através do reino, sempre aconselhando a mãe a deixá-los sugar abundantemente no último mês, de modo a torná-los gordo e gordura para uma boa mesa. A criança vai fazer dois pratos em um entretenimento para os amigos, e quando a família janta sozinha, a frente ou de traseira trimestre vai fazer um prato razoável, e temperado com um pouco de pimenta ou sal será muito bom fervido no quarto dia, especialmente em inverno.

  • Uma proposta modesta: Para impedir que os filhos das pessoas pobres da Irlanda sejam um fardo para os seus progenitores ou para o país, e para torná-los proveitosos ao interesse público by Jonathan Swift
  • E-text at Maneco Retalhando

■スペイン語訳 Translation into Spanish

Me ha asegurado un americano muy entendido que conozco en Londres, que un tierno niño sano y bien criado constituye al año de edad el alimento más delicioso, nutritivo y saludable, ya sea estofado, asado, al horno o hervido; y no dudo que servirá igualmente en un fricasé o un ragout.

Ofrezco por lo tanto humildemente a la consideración del público que de los ciento veinte mil niños ya calculados, veinte mil se reserven para la reproducción, [Omission]  De manera que los cien mil restantes pueden, al año de edad, ser ofrecidos en venta a las personas de calidad y fortuna del reino; aconsejando siempre a las madres que los amamanten copiosamente durante el último mes, a fin de ponerlos regordetes y mantecosos para una buena mesa. Un niño llenará dos fuentes en una comida para los amigos; y cuando la familia cene sola, el cuarto delantero o trasero constituirá un plato razonable, y sazonado con un poco de pimienta o de sal después de hervirlo resultará muy bueno hasta el cuarto día, especialmente en invierno.

  • Una modesta proposición para prevenir que los niños de los pobres de Irlanda sean una carga para sus padres o el país, y para hacerlos útiles al público by Jonathan Swift
  • E-text at Valdeperrillos.com

■フランス語訳 Translation into French

«J'ai été assuré par un Américain de ma connaissance à Londres, homme très capable, qu'un jeune enfant bien portant, bien nourri, est, à l'âge d'un an, une nourriture tout à fait délicieuse, substantielle et saine, rôti ou bouilli, à l'étuvée ou au four; et je ne doute pas qu'il ne puisse servir également en fricassée ou en ragoût.

«Je prie donc humblement le public de considérer que des cent vingt mille enfants, on en pourrait réserver vingt mille pour la reproduction de l'espèce, [Omission] et que les cent mille autres pourraient, à l'âge d'un an, être offerts en vente aux personnes de qualité et de fortune dans tout le royaume, la mère étant toujours avertie de les faire téter abondamment le dernier mois, de façon à les rendre charnus et gras pour les bonnes tables. Un enfant ferait deux plats dans un repas d'amis; quand la famille dîne seule, le train de devant ou de derrière ferait un plat très raisonnable; assaisonné avec un peu de poivre et de sel, il serait très bon, bouilli, le quatrième jour, particulièrement en hiver.


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック—— Mr. Frerking による朗読
Audiobook in original English read by Mr. Frerking

下に引用する箇所の朗読は 5:06 から。 Uploaded to YouTube by FULL audio books for everyone on 4 Nov 2012. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 5:06.


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック——クリス・シュルツによる朗読
Audiobook in original English read by Chris Schultz

下に引用する箇所の朗読は 4:25 から。 Uploaded to YouTube by XanthusKidd on 11 Apr 2012. Reading of the excerpt below starts at 4:25.


 Audio 3 
英語原文のオーディオブック——ジョン・ゴンザレスによる朗読
Audiobook in original English read by John Gonzales

下に引用する箇所の朗読は 6:39 から。 Uploaded to YouTube by audiobooksfree on 30 Sep 2011. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 6:39.


■英語原文 The original text in English

I have been assured by a very knowing American of my acquaintance in London, that a young healthy child well nursed, is, at a year old, a most delicious nourishing and wholesome food, whether stewed, roasted, baked, or boiled; and I make no doubt that it will equally serve in a fricasie, or a ragoust.

I do therefore humbly offer it to publick consideration, that of the hundred and twenty thousand children, already computed, twenty thousand may be reserved for breed [Omission]  That the remaining hundred thousand may, at a year old, be offered in sale to the persons of quality and fortune, through the kingdom, always advising the mother to let them suck plentifully in the last month, so as to render them plump, and fat for a good table. A child will make two dishes at an entertainment for friends, and when the family dines alone, the fore or hind quarter will make a reasonable dish, and seasoned with a little pepper or salt, will be very good boiled on the fourth day, especially in winter.


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  • 「アイルランドにおける貧民の子女が、その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案」
                                   SOGO, 2001
  • 「アイルランドの貧しい人びとの子供を、その両親と国家の負担となることより防ぎ、かえって彼らをして社会に有益なものたらしめるためになされた、ある控え目な提案」
                                   田中 1986
  • 「アイルランドの貪民の子供たちが その両親あるいは郷国に負担とならず、公衆にたいして有益なものとなるためのつつましい提案」
                                   平井 1968, 2007
  • 「アイルランドの貪民の子供たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案」
                                   山本 1968
  • 「愛蘭土(アイルランド)に於ける貧家の児女の両親及び国家に負担と成ることを除き、彼等をして社会に有用の材たらしめんとする卑見」
                                   夏目 1909, 1995
  • 「貧家の子女がその兩親並びに祖國にとっての重荷となることを防止し、且社會に對して有用ならしめんとする方法についての私案」
                                   深町 1950, 1988
  • 「貧民の子が両親や国の重荷となるを防ぎ公共の益となるためのささやかな提案」
                                   柴田 2011
  • 「慎ましき提案
    アイルランドにおける貧民の子供たちが親や国の重荷とならぬようにするために、彼らが公益に資するようにするために」
                                   原田 2015

■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016/03/06 原田範行=訳 2015-01-10 を追加しました。
  • 2013/07/31 目次を新設しました。
  • 2013/03/27 エミリー・フォーゲルによる朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/10/08 2種類の英語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/07/16 ロシア語訳とポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/07/03 柴田元幸=訳 2011-04-20 の訳文を挿入しました。また、イタリア語訳を追加しました。
  • 2011/06/29 「はじめに」の項を新設しました。また、柴田元幸=訳 2011-04-20 の書誌情報を追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。さらに、ブログ記事のタイトルに邦題「ささやかな提案」を追加しました。
  • 2011/05/23 スペイン語訳を追加しました。
  • 2011/04/04 田中光夫=訳 1986/11/25 を追加しました。また、「邦題の異同」の項を新設しました。さらに、ブログ記事のタイトルに邦題「ある控え目な提案」を追加しました。
  • 2011/02/02 フランス語訳を追加しました。
  • 2010/06/20 $trick9 and the Truth によるヒップホップ版 A Modest Proposal の YouTube 動画を追加しました。
  • 2006/02/10 平井照敏=訳 2007/08 を追加しました。
  • 2006/11/28 山本和平=訳 1968/06 を追加しました。

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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) A Modest Proposal

(2) Jonathan Swift

■和書 Books in Japanese
(1) 「書物合戦」

(2) 「奴婢訓」

(3) ジョナサン・スウィフト

  

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Today is a very good day to die (from Many Winters) by Nancy Wood ナンシー・ウッド 「今日は死ぬのにもってこいの日だ」

 Video 
Quotes from Many Winters by Nancy Wood, music by Mark McKenzie

Uploaded to YouTube by MerhlinsPlace on 29 Mar 2013.


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) A-J-F
今日は死ぬのにとてもよい日だ。
全ての生あるものが、私とハーモニーを奏でる。
全ての声が、私の内側でコーラスを響かせる。
全ての美しいものが訪れ、憩っているのが見える。
全ての悪い考えは、私から旅立っていった。
今日は死ぬのにとてもよい日だ。
(以下略)
 
   ブログ Today Is Good Day TO Die


(2) aki, 2006/10
今日は死ぬのにとてもいい日だ
生きているものすべてが わたしと調和している
すべての声が わたしと歌をうたっている
すべての美が わたしの目の中で休もうとして来る
すべての悪い考えは 立ち去っていった
今日は死ぬのにとてもいい日だ
(以下略)
  
   Yahoo!メルマガ - 初心者にも理解できるネットワーク
   Written by aki, 2006/10/17
   Copyright (C) 2004-2006 itbook


(3) 小沢 2006/08
今日は死ぬのにもってこいの日。
生きているもの全てが私に調和している。
全ての声が私の中で合唱する。
全ての美が私の目で安らかに憩う。
全ての悪い考えは私から立ち去った。
今日は死ぬのにもってこいの日。
(以下略)

   大阪府立桃谷高校通信制で英語を教えておられる小沢さんが
   運営なさるサイト 英語学習のヒント のなかの 英語あれこれ 2006/08/08


(4) BlueSpeaker, 2006/04, etc.
今日は死ぬのにとてもよい日だ
あらゆる生あるものが私と共に仲よくしている 
あらゆる声が私の内で声をそろえて歌っている
すべての美しいものがやってきて私の目のなかで憩っている
すべての悪い考えは私から出ていってしまった 
今日は死ぬのにいい日だ
(以下略)


(5) kazumuu, 2005/06
きょうは、死ぬのにもってこいの日。
生けとし生けるもの皆、俺と仲よしだ。
耳に入るすべての音は、コーラスを歌ってるように聞こえる。
目に映るすべての美しいものは、くつろいでるように見える。
よくない考えはぜんぶ、俺のもとから離れていった。
きょうは、死ぬのにもってこいの日。
(以下略)

   kazumuu さんのブログ Sex & Books & Football 2005/06/20


(6) 丹羽 1999
今日は死ぬのに、とても良い日だ。
あらゆる生き物が、私と調和し、
あらゆる声が、私の中でコーラスしている。
全ての美しい思い出が、私のまぶたによみがえり、
全ての悪しき考えが、私の心から消え去った。
今日は死ぬのに、とても良い日だ。
(以下略)

   Log14 1999-10-3 to 1999-12-8[2008/07/24 現在 リンク切れの模様]
   Copyright (C) 1997-9 Masayuki Niwa, 丹羽正之


(7) 金関 1995, 2003, etc.
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている。
すべての声が、わたしの中で合唱している。
すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやって来た。
あらゆる悪い考えは、わたしから立ち去っていった。
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
(以下略)

   プエブロ族の古老 金関寿夫(かなせき・ひさお)=訳
   「今日は死ぬのにもってこいの日だ」
   7a. E-text at Esprit News, 2006/04/20, by Espritline.jp
   7b. 谷川俊太郎=編 フジ子・ヘミング=装画『祝魂歌
      ミッドナイト・プレス=発行 青雲社=発売  2003/07 所収
   7c. ナンシー・ウッド=著 フランク・ハウエル=画
      金関寿夫=訳『今日は死ぬのにもってこいの日
      めるくまーる 1995/09 所収
   引用は 7c. に拠りました。


■英語原文 The original text in English

Today is a very good day to die.
Every Living thing is in harmony with me.
Every voice sings a chorus within me.
All beauty has come to rest in my eyes.
All bad thoughts have departed from me.
Today is a very good day to die.
(......)

   Today is a very good day to die
   in


 Images 
表紙画像 Book covers
Photo_14  Today_is_a_good_day


■更新履歴 Change log

2013/09/25 YouTube のビデオを追加しました。 2008/07/24 日本語訳の刊行/公開年月、および訳文の配列を補足・修正しました。


■洋書 Books in non-Japanese languages

■和書 Books in Japanese

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Wednesday, 15 November 2006

人肉を食う - 陶宗儀《輟耕録》

 Image 1 
ブラジルのカニバリズム Cannibalism, Brazil

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

Cannibals23232_2
Cannibalism in Brazil in 1557 as alleged by Hans Staden. Image source: Wikipedia


■日本語訳 Translation into Japanese

天下をあげて戦乱のルツボと化した今日、淮右(わいゆう)(淮水の上流地方、淮西ともいう)の兵士は好んで人肉を食っている。小児の肉を上とし、婦人の肉これに次ぎ、男子のそれは下等とする。これを二つの甕(かめ)の間に坐らせておいて、外から火で焼くか、或いは鉄架の上で生きながら炙(あぶ)るか、或いはその手足を縛り、まず沸騰した湯をかけてから、竹箒(ほうき)で苦い皮を刷きとるか、或いは袋の中に入れ、大鍋(なべ)で生きたまま煮るか、或いは切りさいて刺身に作って淹(ひた)すか、或いは男子だとその両足だけを切り取り、女だと特にその両乳をえぐり取るかする。そのさまざまの残虐さは一々口にいえないくらいである。これらをひっくるめた名称を「想肉(シアンロー)」というのは、これを食って人をしてこれを想わしめるという意味である。

  • 陶宗儀=著 松枝茂夫=訳 「人肉を食う」 (輟耕録より)
  • a. は b. 所収の訳文を再録したもの。引用は a. 河出文庫版 1992 に拠りました。

 Image 2 
輟畊録 第六卷 想肉

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

Photo
タイトル: 輟畊録30卷. [3] 著者: 元陶宗儀撰 出版者: 毛氏汲古閣刊 出版年月日: 崇禎 Image source: 国立国会図書館デジタルコレクション


■中国語原文(簡体字) The original text in simplified Chinese

天下兵甲方殷,而淮右之军嗜食人,以小儿为上,妇女次之,男子又次之。或使坐两缸间,外逼以火,或於铁架上生炙。或其手足,先用沸汤浇泼,却以竹帚刷去苦皮。或乘夹袋中,入巨锅活煮。或刲作事件而淹之。或男子则止断其双腿,妇女则特剜其两乳,酷毒万状,不可具言。总名曰“想肉”,以为食之而使人想之也。



■中國語原文(繁體字) The original text in traditional Chinese

天下兵甲方殷,而淮右之軍嗜食人,以小兒為上,婦女次之,男子又次之。或使坐兩缸間,外逼以火。或于鐵架上生炙。或縛其手足,先用沸湯澆潑,卻以竹帚刷去苦皮。或盛夾袋中,入巨鍋活煮。或作事件以淹之。或男子止斷其雙腿,婦女特剜其兩乳,酷毒萬狀,不可具言。總名曰“想肉”,以為食之而使人想之也。


■著者について About the author

  • 陶宗儀(とう・そうぎ Tao Zongyi)は、元末明初の文学者、著述家。主著は上に引用した『輟耕録(てつこうろく)』など。

■関連文献 Related documents

  • ブログ 宣和堂遺事 | 中国史
  • 桑原隲藏「支那人の食人肉風習」
       電子テキスト at 青空文庫
       底本:『桑原隲藏全集 第一卷 東洋史説苑』岩波書店 1968/02/13
       底本の親本:『東洋史説苑』1927/05/10
       入力:はまなかひとし 校正:菅野朋子
       2002/02/26 公開 2004/02/20 修正
  • 岡本綺堂『中国怪奇小説集』輟耕録
       電子テキスト at 青空文庫
       ただし、この本には、上記「想肉」の稿は収載されていません。
       底本:『中国怪奇小説集』光文社 1994/04/20
       校正には、1999/11/05 第3刷を使用。
       入力:tatsuki 校正:小林繁雄 2003/07/31 作成

■更新履歴 Change log

  • 2014/06/26 中国語原文のページ画像を追加しました。

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■和書 Books in Japanese

  

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Saturday, 11 November 2006

The Great Gatsby by F. Scott Fitzgerald (1) F・スコット・フィッツジェラルド / フィツジェラルド 『グレート・ギャッツビー』『グレート・ギャツビー』『グレイト・ギャツビー』『偉大なギャツビー』『偉大なるギャツビー』『華麗なるギャツビー』『夢淡き青春』 (1)

« The Great Gatsby 2 »
« グレート・ギャツビー 2 »

       目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Video 1  映画 華麗なるギャツビー (2013) 日本語予告編
 Video 2  映画 The Great Gatsby (2013) English trailer
■中國語譯(繁體字) Translations into traditional Chinese
  (C1)
  (C2) 喬 2001
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
■韓国語訳 Translation into Korean
 Video 3  舞台 Elevator Repair Service's GATZ Chapter 1
 Video 4  TV 華麗なるギャツビー (2000) The Great Gatsby (2000)
  Photo   写真——1937年のフィッツジェラルド Fitzgerald in 1937
 Audio 1  日本語版オーディオブック Audiobook in Japanese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 柴田 2013
  (J2) 小川 2009
  (J3) 村上 2006
  (J4) 星野 2003
  (J5) 枯葉 2001-2013
  (J6) 守屋 1978
  (J7) 佐藤 1974
  (J8) 橋本 1974
  (J9) 野崎 1957, 1966, etc.
  (J10) 大貫 1957, 1990
■ベトナム語訳 Translation into Vietnamese
■トルコ語訳 Translation into Turkish
■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian
 Video 5  TV F. Scott Fitzgerald: The Great American Dreamer (1997) 
 Video 6  映画 華麗なるギャツビー (1974) The Great Gatsby (1974)
■ギリシャ語訳 Translation into Greek
 Audio 2  ロシア語版オーディオブック Audiobook in Russian
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
 Audio 3  ポーランド語版オーディオブック Audiobook in Polish
■ポーランド語訳 Translation into Polish
■クロアチア語訳 Translation into Croatian
■チェコ語訳 Translation into Czech
■アイスランド語訳 Translation into Icelandic
■スウェーデン語訳 Translation into Swedish
■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian
■デンマーク語訳 Translation into Danish
 Audio 4  ドイツ語版オーディオブック Audiobook in German
■ドイツ語訳 Translations into German
  (D1) Abarbanell
  (D2) Schürenberg, 1998
■オランダ語訳(部分) Translation into Dutch (fragment)
■ルーマニア語訳 Translation into Romanian
 Audio 5  イタリア語版オーディオブック Audiobook in Italian
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■ガリシア語訳 Translation into Galician
■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan
 Audio 6  スペイン語版オーディオブック Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translations into Spanish
  (Es1)
  (Es2) Editorial Maxtor, 2008
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 7  英語原文オーディオブック 1 Gatsy read by William Roberts
 Audio 8  英語原文オーディオブック 2 Gatsy read by Frank Muller
 Audio 9  英語原文オーディオブック 3 Gatsy read by G. Cooney
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variation of the title in Japanese
■外部リンク External links
 Video 7  映画 暗黒街の巨頭 (1949) The Great Gatsby (1949)
 Video 8  映画 或る男の一生 (1926) The Great Gatsby (1926)
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

F・スコット・フィッツジェラルドの書いた小説のうち、いちばん有名でいちばん人気がある作品、『ザ・グレート・ギャッツビー』。原書初版は1925年。その冒頭部分の各種翻訳と原文を下に引用します。

過去にすくなくとも4回映像化されました。映画が2回、テレビが2回。最初の映画化は小説出版のすぐ翌年でした。

たぶん5回目となる映像化作品(映画としては3回目)では、レオナルド・ディカプリオが主演。公開予定時期は米英などが2013年5月、日本は2013年6月14日。以前の情報では2012年クリスマス・シーズン封切りのはずでした。予定が先延ばしになったようです(情報源: IMDb 2013/01/17現在)。


 Video 1 
映画 華麗なるギャツビー (2013) 監督: バズ・ラーマン 日本語予告篇

出演: レオナルド・ディカプリオ、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン 日本公開予定は2013年6月14日。


 Video 2 
The Great Gatsby (2013) directed by Baz Luhrmann. English trailer

Starring Leonardo DiCaprio, Carey Mulligan and Joel Edgerton. Scheduled release - USA: 10 May 2013, UK: 17 May 2013.


■中國語譯(繁體字)Translations into traditional Chinese

(C1)
我年紀還輕,世故不深的時候,我父親經常教訓過我一句話,直到現在我還放在心上反覆思考:當你想要批評別人時,別忘了提醒自己,在這個世界上,並不是毎個人都擁有像你一樣優秀的條件。

  • 《了不起的蓋茨比》(或譯《大亨小傳》) 作者:法蘭西斯·史考特·基·費茲傑羅
  • Quoted in Purefilms.com.tw

(C2) 喬 2001
我年紀還輕、世故不深的時候,我父親曾經教訓過我一句話,直到如今我還是放在心上反覆思考。他對我説:

「你毎次想開口批評別人的時候,只要記住,世界上的人不是個個都像你這樣,從小就佔了這麼多便宜的。」

  • 《大亨小傳》 作者:費滋傑羅 譯者:喬志高 出版社:時報文化 2001-11-20 ISBN:957133524X
  • Excerpt at 時報悦讀網 (www.readingtimes.com.tw)

■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

 我年纪还轻,阅历不深的时候,我父亲教导过我一句话,我至今还念念不忘。
 “每逢你想要批评任何人的时候,”他对我说,“你就记住,这个世界上所有的人,井不是个个都有过你拥有的那些优越条件。”

  • 《了不起的盖茨比》 【美】弗朗西斯·司各特·菲茨杰拉德 著 巫宁坤(译者)
  • E-text at 亦凡公益图书馆 (shuku.net)

■韓国語訳 Translation into Korean

내가 더 젊고 여린 시절, 아버지는 나에게 조언을 해 주셨고 그후 나는 계속 곱씹어 보곤 한다.

"네가 남을 비난하고 싶을 때마다. 이 세상의 모든 사람들이 너처럼 유리한 입장에 놓여 있는 건 아니라는 사실을 기억하렴." 아버지는 말씀하셨다.

  • 위대한 개츠비 F. 스콧 피츠제럴드의
  • E-text at Northern Lights

 Video 3 
舞台 Elevator Repair Service's GATZ Chapter 1

ニューヨークの実験演劇集団エレベーター・リペア・サービスが演じる「ギャッツ」。初演は2006年。 Published on 1 Mar 2012 by ThePublicTheater. Starring Suzan-Lori Parks, Steve Martin, Frances McDormand, Mike Daisey, and many others.


 Video 4 
テレビ 華麗なるギャツビー (2000) 監督: ロバート・マーコウィッツ
The Great Gatsby (2000) directed by Robert Markowitz
The_great_gatsby_2000_directed_by_r
出演: ミラ・ソルヴィノ、トビー・スティーヴンス、ポール・ラッド 動画の埋め込みは禁じられています。ビデオを観るにはここをクリックしてください。
Starring Mira Sorvino, Toby Stephens and Paul Rudd. Embedding disabled by request. To watch the video CLICK HERE


 Photo 
写真——1937年のフィッツジェラルド Fitzgerald in 1937

Vanvechten
Photograph by Carl Van Vechten 撮影者:カール・ヴァン・ヴェクテン
Image source: F. Scott Fitzgerald Papers, The Princeton University Library's Department of Rare Books and Special Collections website.


 Audio 1 
日本語版オーディオブック Audiobook in Japanese

Uploaded to YouTube by 日根 on 12 Jul 2015.


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 柴田 2013
 いまよりも若く、傷つきやすかった年月に、僕は父から忠告を受けた。その忠告を、今日に至るまでずっと、僕はよく思い返してきた。
「誰かを批判したくなったら」と父は僕に言った。「思い出すといい、この世界の誰もがみな、お前と同じ恵まれた立場にいたわけじゃないことを」

  • F・スコット・フィッツジェラルド=著 柴田元幸(しばた・もとゆき)=部分訳 「グレート・ギャツビー」 柴田元幸=編・訳 『書き出し「世界文学全集」』 河出書房新社 2013/08/30

(J2) 小川 2009
 まだ大人になりきれなかった私が父に言われて、ずっと心の中で思い返していることがある。
「人のことをあれこれ言いたくなったら、ちょっと考えてみるがいい。この世の中、みんながみんな恵まれてるわけじゃなかろう」

  • フィッツジェラルド=著 小川高義(おがわ・たかよし)=訳 『グレート・ギャッツビー』 光文社 光文社古典新訳文庫 2009/09/20

(J3) 村上 2006
 僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」

  • スコット・フィッツジェラルド=著 村上春樹(むらかみ・はるき)=訳
  • 引用は a. 愛蔵版 2006 に拠りました。

(J4) 星野 2003
 ぼくがまだ若くて今よりずっと傷つきやすかった頃、父からある忠告を受けた。以来ぼくはずっとその言葉の意味を考えてきた。
「誰かを批判したくなったら、この世のすべての人間がおまえのように恵まれているわけではないということを、ちょっと思い出してみるがいい」

  • F・スコット・フィッツジェラルド=著 藤永二美(ふじなが・ふみ)=監訳 星野ゆう子(ほしの・ゆうこ)=訳(第1章前半担当) 『新訳 グレート・ギャツビー』(電子テキスト) バベル・ユニバーシティ・プレス 2003/12/08

(J5) 枯葉 2001-2013
 ぼくが今より若くて今より傷つきやすかった時代に父から受けた一種の忠告を、ぼくは何度も心の中で繰りかえしながら生きてきた。
「他人のことをとやかく言いたくなったときはいつでもね、この世の誰もがおまえほどに恵まれた生き方をしてるわけじゃないと思い出すことだ」

  • F・スコット・フィッツジェラルド=著 枯葉(かれは)=訳 『グレイト・ギャツビー』(電子テキスト) プロジェクト杉田玄白正式参加テキスト 2001/11/23 公開 2013/05/19 最終修正

(J6) 守屋 1978
 私が今よりも若く、今よりももっと傷つきやすい心をもっていた頃、父からある忠告をうけたことがある。そしてそれ以来、その忠告は私の心につきまとい、一刻もはなれようとはしなかった。
「だれかをとやかく批評したい気持ちになった時は」父は私にいった。「この世の中にいる人が、全部が全部、おまえと同じように、有利な立場にいるとはかぎらないことを、ちょっと思い出してみたほうがいい」

  • フィッツジェラルド=著 守屋陽一(もりや・よういち)=訳 『華麗なるギャツビー』 旺文社文庫 1978/08/01

(J7) 佐藤 1974
 私がまだ若く、いまよりも心が傷つきやすかったころ、父が私に忠告してくれたことがある。それ以来そのことが心から去らない。
「だれとは限らないが、他人のことをかれこれ言いたい気持ちになったときは」と父は言った。
「世の中は、お前と同じような長所を持った人間ばかりではないということを、よく覚えておくことだよ。」

  • フィッツジェラルド=著 佐藤亮一(さとう・りょういち)=訳 『華麗なるギャツビー』 講談社文庫 1974/07/15

(J8) 橋本 1974
 わたしがまだ若くて傷つきやすかった年頃に父からうけた助言が、その日以来ずっとわたしの 頭の中に巣くい、わたしはその言葉について何かと考えさせられてきた。
 父はこう言ったのだった。「ひとを批判したい気持ちになった時には、世の中のすべての人間が自分と同じような有利な条件のもとに育ってきたとはかぎらないのだということを、想い起すことだよ」

  • F・スコット・フィッツジェラルド=著 橋本福夫=訳 『華麗なるギャツビー』 ハヤカワ文庫 1974/06/30

(J9) 野崎 1957, 1966, etc.
 ぼくがまだ年若く、いまよりもっと傷つきやすい心を持っていた時分に、父がある忠告を与えてくれたけれど、爾来(じらい)ぼくは、その忠告を、心の中でくりかえし反芻(はんすう)してきた。
「ひとを批判したいような気持ちが起きた場合にはだな」と、父は言うのである「この世の中の人がみんなおまえと同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思いだしてみるのだ」


(J10) 大貫 1957, 1990
 今より若く心が傷つきやすい若者だった時に、父が忠告してくれたことを、その後ずっと繰りかえし考えつづけてきた。
 「ひとのことをとやかく、批評したくなっても」と、父は言った。「ひとなみすぐれた強みをもっている人なんて、めったにいないんだっていうことを、忘れるんじゃないよ」


■ベトナム語訳 Translation into Vietnamese

Hồi tôi còn nhỏ tuổi, nghĩa là hồi dễ bị nhiễm các thói hư tật xấu hơn bây giờ, cha tôi có khuyên tôi một điều mà tôi ngẫm mãi cho đến nay:

- Khi nào con định phê phán người khác thì phải nhớ rằng không phải ai cũng được hưởng những thuận lợi như con cả đâu.


■トルコ語訳 Translation into Turkish

Çok daha genç ve toy olduğum yıllarda, babamın hiç aklımdan çıkmayan bir öğüdü olmuştu:

“Birini eleştirmeye niyetlendiğinde,” demişti, “yeryüzündeki herkesin senin imkânlarınla doğmadığını hatırla, yeter.”


■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

Amikor még fiatalabb és sebezhetőbb voltam, apám néhánytanáccsal látott el. Azóta is sokszor elgondolkoztam rajtuk.

– Ha netán megítélnél valakit – így szólt hozzám –, jussoneszedbe, hogy ezen a világon nincs mindenki olyan előnyöshelyzetben, mint te.

  • A nagy Gatsby by Francis Scott Fitzgerald. Translated by Máthé Elek. VeloPress, 1968
  • E-text at Scribd

 Video 5 
テレビ・ドキュメンタリーシリーズ 『バイオグラフィー』
"Biography" F. Scott Fitzgerald: The Great American Dreamer (1997) Part 1

製作: ヒストリー・テレビジョン 放映: A&Eチャンネル(米国) Produced by History Television Network Productions (H-TV). Distributed by A&E Television Networks (1997) (USA). Also available on DVD


 Video 6 
映画 華麗なるギャツビー (1974) 監督: ジャック・クレイトン
The Great Gatsby (1974) directed by Jack Clayton

出演: ロバート・レッドフォード、ミア・ファロー、ブルース・ダーン
Starring Robert Redford, Mia Farrow and Bruce Dern


■ギリシャ語訳 Translation into Greek

Σε νεότερους και πιο ευάλωτα μου χρόνια ο πατέρας μου μου έδωσε κάποιες συμβουλές που έχω ανατροπής στο μυαλό μου από τότε.

"Κάθε φορά που αισθάνεστε σαν επικρίνουν κάθε μία», μου είπε, "αλλά έχουμε πάντα ασυνήθιστα επικοινωνιακό έναν αποκλειστικό τρόπο, [Omission]

  • Φρανσις Σκοτ Φιτζέραλντ. Ο Υπέροχος Γκάτσμπυ (Ο Μεγάλος Γκάτσμπυ)
  • E-text at Google Play

 Audio 2 
ロシア語版オーディオブック Audiobook in Russian

Uploaded to YouTube by Аудиокниги с анимацией №1 на YouTube on 11 Oct 2015.


■ロシア語訳 Translation into Russian

В юношеские годы, когда человек особенно восприимчив, я как-то получил от отца совет, надолго запавший мне в память.

— Если тебе вдруг захочется осудить кого то, — сказал он, — вспомни, что не все люди на свете обладают теми преимуществами, которыми обладал ты.

  • Фрэнсис Скотт Фицджеральд - Великий Гэтсби
  • E-text at ModernLib.Ru

■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian

Ще будучи зеленим і вразливим юнаком, я дістав від батька пораду, яку запам'ятав на всє життя.

- Щоразу, коли тобі раптом захочеться когось осудити, - сказав він, - згадуй, що не кожному на цім світі випали переваги, які маєш ти.

  • Френсіс Скот Фіцджеральд - Великий Гетсбі. Translated by М.Пінчевський
  • E-text at UKRLIB.in.ua.

■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

Когато бях по-млад и впечатлителен, моят баща ми даде един съвет, който оттогава все се върти в главата ми.

„Почувстваш ли желание да критикуваш някого — ми рече той, — просто си спомни, че не всички хора на този свят са имали преимуществата, които си имал ти.“


 Audio 3 
ポーランド語版オーディオブック Audiobook in Polish

Uploaded to YouTube by Książki z Kapelusza on 21 Sep 2015.


■ポーランド語訳 Translation into Polish

Gdy byłem młodszy i wrażliwszy, ojciec mój dał mi pewną radę, nad którą do dziś często się zastanawiam.

– Ile razy masz ochotę kogoś krytykować – powiedział – przypomnij sobie, że nie wszyscy ludzie na tym świecie mieli takie możliwości jak ty.


■クロアチア語訳 Translation into Croatian

U mojim mlađim i osjetljivim godinama otac mi je dao savjet koji od tada držim u glavi.

“Kad god poželiš nekoga kritizirati“,  rekao mi je, „ samo se sjeti da svi ljudi na svijetu nisu imali prednosti koje si ti imao“.


■チェコ語訳 Translation into Czech

Když jsem byl mladší a všechno se mě hloub dotýkalo, dal mi otec jednu radu, která se mi od té doby pořád honí hlavou.

„Vždycky když dostaneš chuť někoho kritizovat," řekl mi, „vzpomeň si, že všichni lidé na tomhle světě neměli takové vý­hody jako ty."


■アイスランド語訳 Translation into Icelandic

Þegar ég var yngri og viðkvæmari, gaf faðir minn mér heilræði sem ég hef hugsað um síðan.

"Þegar þig langar að gagnrýna einhvern," sagði hann, "hafðu í huga að fáir hafa fengið sömu tækifæri og þú."


■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

I mina yngre och känsligare år gav min far mig ett råd som jag sen dess alltid har hållit i minnet.

– Så snart du känner att du skulle vilja kritisera någon, kom bara ihåg att inte alla människor fått allting till skänks som du.


■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian

I mine yngre og mer sårbare år min far ga meg noen råd jeg har vært snu i mitt sinn siden.

»Når du har lyst å kritisere noen… bare husk at alle mennesker i denne verden ikke har hatt fordelene som du har hatt.«


■デンマーク語訳 Translation into Danish

I mine yngre og mere sårbare år gav min far mig nogle råd, jeg har vender i mit sind lige siden.

»Når du lyst kritisere nogen… blot huske på, at alle mennesker i denne verden ikke har haft de fordele, som du har haft.«


 Audio 4 
ドイツ語版オーディオブック Audiobook in German

Uploaded to YouTube by Nathalie Kuehne on 29 May 2013.


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1) Abarbanell
Als ich noch jünger und verwundbarer war, gab mein Vater mir einmal einen Rat, der mir bis heute im Kopf herumgeht.

»Wann immer du jemanden kritisieren willst«, sagte er, »denk daran, dass nicht alle Menschen auf der Welt es so gut hatten wie du.«

  • Der große Gatsby by F. Scott Fitzgerald. Translated by Bettina Abarbanell
  • E-text at Büchergilde

(D2) Schürenberg, 1998
In meinen jüngeren Jahren, als ich noch zarter besaitet war, gab mein Vater mir einmal einen Rat, der mir seitdem wieder und wieder durch den Kopf gegangen ist.

»Bedenke«, sagte er, »wenn du an jemand etwas auszusetzen hast, daß die meisten Menschen es im Leben nicht so leicht gehabt haben wie du.«


■オランダ語訳(部分) Translation into Dutch (fragment)

In mijn jongere, meer kwetsbare jaren gaf mijn vader me een raad waarover ik sindsdien ben blijven nadenken.

  • De grote Gatsby by F. Scott Fitzgerald. Translated by Susan Janssen. Uitgeverij Atlas, 2013

■ルーマニア語訳 Translation into Romanian

Pe vremea când eram mai tânăr şi mai vulnerabil, tatăl meu mi-a dat un sfat la care m-am tot gândit de atunci.

-Ori de câte ori vei vrea să critici pe cineva, mi-a spus el, aminteşte-ţi că nu toţi oamenii s-au bucurat de avantajele de care te-ai bucurat tu.

  • Marele Gatsby by Francis Scott Fitzgerald
  • Excerpt at Afterhour.ro

 Audio 5 
イタリア語版オーディオブック Audiobook in Italian

Uploaded to YouTube by quarbi on 19 May 2013.


■イタリア語訳 Translation into Italian

Negli anni più vulnerabili della mia giovinezza, mio padre mi diede un consiglio che non mi è mai più uscito di mente.

"Quando ti vien voglia di criticare qualcuno" mi disse "ricordati che non tutti a questo mondo hanno avuto i vantaggi che hai avuto tu."


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Em meus anos mais juvenis e vulneráveis, meu pai me deu um conselho que jamais esqueci:

- Sempre que você tiver vontade de criticar alguém - disse me ele - lembre-se de que criatura alguma neste mundo teve as vantagens de que você desfrutou.


■ガリシア語訳 Translation into Galician

Nos meus anos máis mozos e vulnerables, meu pai deume un consello qeu non me para de dar voltas na cabeza dende entón.

- Cando teñas ganas de criticar a alguén -dixo-, recorda que non todo o mundo tivo as mesmas vantaxes ca ti.

  • O Gran Gatsby by F. Scott Fitzgerald, Translated by Laura Rodríguez Gómez
  • Quoted at laxas traducidas

■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan

En els meus anys de joventut, i més vulnerables que els d'ara, el meu pare em donà un consell en el qual no he parat de rumiar de llavors ençà:

«Sempre que et vinguin ganes de criticar algú -em va dir-, recorda que en aquest món no tothom ha tingut els avantatges que tu has tingut


 Audio 6 
スペイン語版オーディオブック・サンプル Audiobook sample in Spanish

Uploaded to YouTube by joanmoralocutor on 29 Jun 2012.


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Es1)
En mis años mozos y más vulnerables mi padre me dio un consejo que desde aquella época no ha dejado de darme vueltas en la cabeza.

“Cuando sientas deseos de criticar a alguien” -fueron sus palabras- “recuerda que no todo el mundo ha tenido las mismas oportunidades que tú tuviste.”


(Es2) Editorial Maxtor, 2008
En mi primera infancia mi padre me dio un consejo que, desde entonces, no ha cesado de darme vueltas por la cabeza.

«Cada vez que te sientas inclinado a criticar a alguien —me dijo— ten presente que no todo el mundo ha tenido tus ventajas...»


■フランス語訳 Translation into French

Dès mon âge le plus tendre et le plus facile à influencer, mon père m'a donné un certain conseil que je n'ai jamais oublié.

- Chaque fois que tu te prépares à critiquer quelqu'un, m'a t-il dit, souviens-toi qu'en venant sur terre tout le monde n'a pas eu droit aux mêmes avantages que toi.


 Audio 7 
『グレート・ギャツビー』 英語原文のオーディオブック(朗読) 1
The Great Gatsby: An audiobook sample 1

朗読: ウィリアム・ロバーツ Published on Jul 27, 2012 by TheAudiobookChannel. Read by William Roberts.


 Audio 8 
『グレート・ギャツビー』 英語原文のオーディオブック(朗読) 2
The Great Gatsby: Audiobook 2

朗読: フランク・マラー Published on 24 Nov 2014 by The Great Gatsby Audiobook. Read by Frank Muller.


 Audio 9 
『グレート・ギャツビー』 英語原文のオーディオブック(朗読) 3
The Great Gatsby: Audiobook 3

朗読: G. Cooney (別名: 国井仗司)。録音を聴くには  ここをクリック 
Reading by G. Cooney. To listen to this recording  CLICK HERE 


■英語原文 The original text in English

In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I've been turning over in my mind ever since.

"Whenever you feel like criticizing any one," he told me, "just remember that all the people in this world haven't had the advantages that you've had."


■邦題の異同 Variation of the title in Japanese

  • 『グレイト・ギャツビー』……………………枯葉 2001-2013
  • 『グレート・ギャッツビー』…………………小川 2009
  • 『グレート・ギャツビー』……………………柴田 2013
  • 『グレート・ギャツビー』……………………星野 2003
  • 『グレート・ギャツビー』……………………村上 2006
  • 『グレート・ギャツビー』……………………野崎 1974, 1989
  • 『偉大なるギャツビー』………………………野崎 1957
  • 『偉大なギャツビー』……………………野崎 1966, 1979, 1989, 1994
  • 『夢淡き青春—グレート・ギャツビィ』……大貫 1957
  • 『華麗なるギャツビー』………………………佐藤 1974
  • 『華麗なるギャツビー』………………………大貫 1990
  • 『華麗なるギャツビー』………………………守屋 1978
  • 『華麗なるギャツビー』………………………橋本 1974

■外部リンク External links


 Video 7 
映画 暗黒街の巨頭 (1949) 監督: エリオット・ニュージェント
The Great Gatsby (1949) directed by Elliott Nugent

出演: アラン・ラッド、ベティ・フィールド、マクドナルド・ケリー 著作権が消滅しパブリック・ドメインにあると思われるこの映画のDVDは Loving The Classics で購入可能です。
Starring Alan Ladd, Betty Field and Macdonald Carey. A DVD of this film, which is believed to be in public domain, is available from Loving The Classics.


 Video 8 
映画 或る男の一生 (1926) 監督: ハーバート・ブレノン 予告編
The Great Gatsby (1926) directed by Herbert Brenon. Trailer

出演: ワーナー・バクスター、ロイス・ウィルソン、ニール・ハミルトン 映画の本編は失われてしまっており、この予告編だけが現存する。 Starring Warner Baxter, Lois Wilson and Neil Hamilton. No prints of this film are known to survive; only this trailer is believed to remain.


■更新履歴 Change log

  • 2015/11/22 ポーランド語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2015/11/21 日本語版とロシア語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2015/09/25 リンク先で削除されていた一部の動画と録音を別のリンクで置き換えました。
  • 2015/03/22 トルコ語訳を追加しました。
  • 2014/10/23 ギリシャ語訳とガリシア語訳を追加しました。
  • 2013/11/17 ベトナム語訳を追加しました。
  • 2013/10/21 柴田元幸=部分訳 2013/08/30 を追加しました。
  • 2013/08/26 アイスランド語訳を追加しました。
  • 2013/07/16 英語原文朗読のリンクを追加しました。
  • 2013/06/18 オランダ語訳(部分)を追加しました。
  • 2013/06/14 もう1種類のドイツ語訳を追加しました。また、イタリア語版の朗読とスペイン語版の朗読の YouTube 画面も追加しました。
  • 2013/05/30 枯葉=訳の書誌情報を更新しました。また、リンク先で削除されていた映画『暗黒街の巨頭』 (1949) のビデオを同作品の別の動画と差し替えました。
  • 2013/03/28 クロアチア語訳を追加しました。
  • 2013/02/04 Elevator Repair Service's GATZ の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/01/26 ハンガリー語訳、ノルウェー語訳、およびルーマニア語訳を追加しました。
  • 2013/01/18 スウェーデン語訳、デンマーク語訳、および『華麗なるギャツビー』 (2013) 日本語予告篇の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/01/17 外部リンクを補足・修整しました。また、2013年版映画の邦題が『華麗なるギャツビー』に確定したようなので、該当箇所を修正しました。
  • 2012/10/14 ブルガリア語訳、チェコ語訳、およびカタルーニャ語訳を追加しました。
  • 2012/10/08 ウクライナ語訳とポーランド語訳を追加しました。
  • 2012/08/16 英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/08/11 もう1種類のスペイン語訳を追加しました。
  • 2012/06/06 テレビ 『華麗なるギャツビー』 (2000)、映画 『暗黒街の巨頭』 (1949)、および映画 『或る男の一生』 (1926) 予告篇の3本の YouTube 動画、ならびに目次および「はじめに」の項を追加しました。
  • 2012/05/24 The Great Gatsby (2012) 予告篇の YouTube 動画を追加しました。
  • 2011/09/09 韓国語訳とロシア語訳を追加しました。
  • 2011/09/08 大貫三郎=訳の書誌情報を修正・補足し、邦題『夢淡き青春—グレート・ギャツビィ』を追加しました。また、ポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/05/19 星野ゆう子=訳(第1章前半担当) 2003/12/08 を追加しました。
  • 2010/04/19 映画 『華麗なるギャツビー』 (1974) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/02/03 YouTube 動画 F. Scott Fitzgerald: The Great American Dreamer Part 1 を追加しました。
  • 2010/01/09 中国語訳(簡体字)の電子テキストがリンク切れになっていたのを修正しました。
  • 2009/10/04 「外部リンク」の項を新設しました。
  • 2009/09/22 小川高義=訳 2009/09/20 を追加し、野崎孝=訳の書誌情報を補足しました。また、記事のタイトルに異題『グレート・ギャッツビー』、『偉大なギャツビー』、『偉大なるギャツビー』の3つを追加しました。さらに、「邦題の異同」の項を新設しました。
  • 2009/08/12 書誌情報を補足し、訳文の配列を変更しました。また、中國語譯(繁體字)の、もう一つの版を追加しました。
  • 2008/02/16 中国語訳(簡体字)を追加しました。
  • 2007/10/30 検索精度の向上にすこしは役立つかと思い、記事のタイトルに邦訳の異題『グレイト・ギャツビー』と『華麗なるギャツビー』を追加しました。
  • 2007/03/01 守屋陽一=訳 1978/08、スペイン語訳、イタリア語訳、およびドイツ語訳を追加しました。
  • 2006/11/13 橋本福夫=訳 1974/06 の改行と送りがなの誤りを訂正しました。
  • 2006/11/12 フランス語訳を追加しました。

 

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Tuesday, 07 November 2006

リンダ リンダ リンダ Linda Linda Linda

A33ca3a7
Image source: カゴメのシネマ洞
 
 
 Video 
リンダ リンダ リンダ

Uploaded to YouTube by Terens Tao on 26 Jul 2014


■日本語脚本 Screenplay in Japanese

44 スタジオ・スリーセブン・受付横の喫煙スペース
  恵とトモキ。

恵  「……あれ、東京行くって?」
トモキ「あ、うん。来月」
恵  「へー……車は……車で?」
トモキ「いや、実家置いてく、弟乗るし……」
恵  「ふ〜ん……」
トモキ「オレも週一で戻ってくるから」
恵  「へー。あ、そうなんだ」
トモキ「うん……遊び来てよ、また」
恵  「うん、あ……うん……」
トモキ「……で、何やんの?」
恵  「あ、ブルーハーツ」
トモキ「(嬉しそうに)うそ、マジで?」
恵  「……うん」
トモキ「スゲーじゃん」

  • 向井康介(むかい・こうすけ)+宮下和雅子(みやした・わかこ)+山下敦弘(やました・のぶひろ)=脚本 山下敦弘=監督 「リンダ リンダ リンダ」 シナリオ作家協会 年鑑代表シナリオ集編纂委員会=編 『’05年鑑代表シナリオ集』 シナリオ作家協会 2006/08 所収

 Images 
ポスター、DVDジャケット等 Posters, DVD cover, etc.

en En_linda_linda_linda it It_8041200911242130688887 zh Zh_trad_4977981020a

ko Ko_1286525052_linda_linda_linda ja Ja_129538838035916204770_lindalinda


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Sunday, 05 November 2006

宮里藍と早見優の会話。I am You and You are I.

■You and I have a secret...
You_and_i_have_a_secret
You and I have a secret and neither of us know what it is.
by Peter Sorrell
89 x 130 cms. Oil on polyester.
Image source: Spectrum London


■宮里藍と早見優の会話 Conversation between Ai Miyazato and Yu Hayami

もしくは、福原愛ちゃんとタレントYOUの会話。
どちらでもよい。敬称略(例外あり)。フィクション。

アイ:Hi, my name is I.  Nice to meet you.
ユー:I'm You.  Nice to meet you, I.
アイ:I see, so I am I and You are You.  This is very logical, isn't it, You?
ユー:Uh, no, I.  You are I and I am You.  This is very illogical.
アイ:B-b-but your name is You and my name is I, am I right?
ユー:No, no, I.  MY name is You and YOUR name is I, you understand? 
アイ:But I is my name and You is your name, if I am correct....
ユー:You are wrong, I.  I is YOUR name and You is MY name.
アイ:I hate to tell you this, but your English is strange, You.  AM is the
   correct verb for I and ARE the correct verb for you.  This is basic
   English grammar.  So if you want to say something like what you
   just said, you must say, "I am your name and You are my name." 
   .... Wait a minute, this is not right.
ユー:Real-life English is NOT the same as classroom English.  Do you
   know the old Diana Ross song?
アイ:Which Diana Ross song?
ユー:(Sings -) "You are everything, and everything is you...."
アイ:Yeah, I think I have heard that song.  So what?
ユー:You don't get it?  You can't say, "You are everything, and
   everything ARE you" or "You IS everything and everything is you."
アイ:Which means....?
ユ−:Language is not mathematics. 

   You = Everything

      and

   Everything = You 

   But the first equal sign (=) is ARE, not IS, and the second one is
   IS, not ARE.
アイ:Well, I'm not good at mathematics.
ユー:Nor are you at English, I'm afraid.
アイ:Hey, You, ちょっとユー、じゃなくてアンタ、あたしにケンカ売るつもり?
ユー:それ英語で言える?  No, I'm just telling you what's right and what's
   wrong.
[以下略]

(c) 2006  Tomoki Yamabayashi


■外部リンク External links

 [en] English
   You      * You (actress) - Wikipedia (1964-  )
   Yu Hayami  * Yu Hayami Official Website
            * Yu Hayami Official Blog
            * Yū Hayami - Wikipedia (1966-  )
   Ai Miyazato * Ai Miyazato Official Website
            * Ai Miyazato - Wikipedia (1985-  )
   Ai Fukuhara * Ai Fukuhara - Wikipedia (1988-  )

 [ja] 日本語
   YOU      * YOU (タレント) - Wikipedia (1964-  )
   早見優    * Yu Hayami 早見優公式サイト
            * 早見優公式ブログ
            * 早見優 - Wikipedia (1966-  )
   宮里藍    * 宮里藍公式サイト
            * 宮里藍 - Wikipedia (1985-  )
   福原愛    * 福原愛 - Wikipedia (1988-  )


■更新履歴 Change log

2010/09/22 外部リンクの項を新設しました。


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強姦未遂 - 織田作之助「六白金星」

01o00101a
Image source: SSweb 朗読『夫婦善哉』
 
 
■日本語原文 The original text in Japanese

「おい!」
 ぐいと手を引つ張つてもたれ掛けさせると、いきなり抱き寄せて、口に触れた。
 歯がカチカチと鳴り、女中はガタガタと醜悪にふるへてゐた。生臭い口臭をかぎながら、ぺたりとその場に坐らせて、
「君、寒いのンか。」
 さう言つたまでは覚えてゐたが、あとは無我夢中になつて、好奇心と動物的な感覚が体をしびらしてしまつたが、女中は足を固くして、
「それだけは堪忍して、なツ、坊つちやん、それだけは堪忍して。あゝ。」
 身もだえしながら、キンキンした声で叫び、ふと瞠(みひら)いた眼が白かつた。楢雄ははつと我に帰り、草の上へついた手の力ではね起きると、物も言はず、うしろも向かず、あぶない所だつた、俺はもう少しで罪を犯すところだつたと、心の中で叫びながら、真青になつて逃げ去つた。

   織田作之助「六白金星」
   電子テキスト at 青空文庫
   底本:『現代文学大系44 武田麟太郎・島木健作・織田作之助集
   筑摩書房 初版 1967/03
   『日本文学全集39』新潮社 1967/09 と照合して疑問の箇所を改めた由。

   入力:山根鋭二
   校正:Tomoko I.
   1999年10月15日公開
   2006年05月20日修正
 
 
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