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Thursday, 19 April 2007

The Ghost of a Hand by J. Sheridan Le Fanu レ・ファニュ 「手の幽霊」「手の幽霊の話」「白い手の怪」「白い手の幽霊」

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表紙画像と肖像写真 Book covers and a portrait

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a. Ja_bochi_ni_tatsu_yakata_430920340x b. Ja_kyuuketsuki_01980620 c. En_the_house_by_the_churchyard_1598

d. En_classic_victorian_edwardian_7268 e. En_fantastic_worlds f. Portrait_200pxlefanu


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 榊 2000
(……)しかし九月十三日の夜、ジェーン・イースターブルックというイギリス人のメイドが、ミセス・プロッサー愛飲のミルク酒を入れる小さな銀の器を取りに食器室に入ったときのこと、ガラスが四枚だけ嵌(はま)った小さな窓をふと見上げた。すると鎧戸(よろいど)の閂(かんぬき)を掛けるためにドリルで窓枠にあけられている穴を通して、ぽっちゃりとした白い手が目に映った。最初見えたのは一本の指の先端だけで、やがて二本の指の第一関節が現れたかと思うと、指先を内側に曲げてあちこち撫で回した。片側に押して窓を開ける仕組みの留め金を探しているかのような気配だった。台所に戻って来たメイドはそのまま気を失って、翌日も一日じゅう何も手につかずに、ぼんやりしていたという。

   シェリダン・レ・ファニュ=著 榊優子(さかき・ゆうこ)=訳
   「12 瓦屋根の館にまつわる奇怪な事実——片手となって現れる幽霊
   についての信憑性のある話」
   『墓地に建つ館』 河出書房新社 2000/08 所収

   「訳者あとがき」によると、訳出にあたっては、Alan Sutton Publishing
   Ltd. の版をベースに、Appletree Press Ltd. の版を参考になさった由。


(2) 吉川 1989
 ところが九月十三日の夜、またまた事件がおこった。
 小間使いのジェーン・イースターブルックが、夫人にさしあげるミルク酒用の小さな銀のコップをとりに、食器部屋にはいっていったときのこと。食器部屋には四枚ガラスの小さな窓がある。窓わくにはシャッターをとりつける小さな穴がついていたが、なにげなくそこに目をやると、その穴からぷっくりとした白い指が一本さしいれられているではないか!
 さいしょは指先だけ、それから第二関節まではいってきた。その指は、先をまげて穴のまわりをさぐりはじめた。窓のとめ金をさがしあて、どうにかはずそうとしているらしい。びっくりぎょうてんしたジェーンは、台所にかけこむなり気絶してしまったそうだ。そして、翌日になってもまだふらふらしていたという。
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.

   ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ=著
   吉川正子(よしかわ・まさこ)=訳 「白い手の幽霊」
   江河徹(えがわ・とおる)=編 『恐ろしい幽霊の話』 幻想文学館1
   くもん出版 1989/08 所収
   「白い手の幽霊」は、長編小説『墓畔の家』の第十二章を独立させたもの。


(3) 乾 1988, 2006
 だが九月十三日の夜、イギリス人メイドのジェーン・エスタブルックというのが、奥さんのミルク酒(しゅ)用の小さい銀製ボールを取りに食器室へはいって行って、ふと四枚ガラスだけの小窓を見上げたのだが、その窓枠にあけられた、閉め金具シャッターのボルト穴から白い肥えた指が見えた……初めは指先だけ、それから二本の指の第一関節が現れ、内側に曲げられたその指が、手の持主が留め金をはずそうと企(たくら)んでいるようなふうに、あちらこちらへと動きまわっているのだ。台所へ戻ったメイドは〝気を失って倒れ〟次の一日中もひどく気がぬけたようになっていたという。
[原文にあるルビを一部省略しました - tomoki y.

   J・シェリダン・レ・ファニュ=著 乾信一郎=訳 「手の幽霊」
   a. 赤木かん子=編 岡本綺堂, 半藤一利〔ほか〕=著
     『語られると怖い話』 ホラーセレクション2 ポプラ社 2006/03 所収
   b. ロアルド・ダール=編 『ロアルド・ダールの幽霊物語
     ハヤカワ・ミステリ文庫 1988/12
   a. の底本は b.b. の原書はつぎのタイトル:
   * Roald Dahl's Book of Ghost Stories
    Paperback: Farrar Straus & Giroux (1985/01)


(4) 小菅 1971
(……)が、九月十三日の夜、女主人のミルク酒を入れるための小さな銀の鉢をとりに食器室に入っていった英国生まれの女中のジェーン・イースターブルックは、偶然四枚ガラスの小窓を見あげ、その窓枠の鎧戸(よろいど)をとめるための穴から、白いぷくぷくした指先がのぞいているのを発見した。初めは指先が、つづいて第一関接と第二関接が見え、幸いにして反対側に倒すように設計された掛金を捜すかのように、前後左右にうごめいた。女中は台所へもどると同時に失神し、あくる日一日「朦朧」としていた。

   J・シェリダン・レ・ファニュ=作
   小菅正夫(こすげ・まさお)=訳 「手の幽霊の話」
   矢野浩三郎(やの・こうざぶろう)=監修 日本ユニエージェンシー=編
   『アンソロジー・恐怖と幻想2』 月刊ペン社 1971/03 所収


(5) 平井 1970
(……)越えて九月の十三日の晩、イギリス人の奥女中で、ジェイン・イースタブルックという召使が、奥様にさしあげるミルク酒を入れる小さな銀の器をとりに、食器部屋へはいっていった時、なんの気なしに窓ののぞき穴——食器部屋には、四枚ガラスの小さな窓があって、そこの窓枠(わく)に、窓に閂(かんぬき)が下りているかどうかを見る、のぞき穴があいています。そののぞき穴から、ジェインがなんの気なしにのぞいてみたら、白いブヨブヨした指が見えたのです。——まず一本の指の先が、それから二本の指が第一関節のところまで見えました。白い指の先は、二本とも先を内側に曲げて、しきりとそこらをなでまわしています。押すとカタリとはずれるサル(#「サル」に傍点)がそこについている、そのサル(#「サル」に傍点)を捜しているようなけはいでした。ジェインはキャッといって、台所へ駆けこむなり気絶をして、翌日もいちにちフラフラしていたということです。

   ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ=著
   平井呈一(ひらい・ていいち)=訳 「白い手の怪」
   『吸血鬼カーミラ』 創元推理文庫 1970/04 所収


 Audio 
「手の幽霊」 オーディオブック The Ghost of a Hand - Audiobook

下に引用する箇所の朗読は 5:24 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by David Longhorn on 15 Nov 2012. Reading of the excerpt below starts around 5:24.


■英語原文 The original text in English

But on the night of the 13th September, Jane Easterbrook, an English maid,
having gone into the pantry for the small silver bowl in which her
mistress's posset was served, happening to look up at the little window of only four panes, observed through an auger-hole which was drilled through the window frame, for the admission of a bolt to secure the shutter, a white pudgy finger--first the tip, and then the two first joints introduced, and turned about this way and that, crooked against the inside, as if in search of a fastening which its owner designed to push aside. When the maid got back into the kitchen we are told 'she fell into "a swounde," and was all the next day very weak.

   The Ghost of a Hand
   from The House by the Church-Yard (1904)
   by Joseph Sheridan Le Fanu

   E-text at:


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  「手の幽霊」………………………………………………………乾 1988, 2006
  「手の幽霊の話」…………………………………………………小菅 1971
  「白い手の怪」……………………………………………………平井 1970
  「白い手の幽霊」…………………………………………………吉川 1989
  「片手となって現れる幽霊についての信憑性のある話」……榊 2000


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013/06/10 英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2009/07/25 「邦題の異同」の項を新設しました。また、ブログ記事のタイトルをつぎのとおり変更しました。
    • 旧題: The Ghost of a Hand by J. Sheridan Le Fanu レ・ファニュ「白い手の幽霊」
    • 新題: The Ghost of a Hand by J. Sheridan Le Fanu レ・ファニュ「手の幽霊」「手の幽霊の話」「白い手の怪」「白い手の幽霊」
  • 2007/04/20 榊優子=訳 2000/08 の原典に関する書誌情報を加えました。

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