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Saturday, 17 March 2007

The Voice in the Night by William Hope Hodgson W・H・ホジスン 「夜の声」「闇の海の声」「闇の声」「闇の中の声」

 Image gallery 
本の表紙、DVDのジャケット、肖像写真 Book and DVD covers and a portrait

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a. Eibei_horror_no_keifu b. 1999_hakaba_kara_kaeru c. 1998_kaiju_bungaku_taizen

d. 1992_nanatsu_no_kyofu_monogatari e. Yoru_no_koe_2 f. Matango

g. 2007_fr_la_chose_dans_les_algues h. 189238941x01 i. Nighthodgson

■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 秋川 2006
『ねえ、顔の横に何をつけているの?』不安のあまり、声がきつくなっていた。私は顔に手をあててみた。
『そこよ! 耳の脇の髪の毛の下。もう少し前』手でその場所をさぐりあて、私はすべてをさとった。
『まず君の親指をすませてからだ』私はいった。彼女は指がきれいになるまで私に触れないようにしようと思っていたので、私のいうとおりにした。私が彼女の親指を洗って消毒し終えると、彼女は私の顔にとりかかった。処理がすむと私たちはすわって、しばらくいろいろ話しこんだ。世にも恐ろしいものが私たちの人生に突然、忍び入ってきたのだ。いきなり、死よりも恐ろしいものが迫ってきたのだ。
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.

   ウィリアム・ホープ・ホジスン=著 秋川久美子=訳 「夜の声」
   R・スティーヴンスン、C・ディケンズ〔ほか〕=著
   金原瑞人(かねはら・みずひと)=編
   『英米ホラーの系譜』 ホラーセレクション9 ポプラ社 2006-03 所収


(2) 矢野 1999
『ねえ、あなたの顔の横のほうに、なにかついてるわ』
 その声は、不安(ふあん)にとがっていた。手をやるとなにかにふれた。
『そこよ! 耳のそば、髪(かみ)のはえぎわよ。あ、もうちょっと前』
 わたしの指は、その場所をさぐりあてた。そして、わたしは知った。
『きみの指のをさきにかたづけてしまおう』
 彼女はわたしの言葉にしたがった。自分の指がきれいになってしまわないかぎり、
わたしにふれるのを、こわがったからだ。その作業が終わると、彼女はわたしのほうにとりかかった。全部すんでしまうと、わたしたちはしばらく腰(こし)をおろして、いろいろなことを話しあった、わたしたちの生活に、おそろしい心配事(しんぱいごと)が、しのびよってきたからだった。死よりももっとおそろしいなにかが。

   ウィリアム・ホープ・ホジスン=作
   矢野浩三郎(やの・こうざぶろう)=訳 「闇の海の声」
   ロバート・シルヴァーバーグ〔ほか〕=作
   『墓場から帰る』 恐怖と怪奇名作集7 岩崎書店 1999-04 所収


(3) 大門 1998
「『あなたの顔の横にあるそれはなに?』その声は不安に尖っていた。私は手を顔に上げた。
「『そこよ! 耳のわきの髪の下。もうちょっと前』私の指は言われた所に触れ、そして私は悟ったのだ。
「『きみの親指を先にやってしまおう』と私は言いました。私が彼女の親指を洗って、消毒しおえると、今度は彼女が私の顔にかかった。それがすむと、私たちは並んで坐り、しばらくいろいろなことを話し合った、私たちの身の上に突然、世にも恐ろしいことがふりかかってきたのだ! 私たちは死よりもわるいものにとりつかれたのだった。

   W・H・ホジスン=著 大門一男(おおかど・かずお)=訳 「闇の声」
   東雅夫(ひがし・まさお)=編 『怪獣文学大全
   河出文庫 1998-08 所収


(4) 坂崎 1992
『あなたの頬にあるのはなに?』彼女の声は、不安のためにするどかった。わたしは、かた手をあげて、そこをさぐった。
『そこよ! 耳のそばの髪の毛の下あたり——もうちょっとまえ!』
 指がふれた。やっぱりだった。
『まず、きみの親指をきれいにしよう。』わたしはいった。彼女は同意した。指の消毒がおわるまで、わたしにさわりたがらなかったからだ。彼女の親指をあらい、消毒してから、彼女がわたしの顔にとりかかった。すっかりすむと、わたしたちはならんですわり、さまざまなことを話しあった。おだやかなくらしになれたときに、きゅうにおそろしいことを考えなければならなくなったのだ。わたしたちは、そのときいちはやく、死よりもひどいことがおこりそうな予感におびえていた。
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.

   W・H・ホジソン=著 坂崎麻子(さかざき・あさこ)=訳 「夜の声」
   坂崎麻子=編訳 『七つの恐怖物語—英米クラシックホラー
   偕成社文庫 1992-07 所収


(5) 小倉 1986
「『ねえ、あなた、顔の横についているのなあに?』彼女の声は心配でとがっていた。私は片手をあげてさぐってみた。
『そこそこ! 耳のそばの髪の毛の下。もうちょっと前の、ぽちっとしたもの』私の指さきがそこに触れた。そして私は分かった。
『きみの親指をさきにすませてしまおう』と私は言った。すると彼女はその指がきれいになるまでは私の躰にさわっていけないと思ったもんだから、私の言うとおりにした。私が彼女の親指を洗って消毒をすますと、彼女は私の顔の治療にかかった。それがすむと私たちは一緒に坐って、しばらくの間いろんなことを相談した……というのも、私たちの生活にひどく恐ろしい気持ちがいきなり入りこんできていたからだ。急に死よりも恐ろしいことが心配になってきた。

   ウィリアム・ホープ・ホジスン=著
   小倉多加志(おぐら・たかし)=訳 「闇の中の声」
   『海ふかく』 アーカム・ハウス叢書 国書刊行会 1986-08 所収


(6) 井辻 1985
「『あなたの顔の横についているのは何?』彼女の声は不安にとがっていた。わしは手をあててさわってみた。
「『そこよ! 耳のそばの髪の下——もう少し真ん中寄り』わしの指はその場所をさぐりあて、そしてわしは悟った。
「『まず、おまえの親指が先だ』わしは言った。彼女は手がきれいになるまでは、わしに触れるのを恐れていたからすなおに従った。彼女の親指を洗い、消毒してやると、彼女はわしの顔にとりかかった。処置が終わるとわしらはいっしょに坐って、いろいろなことを語りあった。わしらの生活に、ふいに世にも恐ろしい思いが忍びこんできたのだ。わしらはすぐ、死よりも悪い運命に怯えた。

   W・H・ホジスン=著 井辻朱美(いつじ・あけみ)=訳
   『夜の声』 創元推理文庫 1985-08


(7) 各務 1971, 1975, etc.
「『ねえ、あなたの顔の横のほうに何かついていますわ』その声は不安にとがっていた。手をやると何かに触れた。
『そこよ! 耳のそば、髪のはえぎわよ。あ、もうちょっと、前よ』わしの指はその場所をさぐりあてた。そしてわしは知ったのだ。
「『きみの指のをさきにかたづけてしまおう』わしはいった。彼女はわしの言葉にしたがった。自分の指がきれいになってしまわないかぎり、わしに触れるのをこわがったためだ。その作業が終わると、彼女はわしのにとりかかった。全部すんでしまうと、わしたちはしばらく腰をおろしていろいろなことを話しあった。わしたちの生活に、だしぬけにひどく恐ろしい心配事がしのびよってきたからだった。死よりももっとおそろしい何かが、にわかに心配になりだしたのだ。

   引用は d. 月刊ペン社版に拠りました。


 Audio 
「夜の声」 英語原文オーディオブック(朗読)
The Voice in the Night - Audiobook in English

下に引用する箇所の朗読は 24:23 あたりから。 Reading of the excerpt below starts around 24:23.


■英語原文 The original text in English

"'What's that on the side of your face, dear?'  Her voice was sharp with anxiety.  I put my hand up to feel.

"'There! Under the hair by your ear.  A little to the front a bit.'  My finger rested upon the place, and then I knew.

"'Let us get your thumb done first,' I said. And she submitted, only because she was afraid to touch me until it was cleansed.  I finished washing and disinfecting her thumb, and then she turned to my face.  After it was finished we sat together and talked awhile of many things for there had come into our lives sudden, very terrible thoughts.  We were, all at once, afraid of something worse than death.

   The Voice in the Night by W. H. Hodgson
   First appeared in The Blue Magazine (November 1907)


 Video 1 
マタンゴ(1963) 英語版予告編 Matango (1963) English trailer

Uploaded to YouTube by sideshowcarny on 2 Mar 2007.  Directed by Ishirô Honda. Starring Akira Kubo, Yoshio Tsuchiya, Hiroshi Koizumi.


 Video 2 
マタンゴ (1963) 日本語版予告編(スペイン語字幕付き)
Matango (1963) Japanese trailer with Spanish subtitles

監督: 本多猪四郎 出演: 久保明、土屋嘉男、小泉博 Uploaded to YouTube by LosBrothers69 on 21 Feb 2008. 


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013-04-26 つぎの3本の YouTube 音声/映像画面を追加しました。
    1. 英語原文オーディオブック
    2. Matango (1963) English trailer
    3. Matango (1963) Japanese trailer with Spanish subtitles
  • 2009-07-24 表紙画像を追加し、リンクの一部を修正しました。
  • 2007-07-12 小倉多加志=訳 1986/08 を追加しました。
  • 2007-07-07 訂正とお断り。杉崎和子=訳(「幽霊船の謎」中田耕治=編『恐怖の1ダース』講談社文庫 1980/08 所収)を引用するつもりであると、まえまえから予告しておりました。ところが、私は勘違いをしていることに気がつきました。この邦訳は "The Voice in the Night" の訳ではなく、別の短篇 "The Mystery of the Derelict" (1907) の訳だったのです。したがって、引用のリストからは除きました。
  • 2007-04-02 井辻朱美=訳 1985-08 を追加しました。

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