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Tuesday, 29 May 2007

Jikininki by Lafcadio Hearn ラフカディオ・ハーン / 小泉八雲 「食人鬼」

        目次 Table of Contents

 Images  表紙画像と挿絵 Cover photos and an illusration
■日本語訳の例 A list of some translations into Japanese
■上掲日本語訳からの抜粋 Excerpts from the translations listed above
  (1) やぶちゃん 2005
  (2) 池田 2004
  (3) 下川 2003
  (4) 脇 2003
  (5) 船木 1994
  (6) 保永 1992
  (7) 平川 1977, 1990
  (8) 斎藤 1976
  (9) 上田 1975
  (10) 繁尾 1972
  (11) 平井 1964, 1965
  (12) 田代 1956
  (13) 平井 1940
  (14) 山本 1932
  (15) 大谷 1926, 1931, etc.
  (16) 刈谷+萩原 1927, 森+萩原 1990
  Audio   英語原文のオーディオブック Audiobook in English
■英語原文 The original text in English
■英文原書に関する詳細な書誌 Detailed bibliography on Kwaidan
■有益なサイト Useful websites
■更新履歴 Change log


 Images 
表紙画像と挿絵 Cover photos and an illusration
a. 3614 b. Kwaidan_iwanami c. Atamakajiri

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■日本語訳の例 A list of some translations into Japanese

1.  やぶちゃん=訳「食人鬼」 やぶちゃんの電子テクスト集 心朽窩旧館 2005
2.  池田 雅之=訳「食人鬼」『妖怪・妖精譚』     ちくま文庫 2004/08
3.  下川 理英=訳「食人鬼」『小泉八雲 日本の心』    彩図社 2003/08
4.  脇 明子 =訳「食人鬼」『雪女 夏の日の夢』  岩波少年文庫 2003/03
5.  船木 裕 =訳「食人鬼」『完訳 怪談』      ちくま文庫 1994/06
6. 保永貞夫訳「人を食う鬼」『耳なし芳一・雪女』講談社青い鳥文庫 1992/06
7a. 平川 祐弘=訳「食人鬼」『怪談・奇談』    講談社学術文庫 1990/06
7b. 平川 祐弘=訳「食人鬼」『小泉八雲作品集3』  河出書房新社 1977/08
8.  斎藤 正二=訳「食人鬼」『完訳 怪談』      講談社文庫 1976/10
9.  上田 和夫=訳「食人鬼」『小泉八雲集』   新潮文庫(新版) 1975/03
10. 繁尾 久 =訳「食人鬼」『怪談 他四編』     旺文社文庫 1972/06
11a.平井 呈一=訳「食人鬼」『怪談』      岩波文庫(改版) 1965/09
11b.平井 呈一=訳「食人鬼」『全訳 小泉八雲作品集10』  恒文社 1964/06
12. 田代美千稔=訳「食人鬼」『怪談・奇談』       角川文庫 1956/11
13. 平井 呈一=訳「食人鬼」『怪談』      岩波文庫(旧版) 1940/10
14. 山本 供平=譯「食人鬼」『Kwaidan (2)』       春陽堂 1932/03
15a.大谷 正信=譯「食人鬼」『小泉八雲集(上)』新潮文庫(旧版) 1950/07
15b.大谷 正信=譯「食人鬼」『小泉八雲全集第八卷家庭版』第一書房 1937/01
16a.森 銑三 +萩原恭平=訳「食人鬼」『十六桜』     研文社 1990/09
16b.刈谷新三郎+萩原恭平=訳「食人鬼」『小泉八雲選集2』 嶺光社 1927/01


■上掲日本語訳からの抜粋 Excerpts from the translations listed above

(1) やぶちゃん 2005
——と、夜の静寂(しじま)が最も深くなりました頃おひ、ぼんやりとした、大きな影が、音もなく、部屋の中に入つて參ります、と同時に、夢窓樣は、體から力が拔けて、聲も出せなくなつてしまはれた御自身を、感ぜられたのでございます。夢窓様の目に映つたのは、その影が、ご遺體を兩手で抱へ上げ、瞬く間に、猫が鼠を食らふよりも素早く、貪り喰らふ姿でした。頭より初めて、髮の毛、骨、遂には帷子(かたびら)までも、何もかも、すべて、殘る隈なく。さうして、そのおぞましき影は、盡く亡骸を喰らひ盡くすと、次はお供物に向き直り、それもすつかり喰らつてしまひました。さうして、やがて、入つて來た折と同じやうに、音もなく、すうつと立ち去つて行つたのでした——。

   小泉八雲=著 やぶちゃん(Yabtyan)=訳 「食人鬼(じきにんき)
   心朽窩旧館 やぶちゃんの電子テクスト集:小説・評論・随筆篇 2005


(2) 池田 2004
 やがて、夜の静けさが深まった時でした。なにか得体の知れない、掴(つか)みどころのない形をしたものが、音もなく部屋へ入ってきました。その時、国師さまは、金縛(かなしば)りにあったかのように動くことも声を出すこともできませんでした。 しかし、国師さまは、この奇怪な侵入者が、手で死骸を持ち上げ、猫がネズミを飲み込むよりもずっと早く、死骸を飲み込んでしまうのを、目のあたりになさいました。まず頭、それから胴体、髪の毛も骨も、経帷子(きょうかたびら)までも喰らい尽くしてしまいました。死骸を喰べ終わると、次に仏壇に向かい、お供えものもすべて平らげてしまいました。そして、入ってきた時と同じように、どこへともなく去っていきました。

   小泉八雲=著 池田雅之(いけだ・まさゆき)=訳 「食人鬼」
   池田雅之=編訳 『妖怪・妖精譚』 小泉八雲コレクション
   ちくま文庫 2004/08 所収


(3) 下川 2003
夜のしじまが深まったころ、ぼんやりとした大きな影が、音もなく入ってきた。その刹那(せつな)、夢窓は金縛りにあい、口もきけなくなった。夢窓は、影が両手で亡骸を持ち上げ、猫が鼠を食らうよりも素早く食らいつくのを見た。影はまず頭を食べ、そして髪も、骨も、経帷子(きょうかたびら)も次々に食べ尽くした。供え物も残らず食べてしまった。そうして、影は入ってきたとき同様、音も立てず出て行った。

   ラフカディオ・ハーン=著 下川理英=訳 「食人鬼(じきにんき)」
   和田久實(わだ・ひさみつ)=監訳 『小泉八雲 日本の心
   彩図社 2003/08 所収


(4) 脇 2003
 しかし、夜の静けさが最も深まったころ、何やらもうろうとした大きな影が、音もなくすべりこんできた。その瞬間(しゅんかん)、夢窓国師(むそうこくし)、動くことも口をきくこともできなくなった。その影は、見えない手でつかむようにして死体を持ち上げ、まずは頭から食べはじめたかと思うと、猫がネズミを食べるよりもすばやく、髪(かみ)の毛も骨(ほね)も経帷子(きょうかたびら)さえも残さずに、きれいさっぱり片づけてしまった。そうやって死体を平らげてしまうと、怪物(かいぶつ)は供(そな)えもののほうへむかい、それも食べてしまった。そして、来たときとおなじように、いずこへともなく消えていった。

   ラフカディオ・ハーン=著 脇明子(わき・あきこ)=訳 「食人鬼(じきにんき)」
   『雪女 夏の日の夢』 岩波少年文庫 2003/03 所収


(5) 船木 1994
ところが、深々と夜が更けた頃、何やら漠とした、どでかい物影が音もなく、室内に入り込んできました。その瞬間、夢窓は自分が身動きもならず、ものを言うこともできぬのを悟りました。見ると、その物影らしきものが、まるで両手で死骸を持ち上げるようにするや、猫が鼠を食らうより素早く、むさぼり食らうではありませんか。——まず、頭からはじまって、何もかも食い尽くすのが見えました。髪といわず、骨といわず、経帷子(きょうかたびら)までも。そんな風に死体を食い尽くしてしまうと、今度は供物の方に向き直り、それも食いだしました。そうして、入ってきた時と同様、音もなく、いずこへともなく姿を消したのです。

   ラフカディオ・ハーン=著 船木裕(ふなき・ひろし)=訳 「食人鬼(じきにんき)」
   『完訳 怪談』 ちくま文庫 1994/06 所収


(6) 保永 1992
 夜(よ)がふけて、あたりがしんしんとしずまりかえったころ、ぼんやりとした、大きなものの影が一つ、音もなくすーっと部屋にはいってきた。と同時に、夢窓国師(むそうこくし)は、自分の体から、声をたてる力も、手足を動かす力も、ぬけていくのを感じた。
 みると、その影は、両手で持ち上げるように、死人をだきおこし、死体をがつがつとむさぼり食いはじめたではないか。
 それは、ねこがねずみを食うよりもすばやかった。頭から食いはじめて、髪の毛も、骨も、経帷子(きょうかたびら)(仏式で死人をほうむるときに着せる着物)にいたるまで、なにもかもむさぼり食った。
 それから、こんどは供(そな)え物(もの)にむかい、これも食いつくすと、きたときと同じように、あやしい影につつまれたまま、どこへともなく、すーっとさっていった。

   小泉八雲=作 保永貞夫(やすなが・さだお)=訳 「人を食う鬼」
   『耳なし芳一・雪女—八雲怪談傑作集』 講談社青い鳥文庫 1992/06
   引用文中のルビを一部省略しました。


(7) 平川 1977, 1990
すると夜も更けて、あたりがしんしんと静まりかえった頃、漠とした大きな物影が一つ音もなくそこへはいってきた。と同時に夢窓禅師は我が身から、声を立てる力も、体を動かす力も、抜けてゆくのを感じた。見るとその物影は、両手で持ちあげるかのように、死人を抱きおこし、死体をがつがつ貪り食った。それは猫が鼠を食うよりもすばやかった。頭から食いはじめて、なにもかも、髪の毛も骨も、経帷子(きょうかたびら)にいたるまで、むさぼり食った。そしてその怪しいものの怪(け)は、そうして死体を食い尽すと、今度はお供物(そなえもの)に向かい、それもまた食い尽した。それからまた、来た時と同様、不思議に包まれたまま、またどこかへすっと立去った。

   小泉八雲=著 平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)=訳 「食人鬼」
   7a. 平川祐弘=訳 『怪談・奇談』 講談社学術文庫 1990/06 所収
   7b. 森亮(もり・りょう)〔ほか〕=訳 『小泉八雲作品集3—物語の文学
      河出書房新社 1977/08 所収
   引用は、7b. に依拠しました。7a. も、送り仮名、ルビなど
   細部の違いを除き、ほぼ同文。


(8) 斎藤 1976
ところが、夜の静けさがもっとも深くなったころ、朦朧(もうろう)とした、どでかい、なにやら「かたち(シェイプ)」のようなものが、音もなく、部屋のなかへすうっとはいってきた。それと同時に、夢窓は、自分が、身動きする力も、ものを言う力も失ってしまっていることに気づいた。夢窓は、その「すがた(シェイプ)」のようなものが、両手で持ちあげるようにして死骸を持ちあげ、猫が鼠を食らうよりもすばやく、それをむさぼり食らうのを見た。——まず頭からはじめて、何もかも食らうのを見た。髪の毛も、骨も、それから経帷子(きょうかたびら)さえも食らってしまうのである。さらに、この怪しい「もの(シング)」は、こんなにして死体を食べつくしてしまうと、こんどは供え物のほうへ向き直り、それをも食らいつくした。それから、はいってきた時と同じように、いずこへともなく立ち去った。

   ハーン=著 斎藤正二(さいとう・しょうじ)=訳 「食人鬼(じきにんき)」
   『完訳 怪談』 講談社文庫 1976/10 所収


(9) 上田 1975
しかし、夜の静寂(しじま)がいよいよ深まったとき、音もなく、ぼんやりした大きな「すがた」が、はいってきた。同時に、夢窓は、動くことも口をきくこともできなくなった。見ていると、その「すがた」は、まるで両手でかかえるように、亡骸をもち上げ、猫(ねこ)が鼠(ねずみ)を食べるよりもはるかに早く、それをむさぼり食った——頭からはじめて、なにもかも、髪の毛や骨や経帷子(きょうかたびら)にいたるまでも。そして、その異形(いぎょう)のものは(#「もの」に傍点)、亡骸を食いつくすと、こんどは供え物にかかり、それらもまた食べてしまった。それから、来たときと同じように、いずこともなく立ち去った。

   小泉八雲=著 上田和夫=訳 「食人鬼(じきにんき)」
   『小泉八雲集』 新潮文庫(新版)1975/03 所収


(10) 繁尾 1972
ところが、軒もさがる丑満(うしみつ)どきに、音もなく、大きな、とりとめもない影がすーっと忍びこんできた。と、そのせつな、夢窓はからだの力が抜け、声も出なくなってしまった。あたかも手を用いているかのように、影は遺骸を持ちあげ、猫がねずみを食らうよりもすばやく、それをむさぼった——まず頭からはじめて、髪の毛や骨、それに経帷子(きょうかたびら)まで食らうのである。このように死骸をあまさず食らいつくすと、物(もの)の怪(け)は供物の方に向きなおり、それをも食いつくした。それから、忍びこんだときと同じように、いずこともなくかき消えてしまった。

   ハーン=作 繁尾久(しげお・ひさし)=訳 「食人鬼(じきにんき)」
   『怪談 他四編』 旺文社文庫 1972/06 所収


(11) 平井 1964, 1965
すると、夜の静寂がもっとも深くなったころである。いきなり、大きな、形のはっきりせぬ、朦朧(もうろう)としたものが、音もたてずに家のなかへすっとはいってきた。と思ったその刹那、夢窓は、きゅうに五体が金縛りにあったようになって、口がきけなくなってしまった。見ているうちに、その大きな、おぼろげなものが、死骸をもろ手にかかえ上げたと思うと、たちまちそれにかぶりついて、猫が鼠を食らうよりも早く、がりがりと音をたてて、むさぶり食らいだした。まず死骸の頭からはじめて、髪の毛から、骨から、経帷子(きょうかたびら)まで食らうのである。さて、死骸を食らいつくしてしまうと、怪しいものは、こんどは供物の方に向きなおって、それも食らいつくした。それから、はいってきたときと同じように、音もたてずに、いずくへともなく立ち去っていった。

   11a. ラフカディオ・ハーン=作 平井呈一=訳 「食人鬼」
       『怪談—不思議なことの物語と研究
       岩波文庫(改版)1965/09 所収
   11b. 小泉八雲=著 平井呈一=訳 「食人鬼(じきにんき)」
       『全訳 小泉八雲作品集10 骨董・怪談・天の川綺譚
       恒文社 1964/06 所収


(12) 田代 1956
ところが、夜の静けさがこのうえなく深まったとき、もうろうとした大きな姿のものが、音もなくはいってきた。と同時に、夢窓は身動きができず、ものを言う力もなくなっていた。見ているうちに、その姿のものは、両手を使ってやるように、遺骸をも
ちあげて、猫が鼠(ねずみ)を食べるよりもすばやく、それを貪(むさぼ)り食った。——頭からはじめて、何もかも、髪の毛も、骨も経帷子(きょうかたびら)までも食べた。そして、この怪物は、こうして遺骸を食べてしまうと、こんどは供え物のほうへむいて、それもみな平(たいら)げてしまった。それから、はいって来たときと同じように、いずこともなく姿を消した。

   ラフカディオ・ハーン=著 田代美千稔(たしろ・みちとし)=訳
   「食人鬼」 『怪談・奇談』 角川文庫 1956/11 所収


(13) 平井 1940
すると、夜の靜寂が最も深くなつた比である。俄かに巨きな、形のはつきりせぬ、朧ろげなものが、音も立てずに家の中へはひつて來た。と思つたその刹那に、夢窓は體ぢゆうが金縛りに逢つたやうになつて、口が利けなくなつてしまつた。見てゐるうちに、その巨きな、朧ろげなものは死骸を兩手に抱き上げたと思ふと、いきなりそれにかぶりついて、猫が鼠を啖ふよりも早くがり/\と啖いはじめた。まづ頭から始めて、なにもかにも、髪の毛から骨から經帷子まで啖ふのである。さて、死骸を啖いつくしてしまうと、怪しいものは今度は供物の方へ向き直つて、それも食べつくした。それから這入つて來た時と同じやうに、音も立てずにどこかへ出て行つてしまつた。

   ラフカディオ・ヘルン=作 平井呈一=訳 「食人鬼(じきにんき)」
   『怪談—不思議な事の研究と物語』 岩波文庫(旧版)1940/10 所収


(14) 山本 1932
ところが、夜(よる)の沈默が最も深まつた時、朦朧とした大きな姿が、音もなく其處にはいつて來た。と同時に夢窓は、自分が動くことも、聲を立てることも出來なくなつてゐるのに氣付いた。見てゐると、その姿は、手で持ち上げる樣に死骸を取り上げ、猫が鼠を食べるよりもずつと速くそれを貪り食つた。——頭からかゝつて、髪の毛も、骨も、何もかも、經帷子(きやうかたびら)までも食べてしまつた。そして死骸を食べ盡すと怪しげな奴は今度は供物にとりつき、それをも亦すつかり食べて仕舞つた。それから、來た時と同じやうに、何處ともなく立ち去つて了つた。

   ラフカディオ・ハーン=著
   山本供平(やまもと・きょうへい)=譯註 「食人鬼」
   『Kwaidan (2)』 英學生文庫第八卷怪談下卷
   春陽堂 1932/06 所収(ただし、この本の扉には "Kawidan" と表記)


(15) 大谷 1926, 1931, etc.
ところが、夜の靜けさの最も深くなつた時、音も立てずに朧げな大きなものが(#「もの」に傍点)入つて來た。同時に夢窗は自分が動く力も、物云ふ力もなくなつて居る事に氣がついた。彼はそのもの(#「もの」に傍点)が抱き上げるやうに死骸をあげて、猫が鼠を喰べるよりも早く、それを喰べつくすのを見た、——頭から始めて、何もかも、髪の毛も、骨も、それから經かたびらさへも喰べるのを見た。それから、その怪しいもの(#「もの」に傍点)がこんなにして死骸を喰べつくしてから、供物の方へ向いて、それも又喰べた。それから來た時と同じく不可思議に出て行つた。

   小泉八雲=著 大谷正信(おおたに・まさのぶ)=譯 「食人鬼」
   『怪談—不思議な事の研究と物語』
   15a. 古谷綱武(ふるや・つなたけ)=編 『小泉八雲集(上)』         
       新潮文庫(旧版)1950/07 所収
   15b. 小泉八雲全集第八卷家庭版』 第一書房 1937/01(昭和12)所収
   15c. 田部隆次=編 『學生版 小泉八雲全集第七卷』 第一書房
       1931/01(昭和6)第二囘豫約刊行
   15d. 田部隆次=編 『小泉八雲全集第七卷』 第一書房 1926/07(大正15)所収


(16) 刈谷+萩原 1927, 森+萩原 1990
ところが、夜の沈黙がその絶頂に達した時、茫漠とした巨きな姿が、音もなくそこにはひつて来ました。同時に夢窓は、自分が動くことも声立てることも出来なくなつてゐるのに気づきました。見てゐると、その姿は、手を以てするやうに死体を取り上げ、猫が鼠を食ふよりも、もつと早くそれを貪(むさぼ)り啖ひました。——頭から始めて、髪の毛も、骨も、経帷子(きやうかたびら)までも、何もかも食べました。そして怪しのものは、死体を終ると供物にかゝり、それらをもまた食べました。それから来た時と同じく、いづこともなく立ち去りました。

   16a. 小泉八雲=著
       森銑三(もり・せんぞう)+萩原恭平(はぎわら・きょうへい)=訳
       『十六桜—小泉八雲怪談集』 研文社 1990/09 所収
   16b. 小泉八雲=著
       刈谷新三郎(かりや・しんざぶろう)+萩原恭平=共訳
       『小泉八雲選集 第2篇』 嶺光社+開隆堂=相版 1927/01(昭和2)所収
   「刈谷新三郎」は森銑三のペンネーム、つまり森氏と刈谷氏は同一人物です。


  Audio  
英語原文のオーディオブック Audiobook in English

「食人鬼」の朗読は 1:00:08 から、下の引用箇所の朗読は 1:04:39 から、それぞれ始まります。 Uploaded to YouTube by FULL audio books for everyone on 23 Feb 2014. Audio courtesy of LibriVox. Reading of Jikininki starts at 1:00:08 and reading of the excerpt below starts at 1:04:39.


■英語原文 The original text in English

But, when the hush of the night was at its deepest, there noiselessly entered a Shape, vague and vast; and in the same moment Muso found himself without power to move or speak. He saw that Shape lift the corpse, as with hands, and devour it, more quickly than a cat devours a rat,--beginning at the head, and eating everything: the hair and the bones and even the shroud. And the monstrous Thing, having thus consumed the body, turned to the offerings, and ate them also. Then it went away, as mysteriously as it had come.


■ハーンによる英文原書『怪談』に関する詳細な書誌
 Detailed bibliography on Kwaidan, Hearn's collection of ghost stories
 in English


■有益なサイト Useful websites


■更新履歴 Change log

  • 2014/02/27 目次と英語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2007/06/02 森銑三+萩原恭平=訳 1990/09、および刈谷新三郎+萩原恭平=訳 1927/01 を追加しました。

■和書 Books in Japanese
(1) ラフカディオ・ハーン + 怪談

(2) 小泉八雲 + 怪談

■洋書 Books in non-Japanese languages

■DVD

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Comments

so informative, thanks to tell us.

Posted by: ARGUPETRUGH | Sunday, 26 September 2010 at 01:25 PM

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