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Sunday, 09 September 2007

The Garden Party by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「ガーデン・パーティー」「園遊会」「園遊會」

             目次 Table of Contents

   ■はじめに Introduction
    Images  表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait
   ■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese
     (Zh1) 鱼翔浅底
     (Zh2) 茶茶小语
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 浅尾 2008
     (J2) 西崎 2002
     (J3) 白木 1985
     (J4) 大澤 1975, 1999
     (J5) 崎山 1969
     (J6) 海老池 1964
     (J7) 江上 1960
     (J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
     (J9) 伊藤 1958, 1986
     (J10) 安藤 1953, 1957, etc.
     (J11) 野崎 1953
     (J12) 崎山 1934, 1936
   ■邦題の異同 Variation of the title in Japanese
     Video   ウェルカム・トゥ・ブーンドックス The Garden Party - The Boondocks
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■オランダ語訳 Translation into Dutch
   ■イタリア語訳 Translation into Italian
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
   ■フランス語訳 Translation into French
    Audio 1  英語原文の朗読 Audiobook read by Luci Burgoyne
    Audio 2  英語原文の朗読 Audiobook read by Eve Karpfe
   ■英語原文 The original text in English
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

「ガーデン・パーティ」はニュージーランド出身の作家キャサリン・マンスフィールドが1922年に発表した短編小説。


 Images 
表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait

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■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh2) 鱼翔浅底
“让游园会停下来?亲爱的萝拉,别傻了。我们不能就这样让游园会停下来。这是肯定的。没有人会希望我们停办游园会,不要说那么傻的话。”

可我们怎么能在前门刚刚死了一个人的情况下开游园会呢?

这件事说起来那还真是有些傻,提到那片小房子——在那座陡峭的小山脚,有一条属于他们的街道,那条街道一直通往谢里登家的住宅。一条宽阔的大路横贯其中。是的,那片小房子和谢里登家离的太近了。 [略] 居住在那里的是些工人,那里总是聚集一群小孩子。当谢里登家的孩子们还很小的时候,他们就被禁止去那里,以防染上些可怕的疾病。可当他们稍稍长大了些时,萝拉和劳瑞有时会从中穿行,那是件令人作呕的事。可是,做为一个人必需什么地方都去,什么事都要看看。于是,他们有会有意地从那片地方穿行。

   《游园会》 作者: 凯瑟琳•曼斯菲尔德 译者: 鱼翔浅底
   E-text at 星辰儿童文学


(Zh2) 茶茶小语
“停止花园茶会?我亲爱的劳拉,别傻了。我们当然不会为此做任何事,没有人期待我们去做,别那么不切实际。”

“但是我们不可能在一个人就死在前门外的时候还举办什么花园茶会呀?”

那确实太不切实际了。因为那些小屋坐落在自己的小巷子里,位于通往大房子的陡坡的最底部。一条宽阔的马路贯穿其中。的确,他们离得太近了。 [略] 在这个小巷子里住着洗衣妇、清洁工、修鞋匠和一个用小鸟笼堆满前门的男人。孩子成群结队。当谢尔登家的孩子还小的时候,他们是禁止涉足那里的,因为那里脏话连篇怕把他们熏染坏了。但他们长大后,劳拉和劳里有时候偷偷地在那里经过。那种感觉又恶心、又龌龊。他们都不寒而栗了。但是人总得到处走走、看看。所以他们穿过了那条小巷。

   《花园茶会》 作者: 凯瑟琳·曼斯菲尔德 译者: 茶茶小语
   E-text at 译言网


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 浅尾 2008
「園遊会を? ねえローラ、ばか言わないで。そんなことできるわけないでしょ。わたしたちにそうしてほしいと思ってる人なんて、ひとりもいやしないわよ。無茶なこと言わないでちょうだい」
「でも、うちの門のすぐ外で人ひとりが死んだっていうのに、園遊会なんてやってられないじゃないの」
 確かに無茶な話ではあった。小さな家々が立ち並ぶその路地というのは、この屋敷に続く急な坂道を下(くだ)りきったところにある。 [略] その路地に住むのは洗濯女に煙突掃除人、靴の修理職人といった人々で、家の前に小さな鳥籠をたくさんぶら下げている男もいる。子供も群れるほどいた。シェリダン家の子供たちがまだ小さかったころ、そのあたりには近づくなと言われていた。言葉遣いもがらが悪いし、もしかするとおかしなことを覚えてくるかもしれないからである。しかし、大きくなってからは、ローラやローリーはときどき、その路地をふらっと通り抜けることがあった。いかにもむさ苦しい、ぞっとするような場所だった。通り過ぎてから身震いすることもあった。それでも、人はあらゆるところに足を運び、あらゆるものを自分の目で見なければならない。だから彼らはその路地も通ったのだ。

   マンスフィールド=作 浅尾敦則(あさお・あつのり)=訳 「園遊会」
   ポプラクリエイティブネットワーク=編 『諸国物語
   ポプラ社 2008/02 所収
   ルビを一部省略しました。この訳は新訳。つまり、この本が初出です。


(J2) 西崎 2002
「ガーデン・パーティーを中止する? ローラ、ばかなことを言わないで。もちろん、わたしたちにはそんなことできないわ。そんなことするとは誰も思ってないわ。無茶なこと言わないで」
「でも、表門のすぐそばに死んだ人がいるのに、ガーデン・パーティーなんてできるわけないわ」
 それは確かに無茶なことだった。ローラの邸は高台にあって、高台の急な斜面の底には狭い道があった。そしてその道沿いに小さな家が並んでいた。 [略] 家には洗濯女たちが住んでいた。煙突掃除人、靴直し、それに家の前を小さな鳥籠で埋めた男が住んでいた。子供たちは大勢いた。シェリダン家の子供たちは小さい時、その場所に足を踏みいれることを禁じられていた。なぜならそこで話される言葉はひどいものだったし、病気がうつるかもしれなかったからだ。けれど、大きくなってからローラとローリーは散歩の時たまにそこを通り抜けた。家並みは不潔で、吐き気を覚えるほどだった。ふたりは身震いしてそこを通り抜けた。けれど、人というものはどんなところでも行かなければならないものだし、どんなものでも見なければならないものだった。だから、ふたりはその道を通り抜けた。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   西崎憲(にしざき・けん)=訳 「ガーデン・パーティー」
   西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集』 ちくま文庫 2002/10 所収


(J3) 白木 1985
「ガーデン・パーティーをやめるだなんて。ローラったら、ばかなこといわないでよ。もちろん、そんなことできっこないわ。だれだって、そんなこと考えもしないでしょう。そんな、とほうもないこと、いうものじゃなくてよ」
「でも、表門のすぐまえの人が死んだのよ。ガーデン・パーティーなんか、できると思って?」
 じっさい、それはとっぴな考えであった。その家というのは、ローラたちの住んでいる邸(やしき)に通じるきゅうな坂道の下にあって、小道をはさんでひとかたまりにくっつきあっている数軒のなかのひとつだった。[略]
 その一画には、洗たく女だとか、煙突掃除夫、靴直し、それから、表戸のまえに、ちっちゃな魚かごをいっぱいぶらさげている男とか——そういったような人たちが住んでいた。子どもは、うじゃうじゃいた。シェリダン家の子どもたちは、ちいさいとき、そこへいってはいけないといわれた。ことばが乱暴なうえに、どんな病気をうつされるかわからないからだった。
 だが、かなり大きくなってからは、ローラと兄のローリーは、散歩のついでに、そこの小道を通りぬけることがあった。きたない、不ゆかいなところだった。ふたりは、ぞっとしながら、そこからでてくるのだった。
 しかし、人というものは、どこへでもいってみなければならない、なんでもみておかなければならない、という考えから、ふたりは、よくそこを通りぬけた。

   マンスフィールド=作 白木茂(しらき・しげる)=訳 「ガーデン・パーティー」
   『はじめての舞踏会』 世界の名作文学29 岩崎書店 1985/01/30 所収


(J4) 大澤 1975, 1999
 「園遊会をやめにするんですって? まあ、ローラ、そんなばかなこと言ってはいけないわ。もちろん、私たちはそんなことできやしないわ。誰も私たちにそんなことをしてもらおうなんて思ってやしないわ。そんな無茶なこと言ってはいけないわ」
 「でも、表門のすぐ外で人が死んだというのに、私たちは園遊会などとても開くことはできないわ」
 それは実際無茶なことだった、なぜなら小さな家々が邸へ通ずる急な坂のまさに下に、小径に自分たちだけでかたまって建っていた。 [略] 洗たく女がその小径に住んでいた、また掃除人や、靴直しや、家の前にはところせましと、小っちゃな小鳥かごを散在させている人が。子供たちが群がっていた。シェリダン家の連中は幼い頃、下品な言葉と、病気が感染するかもしれないために、そこに足を踏み入れることを禁じられていた。しかし、大きくなってからは、ローラとローリーは散歩の途中に時々通り抜けた。いまわしい、不潔なところだった。身震いして抜け出た。しかし、人はどこへでも行かなければならない、人はなんでも見なければならない。それでそこを通り抜けた。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳 「園遊会」
   4a. 大澤銀作+相吉達男(あいよし・たつお)
      +河野芳英(かわの・よしひで)+柴田優子=訳
      『マンスフィールド全集』 新水社 1999/06 所収
   4b. マンスフィールド作品集』 文化書房博文社 1975 所収 
   引用は 4a. に拠りました。


(J5) 崎山 1969
 「園遊会をやめるって? ねローラ、そんな無茶なこと……そんなこと、全然できないわ。誰だって、私たちがやめるなんて思わないことよ。そんな無茶なことしないで……」
 「でも表門のすぐ前で死んだ人があるというのに園遊会をするなんて考えられないわ。」
 無茶といえば、たしかに無茶である。というのは、あの小さな家々は、彼女たちの家へ通じている急な坂道のどん底の路地に、ひとかたまりになって建っている。 [略] その路地には、洗濯婆さん、煙突掃除人、靴なおし、それから表に小さな鳥籠を一面にぶらさげている男などが住んでいる。子供たちが わんさ(#原文は太字でなく傍点)といる。シェリダン家の子供たちは、小さいときには、そこへ足をふみいれてはいけないといわれていた。言葉が乱暴だし、病気がうつされるかもしれないというわけである。しかし、ローラやローリーは大きくなると、ときどき散歩のついでにそこをぶらつくこともあった。いやな、むかむかするところだった。二人はぞっとしながら通り抜けるのであった。しかし、人間というものはどこへでも行かなければならない、なんでも見なければいけない——そう考えて、彼らは通り抜けるのであった。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   崎山正毅(さきやま・せいき)=訳 「園遊会」
   崎山正毅+伊澤龍雄(いざわ・たつお)=訳
   『マンスフィールド短篇集—幸福・園遊会 他十七篇
   岩波文庫 1969/03 所収


(J6) 海老池 1964
「園遊会を中止するんですって、ローラ。とんでもない。そんなことできっこないじゃないの、誰も中止しろなんていいやしないのに。とほうもないことをいうもんじゃないわ」
「だって、表門のすぐ外で人が死んだのに、園遊会なんかできないじゃないの」
 じつさい[ママ]、とほうもないことだった。<小屋>というのはシェリダン家へ通じる急な坂の下の小道に、離れて、ひとかたまりになっていたからだ。 [略] 洗濯女がその小道に住んでいた。それから、掃除人夫と靴直しのほかに、ある男の家には、前にいっぱい小さな鳥籠が下げてあった。うじゃうじゃと子供がいた。シェリダン家の兄妹は小さいころそこへ足を入れることを禁じられていたが、それは下種っぽい言葉使いと伝染病が心配だったからだ。が、大きくなってから、ローラとローリーは散歩の途中にときどきそこを通った。むさくるしく、胸が悪くなった。身慄いしながら出て来た。が、それにしても、ひとはどこへでも行き、なんでも見なければならないのだ。で、二人はそこを通った。

   マンスフィールド=著 海老池俊治(えびいけ・しゅんじ)=訳 「園遊会」
   『マンスフィールド短篇集』 八潮版・イギリスの文学2
   八潮出版社 1964/01 所収


(J7) 江上 1960
 「園遊会を中止するって? まあ、ローラ、とんでもないこといわないでよ。もちろん、そんなことできるわけがないわ。たれだって、そんなの思いもかけないでしょう。あんまり無茶をいわないでね」
 「でも、表門の鼻先に、人死にがあったというのに、園遊会なんてとてもできないわ」
 それこそ全く無茶である、というのは、この家に至るけわしい坂の、ほんのその下の、袋小路に、例の部落はあったのだから。 [略] その小路には洗濯女(せんたくおんな)たちが住んでいた、そのほか煙突掃除夫、靴直し、家の表に小さな鳥籠(とりかご)をやたらにぶら下げている男、そうした面々が住んでいた。子供たちがうようよしていた。シェリダン家の子供らは、まだ小さかった頃、そこに足を踏み入れてはいけないといましめられていた。言葉が乱暴だし、何を覚えてくるかわからないからであった。しかし、大きくなってしまってからは、ローラとローリイは、たまには足の向くままに、そこを通り抜けることもあった。いやらしい、うす穢(ぎたな)いところだった。二人はおじけをふるって、出てくるのだった。でもやはり、人はどこへでも行かねばならぬ、何でも見ておかねばならぬ。というわけで、そこを通った。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   江上照彦(えがみ・てるひこ)=訳 「園遊会」  
   7a.マンスフィールド短編集』 グーテンベルク21 所収
      ドットブック版 179KB/テキストファイル 170KB
   7b.園遊会 他十四篇』 角川文庫 1960/04 所収
   引用は 7b. に拠りました。


(J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
「園遊会をやめるんですって。ねえローラ、そんな馬鹿なこと言うものではないわ。勿論そんなこと出来っこない。誰だってそんなことになると思ってやしない。突飛なこと言うものでないわ。」
「だって表門のすぐ前の人が死んだというのに園遊会なんて出来やしない。」
 実際それは突飛なことであった、その小さな粗末な家というのはこの邸に通ずる急な坂道の下の路次にかたまっていたからである。 [略] その路次には洗濯女が住んでいた。煙突掃除、靴直し、それから家の前に小ちゃな鳥篭を一杯にかけている男がいた。子供達が大勢いた。シェリダン家の子供達は小さい時に、言葉がひどくどんな病気がうつるかも知れないというので、そこへ足を入れるのを禁じられた。しかし大きくなってから、ローラとローリィはこっそり歩きながら時々そこを通りぬけた。不快な汚らしいところであった。彼等は身震いしながら出てきた。しかしそれでもどこへでも行ってみねばならない、何でも見ておかねばならない。そこで彼等は出かけた。

   マンスフィールド=著 黒沢茂=訳 「園遊会」
   8a. 立風書房編集部=編 『世界青春文学館1』 立風書房 1973 所収
   8b. マンスフィールド全集3』 垂水叢書 垂水書房 1966 所収
   8c. 学習研究社書籍編集部=編
      『世界青春文学名作選 第16-19』 全4冊
      ガッケン・ブックス 学習研究社 1964-1965 所収
   8d. 加納秀夫=編『イギリス短篇名作集』 学生社 1961 所収
   8e.マンスフィールド全集3』 垂水書房 1961/07 所収
   8f.園遊会』 Tarumi Library 垂水書房 1960
   引用は 8e. に拠りました。


(J9) 伊藤 1958, 1986
 「ガーデン・パーティーを止めるんですって? まあ、ローラ。そんなの無茶よ。もちろん、そんなことは出来ないわ。誰もそんなこと考えてないでしょう。そんな途方もないことしないでよ。」
 「だって、表門のすぐ前に、死んだ人がいるというのに、ガーデン・パーティーなんかとても出来やしないわ。」
 本当に、それは途方もない考えだった。というのは、その小さい家並みは、一とかたまりになって、小路になっていて、この邸(やしき)へ通じている急な坂道の下になっていたのだから。 [略] その小路に住んでいるのは、洗濯(せんたく)女、煙突掃除夫、靴直(くつなお)しや、家の正面に小さな鳥籠(とりかご)を一杯にぶら下げている男などであった。子供らがうじゃうじゃしていた。シェリダン家の子供達が小さかったころは、言葉のひどいのと、どんな病気をうつされるか分らないのとで、足をそこへふみ入れることは禁じられていた。しかし、大きくなってからは、ローラもローリーも、ぶらぶら散歩に出かけた時、そこを通ることもあった。むかつくような、汚ならしいところだった。身ぶるいして、二人は出て来たのであった。でも、人間は何処へでも行って見なければいけないし、何でも見なければいけない。それで二人はそこを通ったのであった。

   マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳
   「園遊会(ガーデン・パーティー)」
   9a. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』 英米作家対訳双書
      Kinseido's books 金星堂 1986
   9b. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』
      Kinseido's books 金星堂 1958/10 
   引用は 9b. に拠りました。


(J10) 安藤 1953, 1957, etc.
「園遊会(ガーデン・パーティー)をやめるって? まあ、ローラ、馬鹿なこと言わないで。もちろん、そんなことできないわ。だれだって、あたしたちがやめるなどとは思わないでしょう。そんな気狂(きちが)いじみたことしないで」
「だって、表門のすぐ外に死んだ人があるというのに、園遊会(ガーデン・パーティー)をするなんていうこと、どうしたってできないわよ」
 それこそ、まったく気狂いじみている、その小さな家々は、邸のところへ出る急な坂の下で、それだけ一かたまりになって、小路(こうじ)にあるのだから。 [略] その小路には、洗濯女や、煙突掃除夫や、靴直しや、また家の正面にちっちゃな鳥籠をいっぱいぶらさげた男などが住んでいた。子供たちがうじゃうじゃいた。シェリダンの子供たちが小さかったときは、そこに足をふみ入れることは禁じられていた。言葉が悪いのと、どういう病気をうつされてくるかわからないからであった。だが、彼らが大きくなってからは、ローラとローリーはぶらぶら歩きに出たとき、ときにそこを通ることがあった。胸がむかつくほど、汚らしかった。二人はおぞ気をふるいながら、帰ってきた。しかし、ひとはどこへでも行かなければならない、どんなものでも見なければならない。それで、彼らはそこを通りぬけた。

   キャサリン・マンスフィールド=著 安藤一郎=訳
   「園遊会(ガーデン・パーティー)」
   10a.世界の文学53 イギリス名作集・アメリカ名作集
      中央公論社 1966 所収
   10b.世界文学全集45』 新潮社 1964 所収
   10c.マンスフィールド短編集』 新潮文庫 1957/08 所収
   10d.マンスフィールド傑作選2 園遊会』 全2冊 英宝社 1955
   10e.園遊会(ガーデン・パーテイ)』 英宝社 1953 
   引用は 10c. に拠りました。


(J11) 野崎 1953
 「園遊会を止めるつて? ねえ、ローラ、あんまり馬鹿な事、言わないでね。そんな事、出来ないにきまつてるじやないの。私達がそんな事するなんて、誰も思つてないわ。そんな極端な事、言わないでよ。」
 「でも、お家のすぐ前で人が死んでるのに、まさか園遊会は開けないわ。」
 それは実際極端な話だつた。だつて、その小さな家々は、ローラ達の家まで登つて来る急な坂の一番下の、そちらへ分れて行く小径に並んでいるのだから。 [略] その小径には、洗濯女が何人か住んでいた。それから、煙突掃除夫、靴直しが一人、家の正面に小さな鳥籠を一杯ぶらさげた男も一人居た。子供達がうじやうじやしている。シェリダン家の子供達がまだ小さかつた頃は、言葉がきたないし、何を覚えて来るか分らないというので、そこへ足をふみ入れる事は禁じられていた。然し、大きくなつてからは、ローラとローリーは、ちよつとぶらつきに出たついでに、そこを通りぬけることが時々あつた。そこは胸がむかつく程汚ならしかつた。彼等は身ぶるいしながら抜け出して来る。だが、それでも人はどこへでも行かなければならぬ、何でも見なければならぬ。それで彼等もそこを通り抜けるのだつた。

   マンスフィールド=著 野崎孝=訳 岡鹿之助=装幀 「園遊会」
   『入江にて』 ウェルテル文庫 早川書房 1953/10 所収


(J12) 崎山 1934, 1936
 「園遊會をやめるんですつて? ね、ローラ、そんな無茶なこと……そんなこと出來ませんわ。みんながびつくりしますわ。そんな無法なことしないで頂だい」
 「でも玄關のすぐ外のところに、死んでゐる人があるのに、園遊會なんかやれるものですか」
 考へ方では、實際無法なことかも知れない。といふのは、ローラ達の家へと續いてゐるけはしい坂の一番下に、粗末な小さな家が數軒、それだけで二列に竝んで立つてゐるのだつた。 [略] その小路には、洗濯婆さん、掃除人夫、靴直し、それから表戸に小さな鳥籠を一面に出してゐる男が住んでゐた。子供達がワンサ/\とゐるのだつた。シェリダン家の子供は、小さい頃に、そこへ足を踏み入れちやいけないと止められてゐた。言葉が亂暴だし、何を覺えてくるかわからないところだから……然し、ローラとローリイは少し大きくなつて、散歩のついでに、その道を通り拔けることがあつた。汚いいやなところだつた。二人はブルリふるへながら出て來るのだつた。でも然し、人間は何處へでも行つて、何でも見ておかねばならないのだと考へて、通り過ぎたのだつた。

   12a. マンスフィールド=著 崎山正毅=譯 「園遊會」
      十一谷義三郎(じゅういちや・ぎさぶろう)=譯編
      『世界短篇傑作全集1 英米短篇集
      河出書房 1936/09(昭和11)所収
   12b. キァサリン・マンスフィールド=著 崎山正毅=譯 「園遊會」
      『マンスフィールド短篇集—疲れた子・少女・幸福・人形の家 他九篇
      岩波文庫 1934/08(昭和9)所収
   12a.12b. とでは、用字・句読点など細部が若干異なります。
   引用は 12b. に拠りました。


■邦題の異同 Variation of the title in Japanese

「ガーデン・パーティー」……西崎 2002 白木 1985
「園遊会」………………………浅尾 2008 大澤 1975, 1999
              崎山 1969 海老池 1964 江上 1960
              黒沢 1960, 1961, etc. 伊藤 1958, 1986
              安藤 1953, 1955, etc. 野崎 1953
「園遊會」………………………崎山 1934, 1936


  Video  
ウェルカム・トゥ・ブーンドックス (2005) - アニメ「ブーンドックス」シリーズから
The Garden Party (2005) - The Boondocks: Season 1, Episode 1

「ウェルカム・トゥ・ブーンドックス」は日本の衛星/ケーブルTV放映時の題。この番組は、キャサリン・マンスフィールドの短篇を原作にしているわけではありません。小説とアニメのあいだに直接の関係はありません。しかし、階級間格差あるいは人種差別を扱っている点で相通ずる面がないとも言えません。 Uploaded to YouTube by TheBoondocksArena on 18 Mar 2013


■ロシア語訳 Translation into Russian

  "Отменить вечеринку? Моя дорогая Лора, не будь так абсурдна. Конечно, мы не можем ничего сделать этакого. Никто не ожидает этого от нас. Не будь так экстравагантна."
  "Но у нас не может быть вечеринки, когда недалеко от парадных ворот мёртвый человек."
  Это действительно было экстравагантно, поскольку небольшие дома были в переулке и располагались напротив друг друга, в самом низу крутого подъема, который вёл к их дому. [Omission] В переулке жили прачки, трубочисты, сапожники и человек, фасад дома которого был облеплен по всей длине мелкими птичьими клетками. Дети копошились. Когда Шериданы были маленькими, им запрещали ступать туда, из-за отвратительного жаргона, и мало ли чему они там научатся. Но по мере того, как они подрастали, Лора и Лори в своих блужданиях, иногда забредали туда. Это было отвратительно и противно. Они выходили оттуда с содроганием. Но, тем не менее, нужно побывать всюду, нужно повидать всё. Таким образом, через это они прошли.

   Кэтрин Мэнсфилд - Вечеринка на открытом воздухе
   E-text at Lib.ru


■オランダ語訳 Translation into Dutch

'Het tuinfeest afgelasten? Mijn beste Laura, doe niet zo raar. Natuurlijk kan dat niet meer. Niemand verwacht dat van ons. Doe niet zo excentriek.'

'Maar we kunnen onmogelijk een tuinfeest houden, nu er vlak voor ons huis een man is verongelukt.'

Dat was werkelijk overdreven, want de kleine huisjes stonden aan een straatje helemaal onder aan de steile heuvel waarop hun huis zich bevond.  [Omission]  In het straatje woonden wasvrouwen en schoorsteenvegers, een schoenlapper en een man wiens huis aan de voorkant totaal verdween achter talloze piepkleine vogelkooitjes. Overal zwierven kinderen rond. Toen de Sheridan-kinderen klein waren, mochten ze daar absoluut niet komen vanwege het weerzinwekkende taalgebruik en de ziektes die ze er konden oplopen. Maar sinds ze volwassen waren, kwamen Laura en Laurie op hun rondzwer- vingen wel eens door de gemeenschap. Het was er walgelijk en smerig. Ze kwamen er altijd huiverend vandaan. Maar men moet overal zijn geweest; men moet alles hebben gezien. En dus liepen ze er dwars doorheen.

   Het tuinfeest
   Het tuinfeest en andere vertellingen by Katherine Mansfield
   Kemper Conseil Publishing, 2004-10-28
   Preview at Google Books


■イタリア語訳 Translation into Italian

“Fermare la festa in giardino? Mia cara Laura, non dire assurdità. È ovvio che non possiamo fare una cosa del genere. Nessuno se lo aspetta. Non essere eccessiva.”

“Ma non possiamo certo fare una festa in giardino con un uomo morto appena fuori dal nostro cancello.”

Quella sì che era una cosa eccessiva, dato che le casette erano raggruppate in un vicolo proprio ai piedi di una ripida salita che conduceva a casa loro. [Omission] Nel vicolo vivevano lavandaie e spazzacamini, un ciabattino e un uomo che aveva la facciata della sua casa tappezzata di minuscole gabbie per gli uccellini. C'erano sciami di bambini. Da piccoli agli Sheridan era vietato metterci piede, per via del linguaggio scurrile e delle malattie che avrebbero potuto prendersi. Ma adesso che erano grandi, a Laura e Laurie capitava di passarci durante le loro passeggiate. Era un posto rivoltante e squallido. Uscivano di lì con i brividi. Eppure bisognava andare ovunque, bisognava vedere tutto. E così ci andavano.

   La festa in giardino
   in Felicità ~ La festa in giardino by Katherine Mansfield
   Translated by Marcella Maffi
   La Bibliothèque électronique du Québec
   Collection Classiques du 20e siècle, Volume 107: version 1.0
   Excerot at La biblioteca di Repubblica-L'Espresso


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

— Suspender a festa no jardim? Minha querida Laura, não seja tão absurda. Claro que não podemos fazer nada disso. Ninguém espera que o façamos. Não seja tão extravagante.

— Mas não podemos, de modo algum, dar uma festa ao ar livre com um homem morto logo ali fora do portão da frente.

Isto era realmente extravagante, pois os pequenos bangalôs ficavam numa viela própria, bem ao final de uma subida íngreme que levava até a casa. [Omission] Lavadeiras habitavam a viela, varredores e um remendão, além de um homem cuja casa tinha a fachada toda enfeitada de minúsculas gaiolas. Enxames de crianças. Quando os Sheridan eram pequenos, eram proibidos de pôr o pé lá, devido à linguagem repulsiva e às doenças que poderiam pegar. Mas desde que haviam crescido, Laura e Laurie, em suas rondas, algumas vezes atravessavam a viela. Era revoltante e sórdido. Saíam de lá com um estremecimento. Mas, ainda assim, era preciso ir a toda parte; era preciso ver tudo. Assim, por ali passavam.

   A Festa ao Ar Livre by Katherine Mansfield
   Translated by Luiza Lobo
   As filhas do falecido coronel e outras histórias
   Ediouro Publicações, 1997
   Preview at Google Books


■スペイン語訳 Translation into Spanish

-¿Suspender la fiesta? Mi querida Laura, no seas loca. No podemos hacer nada de eso. Nadie espera tal cosa. No seas extravagante.

-Pero no es posible celebrar una fiesta en el jardín con un muerto frente a nuestra puerta.

Decir eso era realmente exagerado, porque las casitas estaban en un terreno aparte, en el fondo de una cuesta empinada que llevaba a la casa.  [Omission]  Vivían lavanderas y barrenderos, y un remendón, y un hombre que tenía todo el frente de la casa con jaulitas de pájaros. Los chicos hormigueaban. Cuando los Sheridan eran pequeños les estaba prohibido acercarse, por el lenguaje que usaban los pobres y las enfermedades que podían contagiarles. Pero desde que eran grandes Laura y Josefina, en sus andanzas, solían meterse por ahí. Era sórdido y asqueroso. Salían estremecidas. Pero se debe ir a todas partes; uno debe verlo todo. Por eso iban.

   Fiesta en el jardín by Katherine Mansfield
   E-text at:


■フランス語訳 Translation into French

  – Empêcher la garden-party ? Ma chère Laura, ne sois pas si absurde. On ne peut pas faire des choses pareilles, cela va sans dire. Personne n’attend cela de nous. Ne sois pas si extravagante.
  – Mais il n’est pas possible que nous donnions une garden-party quand un homme vient de mourir juste à notre porte.
  Idée vraiment extravagante que celle-là, puisque les cottages se trouvaient tout seuls dans une ruelle, au pied même d’une pente abrupte qui montait jusqu’à la maison. [Omission] Dans la ruelle habitaient des blanchisseuses, des marronneurs et un homme dont la maison avait sa façade toute parsemée de minuscules cages d’oiseaux. Les enfants fourmillaient. Quand les Sheridan étaient petits, il leur était défendu de mettre le pied dans ce chemin à cause du langage odieux qu’on y entendait et des maladies qu’ils auraient pu attraper. Mais, depuis qu’ils avaient grandi, Laura et Laurie dans leurs escapades y passaient quelquefois. L’endroit était dégoûtant et sordide. Ils en sortaient avec un frisson. Mais cependant il fallait bien aller partout ; il fallait tout voir. Donc ils y allaient.

   La garden-party
   in La garden-party et autres nouvelles by Katherine Mansfield
   Translated by Marthe Duproix
   E-text at La Bibliothèque électronique du Québec [PDF]
   Collection Classiques du 20e siècle, Volume 107: version 1.0


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック 朗読: Luci Burgoyne
Audiobook in English read by Luci Burgoyne

下の引用箇所の朗読は 19:14 から始まります。 Uploaded to YouTube by The 16th Cavern on 10 Jan 2013. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 19:14.


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック(冒頭部分) 朗読: Eve Karpfe
Audiobook in English (Opening segment) read by Eve Karpfe

Uploaded to YouTube by AudiobooksMP3 on 28 Aug 2009. Produced by Robert Nichol. Audio productions by Ipodity.


■英語原文 The original text in English

"Stop the garden-party?  My dear Laura, don't be so absurd.  Of course we can't do anything of the kind.  Nobody expects us to.  Don't be so extravagant."

"But we can't possibly have a garden-party with a man dead just outside the front gate."

That really was extravagant, for the little cottages were in a lane to themselves at the very bottom of a steep rise that led up to the house.  [Omission]  Washerwomen lived in the lane and sweeps and a cobbler, and a man whose house-front was studded all over with minute bird-cages.  Children swarmed.  When the Sheridans were little they were forbidden to set foot there because of the revolting language and of what they might catch.  But since they were grown up, Laura and Laurie on their prowls sometimes walked through.  It was disgusting and sordid.  They came out with a shudder.  But still one must go everywhere; one must see everything.  So through they went.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/10/20 Luci Burgoyne による英語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2014/06/27 ロシア語訳を追加しました。
  • 2013/05/28 目次、「はじめに」、「邦題の異同」の各項を新設しました。また、2種類の簡体字中国語訳、イタリア語訳、フランス語訳、およびアニメ「ウェルカム・トゥ・ブーンドックス」 (2005) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/01/30 白木茂=訳 1985/01/30 を追加しました。
  • 2011/11/25 ポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/08/21 スペイン語訳とオランダ語訳を追加しました。
  • 2010/04/30 英語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2008/02/15 浅尾敦則=訳 2008/02 を追加しました。
  • 2007/09/28 野崎孝=訳 1953/10 を追加しました。
  • 2007/09/23 江上照彦=訳 1960/04 と伊藤恭二郎=訳 1958/10 を追加しました。
  • 2007/09/20 海老池俊治=訳 1964/01 を追加しました。
  • 2007/09/11 黒沢茂=訳 1961/07 と崎山正毅=訳 1934/08 を追加しました。
  • 2007/09/10 西崎憲=訳 2002/10 を追加しました。

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