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Saturday, 07 April 2007

上田秋成 「浅茅が宿」(『雨月物語』より) The House Amid the Thickets (from the Tales of Moonlight and Rain) by Ueda Akinari

        目次 Table of Contents

 Video 1  宝塚公演「浅茅が宿」 Asajigayado, a Takarazuka production
 Images   表紙画像コレクション Cover photo collection
■フランス語訳 Translation into French
■英訳 Translations into English
  (E1) Chambers, 2006
  (E2) Zolbrod, 1974, 1988
  (E3) Sasaki, 1981
  (E4) Hamada, 1972
■簡体字中国語訳 Translations into simplified Chinese
  (Zh1) 訳者未確認
  (Zh2) 申非 1996
  (Zh3) 阎小妹 1990
 Video 2  映画 『雨月物語』 (1953) Ugetsu monogatari (1953) a.k.a. Ugetsu
 Video 3  映画 『雨月物語』 (1953) 関係者インタビュー Ugetsu interviews
■現代日本語への翻訳・再話 Translations and retellings in contemporary Japanese
  (J1) 円城 2015
  (J2) 岩井 2009
  (J3) 菅家 2008
  (J4) 中村(晃) 2005
  (J5) 雨月妖魅堂 2004
  (J6) 立原 2002
  (J7) 高田+稲田 1997
  (J8) 葉山 1996
  (J9) 高田 1995
  (J10) 石川 1991, 2006
  (J11) 平山 1989
  (J12) 大庭 1987, 1996
  (J13) 森 1986
  (J14) 青木 1981
  (J15) 神保 1980, 2004
  (J16) 後藤 1980, 2002
  (J17) 中村(幸) 1977
  (J18) 円地 1976, 1988, etc.
  (J19) 藤本 1975
  (J20) 松崎 1966
  (J21) 大輪 1960, 1988
  (J22) 鵜月 1959, 1970, etc.
  (J23) 重友 1953
■日本語原文 The original text in 18th century Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Video 1 
宝塚公演「浅茅が宿」 Asajigayado, a Takarazuka production

1998年 宝塚大劇場公演 出演: 轟悠  月影瞳  香寿たつき ほか


 Images 
表紙画像 Cover photos

pt Pt_00000030974 es Es_ueda_akinari_ugetsu_monogatari it 9788831751094g_1

fr Fr_contes_de_pluie_et_de_lune fr Post_1 en 0231139128_2_1

zh Zh_ugetsu_monogatari ja 448008377401_1 ja Img911_1

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■フランス語訳 Translation into French


■英訳 Translations into English

(E1) Chambers, 2006
(…) and the villagers abandoned their houses and set out to sea or hid in the mountains. Most of the few who remained had hearts of tigers or wolves and sought, I suppose, to take advantage of me now that I was alone. They tempted me with clever words, but even if I had been crushed like a piece of jade, I would not imitate the perfection of the tile, and so I endured many bitter experiences.


(E2) Zolbrod, 1974, 1988
   Ugetsu Monogatari: Tales of Moonlight and Rain
   by Akinari Ueda   
   Translated by Leon M. Zolbrod
   * Hardcover: University of British Columbia Press (1974)
   * Hardcover: Allen & Unwin (1975/01)
   * Paperback: Tuttle Pub (1988/06)
 
(E3) Sasaki, 1981
   Ueda Akinari's Tales of a Rain'd Moon
   by Ueda Akinari
   Translated by Sasaki Takamasa
   Hokuseido Press (1981)
   上田秋成=著 佐々木高政=訳 『雨月物語
   北星堂書店 1981/03
 
(E4) Hamada, 1972
   Tales of Moonlight and Rain: Japanese Gothic Tales
   by Akinari Ueda
   Translated by Kengi Hamada (Kenji Hamada)
   Hardcover: Columbia University Press (1972/06)


■簡体字中国語訳 Translations into simplified Chinese

(Zh1) 訳者未確認

那时天下大乱,村中人弃家逃避,或漂流在海上,或躲进深山。留在村里的,多为怀有虎狼之心的邪恶歹徒,见我是一个孤身女人,常以花言巧语诱惑挑逗。我宁可玉碎,不愿瓦全,坚守贞操,不知忍受了多少艰难辛酸。


(Zh2) 申非 1996
乡人皆弃家出走,或避乱海上,或遁入深山。偶有留居村内者,多是险恶歹徒,虎狼为心;看我一人独处,视为有机可乘,时而巧言诱惑,欲加狎侮。我宁为玉碎,不为瓦全,几次遇险,艰忍自持, 辛未遭难。

  • 雨月奇谈 荒宅 作者: 上田秋成 译者: 申非 农村读物出版社 1996

(Zh3) 阎小妹 1990

  • 雨月物语 日本文学丛书 作者: 上田秋成 译者: 阎小妹 人民文学出版社 1990

 Video 2 
映画 『雨月物語』 (1953) 予告編
Ugetsu monogatari (1953) a.k.a. Ugetsu trailer

監督:溝口健二 出演:京マチ子、森雅之 ほか
Directed by Kenji Mizoguchi, Starring Machiko Kyo, Masayuki Mori


 Video 3 
映画 『雨月物語』 (1953) 関係者インタビュー Ugetsu interviews

依田義賢、京マチ子、田中絹代らへのインタビュー。新藤兼人監督のドキュメンタリー映画 『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)』 の一部。
Interviews with Yoshikata Yoda, Machiko Kyo, Kinuyo Tanaka. Excerpts from the documentary film Kenji Mizoguchi: The Life of a Film Director (1975) directed by Kaneto Shindo.


■現代日本語への翻訳・再話
 Translations and retellings in contemporary Japanese

(J1) 円城 2015

(……)里の者はみな家を捨てて海を渡り、山に隠れて、里にわずかに残ったのは、乱暴者やひとくせある者ばかり。わたしがひとりでいるのを幸いと言葉巧みに言い寄ってきた者もいましたが、操を貫き、砕けることがあったとしても、見苦しい姿を晒(さら)すことはすまいとなんとかつらい日々を切り抜けました。


(J2) 岩井 2009
(……)村人は家を捨てて逃げていき、海へ山へと彷徨いました。残っていたのは、虎や狼のように獰猛(どうもう)な野蛮な人ばかり。
 独り身になったのを狙われ、幾たびもいっそ死にたい思いを味わわされました。それでも操を貫いて、玉として砕けるつもりでした。屋根の瓦のように、肌を汚して生き永らえるよりは遙かにいいと。

   岩井志麻子=著 「浅茅が宿」
   a.雨月物語』 光文社 2009/10/25
   b.小説宝石』 2008年7月号 光文社 収載
   現代語訳というよりも、翻案もしくは再話と呼ぶべき作品。初出は b.
   引用は a. に拠りました。


(J3) 菅家 2008
近所の人はみな逃(に)げて、残っているのは獣(けもの)のような男たちばかりでした。わたくしが一人でいるのをいいことに、言い寄ってきましたが、わたくしはあなただけの妻、死んでもほかの男になどなびくものですかと、つらい思いにも耐(た)えてきました。


(J4) 中村(晃) 2005
村人たちはみな家を捨て、海に漂(ただよ)い、山に隠れ、わずかに村に残った人たちの多くは心変りして虎狼の気持ちとなり、女のひとり住居をよいことにして、甘言をもってわたしに言いよって来ました。しかしわたしは貞操を守って玉と砕け散ろうとも、肌身を汚されてまで、瓦(かわら)のように醜(みにく)く生き長らえることはすまいと覚悟して、いく度となく辛(つら)い思いを耐え忍んで来ました。


(J5) 雨月妖魅堂 2004
里の者は皆家を捨てて海に漂流し、または山へと逃げ隠れました。偶々残った人々も、その殆どが残忍な虎狼の心を持っており、私に夫がいないのをいいことに言葉巧みに誘って来ましたが、玉と砕けて貞操を守り抜いても瓦のように身を汚して生きることはすまいと心に決め、幾度も辛いのを我慢しました。


(J6) 立原 2002
(……)戦(たたか)いに追われた人びとは、家をすてて海や山ににげたのです。のこったのは、虎(とら)や狼(おおかみ)のようなおそろしい心の人でした。女がひとりでいることにつけこんで、男たちがいいよってきます。わたしはいのちをすてても、あなたへの操(みさお)はまもりとおすつもりでしたし、そのとおりにいたしました。つらさにもさびしさにも耐(た)えて(……)

  • 立原えりか(たちはら・えりか)=著 『雨月物語』 浅茅が宿 21世紀によむ日本の古典17(全20巻) ポプラ社 2002/04

(J7) 高田+稲田 1997
(……)村人はみな家を捨てて海上に逃げ、山に逃げ隠れました。まれに残った人はたいてい虎や狼(おおかみ)のような恐ろしい心を持った人で、このようにひとり身になったのを好都合に思って、言葉たくみに誘惑するのですが、操(みさお)をつらぬき通して玉と砕けても、不義をして瓦のように醜く生きながらえることだけはすまいと、何度かつらい目をがまんしてきました。

  • 上田秋成=著 高田衛(たかだ・まもる)+稲田篤信(いなだ・あつのぶ)=校注 『雨月物語』 ちくま学芸文庫 1997/10

(J8) 葉山 1996
(……)苦しくて、辛(つら)いのは、あなたさまのことを考える夜昼でしたが…だって、あなたさまのこと以外に何一つ私にはなかったのですもの…それはいつかきっと会えると我慢(がまん)もできましたが、女ひとりだとわかると、いろいろ親切なことをいってくださる言葉のしたに、いやらしい、獣(けもの)の欲望(よくぼう)が隠(かく)されていて、いつも牙(きば)をむいて私に襲(おそ)いかかろうとしていたことです。私は、もしもあなたさま以外の男にこの肌(はだ)を汚(けが)されれば、その場で舌をかみきって死のうと覚悟(かくご)していました。そして、あるときなどは……」

  • 葉山修平(はやま・しゅうへい)=著 「浅茅が宿」 『亡霊』 親子で楽しむ歴史と古典11 勉誠社 1996/05 所収

(J9) 高田 1995
(……)村の人々は皆逃げ散り、家を捨てて海に漂い山に隠れして、稀々(まれまれ)に残ったのは、たいてい虎狼(ころう)の心を持った人、女の独居(ひとりずまい)を好都合(いいさいわい)とばかり、巧みな弁舌(くちさき)で言い寄るのです。たとえ玉と砕け散っても、不義をして瓦(かわら)のように醜く生命(いのち)永らえることだけはすまいと、幾度つらい目を耐え忍んだことか。


(J10) 石川 1991, 2006
(……)土地のひとびとはみな家を捨(す)てて海にうかみ山にかくれれば、たまたま残ったものとても、そのこころ根は虎(とら)おおかみ、女ひとりとつけこんで、ことばたくみに、いやらしいことばっかり、玉とくだけても瓦(かわら)の身にはなるまいものをと、いくたびかつらい目をしのびました。

   上田秋成=著 石川淳=訳 「浅茅が宿」
   a. 赤木かん子=編 岡本綺堂, 半藤一利〔ほか〕=著
     『語られると怖い話』 ホラーセレクション2
     ポプラ社 2006/03 所収
   b. 上田秋成=著 石川淳=訳
     『新釈雨月物語 新釈春雨物語』 ちくま文庫 1991/06
   a. の底本は b.


(J11) 平山 1989
村人たちはみな家をすててさまよい、山にかくれたりしてしまったのです。たまたま村に残った人は、たいていけだもののような心の持ち主で、わたしのようにひとりぐらしとなった女をつごうのよいことに思ってか、調子のよいことを言って誘惑(ゆうわく)しました。けれども、たとえこのまま死んでしまっても、よその男に乱暴(らんぼう)されて、価値(かち)のない瓦(かわら)のような体で生きのびることだけはしたくないと思って、何度も苦しい立場をたえしのびました。

  • 上田秋成=著 平山城児=訳 「浅茅が宿」 江河徹=編 『恐ろしい幽霊の話』 幻想文学館1 くもん出版 1989/08 所収

(J12) 大庭 1987, 1996
(……)村人たちはみな家を捨て、海路を逃れたり、山にかくれたりしました。たまに居残っている人たちは、飢えた虎(とら)か狼(おおかみ)と違うところもないような下心で、やもめ暮らしの私に言葉巧みに誘いをかけてきました。でも玉と砕けても、瓦(かわら)となってまで長らえたくはないものと、何度も危い目を忍びました。

   大庭みな子=著
   a.大庭みな子の雨月物語』 わたしの古典 集英社文庫 1996/08
   b.大庭みな子の雨月物語』 わたしの古典19 集英社 1987/06


(J13) 森 1986
(……)村のひとたちは、みんな、家をすてて、舟で他国へ逃げたり、山奥にはいったりしました。あとに残ったのは、騒動をいいことにして悪いことをしようという、おそろしい心のひとたちばかりです。ですから、わたくし、こわくって、こわくって、一日も安心した日がおくれませんでした。


(J14) 青木 1981
(……)里の人はみな家を捨てて、海に漂(ただよ)い出たり山に隠れ住んだりしたので、稀(まれ)に残った人はたいてい飢えた虎狼(とらおおかみ)のような恐ろしい心を隠し持っていて、こんな独(ひと)り身(み)になったのを幸(さいわ)いとばかりに、言葉を飾(かざ)って誘惑するけれど、玉(たま)として砕け散っても瓦(かわら)になって長らえたりはしたくないのだと、何度かつらい目をたえてもきました。

  • 上田秋成=著 青木正次(あおき・まさじ)=訳 『雨月物語(上)』 (全2巻)講談社学術文庫 1981/06

(J15) 神保 1980, 2004
(……)村人は皆家を捨て、海に漂(ただよ)い、山に隠れ、稀々(まれまれ)に村に残った人は、多くは虎狼(ころう)の心を持っていて、私のひとり住居(ずまい)を好都合と思ってか、甘言を弄して言い寄りましたが、貞操を守って、玉と砕け散ろうとも、肌身を汚(けが)して瓦(かわら)のように醜く生きながらえることはすまいと、いくたびか辛(つら)い思いを耐え忍びました。

   上田秋成=著 神保五彌(じんぼう・かずや)=訳 「雨月物語」
   a.雨月物語・春雨物語—若い人への古典案内
     教養ワイドコレクション〈クラシックへの遊学〉 文元社 2004/02
   b.雨月物語・春雨物語—若い人への古典案内
     現代教養文庫 社会思想社 1980/10/30
   a.b. の2001年刊31刷を原本としたオンデマンド版。
   引用は b. に拠りました。


(J16) 後藤 1980, 2002
(……)里の人々はみんな家を捨てて海や山に逃げ隠れてしまいました。たまたま残っている人といえば、これはほとんどが虎(とら)か狼(おおかみ)のように何かを狙っている人で、わたしがこうして一人暮しをしているのを、これ幸いと思うのでしょう。手を変え品を変えして誘惑して来ましたけれども、たとえ玉と砕けようとも、不義の生き恥だけはさらすまいと、幾度も辛くて危険な目を耐え忍び、逃れて参ったのです。

   後藤明生(ごとう・めいせい)=訳 「雨月物語」
   a. 後藤明生=著 『雨月物語
     学研M文庫 学習研究社 2002/07 所収
   b.現代語訳・日本の古典19 雨月物語・春雨物語』(全21巻)
     学習研究社 1980/04 所収
   引用は a. に拠りました。


(J17) 中村(幸) 1977
(……)村人はみな住家を捨てて、海よりにげ、山にこもりましたので、わずかに残った人はといえば、だいたい悪い野心をいだく連中で、このように一人身になりましたのを、よい都合に思いましてか、好言をもって誘惑しますけれど、操を立て通してたて生命はなくなりますとも、生きて不義の汚名を取りますまいと、覚悟して、何度も何度もつらい目をたえ忍びました。


(J18) 円地 1976, 1988, etc.
(……)里の人たちはみな家を捨てて船路に逃げのびたり、山にこもったりしました。たまたま居残っている人たちは、まるで虎(とら)や狼(おおかみ)のような恐ろしい心にかわって、私が寡(やもめ)でひとり暮らしているのをよい幸いと思うのか、ことばを巧みに誘って来ましたけれども、玉のままでいさぎよく砕けちっても、瓦となって長生きしたくはないと思いさだめて、いくたびとなく、それはそれはつらい目を忍びました。

   上田秋成=作 円地文子=訳 「雨月物語」
   a.現代語訳 雨月物語・春雨物語
     河出文庫 河出書房新社 2008/07/04 所収
   b.雨月物語・浮世床・春雨物語・春色梅暦
     作者:上田秋成、式亭三馬、為永春水
     訳者:円地文子、久保田万太郎、舟橋聖一
     日本古典文庫20 河出書房新社 新装版 1988/04 所収
   c.雨月物語・浮世床・春雨物語・春色梅暦
     日本古典文庫20 河出書房新社 1976/10 所収


(J19) 藤本 1975
(……)村の人は山の方へ、海の方へと避難しました。村に残った人は、みんな貪欲(どんよく)な人ばかりで、戦いでひと儲(もう)けしてやろうという人もあれば、人間のみにくい欲望の谷を満そうと思う人ばかりで、一人住いのあたしを狙(ねろ)うて、言葉巧みに誘おうとしたのです。あたしは、操(みさお)を守って死ぬのは、不義を犯して生きながらえるよりも尊いと、その一心で生きてまいりました。


(J20) 松崎 1966
(……)ここの人たちはみな家をすてて逃げ、わずかに残った人はといえば、たいてい残忍な心の持ち主でした。私がひとり暮らしになったのを好都合とばかりに、うまいことをいって誘惑するのです。でも私は、命をすてても操を守ろうと決心して、なんどつらいめに会っても、いっしょうけんめい、たえしのんできました。

  • 上田秋成=原作 松崎仁(まつざき・ひとし)=編著 『雨月・春雨物語』 古典文学全集20 ポプラ社 1966/04/10 所収 [原文にあるルビは省略しました - tomoki y.]

(J21) 大輪 1960, 1988
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

   上田秋成=著 大輪靖宏(おおわ・やすひろ)=訳注
   a.雨月物語 (対訳古典シリーズ)』 旺文社文庫 1988/04
   b.雨月物語—現代語訳対照』 旺文社文庫 1960/01


(J22) 鵜月 1959, 1970, etc.
村人はみんな家を捨てては海や山に逃げかくれてしまいましたので、まれに残っている人といえば、たいてい虎か狼のようにおそろしい貪婪(どんらん)な心を持った人で、私がこうして一人暮らしをしているのをいいさいわいと思うのでしょうか、言葉たくみに誘惑するのですが、玉砕瓦全(ぎょくさいがぜん)の言葉のように、たとえ操を守って死すとも、不義をして命ながらえる道は踏むまいと決意して、そのために幾度もつらいめをたえしのんできたのです。

   上田秋成=著 鵜月洋(うづき・ひろし)=訳注
   a.改訂版 雨月物語—現代語訳付き』 角川ソフィア文庫 2006/07
   b.雨月物語—付現代語訳』 角川文庫 1970
   c.雨月物語—附現代語譯』 角川文庫 1959/11/30
   引用は a. に拠りました。


(J23) 重友 1953
(……)この里の人たちも、みんなそれぞれの家を捨て、舟に乘って遠くへゆくか、山奥へかくれるかして、あとにのこる人といえば、たいていは恐ろしい人ばかりで、このわたくしが一人でいるのをよいことに、口を巧みにいい寄りなどしましたが、どんなことがあろうとも、操は守り通そうと、どんなに苦勞したことか知れません。


■日本語原文 The original text in 18th century Japanese

(……)里人は皆家を捨てて海に漂(ただよ)ひ山に隠(こも)れば、適(たまたま)に残りたる人は、多く虎狼(こらう)の心ありて、かく寡(やもめ)となりしを便(たよ)りよしとや、言(ことば)を巧(たく)みていざなへども玉と砕(くだけ)ても瓦(かはら)の全(また)きにはならはじものをと、幾たびか辛苦(からきめ)を忍(しの)びぬる。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2018/02/01 訳者未確認の簡体字中国語訳を追加し、申非による簡体字中国語訳と Chambers による英訳の訳文を挿入しました。
  • 2018/01/31 インタビューのビデオを英語字幕版のものと差し替えました。
  • 2016/11/06 円城塔=訳 2015/11/30 を追加しました。
  • 2010/12/08 神保五彌=訳 1980/10/30 と重友毅=譯 1953/12/20 の訳文を挿入しました。
  • 2010/12/07 森三千代=著 1986/03/20 を追加しました。また、重友毅=訳 1953 の書誌情報を追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。さらに、円地文子=訳の書誌情報を補足しました。
  • 2010/12/01 菅家祐=文 2008/02/17 を追加しました。また、鵜月洋=訳注の書誌情報を修正し、神保五彌=訳と大輪靖宏=訳注の書誌情報を追加しました。さらに、外部リンクの項を新設しました。
  • 2010/11/29 中村晃=著 2005/11/01 を追加しました。
  • 2010/09/28 フランス語訳と簡体字中国語訳の書誌情報を追加しました。また、表紙画像を追加しました。
  • 2010/08/01 岩井志麻子=著 2009/10/25 を追加しました。
  • 2010/06/10 つぎの3本の YouTube 動画を追加しました。
      1) 宝塚歌劇 『浅茅が宿』 (1)
      2) 映画 『雨月物語』 (1953)
      3) 『雨月物語』 (1953) 関係者インタビュー
  • 2008/02/13 藤本義一=訳 1975 を追加しました。
  • 2007/07/21 中村幸彦=訳 1977/02 を追加しました。
  • 2007/06/19 立原えりか=著 2002/04、高田衛+稲田篤信=訳 1997/10、および葉山修平=著 1996/05 を追加しました。
  • 2007/05/15 松崎仁=訳 1966/04 を追加しました。
  • 2007/04/16 日本語原文の仮名遣いの誤りを訂正し、その書誌情報を補足しました。
  • 2007/04/14 鵜月洋=訳 2006/07、後藤明生=訳 2002/07、および円地文子=訳 1976/10 を追加しました。
  • 2007/04/11 青木正次=訳 1981/06 を追加しました。

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