野田高梧+小津安二郎『麦秋』Early Summer by Kogo Noda and Yasujiro Ozu
Left アヤ(淡島千景)と紀子(原節子)。Chikage Awashima and Setsuko Hara. Image source: 映画ありき〜クラシック映画に魅せられて〜
Centre 佐野周二と原節子。Shuji Sano and Setsuko Hara. Image source: NHKオンライン
Right 原節子。Setsuko Hara. Image source: forum.rollingstone.de
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白黒 124分 松竹 初公開:1951/10/03
監督: 小津安二郎
脚本: 野田高梧 小津安二郎
出演: (俳優) (役名)
原節子………間宮紀子
淡島千景……田村アヤ
佐野周二……佐竹宗太郎
■日本語脚本原文 Original screenplay in Japanese
専務室
専務の佐竹が、ひとり、事務を執っている。
ノックの音でドアがあいて、アヤが顔を出す。
佐 竹「よウ!」
ア ヤ(明るく)「こんにちは——」
(中略)
ア ヤ「紀子は?」
佐 竹「ちょいと出てる」
(中略)
佐 竹「(……)——しかし、どうなんだいあいつ、一体……」
ア ヤ「何が?」
佐 竹「あるのかい、いろ気——」
ア ヤ「専務さんごらんになって、どう?」
佐 竹「さア……あるような、ないようなおッかしな奴だよ。——昔からあんな奴
かい」
ア ヤ「そう」
佐 竹「だれかに惚れたことないのかい?」
ア ヤ「さア、ないでしょ、あの人。——学校時分ヘップバーン好きで、ブロマイド
こんなに集めてたけど……」
佐 竹「なんだい、ヘップバーンて」
ア ヤ「アメリカの女優よ」
佐 竹「じゃ女じゃないか」
ア ヤ「そうよ」
佐 竹「変態か?」
ア ヤ「まさか!」
佐 竹「いやア、そんなとこだよ。おかしな奴だよ。——少し教えてやれよ」
ア ヤ「なに?」
佐 竹「いろんなこと」
ア ヤ「いろんなことって?」
佐 竹(笑ってアヤの肩を叩き)「おとぼけでないよ」
ア ヤ「何さ! バカにしてるわ!」(とツンとする)
佐 竹「ハッハッハハハ」(と大きく笑う)
ア ヤ「失礼よ、専務さん!」
佐 竹「どう致しまして、ハッハッハハハ」
と立って行ってドアをあけ、
佐 竹「給仕! お茶! ——(振り返って)おい、コーヒー取ろうか」
ア ヤ(切り口上で)「結構! いらない!」
佐 竹「ハッハッハハハ」
と笑いながら戻って来る。
ア ヤ「おそいわね、紀子——」
佐 竹「帰ってこんかも知れんぞ、兄貴の病院へ寄るって言ってたから」
ア ヤ「なアんだ、意地悪る! だったらさッきそう言ってくれりゃいいのに……」
佐竹、自席へ戻りながら——
佐 竹「どうだい、すしでも食いに行かないか」
ア ヤ「そうね」
佐 竹(机上を片づけながら)「すし、何好きだい」
ア ヤ「まあ、トロね」
佐 竹「トロか……ハマどうだい? ハマグリ」
ア ヤ「すきよ」
佐 竹「海苔巻どうだい? 海苔巻」
ア ヤ「きらい」
佐 竹「君も変態だよ、ハッハッハハハ」
とまた大きく笑う。
a. 井上和男=編『小津安二郎全集(下)』新書館 2003/04 所収
b. 井上和男=編『小津安二郎作品集4』立風書房 1984/03 所収
c. キネマ旬報社『キネマ旬報増刊 小津安二郎—人と芸術』
第358号 通巻第1173号 1964/02/10(昭和39)発行 2月号収載
引用は a. に拠りました。
■トリヴィア Trivia
佐野周二 は本名・関口正三郎。関口宏 の父、関口知宏 の祖父にあたる。
■外部リンク External links
* 野田高梧 - Wikipedia (1893-1968)
* 小津安二郎 - Wikipedia (1903-1963)
* 小津安二郎生誕100年記念(松竹)
* デジタル小津安二郎——キャメラマン厚田雄春の目
(東京大学総合研究博物館)
* 麦秋 - allcinema ONLINE
* 麦秋 - キネマ旬報DB/ Walkerplus.com
* Bakushu (a.k.a. Early Summer) - IMDb
* Early Summer - Wikipedia
■更新履歴 Change log
2008/01/12
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