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September 2007

Sunday, 30 September 2007

Finn Family Moomintroll by Tove Jansson トーベ・ヤンソン 『たのしいムーミン一家』

 Image Gallery 
表紙画像 Cover photos

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d. 41cc6ecaf9l e. 00gebhatt10large f. 51ycmc7w77l


 Video 1 
【ムーミン】スナフキン 名言集【人生訓】

Uploaded to YouTube by sunaf king on 24 Sep 2012


■日本語訳 Translation into Japanese

(J1) 渡部 1998
「おだやかな人生なんて、あるわけがないですよ」スナフキンが、ワクワクしながらいいました。

   1a. ギル*バート=著
      『自殺する前に読む本』 ライブドア パブリッシング 2005/10
   1b. トーベ・ヤンソン=文・絵 ユッカ・パルッキネン=編
      渡部翠(わたなべ・みどり)=訳
      『ムーミン谷の名言集—パンケーキにすわりこんでもいいの?
      講談社 1998/09
   1a.1b. からの転載。引用は 1a. に拠りました。

   原書:
   Saako pannukakulla istua (1994)
   Written and illustrated by Tove Jansson;
   Edited by Jukka Parkkinen.
   ISBN 951-0-19506-5


(J2) 山室 1978, 1980, etc.
「いきるってことは、平和(へいわ)なものじゃないんですよ。」
と、スナフキンは、まんぞくそうにいいました。

   トーベ・ヤンソン=著 山室静=訳
   『たのしいムーミン一家』 第4章
   2a. たのしいムーミン一家』 ムーミン童話全集 講談社 1990/06
   2b.たのしいムーミン一家』 講談社青い鳥文庫 1980/11
   2c.たのしいムーミン一家』 講談社文庫 1978/04
   引用は 2b. に拠りました。


■英訳 Translation into English

"Life is not peaceful," said Snufkin, contentedly.

   Finn Family Moomintroll (1950) by Tove Jansson
   In some edition the title is: The Happy Moomins
   Paperback: Puffin Books, 1973/08


■フィンランド語訳 Translation into Finnish

Elämä ei ole rauhallista, Nuuskamuikkunen sanoi ihastuneena.

   Taikurin hattu by Tove Jansson
   Translated by Laila Järvinen
   WSOY, 1956
   Quoted at Silmät kiinni seinän läpi vaan 2011-02-24


■スウェーデン語原文 The original text in Swedish

Livet är inte fridfullt, sa snusmumriken förtjust.

   Trollkarlens hatt by Tove Jansson
   First edition published in 1948
   Edition published by AWE/Gebers, 1981


■トーベ・ヤンソン:スウェーデン語を話すフィンランド人
 Tove Jansson: A Swedish-speaking Finn

トーベ・ヤンソン Tove Marika Jansson (1914-2001) は、生まれもヘルシンキ、亡くなったのもヘルシンキ。国籍からいえば当然フィンランド人です。しかし、民族の出自からいえば、スウェーデン人でした。

フィンランドの人口の大半はフィンランド語を母語として話します。しかし、少数ながらスウェーデン語を母語として話す人もいて、彼らは全人口の5.5パーセントを占めます。スウェーデン語はフィンランドの第二公用語と定められています(Finnland - Wikipedia >>> Language に拠る)。

トーベ・ヤンソンは、家庭ではスウェーデン語を話して育ち、のちにスウェーデンの学校で学んだこともありました。彼女もスウェーデン系フィンランド人の1人だったのです。彼女の書いた本はすべて、スウェーデン語版が原書です。


■日本語訳 (J1) と、(J2) および英訳との間のズレ
 Disparity of meaning between the translations

日本語訳 (J1) で「ワクワクしながら」と訳されている箇所は、(J2) では「まんぞくそうに」、英訳では "contentedly" となっています。「まんぞくそうに」と "contentedly" は、ほぼ同義ですね。しかし、「ワクワクしながら」と「まんぞくそうに」とでは、かなり意味が異なります。

   (J1) ワクワクしながら ≠ (J2) まんぞくそうに
                         ≒
                     英訳 contentedly

左がわと右がわとどちらが、より原文に忠実な訳なのか? スウェーデン語原典を見ておらず、また、たとえ見たとしても理解できない私には、判断がつきません。ただ、右の訳のほうが正しそうな予感はします。理由は2つあります。

第一に、このブログ記事をアップロードしたあとに気がついたのですが、(J1) すなわち日本語訳 1b. は、トーベ・ヤンソンによるスウェーデン語原典から直に訳したものではなくて、フィンランド語訳からの重訳であるからです。スウェーデン語 >>> フィンランド語 >>> 日本語 と、あいだに1言語よけいに介在している (J1) は、元の意味からのズレが起こりやすそうだと推測できます。

第二に、内容の理解からの推測です。読者のお一人もコメントしてくださいましたが、スナフキンのキャラからいって、彼が「ワクワクしながら」ものを言うということは、あまりありそうにないからです。


 Video 2 
BBC Four Moominland Tales: The Life of Tove Jansson

Uploaded to YouTube by Monica Spite on 22 Jan 2013


■お断りとお詫び Clarification and apology

このブログ記事をアップロードした当初、渡部翠氏の訳 (J1) を、山室静氏の訳 (J2) と勘違いして引用していました。原典をたしかめず、孫引きしたために、このような誤りが生じてしまったのです。孫引きなら孫引きと、ちゃんとお断りすべきでした。失礼しました。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013/03/17 つぎの2本の YouTube 動画を追加しました。
      1) スナフキン 名言集
      2) BBC Four - Moominland Tales: The Life of Tove Jansson
  • 2011/07/31 フィンランド語訳を追加しました。また、スウェーデン語原文のテキストを挿入し、書誌情報を補足しました。
  • 2007/10/22 つぎの3つのタイトルについて、その画像と短い紹介を追加しました。
      a. Moomin: The Complete Tove Jansson Comic Strip (2006)
      c. Finn Family Moomintroll (1990)
      f. ムーミン谷の名言集—パンケーキにすわりこんでもいいの? (1998)
  • 2007/10/07 渡部翠=訳 1998/09 を追加し、「トーベ・ヤンソン:スウェーデン語を話すフィンランド人」の項を新設しました。また、「日本語訳 (J1) と、(J2) および英訳との間のズレ」の項を新設しました。さらに、「お断りとお詫び」も追加しました。

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Friday, 28 September 2007

The New Colossus by Emma Lazarus エマ・ラザラス / エマ・ラザルス 「ザ・ニュー・コロッサス」「新しい巨像」

          目次 Table of Contents

   ■はじめに Introduction
     Video 1   自由の女神を解剖してみる Statue of Liberty Deconstructed
    Gallery 1  女神像、銘板、原稿など The Statue, Plaque, Manuscript, etc.
    Gallery 2  「古いコロッサス」? 「古い巨像」? The Old Colossus?
    Gallery 3  本の表紙 Book covers
   ■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese
     (C1) 阮湘 2006
     (C2) 大大世界サイトから
     (C3) American Information Web から
   ■韓国語訳 Translation into Korean
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) ビナード+木坂 2007, 2009
     (J2) 示村 2006
     (J3) 永田 2005
     (J4) 別宮 2002
     (J5) 明石+飯野 1997
     (J6) 村上 1997
     (J7) 荒 1996
     (J8) 有賀+志邨+平野 1993
     (J9) 金内昭人氏のサイトから
     (J10) 米国国務省
     (J11) 高校の先生方のサイトから
     Video 2  
     わたしが受け入れるのは、疲れた人(…) 作曲 バーバラ・シルバーグ
     Give Me Your Tired, Your Poor - Music by Barbara Klaskin Silberg
   ■アラビア語訳 Translation into Arabic
   ■ヘブライ語訳 Translation into Hebrew
   ■トルコ語訳 Translation into Turkish
   ■ギリシャ語訳 Translation into Greek
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian
   ■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
   ■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian
   ■デンマーク語訳 Translation into Danish
   ■スウェーデン語訳 Translation into Swedish
   ■ドイツ語訳 Translations into German
     (D1) ZaunköniG による訳案 2009
     (D2) Wikipedia, 2010
   ■オランダ語訳 Translation into Dutch
   ■イタリア語訳 Translation into Italian
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
     Video 3   La Statue de la Liberté - Le Nouveau Colosse, Emma Lazarus
   ■フランス語訳 Translations into French
     (F1)
     (F2)
     Video 4   「新しい巨像」原文の朗読 1 The New Colossus by Emma Lazarus 1
     Video 5   「新しい巨像」原文の朗読 2 The New Colossus by Emma Lazarus 2
     Video 6   「新しい巨像」原文の朗読 3 The New Colossus by Emma Lazarus 3
   ■英語原詩の全文 The complete original text in English
   ■外部リンク External links 
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

「ザ・ニュー・コロッサス」または「新しい巨像」は、ニューヨーク市生まれのユダヤ系アメリカ人の女性詩人エマ・ラザルス (1849-1887) が1883年に書いたソネット(十四行詩)です。詩句を浮き彫りにしたブロンズ製銘板は、自由の女神像の台座内部にあるミュージアムに設置されています。

このソネットは、最後の一節がとくに有名です。以下に、その最後の5行が世界のさまざまな言語に翻訳されている例を集めて引用します。あいだに歌や朗読のビデオ映像をはさんで、最後に英語の原詩の全文と関連リンクを掲載します。

訳例はいずれも、わたしがたまたまあちこちで見かけたものをそのまま挙げます。とくに取捨選別はしません。また、訳の優劣や適否については、あえてコメントいたしません。


 Video 1 
自由の女神を解剖してみる Statue of Liberty Deconstructed

Uploaded on 23 Apr 2010 by historychannel


 Gallery 1 
自由の女神、プラーク、直筆原稿、移民たち、肖像画
Statue of Liberty, Plaque, Manuscript, Emigrants and Portrait

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a. Fun_facts_statue_of_liberty b. Emma_lazarus_plaque

c. The_new_colossus_manuscript d. 3a09957r e. Emma_lazarus_portrait

  • 自由の女神。 The Statue of Liberty.  Image source: The Statue of Liberty-Ellis Island Foundation, Inc.
  • 「ザ・ニュー・コロッサス」の詩をレリーフ状にした青銅プラーク(銘板)。自由の女神像の台座内に展示されている。 Plaque of The New Colossus poem in the museum inside the pedestal of the Statue of Liberty. Plaque was erected in 1903.
  • エマ・ラザルスの自筆原稿。現物は米国ユダヤ教歴史協会が所蔵。 The sonnet in Emma Lazarus' own handwriting, from A Century of Immigration, 1820-1924 (Library of Congress website. Courtesy of the American Jewish Historical Society)
  • 疲れた人、貧困に喘ぐ人——「約束の地」へ渡る移民たち。 Emigrants coming to the "Land of Promise." Image source: LC-USZ62-7307 Library of Congress Prints and Photographs Division.
  • エマ・ラザルスの肖像。T・ジョンソンによる木版画。1872年。 Emma Lazarus (1849-1887). Wood engraving by T. Johnson. 1872. Image source: Wikipedia

 Gallery 2 
「古いコロッサス」? 「古い巨像」? The Old Colossus?

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Colossus_of_rhodes_3

「コロッサス」とは何でしょうか? ラザルスが「新しい」 コロッサスというからには、これに対比される「古い」コロッサス、「古い」巨像というのが、あったのでしょうか?

はい、ありました。「ロドス島のヘリオスの巨像」というのが、それです。ギリシャのロドス島(ロードス島)に位置する港町ロドスにあって、島の守護神でもある太陽神ヘリオスをかたどった像です。古代の「世界七不思議」のひとつに数えられていました。紀元前292年から280年のあいだに建造されましたが、わずか50〜60年のちの紀元前226年に、地震で倒壊しました。

上の画像は、グーグルで検索したその巨像の想像図の一覧です。ラザルスの詩にも1行目から2行目にかけて "the brazen giant of Greek fame / With conquering limbs astride from land to land" とあります。このように、ロドス島の巨像は、港の入り口をまたいでそびえ立っていたと多くの人々によって信じられてきました。もっとも、設計上そんなのは実現不可能だったのではないかという異論も出ています。

「ロドス島の巨像」についての詳細はウィキペディアその他をご覧ください。また、ラッセル・アッシュ著『図説 世界の七不思議』という本もお薦めです。児童向けの図鑑ですが、「ロードス島のヘリオスの巨像」(30ページ)や「自由の女神像」(34ページ)についても大きな図入りでわかりやすく解説してあります。


 Gallery 3 
本の表紙 Book covers

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a. Libertysvoicethestoryofemmalazarus b. Zusetsu_sekai_no_nanafushigi_978448
c. En_johnson_9784764105027 d. Ikegami_soudattanoka_america_978483


■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese

(C1) 阮湘 2006
(……)“送给我,你受穷受累的人们,
你那拥挤着渴望呼吸自由的大众,
所有遗弃在你海滩上的悲惨众生,
给我,这些风浪中颠簸的无家之人,
我在金时代的门口高举我的明灯!”

   《新的巨像》 作者:Emma Lazarus 翻译:沅湘
   E-text at 阮一峰的网絡日志


(C2) 大大世界サイトから
(……)“将妳疲倦的,可憐的,
瑟缩着的,渴望自由呼吸的民衆,
将妳海岸上被拋棄的不倖的人,交给我吧。
将那些無傢可歸的 、饱经風霜的人們全交给我。
我站在金門,高舉自由的燈火!”

   《新鉅人》 艾瑪 拉紥羅斯
   E-text at 大大世界 (Bigbig--world)


(C3) American Information Web から
“把你们拥挤土地上的不幸的‘人渣’,
穷困潦倒而渴望呼吸自由的芸芸衆生,
连同那些无家可归四处漂泊的人们送来,
我高举明灯守候在这金色的大门!”

   《新的巨像》 埃玛.拉扎勒斯
   E-text at American Information Web


■韓国語訳 Translation into Korean

(……)“너의 지치고 가난한
자유를 숨쉬기를 열망하는 무리들을
너의 풍성한 해안가의 가련한 족속들을 나에게 보내다오
폭풍우에 시달린, 고향없는 자들을 나에게 보내다오
황금의 문 곁에서 나의 램프를 들어올릴 터이니.”

   엠마 라자루스 (Emma Lazarus) - 새로운 거상 (The New Collosus)
   E-text at:


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) ビナード+木坂 2007, 2009
(……)「わたしが受け入れるのは、疲れた人、貧困に喘ぐ人、
自由を切望しながら身を寄せ合う民衆、
他国の海岸で惨めに拒否されるたくさんの人々。
彼らをどうぞ、わたしのもとへ。嵐にもまれて身の置き所もない彼らを、
わたしはここで、黄金の扉の前で、明かりを持って待ち続ける!」

  • エマ・ラザルス=作 アーサー・ビナード+木坂涼(きさか・りょう)=訳 「新しい巨像」 NHKラジオ 『英語ものしり倶楽部』 2009年1月号テキスト スペシャルインタビュー 「日本の名詩も英語でおどりだす~日本語に魅せられた詩人 アーサー・ビナード」の文中に掲載
  • 選・訳 木坂涼+アーサー・ビナード 「新しい巨像」 詩の歩道橋 23 「エマ・ラザルス」 『婦人之友』 2007年12月号 通巻1251号

   引用は a. に拠りました。


(J2) 示村 2006
(……)「わたしに与えて下さい、疲れ果てた人たちを、貧しい人たちを、
自由な息吹を求めて集まった人たちを、
豊饒の海辺ののろわれた藻屑を。
わたしに送って下さい、家のない人たちを、あらしに打ちのめされた人たちを。
金の扉のわきに燈をかかげます。」


(J3) 永田 2005
私に与えよ、疲れ果て貧しい人びとを
もみくちゃにされ、自由に息することを切望する大衆を
狭苦しい岸辺でみじめに捨てられた者を
私のもとに送れ、家なく嵐に打ちのめされた人々を。
私は灯火を掲(かざ)す、金色のドアのかたわらで!


(J4) 別宮 2002
(……)「我に与えよ、汝の疲れ果てた、貧しき者を、
自由に息づかんと願い、寄り添う群衆を、
岸辺にみちあふれる哀れな塵あくたを。
我のもとへ送れ、家を失い、嵐に打ちひしがれた者を。
我は黄金の扉の傍らに灯を掲げ、彼らを迎えん」


(J5) 明石+飯野 1997
(……)「私に与えなさい、自由に生きたいと請い願う、
貴国の疲れた人々、貧しい人々の群れを、
人間が溢(あふ)れんばかりの貴国ではくずともみなされる、惨(みじ)めな人々を。
家もなく、嵐に弄(もてあそ)ばれる、これらの人々を、私のもとに送りなさい。
黄金の扉のかたわらに、私は灯をかかげましょう」

   エマ・ラザルス 「新しい巨像」

   c. には詩の全文の日本語訳が収録されている。a. と b. にはその訳詩のうち、
   最後の一節が転載されている。引用は a. に拠りました。


(J6) 村上 1997
(……)「我に与えよ、疲れた貧しき人びとの群れ、自由に生きんと願う者
汝の岸辺にひしめく惨めな屑のごとき人びとを
我がもとへ送れ、家もなく嵐に弄ばれる者たちを
黄金の扉の傍らに、我は松明を掲げよう」

   エマ・ラザラス=作 村上伸子=訳 「新しい巨像(ザ・ニュー・コロッサス)」

   a. には b. に含まれている村上伸子による訳詩が転載されている。
   引用は a. に拠りました。


(J7) 荒 1996
「自由をもとめてあえいでいる、貧しく疲れはて、ひしめきあっている人々を、
わたしのもとに送れ。その豊かな岸辺の、惨めな屑のような人々を。
故郷を失い、嵐にうたれた人々を、わたしのもとに送れ。
黄金の扉の前で、わたしはあかりをかかげよう」


(J8) 有賀+志邨+平野 1993
(……)「汝〈旧世界〉の疲れて貧しき者を、
汝の人込みの巷で自由に息づかんと願う者の群れを、
汝の混雑の岸辺のあわれな落伍者を、
家もなく嵐に打ちひしがれた者を、皆我がもとに送れ、
我は黄金の扉に明かりを掲げて彼らを迎えん」

  • エマ・ラザルスの詩(1886年) 有賀貞(あるが・ただし)+志邨晃佑(しむら・こうすけ)+平野孝(ひらの・たかし)=執筆担当 「第一章 産業社会発展期のアメリカ」 有賀貞+志邨晃佑+大下尚一+平野孝=編 『世界歴史大系 アメリカ史2—1877年〜1992年』 山川出版社 1993/07

(J9) 金内昭人氏のサイトから
(……)「疲れ、貧しい人たちを私の元に送りなさい。
自由の空気を熱望する人たちを身を寄せ合う哀れな人たちを、
住む家もなく嵐にもまれし人たちを
私の元に送りなさい。
私は黄金の扉のところで灯を掲げています」

  • 情報源: USまんじろう 金内昭人(かなうち・あきひと)氏によるサイト

(J10) 米国国務省
(……)「疲れし者、貧しき者を我に与えよ。
自由の空気を吸わんと熱望する人たちよ。
身を寄せ合う哀れな人たちよ。
住む家なく、嵐にもまれし者を我に送りたまえ。
我は、黄金の扉にて灯を掲げん」

  • アメリカ合衆国のポートレート(在日米国大使館のサイト内)
    第1章 多民族の国、アメリカ
    移民パターンと民族構成
    アメリカ合衆国 国務省 国際情報プログラム室
    編集局長:ジョージ・クラック
  • 英語版:
    Portrait of the USA
    Chapter 1: One From Many
    Immigration patterns and ethnic composition
    Executive Editor — George Clack
    About the USA - from the U.S. Embassy in Japan

(J11) 高校の先生方のサイトから
(……)「汝の疲れたる貧しき
自由の空気を吸わんものと身をよせあう人々を、
汝の豊かな海辺に集まるうちひしがれた人々を、我に与えよ。
かかる家なき嵐に弄ばれたる人々を、我に送り届けよ。
我は黄金の門戸のかたわらに、ともしびを高くかかげん」
 
   情報源:


 Video 2 
わたしが受け入れるのは、疲れた人、貧困に喘ぐ人 Give Me Your Tired, Your Poor

原詩: エマ・ラザルス 作曲: バーバラ・シルバーグ 合唱: ウエスト・ロサンゼルス児童合唱団  Uploaded by Barbara Silberg on 22 Jun 2011. Words by Emma Lazarus. Music by Barbara Klaskin Silberg ©2000  Sung by the West Los Angeles Children's Choir. To download this song, please visit: Mrs. Music  For more information on performing this song, please visit the West Los Angeles Children's Choir official website: MrsMusic.com


■アラビア語訳 Translation into Arabic

أعطوني جماهيركم المُتعَبة المُثقَّلة المسكينة المتزاحمة" [Omission]
جماهيركم الهاجعة التي تتوق إلى استنشاق نسيم الحرية
إليَّ بالبؤساء والتعساء والمتضايقين والمُزدرَى بهم!
أرسلوا إليَّ المُشرَّدين الذين تتقاذفهم العواصف والأنواء
" !ها أنا في استقبالهم رافعة مصباحي على مقربة من الباب الذهبي

   (‬Emma Lazarus‪)‬ إيما لازاروس ‪- (The ‬New Colossus ‪العملاق الجديد)‬ التمثال الجديد
   Excerpt at يسوع نور العالم (nourelalam.com)


■ヘブライ語訳 Translation into Hebrew

הבו לי את בניכם היגעים והעניים" [Omission]
ערב רב של המונים כמהים
לנשום כבני חורין
את הפליטה האומללה של חופיכם המשופעים
שילחו אותם אלי, חסרי הבית
"וסחופי הסער  בפנס אאיר בואם בשער זה

   (Emma Lazarus) אמה לזרוס - (The New Colossus) הקולוסוס החדש
   E-text at:
   * TheMarker Cafe
   * ויקיפדיה (Wikipedia)


■トルコ語訳 Translation into Turksish

[Omission] Yorgun, zavallı, ezilmiş
Özgürlük dolu bir nefese hasret kalmış
Gövdelerinizi bana verin!
Alçakça itilmişliğinizi yenerek
Yeniden yücelteceğim!
Onları, evsiz barksızları
Fırtınalarla sağa sola savrulmuşları
Bana yollayın!
Ben meşalemi
Altın kapının yanında yükselteceğim!

   Yeni Anıt by Emma Lazarus
   Excerpt at MedyaMasada.com


■ギリシャ語訳 Translation into Greek

[Omission] Δώστε μου σας κουρασμένος, σας φτωχών,
μάζες λαχτάρα να αναπνεύσουν ελεύθερα,
Η άθλια αρνούνται σας γεμάτος ακτή.
Αποστολή αυτών, οι άστεγοι, τα φουρτούνα-tost μου,
I!" Θα άρει φανός δίπλα μου η χρυσή πόρτα!

   Έμμα Λάζαρους. Η Νέα Κολοσσός
   E-text at eRepublik


■ロシア語訳 Translation into Russian

[Omission] Дайте мне вашу усталость, твой бедный,
Ваш ютились массы стремление вдохнуть свободный,
Несчастный отказаться от разливки ваш берег.
Отправить этих, бездомных, бурей бросил меня,
Я поднимаю лампы рядом с золотой дверь!

   Эммы Лазарус - Новый Колосс
   Excerpt at Статуя Свободы Надпись


■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian

[Omission] "До мене ідіть...
Хто в лахмітті, хто хворий, голодний, бездомний,
Кого викинув світ у сваволі крутій,--
Нехай прийдуть до мене холодні та змучені штормом,
Підіймаю цей факел для них біля входу у рай золотий!"

   Емма Лазарус - Новий Колос
   E-text at Вікіпедія (Wikipedia)


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

[Omission] "Дай ми уморен, си беден,
Вашият сгушено маси, копнеж да диша свободно,
В окаяно отказа от гъмжи си брега,
Изпрати на тези, бездомните, буря-тост за мен,
Аз моята лампа лифт до златната врата!"

   Ема Лазар - Новият колос
   Excerpt at Kakvo.org


■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian

[Omission] Gi meg dine trette, dine fattige
De undertrykte massene dine som ønsker å puste fritt
Den fortapte søpla fra de myldrende strendene dine
Send disse hjemløse, stormslåtte til meg
Jeg løfter lykta mi ved siden av den gylne porten Amen!

   The New Colossus by Emma Lazarus
   Quoted in Den gule djevelens by: kriminalroman om et øksemord i Brooklyn,
   roman fra kapitalismens høyborg
   by Jon Michelet. Published by Oktober, 1981
   Snippet view at Google Books


■デンマーク語訳 Translation into Danish

[Omission] Giv mig dine trætte, fattige,
betrængte masser, som længes efter at ånde frit,
stakler kastet op på din frugtbare kyst,
send disse de hjemløse, stormslagne til mig:
Jeg løfter min fakkel ved den gyldne dør.

   The New Colossus by Emma Lazarus
   Quoted in Spredte Erindringsglimt Fra En Rejse Jorden Rundt
   by J Rgen Nielsen. Published by Books on Demand, 2010
   Preview at Google Books


■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

[Omission] Ge mig dina trötta, dina fattiga,
dina hopträngda massor som längtar att andas fritt,
de usla soporna från dina myllrande stränder.
Skicka dessa, hemlösa, stormpinade till mig;
jag lyfter min lampa bredvid den gyllene dörren.

   The New Colossus by Emma Lazarus
   Translated by Ramesh Chibba
   Excerpt at Skillnaden mellan vitsippan och blåsippan
   Ramesh Chibba, 2009-11-04


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1) ZaunköniG による訳案 2009
[Omission] "Gebt mir die Müden und die Schwachen,
die Verworfenen, die nur nach Freiheit suchen,
die vielen Elenden, die ihre Not verfluchen.
Schickt sie zu mir: Sie soll'n ihr Schicksal selber machen.
Für sie hab ich am goldnen Tor das Licht entfacht."

   Der neue Koloss by Emma Lazarus
   Translation proposed by ZaunköniG. (2009-07-24 20:38)
   E-text at Sonett-Forum


(D2) Wikipedia, 2010
[Omission] Gebt mir eure Müden, eure Armen,
Eure geknechteten Massen, die frei zu atmen begehren,
den elenden Unrat eurer gedrängten Küsten;
Schickt sie mir, die Heimatlosen, vom Sturme Getriebenen,
hoch halt' ich mein Licht am gold’nen Tore!

   E-text at The New Colossus - Wikipedia (Modified 2010-01-18)


■オランダ語訳 Translation into Dutch

[Omission] Geef mij uw vermoeide uw arme,
uw ineengedoken massa's verlangen om vrij te ademen,
Het ellendige afval van uw krioelende kust.
Verstuur deze, de daklozen, tempest-geworpen aan mij,
ik til mijn lamp naast de gouden deur!

   Nieuwe Giant by Emma Lazarus
   Excerpt at nl.swewe.net


■イタリア語訳 Translation into Italian

[Omission] Dammi i tuoi stanchi, poveri,
corpi ammassati, ansiosi di respirare liberamente,
i rifiuti disgraziati sulle tue rive affollate.
Mandameli i senzatetto, sballottati dalla tempesta,
Alzo la mia lampada accanto alla porta d’oro!

   Emma Lazarus, The New Colossus
   E-text at Giovanni Sollima Ellis Island [PDF]


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

[Omission] "Dai-me os seus fatigados, os seus pobres,
As suas massas encurraladas ansiosas por respirar liberdade
O miserável refugo das suas costas apinhadas.
Mandai-me os sem abrigo, os arremessados pelas tempestades,
Pois eu ergo o meu farol junto ao portal dourado."

   O Novo Colosso by Emma Lazarus
   E-text at:


■スペイン語訳 Translation into Spanish

[Omission] "¡Dadme a vuestros rendidos, a vuestros pobres
Vuestras masas hacinadas anhelando respirar en libertad
El desamparado desecho de vuestras rebosantes playas
Enviadme a estos, los desamparados, sacudidos por las tempestades a mí
¡¡Yo elevo mi faro detrás de la puerta dorada!"

   El Nuevo Coloso by Emma Lazarus
   E-text at Wikipedia


 Video 3 
La Statue de la Liberté - Le Nouveau Colosse, Emma Lazarus

「新しい巨像」フランス語訳抜粋の朗読を 8:45 あたりから聞けます。 Uploaded to YouTube by Stefane976 on 15 Jan 2013. Excerpt from the French translation of the sonnet can be heard from around 8:45.


■フランス語訳 Translations into French

(F1)
[Omission] Donnez-moi vos pauvres, vos exténués
Qui en rangs serrés aspirent à vivre libres,
Le rebut de vos rivages surpeuplés
Envoyez-les moi, les déshérités, que la tempête m'apporte,
De ma lumière, j'éclaire la porte d'or !

   Le Nouveau Colosse by Emma Lazarus
   E-text at:


(F2)
[Omission] "Donne moi tes pauvres, tes extenués,
Tes masses innombrables aspirant à vivre libre,
Le rebus de tes rivages surpeuplés.
Envois-les moi, les déshérités, que la tempête me les rapporte
Je dresse ma lumière au-dessus de la porte d'or!

   Le Nouveau Colosse by Emma Lazarus
   E-text at:


 Video 4 
「新しい巨像」原文の朗読 1 The New Colossus by Emma Lazarus 1

Uploaded by TimelessReader1 on 4 Dec 2012.


 Video 5 
「新しい巨像」原文の朗読 2 The New Colossus by Emma Lazarus 2

Uploaded by Tim Gracyk on 4 Jul 2013.


 Video 6 
「新しい巨像」原文の朗読 3 The New Colossus by Emma Lazarus 3

Uploaded by l00kcl0ser on 19 Feb 2009.


■英語原詩の全文 The complete original text in English

Not like the brazen giant of Greek fame,
With conquering limbs astride from land to land;
Here at our sea-washed, sunset gates shall stand
A mighty woman with a torch, whose flame
Is the imprisoned lightning, and her name
Mother of Exiles. From her beacon-hand
Glows world-wide welcome; her mild eyes command
The air-bridged harbor that twin cities frame.
"Keep, ancient lands, your storied pomp!" cries she
With silent lips. "Give me your tired, your poor,
Your huddled masses yearning to breathe free,
The wretched refuse of your teeming shore.
Send these, the homeless, tempest-tossed to me,
I lift my lamp beside the golden door!"

   The New Colossus (1883)
   written by Emma Lazarus
   in aid of the Bartholdi Pedestal Fund.

   The entire text of this sonnet can be viewed at:


■外部リンク External links 


■更新履歴 Change log

  • 2015/11/24 オランダ語訳を追加しました。
  • 2014/11/02 ギリシャ語訳を追加しました。
  • 2013/08/26 アーサー・ビナード+木坂涼=訳の書誌情報を補足しました。
  • 2013/06/10 もう1種類の英語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/06/09 エマ・ラザルスを描いた絵本の表紙画像を追加しました。
  • 2013/06/02 示村陽一=著 2006、永田悦夫=著 2005、村上伸子=訳 1997/03、および荒このみ=著 1996 を追加しました。
  • 2013/05/19 本の表紙画像を追加しました。
  • 2013/04/16 「古いコロッサス」? 「古い巨像」? The Old Colossus? という項を新設しました。
  • 2013/04/02 フランス語版ビデオ La Statue de la Liberté - Le Nouveau Colosse, Emma Lazarus を追加しました。
  • 2013/01/25 ブロンズ製銘板についての記述を修正しました。ほかの複数のサイトでは、この詩が「台座に刻まれている」という表現を見かけます。しかし、上の写真からもおわかりのとおり、「台座に」と「刻まれて」の二つの表現は、どちらも不正確です。

    1. 詩は台座の石そのものに直に書かれているのではありません。字の表現されたプラークが、台座の内側の展示空間の壁に設置されているのです。
    2. レリーフですから、「刻まれて」よりも「浮き彫りになって」のほうが、より正確な記述となるでしょう。

  • 2013/01/14 韓国語訳、アラビア語訳、トルコ語訳、スウェーデン語訳、Statue of Liberty Deconstructed の YouTube 動画、および写真を追加しました。
  • 2013/01/10 子どもたちによる合唱 Give Me Your Tired, Your Poor の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/01/09 「はじめに」の項を新設し、ヘブライ語訳、ウクライナ語訳、ブルガリア語訳、ノルウェー語訳、デンマーク語訳、イタリア語訳、ポルトガル語訳、およびスペイン語訳を追加しました。
  • 2012/09/04 ロシア語訳を追加しました。
  • 2012/02/03 リンクを一部修正しました。
  • 2012/01/28 「新しい巨像」原文の朗読 2 を追加しました。
  • 2011/03/17 ブログ記事のタイトルに詩人の名の別表記「エマ・ラザラス」を挿入しました。
  • 2010/12/20 目次を新設しました。
  • 2010/04/19 英語原文の全文を朗読した YouTube 画面を追加しました。また、掲載する英語原文を、これまでの抄訳だったのを全訳に改めました。さらに、一つめのドイツ語訳 (D1) の訳文に修正をほどこし、二つのドイツ語訳 (D2) を出典が不明確で機械翻訳によるものであった可能性のあるこれまでの訳文から、出典と公開年月日のはっきりしている Wikipedia のものと差し替えました。
  • 2008/12/20 アーサー・ビナード+木坂涼=訳 2009/01 を追加しました。
  • 2007/10/06 別宮貞徳=訳 2002/03、および有賀貞+志邨晃佑+平野孝=執筆担当 1993/07 を追加しました。

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(1) 池上彰の「そうだったのか!」シリーズ

(2) 自由の女神

(3) エリス島

■DVD
(1) The Statue of Liberty

(2) Ellis Island

  

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Tuesday, 25 September 2007

The Restaurant at the End of the Universe by Douglas Adams (3) ダグラス・アダムス 『宇宙の果てのレストラン』 (3)

 Images  表紙画像その他 Cover photos, etc.

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. 51zp966mhvl b. 51r5xqn5yml c. Douglas_adams_main


■日本語訳 Translations into Japanese
 
(J1) 安原 2005
知られているとおり、惑星の数は無限である。これはたんに、空間が無限なので惑星も無限に存在しうるからである。しかし、すべての惑星に人が住んでいるわけではない。したがって、人の住んでいる惑星の数は有限のはずである。有限の数を無限で割ると、答えはゼロに近づいてほとんど無視できるほどになる。そのため、宇宙の全惑星の平均人口はゼロであると言うことができる。このことから、全宇宙の人口もまたゼロであると言うことができ、ときどき人に出くわすのはたんに狂った想像力の産物にすぎないと言うことができる。

   19
   ダグラス・アダムス=著 安原和見(やすはら・かずみ)=訳
   『宇宙の果てのレストラン』 河出文庫 2005/09
 
 
(J2) 風見 1983
星々の数は無限であると判明している。星々をいれる空間のひろさが無限だからである。しかし、その星々のすべてに生命がいるわけではない。それゆえ、生命の生息する星の数は有限である。有限を無限で割れば、ゼロも同然である。そこで宇宙の平均人口はゼロと言ってもさしつかえない。そこから、宇宙の人口はゼロであり、ときおり遭遇する生命体は単に狂った想像力の産物であるという結論が導きだされる。

   19
   ダグラス・アダムス=著 風見潤(かざみ・じゅん)=訳
   『宇宙の果てのレストラン』 新潮文庫 1983/04


■ロシア語訳 Translations into Russian

(R1) Аринович, 2011
Как известно, существует  бесконечно  много  планет,  просто  потому,  что  в бесконечном  пространстве  им всем хватает места. Однако не все из них населены. Следовательно,  должно  существовать  конечное число  населенных  планет.  Любое конечное число, поделенное на бесконечность, стремится  к  нулю  так  быстро,  что  результат просто   невозможно  заметить,  так  что  в  среднем  население населенной планеты в этой Вселенной, можно сказать, равно нулю. Отсюда следует, что население всей Вселенной тоже равно нулю, а те, кто встречается вам время  от  времени  --  только  продукт вашего больного воображения.

   Глава 19
   Дуглас Адамс. Ресторан в конце Вселенной
   Translated by Юрий Аринович
   © Copyright 2011 Юрий Аринович, перевод, 2011-04-17
   E-text at Lib.Ru


(R2) Генкин, Силакова, 1997
Известно, что существует бесконечное множество планет. Это объясняется той простой причиной, что пространство, в  котором  они могут существовать, также бесконечно. Однако  не  всякая  из  этих  планет обитаема. Отсюда следует, что число обитаемых планет конечно.  Частное  от деления любого конечного числа на бесконечность стремится к нулю и не дает остатка, следовательно, можно заключить, что средняя численность населения планет Вселенной равна нулю. Отсюда следует, что численность населения во всей Вселенной  также  равна  нулю,  и  потому  все  люди,  которые  порой попадаются  на  вашем  пути,  являются   продуктом   вашего   воспаленного воображения.

   19
   Дуглас Адамс. Ресторан "У конца вселенной"
   Translated by В.Генкин, С.Силакова. М., "АСТ", 1997.
   E-text at Lib.Ru


(R3) Филиппов, 1995-1997
Как известно, существует  бесконечно  много  планет,  просто  потому,  что  в бесконечном  пространстве  им всем хватает места. Однако не все из них населены. Следовательно,  должно  существовать  конечное число  населенных  планет.  Любое конечное число, поделенное на бесконечность, стремится  к  нулю  так  быстро,  что  результат просто   невозможно  заметить,  так  что  в  среднем  население населенной планеты в этой Вселенной, можно сказать, равно нулю. Отсюда следует, что население всей Вселенной тоже равно нулю, а те, кто встречается вам время  от  времени  --  только  продукт вашего больного воображения.

   Глава 19
   Дуглас Адамс. Ресторан на краю Вселенной
   Translated by Вадим Филиппов
   © Copyright Вадим Филиппов -- перевод, 1995-1997
   E-text at Lib.Ru


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Es sabido que existe un número infinito de mundos, sencillamente porque hay una cantidad infinita de espacio para que todos se asienten en él. Sin embargo, no todos están habitados. Por tanto, debe haber un número finito dividido por infinito de mundos habitados. Un número finito dividido por infinito se aproxima lo suficiente a la nada para que no haya diferencia, de manera que puede afirmarse que la población media de todos los planetas del Universo es cero. De ello se desprende que la poblacion media de todo el Universo es cero, y que todas las personas que uno pueda encontrarse de vez en cuando no son más que el producto de una imaginación trastornada.

   19
   El Restaurante del Fin del Mundo) by Douglas Adams
   E-text at EL RESTAURANTE DEL FIN DEL MUNDO - Alconet [DOC]


■英語原文 The original text in English

It is known that there are an infinite number of worlds, simply because there is an infinite amount of space for them to be in. However, not everyone of them is inhabited. Therefore, there must be a finite number of inhabited worlds. Any finite number divided by infinity is as near to nothing as makes no odds, so the average population of all the planets in the Universe can be said to be zero. From this it follows that the population of the whole Universe is also zero, and that any people you may meet from time to time are merely products of a deranged imagination.

   Chapter 19
   The Restaurant at the End of the Universe (1980) by Douglas Adams


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013/08/30 スペイン語訳を追加しました。
  • 2012/07/20 3種類のロシア語訳を追加しました。
  • 2007/10/13 英語原文の第1文に "there is" の2語が抜けておりました。おわびして訂正いたします。
  • 2007/10/07 記事のタイトルに、通し番号 (3) を追加しました。

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(3) Douglas Adams

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Monday, 24 September 2007

Europe: A History by Norman Davies (1) ノーマン・デイヴィス『ヨーロッパ』(1)

■はじめに Introduction

ヒトラーと彼の持病との関係、そして、ヒトラーと彼の主治医ドクター・テオドール・モレルとの関係について。アメリカの歴史番組TVチャンネルの番組と、イギリスの歴史家の著書から。


■ヒストリーチャンネル 「ハイ・ヒトラー」
 High Hitler. Presented by The History Channel

The details of this programme can be found at The History Channel.


■表紙画像と肖像写真 Book covers and a portrait

↓ Click to enlarge ↓

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LeftヨーロッパIV 現代』 共同通信社 (2000)
Centre Europe: A History Oxford University Press (1996)
Right Norman Davies (1939-  )  Image source: PanMacmillan.com


■日本語訳 Translation into Japanese
 
特に興味深いことに、おそらく総統の戦時中の心理を決定したのは、極度の憂鬱症だった。一九三六年から四五年にかけてヒトラーが全幅の信頼をおいた怪しげな医者、テオ・モレルは治療に大量のブドウ糖、ビタミン、興奮剤、食欲促進剤、弛緩薬、睡眠薬、鎮痛剤を用い、直接静脈注射することが多かった。ヒトラーはおなかにガスがたまりやすいためノイローゼ気味で、アトロピンとストリキニーネから作ったガスを抑える錠剤を常用していた。[略]

   第11章 暗転——かげりの中のヨーロッパ 1914-45年
   ノーマン・デイヴィス=著 別宮貞徳(べっく・さだのり)=訳
   加藤順子+柿澤淳之介=翻訳協力
   『ヨーロッパIV 現代』(全4巻) 共同通信社 2000/12


■英語原文 The original text in English

Particularly interesting, and possibly crucial to the Fuhrer's wartime state of mind, was his rampant hypochondria. From 1936 to 1945 he placed total faith in a dubious physician, Dr Theo Morell, who treated him with constant massive doses of glucose, vitamins, stimulants, appetizers, relaxants, tranquilizers, and sedatives, usually by direct intravenous injections. Hitler's obsession with flatulence addicted him to a huge daily diet of anti-gas pills based on atropine and strychnine. [Omission]

   XI. Tenebrae: Europe in Eclipse, 1914-1945
   Europe: A History
   by Norman Davies   
   Oxford University Press, 1996


■Links

   * Norman Davies - Wikipedia
   * NormanDavies.com


■更新履歴 Change log

2011/08/20 「はじめに」の項を新設しました。また、ヒストリーチャンネルの
         TV番組「ハイ・ヒトラー」の YouTube 動画を追加しました。


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Saturday, 22 September 2007

Pride and Prejudice by Jane Austen (3) ジェイン・オースティン 『高慢と偏見』『自負と偏見』 (3)

« 1 2 Pride and Prejudice 4 5 »
« 1 2 高慢と偏見 4 5 »

■表紙と扉 Book covers and a title page

zh Simp_zh_pride_and_prejudice zh Trad_zh_pride_and_prejudice ja Ja_pride_and_prejudice

pl Pl_pride_and_prejudice de De_pride_and_prejudice pt Pt_pride_and_prejudice

es Es_pride_and_prejudice fr Fr_pride_and_prejudice en En_pride_and_prejudice

↑ Click to enlarge ↑

[zh] 傲慢与偏見 中国書籍出版社 (2005) 中国語訳(簡体字)
[zh] 傲慢與偏見 商周出版 (2005) 中國語譯(繁體字)
[ja] 高慢と偏見(上) ちくま文庫 (2003)
[pl] Duma i uprzedzenie Zielona Sowa (2005) ポーランド語訳
[de] Stolz und Vorurteil Anaconda Verlag (2007) ドイツ語訳
[pt] Orgulho e Preconceito ポルトガル語訳
[es] Orgullo y prejuicio Edimat Libros (2006) スペイン語訳
[fr] Orgueil et prejuges 10-18 (2006) フランス語訳
[en] Pride and Prejudice (1813) Title page of the 1907 edition, published in London and New York, with illustrations by C. E. Brock. Image source: Molland's Circulating Library


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

  “达西先生,倘若你有礼貌一些,我拒绝了你以后,也许会觉得过意不去,除此以外,倘若你以为这样向我表白一下,会在我身上起别的作用,那你可想错了。”
  [略]
  “从开头认识你的时候起,几乎可以说,从认识你的那一刹那起,你的举止行动,就使我觉得你十足狂妄自大、自私自利、看不起别人,我对你不满的原因就在这里,以后又有了许许多多事情,使我对你深恶痛绝;我还没有认识你一个月,就觉得象你这样一个人,哪怕天下男人都死光了,我也不愿意嫁给你。”

   《傲慢与偏见》 第三十四章
   (英) 奥斯汀
   E-text at 酷网 (kuwang.com)


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

  “達西先生,倘若你有禮貌一些,我拒絶了你以后,也許會覺得過意不去,除此以外,倘若你以為這樣向我表白一下,會在我身上起別的作用,那你可想錯了。”

  [略]

  “從開頭認識你的時候起,几乎可以説,從認識你的那一刹那起,你的舉止行動,就使我覺得你十足狂妄自大、自私自利、看不起別人,我對你不滿的原因就在這里,以后又有了許許多多事情,使我對你深惡痛絶;我還沒有認識你一個月,就覺得象你這樣一個人,哪怕天下男人都死光了,我也不愿意嫁給你。”

   簡·奧斯汀(珍·奧斯汀) 《傲慢與偏見》 第三十四章
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 田中 2007
「あなたは間違っているわ、ミスター・ダーシー。仮にあなたがもっと紳士的な態度で結婚を申しこんでいたとしても、結果は変わらなかったでしょうね。まあ、お断りする際に多少は心の痛みを感じたかもしれないけれど」
  [略]
「舞踏会で初めて会ったときから、あなたの傲慢(ごうまん)さやうぬぼれの強さ、人の気持ちを平気で踏みにじるところに反感を覚えていたわ。そのあともいろいろなことがあって、ますますあなたのことが嫌いになった。そして、どんなことがあってもあなたとだけは結婚したくないと思うようになったの」

   ジェイン・オースティン=著 田中淳子(たなか・じゅんこ)=訳
   『高慢と偏見』 HQ Fast Fiction ハーレクイン 2007/12/15


(2) 中野(康)2003
「ダーシーさん、誤解しないでください。私は身分違いと言われて怒ってるわけではありません。それどころか、プロポーズをお断わりしやすくなって助かりました。もっと紳士らしい態度でプロポーズされていたら、お断わりするのに心が痛みますもの」
  [略]
「私は最初から、あの舞踏会でお会いした瞬間から、あなたの態度に反感を覚えました。高慢で、うぬぼれが強くて、他人の気持ちを考えない、自分勝手な人だと思いました。それであなたを嫌いになる土台ができて、それからいろいろなことがあって、骨の髄まであなたが大嫌いになったのです。あなたに会って一カ月もしないうちに、死んでもこの人とは結婚したくないと思うようになりました」

   ジェイン・オースティン=著 中野康司=訳
   『高慢と偏見(上)』 ちくま文庫 2003/08


(3) 伊吹 1972
「ダーシーさまの告白のしかたで影響されたとお考えでしたらそれは誤解ですわ。もし、もっと紳士らしくおふるまいになったとしたらおことわりするとき、お気の毒に思うかもしれませんがそれをしないでもよかったというだけです」
  [略]
「お知り合いのはじめから、いえ最初の瞬間からと申し上げてもいいと思いますが、あなたの態度は傲慢(ごうまん)でうぬぼれのつよい、他人の感情を傷つけて平気なかたという印象をはっきりときざみつけ、そのうえにつづいておこった事件がすっかりあなたをきらいにさせてしまいました。お知り合いになってから一日[ママ]もたたないまえに絶対結婚する気にならないかただと思いました」

   オースティン=著 伊吹千勢(いぶき・ちせ)=訳
   3a.高慢と偏見』 講談社文庫 1972/02
   3b.高慢と偏見(上)』 グーテンベルグ21(有料電子テキスト)
   引用は 3a. に拠りました。


(4) 阿部 1963, 1968, etc.
「ダーシーさま、あなたがもしも、もっと紳士的に振舞っていらしたら、わたしはあなたをお断わりするのに気をつかったかもしれないけれども、ただいまはそんな気づかいをせずにすんだだけのことで、あなたの告白の仕方の如何(いかん)によっては、わたしの心がちがうように動いたろうなどと想像なさるのでしたら、それはまちがっています」
  [略]
「あなたとお近づきになった、そのはじめの時、その最初の瞬間から、といってもいいのですが、あなたの態度は、あなたの傲慢さ、自負心、他人の感情の身勝手な軽視などを、わたしの心にきざみつけて確認させたのですが、そういう基盤の上に立って、わたしはあなたを否定的に見ることになって、そしてつぎに起ったいくつかの出来事が、あなたを嫌う気持ちを植えつけて、それはもう動かせぬものになりました。そしてお知り合いになって一カ月もたたぬうちに、どのように迫られてもあなたとだけは結婚することなど考えられないことになりました」

   ジェイン・オースティン=著 阿部知二=訳
   4a. 高慢と偏見』 河出文庫(新装版) 2006/02
   4b.高慢と偏見』 河出文庫 1996/11
   4c.カラー版 世界文学全集9 オースティン』 高慢と偏見 説きふせられて
      河出書房 1968/05 所収
   4d.世界文学全集2-6 ジェイン・オースティン
      河出書房新社 1963/12 所収
   引用は 4b. に拠りました。


(5) 中野(好)1960, 1963, etc.
「あら、あなたのあの告白がですね、少しでもわたしの心を動かしたなどとお考えになったら、それこそとんだ間違いですわよ。まあ、強いて効能ということを言えば、もしあなたがですよ、もっと紳士らしい態度でおっしゃったのでしたら、わたしもお断わりするのに、さぞ心を痛めたことでしょうのに、おかげでそれが、すっかり助かったってことくらいのものですわよ」
  [略]
「もともとはじめから、——いえ、もっと正確に言えば、お目にかかった最初の瞬間からですのよ、あなたの態度というものは、傲慢(ごうまん)な方、思い上った方、そして他人(ひと)の気持などは全然かまわない身勝手な方っていう印象を、はっきりわたしに植えつけてくれましたの。いわばそれが、あなたをきらいにする土台になったとも言えましょうが、それからつぎつぎとあったいろんな出来事がですね、いうなればその上に、不動の嫌悪感(けんおかん)を築き上げたというもんでしょうね。お知合いになって、まだ一月もたたないうちに、これはもうどんなことがあっても、結婚などはまっぴらお断わりという、そんな気持になってたと思いますの」

   オースティン=著 中野好夫=訳
   5a. 自負と偏見』 新潮文庫 1997/07
   5b.自負と偏見(上)』 新潮文庫 1963/06
   5c.世界文學大系28 オースティン/ブロンテ
      オースティン 自負と偏見 ブロンテ 嵐が丘 筑摩書房 1960/01 所収
   引用は 5a. に拠りました。


(6) 富田 1950, 1994
 「ダーシーさん、もしあなたが、自分がもっと紳士らしい態度をとっていたら、わたしもそうにべもなくおことわりするわけにはいかなかっただろう、うち明け方一つでどうにかなったんだ、などとお考えになるとしたら、それはまちがいですわ」
  [略]
 「あなたとお近づきになったそもそものはじめから——最初の瞬間から、と申してよろしいわ——あなたの態度は、あなたの尊大と自負と他人の感情を無視なさるわがままな侮蔑とをわたしの心にきざみつけて、それがあなたをいけすかない人だと思う基礎をつくり、そのうえにあとあとのいろいろのできごとがなんとしてもきらいだという気持をきずいたのです。わたしはあなたを知ってから一ヵ月とたたないうちに、どんなに口説かれてもこの人とだけは結婚したくないと感ずるようになったのです」

   ジェーン・オースティン=作 富田彬(とみた・あきら)=訳
   6a.高慢と偏見(上)』(全2冊) 岩波文庫(改版)1994/07
   6b.高慢と偏見(上)』(全2冊) 岩波文庫(旧版)1950/08
   6a. は新字、6b.は旧字。引用は 6a. に拠りました。


(7) 野上 1926
 「ミスター・ダーシ、若(も)しあなたがもう少し紳士らしい態度でお振舞(ふるまひ)になつたら、私はお斷(ことわ)りするにも氣扱(きあつか)ひをしたかも知れなかつたのに、それをしないではすんだけれども、あなたのお話の仕方一つでは、それ以外(いぐわい)になほ少しでも私を動かしただらうとお考(かんがへ)になるなら、それは間違(まちがひ)でございます。」
  [略]
 「一番最初から——斯(か)う云つてもいいでせう——あなたとお近づきになつた最初の瞬間から、あなたの態度は、あなたの尊大と、あなたの自負心と、あなたの人(ひと)もなげな我儘(わがまゝ)な輕侮心(けいぶしん)とを十分に私(わたくし)に飲み込ましたので、不信任の基礎が出來(でき)てしまひ、それから次々の事件は動かすことのできない嫌(きら)ひの心持を築き上げました。それで私はお目にかかつて一月(ひとつき)とたたないうちに、あなたは世界中で一等結婚したくない人だと思ふやうになつたのです。」
[原文は総ルビですが、上の引用ではその一部を略しました - tomoki y.]

   ジェーン・オースチン=著 野上豐一郎=譯 『高慢と偏見(上)
   國民文庫刊行會(非賣品)1926/08(大正15)


■ロシア語訳 Translation into Russian

— Вы глубоко заблуждаетесь, мистер Дарси, думая, что на мой ответ повлияла манера вашего объяснения. Она лишь избавила меня от сочувствия, которое мне пришлось бы к вам испытывать, если бы вы вели себя так, как подобает благородному человеку.
  [Omission]
— С самого начала я бы могла сказать: с первой минуты нашего знакомства ваше поведение дало мне достаточно доказательств вашей заносчивости, высокомерия и полного пренебрежения к чувствам тех, кто вас окружает. Моя неприязнь к вам зародилась еще тогда. Но под действием позднейших событий она стала непреодолимой. И не прошло месяца после нашей встречи, как я уже ясно поняла, что из всех людей в мире вы меньше всего можете стать моим мужем.

   Книга вторая. Глава XI
   Джейн Остен. Гордость и предубеждение
   Translated by И. Маршака
   E-text at:
   * Джейн Остин, Шарлотта Бронте и другие (janeausten.ru)
   * Lib.Ru


■スペイン語訳 Translation into Spanish

––Se equivoca usted, señor Darcy, si supone que lo que me ha afectado es su forma de declararse; si se figura que me habría evitado el mal rato de rechazarle si se hubiera comportado de modo más caballeroso.
  [Omission]
––Desde el principio, casi desde el primer instante en que le conocí, sus modales me convencieron de su arrogancia, de su vanidad y de su egoísta desdén hacia los sentimientos ajenos; me disgustaron de tal modo que hicieron nacer en mí la desaprobación que los sucesos posteriores convirtieron en firme desagrado; y no hacía un mes aún que le conocía cuando supe que usted sería el último hombre en la tierra con el que podría casarme.

   Capítulo XXXIV
   Orgullo y Prejuicio by Jane Austen
   E-text at Bibliotecas Virtuales.com


■サイモン・ラングトン監督 ジェニファー・エール、コリン・ファース主演
 イギリスBBCテレビシリーズ 『高慢と偏見』 (1995)
 Pride and Prejudice (1995), a BBC TV mini-series
 Directed by Simon Langton, Starring Jennifer Ehle, Colin Firth


■英語原文 The original text in English

"You are mistaken, Mr. Darcy, if you suppose that the mode of your declaration affected me in any other way, than as it spared me the concern which I might have felt in refusing you, had you behaved in a more gentleman-like manner."
  [Omission]
"From the very beginning, from the first moment I may almost say, of my acquaintance with you, your manners impressing me with the fullest belief of your arrogance, your conceit, and your selfish disdain of the feelings of others, were such as to form the ground-work of disapprobation, on which succeeding events have built so immoveable a dislike; and I had not known you a month before I felt that you were the last man in the world whom I could ever be prevailed on to marry."

   Chapter 34
   Pride and Prejudice (1813) by Jane Austen
   Paperback: Penguin Classics (2003)

   E-text at:
   * The Republic of Pemberley
   * Tilneys and Trapdoors
   * classiclit.about.com
   * Project Gutenberg
   * 19thNovels.com
   * bartleby.com
   * austen.com
   * bibliomania
   * Wikisource
   * Read Print


■更新履歴 Change log

2012/07/17 ロシア語訳を追加しました。
2010/04/06 BBCテレビ 『高慢と偏見』 (1995) の YouTube 動画を追加しました。
2009/09/06 田中淳子=訳 2007/12/15 を追加しました。
2008/09/10 書誌情報を修正補足しました。
2007/09/29 富田彬=訳 1994/07 と野上豐一郎=譯 1926/08 を追加しました。
2007/09/22 冒頭の画像に、以前の記事「Pride and Prejudice by Jane Austen
         (2) ジェイン・オースティン『高慢と偏見』(2)」の画像と同じものを使用
         していましたが、すべて入れ替えました。


 

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Thursday, 20 September 2007

Eccentrics by David Weeks & Jamie James (1) D・ウィークス+J・ジェイムズ『変わった人たちの気になる日常』(1)

             Eccentrics by David Weeks & Jamie James (2) >>>
    D・ウィークス+J・ジェイムズ『変わった人たちの気になる日常』(2) >>>
 
 
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           ↑ Click to enlarge ↑

Left変わった人たちの気になる日常—世界初の奇人研究』草思社 (1998)
Centre Eccentrics: A Study of Sanity and Strangeness, Kodansha Globe (1997)
Right Eccentrics: A Study of Sanity and Strangeness, Villard Books (1995)
 
 
■日本語訳 Translation into Japanese

アメリカ合衆国が君主国家だったことは一度もない、とたいていの人は思っているが、それはちがう。1859年から1880年まで、ジョシュア・エイブラハム・ノートンというイギリス系ユダヤ人が、アメリカ合衆国の皇帝だったのである。彼の皇帝即位は、勅令(ちょくれい)によって1859年9月17日付の『サンフランシスコ・ブレティン』紙上に布告された。

  合衆国市民の大多数の絶対的な要請と希望により、朕(ちん)、ジョシュア・A
  ・ノートンは、みずから合衆国皇帝を名乗り、その即位を宣言する。また、その
  結果として付与された権限により、連邦各州の代表者にたいして以下の命令およ
  び指示を出す。来年の2月1日、当市の音楽堂に集合し、われわれの安定性と誠
  実さへの信頼が国内外に生まれるよう、国家の悩みの種となっている諸悪を改善
  すべく連邦の現行法律を修正せよ。

  [署名]
  ノートン1世、合衆国皇帝兼メキシコ護国卿

1815年にロンドンで生まれ、南アフリカで育ったノートンは、カリフォルニアのゴールドラッシュのさなかに土地の思惑買いでひと財産を築いた。1853年、彼は25万ドルを費やしてサンフランシスコの米を買い占め、米価をつりあげた。ところが、いよいよ換金しようとした矢先、米を積んだ数隻の船が入港したせいで供給過剰になってしまった。価格は急落し、ノートンは破産。あえなく搾取工場での労働と、みすぼらしい下宿屋暮らしを受け入れるはめになった。

こんな運命の逆転を経験すれば、たいていの人は挫折してしまうだろう。しかし、豪胆なノートンはちがっていた。彼は自分の本当の天職を見つけた——帝国を統治することである。そして友人たちに、じつは自分はカリフォルニア皇帝ノートン1世なのだと告白しはじめた。
[文中の漢数字を算用数字に改めました - tomoki y.]

   「序—アメリカに皇帝がいた時代」
   デイヴィッド・ウィークス+ジェイミー・ジェイムズ=著
   忠平美幸(ただひら・みゆき)=訳
   『変わった人たちの気になる日常—世界初の奇人研究
   草思社 1998/03
 
 
■英語原文 The original text in English

It is usually assumed, erroneously, that the United States has never been a monarchy. From 1859 to 1880, an English Jew named Joshua Abraham Norton was the emperor of the United States. His accession to the American throne was proclaimed by an edict published in the Sun Francisco Bulletin on September 17, 1859:

  At the peremptory request and desire of a large majority of the
  citizens of the United States, I, Joshua A. Norton, declare and
  proclaim myself Emperor of these United States; and in virtue of
  the authority thereby in me vested, do hereby order and direct the
  representatives of the different states of the Union to assemble
  in Musical Hall, of this city, on the first day of February next,
  then there to make such alterations in the existing laws of the
  Union as may ameliorate the evils under which the country is
  laboring and thereby cause confidence to exist, both at home and
  abroad, both in our stability and in our integrity.

  [Signed]
  Norton I, Emperor of the United States and
  Protector of Mexico.

Born in London in 1815 and raised in South Africa, Norton made a small fortune during the California Gold Rush speculating in property. In 1853 he gambled a quarter of a million dollars on an effort to corner the rice market in San Francisco, buying and stockpiling all the available supply, and thereby artificially inflating the price. However, just as he was about to cash in, several ships laden with rice sailed into the bay, glutting the market. Prices plummeted, and Norton went bust. He was soon reduced to working in a sweatshop and living in a seedy rooming house.

Most people would have been daunted by such a reversal of fortune, but not the doughty Norton. He discovered his true vocation: ruling an empire. He began confiding to his friends that he was really Norton I, emperor of California.

   Introduction: A Golden Age of Weirdness
   from Eccentrics: A Study of Sanity and Strangeness
   by David Weeks & Jamie James 
   Originally published by Weidenfeld & Nicolson, 1995

   E-text at Google Book Search
 
 
             Eccentrics by David Weeks & Jamie James (2) >>>
    D・ウィークス+J・ジェイムズ『変わった人たちの気になる日常』(2) >>>
 
 
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2007/10/13
日本語訳の文中の漢数字を算用数字に改めました。
 
 
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Wednesday, 19 September 2007

紫式部「夕顔」(『源氏物語』より)Yugao [from The Tale of Genji] by Murasaki Shikibu

■表紙画像コレクション——源氏物語 諸言語の翻訳版
 Cover photo collection: Translations into several languages

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

ru Ru_9785893321630 hu Hu_gendzsi_szerelmei cs Cs_pbh_prince_gendiho

fi Fi_genjin_tarina sv Sv_9789127419094_berttelsen_om_genj de De_die_geschichte_vom_prinzen_genji

de De_die_geschichte_vom_prinzen_genji it It_storia_di_genji_9788806181604g pt Pt_9789896410001_o_romance_do_genji

es Es_lanoveladegenjii es Es_romance_de_genji fr Fr_le_dit_du_genji

zh Zh_simp_9787540217969 zh Zh_trad_9789574697625 zh Zh_genji_monogatari_2

ko Ko_9788930005562_2 ja Ja_ozaki_shinyaku_genji_monogatari


■訳題・訳者・出版社・出版年・言語
 Language, Title in translation, Translator, Publisher, Year of publication

[ru] Повесть о Гэндзи tr. Татьяна Соколова-Делюсина (2010) ロシア語
[hu] Gendzsi szerelmei tr. Martti Turunen (2009) ハンガリー語
[hu] Příběh prince Gendžiho 1 tr. Karel Fiala. Paseka (2002) チェコ語
[fi] Kirjaesittely: Genjin tarina. 1. osa tr. Martti Turunen (1980) フィンランド語
[sv] Die Geschichte vom Prinzen Genji tr. Kristina Hasselgren. Natur och Kultur (1986) スウェーデン語
[de] Die Geschichte vom Prinzen Genji tr. Herbert E. Herlitschka. Insel Verlag (1995) ドイツ語
[de] Die Geschichte vom Prinzen Genji tr. Oskar Benl. Manesse Verlag (1966) ドイツ語
[it] Storia di Genji tr. Adriana Motti. Einaudi (2006) イタリア語
[pt] O Romance do Genji I tr. Carlos Correia Monteiro de Oliveira. Relógio d'Água (2008) ポルトガル語
[es] La novela de Genji tr. Xavier Roca-Ferrer. Destino (2007) スペイン語
[es] Genji Monogatari: Romance de Genji tr. Fernando Gutierrez. Jose J. de Olaneta (2005) スペイン語
[fr] Le Dit du Genji, tr. Rene Sieffert. Publications orientalistes de France (2001) フランス語
[zh] 源氏物语(上) 郑民钦译 北京燕山出版社 (2006) 中国語(簡体字)
[zh] 源氏物語(上) 豐子愷譯 木馬文化出版 (2003) 中國語(繁體字)
[zh] 源氏物語1 林文月譯 洪範書局有限公司 (2000) 中國語(繁體字)
[ko] 겐지 이야기 1 전용신 (田溶新) 訳 나남출 (1999) 韓国語
[ja] 新訳 源氏物語1 尾崎左永子訳 小学館 (1997) 現代日本語


■英訳 Translations into English

(E1) Tyler, 2001, 2002, etc.
"I have never done anything like this," he said. "It is nerve-racking, isn't it?

  Once upon a time could it be that others, too, lost their way like this?
  I myself have never known such strange wanderings at dawn.

Have you ever done this before?
  She answered shyly,

  "The wayfaring moon uncertain what to expect from the mountains' rim,
  may easily fade away and disappear in mid-sky.

I am afraid."

   The Twilight Beauty (Yugao)
   The Tale of Genji
   Translated by Royall Tyler
   * Penguin Classics; Reprint edition, 2006/02
   * Penguin Classics USA [Rough Cut Version], 2002/11
   * Preview at Amazon.co.jp


(E2) McCullough, 1994
"I've never done anything like this before," he said. "I didn't expect to feel so nervous." [He recited:]

  inishie mo       Even in the past,
  kaku ya wa hito no   was ever heart as perplexed
  madoiken        as is mine today,
  wa ga mada shiranu   following at dawn a path
  shinonome no michi   I have never known before?

Her answering poem was shy:

  yama no ha no     Its bright rays, I fear,
  kokoro mo shirade   may vanish in mid-heaven —
  yuku tsuki wa     the moon journeying on,
  uwa no sora nite    powerless to probe the heart
  kage ya taenan     of the rim of the hills.

"I feel so uneasy."

   Genji & Heike: Selections from the Tale of Genji and
   the Tale of the Heike
   by Helen Craig McCullough
   * Hardcover: Stanford Univ Press, 1994/06
   * Paperback: Stanford Univ Press, 1994/04


(E3) Seidensticker, 1975, 1976, etc.
  "This is a novel adventure, and I must say that it seems like a lot of trouble.
   "And did it confuse them too, the men of old,
   This road through the dawn, for me so new and strange?
 "How does it seem to you?"
 She turned shyly away.

   "And is the moon, unsure of the hills it approaches,
   Foredoomed to lose its way in the empty skies?

 "I am afraid."
 
   Chapter 4: Evening Faces
   The Tale of Genji by Murasaki Shikibu
   Translated with an Introduction by
   Edward G. Seidensticker
   * The Tale of Genji, Volume 1
    Tuttle Publishing, 2007/06
   * Everyman's Library, 1992/12
   E-text of the 1976 edition at Globusz Publishing


(E4) Waley, 1925-33, etc.
"Never yet has such an adventure as this befallen me," said Genji; "so I am, as you may imagine, rather excited," and he made a poem in which he said that though love's folly had existed since the beginning of the world, never could man have set out more rashly at the break of day into a land unknown. "But to you this is no great novelty?" She blushed and in her turn made a poem: "I am as the moon that walks the sky not knowing what menace the cruel hills may hold in store; high though she sweeps, her light may suddenly be blotted out."
 
   Chapter 4: Yugao
   The Tale of Genji: A Novel in Six Parts, by Lady Murasaki,
   Translated by Arthur Waley; Modern Library, 1960.
   E-text at questia.com

   Reprinted in the Anthology of Japanese Literature
   from the Earliest Era to the Mid-nineteenth Century,
   Compiled and edited by Donald Keene
   * Dover Thrift Edition, 2000/07


(E5) Suematsu, 1882, 2000, etc.
"I have never experienced this sort of trouble before," said Genji; "how painful are the sufferings of love."

   "Oh! were the ancients, tell me pray,
     Thus led away, by love's keen smart,
   I ne'er such morning's misty ray
     Have felt before with beating heart.

Have you ever?"
The lady shyly averted her face and answered:

   "I, like the wandering moon, may roam,
     Who knows not if her mountain love
   Be true or false, without a home,
     The mist below, the clouds above."

   Chapter 4: Evening Glory
   * The Tale of Genji, by Lady Murasaki Shikibu
    Translated by Kencho Suematsu
    Tuttle Publishing, 2006/11
   * The Tale of Genji, by Murasaki Shikibu
    Translated by Kencho Suematsu
    Tuttle Publishing, 2000
   *    Genji Monogatari, the most celebrated of
    the Classical Japanese Remances.
    Translated by Suyematz Kenchio.
    Trubner & Co.: London, 1882
   E-text at Project Gutenberg


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

源氏公子对夕颜说道:“从未经历此种景象,真寒人心肺哩!正是:
    披星戴月事,而今初相问。古来游冶客,能解此情无?你见过此景么?”夕颜羞答
答地吟道:
    “此山隐落月,山名未可知。碧落当已尽,顿然芳姿隐。我害怕呢。”

   紫式部 《源氏物语》 第四章 夕颜
   E-text at 酷网 (kuwang.com)


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

源氏公子對夕顏說:“我從未有過此種經驗,這景象真教人寒心啊!正是:

    “戴月披星事,我今閱歷初。
    古來游冶客,亦解此情無?

你可曾有過此種經驗?”夕顏羞答答地吟道:

    “落月隨山隱,山名不可知。
    會當窮碧落,驀地隱芳姿。

   《源氏物語》 豐子愷中譯本 四、夕顏
   E-text at 古雅臺語人


■現代日本語訳/翻案
 Adaptations and translations in contemporary Japanese

(J1) 林 2010
「こんな時間に、こんな人と、こんなところへ来るなどということは、いまだしたこともないのだけれど、なんともはや、気苦労なことなのだね。

   いにしへもかくやは人のまどひけむ
   わがまだ知らぬしののめの道
   物語などに出て来るいにしえ人たちも、こんなふうに濡れ惑うたのであろうか。
   私はいまだ経験したことのない、明け方の道行きだな

 あなたは、こんなご経験がおありか」
 そう源氏が訊ねかけると、女は、恥ずかしそうに、

  「山の端(は)の心も知らでゆく月は
   うはの空にて影や絶(た)えなむ
   どの山の端に沈むのかも知らず、彷徨っている月は、
   きっとそのまま空の上で光が消えてしまうかもしれません。私も、
                               どこへ行くかのかも、
   またどんな山の端なのかも知らずにあなたさまについてきて
                             しまったのですから、
   もしやこのままぼんやりと上の空のまま、どこかへ消えて
                            しまうかもしれません。

 たいそう心細いことでございます」

   紫式部=著 林望(はやし・のぞむ)=訳
   『謹訳 源氏物語1』(全10巻刊行予定) 祥伝社 2010/03/25
   傍点を下線で置き換えました。


(J2) 大塚 2008
「まだこんな経験は初めてだったけど、恋は心がすり減ることだったんだね。

 いにしへもかくやは人のまどひけん わがまだ知らぬしののめの道
 昔もこんなふうに人は迷ったのか、私のまだ知らない夜明けの恋の道に

 あなたは知ってた?」と言います。〝女〟は恥じらって、

「山の端の心も知らでゆく月は 上(うは)の空にて影や絶えなむ
 山の端の気持ちも知らずゆく月は、上空で姿を消してしまうのかしら。
 あなたの心も分からないまま、私はどうかなってしまうのでは

 心細くて」と言って(……)

   紫式部=著 大塚ひかり=訳
   『源氏物語1 桐壺〜賢木』 (全6巻) ちくま文庫 2008/11


(J3) 上野 2008
源氏 「私は女を連れ出すようなことは経験した事がなかったが、さて経験して
   みると、なかなか気苦労の多いものですなあ。
     いにしへもかくやは人の惑(まど)ひけんわがまだ知らぬしののめの道
    (昔も、私のように人は恋の道に迷って歩いたのであろうか。私はこんな
    辛い道は初めて経験する夜明けのほの暗い道である。本当に恋路は辛い)
    あなたの方は慣れているの。こんなことを」
 とおっしゃる。女は恥じらって、
女  「山の端(は)の心も知らで行く月はうはの空にてかげや絶えなん
   心細くて」
    (山の端〈源氏〉の本心も知らないで誘われるままについて行く月(私)は、
    途中の大空で消えてしまうのではないでしょうか)
    心細くて仕方ございません」  と言って(……)

   上野榮子=訳
   『源氏物語1』 日本経済新聞出版社 2008/10


(J4) 佐復 2008——ウェイリーによる英訳 (上掲E4) の日本語への重訳
「これまでまだこんな珍しい経験がこの身にふりかかったことはない。だから、君にも想像できるとおり、私はかなり興奮しているんだよ」と源氏は言い、そして歌を作って、そのなかで、恋の愚行というのはこの世のはじまりから存在してきたが、夜明けに見知らぬ土地にこんなに無分別にも急いで乗り出した者はいたはずがない、と語った。「だが君にとっては、これはそんなに目新しいことでもなんでもないのだろう?」女は顔を赤らめて、歌を作った。「私は残酷な山がどんな危険を隠しているかも知らず空を歩む月のよう、高く空を渡っていてもその光は突然かき消されてしまうかもしれない」。

   紫式部 アーサー・ウェイリー=英語訳
   佐復秀樹(さまた・ひでき)=日本語訳
   『ウェイリー版 源氏物語1』(全4巻) 平凡社ライブラリー 2008/09/10


(J5) 西沢 2005
〈源〉「私はいまだにこのような経験をしたことがなかったが、本当にあれこれと気苦労も多いことだなあ。
   (歌)昔の人もこんなふうにして恋の道をさまよい歩いたのかなあ。
      女のひとと夜明けの道を歩くなんて、私は初めての経験なのだよ。
 あなたはこんな経験をしたことがあるのかい」
とおっしゃった。夕顔は、ひどく恥ずかしそうにしながら、
〈夕〉「(歌)山の端(は)(源)がどういう気持ちでいるかも知らないのに、
       つき従って行く月(私)は、山の端についてゆけないで、空の
       途中で姿を隠してしまうかもしれませんよ
 何だかとても心細く思われて」
と言って(……)

   西沢正史(にしざわ・まさし)=訳 「現代語で読む《夕顔》」
   西沢正史=企画・監修 上原作和(うえはら・さくかず)=編集
   『人物で読む源氏物語8 夕顔』   
   勉誠出版 2005/06 所収


(J6) 渋谷 2003
 「まだこのようなことを経験しなかったが、いろいろと気をもむことであるなあ。
  昔の人もこのように恋の道に迷ったのだろうか
  わたしには経験したことのない明け方の道だ
 ご経験なさいましたか」
 とおっしゃる。女は、恥ずかしがって、
 「山の端をどこと知らないで随って行く月は
  途中で光が消えてしまうのではないでしょうか
 心細くて」
 と言って(……)

   第四章 夕顔の物語 (2) 仲秋の物語
   [第三段 なにがしの院に移る]
   渋谷栄一=訳 Ver.1-3-1
   Last updated 6/25/2003


(J7) 週刊光源氏 1998, 1999
源氏の君の新しいお相手は、なんと五条の住宅街に住む庶民の娘!? 謎の素性を持つ美女・夕顔の登場に、すっかりノックアウトの源氏の君。だが、その恋は大きな悲劇を生むことになった。今回は、夕顔さんの女房右近(うこん)さん(22)と源氏の君の腹心、惟光(これみつ)さんに一部始終を語っていただくことにしよう。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

源氏、一夜の廃屋愛!

 事態が急展開したのは、ちょうど中秋の名月の晩。
「気楽なところでゆっくり話がしたいね」
という源氏の君に、夕顔の返事。
「でも、あなたがどなたか存知あげないのは、何だか恐ろしいような気がします」
「まあ、だまされたと思って」
というので、夕顔はすっかりその気。こういうところは不思議なほど素直で、人を信じやすいという。

[この本はご覧のとおり完訳版ではなく、さわり部分を女性週刊誌の誌面のごとく、ことさら下世話/通俗的/扇情的に再構成したダイジェスト版です。上下に引用した他のタイトルの引用箇所に対応する部分は割愛されているので、その近くの箇所を引用しました - tomoki y.]

   紫式部=原作 週刊光源氏編集部=編
   7a. 週刊光源氏総集編—源氏物語を女性週刊誌風に読む』 新装版
     なあぷる 1999/09
   7b. 『週刊光源氏総集編—源氏物語を女性週刊誌風に読む
     なあぷる 1998/11


(J8) 尾崎 1997
光源氏はゆっくり話し合うために、渋る夕顔をせき立てて、このむさくるしい家を出て、近くの河原院(かわらのいん)に連れて行こうとなさいました。女君はためらいながらも、源氏に説得されて、女房の右近(うこん)をお供に源氏の車に乗り、やがて河原院に到着しました。

[この本は抄訳版です。上下に引用した他のタイトルの引用箇所に対応する部分は割愛されているので、その近くの箇所を引用しました - tomoki y.]

   紫式部=著 尾崎左永子=訳
   『新訳 源氏物語1』 全4巻 小学館 1997/10


(J9) 瀬戸内 1996, 2001
「まだこんなことわたしにははじめての経験だが、なかなか気苦労なものだね。
  いにしへもかくやは人のまどひけむ
       我がまだ知らぬしののめの道

     昔の人も恋の闇路に迷い
     こんな暗い夜明けの道を
     さ迷い歩いたのだろうか
     私にははじめてのこんな
     恋の道行きだけれど

「あなたはこんな経験がありますか」
 とお訊きになります。夕顔の女は恥ずかしそうに、

  山の端(は)の心も知らで行く月は
       うはの空にて影や絶えなむ

     これから沈んでいこうとする
     山の端の本心の心も知らないで
     そこへ近づいていく月は
     空の途中でもしかしたら
     消えはててしまうのかもしれません

「心細うございます」
 とつぶやいて(……)

   紫式部=著 瀬戸内寂聴=訳
   9a. 源氏物語 巻1』 新装版(全10巻)講談社 2001/09
   9b.源氏物語 巻1』 (全10巻)講談社 1996/12
   引用は 9b. によりました。


(J10) 阿部+秋山+今井+鈴木 1994
君は、「まだこのようなことははじめてなのだけれど、いろいろと気のもめるものですね。
  いにしへも……(昔の人もこのようにしてさ迷い歩いたものだろうか、
  わたしの今まで知らなかった夜明けの恋の道行きに)
あなたは経験がおありですか」とおっしゃる。女は恥ずかしそうにして、
  「山の端の……(山の端がどういう気持でいるのかも知らずに、
  そこを目ざして渡ってゆく月は、もしかしたら空の途中で姿が
  消えてしまうのかもしれません)
心細くて」と言って(……)

   阿部秋生(あべ・あきお)+秋山虔(あきやま・けん)
   +今井源衛(いまい・げんえ)+鈴木日出男=校注・訳「夕顔」
   『新編日本古典文学全集20 源氏物語1(全6冊)
   第1期48巻 小学館 1994/03


(J11) 橋本 1992, 1995
「まだこんなことをしたことがなかったので知らなかったけれど、結構大変なんだなァ」と辺りを見回して、夜明けの逢瀬行(おうせこう)の気苦労を思う。
  往古(いにしえ)もかくして人の迷いてん
    我まだ知らぬ東雲(しののめ)の道
 あなたはこんな経験がある?」
 そう訊くと、女はどこか放心状態のようになって空を見上げ、妙にポツンとこう言った。
 「山の端に心も知らず行く月の
    上の空なる影や絶えけん

   橋本治=著「夕顔」
   11a. 窯変 源氏物語1』(全14巻)中公文庫 1995/11
   11b.窯変 源氏物語1』(全14巻)中央公論社 1991/05
   引用は 11b. に拠りました。


(J12) 中井 1991, 2005
 「まだ、こないなことを経験したこともおへなんだのに、気のもめることやなあ。

   いにしへもかくやは人の惑ひけむわがまだ知らぬしののめの道

 知っといやすやろうか」

と仰せやす。女は、はにかんで、

 「山の端の心も知らで行く月はうはの空にてかげやたえなむ

 心細うござります」というて(……)

   紫式部=著 中井和子(なかい・かずこ)=訳「夕顔」
   12a. 現代京ことば訳 源氏物語1 桐壺-明石』 新装版(全5巻) 
      大修館書店 2005/06
   12b.現代京ことば訳 源氏物語1 桐壷-乙女』(全3巻)
      大修館書店 1991/06 
   引用は 12b. に拠りました。


(J13) 今泉 1978, 2000
 源氏「わたしはまだこんな経験をしたことは一度もなかったのだが、気骨(きぼね)の折れるものだねえ。
  古(いにし)へもかくやは人の惑(まど)ひけむ
  我(わ)がまだ知らぬしののめの道
  〔昔の人もこんな風にまごついたものなのだろうか。
  わたしは、このほのぼの明けの恋路(こいじ)の苦労など
  まだ経験したこともないんだけど〕
お前様は経験がおありかね」
とおっしゃる。
 女は頬(ほお)を染めながら、
 夕顔「山の端(は)の心(こころ)も知らで行く月は
   うはの空にて影(かげ)や絶(た)えなむ
    〔山の端(あなたさま)がどういうお気持で迎えて下さるのが
    知らずに、誘(さそ)われて行く月(わたくし)は、
    不安さに中途で影が消えてしまうかも知れません〕
何だか心細くって」
と答えて(……)

   紫式部=著 今泉忠義(いまいずみ・ただよし)=訳
   13a.新装版 源氏物語1 全現代語訳』(全7巻)
      講談社学術文庫 2000/11
   13b. 源氏物語2 現代語訳—夕顔・若紫』(全20巻)
      講談社学術文庫 1978/02
   引用は 13b. に拠りました。


(J14) 円地 1972, 1980, etc.
「まだこんなことは経験したことがなかったが、なかなか苦労の多いものですね。
  いにしへもかくやは人の惑ひけむ
    わがまだ知らぬしののめの道
 あなたは御存じですか」
 とおっしゃる。女は恥じらって、
 「山の端(は)の心も知らで行く月は
    うはの空にて影や絶えなむ
 心細くて」
 とばかり言って(……)

   紫式部=著 円地文子(えんち・ふみこ)=訳「夕顔」
   14a.源氏物語 巻1』(全5巻)新潮文庫 1980/02
   14b.源氏物語 巻1』(全10巻)新潮社 1972/09
   引用は 14b. に拠りました。


(J15) 谷崎(新々訳)1973, 1987, etc.
「まだこのようなことをした覚えはありませんが、なかなか気が揉めるものですね。
  古(いにしへ)もかくやは人のまどひけん
    我がまだ知らぬしののめの道
あなたは馴れていらっしゃいますか」と仰せられます。女は恥かしがって、
 「山の端(は)の心も知らでゆく月は
    上の空にてかげや絶えなん
心細うございます」と言って(……)

   紫式部=著 谷崎潤一郎=訳「夕顔」
   15a. 源氏物語』 中央公論社(普及版)1992/11
   15b.潤一郎訳 源氏物語 巻1』(全5巻)中公文庫(改版)1991/07
   15c.谷崎潤一郎訳 源氏物語 全』 中央公論社 1987/01
   15d.潤一郎訳 源氏物語 巻1』(全5巻)中公文庫 1973/06
   引用は 15d. に拠りました。


(J16) 窪田 1947, 1967
君は、「まだこうしたことはしなかったのに、苦労なことをしたものですよ。
  古もかくやは人の惑ひけむ我がまだ知らぬしののめの道
    昔もこのように恋の道に人が惑ったことであろうか、
   私はまだ知らないしののめの道であることだ。
あなたはご存じですか」とおっしゃる。女は恥じらって、
  山の端の心も知らで行く月は上(うは)の空にて影や絶えなむ
    山の端がどういう心でいるかも知らずに、そこに
   入ろうとしてさして行く月は、中途で光が絶えることででも
   ございましょう。
心細くて」と言って(……)

   窪田空穂(くぼた・うつぼ)=著
   16a. 窪田空穂全集27 現代語譯源氏物語1』 角川書店 1967/10
   16b.現代語譯源氏物語1』 改造社 1947/05
   引用は 16a. に拠りました。


(J17) 与謝野 1913, 1965, etc.
「私にははじめての経験だが妙に不安なものだ、
  いにしへもかくやは人の惑ひけん
    わがまだしらぬしののめの道
 前にこんなことがありましたか」
と聞かれて女ははずかしそうだった。
 「山の端(は)の心も知らず行く月は
    上(うは)の空にて影や消えなん
 心細うございます、私は」

   紫式部=著 与謝野晶子=訳「夕顔」
   17a. 青空文庫
      入力:上田英代 校正:小林繁雄、鈴木厚司 2003/04/20 作成
   17b. 古典総合研究所 by 上田英代
   17c. 全訳 源氏物語 上巻』 角川文庫 1971/08
   17d.日本文学全集1 源氏物語(上)』 河出書房 1965/06
   17e.新訳源氏物語(上)』 全4冊
      金尾文淵堂(かなおぶんえんどう)1912/02(明治45)
   17a. の底本は 17c.17b. の底本も 17c.。引用は 17d. に拠りました。


■日本語(古語)原文 The original text in 11th-century Japanese

 「まだかやうなることを慣らはざりつるを、心尽くしなることにもありけるかな。

  いにしへもかくやは人の惑ひけむ
  我がまだ知らぬしののめの道

 慣らひたまへりや」

 とのたまふ。女、恥ぢらひて、

 「山の端の心も知らで行く月は
  うはの空にて影や絶えなむ
 心細く」

   渋谷栄一=校訂 (c)『源氏物語』(大島本)ver.1-3-1, 2006/06/25
   第四章 夕顔の物語(2) 仲秋の物語


■源氏物語|派生作品リスト

上に引用したものも含め、源氏物語を現代日本語に翻訳もしくは意訳した作品のうち、おもなものを挙げておきます。
 

  1. 現代語訳(新→旧の順)
    • 『新訳 源氏物語』(1997-98、全4巻、尾崎左永子)
    • 『源氏物語』(1996-98、全10巻、瀬戸内寂聴)
    • 『現代京ことば訳 源氏物語』(1991、全3巻、中井和子)
    • 『源氏物語』(1972-73、全10巻、円地文子)
    • 『潤一郎新々訳 源氏物語』(1964-65、全11巻、谷崎潤一郎)
    • 『潤一郎新訳 源氏物語』(1951-53、全12巻、谷崎潤一郎)
    • 『潤一郎訳 源氏物語』(1939-41、全26巻、谷崎潤一郎)
    • 『全訳 源氏物語』(1926、全1巻、鈴木正彦)
    • 『新訳 源氏物語』(1912-13、全4巻、与謝野晶子)

      参考:源氏物語|現代語訳 - Wikipedia

  2. 意訳小説(新→旧の順)
    • 『窯変 源氏物語』(1991-93、全14巻、橋本治)-光源氏、薫の視点から
    • 『女人源氏物語』(1988-89、全5巻、瀬戸内寂聴)-光源氏の女君たちの視点から
    • 『私本・源氏物語』(1980、全1巻、田辺聖子)-光源氏の従者・惟光の視点から
    • 『新源氏物語』(1978-79、全5巻、田辺聖子)

      参考:源氏物語|意訳小説 - Wikipedia

■外部リンク External links


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  • 2012/01/16 郑民钦による新しい中国語訳(簡体字)、ポーランド語訳、スウェーデン語訳、ポルトガル語訳、および韓国語訳の表紙画像および書誌情報を追加しました。また、Xavier Roca-Ferrer によるスペイン語訳の表紙画像および書誌情報を追加しました。
  • 2012/01/15 佐復秀樹=日本語重訳 2008/09/10 を追加しました。また、豐子愷による繁體字中國語譯、フィンランド語訳、ならびに Oskar Benl によるドイツ語訳の表紙画像および書誌情報を追加しました。
  • 2011/07/17 Royall Tyler による英訳と Helen Craig McCullough による英訳の訳文を挿入しました。
  • 2010/08/27 林望=訳 2010/03/25 を追加しました。また、豐子愷による中國語譯の訳文を修正し、リンクを張り直しました。
  • 2009/05/01 上野榮子=訳 2008/10 を追加しました。
  • 2009/02/07 大塚ひかり=訳 2008/11 を追加しました。
  • 2008/11/27 尾崎左永子=訳 1997/10 を追加しました。
  • 2008/01/12 窪田空穂=著 1967/10 を追加しました。
  • 2007/09/28 瀬戸内寂聴=訳 1996/12 を追加しました。
  • 2007/09/24 西沢正史=訳 2005/06 を追加しました。
  • 2007/09/23 今泉忠義=訳 1978/02 を追加しました。
  • 2007/09/20 週刊光源氏編集部=編 1999/09, 1998/11、阿部秋生+秋山虔+今井源衛+鈴木日出男=訳 1994/03、中井和子=訳 1991/06、および円地文子=訳 1972/09 を追加しました。

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Tuesday, 18 September 2007

谷川俊太郎 「だって」 Datte by Shuntaro Tanikawa

 Video 
谷川俊太郎ライブ 「ことばあそびうた」

2010年6月6日奈良市北部会館での、谷川俊太郎・谷川賢作「詩と音楽とトークの会­」でのライブ「ことばあそびうた」 Uploaded to YouTube by fujita720612 on 6 Jun 2010.


■日本語原文 The original text in Japanese


           ぶったって
           けったって
           いててのてって
           いったって


           たってたって
           つったってたって
           つったって
           ないてたって


           いったって
           いっちゃったって
           どっかへ
           そっとでてったって


           いたって
           あったって
           ばったとって
           うってたって


   谷川俊太郎=詩 瀬川康男=絵 「だって」
   『ことばあそびうた』 福音館書店 1973/10 所収

   Word Games: Nonsense Pictures and Rhymes
   Text by Shuntaro Tanikawa. Illustrations by Yasuo Segawa
   Fukuinkan Shoten Publishers, Tokyo, 1973


 Images 
表紙画像 Cover photos

a. Shitsumonbako_2 b. 41rxdh0qxsl c. Kotoba_asobi_uta

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■外部リンク External links


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2013-03-30 谷川俊太郎ライブ 「ことばあそびうた」の YouTube 動画を追加しました。


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Sunday, 16 September 2007

Holidays in Hell by P.J. O'Rourke P・J・オローク『楽しい地獄旅行—世界紛争地帯過激レポート』

Holidaysinhell Holidays_in_hell Pjorourke2007

           ↑ Click to enlarge ↑  

Left Holidays in Hell, Picador Thirty (2002)
Centre Holidays in Hell, Vintage Books (1992)
Right P.J. O'Rourke (1947 - ) Image source: Advocates for Self-Government
 
 
■日本語訳 Translations into Japanese
 
(J1) tomoki y. 2007
ネイティブのように運転するコツ

 第三世界で運転をするさいに心得ておくべきことがある。すなわち、運転はクラクション——別名「エジプト式ブレーキ」——で行なうということだ。クラクションの使用については、厳密で複雑なエチケットがある。クラクションは次のような場合にしか鳴らしてはならない。

 1. なにかが道路をふさいでいるとき。
 2.   〃  〃 ふさいでいないとき。
 3.   〃  〃 ふさぐ恐れのあるとき。
 4. 赤信号のとき。
 5. 青信号のとき。
 6. それ以外のすべてのとき。

   「第三世界でのドライブのコツ」
   P・J・オローク=著 tomoki y.=訳
   tomokilog 2007/09/16
 
 
(J2) 芝山 1991
どうすれば地元方式で運転できるか

 クラクションならびに「エジプト式ブレーキ」は第三世界ではありきたりの現象だ。そのことは理解しておいたほうがよいだろう。クラクションの使用に関しては精細で複雑なエチケットがある。クラクションは、以下の状況に遭遇したときのみ鳴らすこと。
一 道路をふさいでいるものがあるとき。
二 道路をふさいでいるものがなにもないとき。
三 なにかが道路をふさぐかもしれないとき。
四 赤信号のとき。
五 青信号のとき。
六 それ以外のときすべて。

   「第三世界で楽しいドライブ」
   P・J・オローク=著 芝山幹郎=訳
   『楽しい地獄旅行—世界紛争地帯過激レポート
   河出書房新社 1991/12 所収
 
 
■英語原文 The original text in English

LEARNING TO DRIVE LIKE A NATIVE

It' important to understand that in the Third World most driving is done with the horn, or "Egyptian Brake Pedal," as it is known. There is a precise and complicated etiquette of horn use. Honk your horn only under the following circumstances:

  1. When anything blocks the road.
  2. When anything doesn't.
  3. When anything might.
  4. At red lights.
  5. At green lights.
  6. At all other times.

   Third World Driving Hints and Tips
   from Holidays in Hell
   by P.J. O'Rourke

   Paperback:
   * Holidays in Hell: In Which Our Intrepid Reporter Travels to
    the World's Worst Places and Asks, "What's Funny About This,"
    Grove Press, 2000/06
   * Holidays in Hell, Vintage, 1989/10
 
 
■Links

   * P.J. O'Rourke homepage
   * P.J. O'Rourke - Wikipedia (1947 - )
   * P.J. O'Rourke - Wikiquote
 
 
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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) Holidays in Hell

(2) P.J. O'Rourke

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ペットボトルと球

 
凸ウチの近所では、空き缶・空きビン・ペットボトルの回収日は毎週木曜だ。

●中田の蹴った球はゴールポストの上を大きく逸れて、サポーターの期待を裏切った。

凸ペットボトルに水を入れて外に置くと、猫が来ておしっこをするのを防ぐことができる——というのは、ガセ。

●電気グルーヴというバンドの2人組のうちの1人は、石野卓球という。相棒の名前はピエール瀧。「卓球」という名前は、むかしいた(いまもいる?)サンプラザ中野の「サンプラザ」という名前に負けないぐらい珍しい。

凸木曜日の回収日に出し忘れたペットボトルを、アパートメント・ハウスの6軒となりのセブンイレブンの分別ゴミ箱に捨てに行くことがある。良い子はけっしてマネをしてはいけない。

●私は、ピンポン球や赤血球や白血球より大きいが、地球より小さい。

凸ペットボトルのペットはPET。でも愛玩動物のペットではない。

●卓球女子世界ベスト8入りを果たした福原愛ちゃんは、卓球以外の球技は苦手だそうだ。テレビ「徹子の部屋」で見た。

凸ペットボトルの再生率はだいぶ上がったが、ビンや缶の再生率には遠く及ばない。だから、チョイスがあるならば、ペットボトル入りではなく、ビン入りや缶入りの飲み物を買ったほうが環境にやさしいのだそうだ。新聞でどこかのお笑いタレントが言っているのを読んだ。
 
 
 
Tomoki Yamabayashi
 
 
■更新履歴 Change log

2007/09/16 一部修正して、tomokilog にアップロード。

2003/09/18 もとの文章を書く。
 
 

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Friday, 14 September 2007

Bliss by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「幸福」「至福」「彼女の幸福」

 Video 
Bliss: The Beginning of Katherine Mansfield (2011): DVD Trailer

Uploaded by NZditto on Oct 12, 2011. "Bliss: The Beginning of Katherine Mansfield" 2011 TVC for Roadshow Entertainment New Zealand created by Jeremy Freeman of Dot.com and Christian de Ment of ditto. Written and Directed by Fiona Samuel. Starring Kate Elliott.


 Images 
表紙画像 Cover photos

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. Penguin b. 41b05vt2xql c. Bloomsbury


■日本語訳 Translations into Japanese
 
(J1) 西崎 2002
 ハリーは食事を楽しんでいた。それは性格というよりは彼の才能だった。そしてそれは断じてポーズではなく——彼を形成する何か——もっと重要な何かだった。彼が食べ物について語って得意がることは。「ロブスターの白い肉への恥知らずな情熱」あるいは「ピスタチオ・アイスの緑色——エジプトの踊り子の瞼のような冷たい緑」。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   西崎憲(にしざき・けん)=訳 「幸福」
   西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集
   ちくま文庫 2002/10 所収


(J2) 利根川 1998
 ハリーは晩餐を楽しんでいた。食事について語ること、「ロブスターの白い肉への慎みのない情熱」や「エジプトの踊り子のまぶたのように緑で冷たい、ピスタチオ風味のアイスクリームの緑色」を得意がることは、夫の一部であり——厳密にいえば夫の本性の一部ではなく、もちろんポーズの一部なのでもなかったが——夫の——なにかしらの一部だった。
 
   キャサリン・マンスフィールド=著
   利根川真紀(とねがわ・まき)=訳 「至福」
   利根川真紀=編訳 『女たちの時間—レズビアン短編小説集
   平凡社ライブラリー 1998/12 所収


(J3) 大澤 1975, 1999
 ハリーは晩餐を楽しんでいた。食物の話をして「海老の白肉となると厚かましいほどに目のないこと」と「ピスタチオ入りアイスクリームの緑の部分——エジプトの踊り子のまぶたのように緑色で冷たい」とか得意になって述べるのは、彼の——そう、正確に言って、彼の本性ではない、確かに彼のポーズでもなし、彼の何かというところだった。
 
   キャサリン・マンスフィールド=著
   大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳 「幸福」
   3a. 大澤銀作+相吉達男(あいよし・たつお)
      +河野芳英(かわの・よしひで)+柴田優子=訳
      『マンスフィールド全集』 新水社 1999/06 所収
   3b.マンスフィールド作品集』 文化書房博文社 1975 所収
   引用は 3a. に拠りました。


(J4) 崎山 1969
 ハリーは食事を楽しんでいる。それは彼の——なんというか、性質ではない、厳密にいうなら、もちろんポーズじゃない——彼の——なにかしら、なんでもいいわ、あるものの一部なんだけれど、食べものの話をし、「ロブスター(いせえびの類)の白い肉には見えも外聞もないほど目がないんだ」とか「ピスターシオウ・アイス(南欧産の小木ピスターシオウのナッツをつぶして香料としたアイスクリーム)のみどり色——エジプトの踊子の瞼(まぶた)のようにみどり色で冷たくて」と悦にいっている。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   崎山正毅(さきやま・せいき)=訳 「幸福」
   崎山正毅+伊澤龍雄(いざわ・たつお)=訳
   『マンスフィールド短篇集—幸福・園遊会 他十七篇
   岩波文庫 1969/03 所収


(J5) 海老池 1964, 1980
 ハリーは食事を楽しんでいた。幾分か——そう、生まれつきといっては当たらないし、気取りなんていうものじゃないが——何かある特有のやりかたで——彼は食物の話をして、「蝦の白い肉にたいする厚顔な情熱」とか「ピスタチオ・シャーベットの緑色——エジプトの踊り子の瞼のように緑色で冷たい」とか、得意になってまくし立てた。

   カサリン・マンスフィールド=著 海老池俊治=訳 「幸福」
   5a.マンスフィールド短篇集』 イギリスの文学2
      八潮出版社 1980/10 所収
   5b.マンスフィールド短篇集』 イギリス文学
      八潮出版社 1964/01 所収


(J6) 黒沢 1961, 1966
 ハリイは食事を楽しんでいた。食物の話をしたり「えびの白い肉」や「エジプトの踊り子の眼瞼のように青く冷い——緑の冷いピスターシオに対するみっともない程の情熱」を誇りに思うのは彼の——まあ、生れつきの性質では必ずしもないし、またポーズでも勿論ない——彼の——何かはっきりわからないもののせいである。

   マンスフィールド=著 黒沢茂=訳 「幸福」
   6a.マンスフィールド全集2』 垂水叢書 垂水書房 1966 所収
   6b.マンスフィールド全集2』 垂水書房 1961 所収
   引用は 6b. に拠りました。


(J7) 江上 1960
[この本には Bliss の邦訳は収録されていません - tomoki y.]

   キャサリン・マンスフィールド=著
   江上照彦(えがみ・てるひこ)=訳
   7a.マンスフィールド短編集』 グーテンベルク21
      ドットブック版 179KB/テキストファイル 170KB
   7b.園遊会 他十四篇』 角川文庫 1960/04/30


(J8) 伊藤 1958, 1986
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

   8a. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』 英米作家対訳双書
      Kinseido's books 金星堂 1986
   8b. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』
      Kinseido's books 金星堂 1958/10


(J9) 萩原 1937
 ハリーは御馳走を滿喫してゐた。食べ物の話をして、いや「ざらがに(#原文は太字でなく傍点)の白い肉が無性に好きだ」の「埃及の踊り子の瞼のやうに青くつて冷たい——ピスダシュウ入りのアイスクリームの青さ」だのと述べたてゝ得意になるのが、彼の——さう、必ずしも生れつきとは云へないが、といつて、確かに氣取つてゐるといふのではなく——彼の——何だかはつきりとはいへないけれど、まあ彼の性格の一部といつてもよかつたのだ。
 
   マンスフィイルド=作 萩原恭平=譯註 「幸福」
   『現代英米文學大系 マンスフィールド選集
   春陽堂書店 非賣品 1937/07(昭和12)所収


(J10) 崎山 1934
 ハリイはおいしさうに食べてゐました。食物の話をして、「海老の白肉(しろみ)がたまらなくすきだ」といひ、ピスタショ(落花生の一種)入りのアイスクリームの青い色は、丁度「エジプトの踊りつ子の瞼のやうに、青く冷たい」と得意になるのは、彼の性質——とはいへないし、勿論、見榮えといふ言葉もあたらないし、まあしかし、彼ハリイの何かであつたことは間違ひないところです。
 
   キァサリン・マンスフィールド=著 崎山正毅=訳 「幸福」
   『マンスフィールド短篇集—疲れた子・少女・幸福・人形の家 他九篇
   岩波文庫 1934/08(昭和9)所収


(J11) 平田 1930, 1936
 ハリイは頻(しき)りと食事(しよくじ)を賞美(しやうび)してゐた。それが先生(せんせい)の——さう、必(かなら)ずしも本性(ほんしやう)といふ次第(しだい)ぢやないが、確(たし)かに態度(たいど)ぢやないんで——先生(せんせい)の——何(なに)かしらの一部(ぶ)だつたのだ、食物(たべもの)の話(はなし)をして、「伊勢蝦(いせえび)の白(しろ)い肉(にく)が無性(むしやう)に好(す)きでならないこと」や、「埃及(エヂプト)の踊(をど)り子(こ)の瞼(まぶ た)のやうに靑(あを)くて、冷(つめた)い——ピスタシヨオ入(い)りの氷菓子(アイスクリーム)の靑(あを)い」のに大得意(だいとくい)になるのが。

   11a. マンスフイルド=著 平田禿木(ひらた・とくぼく)=譯 「幸福」
      『蜜月・幸福』 山本文庫 3版 山本書店 1936(昭和11)所収

    山本文庫の総目録は、林哲夫氏のサイト daily sumus 2005/06/12
    項や、紀田順一郎+谷口雅男=監修『ニッポン文庫大全』ダイヤモンド社
    1997/11 の317ページなどで一覧できます。

   11b. カザリン・マンスフィルド=著 平田禿木=譯 「幸福」
      『世界大衆文學全集第三十七卷 グランド・バビロン・ホテル
      改造社 1930/06/06(昭和5)所収

    電子テキストアーカイブ 青空文庫 では、平田訳「幸福」電子版の
    同文庫での公開を目指して、11b. を底本としたテキストの入力が
    進行していましたが、どうやらその計画は中途で放棄された模様
    です。上の引用は 11b. に拠りました。食の旧字は新字で置き換え
    ました。


(J12) 山本 1929
 ハアリイは晩餐を味はつてゐた。——彼の——さうね、生れ付きぢや可笑(をか)しいわね——と言つて、猶更、氣取つてゐる譯でもなく——彼の——えゝ、何でもいゝわ——それで、いつも、食物の話をし、得意になつて、「海老の白い肉に對する彼の厭(あ)くことなき情熱」や「埃及の踊り女(め)の眼瞼(まぶた)のやうな冷やかな緑色——ピスタショオ氷の緑色」を述べ立てた。
 
   マンスフィイルド=作 山本修二=譯 「彼女の幸福」
   『世界文學全集36 近代短篇小説集
   新潮社 非賣品 1929/07(昭和4)所収


■ロシア語訳 Translation into Russian

Гарри наслаждался ужином. Это было, ну, не совсем в его натуре и, конечно, не поза - говорить о еде и предаваться "в бесстыдной страсти белой плоти лобстеров и фисташковым шарикам мороженого - зеленым и холодным, как веки египетских танцовщиц".

   Кэтрин Мэнсфилд "Счастье"
   Translated by Слободкина Ольга
   E-text at lit.lib.ru


■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese

(Pt1) Sardinha, 1997
Harry estava apreciando o jantar. Era parte de sua — bem, não exatamente sua natureza, e certamente não de sua pose — de sua — alguma coisa nele — falar sobre comida e se vangloriar de sua "desavergonhada paixão pela carne branca da lagosta" e "o verde dos sorvetes de "desavergonhada paixao pela carne branca da lagosta" e "o verde dos sorvetes de pistache, verdes e frios como pálpebras de bailarinas egípcias".

   Felicidade by Katherine Mansfield
   Translated by Maura Sardinha
   As filhas do falecido coronel e outras histórias
   Ediouro Publicações, 1997
   Preview at Google Books


(Pt2) Cupertino, 1991
Harry estava gostando do jantar. Era próprio dele — bem, não sua natureza, exatamente, e não, certamente, uma pose — bem, um pouco de cada coisa — falar sobre comida e alardear sua paixão "impudica por carne branca de lagosta e o verde dos sorvetes de pistache, verdes e frios como pálpebras de bailarinas egípcias".

   Felicidade by Katherine Mansfield
   Translated by Julieta Cupertino
   Felicidade e Outros Contos Editora Revan, Rio de Janeiro, 1991
   E-text at Projeto Releituras


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Harry disfrutaba la cena. No estaba siendo natural pero tampoco era una postura; era un algo que lo caracterizaba. Hablaba de la comida y se vanagloriaba de su tímida pasión por la carne blanca de la langosta y el verde del helado de pistacho -verde y frío como ojos de bailarinas egipcias.

   Felicidad by Katherine Mansfield
   Translated by Agustina Jojärt
   E-text at La Máquina del Tiempo


 Audio 
「至福」 英語原文のオーディオブック(朗読) Free audiobook from LibriVox

下に引用する箇所は 20:09 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by The16thCavern on 13 Jan 2013. Audio courtesy of LibriVox. Read by Julie VW. The excerpt below starts around 20:09.


■英語原文 The original text in English

Harry was enjoying his dinner. It was part of his -- well, not his nature, exactly, and certainly not his pose -- his -- something or other -- to talk about food and to glory in his "shameless passion for the white flash of the lobster" and "the green of pistachio ices -- green and cold like the eyelids of Egyptian dancers."


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2012/09/27 平田禿木=譯 1930/06/06 の訳文を挿入しました。
  • 2012/06/19 Bliss: The Beginning of Katherine Mansfield の YouTube 動画を追加しました。また、ロシア語訳とスペイン語訳も追加しました。
  • 2011/11/25 Maura Sardinha による、もうひとつのポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/08/21 LibriVox による朗読へのリンクを追加しました。
  • 2011/01/22 ポルトガル語訳を追加しました。
  • 2009/07/31 江上照彦=訳 1960/04/30 の現物にあたって、本作品 A Cup of Tea が収録されていないことを確認しました。
  • 2007/10/16 平田禿木(ひらた・とくぼく)=譯 1930, 1936 の見出しを追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。
  • 2007/09/20 海老池俊治=訳 1964/01 を追加しました。
  • 2007/09/14 萩原恭平=譯註 1937/07、および山本修二=譯 1929/07 を追加しました。また、Links に日本語で書かれたサイト2つを追加しました。



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Thursday, 13 September 2007

Time does not bring relief by Edna St Vincent Millay エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー 「時は安らぎをもたらしはしない」

           目次 Table of Contents

    Images   本の表紙その他 Book covers, etc.
   ■日本語訳 Translation into Japanese
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■ドイツ語訳 Translation into German
   ■イタリア語訳 Translation into Italian
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
   ■フランス語訳 Translation into French
    Audio 1  朗読: トレイシー・ホール Read by Tracy Hall
    Audio 2  提供: ショートポエムズ Presented by ShortPoems
    Audio 3  朗読: ガブリエル・リール Read by Gabrielle Riel
   ■英語原文 The original text in English
   ■英語原文を収録した本やウェブサイト Sources of the original text in English
     ・ 本 Books:
     ・ 電子テキスト E-text:
     ・ 抜粋を収録したサイト Website containing excerpts:
     Video   Music: Giuseppe Ritorto. Sung by Jessica Taige
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


 Images  
本の表紙その他 Book covers, etc.

a. Esvm_blue b. Selected_poetry c. Ednastvincentmillay
↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■日本語訳 Translation into Japanese

時は安らぎをもたらしはしない、ひとは口々に偽りを言う。
  私の苦しみが時によって慰められるはずはない。
  涙のような雨の中、私はあの人を失い
涙も涸れて、私はあの人を呼ぶ。
山腹の雪は時がたてばすべて融け
  小径の去年の枯葉もすべて消え去る。
  だが去年の辛い愛の記憶は残り
私の心を埋め、私の想いは時がたっても変わらない。

私が恐れる多くの場所
  そこに行けば、そこにはあの人の思い出があふれ。
安らぎのある静かな場所には
あの人の足跡がない、あの人の輝く面影がない。
私は言う、「ここにはあの人がいない」
  そこで打ち拉がれて立ち尽くし、私はあの人を想う。

   エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー=作 田中啓子=訳
   「時は安らぎをもたらしはしない」

   この訳詩は、ケイ・ジャミソン=著 田中啓子=訳
   『躁うつ病を生きる—わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか?
   新曜社 1998/12 Part Three —— この薬、この愛
   に掲載されています。


■ロシア語訳 Translation into Russian

Не лечит время ничего, и лгут
Друзья мои, забвенье мне суля.
Хочу его под аккомпанемент дождя.
Bce жду его прибытья на углу.
Растают вековечные снега,
И листья прошлогодние сожгут,
Но прошлогодняя любовь моя
Еще со мной, еще горчит во рту.

Я избегаю из последних сил
Той сотни мест, где он со мною был,
Когда же набреду на уголок,
Где не сияло милое лицо,
Спешу сказать: «Здесь не было его!»,
Впустив невольно память на порог.

   Эдна Сент-Винсент Миллей. Время не приносит облегчения
   E-text at Библиотека РусЛит


■ドイツ語訳 Translation into German

Die Zeit bringt keine Erleichterung; alle habt Ihr gelogen,
Die mir sagtet "Zeit würde meinen Schmerz lindern"!
Ich vermisse ihn beim Weinen des Regens;
Mich verlangt es nach ihm beim Zurückweichen der Flut;
Der alte Schnee schmilzt von allen Bergseiten,
Und letzten Jahres Blätter sind Rauch in allen Gassen;
Doch letzten Jahres bitteres Lieben muß bleiben
Eine Last auf mein Herz, und meine alten Gedanken leben weiter.

Es gibt hunderte Orte die ich fürchte aufzusuchen...
So randvoll sind sie mit Erinnerungen an ihn!
Und wenn ich mit Erleichterung ein ruhiges Plätzchen betrete,
Wo er noch nie seinen Fuß setzte und sein Gesicht niemals schien...
Sage ich: "Hier gibt's keine Erinnerung an ihn!"
Und so stehe ich da schmerzerfüllt, so sehr an ihn denkend!

   Die Zeit bringt keine Erleichterung by Edna St. Vincent Millay
   E-text at Cordula's Web


■イタリア語訳 Translation into Italian

Non dà sollievo il tempo; mentivate
dicendo che sarebbe stata breve
la mia pena. Lo sento nella pioggia
che piange, alla marea che si ritira;
sciolte le vecchie nevi ad ogni picco,
le foglie dell'altr'anno son fumo sui sentieri;
non cosí per l'amaro della morte,
che resta, opprime il cuore, abita in me.

Ho paura di andare in troppi luoghi
che traboccano della sua memoria.
E se respiro in qualche quieta stanza
ignota al passo e al volto luminoso,
dico "non c'è memoria, qui, di lui"
e resto frastornata a ricordarlo.

   Non dà sollievo il tempo; mentivate
   by Edna St Vincent Millay
   E-text at Scompaginando (Forum libri e dintorni)


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

O tempo não traz alívio; mentiram-me todos
os que disseram que o tempo amenizaria a minha dor.
Sinto sua falta no choro da chuva;
Quero sua presença no recuar da maré.
A velha neve escorre pela encosta de cada montanha,
E as folhas de outono viram fumaça em cada caminho
Mas o triste amor do passado deve permanecer
o meu coração, e meus velhos pensamentos perduram.

Há centenas de lugares aos quais receio ir
- por estarem repletos de lembranças dele.
E ao entrar com alívio em algum lugar tranquilo
Onde seu pé nunca pisou, nem seu rosto brilhou.
Eu digo: "Aqui não há nenhuma recordação dele!"
E com isso paro, arrasada, e me lembro tanto dele.

   O tempo não traz alívio by Edna St Vincent Millay
   E-text at ou isto ou aquilo


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Tiempo no alivio; todos ustedes han mentido
Que me dijo tiempo facilitaría me de mi dolor!
Lo extraño en el llanto de la lluvia;
Lo quiero en la contracción de la marea;
El derretimiento de las Nieves de la vieja de cada ladera de una montaña,
Y hojas del año pasado son humos en cada carril;
Pero el año pasado amargo amar debe permanecer
Colmado en mi corazón, y mis viejos pensamientos permanecen!

Hay un centenar de lugares donde me temo
Ir,--con su memoria que ala!
Y entrar con alivio a algún lugar tranquilo
Donde nunca cayó su pie o brilló su rostro
Digo, "No hay memoria de él aquí!"
Y tan afectado, recordándole así!

   El tiempo no trae alivio; todos me han mentido by Edna St. Vincent Millay
   E-text at Preguntas y respuestas


■フランス語訳 Translation into French

Le temps ne soulage rien, vous m'avez tous menti
Vous qui me disiez que le temps apaiserait ma peine !
Je me souviens de lui quand il pleure de la pluie ;
Je me souviens de lui  quand la marée se retire ;
La vieille neige de l'hiver peut fondre dans les montagnes,
Et on peut brûler des feuilles dans toutes les rues,
Mon amour pour lui demeure
En mon coeur et dans mes pensées

Il doit bien avoir cent endroits où je ne peux plus aller
Parce qu'il s'y trouve toujours
Et quand j'en découvre un
Où il n'est jamais allé, où on ne l'a jamais vu,
Je me dis : "Tiens, il n'est jamais venu ici !"
Et tout à coup je constate que je pense toujours à lui.

   Le temps ne soulage rien, vous m'avez tous menti
   by Edna St Vincent Millay
   E-text at Université de Napierville


 Audio 1 
朗読: トレイシー・ホール Time does not bring relief. Read by Tracy Hall

Uploaded to YouTube by rt20bg on 19 Nov 2012. Audio courtesy of LibriVox


 Audio 2 
提供: ショートポエムズ Time does not bring relief, you all have lied. Presented by ShortPoems

Uploaded to YouTube by ShortPoems on 17 May 2012


 Audio 3 
朗読: ガブリエル・リール Seven selected poems read by Gabrielle Riel

「時は安らぎをもたらしはしない」は7番目のトラック。 Seven selected poems by Edna St. Vincent Millay, read by Gabrielle Riel for the Caledon Library January 2009 Book of the Month discussion. Time does not bring relief, you all have lied. is the 7th track.


■英語原文 The original text in English

Time does not bring relief; you all have lied
  Who told me time would ease me of my pain!
  I miss him in the weeping of the rain;
I want him at the shrinking of the tide;
The old snows melt from every mountain-side,
  And last year's leaves are smoke in every lane;
  But last year's bitter loving must remain
Heaped on my heart, and my old thoughts abide!

There are a hundred places where I fear
  To go, -- so with his memory they brim!
And entering with relief some quiet place
Where never fell his foot or shone his face
I say, "There is no memory of him here!"
  And so stand stricken, so remembering him!

   Time does not bring relief; you all have lied
   Sonnet 2 from Renascence and Other Poems (1917)
   by Edna St Vincent Millay


■英語原文を収録した本やウェブサイト Sources of the original text in English

  • 抜粋を収録したサイト Website containing excerpts:

  Video  
Time Does Not Bring Relief
Music: Giuseppe Ritorto. Lyrics: Edna St Vincent Millay. Sung by Jessica Taige

Uploaded by lthetr on Dec 29, 2008


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013-09-06 ロシア語訳、ドイツ語訳、イタリア語訳、ポルトガル語訳、スペイン語訳、およびフランス語訳を追加しました。また、ガブリエル・リールによる朗読を YouTube 掲載のものから Internet Archive 掲載のものへと差し替えました。
  • 2013-05-31 Tracy Hall による朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012-10-24 Gabrielle Riel による朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012-07-10 ShortPoems による朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2010-04-02 Time Does Not Bring Relief にメロディーを付けた作品の YouTube 動画を追加しました。また、見出しやリンクを修正・補足しました。

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A Cup of Tea by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「一杯のお茶」「一杯の茶」「お茶を一杯」

■はじめに Introduction

下に引用するのはニュージーランド出身の作家キャサリン・マンスフィールドの短編小説「一杯のお茶」の冒頭部分です。さまざまな訳や朗読のあとに、英語の原文を掲載します。


 Images 
表紙画像 Cover photos

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. New_zealand_stories b. 12436 c. 014144181x

■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh1) 徐志摩 2012
罗斯玛丽?费尔并不怎样的美。不,你不会得叫她美。好看?呒是的,要是你把她分开来看……可是为什么要拿一个好好的人分开来看,这不太惨了吗?她年纪是轻 的,够漂亮,十分的时新,穿衣服讲究极了的,专念最新出的新书博学极了的,上她家去的是一群趣极了的杂凑,社会上顶重要的人物以及……美术家——怪东西, 她自己的“发现”,有几个怕得死人的,可也有看得过好玩的。


(Zh2) 大连工业 孔韶辉 2012
  罗斯玛丽·费尔不算漂亮。
  真的,你不能称她为漂亮。长得标致吗?这个嘛,如果你把她的五官拆开,单看她的每一部分……可是,我们干吗要如此狠心,非得把人家的五官拆开来看呢?她年轻、聪颖,非常新潮,穿着考究,读过无数最新出版的书。她结交的人可以形成一个绝佳组合,不是真正的重要人物,就是……艺术家们——稀奇古怪的人物,都是她物色的,他们当中有一些人怪异得难以形容,不过有一些倒也很体面,很风趣。

  • 〈一杯茶〉 作者: 凯瑟琳·曼斯菲尔德 译者: 大连工业 孔韶辉 外语教学与研究出版社 2012
  • E-text at 爱洋葱 (iyangcong.com)

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) The Creative CAT, 2006
ローズマリー・フェルは正確にいうと美しくはありませんでした。いえいえ、美しいなんてとても言えなかったでしょう。可愛いかって? そうね、いろんな部分部分はね。でも誰かをばらばらの部分にしちゃうのは酷すぎると思わないこと? 彼女は若く、華やかで、ものすごくいい物を着ていて、くらくら来るほど新刊中の新刊を読んでいて、パーティーには本当の貴人を呼んでいました…まあ、そういう人以外にも芸術家という輩---こっちは奇人ね。彼女が見つけてくるの---も参加していて、連中の中には口にするのもどうかと思う程酷いのもいたけど、他の人達はちゃんと見苦しくなく楽しい皆さんでした。

  • キャサリン・マンスフィールド=著 The Creative CAT=訳 「一杯のお茶
  • E-text at The Creative CAT's Centre, Uploaded 2006/01/12

(J2) 西崎 2002
 ローズマリー・フェルは正確に言えば美人ではない。そうではない。彼女を美人と呼ぶことはできない。可愛らしい? そう、もしばらばらにして、それから……。いや、誰かの顔をばらばらにするなんて、そんなひどいことができるだろうか。彼女は若く、輝かしく、素晴らしく現代的で、溜息がでるほど良い服を着て、新しい本のなかでもさらに新しい本を読んだ。そうして彼女の開くパーティーは真に重要な人たちと、それに……芸術家たちの豪華な混合物だった。芸術家——風変わりな人たち、彼女に発見された人々、そのうちの何人かは説明するのすら恐ろしい人たちだった。けれど、それ以外の者は礼儀正しく、楽しい人物だった。

  • キャサリン・マンスフィールド=著 西崎憲(にしざき・けん)=訳 「一杯のお茶」 西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集』 ちくま文庫 2002/10 所収

(J3) 大澤 1975, 1999
 ローズマリー・フェルは、正確にいって、美人ではなかった。そう、美人だなどとよぶことはできなかった。可愛らしいかって? そう、彼女をばらばらにして考えるならば……しかしなぜ人をばらばらにして考えるなんて残酷なことができようか? 彼女は若くて、聡明で、このうえなく現代的で、みごとな服の着こなしだし、新刊書の最新のものに驚くほど精通していた。それに彼女の仲間は実際社会的に有力な人びとや……芸術家たち——風変わりな人たちで、彼女の見つけてきた掘り出しもの、なかには何とも言いようのないほどすさまじいものもいれば、またじゅうぶん人前にだせる面白いものもいる——そういった非常に愉快な連中であった。

  • キャサリン・マンスフィールド=著 大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳 「一杯のお茶」
  • 引用は a. 新水社版 1999/06 に拠りました。

(J4) 崎山 1969
 ローズマリー・フェルは、とくに、美人というわけではありません。いや、美人だなんどとはとてもいえません。それでは、かわいいといえるかしら? そうですね、顔の造作を一つ一つとりあげてみたら……でも顔をばらばらにするなんて、少しひどいですね。若くて、聡明で、とてもモダンで、すばらしく趣味のよい身なりをしていて、新刊書をよく読んでいて、彼女の集まりといえば、まことに楽しい人たちのよりあいで、社会的地位の高い人たち……それから芸術家仲間——これがまた変わった人種で、彼女の掘り出しもので、そのうちのいくたりかにはなんともいいようのないくらいいやな人もいますが、ほかの人は、まったく見た目にもりっぱだし、気持もよい人たちです。


(J5) 海老池 1964
 ローズマリー・フェルはかくべつ美人ではなかった。そう、美人とはいえなかった。が、かわいいかどうかは、その目鼻立ちをひとつひとつ取り上げると……だが、女の目鼻立ちをひとつひとつ取り上げるというような残忍なことをするものではない。彼女は若く、人目をひき、まったく現代的で、すばらしくしゃれた衣裳を身につけ、最新刊の書物に驚くほど通じていた。彼女が招く客はその選びかたがこの上なく気が利いていて、本当に貫禄のある人々と、そして……芸術家たち——風変わりな、彼女が発見した連中だった。なかには、ちょっといいようのないほど困った男もいたが、体裁が悪くなく、気晴らしになるものもいた。

  • カサリン・マンスフィールド=著 海老池俊治(えびいけ・しゅんじ)=訳 「お茶を一杯」 『マンスフィールド短篇集』 八潮版・イギリスの文学 2 八潮出版社 1964/01 所収

(J6) 工藤 1963
 ロウズマリー・フェルは美人というわけではありません。だれが見てもそうはいえないでしょう。きれいですかって? 顔の造作を分解してみれば、まあ……でも、分解なんて、残酷なことはしないほうがいいでしょう? 若くて、才気煥発で、とてもモダーンで、すごくいい着物を着て、とびきりの新刊書をあきれるほどよく読んでいます。つきあっているのは、本当に偉い人たちとそれに芸術家というすてきな組み合わせです。芸術家——これは毛色の変った人種で、彼女の掘り出しもので、中にはあきれて口もきけないくらいの人たちもいますが、大体は客の前に出して恥ずかしくない、面白い人たちです。


(J7) 江上 1960
[下の江上氏の本には A Cup of Tea の邦訳は収録されていません - tomoki y.]

  • キャサリン・マンスフィールド=著 江上照彦(えがみ・てるひこ)=訳

(J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
 ローズマリ・フェルは美人とは言えなかった。実際、誰だって彼女のことを美しいなんて言えやしない。愛嬌があるって? まあ、顔だちの一つ一つをとれば……。 だが何だって人をばらばらにするような残酷な真似をするのか。彼女は若くて、才気に溢れ、非常にハイカラで、着付けも実に見事で、最新刊の本のことなら驚くばかりによく知っていた、そして彼女のとこの実に楽しいパーティには社会的に有力な人達にまじって……芸術家というのがいた——風変りな連中で、彼女が見つけた人達である、中には言葉に言えぬほどぞっとするようなのもいたが、大抵はみなりちゃんとして愉快な連中であった。


(9) 伊藤 1958, 1986
 ローズマリ・フェルは本当の美人じゃありませんでした。ええ、とても美人とは言えませんでした。でも、可愛かったかと仰しゃるんですか? そうですね、ばらばらにして見れば……でも、まさか、人をばらばらになんて出来やしませんよ。彼女は若くて、才気のある、とてもモダンで、すばらしい身なりをしていて、新刊書と来たら一番新らしいものまで驚く程よく目を通し、仲間はまた本当に有名な方々と……それに芸術家達の加わったとても気持のいい連中で、もっとも、芸術家と言っても風変りな人達で、彼女の掘り出し物で、中には口に出せない程ひどいものもいますが、他は恥ずかしくない面白い人々でした。


(10) 野崎 1953
 ローズマリ・フェルは、正確に言うと、美貌ではありません。そうです、美貌と称するわけには参りますまい。では綺麗か、とおつしやるのですか。そうですね、若し部分的に見るならば——でも、人を部分的にみるなんて、そんな残酷な事が出来ますかしら。彼女は若く、溌剌として、とても近代的で、素晴らしい洋服を身につけ、新しい中でも新しい本を、びつくりする程よく読んでいました。それから彼女の開く社交会——これが実に楽しい会合で、集まる者は本当のお歴々、それから芸術家達——これがまた、変つた連中で、彼女の堀出しもの[ママ]なのです。中には口にするのも憚られる凄いのも居リますが、どこへ出しても恥かしくない面白い人達もまじつていました。

  • マンスフィールド=著 野崎孝=訳 岡鹿之助=装幀 「一杯の茶」 『入江にて』 ウェルテル文庫 早川書房 1953/10 所収

(11) 崎山 1934
 ローズメリーは美人ではありません。誰が見たつてさうとはいへないのです。でも、顔だちは——顔の造作を、一つ一つ分解したら……顔の分解なんて、少しひどいですね。若くて、溌剌としてゐて、とてもモダンで、非常にいゝ着物を着て、新刊書はずつと眼を通してゐるし、友人といふと社會に樞要な地位を占めてゐる人達と、それから藝術家連中——これが又、變つた人種で、彼女のめつけもので、中には口に出せないくらゐ突拍子もないのもゐるが、大體は人柄もよく、氣持もいゝものです。


■ポルトガル語訳(部分) Translation into Portuguese (fragment)

Rosemary Fell não era exatamente linda. Não, não se poderia chamá-la de linda. Bonitinha? Bem, se a ana- lisássemos por partes [Omission] Mas por que ser tão cruel ao ponto de dissecar uma pessoa?


 Audio 
「一杯のお茶」 英語原文のオーディオブック(朗読)
A Cup of Tea - Audiobook courtesy of LibriVox

Uploeaded to YouTube by Short Stories Cafe on 6 Feb 2016. Read by Julie VW.


■英語原文 The original text in English

Rosemary Fell was not exactly beautiful. No, you couldn't have called her beautiful. Pretty? Well, if you took her to pieces... But why be so cruel as to take anyone to pieces? She was young, brilliant, extremely modern, exquisitely well dressed, amazingly well read in the newest of the new books, and her parties were the most delicious mixture of the really important people and... Artists - quaint creatures, discoveries of hers, some of them too terrifying for words, but others quite presentable and amusing.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016/11/16 伊藤恭二郎=訳註 1958/10/31の訳文を挿入しました。
  • 2014/06/14 2種類の簡体字中国語訳を追加しました。
  • 2013/05/21 「はじめに」の項を新設しました。また、オーディオブック(朗読)へのテキスト・リンクを YouTube の画面で置き換えました。
  • 2011/08/21 LibriVox による「A Cup of Tea」の朗読へのリンクを追加しました。
  • 2009/07/31 江上照彦=訳 1960/04/30 の現物にあたって、本作品 A Cup of Tea が収録されていないことを確認しました。
  • 2007/09/28 野崎孝=訳 1953/10 を追加しました。
  • 2007/09/20 海老池俊治=訳 1964/01 を追加しました。
  • 2007/09/14 工藤昭雄=訳 1963/05 を追加しました。

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Wednesday, 12 September 2007

The Voyage by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「船の旅」「海の旅」「船旅」「航海」

        目次 Table of Contents

 Video 1  キャサリン・マンスフィールド A Portrait of Katherine Mansfield
 Video 2  ニュージーランドの町ピクトン Picton, New Zealand
 Images   表紙画像と切手 Book covers and a postal stamp
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 平戸 2003
  (J2) 西崎 2002
  (J3) 大澤 1975, 1999
  (J4) 崎山 1969
  (J5) 江上 1960
  (J6) 黒沢 1960, 1961, etc.
  (J7) 伊藤 1958, 1986
  (J8) 安藤 1957
  (J9) 崎山 1934
■ロシア語訳 Translation into Russian
■スペイン語訳 Translation into Spanish
  Audio   英語原文のオーディオブック Audiobook in English read by Lucy Burgoyne
■英語原文 The original text in English
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Video 1 
キャサリン・マンスフィールド——作家の肖像 A Portrait of Katherine Mansfield

Uploaded to YouTube by Rogério Bettoni on 22 Oct 2014


 Video 2 
ニュージーランドの町ピクトン Picton, New Zealand

マンスフィールドはピクトンに縁がある。彼女の祖父母と父ハロルド・ボーシャンは、オーストラリアからニュージーランドへ移住したあと、一時期ピクトンに住んでいた。また、祖父アーサー・ボーシャンは1866年から翌67年まで、この地区選出の国会議員だった。 Uploaded to YouTube by World Travel Guides on 16 Apr 2014


 Images 
表紙画像と切手 Book covers and a postal stamp

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. Kennedykm b. Image_upload c. Katherine_mansfield_nz_post

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 平戸 2003
 ピクトン行きの船は十一時半の出港予定だった。穏やかで、星明かりの美しい夜だったが、それでも車から下りて港に突き出ている旧桟橋を歩き始めると、海から吹きつける風にフィネラのかぶった帽子ははためき、彼女は片手を上げてそれを押さえた。旧桟橋の上は暗かった。ひどく暗い。羊毛格納庫、家畜運搬車、とっても高く立ち上がっている起重機、小さくてずんぐりした鉄道機関車、そうした物はみんな漆黒の闇に彫りこんだように見えた。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   平戸喜文(ひらど・よしふみ)=訳 「船の旅」
   トマス・ハーディ〔ほか〕=著 『イギリス名作短編集
   近代文芸社 2003/02 所収


(J2) 西崎 2002
 ピクトン行きの汽船は十一時半に出港することになっていた。穏やかな美しい夜で、頭上では夥しい星が瞬いていた。けれども、タクシーを降りて、港に深く切れこむ旧埠頭通りを歩きはじめた時、海から風が吹いてきて、フェネラの帽子は吹き飛ばされそうになった。フェネラは帽子を手で押さえた。旧埠頭通りは暗かった。とても暗かった。羊毛を貯めておく小屋、家畜運搬車、空に突きでたクレーン、うずくまる小さな蒸気機関車、みんな固形の闇を彫って造ったように見えた。
 
   キャサリン・マンスフィールド=著
   西崎憲(にしざき・けん)=訳 「船の旅」
   西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集
   ちくま文庫 2002/10 所収


(J3) 大澤 1975, 1999
 ピクトン行きの船は十一時半に出ることになっていた。穏やかな、星のきらめく、美しい夜だったが、しかし彼らが馬車から降りて、港の方へ突き出た旧桟橋に沿って歩き出した時には、水の上を渡ってくるそよ風が、フェネラの帽子の下の髪をそよがせ、彼女は手をあげて帽子を押さえた。旧桟橋の上は暗かった、まっ暗だった。羊毛置場、牛をのせた無蓋貨車、非常に高くそびえているクレーン車、小さなずんぐりした機関車、すべてが暗黒の塊で彫って作ってあるように思われた。
 
   キャサリン・マンスフィールド=著
   大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳 「船の旅」
   3a. 大澤銀作+相吉達男(あいよし・たつお)
      +河野芳英(かわの・よしひで)+柴田優子=訳
      『マンスフィールド全集』 新水社 1999/06 所収
   3b.マンスフィールド作品集』 文化書房博文社 1975 所収
   引用は 3a. に拠りました。


(J4) 崎山 1969
 ピクトン行きの船は十一時半出航の予定だった。暖かで、星のかがやく美しい夜であった。しかし、みんなが、馬車から下りて、港につき出ている「旧波止場(はとば)」を歩き出すと、海面から吹いて来るかすかな風が、フィネラの帽子の下でパタパタして、片手を上げて、それをおさえなければならなかった。「旧波止場(はとば)」の上は暗かった——まっくらだった。羊毛刈場、家畜貨車、そびえ立つ起重機、小さなずんぐりした鉄道機関車——みんな深いやみのなかに、彫りもののように見えた。
 
   キャサリン・マンスフィールド=著
   崎山正毅(さきやま・せいき)=訳 「船旅」
   崎山正毅+伊澤龍雄(いざわ・たつお)=訳
   『マンスフィールド短篇集—幸福・園遊会 他十七篇
   岩波文庫 1969/03 所収


(J5) 江上 1960
 ピクトン*航路の船は、十一時半に出帆(しゅっぱん)の予定だった。美しいおだやかな星月夜だった、ただ、彼女たちが馬車を降りて、港の中に突出している「旧埠頭(ふとう)」を歩みはじめたとき、水の上を吹渡ってくる微風がフェネラの帽子をあふったので、彼女は手をあげてそれをおさえた。「旧埠頭」の上は暗かった、まっ暗だった。羊毛倉庫、家畜運搬車、高くそびえている起重機、小さなずんぐりした機関車、すべてが固い闇を刻(きざ)んだもののように見えた。

* 訳註 Picton ニュージーランドの南島にある港市。北島のウエリントンからここへ行くには、船でクック海峡を渡る。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   江上照彦(えがみ・てるひこ)=訳 「船の旅」  
   5a.マンスフィールド短編集』 グーテンベルク21
      ドットブック版 179KB/テキストファイル 170KB
   5b.園遊会 他十四篇』 角川文庫 1960/04/30
   引用は 5b. に拠りました。


(J6) 黒沢 1960, 1961, etc.
 ピクトン行きの船は十一時半に出ることになっていた。そんなに寒くない、星のある、美しい夜で、ただ、彼等が馬車をおりて港に突出ている旧棧橋を歩き出した時に、海を渡ってくる微かな風がフェネラの帽子の下の髪をそよがせた、彼女は手をあげて帽子をおさえた。旧棧橋の上は暗かった、とても暗かった、羊毛置場、牛をのせた貨車、高く立っている起重機、小さなずんぐりした機関車、すべてが暗黒の塊を彫って造ったようにみえる。

   マンスフィールド=著 黒沢茂=訳 「海の旅」
   6a. マンスフィールド全集3』 垂水叢書 垂水書房 1966 所収
   6b.マンスフィールド全集3』 垂水書房 1961 所収
   6c.園遊会』 Tarumi Library 垂水書房 1960
   引用は 6b. に拠りました。


(J7) 伊藤 1958, 1986
[伊藤恭二郎氏による下の2種類の対訳本には The Voyage は収録されていません]

   マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
   7a.マンスフィルド短篇集 園遊会他』 英米作家対訳双書 金星堂 1986
   7b.マンスフィルド短篇集 園遊会他』 金星堂 1958/10/31


(J8) 安藤 1957
 ピクトン行汽船(訳注 ピクトンはニュージーランドの南島にある港市。北島のウェリントンから渡るもので、この間にクック海峡がある)は、十一時半に出るはずだった。美しい夜で、おだやかに、星がきらめき、ただ、彼らが馬車からおりて、埠頭(ふとう)に突き出している「旧桟橋」を歩きだそうとしたときに、水の上をわたってくるかすかな風が、フェネラの帽子をあおったので、手をあげてそれをおさえた。「旧桟橋」の上は暗かった、とても暗かった。羊毛置場、家畜運搬車、高くそびえている起重機、小さな、ずんぐりした鉄道の機関車——すべてが固い暗闇から彫りぬかれたようだった。
 
   キャサリン・マンスフィールド=著 安藤一郎=訳 「船の旅」
   『マンスフィールド短編集』 新潮文庫 1957/08 所収


(J9) 崎山 1934
 ピクトン號は十一時半出帆の筈だつた。その夜は、強い風もなく、空には美しい星がかゞやいてゐた。一行が馬車から下りて、港の中に突き出てゐる古い棧橋を歩いて行く時、波間からそよと吹きよせて來る肌ざはりのいゝ風が——それが、たゞ一つの動くものだつた——それが、フェネラの帽子をまくし上げ、彼女は手を差しのばして、それをおさへた。古棧橋の上は眞暗だつた。羊毛置場、家畜車、そびえ立つてゐる起重機、うずくまつてゐる小さな機關車——さうしたものがぼんやりと浮び上つてゐるのだつた。
 
   キァサリン・マンスフィールド=著 崎山正毅=訳 「航海」
   『マンスフィールド短篇集—疲れた子・少女・幸福・人形の家 他九篇
   岩波文庫 1934/08(昭和9)所収


■ロシア語訳 Translation into Russian

Пароход на Пиктон отходил в половине двенадцатого. Вечер был чудесный, тихий, звездный; только когда они вылезли из пролетки и двинулись по Старой пристани, что вдавалась прямо в гавань, морской ветерок чуть не сдул с Фенеллы шляпу и пришлось придержать ее рукой. На Старой пристани было темно, очень темно; навесы, под которыми складывают тюки шерсти, платформы для скота, высоченные краны, приземистый паровозик – все, казалось, вырублено из плотной тьмы.

   Кэтрин Мэнсфилд - Путешествие
   Переведен в 1981 г.
   Первая публикация: Английская новелла ХХ века.
   М.: Худож. лит., 1981. - с.180-188.
   E-text at ВАВИЛОН: Проекты: Нора Галь


■スペイン語訳 Translation into Spanish

El barco de Picton debía zarpar a las once y media. La noche era hermosa, tibia, llena de estrellas, pero cuando salieron del taxi y empezaron a caminar por el Muelle Viejo que sobresalía en el puerto, una ligera brisa procedente del mar agitó el sombrero de Fenela por debajo y tuvo que levantar la mano para sujetárselo. El Muelle Viejo estaba oscuro, muy oscuro; los tinglados de lana, los camiones de ganado, las grúas erguidas a gran altura, la pequeña y rechoncha locomotora, todo parecía estar labrado en una oscuridad sólida.

   El Viaje by Katherine Mansfield
   in Las Estaciones de la Imaginación by Julián Rodríguez Álvarez, 1998
   E-text at Las Estaciones de la Imaginación [PDF]


 Audio 
「園遊会」その他の短編 英語原文のオーディオブック 朗読: ルーシー・バーゴイン
The Garden Party and Other Stories. Audiobook read by Lucy Burgoyne

「航海」は9番目の録音です。 Audio courtesy of LibriVox. The Voyage is Track 9.


■英語原文 The original text in English

The Picton boat was due to leave at half-past eleven.  It was a beautiful night, mild, starry, only when they got out of the cab and started to walk down the Old Wharf that jutted out into the harbour, a faint wind blowing off the water ruffled under Fenella's hat, and she put up her hand to keep it on.  It was dark on the Old Wharf, very dark; the wool sheds, the cattle trucks, the cranes standing up so high, the little squat railway engine, all seemed carved out of solid darkness.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016-11-16 伊藤恭二郎氏による対訳本についての書誌情報を修正しました。
  • 2014-12-22 ピクトンを紹介するビデオと英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012-06-19 ロシア語訳とスペイン語訳を追加しました。
  • 2010-12-25 The Life & Writings of Katherine Mansfield の YouTube 動画を追加しました。
  • 2009-07-31 江上照彦=訳 1960/04/30 を追加しました。

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Monday, 10 September 2007

Ways of Escape by Graham Greene グレアム・グリーン 『逃走の方法』

 Video 
グレアム・グリーン追悼関連テレビ報道 (1991年)
Graham Greene obituary 1991


 Images 
表紙画像と肖像画 Cover photos and a portrait

a. 416dn8gj5rl b. Simonschuster c. Greene

↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) tomoki y. 2015
〈かく〉という行為は一種のセラピーだ。世の中には字も曲も絵もかかない人がおおぜいいるが、彼らは一体どうやって切り抜けているのだろう。そう、ときどき思う。どうやって発狂せず、鬱にもパニックにも陥らずにいられるのだろう。こうした症状は人生につきものだというのに。
                    グレアム・グリーン

  • Tomoki Yamabayashi=意訳・抜粋訳 tomokilog 2015-02-20

(J2) 三上 1999
ものを書くことは治療法の一形態である。書いたり作曲したり描いたりしない人はみんな、いったいどうやって、狂気やうつ状態、人間の境遇には付き物の追い詰められるような恐怖から逃げおおせるのかと、私はときどき不思議に思う。
                    グレアム・グリーン

  • 「第九章 死別、抑うつ状態、修復」のエピグラフ(題辞)
    アンソニー・ストー=著 吉野要(よしの・かなめ)=監修 三上晋之助(みかみ・しんのすけ)=訳 『新訳 孤独』 創元社 1999/03 この本は、下の (J2) 森+吉野 1994 の改訳版です。
  • 原書: Solitude: The School of Genius by Anthony Storr. Originally published by Andre Deutsch, 1988. Paperback editions include:

(J3) 森+吉野 1994
書くことは治療法の一つの形である。書いたり作曲したり描いたりしない人々はすべて、どうやって狂気やうつ病や人間に固有のいわれのない恐怖からうまく逃れているのかと、私はときどき不思議に思う。
                  ——グレアム・グリーン

  • 「第9章 死別、うつ病、修復」のエピグラフ(題辞)
    アンソニー・ストー=著 森省二(もり・せいじ)+吉野要(よしの・かなめ)=監訳 坂田智恵子+白石秀人(しらいし・ひでと)+森恭子=訳 『孤独—自己への回帰』 創元社 1994/01
  • 原書は上掲 (J1) 三上訳の原書とおなじ。

(J4) 高見 1985
書くことは、治療法(セラピー)の一種なのである。時おりわたしはふしぎに思うのだが、書くことも、作曲することも、絵筆をとることもない人たちは、いったいどうやって、人間存在につきものである狂気や憂鬱(メランコリア)や恐怖(パニック・フィア)から逃れていられるのだろうか?

  • 第9章 1.
    グレアム・グリーン=著 高見幸郎=訳 『逃走の方法』 早川書房 1985/12

■英語原文 The original text in English
 
Writing is a form of therapy. Sometimes I wonder how all those who do not write, compose or paint can manage to escape the madness, the melancholia, the panic fear which is inherent in the human situation.

   Ways of Escape (1980) by Graham Greene


■更新履歴 Change log

  • 2015/02/20 Tomoki Yamabayashi=意訳を追加しました。
  • 2009/12/12 Graham Greene obituary 1991 の YouTube 動画を追加しました。
  • 2007/10/08 アンソニー・ストー=著『孤独』の原書についての書誌情報を追加しました。
  • 2007/10/04 三上晋之助=訳 1999/03 を追加しました。

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(1) Graham Greene

(2) Ways of Escape

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(1) グレアム・グリーン

(2) 逃走の方法

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Sunday, 09 September 2007

The Garden Party by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「ガーデン・パーティー」「園遊会」「園遊會」

             目次 Table of Contents

   ■はじめに Introduction
    Images  表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait
   ■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese
     (Zh1) 鱼翔浅底
     (Zh2) 茶茶小语
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 浅尾 2008
     (J2) 西崎 2002
     (J3) 白木 1985
     (J4) 大澤 1975, 1999
     (J5) 崎山 1969
     (J6) 海老池 1964
     (J7) 江上 1960
     (J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
     (J9) 伊藤 1958, 1986
     (J10) 安藤 1953, 1957, etc.
     (J11) 野崎 1953
     (J12) 崎山 1934, 1936
   ■邦題の異同 Variation of the title in Japanese
     Video   ウェルカム・トゥ・ブーンドックス The Garden Party - The Boondocks
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■オランダ語訳 Translation into Dutch
   ■イタリア語訳 Translation into Italian
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
   ■フランス語訳 Translation into French
    Audio 1  英語原文の朗読 Audiobook read by Luci Burgoyne
    Audio 2  英語原文の朗読 Audiobook read by Eve Karpfe
   ■英語原文 The original text in English
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

「ガーデン・パーティ」はニュージーランド出身の作家キャサリン・マンスフィールドが1922年に発表した短編小説。


 Images 
表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

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■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh2) 鱼翔浅底
“让游园会停下来?亲爱的萝拉,别傻了。我们不能就这样让游园会停下来。这是肯定的。没有人会希望我们停办游园会,不要说那么傻的话。”

可我们怎么能在前门刚刚死了一个人的情况下开游园会呢?

这件事说起来那还真是有些傻,提到那片小房子——在那座陡峭的小山脚,有一条属于他们的街道,那条街道一直通往谢里登家的住宅。一条宽阔的大路横贯其中。是的,那片小房子和谢里登家离的太近了。 [略] 居住在那里的是些工人,那里总是聚集一群小孩子。当谢里登家的孩子们还很小的时候,他们就被禁止去那里,以防染上些可怕的疾病。可当他们稍稍长大了些时,萝拉和劳瑞有时会从中穿行,那是件令人作呕的事。可是,做为一个人必需什么地方都去,什么事都要看看。于是,他们有会有意地从那片地方穿行。

   《游园会》 作者: 凯瑟琳•曼斯菲尔德 译者: 鱼翔浅底
   E-text at 星辰儿童文学


(Zh2) 茶茶小语
“停止花园茶会?我亲爱的劳拉,别傻了。我们当然不会为此做任何事,没有人期待我们去做,别那么不切实际。”

“但是我们不可能在一个人就死在前门外的时候还举办什么花园茶会呀?”

那确实太不切实际了。因为那些小屋坐落在自己的小巷子里,位于通往大房子的陡坡的最底部。一条宽阔的马路贯穿其中。的确,他们离得太近了。 [略] 在这个小巷子里住着洗衣妇、清洁工、修鞋匠和一个用小鸟笼堆满前门的男人。孩子成群结队。当谢尔登家的孩子还小的时候,他们是禁止涉足那里的,因为那里脏话连篇怕把他们熏染坏了。但他们长大后,劳拉和劳里有时候偷偷地在那里经过。那种感觉又恶心、又龌龊。他们都不寒而栗了。但是人总得到处走走、看看。所以他们穿过了那条小巷。

   《花园茶会》 作者: 凯瑟琳·曼斯菲尔德 译者: 茶茶小语
   E-text at 译言网


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 浅尾 2008
「園遊会を? ねえローラ、ばか言わないで。そんなことできるわけないでしょ。わたしたちにそうしてほしいと思ってる人なんて、ひとりもいやしないわよ。無茶なこと言わないでちょうだい」
「でも、うちの門のすぐ外で人ひとりが死んだっていうのに、園遊会なんてやってられないじゃないの」
 確かに無茶な話ではあった。小さな家々が立ち並ぶその路地というのは、この屋敷に続く急な坂道を下(くだ)りきったところにある。 [略] その路地に住むのは洗濯女に煙突掃除人、靴の修理職人といった人々で、家の前に小さな鳥籠をたくさんぶら下げている男もいる。子供も群れるほどいた。シェリダン家の子供たちがまだ小さかったころ、そのあたりには近づくなと言われていた。言葉遣いもがらが悪いし、もしかするとおかしなことを覚えてくるかもしれないからである。しかし、大きくなってからは、ローラやローリーはときどき、その路地をふらっと通り抜けることがあった。いかにもむさ苦しい、ぞっとするような場所だった。通り過ぎてから身震いすることもあった。それでも、人はあらゆるところに足を運び、あらゆるものを自分の目で見なければならない。だから彼らはその路地も通ったのだ。

   マンスフィールド=作 浅尾敦則(あさお・あつのり)=訳 「園遊会」
   ポプラクリエイティブネットワーク=編 『諸国物語
   ポプラ社 2008/02 所収
   ルビを一部省略しました。この訳は新訳。つまり、この本が初出です。


(J2) 西崎 2002
「ガーデン・パーティーを中止する? ローラ、ばかなことを言わないで。もちろん、わたしたちにはそんなことできないわ。そんなことするとは誰も思ってないわ。無茶なこと言わないで」
「でも、表門のすぐそばに死んだ人がいるのに、ガーデン・パーティーなんてできるわけないわ」
 それは確かに無茶なことだった。ローラの邸は高台にあって、高台の急な斜面の底には狭い道があった。そしてその道沿いに小さな家が並んでいた。 [略] 家には洗濯女たちが住んでいた。煙突掃除人、靴直し、それに家の前を小さな鳥籠で埋めた男が住んでいた。子供たちは大勢いた。シェリダン家の子供たちは小さい時、その場所に足を踏みいれることを禁じられていた。なぜならそこで話される言葉はひどいものだったし、病気がうつるかもしれなかったからだ。けれど、大きくなってからローラとローリーは散歩の時たまにそこを通り抜けた。家並みは不潔で、吐き気を覚えるほどだった。ふたりは身震いしてそこを通り抜けた。けれど、人というものはどんなところでも行かなければならないものだし、どんなものでも見なければならないものだった。だから、ふたりはその道を通り抜けた。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   西崎憲(にしざき・けん)=訳 「ガーデン・パーティー」
   西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集』 ちくま文庫 2002/10 所収


(J3) 白木 1985
「ガーデン・パーティーをやめるだなんて。ローラったら、ばかなこといわないでよ。もちろん、そんなことできっこないわ。だれだって、そんなこと考えもしないでしょう。そんな、とほうもないこと、いうものじゃなくてよ」
「でも、表門のすぐまえの人が死んだのよ。ガーデン・パーティーなんか、できると思って?」
 じっさい、それはとっぴな考えであった。その家というのは、ローラたちの住んでいる邸(やしき)に通じるきゅうな坂道の下にあって、小道をはさんでひとかたまりにくっつきあっている数軒のなかのひとつだった。[略]
 その一画には、洗たく女だとか、煙突掃除夫、靴直し、それから、表戸のまえに、ちっちゃな魚かごをいっぱいぶらさげている男とか——そういったような人たちが住んでいた。子どもは、うじゃうじゃいた。シェリダン家の子どもたちは、ちいさいとき、そこへいってはいけないといわれた。ことばが乱暴なうえに、どんな病気をうつされるかわからないからだった。
 だが、かなり大きくなってからは、ローラと兄のローリーは、散歩のついでに、そこの小道を通りぬけることがあった。きたない、不ゆかいなところだった。ふたりは、ぞっとしながら、そこからでてくるのだった。
 しかし、人というものは、どこへでもいってみなければならない、なんでもみておかなければならない、という考えから、ふたりは、よくそこを通りぬけた。

   マンスフィールド=作 白木茂(しらき・しげる)=訳 「ガーデン・パーティー」
   『はじめての舞踏会』 世界の名作文学29 岩崎書店 1985/01/30 所収


(J4) 大澤 1975, 1999
 「園遊会をやめにするんですって? まあ、ローラ、そんなばかなこと言ってはいけないわ。もちろん、私たちはそんなことできやしないわ。誰も私たちにそんなことをしてもらおうなんて思ってやしないわ。そんな無茶なこと言ってはいけないわ」
 「でも、表門のすぐ外で人が死んだというのに、私たちは園遊会などとても開くことはできないわ」
 それは実際無茶なことだった、なぜなら小さな家々が邸へ通ずる急な坂のまさに下に、小径に自分たちだけでかたまって建っていた。 [略] 洗たく女がその小径に住んでいた、また掃除人や、靴直しや、家の前にはところせましと、小っちゃな小鳥かごを散在させている人が。子供たちが群がっていた。シェリダン家の連中は幼い頃、下品な言葉と、病気が感染するかもしれないために、そこに足を踏み入れることを禁じられていた。しかし、大きくなってからは、ローラとローリーは散歩の途中に時々通り抜けた。いまわしい、不潔なところだった。身震いして抜け出た。しかし、人はどこへでも行かなければならない、人はなんでも見なければならない。それでそこを通り抜けた。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳 「園遊会」
   4a. 大澤銀作+相吉達男(あいよし・たつお)
      +河野芳英(かわの・よしひで)+柴田優子=訳
      『マンスフィールド全集』 新水社 1999/06 所収
   4b. マンスフィールド作品集』 文化書房博文社 1975 所収 
   引用は 4a. に拠りました。


(J5) 崎山 1969
 「園遊会をやめるって? ねローラ、そんな無茶なこと……そんなこと、全然できないわ。誰だって、私たちがやめるなんて思わないことよ。そんな無茶なことしないで……」
 「でも表門のすぐ前で死んだ人があるというのに園遊会をするなんて考えられないわ。」
 無茶といえば、たしかに無茶である。というのは、あの小さな家々は、彼女たちの家へ通じている急な坂道のどん底の路地に、ひとかたまりになって建っている。 [略] その路地には、洗濯婆さん、煙突掃除人、靴なおし、それから表に小さな鳥籠を一面にぶらさげている男などが住んでいる。子供たちが わんさ(#原文は太字でなく傍点)といる。シェリダン家の子供たちは、小さいときには、そこへ足をふみいれてはいけないといわれていた。言葉が乱暴だし、病気がうつされるかもしれないというわけである。しかし、ローラやローリーは大きくなると、ときどき散歩のついでにそこをぶらつくこともあった。いやな、むかむかするところだった。二人はぞっとしながら通り抜けるのであった。しかし、人間というものはどこへでも行かなければならない、なんでも見なければいけない——そう考えて、彼らは通り抜けるのであった。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   崎山正毅(さきやま・せいき)=訳 「園遊会」
   崎山正毅+伊澤龍雄(いざわ・たつお)=訳
   『マンスフィールド短篇集—幸福・園遊会 他十七篇
   岩波文庫 1969/03 所収


(J6) 海老池 1964
「園遊会を中止するんですって、ローラ。とんでもない。そんなことできっこないじゃないの、誰も中止しろなんていいやしないのに。とほうもないことをいうもんじゃないわ」
「だって、表門のすぐ外で人が死んだのに、園遊会なんかできないじゃないの」
 じつさい[ママ]、とほうもないことだった。<小屋>というのはシェリダン家へ通じる急な坂の下の小道に、離れて、ひとかたまりになっていたからだ。 [略] 洗濯女がその小道に住んでいた。それから、掃除人夫と靴直しのほかに、ある男の家には、前にいっぱい小さな鳥籠が下げてあった。うじゃうじゃと子供がいた。シェリダン家の兄妹は小さいころそこへ足を入れることを禁じられていたが、それは下種っぽい言葉使いと伝染病が心配だったからだ。が、大きくなってから、ローラとローリーは散歩の途中にときどきそこを通った。むさくるしく、胸が悪くなった。身慄いしながら出て来た。が、それにしても、ひとはどこへでも行き、なんでも見なければならないのだ。で、二人はそこを通った。

   マンスフィールド=著 海老池俊治(えびいけ・しゅんじ)=訳 「園遊会」
   『マンスフィールド短篇集』 八潮版・イギリスの文学2
   八潮出版社 1964/01 所収


(J7) 江上 1960
 「園遊会を中止するって? まあ、ローラ、とんでもないこといわないでよ。もちろん、そんなことできるわけがないわ。たれだって、そんなの思いもかけないでしょう。あんまり無茶をいわないでね」
 「でも、表門の鼻先に、人死にがあったというのに、園遊会なんてとてもできないわ」
 それこそ全く無茶である、というのは、この家に至るけわしい坂の、ほんのその下の、袋小路に、例の部落はあったのだから。 [略] その小路には洗濯女(せんたくおんな)たちが住んでいた、そのほか煙突掃除夫、靴直し、家の表に小さな鳥籠(とりかご)をやたらにぶら下げている男、そうした面々が住んでいた。子供たちがうようよしていた。シェリダン家の子供らは、まだ小さかった頃、そこに足を踏み入れてはいけないといましめられていた。言葉が乱暴だし、何を覚えてくるかわからないからであった。しかし、大きくなってしまってからは、ローラとローリイは、たまには足の向くままに、そこを通り抜けることもあった。いやらしい、うす穢(ぎたな)いところだった。二人はおじけをふるって、出てくるのだった。でもやはり、人はどこへでも行かねばならぬ、何でも見ておかねばならぬ。というわけで、そこを通った。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   江上照彦(えがみ・てるひこ)=訳 「園遊会」  
   7a.マンスフィールド短編集』 グーテンベルク21 所収
      ドットブック版 179KB/テキストファイル 170KB
   7b.園遊会 他十四篇』 角川文庫 1960/04 所収
   引用は 7b. に拠りました。


(J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
「園遊会をやめるんですって。ねえローラ、そんな馬鹿なこと言うものではないわ。勿論そんなこと出来っこない。誰だってそんなことになると思ってやしない。突飛なこと言うものでないわ。」
「だって表門のすぐ前の人が死んだというのに園遊会なんて出来やしない。」
 実際それは突飛なことであった、その小さな粗末な家というのはこの邸に通ずる急な坂道の下の路次にかたまっていたからである。 [略] その路次には洗濯女が住んでいた。煙突掃除、靴直し、それから家の前に小ちゃな鳥篭を一杯にかけている男がいた。子供達が大勢いた。シェリダン家の子供達は小さい時に、言葉がひどくどんな病気がうつるかも知れないというので、そこへ足を入れるのを禁じられた。しかし大きくなってから、ローラとローリィはこっそり歩きながら時々そこを通りぬけた。不快な汚らしいところであった。彼等は身震いしながら出てきた。しかしそれでもどこへでも行ってみねばならない、何でも見ておかねばならない。そこで彼等は出かけた。

   マンスフィールド=著 黒沢茂=訳 「園遊会」
   8a. 立風書房編集部=編 『世界青春文学館1』 立風書房 1973 所収
   8b. マンスフィールド全集3』 垂水叢書 垂水書房 1966 所収
   8c. 学習研究社書籍編集部=編
      『世界青春文学名作選 第16-19』 全4冊
      ガッケン・ブックス 学習研究社 1964-1965 所収
   8d. 加納秀夫=編『イギリス短篇名作集』 学生社 1961 所収
   8e.マンスフィールド全集3』 垂水書房 1961/07 所収
   8f.園遊会』 Tarumi Library 垂水書房 1960
   引用は 8e. に拠りました。


(J9) 伊藤 1958, 1986
 「ガーデン・パーティーを止めるんですって? まあ、ローラ。そんなの無茶よ。もちろん、そんなことは出来ないわ。誰もそんなこと考えてないでしょう。そんな途方もないことしないでよ。」
 「だって、表門のすぐ前に、死んだ人がいるというのに、ガーデン・パーティーなんかとても出来やしないわ。」
 本当に、それは途方もない考えだった。というのは、その小さい家並みは、一とかたまりになって、小路になっていて、この邸(やしき)へ通じている急な坂道の下になっていたのだから。 [略] その小路に住んでいるのは、洗濯(せんたく)女、煙突掃除夫、靴直(くつなお)しや、家の正面に小さな鳥籠(とりかご)を一杯にぶら下げている男などであった。子供らがうじゃうじゃしていた。シェリダン家の子供達が小さかったころは、言葉のひどいのと、どんな病気をうつされるか分らないのとで、足をそこへふみ入れることは禁じられていた。しかし、大きくなってからは、ローラもローリーも、ぶらぶら散歩に出かけた時、そこを通ることもあった。むかつくような、汚ならしいところだった。身ぶるいして、二人は出て来たのであった。でも、人間は何処へでも行って見なければいけないし、何でも見なければいけない。それで二人はそこを通ったのであった。

   マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳
   「園遊会(ガーデン・パーティー)」
   9a. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』 英米作家対訳双書
      Kinseido's books 金星堂 1986
   9b. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』
      Kinseido's books 金星堂 1958/10 
   引用は 9b. に拠りました。


(J10) 安藤 1953, 1957, etc.
「園遊会(ガーデン・パーティー)をやめるって? まあ、ローラ、馬鹿なこと言わないで。もちろん、そんなことできないわ。だれだって、あたしたちがやめるなどとは思わないでしょう。そんな気狂(きちが)いじみたことしないで」
「だって、表門のすぐ外に死んだ人があるというのに、園遊会(ガーデン・パーティー)をするなんていうこと、どうしたってできないわよ」
 それこそ、まったく気狂いじみている、その小さな家々は、邸のところへ出る急な坂の下で、それだけ一かたまりになって、小路(こうじ)にあるのだから。 [略] その小路には、洗濯女や、煙突掃除夫や、靴直しや、また家の正面にちっちゃな鳥籠をいっぱいぶらさげた男などが住んでいた。子供たちがうじゃうじゃいた。シェリダンの子供たちが小さかったときは、そこに足をふみ入れることは禁じられていた。言葉が悪いのと、どういう病気をうつされてくるかわからないからであった。だが、彼らが大きくなってからは、ローラとローリーはぶらぶら歩きに出たとき、ときにそこを通ることがあった。胸がむかつくほど、汚らしかった。二人はおぞ気をふるいながら、帰ってきた。しかし、ひとはどこへでも行かなければならない、どんなものでも見なければならない。それで、彼らはそこを通りぬけた。

   キャサリン・マンスフィールド=著 安藤一郎=訳
   「園遊会(ガーデン・パーティー)」
   10a.世界の文学53 イギリス名作集・アメリカ名作集
      中央公論社 1966 所収
   10b.世界文学全集45』 新潮社 1964 所収
   10c.マンスフィールド短編集』 新潮文庫 1957/08 所収
   10d.マンスフィールド傑作選2 園遊会』 全2冊 英宝社 1955
   10e.園遊会(ガーデン・パーテイ)』 英宝社 1953 
   引用は 10c. に拠りました。


(J11) 野崎 1953
 「園遊会を止めるつて? ねえ、ローラ、あんまり馬鹿な事、言わないでね。そんな事、出来ないにきまつてるじやないの。私達がそんな事するなんて、誰も思つてないわ。そんな極端な事、言わないでよ。」
 「でも、お家のすぐ前で人が死んでるのに、まさか園遊会は開けないわ。」
 それは実際極端な話だつた。だつて、その小さな家々は、ローラ達の家まで登つて来る急な坂の一番下の、そちらへ分れて行く小径に並んでいるのだから。 [略] その小径には、洗濯女が何人か住んでいた。それから、煙突掃除夫、靴直しが一人、家の正面に小さな鳥籠を一杯ぶらさげた男も一人居た。子供達がうじやうじやしている。シェリダン家の子供達がまだ小さかつた頃は、言葉がきたないし、何を覚えて来るか分らないというので、そこへ足をふみ入れる事は禁じられていた。然し、大きくなつてからは、ローラとローリーは、ちよつとぶらつきに出たついでに、そこを通りぬけることが時々あつた。そこは胸がむかつく程汚ならしかつた。彼等は身ぶるいしながら抜け出して来る。だが、それでも人はどこへでも行かなければならぬ、何でも見なければならぬ。それで彼等もそこを通り抜けるのだつた。

   マンスフィールド=著 野崎孝=訳 岡鹿之助=装幀 「園遊会」
   『入江にて』 ウェルテル文庫 早川書房 1953/10 所収


(J12) 崎山 1934, 1936
 「園遊會をやめるんですつて? ね、ローラ、そんな無茶なこと……そんなこと出來ませんわ。みんながびつくりしますわ。そんな無法なことしないで頂だい」
 「でも玄關のすぐ外のところに、死んでゐる人があるのに、園遊會なんかやれるものですか」
 考へ方では、實際無法なことかも知れない。といふのは、ローラ達の家へと續いてゐるけはしい坂の一番下に、粗末な小さな家が數軒、それだけで二列に竝んで立つてゐるのだつた。 [略] その小路には、洗濯婆さん、掃除人夫、靴直し、それから表戸に小さな鳥籠を一面に出してゐる男が住んでゐた。子供達がワンサ/\とゐるのだつた。シェリダン家の子供は、小さい頃に、そこへ足を踏み入れちやいけないと止められてゐた。言葉が亂暴だし、何を覺えてくるかわからないところだから……然し、ローラとローリイは少し大きくなつて、散歩のついでに、その道を通り拔けることがあつた。汚いいやなところだつた。二人はブルリふるへながら出て來るのだつた。でも然し、人間は何處へでも行つて、何でも見ておかねばならないのだと考へて、通り過ぎたのだつた。

   12a. マンスフィールド=著 崎山正毅=譯 「園遊會」
      十一谷義三郎(じゅういちや・ぎさぶろう)=譯編
      『世界短篇傑作全集1 英米短篇集
      河出書房 1936/09(昭和11)所収
   12b. キァサリン・マンスフィールド=著 崎山正毅=譯 「園遊會」
      『マンスフィールド短篇集—疲れた子・少女・幸福・人形の家 他九篇
      岩波文庫 1934/08(昭和9)所収
   12a.12b. とでは、用字・句読点など細部が若干異なります。
   引用は 12b. に拠りました。


■邦題の異同 Variation of the title in Japanese

「ガーデン・パーティー」……西崎 2002 白木 1985
「園遊会」………………………浅尾 2008 大澤 1975, 1999
              崎山 1969 海老池 1964 江上 1960
              黒沢 1960, 1961, etc. 伊藤 1958, 1986
              安藤 1953, 1955, etc. 野崎 1953
「園遊會」………………………崎山 1934, 1936


  Video  
ウェルカム・トゥ・ブーンドックス (2005) - アニメ「ブーンドックス」シリーズから
The Garden Party (2005) - The Boondocks: Season 1, Episode 1

「ウェルカム・トゥ・ブーンドックス」は日本の衛星/ケーブルTV放映時の題。この番組は、キャサリン・マンスフィールドの短篇を原作にしているわけではありません。小説とアニメのあいだに直接の関係はありません。しかし、階級間格差あるいは人種差別を扱っている点で相通ずる面がないとも言えません。 Uploaded to YouTube by TheBoondocksArena on 18 Mar 2013


■ロシア語訳 Translation into Russian

  "Отменить вечеринку? Моя дорогая Лора, не будь так абсурдна. Конечно, мы не можем ничего сделать этакого. Никто не ожидает этого от нас. Не будь так экстравагантна."
  "Но у нас не может быть вечеринки, когда недалеко от парадных ворот мёртвый человек."
  Это действительно было экстравагантно, поскольку небольшие дома были в переулке и располагались напротив друг друга, в самом низу крутого подъема, который вёл к их дому. [Omission] В переулке жили прачки, трубочисты, сапожники и человек, фасад дома которого был облеплен по всей длине мелкими птичьими клетками. Дети копошились. Когда Шериданы были маленькими, им запрещали ступать туда, из-за отвратительного жаргона, и мало ли чему они там научатся. Но по мере того, как они подрастали, Лора и Лори в своих блужданиях, иногда забредали туда. Это было отвратительно и противно. Они выходили оттуда с содроганием. Но, тем не менее, нужно побывать всюду, нужно повидать всё. Таким образом, через это они прошли.

   Кэтрин Мэнсфилд - Вечеринка на открытом воздухе
   E-text at Lib.ru


■オランダ語訳 Translation into Dutch

'Het tuinfeest afgelasten? Mijn beste Laura, doe niet zo raar. Natuurlijk kan dat niet meer. Niemand verwacht dat van ons. Doe niet zo excentriek.'

'Maar we kunnen onmogelijk een tuinfeest houden, nu er vlak voor ons huis een man is verongelukt.'

Dat was werkelijk overdreven, want de kleine huisjes stonden aan een straatje helemaal onder aan de steile heuvel waarop hun huis zich bevond.  [Omission]  In het straatje woonden wasvrouwen en schoorsteenvegers, een schoenlapper en een man wiens huis aan de voorkant totaal verdween achter talloze piepkleine vogelkooitjes. Overal zwierven kinderen rond. Toen de Sheridan-kinderen klein waren, mochten ze daar absoluut niet komen vanwege het weerzinwekkende taalgebruik en de ziektes die ze er konden oplopen. Maar sinds ze volwassen waren, kwamen Laura en Laurie op hun rondzwer- vingen wel eens door de gemeenschap. Het was er walgelijk en smerig. Ze kwamen er altijd huiverend vandaan. Maar men moet overal zijn geweest; men moet alles hebben gezien. En dus liepen ze er dwars doorheen.

   Het tuinfeest
   Het tuinfeest en andere vertellingen by Katherine Mansfield
   Kemper Conseil Publishing, 2004-10-28
   Preview at Google Books


■イタリア語訳 Translation into Italian

“Fermare la festa in giardino? Mia cara Laura, non dire assurdità. È ovvio che non possiamo fare una cosa del genere. Nessuno se lo aspetta. Non essere eccessiva.”

“Ma non possiamo certo fare una festa in giardino con un uomo morto appena fuori dal nostro cancello.”

Quella sì che era una cosa eccessiva, dato che le casette erano raggruppate in un vicolo proprio ai piedi di una ripida salita che conduceva a casa loro. [Omission] Nel vicolo vivevano lavandaie e spazzacamini, un ciabattino e un uomo che aveva la facciata della sua casa tappezzata di minuscole gabbie per gli uccellini. C'erano sciami di bambini. Da piccoli agli Sheridan era vietato metterci piede, per via del linguaggio scurrile e delle malattie che avrebbero potuto prendersi. Ma adesso che erano grandi, a Laura e Laurie capitava di passarci durante le loro passeggiate. Era un posto rivoltante e squallido. Uscivano di lì con i brividi. Eppure bisognava andare ovunque, bisognava vedere tutto. E così ci andavano.

   La festa in giardino
   in Felicità ~ La festa in giardino by Katherine Mansfield
   Translated by Marcella Maffi
   La Bibliothèque électronique du Québec
   Collection Classiques du 20e siècle, Volume 107: version 1.0
   Excerot at La biblioteca di Repubblica-L'Espresso


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

— Suspender a festa no jardim? Minha querida Laura, não seja tão absurda. Claro que não podemos fazer nada disso. Ninguém espera que o façamos. Não seja tão extravagante.

— Mas não podemos, de modo algum, dar uma festa ao ar livre com um homem morto logo ali fora do portão da frente.

Isto era realmente extravagante, pois os pequenos bangalôs ficavam numa viela própria, bem ao final de uma subida íngreme que levava até a casa. [Omission] Lavadeiras habitavam a viela, varredores e um remendão, além de um homem cuja casa tinha a fachada toda enfeitada de minúsculas gaiolas. Enxames de crianças. Quando os Sheridan eram pequenos, eram proibidos de pôr o pé lá, devido à linguagem repulsiva e às doenças que poderiam pegar. Mas desde que haviam crescido, Laura e Laurie, em suas rondas, algumas vezes atravessavam a viela. Era revoltante e sórdido. Saíam de lá com um estremecimento. Mas, ainda assim, era preciso ir a toda parte; era preciso ver tudo. Assim, por ali passavam.

   A Festa ao Ar Livre by Katherine Mansfield
   Translated by Luiza Lobo
   As filhas do falecido coronel e outras histórias
   Ediouro Publicações, 1997
   Preview at Google Books


■スペイン語訳 Translation into Spanish

-¿Suspender la fiesta? Mi querida Laura, no seas loca. No podemos hacer nada de eso. Nadie espera tal cosa. No seas extravagante.

-Pero no es posible celebrar una fiesta en el jardín con un muerto frente a nuestra puerta.

Decir eso era realmente exagerado, porque las casitas estaban en un terreno aparte, en el fondo de una cuesta empinada que llevaba a la casa.  [Omission]  Vivían lavanderas y barrenderos, y un remendón, y un hombre que tenía todo el frente de la casa con jaulitas de pájaros. Los chicos hormigueaban. Cuando los Sheridan eran pequeños les estaba prohibido acercarse, por el lenguaje que usaban los pobres y las enfermedades que podían contagiarles. Pero desde que eran grandes Laura y Josefina, en sus andanzas, solían meterse por ahí. Era sórdido y asqueroso. Salían estremecidas. Pero se debe ir a todas partes; uno debe verlo todo. Por eso iban.

   Fiesta en el jardín by Katherine Mansfield
   E-text at:


■フランス語訳 Translation into French

  – Empêcher la garden-party ? Ma chère Laura, ne sois pas si absurde. On ne peut pas faire des choses pareilles, cela va sans dire. Personne n’attend cela de nous. Ne sois pas si extravagante.
  – Mais il n’est pas possible que nous donnions une garden-party quand un homme vient de mourir juste à notre porte.
  Idée vraiment extravagante que celle-là, puisque les cottages se trouvaient tout seuls dans une ruelle, au pied même d’une pente abrupte qui montait jusqu’à la maison. [Omission] Dans la ruelle habitaient des blanchisseuses, des marronneurs et un homme dont la maison avait sa façade toute parsemée de minuscules cages d’oiseaux. Les enfants fourmillaient. Quand les Sheridan étaient petits, il leur était défendu de mettre le pied dans ce chemin à cause du langage odieux qu’on y entendait et des maladies qu’ils auraient pu attraper. Mais, depuis qu’ils avaient grandi, Laura et Laurie dans leurs escapades y passaient quelquefois. L’endroit était dégoûtant et sordide. Ils en sortaient avec un frisson. Mais cependant il fallait bien aller partout ; il fallait tout voir. Donc ils y allaient.

   La garden-party
   in La garden-party et autres nouvelles by Katherine Mansfield
   Translated by Marthe Duproix
   E-text at La Bibliothèque électronique du Québec [PDF]
   Collection Classiques du 20e siècle, Volume 107: version 1.0


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック 朗読: Luci Burgoyne
Audiobook in English read by Luci Burgoyne

下の引用箇所の朗読は 19:14 から始まります。 Uploaded to YouTube by The 16th Cavern on 10 Jan 2013. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 19:14.


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック(冒頭部分) 朗読: Eve Karpfe
Audiobook in English (Opening segment) read by Eve Karpfe

Uploaded to YouTube by AudiobooksMP3 on 28 Aug 2009. Produced by Robert Nichol. Audio productions by Ipodity.


■英語原文 The original text in English

"Stop the garden-party?  My dear Laura, don't be so absurd.  Of course we can't do anything of the kind.  Nobody expects us to.  Don't be so extravagant."

"But we can't possibly have a garden-party with a man dead just outside the front gate."

That really was extravagant, for the little cottages were in a lane to themselves at the very bottom of a steep rise that led up to the house.  [Omission]  Washerwomen lived in the lane and sweeps and a cobbler, and a man whose house-front was studded all over with minute bird-cages.  Children swarmed.  When the Sheridans were little they were forbidden to set foot there because of the revolting language and of what they might catch.  But since they were grown up, Laura and Laurie on their prowls sometimes walked through.  It was disgusting and sordid.  They came out with a shudder.  But still one must go everywhere; one must see everything.  So through they went.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/10/20 Luci Burgoyne による英語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2014/06/27 ロシア語訳を追加しました。
  • 2013/05/28 目次、「はじめに」、「邦題の異同」の各項を新設しました。また、2種類の簡体字中国語訳、イタリア語訳、フランス語訳、およびアニメ「ウェルカム・トゥ・ブーンドックス」 (2005) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/01/30 白木茂=訳 1985/01/30 を追加しました。
  • 2011/11/25 ポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/08/21 スペイン語訳とオランダ語訳を追加しました。
  • 2010/04/30 英語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2008/02/15 浅尾敦則=訳 2008/02 を追加しました。
  • 2007/09/28 野崎孝=訳 1953/10 を追加しました。
  • 2007/09/23 江上照彦=訳 1960/04 と伊藤恭二郎=訳 1958/10 を追加しました。
  • 2007/09/20 海老池俊治=訳 1964/01 を追加しました。
  • 2007/09/11 黒沢茂=訳 1961/07 と崎山正毅=訳 1934/08 を追加しました。
  • 2007/09/10 西崎憲=訳 2002/10 を追加しました。

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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) Katherine Mansfield

(2) The Garden Party

■和書 Books in Japanese
(1) キャサリン・マンスフィールド

(2) 園遊会

  

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谷崎潤一郎『細雪』(4) The Makioka Sisters by Junichiro Tanizaki (4)

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800pxcimex_lectularius 800pxnara_hotel_01_2 Tanizaki
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Left トコジラミ / Bedbug (Cimex lectularius)。別名、南京虫(なんきんむし)。Image source: Cimex lectularius - Wikipedia
Centre 奈良ホテル(本館) Image source: 奈良ホテル - Wikipedia
Right 谷崎潤一郎 / Junichiro Tanizaki (1886-1965) Image source: Area2
 
 
■英訳 Translation into English

When he came back from work, Teinosuke called her out to the terrace to have her ear examined in a strong light. It was no sand fly, he snorted. It was a bedbug. What! In the Nara Hotel, answered Teinosuke. He had felt a little itchy himself that morning--see? He rolled up a sleeve. There could be no doubt that it was a bedbug, he said. If Sachiko would look at her ear she would find two bites close together. Sachiko held a mirror behind her ear, and saw that her husband was right.
  "You are absolutely right. A fine sort of hotel--rude maids and waiters, terrible service, and bedbugs."
  She was furious at the Nara Hotel. It had spoiled the whole week-end.

   The Makioka Sisters by Junichiro Tanizaki
   Translated by Edward G. Seidensticker
   First English edition published in 1957
   Paperback: Charles E. Tuttle Company, 1958/01
 
 
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

贞之助向例在下班时刻回到家里,不知他心里想些什么,要求幸子让他看看耳朵,他把幸子拉到露台上明亮的地方,仔细观察她的患部,然后说:“嗯,你那个不是蚊子咬的,是臭虫咬的。”幸子就问:“怎么?在哪里让臭虫咬的呢?”“奈良旅馆的床上咬的,今天早晨我这里也痒,你瞧!”他边说边卷起袖子让幸子看他的两只手臂,“这的确是臭虫咬过的痕迹,你耳朵上也有这样两个痕迹哩。”幸子拿起双重镜子一照,果真有两处疤痕。
  “真的是臭虫咬的。那个旅馆对旅客一点儿都不亲切,服务态度也糟得很,再加上臭虫,还成个什么旅馆呀!”幸子想到难得有这样两天的行乐,却让臭虫闹得意兴索然,她恨奈良旅馆恨得没个完,生气也没有用处。

   《译文•名著文库·细雪》 作者: 谷崎润一郎  译者: 储元熹
   上海译文出版社 2007-07-01
   E-text at 语文备课大师


■日本語原文 The original text in Japanese
 
と、夫はいつもの時刻に帰宅して、何と思ったか、ちょっと耳をお見せと云って、幸子をテラスの明るい所へ引っ張り出して疾患部を仔細(しさい)に見、ふん、これは蚋(ぶと)やないで、南京虫(ナンキンムシ)やで、と云うのであった。へえ、何処で南京虫にやられましたやろ、と云うと、奈良ホテルの寝台や、僕かて今朝はここが痒いと思うたら、ほら、と云って夫は二の腕をまくってみせ、これ、たしかに南京虫の痕(あと)や、お前の耳にかてこれが二箇所もあるやないか、と云うので、合せ鏡をして見ると、成る程それに紛れもなかった。
「ほんに、そうやわ。——あのホテル、ちょっとも親切なことないし、サアヴィスなんかも成ってない思うたら、南京虫がいるなんて、何と云うひどいホテルやろ」
 幸子は折角の二日の行楽が南京虫のために滅茶々々にされたことを思うと、いつまでも奈良ホテルが恨めしく、腹が立って仕方がなかった。
 
   谷崎潤一郎=作
   a. 細雪』 単行本 中央公論社 1988/01
   b.細雪』 中公文庫 1983/01
   c.細雪(下)』 新潮文庫 1955/10
   d.細雪(全)』 単行本 中央公論社 1949
 
   引用は c. に拠りました。
 
 
■奈良ホテル The Nara Hotel

1909年(明治42年)に営業開始した老舗のホテル。皇室関係者のほか、多くの海外・国内の著名人が、このホテルに宿泊したことがある。宿泊者リストには、次のような人々が含まれる。セルゲイ・プロコフィエフ、バートランド・ラッセル、アルベルト・アインシュタイン、チャールズ・リンドバーグ、ヘレン・ケラー、オードリー・ヘップバーン、マーロン・ブランド、ジョン・レノン、ダライ・ラマ、三船敏郎、司馬遼太郎。

   * 奈良ホテル公式サイト(日本語)
   * The Nara Hotel official website (English)
   * 奈良ホテル - Wikipedia
 
 
■tomoki y. による谷崎潤一郎関連記事
 Related articles by tomoki y.

   * 谷崎潤一郎の「前の潺湲亭(せんかんてい)」- 関心空間
   * 寺町通今出川上ル鶴山町「中塚せい方」- 関心空間
   * 春琴堂書店 - 関心空間


■更新履歴 Change log

2011/04/01 中国語訳(簡体字)を追加しました。


 

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Saturday, 08 September 2007

Le Passe-Muraille by Marcel Aymé マルセル・エイメ/マルセル・エーメ 「壁をぬける男」「壁を抜ける男」「壁抜け男」

■表紙画像その他 Cover photos, etc.
a. Paris_s_01 b. Img6977d c. 51ewxmryqyl

d. 544871_2 e. Ayme_french_2 f. 51nek35wxkl

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■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 長島 2000
 ほんの一握りの同僚をびっくりさせたいばかりに、わざと警察に捕まるなんて、天才的な男にあるまじき軽率な行為だ、と思われるかもしれない。しかし、人間がそのような行動に出るとき、意志の力など、ほとんど役に立っていないのだ。デュティエルは、誇り高い復讐欲にかられて、自由を捨てる決意をしたつもりだったが、実は運命のままに動いていたにすぎない。壁抜けの術を心得ている男は、少なくとも一度は刑務所にはいってみないことには、ほんとうの出世は望めない。

   マルセル・エイメ=著 長島良三(ながしま・りょうぞう)=訳
   『壁抜け男』 角川文庫 2000/07


(2) 手塚 1979
 読者諸君は、同僚を驚かすために警察にわざとつかまったというこの態度を、稀有の才能の持主にふさわしからぬ、軽率な行為だと判断されるかもしれない。しかし、このような決意をする場合、意志などというあやふやな心の動きは、ふつうあまり役に立たないものなのである。自由を放棄することによって、デュティユールは復讐という傲慢なる欲求に従ったと信じたのだが、本当は、運命の坂道をころがりはじめただけだった。壁を抜けられる男にとって、一度ぐらい監獄生活を経験しなければ、ちょっとは顔がきく、などと威張れないのである。

   エーメ=著 手塚伸一(てづか・しんいち)=訳 「壁をぬける男」
   『世界中短編名作集』 世界文学全集46(全50巻)
   学習研究社(学研) 1979/08/01


(3) 山崎 1975, 1989, etc.
 読者はおそらく、幾人かの同僚を驚かすためにわざと警察に捕まったというこの態度、人並はずれた人物にあるまじき、大変軽率な行為であると判断されるであろう。だが、このような決心に際しては、意志のごとき表立った心の働きは、ほとんどそれにあずからぬものなのである。デュティユールは、復讐(ふくしゅう)という傲然(ごうぜん)たる欲求に身をゆだねたと信じたのであるが、実際のところはただ、彼の運命という坂道をすべり出しただけだった。また、壁を通り抜ける男にとって、すくなくとも一度は監獄の味を味わってみなければ、すこしはその道をきわめたなどと、とてもいえた柄ではないのである。

   3a. マルセル・エーメ=著 山崎庸一郎=訳 「壁をぬける男」
      『集英社ギャラリー[世界の文学]8 フランス3
      集英社 1990/12 所収
   3b. エーメ=著 山崎庸一郎=訳 「壁をぬける男」
      日影丈吉=編 『フランス怪談集』 河出文庫 1989/11 所収
   3c. マルセル・エーメ=著 山崎庸一郎=訳 「壁を抜ける男」
      『フランス短篇24 現代の世界文学』 集英社 1989/11 所収
   3d. マルセル・エーメ=著 山崎庸一郎=訳 「壁を抜ける男」
      『フランス短篇24 現代の世界文学』 集英社 1975 所収
   引用は 3a. に拠りました。


(4) 中村 1963, 1976, etc.
 考えようによっては、わずか数人の同僚たちを驚かすために、警察にわざと捕らえられるなどということは、極めて軽はずみなことであり、天才的な人間にはふさわしくないと思われるかもしれない。だが、人間の意志の見せかけの動機などは、このような決意の前にはあまり役に立たないものだ。デュチユールは自由をあきらめることによって、同僚に仕返しをしたいという誇らしい欲望に身をゆだねたと思いこんでいたが、実際には彼はただ運命の坂道をころげ落ちはじめていたのだ。壁を通り抜けることができる人間にとって、少なくとも一度ぐらいは刑務所の臭い飯を食べないことには、あまりに立派な経歴といえないわけである。

   マルセル・エイメ=著 中村真一郎=訳 「壁抜け男」
   4a. 壁抜け男』 異色作家短篇集17 早川書房 2007/01
   4b. 安野光雅〔ほか〕=編 『ちくま文学の森4 変身ものがたり
      筑摩書房 1988/02 所収
   4c.壁抜け男』 異色作家短篇集11 早川書房 1976/06
   4d.壁抜け男』 異色作家短篇集12 早川書房 1963/04
   引用は 4a. に拠りました。


■英訳 Translation into English

Now you may well think that letting himself get picked up by the police to astonish a few colleagues shows a great recklessness unworthy of such an exceptional man. But although this act appears willful, his volition had very little to do with the decision. Dutilleul believed that by giving up his freedom, he was giving in to a prideful desire for revenge. In reality, though, he was simply sliding down the slope of his destiny. When a man is able to walk through walls, one can't really speak of a career until he's tried prison at least once.

   The Man Who Could Walk Through Walls by Marcel Aymé
   translated by Karen Reshkin
   E-text at Stress Cafe


■フランス語原文 The original text in French

On jugera sans doute que le fait de se laisser prendre par la police pour étonner quelques collègues témoigne d'une grande légèreté, indigne d'un homme exceptionnel, mais le ressort apparent de la volonté est fort peu de chose dans une telle détermination. En renonçant à la liberté, Dutilleul croyait céder à un orgueilleux désir de revanche, alors qu'en réalité il glissait simplement sur la pente de sa destinée. Pour un homme qui passe à travers les murs, il n'y a point de carrière un peu poussée s'il n'a tâté au moins une fois de la prison.

   Le Passe-Muraille (1943) by Marcel Aymé
   * Le Passe-muraille et autres nouvelles, Poche, 2002/01
   * Le Passe-Muraille, Gallimard, 2000/03
   * Le Passe-Muraille, French & European Publications, 1985/10

   E-text at Le français au lycee professionnel (palf.free.fr)

   Audio CD: Le Passe-Muraille, Suivi par L'Huissier (Ecoutez Lire),
   2006/10


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

   「壁をぬける男」 ……山崎 1989, 1990
   「壁をぬける男」 ……手塚 1979
   「壁を抜ける男」 ……山崎 1975, 1989
   「壁抜け男」…………中村 1963, 1976, 1988, 2007
   「壁抜け男」…………長島 2000


■更新履歴 Change log

2012/04/22 手塚伸一=訳 1979/08/01 を追加しました。
2010/12/18 「邦題の異同」の項を新設しました。
2007/09/14 長島良三=訳 2000/07 を追加しました。


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谷崎潤一郎『細雪』(3) The Makioka Sisters by Junichiro Tanizaki (3)

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Left As irmas Makioka, Sao Paulo : Liberdade (2005) ポルトガル語訳
Centre細雪(中)』新潮文庫 (1955)
Right細雪』(1950) 監督:阿部豊 出演:花井蘭子, 轟夕起子ほか
 
 
■英訳 Translation into English

  "Is Yudofu sailing with her, then?"
  Taeko called Rudolf "Yudofu," "Steamed Curds" (a pun on "Rudolf," the nearest a Japanese could come to pronouncing his name), and Sachiko and the others spoke of this gentleman they had never met as if that were really his name.
  "Yudofu is staying in Japan. Katharina is going alone with an introduction to the sister."
  "Will she go to England for the little girl, then, and back to Berlin to wait for Yudofu?"
  "I doubt it."
  "This is the end of Yudofu?"
  "I rather imagine so."
  "That seems very businesslike of her."

   The Makioka Sisters by Junichiro Tanizaki
   Translated by Edward G. Seidensticker
   First English edition published in 1957
   Paperback: Charles E. Tuttle Company, 1958/01
 
 
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

  “嗯,这样说来,‘卤豆腐’也一同去吗?”
  “卤豆腐”是妙子开玩笑送给鲁道尔夫的绰号,现在连幸子他们也都这样称呼那个不相识的人了。
  “‘卤豆腐’仍然呆在日本。卡德丽娜让他写了一封介绍信给他姐姐,她拿了这封信单独去德国。”
  “那么卡德丽娜到英国领回自己的女儿后,是不是再回到柏林等候‘卤豆腐’回德国呢?”
  “那个……我想大概不见得会等他。”
  “那么,她和‘卤豆腐’就此分手了吗?”
  “大概是这样吧。”
  “那可真干脆呀!”

   《译文•名著文库·细雪》 作者: 谷崎润一郎  译者: 储元熹
   上海译文出版社 2007-07-01
   E-text at 语文备课大师


■日本語原文 The original text in Japanese
 
「ふうん、そしたら『湯豆腐』も一緒の船で行くのんと違うのん?」
「湯豆腐」と云うのは、ルドルフのことを妙子が冗談にそう呼び始めた渾名(あだな)なのであるが、今では幸子達までが、まだ会ったこともないその人のことを「湯豆腐湯豆腐」と云うようになっていた。
「『湯豆腐』は日本にいるねん。カタリナは『湯豆腐』に姉さんに宛てた紹介状書いて貰うて、それを持って独りで行くねん」
「そんでも、英吉利(イギリス)へ行って自分の娘取り戻したら、又伯林(ベルリン)へ帰って来て、『湯豆腐』の帰国を待ち合わすのんと違うやろか」
「さあ、……多分そうと違うやろ思うわ」
「そんなら、『湯豆腐』とはもうこれぎりかいな」
「そうやないやろか」
「えらいあっさりしてるねんな」
 
   谷崎潤一郎=作
   a.細雪』単行本 中央公論社 1988/01
   b.細雪』中公文庫 1983/01
   c.細雪(中)』新潮文庫 1955/10
   d.細雪(全)』単行本 中央公論社 1949
 
   引用は c. に拠りました。


■更新履歴 Change log

2011/04/01 中国語訳(簡体字)を追加しました。


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À la recherche du temps perdu by Marcel Proust マルセル・プルースト 『失われた時を求めて』『失はれし時を索めて』『失ひし時を索めて』

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Video 1  映画 スワンの恋 (1984) Film Swann in Love (1984)
 Gallery   表紙画像 Cover photos
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 吉川 2010
  (J2) 高遠 2010
  (J3) 鈴木 1990, 2002, etc.
  (J4) 井上 1973, 1984, etc.
  (J5) 淀野+井上 1953, 1974
  (J6) 五來 1934
  (J7) 淀野+佐藤 1931
■日本語ラジオドラマ (1953) とそのシナリオの書籍化 (1985)
 Radio drama in Japanese (1953) and publication of its script (1985)
 Audio 1  ラジオドラマ スワン家のほうへ Swann's Way, a radio drama in English
■ロシア語訳 Translation into Russian
■英訳 Translations into English
  (E1) Davis, 2002
  (E2) Moncrieff, 1922
■スペイン語訳 Translation into Spanish
 Video 2  マルセル・プルーストの生と死 Vie et mort de Marcel Proust
 Audio 2  プチット・マドレーヌ La petite madeleine
■フランス語原文 The original text in French
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

プチット・マドレーヌ。あの有名な場面。


 Video 1 
[ja] スワンの恋 (1984) 1/7 フランス・西ドイツ合作 フランス語音声、ドイツ語字幕
[fr] Un amour de Swann (1984) 1/7 Audio: français, Sous-titres: allemand
[de] Eine Liebe von Swann (1984) 1/7 Sprachen: Französisch; Untertitel: Deutsch
[en] Swann in Love (1984) 1/7 Sound in French, Subtitles in German

監督: フォルカー・シュレンドルフ 出演: ジェレミー・アイアンズ、オルネラ・ムーティ
Directed by Volker Schlöndorff. Starring Jeremy Irons, Ornella Muti.


 Gallery 
表紙画像 Cover photos

a. 2010_proust_yoshikawa b. Proust_takato_kobunsha c. Proust_manga_east_press

d. Proust_suzuki_shueisha e. Proust_heuet_comic f. Proust_inoue_chikuma_bunko

g. Proust_nrf_french

↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

母亲着人拿来一块点心,是那种又矮又胖名叫“小玛德莱娜”的点心,看来象是用扇贝壳那样的点心模子做的。[略] 带着点心渣的那一勺茶碰到我的上腭,顿时使我混身一震,我注意到我身上发生了非同小可的变化。一种舒坦的快感传遍全身,我感到超尘脱俗,却不知出自何因。[略]

  然而,回忆却突然出现了:那点心的滋味就是我在贡布雷时某一个星期天早晨吃到过的“小玛德莱娜”的滋味(因为那天我在做弥撒前没有出门),我到莱奥妮姨妈的房内去请安,她把一块“小玛德莱娜”放到不知是茶叶泡的还是椴花泡的茶水中去浸过之后送给我吃。

   《追忆似水年华》 第一卷 贡布雷 一
   【法】马塞尔·普鲁斯特
   E-text at:
   * 兴塔小学 数字图书馆
   * 语文备课大师


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 吉川 2010
そこで母が持って来させたのは、溝のあるホタテ貝の殻に入れて焼きあげたような「プチット・マドレーヌ」という小ぶりのふっくらしたお菓子だった。[略]なにげなく紅茶を一さじすくって唇に運んだが、そのなかに柔らかくなったひとかけらのマドレーヌがまじっていた。ところがお菓子のかけらのまじったひと口が口蓋(こうがい)にふれたとたん、私は身震いし、内部で尋常ならざることがおこっているのに気づいた。えもいわれぬ快感が私のなかに入りこみ、それだけがぽつんと存在して原因はわからない。[略]

 すると突然、想い出が私に立ちあらわれた。その味覚は、マドレーヌの小さなかけらの味で、コンブレーで日曜の朝[略]、おはようを言いにレオニ叔母の部屋に行くと、叔母はそのマドレーヌを紅茶やシナノキの花をハーブティーに浸して私に出してくれたのである。[略]

   第一部 コンブレー
   プルースト=作 吉川一義(よしかわ・かずよし)=訳
   『失われた時を求めて1 第一篇 スワン家のほうへ1』(全14冊)
   岩波文庫 2010/11/16


(J2) 高遠 2010
母は溝の入った帆立貝の貝殻で型をとったように見える、「プチット・マドレーヌ」と呼ばれる、小ぶりのぽってりしたお菓子をひとつ持ってこさせた。[略]マドレーヌのひと切れを柔らかくするために浸しておいた紅茶を一杯スプーンにすくって口に運んだ。とまさに、お菓子のかけらのまじったひと口の紅茶が口蓋に触れた瞬間、私のなかで尋常でないことが起こっていることに気がつき、私は思わず身震いをした。ほかのものから隔絶した、えもいわれぬ快感が、原因のわからぬままに私のうちに行きわたったのである。[略]

 そのとき突然、思い出が姿を現した。これは日曜の朝、コンブレーで[略]、レオニ叔母の部屋へおはようを言いに行ったときに、叔母がいつも飲んでいる紅茶か菩提樹(ティユール)のハーブティーに浸して私に差し出してくれたマドレーヌの味だった。[略]

   第一部 コンブレー
   マルセル・プルースト=作 高遠弘美(たかとお・ひろみ)=訳
   『失われた時を求めて1 第一篇「スワン家のほうへ1」
   光文社古典新訳文庫 2010/09/20


(J3) 鈴木 1990, 2002, etc.
母は、「プチット・マドレーヌ」と呼ばれるずんぐりしたお菓子、まるで帆立貝の筋のはいった貝殻で型をとったように見えるお菓子を一つ、持ってこさせた。[略]お茶に浸してやわらかくなったひと切れのマドレーヌごと、ひと匙(さじ)の紅茶をすくって口に持っていった。ところが、お菓子のかけらの混じったそのひと口のお茶が口の裏にふれたとたんに、私は自分の内部で異常なことが進行しつつあるのに気づいて、びくっとしたのである。素晴らしい快感、孤立した、原因不明の快感が、私のうちにはいりこんでいた。[略]

 そのとき一気に、思い出があらわれた。この味、それは昔コンブレーで日曜の朝[略]、レオニ叔母の部屋に行っておはようございますを言うと、叔母が紅茶か菩提樹(ぼだいじゅ)のお茶に浸してさし出してくれた小さなマドレーヌの味だった。[略]

   「スワン家の方へ」
   第一部 コンブレー
   マルセル・プルースト=作 鈴木道彦(すずき・みちひこ)=訳
   3a.失われた時を求めて1 第一篇 スワン家の方へ1
      集英社文庫ヘリテージシリーズ 2006/03
   3b.抄訳版 失われた時を求めて1』 集英社文庫 2002/12
   3c.集英社ギャラリー[世界の文学]8 フランス3』 集英社 1990/12
   引用は 3b. に拠りました。


(J4) 井上 1973, 1984, etc.
彼女はお菓子をとりにやったが、それは帆立貝のほそいみぞのついた貝殻で型をつけられたように見える、あの小づくりでまるくふとった、「プチット・マドレーヌ」と呼ばれるお菓子の一つだった。[略]一さじの紅茶、私がマドレーヌの一きれをやわらかく溶かしておいた紅茶を、唇にもっていった。しかし、お菓子のかけらのまじった一口の紅茶が、口蓋にふれた瞬間に、私は身ぶるいした、私のなかに起こっている異常なことに気がついて。すばらしい快感が私を襲ったのであった[略]

 突如として、そのとき回想が私にあらわれた。この味覚、それはマドレーヌの小さなかけらの味覚だった、コンブレーで、日曜日の朝[略]、私がレオニー叔母の部屋へおはようを言いに行くと、叔母は彼女がいつも飲んでいる紅茶、またはぼだい樹花を煎じたもののなかに、そのマドレーヌをひたしてから、それを私にすすめてくれるのであった。[略]

   失われた時を求めて 第1篇 スワン家のほうへ
   第一部 コンブレー
   マルセル・プルースト=作 井上究一郎(いのうえ・きゅういちろう)=訳
   4a.失われた時を求めて1 第1篇 スワン家のほうへ
      ちくま文庫 1992/09
   4b.プルースト全集1』 筑摩書房 1984/01
   4c.筑摩世界文學大系57 プルースト1』 筑摩書房 1973/07
   引用は 4c. に拠りました。


(J5) 淀野+井上 1953, 1974
母はお菓子をとりにやつた。それは帆立貝の細い溝のある貝殻にでも流しこんで焼いたかと思われる、あのころつとして膨らんだ、プチット・マドレーヌと呼ばれる菓子だつた。[略]私は、そのマドレーヌの一片を浸(つ)けてほとびさせたお茶を一匙(ひとさじ)、機械的に、脣にもつていつた。ところが、菓子の細かいかけらのまじつた一口のお茶が、口うらにふれた瞬間、私は身顫いした、何か異常なものが身内に生じているのに氣づいて。なんとも言えぬ快感が、孤立して、どこからともなく湧き出し、私を浸してしまつているのだ。[略]

 と突然、追憶が浮び上つた。この味、これはコンブレ時代に、日曜の朝[略]、私がレオニ叔母の部屋へお早うを言いにいつたとき、叔母がよくそのお茶や菩提樹花の藥湯に浸(ひた)してすすめてくれた、あのマドレーヌの小さいかけらの味だつたのだ。[略]
   
   第一部 コンブレ1
   5a. マルセル・プルースト=著
     淀野隆三(よどの・りゅうぞう)+井上究一郎(いのうえ・きゅういちろう)=訳
     『失われた時を求めて1 スワンの恋』 新潮社 1974/05
   5b. マルセル・プルースト=著 淀野隆三+井上究一郎=譯
     『失われた時を求めて1 スワンの戀1』 新潮社 1953/03
   引用は 5b. に拠りました。


(J6) 五來 1934
母は、「プティット・マドレエヌ」といふ、短いふつくりとした菓子を取りにやつたが、この菓子は、サン・ジャック貝の細い溝のついた貝殻の中で、型をつけられもののやうに思はれる。[略]私は一片(きれ)のマドレエヌを浸したお茶を、一匙口に持つて行つた。だが、菓子の切れ端の雜つた一口の茶が、口蓋に觸れた一刹那、私は身顫ひして、異常なものが心内に生じたのに注意した。快い喜びが、何故といふ理由もなく、私を侵し、孤立させた。[略]

 一氣に、思ひ出が浮び上つて來た。この味は、日曜日の朝、[略]コンブレエで、レオニイ伯母の部屋にお早うを言ひに行つた時、よく彼女が、煎茶の菩提樹花の煎汁に浸して出してくれた、マドレエヌの小片の味だつた。[略]

   コンブレエ
   マルセル・プルウスト=著 五來達(ごらい・とおる)=譯
   『プルウスト全集 失はれし時を索めて 第一卷 スワン家の方1
   三笠書房 豫約頒價金一圓五十錢 1934/09(昭和9)


(J7) 淀野+佐藤 1931
母はお菓子をとりにやつた。それは、プッチット・マドレエヌと言はれてゐる、太くて短い菓子で、海扇(ほたてがひ)の、細い溝のある貝殻のなかで型どられたやうに見える菓子だつた。[略]一匙の茶——私はそのなかでマドレエヌがほとびるままに放つておいた茶を唇にもつていつた。だが、菓子の缺片(かけら)のまじつた一口の茶が、私の口うらに觸れたその瞬間に、私は身顫ひしたのだ、異常なことが身うちに起つたのに注意を向けて。いひやうのない快さが、孤立して、理由もわからずに、私のなかに襲つてきた。[略]

 だが俄に思ひ出が現はれた。この味、それはマドレエヌの缺片(かけら)の味だつた。それをコンブレエで、日曜日の朝[略]私が叔母のレオニィの部屋ヘ朝の挨拶に行つたとき、煎茶か菩提樹花の湯に浸して、彼女が私に勸めた、あのマドレエヌの缺片の味だつたのだ。[略]

   第一部 コンブレエ
   マルセル・プルウスト=著
   淀野隆三(よどの・りゅうぞう)+佐藤正彰(さとう・まさあき)=譯
   『失ひし時を索めて 第一卷 スワン家の方
   武藏野書院 定價金一圓七十錢 1931/07(昭和6)


■日本語版ラジオドラマ化 (1953) とそのシナリオの書籍化 (1985)
 Radio drama adaptation in Japanese (1953) and publication of its script (1985)

古本屋さん HoneyBeeBrand(みつばち印)によると、『失われた時を求めて』は1953年に日本でラジオドラマ化されたことがあるそうだ。脚本は中村真一郎で、全5回の放送だった由。

そのシナリオ(ドラマ台本)が井上究一郎氏のもとで発見され、放送後32年を隔てて出版されたのが、下の表紙画像にご覧の『失われた時を求めて—ラジオ・ロマン』 (筑摩書房 1985/11)。「関係者の驚きも大きかったようで、本の半分が回想、説明にあてられています」(上記みつばち印)とのこと。

Nakamura_radio_roman_ushinawareta
   情報源: 特ダネ03*みつばち印
   Image source: フランス文学−ぱらぶら屋書店目録


 Audio 1 
英語版ラジオドラマ『失われた時を求めて』 (スワン家のほうへ) 2/6
In Search of Lost Time (Swann's Way), a radio drama series in English. 2 of 6

マイケル・バット脚色による全6回シリーズ(各回60分)。出演: ジェームズ・ウィルビー。フィクション・ファクトリー制作。オリジナル放送は2005年2月6日〜2005年3月13日。「私」がレオニ叔母の部屋へおはようを言いに行き、お茶にマドレーヌを浸すシーンは、2:15あたりから始まる。全録音は i-Tunes でダウンロード購入できる。

A six-part series (60 min. each) dramatised by Michael Butt for the "The Classic Serial", broadcast between 6 February 2005 and 13 March 2005. Starring James Wilby. Produced by Fiction Factory. The entire series is downloadable with fee from i-Tunes. The scene in which "I" dip a piece of madeleine in tea at Aunt Leonie's starts around 2:15.


■ロシア語訳 Translation into Russian

Мама велела подать мне одно из тех кругленьких и пузатеньких пирожных, называемых Petites Madeleines, формочками для которых как будто служат желобчатые раковины моллюсков из вида морских гребешков. [Omission] я машинально поднес к своим губам ложечку чаю, в котором намочил кусочек мадлены. Но в то самое мгновение, когда: глоток чаю с крошками пирожного коснулся моегь неба, я взррогнул, пораженный необыкновенностью происходящего во мне. Сладостное ощущение широкой волной разлилось по мне, казалось, без всякой причины. [Omission]

И вдруг воспоминание всплыло передо мной. Вкус этот был вкусом кусочка мадлены, которым по воскресным утрам в Комбре [Omission] угощала меня тетя Леония, предварительно намочив его в чае или в настойке из липового цвета, когда я приходил в ее комнату поздороваться с нею.

  • Марсель Пруст. В поисках утраченного времени. Книга I. В сторону Свана. Сов. писатель, Ленинградское отд-ние, 1992. Translated by А. А. Франковского
  • E-text at Lib.ru: "Классика"

■英訳 Translations into English

(E1) Davis, 2002
She sent for one of those squat, plump cakes called petites madeleines that look as though they have been molded in the grooved valve of a scallop-shell. [Omission] I carried to my lips a spoonful of the tea in which I had let soften a piece of madeleine. But at the very instant when the mouthful of tea mixed with cake-crumbs touched my palate, I quivered, attentive to the extraordinary thing that was happening in me. A delicious pleasure had invaded me, isolated me, without my having any notion as to its cause. [Omission]

And suddenly the memory revealed itself. The taste was that of the little piece of madeleine which on Sunday mornings at Combray [Omission], when I went to say good morning to her in her bedroom, my aunt Leonie used to give me, dipping it first in her own cup of tea or tisane.

  • The Way by Swann's by Marcel Proust. In Search of Lost Time. Translated by Lydia Davis, 2002. Paperback: Penguin Classics, 2004/12
  • Excerpt at Reading Proust

(E2) Moncrieff, 1922
She sent out for one of those short, plump little cakes called 'petites madeleines,' which look as though they had been moulded in the fluted scallop of a pilgrim's shell. [Omission] I raised to my lips a spoonful of the tea in which I had soaked a morsel of the cake. No sooner had the warm liquid, and the crumbs with it, touched my palate than a shudder ran through my whole body, and I stopped, intent upon the extraordinary changes that were taking place. An exquisite pleasure had invaded my senses, but individual, detached, with no suggestion of its origin. [Omission]

And suddenly the memory returns. The taste was that of the little crumb of madeleine which on Sunday mornings at Combray [Omission], when I went to say good day to her in her bedroom, my aunt Leonie used to give me, dipping it first in her own cup of real or of lime-flower tea.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Mandó mi madre por uno de esos bollos, cortos y abultados, que llaman magdalenas, que parece que tienen por molde una valva de concha de peregrino. [Omission] me llevé a los labios unas cucharadas de té en el que había echado un trozo de magdalena. Pero en el mismo instante en que aquel trago, con las miga del bollo, tocó mi paladar, me estremecí, fija mi atención en algo extraordinario que ocurría en mi interior. Un placer delicioso me invadió, me aisló, sin noción de lo que lo causaba. [Omission]

Y de pronto el recuerdo surge. Ese sabor es el que tenía el pedazo de magdalena que mi tía Leoncia me ofrecía, después de mojado en su infusión de té o de tilo, los domingos por la mañana en Combray [Omission], cuando iba a darle los buenos días a su cuarto.

  • Primera Parte. Combray. I. Por el camino de Swann. En busca del tiempo perdido I by Marcel Proust
  • E-text at Lector Online

 Video 2 
マルセル・プルーストの生と死 Vie et mort de Marcel Proust

プチット・マドレーヌのシーンは 30:47 あたりから。 Uploaded to YouTube by Julien Nizos on 22 Sep 2012. The petite madeleine scene starts around 30:47.


 Audio 2 
1. スワン家のほうへ オーディオブック
1. Du côté de chez Swann - Livre audio

Uploaded to YouTube by Poesis fr on 24 Sep 2013.


■フランス語原文 The original text in French

1:53:36 Elle envoya chercher un de ces gâteaux courts et dodus appelés Petites Madeleines qui semblaent avoir été moulés dans la valve rainurée d’une coquille de Saint-Jacques [Omission] 1:53:55 je portai à mes lèvres une cuillerée du thé où j’avais laissé s’amollir un morceau de madeleine. Mais à l’instant même où la gorgée mêlée des miettes du gâteau toucha mon palais, je tressaillis, attentif à ce qui se passait d’extraordinaire en moi. Un plaisir délicieux m’avait envahi, isolé, sans la notion de sa cause.  [Omission]

1:59:27 Et tout d’un coup le souvenir m’est apparu. Ce goût celui du petit morceau de madeleine que le dimanche matin à Combray [Omission], 1:59:43 quand j’allais lui dire bonjour dans sa chambre, ma tante Léonie m’offrait après l’avoir trempé dans son infusion de thé ou de tilleul.

  • Première Partie. Combray. I. Du côté de chez Swann (1913). À la recherche du temps perdu, Tome I, by Marcel Proust.
  • E-text at eBooks@Adelaide
  • 青い数字は上のビデオ画面に表示されている時間です。クリックすると新しいウインドウが開いて、その箇所の録音にジャンプします。 The numerals in blue indicate the time displayed on the video above. To jump to the recording of each passage, click the numerals; a new window will open and the recording will jump to that section.

■更新履歴 Change log

  • 2014/08/20 リンク切れになっていたフランス語原文オーディオブックを他のリンクと差し替えました。
  • 2013/09/17 目次を新設しました。
  • 2013/04/12 フランス語原文オーディオブックと、「マルセル・プルーストの生と死」の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/08/11 ロシア語訳とスペイン語訳を追加しました。
  • 2011/04/01 中国語訳(簡体字)を追加しました。
  • 2010/11/29 吉川一義=訳 2010/11/16 と、その表紙画像を追加しました。また、「はじめに」の項を新設しました。
  • 2010/09/23 「日本語版ラジオドラマ化 (1953) とそのシナリオの書籍化 (1985)」の項、および英語版ラジオドラマ「スワン家のほうへ」の YouTube 画面を追加しました。
  • 2010/09/21 映画 『スワンの恋』 (1984) の YouTube 動画、表紙画像、および高遠弘美=訳 2010/09/20 を追加しました。また、このブログ記事のタイトルに古い邦題を追加して、つぎのように変更しました:
      旧題: A la Recherche du Temps Perdu by Marcel Proust
          マルセル・プルースト『失われた時を求めて』
      新題: A la Recherche du Temps Perdu by Marcel Proust
          マルセル・プルースト『失われた時を求めて』
          『失はれし時を索めて』『失ひし時を索めて』
  • 2007/09/12 淀野隆三+井上究一郎=譯 1953/03、五來達=譯 1934/09、および淀野隆三+佐藤正彰=譯 1931/07 を追加しました。

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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) A la Recherche du Temps Perdu

(2) The Remembrance of Things Past

(3) In Search of Lost Time

(4) Marcel Proust

■和書 Books in Japanese

  

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Friday, 07 September 2007

谷崎潤一郎『細雪』(2) The Makioka Sisters by Junichiro Tanizaki (2)

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■本の表紙とDVDのジャケット Book and DVD covers

a. 9788882469443g b. Quatre_soeurs c. 71bvjj55m2l

d. Image e. 5155t53dqal f. 518y3xgzd7l

↑ Click to enlarge ↑

a. Neve sottile, Guanda (2006) イタリア語訳
b. Quatre Soeurs, Gallimard (1997) フランス語訳
c. The Makioka Sisters, Vintage Books; Reprint Edition (1995) 英訳
d. 細雪》 遠景 (1987) 中國語譯(繁體字)
e.細雪』 (1983) 監督:市川昆 出演:佐久間良子, 吉永小百合ほか
f. 細雪(下)』 新潮文庫 (1955)


■英訳 Translation into English

(....) The wedding kimonos arrived the same day. Yukiko looked at them and sighed--if only they were not for her wedding. Sachiko remembered how glum she had been when she was married herself. Her sisters had asked for an explanation, and she had retorted with a verse:

   "On clothes I've wasted
     Another good day.
    Weddings, I find,
     Are not always gay."

Yukiko's diarrhea persisted through the twenty-sixth, and was a problem on the train to Tokyo.

   The Makioka Sisters by Junichiro Tanizaki
   Translated by Edward G. Seidensticker
   First English edition published in 1957
   Paperback: Charles E. Tuttle Company, 1958/01


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

委托小槌屋定做的婚礼后穿的便服也在同一天做好送了来。雪子见到那些衣裳还嘟哝着说:“如果这些不是婚礼的衣裳就好了。”她忽然想起以前幸子嫁给贞之助的时候,也是没有一点高兴的样子。当妹妹们问幸子时,她回答说有什么可高兴的呢,还写了一首短歌给她们看。
  此身行作出岫云,
  日暮犹试嫁衣裳。
  那天雪子拉肚子始终没有好,坐上火车还在拉。

   《译文•名著文库·细雪》 作者: 谷崎润一郎  译者: 储元熹
   上海译文出版社 2007-07-01
   E-text at 语文备课大师


■日本語原文 The original text in Japanese
 
(……)小槌屋に仕立てを頼んで置いた色直しの衣裳も、同じ日に出来て届けられたが、雪子はそんなものを見ても、これが婚礼の衣裳でなかったら、と、呟(つぶや)きたくなるのであった。そう云えば、昔幸子が貞之助に嫁ぐ時にも、ちっとも楽しそうな様子なんかせず、妹たちに聞かれても、嬉しいことも何ともないと云って、きょうもまた衣えらびに日は暮れぬ嫁ぎゆく身のそぞろ悲しき、と云う歌を書いて示したことがあったのを、図らずも思い浮かべていたが、下痢はとうとうその日も止まらず、汽車に乗ってからもまだ続いていた。 
 
   谷崎潤一郎=作
   a. 細雪』 単行本 中央公論社 1988/01
   b.細雪』 中公文庫 1983/01
   c.細雪(下)』 新潮文庫 1955/10
   d.細雪(全)』 単行本 中央公論社 1949
   引用は c. に拠りました。


■更新履歴 Change log

2011/04/01 中国語訳(簡体字)を追加しました。


 

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Thursday, 06 September 2007

吉田兼好 『徒然草』 序段 Essays in Idleness, Introduction, by Yoshida Kenko

          目次 Table of Contents

    Video 1  「徒然草を現代語訳してみる」を朗読してみた(ボヤキ系)その①
   ■ロシア語訳 Translations into Russian
     (Ru1)
     (Ru2)
   ■フィンランド語訳 Translation into Finnish
   ■スウェーデン語訳 Translation into Swedish
   ■ドイツ語訳 Translation into German
   ■イタリア語訳 Translation into Italian
   ■英訳 Translations into English
     (E1) Keene, 1967, 1998
     (E2) Kurata, 1948, 1959
     (E3) Porter, 1914, 1973
     (E4) Wakameda, 1914, 1918, etc.
     (E5) Sansom, 1911, 1955, etc.
    Image gallery  さまざまな言語の版 Editions in various languages
   ■インドネシア語訳 Translation into Indonesian
   ■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
   ■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
   ■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese
     (J1) 酒井 2011
     (J2) 島内 2010
     (J3) 青山+甲斐+邑上 2009
     (J4) 松村 2009, 2010
     (J5) 加藤(監修) 弦川(文) 2008
     (J6) 大伴 2007
     (J7) 吾妻 2004
     (J8) 角川書店 2002
     (J9) 浜野 2001
     (J10) 嵐山 1992
     (J11) 橋本 1990, 1993, etc.
     (J12) 長谷川=監修 柳川=シナリオ 1990, 1998
     (J13) 杉本 1987, 1996
     (J14) 永井 1987, 1996
     (J15) 山崎 1980
     (J16) 三木 1979
     (J17) 島尾 1976, 2006
     (J18) 冨倉+貴志 1975
     (J19) 永積 1971
     (J20) 安良岡 1967
     (J21) 臼井 1962
     (J22) 今泉 1951, 1957
     (J23) 与謝野 1916, 2005
     (J24) 飯田 1916
   ■日本語原文 The original text in 14th century Japanese
     (1) ローマ字表記 In romanization
     (2) 漢字仮名表記 In kanji and kana
    Video 2  徒然草 - 出演: 野村萬斎
     Tsurezuregusa performed by Mansai Nomura
   ■更新履歴 Change log


 Video 1 
「徒然草を現代語訳してみる」を朗読してみた(ボヤキ系)その①

テキスト ワラノート:徒然草を現代語訳してみる


■ロシア語訳 Translations into Russian

(Ru1)
Когда весь день праздно сидишь против тушечницы и для чего-то записываешь всякую всячину, что приходит на ум, бывает, такое напишешь – с ума можно сойти.

   Кэнко-Хоси - Записки от скуки
   E-text at:
   * Библиотека РусЛит
   * BookReader


(Ru2)
Насытившись однообразья чередой, на закате дня берусь за кисть, и, как душа прикажет, кладу на бумагу то, что на ум придет - и тут же вылетает вон, и так странно выходит - голова кругом идет.

   Ёсида Канэёси - Записки на досуге
   Translated by Александра Мещерякова
   Excerpts at Окно в Японию


■フィンランド語訳 Translation into Finnish

Tuntuu kuin jokin merkillinen hulluus minua vaivaisi: istun päiväkausia joutilaana mustekiveni ääressä ja vailla vasituista aikomusta kirjoittelen muistiin mielessäni ajelehtivia joutavia mietteitä.

   Joutilaan mietteitä. (Tsurezuregusa) by Yoshida Kenko
   Translated by Kai Nieminen
   Source: Joutilaan mietteitä - Wikipedia


■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

Vilken egendomlig, vansinnig känsla det ger mig, när jag inser att jag har tillbringat hela dagar framför denna rivsten, med inget bättre för mig, än att på måfå fästa ned vad orimliga tankar som råkar ha flyttat in i mitt sinne.

   Tsurezuregusa by Yoshida Kenko
   Excerpt at Tsurezuregusa - Wikipedia


■ドイツ語訳 Translation into German

Wenn ich allein bin und gerade nichts zu tun habe, sitze ich den ganzen Tag meinem Tuschkasten gegenüber und schreibe alles Unbedeutende, das sich in mir widerspiegelt, nieder, ohne einen bestimmten Zweck damit zu verfolgen. Seltsamerweise sind es recht wunderliche Dinge.

   Tsurezuregusa ; oder, Aufzeichnungen aus Mussestunden
   by Yoshida Kenkō
   Translated by Oscar Benl
   Tokyo : Japanisch-Deutschen Kultur-Institut, 1940
   東京: 財團法人 日獨文化協會 昭和15年7月15日 發行


■イタリア語訳 Translation into Italian

Non avendo altro da fare, provo una strana e frenetica sensazione nel passare tutto il giorno davanti al calamaio, scrivendo a caso i pensieri assurdi che mi vengono in mente.

   Pensieri Nella Quiete
   Excerpt at World Public Library


■英訳 Translations into English

英訳の書誌情報に関しては、国立国会図書館の 「徒然草を英訳すると… −翻訳された日本文学−」というウェブページにある PDFファイル がとても参考になりました。

(E1) Keene, 1967, 1998
What a strange, demented feeling it gives me when I realize I have spent whole days before this inkstone, with nothing better to do, jotting down at random whatever nonsensical thoughts that have entered my head.

   * Essays in Idleness: The Tsurezuregusa of Kenko,
    Translated and with a new preface by Donald Keene
    Columbia University Press, 1998
   * Essays in Idleness translated by Donald Keene
    Columbia University Press, 1967
   Excerpt at Tsurezuregusa - Wikipedia


(E2) Kurata, 1948, 1959
My life is not one of occupation, it is a life of leisure. Every day is like the day that went before. My ink-dish lies before me. My heart is like a mirror−all that world is reflected in it. I write as I see, and it may seem strange and mad enough, for I think of strangely mingled things.

   The Harvest of Leisure
   Translated by Ryukichi Kurata
   * Hardcover by John Murray, London, 1959
   * Paperback by John Murray, London, 1948.
   Quotation at the National Diet Library website


(E3) Porter, 1914, 1973
Leisurely I face my inkstone all day long, and without any particular object jot down the odds and ends that pass through my mind, with a curious feeling that I am not sane.

   The Miscellany of a Japanese Priest:
   being a translation of Tsure-zure Gusa
   translated by William N. Porter,
   with an introduction by Sanki Ichikawa.
   * Paperback by Tuttle Publishing, 1973/12
   * First edition by Humphrey Milford, London, 1914(大正3)
   Scanned whole book can be viewed here.


(E4) Wakameda (若目田), 1914, 1918, etc.
As I remain idle and weary, I sit all day long face to face with the ink-slab, and scribble down whatever comes across my mind. It seems strange and demented.

   The Idle Thoughts of a Recluse. Translated by Takeji Wakameda
   若目田武次=譯 『英譯 徒然草』
   * Hokodo & Shinseido 1921/09/15(大正10)
    邦光堂書店+眞誠堂書店=發行 1921/09/15(大正10)
   * 郁文堂刊 "J. Wakameda 訳" 全1冊 1918/08/28(大正7)
    この郁文堂版は東洋文庫所蔵。目録は ここ
   * Published by Taiheikan, Tokyo, 1914(大正3)
    mentioned in the National Diet Library website


(E5) Sansom, 1911, 1955, etc.
To while away the idle hours, seated the livelong day before the inkslab, by jotting down without order or purpose whatever trifling thoughts pass through my mind, verily this is a queer and crazy thing to do!

   The Tsuredzure Gusa of Yoshida no Kaneyoshi
   translated by George Sansom.
   Asiatic Society of Japan Transactions 39, 1911(明治44)

   Anthology of Japanese Literature
   compiled and edited by Donald Keene.
   Grove Press, New York, 1955

   Excerpt at:
   * Humanistic Texts
   * Tsurezuregusa - Wikipedia
   * Yoshida Kenko - Wikiquote


 Image gallery 
さまざまな言語の版 Editions in various languages

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ru Uk_9785389022850_kenko ru Ru_9785806202964 fi Fi_9789513044121_joutilaan_mietteit

de De_tsurezuregusa_b0039x2vf2 it It_978883070950 es Es_9788475171746

en En_9781853267888 en En_the_harvest_of_leisure_kurata zh Zh_tsurezuregusa_9789867475039

ko Ko_9788996095996 ja Ja_9784309407470

Flag_of_russiasvg_2 露 [ru] ISBN : 9785389022850 Записки от скуки 2011
Flag_of_russiasvg_2 露 [ru] ISBN : 9785806202964 Записки на досуге 2008
Flag_of_finlandsvg 芬 [fi] ISBN : 9789513044121 Joutilaan mietteitä 1978
Flag_of_italysvg 伊 [it] ISBN : 978883070950   Pensieri nella quiete 2000
Flag_of_germanysvg 独 [de] ASIN : B0039X2VF2     Tsurezuregusa 1948
Flag_of_spainsvg 西 [es] ISBN : 9788475171746 Tsurezuregusa : ocurrencias de un ocioso 1986
Flag_of_the_united_kingdomsvg_2 英 [en] ISBN : 9781853267888 Essays in Idleness 1999
Flag_of_the_united_kingdomsvg_2 英 [en] ASIN : B006JH980Q   The Harvest of Leisure 1947
Flag_of_the_republic_of_chinasvg_3 中 [zh] ISBN : 9789867475039 徒然草 2004 (台湾)
Flag_of_south_korea_2 韓 [ko] ISBN : 9788996095996 쓰레즈레구사 2010
Flag_of_japan_2 日 [ja] ISBN : 9784309407470 絵本徒然草(上) 2005


■インドネシア語訳 Translation into Indonesian

Sungguh suatu perasaan asing dan gila kurasakan ketika kusadari bahwa aku telah menghabiskan seharian penuh di depan batu- tinta ini, dengan tiada satupun yang bisa kukerjakan selain mengisi waktu, mencatat secara acak pikiran tak masuk akal apapun yang memasuki kepalaku.

   Dari Esai-Esai Iseng Kenkô by Kenkô
   in Pagi Di Amerika by Hikmat Darmawan
   Publisher: Penerbit Serambi
   Preview at Google Books


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

竟日无聊,对砚枯坐,心镜之中,琐事纷现,漫然书之,有不甚可理喻者,亦可怪也。

   《徒然草》 作者:吉田兼好
   Excerpt at 百度空间


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

竟日無聊,對硯枯坐,心鏡之中,瑣事紛現,漫然書之,有不甚可理喻者,亦可怪也。

   《徒然草》 作者: 吉田兼好 譯者: 王以鑄
   木馬文化出版社 2004-03-01
   Excerpt at 天地圖書


■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese

(J1) 酒井 2011
退屈な毎日を暮らしている時に、心に浮かんでくるどうでもいいようなことを何となく書きつけてみれば、「あやしうこそものぐるほし」いんだなぁ……、といった意味のこの一文。しかし「つれづれ」とか「よしなし事」とか「そこはかとなく」といった言葉を眺めていると、作者の兼好法師(けんこうほうし)は、一体どの程度本気で、この一文を書いたのであろうかと、思えてくるのです。[略]
 冒頭の一文における、兼行にとっての唯一の真実の言葉。それは、「あやしうこそものぐるほしけれ」でしょう。この部分は、「変に気違いじみたことである」などと現代語訳されている場合もありますが、私の感覚ですと、
「何をしているんだかなぁ、俺」
 といった気分ではないかと思うのです。

   酒井順子(さかい・じゅんこ)=著 『徒然草REMIX』 
   新潮社 2011/11/20

  • この本は「小説新潮」2009年11月号〜2011年6月号に連載された『徒然草REMIX』に、加筆・修正を行ったものです。徒然草の現代語訳そのものを収録した本ではなく、徒然草についてのエッセー本です。しかし、現代の人気エッセイストである酒井さんが徒然草をどのように見ているかは興味深いので、参考のために上の箇所を抜粋しておきました。

(J2) 島内 2010
さしあたってしなければならないこともないという徒然(つれづれ)な状態が、このところずっと続いている。こんな時に一番よいのは、心に浮かんでは消え、消えては浮かぶ想念を書き留めてみることであって、そうしてみて初めて、みずからの心の奥に蟠(わだかま)っていた思いが、浮上してくる。まるで一つ一つの言葉の尻尾に小さな釣針(つりばり)が付いているようで、次々と言葉が連なって出てくる。それは和歌という三十一文字からなる明確な輪郭を持つ形ではなく、どこまでも連なり、揺らめくもの……。そのことが我ながら不思議で、思わぬ感興におのずと筆も進んでゆく。自由に想念を遊泳させながら、それらに言葉という衣裳を纏(まと)わせててこそ、自分の心の実体と向き合うことが可能となるのではなかろうか。

   兼好=著 島内裕子(しまうち・ゆうこ)=校訂・訳
   『徒然草』 ちくま学芸文庫 筑摩書房 2010/04/10


(J3) 青山+甲斐+邑上 2009
することがなくて退屈なまま、一日じゅうすずりに向かって、心の中にうかんでは消えてゆくとりとめのないことを、はっきりとした目的もなく書き留めてみると、不思議なほどおかしな気持ちがすることである。

   青山由紀(あおやま・ゆき)+甲斐利恵子(かい・りえこ)
   +邑上裕子(むらかみ・ゆうこ)=編
   『土佐日記・枕草子・更級日記・方丈記・徒然草・おくのほそ道
   光村の国語 はじめて出会う古典作品集1 光村教育図書 2009/12/22


(J4) 松村 2009, 2010
いささか手持ちぶさたで間のもたないようなとき、日頃の思いなど書きとめてみようとあれこれ考え始めたら、しだいにとりとめもなく収拾のつかないことになってしまった。

   松村栄子(まつむら・えいこ)=訳
   3a.京都で読む徒然草』 京都新聞出版センター 2010/06
   3b. 「松村栄子さんと読み解くつれづれ草1」
      『京都新聞』 2009/04/05 親しむ (16) 面 ing Kyo
   3a.3b. を含む京都新聞朝刊 2009/04/05〜2009/09/27 に
   毎週日曜に連載された記事に加筆修正を施したもの。
   引用は 3b. に拠りました。


(J5) 加藤(監修) 弦川(文) 2008
本日ただ今から、することもなく暇(ひま)なときは、机に向かって墨(すみ)をすり、心にうかぶことを、そのまま書きとめていこうと思う。われながら変わり者だと思うし、ばかばかしい気もするんだけどね。

   ゆるい決意表明(序段)
   加藤康子(かとう・やすこ)=監修 弦川琢司(つるかわ・たくじ)=文
   『超訳日本の古典6 徒然草・方丈記
   学習研究社 2008-02-17


(J6) 大伴 2007
まともなことなど為すこともないままに、終日、硯(すずり)に向かって、心に浮かんでは消えて行くようなたわいのない物事を、とりとめもなく書きつけているなどとは、自分でもどうかしていると思われるほどに正気の沙汰ではない。

   大伴茫人(おおとものぼうじん)=編
   『徒然草・方丈記 日本古典は面白い』 ちくま文庫 2007/07


(J7) 吾妻 2004
ムラムラと発情した気持ちを抑えられないままに硯とにらめっこしながら、心の中を通り過ぎてゆくどうしようもないことをうだうだと書き残しているうちに、なんとなく変な気持ちになってしまった。

   吉田兼好=著 吾妻利秋=訳 『徒然草』 (Tsurezuregusa.com)


(J8) 角川書店 2002
今日はこれといった用事もない。のんびりと独りくつろいで、一日中机に向かって、心をよぎる気まぐれなことを、なんのあてもなく書きつけてみる。すると、しだいに現実感覚がなくなって、なんだか不思議の世界に引き込まれていくような気分になる。
[原文は総ルビ。ここでは省略しました - tomoki y.]

   角川書店=編 『徒然草 ビギナーズ・クラシックス
   角川ソフィア文庫 2002/01


(J9) 浜野 2001
これといってしなければならない、というほどのことのないひとり暮(ぐ)らしで、なにもせわしいこともなく、のんびりとした心のままに、一日(いちにち)、机(つくえ)の前にすわっていると、あれこれ心にうかんでくることがある。べつに書いてもしかたのないようなことだが、ただなんとなく書いていくと、ものくるおしい気持ちがしてくる。

   机(つくえ)にむかっていると (序段)
   浜野卓也(はまの・たくや)=著 赤坂三好(あかさか・みよし)=絵
   『方丈記・徒然草』 21世紀によむ日本の古典9
   ポプラ社 2001/04


(J10) 嵐山 1992
たいくつしのぎに、一日じゅうすずりにむかって、つぎからつぎにうかんでくることを書くことにしたぜ。とりとめもない話だから、書くわたしのほうだってへんな気分さ。

【兼好・かげの声】というのはまっかなうそで、これは帝王学なのだぞ。後二条天皇の皇子である邦良親王(くによししんのう)が皇位につくために、わたしはテキストを書こうと思いたった。人間の本能・本性・心理・恋愛・旅・音楽などに関して、わたしが知りえたことを書きつくそうと思っている。最初のうちは邦良親王のために王道を説いたつもりだったが、のち、邦良親王が二十七歳でなくなられたため、当初の目的は変わって、わたしの随筆のようにもなってしまった。なにぶん、へそ曲がりのわたしだから、いうことが、そのときの気分で変わってしまうこともあるがな。真実には二つの面があることを学んでほしい。最初の書き方も、へそ曲がりのわたしの性分だからこんなふうにとぼけてみた。それから、わたしの話には、うらがあるからね、「かげの声」をきくように。

   嵐山光三郎、三木卓=著 『徒然草・方丈記
   少年少女古典文学館10 講談社 1992/04 所収


(J11) 橋本 1990, 1993, etc.
退屈で退屈でしょーがないから一日中硯(すずり)に向かって、心に浮かんで来るどーでもいいことをタラタラと書きつけてると、ワケ分かんない内にアブナクなってくんのなッ!

   橋本治=文 田中靖夫=絵
   11a. 絵本徒然草(上)』 (全2巻) 河出文庫 2005/06
   11b.絵本徒然草(上)』 (全2巻) 河出書房新社 1993/06
   11c.絵本徒然草』 (全1巻) 河出書房新社 1990/08
   引用は 11b. に拠りました。


(J12) 長谷川=監修 柳川=シナリオ 1990, 1998
なにかしたいけれどすることもなく、話す相手もなくて、たいくつなままに、一日じゅう硯にむかいながら、つぎつぎと心にうかんでは消えていく、とりとめもないことを、順序もなく書きつづってみると、自分でもふしぎなほど、いろいろな思いがわいてきて、なにかものに憑かれたような気さえすることだ。

   吉田兼好=著 長谷川孝士(はせがわ・たかし)=監修
   柳川創造(やながわ・そうぞう)=シナリオ 古城武司(こしろ・たけし)=漫画
   12a.徒然草 コミックストーリー わたしたちの古典8
      学校図書 新装版 1998/01
   12b.徒然草 コミックストーリー わたしたちの古典9
      学校図書 1990/04/15
   引用は 12b. に拠りました。


(J13) 杉本 1987, 1996
独り居の、ざわめく心のまま、あかるいあいだ、ずっと硯にむかって、心のなかに順序もなく影を落としてすぎてゆく、さしたるいわれもない事どもを、そのまま取捨することなく書きしるしていると、果たしていま正気でこれを書いているのかしらと、我ながらいぶかしくなるほど心気が熱してくるとは、何としたことか。

   杉本秀太郎(すぎもと・ひでたろう)=著
   13a. 古典を読む 徒然草』 同時代ライブラリー250
      岩波書店 1996/01
   13b.古典を読む 徒然草』 岩波書店 1987/11
   引用は 13a. に拠りました。


(J14) 永井 1987, 1996
いま私は遁世(とんせい)の身、なすこともない時間を重ねてゆく孤独さ、寂寞(せきばく)の思いにまかせて、一日じゅう、硯(すずり)を傍らに、心に去来するとりとめもないことを、あれこれ気ままに書いてみた。筆の赴くままの風狂のすさびというべきだろうか。

   永井路子=訳 「徒然草」
   14a. 永井路子の方丈記・徒然草』 集英社文庫 1996/10 所収
   14b.永井路子の方丈記・徒然草』 わたしの古典13
      創美社=編集 集英社=発行 1987/09 所収
   引用は 14b. に拠りました。


(J15) 山崎 1980
やり場もない所在(しょざい)なさに耐えて、日暮(ひぐ)らし硯(すずり)に向かって、心に映(うつ)っては消えるとりとめないことを、脈絡(みゃくらく)もなく書きつけていると、いつか私の心は無気味にももの狂おしい気分に満たされる。

   吉田兼好=原著 鴨長明=原著
   山崎正和(やまざき・まさかず)=著
   『現代語訳日本の古典12 徒然草・方丈記
   学習研究社 1980/05 所収


(J16) 三木 1979
所在なさにまかせて、終日、硯(すずり)に向って、心に浮んでは消えてゆくとりとめのないことを、気ままに書きつけていると、ふしぎに物狂おしくなる。

   三木紀人(みき・すみと)=著 『徒然草1 全訳注
   講談社学術文庫 1979/09


(J17) 島尾 1976, 2006
つれづれのままに一日中机に向かい、心に移り行く思いをあれこれと書きつけると、妙(みょう)にあやしいきもちになる。

   島尾敏雄(しまお・としお)=訳 「徒然草」
   17a. 島尾敏雄+堀田善衛=著
      『徒然草・方丈記 (ビジュアル版 日本の古典に親しむ9)
      世界文化社 2006/07/01
   17b.グラフィック版 日本の古典8 徒然草・方丈記
      世界文化社 1976
   引用は 17a. に拠りました。


(J18) 冨倉+貴志 1975
これといってほかに用もないままに、朝から晩まで硯に向かいっぱなしで、次から次へ心に浮かんでくる、書いてもしかたのないようなことを、ただなんとなく書き付けてゆくと、われながら妙に気違いじみたものができてゆくようである。

   冨倉徳次郎(とみくら・とくじろう)
   +貴志正造(きし・しょうぞう)=口訳 「徒然草」
   冨倉徳次郎+貴志正造=編 『鑑賞 日本古典文学18 方丈記・徒然草
   角川書店 1975/04 所収


(J19) 永積 1971
なすこともなく、ものさびしさにまかせて、終日、硯(すずり)にむかって、心に浮かんでは消えてゆく、つまらないことを、とりとめもなく書きつけていると、我ながら何ともあやしく、もの狂おしい気持がすることではある。

   永積安明(ながずみ・やすあき)=校注・訳 「徒然草」
   神田秀夫、永積安明、安良岡康作=校注・訳
   『日本古典文学全集27 方丈記・徒然草・正法眼蔵随聞記・歎異抄
   小学館 1971/08 所収


(J20) 安良岡 1967
しようにもすることのないのにまかせて、終日、机の上の硯に向かいながら、心中につぎつぎに移ってゆく、とりとめもない事を、何というあてもなく書きつけてみると、妙にわれながらばかばかしい気持がすることである。

   安良岡康作(やすらおか・こうさく)=校注・訳
   『徒然草全注釈(上)』 (全2冊) 日本古典評釈・全注釈叢書
   角川書店 1967/02


(J21) 臼井 1962
所在なさに、終日硯(すずり)にむかっていると、とりとめもないことが、次次と心に映っては消えていく。それを、なんということもなく書き綴っているうちに、まるで憑(つ)かれたかのように、感興にひきこまれるのは、われながらへんな気がする。

   臼井吉見(うすい・よしみ)=訳 「徒然草」
   『古典日本文学全集11 枕草子・方丈記・徒然草
   筑摩書房 1962/01 所収


(J22) 今泉 1951, 1957
ぢつとして何かしないではゐられない氣持に惹かれて、終日硯に向ひながら、心に浮んで來るとりとめもないことを、何といふこともなく書きつけてみると、自分ながら妙に感じられるほど――興がわいて來て――何だか もの に憑(つ)かれたやうな氣さへして筆を進める。

   今泉忠義(いまいずみ・ただよし)=訳註
   22a.改訂 徒然草―付 現代語訳』 角川文庫 1957/07 所収
   22b. 『徒然草』 角川文庫 1951/11 所収
   引用は 22a. に拠りました。文中の太字個所は原文では太字でなく傍点。


(J23) 与謝野 1916, 2005
無聊(ぶれう)なままに終日硯(すゞり)に向(む)いて心に上(のぼ)る偶感を何と云ふ順序も無く書いたのであるが、非常に雑駁(ざつぱく)なものになつてしまつた。

   与謝野晶子=訳「新訳徒然草」
   23a. 与謝野寛、与謝野晶子=著
      『鉄幹晶子全集17 新訳徒然草・我等何を求むるか・晶子新集
      勉誠出版 2005/03 所収
   23b.新訳徒然草』 阿蘭陀書房 1916/11(大正5)
   引用は 23a. に拠りました。


(J24) 飯田 1916
餘り閑静で無聊(ぶれう)であるから。其の徒然(つれ/゛\)の退屈しのぎに。終日硯(すずり)に對して。夫(それ)から夫ヘと心に轉遷(うつ)り浮んで行く理由(わけ)も當所(あてど)も無い事を。取り止めも無く書き付けて見たが。さて段々と書き集めて見ると云うと。我ながら甚麼(どう)も奇(あや)しな物で。何だか氣狂(きちがひ)じみて居る。
[原文は総ルビ。上の引用では、その一部を省略しました - tomoki y.]

   飯田季治(いいだ・すえはる)=著 『詳譯徒然草
   金港堂書籍 1916/03(大正5)


■日本語原文 The original text in 14th century Japanese

(1) ローマ字表記 In romanization

Tsurezurenaru mama ni, hikurashi, suzuri ni mukaite, kokoro ni utsuriyuku yoshinashigoto o, sokowakatonaku kakitsukureba, ayashu koso monoguruoshikere.

   Tsurezuregusa - Wikipedia


(2) 漢字仮名表記 In kanji and kana

つれづれなるまゝに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

   徒然草(吉田兼好著・吾妻利秋訳) (Tsurezuregusa.com)


 Video 2 
徒然草 - 出演: 野村萬斎 Tsurezuregusa performed by Mansai Nomura


■更新履歴 Change log

  • 2013/10/08 インドネシア語訳と酒井順子=著 2011/11/20 を追加しました。
  • 2013/09/07 もう1種類のロシア語訳を追加しました。
  • 2013/04/24 ドイツ語訳を追加しました。また、Ryukichi Kurata による英訳の表紙画像と書誌情報も追加しました。さらに、繁體字中國語譯の訳文と書誌情報を修正・補足しました。
  • 2012/01/29 目次を新設しました。また、ウクライナ語訳および韓国語訳の表紙画像と書誌情報を追加しました。
  • 2011/11/19 ロシア語訳と表紙画像を追加しました。
  • 2011/05/13 「徒然草を現代語訳してみる」を朗読してみた(ボヤキ系)その①の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/12/30 長谷川孝士=監修 柳川創造=シナリオ 1990/04/15 を追加しました。
  • 2010/12/24 島内裕子=訳 2009/04/10 を追加しました。
  • 2010/12/17 山崎正和=著 1980/05 の訳文を挿入しました。
  • 2010/12/11 山崎正和=著 1980/05 の書誌情報を追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。
  • 2010/12/04 浜野卓也=著 2001/04 を追加しました。
  • 2010/09/16 加藤康子=監修 弦川琢司=文 2008-02-17、および島尾敏雄=訳 2006/07/01 を追加しました。
  • 2010/08/13 青山由紀+甲斐利恵子+邑上裕子=編 2009/12/22 の現代日本語訳、フィンランド語訳、スウェーデン語訳ならびに野村萬斎出演の YouTube 動画を追加しました。
  • 2009/07/17 松村栄子=訳 2009/04 と今泉忠義=訳註 1957/07 を追加しました。
  • 2007/10/26 大伴茫人=訳 2007/07 を追加しました。
  • 2007/10/22 角川書店=編 2002/01 と永井路子=訳 1987/09 を追加しました。
  • 2007/10/14 記事のタイトルに「序段」、"Introduction" の語を追加しました。
  • 2007/10/12 飯田季治=訳 1916/03 を追加しました。
  • 2007/10/10 臼井吉見=訳 1962/01 と与謝野晶子=訳 2005/03 を追加しました。
  • 2007/10/08 英訳 Ryukichi Kurata 1948 と英訳 Takeji Wakameda 1914 を追加しました。また、その他の英訳版に関する書誌情報を補足しました。
  • 2007/10/06 冨倉徳次郎+貴志正造=訳 1975/04 を追加しました。
  • 2007/10/03 Donald Keene 訳の書誌情報を修正・補足しました。
  • 2007/09/07 杉本秀太郎=著 1996/01、1987/11、三木紀人=著 1979/09、永積安明=校注・訳 1971/08、および安良岡康作=校注・訳 1967/02 を追加しました。

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Wednesday, 05 September 2007

昼寝しながら聴いたNHKニュース

 
アナウンサーの声:

アメリカ軍の飛行機は3月20日、バグダッドの上空から3,335個のグレープフルーツを投下しました。現地の日本大使館によると、この攻撃による日本人の負傷者はいない模様です。

この攻撃に関連して、カタールにあるアラビア語衛星テレビ局アル・ジャジーラが伝えるところによると、フセイン大統領は次のような声明を発表しました。
 
 
フセイン氏の声(日本語訳字幕):

われわれはアメリカの帝国主義者たちに決して屈服しない。われわれ勇敢なイラク国民は、最後のひとりがメイン・ディッシュのサーロイン・ステーキとデザートのチョコレート・パフェを食べ終えて、熱いトルコ・コーヒーを飲みほして、太い葉巻を1本吸い終わるまでは、断固として戦いつづける。偉大なアッラーの神よ、万歳! え、なに? シシカバブ? ちがう、ちがう、サーロイン・ステーキだ、最後のひとりが食べるメイン・ディッシュは。
 
 
軍事評論家エバタ・ケンスケ氏の声:

中国四川省の省都である成都という街に、陳麻婆豆腐店という名前の四川料理店があります。1534年12月18日の閉店時刻後、この店の調理場で残飯を片づける際に、マーボ豆腐が開発されたといわれています。
 
 
視聴者からのお便り:

フセイン大統領は、いつからフセイン「元」大統領になったのでしょうか? バグダッドの広場で引き倒された、あの銅像は、フセイン大統領の銅像ですか? それともフセイン元大統領の銅像ですか?
 
 
 
 Saddam_2
 
 
  
■更新履歴 Change log

2007/09/05 tomokilog にアップロード。

2003/12/18 もとの文章を書く。
 
 

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Tuesday, 04 September 2007

On Killing by Charles Ziegenfuss『ブログ・オブ・ウォー—僕たちのイラク・アフガニスタン戦争』

Tales20of20iraq20war Photo The_blog_of_war

           ↑ Click to enlarge ↑  

Left Tales of Iraq War, a cartoon blog created by Latuff, a Rio de Janeiro-based artist. All of his artworks published in this blog are Copyleft, so feel free to reproduce and forward them to your friends.
Centreブログ・オブ・ウォー—僕たちのイラク・アフガニスタン戦争』メディア総合研究所 (2007)
Right The Blog of War: Front-line Dispatches from Soldiers in Iraq and Afghanistan, Simon & Schuster (2006)
 
 
■日本語訳 Translation into Japanese

「From My Position...On the Way!」のチャールズ・ジーゲンファス大尉は第一歩兵師団の戦車中隊司令官である。テロリスト掃討任務を負っていた彼は、自分が初めて殺した男のことを書いている。

---------------------------- ● ----------------------------

初めて殺した男のことが気になって仕方なかった。人の命を奪ったとか、「人殺しは悪である」的考え方とか、そういうことからじゃない。そうする権利(自己防衛)がなかったというのでもないし、(五歳の子が必ず言うように)「あっちが先にやった」からというのでもない。

初めて殺した男の目を、撃つ瞬間に僕は見てしまったのだ。まともに、その目を。実際そこを狙っていたんだが、そういう話じゃない。僕がそこに見たのは殉教者の燃える思いではなかった。そこに怒りはなかった。名誉も復讐心も感じられなかった。僕がそこに見た表情、そこにあった感情は、「あ、しまった!」としか言い表しようのないものだったのだ。

(……)

すべてが終わったあと、僕が本当に戸惑いを覚えたのは(その渦中では何も考えていなかった。ただ動き、身体で反応していただけだ)、自分が何も感じていないということだった。涙も出ない、ため息も出ない。憂鬱すら感じない。嬉しい気分にもなっていなかった。完全に感覚も感情も抜け落ちていて、そのことがものすごくひっかかっていた。

(……)

そして僕はこういう結論に達した。

仕事なんだ、悪く思わないでくれ。

(……)

人殺しが僕の仕事だ。

(……)

それに仕事はいいものだ。

(……)

アトキンス・ダイエットも贅沢に思えてくる。体重を減らしたいなら、気温四十三度の中で十八キロを越える装備一式と九キロの防弾衣を身にまとうのがいちばんだ。それに下痢ピー一回で、ウエスト六センチくらい簡単に落とせる(言っただろう、ご立派な話ばかり書くわけじゃないんだ)。僕らは相も変わらず爆弾や武器の隠し場所を見つけ出し、武装勢力を隠れ家からいぶり出し、ひたすら殺し続けている。そして向うは最近、こっちを攻撃するときには同胞のムスリムを殺してもいいとか言っている——要するに、僕らを仕留めるためならイラク軍もイラク警察も殺していいってことだ。

ご立派。

(……)

   チャールズ・ジーゲンファス大尉=記(「人殺しについて」)
   第5章 戦士たち
   マシュー・カリアー・バーデン=編著 島田陽子=訳
   『ブログ・オブ・ウォー—僕たちのイラク・アフガニスタン戦争
   メディア総合研究所 2007/05 所収
 
   原書:
   The Blog of War:
   Front-line Dispatches from Soldiers in Iraq and Afghanistan
   by Matthew Currier Burden
   Paperback: Simon & Schuster (2006/09)
 
 
■英語原文 The original text in English

Sunday, May 22, 2005 
 
On Killing

The First man I killed disturbed me. Not so much for the loss of human life, or the whole killing is wrong concept. Not because I wasn't well within my right to do so (self-defense) or because (as any 5-year old will tell you) He started it.
 
The First man I killed I looked in the eye when I shot him. Right dead in the eye. It was actually my aiming point, but that’s beside the point. I did not see the fire of Martyrdom. I did not see rage. I saw neither honor nor vengeance. I saw a look, an emotion that can only be summed up as "Oh Shit!"
 
(....)

What really disturbed me after all this (during the event I wasn't doing any real thinking, just acting and reacting) was that I felt nothing. Not a tear, a sigh, or even a melancholy. (I also took no joy in it.) The utter lack of feeling or emotion bugged the shit out of me.
 
(....) 
 
I came to this conclusion: It wasn't personal, just business.
 
(....)
 
Killing is my business.
 
(....)
 
Business is good.
 
Atkins can eat my heart out (All Protein, by the way). There's nothing better for weight loss than 110 degree temps, 40 pounds of gear, 20 pounds of body armor, and a case of screaming shits to drop a quick 2 inches off the waistline. (See, I told you no topic was too sacred.) We keep finding their bombs and caches, we root them out of their hides, we kill them and kill them. They recently said that it was okay to kill fellow muslims when attacking us. (Telling them basically that it was okay to kill Iraqi Army and Police to get at us.) Out-damn-standing.

(....)

-- Chuck

posted by Chuck at 5/22/2005 09:16:00 PM | Trackback (0) Permalink
 
   Excerpt from From My Position... On the way!
   a blog written by Charles Ziegenfuss
 
  
■チャックさんに慰問品を送りたい方へ

チャールズ・ジーゲンファス大尉の「願いごとリスト(=欲しい物リスト)」が Amazon.com に掲載されています。大尉の誕生日の機会などに贈り物をなさりたい方は、このリストから見つくろって、なにかプレゼントして差しあげたら、きっと喜ばれるでしょう。(え? もう帰還していらっしゃる?)

   Wish List for Charles Ziegenfuss
   Birthday: December 20
   Shipping Address: Charles Ziegenfuss - Indiana, PA
 
 
■関連記事 Related articles
 
   * Blackfive.net
   * 福岡県弁護士会|弁護士会の読書|ブログ・オブ・ウォー, 2007/06/28
   * 本の話をしよう|どくしょ感想文|ブログ・オブ・ウォー, 2007/07/25
 
 
■Link

   * Milblogging.com: The World's Largest Index of Military Blogs
 
 
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Monday, 03 September 2007

蒲松齢 「偸桃」(『聊斎志異』より) Strange Stories from a Chinese Studio by Pu Songling (4)

        目次 Table of Contents

 Video 1  The Indian Rope Trick - Penn & Teller
 Video 2  The Most Elusive Trick in History, BBC Prime!
■ロシア語訳 Translation into Russian
■英訳 Translations into English
  (E1) Minford, 2006
  (E2) Giles, 1880
■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese
  (J1) 黒田 2009, 2011
  (J2) 立間 1997
  (J3) 戸倉 1990
  (J4) 金 1989
  (J5) 増田+松枝+常石 1971
  (J6) 柴田 1956, 1987, etc.
  (J7) 佐藤 1929, 1948, etc.
  (J8) 田中 1926, 1997, etc.
■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese
■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese
 Images  空にのびたロープの先から子供の首が落ちてくる
■バラバラ死体のマジック:その真偽は? ルーツは? Is this all hocus-pocus?
  (1) Indian rope trick
  (2) 17世紀の目撃証言:蒲松齢とE・メルトン
  (3) tomoki y. の記憶
  (4) 伝来の径路
■更新履歴 Change log


 Video 1 
The Indian Rope Trick - Penn & Teller

Uploaded to YouTube by awakekiwi on 16 Aug 2008. A segment from Penn & Teller's Magic and Mystery Tour.


 Video 2 
The Most Elusive Trick in History, BBC Prime!

Uploaded to YouTube by coder's channel on 26 Dec 2009


■ロシア語訳 Translation into Russian

[Omission]
  И вот сын ухватился за веревку и, извиваясь по ней, стал лезть вверх. Он перебирал руками, за которыми шли следом ноги, и лез, словно паук по паутине. Лез, лез – и понемногу стал уже входить в тучи, в высокое небо, где его стало больше не видать.
  Прошло довольно долгое время – и вдруг упал персик, величиной с хорошую чашку. Фокусник пришел в восторг, схватил персик и поднес господам в зале. В зале стали друг другу его передавать, рассматривать… Прошло опять порядочное время, а господа не могли понять, настоящий это или фальшивый.
  Вдруг веревка упала на землю. Фокусник принял испуганный вид.
– Погибло все, – вскричал он. – Там наверху кто-то срезал мою веревку. На чем же будет теперь мой сын?   Через несколько минут что-то упало. Фокусник посмотрел – оказывается, то была голова его сына. Он схватил ее обеими руками и стал плакать.
– Значит, он там крал персик, – причитал отец, – а надзиратель заметил… Сынок, пропал ты!
  Прошло еще некоторое время. Упала одна нога. За ней вскоре стали падать вразброд разные члены тела…
[Omission].

   Крадет персик
   Рассказы Ляо Чжая о необычайном
   Translated by Василий Михайлович Алексеев
   E-text at Либрусек


■英訳 Translations into English

(E1) Minford, 2006
[Translation text to be inserted later]

   12. Stealing a Peach
   Strange Tales from a Chinese Studio by Pu Songling
   Translated by John Minford
   Penguin Classics, 2006-05-25


(E2) Giles, 1880
[Omission]
  So his son seized the rope and swarmed up, like a spider running up a thread of its web; and in a few moments he was out of sight in the clouds. By-and-by down fell a peach as large as a basin, which the delighted father handed up to his patrons on the dais, who were some time coming to a conclusion whether it was real or imitation.
  But just then down came the rope with a run, and the affrighted father shrieked out, “Alas! alas! some one has cut the rope: what will my boy do now?” and in another minute down fell something else, which was found on examination to be his son’s head. “Ah me “said he, weeping bitterly and showing the head; “the gardener has caught him, and my boy is no more.” After that, his arms, and legs, and body, all came down in like manner; [Omission].

   104. Theft of the Peach
   ‪Strange Stories from a Chinese Studio‬ ‪by Pu Songling
   Translated by‪ Herbert A. Giles‬
‪   T. De la Rue & Company, 1880‬
   Preiew at Google Books
   Reprint editions include:
   Strange Stories From a Chinese Studio, Vol. 2 of 2 Forgotten Books, 2010-04-17
   E-text at Internet Archive: Wayback Machine


‬ ■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese

(J1) 黒田 2009, 2011
(……)
 それを聞いて、子供はしぶしぶ縄を持つと、ゆらりゆらり登っていき、まるでクモが糸をはうように手足を動かし、次第に雲の中に入って行くと、まったく見えなくなったのである。
 しばらくすると、お椀くらいの大きな桃が一個、空から落ちて来た。手品師は喜んでそれを大広間に持って行き、恭しく差し出した。広間の役人たちは、長い間、互いに手渡してはじろじろ見つめていたが、真偽のほどはわからなかった。不意に縄が地上に落ちてきた。手品師は、ギョッとして叫んだ。
「大変だ、天界で誰か縄を切っちまった。坊主はどうすりゃいいんだ。」
 ほどなくして、ドサッと何かが落ちた。見れば、子供の首だった。父は手に捧げ持つと、泣きわめいて言った。
「これはきっと桃を盗んだのが、見張り番に見つかっちまったんだ。ああ、もう万事休すだ。」
 さらに片足が落ちてきた、と思うと間もなく手足と胴体が一つ残らずバラバラと落ちてきた。(……)

   蒲松齢(ほ・しょうれい) 『聊斎志異』
   a. 「偸桃(ちゅうとう)」(天界の桃を盗む少年の話)
     楊逸(ヤン・イー)=著 黒田真美子(くろだ・まみこ)=現代語訳
     『楊逸が読む聊斎志異』 明治書院 2011/09/30 所収
   b. 「偸桃」(桃を偸む) (巻1-13)
     竹田晃(たけだ・あきら)+黒田真美子=編 黒田真美子=著
     『聊斎志異1 清代1』 中国古典小説選9 明治書院 2009/04/10 所収
   引用は b. に拠りました。原文の傍点を下線で置き換えました。b.
   底本は次の書物:

   底本:
   会校会注会評本 『聊斎志異』 (張友鶴輯校、上海古籍出版社 
   1986-08 第一版、1987-10 第四次印刷)。本書は、1963年、中華書局
   上海編輯所で出版された張友鶴輯校、いわゆる三会本12巻に、章培恒
   「新序」を付したもの。


(J2) 立間 1997
(……)
 子供はそこで縄をにぎり、くるくる回りながらよじ登りはじめた。まるで蜘蛛が糸をつたうようにすいすいと登っていって、やがて雲のなかに姿を消してしまったが、しばらくして、どんぶりほどもある大きな桃がひとつ落ちてきた。手品師は大喜びで早速広間に届ける。役人たちはかわるがわる手にとってとみこうみしていたが、本物かどうかいっこうに決めかねていた。
 ところへ不意に縄が落ちてきた。
「もうだめです。上に誰かがいて縄を切ったのです。これで息子は下りてこれなくなってしまいました」
 手品師が仰天して叫ぶとき、何かが落ちてきた。見れば子供の首である。手品師がその首を捧げ持って、
「桃を盗んだのを番人にみつかったのです。息子もこれで終わりです」
 と泣きだしたとき、足が一本落ちてき、ついで残りの足や身体がばらばらになって落ちてきた。(……)

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 立間祥介(たつま・よしすけ)=編訳
   「桃盗人—偸桃(ちゅうとう)」
   『聊斎志異(上)』 全2冊 岩波文庫 1997/01 所収


(J3) 戸倉 1990
(……)
 そう言われて子供は縄を取り、くるりくるりとまわりながら昇って行った。手が移れば足が従い、まるで蜘蛛(くも)が糸を伝わっていくようである。しだいに雲の彼方に達し、やがて姿も見えなくなった。しばらくすると、桃が一つ落ちてきた。椀(わん)ほどもある大きな桃である。術師は喜び、恭(うやうや)しく役人に差し出した。広間ではそれを手から手へ渡し、長いことかかってあらためたが、それが本物の桃かどうかはわからなかった。
 とその時、縄が地面に落ちてきた。術者はびっくりして言った。
 「たいへんだ! 誰かが上で縄を切った。息子はどうなるんだ!」
 ややあって、一つの物が落ちてきた。見れば子供の首である。術者はそれを捧げ持ち、泣きながら言った。
 「桃を偸(ぬす)んで、番人に見つかったに違いない。こんなざまになって!」
 またややあって、一本の足が落ちてきた。またつづけて胴やら腕やらバラバラと落ちてきたが、どれも原形を留めているものはなかった。(……)

   蒲松齢=著 戸倉英美(とくら・ひでみ)=訳・解説
   聊斎志異 「偸桃(とうとう)」
   竹田晃=編 『中国幻想小説傑作集
   白水Uブックス91 白水社 1990/12 所収


(J4) 金 1989
 (……)子供はそれを聞くとようやく縄を取り、ぐるぐるまわるように登っていった。手が移るとあとから足がついてゆき、まるで蜘蛛(くも)が糸の上をはうようで、そのうちに雲の中へと消え、とうとう見えなくなった。
 それからどれほどたっただろうか。上からお椀ほどもある桃が一つおちてきた。手品師はよろこんで、それを広間の役人に献上する。広間の上では、みな次から次へと手にとってじっくり見たが、本物かどうか誰も分からない。
 その時、突然縄がドサリと地面に落ちた。手品師はびっくりして、
 「大変だ。上でだれかが縄を切ったらしい。命の綱が切れてしまっては、息子はどうやっておりられよう」
 と言ううちに、まもなく、なにか物がおちてきた。みれば、なんと子供の首ではないか。父親はその首を両手にささげもって、泣きながら言った。
 「きっと桃をぬすんだのを番人にみつかったにちがいない。息子はもうおしまいじゃ」
 またしばらくすると、今度は足がひとつおちてくる。まもなく、手足、胴体が次から次へとバラバラに、とうとう体中ひとつ残らずおちてきた。
(……)

   蒲松齢=作 金文京(きん・ぶんきょう)=著(現代語訳)
   「偸桃」 聊斎志異
   『鑑賞 中国の古典23 中国小説選』 角川書店 1989/11 所収


(J5) 増田+松枝+常石 1971
(……)
 子供はそれを聞くと縄を持った。そしてゆらりゆらりとゆれながら上がっていった。手が移ると足もついて上がる。まるで蜘蛛(くも)が蜘蛛の糸を伝わるようだった。だんだん上がって雲の中へはいってゆき、もう見えなくなってしまった。しばらくたってから、桃の実が一つころがり落ちてきた。椀(わん)くらいの大きな桃だった。手品使いはよろこんで、それを持って広間の役人に差し出した。役人たちは次から次へ手にとって、しばらくながめていたが、真物(ほんもの)かどうかハッキリしたことが分からないでいた。ふと縄がドサリと地上に落ちて来た。手品使いは吃驚(びっくり)していった。
「こりゃ大へんだ。誰かが空中でわしの縄をたち切った。子供の命の縄を切ってしまった」
 間もなく何かが落ちて来た。よく見るとそれは子供の首であった。その首を両手に捧げて泣きながらその男はいった。
「きっと桃を盗んだのを番人に見つかったのだ。息子(むすこ)はやられた!」
 すると、足が片方落ちて来た。やがてまた手足と胴体とがバラバラになって落ちて来た。(……)

   蒲松齢=作 増田渉+松枝茂夫+常石茂=訳
   「桃を盗む少年(偸桃)」
   『聊斎志異(上)』 中国古典文学大系40(全60巻)
   平凡社 1970/04 所収


(J6) 柴田 1956, 1987, etc.
(……)
 子(こども)は、乃(そこで)、索(なは)を持つて盤旋(する/\)と上りはじめた。手が移る。足が随(つい)てゆく。まるで蛛(くも)が絲を趁(つた)ふやうに、雲霄(そら)に入つていつて、たうとう見えなくなつてしまつた。
 と、久之(しばらく)して桃が一つ墮ちてきた。〓(わん)のやうな大きさである。術人(てづまし)は喜んで、それを持つて公堂(ひろま)にのぼり、やくにんに獻(さしあ)げた。堂上(ひろま)のひとたちは、手から手にそれを傳(まは)して、しばらくのあひだ視(み)てゐたけれど桃の眞僞はわからなかつた。
 忽ち繩が地上に落ちて來た。術人(てづまし)は驚いてさけんだ、
 「殆矣(あぶない)! 上(そら)に人(だれ)かゐて、吾(わし)の繩を斷(き)つてしまつた! 兒(せがれ)は焉(なに)に託(たよ)るのだ!」
 そのうちに墮ちてきた物があるので、かけよつて視ると、子(せがれ)の首だつた。おやぢはそれを捧げて、泣きながら曰ふのである、
 「こりやあ必(きつ)と、桃を偸(ぬす)んだのを監者(ばんにん)に覺られたにちがひない。吾兒(せがれ)は休矣(だめ)だ!」
 それから又移時(しばらく)すると、一足(かたあし)が落ちてきた。そして無何(まもな)く、肢(あし)や體が紛々(ばら/\)になつて墜ちてきた。復(も)う存(のこ)つてゐるものは無いのである。(……)
(〓は央の下に皿)

   蒲松齢=作 柴田天馬=訳 「偸桃(とうたう)」
   a. ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(大活字版)』 第三書館 2007/01 所収
   b. ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(愛蔵版)』 第三書館 2004/07 所収
   c.ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊』 第三書館 1987/06 所収
   d.完譯聊齋志異8』(全8巻) 角川文庫 1957/04 所収
 
   引用は d. に拠りました。


(J7) 佐藤 1929, 1948, etc.
(……)
 子供はそこで縄につかまつてぐるり/\廻りながら上(あが)つて行きました。一つの手が挙ると一つの足もそれにつれて挙るのです。まるで蜘蛛が巣の上を走るようにする/\と高くなつて行つて、次第に雲の中へ姿をかくし、今はもうすっかり見えなくなつたのでした。
 しばらくたつと桃の実が一つ落ちて来ました。お椀ぐらゐの大きさの桃でした。手品師は喜んでそれをお役人にさゝげました。お役人達はその桃を順々に手に取つてしらべて見てゐましたが、ほんとうの物か偽(にせ)の物かわからないようでした。
 すると突然縄が地面の上へ落ちて来ました。手品師は悲しげに、
「あぶない。誰か上で縄を切つたやつがゐる。倅(せがれ)はつかまるところがないだらうに」
 少したつて何か上から落ちて来ました。よく視ると登つて行つた子供の首なのでした。手品師はそれを両手に捧げて泣いていひました。
「こりやあ、きっと、桃を盗んだので番人に見つけられたんだぞ。あゝ、倅ももうだめだ」
 また少したつと足が一本落ちて来ました。それからすぐに胴や手や足がばら/\と降つて来ました。皆ちぎれちぎれで、一つとして繋(つな)がつてゐるものはないのでした。(……)

   佐藤春夫=著 「桃を盗んだ子」
   a. 定本 佐藤春夫全集28 翻訳・翻案1』(全36巻)
     臨川書店 1998/11 所収 
   b.支那童話集』 復刻版日本児童文庫13 名著普及会 1981/10 所収
   c.百花村物語』 新日本少年少女選書 湘南書房 1948/03 所収
   d.佐藤春夫全集2 短篇小説』(全3巻) 日本文学大全集
     改造社 1932 所収
   e. 支那童話集』 日本児童文庫 アルス 1929/01(昭和4)所収

   佐藤春夫=著 「童話 桃を盗んだ児」
   f.東京日日新聞』 1929/01/01(昭和4)収載

   b.e. の復刻版。 初出は f.。引用は a. に拠りました。


(J8) 田中 1926, 1997, etc.
(……)
 子供はそこで繩を登つて往つた。それはちやうど蛛(くも)が糸を傅つて往くやうであつた。そしてだんだん雲の中へ登つて往つて見えないやうになつた。
 暫くして空から一つの桃が墜ちて來た。それは椀よりも大きなものであつた。彼の男は喜んで、それを堂の上の官人にたてまつつた。官人は順順にそれを見たが、それは眞(ほんとう)の桃であるかないかをしらべるやうなさまであつた。と、忽ち繩が空から落ちて來た。彼の男は驚いて叫んだ。
『あぶない、天に人がゐて、繩を斷つたのだ、悴がたいへんだ、』
 暫くして空から物が堕ちて來た。それは子供の首であつた。彼の男は首を抱きかかへて泣いて云つた。
『これは、きつと、桃を偸んでゐて、番人に見つかつたのだ。』
 又暫くして一つの足が落ちて來たが、それにつづいて手も胴も體もばらばらと堕ちて來た。(……)

   蒲松齢=著 田中貢太郎=訳 「偸桃」
   a.偸桃」 『聊斎志異』 青空文庫(電子テキスト)新字新仮名
     入力: 門田裕志 校正: 松永正敏 アップロード: 2007/08/12
   b. 公田 連太郎(こうだ・れんたろう)=注
     『聊斎志異』 明徳出版社 1997/04/30
   c.支那文學大觀12』 「聊齋志異」
     支那文學大觀刊行會 非賣品 1926/03(大正15)所収

   a. の底本は b.b. c. の複製。引用は c. に拠りました。


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

(……)子乃持索,盘旋而上,手移足随,如蛛趁丝,渐入云霄,不可复见。久之,坠一桃如碗大。术人喜,持献公堂。堂上传示良久,亦不知其真伪。
    忽而绳落地上,术人惊曰:“殆矣!上有人断吾绳,儿将焉托!”移时一物坠,视之,其子首也。捧而泣曰:“是必偷桃为监者所觉。吾儿休矣!”又移时一足落;无何,肢体纷坠,无复存者。(……)

   聊斋志异   蒲松龄 著
   巻一 偷桃
   E-text at:
   * 亦凡書庫 (yifan.net)
   * 時代書城 (mypcera.com)


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

(……)子乃持索,盤旋而上,手移足隨,如蛛趁絲,漸入雲霄,不可復見。久之,墜一桃,如碗大。術人喜,持獻公堂。堂上傳視良久,亦不知其真偽。
  忽而繩落地上,術人驚曰:「殆矣!上有人斷吾繩,兒將焉託!」移時,一物墮。視之,其子首也。捧而泣曰:「是必偷桃,為監者所覺。吾兒休矣!」又移時,一足落;無何,肢體紛墮,無復存者。(……)

   聊齋志異 蒲松齡
   卷一 偷桃
   E-text at 漢川草廬 (www.sidneyluo.net)


 Images 
空にのびたロープの先から子供の首が落ちてくる

a. Zpage256 b. Toutao_2 c. Toutao81_2

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■バラバラ死体のマジック:その真偽は? ルーツは?
 Is this all hocus-pocus?

(1) Indian rope trick

  • 空からバラバラ死体が落ちてきたあと、また元どおりに一つになる。
    ——この奇抜な手品は、インドや中国では、かなり昔からあったらしいです。さかのぼれば、北魏や唐末などの目撃者の記録も残っています。マルコ・ポーロ (1254-1324) はインド・中国に滞在中に「インドのロープ・トリック」を見たとされています。
  • イスラム法学者で大旅行家のイブン=バットゥータ (1304- 没年未詳 1368 or 1377 ?) も、1346年、中国・杭州を旅行中に、この「インドの縄の奇術」に似たものを見たと主張しています。
  • 伝承によれば、類似の手品/奇術/マジック/トリックは、16〜19世紀のムガール帝国時代に、西はペシャワールから東はダッカまで、インド亜大陸における、ムガール勢力の中心地(たとえば、パトナ、アグラ、デリーなど)で演じられたとのことです。

(2) 17世紀の目撃証言:蒲松齢とE・メルトン

  • さて、上の引用には含めませんでしたが、「偸桃」の冒頭部分を読むと、蒲松齢じしんは、まだ若かった1659年、山東省の済南で、春分のお祭りの出し物として、この手品が演じられるのを実際に見たということです。
  • 画像〈左〉のイラストを描いたイギリス人の旅行家エドワード・メルトンは、もう1人の目撃者です。1670年、蒲松齢より遅れること11年、ジャワ島のバタビアで、中国人の手品師による同じような奇術を見たそうです。相当インパクトが強かったらしく、おかげで、このような絵が残されました。

(3) tomoki y. の記憶

  • 私 tomoki y. は、残念ながら、このような珍奇なものを目撃する機会にめぐまれません。けれども、このマジックの話じたいは、ずっとまえに読んだことがあります。出典を思い出せませんが、たしか明治生まれの日本人の学者が、戦前の中国かどこかで同じ手品を見た、もしくは見たという人の話を聞いた、というものでした。

(4) 伝来の径路


■更新履歴 Change log

  • 2013/09/09 目次を新設しました。
  • 2012/07/13 つぎの2本の YouTube 動画を追加しました。
    • Video 1: The Indian Rope Trick - Penn & Teller
    • Video 2: 20 of 50 Greatest Magic Tricks - Indian Rope Trick
  • 2012/06/26 ロシア語訳、John Minford による英訳の書誌情報、ならびに Herbert A. Giles による英訳を追加しました。
  • 2011/11/19 竹田晃+黒田真美子=著 2009/04/10 を追加しました。
  • 2010/10/03 田中貢太郎=訳の書誌情報を補足・修正しました。
  • 2007/11/18 佐藤春夫=著 1929/01/01, 1929/01, etc. を追加しました。
  • 2007/09/03 「バラバラ死体のマジック:その真偽は? ルーツは?」の項を、大幅に加筆しました。Wikipedia の記述に拠り、マルコ・ポーロの証言や、おもにインドにおける、この手品の伝播の状況などを補足しました。

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Sunday, 02 September 2007

Scoring Off Jeeves by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ウースター一族の誇り傷つく」「心配係の休暇」「ジーブスがゐなくては」

 Images 
a. Hero1 b. Lwj1 c. Ph098_2

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■日本語訳 Translations into Japanese
 
(J1) 森村 2005
 しかし、ビンゴは明らかに彼女にぞっこんらしい。間違いない。奴の目には恋の灯が点っている。
「俺は彼女を崇拝しているんだ、バーティー。彼女が歩いたその地面にひれ伏したいよ」
 病人は大きな、よく通る声で言った。フレッド・トンプソンと奴の仲間が二、三人入ってきたし、バーテンダーのマクガーリーも耳を拡げて話を聞いている。しかしビンゴにひるんだ様子はない。奴を見ているといつも僕は、ステージの中心に位置取り、若者たちに円く囲まれ、声を張り上げて自分の恋について語るミュージカル・コメディーの主役を思わずにはいられない。
「彼女には伝えたのか?」
「いや、勇気がなくてさ。だがほとんど毎夜、二人で散歩したし、彼女が僕を見る目つきが何かを語ろうとしてる時もあった」
「あの目つきなら知ってるぞ。特務曹長みたいなあれだろ」
「まったくちがう。優しき女神だ」

  • P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳 「5. ウースター一族の誇り傷つく」 『比類なきジーヴス』 ウッドハウス・コレクション 国書刊行会 2005/02 所収
  • 原典: Chapter 5: The Pride of the Woosters Is Wounded. The Inimitable Jeeves. from Life with Jeeves by P.G. Wodehouse. Penguin, 1983/09
    このペンギン版は「ジーヴズもの」の代表作 The Inimitable Jeeves, Very Good, Jeeves! および Right Ho, Jeeves の3タイトルを1冊にまとめたペーパーバック。

(J2) 乾 1939, 1940, etc.
 とはいえ、どうもビンゴーのやつは、見たところオノリヤに首ったけになっているらしい。だいいち目の色がただではない。
「きみの前だがね、ぼくは彼女を崇拝(すうはい)してるんだよ、ねきみ、ぼくァ彼女の足跡(そくせき)といえども崇拝してるんだ」
 と、あたりかまわず、大きな声をする。恋愛病患者(れんあいびょうかんじゃ)はこれだからやりきれん。
「じゃきみ、彼女にその切(せつ)なる胸のうちでもうち明けたのかい?」
 と、ぼくはいちおう尋(たず)ねてみた。
「いや、それだけの勇気がないんだよ。だが、彼女とは毎晩のように散歩をしとる。そして彼女の目つきもまた近ごろじゃ、ただじゃないんだ」
「ただでないのは今はじまったこっちゃないさ。まるで飢(う)えたる鷲(わし)みたいな目つきだろう」
「いやどうしてどうして、優(やさ)しき女神(めがみ)のような目つきだね……」

   2a. P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎=訳 「心配係の休暇」
      ジョンストン・マッカレー〔ほか〕=著
      『世界大ロマン全集6 地下鉄サム』 東京創元社 1956/11 所収
   2b. P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎=訳 「心配係の休暇」
      『専用心配係』 東成社 1940(昭和15)所収
   2c. P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎=訳 「心配係の休暇」
      『ユーモア傑作集1 専用心配係』 東成社 1939(昭和14)所収
 
   2b.2c. は未見。引用は 2a. に拠りました。


(J3) 上塚 1929, 1994
 とは云へ、どうもビンゴーの奴は、見た所オノリヤに首つたけになつてるらしい。目の色が違ふ。
『僕ァ彼女を崇拝(すうはい)してるだよ、ね君、僕ァ彼女の足跡(あしあと)と雖(いへど)も崇拝してるんだ!』とあたり關(かま)はず大きな聲(こゑ)をする。戀愛病患者(れんあいびやうくわんじや)はこれだからやりきれない。
『ぢや君、彼女にさう打明けたのかい?』と、ぼくは一應(おう)訊(たづ)ねてみた。
『いや、それだけの勇氣(ゆうき)がないのだよ。だが彼女とは毎晩の樣(やう)に散歩をしてる。そして彼女の目附(めつき)も又近頃ぢや只ぢやないんだ。』
『たゞでないのは僕も知つてる。丸で陸軍曹長殿みたいな目附だらう?』
『いやどうして/\、優しい女神(めがみ)のやうだ。』
[原文は総ルビですが、上の引用ではその一部を省略しました - tomoki y.

   P・G・ウッドハウス=著 上塚貞雄=譯 「ジーブスがゐなくては」
   3a. 「新青年」復刻版 昭和4年(第10巻)合本3
      第5号(4月増大号)・第6号(5月号)
      本の友社 1994/07 復刻版第1刷 所収
      (目次の表記は「ジーブスが居なくては」)
   3b. 『新青年』 1929年4月(昭和4)増大号収載

   引用は 3a. に拠りました。なお、3a. の存在については、
   文芸誌ムセイオン 管理人BのHernaniさんに教えていただきました。
   Hernaniさん、ありがとうございました。


■作品/原典の異同
 On the differences between the translations and their sources

ウッドハウスは、その長い作家生活を通じて、まえに発表した自分の作品を、のちに書き直し、別の題名をつけて再発表するということを、たびたび行なっています。上掲作も、その一例。

(J1) 森村訳 2005 「ウースター一族の誇り傷つく」
   原題:The Pride of the Woosters Is Wounded
   所収単行本:
   英:The Inimitable Jeeves (Herbert Jenkins, 1923/05)
   米:Jeeves (George H. Doran, 1923/09)

(J2) 乾 訳 1956 「心配係の休暇」
   英:Scoring Off Jeeves 初出誌:Strand (1922/02)
   米:Bertie Gets Even  初出誌:Cosmopolitan (1922/03)

(J3) 上塚訳 1929 「ジーブスがゐなくては」
   英:Scoring Off Jeeves 初出誌:Strand (1922/02)
   米:Bertie Gets Even  初出誌:Cosmopolitan (1922/03)

ご覧のように、(J2) と (J3) は、邦題は異なりますが、原典はおなじ。"Scoring Off Jeeves" という短篇です。ウッドハウスは、これを英米の雑誌に発表した翌年、作品を前後2篇に分けて加筆修正し、前篇・後篇を、それぞれ "The Pride of the Woosters Is Wounded," "The Hero's Reward"(森村訳では邦題「英雄の報酬」)と名づけて、単行本 "The Inimitable Jeeves" に収めました。

この単行本収録作の前篇部分を訳したのが (J1) です。(J1) と、(J2) (J3) との間で、訳文に対応しない箇所があるのは、こういった事情のせいです(以上は、おもに The Russian Wodehouse Society に拠る)。

もともとおなじ作品が、ちがう年にちがう題で、しかも英国と米国とでも、ちがう題で出たり。ウッドハウスは、書誌編纂者泣かせです(苦笑)


■訳者の異同:乾信一郎と上塚貞雄 Identity of the two Japanese translators
 
上の訳文 (J2) と (J3) を読みくらべていただけばお分かりのとおり、両者は細部が異なるだけで、ほとんどおなじものです。それもそのはず、2つの訳の翻訳者はおなじだからです。どちらが本名で、どちらが筆名か、といったことは存じません。が、ともあれ、乾信一郎氏と上塚貞雄氏は、同一人物です。


 Video 
Jeeves & Wooster Season 1 Episode 1 Part 2/5

下の引用箇所に相当する会話は 2:50 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by wolfxbloed on 10 Jun 2009. The conversation corresponding to the excerpt below starts around 2:50.


■テレビ化作品 Jeeves and Wooster, a TV adaptation

Series 1. Directed by Robert Young.
Episode 1. Jeeves Takes Charge. (original broadcast: April 22, 1990)   

Bertie Wooster's Aunt Agatha orders him to marry Honoria Glossop, who Agatha believes will "reform" him. Bertie finds his friend Bingo Little is infatuated with her, but his scheme to get them together fails. His capable new valet Jeeves steps in with a plan to convince Sir Roderick and Lady Glossop that their potential son-in-law is unfit to marry their daughter.

Also called "In Court After the Boat Race" or "Jeeves' Arrival." Adapted from:

  • "Jeeves Takes Charge"
  • "The Pride of the Woosters is Wounded" (from The Inimitable Jeeves)
  • "Introducing Claude and Eustace" (The Inimitable Jeeves)
  • "Sir Roderick Comes to Lunch" (The Inimitable Jeeves)
  • "The Hero's Reward" (The Inimitable Jeeves)

   Source: Jeeves and Wooster - Wikipedia
   More information at IMDb
   DVD available from Amazon.co.jp


■英語原文 The original text in English

  Yet here was young Bingo obviously all for her. There was no mistaking it. The love light was in the blighter's eyes.
  'I worship her, Bertie! I worship the very ground she treads on!' continued the patient, in a loud, penetrating voice. Fred Thompson and one or two fellows had come in, and McGarry, the chappie behind the bar, was listening with his ears flapping; but there's no reticence about Bingo.
  'Have you told her?'
  'No. I haven't had the nerve. But we walk together in the garden most evenings, and it sometimes seems to me that there is a look in her eyes.
  'I know that look. Like a sergeant-major.'
  'Nothing of the kind! Like a tender goddess.'

   Scoring Off Jeeves (1922) by P.G. Wodehouse
   E-text at Rojer's Garbage Heap


■更新履歴 Change log

  • 2013/05/02 Jeeves & Wooster Season 1 Episode 1 の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/12/19 英語原文のテキストを挿入しました。
  • 2007/10/14 上塚貞雄=譯 1994/07 を追加しました。また、訳者の異同に関する項を新設しました。


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