« クロちゃんとトールのカフェ・ラテ | Main | Jeeves and the Unbidden Guest by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ジーヴスと招かれざる客」「君子豹変談」 »

Sunday, 05 August 2007

三遊亭円朝〔ほか〕 『怪談牡丹燈籠』『牡丹灯籠』 Botan Doro / The Peony Lantern

 Video 1 
シネマ歌舞伎 『怪談 牡丹燈籠』 (2009)
Shinema kabuki kaidan: Botan doro (2009)

2009年夏、東京・東劇、大阪・なんばパークスシネマほかで公演。演出:戌井市郎 出演: 片岡仁左衛門(伴蔵)、坂東玉三郎(お峰)、片岡愛之助(萩原新三郎)、中村七之助(お露)ほか。詳細は松竹公式サイト。 Uploaded to YouTube by SHOCHIKUch on 17 Dec 2009. Directed by Ichiro Inui.


 Video 2 
怪談・牡丹燈籠 もっともっと、愛されたかった。(2007) 予告篇
Kaidan botan dourou: Motto motto aisaretakatta (2007) Trailer

監督: 吉田剛也 総括プロデューサー: 大沢樹生 出演: 大沢樹生(新三郎)、高木りな(お露)、坂口良子(お米)ほか DVDはAmazon.co.jpで Directed by Takeya Yoshida. Starring Mikio Ohsawa, Rina Takagi, and Ryoko Sakaguchi. Uploaded to YouTube by mameta2007 on 2 Aug 2007.


 Video 3 
稲川淳二のショートホラーシネマ 伝説のホラー (2003) から 「牡丹燈籠」 英語字幕
Peony Lamp from Inagawa Junji no densetsu no horror (Video 2003)

監督: 矢田清巳 ホスト: 稲川淳二 出演: 青井敏之(新三郎)、大河内奈々子(お露)ほか このシリーズの詳細はロンリーBIGI。DVDはAmazon.co.jpで。字幕: 英語 Director: Kiyomi Yada. Storyteller: Junji Inagawa. Starring Toshiyuki Aoi (Shinzaburo) and Nanako Okochi (Otsuyu). More info on this series at SaruDama. Uploaded to YouTube by KuljeetChauhan on 26 Jun 2010. Subtitles in English.


 Video 4 
稲川淳二のショートホラーシネマ 伝説のホラー (2003) から 「牡丹燈籠」 スペイン語
La lámpara de peonia from Inagawa Junji no densetsu no horror (Video 2003)

ビデオ3とおなじ映像。字幕: スペイン語 Uploaded to YouTube by Zhirokun on 7 Feb 2012. The same video as Video 3. Subtitles in Spanish.


■現代日本語の落語 Rakugo adaptations in contemporary Japanese

(1) 五代目志ん生 1995, 2006
「大変だ先生っ」
「どうした」
「どうしたってねえ、ええっ、あっしは驚いた、今夜ねえ、わきで一杯飲んで遅くなち[ママ]ゃって家へ帰(け)えろうと思ったら、萩原(はぎわら)の旦那の所で女の声がすんだい……、ええっそれからあっしはずっと覗(のぞ)いて見たんでい」
「そんなことするんじゃない。おおきなお世話だ。ええっ、萩原さんは金が有るし、男はいいし、女の来るくらい当たり前だ」
「いや、当たり前だけどもさあ、ええ、気になるからこっちは覗いて見たら、そりゃあいい女なんですから、ええ、それでもって、あの何だ萩原様に
『あなたはあたしの夫でございます……』
 なんてこと言ってやがんだよ。俺はもう癪(しゃく)にさわっちゃって、勝手にしやがれほんとうにもう……、いくらいい女だってどろぼうめ……と思って見ると、その女はね腰から下が全然無(ね)え。あっ、と思ってわきを見るとわきで蚊を追ってる女中というのがやっぱり腰から下が無えから、〈こりゃっ〉っと思ったらもう口がきけなくなっちゃった……。先生……、あっ、あれは何でしょうねっ、ありゃあ……」
「うーん、そりゃあほんとうか……」
[ルビを一部省略しました - tomoki y.]

   1a. 五代目・古今亭志ん生 小島貞二=監修 「牡丹灯籠〜お札はがし〜」
      さねとうあきら、岡本綺堂〔ほか〕=著 赤木かん子=編
      『牡丹灯籠』 ホラーセレクション1(全10巻)
      ポプラ社 2006/03 所収
   1b. 五代目・古今亭志ん生=述 小島貞二=聞き手・監修
      岡本和明=企画・構成
      『これが志ん生だ! 別巻1』 江島屋騒動・牡丹灯籠 お札はがし
      三一書房 1995/07 所収
   1a.1b. を再録したもの。引用は 1a. に拠りました。
   五代目志ん生の演じた「牡丹灯籠」の録音を収めたCDには、たとえば、
   『五代目古今亭志ん生名演大全集10』 ポニーキャニオン
   (規格番号:PCCG-702) 2005/10 があります。
   「牡丹燈籠—お露新三郎」「牡丹燈籠—お札はがし」「小噺」を収録。


(2) 円朝 1982
伴蔵 先生萩原さまは大変ですよ。
勇斎 どうかしたか。
伴蔵 どうかしたの何のという騒ぎじゃございやせん、毎晩女が泊りに来ます。
 ところがねえ、その女が唯の女じゃアないのだ。幽霊と一緒に寝れば萩原様は
 死にましょう。
勇斎 それは必ず死ぬ(……)

   三遊亭円朝=作 「怪談牡丹燈籠」
   井上ひさし=編 『怪談牡丹燈籠・天衣紛上野初花
   カラーグラフィック 学研版 明治の古典1(全10巻)
   学研(学習研究社)1982/09 所収
   この学研版は、下の筑摩書房版を参考にしています。
   興津要=編 『明治文学全集10 三遊亭円朝集』 筑摩書房 1965/06


  Audio  
古今亭志ん生・怪談牡丹灯籠

下に引用する箇所は 12:59 から始まります。 Uploaded to YouTube by apr2edw924 on 24 Jun 2013. The excerpt below starts at 12:59.


(3) 五代目志ん生 1977, 2002
「(声を張って)先生ィ、先生ェ(と戸を三回叩いて)……先生ィ」
「はいはいはい、どうしたんだ?」
「え? 昨夜(ゆうべ)あっしァ遅くなって家(うち)ィ帰(けえ)ろうと思ったらねェ、萩原さまのとこで女の、声がするんです」
「ふーん、それがなにがたいへんだ? え? 萩原氏(はぎわらうじ)は、まだ独身者(しとりもん)だ。あのように男はいいし、え? 財産はあるし、女ぐらい訪ねてくんのァ当たり前(まい)だ……」
「そら当たり前(まい)ですけどもさァ、え? それがたいへんなんですよ、ええ。あたしゃァ中ァひょいッと生け垣ン処(と)ッから覗いて見たらねェ、蚊帳ン中ィ入ってんのァねェ、萩原の旦那さァ、ね? そこィ十(じゅう)七か八だねェ文金の高島田を結(い)って、振り袖を着て(力を入れ)いいィー女ッたらねえんだ、うん。そいからあたしゃァねェ、こう見ていくとね、腰から下がねえんだよォそれがァ……へえ。『おやァ?!』ッと思って脇を見るとね、その、婆(ば)ァやァがねェ縁側ンとこィ立って、庭のほうを見てえるン。その婆(ば)ァやァもねェ、腰から下がねえんだよ、へえ。ありゃァ……あれァ(幽霊の手つきをして)れきですよありゃァ……へえ。あァりゃ幽霊ですよォ、まるっきり骨と皮ンなっちゃってんですからねェ。いい女だけどもあっしゃァねェ、ぞおォッとしちゃったァ」
「そら本当(ほんと)かァ?」

   3a. 古今亭志ん生=口演 川戸貞吉=速記解説 「牡丹燈籠(下)」
      『志ん生古典落語6 牡丹燈籠』 弘文出版 2002/06
   3b. 古今亭志ん生=談 『五代目古今亭志ん生全集4』 弘文出版 1977
   3a.3b. を再録して、一部表記を改めたもの。初出は 3b.
   引用は 3a. に拠りました。原文の傍点を下線で、小さい「ン」を大きい「ン」で、
   それぞれ置き換えました。


(4) 円朝 1955, 2002
 伴「先生萩原さまは大変ですよ。」
 勇「どうかしたか。」
 伴「どうかしたの何のという騒ぎじゃございやせん(……)その大切な萩原様が大変な訳だ、毎晩女が泊りに来ます。」
 勇「若くって独身者(ひとりもの)でいるから、随分女も泊りに来るだろう、しかしその女は人の悪いようなものではないか。」
 伴「なに、そんな訳ではありません、私(わつち)が今日用があって他へ行って、夜中に帰ってくると、萩原様の家(うち)で女の声がするからちょっと覗きました。」
 勇「わるい事をするな。」
 伴「するとね、蚊帳(かや)がこう吊ってあって、その中に萩原様と綺麗な女がいて、その女が見捨ててくださるなというと、生涯見捨てはしない、たとえ親に勘当されても引取って女房にするから決して心配するなと萩原様がいうと、女が私は親に殺されてもお前さんの側(そば)は放れませんと、互いに話をしていると。」
 勇「いつまでもそんなところを見ているなよ。」
 伴「ところがねえ、その女がただの女じゃアないのだ。」
 勇「悪党か。」
 伴「なに、そんな訳じゃアない、骨と皮ばかりの痩(や)せた女で、髪は島田に結って鬢(びん)の毛が顔に下り、真青な顔で、裾(すそ)がなくって腰から上ばかりで骨と皮ばかりの手で萩原様の首ったまへかじりつくと、萩原様は嬉しそうな顔をしているとその側に丸髷(まるまげ)の女がいて、こいつも痩て骨と皮ばかりで、ズッと立上ってこちらへくると、やっぱり裾が見えないで、腰から上ばかり、まるで絵に描いた幽霊の通り、それを私(わつち)が見たから怖くて歯の根も合わず、家(うち)へ逃げ帰って今まで黙っていたが、どういう訳で萩原様があんな幽霊に見込まれたんだか、さっぱり訳が分りやせん。」
 勇「伴蔵本当か。」

   4a. 三遊亭円朝=作 『怪談牡丹燈籠』 岩波文庫 改版 2002/05
   4b. 三遊亭円朝=作 『牡丹燈籠—怪談』 岩波文庫 1955/06
   引用は 4a. に拠りました。
   これらの岩波文庫版が、何を底本にしたかは存じません。
   参考:富田倫生 「『圓朝全集』は誰のものか
   1999/06/30 作成 2005/10/16 修正


(5) 圓朝 1927, 1963, etc.
伴「先生萩原さまは大変ですよ」
勇「何(ど)うかしたか」
伴「何うかしたかの何(なん)のという騒ぎじゃございやせん、私(わっち)も先生も斯(こ)うやって萩原様の地面内(うち)に孫店(まごだな)を借りて、お互いに住(すま)っており、其の内でも私は尚(な)お萩原様の家来同様に畑をうなったり庭を掃いたり、使い早間(はやま)もして、嚊(かゝあ)は洒(すゝ)ぎ洗濯をしておるから、店賃(たなちん)もとらずに偶(たま)には小遣(こづかい)を貰ったり、衣物(きもの)の古いのを貰ったりする恩のある其の大切な萩原様が大変な訳だ、毎晩女が泊りに来ます」
勇「若くって独身者(ひとりもの)でいるから、随分女も泊りに来るだろう、併(しか)し其の女は人の悪いようなものではないか」
伴「なに、そんな訳ではありません、私(わっち)が今日用が有って他(ほか)へ行って、夜中(やちゅう)に帰(けえ)ってくると、萩原様の家(うち)で女の声がするから一寸(ちょっと)覗(のぞ)きました」
勇「わるい事をするな」
伴「するとね、蚊帳(かや)がこう吊(つ)ってあって、其の中に萩原様と綺麗な女がいて、其の女が見捨てゝくださるなというと、生涯見捨てはしない、仮令(たとい)親に勘当されても引取(ひきと)って女房にするから決して心配するなと萩原様がいうと、女が私(わたくし)は親に殺されてもお前(まえ)さんの側は放れませんと、互いに話しをしていると」
勇「いつまでもそんな所を見ているなよ」
伴「ところがねえ、其の女が唯(たゞ)の女じゃアないのだ」
勇「悪党か」
伴「なに、そんな訳じゃアない、骨と皮ばかりの痩(や)せた女で、髪は島田に結って鬢(びん)の毛が顔に下(さが)り、真青(まっさお)な顔で、裾(すそ)がなくって腰から上ばかりで、骨と皮ばかりの手で萩原様の首ったまへかじりつくと、萩原様は嬉しそうな顔をしていると其の側に丸髷(まるまげ)の女がいて、此奴(こいつ)も痩(やせ)て骨と皮ばかりで、ズッと立上(たちあが)って此方(こちら)へくると、矢張(やっぱり)裾が見えないで、腰から上ばかり、恰(まる)で絵に描(か)いた幽霊の通り、それを私(わっち)が見たから怖くて歯の根も合わず、家(うち)へ逃げ帰(けえ)って今まで黙っていたんだが、何(ど)ういう訳で萩原様があんな幽霊に見込まれたんだか、さっぱり訳が分りやせん」
勇「伴藏本当か」

   5a. 三遊亭円朝=作 鈴木行三(すずき・こうぞう)=校訂編纂
      「怪談牡丹灯籠」 青空文庫 アップロード 2010-02-08
   5b. 三遊亭圓朝=著 鈴木行三=校訂編纂 『圓朝全集 巻の2
      近代文芸資料複刻叢書 世界文庫 1963 所収     
   5c. 三遊亭圓朝=著 鈴木行三=校訂編纂 『圓朝全集 巻の2』 全10冊
      春陽堂 1927(昭和2)
   5a. の底本は 5b.5b. は、5c. の複刻・限定版。


 Video 4 
桂歌丸 『牡丹燈籠~栗橋宿』 1/4

Uploaded to YouTube by stones1009 on 22 Oct 2010


■本と映画 Books and a cinema

a. 51z0fh39gyl_ss500_ b. 50600143900971 c. Shinsho_botan_doro

↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑


■外部リンク External links

  • 圓朝・圓生 百年
    西暦2000年の三遊亭圓朝没後100年、三遊亭圓生生誕100年を記念して設けられたサイト。年譜、演目、書籍一覧、CDリスト、画像など満載。助六、甘金、CAB の三氏が運営。

■落語以外のバージョン
 On the original story in Chinese and miscellaneous adaptations

  • 映画/歌舞伎版作品、
  • ラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)による再話、
  • 浅井了意による“仮名草子”版『伽婢子(おとぎぼうこ)』、

  そして、元をたどれば、これらすべての種本となったとされる、

  • 中国明代の瞿佑(くゆう)=作の伝奇小説集『剪燈新話(せんとうしんわ)』に収められた「牡丹燈記(ぼたんとうき)」

  などについては、別の機会にとりあげるつもりです。


■更新履歴 Change log

  • 2013-11-10 古今亭志ん生の録音の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012-10-05 つぎの3本の YouTube 動画を追加しました。
    1. 怪談・牡丹燈籠 もっともっと、愛されたかった。(2007)
    2. 稲川淳二のショートホラーシネマ 伝説のホラー (2003) 英語字幕つき
    3. 稲川淳二のショートホラーシネマ 伝説のホラー (2003) スペイン語字幕つき
  • 2012-08-25 三遊亭円朝=作のテキストを挿入しました。また、つぎの YouTube 動画を追加しました。
    1. 歌丸 『牡丹燈籠~栗橋宿』

↓ 以下の本・CD・DVDのタイトルはブラウザの画面を更新すると入れ替ります。 
↓ Renew the window to display alternate titles of books, CDs and DVDs.

■和書 Books in Japanese
(1)『牡丹灯籠』

(2)『牡丹燈籠』

■CD
(1) 牡丹燈籠/牡丹灯籠

(2) 志ん生+牡丹灯籠

■DVD

■洋書 Books in non-Japanese languages

  

|

« クロちゃんとトールのカフェ・ラテ | Main | Jeeves and the Unbidden Guest by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ジーヴスと招かれざる客」「君子豹変談」 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/58807/16012680

Listed below are links to weblogs that reference 三遊亭円朝〔ほか〕 『怪談牡丹燈籠』『牡丹灯籠』 Botan Doro / The Peony Lantern:

« クロちゃんとトールのカフェ・ラテ | Main | Jeeves and the Unbidden Guest by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ジーヴスと招かれざる客」「君子豹変談」 »