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Monday, 16 July 2007

八兵衛の一生

305号室に住んでいる インド象 の八兵衛(はちべえ)は、7年前から 躁うつ病 をわずらって毎週月曜日に自転車で15分ぐらいのところにある総合病院の精神科に通院している。

お医者さんは、4年まえに大学を定年で退官して、いまはこの病院に月曜と火曜だけ勤めている、74歳の 合鴨 (あいがも)だ。この先生の口ぐせは「我輩はカモである」。その真意は不明。自分はカラスやアヒルじゃなくて、誇り高い 鴨一族 の一員だとでもいいたいのだろうか。

それはともかくとして、合鴨先生によると、インド象がふつうの うつ病 になる確率は100頭につき6〜7頭。八兵衛のように躁うつ病をわずらう確率は、これよりも低くて、100頭につき2〜3頭。躁うつ病は、ふつうのうつ病よりも珍しい病気だ。

国連世界保健機関(WHO)がまとめた2005年度の統計によると、インド象の 自殺 は世界で1年間に28頭。自殺の原因は——

 1位:中東 および 南西アジア における政情の不安定、
 2位:年金 の受給など、将来にたいする経済的不安、
 3位:携帯電話もしくは iPod から発生する電磁波の影響

——だとされている。

八兵衛は、6年まえに一度だけ、マンションの8階から 飛びおり 自殺をはかったことがある。が、さいわい一命をとりとめた。3年まえから アフリカ象 のクリスティーヌと同棲(どうせい)している。彼女は 河原町今出川 西入るの 都人(みやこびと)という持ち帰り寿司のチェーン店の厨房で寿司を箱に詰める仕事をしている。アフリカ象は手先が器用なことで知られている。時給 は780円だ。

わたくし tomoki y. は3日まえ、八兵衛との単独インタビューに成功した。
「八兵衛さん、将来への抱負は?」
と質問すると、八兵衛さんが答えていわく、
「いえ、野心など何もありません。せめてインド象並みの一生を送りたいです」

おしまい
 
 
おことわり
上の文章はフィクションです。文中の人名・地名・動物名・団体名・作品名などと、同一もしくは類似の名称が実在するとすれば、それは偶然の一致もしくは類似です。ハイパーリンクは、本文の内容とは関係ありません。

2007.04.19 Tomoki Yamabayashi
 
 

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