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July 2007

Monday, 30 July 2007

Strychnine in the Soup by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ストリキニーネ・イン・ザ・スープ」「スープの中のストリキニーネ」「スープの中の毒藥」

■DVDジャケット、本の表紙、ポートレート Cover photos and a portrait

a. Wodehouse_playhouse_series2 b. Mulliner_nights c. Wodehouse2
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■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 岩永+小山 2007
「ミステリ劇がお好きなんですね」
「ええ、大好き」
「ぼくもです。ミステリ小説は?」
「もちろん!」
「『手すりの血痕』はお読みになりましたか?」
「はい! 『裂かれた喉』よりいい出来だと思いました」
「ぼくも同感」とシリル。「はるかに良かった。殺人に冴えがあるし、探偵にも切れがある。伏線も気が利いてるし……すべての面で勝っています」
[略]
「アミーリア・バセットと申します」
「ぼくはシリル・マリナー。……バセット?」シリルは眉を寄せて考え込んだ。「そのお名前、聞いた記憶が」
「きっと母のことをお聞きになったんでしょう。レイディ・バセット。猛獣狩りと探検で有名ですから。ジャングルを歩き回ったりなんかして。[略]それで、お願いなんですけど——」娘はちょっとためらった。「こうしてお話ししてるところを見つかったら、どうか母には、ポルターウッド邸で出会ったとおっしゃって」
「なるほど」
「母は、正式に紹介されていない方がわたしに話しかけるのを嫌がるんです。気に入らないとなると、誰彼かまわずどやしつける癖があって」
「ははあ、『血の潮』に出てくる〝人間ゴリラ〟みたいにね」
「どんぴしゃ」そこで娘は話題を変えた。「ところで、あなたが百万長者だったら、ペンナイフで背中を刺されるほうを選ぶ、それとも恐怖の目を見開いたまま何の痕跡もなく死んでるほうを選ぶ?」

  • P・G・ウッドハウス=著 岩永正勝+小山太一=編訳 「ストリキニーネ・イン・ザ・スープ」 『マリナー氏の冒険譚』 P・G・ウッドハウス選集 3 文藝春秋 2007/07

(2) 井上 1969
「こういう芝居がお好きのようですね」
「ええ、大好きですわ」
「ぼくも、そうなんです。探偵小説は?」
「ええ、好きですわ」
「〝欄干の血〟はお読みになりました?」
「ええ、読みましたわ。あのほうが〝切られた喉〟よりいいと思いました」
「ぼくもそう思いましたよ」シリルはいった。「ずっといいですよ。殺人犯も気がきいてるし、探偵も緻密(ちみつ)だし、筋も新鮮です……どこからみても、ずっといいですよ」
[略]
「私、アメリア・バセットといいます」娘が名乗った。
「ぼくはシリル・マリナーです。バセット?」彼は何か考えこむように顔をしかめた。「聞いたことのある名前だなあ」
「たぶん母の名前を聞いているんですわ。バセット夫人という名よ。獅子狩りや探検旅行でかなり有名ですわ。ジャングルやなんかを探検して廻ってるんです。[略]それはそうと——」彼女はちょっとためらった。「私たちが話してるのを母に見つかったら、私たちポルター・ウッズでお目にかかったことがあるということにしといてくださいね?」
「よくわかりました」
「おわかりでしょう。母は、ちゃんとした紹介のない人と話したりすると嫌がります。それに、母はだれかが気にくわないとなったら、それこそ何か固いもんで頭をぶちかねませんわ」
「なるほど」シリルはいった。「まるで〝ギャロンの凝血〟の猿人みたいですね」
「全くですわ。それはそうと」娘は話題をかえた。「もしあなたが百万長者だったら、ペーパーナイフで背中を刺されたほうが、どこかわからない汚ならしいところに、うつろな目をして、身許を示すものをなに一つ身につけずに死んでるよりいいでしょう?」

  • P・G・ウッドハウス=著 井上一夫=訳 「スープの中のストリキニーネ」 P・G・ウッドハウス、ソーン・スミス=著 『マリナー氏ご紹介/トッパー氏の冒険』 世界ユーモア文学選 筑摩書房 1969/07

(3) 長谷川 1939
『怪奇劇がお好きですね』
『大好きですの』
『僕もです。怪奇小説は?』
『ええ』
『「欄干の血痕」をお讀みですか?』
『ええ! あれは「切開かれた咽喉」よりいいと思ひましたわ』
『僕もさう思ひました』シリルは云つた。
『ずつと傑作です。殺人法も優れてゐますし、探偵術も精妙ですし、手がかりも新し味がありますし……あらゆる點で優れてゐますよ』
[略]
『私はアミリア・バセツトと申しますの』娘が云つた。
『僕はシリル・マリナーです。バセツド[ママ]と仰言いましたか?』彼は考へ深さうに眉を顰めた。『伺つた樣な御苗字ですね』
『私の母の事をお聽きでいらつしやるのかも知れませんわ。バセツト卿夫人ですの。可成り知られた猛獸狩りの名人で探檢家ですの。ジヤングルを踏破したりなどするんですわ。[略]あの、時に……』彼女は一寸ためらつた。『……若し母が私達のお話して居る所を見ましたら、すみませんけれどポウルターウッド家でお知合ひになつた事にして頂けませんこと?』
『承知しました』
『あの、母は正式の紹介なしに人が私に話かけるのを好みませんの。それから、母は誰方でも氣に入りませんと、往々にして其の方の頭を何か堅い物でぶつ癖がございますの』
『なる程』シリルは云つた。『「ギヤロンの凝血」の人猿の樣にですね』
『その通りですわ。お話し下さいませんか』娘は話題を變へながら云つた。『若し貴方が百萬長者だつたとなさいましたら、紙切ナイフで背後から刺される方がお望みでして、それとも、何の標識もなく何か怖ろしい物の姿を見つめる樣な空虚な目を見開いて死んで發見される方がお望みでして?』

  • P・G・ウッドハウス=著 長谷川修二=譯 「スープの中の毒藥」 『玉子を生む男』 P・G・ウッドハウス ユーモア傑作集 東成社 定價壹圓參拾錢 1939/11(昭和14)所収

■ロシア語訳 Translation into Russian

  -- Видимо, вам нравятся пьесы такого жанра.
  -- Обожаю их.
  -- Как и я. А детективные романы?
  -- Ода!
  -- Вы читали "Кровь на перилах"?
  -- О  да-да! По-моему, даже  "Перерезанные глотки" ни в какое сравнение не идут.
  -- По-моему, тоже.  Ни в какое. Убийства более увлекательные, детективы более проницательные, улики позабористее... Никакого сравнения!
[Omission]
  -- Я -- Амелия Бассетт, -- сказала девушка.
  -- Сирил Муллинер. Бассетт? Почему эта фамилия мне знакома?
  -- Вероятно, вы слышали о моей матери, леди Бассетт. Она  ведь довольно известная охотница на крупную дичь и путешественница по неведомым пустыням и дебрям.  Топает  по джунглям и тому  подобному.  [Omission]  Кстати... --  Девушка запнулась. -- Если она застанет  нас за разговором, вы не забудете, что мы познакомились у Полтервудов?
  -- Я понимаю.
  -- Видите  ли,  мама  не  любит,  когда  со  мной  разговаривают  люди, формально мне  не представленные. А когда  маме кто-нибудь не  нравится, она имеет обыкновение обрушивать ему на голову какие-нибудь тяжелые предметы.
  -- Ах так! -- сказал Сирил. -- Как горилла в "Крови ведрами"?
  -- Именно. Скажите  мне,  -- спросила девушка, меняя  тему,  -- будь вы миллионером, предпочли  бы вы удар в спину ножом  для вскрытия конвертов или чтобы  вас  нашли  без  каких-либо  следов  насилия на  теле  пустым  взором созерцающим нечто жуткое?

  • Пэлем Грэнвил Вудхауз. Стрихнин в супе © Copyright Перевод Перевод И. Гуровой (2000) Опубликовано в сборнике "Мир мистера Муллинера" Origin: The Russian Wodehouse Society (wodehouse.ru)
  • E-text at Lib.Ru

■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

  — Очевидно обичате криминалните пиеси.
  — Обожавам ги!
  — Аз също. А криминалните романи?
  — О, да!
  — Чели ли сте „Кръв по парапета“?
  — Разбира се! Хареса ми повече от „Прерязани гърла“.
  — Споделям вашето мнение. Далеч по-добър. И убийствата са по-сочни, и детективите са по-изтънчени, и следите, оставени от убиеца, са къде-къде по-интелигентни… Във всяко едно отношение е по-добър.

[Omission]

  — Аз се казвам Амелия Басет — представило се момичето.
  — А аз — Сирил Мълинър. Басет ли казахте? — Той смръщил леко вежди. — Къде съм чувал това име?
  — Може би сте чували за майка ми — лейди Басет. Тя е прочут ловец на диви животни и изследовател на Африка. Постоянно се скита из разни джунгли. Сега излезе във фоайето да изпуши една цигара. Впрочем — момичето се поколебало, преди да продължи, — ако ни свари да разговаряме, бихте ли й споменали, че сме се запознали у Полтърудови?
  — Напълно ви разбирам.
  — Защото мама не обича хората да се заприказват, без да са били официално представени. А когато мама не обича някой, тя е склонна да го цапардоса с тъп предмет по главата.
  — Ясно — кимнал Сирил. — Също като човекоподобната маймуна в „Прободен с рога“.
  — Точно така. Кажете — сменило момичето темата, — ако бяхте милионер, какво бихте предпочели — да ви намушкат с нож в гърба, или да ви открият мъртъв без никаква следа от насилие, загледан с изцъклен поглед в нещо неописуемо ужасно?


Wodehouse Playhouse - Strychnine in the Soup (1976-04-09)

Uploaded by nathanrj on Jul 21, 2011. Starring John Alderton (Cyril Mulliner), Pauline Collins (Amelia Bassett).


■英語原文 The original text in English

  "You are evidently fond of mystery plays."
  "I love them."
  "So do I. And mystery novels?"
  "Oh, yes!"
  "Have you read Blood on the Banisters?"
  "Oh, yes! I thought it was better than Severed Throats!"
  "So did I," said Cyril. "Much better. Brighter murders, subtler detectives, crisper clues . . . better in every way."

[Omission]

  "My name is Amelia Bassett," said the girl.
  "Mine is Cyril Mulliner. Bassett?" He frowned thoughtfully. "The name seems familiar."
  "Perhaps you have heard of my mother. Lady Bassett. She's rather a well-known big-game hunter and explorer. She tramps through jungles and things.  [Omission]  By the way"--she hesitated--"if she finds us talking, will you remember that we met at the Polterwoods'?"
  "I quite understand."
  "You see, Mother doesn't like people who talk to me without a formal introduction. And when Mother doesn't like anyone, she is so apt to hit them over the head with some hard instrument."
  "I see," said Cyril. "Like the Human Ape in Gore by the Gallon."
  "Exactly. Tell me," said the girl, changing the subject, "if you were a millionaire, would you rather be stabbed in the back with a paper knife or found dead without a mark on you, staring with blank eyes at some appalling sight?"


■更新履歴 Change log

  • 2014/10/29 ブルガリア語訳を追加しました。
  • 2012/08/02 ロシア語訳を追加しました。
  • 2007/08/30 記事のタイトルに表示した邦題に1字脱字がありましたので、訂正しました。「ストリキーネ」ではなくて、正しくは、もちろん「ストリキニーネ」です。

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Sunday, 29 July 2007

ラーメン屋にないもの

京福電鉄叡山線出町柳駅前のラーメン屋のメニューには
「ビーフシチュー」
はない。

脳硬塞から立ちなおった
という
四十代後半の元男性アイドル歌手が
番組のなかで涙ぐんで絶句した。

コイヘルペス。

皇太子妃雅子さんも
なんとかヘルペス
という名前の病気だそうだ。
養殖のコイとおなじ病気なのかしら。

十二月の今日にいたるまで禁煙をつづけている。

わたしの右手の指先がかゆい。
何かにかぶれた(#「かぶれた」に傍点)らしい。
医者に塗り薬を処方してもらった。

「インフォームド・コンセント」
というカタカナ語は
「納得診療」
という日本語に言い換えよう
と国立国語研究所が提案した。

わたしはめったになにかを決意したりしない。
「決意表明」
が得意なのは政治家の人たちだ。

すべての決意は決壊する*
のだそうだ。
10の約束、100の決意、1000の計画。
すべての決意を決壊させるのは
10の約束、100の決意、1000の計画
を押し流すような
より大きな、なにか
だろうか。

じぶんの好きな異性に
思いがけなく
背中をドンとたたかれる
みたいに
すべての決意を決壊させるなにかが
背後から襲ってきたら
いいな。

わたしは消極的に心待ちしている。
 
 
Tomoki Yamabayashi
 
 
* = ある詩人(たしか小野十三郎?)のコトバだそうです。
 
 
■更新履歴 Change log

2007/07/29 改行箇所を一部修正。

2007/07/29 tomokilog にアップロード。

2003/12/04 原作品を書く。
 
 

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Saturday, 28 July 2007

The Spot of Art by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス「ちょっぴりの芸術」

■P・G・ウッドハウス――彼の家、彼の本、彼自身
 P.G. Wodehouse: His house, his book and himself
a. 59 Epsom Road, Guildford, Surrey.  P.G. Wodehouse was born here.  There is a blue plaque over the door.  He lived there for a year before returning to Hong Kong.  Image source: The Alliance of Literary Societies
b. Very Good, Jeeves, Penguin Audiobooks; Abridged Edition (2000).  Read by Simon Callow.
c. P.G. Wodehouse (1881-1975) Image source: Mr. Mulliner

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a. Wodehse b. Very_good_jeeves c. Ph133

■59 Epsom Road, Guildford by Google Maps
Other navigatable maps include: MapQuest and Streetmap.co.uk.

View Larger Map

 

■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 森村 2006
「そうなんだよ、ダリア叔母さん」僕は言った。「僕の秘密を当ててくれたね。そうさ、僕は恋をしているんだ」
「なんていう娘さん?」
「ペンドルベリー嬢だ。クリスチャンネームはグラディス。綴りの中にwが入るんだ」
「gって意味でしょう」
「wとg、両方入るんだ」
「G-w-l-a-d-y-s じゃないわよね?」
「そうなんだ」
 この肉親は悲痛な声を発した。
「あんた、自分にはグラディスなんていう名の娘を身辺に寄せつけないだけの正気がないだなんて、そこに座ってあたしに言ってきかせるつもり? ねえよくお聞きなさいな、バーティー」ダリア叔母さんは真剣に言った。「あたしはあんたより齢(よわい)を重ねてるわけだから——うーん、あたしの言いたいことはわかるわね——あんたにひとつやふたつはものを言ってあげられる身の上なの。それでそのうちのひとつがwの入るグラディスとかYで始まるイゾベルとかエセルじゃなくてエスィルとかフランス風に綴(つづ)るメイベルとか仰々しくキャスリィンとかってラベルのついてる生き物と接触したところで何ら得るところはないってことなのよ。なかでも特にグラディスがだめね。(……)」

   P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳「6. ちょっぴりの芸術」
   『でかした、ジーヴス!』ウッドハウス・コレクション
   国書刊行会 2006/07 所収
 
  
(2) 高儀 1990
 「そうなんですよ、ダーリア叔母さん」と私は言った。「ぼくの秘密を当てましたね。ぼくは実際、恋をしてるんです」
 「相手は誰?」
 「ペンドルベリー嬢って女(ひと)です。クリスチャン・ネームは Gwladys(グラディス)なんです。wを使って綴るんです」
 「gって意味でしょ?」
 「gおよび(#原文は太字でなく傍点)wなんです」
 「Gwladys じゃなかろうね?」
 「そうなんですよ」
 叔母は唸り声を出した。
 「あんたは、グラディスなんて名乗る娘を避けて通るだけの正気を持ち合わせていないって、そこに坐って平気であたしに言うの? お聞き、バーティー」とダーリア叔母は真剣な面持ちで言った。「あたしはあんたより年上の女よ——そう、あんたは男だけど。ともかく、あたしの言う意味、分かるでしょ——だから、あんたに一つ二つ、物を教えてあげられるのよ。その一つはねえ、グラディスとかイゾベルとかメイベルとかキャスリンとかいうレッテルの付いた代物と付き合ったらろく(#原文は太字でなく傍点)なことはないってこと。(……)」

   P・G・ウッドハウス=著 高儀進(たかぎ・すすむ)=訳・解説
   「ちょっとした芸術」
   澤村灌(さわむら・かん)+高儀進=編
   『笑いの遊歩道—イギリス・ユーモア文学傑作選
   白水Uブックス 1990/03 所収
 
 
■英語原文 The original text in English

"Yes, Aunt Dahlia," I said, "you have guessed my secret. I do indeed love."

"Who is she?"

"A Miss Pendlebury. Christian Name, Gwladys. She spells it with a "w"."

"With a "g", you mean."

"With a "w" and a "g"."

"Not Gwladys?"

"That's it."

The relative uttered a yowl.

"You sit there and tell me you haven't enough sense to steer clear of a girl who calls herself Gwladys? Listen, Bertie," said Aunt Dahlia earnestly, "I'm an older woman than you are - well, you know what I mean - and I can tell you a thing or two. And one of them is that no good can come of association with anything labelled Gwladys or Ysobel or Ethyl or Mabelle or Kathryn. But particularly Gwladys."

   The Spot of Art
   from Very Good, Jeeves! (1930) by P.G. Wodehouse

   Excerpt at:
   * SamWise blog
   * IndieMom Blog
 
 
■更新履歴 Change log

2008/11/08 Google Maps の画像を、より見やすい大きいものに入れ替えました。

2007/07/28
(1) P・G・ウッドハウスの生家 "59 Epsom Road, Guildford" が載っている地図のリストに、Google Maps を追加しました。
(2) 上に掲載する地図の画像を、MapQuest のものから Google Maps のものに入れ替えました。
 
 
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Friday, 27 July 2007

Bertie Changes His Mind by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス「バーティー考えを改める」「バーティ君の変心」

 Image gallery 
a. 4336046778 b. 3510 c. Plum

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■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 森村 2005
「(……)つまりだ、ここ数日僕はずいぶん真剣に考えてたんだ、ジーヴス。それで結論に達したんだが、僕の人生は空白だ。僕は孤独なんだ、ジーヴス」
「あなた様には大勢ご友人がおありではございませんか、ご主人様」
「友達なんか何になる?」
「エマーソンは」わたくしはご想起を促しました。「〈友人とは大自然のつくりたもうた傑作である〉と語っております、ご主人様」
「うーん、エマーソンに今度会ったら、僕からだと言ってこう伝えてもらいたい。君はバカだ、と」
「かしこまりました、ご主人様」

  • P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳 「10. バーティー考えを改める」 『それゆけ、ジーヴス』 ウッドハウス・コレクション 国書刊行会 2005/10 所収

(2) 岩永+小山 2005
「(……)その、最近つくづく思うんだが、ジーヴズ、ぼくの人生は空っぽだ。ぼくは寂しい」
「たくさんお友達がいらっしゃるではありませんか?」
「友達が何の役に立つ?」
「エマーソンが」と私は引用しました。「友人とは天が創りたもうた最高の傑作である、と言っております」
「そうか、じゃあそのエマーソンとかいうやつにこんど会ったら、ぼくが馬鹿めと言っていたと伝えろ」
「承知いたしました」

  • P・G・ウッドハウス=著 岩永正勝+小山太一=編訳 「バーティ君の変心」 『ジーヴズの事件簿』 P・G・ウッドハウス選集1 文藝春秋 2005/05 所収

(3) 梶原 1926, 1927, etc.
『(……)——つまりだね、僕はこの四五日、しみ/゛\考へてみたのだが、要するに、僕の生活は空虚だつてことに氣がついたのさ。僕は淋しいんだよ。』
『御友人がたくさんいらつしやるぢやございませんか。』
『友達がなんの役に立つ?』
『友人は自然の傑作なりとエマーソンは申してをりますが。』
『フン、こんどエマーソンに會つたら、彼奴は莫迦だとおれが言つてたと言つてくれ。』
『かしこまりました。』

[原文はつぎのとおり総ルビ]

『(……)——つまりだね、僕(ぼく)はこの四五日(にち)、しみ/゛\考(かんが)へてみたのだが、要(えう)するに、僕(ぼく)の生活(せいくわつ)は空虚(くうきよ)だつてことに氣(き)がついたのさ。僕(ぼく)は淋(さび)しいんだよ。』
『御友人(おなかま)がたくさんいらつしやるぢやございませんか。』
『友達(ともだち)がなんの役(やく)に立(た)つ?』
『友人(ともだち)は自然(しぜん)の傑作(けつさく)なりとエマーソンは申(まを)してをりますが。』
『フン、こんどエマーソンに會(あ)つたら、彼奴(あいつ)は莫迦(ばか)だとおれが言(い)つてたと言つてくれ。』
『かしこまりました。』

   ウオドハウス(もしくはウツドハウス)=著 梶原信一郎=譯
   「女學校事件」
   3a. 国立国会図書館所蔵マイクロフィッシュ YD5-H-特207-201
   3b.「新青年」復刻版 大正15年 第7巻 合本4 第7号(6月号)・第8号(7月号)
      第3期第1回配本(大正15年分) 本の友社 1998/09 所収
   3c.どもり綺譚』 博文館 新青年叢書 1929(昭和4)所収
   3d. 歐米名作家=著 森下雨村=編
      『怪奇探偵 探偵名玉集』 探偵傑作叢書第50編
      博文館 正價金壹圓 1927/04(昭和2)發行
   3e.新青年 第7卷第8號』 1926年7月(大正15)号収載

   3a. の底本は 3d.3b.3e. の復刻版。引用は3a. に拠りました。
   京都府立図書館ならびに国立国会図書館の司書・職員の皆さん、
   いつもながら、ご協力ありがとうございます。

   つぎの各サイトを参照させていただきました。


 Video 
Jeeves & Wooster Season 2 Episode 6 Part 1/5
下の引用箇所に相当する会話は 2:47 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by wolfxbloed on 14 Jun 2009. The conversation corresponding to the excerpt below starts around 2:47.


■英語原文 The original text in English

  "(....) I mean to say, I've been thinking pretty deeply these last few days, Jeeves, and I've come to the conclusion mine is an empty life. I'm lonely, Jeeves."
  "You have a great many friends, sir."
  "What's the good of friends?"
  "Emerson," I reminded him, "says a friend may well be reckoned the masterpiece of Nature, sir."
  "Well, you can tell Emerson from me next time you see him that he's an ass."
  "Very good, sir."


■ウッドハウス邦訳のリスト

ただし、真田氏の書誌は2003年7月現在のものです。その後、つぎの各シリーズが刊行済み/刊行予定。

  • 国書刊行会 『ウッドハウス・コレクション』 2005/02〜 既刊7冊。2007/12 に第8回『ジーヴスと恋の季節』 配本予定。
  • 国書刊行会 『ウッドハウス・スペシャル』 2007/09 に第1回 『ブランディングズ城の夏の稲妻』 配本予定。版元サイト 2007/02/26 の項に案内)
  • 文藝春秋 『P・G・ウッドハウス選集』 2005/05〜 既刊3冊。第3巻は2007年7月末に出ました。

■参考

  • 文藝春秋|本の話より|自著を語る(「本の話」2007年8月号の電子版) 浅倉久志×小山太一 「ユーモアを翻訳する—翻訳者対談・ウッドハウスとヴォネガットの魅力」
  • 文藝春秋|本の話より|PICK UP(「本の話」2005年7月号の電子版) 岩永正勝×小山太一 「天国のような喜劇の世界—笑いの天才P・G・ウッドハウス」 文藝春秋『P・G・ウッドハウス選集』の編訳者2人による対談。

■更新履歴 Change log

  • 2013/05/03 Jeeves & Wooster Season 2 Episode 6 の YouTube 動画を追加しました。
  • 2007/08/25 梶原信一郎=譯 1926/07, 1927/04, etc. を追加しました。また、岩永正勝+小山太一=訳 2005/05 の邦題を「バーティー君の変心」と表示しておりましたが、正しくは「バーティ君の変心」でした。記事のタイトル、および書誌情報の該当箇所を訂正しました。さらに、検索の便に役立つかな(?)と思い、この記事のタイトルに異題「バーティー考えを改める」を加えました。
  • 2007/07/29 文藝春秋刊P・G・ウッドハウス選集の最新巻『マリナー氏の冒険譚—P・G・ウッドハウス選集3』が書店に出回りはじめました。これに合わせて、上の邦訳リストの記述を修正しました。
  • 2007/07/27 「ウッドハウス邦訳のリスト」と「参考」の項を追加しました。

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Wednesday, 25 July 2007

Dream-Children; A Reverie (from Essays of Elia) by Charles Lamb チャールズ・ラム (『エリア随筆』より)「夢の子供たち——ある幻想」

 Images 
表紙画像と肖像 Cover photos and a portrait

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d. Essays_of_elia_2 e. 428pxcharleslamb_01_2


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 南條 2014
(……)私は初めのうちは彼の死にかなり良く耐えているつもりだったが、時が経つと、もうそのことが頭から離れなくなった。私はある人たちがするように——私がもし死んだら、彼もそうしただろうと思うが——泣いたり、くよくよしたりはしなかったけれども、彼がいないのを一日中寂しく思い、その時になってやっと、彼がどんなに好きだったかを知ったのだ。(……)

   チャールズ・ラム=著 南條竹則(なんじょう・たけのり)=訳
   藤巻明(ふじまき・あきら)=註釈 「夢の子供達——一つの幻想」
   『完訳・エリア随筆2 正篇[下]』 国書刊行会 2014/08


(J2) 船木 1994
(……)伯父さんが死んだことには、自分でもかなりよく耐えていたと思うが、時の経つにつれ、それがどうにも心にこびりついてしまった。でも、泣いたり、嘆き悲しんだりはしなかった。世間にはそんな人もよく見かけるけれどね。私が死んだのなら伯父さんはそうしたろうと思う。それでも一日中、死んだ伯父さんのことが偲ばれて、その時初めて自分がどんなに伯父さんを愛していたかを知ったんだ。(……)
 
   チャールズ・ラム=著 船木裕(ふなき・ひろし)=訳
   「夢の子供たち——ある幻想」
   『エリアのエッセイ』 平凡社ライブラリー 1994/10


(J3) 斎藤 1989
(……)兄さんの死に、はじめのうちは、かなり平気な顔をしていたと自分では思います。でもあとになって、そのことはわたしをひどく苦しめました。わたしはほかの人がするようになげき悲しんだりはしませんでした。もしも、わたしが死んだのだったら、兄さんはきっとそうしたでしょうけれど。わたしは一日じゅう、兄さんのことを思っていました。そしてそのときになってやっとわかったのです。どんなにわたしが兄さんを大すきだったか。(……)

   ラム=著 斎藤喜美子(さいとう・きみこ)=訳 「夢の子ども」
   江河徹(えがわ・とおる)=編 『なぞめいた不思議な話』 幻想文学館2
   くもん出版 1989/08


(J4) 森田 1979
(……)最初はジョンの死の悲しみをよくこらえたのですが、あとになると何度も何度もそのことが気になって心を離れなかったのです。そして普通に人のするように、また私がもし死んだらジョンがしただろうように、泣いたり心から離すことができなくなったりはしませんでしたが、ひがなジョンの不在をさびしく感じ、その時に到ってどんなに私がジョンを愛していたかを知ったのでした。(……)

   チャールズ・ラム=著 森田暁(もりた・あきら)=訳 「夢の子供」
   紀田順一郎(きだ・じゅんいちろう)+荒俣宏(あらまた・ひろし)=編
   『怪奇幻想の文学6 啓示と奇蹟
   新人物往来社 新装版 1979/08


(J5) 平井 1978
(……)初めは彼の死をわれながら偉いと思うほどじっと我慢していたが、のちになっては矢も楯もたまらないほど彼の死が心に付きまとった。よく世間で見られるように、或いはもし私が死んでいたら彼がそうしたかもしれないと思われるように、私は泣いたり悲しんだりはしなかった。けれども彼のいないのが一日中ただもう寂しく、いなくなって初めてどれほど彼を愛していたかが分るのだった。(……)
 
   チャールズ・ラム=著 平井正穂(ひらい・まさお)=訳
   「夢の中の子供たち——ある幻想」
   a.エリア随筆』 グーテンベルク21(電子書籍)
     ドットブック版 132KB/テキストファイル 91KB
   b.エリア随筆』 八潮出版社 1978/11
   引用は b. に拠りました。


(J6) 山内 1953, 2006
(……)初めのうちは、私は伯父さんの死をかなりよくこらえたと、自分でも思うほどであったが、後には、そのことがしじゅう心につきまとって離れず、ある人たちのするように、また私は思うのだが、私が死んだとしたならば、伯父さんがやるだろうように、泣きもせねば、悲嘆にくれることもなかったが、それでも、伯父さんのいないことが終日さみしく、そのときになってはじめて、どれほど自分がこの伯父さんを愛していたかに気がついた(……)
 
   チャールズ・ラム=著 山内義雄(やまうち・よしお)=訳
   「幻の子供たち——夢物語」
   a. エリア随筆抄』 大人の本棚 みすず書房 2006/07
   b. 幻の子供たち—エリア随筆抄』 角川文庫 1953/06
   a. の定本は b.。引用は a. に拠りました。


(J7) 戸川 1940
(……)最初はその死を可なりよくこらへてゐはしたが、後になるとそれが私の心につきまとひ、氣になつてたまらず、よし私は人のするやうに、又私が死んだら、この伯父さんもしたであらうと思はれるやうに、聲を擧げて泣いたり、心を苦しめたりはしなかつたけれども、終日私はその居ないのを感じて、居たらばと思ひ、そんなに私はこの伯父さんを愛してゐたといふ事を、それまでは知らずにゐて、その時始めて知つたのであつた(……)
 
   ラム=著 戸川秋骨(とがわ・しゅうこつ)=譯
   「夢の中の子供 幻想」
   『エリア随筆』 岩波文庫 1940/09(昭和15)


(J8) 平田 1927, 1952, etc.
(……)手前も初めのうちこそ、可成りによく兄の不幸に堪へてはゐたものゝ、後になつてはもう、始終その事が氣になつてならず、人に依つてはするやうに、自分がもし死んだのなら、兄が屹度したらうと思はれるやうに、そりや何も自分は泣きもしず、また、さう深く胸に應へもしなかつたなれど、でも、終日もう兄のゐないのが寂しくてならず、その時までといふもの、それ程までに自分が兄を愛してゐたことには、つひ氣づかずにゐたことを話したのでした。(……)

[原文はつぎのとおり総ルビ - tomoki y.]

(……)手前(てまへ)も初(はじ)めのうちこそ、可成(かな)りによく兄(あに)の不幸(ふかう)に堪(た)へてはゐたものゝ、後(のち)になつてはもう、始終(しじう)その事(こと)が氣(き)になつてならず、人(ひと)に依(よ)つてはするやうに、自分(じぶん)がもし死(し)んだのなら、兄(あに)が屹度(きつと)したらうと思(おも)はれるやうに、そりや何(なに)も自分(じぶん)は泣(な)きもしず、また、さう深(ふか)く胸(むね)に應(こた)へもしなかつたなれど、でも、終日(いちにち)もう兄(あに)のゐないのが寂(さび)しくてならず、その時(とき)までといふもの、それ程(ほど)までに自分(じぶん)が兄(あに)を愛(あい)してゐたことには、つひ氣(き)づかずにゐたことを話(はな)したのでした。(……)
 
   チヤアルズ・ラム=著 平田禿木(ひらた・とくぼく)=譯
   「幻(まぼろ)しの幼兒(えうじ)」
   a. 島田謹二+小川一夫=編 『平田禿木選集3 翻訳エリア随筆集
      南雲堂 1981/03 所収
   b.エリア随筆集(上)』 新潮文庫 1952  
   c.エリア随筆集(上)』 國民文庫刊行會 非賣品 1927/04(昭和2)
   a.c. の 1934/10(昭和9)第3版の複製。引用は c. に拠りました。


(J9) 幡谷 1925
(……)最初は相應に彼れの死を堪へ忍んだが、其後それは自分に附き纏ふて煩はし、そして或人々のやうに、そして若し自分が死んだならば叔父がしたらうと考へるやうに泣き叫び、又は嘆き悲しまなかつたとはいえ、自分は一日中彼れを慕ひ、この時迄は自分が彼を愛したことがどの位であつたかを知らなかつたこと——を語つた。

   チヤアルズ・ラム=作 幡谷正雄(はたや・まさお)=譯 「夢子供(夢想)
   『焼豚の話 : 附・夢子供』 英文學名著選 4 健文社 
   定價金五拾錢 1925/12/20(大正14)
   国立国会図書館デジタル化資料
   迄・選・社の旧字はそれぞれ新字で置き換えました。


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

  「幻しの幼兒」……………………………平田 1927, 1952, etc.
  「幻の子供たち——夢物語」……………山内 1953, 2006
  「夢の子ども」……………………………斎藤 1989
  「夢の子供」………………………………森田 1979
  「夢の子供たち——ある幻想」…………船木 1994
  「夢の子供達——一つの幻想」…………南條 2014
  「夢の中の子供 幻想」…………………戸川 1940
  「夢の中の子供たち——ある幻想」……平井 1978
  「夢子供(夢想)」………………………幡谷 1925


■ロシア語訳 Translation into Russian

[Omission] и поначалу я думал, что легко перенес его смерть, но позднее мысль о ней все возвращалась и возвращалась, и хотя я не рыдал и не сокрушался всем сердцем, как иные а, как я думаю, сокрушался бы он, если б я умер, все же я всякий день тосковал по нем, а до этого даже не знал, как сильно его люблю. [Omission]


■スペイン語訳 Translation into Spanish

[Omission] cómo al principio soporté su muerte bastante bien, según creí, pero luego me persiguió una y otra vez; aunque no lloré ni lo tomé a pecho, como hacen algunos —y pienso que él lo hubiera hecho si yo hubiese muerto—, comencé a extrañarlo el día entero. [Omission]

  • Niños del sueño: un ensueño
    Ensayos de Elia - Charles Lamb
  • E-text at Scribd

 Audio 
「夢の子供たち——ある幻想」 英語原文のオーディオブック 朗読: ジョイス・バーガー
Dream-Children: A Reverie - Audiobook read by Joyce Berger

下に引用する箇所の朗読は 7:26 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by rt20bg on 1 Nov 2012. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts around 7:26.


■英語原文 The original text in English

[Omission] how I bore his death as I thought pretty well at first, but afterwards it haunted and haunted me; and though I did not cry or take it to heart as some do, and as I think he would have done if I had died, yet I missed him all day long, and knew not till then how much I had loved him. [Omission]


■更新履歴 Change log

  • 2014/10/12 南條竹則=訳 2014/08、ロシア語訳、およびスペイン語訳を追加しました。
  • 2013/06/02 「邦題の異同」の項を新設し、幡谷正雄(はたや・まさお)=譯 1925/12/20 と英語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2009/05/09 読みやすさと引用元テキストへの忠実性の両方に配慮して、平田禿木=譯につき、これまでのルビ一部省略版を廃し、代わりにルビなし版と原文どおりの総ルビ版の二種類を新たに掲載しました。
  • 2008/07/01 平田禿木=譯の書誌情報を補足しました。
  • 2008/01/22 森田暁=訳 1979/08 を追加しました。
  • 2007/11/28 平田禿木=譯 1927/04 を追加しました。
  • 2007/11/19 斎藤喜美子=訳 1989/08 を追加しました。

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Monday, 23 July 2007

井原西鶴 「おまん源五兵衛」(『好色五人女』より) Oman and Gengobei (from Koshoku Gonin Onna) by Ihara Saikaku

           目次 Table of Contents

    Image gallery  表紙画像その他 Cover photos, etc.
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■フランス語訳 Translation into French
   ■英訳 Translations into English
     (E1) Morris, 1969
     (E2) de Bary, 1956
     (E3) Fujii & Perkins, 1956
   ■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese
     (J1) 三木 2002
     (J2) 麻生+富士 1992
     (J3) 前田 1992
     (J4) 吉行 1988, 1998, etc.
     (J5) 富岡 1986, 1996
     (J6) 江本 1984
     (J7) 暉峻 1976
     (J8) 東 1971, 1985, etc.
     (J9) 麻生 1959
     (J10) 丹羽 1959
     (J11) 麻生+板坂+堤 1957
     (J12) 藤村 1947
     (J13) 長田 1931
     (J14) 尾形 1930
     (J15) 藤村 1930
     (J16) 小林 1903
    Audiobook  恋の山源五兵衛物語 Gengobei, the Mountain of Love
   ■日本語原文 The original text in 17th century Japanese
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


 Image gallery 
表紙画像その他 Cover photos, etc.

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

ru Ru_saikaku_9785352003916 de De_funf_geschichten_b0000bjrt0 eo Eo_kvin_virinoj_de_amoro

it It_cinque_donne_9788845904127 es Es_cinco_amantes_9789972421631 fr Fr_cinq_amoureuses_9782070706358

en En_morris_five_women_9780811201872 en En_five_women_9780804801843 zh Zh_trad_9789570515091

ja Ja_manga_9784582287141 IS Ihara_saikaku


■ロシア語訳 Translation into Russian

Подумайте, как соблазнительна эта ловушка, — может быть, сам Сакья Муни соизволил бы в нее попасться!

   Повесть о Гэнгобэе, Много Любившем
   Ихара Сайкаку. Пять женщин, предавшихся любви
   E-text at Библиотека РусЛит


■フランス語訳 Translation into French

Tout bien considéré, il était tombé dans un piège dont le trou n’avait rien de détestable. Le Maître Cakya lui-même y laisserait volontiers prendre l’un de ses pieds.

   L’histoire de O-Man et de Gengobei.
   Cinq femmes aimant l'amour (also known as Cinq amoureuses)
   by Ihara Saikaku
   Excerpt at bibliotrutt.eu


■英訳 Translations into English

(E1) Morris, 1969
When we consider the matter, may it not be that Buddha himself let one foot slip into a trap whose depths are far from unpleasing?


(E2) de Bary, 1956
Traps they may be, yet few can refuse the invitation to fall in. Even one of the Buddha's feet may have slipped in.


(E3) Fujii & Perkins, 1956
[Text to be inserted later - tomoki y.]

  • Gonin Onna by Saikaku Ihara. Translated by Keiichi Fujii (藤井啓一) and Percival Densmore Perkins. Osaka, 1956
  • 上の書誌情報は WorldCatGoogle Books に拠りました。

■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese

(J1) 三木 2002
この本には、『好色五人女』のうち、「お夏と清十郎の恋」と「八百屋お七ものがたり」の2話だけが収録されていて、「巻五 源五兵衞物語」は収録されていませんでした。児童向け書籍で、どんな訳がされているのか、興味津々だったのですが、肩すかしを食らいました(苦笑)。

   『井原西鶴集』 21世紀によむ日本の古典14
   三木卓(みき・たく)=著 宮本忠夫=絵 西本鶏介=解説
   ポプラ社 2002/04


(J2) 麻生+富士 1992
思えばのっぴきならぬ落とし穴にはまったようなもので、お釈迦様でも片足を踏み込み給うであろう。


(J3) 前田 1992
考えてみれば、誰も嫌とは云えない陥し穴、お釈迦様でも片足ぐらいは踏み込こまれるであろう。

   前田金五郎=著 『好色五人女全注釈』 勉誠社 1992/05


(J4) 吉行 1988, 1998, etc.
おもえば、女の躯には誰も厭といえない落し穴がある。お釈迦さまでも、片足くらいは踏込んでしまいかねまい。

   4a. 井原西鶴=著 吉行淳之介=訳 『現代語訳 好色五人女』 
      河出文庫 2007/03
   4b. 吉行淳之介=著 「好色五人女(現代語訳)」
      『吉行淳之介全集10』 新潮社 1998/07 所収
   4c. 井原西鶴=著 吉行淳之介=訳 「好色五人女」
      『西鶴名作集』 日本古典文庫16 新装版
      河出書房新社 1988/05 所収


(J5) 富岡 1986, 1996
考えてみると、女の大事な場所にはだれもいやといえぬ落とし穴があって、お釈迦(しゃか)様も片足くらいは滑りこまれるかもしれない。

   5a. 富岡多惠子=著 『富岡多惠子の好色五人女
      わたしの古典(全22巻) 集英社文庫 1996/05
   5b. 富岡多惠子=著 創美社=編 『富岡多惠子の好色五人女
      わたしの古典16 集英社 1986/10


(J6) 江本 1984
考えてみると、いやとは言えない落とし穴、お釈迦(しゃか)様でも、片足ぐらいは踏み込みなさることだろう。

   江本裕(えもと・ひろし)=訳注 『好色五人女 全訳注
   講談社学術文庫 1984/09


(J7) 暉峻 1976
思えば嫌(いや)といえぬおとし穴、お釈迦(しゃか)様でも片足ぐらいは踏みこまれるであろう。

   暉峻康隆(てるおか・やすたか)=訳注
   『現代語訳 西鶴全集4 好色五人女 好色一代女』(全12巻)
   小学館 1976/07


(J8) 東 1971, 1985, etc.
考えてみると、これはいやと言えぬ落とし穴、お釈迦(しゃか)様だって片足ぐらいは踏み込みなさるであろう。

   東明雅(ひがし・あきまさ)=校注・訳 「好色五人女」
   8a.新編 日本古典文学全集66 井原西鶴集1』(全4冊)
      小学館 1996/04 所収
   8b.完訳日本の古典51 好色五人女.好色一代女
      小学館 1985/03 所収
   8c.日本古典文学全集38 井原西鶴集1
      小学館 1971/03 所収
   上の訳文は 8a. に依拠しました。


(J9) 麻生 1959
思えばのっぴきならぬ落し穴にはまったようなもので、お釈迦様でも片足を踏み込み給うであろう。


(J10) 丹羽 1959
おもえば誰でも嫌とは云わぬ陥し穴。お釈迦さまでもうかうかすると、片足くらいは踏みこみなさることだろう。


(J11) 麻生+板坂+堤 1957
思えば、誰でも嫌といえない陥し穴(=女の隠し所)、お釈迦様でもうかうかすると片足位は踏みこみなされるだろう(=女色にひっかかるであろう)。

  • 麻生磯次(あそう・いそじ)+板坂元(いたさか・げん)+堤精二(つつみ・せいじ)=校注 『日本古典文学大系47 西鶴集(上)』 岩波書店 1957/11
  • この本には現代語による全訳は付いていません。上の訳文は、tomoki y. が、注の文言をつなぎ合わせて構成したものです。

(J12) 藤村 1947
考へてみると、のつぴきならぬ陥穽は色慾で、これには釋迦でさへ、片足位は踏込みなされるであらう。

   藤村作(ふじむら・つくる)=著
   『譯註西鶴全集2 好色五人女』 至文堂
   定價參百圓 地方賣價參百拾圓 1947/09


(J13) 長田 1931
思(おも)へばいやのならぬ陥穽(おとしあな)、釋迦(しやか)も片足(かたあし)踏(ふ)み込(こ)みたまふであらう。

  • 長田幹彦(ながた・みきひこ)=著 『現代語西鶴全集5 好色五人女・好色一代女』 春秋社(非賣品) 1931/06(昭和6)
  • 「現代語」という書名にもかかわらず、上の訳文は、ほとんど原文のままですね(苦笑)。前の年に刊行された (13) や (14) で伏せ字だった箇所は、数行分、まるごと抜け落ちているので、この本だけを読んだ人は、どこが削除されているか、いや、そもそも削除がなされているかどうかさえ、わからないでしょう。

(J14) 尾形 1930
思へば彼はのつぴきならぬ陥穽に落ちこんだものであるが、恐らくは彼ばかりでなくお釋迦樣のやうに道徳堅固な人でもやはり片足位は落ち込みなさるであらう。

  • 井原西鶴=原著 尾形美宣(おがた・よしのぶ)=著 『好色五人女詳解』 大同館書店 正價金貮圓八拾錢 1930/11(昭和5)
  • 「帶◯◯かけて」(◯◯=とき)、「腰より◯◯◯◯」(◯◯◯◯=そこ/\」、「◯◯◯◯◯」(◯◯◯◯◯=耳をいらふ)など、ところどころに伏せ字が◯◯◯で示してあります。

(J15) 藤村 1930
おもへばいやのならぬおとしあな釋迦も片あし踏込たまふべし

  • 井原西鶴=著 藤村作=校訂 『改訂 西鶴全集(前)』 帝國文庫第20篇 博文館=編纂・發行(非賣品) 1930/03(昭和5)
  • この本には現代語訳は付いていません。伏せ字は◯◯◯で示してあります。おなじ年に刊行された上の (13) 尾形 1930 より、伏せ字部分は、やや多いようです。

(J16) 小林 1903
おもへばいやのならぬおとしあな、釋迦も片あし踏込(ふんぐみ)たまふべし。

  • 井原西鶴=著 小林豐次郎=校訂 『西鶴妙文集』 文學同士會 1903(明治36)
  • この本には現代語訳は付いていません。直前の「男色女色のへだてはなき物と」の文言など、大量の伏せ字が、何行にもわたって「……」で表わされています。

 Audiobook 
好色五人女・恋の山源五兵衛物語 情けはあちらこちらの違ひ
Gengobei, the Mountain of Love, Five Women Who Loved Love

現代語字幕つき。下の引用箇所の朗読は 3:41 から。 Subtitles in contemporary Japanese. Uploaded to YouTube by Toshi Tsuru on 25 Aug 2011. Reading of the excerpt below starts at 3:41.


■日本語原文 The original text in 17th century Japanese

おもへばいやのならぬおとしあな釋迦も片あし踏込たまふべし

   『好色五人女 卷五』
   戀の山源五兵衞物語 「情はあちらこちらの違ひ」
   E-text at: University of Virginia Library Electronic Text Center

この電子テキストの底本は、博文館版 1930、すなわち上の (14) 藤村 1930 です。博文館版で「◯◯◯」と伏せ字になっている箇所を、この電子テキストでは、岩波の日本古典文学大系すなわち上記 (10) 麻生+板坂+堤 1957 の相当箇所で補って、下線で示しています。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013/09/10 丹羽文雄=訳 1959/06/10 を追加しました。
  • 2013/09/07 目次と外部リンクの項を新設しました。また、ロシア語訳と Ivan Morris による英訳を追加しました。さらに、ロシア語版、ドイツ語版、イタリア語版、および Ivan Morris による英訳版の表紙画像、ならびにオーディオブック(朗読)の YouTube 画面も追加しました。
  • 2011/01/27 フランス語訳を追加しました。また、ブログ記事のタイトルをつぎのとおり変更しました。
    • 旧題 井原西鶴 『好色五人女』 Koshoku Gonin Onna by Ihara Saikaku
    • 新題 井原西鶴 「おまん源五兵衛」(『好色五人女』より) Oman and Gengobei (from Koshoku Gonin Onna) by Ihara Saikaku
  • 2007/07/26 麻生磯次=訳 1959/11、長田幹彦=著 1931/06、尾形美宣=著 1930/11、および小林豐次郎=校訂 1903 を追加しました。また、底本の博文館=編纂・發行『西鶴全集』に関する書誌情報を補足し、戦前に刊行された、いくつかの版に見られる伏せ字や削除箇所についてのコメントを付記しました。さらに、三木卓=著 2002/04 に、相当箇所が収録されていないことを発見しました。

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Sunday, 22 July 2007

After Twenty Years by O. Henry O・ヘンリー / オー・ヘンリー 「二十年後に」「二十年後」

        目次 Table of Contents

 Images  表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait
■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese
  (C1)
  (C2)
  (C3) 2006
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 青山+戸山翻訳農場 2015
  (J2) 小川 2014
  (J3) 芹澤 2007
  (J4) 千葉 2007
  (J5) 枯葉 2001, 2003, etc.
  (J6) 訳者未確認 1999
  (J7) 飯島 1990
  (J8) 西田 1990
  (J9) 飯島 1989
  (J10) 小鷹 1984
  (J11) 大津 1979
  (J12) 下嶋 1975
  (J13) 深町 1975
  (J14) 大久保(博)1974, 1985
  (J15) 大久保(康)1969
  (J16) 清野 1938
  (J17) 田中 1926, 1998, etc.
■ベトナム語訳 Translation into Vietnamese
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
■スウェーデン語訳 Translations into Swedish
  (Sv1) Falk
  (Sv2) Bergvail, 1979
■ドイツ語訳 Translation into German
■ルーマニア語訳 Translation into Romanian
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
 E-book  フランス語版電子本 E-book in French
  Audio   英語原文の朗読 Audiobook presented by Librivox
■英語原文 The original text in English
■邦訳のリスト List of Japanese translations
■著者名の日本語表記の異同 Variations of the author's name in Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Images 
表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait

65202371_1 Ohenrystoriespenguin Ohenry1sized
↑ Click to enlarge ↑

Left 20年後』 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション1 理論社 (2007)
Centre Selected Stories, Penguin Twentieth-Century Classics (1993)
Right O. Henry, or William Sydney Porter (1862-1910) Image source: NNDB

 

■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese

(C1)
“(……)那天晚上我们约好,二十年后,不论彼此的境况如何,也不管要从多远的地方赶来,都将在此地、此日、此时再次会面。我们认为、二十年后,我们的命运基本上会大局已定的。”

(……)当他们走到灯光下时,两人不约而同地转过头来,互相注视着对方的脸。
  从西部来的那人突然停下脚,松开他的胳臂。
“你不是吉米·威尔斯,”他怒气冲冲地说,“二十年的时间虽然不短,但它不足以使一个人变得面目皆非。”


(C2)
“(……)那天夜里我们约好,二十年后也就是今天这个时候,我们还在这里会面,不管我们的境况如何,也不管要走多远。我们设想在二十年内我们每个人的命运已成定局,也总该有了家产,不管前途如何。”

(……)当他们走到这个光圈里,两人同时转过身打量着对方的面孔。
  从西部来的那位突然停步,放开了他的臂膀。他急促地说:“你不是杰米.威尔斯。二十年确实很长,但不会将一个高鼻梁变成一个狮子鼻。”


(C3) 2006
“(……)那天晚上,我们约定,就从那一天那一刻算起,整整 20 年后在这地方再会面,不论我们的处境如何,也不论要走多远的路。我想,过了这 20 年,好歹各人也该知道了自己的命运,混出了点名堂。 ”

(……)到了灯光下,两人同时转身瞪大眼看着对方的脸。
  从西部来的那个突然站住了,松开手臂。
  “你不是吉米.韦尔斯! ”他惊叫起来, “20 年的时间的确长,但再长的时间也不会把鹰钩鼻变成个扁鼻。 ”


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

「(……)那天夜晚臨分手的時候,我們倆約定:二十年後的同一日期、同一時間,我們倆將來到這裡再次相會。」

(……)來到亮處以後,這兩個人都不約而同地轉過身來看了看對方的臉。
  突然間,那個從西部來的男子停住了腳步。
  「你不是吉米‧維爾斯。」他說,「二十年的時間雖然不短,但它不足以使一個人變得容貌全非。」


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 青山+戸山翻訳農場 2015
「(……)まあ、それでその晩約束をしたんです。きっかり二十年後の同じ日、同じ時刻に、またここで会おうって。たとえおたがいがどんな状態にあって、どれほど遠い場所から来なけりゃならなくともね。二十年も経てば、お互い進む道も定まって、それなりに財も築いているだろうと見込んだわけです。たとえそれがどんな形であれ」

(……)そのまぶしい光の中にさしかかったとき、二人は同時に振りむいて、お互いの顔をまじまじと見た。
 西部から来た男はいきなり足を止め、組んでいた腕をぱっと振りほどいた。
「お前は、ジミー・ウェルズじゃねえ」強い口調で言い放った。「二十年はたしかに長いよ、しかし、その程度の長さじゃ、高かった鼻がぺちゃんこに変わることはないぞ」

  • O・ヘンリー=著 青山南(あおやま・みなみ)+戸山翻訳農場(とやまほんやくのうじょう)=訳 「二十年後に」 『O・ヘンリー ニューヨーク小説集』 ちくま文庫 筑摩書房 2015/05/10

(J2) 小川 2014
「(……)まあ、しかし、その晩の約束で、きっちり二十年たったら、また会おうってことにしたんですよ。どんな境遇になって、どんな遠くへ行ってるかわからねえが、それでも必ず会うことにした。二十年もたてば、どうにか一端(いっぱし)の者になって、それなりの財産もできてるだろうなんてね」

(……)光の範囲に踏み込んだ二人は、同時に顔を見合わせた。
 西部の男がぴたりと足を止め、組んだ腕を振りほどいた。
「おい、ジミー・ウェルズじゃねえな。いくら二十年と言ったって、鼻の形まで変わるものか。鷲鼻(わしばな)が獅子(しし)っ鼻(ぱな)になるわけがねえ」


(J3) 芹澤 2007
「(……)で、その晩ふたりで約束したんです。今からちょうど二十年後、この日のこの時刻に、たとえどんな身の上になっていようと、どんなに遠くからだろうと、必ずここで再会しようって。まあ、二十年もたてば、お互い先行きもある程度は見えてきてるだろうし、どれほどのものになるはわからないけど、それなりの財産もできてるだろうからってことでね」

(……)眩しいほど明るい光のなかに足を踏み入れると、ふたりの男は申しあわせたように互いの顔をのぞき込んだ。
 西部からやって来た男は不意に足を止め、組んでいた腕を振りほどいた。
「あんたは……あんたはジミー・ウェルズじゃない」西部からやって来た男は、鋭く言い放った。「二十年ってのは確かに長い年月だが、人の鼻を鷲鼻から獅子っ鼻に変えちまうほど長かねえ」


(J4) 千葉 2007
「(……)それでその夜、おれたちは約束したんですよ。二十年後のきっかりおなじ日、おなじ時間にここで会おうって。たとえどんな事情があろうとも、たとえどんなに遠くはなれていようとも、ぜったいに会おうってね。二十年もたてばおたがいそれなりの人生を歩いて、それなりの財産もあるころあいだろうっていうわけですよ」

(……)明かりのなかに足を踏(ふ)み入れたふたりは、同時におたがいの顔を見つめあった。
 西部からやってきた男は、とつぜん立ち止まり、腕(うで)をふりはらった。
「おまえはジミー・ウェルズじゃないな。二十年は長い年月だが、ワシ鼻をブタ鼻に変えちまうなんてことはないぞ!」

  • オー・ヘンリー=著 千葉茂樹(ちば・しげき)=訳 和田誠=絵 『20年後』 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション 1 理論社 2007/04

(J5) 枯葉 2001, 2003, etc.
「(……)とにかく、おれとあいつはあの日あの時刻からきっちり20年後にもういちど会おうと約束した。そのときにおたがいがどんな立場になっていようと、どんなに遠く離れていようとかならずまた会おうと。20年後にはおたがい道も定まって、財産もできてるだろうと計算していたわけだ。それがどういうものかは別としてね」

(……)その灯りが2人を照らし出したとき、2人はおたがいの顔を同時に見交わした。
 そのとたん、西部からきた男は立ち止まり、腕をふりはらった。
「おめえ、ジミー・ウェルズじゃねえな」とかみつくように言った。「20年は長い時間だが、人間の鼻を鷲鼻から獅子鼻に変えるほど長くはあるめえ」

  • O・ヘンリー=作 枯葉=訳
    • O・ヘンリー=作 枯葉=訳 結城浩, 枯葉, 荒木光二郎=訳 『最後の一枚の葉・賢者の贈り物』 フロンティア文庫75 風呂で読める文庫100選 フロンティアニセン 2005/04
    • オー・ヘンリー=作 枯葉=訳 『マルチメディア対訳版 二十年後』 バウッダ (Bauddha) =制作 2003/02/01 公開 Ver.1.00
    • O・ヘンリー=作 枯葉=訳 『二十年後』 プロジェクト杉田玄白 正式参加作品 2001/06/29 公開 2003/02/15 修正
  • 引用は c. プロジェクト杉田玄白版 2003 に拠りました。

(J6) 訳者未確認 1999
「(……)それでその夜約束したのさ。どんな境遇になっていても、どんなに遠く離れていても、きっかり二十年後の同じ日の同じ時刻に、ここでまた会おうって。こう考えたのさ。二十年も経っていたら、お互い行きつくところも決まっているだろうし、どんなもんにしても、財産だってこしらえているはずだってな」

(……)このまばゆい光に照らされると、二人は同時に向き合って、相手の顔をじっと見た。
 西部から来た男は急に足を止め、腕を振りほどいた。
「お前はジミー・ウェルズじゃない」彼はきっぱりといった。
「二十年って年月は長いが、人の鼻を段鼻から獅子っ鼻に変えるほど長くはないはずだ」

  • O. Henry=作 訳者未確認 「二十年後」 ウェブサイト「一枚の写真」 更新日 1999/11/27

(J7) 飯島 1990
「(……)そこで、おれたちはその晩、ブレディーの店で約束したんですよ。今夜のこの時間からかぞえて、ちょうど二十年めに、おたがいどんな事情があっても、どんなに遠くからこなければならなくても、ここで、もういっぺん会おうって。まあ、二十年もたてば、おたがいに運命はきまってるはずだし、財産だって、どうなってるかわからねえけど、ともかく、まあ、なんとかやれるだろうって考えたわけですよ。」

(……)まぶしいほどのあかりの中にはいったとき、二人は同時に、のぞきこむように相手の顔を見た。
 西部からきた男は、はたと立ちどまると、きゅうに組んでいたうでをはなした。
「おまえ、ジミー=ウェルズじゃねえぞ!」
と、ボブはかみつくようにいった。
「二十年ていえば長いよ。だけど、人の鼻が、わしっ鼻からししっ鼻にかわっちまうほどは長かあねえぞ。」
[原文は総ルビですが、ここでは省略しました - tomoki y.]


(J8) 西田 1990
「(……)ところで、私達はその晩、その時間からかっきり二十年したら、お互いの身分がどうであろうとも、またどんな遠いところから来なけりゃならないにしても、ここで会おうといういう[ママ]ことに話が決まったんです。これから何になるにしても、二十年もしたら、お互いにやるだけのことはやって一財産つくっているはずだからと思ったんです」

(……)このまばゆい明りのさす所へ来た時、二人は各々同時に顔をむけて、相手の顔をみた。
 西部から来た男は突然足をとめて、腕をはなした。
「お前はジミー・ウェルズじゃない」と噛みつくように言った。
「二十年は長い年月だが、人間の鼻を鷲鼻から獅子鼻に変えるほど長くないぞ」

  • オー・ヘンリー=著 西田義和(にしだ・よしかず)=訳 「二十年後」 『オー・ヘンリー名作集』 文化書房博文社 1990/04

(J9) 飯島 1989
「(……)それで、わしらはその晩約束したんですよ。その日、その時刻からちょうど二十年目に、たとえどんな事情があっても、どんなに遠くから来なければならなくなっても、ここで、もういっぺん会おうってね。まあ、二十年たてば、お互いに、もう運命はきまってるはずだし、財産も、どんなものになってるかしらねえけど、ともかくなんとかできるだろうって考えたわけですよ」

(……)ぎらぎらとまぶしい灯りの中に入ると、二人はくるりと向き合い、申し合わせたように一せいに相手の顔をのぞきこんだ。
 西部から来た男は、つと立ち止って、腕をはなした。
「お前、ジミー・ウェルズじゃねえぞ!」彼はかみつくように言った。「二十年ていやあ長いさ、けど、鷲(わし)ッ鼻が獅子(しし)ッ鼻に変っちまうほどは長かあねえぞ」

  • オー・ヘンリー=著 飯島淳秀=訳 『二十年後』 オー・ヘンリー傑作集 2 角川文庫 1989/05

(J10) 小鷹 1984
「(……)その晩おれたちは、同じ時間、同じ場所で、きっかり二十年後に再会しようと約束した。どんな境遇にあろうと、どれほど遠方から駆けつけねばなかろうと、必ずここで会おうと約束しあった。二十年もたてば、たとえどうなっていようと、おたがいの行末も定まり、財産もできているだろうと考えたってわけだ」

(……)眩(まばゆ)い光の中に足を踏みいれたとき、二人の男は同時に向きをかえ、相手の顔をまじまじと見つめあった。
 西部からきた男がひたと足をとめ、組んでいた腕を振りはずした。
「おまえは、ジミー・ウェルズじゃねえ」鋭い口調だった。「二十年といやあ長い年月だが、鷲(わし)鼻が獅子(しし)鼻にかわるほど長くはない」


(J11) 大津 1979
「(……)それで、その晩約束したんですよ、どんな境遇だろうと、どんな遠くに住んでいようと、この日この時刻からきっかり二十年後に、ここで再会しよう、と。二十年したら、どちらも運が開けて、金持に、どんな金持にでも、なっているにちがいない、と思ったわけですよ」

(……)その皎々(こうこう)たる明りのなかに入ると、二人は同時にふり向いて相手の顔をじっとみつめた。
 西部から来た男はふいに立ちどまって、腕をほどいた。
 「お前はジミー・ウェルズじゃないな」と彼は噛(か)みつくように言った。「二十年は長い年月だが、人間の鼻がわし鼻からしし鼻に変るほど長くはないぜ」


(J12) 下嶋 1975
「(……)で、わしたちはその晩約束したんですよ——その日その時刻からかっきり二十年後に、ここで再会しようって——お互いどんな境遇でも、どんな遠くにいようとも、ね。二十年経てば、お互いやるだけの事はやって財産も、たとえどれほどにしろ、できているはずだろうって考えたわけですよ」

(……)二人は、その眩しい光の中へくると、どちらからともなく同時に、ひょいとお互の顔をのぞいた。
 西部からきた男は、急に立ち止まって、腕を離した。
「お前、ジミー・ウェルズじゃないナ」彼はどなった。「二十年といやあ長いさ、長いったってその間にお前の鷲っ鼻が獅子っ鼻に変わるってことはあるめえ」


(J13) 深町 1975
「(……)ともあれ、その夜あたしたちはひとつの約束をしました。二十年後の今夜、この時刻に、必ずここで再会しよう、たとえそのときどんな境遇にいても、どんなに遠くから駆けつけてこなきゃならなくとも、って。二人とも、二十年も経てば、それぞれの運命を切りひらき、身代を築きあげているだろうと考えたからですよ。かりにそれがどんな運命であろうともね」

(……)そこまできたとき、二人の男はどちらからともなく向きを変えて、おたがいの顔を見つめあった。
 とつぜん、西部の男ははっと足を止めると、腕をふりもぎった。
「あんたはジミー・ウェルズじゃないな」彼はけわしく言った。「二十年はたしかに長い年月だが、むかし鷲鼻だった男の鼻を、ししっ鼻に変えるほどじゃない」

  • O・ヘンリー=著 深町眞理子=訳 「二十年後」 エラリー・クイーン=編 吉田誠一+永井淳+深町眞理子+中村保男=訳 『ミニ・ミステリ傑作選』 創元推理文庫 1975/10
  • 原書: Ellery Queen's Mini Mysteries, 70 short-stories of crime, mystery, and detection, edited by Ellery Queen, 1969.

(J14) 大久保(博)1974, 1985
「(……)そこで、その夜、おれたちはこう話をきめたんだ。それじゃあ、今夜のこの時刻から数えてちょうど二十年後に、またここで会うことにしよう、たがいにどんな境遇になっていようと、またどんな遠くから来なければならなくても、きっとな、とね。二十年もたちゃあ、たがいに自分の行きつくところもきめ、財産だって作っているはずだ、たとえそれがどれほどのものであろうと、ってね」

(……)このまばゆい光の中に来たとき、二人はたがいに、同時に、向きあって相手の顔を見つめた。
 西部から来た男は、急に足をとめると、腕をふりほどいた。
「おめえはジミー・ウェルズじゃあねえ」と彼は叩きつけるような調子で言った。「二十年っていう年月は長(なげ)えが、人の鼻を鷲鼻(わしばな)から獅子(しし)っ鼻(ぱな)に変えるほど長くはねえはずだ」

  • O・ヘンリー=著 大久保博=訳 「二十年後」
    • 『O・ヘンリー短編集』 旺文社文庫(特装版) 1985/04
    • O・ヘンリー短編集』 旺文社文庫 1974/09
  • 引用は b. 旺文社文庫 1974 に拠りました。

(J15) 大久保(康)1969
「(……)それで、あっしたちは、その晩、約束したんですよ。たとえどんな境遇になっていようと、また、どんなに遠くからこなければならないにしろ、かっきり二十年後のこの日のこの時間に、ここで再会しよう、ってね。二十年もたてば、どういう人間になっているかわからないが、あっしたちの運命もきまっていることだろうし、財産もできているだろうと思ったわけでしてね」

(……)その明るい光のなかに入ると、たがいに相手を見ようと、二人は同時に相手の顔を見た。
 西部からきた男は、急に立ちどまると、組んでいた腕をふりほどいた。
「お前はジミー・ウェルズじゃねえ」彼は叩きつけるように言った。「二十年は長い年月だが、人間の鼻を鷲鼻(わしばな)から獅子(しし)っ鼻に変えてしまうほど長くはねえはずだ」

  • O・ヘンリ=著 大久保康雄=訳 「二十年後」 『O・ヘンリ短編集2』 新潮文庫 1969/03

(J16) 清野 1938
 「(……)そこでね、あつし等は約束したんですよ、その晩ね、今月今夜のこの時間からかつきり二十年したら、また此處で逢はう、どんな身分になつてゐようと、どんな遠いとこから來なくちやならなくつてもつてね。二十年したらお互(たげえ)に運を開いて身上(しんしよ)を拵れえ上げて置かなくちやなんねえ、どんな身上だらうとつてね、心の中できめたんですよ。」

(……)その皎々たる明るみの中へ來た時、二人は同時に振り向いて相手の顏をじつと見た。
 西部から來た男は突然足を留めて腕を離した。
 「手前(てめえ)はジミー・ウェルスぢやねえ。」と噛みつくやうに云つた。「幾ら二十年が永(なげ)えつたつて、鷲ッ鼻が獅子ッ鼻に變つちまふほど永かあねえや。」

  • オー・ヘンリー=著 清野暢一郎(せいの・ちょういちろう)=譯 「二十年後」 『オー・ヘンリー短篇集』 岩波文庫 1938/12(昭和13)

(J17) 田中 1926, 1998, etc.
『(……)で、その晩私達(わたしたち)は二十年後の今月今夜、しかも同じ時刻に、こゝで再會しよう、たとへどんな事情があつても、どんな遠方からでも必然(きつと)來合(きあ)はせる——さういふ約束をしました。二十年後にはお互ひに奮闘の結果、相當に金も出來てゐるだらうから、是非再會したい、といふ考へだつたんです。』

(……)電燈があか/\と往來へ射しこんでゐた。二人はそこまで來ると、云ひ合はしたやうに顏を覗き合つた。
 西部から來た男は、そのとき突然に立ちどまつて、組んでゐた腕を解いた。
『君はジミイ・ウエルズでないぢやないか。二十年は長いといつたつて、まさか羅馬鼻(ローマンノーズ)が獅子鼻(パツグ)になりはしないぜ。』

  • オー・ヘンリ=著 田中早苗(たなか・さなえ)=譯 「二十年後」
  • a. くもん出版の底本は c.。b. 本の友社版は c. 初出誌の復刻版。引用は b. に拠りました。原文は総ルビですが、ここでは、その一部を省略しました。上の著者名と作品タイトルの表記は b. の本文冒頭ページに拠ります。b. の目次には「オ・ヘンリイ」「廿年後」とあります。

■ベトナム語訳 Translation into Vietnamese

( . . . ) Chúng tôi đồng ý và tin tưởng rằng: chúng tôi sẽ gặp lại nhau 20 năm sau tại đây. Chúng tôi nghĩ rằng: Sau 20 năm chúng tôi sẽ biết được thân thế, sự nghiệp của chúng tôi và tương lai chờ đón chúng tôi như thế nào !

( . . . ) Đến một góc đường có ánh đèn sáng chiếu ra từ một cửa hiệu, cả hai người đều quay nhìn kỹ vào mặt nhau. Gã đàn ông tên Bob đột nhiên dừng bước và kéo cánh ta ra khỏi vòng tay của người cao lớn kia. Gã la lên: - Anh không phải Jimmy Wells ! 20 năm thật dài nhưng không thể thay đổi hẳn một gương mặt, một cái mũi của bạn tôi ngày xưa.


■ロシア語訳 Translation into Russian

( . . . ) Ну, в тот вечер мы и договорились встретиться ровно через двадцать лет - день в день, час в час - как бы ни сложилась наша жизнь и как бы далеко ни забросила нас судьба. Мы полагали, что за столько лет положение наше определится и мы успеем выковать свое счастье.

( . . . ) Подойдя к свету, оба спутника одновременно обернулись и глянули друг другу в лицо.
Человек с Запада вдруг остановился и высвободил руку.
- Вы не Джим Уэлс, - сказал он отрывисто. - Двадцать лет - долгий срок, но не настолько уж долгий, чтобы у человека римский нос превратился в кнопку.


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

"( . . . ) И тъй, тогава се уговорихме да се срещнем точно след двайсет години на същия ден и по същото време, независимо кой до какво положение е стигнал и колко далеч се намира. Представяхме си как след двайсет години всеки от нас, където и да се намира, ще е открил призванието си и ще се е наредил в живота."

( . . . ) Когато излязоха на светлото, двамата се обърнаха едновременно един към друг и се взряха в лицата си. Човекът от Запада се спря изведнъж и пусна ръката на другия.
— Ти не си Джими Уелз — процеди той. — Двайсет години са много време, но все пак не са достатъчни, за да превърнат един човек с римски профил в някакъв чипоноско.

  • О. Хенри. След двадесет години. Превод от английски: Тодор Вълчев, 1977. М.: Глагол, Голос, 1993
  • E-text at Моята библиотека (chitanka.info)

■スウェーデン語訳 Translations into Swedish

(Sv1) Falk
”( . . . ) Tja, och så kom vi den där kvällen överens om att mötas här igen exakt tjugo år från det där datumet och den där tidpunkten, oavsett hur saker och ting låg till eller hur långt vi var tvungna att resa. Vi föreställde oss att efter tjugo år skulle våra öden ha formats och våra levnadsvillkor ha fastställts, hur de nu kunde ha artat sig.”

( . . . ) När de kom innanför ljuskretsen vände sig båda samtidigt för att se varandra i ansiktet.
   Mannen från västern stannade plötsligt upp och frigjorde sin arm.
   ”Du är inte Jimmy Wells", fräste han till. ”Tjugo år är en lång tid, men inte tillräckligt lång för att förändla en romersk örnnäsa till en trubbnäsa.”

  • Efter tjugo år by O. Henry. Translated by Bertil Falk.
  • E-text at DAST Magazine

(Sv2) Bergvail, 1979
”( . . . ) Nåväl, vi kom överens om att träffas samma dag och tid om precis tjugo år, hurdan vår situation än var och hur långt vi än måste resa. Vi tänkte att om tjugo år borde vårt öde vara utformat och vår ställning i samhället uppnådd, vilken den nu kunde bli."

( . . . ) När de kom in ljuskretsen vände sig båda samtidigt för att trakta varandras ansikten.
   Mannen från Västern stannade plötsligt och frigjorde sin arm.
   ”Du är inte Jimmy Wells", fräste han. ”Tjugo år är en lång tid, men inte tillräckligt lång för att förvandla en romersk näsa till en trubbnos.”

  • Efter tjugo år by O. Henry. Translated by Sonja Bergvail, Atlantis 1979.
  • Scanned pages at Gymnasiesvenska [PDF]

■ドイツ語訳 Translation into German

„( . . . ) Schließlich verabredeten wir an jenem Abend, dass wir uns hier in genau zwanzig Jahren am gleichen Tag und zur gleichen Zeit Stunde treffen wollten, egal, in welcher Lebenslage wir uns befinden würden und wie weit der weg sein mochte. Wir glaubten beide, dass zwanzig Jahre irgendwie unserem Lebensweg gefunden und unser Glück gemacht haben konnten.“

( . . . ) Als sie in das grelle Licht gerieten, wendeten sich beide zueinander und musterten sich.
Der Mann aus dem Westen blieb stehen und machte seinen Arm los.
„Sie sind nicht Jimmy Wells“, stieß er böse hervor, „Zwanzig Jahre sind eine lange Zeit, aber nicht lange genug um aus einem krummen Zinken eine Stülpnase zu machen.“

  • Nach 20 Jahren by O. Henry
  • E-text at Ciao.de

■ルーマニア語訳 Translation into Romanian

-    ( . . . ) Ei, şi ne-am înţeles în seara aceea să ne întâlnim din nou aici, după douăzeci de ani, exact la aceeaşi oră, oricare ar fi fost situaţia noastră sau oricâtă distanţă ar fi trebuit să străbatem. Ne-am zis că în douăzeci de ani amândoi urma să ne fi făcut un rost în viaţă, indiferent de ce fel.

( . . . ) Când ajunseră în dreptul lui, amândoi se întoarseră brusc să se privească.
Omul din vest se opri brusc şi se îndepărtă doi paşi.
-     Nu esti Jimmy Wells, rosti el tăios. Douăzeci de ani reprezintă destul timp, nu glumă, dar nu destul ca să schimbe nasul cuiva atât de mult.


■イタリア語訳 Translation into Italian

« ( . . . ) Bene, quella notte ci mettemmo d'accordo: ci saremmo visti qui, vent'anni dopo, quali si fossero le nostre condizioni, e per quanto lungo dovesse essere il nostro viaggio. Ci eravamo detti che dopo vent'anni il nostro destino sarebbe stato ormai fissato, e la nostra fortuna fatta, in un modo o nell'altro ».

( . . . ) A quella luce ciascuno dei due si volse simultaneamente e guardò l'altro in faccia.
L'uomo del West si fermò subitamente e svincolò il braccio.
« Tu non sei Jimmy Wells » scattò. « Venti anni sono molti, ma non bastano a fare schiacciato un naso romano ».

  • Dopo vent'anni by O. Henry
  • E-text at Keynes [DOC]

■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

- ( . . . ) Bem, combinamos, naquela ocasião, um encontro aqui, exatamente vinte anos depois, a despeito das condições ou da distância que tivéssemos de percorrer para cumprir o compromisso. Imaginávamos que, dentro de vinte anos, estaríamos com a vida feita e a fortuna consolidada, quaisquer que fossem.

( . . . ) Ao chegar à zona iluminada, os dois se voltaram simultaneamente para se examinarem um ao outro.
O homem do Oeste parou de súbito e retirou o braço.
- Você não é Jimmy Wells - explodiu. - Vinte anos é muito tempo, mas não o bastante para mudar um nariz romano em batatinha.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

— ( . . . ) Bueno, esa noche quedamos de acuerdo en encontrarnos nuevamente aquí, a 20 años exactos de esa fecha y esa hora, cualquiera fuese nuestra condición y la distancia a recorrer para llegar. Suponíamos que, después de 20 años, cada uno tendría ya la vida hecha y la fortuna conseguida.

( . . . ) cada uno de ellos se volvió para mirar la cara de su compañero.
  El hombre del Oeste se detuvo bruscamente, apartando el brazo.
  —Usted no es Jimmy Wells —masculló—. Veinte años son mucho tiempo, pero no tanto como para que a uno le cambie la nariz de recta a respingada.


■フランス語訳 Translation into French

« ( . . . ) Enfin, ce soir-là on se donna rendez-vous au même endroit dans vingt ans de là, et à la même heure, quoi qu’il nous fût arrivé à tous les deux entretemps, et quelle que fût la distance à franchir pour y parvenir. On se disait qu’en vingt ans chacun de nous deux aurait trouvé sa voie et fixé sa destinée d’une manière ou de l’autre.

( . . . ) et aussitôt chacun d’eux tourna la tête instinctivement afin de contempler le visage de l’autre. L’homme de l’Ouest s’arrêta brusquement et dégagea son bras.
« Vous n’êtes pas Jimmy Wells, jappa-t-il d’un ton coupant. Un nez romain ne peut pas devenir camus, même en vingt ans.


 E-book 
O・ヘンリー短篇集フランス語訳の電子本 E-book in French translation
New York Tic Tac: A free e-Book of stories by O. Henry translated into French
New York Tic Tac


  Audio  
英語原文の朗読 Audiobook presented by Librivox

下の引用箇所は 2:20 からと、5:50 から。 Uploaded on 25 Dec 2011 by GUMRAO4. The excerpts below starts at 2:20 and at 5:50.


■英語原文 The original text in English

( . . . ) 2:20 Well, we agreed that night that we would meet here again exactly twenty years from that date and time, no matter what our conditions might be or from what distance we might have to come. We figured that in twenty years each of us ought to have our destiny worked out and our fortunes made, whatever they were going to be."

( . . . ) 5:50 When they came into this glare each of them turned simultaneously to gaze upon the other's face.
  The man from the West stopped suddenly and released his arm.
  "You're not Jimmy Wells," he snapped. "Twenty years is a long time, but not long enough to change a man's nose from a Roman to a pug."


■邦訳のリスト List of Japanese translations

O・ヘンリー作品の数多くある邦訳書のそれぞれについて、その本に収録されている個々の短篇のタイトルまでも、かなりの程度まで網羅的に明示した、詳しいリストは、つぎのサイトにあります。


■著者名の日本語表記の異同
 Variations of the author's name represented in Japanese

   ヘンリイ………… 1.
   O・ヘンリ………大久保(康)1969
   O・ヘンリー……芹澤 2007
   O・ヘンリー……枯葉 2001
   O・ヘンリー……小鷹 1984
   O・ヘンリー……下嶋 1975
   O・ヘンリー……深町 1975
   O・ヘンリー……大久保(博)1974, 1985
   O・ヘンリィ……… 2.
   O・ヘンリイ……… 3.
   オ・ヘンリイ……田中 1998(目次)
   オー・ヘンリ……田中 1998(奥付)
   オー・ヘンリ……田中 1926
   オー・ヘンリー…千葉 2007
   オー・ヘンリー…枯葉 2003
   オー・ヘンリー…西田 1990
   オー・ヘンリー…飯島 1989
   オー・ヘンリー…大津 1979
   オー・ヘンリー…清野 1938
   オー・ヘンリイ…… 4.
   オー=ヘンリー…飯島 1990
 
1.〜4. の例は、現物を未見ですが、各種サイト(詳細は末尾)に拠りました。
たとえば、次のようなタイトルを見かけました。

  1. ヘンリイ
    • 木村信児=訳 「賢人の贈物」、宮島新三郎=訳 「青い扉」 近代社=編 『世界短篇小説大系 亞米利加篇』 近代社 1926(大正15)
  2. O・ヘンリィ
    • 崎山正毅=訳 「クリスマスの贈物」 十一谷義三郎=編 『世界短篇傑作全集1 英米短篇集』 河出書房 1936/09(昭和11)
  3. O・ヘンリイ
    • 「改心仕直し」 博文館 『新青年』 1935年春季増刊号(昭和10)
    • 「伯爵と結婚式の客」 博文館 『新青年』 1933年6月号(昭和8)
    • 「伯爵と結婚式の客」 博文館 『新青年』 1931年新春増刊号(昭和6)
      訳者は3篇とも未確認。
  4. オー・ヘンリイ
    • 飯島淳秀=訳 『オー・ヘンリイ短篇集1〜3』 角川文庫(旧版)1958, 1959
    • 訳者未確認 「夫の貞操」 博文館 『新青年』 1938年夏季増刊号(昭和13)

■外部リンク External links


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  • 2015/06/13 田中早苗(たなか・さなえ)=譯の書誌情報を補足しました。
  • 2015/05/15 青山南+戸山翻訳農場=訳 2015/05/10 を追加しました。
  • 2014/12/07 小川高義=訳 2014/12/01 を追加しました。
  • 2014/11/26 2種類のスウェーデン語訳を追加しました。
  • 2014/11/10 ルーマニア語訳とイタリア語訳を追加しました。
  • 2014/11/08 ベトナム語訳を追加しました。
  • 2013/03/05 ブルガリア語訳を追加しました。また、目次を新設しました。
  • 2013/01/31 英語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/06/16 ロシア語訳を追加しました。
  • 2011/01/12 ドイツ語訳とポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/01/05 これまで繁體字中國語譯 (Tw2) として掲載していたテキストを削除し、代わりにその同文を簡体字中国語訳 (C3) 2006 として掲載し、あわせて、より正確な書誌情報を付けました。
  • 2010/01/17 簡体字中国語訳について (C1) の文中の誤字を訂正し、(C1) と (C2) のリンクを修正しました。また、繁體字中國語譯 (Tw1)、スペイン語訳、フランス語訳を追加しました。
  • 2008/08/28 大久保博=訳 1974/09 を追加しました。
  • 2008/07/08 深町眞理子=訳 1975/10 を追加しました。
  • 2008/01/19 西田義和=訳 1990/04 を追加しました。
  • 2007/12/21 枯葉=訳 2003/02/01、2001/06/29 を追加しました。また、「邦訳のリスト」および「著者名の日本語表記の異同」の項を新設しました。
  • 2007/12/07 田中早苗=譯 1998/09、1926/08 を追加しました。
  • 2007/11/19 飯島淳秀=訳 1990/11 を追加しました。
  • 2007/10/14 芹澤恵=訳 2007/10 を追加しました。
  • 2007/09/25 訳者未確認「一枚の写真」サイト内の電子テキスト(更新日1999/11/27)を追加しました。また、中国語訳(簡体字)の、もう一つの版と中國語譯(繁體字)も追加しました。

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Thursday, 19 July 2007

Heart of Darkness by Joseph Conrad コンラッド 『闇の奥』

        目次 Table of Contents

 Video 1  Video SparkNotes: Joseph Conrad's Heart of Darkness summary
 Video 2  テレビ『闇の奥/真・地獄の黙示録』 (1993) Heart of Darkness (1993)
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 黒原 2009
  (J2) 藤永 2006
  (J3) 岩清水 2001
  (J4) 中野 1958
 Images  表紙画像と肖像写真 Book covers and a portrait
■ロシア語訳 Translation into Russian
 Audio 1  ポーランド語版のオーディオブック(朗読) Audiobook in Polish
■ポーランド語訳 Translation into Polish
■ドイツ語訳 Translation into German
■イタリア語訳 Translations into Italian
  (It1) Curreli, 2013
  (It2) Bernascone, 2010
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translations into Spanish
  (Es1) Rosúa, 2012
  (Es2) Pitol, 2009
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 2  英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook read by Bridget
 Audio 3  英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook read by Bob Neufeld
 Audio 4  英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook read by Kristin LeMoine
 Audio 5  英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook presented by LoudLit.org
■英語原文 The original text in English
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Video 1 
Video SparkNotes: Joseph Conrad's Heart of Darkness summary

VideoSparkNotes


 Video 2 
テレビ『闇の奥/真・地獄の黙示録』 (1993) Heart of Darkness (1993)
Tv_heart_of_darkness_1994
監督: ニコラス・ローグ 出演: ジョン・マルコヴィッチ、ティム・ロス ビデオの埋め込みは禁じられています。動画を見るには  ここをクリック  してください。クルツの「The horror! The horror !」の台詞は 1:35:04。 Directed by Nicolas Roeg. Starring John Malkovich, Tim Roth. Embedding disabled by request. To watch the video
 CLICK HERE  Kurtz cries, 'The horror! The horror!' at 1:35:04.


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

[略]就好像一层面纱被捅破了。在那张象牙色的脸上我看到了一种表情,带着一股阴沉沉的傲气,无情的力量和怯懦的恐惧--带着深深的绝望。在那神圣的恍然大悟的时刻他是不是把欲望,诱惑和屈服都细细地重温了一遍?他像看到了什么似的低声叫了起来,--他叫了两次,但这叫喊并不比一丝喘气声大多少。

'可怕啊!可怕啊!'

"我吹灭蜡烛离开屋子。圣徒们正在厅里吃晚饭。[略]一群群的小苍蝇不停地飞到灯上,桌布上,撞到我们的手上和脸上。突然,经理的儿子很没礼貌地从门口探进黑黑的脑袋,用尖刻而轻蔑的口气说:'克尔兹--他北了。'

   约瑟夫·康拉德 黑暗之心
   E-text at 幸諨de子彈的博客


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 黒原 2009
(……)まるでベールが引き裂かれたみたいだった。俺はあの象牙で出来ているような顔に、冥い自負と、無慈悲な力と、怯懦(きょうだ)な心——そして烈しい絶望の表情を見た。彼はすべてがすっかりわかるというあの死の直前の至高の時、欲望、誘惑、それへの屈伏を、細かく憶い出して、自分の人生をもう一度生きたのだろうか。何かの影像、何かの幻覚を見たかのように、二度、囁くような、ほとんど息だけの声で、こう言った——。
 『怖ろしい! 怖ろしい!』
 僕は蝋燭を吹き消して船室を出た。巡礼たちが食堂で食事を取っていた。(……)小さな蠅の群れがランプに、テーブルクロスに、われわれの手や顔に小雨のように降り注ぐ。突然、支配人の召使いが、戸口からふてぶてしい黒い顔を出して、侮蔑に満ちた口調で言った——。
 『クルツの旦那——死んだよ』

   ジョゼフ・コンラッド=著 黒原敏行(くろはら・としゆき)=訳
   『闇の奥』 光文社古典新訳文庫 2009/09/20


(J2) 藤永 2006
 『(……)まるでベールが引き裂かれたかのようだった。僕は、その象牙のような顔に、暗鬱な自負、非情な支配意志、しかも、この期(ご)に及んで臆する恐怖心——つまり、強烈な、救いのない自暴自棄の表情を見たのだ。すべてを知り、見る、あの至上の瞬間に、彼は、自分の一生を、その欲望、誘惑、耽溺の細部の細部まで、再び駆け抜けて生きたのではなかったろうか? 彼は何かのまぼろしを、何かの幻影を目の前にして、低く叫んだ。彼は二度叫んだ。ただの呼気のような、声にもならない叫びだった——。
 『「地獄だ! 地獄だ!」
 『僕はローソクを吹き消して船室を出た。食堂では巡礼たちが夕食を取っていた。(……)小さな蠅が、絶え間ない雨のように、ランプといわず、卓布といわず、手にも顔にも襲いかかっていた。突然、支配人付きのボーイが戸口のところに横柄な黒い顔を出したかと思うと、ざまあ見やがれと言わんばかりの口調で言った——。
 『「ミスター・クルツ——彼、死んだ」

   ジョセフ・コンラッド=著 藤永茂(ふじなが・しげる)=訳
   『闇の奥』 三交社 2006/05

   訳者・藤永氏によるブログが参考になります:私の闇の奥


(J3) 岩清水 2001
「(……)それはあたかもヴェールが引き裂かれたようなものだった。僕はあの象牙のような顔に暗い自尊心、無情な力、臆病な恐怖——強烈で希望のない絶望の——表情を見た。彼は完全に物が見えた至高の瞬間に欲望、誘惑、降伏を細かにたどりながら、再び彼の人生を生きていたのだろうか。彼は何かのイメージ、何かのヴィジョンに向かって叫んだ——ほとんど息にすぎない声で二度叫んだ——。
「『恐い! 恐いよ!』
「僕は蝋燭を吹き消して船室を出た。巡礼達は食堂で食事をとっていた。(……)小さい蠅の群れがランプ、布きれ、僕達の顔を流れるように絶え間なく襲った。突然支配人のボーイが戸口の所に横柄な黒い顔を出し、冷酷で軽蔑するような調子で言った。
「『クルツさん、死んでるよ』

   ジョウゼフ・コンラッド=著 岩清水由美子(いわしみず・ゆみこ)=訳
   『闇の奥』 近代文芸社 2001/07


(J4) 中野 1958
 『(……)いわば帷(とばり)が引き裂かれたのだ。僕はあの象牙のような顔に、陰欝な自負、仮借(かしゃく)ない力、おどおどした恐怖、——一口でいえば、きびしい完全な絶望の表情を見てとった。このいわば完全知を獲た至上の一瞬間に、彼は彼自身の一生を、その欲望、誘惑、惑溺と、それらのあらゆる細部にわたって、あらためて再経験しつつあったのではなかろうか? なにか眼のあたり幻でも見ているように、彼は低声に叫んだ、——二度叫んだ。といっても、それはもはや声のない気息にすぎなかったが。
 『「地獄だ! 地獄だ!」
 『僕は灯りを消して船室を出た。食堂では「巡礼」たちが食事の最中だったが(……)小蠅の群が、ランプといわず、卓布といわず、手にも顔にも、ほとんど絶えまなく雨のように襲ってくる。突然、支配人附きのボーイが、扉口からあの真黒い横柄な顔を出したかと思うと、噛んで吐き出すように言った。
 『「ミスタ・クルツが——死んでます。」

   ジョーゼフ・コンラッド=作 中野好夫=訳
   『闇の奥』 岩波文庫 1958/01


 Images 
表紙画像と肖像写真 Book covers and a portrait

↓ Click to enlarge ↓
a. Conrad_2 b. 0141182431 c. 436pxjoseph_conrad

■ロシア語訳 Translation into Russian

[Omission] Я был зачарован, словно передо мной разорвали  пелену.  Лицо,  цвета  слоновой кости, дышало мрачной гордостью;  безграничная  властность,  безумный  ужас, напряженное и безнадежное отчаяние - этим было отмечено его лицо.  Вспоминал ли он в эту последнюю минуту просветления  всю  свою  жизнь,  свои  желания, искушения и поражение? Он прошептал, словно обращаясь к какому-то видению... он попытался крикнуть, но этот крик прозвучал как вздох:

  - Ужас! Ужас!

  Я задул свечу и вышел из рубки. Пилигримы обедали в кают-компании, [Omission] Мошки  кружились  роем  вокруг  лампы, ползали по скатерти, по нашим рукам и лицам. Вдруг слуга начальника просунул в каюту свою черную голову и сказал с уничтожающим презрением:

  - Мистер Куртц... умер.

   Джозеф Конрад. Сердце тьмы
   Translated by А.Кравцовой
   Дж.Конрад. Сердце тьмы и другие повести. СПб., Азбука, 1999, сс. 7-136
   E-text at Lib.Ru


 Audio 1 
ポーランド語版のオーディオブック(朗読) Audiobook in Polish

Uploaded to YouTube by Mściwój Ziemomysł on 11 May 2014


■ポーランド語訳 Translation into Polish

Zdawało mi się, że zdarto z jego twarzy zasłonę. Dostrzegłem kolejno na tym obliczu z kości słoniowej wyraz ponurej pychy, bezlitosnej siły, przeraźliwego strachu, głębokiej i beznadziejnej rozpaczy. Czyżby przez tę ostatnią chwilę zupełnej samowiedzy prze ż y ł na nowo swoje życie ze wszystkimi szczegółami pragnień, pokus, poddania się ? Wykrzyknął szeptem - zapewne na widok jakiegoś obrazu, jakiegoś widziadła - wykrzyknął po dwakroć szeptem, który nie był głośniejszy od tchnienia:

  - Zgroza! Zgroza!

  Zdmuchnąłem świecę i wyszedłem z kajuty. Pielgrzymi siedzieli w jadalni przy obiedzie: zająłem swoje zwykłe miejsce naprzeciw dyrektora, który podniósł na mnie pytający wzrok; zignorowałem to najzupełniej. Wówczas rozparł się w krześle z pogodą na twarzy i tym szczególnym uśmiechem, pieczętującym bezdenną głębię jego podłości. Nieustanny deszcz drobnych muszek spływał na lampę, na obrus, na nasze ręce i twarze. Nagle boy dyrektora wetknął przez drzwi bezczelną, czarną twarz i powiedział tonem obelżywej pogardy:

  - Pan Kurtz... on umrzeć.

   Jądro ciemności by Joseph Conrad. Translated by Aniela Zagórska.
   E-text at   [PDF]


■ドイツ語訳 Translation into German

[Omission] Es schien, als wäre ein Schleier gerissen. Ich sah auf dem Elfenbeingesicht den Ausdruck düsteren Stolzes, unbarmherziger Herrschsucht, feiger Angst – und tiefer, hoffnungsloser Verzweiflung. Durchlebte er, in jenem äußersten Augenblick völligen Wissens, sein Leben nochmals, mit jeder einzelnen Begierde, Versuchung und Schwäche? Er schrie in einem Flüstern einem Bild, einem Gesicht zu – schrie es zweimal, wenn es auch kaum lauter klang als ein Hauch:

›Das Grauen! Das Grauen!

Ich blies die Kerze aus und verließ die Kabine. Die Pilger aßen im Meßraum zu Nacht, [Omission] Ein unaufhörlicher Schauer kleiner Fliegen umsurrte die Lampe, das Tischtuch, unsere Hände und Gesichter. Plötzlich steckte der Boy des Direktors seinen unverschämten, schwarzen Kopf durch die Türe und sagte im Ton äußerster Verachtung:

›Mistah Kurtz – er tot.‹

   Das Herz der Finsternis by Joseph Conrad
   Translated by Ernst Wolfgang Freißler
   S. Fischer Verlag, 1959
   E-text at Projekt Gutenberg-DE


■イタリア語訳 Translations into Italian

(It1) Curreli, 2013
[Omission] Fu come se un velo fosse stato strappato. Vidi su quel viso d'avorio l'espressione di un cupo orgoglio, di un potere spietato, di un terrore codardo – di disperazione intensa e disperata. Aveva rivissuto la sua vita in ogni dettaglio, di desiderio, di tentazione e di resa, in quell'istante supremo di completa consapevolezza? Gridò in un sussurro verso qualche immagine, verso qualche visione, gridò due volte, un grido che non fu più d'un sospiro –

  'L'orrore! L'orrore!'

  Soffiai sulla candela e lasciai la cabina. I pellegrini stavano cenando, [Omission]. Una pioggia continua di moscerini cadeva sulla lampada, sulla tovaglia, sulle nostre mani e sui visi. A un tratto il 'boy' del Manager ficcò la sua insolente testa nera nel vano della porta e in tono di caustico disse –

  'Mistah Kurtz – lui morto.'

   Cuore di tenebra by Joseph Conrad. Translated by Mario Curreli.
   Bompiani, 2013
   Preview at Google Books


(It2) Bernascone, 2010
[Omission] vidi su quel volto d'avorio l'espressione dell'orgoglio cupo, del potere spietato, del terrore vile - di una disperazione intensa e irreparabile. È possibile che in quel momento supremo di conoscenza completa rivivesse la sua esistenza in ogni dettaglio di desiderio, tentazione e resa? In un bisbiglio gridò verso qualche immagine, qualche visione - due volte lanciò un grido, un grido che non era più di un sospiro:

  «“Che orrore! Che orrore!"

  «Spensi la candela e uscii dalla cabina. [Omission] Una pioggia continua di moscerini si abbatteva sulla lampada, sulla tovaglia, sulle mani e sui volti. Improvvisamente il boy del direttore cacciò l'insolente testa nera nell'arco della porta e disse in tono di feroce disprezzo:

  «“Mistah Kurtz - lui morto."

   Cuore di tenebra by Joseph Conrad. Translated by Rossella Bernascone.
   Edizioni Mondadori, 2010/10/07
   Preview at Google Books


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

[Omission] Como se um véu se tivesse rasgado. No marfim daquele rosto vi uma expressão de orgulho sombrio, indomável poder, de abjecto terror - de um desespero intenso e sem esperança. Naquele supremo instante, de integral conhecimento, estaria ele a reviver a vida em todo o pormenor, com os seus desejos, tentações e renúncias? Deu um grito sussurrado a uma imagem qualquer, a uma visão qualquer - gritou duas vezes, um grito que não passava de sopro...

"O horror! O horror!"

Apaguei a vela e saí da cabina. Os peregrinos jantavam no refeitório. [Omission] Sobre o candeeiro, a toalha, as mãos e os rostos caía um chuveiro de pequenas moscas. De repente, o moleque do administrador mostrou à porta a insolente cabeça negra e disse num tom de desprezo insultuoso: -

"Siô Kurtz - moleu."

   O Coração das Trevas by Joseph Conrad
   E-text at Scribd [PDF]


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Es1) Rosúa, 2012
  »[Omission] Era como si se hubiese rasgado un velo. Vi sobre aquel rostro de marfil la expresión de orgullo sombrío, de poder despiadado, de cobarde terror...de una desesperación intensa e irremediable. ¿Vivió de nuevo su vida con cada de deseo, tentación y rendición durante aquel momento supremo de completo conocimiento? Gritó en un susurro a alguna imagen, a alguna visión... gritó dos veces, un grito que no fue mas que un suspiro:

  "¡El horror! ¡El horror!”.

  »Apagué de un soplo la vela y salí de la cabina. Los peregrinos estaban cenando en el comedor [Omission] Una lluvia continua de pequeñas moscas corría sobre la lámpara, sobre el mantel, sobre nuestras manos y caras. De pronto el muchacho del director introdujo su insolente cabeza negra por la puerta y dijo en un tono de maligno desprecio:

  "Señor Kurtz... él, muerto".

   El corazón de las tinieblas by Joseph Conrad
   Translated by Mercedes Rosúa
   Parkstone International, 2012/07/23
   Preview at Google Books


(Es2) Pitol, 2009
  »[Omission] Era como si se hubiera rasgado un velo. Vi sobre ese rostro de marfil la expresión de sombrío orgullo, de implacable poder, de pavoroso terror... de una intensa e irredimible desesperación. ¿Volvía a vivir su vida, cada detalle de deseo, tentación y entrega, durante ese momento supremo de total lucidez? Gritó en un susurro a alguna imagen, a alguna visión, gritó dos veces, un grito que no era más que un suspiro:

  "¡Ah, el horror! ¡El horror!".

  »Apagué de un soplo la vela y salí de la cabina. Los peregrinos estaban cenando en la sala de rancho, [Omission] Una lluvia continua de pequeñas moscas corría sobre la lámpara, sobre el mantel, sobre nuestras manos y caras. De pronto el muchacho del director introdujo su insolente cabeza negra por la puerta y dijo en un tono de maligno desprecio:

  "Señor Kurtz... él, muerto".

   El corazón de las tinieblas by Joseph Conrad
   Coleccion Escolar de Filosofia, Vol. 27
   Translated by Sergio Pitol. Siruela, 2009
   Preview at Google Books
   E-text at Sisabianovenia [PDF]


■フランス語訳 Translation into French

« ( . . . ) C'était comme si un voile se fût déchiré. Je vis sur cette figure d'ivoire une expression de sombre orgueil, de puissance sans pitié, de terreur abjecte – de désespoir intense et sans rémission. Revivait−il sa vie dans tous les détails du désir, de la tentation, de l'abandon pendant ce moment suprême de connaissance absolue ? Il eut un cri murmuré envers une image, une vision – il eut par deux fois un cri qui n'était qu'un souffle :

« "Horreur ! Horreur !"

« Je soufflai la bougie et je sortis de la cabine. Les pèlerins dînaient au carré ( . . . ) Une pluie continue de petites mouches ruisselait sur la lampe, sur la nappe, sur nos mains et sur nos visages. Soudain le boy du Directeur passa son insolente tête noire par l'encadrement de la porte et dit d'un ton de mépris cinglant :

« "Missié Kurtz – lui mort."

   Au coeur des ténèbres by Joseph Conrad
   E-text at CoBelCo.org (pdf)


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook read by Bridget

下に引用する箇所は 3:25:05 から始まります。 Uploaded to YouTube by Clay Mann on 20 Feb 2013. Reading of the excerpt below starts at 3:25:05.


 Audio 3 
英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook read by Bob Neufeld

下に引用する箇所は 4:05:49 から始まります。 Uploaded to YouTube by GreatestAudioBooks on 30 Jan 2013. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 4:05:49.


 Audio 4 
英語原文のオーディオブック(朗読)
Audiobook read by Kristin LeMoine (formerly Kristin Luoma)

下に引用する箇所は 49:44 から始まります。 Uploaded to YouTube by rt20bg on 15 Dec 2012. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 49:44.


 Audio 5 
英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook presented by LoudLit.org
20070305loudlit
ラウドリットの提供するテキスト付きの朗読。録音を聞くには  ここをクリック 
Audiobook with accompanying text by LoudLit.org. Audio by LiteralSystems, told by David Kirkwood with narration by Tom Franks. To listen to the recording,
 CLICK HERE 


■英語原文 The original text in English

"(...) It was as though a veil had been rent. I saw on that ivory face the expression of somber pride, of ruthless power, of craven terror--of an intense and hopeless despair. Did he live his life again in every detail of desire, temptation, and surrender during that supreme moment of complete knowledge? He cried in a whisper at some image, at some vision,--he cried out twice, a cry that was no more than a breath--

"'The horror! The horror!'

"I blew the candle out and left the cabin. The pilgrims were dining in the mess-room, (...)  A continuous shower of small flies streamed upon the lamp, upon the cloth, upon our hands and faces. Suddenly the manager's boy put his insolent black head in the doorway, and said in a tone of scathing contempt--

"'Mistah Kurtz--he dead.'


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/12/06 簡体字中国語訳、ポーランド語訳、および2種類のイタリア語訳の訳文、ならびにポーランド語版のオーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/05/27 ロシア語訳とポルトガル語訳を追加しました。
  • 2013/05/26 ドイツ語訳、2種類のスペイン語訳、およびもう2種類のオーディオブック画面を追加しました。
  • 2013/03/30 英語原文のオーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2011/11/08 Video SparkNotes: Joseph Conrad's Heart of Darkness summary の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/12/01 テレビ『闇の奥/真・地獄の黙示録』 (1993) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2009/09/24 黒原敏行=訳 2009/09/20 を追加しました。

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Wednesday, 18 July 2007

La Légende de l'homme à la cervelle d'or by Alphonse Daudet ドーデ 「黄金の脳みそを持った男」

■表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait

1. Lettredemonmoulinj 2. 519tgswrtxl_aa240_ 3.Ad
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  1. 風車小屋だより』 岩波文庫 (1958). Image source: La Vraie Provence —真のプロヴァンス探求サイト
  2. Lettres de mon moulin Petits Classiques Larousse Texte Integral (1999)
  3. Alphonse Daudet (1840 - 1897). Image source: Ciudad Seva

■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 辻 1992
 十八歳になったとき、両親は、はじめてこの子に、運命がくれた、びっくりするような贈物のことををうちあけました。
 そして、今までわたしたちが育ててきたのだから、そのおかえしに、頭の中の金をほんのすこしばかりおくれ、とたのみました。
 この子はちっともためらわずに、すぐさま——どんなふうにしたのか? どういうやりかたでしたのか? なにもいい伝えられてはいませんが——、頭蓋骨から純金のかたまりを引きちぎりました。くるみ ほどの大きさのかたまりでしたが、それを、誇らしそうに、お母さんのひざの上に投げたのです。
 そして、自分の頭の中にある財産にすっかり目がくらんでしまい、いろいろな欲望にもえ、自分の力に酔って、親の家をとび出してしまいました。そして、自分の持っている宝をむだ使いしながら、世界を旅してまわりました。

   アルフォンス・ドーデ=原作 辻昶(つじ・とおる)=訳
   「金の脳みそを持った男の話」
   『風車小屋だより』 世界の名作全集16 国土社 1992/03 所収
   ルビは省略しました。


(2) 榊原 1975, 1977, etc.
 十八歳になったとき、両親ははじめて、運命を背おいこんだこのおそろしい天のたまわりものを、むすこにうちあけた。そして、
「これまで食べさせて育ててやったのだから、おかえしに黄金(おうごん)をすこしわけておくれ。」
 とたのんだ。
 かれはすこしもためらわず、すぐさま——どんなふうにしたのか、どんな方法でやったのかわからないが——ずっしりした黄金のかたまりを、それもクルミくらいの大きさのかたまりを一つ、頭蓋骨からもぎとって、それを両親のひざの上に、ぽいとなげつけた。
 それから、この男は、自分の頭の中に持っている富にすっかり目がくらみ、欲望にくるい、権力によいしれて、生まれた家をとびだすと、その財産を湯水のように使いはたしながら、世界じゅういたるところを歩きまわった。
   
   2a. ドーデ〔ほか〕=原作 榊原晃三=訳・文 藤原孝史=絵
      『黄金の脳を持つ男』 世界こわい話ふしぎな話傑作集8 フランス編
      金の星社 1984/03
   2b. ドーデ=著 榊原晃三=訳 「黄金の脳みそを持った男の伝説」
      『風車小屋便り』 世界の名作・日本の名作
      春陽堂少年少女文庫 1977/04 所収
   2c. ドーデ=作 榊原晃三=訳 「黄金の脳みそを持った男の伝説」
      『最後の授業』 世界の文学 ジュニア版27 集英社 1975 所収
   引用は 2a. に拠りました。ルビを一部省略しました


(3) 大久保 1967
 十八歳になったときはじめて両親は、運命から与えられた恐ろしい賜物(たまもの)のことを子供に打ち明けました。そして、これまで育て、養ってきたのだから、おかえしにすこしばかり金をくれないかと言ったのです。子供は躊躇(ちゅうちょ)しませんでした。その場ですぐ——どんな風に、どんな方法でかは伝説は伝えていませんが——彼は頭蓋骨(ずがいこつ)からずっしりとした金のかたまりを、くるみの実ほどの大きさのかたまりを引きちぎって、意気揚々とお母さんの膝(ひざ)の上に投げ出したものです……。それから、自分の頭のなかにある富に目がくらみ、欲望にわれを忘れ、自分の力に酔(よ)って、父の家を飛び出し、自分の財宝を浪費(ろうひ)しながら世界をめぐろうとして行ってしまったのです。
   
   ドーデ=著 大久保和郎(おおくぼ・かずお)=訳
   「金の脳みそを持った男のお話—愉快な話を求められる夫人に」
   『風車小屋だより』 旺文社文庫 1967/05 所収
   ルビを一部省略しました。


(4) 石川 1966
 十八才になってはじめて、親たちは、かれが運命からもらったたいへんなたからもののことをかれにうちあけました。そして親たちは、それまでそだて、やしなってきたのだから、そのかわりに、その金をすこしもらいたいと申しました。むすこはぐずぐずしないで、たちどころに——どんなふうに、どんな方法でかは、伝説は語っていません。——頭から、大きな金のかたまり、くるみくらいの大きなかたまりをひっぱりだして、それを母親のひざの上に、とくいげに投げつけました……。それから、頭の中に持っていたたからものに目がくらみ、のぞみに気もくるいそうになり、自分の力にうっとりとなって、親の家を去り、たからをむだづかいしながら、世の中に出ていきました。
   
   アルフォンス・ドーデー=作 石川湧(いしかわ・ゆう)=訳
   「金の脳みそを持った男の伝説—陽気な物語を求めるご婦人に」
   『少年少女世界名作文学全集12 家なき子/風車小屋だより/愛の妖精 ほか2編
   講談社 1966/09 所収
   ルビは省略しました。


(5) 江口 1962, 1973
 十八歳になったとき、やっと両親は、彼が運命づけられた奇怪な賜物(たまもの)のことを、彼に明かしました。そして、いままで彼を育て、養ったのだから、そのお返しに金をすこしばかりくれないかと頼みました。子どもはちゅうちょしませんでした。その場で――どうやったか、どんな方法でしたのかは、話に伝わっていませんが――彼は大きな黄金のかたまり、くるみのように大きなやつを、傲然(ごうぜん)と母親のひざの上に投げ与えました。……それからこの男は、頭の中に持っている財宝にすっかり目がくらみ、ただ欲望のおもむくがままに自分の力に酔いしれて、両親の家をとび出すと、その宝を浪費しながら、世界じゅうを歩きまわったのです。

   ドーデ=著 江口清(えぐち・きよし)=訳 「風車小屋だより」
   黄金の脳みそを持った男の物語―愉快な話を求められるご夫人に
   5a. 立風書房編集部=編 『世界青春文学館8』 立風書房 1973/11 所収
   5b. 学習研究社出版局=編 『世界青春文学名作選3』(全3冊)
      学研新書 学習研究社 1962 所収
   引用は 5a. に拠りました。


(6) 桜田 1958
 十八歳の時初めて、両親は天から授かった恐ろしい賜(たまもの)を、彼に打明けました。そして、今まで育てたのだから、そのお返しに、金(きん)を少しだけもらいたい、と言いました。子どもはためらいもせず、その場で、——どんなふうに、どんな方法で、それは別に伝わっていませんが——頭(ず)がい骨(こつ)から、重い金のかたまり、くるみ(#原文は太字でなく傍点)のように大きなかたまりを引きちぎり、得意そうに母親のひざ(#原文は太字でなく傍点)の上に投げ出しました…… こうして、頭の中にある財宝に目がくらみ、希望に狂喜し、自分の能力(ちから)に酔ったこの男は、父母の家を後に、世界をどこというあてもなく、その宝を浪費しに、旅立ったのであります。

   ドーデー=作 桜田佐(さくらだ・たすく)=訳
   「黄金(きん)の脳みそを持った男の話—陽気な話を求められる婦人へ」
   『風車小屋だより』 岩波文庫 1958/10 改版 所収
   1940(昭和15)年に一度改訳された岩波文庫(下の 8b.)を、当用漢字、
   新かなづかいによって再び改めた、2度めの改訳版。


(7) 島岡 1957
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

   ドーデ=著  島岡茂=訳註 「金の脳みそをもつた男」
   『風車小屋だより』 大学書林語学文庫 大学書林 1957/01 所収 
   (注記:仏文併記)


(8) 村上 1951
 十八歳になつたとき、兩親は初めて因果な恐ろしい天の賜物(たまもの)のことを彼に打明けたのでした。さうして、この年まで育て上げてやつたのだから、お返しに、金をちよつぴり分けておくれと頼みました。子供は何の躊躇もなく、その場で、——どんな具合にしたのか、どんな方法でしたのかは、話に傳はつてゐませんが、——ずつしりとした黄金のひと塊、胡桃(くるみ)のやうにでつかいひと塊を、頭蓋骨から捥ぎ取つて、それを母親の膝の上に昂然と投げ與へました。……それから、この男は、頭の中に持つてゐる財寶のためにすつかり眼が眩み、前途の望みに氣もそぞろになり、自己の能力(ちから)に醉ひ痴れて、兩親の家を飛び出すと、その寶を浪費しながら、世間をあちこちとさまよひ歩いたのであります。

   ドーデー=著 村上菊一郎=譯
   「黄金の腦味噌を持つた男の物語—陽氣な話を求められる夫人に」
   『風車小屋だより』 新潮文庫 圖書館用 1951/09 所収
   表紙・奥付の表記は「風車小屋だより」
   目次・本文の表記は「風車小屋便り」。


(9) 櫻田 1932, 1940, etc.
 十八の時初めて、兩親は天から授かつた恐ろしい賜を、彼に打ち明けました。そして、今まで育てゝ來たのだから、そのお返しに、お前の金(きん)を少しだけ貰ひたい、と云ひました。子供は躊躇(ためら)ひもせず、即座に、——どんな風に、どんな方法で、それは別に傳はつてゐませんが——頭蓋骨から、重い金の一塊、胡桃(くるみ)のやうに大きな塊を引きちぎり、昂然と母親の膝の上に投げ出しました……かうして、頭の中にある財寶に眩惑され、希望に狂喜し、己が能力(ちから)に陶醉したこの男は、父母の家を後に、世界を何處といふあてもなく、その寶を浪費しに、旅立つたのであります。

   アルフォンス・ドーデー=作 櫻田佐(さくらだ・たすく)=譯
   「黄金の腦味噌を持った男の話—陽氣な話を求められる婦人へ」
   9a.世界文學全集 ドーデー/サンド篇』 河出書房 1950/11 所収
   9b.風車小屋だより』 岩波文庫 1940/09(昭和15)改版 所収
   9c.風車小屋だより』 岩波文庫 1932/07(昭和7)所収
   9b. は、9c. を改版にあたり多少改訳したもの。引用は 9c. に拠りました。


(10) 井上 1926, 1927
 十八になつて始めて、彼の兩親は、彼が天からさづかつた不思議の賜についての秘密を打明けて聞かせました。そして、今まで育て、養つたのであるからして、その恩返しとして、彼が持つてゐる黄金を少しばかり貰ひたいと申出ました。子供に否應はありませんでした。速刻——如何して? どんな方法で? かは、話に傳つてゐませんけれど——彼は頭蓋から、巨きな黄金の一かたまりを、胡桃位の大きさのかたまりをけづりとつて、それを恭々しく母親の膝下に捧げました……やがて、頭の中に持つてゐる莫大の富に眼の眩んだ彼は、慾望に狂ひ、己れの力に醉つてしまひ、生まれた家を飛出して世間へと乘出し、寶を湯水のやうに費やして暮してゐました。

   アルフォンス・ドオデェ=作 井上勇=譯 「黄金の髄を持つた男の話」
   10a. 佛蘭西の華』 聚英閣 1927(昭和2)所収
   10b. 近代社=編 『世界短篇小説大系9 佛蘭西篇(上)』(全2冊)
      佛蘭西歴代名作集 近代社 1926/07/03(大正15)所収
   引用は 10b. に拠りました。


(11) 馬場 1906, 2003
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

   ドーデ=著 馬場孤蝶=訳 「金脳の人」     
   11a. 川戸道昭+中林良雄+榊原貴教=編
      『明治翻訳文学全集 翻訳家編14 馬場孤蝶集
      発行:大空社 共同刊行:ナダ出版センター 2003/03 所収
   11b. 『明星』1906/01(明治39)収載
   初出誌は 11b.11a.11b. を複製したもの。
   引用は 11a. に拠るつもりです。


■初出稿の日本語訳
 Translation of the text as it originally appeared in a periodical

以下の引用は、上に引用した各版とは異なり、このドーデの作品の初出稿、すなわち1860年7月7日の『世界画報』に初めて掲載されたときの原稿を訳したもの。訳者・内田氏いわく「このときの原稿は今日のとはかなり異なり、しっかりした構成と生彩には少し欠(か)けていた。しかし、よりドラマティックで、ホフマン風の異様な事柄に満ちていた」——


(……)
 両親たちがいる部屋に戻り、《さあ、もう泣かないで!》と言って、はしばみの実ぐらいの大きさの金のかたまりを彼等の膝のうえにおきました。まだ血がしたたり、ぴくぴく動いていました。両親たちが愛撫してくれているあいだ、私は深い悲しみに陥り、奇妙な感覚が広がっていくのを感じていました。思考能力が弱められ、明快さが減(げん)じていくようでした。精神がヴェールに覆(おお)いるみたいでした。——考えるのを止(や)め、すべてを振り払って、つぶやきました。《なあに構うもんか、これも家のためだ。それに、本当にわずか取っただけだもの。》

   アルフォンス・ドーデ=著 内田善孝=訳 「黄金の脳みそをもった男」
   P・G・カステックス=編
   『ふらんす幻想短篇精華集:冴わたる30の華々(下)』(全2冊)
   透工社=発行 丸善=発売 1990/08 所収
   
   原書:
   Anthologie du conte fantastique Français
   par P.G. Castex
   Librairie Jose Corti (2004)


■英訳 Translation into English

Not until he was eighteen years old did his parents disclose to him the miraculous gift that he owed to destiny; and as they had educated and supported him until then, they asked him, in return, for a little of his gold. The child did not hesitate; on the instant — how ? by what means ? the legend does not say — he tore from his brain a piece of solid gold as big as a nut, and proudly tossed it upon his mother's knees. Then, dazzled by the wealth that he bore in his head, mad with desires, drunken with his power, he left his father's house and went out into the world, lavishing his treasure.

   The Man with the Golden Brain by Alphonse Daudet
   Alphonse Daudet's Short Stories
   Translated by George Burnham Ives
   Edited by Alexander Jessup
   New York : G. P. Putnam's Sons, 1909
   E-text at The Internet Archive


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Hasta los dieciocho años no le revelaron su don monstruoso, regalo del destino; y como lo habían criado hasta aquella edad, le pidieron en recompensa un poco de su oro. El muchacho no vaciló; en el mismo instante (no dice la leyenda cómo y por qué medio) se arrancó del cráneo un pedazo de oro macizo del tamaño de una nuez, y se lo echó orgullosamente a su madre en el regazo. Deslumbrado con las riquezas que llevaba en la cabeza, poseído por el deseo, embriagado con su poder, abandonó la casa paterna, y se fue por el mundo despilfarrando su tesoro.

   El hombre del cerebro de oro by Alphonse Daudet
   E-text at:
   * El Espejo Gótico
   * Talia Lara


■フランス語原文の朗読 L'homme à la cervelle d'or

下の引用箇所は 3:28 あたりから。The passage excerpted below starts around 3:28.


■フランス語原文 The original text in French

A dix-huit ans seulement, ses parents lui révélèrent le don monstrueux qu'il tenait du destin; et, comme ils l'avaient élevé et nourri jusque-là, ils lui demandèrent en retour un peu de son or. L'enfant n'hésita pas; sur l'heure même,—comment? par quels moyens? la légende ne l'a pas dit,—il s'arracha du crâne un morceau d'or massif, un morceau gros comme une noix, qu'il jeta fièrement sur les genoux de sa mère... Puis tout ébloui des richesses qu'il portait dans la tête, fou de désirs, ivre de sa puissance, il quitta la maison paternelle et s'en alla par le monde en gaspillant son trésor.

   La Légende de l'homme à la cervelle d'or.
   A la dame qui demande des histoires gaies.
   Lettres de mon moulin by Alphonse Daudet
   E-text at:
   * Project Gutenberg
   * Wikisource


■更新履歴 Change log

2014/06/17 スペイン語訳を追加しました。
2012/08/29 英訳を追加しました。
2012/05/08 『世界短篇小説大系9 佛蘭西篇(上)』の書誌情報を修正しました。
2010/12/19 フランス語原文の朗読の YouTube 動画を追加しました。
2008/06/08 江口清=訳 1973/11 を追加しました。
2008/04/04 石川湧=訳 1966/09 を追加しました。
2008/03/27 辻昶=訳 1992/03 を追加しました。
2007/08/12 初出稿の日本語訳(内田善孝=訳 1990/08)を追加しました。


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Monday, 16 July 2007

The Tell-Tale Heart by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「告げ口心臓」「裏切る心臓」「物言ふ心臟」

         目次 Table of Contents

  Images   グラフィック・ノヴェル、フランス語訳、DVD
 A graphic novel, a French translation and a DVD
■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 高家 2010
  (J2) 西崎 2007
  (J3) 小川(高)2006
  (J4) 金原 2006
  (J5) 李 2002
  (J6) 中野 1978
  (J7) 田中 1974
  (J8) 八木 1971, 1974
  (J9) 小川(和)1968
  (J10) 田桐 1964
  (J11) 谷崎 1948, 1956, etc.
  (J12) 江戸川 1929
  (J13) 谷崎 1929
  (J14) 小日向 1900, 1996
■ロシア語訳 Translation into Russian
 Audio  1  ポーランド語版の朗読 Audiobook in Polish
■ポーランド語訳 Translation into Polish
■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian
■チェコ語訳 Translation into Czech
■スウェーデン語訳 Translation into Swedish
■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian
■デンマーク語訳(部分) Translation into Danish (fragment)
 Audio  2  ドイツ語版の朗読 Audiobook in German
■ドイツ語訳 Translations into German
  (D1)
  (D2)
■オランダ語訳 Translation into Dutch
■ルーマニア語訳 Translation into Romanian
 Audio  3  イタリア語版の朗読 Audiobook in Italian
■イタリア語訳 Translations into Italian
  (It1) Baldini
  (It2) Arbib, 1903
■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese
  (Pt1) Portocarrero, 2007
  (Pt2) Schiller, 2004
■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan
 Audio  4  スペイン語版の朗読 Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translation into Spanish
 Audio  5  フランス語版の朗読 Audiobook in French
■フランス語訳 Translation into French
 Audio  6  英文朗読: デイヴィッド・ローレンス Read by David Lawrence
 Audio  7  英文朗読: ミスタークリーピーパスタ Read by MrCreepyPasta
 Audio  8  英文朗読: ジョーダン・ラナン Read by Jordan Lannan
 Audio  9  英文朗読: イギー・ポップ Read by Iggy Pop
 Audio 10  英文朗読: ベラ・ルゴシ Read by Bela Lugosi
 Video  1  The Tell Tale Heart (2009) by Travis Mays, Darren Walker
 Video  2  The Tell Tale Heart (2008) by Ryan Shovey
 Video  3  Der Verrückte, das Herz und das Auge (2006) by Dashuber & Jung
 Video  4  The Tell Tale Heart (2004) by Stephanie Sinclaire
 Video  5  The Tell Tale Heart by Stephen J Conley and John Dur
 Video  6  The Tell-Tale Heart (1960) by Ernest Morris
 Video  7  The Tell-Tale Heart (1953) by Ted Parmelee
 Video  8  The Tell-Tale Heart (1941) by Jules Dassin
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
■tomokilog 関連記事 Related articles from tomokilog
■更新履歴 Change log


  Images  
グラフィック・ノヴェル、フランス語訳、DVD
A graphic novel, a French translation and a DVD

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓
a. Telltale_heart b. Poe_french_3 c. Telltaleheart

■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

对!——我神经过敏,非常,非常过敏,十二万分过敏,过去是这样,现在也是这样;可您干吗偏偏说人家疯了呢饿?犯了这种病,感觉倒没失灵,倒没迟钝,反而敏锐了。尤其是听觉,分外灵敏。天上人间的一切声息全都听见。阴曹地府的种种声音也在耳边。那么怎是疯了呢?听!瞧我哦跟您谈这一切,有多精神,有多镇静。

   《泄密的心》 艾德加-爱伦-坡
   E-text at 豆瓣电影


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

對!——我神經過敏,非常,非常過敏,十二万分過敏,過去是這樣,現在也是這樣;可您干嗎偏偏説人家瘋了呢餓?犯了這種病,感覺倒沒失靈,倒沒遲鈍,反而敏鋭了。尤其是听覺,分外靈敏。天上人間的一切聲息全都听見。陰曹地府的種種聲音也在耳邊。那麼怎是瘋了呢?听!瞧我哦跟您談這一切,有多精神,有多鎮靜。

   《泄密的心》 愛倫·坡
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 高家 2010
たしかに私は、すごく、すごく神経質になっていましたし、いまでもそうだと思います。だけど、なんで、どうして私のこと、病んでるなんて言うんですか? 私は病んでなんかいません。精神が侵されているとか鈍くなっているなんて思わないでください。むしろ、鋭敏になっているのですから。特に、聴覚は、これまでにないくらい研ぎ澄まされています。天界で起きていること、地上で起きていること、ぜーんぶ耳にはいってきます。地獄の底の音だって、ほとんど……。ね、病んでなんかいないでしょう? だから、口を挟まないでいただけますか。私が病んでいるかどうかは、私がこれから語る内容を聞いてから判断してください。とても落ち着いて、論理的に話すことができるのですから。

   エドガー・アラン・ポオ=作 高家あさひ=訳 「てるてる☆はあと」
   ブログ アーカムなう。 (ミスカトニック大学留学日記) 2010-01-19


(J2) 西崎 2007
それは確かだ――神経が昂(たか)ぶっていた――とても、とても、昂ぶっていたし、いまもそうだ。けれど、なぜあんたたちは狂っていると言うのか。神経の昂ぶりは感覚を鋭敏にしただけだ――損なったわけじゃない――鈍らせたわけでもない。とくに聴覚が鋭くなった。天国の音も、地上の音も、何によらず聞き取れる。おれの耳には地獄の音さえ少なからず聞こえた。しかし、どこが狂っていると言うのだろう。あんたたちはおれの話を聞くべきだ。そうしてどれほど正気か知るべきだ――おれがどんなに冷静に一切を語るかを。

   エドガー・アラン・ポー=著 西崎憲(にしざき・けん)=訳 「告げ口心臓」
   『エドガー・アラン・ポー短篇集』 ちくま文庫 2007/05 所収


(J3) 小川(高)2006
もちろんだ! たしかに緊張した。とんでもなく神経が張りつめていた。まだおさまらない。だからといって異常だとは決めつけないでもらいたい。感覚は病気のせいで鋭くなっていたのであって、おかしくなったり鈍くなったりはしていない。それに何より聴覚が研ぎすまされていた。天地の音を聞き逃すことがなかった。地獄の音だって聞こえた。そういう人間がおかしいわけはなかろう。まあ、聞くがいい。どれだけ健全に、冷静に、語りつくせるか、とくとご覧(ろう)じろ。

   エドガー・アラン・ポー=作 小川高義=訳 「告げ口心臓」
   『黒猫/モルグ街の殺人』 光文社古典新訳文庫 2006/10 所収


(J4) 金原 2006
うそじゃない! 神経がぴりぴりしてしょうがなかったんだ。今もそうだ。だが、頭はまともだ。ただ、神経をやられて、感覚が鋭くなってしまったんだ。感覚がなくなったわけでも、鈍くなったわけでもない。とくに耳が鋭くなった。天上のことも、地上のこともすべてきこえる。地獄のことまで、あれこれきこえてくる。頭がおかしいなんてことがあるものか。まあ、きいてくれ! そして判断してくれ。落ちついて冷静に話してみるから。最初から最後までな。

   エドガー・アラン・ポー=作 金原瑞人(かねはら・みずひと)=訳 「告げ口心臓」
   R・スティーヴンスン、C・ディケンズ〔ほか〕=著
   金原瑞人=編 『英米ホラーの系譜』 ホラーセレクション9
   ポプラ社 2006/03 所収
   原文にあるルビは省略しました。


(J5) 李 2002
本当なのです。私は神経質に、それもかなり酷い神経質になっていたのでございます。それは今も続いております。それなのに、どういうわけ理由であなた様は私の気がふれているなどとおっしゃるのでしょうか? 病気のせいで神経が過敏になっていただけのことでございます。私の精神は鈍りも壊れもしてはおりません。何よりも聴覚が人一倍鋭くなっていたのです。私には天上と地上のどんな音でも聞き取ることができました。地獄の音もたくさん耳にしました。それなのに、どうして私の気がふれているのでしょうか? それなら、どうぞよくお聴きになって下さいませ。私がいかにまともに、いかに落ち着いて事の一部始終をお話できるかお聴きになるとよろしいでしょう。

   エドガー・アラン・ポー=作 李三宝=訳 「暴露させる心臓
   プロジェクト杉田玄白 正式参加テキスト 2002


(J6) 中野 1978
いかにも! 私は、——ひどい神経質、——いや、神経質も神経質、病的なまでにひどい神経質になっておりました。今もそうでございます。だが、それにしても貴下方は、なぜ私を狂人だとおっしゃりたいのでございます? 病気のために、私の感覚は、異常に鋭敏になっておりました。——駄目になるどころか、——鈍らされてもおりませんでした。とりわけ物音を聞きつける感覚は、恐ろしいほどでございました。天地の間のあらゆる物音を、私の耳は聞きました。地獄の音さえ聞きました。だが、それにしても、なぜ私が狂人なのでございましょう? お聞き下さいませ、この通り一部始終を私は立派に、常人同様に、——冷静に申し上げることができるのでございます。

   ポオ=作 中野好夫=訳 「裏切る心臓」
   『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』 岩波文庫 1978/12 所収


(J7) 田中 1974
その通りです!——神経が——そりゃもう、怖ろしく神経が立っていました、いまだって立っていますぜ! だがなぜお前さんがたは、わしを狂人(きちがい)だと言いたがるんです? その神経の病気で、わしの五官は——いいや、五官が駄目になったんじゃありません——鈍ったんでもねえ——逆に鋭くなったんです。なかでも耳が、ばかにはっきりしちまいました。空の上でも地の底でも、ありとあらゆる物音が聞えるんです。地獄の物音まで聞えました。どうです、これでもわしは狂人かね? 聴いて下さい! どのくらい尋常に、どのくらい落着いて、話の一部始終をわしが話せるか、見てやって下さい。

   エドガー・アラン・ポオ=作 田中西二郎=訳 「告げ口心臓」
   『ポオ小説全集3』 創元推理文庫 1974/06 所収


(J8) 八木 1971, 1974
ええ——神経質のなんのって——小生、まったくもってひどく神経質でしたし、げんにそうですが、だからといって、なんだってわたしを気違いとおっしゃりたいのか。病気で小生の感覚は鋭くなったものの——だめになったわけでも——にぶくなったわけでもない。とりわけ聴覚が鋭敏になって、天のこと、地のこと、なんでも聞きました。地獄のことも、たんと聞きました。となると、わたしのどこがどう狂っているのか。まずはとくとお聞きください——わたしがどんなに尋常に、どんなに冷静にことの次第を物語るかを——そして、そのうえでご判断のほどを。

   ポオ=作 八木敏雄=訳 「告げ口心臓」
   8a.世界文学全集32 ポー/ホーソン』 講談社 1974/09 所収
   8b.世界文学ライブラリー8』 講談社 1971 所収
   8c.黄金虫・黒猫・アッシャ−家の崩壊 ほか五編
      講談社文庫 1971/07 所収
   引用は 8c. に拠りました。


(J9) 小川(和)1968
いえ、本当でございます! じっさい私は神経過敏、そりゃもう、ひどく、おそろしいほど神経過敏でございましたし、いまでもそうなんでございます。しかし、どうしてまた旦那がたは、私が気違いだとおっしゃりたいんで? 病気で私の感覚はかえって鋭くなっていたんでして、滅茶苦茶になったのでもなければ、鈍(にぶ)くなったのでもございません。とりわけ聴覚が鋭くなっておりました。天の上、地の底、一切の音が聞えたのでございます。地獄の音もたんと聞きました。その私がなんで気が違っているものですか。まあ聞いてくださいまし! この通り、尋常に、冷静に、一部始終のお話が申しあげられるじゃございませんか。

   ポオ=著 小川和夫=訳 「告げ口心臓」
   『世界文学全集26 ポオ、ボオドレール集
   筑摩書房 1968 所収


(J10) 田桐 1964
いかにも仰(おお)せのとおり!――私は神経過敏だ――全く救いがたいほどの神経過敏に悩まされてきた、いや現に今だってそうなのだ。しかし、だからと言って、君は 一体 なぜこの私を気違い呼ばわりしようというのだ。病気したおかげで私の感覚はとぎすまされていた――だめになるどころか――鈍ってさえいなかった。五感のなかでもとりわけ聴覚は鋭かった。天の物音も地の物音も、私は残らず聞きつけたのだ。地獄の物音だっていろいろ聞こえたくらいなんだ。それなのに何だってこの私が気違いなんだ。まあ聞いてもらいたい! 私が一から十までどんなに理路整然と常人とおんなじに、どんなに落ち着いて話ができるか見てもらいたいものだ。

   エドガー・アラン・ポオ=作 田桐大澄(たぎり・ひさずみ)=訳 「告げ口する心臓」
   『ポオ短篇集』 八潮版・アメリカの文学 八潮出版社 1964/08 所収
   文中の太字箇所は、原文では太字でなく傍点。


(J11) 谷崎 1948, 1956, etc.
本当だ! 私は神経衰弱——非常に恐ろしく神経過敏であったし、いまもそうなのだ。それだのになぜ諸君は私を気違いだと言おうとするのか! 病気は私の感覚をただ鋭くしたのだ——いためたのでも、にぶくしたのでもない。ことに聴覚は鋭敏であった。私は天地のあらゆる物音を聞いた。地獄のさまざまの物音さえも聞いた。それだのに、どうして私は気違いであろう? まあ聞きたまえ、そしていかに健全に、いかに静かに、私がいっさいの顛末(てんまつ)を物語るかに注意したまえ。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=訳 「告げ口心臓」
   11a. ポオ小説全集1 推理小説』(全4巻) 新装版 春秋社 1998/09 所収
   11b.エドガア・アラン・ポオ全集1』(全6巻) 新装版
       春秋社 1969/10 所収
   11c.エドガア・アラン・ポオ小説全集1 推理小説』(全4巻・別巻1)
       春秋社 1962/05 所収
   11d.ポオ小説全集3 モルグ街の殺人』 春陽堂 1956 所収
   11e.ポオ小説全集3』 春陽堂 1948 所収
   引用は 11a. に拠りました。11a. の底本は 11b. です。


(J12) 江戸川 1929
さうです。——神經過敏——その時私は、實に實に世にも恐しい神經過敏症でした。いや今に到るもその通りです。けれどそれであなたは私を狂人だと仰有いますか。勿論病氣は私の神經を磨き尖らせました。然し、役に立たなくしたのでも痴呆にしたのでもないのです。中にも聽覺の鋭さと言つたら素晴らしいものでした。私は天地萬物に籠るあらゆる音を聞きました。地獄のどよめきも聞きました。それでも私を狂人と言ふんですか、まあ御聞きなさい。私が如何に正確に、どんなに平然と一部始終をお話するか御聞きなさい。

[原文は以下のとおり、総ルビです]
さうです。——神經過敏(しんけいくわびん)——その時(とき)私(わたし)は、實(じつ)に實(じつ)に世(よ)にも恐(おそろ)しい神經過敏症(しんけいくわびんしやう)でした。いや今(いま)に到(いた)るもその通(とほ)りです。けれどそれであなたは私(わたし)を狂人(きちがひ)だと仰有(おつしや)いますか。勿論(もちろん)病氣(びやうき)は私(わたし)の神經(しんけい)を磨(みが)き尖(とが)らせました。然(しか)し、役(やく)に立(た)たなくしたのでも痴呆(ばか)にしたのでもないのです。中(なか)にも聽覺(ちやうかく)の鋭(するど)さと言(い)つたら素晴(すば)らしいものでした。私(わたし)は天地萬物(てんちばんぶつ)に籠(こも)るあらゆる音(おと)を聞(き)きました。地獄(じごく)のどよめきも聞(き)きました。それでも私(わたし)を狂人(きちがひ)と言(い)ふんですか、まあ御聞(おき)きなさい。私(わたし)が如何(どんな)に正確(せいかく)に、どんなに平然(へいぜん)と一部始終(ぶしじう)をお話(はなし)するか御聞(おき)きなさい。

   アラン・ポー=作 江戸川亂歩=譯 「物言ふ心臟」
   『世界大衆文學全集30 ポー、ホフマン集
   改造社 1929/04(昭和4)所収


(J13) 谷崎 1929
本當だ! 私は神經衰弱——非常に恐ろしい神經過敏であつたし、今もさうなのだ。それだのに何故諸君は私を氣違ひだと言はうとするのか? 病氣は私の感覺をたゞ鋭くしたのだ——傷(いた)めたのでも、鈍(にぶ)くしたのでもない。就中聽覺は鋭敏であつた。私は天地のあらゆる物音を聞いた。地獄のさま/゛\の物音さへも聞いた。それだのにどうして私は氣違ひであらう? まあ聞き給へ、そして如何に健全に、如何に静かに、私が一切の顛末(てんまつ)を物語るかに注意し給へ。

   ポオ=作 谷崎精二=譯 「告げ口心臟」
   『世界文學全集11 ポオ傑作集 緋文字・其他
   新潮社(非賣品)1929/01 所収


(J14) 小日向 1900, 1996
わが極めて稀なる、神經質の男なること、何時も渝らざるが故に、我を狂へるものと言はむと欲したまふか、ことわりなきことなり。我ひとたび、重き病痾に罹りてより、神經はいやが上に、鋭くなりまさりつ、別きて聽覺の怪しきまでに、過敏となれる、天籟地籟、あらゆる物の音は、もれず、我耳に入らざるなく、地獄の鬼の、うそぶく聲をだに、聞き分くるに、難からざるがゆゑに、狂へるものとなし給ふか。毛一筋のみだれもなく、こゝろおちつきて、語る所を聽き給へ。

   小日向是因=譯 「心の音」
   14a. 川戸道昭+榊原貴教=編 ナダ出版センター=制作
       『明治翻訳文学全集《新聞雑誌編》19 ポー集』(全50巻・別巻2)
       大空社 1996/06 所収
   14b. 『帝國文學』 1900/05(明治33)収載
   初出誌は 14b.14a.14b. を複製したもの。


■ロシア語訳 Translation into Russian

Правда! Я нервный - очень даже нервный, просто  до  ужаса,  таким  уж уродился; но как можно называть меня сумасшедшим? От болезни  чувства  мои только  обострились  -  они  вовсе  не  ослабели,  не  притупились.  И   в особенности - тонкость слуха. Я слышал все, что совершалось на небе  и  на земле. Я слышал многое,  что  совершалось  в  аду.  Какой  я  после  этого сумасшедший?  Слушайте  же!  И  обратите  внимание,  сколь  здраво,  сколь рассудительно могу я рассказать все от начала и до конца.

   Эдар Аллан По. Сердце-обличитель
   "Эдгар По. Стихотворени. Проза",
   Изд-во "Худ.лит.", Москва, 1976
   E-text at Lib.Ru



 Audio 1 
「告げ口心臓」 ポーランド語版のオーディオブック(朗読) Audiobook in Polish
Serce oskarżycielem: Audiobook of German translation

Uploaded to YouTube by AudioBook PL on 21 Aug 2014


■ポーランド語訳 Translation into Polish

Bez wątpienia — jestem zbyt nerwowy, strasznie nerwowy, zawszem był taki… Na jakiej wszakże zasadzie chcecie koniecznie upatrzyć we mnie szaleńca? Choroba zaostrzyła moje zmysły — nie znicestwiła ich — nie przytłumiła. Ponad innymi zmysłami — słuch mój górował niezwykłą czujnością. Słyszałem wszystko, cokolwiek działo się w niebiosach i na ziemi. Słyszałem wieleć z tego, co się działo w piekle. Skądże mi do szaleństwa? Chwila uwagi! Baczcie jeno, z jakim nadmiarem zdrowia i pogody ducha mogę wam opowiedzieć wszystko, co się stało.

   Edgar Allan Poe. Serce — oskarżycielem
   Translated by Bolesław Leśmian
   E-text at Wolne Lektury


■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

Van-e, aki százszor is nem kapta rajta magát azon, hogy valami hitvány vagy együgyű dolgot követ el, pusztán azért, mert tudja, hogy nem volna szabad elkövetnie? Nem él-e bennünk örökösen az a hajlam, hogy legjobb belátásunk ellenére is megszegjük a törvényt, csak azért, mert tudjuk, hogy törvény? Fölébredt bennem, mondom, a csökönyösségnek ez a szelleme, hogy végképp tönkretegyen.

   A fekete macska by Edgar Allan Poe
   E-text at Olvasókuckó


■チェコ語訳 Translation into Czech

Nervy - ano, mé nervy byly a jsou stále strašlivě rozervány, strašlivě; ale proč chcete tvrdit, že jsem šílený? Choroba zbystřila mé smysly, nezničila je, neotupila. Především sluch jsem měl citlivý. Co se jen šustlo mezi nebem a zemí, všecko jsem slyšel. Slyšel jsem zvuky i ze samého pekla. Jak to tedy, že jsem šílený? Poslouchejte a sami posuďte, jak rozumně, jak chladně vám celý příběh vypovím.

   Zrádné srdce by Edgar Allan Poe
   E-text at V noci jsem snil, že jsem motýlem


■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

Sant, så sant – jag har varit och är fruktansvärt nervös, men varför påstår ni att jag är galen? Sjukdomen har skärpt mina sinnen – inte förstört – eller avtrubbat dem. Framför allt var min hörsel god. Jag hörde allting i himlen och på jorden. Jag hörde många ting i helvetet. Hur skulle jag då kunna vara galen? Hör nu på! Och observera hur normalt och lugnt jag kan berätta hela historien.

   Det skvallrande hjärtat by Edgar Allan Poe
   E-text at edstromskasbkurs.weebly.com [DOC]


■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian

Sant nok! - nervøs - veldig, veldig nervøs har jeg vært og er jeg; men hvorfor påstår du at jeg er gal? Sykdommen hadde skjerpet sansene mine - ikke ødelagt - ikke svekket dem. Fremfor alt var hørselsansen styrket. Jeg hørte alle ting i himmelen ogjorden. Jeg hørte mangt i helvete. Hvordan skulle jeg da være gal? Hør på! Å legg merke til - hvor rolig jeg kan fortelle deg hele historien.

   Sladrehjertet by Edgar Allan Poe
   E-text at Poe, Forster and T.S. Eliot in Norwegian


■デンマーク語訳(部分) Translation into Danish (fragment)

Javel, det er sandt... nervøs, ja... meget, overmåde meget, frygtelig nervøs har jeg været... og jeg er det endnu. Men hvorfor vil De absolut paastaa, at jeg er forrykt? Sygdommen har bare skærpet mine Sanser - ikke ødelagt eller forvirret dem. Frem for alt var det min Høresans. Min Evne til at høre skarpt. Jeg hørte alle Ting i Himlen og paa Jorden. Jeg kunde ogsaa høre mange Ting i Helvede. Hvorfor finder De saa paa, at jeg skulde være gal?

   [Hjertet der røbede] by Edgar Allan Poe
   Excerpt at Anne Frederiksen


 Audio 2 
「告げ口心臓」 ドイツ語版のオーディオブック(朗読)
Das verräterische Herz: Audiobook of German translation

Read by Bernd Kuschmann. Uploaded to YouTube by scyliorhinus on 3 Apr 2010.


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1)
Es ist wahr! Nervös, schrecklich nervös war ich und bin ich noch; aber weshalb soll ich wahnsinnig sein? Mein Übel hatte meine Sinne nur geschärft, nicht zerstört oder abgestumpft. Vor allem war mein Gehörsinn außerordentlich empfindlich geworden. Ich hörte alle Dinge, die im Himmel und auf der Erde vor sich gingen, und auch vieles, was in der Hölle geschah. Wie könnte ich also wahnsinnig sein? Hören Sie nur zu, wie vernünftig und ruhig ich lhnen die ganze Geschichte erzählen werde.

   Das verräterische Herz by Edgar Allan Poe
   E-text at versalia.de


(D2)
Wahr ist es: nervös, entsetzlich nervös war ich damals und bin es noch. Warum aber müßt ihr durchaus behaupten, daß ich wahnsinnig sei? Mein nervöser Zustand hatte meinen Verstand nicht zerrüttet, sondern ihn geschärft, hatte meine Sinne nicht abgestumpft, sondern wachsamer gemacht. Vor allem hatte sich mein Gehörsinn wunderbar fein entwickelt. Ich hörte alle Dinge im Himmel und auf Erden. Ich hörte viele Dinge in der Hölle. Und das sollte Wahnsinn sein? Hört zu und merkt auf, wie sachlich, wie ruhig ich die ganze Geschichte erzählen kann.

   Das schwatzende Herz by Edgar Allan Poe
   Edgar Allan Poe - Gesammelte Werke Null Papier Verlag
   Preview at Google Books
   E-text at Zeno.org


■オランダ語訳(未完) Translation into Dutch (work in progress)

Of ik zenuwachtig was? Heel, heel erg zenuwachtig was ik en dat ben ik nog steeds. Maar waarom wilt u zeggen dat ik gek ben? De ziekte had mijn zintuigen verscherpt, niet vernietigd. Bovenal was het zintuig van het horen aanwezig. Ik hoorde alle dingen in de hemel en op aarde. Ik hoorde veel dingen in de hel. Waarom dan ben ik gek? Luister! En merk op hoe gezond en hoe rustig ik u het hele verhaal kan vertellen.

   Het verraderlijke hart by Edgar Allan Poe
   A wiki-based translation under construction.
   E-text at Wikisource
   ウィキソースのサイト上で共同制作進行中の訳稿


■ルーマニア語訳 Translation into Romanian

Adevărat! Nervos, foarte, îngrozitor de nervos am fost şi sînt încă; însă de ce să susţii că aş fi nebun? Boala mi‑a ascuţit simţurile, nu mi le‑a distrus, nu mi le‑a tocit. Mai presus de toate, auzul îmi era ascuţit. Auzeam toate lucrurile din cer şi de pe pămînt. Auzeam multe lucruri din iad. Cum atunci să fiu nebun? Ascultă! Şi observă cît de normal, cît de calm îţi pot relata întreaga poveste.

   Inima care-şi spune taina by Edgar Allan Poe
   E-text at Si totusi povestile...


 Audio 3 
バルディーニによるイタリア語訳の朗読 Audiobook of the Italian translation by Baldini

Uploaded to YouTube by TheCrusius on 23 Feb 2012


■イタリア語訳 Translations into Italian

(It1) Baldini
Sul serio! Io sono nervoso, molto nervoso, e lo sono sempre stato. Ma perché pretendete che io sia pazzo? Si, è vero, la malattia ha reso più penetranti i miei sensi, ma non li ha rovinati, non li ha distrutti! Io avevo, finissimo, il senso dell'udito e ho ascoltato tutte le voci del cielo e della terra. E molte anche dell'Inferno. Come potrei esser pazzo, allora? State dunque attenti e notate con quanto giudizio e, soprattutto, con quanta calma io posso narrarvi tutt'intero il fatto.

   Il cuore rivelatore by Edgar Allan Poe
   Translated by Gabriele Baldini
   E-text at:
   * Traduzione di Gabriele Baldini
   * Letteratura - homolaicus.com


(It2) Arbib, 1903
Sì; è vero – sono nervosissimo, spaventevolmente nervoso – e lo sono stato sempre; ma perché volete pretendere ch’io sia pazzo? La malattia m’ha aguzzato i sensi, ma non li ha distrutti, non li ha ottusi. Più di tutti gli altri, avevo finissimo il senso dell’udito. Ho sentito tutte le cose del cielo e della terra. Ne ho sentite molte dell’inferno. E dite che son pazzo? State attenti! E osservate con quale precisione, con quale calma vi posso raccontare tutta la storia.

   Il cuore rivelatore by Edgar Allan Poe
   Translated by Rodolfo Arbib
   Milano : Società editrice Sonzogno, 1903
   E-text at EdgarAllanPoe.it


■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese

(Pt1) Portocarrero, 2007
É verdade! Nervoso, muito, muito nervoso mesmo eu estive e estou; mas por que você vai dizer que estou louco? A doença exacerbou meus sentidos, não os destruiu, não os embotou. Mais que os outros estava aguçado o sentido da audição. Ouvi todas as coisas no céu e na terra. Ouvi muitas coisas no inferno. Como então posso estar louco? Preste atenção! E observe com que sanidade, com que calma, posso lhe contar toda a história.

   O coração delator by Edgar Allan Poe
   Translated by Celina Portocarrero
   Os melhores contos de loucura Ediouro, 2007
   E-text at Projeto Releituras


(Pt2) Schiller, 2004
É verdade! — nervoso —, eu estava assustadoramente nervoso e ainda estou; mas por que você diria que estou louco? A doença tinha aguçado os meus sentidos —não destruído —, não amortecido. Acima de tudo, aguçado estava o sentido da audição. Eu escutava todas as coisas no céu e na terra. Eu escutava muitas coisas do inferno. Como posso estar louco? Ouça com atenção! E veja com que sanidade,com que calma sou capaz de contar a história inteira.


■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan

És cert! Sempre he sigut nerviós, molt, molt nerviós, terriblement nerviós. Però... per què afirmen vostès que estic boig? La malaltia ha esmolat els meus sentits, no els ha pas destruïts, no els ha pas esmussats. I era el sentit de l'oïda el més agut de tots. He sentit totes les coses al cel i a la terra. He sentit moltes coses a l'infern. Com puc estar boig, doncs? Escoltin... i observin amb quin seny, amb quina calma puc explicar la meva història.

   El cor delator by Edgar Allan Poe
   Translated by Felipe Ortega
   Lo Càntich. N.13. Dilogia, 2012.
   E-text at Lo Càntich


 Audio 4 
スペイン語版の朗読 Audiobook in Spanish

Uploaded to YouTube by Terror Y Nada Más on 12 Jun 2013


■スペイン語訳 Translation into Spanish

¡Es cierto! Siempre he sido nervioso, muy nervioso, terriblemente nervioso. ¿Pero por qué afirman ustedes que estoy loco? La enfermedad había agudizado mis sentidos, en vez de destruirlos o embotarlos. Y mi oído era el más agudo de todos. Oía todo lo que puede oírse en la tierra y en el cielo. Muchas cosas oí en el infierno. ¿Cómo puedo estar loco, entonces? Escuchen... y observen con cuánta cordura, con cuánta tranquilidad les cuento mi historia.

   El corazón delator by Edgar Allan Poe
   E-text at Ciudad Seva


 Audio 5 
ボードレールによるフランス語訳の朗読 Audiobook of the Italian translation by Baldini

Uploaded by pilmix12 on 20 Feb 2013


■フランス語訳 Translation into French

Vrai ! — je suis très nerveux, épouvantablement nerveux, — je l’ai toujours été ; mais pourquoi prétendez-vous que je suis fou ? La maladie a aiguisé mes sens, — elle ne les a pas détruits, — elle ne les a pas émoussés. Plus que tous les autres, j’avais le sens de l’ouïe très fin. J’ai entendu toutes choses du ciel et de la terre. J’ai entendu bien des choses de l’enfer. Comment donc suis-je fou? Attention ! Et observez avec quelle santé, — avec quel calme je puis vous raconter toute l’histoire.

  • Le Cœur révélateur by Edgar Allan Poe. Translated by Charles Baudelaire.
  • E-text at:

 Audio 6 
英文朗読: デイヴィッド・ローレンス Read by David Lawrence

Uploaded to YouTube by GreatestAudioBooks on 13 Jun 2013


 Audio 7 
英文朗読: ミスタークリーピーパスタ Read by MrCreepyPasta

Uploaded to YouTube by MrCreepyPasta on 4 Sep 2012


 Audio 8 
英文朗読: ジョーダン・ラナン Read by Jordan Lannan

Uploaded to YouTube by jordanslannan on 1 Nov 2010


 Audio 9 
朗読: イギー・ポップ Read by Iggy Pop

From the CD set: Closed on Account of Rabies: Poems and Tales of Edgar Allan Poe (1997) Disc 1


 Audio 10 
朗読: ベラ・ルゴシ Read by Bela Lugosi

ベラ・ルゴシによる「告げ口心臓」の朗読。おそらく1946〜47年ごろに録音されたと思われる。なお、このような録音が存在することは映画の國というサイトの「細川晋 世界映画DVD発見」というコラムで知りました。後日、YouTube にアップロードされたのを見つけました。

The Tell-Tale Heart read by Bela Lugosi. Uploaded to YouTube by Sally Zom Bie on 31 Oct 2011. The recording was perhaps made during the 1946-47 period. More details at lugosidvd.com, Open Culture and viewers' comments at YouTube.


 Video 1 
The Tell Tale Heart (2009) Directed by Travis Mays, Darren Walker

Uploaded by Travis Mays on Jul 14, 2010


 Video 2 
The Tell Tale Heart (2008) Directed by Ryan Shovey

Uploaded by Ryan Shovey on 18 Feb 2011


 Video 3 
Der Verrückte, das Herz und das Auge (2006) Directed by Gregor Dashuber, Annette Jung

Uploaded by Trickpiraten on 21 Aug 2013


 Video 4 
The Tell Tale Heart (2004) Directed by Stephanie Sinclaire

Uploaded by TheFilmandTVChannel on 21 Sep 2009


 Video 5 
The Tell Tale Heart Directed by Stephen J Conley and John Dur

Uploaded by Taletube1 on 16 Nov 2008. DVD is available from Amazon.com.


 Video 6 
The Tell-Tale Heart (1960) Directed by Ernest Morris

Uploaded by horrorsnark on 26 Apr  2011


 Video 7 
The Tell-Tale Heart (1953) Directed by Ted Parmelee

Uploaded by taromaru on 13 Jun 2006. Narrated by James Mason.


 Video 8 
The Tell-Tale Heart (1941) Directed by Jules Dassin

Published on 31 Oct 2012 by oobleckboy


■英語原文 The original text in English

TRUE! - nervous - very, very dreadfully nervous I had been and am; but why will you say that I am mad? The disease had sharpened my senses - not destroyed - not dulled them. Above all was the sense of hearing acute. I heard all things in the heaven and in the earth. I heard many things in hell. How, then, am I mad? Hearken! and observe how healthily - how calmly I can tell you the whole story. 


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  「てるてる☆はあと」……高家 2010
  「告げ口する心臓」………田桐 1964
  「告げ口心臓」……………西崎 2007
  「告げ口心臓」……………小川(高)2006
  「告げ口心臓」……………金原 2006
  「告げ口心臓」……………田中 1974
  「告げ口心臓」……………八木 1971, 1974
  「告げ口心臓」……………小川(和)1968
  「告げ口心臓」……………谷崎 1948, 1956, 1962, 1969, 1998
  「告げ口心臟」……………谷崎 1929
  「心の音」…………………小日向 1900, 1996
  「物言ふ心臟」……………江戸川 1929
  「暴露させる心臓」………李 2002
  「裏切る心臓」……………中野 1978


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■更新履歴 Change log

  • 2015/10/31 ベラ・ルゴシ朗読の録音へのリンクを差し替え、情報を補足しました。
  • 2014/12/02 ポーランド語版朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/09/09 スペイン語版朗読と David Lawrence による英語原書朗読の2本の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/05/27 フランス語訳の朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/03/08 スウェーデン語訳、ノルウェー語訳、デンマーク語訳(部分)、オランダ語訳(未完)、ルーマニア語訳、およびカタルーニャ語訳を追加しました。また、ベラ・ルゴシによる朗読へのリンクと The Tell Tale Heart (2008) の YouTube 動画も追加しました。
  • 2013/03/05 MrCreepyPasta による朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/11/20 つぎの2本の YouTube 画面を追加しました。
    1. Jordan Lannan による朗読
    2. The Tell-Tale Heart (1960) by Ernest Morris
  • 2012/11/19 つぎの3本の YouTube 動画を追加しました。これらのうち 2. について教えてくださった Y. M. さん、ありがとうございます!
    1. Der Verrückte, das Herz und das Auge (2006)
    2. The Tell-Tale Heart (1953) by Ted Parmelee
    3. The Tell-Tale Heart (1941) by Jules Dassin
  • 2012/08/14 もう1種類のドイツ語訳を追加しました。また、ドイツ語訳の朗読の YouTube 画面も追加しました。
  • 2012/08/08 2種類のイタリア語訳ともう1種類のポルトガル語訳を追加しました。また、イタリア語訳の朗読へのリンクを張りました。
  • 2012/07/07 ポーランド語訳を追加しました。
  • 2012/05/02 イギー・ポップによる朗読とステファニー・シンクレアによる映画の2本の YouTube 画面を追加しました。
  • 2011/12/01 高家あさひ=訳 2010-01-19 を追加しました。
  • 2011/01/24 ハンガリー語訳を追加しました。
  • 2011/01/22 ロシア語訳、ドイツ語訳、およびポルトガル語訳を追加しました。
  • 2010/04/24 アニメ映画 The Tell-Tale Heart の YouTube 動画を追加しました。また、中国語訳(簡体字)のリンクがリンク切れになっていたのを修正しました。
  • 2009/11/08 チェコ語訳を追加しました。
  • 2009/08/25 中國語譯(繁體字)を追加しました。
  • 2009/04/26 田桐大澄=訳 1964/08 を追加し、「邦題の異同」の項を新設しました。
  • 2008/12/04 李三宝=訳 2002 を追加しました。
  • 2008/01/21 小川和夫=訳 1968 を追加しました。

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八兵衛の一生

305号室に住んでいる インド象 の八兵衛(はちべえ)は、7年前から 躁うつ病 をわずらって毎週月曜日に自転車で15分ぐらいのところにある総合病院の精神科に通院している。

お医者さんは、4年まえに大学を定年で退官して、いまはこの病院に月曜と火曜だけ勤めている、74歳の 合鴨 (あいがも)だ。この先生の口ぐせは「我輩はカモである」。その真意は不明。自分はカラスやアヒルじゃなくて、誇り高い 鴨一族 の一員だとでもいいたいのだろうか。

それはともかくとして、合鴨先生によると、インド象がふつうの うつ病 になる確率は100頭につき6〜7頭。八兵衛のように躁うつ病をわずらう確率は、これよりも低くて、100頭につき2〜3頭。躁うつ病は、ふつうのうつ病よりも珍しい病気だ。

国連世界保健機関(WHO)がまとめた2005年度の統計によると、インド象の 自殺 は世界で1年間に28頭。自殺の原因は——

 1位:中東 および 南西アジア における政情の不安定、
 2位:年金 の受給など、将来にたいする経済的不安、
 3位:携帯電話もしくは iPod から発生する電磁波の影響

——だとされている。

八兵衛は、6年まえに一度だけ、マンションの8階から 飛びおり 自殺をはかったことがある。が、さいわい一命をとりとめた。3年まえから アフリカ象 のクリスティーヌと同棲(どうせい)している。彼女は 河原町今出川 西入るの 都人(みやこびと)という持ち帰り寿司のチェーン店の厨房で寿司を箱に詰める仕事をしている。アフリカ象は手先が器用なことで知られている。時給 は780円だ。

わたくし tomoki y. は3日まえ、八兵衛との単独インタビューに成功した。
「八兵衛さん、将来への抱負は?」
と質問すると、八兵衛さんが答えていわく、
「いえ、野心など何もありません。せめてインド象並みの一生を送りたいです」

おしまい
 
 
おことわり
上の文章はフィクションです。文中の人名・地名・動物名・団体名・作品名などと、同一もしくは類似の名称が実在するとすれば、それは偶然の一致もしくは類似です。ハイパーリンクは、本文の内容とは関係ありません。

2007.04.19 Tomoki Yamabayashi
 
 

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Sunday, 15 July 2007

Churchill's Black Dog by Anthony Storr アンソニー・ストー 「チャーチルの黒犬」

a. Churchills_black_dog b. 4763007106 c. B05d224b9da02d40ad6fb010

d. Young_churchill e. 417rh428d0l_ss500_ f. 36033

             ↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑  


■日本語訳 Translation into Japanese

ウィンストン・チャーチルは、彼の先祖にあたるマールボロー公爵と同じように、長い間、繰り返し発症するうつ病の発作に苦しんできた。彼の性格を理解するうえで、この重要な事実を見過ごしてはならない。チャーチルは自分のうつ病のことを「黒犬」と呼んだ。自分の病気にあだ名をつけていたのは、病気に対して友人のように慣れ親しんでいたからだ。

  • アンソニー・ストー=著 今井幹晴(いまい・みきはる)=訳 「第一章 チャーチルの黒犬 うつ病の理解にむけて」 『天才はいかにうつをてなずけたか』 求龍堂 2007/03

■英語原文 The original text in English

Winston Churchill, like his ancestor the first Duke of Marlborough, suffered from prolonged and recurrent fits of depression; and no understanding of his character is possible unless this central fact is taken into account. His own name for depression was 'Black Dog': and the fact that he had a nickname for it argues that it was all too familiar a companion.


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Saturday, 14 July 2007

Jeeves and the Impending Doom by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス「ジーヴスと迫りくる運命」「ジーヴズと白鳥の湖」

4316 4317 Pg116

           ↑ Click to enlarge ↑  

Left Very Good, Jeeves! Hardcover: Collector's Wodehouse, Overlook Press (2006)
Centre Very Good, Jeeves! First US edition by Doubleday, Doran, New York (1930). Image source: The Russian Wodehouse Society
Right P.G. Wodehouse (1881-1975) Image source: Biblia Wodehousiana
 
 
■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 森村 2006
「ふん、お前、俺の手紙は受け取ったか?」
「何の手紙だ?」
「俺の手紙さ」
「手紙なんかもらっちゃいない」
「じゃあ投函し忘れたんだな。俺がここにいてお前の従兄弟(いとこ)のトーマスの家庭教師をやってるって話だ。それで俺たちが会ったら、お前が俺をまったく見知らぬ他人として扱うってことが肝心だってことだったんだ」
「だけど、どうしてさ?」
「なぜって、もし俺がお前の友達だなんてお前の伯母さんに思われたら、当然彼女は俺をその場でクビにするだろう?」
「どうして?」
 ビンゴは眉を上げた。
「どうしてだって? 理屈を考えろ、バーティー。もしお前がお前の伯母さんで、お前がどういう種類の男かってお前が知ってたら、お前の親友だってお前が承知してる男にお前の息子の家庭教師をさせたりなんかするか?」
 こいつは僕のオツムをちょいとばかりくらくらさせる問題だったが、しばらくして僕は奴の言わんとするところを理解した。また奴の言うことにはしっかりした分別がずいぶんあると、僕は認めねばならなかっものだ。

   P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳「1. ジーヴスと迫りくる運命」
   『でかした、ジーヴス!』ウッドハウス・コレクション
   国書刊行会 2006/07 所収

   原書:
   Very Good, Jeeves! (1930) by P.G. Wodehouse
 
  
(2) 岩永+小山 2005
「へえ、でも手紙は届いたよな?」
「何の手紙?」
「ぼくの手紙」
「手紙なんてもらってないぞ」
「じゃあ、ポストに入れ忘れたんだ。こう言うつもりだったんだよ——ここできみの従弟のトーマスの家庭教師をやっているが、もし会ったときには、ぼくを赤の他人として扱うことが肝心だとね」
「でも、なぜ?」
「だって、きみの友達だと分かったら、きみの叔母さんは即刻ぼくをクビにする」
「どうして?」
 ビンゴは眉をつり上げてみせた。
「どうして? ものの道理を考えろ。もしきみがきみの叔母さんで、きみがどういう男かをきみが知ったとしたら、きみの一番の友達だときみが知っている男にきみの子供の家庭教師をきみは任せるかい?」
 ちょっと頭がくらくらしたが、ややあって意味が分かった。まあ、もっともといえばもっともだ。

   P・G・ウッドハウス=著
   岩永正勝+小山太一=編訳「ジーヴズと白鳥の湖」
   『ジーヴズの事件簿』P・G・ウッドハウス選集1
   文藝春秋 2005/05 所収
 
   原書:
   Very Good, Jeeves! by P.G. Wodehouse
   Herbert Jenkins, 1930
 
 
■英語原文 The original text in English

'Well, you got my letter.'

'What letter?'

'My letter?

'I didn't get any letter.'

'Then I must have forgotten to post it. It was to tell you that I was down here tutoring your Cousin Thomas, and that it was essential that, when we met, you should treat me as a perfect stranger.'

'But why?'

'Because, if your aunt supposed that I was a pal of yours, she would naturally sack me on the spot.'

'Why?'

Bingo raised his eyebrows.

'Why? Be reasonable, Bertie. If you were your aunt, and you knew the sort of chap you were, would you let a fellow you knew to be your best pal tutor your son?'

This made the old head swim a bit, but I got his meaning after a while, and I had to admit that there was much rugged good sense in what he said.

   Jeeves and the Impending Doom
   from Very Good, Jeeves! Chapter 1
   by P.G. Wodehouse
   This story first appeared in:
   1926/12 Strand (UK) and
   1927/01/08 Liberty (USA).

   E-text at: Tom Link's General Psychology Class at Pierce College
 
 
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Wednesday, 11 July 2007

The Story of Webster by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ウェブスター物語」「ウェブスターの物語」「猫ウェブスター氏」

■はじめに Introduction

女房の尻に敷かれる亭主のように、猫の尻に敷かれてしまった男の、おバカ話。猫の名はウェブスター。男の名はランスロット・マリナー。


■表紙画像その他 Cover photos, etc.

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Left: Mulliner Nights, original UK edition by Herbert Jenkins, London 1933. Image source: PGWodehouseBooks.com
Centre: Mulliner Nights, original US edition by Doubleday, Doran, New York 1933. Image source: P.G. Wodehouse - The Copenhagen Drones, part of the "sherlockiana.net" website in Denmark.
Right: Wodehouse Playhouse: Series 1 (1975), first of the 3-box sets, Region 1, DVD release: 2003


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 堀内 1991
 友人たちの葉巻を見ると、ランスロットは見間違えようもない懸念を示した。
「そいつを捨ててくれるだろうね」ランスロットは訴えるようにいった。
 ロドニー・スコロップはやや尊大な態度で背筋を伸ばした。
「いったいいつから、チェルシー最高の四ペンスの葉巻が、きみにふさわしくなくなったのかね」
 ランスロットはあわてて彼をなだめようとした。
「ぼくじゃないんだ。ウェブスターなんだよ。ぼくの猫だ。彼がタバコの煙を嫌っているのがわかってるものでね。彼の見解に敬意を表して、ぼくもパイプをあきらめたんだ」
 バーナード・ウォープルは鼻を鳴らした。
「きみがいわんとしているのは、つまりなにか」ウォープルは嘲(あざけ)った。「ランスロット・マリナーがやっかいものの猫に、いいようにされてるってのか」
「静かに!」ランスロットがふるえながら声をあげた。「彼は悪口が好きじゃないんだ」

   P・G・ウッドハウス=著 堀内静子=訳「ウェブスターの物語」
   レスリー・オマーラ=編『気ままな猫の14物語
   二見書房 1991/01 所収
 
   原書:
   Best Cat Stories
   by Beryl Reid et al. Illustration by William Geldart
   Hardcover: Michael O'Mara Books (1989/09)


(2) 宮脇 1990
 友人たちが葉巻を取り出すのを見て、ランスロットは不安げな表情を浮かべた。
「すまないが、葉巻はやめてもらえないだろうか」哀願するように彼はいった。
 ロドニー・スコルプは、少しむっとして背筋を伸ばした。
「するときみは、チェルシーの四ペンス葉巻なんて馬鹿ばかしくて吸えないというのかい? いつからそうなったんだ」
 ランスロットはあわてて弁解した。
「ぼくじゃないんだ、ウェブスターだよ。猫のウェブスターだ。彼はタバコの煙が嫌いなんだ。仕方ないから、ぼくだってパイプをふかすのはやめたんだよ」
 バーナード・ウォープルは軽蔑したように鼻を鳴らした。
「じゃあ、きみは——ランスロット・マリナーは、たかが猫一匹のいいなりになっているというのか?」
「声が大きい!」と、震えながらランスロットは叫んだ。「ウェブスターは汚ない言葉に敏感なんだ」

   P・G・ウッドハウス=著 宮脇孝雄=訳「ウェブスター物語」
   * ドロシー・L・セイヤーズ〔ほか〕=著
    『ネコ好きに捧げるミステリー ベストセレクト12選
    光文社文庫 1990/11 所収
   * 初出誌:『EQ』1990年3月号


(3) 柳瀬 1980, 1990
 友人たちの葉巻を見るや、ランスロットはまぎれもない迷惑顔になった。
「それ、捨てちゃってくれないかな、できれば」彼は頼みごとをするみたいにいった。
 ロドニー・スコロップは少しばかり高飛車に出た。
「ということは、いつから」と彼は質(ただ)した。「チェルシー最高四ペニーの葉巻がきみの害になりはじめたんだい?」
 ランスロットはあわてて取りなした。
「ぼくじゃないんだ」彼はいった。「ウェブスターさ。ぼくの猫さ。たまたま煙草の煙が嫌いだってことがわかってね。彼の見解を尊重して、ぼくもパイプはやめたんだ」
 バーナード・ウォープルは鼻を鳴らした。
「すると、つまりは」彼はあざけるようにいった。「ランスロット・マリナーともあろう者が、たかが猫畜生のために身をささげるってわけかい?」
「やめてくれ!」ランスロットはふるえながらいった。「彼は荒い言葉づかいが大嫌いなんだから!」

   P・G・ウッドハウス=著 柳瀬尚紀=訳「ウェブスターの物語」
   柳瀬尚紀=編訳『猫文学大全』
   * 単行本:大和書房 1980/07 所収
   * 文庫:河出文庫 1990/02 所収
   この本は、下の原書から16篇を選んで訳出したもの。
 
   原書:
   The Book of Cats, edited by George MacBeth and Martin Booth
   * First edition published by Martin Secker & Warburg (1976)
   * Paperback: Penguin Books (1979)
   * Detailed information of this book, including a table of contents,
    can be found at the Internet Book List (IBList).


(4) 長谷川 1939
 客が葉卷を吸つてゐるのを見て、ランスロツトは紛れもなく氣にする樣子を出した。
『濟まないが、そいつは捨てて貰へるだらうね』彼は頼む樣に云つた。
 ロドニー・スコロツプは一寸威丈高に成つて尋ねた。
『おい、一本四ペニイでは極上の葉卷が、君には何時からお氣に召さなくなつたんだ』
 ランスロツトは慌てて相手の氣を取直さうとした。
『僕ぢやないんだ』彼は云つた。『ウエブスターなんだ。うちの猫なんだ。煙草の煙を厭がる事が判つてね。僕も彼の見解に從つてパイプをやめたんだよ』
 バーナード・ウオープルが鼻息を荒くした。
『ランスロツト・マナリー[ママ]ともあらうものが』彼は冷笑した。『小猫一匹の獨裁に甘んじようなどと箆棒を云うのか』
『おい、頼む』
 ランスロツトは震へながら叫んだ。『うちの猫は亂暴な言葉が嫌ひなんだ』
[箆棒は「べらぼう」と読みます - tomoki y.]

   P・G・ウッドハウス=著 長谷川修二=譯 「猫ウェブスター氏」
   『玉子を生む男』P・G・ウッドハウスユーモア傑作集
   東成社 定價壹圓參拾錢 1939/11(昭和14)所収


■イタリア語訳 Translation into Italian

  Alla vista del sigaro degli amici, Lancelot espresse inequivocabilmente il suo disappunto.
  «Non vi dispiace gettarli via, vero?» chiese con aria supplichevole.
  Rodney Scollop assunse un’aria stizzita.
  «E da quando in qua i migliori sigari da quattro penny di Chelsea non ti piacciono più?».
  Lancelot si affrettò a placarlo.
  «Non è per me», spiegò, «ma per Webster, il gatto. Il fumo lo infastidisce. Per rispetto nei suoi confronti ho addirittura rinunciato alla pipa».
  Bernard Worple sbuffò.
  «Stai tentando di farci credere», lo schernì, «che Lancelot Mulliner si fa dettar legge da un dannato gatto?»
  «Taci!» gridò Lancelot tremante, «se sapessi come disapprova le parole rudi!»

   Storia di Webster by P. G. Wodehouse
   Grandi Storie di Gatti 2
   Translated by Adria Francesca Tissoni
   Gruppo Editoriale Armenia S.p.A.
   E-text at Scribd


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

  Ao ver os charutos dos amigos, Lancelot deu mostras inconfundíveis de preocupação.
  - Tenho a certeza de que vocês não se importam de apagar os charutos - disse ele em tom suplicante.
  Rodney Scollop ergueu a cabeça altivamente.
  - E desde quando - perguntou - é que os melhores charutos de Chelsea, a quatro pence cada, não são suficientemente bons para ti?
  Lancelot apressou-se a acalmá-lo.
  - Não sou eu - exclamou. - É o Webster, o meu gato. por acaso sei que ele é contra o fumo do tabaco. tive de desistir do meu cachimbo por deferência para com as opiniões dele.
  Bernard Worple resmungou:
  - Estás a querer dizer-nos - disse desdenhosamente - que Lancelot Mulliner permite que um maldito gato lhe dê ordens?
  -Chiu...! - gritou Lancelot, tremendo. - se soubessem como ele detesta que se fale mal!

   A História de Webster by P. G. Wodehouse
   As Melhores Histórias de Gatos edited by Lesley O'Mara
   Porto : Asa, 1995
   E-text at Scribd


■英語原文 The original text in English

  At the sight of his friends' cigars, Lancelot exhibited unmistakable concern.
  "You don't mind throwing those away, I'm sure," he said pleadingly.
  Rodney Scollop drew himself up a little haughtily. "And since when," he asked, "have the best fourpenny cigars in Chelsea not been good enough for you?"
  Lancelot hastened to soothe him.
  "It isn't me," he exclaimed. "It's Webster. My cat. I happen to know he objects to tobacco smoke. I had to give up my pipe in deference to his views."
  Bernard Worple snorted.
  "Are you trying to tell us," he sneered, "that Lancelot Mulliner allows himself to be dictated to by a blasted cat?"
  "Hush!" cried Lancelot, trembling. "If you knew how he disapproves of strong language!"

   The Story of Webster
   from Mulliner Nights (1933) by P.G. Wodehouse
   First published as The Bishop's Cat, in:
   * February 1932 edition of The American Magazine (USA), and
   * May 1932 edition of The Strand magazine (UK)


■更新履歴 Change log

2011/11/27 イタリア語訳とポルトガル語訳を追加しました。
2010/11/23 英語原文のテキストを挿入しました。


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参院選出馬をご予定のみなさまへ

拝啓 初夏の候ますます御清祥のこととお喜び申し上げます。

さて、私儀は、きたる7月29日の参議院議員選挙において、いわゆる「無党派層」ないしは「浮動票」に属する1票を投じようとしている者でございます。「無党派層」のプライドにかけても、わたくしは柔軟な判断をくだし、臨機応変な投票をいたします。つまり、どの候補者のかたに対しても、票を投じる用意がございます。

ただし、つぎのような候補者のかたには投票いたしません。

「◯◯◯◯本人がお願いに参っております! どうか◯◯◯◯を、なにとぞ!なにとぞ、よろしくお願いいたします!!」

毎度おなじみの、あの決まり文句を選挙カーから絶叫なさる候補者のかた、あなたには断じて投票いたしません。視覚障害者や文盲のかたがたのためには、あのような陳腐で不快な大音量戦術もやむを得ないのだ——そう自己弁護なさる候補者のかた、あなたには同意いたしません。

独創性の乏しい絶叫のかわりに、拙宅への訪問を検討なさっては、いかがでしょうか。わたくしの銀行の口座番号をお知らせします。お振込くださるだけで結構です。体力の消耗と声帯への負担を軽減することができます。お茶ぐらいはお出しします。

それでは、候補者のみなさま、わたくしたち「無党派層」有権者を、最後の最後まで、なにとぞ、なにとぞ! よろしくお願いいたします!!  敬具

tomoki y.

追伸:
「最後の最後」というのは、もちろん選挙日当日の投票の瞬間まで、という意味ではありません。「最後の最後」とは、つぎの改選時、もしくは議員本人の辞任・失格・自殺・他殺, etc.、もしくは任期満了まで(=これらのうち、いずれかの事由が最初に発生したときまで)のことです。

二伸:
「無党派層」のプライドにかけても、わたくしは、どなたに1票を投じたかは、脅迫・拷問されないかぎり、決して公表いたしません。もちろん、あなたであれ、ほかの候補者のどなたに対してであれ、票を投じることについての、明示/黙示(発話, 文言, 表情, 身ぶり, etc.)のお約束をすることは、断じてありません。候補者のかた、あなたはわたくしに対して、見かえりを期待しない、純粋で善意の清い金銭の贈与をおこない、わたくしはそれをただ受けとって、消費・貯蓄ないし運用するだけです。したがって、贈収賄あるいは公職選挙法違反の容疑は、けっして生じる恐れがありません。どうぞご安心ください。
 
 

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Sunday, 08 July 2007

Tom Quartz by Mark Twain マーク・トウェイン「トム・クォーツという猫」

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           ↑ Click to enlarge ↑  
 
Left: Tom Quartz.
Centre: An advantage taken.
Right: After an excursion.
All the three images taken from Roughing It, Electronic Text Center, University of Virginia Library
 
 
■日本語訳 Translations into Japanese

西部開拓時代、カリフォルニアの金鉱。ディック・ベイカーという男が、むかし飼っていた猫、トム・クォーツについての思い出を語る——

(1) 木内 1998
(……)導火線に火をつけてから穴から這い出て五十ヤードくらい離れたんだ——ところがよ、トム・クウォーツが袋にうずくまって寝てるのをうっかり忘れてそのままにしてきちまった。そんとき穴から煙がボンって吹きでたんだ。すげえ爆発で、なんでもかんでもすっとんだ。だいたい四百万トン分の岩と泥と煙とごみが空中高く一マイル半ぶっとんだ。おったまげたのはよ、そのごみのまん真んなかによ、あのトム・クウォーツがくるくるまわりながら上がってくんだ。鼻息荒くしてくしゃみしたりもがいたり、なんだか夢中になってなにかにしがみつこうとしてたな。(……)

   マーク・トウェイン=著 木内徹(きうち・とおる)=訳
   「第61章 トム・クウォーツという猫」
   『西部放浪記(下)』マーク・トウェイン コレクション11-B
   彩流社 1998/11 所収
 
 
(2) 青木 1995
(……)おれたちは、導火線に火をつけて穴からはい出し、五十ヤードほども離れたところに陣取った。麻袋の上でぐっすり眠っていたトム・クォーツのことはすっかり忘れちまったんだ。一分ほどたつと、穴からぱっと煙が吹き上がるのが見えて、それから、ものすごい音がして何もかもが吹っ飛び、四百万トンほどの岩やら土や煙やら木の破片やらが、一マイル半ほども空に吹き上げられた。しまった、そのど真ん中で、トム・クォーツがくるくる回って飛んでいたんだ。鼻からフウフウ息をして、くしゃみをしながら、そばにあるものをつかもうと気が狂ったように手足をのばしながらな。(……)
 
   マーク・トウェイン=著 青木榮一(あおき・えいいち)=訳
   「ディック・ベイカーの猫」
   クリーヴランド・エイモリー=編 ロビン・アップワード〔ほか〕=写真
   『お気に入りの猫物語—世界の猫文学10選
   ディーエイチシー (DHC) 1995/12 所収
 
   原書:
   Cat Tales: Classic Stories from Favorite Writers,
   edited by Cleveland Amory, photographed by Robin Upward et al.
   * Paperback: Studio (1993)
   * Hardcover: Viking Press (1989)
 
 
(3) 勝浦 1993
(……)導火線に火をつけて這い出し、五十ヤードばかり離れた所まできて——そこでやっと気がついた。つまり、南京袋にくるまってぐっすり寝こんでるトム・クォーツを置いてきぼりにしちまったのよ。およそ一分ばかりして、パッと一条の煙が穴から上った次の瞬間、おっそろしい大音響と一緒に何もかも吹っ飛んじゃった。見れば四百万トンもあろうかという大岩と、それに土塊やら、もうもうたる煙に岩の細片が一マイル半ほども空中に吹き上がった。ああ、なんてことよ、そのどまん中に、俺が大事にしているトム・クォーツがクルリクルリ宙返りをしながら飛んでるんだ。ニャンニャン、ギャーギャー鳴いたり叫んだり、無我夢中で何かにつかまろうってんで手足を伸ばしてた。(……)
 
   マーク・トウェイン=著 勝浦吉雄(かつうら・よしお)=訳
   「19 トム・クォーツ」
   『マーク・トウェイン短編全集(上)』(全3巻)
   文化書房博文社 1993/11 所収
 
 
(4) 須山 1980
(……)おれたちは導火線に火をつけて、穴から出て、五十メートルばかりはなれた。トム・クォーツがナンキン袋の上でぐっすり眠っていたことはすっかり忘れて、そのままにしてきてしまった。一分ほどすると、煙が穴から噴きあがるのが見えて、それから轟音とともにいっさいが吹っ飛んだ。四百万トンばかりの岩と、土と、破片が二、三千メートルも空中に吹きあがった。そして、なんと、そのどまんなかにトム・クォーツのやつが引っくりかえしになって、鼻を鳴らし、くしゃみをし、まったく悪魔に取りつかれたように手あたり次第に何かをつかまえようとしていた。(……)
 
   マーク・トウェイン=著 マックスウェル・ガイスマー=編
   須山静夫(すやま・しずお)=訳 ジャン-クロード・スワレス=絵
   「トム・クォーツ」
   『マーク・トウェイン動物園』晶文社 1980/05 所収

   原書:
   The Higher Animals: A Mark Twain Bestiary
   edited by Maxwell Geismar, with drawings by Jean-Claude Suares
   Hardcover: Crowell (1976)
 
 
(5) 鍋島 1959
(……)俺たちは道火(みちび)に火をつけて、這い出して五十ヤードぐらい離れたところが、トム・クォーツは麻袋の上にぐっすり寝込んだままに置いてきてしまったんだ。五分ばかりで、煙がもくもく穴から立ち上るのが見えると何もかも恐ろしくドカンとやられ、四百万トンばかりの岩と土や煙や破片が一マイル半ぐらい空中に吹き上げられたが、本当にそのど真んなかに、年とったトム・クォーツがいて、死にそうにになって、鼻を鳴らしたり、くしゃみをしたりして、一生懸命に何かに爪を立ててとどこうとしていた。(……)
 
   マーク・トウェーン=著 鍋島能弘(なべしま・よしひろ)=訳
   「トム・クォーツ」
   『マーク・トウェーン短篇全集1
   鏡浦(かがみうら)書房 1959/05 所収
 
 
■蛇足
じつは、このあとのトムくんの顔つきと態度がよいのです - tomoki y.
 
 
■英語原文 The original text in English

(...) An' then we lit the fuse 'n' clumb out 'n' got off 'bout fifty yards -- 'n' forgot 'n' left Tom Quartz sound asleep on the gunny sack. In 'bout a minute we seen a puff of smoke bust up out of the hole, 'n' then everything let go with an awful crash, 'n' about four million ton of rocks 'n' dirt 'n' smoke 'n; splinters shot up 'bout a mile an' a half into the air, an' by George, right in the dead centre of it was old Tom Quartz a goin' end over end, an' a snortin' an' a sneez'n', an' a clawin' an' a reachin' for things like all possessed. (...)

   Tom Quartz
   from Roughing It, Chapter 61
   by Mark Twain

   E-text at:
   * Electronic Text Center, University of Virginia Library
   * World Wide School
   * Project Gutenberg
   * Whitewolf
 
 
■更新履歴 Change log

2007/07/10
勝浦吉雄=訳 1993/11、および鍋島能弘=訳 1959/05 を追加しました。

2007/07/09
「蛇足」を書き加えました(苦笑)
 
 
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(1) 猫文学

(2) マーク・トウェイン『西部放浪記』

(3)『マーク・トウェイン動物園』

 
 

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Thursday, 05 July 2007

パーッが好きなの

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Image source: たまご日記
 
 
あたしは パーなの
あたしは くるくるパー
じゃんけんは グー・チョキ・パー
お酒は オールド・パー
バイオレンス映画は サム・ペキンパー(←って知ってる?)

あたしは パーな女
あたしは パーが好きな女
あたしのアイドルは クレージーキャッツ植木等
さあ、パーッと行ってみよう! と植木等は言った—— 逝っちゃった けど

パーッと行くって どう行くの?
パーッと行く行き方にも いろいろあるんだってよ

パーッとお金を使う のもパーッとした感じ
パーッとお酒を飲む のもパーッとした感じ
でも、それだけ? eh?

パーッとお金を使う -- Okay
パーッとお酒を飲む -- All right
そして そして そして
パーッと酔っぱらう これが第3のパーッとした感じ

第3のパーッとした感じは 『第三の男』のように
ミステリアスで はじめ すぐには正体を現わさない
第3のパーッとした感じは 『第三の男』のように 
いったん登場すると 主役に躍り出て 
第1のパーッとした感じや 第2のパーッとした感じも タジタジ

第3の 第3の 第3の 
パーッとした感じ。パーッとした感じ。パーッとした感じ。

あたしは
第3のパーッとした感じが好きな 
くるくるパーの 
パーッとした女なの
 
 
Tomoki Yamabayashi
 
 
■更新履歴 Change log

2007/07/07
文中の「って知ってる?」を「←って知ってる?」に、「死んじゃった」を「逝っちゃった」に、それぞれ修正。

2007/07/05
修正を加えたのち、tomokilog にアップロード。

2003/02/06
もとのテキストを作成。
 
 

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Tuesday, 03 July 2007

花の咲く季節に わたしは死んだ

060627_10420001
 
 
   花の咲く季節に わたしは死んだ

花の咲く季節に わたしは死んだ
わたしの死体は 顔も胴体も そしてバラバラになった手足も
損傷が はなはだしかった

それは わたしの遺体というよりは むしろ
かつて わたしであったものの 切れ端の 寄せ集めだった
親兄弟でさえも それが わたしであると識別することができなかった

母は わたしを産んだときに切った へその緒を
小さな箱に入れて 家のタンスにしまっていた

DNA鑑定を行なった結果 かろうじて
その肉の切れ端たちの収まった容器に貼られたラベルには
わたしの氏名が記入された

花の咲く季節に わたしは死んだ
あれから 何年経つだろう
わたしは いま じぶんがどこにいるのか わからない
花は いまもまた 咲いている


2006.01.26 Tomoki Yamabayashi
 
 

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Evelyn Waugh "Decline and Fall" 018

Waugh3
Evelyn Waugh arriving in America, Jan. 1947.
Image source: The New York Times on the Web
Copyright 1999 The New York Times Company
 
  
■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 
   第二章 ラナバ城
 
 ラナバ城はバンガー国道の方から近づくか、海岸の道路の方から近づくかによって、まったく違った顔をみせる。裏手から見ると、それはどこにでもある大きな田舎屋敷で、窓がずらりと並び、石畳の庭があり、温室が行列し、平凡さを絵にしたような台所の建物の屋根がむやみにたくさん木々のあいだに溶けこんでいるというだけのこと。しかし正面から見ると——ラナバ駅を出るとこの正面が見えるわけである——威風堂々たる中世建築だ。正門にたどりつくまえに、突出し狭間(はざま)のある城壁にそって最低一マイルは車で走らなくてはならない。しかも正門には大小の塔があり、紋章動物の装飾がほどこされ、今でも動く落し格子まである。そこを抜けると並木道になっていて、その奥に、難攻不落の中世の城を絵に画いたようなラナバ城が佇立(ちょりつ)しているのである。
 この相当にあざといチグハグの理由を説明するのは簡単だ。一八六◯年代に綿花飢饉が起ったころ、ラナバ屋敷を所有していたのは、ランカシャーの裕福な紡績工場主であった。この工場主の夫人というひとは、従業員が飢えているのを座視していられなかった。そこで娘たちと協力して、彼らのために小さな慈善市を開いたりした(ただし、はかばかしい成果はあがらなかった)。夫の方はと言えば、進歩派の経済学者の書くものを読んでいて、収益無しの払い捨てということは考えることすらできなかった。そこで、「啓かれた自己利益主義」が導入されることになる。紡績工場で働いていた人々がここの領地に連行されて、建物のまわりの土地に壁をつくり、近くの石切り場でとれる大きな石塊で屋敷の表(おもて)を飾る仕事をさせられたのだ。やがてアメリカの南北戦争が終ると彼らは工場に戻り、ラナバ屋敷の方は、ひどく安上りの大普請の功あって、ラナバ城に変身したという次第である。

   イーヴリン・ウォ−=作 富山太佳夫=訳
   『大転落』岩波文庫 1991年6月
 
 
(J2)
   第二章 ラナバ城
 
 ラナバ城はバンガー国道から近づくか、海岸道路から近づくかによって大いに異った二つの様相を見せる。裏手から見ると貴族の田舎の大邸宅と変りない。たくさんの窓、テラス、一連の温室、それに無数のこれといった特徴のない台所の建物の屋根が木立ちの間に消えている。しかし表側から見ると——ラナバ駅から近づく場合はそちらからであるが——それはおそろしく中世風である。車で門に着くまでに、はね出し狭間のついた塀が少くとも一マイルは続いている横を通って行く。門にはやぐらがそびえ小塔があり、動物をかたどった紋章があしらってあり、動くつるし門がついている。門をくぐって並木道の果てに城が立っている、中世の難攻不落の手本みたいに。
 この際立った対照のわけは簡単に説明できる。一八六◯年代の綿不足の頃、ラナバ邸はランカシャーの富裕な紡績工場主が所有していた。彼の妻は職工達が飢えるのをみていられなかった。実際娘達と一緒に職工を救援するバザーを組織したほどである、
もっとも大した実質的な効果があがったわけではない。夫は自由主義経済学者の説を読んでいたので、正当な代償なしに金を出すことなど考えられなかった。そこで「目覚めた私利心」から一計を案じた。庭苑に職工達の飯場をこしらえ、近くの石切場から切り出した大きな石で所有地に塀をめぐらし、また建物の表張りをする仕事をさせたのである。アメリカの南北戦争が終ると職工はまた工場にもどった。大量の労働が安い賃銀でなされた後に「ラナバ邸」は「ラナバ城」になったわけである。

   イーヴリン・ウォ−=作 柴田稔彦=訳
   『ポール・ペニフェザーの冒険』福武文庫 1991年4月
 
 
■英語原文 The original text in English

  Chapter II Llanabba Castle

Llanabba Castle presents two quite different aspects, according as you approach it from the Bangor or the coast road. From the back it looks very much like any other large country house, with a great many windows and a terrace, and a chain of glass-houses and the roofs of innumerable nondescript kitchen buildings, disappearing into the trees. But from the front -- and that is how it is approached from Llanabba station -- it is formidably feudal; one drives past at least a mile of machicolated wall before reaching the gates; these are towered and turreted and decorated with heraldic animals and a workable portcullis. Beyond them at the end of the avenue stands the Castle, a model of medieval impregnability.
  The explanation of this rather striking contrast is simple enough. At the time of the cotton famine in the sixties Llanabba House was the property of a prosperous Lancashire millowner. His wife could not bear to think of their men starving; in fact, she and her daughters organized a little bazaar in their aid, though without any very substantial results. Her husband had read the Liberal economists and could not think of paying without due return. Accordingly 'enlightened self-interest' found a way. An encampment of mill-hands was settled in the park, and they were put to work walling the grounds and facing the house with great blocks of stone from a neighbouring quarry. At the end of the American war they returned to their mills, and Llanabba House became Llanabba Castle after a great deal of work had been done very cheaply.

   Decline and Fall by Evelyn Waugh
   First published by Chapman & Hall 1928
   Published in Penguin Books 1937
   Excerpt based on Penguin's Evelyn Waugh Centenary Edition 2003
 
 
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