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March 2007

Thursday, 29 March 2007

In Memoriam 追悼

Hitoshi_ueki
Hitoshi Ueki 植木等 (25 December 1926 - 27 March 2007)
Image source: Sanspo.com
 
 
■tomokilog 過去の記事から Past articles from tomokilog

* Everybody Shut Up, Come and Follow Me だまって俺について来い
 tomokilog, 19 June 2005

* There Is No Cure for a Fool 馬鹿は死んでも直らない
 tomokilog, 19 June 2005
 
 
■参考 References

   * 植木等 - Wikipedia
   * ワタナベエンターテインメント 植木等(所属事務所による公式サイト)
   * 植木等年表 - 知誕Wiki
 
 
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So creative!!!

A friend of mine in England forwarded all these photos to me. Hope you enjoy.
1人で楽しむだけではもったいないので、おすそわけ。

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Tuesday, 27 March 2007

The White Wolf of the Hartz Mountains by Frederick Marryat マリアット / マリヤット 「狼人間」「ハルツ山の人おおかみ」「人狼」

■Werewolves - Best Werewolf Short Stories 1800-1849 Book Trailer

Uploaded by AndrewBarger on Jun 5, 2010


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 高橋 1989
 ある夜のことだ。妹は、寝(ね)ている兄とぼくをゆりおこした。
『いったい、どうしたんだい』と兄のシーザーが言った。
『あの女がいないの』とマルセラは小さな声で言った。
『いないって?』
『そう、さっきドアからでていったの。寝(ね)まきのまんまで。わたし、見たの。ベッドからぬけだして、お父さんがねむっているかどうかたしかめて、それから外にでていったの』
 どうしてベッドからぬけだしたりするのか。外にでる用意もしないで、こんなに寒くて雪もたくさんつもっている冬の夜にでかけたりするのか。ぼくらにはまるでわからなかった。ぼくらは目をさましたままじっとしていた。一時間くらいたったとき、狼(おおかみ)のほえる声が窓(まど)のすぐ下から聞こえてきた。

  • マリアット=著 高橋啓(たかはし・けい)=訳 「狼人間」 江河徹(えがわ・とおる)=編 『奇妙な動物の話』 幻想文学館3 くもん出版 1989/08

(2) 高田 1982
 ある夜のこと、妹は兄と僕を起こした。
「どうしたんだ」兄のシーザーは言った。
「あの女人(ひと)が外へ出て行ったのよ」マルセラが小声で答えた。
「外へ行ったって!」
「そうよ。寝巻き姿のまま外へ行っちゃったの」妹は言った。「ベッドから起き上がると、お父さんが眠ってるかどうか見て、それから外へ出て行ったの。マルセラ、全部見たんだから」
 雪も深いこんな厳寒の冬の夜に、身支度もせず外出するとは、ともかく尋常でなく、我々には不可解だった。眠れず耳を澄ましていると、小一時間もして、窓の真下に狼の唸り声が聞こえた。


(3) 白木 1970, 1972, etc.
 ある晩のことである。
 マルセラが、ふいに寝ているぼくと兄をゆり起こした。目をさました兄が小声でいった。
「どうかしたのか。」
「あの女が出ていったわよ。」
と、マルセラは、そっとささやいた。
「出ていった! このま夜中(よなか)に……。」
「ええ、ねまきのままなの。あたいが見ていると、あの女はおとうさんが寝こんでいるかどうかしらべていたわ。それから、そっと出ていったわ……。」
 こおりつくような、この寒い晩に、どういうわけで外出なんかするのだろう。それもねまきのままで、積もっているふかい雪の中をあるいて、どこへいこうというのだろう。
 ぼくらは目をあけたまま、横になっていた。家のすぐ表で、しきりにおおかみのうなり声がしていた。
[ルビの一部を省略しました tomoki y.]

  • マリヤット=作 白木茂=訳 「ハルツ山(さん)の人(ひと)おおかみ」
  • 引用は d. 世界の名作怪奇館 講談社版 1970/07 に拠りました。

(4) 宇野 1958, 1969, etc.
 ある夜、妹が、ぼくとぼくの兄をゆり起こした。
『どうしたんだ?』シーザーがきいた。
『あの女が出ていったわよ』マーセラはそっとささやいた。
『出ていった!』
『そうよ。ドアをあけて出ていったわ。寝間着のままなの。あたいが見ていると、あの女、ベッドから下りて、おとうさんが寝こんだかどうかを見ていたわ。それから、出ていったの』
 凍(こお)りつくような寒夜に、なんの必要があって外へ出るのだろうか? 真夜中に、寝間着のままで、ふかく積もった白雪を踏みくだいて——ぼくたちは横になったまま目をあけていた。そのあいだ、一時間ほど、窓の下で、たえず狼が唸(うな)っていた。

  • フレデリック・マリヤット=作 宇野利泰=訳 「人狼」
    • ジョン・コリアー〔ほか〕=作 中村能三+宇野利泰=訳 『怪奇小説傑作集2 英米編2』 創元推理文庫(初版 1969/03|新版 2006/03)
    • 柴田武彦=編 『海外版 怪奇ファンタジー傑作選』 集英社文庫 コバルトシリーズ 1979/08
    • 江戸川乱歩=編 『怪奇小説傑作集2』 世界大ロマン全集38 東京創元社 1958

■表紙画像コレクション Cover photo collection

a. G000209 b. 30796243 c. 1845882067

d. Image e. 4square_02 f. Marryat

↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■英語原文 The original text in English

"One night, my sister awoke me and my brother.

"'What is the matter?' said Caesar.

"'She has gone out,' whispered Marcella.

"'Gone out!'

"'Yes, gone out at the door, in her night-clothes,' replied the child;
'I saw her get out of bed, look at my father to see if he slept, and
then she went out at the door.'

"What could induce her to leave her bed, and all undressed to go out,
in such bitter wintry weather, with the snow deep on the ground was to
us incomprehensible; we lay awake, and in about an hour we heard the
growl of a wolf, close under the window.


■Captain Frederick Marryat Indiegogo

Published on Jun 8, 2012 by frederick marryat


■更新履歴 Change log

  • 2012/07/01 つぎの2本の YouTube 動画を追加しました。
    1. Werewolves - Best Werewolf Short Stories 1800-1849
    2. Captain Frederick Marryat Indiegogo
  • 2007/03/29 白木茂=訳 1970/07 を追加しました。

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Monday, 26 March 2007

阪田寛夫 「わかれのことば」

4338060190
 
 
 わかれのことば  阪田寛夫(さかた・ひろお)

にほんじんなら      さよなら
あめりかじんなら     ぐっばい
ほうちょうやさんなら   では
せとものやさんなら    おさらば
まほうびんやさんなら   じゃあ
はいしゃさんなら     はいちゃ
ふたごなら        バイ
よつごなら        バイバイ
はちなら         バイバイバイ
ぶたなら         トンヅラ
かばなら         あばよ
かなぶんなら       くそくらえ
ソレントしちょうさんなら かえれ
めいきょくきっさなら   おとと・いこい
しちめんちょうなら    ごめん
しつれんしたゆうれいなら しつれい
おおまたのコンドルなら  またこんど
ひとくいトラなら     どうもう
サイなら         さいなら

   川崎洋(かわさき・ひろし)=編 佐々木マキ=絵
   『ユーモアの香り』あなたにおくる世界の名詩7
   岩崎書店 1997/04 所収

   出典:
   まど・みちお+阪田寛夫=文 かみや・しん=絵
   『まどさんとさかたさんのことばあそび
   小峰書店 1992/11
 
 
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Friday, 23 March 2007

Tobermory by Saki サキ 「トバモリー」「トバーモリー」「トーバモリー」

       目次 Table of Contents

 Gallery 1  表紙画像 Cover photos
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 和爾 2015
  (J2) 柴田 2015
  (J3) 大津 1999
  (J4) 青木 1995
  (J5) 中西 1988a, 1988b
  (J6) 山主 1984
  (J7) 河田 1981
  (J8) 仁賀 1980, 1984
  (J9) 柳瀬 1980, 1990
  (J10) 中村 1961, 1996
■Tobermory の日本語表記 "Tobermory" transliterated into Japanese
 Gallery 2  表紙画像 Cover photos
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ドイツ語訳 Translation into German
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
 Audio 1  スペイン語版オーディオブック Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translations into Spanish
  (Sp1)
  (Sp2)
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 2  朗読: マイク・ベネット Audiobook read by Mike Bennett
 Audio 3  制作: ロバート・ニコル Audiobook produced by Robert Nichol
 Audio 4  制作: シックスティーンス・カヴァン Audiobook by The 16th Cavern
 Audio 5  朗読: ロイ・マクレディ Audiobook read by Roy Macready
■英語原文 The original text in English
■更新履歴 Change log


 Gallery 1 
表紙画像 Cover photos

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a. Atobermory b. B5551388662
c. Csaki d. Dsaki2

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 和爾 2015
 アピンにはこれっぽっちも信用がなかったが、サー・ウィルフリッドの話は一同にすんなり受け入れられた。バベルの塔もかくやの驚愕の声が口々にあがる只中で、当の科学者その人は口をつぐみ、自らの大発見がもたらした最初の反応をじっくり楽しんでいた。
 その騒ぎのさなか、ビロードのような足どりでトバモリーが入ってくると、テーブルを囲む顔ぶれをさりげなく検分した。
 とたんにぎこちない沈黙が一座にのしかかった。折り紙つきのすぐれた知能の猫と対等に話すというのは、やはり戸惑うできごとのようだ。
「トバモリー、ミルクでもいかが?」ブレムリー夫人がやや張りつめた声を出した。(……)

  • サキ=作 和爾桃子(わに・ももこ)=訳 「トバモリー」 『クローヴィス物語』 白水Uブックス 白水社 2015/04/20

(J2) 柴田 2015
 アピンが講釈したときは誰一人まったく信じなかったが、サー・ウィルフリッドの発言は即座の確信を勝ち得た。驚愕の叫びがバベルのごとく口々に発せられ、そのただなかで科学者アピンは何も言わずじっとしたまま、己の途方もない発見がもたらした最初の果実を愉しんでいた。
 喧噪の真っ最中にトバモリーが部屋に入ってきて、ビロードのごとき足どりで、いかにも無関心な様子を装い、ティーテーブルを囲む一団の許まで歩みを進めた。
 ぎこちない、こわばった空気が突如生じて座は静まり返った。すでに知能を認められた飼い猫に対等の立場で話しかけることには、なぜか一種気まずさがあるように思われたのである。
「ミルクはいかが、トバモリー?」とレディ・ブレムリーがいささかこわばった声で訊いた。(……)


(J3) 大津 1999
 アピンが弁舌をふるったときは聴衆はまったく信用しなかったが、ウィルフリッドの話を聞くと、たちまち信用してしまった。驚きの嘆声が合唱となって起こった。そのなかで科学者は無言のまま坐って、自分の驚くべき発見の最初の成果を楽しんでいた。
 と、その騒ぎのなかにトバーモリが入ってきた。そしてビロードのような足で音も立てず、わざと無関心を装って、お茶の席に輪になって坐っているみんなのところに近づいてきた。
 急に一座をぎこちない、落ち着かない沈黙が襲った。とにかく、話術能力があると認められた飼い猫と対等に話をするのはなんとなくはばかられた。
「少しミルクを飲む? トバーモリ」とブレムリー卿夫人が少し緊張した声で言った。(……)

  • サキ=著 大津栄一郎=訳 「トバーモリ」 『サキ傑作選』 角川春樹事務所 ハルキ文庫 1999/03

(J4) 青木 1995
 それまではアピンがいくら説明しても、誰も絶対に信じなかったが、ウィルフレッド卿の話には、皆が即座に納得した。がやがやと騒々しい驚きの嘆声が一斉に沸き上がり、そのざわめきの中で、われらが科学者は一人黙って、自分の途方もない発見がもたらした最初の成果をじっくり味わっていた。
 その大騒ぎのさなか、トウバマーリが部屋に入ってきた。そして、ベルベットの上を歩くような優雅な足どりで進みながら、ティー・テーブルの周りに座っている客たちを、まるで関心のない様子で眺め回した。
 お客たちが突然、ぎごちなく遠慮するように沈黙した。会話能力があるとわかっている飼い猫に、人間並みに対等に話しかけるのには、ばつが悪いと感じるふうがあるようだった。
 「トウバマーリや、ミルクはいかが?」ブレムリー夫人が緊張気味の声でたずねた。(……)

  • サキ=著 青木榮一(あおき・えいいち)=訳 「おしゃべりな猫」 クリーヴランド・エイモリー=編 ロビン・アップワード〔ほか〕=写真 『お気に入りの猫物語—世界の猫文学10選』 ディーエイチシー (DHC) 1995/12
  • 原書: Cat Tales: Classic Stories from Favorite Writers, edited by Cleveland Amory, photographed by Robin Upward et al.

(J5) 中西 1988a, 1988b
 アピンの話は誰ひとりてんで信用しなかったが、サー・ウィルフリッドの証言で話はたちまち絶対確実となった。驚きの声が一斉に上がってコーラスになった。ミスター・アピンだけは黙ってかけたまま、途方もない大発見の最初の果実を楽しんでいる。
 その大騒ぎの中へトーバモリーが入ってきた。しずしずとビロードのような足取りで、いかにも無関心そうな様子でティー・テーブルを囲んだ連中へ近よった。
 一座は急にぎごちない気まずさにおそわれて静まり返った。知能抜群とみとめられた飼猫と対等に話をするのが何となく間がわるいらしい。
「トーバモリーや、ミルクを飲む?」とブレムリ夫人がいった。少し緊張した声である。(……)


(J6) 山主 1984
 アピン氏の話を聞いただけでは、どうせほら話だろうと、だれも信用していなかったのだが、この家の主人の報告を聞いては、だれひとり疑うものはなかった。
「そりゃすごい、ぜひおたくのネコと話をしてみたいですな。」
「どんなネコですか? ちょっとこっちへつれてきて、見せてくださいませんか。」 と大さわぎになった。アピン氏はだまってにやにやしながら、一同のおどろくようすを見て楽しんでいる。
 そこへどうやら気がむいたとみえて、トバモリーがのっそりとはいってきた。そして、びろうどのような足で、音も立てずにテーブルをかこんでいるみんなのそばへよってきた。みんなはきゅうにだまってしまった。ネコと人間が話をするなんて、どう考えてもぐあいがわるいのだ。
「トバモリーや、牛乳を飲むかい?」
 ブレムリー夫人が少しうわずったような声で聞いた。(……)
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.

  • サキ=著 山主敏子(やまぬし・としこ)=訳 「おしゃべりネコ」 アルジャノン・ブラックウッド〔ほか〕=著 『呪いの魔法人形』 世界こわい話ふしぎな話傑作集3 第3 イギリス編 金の星社 1984/01

(J7) 河田 1981
 アピンの話をてんから信じようとしなかった一同も、ウィルフリッド卿の話を聞いてたちまち信じる気になった。がやがやと一斉に驚きの声があがった。アピンは黙って、大発見の初めての反応を楽しんでいた。
 その騒ぎの真っ最中に、トバモリーが入って来たのである。足音を立てずに、わざとらしく落ち着き払って、ティー・テーブルのまわりにいる連中の方へ歩み寄った。 一座は急に気まずくなって、しんと静まり返った。口がきけると言われる飼猫と対等に話をするなんて何となくばつが悪かった。
 ブレムリ夫人が幾分緊張した声で、「トバモリー、ミルクでもどう」と言った。(……)

  • サキ=著 河田智雄(かわだ・ともお)=訳 「トバモリー」 『サキ傑作集』 岩波文庫 1981/11

(J8) 仁賀 1980, 1984
 アピンは一同に疑惑の眼で見られたが、ウィルフレッド卿の話はたちまち信用された。驚きの声が一斉に上り、騒がしいコーラスになった。その中でアピンは沈黙したまま、この途方もない発見の最初の反応を楽しんでいた。
 大騒ぎの最中に、当のトバーモリーが部屋に入ってきた。ビロードみたいな静かな足どりで、関心なさそうに、ティー・テーブルを囲んだ一同の方に歩み寄った。
 みんなバツの悪い気まずさに急に黙りこくった。かなりの知能を認められた飼猫と対等に話すのは、どうにもこそばゆいものがあった。
「ミルクを飲むかい、トバーモリー?」ブレムリー夫人は少し緊張した声でいった。(……)

  • サキ=著 仁賀克雄(じんか・かつお)=訳 「トバーモリー」 仁賀克雄=編訳 フレドリック・ブラウン〔ほか〕=著
  • a. は b. を文庫化したもの。

(J9) 柳瀬 1980, 1990
 アピンはまるきり不信心な聴衆に説教をたれていたわけだが、サー・ウィルフリドの言葉はたちまち信仰をもたらした。バベルの都さながらに驚嘆の叫びの大合唱がわき起こり、その渦のなかで当の科学者は無言のまま、自己の途方もない発見の初の成果を楽しんでいた。
 喧噪のさなかにトバモリーがはいってきて、しなやかな足取りで進みながら、ティーテーブルに集まった人々を何気なくちらりと観察した。
 気まずい、ぎこちない沈黙が、すぐさま一同を支配した。知力公認の飼い猫と対等に話をかわすというのは、どこか戸惑いの要素があったらしい。
「ミルクはいかが、トバモリー?」レディ・ブレムレーがいささかうわずった声でいった。(……)

  • サキ=著 柳瀬尚紀=訳 「トバモリー」 柳瀬尚紀=編訳
    a. は b. を文庫化したもの。b. は下の原書から16篇を選んで訳出したもの。
  • 原書: The Book of Cats, edited by George MacBeth and Martin Booth

(J10) 中村 1961, 1996
 すでにアピンの話で、絶対に懐疑的だった一同も、かなり説きおとされているところであった。そこにもってきて、このウィルフリッド卿の話なので、たちまち確信にかわった。驚愕の叫びがバベルの塔のような合唱となっておこった。そのあいだにあって、アピン氏は無言のまま、彼のとほうもない発見の最初の効果をたのしんでいた。
 この騒ぎのまっただなかに、トバーモリーが部屋にはいってきて、音もたてず、わざとのような無関心さを示しながら、ティー・テーブルをかこんだ一同のほうへ歩いてきた。
 ぎごちなさと息をのむような沈黙が、一座をおそった。すでに人語を解するとわかっている飼猫と、親しい言葉で話すのは、なんとなく気がひけるような気がしたからだった。
「ミルクを飲む? トバーモリー」とブレムリー夫人が、すこしばかり緊張した声で言った。(……)

  • サキ=著 中村能三(なかむら・よしみ)=訳 「トバーモリー」

■Tobermory の日本語表記
 Transliteration variations of the name "Tobermory" in Japanese

  • 「トウバマーリ」……青木 1995
  • 「トバモリー」………和爾 2015
  • 「トバモリー」………柴田 2015
  • 「トバモリー」………中西 1988/05
  • 「トバモリー」………山主 1984
  • 「トバモリー」………河田 1981
  • 「トバモリー」………柳瀬 1980, 1990
  • 「トバーモリ」………大津 1999
  • 「トバーモリー」……仁賀 1980, 1984
  • 「トバーモリー」……中村 1961, 1996
  • 「トーバモリー」……中西 1988/02

 Gallery 2 
表紙画像 Cover photos

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■ロシア語訳 Translation into Russian

    Эппин обращался к абсолютно равнодушным слушателям; заявление сэра  Уилфреда   вызвало   мгновенное   доверие.   Поднялся   хор возбужденных  восклицаний,  среди  которых  ученый  сидел,  молча наслаждаясь первыми плодами своего изумительного открытия.

    Среди шума и гама  в  комнате  появился  Тобермори,  прошелся мягкой поступью невозмутимо осматривая окружающее, и  приблизился к группе сидящей вокруг чайного столика.

    В  компании  воцарилась  смущенная  и   напряженная   тишина. Появился  элемент  замешательства  при  обращении  на  равных   к домашнему коту с общепризнанной способностью кусаться.

    "Не хочешь ли  немного  молока,  Тобермори?",  спросила  леди Блемли несколько напряженным голосом.

   Саки (Г.Х.Манро). Тобермори
   Translated by Гужов Е., 1997
   E-text at Lib.Ru


■ドイツ語訳 Translation into German

Appin hatte absolut ungläubigen Hörern gepredigt; Sir Wilfrids Erklärung fand sofort Glauben. Ein babylonisches Gewirr verblüffter Ausrufe erhob sich, inmitten dessen der Wissenschaftler stumm saß und die ersten Früchte seiner überwältigenden Entdeckung genoss.

Mitten in dem Tumult betrat Tobermory den Raum und bahnte sich samtpfotig und mit betonter Gleichgültigkeit seinen Weg zu der Gruppe, die um den Teetisch saß.

Ein plötzliches Schweigen befangener Verlegenheit befiel die Gesellschaft. Irgend etwas schien daran peinlich zu sein, einen Hauskater von anerkannten Geistesgaben wie seinesgleichen anzureden.

„Möchtest du etwas Milch, Tobermory?“ fragte Lady Blemley mit ziemlich gezwungener Stimme.

   Tobermory by Saki
   Die Clovis - Chroniken. Achtundzwanzig Geschichten
   Haffmans Verlag Zürich 1990
   E-text at zauberdrachen


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Appin tinha falado para ouvintes absolutamente incrédulos; a afirmação de Sir Wilfrid trouxe imediata convicção. Ergueu-se um coro como que de Babel de exclamações sobressaltadas, no meio do qual o cientista continuou sentado mudo, a gozar o primeiro fruto da sua prodigiosa descoberta.

No meio do clamor, Tobermory entrou na sala e dirigiu-se, com um pisar de veludo e estudada despreocupação, para o grupo sentado à volta da mesa.

O grupo caiu num repentino silêncio de embaraço e constrangimento. De certa maneira parecia uma vergonha uma pessoa dirigir-se a um gato de reconhecida habilidade dental em termos de igualdade.

— Queres leite, Tobermory? — perguntou-lhe Lady Blemley num tom bastante forçado.

   Tobermory by Saki
   Translated by Luís Varela Pinto
   E-text at Luís A. P. Varela Pinto


 Audio 1 
スペイン語版オーディオブック Audiobook in Spanish

下の引用箇所の朗読は 4:46 から始まります。 Uploaded to YouTube by Un Perrito Dijo on 1 Jan 2015. Reading of the excerpt below starts at 4:46.


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Sp1)
  Appin se había dirigido a un auditorio completamente incrédulo; las palabras de Sir Wilfrid resultaron ser, al instante, plenamente convincentes. Se elevó un coro de exclamaciones de asombro dignas de la torre de Babel; en medio de ellas, el científico permaneció sentado, gozando en silencio del primer fruto de su maravilloso descubrimiento.

  En medio del clamor Tobermory entró en el cuarto y se abrió paso con delicadeza y estudiada indi­ferencia hasta donde estaba el grupo reunido en torno de la mesa del té.

  Un repentino silencio, tenso y extraño, dominó a los presentes. Por algún motivo resultaba incómodo dirigirse en términos de igualdad a un gato doméstico de reconocida habilidad como cazador.

  -Quieres tomar leche, Tobermory? -preguntó Lady Blemley con un tono un poco tenso.

   Tobermory by Saki
   El cuentista y Tobermory Buenos Aires : Ediciones Colihue, 2005-07
   E-text at El Mundo de Wilhemina Queen 2008-05-05


(Sp2)
  Appin se había dirigido a un auditorio completamente incrédulo; las palabras de sir Wilfrid lograron un convencimiento instantáneo. Se elevó un coro de exclamaciones de asombro dignas de la Torre de Babel, entre las cuales el científico permanecía sentado y en silencio gozando del primer fruto de su estupendo descubrimiento.

  En medio del clamor entró en el cuarto Tobermory y se abrió paso con delicadeza y estudiada indiferencia hasta donde estaba el grupo reunido en torno a la mesa del té.

  Un silencio tenso e incómodo dominó a los comensales. Por algún motivo resultaba incómodo dirigirse en términos de igualdad a un gato doméstico de reconocida habilidad mental.

  -¿Quieres tomar leche, Tobermory? -preguntó lady Blemley con la voz un poco tensa.

   Tobermory by Saki
   E-text at Ciudad Seva


■フランス語訳 Translation into French

  Appin avait prêché devant un auditoire parfaitement incrédule. Mais les paroles proférées par sir Wilfrid emportèrent immédiatement l'adhésion. Des exclamations fusèrent çà et là que savourait muettement le savant : prémices de sa stupéfiante découverte.

  La clameur à son comble, ce fut le moment que choisit Tobermory pour apparaître dans la pièce, et se frayer un chemin d'un pas velouté et avec une nonchalance marquée à travers les invités groupés autour de la table à thé.

  Des chuchotements gênés, puis une chape contraignante enveloppèrent l'auditoire. On n'osait pas lui adresser la parole ni traiter d'égal à égal avec une bête tenue jusque-là pour un animal purement domestique.

  - Voudriez-vous un peu de lait, Tobermory? demanda Lady Blemley d'une voix légèrement tremblée.

   Tobermory
   Nouvelles : Edition intégrale by Hector Hugh Munro (Saki)
   Translated by Gérard Joulié
   L'Age d'homme, 2003
   Preview at Google Books


 Audio 2 
英語原文オーディオブック 朗読:マイク・ベネット
Audiobook in English read by Mike Bennett

下に引用する箇所の朗読は 6:25から始まります。 Published on Nov 19, 2011 by angrypyjamas. Reading of the excerpt below starts at 6:25.


 Audio 3 
英語原文オーディオブック 制作:ロバート・ニコル
Audiobook in English produced by Robert Nichol

Uploaded by AudiobooksMP3 on Nov 9, 2009. Produced by Robert Nichol. Copyright Vox Audio.


 Audio 4 
英語原文オーディオブック 制作: シックスティーンス・カヴァン
Audiobook in English produced by The 16th Cavern

下に引用する箇所の朗読は 5:38 から始まります。 Uploaded by The 16th Cavern on 24 Jan 2013. Reading of the excerpt below starts at 5:38.


 Audio 5 
英語原文オーディオブック 朗読:ロイ・マクレディ
Audiobook in English read by Roy Macready

Uploaded by SpidersHouseAudio on Oct 15, 2009.


■英語原文 The original text in English

  Appin had preached to absolutely incredulous hearers; Sir Wilfred's statement carried instant conviction. A Babel-like chorus of startled exclamation arose, amid which the scientist sat mutely enjoying the first fruit of his stupendous discovery.

  In the midst of the clamour Tobermory entered the room and made his way with velvet tread and studied unconcern across the group seated round the tea-table.

  A sudden hush of awkwardness and constraint fell on the company. Somehow there seemed an element of embarrassment in addressing on equal terms a domestic cat of acknowledged dental ability.

  "Will you have some milk, Tobermory?" asked Lady Blemley in a rather strained voice. (......)


■更新履歴 Change log

  • 2016/10/21 和爾桃子=訳 2015/04/20 を追加しました。
  • 2015/02/24 柴田元幸=訳 2015/02/15 とスペイン語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/08/16 ポルトガル語訳とフランス語訳を追加しました。また、各種オーディオブックの YouTube 画面も追加しました。さらに表紙画像も追加しました。
  • 2012/07/17 ロシア語訳を追加しました。
  • 2011/02/20 もう一種類のスペイン語訳を追加しました。
  • 2010/04/18 「トバモリー」の朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2008/08/15 中西秀男=訳の書誌情報を補足しました。
  • 2007/06/05 山主敏子=訳 1984/01 を追加しました。
  • 2007/03/28 柳瀬尚紀=訳 1980/07 についての書誌情報を補足しました。
  • 2007/03/26 柳瀬尚紀=訳 1980/07 を追加しました。また、リンク先の指定が誤っていた箇所を訂正しました。

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Saturday, 17 March 2007

Sredni Vashtar by Saki (Hector Hugh Munro) サキ(ヘクター・ヒュー・マンロウ) 「スレドニ・ヴァシュター」「スレドニ・ヴァシュタール」

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Images   アニメと本 An animated film and a book
■映画化作品 Film adaptations of Sredni Vashtar
 Audio 1  日本語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Japanese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 和爾 2015
  (J2) 陰陽師 2005
  (J3) 大津 1999
  (J4) 中西 1988, 2000
  (J5) 由良 1985
  (J6) 河田 1981
  (J7) 田内 1979
  (J8) 宇野 1969, 2006
 Video 1  アニメ Sredni Vashtar
 Video 2  短篇映画 Sredni Vashtar (1981) directed by Andrew Birkin
 Video 3  アニメ Sredni Vashtar (1981) directed by Václav Bedrich
 Video 4  TV Sredni Vashtar (1978-79) read by Tom Baker
 Video 5  映画 Sredni Vashtar (1940) directed by David Bradley
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
■チェコ語訳 Translation into Czech
■ドイツ語訳 Translation into German
■イタリア語訳 Translations into Italian
  (It1) Geta, 2009
  (It2) Crio, 2008
■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese
  (Pt1) Drummond, 2009
  (Pt2)
  (Pt3) Pinto
■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan
 Audio 2  スペイン語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 3  朗読: 朗読者未確認 Audiobook read by an unknown female reader
 Audio 4  朗読(テキスト付き): トム・オベドラム Videobook read by Tom O'Bedlam
 Audio 5  朗読: ピーター・イヤーズリー Audiobook read by Peter Yearsley
 Audio 6  朗読: スザンヌ・ホートン Audiobook read by Suzanne Houghton
■英語原文 The original text in English
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

隠微で不気味なユーモアが漂うサキの短篇。


 Images  
アニメと本 An animated film and a book

a. 101_4 b. 0486285219

↑ クリッックして拡大 Click to enlarge ↑


■映画化作品 Film adaptations of Sredni Vashtar

サキの「スレドニ・ヴァシュター」は、なんとチェコで3回も映画化されているのだそうです。左上の画像は、ヴァーツラフ・ベドジッヒ監督によるアニメ作品(下の YouTube 動画を参照)から。ベドジッヒ監督の名は、イタリアのアニメーション史家ジャンナルベルト・ベンダッツィによる『カートゥーン:アニメーション100年史』 Cartoons: Cento anni di cinema d'animazione by Giannalberto Bendazz (Marsilio Editori, 1988) で言及されています。日本語訳は Gon's Animation Limbo というサイトのこのページ カートゥーン:アニメーション100年史|第14章 東ヨーロッパ に掲載。


 Audio 1 
日本語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Japanese

宇野利泰訳による。下に引用する箇所の朗読は 5:50 から。 Uploaded to YouTube by Black eyes on Dec 8, 2014. Reading of the excerpt below starts at 5:50.


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 和爾 2015
あるとき天啓がくだってすばらしい名を思いつき、以後はあの獣を自分の神として崇めるようになった。信心びたりの「あの女」は週ごとに最寄りの教会へコンラディンを連れて行くが、教会の礼拝などコンラディンにとっては「リンモン神殿の異教儀式」に過ぎない。木曜ごとにかびくさく暗い静かな物置で、偉大なるイタチ神スレドニ・ヴァシュタールのおわします木箱の前にひざまずいて凝った秘儀を捧げ、季節に応じて赤い花や、冬には真紅の木の実を供えた。(……)

   サキ=作 和爾桃子(わに・ももこ)=訳 「スレドニ・ヴァシュタール」

   『クローヴィス物語』 白水Uブックス 白水社 2015/04/20


(J2) 陰陽師 2005
(……)ある日、まったく自分だけの思いつきで、このイタチにすばらしい名前をつけてやった。そして、そのときからこの獣は神となり、信仰の対象となったのである。「あの女」は信心深く、週に一度近所の教会にせっせと通い、コンラディンも連れて行くのだが、教会の礼拝など彼にとっては信念に反する、まったくなじめないものだった。
 毎週木曜日、薄暗く黴くさい、静かな物置のなかで、コンラディンは、偉大なるケナガイタチ、スレドニ・ヴァシター様がおわします木の檻にぬかずいて、神秘的で凝った儀式を行うのだった。赤い花が咲く季節はその花を、そして冬には深紅の苺を神殿に供える。(……)

   サキ=著 陰陽師=訳 「スレドニ・ヴァシター」
   サキ コレクション vol.1 Ghostbuster's Book Web
   初出 2005/05/07 - 2005/05/11
   改訂 2005/05/29


(J3) 大津 1999
 そしてある日、何がヒントになったのかわからないが、彼はこの大いたち(#「大いたち」に傍点)にすばらしい名前を思いついて、それをつけ、そのときからこの野獣は神となり、宗教となった。「あの女」は宗教好きで週一度近くの教会に通い、彼も連れていった。だが教会の儀式はコンラディンにはリモン家がとり行なう異教の神への儀式にすぎない。彼は毎週木曜日静まりかえった暗いかび臭い道具小屋で、偉大ないたちのスレドニ・ヴァシュターさまの住まい給う檻の前で、神秘な、複雑な儀式を行なって、礼拝した。花の季節には赤い花を、冬には赤い漿果(しょうか)を、神殿の前に供えた。(……)

   サキ=著 大津栄一郎=訳 「スレドニ・ヴァシュター」
   『サキ傑作選』 角川春樹事務所 ハルキ文庫 1999/03 所収


(J4) 中西 1988, 2000
ある日、コンラディンはどこからひねり出したか、この大イタチにすばらしい名前をつけた。そしてその日から大イタチは彼に取って神となり信仰の対象になった。「あの女」は毎週一回、近くの教会へ大好きなお参りに出かけ、コンラディンをいっしょに連れて行く。だがコンラディンは異教の神に向かって礼拝する格好をするだけのことだ。その代り、毎週木曜日になると、静まり返った物置のカビくさいうす闇の中で、偉大な大イタチ、スレドニ・ヴァシュターさまの住む木箱の前にひざまずき、手のこんだ神秘的な礼拝をする。花の咲くころは赤い花を、冬になるとまっ赤なスグリを神前にそなえる。(……)

  • サキ=著 中西秀男=訳 「スレドニ・ヴァシュター」
  • a は b を再録したもの。引用は b 国書刊行会 1988 に拠りました。

(J5) 由良 1985
 ある日のこと、まったく何から思いついたのかわからない、このケモノにつける素晴らしい名前を思いついた。その瞬間からこのケモノは一つの神さまというか、一つの宗教になってしまった。
 あの《女》は宗教婆(ばば)ぁ。週一回、ちかくの教会がよいにコンラディンまでつれだすのだ。だがコンラディンにはキリスト礼拝なんて、馬鹿らしい《リンモンの宮の異教の祭礼》でしかなかった。毎木曜日、暗いカビ臭い道具小舎の静寂のなかで、コンラディンは、不思議な丹念な祭礼をその木造の飼箱(ハッチ)のまえに捧げるのだった。巨大なケナガイタチであるスレドニー・ヴァシュタール神の住みたもうこの飼箱(ハッチ)の前で。
 花の季節には赤い花ばな、冬には真紅の果実(くだもの)が、その祭壇の前に捧げられた。(……)

   サキ=作 由良君美(ゆら・きみよし)=訳 「スレドニー・ヴァシュタール」
   由良君美=編 『イギリス幻想小説傑作集』 白水Uブックス 1985/10 所収


(J6) 河田 1981
(……)ある日、コンラディンは、どんないわれがあるのか知らないが、この大鼬(おおいたち)にすばらしい名前をつけてやった。その時から、大鼬は神となり、信仰のまととなった。「あの女」は週に一度、近くの教会で信心に熱中していて、コンラディンも一緒に連れて行ったが、教会の礼拝など、コンラディンにはどうしてもなじめなかった。毎週木曜日になると、コンラディンは、薄暗く、かびくさい、静かな道具置場の中で、偉大なる鼬、スレドニ・ヴァシュターの住む木の檻の前にぬかずいて、神秘的な手の込んだ儀式を行った。花の季節には赤い花が、冬には真っ赤な果実が神殿に供えられた。(……)

   サキ=著 河田智雄=訳 「スレドニ・ヴァシュター」
   『サキ傑作集』 岩波文庫 1981/11 所収


(J7) 田内 1979
 そしてある日、誰にもその理由はわからないけれど、彼はこの獣にすばらしい名前をつけてやったが、その時以来そいつは彼にとって神とも悪魔ともなったのである。「あの女」は週に一度、近くの教会で祈りの法悦にひたるのだったが、そのたびにコンラディンも連れて行った。だがその教会の儀式は彼にとって、リンモンの館の、異教の行事にすぎなかった。物置小屋の、うす暗くかび臭い静寂の中で、木曜日ごとに彼は、偉大な白 いたち(#原文は太字でなく傍点)スレドニ・ヴァシュタールが棲む木の檻の前で、神秘で綿密な儀式を行うのだった。花の咲く季節には赤い花が、花のない冬には真紅の木の実がこの祭壇にささげられた。(……)

   サキ=著 田内初義(たうち・はつよし)=訳 「スレドニ・ヴァシュタール」
   『サキ短編集』 講談社文庫 1979/06 所収


(J8) 宇野 1969, 2006
 ある日、いかなるわけか知らぬが、少年はその小動物に驚嘆すべき名称を思いついた。そして、その瞬間から、それは彼の、神となり、宗教となった。「女」は、週に一度、近くの教会に通った。コンラディンもいっしょに連れていかれるのであったが、彼にとっての教会の礼拝は、「リンモン(古代シリアの主神)の宮(みや)にある異邦人」の儀式にすぎなかった。
 毎木曜日、薄暗い道具小屋の片隅、かびのにおいの漂う静寂のうち、偉大ないたち(#「いたち」に傍点)の王者、スレドニ・ヴァシュタールの棲(す)む木檻の前で、少年はその荘厳な秘儀を執(と)り行なった。花の咲くときは赤い花を、冬の時季には、真紅の実を聖壇に捧げた。(……)

  • サキ=著 宇野利泰=訳 「スレドニ・ヴァシュタール」
  • 引用は b 創元推理文庫初版 1969 に拠りました。

 Video 1 
アニメ Sredni Vashtar

Uploaded to YouTube by workbyrd on Nov 25, 2008.


 Video 2 
短篇映画 Sredni Vashtar (1981) directed by Andrew Birkin
Mv5bmtuzndi2otg4nf5bml5banbnxkftztc
Starring Sacha Puttnam (Conradin)


 Video 3 
アニメ Sredni Vashtar (1981) directed by Václav Bedrich

Uploaded to YouTube by ExtremadamenteNerd on 28 Jun 2014.


 Video 4 
TV Sredni Vashtar (1978-79) read by Tom Baker

BBC2のTVシリーズ Late Night Story 全5話のうちの1話。ただし、このエピソードは実際にはBBCのストライキのせいで放送されずじまいだったとのこと (Source: BFI Screenonline)。下に引用する箇所の朗読は 4:05 から。 Uploaded to YouTube by WhoviansUSA on 16 Aug 2011. Reading of the excerpt below starts at 4:05.


 Video 5 
Sredni Vashtar (1940) [completed 1959-83], a film directed by David Bradley

下に引用する原文に相当する部分の映像は 2:30 あたりから。 Uploaded to YouTube by puritycharge on 22 Aug 2008. David Bradley Filmography. Narrated by David Bradley. Starring Mrs. Herbert Hyde (Mrs. de Ropp), Reny Kidd (Conradin). Reading of the section corresponding to the excerpt below starts around 2:30.


■ロシア語訳 Translation into Russian

И в один из дней,  только Небо знает из какого материала, он сплел зверю чудесное имя,  и с этого мгновения зверь  вырос  в Бога и  религию.  Женщина  предавалась  религии  раз  в  неделю в близлежащей церкви  и  брала  Конрадина  с  собой,  но  для  него церковная служба была чужим ритуалом. Каждый четверг в полутемной и затхлой тишине  сарая  для  инструментов  он  с  мистическим  и детально разработанным церемониалом поклонялся деревянной клетке, где проживал Средни Ваштар,  громадный хорек.  Красные цветы в их сезон и  алые  ягоды  в  зимнее  время приносились в жертву в его святилище, [Omission]

   Саки (Гектор Хью Манро). Средни Ваштар
   Copyright (C), перевод с английского, Гужов Е., 1997.
   E-text at Lib.Ru


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

Един ден той измисли чудновато име на животното, име, хрумнало му кой знае откъде и как, и от този миг нататък го въздигна в свой бог и в своя религия. Жената също имаше своя религия, която изповядваше веднъж седмично в близката черква, като винаги водеше и Конрадин със себе си, но за него църковната служба беше толкова чужда, колкото би бил и обредът в храма на някой асиро-вавилонски бог. Всеки четвъртък сред тишината на тънещата в полумрак, лъхаща на плесен барака той изпълняваше тайнствен и сложен ритуал пред дъсчения кафез, в който живееше големият пор Средни Ващар. Червени цветя през пролетта и лятото и клонки с алени шипки през зимата украсяваха светилището на този бог, [Omission]

   Саки - Средни Ващар
   Translated by Красимира Тодорова ( Пълни авторски права )
   E-text at Моята библиотека (chitanka.info)


■チェコ語訳 Translation into Czech

A jednoho dne, bůhví z jakého nápadu, si pro dravce vymyslel báječné jméno, a od té doby se mu fretka stala bohem a středem vlastního nábo-ženství. Ženská holdovala jednou týdně v blízkém kostele svému náboženství a brala Conradina s sebou, jenomže pro něho byly ty bohoslužby cizím obřadem v nepochopi-telném svatostánku. Sám každý čtvrtek v zšeřelém a za-tuchlém tichu kůlny uctíval mystickým a složitým cere-moniálem před dřevěnou boudou Sredniho Vaštara, veli-kou fretku. Obětoval před jeho oltářem letní rudé květy a šarlatové zimní bobule,

   Sredni Vaštar by Saki (Hector Hugh Munro)
   E-text at:
   * monro h.h _Lecba_neklidem [PDF]
   * Literární doupě


■ドイツ語訳 Translation into German

Und eines Tages, weiß der Himmel woher, ersann er für das Tier einen wundervollen Namen, und von dem Moment an wurde es zu einem Gott und zu einer Religion. 'Die Frau' gab sich ihrer Religion einmal die Woche in einer nahe gelegenen Kirche hin, zu der sie Gonradin mitnahm, aber für ihn war der Gottesdienst ein fremder Ritus aus einer fremden Welt. Jeden Donnerstag hielt er seine Andacht in der dunklen, modrigen Stille des Geräteschuppens, eine geheime, komplizierte Zeremonie vor dem hölzernen Verschlag, der Heimstatt von Sredni Vashtar, dem Großen Frettchen. Rote Blumen zur Blütezeit, rote Beeren im Winter - all dies wurde an seinem Schrein dargebracht, denn er war eine Gottheit, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki
   Eines Freundes Freund zu sein. Eine Anthologie. Bunte Blätter Band 7
   Books on Demand Gmbh, 2002-08
   Preview at Google Books


■イタリア語訳 Translations into Italian

(It1) Geta, 2009
Un giorno aveva inventato un nome per la bestiola, basandosi su elementi che il Cielo soltanto può conoscere, e da quel momento il furetto era divenuto per lui un dio ed una religione. La Donna si concedeva un po’ di religione una volta a settimana, in una chiesa nei paraggi, e si portava dietro Conradin, ai cui occhi però la messa appariva un rito alieno celebrato in un tempio pagano. Ogni giovedì, nel silenzio flebile e stantio del capanno, egli praticava il suo personale culto con un elaborato e mistico cerimoniale di fronte alla conigliera in legno dove risiedeva Sredni Vashtar, il Gran Furetto. Fiori rossi quando erano di stagione, e bacche scarlatte in inverno, venivano dati in offerta al suo tempio.

   Sredni Vashtar by Saki
   Translated by Ariano Geta
   E-text at Ariano Geta 2009/08/07


(It2) Crio, 2008
Finché un giorno, il Cielo sa come, non inventò un nome meraviglioso per l'animale, che da quel momento crebbe nella sua considerazione diventando un dio e una religione. La Donna praticava la religione una volta la settimana recandosi in una chiesa vicina, e portava Conradin con sè, ma per lui la liturgia in chiesa rappresentava nient'altro che un rito alieno e senza senso. Ogni giovedì, nell'indistinto silenzio stantio del capanno, egli stava adorante, seguendo un mistico ed elaborato cerimoniale, accanto alla gabbia di legno in cui abitava Sredni Vashtar, il grande furetto. Fiori rossi di stagione e bacche scarlatte d'inverno venivano portati al suo cospetto, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki
   Translated by Crio Ufo (ƆƦıo)
   E-text at Sredni Vashtar-Saki (Hector Hugh Munro) - MySpace 2008/07/28


■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese

(Pt1) Drummond, 2009
Um dia, e só Deus sabe de onde lhe teria vindo a inspiração, o garoto conseguiu encontrar um nome maravilhoso para o animal: Sredni Vashtar. E logo ele foi elevado ao status de divindade, a quem Conradin prestava um verdadeiro culto. Uma vez por semana, Aquela Mulher ia à igreja, levando o garoto consigo. Para ele, o serviço religioso não era mais do que um ritual estranho e incompreensível, mas deu-lhe a orientação necessária para que criasse outros rituais. Assim, todas as terças-feiras, na penumbra bolorenta e silenciosa do seu templo, ele se ajoelhava na frente da gaiola de madeira e adorava Sredni Vashtar, o Grande Furão. Conradin elaborara um complexo cerimonial, cheio de misticismo. À guisa de oferenda, ele colocava flores vermelhas no altar, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki (Hector Hugh Monroe)
   Translated and adapted by Regina Drummond
   E-text at Project Gutenberg


(Pt2)
E certo dia - só Deus sabe onde ele foi buscar aquilo - Conradin inventou um nome maravilhoso para o animal, que a partir desse momento se alcandorou às proporções de um deus e de uma religião. A Mulher dedicava-se às práticas da religião uma vez por semana numa igreja das imediações, e levava Conradin com ela, mas para o garoto o ofício religioso era um rito estranho que praticava sozinho no barracão. Todas as quintas-feiras, no silêncio espectral e húmido do telheiro de ferramentas, prestava culto com místico e complicado cerimonial diante da jaula de madeira onde vivia Sredni Vashtar, o grande furão. Flores vermelhas no Estio e bagas escarlates no Inverno eram levadas como oferendas ao seu santuário, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki
   E-text at Project Gutenberg


(Pt3) Pinto
E um dia, só Deus sabe de que matéria-prima, ele engendrou um maravilhoso nome para o animal, e a partir desse momento ele cresceu e tomou a dimensão de um deus e de uma religião. A Mulher dedicava-se à religião uma vez por semana numa igreja próxima e levava Conradin com ela, mas para ele o serviço religioso era um ritual alienígena na Casa de Rimmon. Todas as quintas-feiras, no sombrio e bafiento silêncio da arrecadação, ele prestava culto com um cerimonial místico e complicado frente à arca de madeira onde morava Sredni Vashtar, a grande doninha. Flores vermelhas da época e morangos escarlates no Inverno eram oferecidos no seu santuário, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki
   Translated by Luís Varela Pinto
   E-text at Luís A. P. Varela Pinto


■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan

Un dia va assignar a la bèstia un nom meravellós tret de vés a saber on, i a partir d’aquell moment es va convertir en un déu i una religió. La Dona complia amb la religió un cop per setmana en una església propera, on es feia acompanyar de Conradin; per ell, el servei eclesiàstic era un ritual estrany a la Casa de Rimmon. Cada dijous, en el silenci penombrós i humit del cobert, retia un culte místic i complex davant la conillera de fusta on vivia Sredni Vashtar, el gran furó. Oferia a l’altar flors vermelles en saó i maduixes escarlata a l’hivern, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki
   E-text at Srendi Vashtar .odt


 Audio 2 
スペイン語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Spanish

Uploaded to YouTube by ARTKARYUS on 15 Aug 2013


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Y un día, quién sabe cómo, imaginó para la bestia un nombre maravilloso, y a partir de entonces el hurón de los pantanos fue para Conradín un dios y una religión. La Mujer se entregaba a la religión una vez por semana, en una iglesia de los alrededores, y obligaba a Conradín a que la acompañara, pero el servicio religioso significaba para el niño una traición a sus propias creencias. Pero todos los jueves, en el musgoso y oscuro silencio de la casilla, Conradín oficiaba un místico y elaborado rito ante el cajón de madera, santuario de Sredni Vashtar, el gran hurón. Ponía en el altar flores rojas cuando era la estación y moras escarlatas cuando era invierno, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki
   E-text at Ciudad Seva


■フランス語訳 Translation into French

Un jour, et Dieu seul sait d'où lui vint cette inspiration, il trouva pour la bête un nom merveilleux. Alors, elle fut élevée au rang de divinité à laquelle il voua un véritable culte. Une fois par semaine, la Femme se rendait à l’église voisine et y emmenait Conradin. Pour lui, cependant, le service religieux n’était qu’un rite étrange et incompréhensible. En revanche, tous les jeudis, dans la pénombre et l'odeur de moisi de la remise silencieuse, il s'agenouillait devant la cage de bois et adorait Sredni Vashtar, le Grand Furet. Il avait élaboré un cérémonial complexe empreint de mysticisme. En guise d'offrande, il disposait sur l'autel des fleurs rouges à la belle saison et des baies écarlates en hiver, [Omission]

   Sredni Vashtar by Saki
   Translated by Guillaume Marlière
   E-text at Gilbert Salem
   Excerpt at La bête dans la littérature fantastique [PDF]


 Audio 3 
英語原文のオーディオブック(朗読): 朗読者(女性)未確認
Audiobook read by an unknown female reader

下に引用する箇所の朗読は 3:28 から。 Uploaded to YouTube by Morgan Scorpion on 24 Nov 2011. Reading of the excerpt below starts at 3:28.


 Audio 4 
英語原文のテキストと朗読(短縮版): トム・オベドラム
Videobook of the original English text (abridged) read by Tom O'Bedlam

下に引用する箇所の朗読は 2:30 から。 Uploaded to YouTube by SpokenVerse on 21 Nov 2009. Reading of the excerpt below starts at 2:30.


 Audio 5 
英語原文朗読: ピーター・イヤーズリー Audiobook read by Peter Yearsley

録音提供はリブリヴォックス。下に引用する箇所の朗読は 4:21 から。 Uploaded to YouTube by freeaudiobooks84 on 29 Oct 2012. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 4:21.


 Audio 6 
英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook read by Suzanne Houghton

録音提供: リブリヴォックス 下に引用する箇所の朗読は 3:47 から。 Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 3:47.


■英語原文 The original text in English

And one day, out of Heaven knows what material, he spun the beast a wonderful name, and from that moment it grew into a god and a religion. The Woman indulged in religion once a week at a church near by, and took Conradin with her, but to him the church service was an alien rite in the House of Rimmon. Every Thursday, in the dim and musty silence of the tool-shed, he worshipped with mystic and elaborate ceremonial before the wooden hutch where dwelt Sredni Vashtar, the great ferret. Red flowers in their season and scarlet berries in the winter-time were offered at his shrine, [Omission]


■更新履歴 Change log

  • 2016/10/21 日本語版オーディオブックと、和爾桃子=訳 2015/04/20 を追加しました。
  • 2015/07/23 ヴァーツラフ・ベドジッヒ監督によるアニメと、トム・ベイカーによるストーリーテリングの2本の YouTube 動画を追加しました。
  • 2014/11/19 カタルーニャ語訳を追加しました。
  • 2014/11/18 ブルガリア語訳とスペイン語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/09/21 もう1つの朗読録音を追加しました。
  • 2013/04/28 目次を新設しました。
  • 2013/03/23 YouTube の提供するもう1つの朗読録音を追加しました。
  • 2012/08/13 チェコ語訳を追加しました。
  • 2012/07/12 ロシア語訳、3種類のポルトガル語訳、2種類のイタリア語訳、フランス語訳、および SpokenVerse による朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2011/09/20 つぎの2本の YouTube 動画を追加しました。
    1. workbyrd がアップロードした Sredni Vashtar のアニメ
    2. Andrew Birkin 監督による映画 Sredni Vashtar (1981)
    また、Librivox による無料オーディオブックへのリンクを張りました。
  • 2011/07/21 「はじめに」の項を新設しました。また、ドイツ語訳を追加しました。
  • 2010/04/18 David Bradley 監督による映画 Sredni Vashtar (1940) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2007/09/15 田内初義=訳 1979/06 を追加しました。
  • 2007/07/13 陰陽師=訳(初出 2005/05/07 - 2005/05/11)を追加しました。
  • 2007/04/13 スペイン語訳を追加しました。

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The Voice in the Night by William Hope Hodgson W・H・ホジスン 「夜の声」「闇の海の声」「闇の声」「闇の中の声」

 Image gallery 
本の表紙、DVDのジャケット、肖像写真 Book and DVD covers and a portrait

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a. Eibei_horror_no_keifu b. 1999_hakaba_kara_kaeru c. 1998_kaiju_bungaku_taizen

d. 1992_nanatsu_no_kyofu_monogatari e. Yoru_no_koe_2 f. Matango

g. 2007_fr_la_chose_dans_les_algues h. 189238941x01 i. Nighthodgson

■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 秋川 2006
『ねえ、顔の横に何をつけているの?』不安のあまり、声がきつくなっていた。私は顔に手をあててみた。
『そこよ! 耳の脇の髪の毛の下。もう少し前』手でその場所をさぐりあて、私はすべてをさとった。
『まず君の親指をすませてからだ』私はいった。彼女は指がきれいになるまで私に触れないようにしようと思っていたので、私のいうとおりにした。私が彼女の親指を洗って消毒し終えると、彼女は私の顔にとりかかった。処理がすむと私たちはすわって、しばらくいろいろ話しこんだ。世にも恐ろしいものが私たちの人生に突然、忍び入ってきたのだ。いきなり、死よりも恐ろしいものが迫ってきたのだ。
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.

   ウィリアム・ホープ・ホジスン=著 秋川久美子=訳 「夜の声」
   R・スティーヴンスン、C・ディケンズ〔ほか〕=著
   金原瑞人(かねはら・みずひと)=編
   『英米ホラーの系譜』 ホラーセレクション9 ポプラ社 2006-03 所収


(2) 矢野 1999
『ねえ、あなたの顔の横のほうに、なにかついてるわ』
 その声は、不安(ふあん)にとがっていた。手をやるとなにかにふれた。
『そこよ! 耳のそば、髪(かみ)のはえぎわよ。あ、もうちょっと前』
 わたしの指は、その場所をさぐりあてた。そして、わたしは知った。
『きみの指のをさきにかたづけてしまおう』
 彼女はわたしの言葉にしたがった。自分の指がきれいになってしまわないかぎり、
わたしにふれるのを、こわがったからだ。その作業が終わると、彼女はわたしのほうにとりかかった。全部すんでしまうと、わたしたちはしばらく腰(こし)をおろして、いろいろなことを話しあった、わたしたちの生活に、おそろしい心配事(しんぱいごと)が、しのびよってきたからだった。死よりももっとおそろしいなにかが。

   ウィリアム・ホープ・ホジスン=作
   矢野浩三郎(やの・こうざぶろう)=訳 「闇の海の声」
   ロバート・シルヴァーバーグ〔ほか〕=作
   『墓場から帰る』 恐怖と怪奇名作集7 岩崎書店 1999-04 所収


(3) 大門 1998
「『あなたの顔の横にあるそれはなに?』その声は不安に尖っていた。私は手を顔に上げた。
「『そこよ! 耳のわきの髪の下。もうちょっと前』私の指は言われた所に触れ、そして私は悟ったのだ。
「『きみの親指を先にやってしまおう』と私は言いました。私が彼女の親指を洗って、消毒しおえると、今度は彼女が私の顔にかかった。それがすむと、私たちは並んで坐り、しばらくいろいろなことを話し合った、私たちの身の上に突然、世にも恐ろしいことがふりかかってきたのだ! 私たちは死よりもわるいものにとりつかれたのだった。

   W・H・ホジスン=著 大門一男(おおかど・かずお)=訳 「闇の声」
   東雅夫(ひがし・まさお)=編 『怪獣文学大全
   河出文庫 1998-08 所収


(4) 坂崎 1992
『あなたの頬にあるのはなに?』彼女の声は、不安のためにするどかった。わたしは、かた手をあげて、そこをさぐった。
『そこよ! 耳のそばの髪の毛の下あたり——もうちょっとまえ!』
 指がふれた。やっぱりだった。
『まず、きみの親指をきれいにしよう。』わたしはいった。彼女は同意した。指の消毒がおわるまで、わたしにさわりたがらなかったからだ。彼女の親指をあらい、消毒してから、彼女がわたしの顔にとりかかった。すっかりすむと、わたしたちはならんですわり、さまざまなことを話しあった。おだやかなくらしになれたときに、きゅうにおそろしいことを考えなければならなくなったのだ。わたしたちは、そのときいちはやく、死よりもひどいことがおこりそうな予感におびえていた。
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.

   W・H・ホジソン=著 坂崎麻子(さかざき・あさこ)=訳 「夜の声」
   坂崎麻子=編訳 『七つの恐怖物語—英米クラシックホラー
   偕成社文庫 1992-07 所収


(5) 小倉 1986
「『ねえ、あなた、顔の横についているのなあに?』彼女の声は心配でとがっていた。私は片手をあげてさぐってみた。
『そこそこ! 耳のそばの髪の毛の下。もうちょっと前の、ぽちっとしたもの』私の指さきがそこに触れた。そして私は分かった。
『きみの親指をさきにすませてしまおう』と私は言った。すると彼女はその指がきれいになるまでは私の躰にさわっていけないと思ったもんだから、私の言うとおりにした。私が彼女の親指を洗って消毒をすますと、彼女は私の顔の治療にかかった。それがすむと私たちは一緒に坐って、しばらくの間いろんなことを相談した……というのも、私たちの生活にひどく恐ろしい気持ちがいきなり入りこんできていたからだ。急に死よりも恐ろしいことが心配になってきた。

   ウィリアム・ホープ・ホジスン=著
   小倉多加志(おぐら・たかし)=訳 「闇の中の声」
   『海ふかく』 アーカム・ハウス叢書 国書刊行会 1986-08 所収


(6) 井辻 1985
「『あなたの顔の横についているのは何?』彼女の声は不安にとがっていた。わしは手をあててさわってみた。
「『そこよ! 耳のそばの髪の下——もう少し真ん中寄り』わしの指はその場所をさぐりあて、そしてわしは悟った。
「『まず、おまえの親指が先だ』わしは言った。彼女は手がきれいになるまでは、わしに触れるのを恐れていたからすなおに従った。彼女の親指を洗い、消毒してやると、彼女はわしの顔にとりかかった。処置が終わるとわしらはいっしょに坐って、いろいろなことを語りあった。わしらの生活に、ふいに世にも恐ろしい思いが忍びこんできたのだ。わしらはすぐ、死よりも悪い運命に怯えた。

   W・H・ホジスン=著 井辻朱美(いつじ・あけみ)=訳
   『夜の声』 創元推理文庫 1985-08


(7) 各務 1971, 1975, etc.
「『ねえ、あなたの顔の横のほうに何かついていますわ』その声は不安にとがっていた。手をやると何かに触れた。
『そこよ! 耳のそば、髪のはえぎわよ。あ、もうちょっと、前よ』わしの指はその場所をさぐりあてた。そしてわしは知ったのだ。
「『きみの指のをさきにかたづけてしまおう』わしはいった。彼女はわしの言葉にしたがった。自分の指がきれいになってしまわないかぎり、わしに触れるのをこわがったためだ。その作業が終わると、彼女はわしのにとりかかった。全部すんでしまうと、わしたちはしばらく腰をおろしていろいろなことを話しあった。わしたちの生活に、だしぬけにひどく恐ろしい心配事がしのびよってきたからだった。死よりももっとおそろしい何かが、にわかに心配になりだしたのだ。

   引用は d. 月刊ペン社版に拠りました。


 Audio 
「夜の声」 英語原文オーディオブック(朗読)
The Voice in the Night - Audiobook in English

下に引用する箇所の朗読は 24:23 あたりから。 Reading of the excerpt below starts around 24:23.


■英語原文 The original text in English

"'What's that on the side of your face, dear?'  Her voice was sharp with anxiety.  I put my hand up to feel.

"'There! Under the hair by your ear.  A little to the front a bit.'  My finger rested upon the place, and then I knew.

"'Let us get your thumb done first,' I said. And she submitted, only because she was afraid to touch me until it was cleansed.  I finished washing and disinfecting her thumb, and then she turned to my face.  After it was finished we sat together and talked awhile of many things for there had come into our lives sudden, very terrible thoughts.  We were, all at once, afraid of something worse than death.

   The Voice in the Night by W. H. Hodgson
   First appeared in The Blue Magazine (November 1907)


 Video 1 
マタンゴ(1963) 英語版予告編 Matango (1963) English trailer

Uploaded to YouTube by sideshowcarny on 2 Mar 2007.  Directed by Ishirô Honda. Starring Akira Kubo, Yoshio Tsuchiya, Hiroshi Koizumi.


 Video 2 
マタンゴ (1963) 日本語版予告編(スペイン語字幕付き)
Matango (1963) Japanese trailer with Spanish subtitles

監督: 本多猪四郎 出演: 久保明、土屋嘉男、小泉博 Uploaded to YouTube by LosBrothers69 on 21 Feb 2008. 


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013-04-26 つぎの3本の YouTube 音声/映像画面を追加しました。
    1. 英語原文オーディオブック
    2. Matango (1963) English trailer
    3. Matango (1963) Japanese trailer with Spanish subtitles
  • 2009-07-24 表紙画像を追加し、リンクの一部を修正しました。
  • 2007-07-12 小倉多加志=訳 1986/08 を追加しました。
  • 2007-07-07 訂正とお断り。杉崎和子=訳(「幽霊船の謎」中田耕治=編『恐怖の1ダース』講談社文庫 1980/08 所収)を引用するつもりであると、まえまえから予告しておりました。ところが、私は勘違いをしていることに気がつきました。この邦訳は "The Voice in the Night" の訳ではなく、別の短篇 "The Mystery of the Derelict" (1907) の訳だったのです。したがって、引用のリストからは除きました。
  • 2007-04-02 井辻朱美=訳 1985-08 を追加しました。

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Friday, 16 March 2007

An Occurrence at Owl Creek Bridge by Ambrose Bierce アンブローズ・ビアス 「アウルクリーク橋の出来事」「アウルクリーク橋でのできごと」「アウル・クリーク鉄橋での出来事」「アウル・クリーク橋の一事件」「アウル河橋事件」

        目次 Table of Contents

  Video   [ja] ふくろうの河 (1962) [fr] La rivière du hibou (1962)
        [en] An Occurrence at Owl Creek Bridge
 Images  表紙画像その他
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 小川 2011
  (J2) 野沢 2006
  (J3) 陰陽師 2005
  (J4) 大津 2000, 2001
  (J5) 坂崎 1992
  (J6) 椋田 1989
  (J7) 小島 1985
  (J8) 中西 1977
  (J9) 中村 1970, 1987
  (J10) 奥田 1970, 1989
  (J11) 加納 1961
  (J12) 西川 1955
  (J13) 中川 1949
■ロシア語訳 Translation into Russian
■イタリア語訳 Translation into Italian
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 1  CBSラジオ・ミステリー・シアター CBS Radio Mystery Theater
 Audio 2  リブリヴォックスによる朗読 Audiobook by LibriVox
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


  Video  
フランス映画 『ふくろうの河 (1962)
フランス語原題 La rivière du hibou (1962)
米国テレビ番組 The Twilight Zone の一話として放映されたときの英題は
An Occurrence at Owl Creek Bridge

ロベール・アンリコ(監督) ロジェ・ジャッケ(ペイトン・ファーカー役) Robert Enrico (director), Roger Jacquet (Peyton Farquhar). Original US broadcast by CBS: 1964-02-28


 Images  表紙画像その他

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a. Owlcreek b. Owl_creek_bridge_1 c. Ambrosebierce_1

■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

他推开门,走上宽敞的白色甬道,只见一件女人的裙衫迎面走来,他的妻子容光焕发,娴静而甜蜜,此时她正在从前廊走下来迎接他。她微笑地站在台阶下等待,拥有着无与伦比的优雅和尊严。啊,她是多么美丽啊!他张开双臂,向前奔去。正要抱住她时,[以下略]

   安布罗斯·比尔斯:鹰溪桥上
   E-text at 我爱看书 (read.wakbook.com)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小川 2011
門を押して、ゆったりした白い小道を歩いて行くと、女物の衣服が揺らぐ。さっぱり涼しげな愛らしい妻が、ベランダを下りて迎えようとしてくれる。階段の下で待とうとする。うれしそうな顔をするものだ。こんなにも美しい、しっかりした立ち姿があるだろうか。なんという綺麗な女だ。その妻に向かって、大きく腕を広げて駆けていく。いまにも抱き寄せようとした瞬間[以下略]

   ビアス=著 小川高義=訳 「アウルクリーク橋の出来事」
   『アウルクリーク橋の出来事/豹の眼』 光文社古典新訳文庫 2011/03/20 所収


(J2) 野沢 2006
門をあけて入り、幅の広い白い小道を歩いていくと、女の服のすそがはためくのが見えて、妻がすがすがしい、落ちついた、やさしい表情でヴェランダをおりてきて、ファーカを出むかえた。階段のいちばん下で待っている妻は、とてもうれしそうにほほえみ、これ以上はないほどに優雅で上品な姿をしている。ああ、なんて美しいんだ! ファーカは両手を広げ、妻にかけよった。が、抱きしめようとした瞬間[以下略]
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.]

   アンブローズ・ビアス=著 野沢佳織=訳 「アウルクリーク橋でのできごと」
   R・スティーヴンスン、C・ディケンズ〔ほか〕=著
   金原瑞人(かねはら・みずひと)=編
   『英米ホラーの系譜』 ホラーセレクション9 ポプラ社 2006/03 所収


(J3) 陰陽師 2005
門を押して開け、広く白い小径を歩いていくと、ひるがえる女の服が見えた。妻だった。みずみずしく穏やかな、優しげなたたずまいで、ヴェランダの階段を下りてこちらへやってくる。一番下の段で立ち止まった。言葉にならないほどの喜びに満ちた笑みを浮かべ、較べるものがないほどの気品と威厳を備えて、待っている。ああ、なんと美しいのだろう。両手を差し伸べて、駆け寄った。妻を抱きしめようとしたその瞬間[以下略]

   アンブローズ・ビアス=著 陰陽師=訳
   『アウル・クリーク橋でのできごと
   ghostbuster's book web. 初出 2005/08/02 - 2005/08/11


(J4) 大津 2000, 2001
門を押し開けて、広い白い歩道を歩いていくと、女性用の着物がひらひら動くのが見える。妻が、生き生きした、冷静な、優しげな様子で、ベランダから降りてきて、彼を迎える。階段を降りきったところで、たとえようのない、嬉しそうな微笑を浮かべて、比類のない優美さと威厳にみちた態度で、立って待っている。ああ、彼女はなんと美しいことだろう。彼は両手を前にさし伸べて、飛んでいく。まさに彼女を抱きしめようとしたその瞬間[以下略]

   ビアス=著 大津栄一郎=訳 「アウル・クリーク鉄橋での出来事」
   a. 井上雅彦=編 伊藤潤二〔ほか〕=著
     『吊された男—異形アンソロジータロット・ボックス3
     角川ホラー文庫 2001/06 所収
   b. 大津栄一郎=編訳 『ビアス短篇集』 岩波文庫 2000/09 所収
   大手出版社から出ている本としては、ほとんど信じがたいことだが、
   a. では訳者名の「大津」が「大澤」と誤植されてしまっている。


(J5) 坂崎 1992
 彼は門をおしあけ、ひろい、白っぽい道を歩いていった。
 女の服がはためくのがみえた。妻だった。みずみずしく、すずしげで、あいらしい姿が、ベランダからおりてきて、彼をむかえようとしていた。段をおりきったところで妻は、うれしそうにほほえみながら、優雅な、りんとした立ち姿で彼をまっていた。ああ、わたしのうつくしい妻! 彼は両腕をまえへのばして、かけよった。
 妻をだきしめようとしたとたん[以下略]
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.]

   アンブローズ・ビアス=著 坂崎麻子(さかざき・あさこ)=訳
   「アウル・クリーク橋」
   坂崎麻子=編訳 『七つの恐怖物語—英米クラシックホラー
   偕成社文庫 1992/07 所収


(J6) 椋田 1989
 門をあけて、玄関につづく白い道を歩いていくと、女性の服がひらめくのが見える。妻だ。すがすがしく、落ちついて、やさしい笑顔をうかべた妻が、ベランダの階段をおりてむかえにくる。階段をおりきったところで立ちどまり、おさえきれない喜びの笑顔でまっている。
 なんと上品で、気高いのだろう。なんと美しいのだろう。ファークワーは両手を広げて走りだす。妻を腕にだこうとした瞬間[以下略]
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.]

   ビアス=作 椋田直子=訳 「アウル・クリーク鉄道橋のできごと」
   江河徹(えがわ・とおる)=編 ひらい たかこ=画
   『なぞめいた不思議な話』 幻想文学館2 くもん出版 1989/08 所収


(J7) 小島 1985
門を開けて広々とした白い道を歩いていくと、ドレスがひらりと翻るのが見えた。彼を出迎えにベランダから下りてくる妻の姿が、新鮮で、涼しげで、愛らしく見えた。彼女は階段の下で、口では言い表せないほど嬉しそうに微笑みながら、この上なく優雅で気品に満ちた姿で彼を待っていた。ああ、なんと美しい! 彼は両腕を広げて走り出した。そして今しも妻を抱き締めようとした瞬間、[以下略]

   アンブローズ・ビアス=作 小島恭子(こじま・きょうこ)=訳
   「アウル・クリーク橋の事件」
   デニス・ホイートリー=選 ジョン・ラッセルほか 『神の遺書 恐怖の一世紀 4
   ソノラマ文庫 海外シリーズ 朝日ソノラマ 1985/10 所収


(J8) 中西 1977
門をおしあけて白々とした広い径を行くと、向うに女の衣裳のひるがえるのが見える。妻だ。すがすがしい優しい顔でおれを出迎えにベランダを下りる。下りきったところに立って待っている。口にいえない嬉しさをにっこり顔に浮かべて、何とまあ優しく品のある姿だろう! ああ、何という美人だ! 彼は両手をさし伸べて飛びつく。妻の身体をつかむかと思う瞬間[以下略]

   ビアス=著 中西秀男=訳 「アウル・クリーク橋の一事件」
   『ビアス怪談集』 講談社文庫 1977/02 所収


(J9) 中村 1970, 1987
門を押しひらき、広く白い小路を歩いて行くと、女の服のひるがえるのが見える。みずみずしく、すずしげで、やさしいようすの妻が、彼を迎えるためにヴェランダから降りてくる。段々のいちばん下で、言葉につくせぬ喜びの微笑をたたえ、ほかに比べるものもない優雅さと気品のある物腰で、彼を待っている。ああ、なんという美しい女だろう! 彼は両手をのばして前へ飛びだす。妻を抱こうとしたとたん[以下略]

   アンブローズ・ビアス=著 中村能三(なかむら・よしみ)=訳
   「アウル・クリーク橋の一事件」
   a.生のさなかにも』 文庫 東京創元社 1987/12 所収
   b.生のさなかにも』 単行本 創土社 1970/12 所収


(J10) 奥田 1970, 1989
門を押し開き、広く白々とした道をたどると、女の衣裳が風に舞うのが見える。妻が生き生きと涼しげで、しかもしとやかなしぐさで、ヴェランダを降り、彼を迎える。石段を降りきったところで、妻は、えもいわれぬ喜びに楚々(そそ)とほほえみ、この上なく優雅で気品ある素振りを見せて、待ちうけている。ああ、妻はこよなく美しい。男は手をさしのべて、かけよる。今まさに妻を抱きしめようとする、そのとたん[以下略]

   ビアス=著 奥田俊介=訳 「アウル・クリーク橋の一事件」
   a. 奥田俊介〔ほか〕編訳 『ビアス傑作短篇集(上) つかのまの悪夢
     東京美術 1989/02 所収
   b.ビアス選集1 戦争』 東京美術 1970 所収


(J11) 加納 1961
門をおしあけて、広く白い小径をのぼってゆくと、ヒラヒラする女の着物が見える。さわやかに、涼しそうな美しさをたたえた彼の妻が、ヴェランダをおりて、自分を迎えにくる。階段の下まできて、立って待っている、いいようもない悦びを笑にうかべて、たぐいなく優しく気品にみちた様子だ。ああ、じつに美しい。彼は両手をさし出してさっと歩み寄る。まさに妻を両手にいだこうとするその瞬間[以下略]

   ビアス=著 加納秀夫=訳 「アウル・クリーク橋事件」
   大橋健三郎=編 『アメリカ短篇名作集』 学生社 1961/09 所収


(J12) 西川 1955
門を押しあけ、ひろい真白な小路を家のほうへ近づいて行く。女の衣服がひるがえるのが見えた。妻がこの上もなく涼しげなやさしい様子で、彼を迎えようと、ヴェランダから歩み下りる。下りきったところで、彼女は立って待ちうける。言葉に尽しがたい喜びの微笑を浮べ、比類のないしとやかさと気品とをそなえた様子を見せて。ああ、なんと美しいことか。両手をさしのべて、彼はおどりよった。そして妻を抱きしめようとした。その途端[以下略]

   アンブローズ・ビアス=著 西川正身=訳 「アウル・クリーク橋の一事件」
   ビアス=著 西川正身=編訳 『いのちの半ばに』 岩波文庫 1955/08 所収


(J13) 中川 1949
門を押し開いて、廣い・白い寄道を歩いてゆくと、女の着物がヒラヒラするのが見える。彼の妻が、いきいきと、さわやかに、美しく、見えて、ベランダをおりて彼をむかえる。ベランダをおりきつたところで立つて待つている、言葉にあらわせぬ喜びのほほえみを浮べながら、ならびない優美と威嚴の容姿。ああ、なんと彼女の美しいことか! 彼は腕をのばして前に飛び出す。彼女を抱きしめようとしたときに、[以下略]

   アンブローズ・ビアース=作 中川驍(なかがわ・たかし)=譯
   「アウル河橋事件」 『生命のさ中に』 世界文學叢書 55 世界文學社 
   定價金二◯◯圓 1949-01-15
   道と歩の旧字はそれぞれ新字で置き換えました。


■ロシア語訳 Translation into Russian

Толкнув калитку и сделав несколько шагов по широкой  аллее,  он  видит воздушное женское платье; его жена, свежая, спокойная и красивая, спускается с крыльца ему навстречу. На нижней ступеньке она  останавливается и поджидает его с улыбкой неизъяснимого счастья, - вся изящество и благородство. Как она прекрасна! Он кидается к ней, раскрыв объятия. Он уже  хочет  прижать  ее  к груди, [Omission]

   Амброз Бирс. Случай на мосту через Совиный ручей
   Из сборника "В гуще жизни" (1891)
   Translated by В.Топер
   E-text at Lib.Ru


■イタリア語訳 Translation into Italian

Appena spalanca il cancello e si avvia per il grande viale bianco, vede uno svolazzare di abiti femminili; la moglie dall’aspetto giovane, fresco, dolce, scende dalla veranda per andargli incontro. Rimane in attesa in fondo alle scale, con un sorriso di gioia ineffabile, un atteggiamento di impareggiabile grazia e dignità. Ah, com’è bella! Si precipita in avanti a braccia spalancate. Mentre sta per stringerla a sé, [Omission]

   Accadde al ponte di Owl Creek
   by Ambrose Bierce
   E-text at L'evasione del prigioniero – Paolo Marzola blog


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Mientras abre las puertas de la reja y sube por la gran avenida blanca, observa unas vestiduras flotar ligeramente: su esposa, con la faz fresca y dulce, sale a su encuentro bajando de la galería, colocándose al pie de la escalinata con una sonrisa de inenarrable alegría, en una actitud de gracia y dignidad incomparables. ¡Qué bella es! Él se lanza para abrazarla. En el momento en que se dispone a hacerlo, [Omission]

   El incidente del Puente del Búho
   by Ambrose Bierce
   E-text at Ciudad Seva


■フランス語訳 Translation into French

Comme il pousse le battant de la grille et entre dans la large allée blanche, il aperçoit un frémissement de vêtements féminins ; sa femme, douce et fraîche, à l'aspect reposé, descend de la vérandah et vient à sa rencontre. Au pied des marches elle l'attend, avec un sourire de joie ineffable, dans une attitude inégalable de grâce et de noblesse. Comme elle est belle ! Il s'élance vers elle, les bras ouverts. Il va l'étreindre ! [Omission]

   Un incident au pont d'Owl-Creek by Ambrose Bierce. Translated by Victor Llona.
   E-text at Wikisource


 Audio 1 
「アウルクリーク橋の出来事」 CBSラジオ・ミステリー・シアター 第101話
An Occurrence at Owl Creek Bridge - CBS Radio Mystery Theater, Episode 101
Owl_creek_cbs_radio_mystery_theater
もともとのラジオ放送は1974年6月4日。ビデオの埋め込みは禁じられているので、録音をお聴きになるには  ここをクリック  して CBS Radio Mystery Theater のページへ行ってください。 Original broadcast date: June 4, 1974. Uploaded by MysteryTheaterRadio on Jul 19, 2012. Embedding disabled by request. To listen to the radio show  CLICK HERE  to visit the CBS Radio Mystery Theater website.


 Audio 2 
「アウルクリーク橋の出来事」 リブリヴォックスによるオーディオブック(朗読)
An Occurrence at Owl Creek Bridge - Audiobook by LibriVox

下に引用する箇所は 24:13 あたりから始まります。 Uploaded by rt20bg on 17 Oct 2012. Audio courtesy by LibriVox. Read by Elise Sauer. The excerpt below starts around 24:13.


■英語原文 The original text in English

As he pushes open the gate and passes up the wide white walk, he sees a flutter of female garments; his wife, looking fresh and cool and sweet, steps down from the veranda to meet him. At the bottom of the steps she stands waiting, with a smile of ineffable joy, an attitude of matchless grace and dignity. Ah, how beautiful she is! He springs forward with extended arms. As he is about to clasp her [Omission]


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  「アウル・クリーク橋」………………………坂崎 1992
  「アウル・クリーク橋でのできごと」………陰陽師 2005
  「アウル・クリーク橋の一事件」……………中西 1977
  「アウル・クリーク橋の一事件」……………中村 1970, 1987
  「アウル・クリーク橋の一事件」……………奥田 1970, 1989
  「アウル・クリーク橋の一事件」……………西川 1955

  「アウル・クリーク橋の事件」………………小島 1985

  「アウル・クリーク橋事件」…………………加納 1961
  「アウル・クリーク鉄橋での出来事」………大津 2000
  「アウル・クリーク鉄道橋のできごと」……椋田 1989
  「アウルクリーク橋でのできごと」…………野沢 2006
  「アウルクリーク橋の出来事」………………小川 2011
  「アウル河橋事件」……………………………中川 1949


■外部リンク External links

b. およびそれを参照した a. では、ビアスのこの作品に現れる語 timber と timbers の理解について、綿密・周到な考察がくわえられている。第一線の翻訳家の仕事ぶりがうかがえて、たいへん参考になる。


■更新履歴 Change log

  • 2014/08/01 小島恭子=訳 1985/10 を追加しました。
  • 2014/05/17 中川驍=譯 1949-01-15 とフランス語訳を追加しました。
  • 2013/03/30 中国語訳(簡体字)と、リブリヴォックスによるオーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/08/27 CBS Radio Mystery Theater の録音へのリンクを追加しました。
  • 2012/07/12 ロシア語訳とイタリア語訳を追加しました。
  • 2011/03/20 YouTubed 動画が元サイトで削除されていたので、おなじ作品の別のビデオクリップに差し替えました。また、「外部リンク」の項を新設しました。
  • 2011/03/11 小川高義=訳 2011/03/20 を追加しました。
  • 2009/07/25 YouTube動画を追加し、「邦題の異同」の項を新設しました。
  • 2007/07/13 陰陽師=訳(初出 August 2-11 2005)を追加しました。
  • 2007/04/21 中村能三=訳 1970/12, 1987/12 を追加しました。
  • 2007/04/13 スペイン語訳を追加しました。
  • 2007/04/02 椋田直子=訳 1989/08 を追加しました。
  • 2007/03/29 中西秀男=訳 1977/02 を追加しました。

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Fat Girls in Des Moines by Bill Bryson ビル・ブライソン「デモインの太った娘たち」(2)

Bill_bryson_americana Billbryson_4

         ↑ Click to enlarge ↑  
 
[Left] 'I dreamed I went to the office in my Maidenform bra'
 Image source: Bill Bryson | Americana Photo Gallery
[Right] William "Bill" McGuire Bryson, OBE (1951- )
 Image source: Des Moines Public Library
 
 
■日本語訳 Translation into Japanese

アイオワの女はたいていぎょっとするほどでっぷり肥えている——土曜日にデモインのマール・ヘイ・モールに行けば、汗にまみれた肥満体にショートパンツをはき、ホールターを着て腕と背中をむき出しにした彼女たちの姿が見られるが、まるで子供服を着た象といった趣である。ドゥェインとかショーナとかいう子供たちをどなりつけていることも多い。人もあろうにあのジャック・ケルアックが、アイオワの女は全米一美しいなどと考えていたが、きっと土曜日にマール・ヘイ・モールに行ったことがなかったのだろう。しかしこれだけはいっておきたい——何とも不思議でならないのだが、こうした太った女たちから生まれた十代の娘は、なぜかみな、ふるいつきたくなるほど魅惑的で、もぎたての果物のようにやわらかく、ふっくらと形もよくて、みずみずしくかぐわしい香りがする。どうしてあんなことになってしまうのかわからないが、こうした年ごろのかわいい娘と、その体内に時限爆弾が仕掛けられているのを知りながら結婚するのは、恐怖以外の何物でもあるまい。いつの日か、彼女はいきなり、前触れもなくどかっとふくれあがり、何やら巨大でグロテスクなものに一変してしまう。膨張式ゴムボートの栓を急に引き抜いたかのようである。

   ビル・ブライソン=著 市川恵里=訳「デモインの太った娘たち」
   池央耿=監訳『旅を書く—ベスト・トラベル・エッセイ
   河出書房新社 2000/06 所収
 
 
■英語原文 The original text in English

Iowa women are almost always sensationally overweight--you see them at Merle Hay Mall in Des Moines on Saturdays, clammy and meaty in their shorts and halter-tops, looking a little like elephants dressed in children's clothes, yelling at their kids, calling names like Dwayne and Shauna. Jack Kerouac, of all people, thought that Iowa women were the prettiest in the country, but I don't think he ever went to Merle Hay Mall on a Saturday. I will say this, however--and it's a strange, strange thing--the teenaged daughters of these fat women are always utterly delectable, as soft and gloriously rounded and naturally fresh-smelling as a basket of fruit. I don't know what it is that happens to them, but it must be awful to marry one of these nubile cuties knowing that there is a time bomb ticking away in her that at some unknown date will make her bloat out into something huge and grotesque, presumably all of a sudden and without much notice, like a self-inflating raft from which the stopper has been abruptly jerked.

   Fat Girls in Des Moines by Bill Bryson
   * First appeared in the Granta 23, Home, Spring 1988
   * The Best of Granta Travel, edited by Bill Buford
    Paperback: Penguin USA; Reissue ed. (1992/02)
   * The Lost Continent: Travels in Small Town America
    by Bill Bryson
    Paperback: Harper Collins; Reprint ed. (1990/09)
   Excerpt at:
   * The website of Olin Shivers, College of Computing,
    Georgia Institute of Technology
   * Sanity Starved
   * ValleyTalk Forums
 
 
■参考 References

   Bill Bryson(ノンフィクション翻訳クラブのウェブサイト)
 
 
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Saturday, 10 March 2007

A letter from Heloise to Abelard エロイーズからアベラ−ルへの手紙

 Video 
[ja] 映画 『天国を盗んで』 (1988) 英語音声 ポルトガル語字幕 1/12
[pt] Em nome de deus (1988) Som: Inglês. Legendas: Português 1/12
[en] Stealing Heaven (1988) Sound: English. Subtitles: Portuguese. 1/12

クライヴ・ドナー(監督)、デレク・デ・リント(アベラール)、キム・トムソン(エロイーズ)  Clive Donner (director), Derek de Lint (Abelard), Kim Thomson (Heloise)


 Image gallery 1 
ふたりの絵、ふたりの墓 A painting, the tomb

Les_amours_d27hc383c2_1 Abelardheloisetomb_1
↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

Left Abelard and Heloise.  Image source: Wilson's Almanac ezine
Right The tomb of Abelard and Heloise in Père Lachaise Cemetery, Paris.  Image source: Wikipedia


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 中条 2011
「わたしはあなたのうちにあなた以外のものを求めたことは一度もありません。わたしが愛したのはあなただけ、あなたに付属する何ものでもありません。結婚の絆(きずな)を考えたこともありません[……] 妻という名の方がより神聖で、より力強く見えるかもしれませんが、私にとっては愛人という名のほうがもっとずっと甘美に思われたのです。いいえ、はっきりいうなら、情婦、あるいはあなたの娼婦という名のほうがもっとよかったでしょう」

   中条省平(ちゅうじょう・しょうへい)=部分訳 エロイーズ「第二の手紙」
   アベラールとエロイーズ——去勢されて目覚めた修道士と愛欲に殉じた修道女
   中条省平=著 『恋愛書簡術 - 古今東西の文豪に学ぶテクニック講座
   中央公論新社 2011-12-10
   この本に掲載されているアベラールとエロイーズの間の往復書簡は、
   各手紙の全文ではなく、上掲引用箇所などを含む複数の抜粋訳のみです。


(J2) 横山 2009
神はご存知です。これまで私は、あなたのうちに、あなた以外のものを求めたことはけっしてありませんでした。純粋にあなただけであって、あなたの財貨などではありませんでした。結婚の絆も、結納金の類も望みませんでした。私自身の逸楽や意志すら顧みず、ただあなたの逸楽やご意思を満たすべく、努めてまいりました。それはよくご存知ですよね。妻という呼称の方がより尊く、面目が立つように思われるかもしれませんが、私にとっては愛人という名の方がいつだってずっと甘美に響いたものでした。お気を悪くされないなら、妾あるいは娼婦と呼ばれてもよかったのです。

   横山安由美(よこやま・あゆみ)=訳 第二書簡 エロイーズからアベラールへ
   沓掛良彦(くつかけ・よしひこ)+横山安由美=訳
   『アベラールとエロイーズ 愛の往復書簡』 岩波文庫 2009/09/16


(J3) 川成 1995
神もご照覧下さいますとおり、私は、あなたご自身を求めました。ただあなただけを。私は、結婚の誓約も、結婚によって得る財産も要求はいたしませんでした。あなたもご存じのとおり、我が快楽と願望を満足させようとしたのではなく、ひたすらあなたの満足、あなたの願望を満たそうとしたのです。妻という名はより神聖で、より健全に聞こえるかもしれません。けれども私には愛人という名——もっと思い切って申せば、妾(めかけ)や娼婦という名のほうが、常に甘美に響くように思われます。

   「エロイーズからアベラールへ」
   ロナルド・タンプリン=編 川成洋(かわなり・よう)=監訳
   『歴史を彩る恋人たち—フェイマス・ラブレター
   同朋社出版 1995/04 所収

   原書: 
   Famous Love Letters: Messages of Intimacy and Passion,
   edited by Ronald Tamplin (1995)
   * Hardcover: Reader's Digest (1995/01)
   * Hardcover: Todtri Productions (2005/12)


(J4) 中村 1987
神がご承知のとおり、あなたのうちにあなた以外のものを求めたことはけっしてありませんでした(アナタガ欲シイノデアッテ、アナタノモノガ欲シイノデハナイノデス」)。わたくしが望んだのは結婚の絆でもどんな利益でもなく、またわたくしの意志でもわたくしの快楽でもなく、あなたご自身よくご存じのように、あなたの意志と快楽をこそ満足させようと切望したのです。妻の名はたしかに神聖で力強いものかもしれませんが、わたくしはつねに愛人の名のほうが好きでした。こういってもあなたが許してくださるなら、妾や娼婦の名のほうがわたくしには好ましかったのです。

   第四章 純愛のモラル
   エチエンヌ・ジルソン=著 中村弓子(なかむら・ゆみこ)=訳
   『アベラールとエロイーズ』 みすず書房 1987/03/10

   おそらくフランス語訳からの重訳か。「訳者あとがき」に次の記述があります。
   「訳者はラテン語ができないためラテン語部分は全面的にフランス中世文学
   専門の畏友、細川哲士立教大学助教授にご教示頂き、その際に早稲田大学
   博士課程の瀬戸直彦氏にも助けて頂いた」

   原書:
   Héloïse et Abélard by Étienne Gilson
   Librairie Philosophique J. Vrin, 1964, troisième édition revue


(J5) 澁澤 1972, 1984, etc.
「あなたにとって、《妻》という名がより神聖な、より名誉ある名に思われたとしても、わたくしにはいつも、あなたの《情婦》と名のることのほうが、ずっと嬉しく思われたのでございます。いえ、もしあなたさえお気を悪くなさらなければ、いっそあなたの《娼婦》と名のりたいのです」

   澁澤龍彦=著『女のエピソード』所収の全24篇のうちの1篇
   「エロイーズ——二十年間、火のような恋文を書きつづけた」
   の文中に現れる抜粋訳
   a.澁澤龍彦全集11』(全22巻・別巻1) 河出書房新社 1994-04-12
   b.女のエピソード』 河出文庫 1990-02-05
   c.女のエピソード』 ダイワアート 1989-03-25
   d.女のエピソード』 大和文庫 ダイワアート 1984-07-25
   e.女のエピソード』 桃源社 1972-05-10
   f. 「女のエピソード12 エロイーズ」
      『花椿』 資生堂 1970/01〜1971/12 連載のうちの1回。
   上掲引用箇所のみの部分訳。初出は f.c.d. を単行本化したもの。
   引用は a. に拠りました。


(J6) 佐藤 1947, 1949, etc.
神さま、何卒、御證(みあか)しにお立ち下さいませ! それ以來、わたくしはあなたの中に、あなた以外の何物も、つひぞ求めたことはございません。わたくしの愛してきたものは、あなた御自身ばつかりで、あなたの物なぞではございません。結婚の條件だの、何等かの支度だの、わたくしの身に纏はる樂しみごとや意志なぞは、考へたこともございません。常に思つてゐたことは、あなたの樂しみごとと意志との、果されることのみでした。かうしたことは、よつく御存知のことと思ひます。「妻」といふ稱び名のはうが、より神聖に、より健全に思はれませうが、あの時分のわたくしにとりましては、寧ろ「愛人」と稱ばれるはうが、いえ、いつそ洗ひ浚ひ言はせていたゞきませうなら、「妾」とか「娼婦」とか稱ばれるはうが、わたくしにはもつと好もしかつたのです。

   a. アベラール+エロイーズ=著 佐藤輝夫=訳
     『愛の往復書簡—アベラールとエロイーズ』 角川文庫 1966
   b. アベラール+エロイーズ=著 佐藤輝夫=譯
     『アベラールとエロイーズ』 ロマンチツク叢書19 青磁社 1949/12
   c. アベラール=著 佐藤輝夫=譯
     『愛の書—アベラールとエロイーズの書翰』 白桃書房 1947/09
   a. は未見。b.c. の訳文は一見したところ、おなじのようです。


(J7) 畠中 1939, 1964, etc.
私があなたに関していまだかつてあなた以外の何物をも求めなかったことは神様が知っていらっしゃいます。純粋にあなたをのみ求め、あなたの物質的なものを求めはしなかったのです。結婚の誓約も、何の贈り物も、私は期待しませんでした。私の満足と意志とを満たそうとはせずに、ひたすら、(あなた自身も御存知のように)あなたの御満足と御意志とをのみ満たそうと努めました。そして妻という名称はより神聖に、より健全に聞えるかもしれませんが、私にとっては、常に愛人という名前の方がもっと甘美だったのです。いいえ、思い切って申しますが、私は妾あるいは娼婦という名でもよかったのです。

   第二書簡 エロィーズからアベラールへ
   アベラール+エロィーズ=著 畠中尚志=訳
   a.アベラールとエロイーズ—愛と修道の手紙』 岩波文庫 改版 1964
   b.アベラールとエロィーズ—愛と修道の手紙』 岩波文庫 1939/10

   つぎの各書にも再録されています。
   c. 「喫茶室|西欧の愛の原型」
     度會好一(わたらい・よしいち)=著
     『ラヴ・レター—性愛と結婚の文化を読む』 南雲堂 1994/08
   d. 「エロイーズよりアベラールへの願い」
     鶴見俊輔+森毅+池内紀+安野光雅+井上ひさし=編
     『恋の歌 ちくま哲学の森1』 筑摩書房 1989/11


 Image gallery 2 
表紙画像 Book covers

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a. En_levitan_abelard__heloise_2 b. En_abelard_and_heloise_penguin_clas c. Fr_lettres_et_vies_2

■ドイツ語訳 Translation into German

Gott ist mein Zeuge, ich habe je und je in Dir nur Dich gesucht, Dich schlechthin, nicht das Deine, nicht Hab und Gut. Ein festes Eheband, eine Morgengabe - habe ich je danach gefragt? Du bist mein Zeuge, nicht meine Lust, nicht mein Wille war je mein Ziel, nein, nur Deine volle Befriedigung. In dem Namen 'Gattin' hören andere vielleicht das Hehre, das Dauernde; mir war es immer der Inbegriff aller Süße, Deine Geliebte zu heißen, ja - bitte zürne nicht! - Deine Schlafbuhle, Deine Dirne. ( . . . )

   Zweiter Brief: Heloise an Abälard
   Abaelard: Die Leidensgeschichte und der Briefwechsel mit Heloisa.
   Translated by Ebehard Brost
   Verlag Lambert Schneider Heidelberg 1979
   E-text at Liebeskummer Abelard und Heloise


■英訳 Translations into English

(E1) Levitan, 2007
I never wanted anything in you
but you alone,
nothing of what you have
but you yourself,
never a marriage, never a dowry,
never any pleasure, any purpose of my own ---
as you well know ---
but only yours.
The name of wife may have the advantage
of sanctity and safety, but to me
the sweeter name will always be lover
or, it your dignity can bear it,
concubine or whore.

   Abelard & Heloise: The Letters and Other Writings
   by Peter Abelard and Heloise
   translated by William Levitan
   * Hardcover: Hackett Pub Co Inc (2007/03)
   * Paperback: Hackett Pub Co Inc (2007/03)

   この新しい英訳については、下のコメント欄にご覧のとおり、
   永嶋哲也さんに教えていただきました。お礼かたがた、
   この美しい韻文体の英訳を引用させていただきます。


(E2) Mayo
God knows, did I seek anything in you except yourself; I wanted only you, nothing of yours. I looked for no marriage-bond, no marriage portion, and it was not my own pleasures and wishes I sought to gratify, as you well know, but yours. The name of wife may seem more sacred or more worthy but sweeter to me will always be the word lover, or, if you will permit me, that of concubine or whore.

   The Letters of Peter Abelard and Heloise
   Readings for PHI 325H L'Idee et la Cite
   translated by Stephan T. Mayo, Molloy College
   E-text at Dr. Mayo's website


(E3) Radice, 1974
God knows I never sought anything in you except yourself; I wanted simply you, nothing of yours. I looked for no marriage-bond, no marriage portion, and it was not my own pleasures and wishes I sought to gratify, as you well know, but yours. The name of wife may seem more sacred or more binding, but sweeter for me will always be the word mistress, or, if you will permit me, that of concubine or whore.

   The letters of Abelard and Heloise,
   translated with an introduction and notes by Betty Radice
   revised by M.T. Clanchy
   (Penguin Classics: First ed. 1974, Revised ed. 2003)
   E-text at the website of Jeff Anderson,
   Department of History, Syracuse University


(E4) Moncrieff, 1925
Nothing have I ever (God wot) required of thee save myself, desiring thee purely, not what was thine. Not for the pledge of matrimony, nor for any dowry did I look, not my own passions or wishes but thine (as thou thyself knowest) was I zealous to gratify. And if the name of wife appears more sacred and more valid, sweeter to me is ever the word friend, or, if thou be not ashamed, concubine or whore.

   The Letters of Abelard and Heloise,
   translated from the Latin by C.K. Scott Moncrieff (New York: 1925)
   E-text at The Internet Medieval Source Book


(E5) Anonymous, 1901
If, formerly, my affection for you was not so pure, if in those days both mind and body loved you, I often told you even then that I was more pleased with possessing your heart than with any other happiness, and the man was the thing I least valued in you. You cannot but be entirely persuaded of this by the extreme unwillingness I showed to marry you, though I knew that the name of wife was honourable in the world and holy in religion; yet the name of your mistress had greater charms because it was more free.

   Heloise to Abelard
   The Love Letters of Abelard and Heloise
   translated by Anonymous,
   edited by Israel Gollancz and Honnor Morten (1901)
   E-text at The Internet Sacred Text Archive (sacred-texts.com)


(E6) Richardson, 1884
Heaven knows! in all my love it was you, and you only I sought for. I looked for no dowry, no alliances of mar riage. I was even insensible to my own pleasures; nor had I a will to gratify. All was absorbed in you. I call Abelard to witness. In the name of wife there may be something more holy, more imposing; but the name of mistress was ever to me a more charming sound.

   First Letter by Heloise,
   translated by A.S. Richardson (James R. Osgood & Co., 1884)
   E-text at Medieval Women - Scriptorium


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Jamás —Dios lo sabe— busqué otra cosa que a ti en ti mismo; te quería solo a ti, no tus bienes. Nunca pensé en mis placeres ni en mis deseos, solo en los tuyos. Bien lo sabes. El título de esposa ha sido juzgado el más sagrado y fuerte; sin embargo, es el de amante el que siempre me ha sido más dulce, y, si no te choca, el de concubina. ( . . . )

   Abelardo y Eloísa [PDF] Sarah Fidelzait
   Biblioteca Digital Infantil Juvenil


■フランス語訳 Translation into French

Dieu le sait, jamais je n'ai cherché en toi que toi‑même. C'est toi seul que je désirais, non ce qui t'appartenait ou ce que tu représentes. Je n'attendais ni mariage, ni avantages matériels, ne songeais ni à mon plaisir ni à mes volontés, mais je n'ai cherché, tu le sais bien, qu'à satisfaire les tiennes. Le nom d'épouse paraît plus sacré et plus fort; pourtant celui d'amie m'a toujours été plus doux. J'aurais aimé, permets-moi de le dire, celui de concubine et de fille de joie, ( . . . )

   Première Lettre d'Héloïse à Abélard
   E-text at:
   * Association culturelle Pierre Abelard
   * Lycee Le Verger (in RTF format)


■イタリア語訳 Translation into Italian

Non ho mai cercato nulla in te, Dio lo sa, se non te; desideravo semplicemente te, nulla di tuo. Non volevo il vincolo del matrimonio,né una dote. Mi sforzavo di soddisfare non la mia voluttà o la miavolontà, ma le tue, come sai. E se il nome di moglie sembra più santoe più importante, per me è sempre stato più dolce quello di amica o,se non ti scandalizzi, concubina e persino prostituta. ( . . . )

   Lettera Seconda
   Lettere di Abelardo e Eloisa Milano : BUR, 1996
   Translated by Cecilia Scerbanenco
   E-text at:
   * Letteratura al femminile
   * Scribd


■ラテン語原文 The original text in Latin

Nichil umquam (Deus scit) in te nisi te requisivi: te pure, non tua concupiscens.  Non matrimonii federa, non dotes aliquas expectavi, non denique meas voluptates aut voluntates, sed tuas, sicut ipse nosti, adimplere studui.  Et si uxoris nomen sanctius ac validius videretur, dulcius mihi semper extitit amice vocabulum aut, si non indigneris, concubine vel scorti (......) 
 
   Epistolae Abaelardi et Heloysae
   E-text at the website of Professor Martin Irvine,
   Georgetown University


■外部リンク External links

  • Heloise (d.1163/4)
    Other Women's Voices: Translations of women's writing before 1700
    On this page you will find useful bibliographic information as well as links to websites and excerpts from translations in print.
  • 好事家の物置
    中世哲学がご専門の永嶋哲也氏によるサイトの一部。アベラールとエロイーズに関連して、写本関係、史跡、音楽、ノンフィクション、フィクションの各ページが設けられており、門外漢の私もたいへん興味深く拝見しました。

■更新履歴 Change log

  • 2012/06/12 中条省平=部分訳 2011-12-10、ドイツ語訳、スペイン語訳、およびイタリア語訳を追加しました。
  • 2010/09/28 映画 Stealing Heaven (1988) の YouTube 動画がユーザーによって削除されていたので、類似の別の動画と差し替えました。また、澁澤龍彦=著 1972, 1984, etc. を追加しました。
  • 2010/07/26 映画 Stealing Heaven (1988) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2009/12/04 中村弓子=訳 1987/03/10 を追加しました。
  • 2009/09/29 2009年岩波文庫版の訳者名表示を次のとおり修正しました。
       修正前: 沓掛+横山 2009
       修正後: 横山 2009
    この本ではアベラールからの手紙を沓掛氏が訳し、エロイーズからの手紙は横山氏が訳すと分担が明記されているので、より正確な訳者名表示を行なうために修正したものです。
  • 2009/09/23 沓掛良彦+横山安由美=訳 2009/09/16 を追加しました。また、表紙画像も追加しました。
  • 2009/01/30 畠中尚志=訳の文中に私が写しまちがえた字がありましたので訂正しました。これまで「何も贈り物も」と表示していたのは、正しくは「何の贈り物も」でした。
  • 2007/07/15 佐藤輝夫氏の、より古い訳書『愛の書—アベラールとエロイーズの書翰』白桃書房 1947/09 の現物を目にする機会を得ました。そして、その訳文が、ロマンチツク叢書19 青磁社版 1949/12 とおなじであるらしいことを確認しました。これにともない、書誌情報を補足しました。
  • 2007/04/18 永嶋哲也さんにご紹介いただいた、新しい英訳 William Levitan 2007/03 を追加しました。また、佐藤輝夫=譯 1949/12 を追加しました。

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Thursday, 08 March 2007

A Rose for Emily by William Faulkner フォークナー 「エミリーにバラを一輪」「エミリーにバラを」「エミリーに薔薇を」「エミリーへのバラ」「エミリーへの薔薇」「エミリーへのばら」「薔薇をエミリーに」「エミリーの薔薇」

          目次 Table of Contents

 Images  本の表紙とCD・DVDのジャケット Book, CD and DVD covers
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 金原 2012
  (J2) 高橋(啓) 1989
  (J3) 飯島 1977
  (J4) 高橋(正) 1966, 1975, etc.
  (J5) 西川 1974, 1979
  (J6) 赤祖父 1973
  (J7) 林 1968
  (J8) 高橋(正) 1961
  (J9) 大橋 1956
  (J10) 龍口 1950, 1952, etc.
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ポーランド語訳 Translations into Polish
  (P1) Grzesika
  (P2) Kierszys, Zakrzewski, Życieńska, 1978
■ドイツ語訳 Translation into German
■イタリア語訳(部分訳) Translation into Italian (fragmental)
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
  Video   学生が授業のために製作した映画 A Rose for Emily, a student project
 Audio 1  英語原文のオーディオブック Audiobook in English
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title in Japanese
■学習者向け参考サイト Reference sites for students
■日本語訳の書誌情報 Bibliography on translations into Japanese
  (J1) 金原 2012
  (J2) 高橋(啓) 1989
  (J3) 飯島 1977
  (J4) 高橋(正) 1966, 1975, etc.
  (J5) 西川 1974, 1979
  (J6) 赤祖父 1973
  (J7) 林 1968
  (J8) 高橋(正) 1961
  (J9) 大橋 1956
  (J10) 龍口 1950, 1952, etc.
 Audio 2  ザ・ゾンビーズ「エミリーにバラを」 A Rose for Emily by The Zombies
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Images  
本の表紙とCD・DVDのジャケット Book, CD and DVD covers

a. The_big_sleep b. To_have_and_have_not ja 30428103

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  • 三つ数えろ / The Big Sleep (1946)』 レイモンド・チャンドラー=原作 ウィリアム・フォークナー=脚本共同執筆 ハワード・ホークス=監督
  • 脱出 / To Have and Have Not (1944)』 アーネスト・ヘミングウェイ=原作 ウィリアム・フォークナー=脚本共同執筆 ハワード・ホークス=監督

   [ja] 『フォークナー短編集』 新潮文庫 (1950)
   [de] Eine Rose fuer Emily Diogenes Verlag (2003) ドイツ語版
   [fr] Une rose pour Emily et autres nouvelles Gallimard (2002) フランス語版
   [en] The William Faulkner: Audio Collection Rose for Emily / That Evening Sun /
      Spotted Horses / Wash / Barn Burning (2003) 朗読CD


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

她就这样度过了一代又一代——高贵,宁静,无法逃避,无法接近,怪僻乖张。

她就这样与世长辞了。在一栋尘埃遍地、鬼影憧憧的屋子里得了病,侍候她的只有一个老态龙钟的黑人。


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

她就這樣度過了一代又一代——高貴,寧靜,無法逃避,無法接近,怪僻乖張。

她就這樣與世長辭了。在一棟塵埃遍地、鬼影憧憧的屋子裡得了病,侍候她的只有一個老態龍鍾的黑人。


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 金原 2012
(……)このようにしてエミリーは、次々に世代が交代するなかを生きていったのです。愛らしく、個性的で、人を寄せつけず、穏(おだ)やかで、強情な女性として。
 そして亡(な)くなりました。病気で倒(たお)れたのですが、お屋敷(やしき)の中は埃(ほこり)と影(かげ)ばかりで、面倒(めんどう)をみてくれるのは、足元もおぼつかない黒人の使用人ひとり。

  • ウィリアム・フォークナー=作 金原瑞人=訳 「エミリーにバラを一輪」

(J2) 高橋(啓) 1989
 こうしてミス・エミリーは、町が古い世代から新しい世代へとうつりかわっても、つねにかけがえのない人であり、さけてとおることのできない人であり、近よりがたい人であり、ものごとに動じない人であり、そして、意地っぱりな人でありつづけたのでした。
 そして、ミス・エミリーは死にました。ほこりとかげに満ちた家のなかで病にたおれ、看病(かんびょう)してくれる人といえば、よぼよぼになった黒人の召(め)し使(つか)いだけでした。

  • フォークナー=作 高橋啓=訳 「エミリーにバラを」

(J3) 飯島 1977
(……)こうして彼女は世代から世代へとすごしていった——親しみ深く、避け難く、いっさいを受けつけず、自若として、かたくなに。
 こうして彼女は死んだ。ほこりと暗い影にみちた家で病いにたおれ、世話するものといえば、よぼよぼの黒人の召使いただ一人だけだった。

  • フォークナー=作 飯島淳秀=訳 「薔薇をエミリーに」

(J4) 高橋(正) 1966, 1975, etc.
(……)こんなふうにして彼女は一つの世代からつぎの世代へと——なつかしい、どうにもならない、かたくなな、もの静かな、そしてひねくれた姿で——移っていったのである。
 そして彼女は死んだのだ。埃と日陰にとざされた家のなかで病にたおれ、よぼよぼの黒人の召使いひとりに看(み)とられて。

  • ウィリアム・フォークナー=作 高橋正雄=訳 「エミリーに薔薇を」または「エミリーへの薔薇」または「エミリーへのバラ」
  • 版によって、用字・送り仮名などが多少異なります。

(J5) 西川 1974, 1979
(……)こうして彼女は一世代また一世代と過ごしていった——なつかしい、逃れようにも逃れようのない、頑なで、静かに落ち着いた、旋毛(つむじ)曲がりの彼女。
 その彼女がついに亡くなったのだ、埃と闇(やみ)とに充(み)ちた家の中で病気にかかり、ただ一人、よぼよぼの下男の黒人だけに見取られて。

  • フォークナー=作 西川正身=訳 「エミリーに薔薇を」

(J6) 赤祖父 1973
(……)かくして、彼女は一つの世代から次の世代へと移っていった——親しみあり、避けがたく、侵しがたく、静かであり、偏屈なまま。
 こうして彼女は死んだ。埃(ほこり)と影に満ちた屋敷で病に倒れ、よぼよぼの黒人がただ一人付きそうのみであった。

  • フォークナー=著 赤祖父哲二=訳 「エミリーへのバラ」

(J7) 林 1968
(……)こんなふうにして、彼女は世代から世代へと世を過ごしていった——なじみぶかい、それからは逃れようのない、かたくなで、おちつきはらった、つむじまがりの人物として。
 それから彼女は死んだのだった。埃と蔭にみちた家で病気になり、看取るものとしてはよぼよぼの黒人の召使いひとりがいるだけだった。

  • フォークナー=作 林信行=訳 「エミリーへの薔薇」

(J8) 高橋(正) 1961
(……)こんなふうにして彼女は一つの世代からつぎの世代へと——なつかしい、避けようのない、かたくなな、物静かな、そしてひねくれた姿で——移って行ったのである。
 そうして彼女は死んだのだった。埃と日蔭にとざされた家のなかで病いにたおれ、よぼよぼの黒人の召使一人に看取られて。

  • ウィリアム・フォークナー=作 高橋正雄=訳 「エミリーへのばら」

(J9) 大橋 1956
(……)このようにして、彼女は世代から世代へと移っていった——敬愛すべき、避けがたい、犯すことのできぬ、平静な、片意地な女として。
 そして彼女は死んだ。ほこりと陰に充ちたその家のなかで病気にかかり、かしづくものとては、老いぼれた黒人の従僕だけだった。

  • ウイリアム・フォークナー=著 大橋吉之輔=訳 「エミリーへの薔薇」

(J10) 龍口 1950, 1952, etc.
(……)かくして、彼女は一つの世代からつぎの世代へと移っていった——親しみのある、避けがたい、近づきがたい、落ちつきはらった、そしてえこじな女として。
 それから彼女は死んだ。ほこりと陰にみちた家で病に倒れ、彼女にかしずく者とては、よぼよぼの黒人召使が一人いるきりだった。

  • ウィリアム・フォークナー=著 龍口直太郎=訳 「エミリーの薔薇」または「エミリーにバラを」

■ロシア語訳 Translation into Russian

И   так  она  переходила  от  поколения  к  поколению,  словно  драгоценное, неотвязное, недоступное, изломанное наше наследие.

И в конце концов умерла. Заболела в этом доме, полном теней и пыли, где некому  было  за  ней ходить, кроме одного дряхлого негра.

  • Уильям Фолкнер. Роза для Эмили
  • E-text at Lib.Ru

■ポーランド語訳 Translations into Polish

(P1) Grzesika
I tak przechodziła z pokolenia na pokolenie - cenna, nieuchronna, nieprzenikalna, cicha i uparta.

I tak też umarła. Zachorowała w tym domu wypełnionym kurzem i cieniem, tylko z trzęsącym się Murzynem do pomocy.


(P2) Kierszys, Zakrzewski, Życieńska, 1978

  • Róża dla Emilii in Czerwone liście by William Falkner. Translated by Zofia Kierszys, Jan Zakrzewski, Ewa Życieńska. Seria kieszonkowa PIW. Państwo Instytut Wydawniczy, 1978

■ドイツ語訳 Translation into German

So gelangte sie von Generation zu Generation: teuer, unvermeidbar und unantastbar, unangefochten und verschroben.

Und so starb sie. Wurde krank in dem Haus voller Staub und Schatten, in dem nur ein zitteriger Neger zu ihrer Bedienung da war.

   Eine Rose für Emily by William Falkner
   Excerpt at:


■イタリア語訳(部分訳) Translation into Italian (fragmental)

Così passò da una generazione all'altra, amabile, ineluttabile, impervia, tranquilla e perversa. ( . . . )


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

E assim passou ela de geração para geração - querida, inevitável, impenetrável, tranqüila e perversa.

E, então, ela morreu. Caiu doente no seu casarão cheio de sombras e de pó, tendo como único auxílio o negro caduco.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Y de este modo la señorita Emilia pasó de una a otra generación, respetada, inasequible, impenetrable, tranquila y perversa.

Y así murió. Cayo enferma en aquella casa, envuelta en polvo y sombras, teniendo para cuidar de ella solamente a aquel negro torpón.


■フランス語訳 Translation into French

Et elle passa ainsi de génération en génération, précieuse, inévitable, impénétrable, tranquille et perverse.

Et puis elle mourut. Elle tomba malade dans la maison remplie d'ombres et de poussière avec, pour toute aide, son vieux Noir gâteux.


  Video  
学生が授業の課題のために製作した映画
A Rose for Emily, a student film made for an English class

時代設定は映像に再現しやすいよう原作の設定よりも現代に近くしてある。 Uploaded to YouTube by Stu Rostad on 21 Apr 2012. An adaptation of Faulkner's story made for a school project. It is based on the story but was updated to a more recent time period so as to make the setting easier to reproduce.


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック 朗読: マイケル・デュボン
Audiobook in English read by Michael DuBon

下の引用箇所の朗読は 18:07 から始まります。 Uploaded to YouTube by Michael DuBon on 25 Jan 2014. Reading of the excerpt below starts at 18:07.


■英語原文 The original text in English

Thus she passed from generation to generation--dear, inescapable, impervious, tranquil, and perverse.

And so she died. Fell in the house filled with dust and shadows, with only a doddering Negro man to wait on her.


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

  「エミリーにバラを」………高橋(啓) 1989
  「エミリーにバラを」………龍口a 1950, 1971a, 1971b, 1978
  「エミリーにバラを一輪」…金原 2012
  「エミリーに薔薇を」………高橋(正)a 1988
  「エミリーに薔薇を」………西川 1974, 1979
  「エミリーの薔薇」…………龍口b 1952, 1955, 1958, 1988
  「エミリーへのばら」………高橋(正)d 1961
  「エミリーへのバラ」………高橋(正)b 1975
  「エミリーへのバラ」………赤祖父 1973
  「エミリーへの薔薇」………高橋(正)c 1966
  「エミリーへの薔薇」………大橋 1956
  「エミリーへの薔薇」………林 1968
  「薔薇をエミリーに」………飯島 1977

高橋正雄氏は、異なる版を出すごとに、ちがう邦題を付けておられたようです。「薔薇/バラ/ばら」。「に/への」。区別するために、わざとそうなさったのでしょうか?
また、龍口直太郎氏の付けたタイトルは、

  「エミリーの薔薇」…………龍口 1988
  「エミリーにバラを」………龍口 1978
  「エミリーにバラを」………龍口 1971a
  「エミリーにバラを」………龍口 1971b
  「エミリーの薔薇」…………龍口 1958
  「エミリーの薔薇」…………龍口 1955
  「エミリーの薔薇」…………龍口 1952
  「エミリーにバラを」………龍口 1950

「バラ」→「薔薇」→「バラ」→「薔薇」、「に」→「の」→「に」→「の」と、行ったり来たりしています。これも、やはりなにか理由があって、そうなさっていたのでしょうか?


■学習者向け参考サイト Reference sites for students

  • "A Rose for Emily": Commentary & Resources in William Faulkner on the Web
  • ウィリアム フォークナーの「エミリーに薔薇を」について
    1. 教えて進路Q&A
    2. 教えて!goo
    上の 1. も 2. も同文。学生向けの質問コーナーみたいなページです。英文学を専攻したことのない、それがしのような人間には、けっこう参考になりました。

■日本語訳の書誌情報 Bibliography on translations into Japanese

(J1) 金原 2012

  • ウィリアム・フォークナー=作 金原瑞人(かねはら・みずひと)=訳 「エミリーにバラを一輪」 金原瑞人=編訳 『南から来た男 ホラー短編集 2』 岩波少年文庫 2012/07/18

(J2) 高橋(啓) 1989

  • フォークナー=作 高橋啓(たかはし・けい)=訳 宇野亜喜良(うの・あきら)=画 「エミリーにバラを」 江河徹(えがわ・とおる)=編・解説 『ファンタスティックな恋の話』 幻想文学館5 くもん出版 1989/08

(J3) 飯島 1977

  • フォークナー=作 飯島淳秀(いいじま・よしひで)=訳 「薔薇をエミリーに」 遠藤周作〔ほか〕=編 『キリスト教文学の世界22』 フォークナー, スタインベック, ワイルダー, サローヤン 主婦の友社 1977/07

(J4) 高橋(正) 1966, 1975, etc.

(J5) 西川 1974, 1979
   フォークナー=作 西川正身=訳 「エミリーに薔薇を」

(J6) 赤祖父 1973

  • フォークナー=著 赤祖父哲二(あかそふ・てつじ)=訳 「エミリーへのバラ」 『古老たち・熊』 旺文社文庫 1973/08

(J7) 林 1968

(J8) 高橋(正) 1961

  • フォークナー=著 高橋正雄=訳 「エミリーへのばら」 大橋健三郎=編 『アメリカ短篇名作集』 学生社 1961/09

(J9) 大橋 1956

  • ウイリアム・フォークナー=著 大橋吉之輔(おおはし・きちのすけ)=訳 「エミリーへの薔薇」 ウイリアム・フォークナー=著 高橋正雄+大橋吉之輔=訳 『エミリーへの薔薇・猟犬』 英米名作ライブラリー 英宝社 1956

(J10) 龍口 1950, 1952, etc.

   ウィリアム・フォークナー=著 龍口直太郎(たつのくち・なおたろう)=訳


 Audio 
ザ・ゾンビーズの曲 「エミリーにバラを」
A Rose for Emily performed by The Zombies

ザ・ゾンビーズの1968年のアルバム『オデッセイ・アンド・オラクル』 の2曲目。「エミリーにバラを」は作詞・作曲: ロッド・アージェント。フォークナーの短篇とどれぐらい深い関わりがあるかは存じません。The 2nd track on the 1968 album "Odessey and Oracle" by The Zombies. "A Rose for Emily" is written by Rod Argent. Exactly how deep the relationship between this tune and Faulkner's story is unknown.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/12/17 英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/06/08 金原瑞人=訳 2012/07/18 を追加しました。また、ビデオ映像を追加しました。
  • 2012/06/19 ロシア語訳、ドイツ語訳、およびフランス語訳を追加しました。また、ポーランド語訳の訳文を挿入し、書誌情報その他の細部を修正・補足しました。
  • 2010/04/16 ザ・ゾンビーズの曲"A Rose for Emily"の YouTube リンクを追加しました。
  • 2010/01/21 中国語訳(簡体字)、中國語譯(繁體字)、イタリア語訳(部分訳)、およびポルトガル語訳の訳文、ならびにポーランド訳の書誌情報を追加しました。
  • 2010/01/17 スペイン語訳を追加しました。
  • 2008/10/20 この記事は、tomokilog の全記事のなかで、最もアクセスの多いページの一つです。さまざまなサイトから来られる皆さんの検索の便などを考慮して、記事のタイトルに、上掲日本語訳のすべての邦題/訳題/日本語題を含めました。
  • 2007/04/02 赤祖父哲二=訳 1973/08 を追加しました。
  • 2007/03/23 飯島淳秀=訳 1977/07 と大橋吉之輔=訳 1956 を追加しました。
  • 2007/03/15 高橋正雄=訳 1961/09 の訳語の一部が、高橋正雄=訳 1966/06 など、おなじ訳者による後の版のものと、細部において異なる点に留意して、1961年版を別立ての項目にしました。
  • 2007/03/13 西川正身=訳を追加しました。

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■VHS

■DVD (Some of the screenplays were co-written by Faulkner)

■洋書 Books in non-Japanese languages

■和書 Books in Japanese


  

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Monday, 05 March 2007

The Upper Berth by F. Marion Crawford F・マリオン・クロフォード 「上段寝台」「上床」

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Video 1  パペット・ショー The Upper Berth (2011) presented by Mucky Puppets
 Video 2  舞台公演予告編 Dark Soundings - Stage performance trailer
 Video 3  スライド・ショー The Upper Berth - Slide show presented by skibbman
■日本語訳 Translations into Japanese
  (1) 佐藤 1996
  (2) 渡辺 1990
  (3) 乾 1988
  (4) 山主 1986
  (5) 白木 1970, 1973, etc.
  (6) 村崎 1956
  (7) 岡本 1929, 1970, etc.
  (8) 木村 1926
  (9) 和気 1922
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
 Images   本と著者 The book and the author
 Audio 1  英語朗読: ミッシェル・シュヴァリエ Audiobook read by Michelle Chevallier
 Audio 2  英語朗読: ロッド・メーリング Audiobook read by Rod Mehling
■英語原文 The original text in English
■著者名の日本語表記の異同 Transliteration variations of "Crawford" in Japanese
■邦題の異同 Variations of the title in Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

船を舞台にしたホラーストーリーの古典的作品。


 Video 1 
パペット・ショー
The Upper Berth (2011) presented by Mucky Puppets

Uploaded to YouTube by bonbichie on 10 May 2011. Starring Darren Munn as Brisbane the Narrator. Featuring Daniel Marlowe as the Captain. Puppets, sets and music by Richard Mansfield. Original story by F. Marion Crawford and adapted by Richard Mansfield. (c) Richard Mansfield 2011


 Video 2 
舞台公演の予告編
Dark Soundings: Two ghostly tales of ship & shore. (NSTG Promo Trailer)

Uploaded to YouTube by gobnyc on 17 Jan 2009. North Shore Theatre Group (NSTG)


 Video 3 
スライド・ショー
The Upper Berth - Slide show with narration, presented by skibbman

Uploaded to YouTube by skibbman on 21 Jul 2010


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 佐藤 1996
「職業柄迷信深いほうじゃないのですがね」船医はそう答えたな。「海に出るとそうなるものなんです。偏見を植えつけるつもりも脅すつもりもないんですがね、ぼくの言葉に従って船室を替えたほうがいいですよ。まだあなたが船から落ちるところを目撃するほうがましです」船医は真剣な口調でこんなことを言い足すじゃないか。「あなたであろうとなかろうと、一◯五号室の船客になったことを聞くくらいならね」
「おやおや、どうしてですか」おれはそう尋ねたね。
「これまで三度、あの船室のお客さまが実際に船から落ちたからですよ」そう答えた船医の口調には、ただならぬ響きがあったな。

   F・マリオン・クローフォード=著
   佐藤嗣二(さとう・つぐじ)=訳 「上段ベッドの船客」
   『英米ゴーストストーリー傑作選』 新風書房 1996/12 所収


(2) 渡辺 1990
「私達医者は、職業柄迷信は信じていませんよ、もちろん」と、船医は答えた。「ですが、海は人を迷信家にします。私はあなたに偏見を植えつけたり、脅かしたりする気はありませんが、もし私の忠告を受け入れて頂けるならば、こちらにお移りなさい。私としては、あなたでも他の誰でも一◯五号室で眠らなければならない人がいると知って、放っておくぐらいなら、いっそ」と、彼は大真面目で付け加えた。「あなたが海に落ちるのを見たほうがましですよ」
「おやおや、それはいったいなぜです?」と、私は聞いた。
「つい最近の三度の旅行で、その部屋で眠った人は皆、実は、海に落ちてしまったのですよ」と、彼は重々しい口調で答えた。

   F・M・クローフォード著 渡辺喜之(わたなべ・よしゆき)=訳
   「上段寝台」
   由良君美(ゆら・きみよし)=編 『イギリス怪談集
   河出文庫 1990/03所収


(3) 乾 1988
「われわれは職業上迷信家になるわけにいきませんからね」船医が答えました、「しかし、海は人を迷信家にしますよ。ぼくはあなたに先入観を持たせる気もないし、脅すつもりもありませんよ、しかしぼくの忠告を受け入れる気があったら、ぼくのところに引越しておいでなさい。ぼくはあなたが間もなく船外へとび出すのを見ることになるからですよ」と彼は熱をこめてつけくわえました、「というのは、あなただろうと誰だろうと一◯五号室で寝た人はそうなることになってるんですから」
「え、なんですって! どうしてです?」わたしが聞きました。
「わけは簡単です、最近三回の航海で、あの船室で寝た人たちは、事実、みんな海中へとびこんでいるからです」と船医が厳しい調子で答えました。

   F・マリオン・クロフォード=著 乾信一郎=訳 「上段寝台」
   ロアルド・ダール=編 乾信一郎[ほか]=訳
   ロアルド・ダール〔ほか〕=著 『ロアルド・ダールの幽霊物語
   ハヤカワ・ミステリ文庫 1988/12 所収
   原典:
   Roald Dahl's Book of Ghost Stories
   Paperback: Farrar Straus & Giroux (1985/01)


(4) 山主 1986
「どうも、海というものは、人間を迷信深くしますね。あなたをおどかしたくはありませんが、ぼくの忠告をいれてくださるなら、ここへうつっておいでなさい。あなたでも、ほかの人でも、一◯五号で寝たら、すぐ海へとびこむことになりますよ。」
「ほうー、なぜですか?」
「最近の三度の航海で、あそこで寝た人がみんな海へとびこんだからです。」
 船医は、おもおもしくいった。
[原文にあるルビは省略しました]

   クロフォ−ド=作 山主敏子=訳・文 「上段ベッドの怪」
   ホーソン〔ほか〕=原作 『毒草の少女
   世界こわい話ふしぎな話傑作集15 アメリカ編 金の星社 1986/12 所収


(5) 白木 1970, 1973, etc.
 すると、船医はきゅうにあらたまった口調で、
「わたしは、あなたにおすすめしたいことがあるんですが……どうです、一〇五号室から、わたしのへやにひっこしてきませんか。わたしのへやはかなり広いし、それに……。」
「それに……」
「じつは、あの一〇五号室にとまった船客が、最近の航海中に三人も投身自殺をしているんです。あのへやは、とても不吉なへやなんですよ。」
と、船医は暗い顔をしていいました。
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.

   5a. クロフォード=作 白木茂=訳 「一〇五号船室の怪」
     ストックトン〔ほか〕=作 千葉幹夫〔ほか〕=訳
     『幽霊のひっこし
     講談社 青い鳥文庫Kシリーズ 1996/07 所収
   5b. クロフォード=作 白木茂=訳 「百五号船室の怪」
     『世界の怪談2 英米編2 怪奇! 105号室
     講談社 1973/11 所収
   5c. クロフォード=作 白木茂=訳 「百五号船室の怪」
     ポー〔ほか〕=著 『影を殺した男
     世界の名作怪奇館 講談社 1970/07 所収 この本の内容詳細は ここ
   引用は 5a. に拠りました。


(6) 村崎 1956
「われわれのような職業の者は迷信家にはなりませんよ、お客さん」と医者は答えた。
「だが海上生活をしていると迷信深くなりますね。ぼくはあなたに先入観を持たせたくないし、おどかしたくもありませんが、ぼくの忠告を聞いてくださる気があれば、ここへ引越していらつしやい。誰であろうと一◯五号で寝たら最後、すぐに海の中へ飛びこむようなことになりますよ」と彼は熱心につけくわえました。
「オヤ! なぜですか?」とわたしはききました。
「現に、ちようど最近三度の航海に三度とも、あすこで寝た人が海の中へ飛びこんだからです」と彼は厳粛に答えました。

   F・マリオン・クローフオード=著
   村崎敏郎(むらさき・としお)=訳 「上段寝台」
   早川書房編集部=編 『幻想と怪奇 英米怪談集1
   世界探偵小説全集 ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1956/08 所収


(7) 岡本 1929, 1970, etc.
「むろん、私たちは医者という職業の上からいっても、迷信家でないことは、あなたもご承知くださるでしょう。が、海というものは人間を迷信家にしてしまうものです。私はあなたにまで迷信をいだかせたくはありませんし、また恐怖心を起こさせたくもありませんが、もしもあなたが私の忠告をおいれくださるなら、とにかく私の部屋へおいでなさい」
 船医はまた次のように言葉をつけ加えた。
「あなたが、あの百五号船室でお寝(やす)みになっているということを聞いた以上、やがてあなたが海へ落ち込むのを見なければならないでしょうから……。もっとも、これはあなたばかりではありません」
「それはどうも……。いったいどうしたわけですか」
 僕は訊き返すと、船医は沈みがちに答えた。
「最近、三航海のあいだに、あの船室で寝た人たちはみんな海のなかへ落ち込んでしまったという事実があるのです」

   クラウフォード=著 岡本綺堂=訳 「上床(アッパーバース)」
   7a. 世界怪談名作集 13 上床 青空文庫 電子テキスト
   7b. 岡本綺堂=編訳 『世界怪談名作集〔下〕
     河出文庫 新装版 2002/06 所収
   7c. 岡本綺堂=編訳 『世界怪談名作集〔下〕
     河出文庫 初版 1987/09 所収
   7d.岡本綺堂読物選集8 飜訳編(下)』 青蛙房 1970 所収
   7e.世界大衆文學全集35 世界怪談名作集』 改造社 1929/08 所収
   7a. の底本は 7b.。引用は 7c. に拠りました。


(8) 木村 1926
 「わたし達は職業柄迷信といふやうなものは尠しも持ちませんよ、」と、船醫が申しました。「然しですな、海洋といふやつは人間を迷信家にしたがるものでしてね。わたしは、貴方に偏見を抱かせ度くありませんし、怖がらせたくもありません、が、わたしの忠告をお容れになるんでしたら、わたしの私室へお移りになつたがよいですな。間もなく貴方は投身なさるでせうから、」船醫は附け加へました、「あの、百五號の船室でお眠みになつたら最後ですよ。」
 「何んですつて! それは又、何うしたことですか?」と、僕が訊ねました。
 「と、言ひますのは、最近三航海中に、あの船室で寢た船客が實際投身してゐるからのことです。」と、船醫は暗い調子で答へました。

   エフ・マリオン・クラッフォード=作 木村信兒=譯 「上の寢臺」
   8a. 国立国会図書館マイクロフィッシュ YD5-H-520-45
   8b. 世界短篇小説大系 亞米利加篇
     近代社(非賣品)1926/05(大正15)所収 この本の内容詳細は ここ
   引用は 8b. に拠りました。かなり傷んだ状態であるにもかかわらず、
   寛大にも、この本を貸し出してくださった、K県立図書館の皆さん、ならびに、
   いつもながら、取り寄せの労をとってくださった府立図書館の皆さんに
   お礼申し上げます。


(9) 和気 1922
【ルビを省いたテキスト】
『一體吾々の職業のものは迷信的ではないのですが、』船醫は答へた。『海といふ奴は人間をさうならせるのです。僕は貴君に成心を抱かせたくはない、貴君を怖がらせたくもない。が、成るべくならば僕の忠告を入れて、此處へ引越された方が宜しいですよ。で、ないと今に貴君は投身するに違ひないのです、』彼は眞面目に云ひ足した、『貴君でも他の者でも、百五號に寢るものは皆投身してしまふのです。』
『や!何故です?』僕は訊いた。
『最近の三航海で、あの室に寢た人達は皆投身してしまつたからです、』彼は嚴肅に答へた。

【原文—総ルビ】

『一體(たい)吾々(われ/\)の職業(しよくげう)のものは迷信的(めいしんてき)ではないのですが、』船醫(せんい)は答(こた)へた。『海(うみ)といふ奴(やつ)は人間(にんげん)をさうならせるのです。僕(ぼく)は貴君(あなた)に成心(せいしん)を抱(いだ)かせたくはない、貴君(あなた)を怖(こは)がらせたくもない。が、成(な)るべくならば僕(ぼく)の忠告(ちうこく)を入(い)れて、此處(ここ)へ引越(ひきこ)された方(ほう)が宜(よろ)しいですよ。で、ないと今(いま)に貴君(あなた)は投身(みなげ)するに違(ちが)ひないのです、』彼(かれ)は眞面目(まじめ)に云(い)ひ足(た)した、『貴君(あなた)でも他(ほか)の者(もの)でも、百五號(ごう)に寢(ね)るものは皆(みな)投身(みなげ)してしまふのです。』
『や!何故(なぜ)です?』僕(ぼく)は訊(き)いた。
『最近(さいきん)の三航海(こうかい)で、あの室(しつ)に寢(ね)た人達(ひとたち)は皆(みな)投身(みなげ)してしまつたからです、』彼(かれ)は嚴肅(げんしゆく)に答(こた)へた。

   マリオン・クロウフオオド=著 和気律次郎(わけ・りつじろう)=譯 「上の寢床」
   和気律次郎=譯 『英米七人集 : 清新小説
   大阪毎日新聞社 1922/09/10(大正11)所収
   国立国会図書館デジタル化資料
   迷・抱・告・違・達の旧字はそれぞれ新字で置き換えました。


■ロシア語訳 Translation into Russian

— Люди нашей профессии редко бывают суеверными, сэр, — ответил он, — но море меняет взгляды. Я не хочу создавать у вас предвзятое мнение и не хочу пугать, но вам лучше послушаться моего совета и переселиться ко мне. Вы или кто-либо другой быстро окажетесь за бортом, если останетесь в сто пятой каюте, — откровенно добавил он.

— Боже правый! Почему? — воскликнул я.

— Потому что в последние три рейса все, кто там спал, в буквальном смысле оказывались за бортом, — мрачно пояснил он.

  • Ф. Мэрион Кроуфорд. Верхняя Койка
  • E-text at LibreBook.ru

■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

– Nós, os médicos, não costumamos ser supersticiosos, mas o mar nos faz assim. Não o quero assustar nem sobressaltar, mas, se quiser seguir o meu conselho, mude-se para o meu camarote. Antes queria vê-lo pela borda afora do que saber que o senhor ou outro qualquer iam dormir no 105.

– Deus do céu! Por quê?

– Porque, nas três últimas viagens, as pessoas que lá dormiram foram pela borda fora – respondeu ele, com modo grave.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

— Nuestra profesión no nos permite ser supersticiosos ; contestóme, pero el mar hace que lo seamos. No pretendo predisponer á Vd., ni mucho menos asustarle ; sin embargo tome mi consejo, y véngase á mi cámara. ¡ Seguro estoy de que tanto Vd. como otro cualquiera que duerma en el camarote No. 105 es sin remedio, hombre perdido, hombre al agua ! exclamó con marcada ansiedad.

— ¡ Cáspita ! y ¿ por qué ?

— ¿ Por qué ? Porque en los tres últimos viajes todas las personas que han dormido en ese camarote se han arrojado en el mar, me contestó gravemente.


 Images  
本と著者 The book and the author

a. Crawford4 b. Fmarioncrawford1sized_1
↑  クリックして拡大 Click to enlarge  ↑

 Audio 1 
英語原文朗読: ミッシェル・シュヴァリエ
The Upper Berth - Audiobook read by Michelle Chevallier (a.k.a. beaglemixtape)

下に引用する箇所の朗読は 17:52 から。 Uploaded to YouTube by freeaudiobooks84 on 15 Jul 2013. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 17:52.


 Audio 2 
英語原文朗読: ロッド・メーリング
The Upper Berth - Audiobook read by Rod Mehling
Verkaroorg_banner
録音を聞くには  ここをクリック  してください(開くまで時間がかかるかもしれません)。 To listen to the recording  CLICK HERE  (it may take a while to start). The Upper Berth. Released 2006-10-31. Volunteer Performance by Rod Mehling. Audio courtesy of verkaro.org. License = Creative Commons Attribution/Non-Commercial/No Derivative


■英語原文 The original text in English

"We are not superstitious in our profession, sir," replied the doctor, "but the sea makes people so. I don't want to prejudice you, and I don't want to frighten you, but if you will take my advice you will move in here. I would as soon see you overboard," he added earnestly, "as know that you or any other man was to sleep in 105."

"Good gracious! Why?" I asked.

"Just because on the last three trips the people who have slept there actually have gone overboard," he answered gravely.


■Crawford の日本語表記の異同
 Transliteration variations of "Crawford" in Japanese

  クラウフォード…………岡本 1929, 1970, 1987, 2002
  クラッフォード…………木村 1926
  クローフォード…………佐藤 1996
  クローフォード…………渡辺 1990
  クローフォード…………村崎 1956

  
クロウフオオド…………和気 1922
  クロフォード……………乾  1988
  クロフォード……………山主 1986
  クロフォード……………白木 1970, 1996


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

 「一〇五号船室の怪」……白木 1996
 「上の寢床」………………和気 1922

 「上の寢臺」………………木村 1926
 「上床」……………………岡本 1929, 1970, 1987, 2002
 「上段ベッドの怪」………山主 1986
 「上段ベッドの船客」……佐藤 1996
 「上段寝台」………………乾  1988
 「上段寝台」………………村崎 1956
 「上段寝台」………………渡辺 1990
 「百五号船室の怪」………白木 1970


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/11/05 ロシア語訳とポルトガル語訳を追加しました。
  • 2013/09/22 目次を新設し、リブリヴォックスによるオーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/05/30 和気律次郎=譯 1922/09/10 を追加しました。
  • 2011/11/27 Mucky Puppets による映画の YouTube 動画と  verkaro.org によるオーディオブックへのリンクを追加しました。
  • 2010/09/08 外部リンクの項を新設しました。また、つぎの2本の YouTube 動画を追加しました。
    1. North Shore Theatre Group による Dark Sounding の予告編
    2. skibbman による The Upper Berth のスライドショー
  • 2008/07/29 木村信兒=譯 1926/05 を追加しました。
  • 2007/11/06 白木茂=訳および岡本綺堂=訳に関する書誌情報を修正補足しました。
  • 2007/04/02 村崎敏郎=訳 1956/08 を追加しました。
  • 2007/03/15 白木茂=訳 1996/07 を追加しました。

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Saturday, 03 March 2007

Fat Girls in Des Moines by Bill Bryson ビル・ブライソン「デモインの太った娘たち」(1)

a. 4309203396_1 b. 014008604801

c. 0060920084 d. Des_moines_1955

        ↑ Click to enlarge ↑  
 
a.『旅を書く—ベスト・トラベル・エッセイ』(2000)
b. Granta 23, Home (Spring 1988)
 'Fat Girls in Des Moines' first appeared in this magazine.
c. The Lost Continent: Travels in Small Town America,
 Harper Collins, Reprint (1990)
d. Spectators at the Iowa State Fair cake display, Des Moines, 1955.
 Image source: Bill Bryson | Americana Photo Gallery
 
 
■日本語訳 Translation into Japanese

私はアイオワ州デモインに生まれた。こればかりは仕方がない。ひとたびデモインに生まれたら、その事実を何の疑問もなく受け入れ、ボビーという地元の娘と結婚してファイアストーンのタイヤ工場に就職し、死ぬまでそこに住みつづけるか、もしくはこんな掃き溜めから一刻も早く出ていきたいと、さんざん悶え苦しみつつ青春時代を送ったあげく、ボビーという地元の娘と結婚してファイアストーンのタイヤ工場に就職し、死ぬまでそこに住みつづけるかのどちらかしかない。

   ビル・ブライソン=著 市川恵里=訳「デモインの太った娘たち」
   池央耿(いけ・ひろあき)=監訳『旅を書く—ベスト・トラベル・エッセイ
   河出書房新社 2000/06 所収
 
 
■英語原文 The original text in English

I come from Des Moines. Somebody had to. When you come from Des Moines you either accept the fact without question and settle down with a local girl named Bobbi and get a job at the Firestone factory and live there forever and ever, or you spend your adolescence moaning at length about what a dump it is and how you can't wait to get out, and then you settle down with a local girl named Bobbi and get a job at the Firestone factory and live there forever and ever.

   Fat Girls in Des Moines by Bill Bryson
   First appeared in Granta 23: Home (Spring 1988 Issue)
   Granta's website for details

   The Best of Granta Travel, edited by Bill Buford
   * Paperback: Penguin USA; Reprint ed. (1992/02)
   * Hardcover: Penguin Books / Granta (1991/12)
   * Hardcover: Penguin Books / Granta (1991/08)

   The Lost Continent: Travels in Small Town America
   by Bill Bryson
   * Paperback: Harper Collins; Reprint ed. (1990/09)
   * Hardcover: Secker & Warburg (1989/09)

   Excerpt at:
   * Bill Bryson website | Downloads
   * RandomHouse.ca
   * The Sydney Morning Herald (smh.com.au)


■参考 References

   ノンフィクションのベストセラー作家 Bill Bryson
   (ノンフィクション翻訳クラブのウェブサイト)
 
 
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■朗読 Audiobook CD

■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) The Best of Granta Travel

(2) Bill Bryson - The Lost Continent

■和書 Books in Japanese
(1) ビル・ブライソン

(2) 旅を書く—ベスト・トラベル・エッセイ

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Friday, 02 March 2007

Local Color by Truman Capote カポーティ『ローカル・カラー』

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    Click to enlarge
 
Local Color by Truman Capote, Random House (1950)
A copy auctioned at PBA Galleries, San Francisco.
Sale Date: 06/02/2005, Price realized: $184
 
 
■日本語訳 Translations into Japanese

(J1)
やはりヨーロッパまでやって来たのは正しかった。ふたたび驚きの目で見ることができたというだけでも。ある齢を越え、ある知恵を越えると、驚きの目で見ることはとても難しくなる。それがいちばんよくできるのは子どもの頃だ。そのあとは、運がよければ、子ども時分の橋を見つけ、その橋が渡れるだろう。ヨーロッパを訪れるというのもそんなものだった。海を越え、森を抜け、まっすぐぼくの想像力のもっとも原初の風景につづく、子ども時分の橋だったのだ。

   トルーマン・カポーティ=著 河野一郎=訳「ヨーロッパへ」
   河野一郎=編訳『カポーティ短篇集
   ちくま文庫 1997/02 所収
 
 
(J2)
私がヨーロッパに行ったのは正しかった、たとえただもう一度驚きをもってものを見ることができたということだけのためでも。ある年齢を越えるか、ある知恵の程度を越えるかすると、驚きをもってものを見ることがむずかしくなる。子供のときにはそれがいちばんよくできる。そのあとは、運がよければ、子供のときの橋を見つけて渡るだけである。私のヨーロッパ旅行はそのようなものであった。それは子供のときの橋であった、海を越え、森をくぐり、まっすぐ私の想像力のもっとも古い風景に通じている橋であった。

   トルーマン・カポーティ=著 小田島雄志=訳
   ローカル・カラー(1946〜1950)「ヨーロッパへ(1948)」
   *『ローカル・カラー/観察記録—犬は吠える1』
    早川書房 文庫:ハヤカワepi文庫 2006/09 所収
         単行本:新装改訂版 1988/08 所収
   *『犬は吠える』早川書房 ハヤカワ・リテラチャー 1977/10 所収 
 
 
■英語原文 The original text in English

It was right that I had gone to Europe, if only because I could look again with wonder. Past certain ages or certain wisdoms it is very difficult to look with wonder; it is best done when one is a child; after that, and if you are lucky, you will find a bridge of childhood and walk across it. Going to Europe was like that. It was a bridge of childhood, one that led over the seas and through the forests straight into my imagination's earliest landscapes.

   Local Color (1950),
   which was later included in The Dogs Bark (1973)
   by Truman Capote
   Excerpt at truman capote: a black + white tribute
   by Ansonia Design
 
 
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■DVD

■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) dogs + bark

(2) local + color

■和書 Books in Japanese
(1) カポーティ + ローカル・カラー

(2) カポーティ + 短篇

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La Main / The Hand by Guy de Maupassant モーパッサン 「切りとられた手」「夜歩く手」「手」

La_main
Guy de Maupassant 《Contes du jour et de la nuit》
Illustration de Paul Cousturier.  Image source: Project Gutenberg

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 千葉 1996
「これはなんですか?」
 わたしがたずねますと、ローウェルは、かわらない口ぶりで答えました。
「ああ、それはわたしの最大の敵です。アメリカからもってきたものです。軍刀ですっぱりとたち切られ、よく切れる石で皮をむかれました。それから一週間、太陽の下で日干しにされたものです。これこそ、わたしのいちばんたいせつなものですよ。」
 わたしはその手にさわってみました。おそらく大きな男だったのでしょう。とびきり長い指が、太い腱でつながっていました。その腱はところどころ皮ひもでとめられています。見るだけで、ぞっとしました。皮がはがされているのは、なにかの復讐のためだと想像できます。

  • モーパッサン=作 千葉幹夫(ちば・みきお)=訳 「切りとられた手」 クリスティーほか=作 白木茂ほか=訳 『ふしぎな足音』 青い鳥文庫Kシリーズ 講談社 1996/12/05 所収
  • 完訳ではなく児童向けの再話です。原文は総ルビですが、ここでは省略しました。

(J2) 奥田 1989
「いったいなんですか?」
と、わたしがたずねると、イギリス人は物静かに、こう答えました。
「ワタシニトッテ、イチバンノテキダッタ、オトコノテデス。アメリカジンデシタ。サーベルデ、キリオトシ、サキノトガッタイシデ、カワヲハギトッテ、イッシュウカン、ヒボシニシマシタ。コレ、ワタシニハ、トッテモ、タイセツデス」
 わたしは、手にさわってみました。きっと、大男の手だったのでしょう。とても長い指が、むきだしのふとい腱(けん)につながっていて、そのところどころには、ちぎれた皮膚(ひふ)が残っていました。こんなふうに皮をはがれているので、見た目にはおぞましいしろものです。そこで、わたしは、なにか残虐(ざんぎゃく)な復讐(ふくしゅう)がひそんでいるのではないかと、考えずにはいられませんでした。

  • モーパッサン=著 奥田恭士(おくだ・やすし)=訳 「手」 江河徹=編 おぼまこと=画 『悪夢のような異常な話』 幻想文学館 4 くもん出版 1989/08 所収
  • 文中の傍点を下線で置き換えました。

(J3) 川口 1988
「あれはなんです?」とわたしがきくと、イギリス人は、落ち着きはらってこたえました。
「ワタシノイチバンノテキダッタオトコデスヨ。アメリカノヒトデシタ。サーベルデキラレテ、トガッタイシデカワヲハガレ、イッシュウカン、ヒボシニサレタノデス。マッタクイイキミデシタ」
 わたしはその人間の残骸(ざんがい)にさわってみました。その手の持ち主は雲つくような大男だったにちがいありません。指はとほうもなく長く、巨大な腱(けん)でつながれ、ところどころよれよれの皮膚ものこっていました。それは、見るもおぞましい手で、そのように皮をはがれたところは、なにか野蛮人の復讐を思わせました。

  • ギイ・ド・モーパッサン=作 川口美樹子=訳 「手」 長島良三(ながしま・りょうぞう)=編 『フランス怪奇小説集』 偕成社文庫 1988/08 所収
  • ルビの一部を省略しました。

(J4) 榊原 1984
 わたしは、たずねました。
『これはなんですか?』
 かれは、落ち着きはらって答えました。
『これ、わたしのいちばんの敵ですね。アメリカから持ってきました。軍刀でたち切られ、よく切れる石で皮をむかれて、それから一週間、天日でかわかされました。おお、これ、わたしのとても大切なものです』
 たぶん大男のものだったにちがいない、この人体の切れはしに、わたしはさわってみました。
 とびきり長い指が、皮ひもでところどころとめられている、ふとい腱でつながれていました。まったく、この手は見るだけでもぞっとするもので、このように皮をはがされているのは、きっと、なにか、ものすごい復しゅうのせいにちがいありません。


(J5) 宮原 1983
 「これは何ですか?」私は尋ねました。
 イギリス人は平然と、
 「僕の一番の仇(かたき)。アメリカから来たね。サーベルで切って、皮、鋭い石で剥いだね。それから一週間、日に干したよ。いい、これ、僕にやさしい。yes(イエス)」
 私はこの人間の残骸に触れてみました。持ち主は山のような大男だったに違いありません。途方もなく長い指が、太い腱に結びつき、後者は、革ひもと化した皮膚で所々支えられています。こんな風に皮を剥いだぞっとするような手を見ていると、自然に連想されるのは野蛮人同士の復讐でした。


(J6) 榊原 1979
 わたしはたずねました。
『これはなんですか?』
 イギリス人は平然と答えました。
『これ、わたしのいちばんの敵ですね。アメリカから持ってきました。軍刀でたち切られ、よく切れる石で皮をむかれて、それから一週間、天日でかわかされました。おお、これ、わたしのとても大切なものです』
 おそらく大男のものだったにちがいないこの人体の断片に、わたしはさわってみました。とびきり長い指が、皮ひもでところどころとめられている太い腱(けん)でつながれていました。この手は見るだけでぞっとするもので、このように皮をはがされているのは、当然、なにか残忍な復讐を考えさせました。


(J7) 青柳 1971, 2006
『これはなんですか?』わたしはたずねてみました。
 英国人は平然として答えたのです。
『これ、わたくしのいちばんの敵です。アメリカから持ってきました。軍刀で断ち切られ、とがった石で皮を剥(は)ぎ取られ、一週間、天日にさらされました。おお、このもの、わたくしにとって、なかなか大事です』
 おそらく、大男についていたろうと思われるこの人体の細片に、わたしは、さわってみました。紐(ひも)のようになった皮で、ところどころ止められている太い腱(けん)によって、ばか長い指がつながれています。見ただけで、ぞっとするような代物(しろもの)です。こんなに皮を剥ぎ取られるとは、当然、なにか猛悪な復讐(ふくしゅう)を考えさせます。

  • モーパッサン=作 青柳瑞穂=訳 「手」
    • 怪奇小説傑作集4 フランス』 G・アポリネール〔ほか〕=著 青柳瑞穂+澁澤龍彦=訳 創元推理文庫(新版)2006/07
    • モーパッサン短編集3』 G・アポリネール〔ほか〕=著 青柳瑞穂+澁澤龍彦=訳 新潮文庫(初版 1971/02|改版 2006/12)所収
  • 引用は b. 新潮文庫版に拠りました。

(J8) 龍口 1961
「あれはなんですか?」とわたしはききました。
「あいつはわしの不倶戴天(ふぐたいてん)の敵だったんですよ」と、そのイギリス人は静かに答えました。「アメリカから持ってきたんです。刀で切断し、皮は火打ち石で引きはがし、それから天日で一週間かわかしました。わしにはちょっとひと仕事でしたね」
 わたしはその人間の断片にさわってみました。大男の手だったにちがいありません。不自然なくらい長い指が大きな腱(けん)についており、その腱にはあちこちに皮の切れはしが残っていました。そんなふうに皮を引き裂かれたその手は、見ていてもゾッとするほどでしたよ。思わずなにか野蛮でむごい復讐(ふくしゅう)のことを考えさせられましたね。

  • ギュイ・ド・モーパッサン=作 龍口直太郎=訳 「手」 エラリー・クイーン=編 『文芸推理小説26人集2』 東京創元社 1961/03/15 所収

(J9) 青柳 1946
 ——これはなんです」と私は訊ねて見ました。
 英國人は平然として答へるのです。
 ——これは私の仇敵です。アメリカから持つて來たんです。軍刀で斷ち切つて、尖つた小石で皮を剝ぎ取つて、一週間、天日に乾したものです。此奴、私にとつては仲々大事なんです。」
 恐らく大男のものであつたらうと思はれるこの人體の細片に私は觸つて見ました。非常に長い指が、ところどころ、紐のやうになつた皮で止められてゐる太い筋で繋がれてゐるのです。見ただけでぞつとする程の代物でした。こんなに皮を剝がれるとは、何か猛惡な復讐があつたに違ひありません。

  • モオパッサン=著 靑柳瑞穂=譯 「手」 『二人の友 その他』 白桃書房 1946/06/08 所収
  • 平の旧字は新字で置き換えました。

■フィンランド語訳 Translation into Finnish

Kysäsin:

– Mikäs tuo on? Englantilainen vastasi tyyneesti:

– Se on parhaan ystäväni käsi. Hän tuli Ameriikasta. Siellä oli häneltä miekalla isketty käsi poikki, nahka oli repeytynyt kivikossa ja oli kuivettunut auringon helteessä kokonaisen viikon – oah, tämä oli jotakin mulle, tämä.

Katsellessani tuota jäsenrajoa huomasin että se on mahtanut kuulua jättiläis-soturin ruumiisen, niin suuret olivat sormet. Se oli kamala katsella.

  • Käsi by Guy de Maupassant
  • E-text at Wikiaineisto (Wikisource)

■英訳 Translation into English

"I asked:

"'What is that?'

"The Englishman answered quietly:

"'That is my best enemy. It comes from America, too. The bones were severed by a sword and the skin cut off with a sharp stone and dried in the sun for a week.'

"I touched these human remains, which must have belonged to a giant. The uncommonly long fingers were attached by enormous tendons which still had pieces of skin hanging to them in places. This hand was terrible to see; it made one think of some savage vengeance.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Pregunté:

«-¿Qué es esto?

«El inglés contestó tranquilamente:

«-Era mejor enemigo de mí. Era de América. Ello había sido cortado con el sable y arrancado la piel con un piedra cortante, y secado al sol durante ocho días. ¡Aoh, muy buena para mí, ésta.

«Toqué aquel despojo humano que debía de haber pertenecido a un coloso. Los dedos, desmesuradamente largos, estaban atados por enormes tendones que sujetaban tiras de piel a trozos. Era horroroso ver esa mano, despellejada de esa manera; recordaba inevitablemente alguna venganza de salvaje.


■フランス語原文 The original text in French

Je demandai :

— Qu’est-ce que cela ?

L’Anglais répondit tranquillement :

— C’été ma meilleur ennemi. Il vené d’Amérique. Il avé été fendu avec le sabre et [ 207 ] arraché la peau avec une caillou coupante, et séché dans le soleil pendant huit jours. Aoh, très bonne pour moi, cette.

Je touchai ce débris humain qui avait dû appartenir à un colosse. Les doigts, démesurément longs, étaient attachés par des tendons énormes que retenaient des lanières de peau par places. Cette main était affreuse à voir, écorchée ainsi, elle faisait penser naturellement à quelque vengeance de sauvage.


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■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/06/21 龍口直太郎=訳 1961/03/15の訳文を挿入しました。
  • 2014/06/19 千葉幹夫=訳 1996/12/05 を追加しました。
  • 2012/02/04 フィンランド語訳と外部リンクを追加しました。
  • 2012/02/01 靑柳瑞穂=譯 1946-06-08 を追加しました。
  • 2009/01/11 「外部リンク」の項を追加しました。また、龍口直太郎=訳 1961 の書誌情報を挿入しました。訳文は追って挿入するつもりです。
  • 2007/04/14 川口美樹子=訳 1988/08 を追加しました。
  • 2007/03/18 奥田恭士=訳 1989/08 を追加しました。
  • 2007/03/05 榊原晃三=訳・文 1984/01 を追加しました。予想されたとおり、この児童書の訳は完訳ではなく再話でした。榊原晃三=訳(集英社文庫 コバルトシリーズ版) 1979/08 とは、共通部分が多いとはいえ、細部が異なりました。

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(1) the + hand + maupassant

(2) la + main + maupassant

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Thursday, 01 March 2007

The System of Doctor Tarr and Professor Fether by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー「タール博士とフェザー教授の療法」

 Images 
表紙画像 Cover photos

zh Zh_simp_tarr_fether es Es_el_gato_negro_8441416427 it It_il_gatto_nero_9788879264709g

nl Poe_ea_zwartekat fr Fr_le_chat_noir_229034349801 en En_the_black_cat

↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh1) 曹
“我们这儿曾经有个家伙,”坐在我右边的一位小个子胖先生讲道,“一个认为自己是把茶壶的家伙;顺便说一句,这个怪念头那么经常地钻进精神病患者的脑袋,这难道不是特别奇怪吗?法国几乎没有一家疯人院不能够提出一把这样的人茶壶。我们的这位先生是一把不列颠合金壶,他每天早晨都要用鹿皮和铅粉拭擦他的身子。”

  • 塔尔博士和费瑟尔教授的疗法 爱伦·坡 著 曹明伦 译
  • E-text at 百度空间


(Zh2) 马 2001

  • 爱伦·坡 〈焦油博士和羽毛教授的疗法〉 《爱伦·坡短篇小说选》 英汉对照英美文学精品 (美)坡 著,马爱农 译  外文出版社 2001-01-01

■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 大岡 1998
「昔、こんな男がおりましたな」と、私の右にすわっている太った小柄な紳士が切りだした。
「自分のことをティー・ポットだと思いこんでいたんです。ついでながら、ティー・ポットになりたがる妄想が患者の脳に入りこむ場合がとりわけ多いのは、不思議なことですな。フランスじゅうどこに行っても、ティー・ポット人間のいない精神病院は、まず見当たりませんね。で、ここの紳士は、イギリス製のティー・ポットだと言っとりました。毎朝かならず、シカ革と白い顔料(がんりょう)でからだをみがきあげていましたよ」

  • エドガー・アラン・ポー=作 大岡玲(おおおか・あきら)=訳 「タール博士とフェザー教授の治療法」

(2) 八木 1980
「こんな患者がいましてね」と、私の右手の小ぶとりの紳士が言った——「この男は自分のことを茶瓶だと思いこんだのですな。ところで、この茶瓶という特定の奇想がしばしば狂人の頭に忍びこむとは、まことに不思議なことではありませんか? フランスの精神病院で、人間茶瓶のいないようなのは、まずありませんな。当院の紳士は英国製の茶瓶でして、毎朝欠かさず鹿皮と胡粉(ごふん)でせっせと自分を磨いておりましたな」

  • E・A・ポー=著 八木敏雄=訳 「タール博士とフェザー教授の療法」

(3) 佐伯 1963, 1969, etc.
「以前ここにいた患者で」私の右隣りの小柄な肥った紳士が言った。「自分が茶瓶になったと思いこんだのがおりましてね。ついでながら、とくに茶瓶という気まぐれが、ひんぱんに狂者の脳髄にいりこむというのは、不思議な話じゃないでしょうか。フランス中、どこの精神病院をとって見ても、人間茶瓶のいない所は、まず見当りませんね。当院の紳士は、イギリス製の茶瓶で、毎朝忘れずに鹿皮と胡粉で身体を磨き立てておりました」

  • E・A・ポー=著 佐伯彰一(さえき・しょういち)=訳 「タール博士とフェザー教授の療法]

(4) 谷崎 1948, 1955, etc.
「かつてこういう男がいましたよ」私の右手に坐っている、太った紳士が言った。「自分を土瓶(どびん)だと思っているんです。こんな変な考えが、この狂人の頭にはいったということは、ずいぶん奇妙じゃありませんか。もっともフランスの精神病院で人間の土瓶がいないところは一つもありませんがね。この男はブリタニア焼きの土瓶で、鹿皮に胡粉(ごふん)をつけて、毎朝ていねいに自分を磨いていましたよ」

  • ポオ=著 谷崎精二=訳 「タア博士とフェザア教授の療法」

(5) 田内 1970
「いつかここにある男が入院していましたよ。」私の右方(みぎて)に坐っていた小柄な肥っちょの紳士が言った、「その男は自分を茶瓶(びん)だと想いこんでいたのです。ね、そういう一定の奇妙奇てれつ(#「てれつ」に傍点)な考えがその狂人の頭脳(あたま)にしょっちゅう浮んで来たというのは取分け稀代(きたい)なことじゃありませんか? もっとも仏蘭西(フランス)には、人間茶瓶のいない一疋(ぴき)ぐらい提供できないような狂気病院はまあ一軒もありませんがね。わが(#「わが」に傍点)紳士は、英国(ブリタニア)製の茶瓶なんでして、先生毎朝毎朝牡鹿(おじか)の皮に胡粉(ごふん)をつけて、われとわが身体をごしごし磨かねば承知しませんでしたよ。」

  • ポー=作 田内長太郎=訳 「瘋癲病院異変」

■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

— По-рано тук имаше един приятел — обади се въздебеличък, дребен джентълмен, седнал от дясната ми страна, — един приятел, който си въобразяваше, че е чайник; впрочем не е ли извънредно странно колко често в главата на лудия се загнездват подобни своеобразни чудатости? Едва ли във Франция има психиатрична болница, в която да не може да се намери човекочайник. Нашият джентълмен беше чайник, изработен от сплав, имитираща сребро, и всяка сутрин най-грижливо се лъскаше с парче еленова кожа и тебеширен прах.

  • Едгар Алън По. Системата на доктор Тар и професор Федър
  • E-text at Моята библиотека (chitanka.info)

■チェコ語訳 Translation into Czech

„Měli jsme tu kdysi chlapíka,“ pravil tlustý mužík vpravo ode mne, „chlapíka, který si namlouval, že je čajník. A mimochodem, není to zvláštní, jak často zrovna tahle podivnůstka vleze bláznům na mozek? Stěží byste našli ve Francii sanatorium, kde by nechovali lidský čajník. Náš džentlmen byl čajníkem ze starého cínu a každé ráno se důkladně leštil jelenicí a plavenou křídou.“


■フランス語訳 Translation into French

« Nous avions ici autrefois un gaillard, – dit un gros petit monsieur, assis à ma droite, – qui se croyait théière ; et, soit dit en passant, n’est-ce pas chose remarquable que cette lubie particulière entre si souvent dans la cervelle des fous ? Il n’y a peut-être pas en France un hospice d’aliénés qui ne puisse fournir une théière humaine. Notre monsieur était une théière de fabrique anglaise, et il avait soin de se polir lui-même tous les matins avec une peau de daim et du blanc d’Espagne.


 Audio 
英語原書のオーディオブック(朗読) Audiobook in English

下に引用する箇所の朗読は 15:30 から始まります。 Uploaded to YouTube by Free Audio Books and Recordings on 29 Aug 2013. Reading of the excerpt below starts at 15:30.


■英語原文 The original text in English

"We had a fellow here once," said a fat little gentleman, who sat at my right, -- "a fellow that fancied himself a tea-pot; and by the way, is it not especially singular how often this particular crotchet has entered the brain of the lunatic? There is scarcely an insane asylum in France which cannot supply a human tea-pot. Our gentleman was a Britannia -- ware tea-pot, and was careful to polish himself every morning with buckskin and whiting."


■日本語訳の書誌情報 Bibliography on translations into Japanese

(1) 大岡 1998

  • エドガー・アラン・ポー=作 大岡玲(おおおか・あきら)=訳 「タール博士とフェザー教授の治療法」 『アモンティラードの樽 その他』 地球人ライブラリー 小学館 1998/03 所収 

(2) 八木 1980

  • E・A・ポー=著 八木敏雄=訳 「タール博士とフェザー教授の療法」 『ポオのSF2』 講談社文庫 1980/03 所収

(3) 佐伯 1963, 1969, etc.

(4) 谷崎 1948, 1955, etc.

(5) 田内 1970, 1975, etc.

  • ポー=作 田内長太郎=訳 「瘋癲病院異変」
    • 松本清張〔ほか〕=監修 中島河太郎=編 横溝正史=訳者代表 『新青年傑作選4 翻訳編』(新装版) 立風(りっぷう)書房 1991/09 所収
    • 松本清張+水谷準+横溝正史=監修 中島河太郎=編 『新青年傑作選4 翻訳編』 立風書房(初版 1970|新装版 1975)所収

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■更新履歴 Change log

  • 2013/10/21 英文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/03/21 曹明伦による中国語訳(簡体字)、およびブルガリア語訳を追加しました。
  • 2010/06/18 中国語訳(簡体字)と中國語譯(繁體字)の書誌情報を修正しました。
  • 2009/11/08 チェコ語訳を追加しました。
  • 2007/05/15 八木敏雄=訳 1980/03 を追加しました。

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