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Monday, 04 February 2008

「上つ毛野……」萬葉集巻14-3404 Anon. "Kamitsuke no...." from Man'yoshu 14-3404

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■現代日本語訳 Translations into cotemporary Japanese

  1. 新大系 2002
     上野の安蘇の麻束を抱えるように、抱いて寝ても飽きないのを、私はどうしたらいいのだろう。
  2. 佐々木 2002
     抱いても抱いても抱き飽きない。もうどうしようもないよ。
  3. 稲岡 2004
     上野の安蘇の麻の束を抱きかかえるように、いとしいそなたを抱いて寝たが飽きることがない。どうしたらいいのか。
  4. 伊藤 1997
     上野の安蘇の群れ立つ麻、その麻の群れを抱きかかえて引き抜くように、しっかと抱いて寝るけれど、それでも満ち足りない。ああ、俺はどうしたらいいのか。
  5. 新編全集 1995
     上野(こうずけ)の 安蘇(あそ)のま麻群(そむら)のように 抱きついて寝ても飽きないが これ以上どうすればよいか
  6. 水島 1986
     上野(かみつけ)の国の安蘇の麻束を抱きかかえるように 抱いて寝ても、まだ飽きたらないが、この上、俺はいったいどうしたらいいんだ。
  7. 清川 1986, 1996
     上野(かみつけ)の安蘇(あそ)の麻の束をかき抱くように、おまえをわが腕にしっかりと抱いて寝ても、まだまだ、ああ、これで満足だという気がしない。ああ、いったいこれ以上、どうしたらいいのだろう。(あいつって、この麻の束みたいにやわらかく、抱きしめるとぐっとしまって、そして、暖かいひなたの匂いを夜まで残している。抱いて寝ても、まだまだ愛したりない。おれって、あいつをいったいどこまで愛しているんだろう)
  8. 中西 1984
     上野の安蘇でとれた麻束を抱いて寝ているのだけれど、満足しない。私はどうしたらよいだろう。
  9. 集成 1982
     上野(こうずけ)の安蘇の群れ立つ麻を抱(だ)きかかえるように、しっかと抱いて寝るけれど、それでも満ち足りない、ああ、私はどうしたらいいのか。
  10. 犬養 1978, 1981
     麻の群れをかきいだくように、あなたをかきいだいて共に寝るけれど寝ても寝ても寝足りないのを、どう私はしたらいいでしょうか
  11. 中西 1976
     上野の野の、安蘇に収穫する麻束をかき抱いて寝ているのに、私はなお飽き足りない。どうしたらよいのだろう。
  12. 犬養 1975, 1983
     麻の束をだくようにおまえさんをかき抱いて、共寝をするけれども、してもしても足りないのを、いったい私はどうしたらいいんだろう
  13. 桜井 1974
     [To be inserted later]
  14. 全集 1973
     上野(こうずけ)の 安蘇(あそ)のま麻(そ)の群(むら)のように 抱きかかえ 寝ても飽きないが これ以上どうしたものか
  15. 永井 1972, 1979, etc.
     かわいい恋人を掻きいだき、愛撫抱撫をくり返しているけれども、まだそれでもものたりないほど、いとしくてならない。ああ、いったいおれはどうしたらいいんだ……。
  16. 窪田 1967
     上野の安蘇の麻むらを抜き取ろうとして抱くように、抱いて共寝をしているが、かわゆさに満足しないのを、我はどうしたならばよいのであろうか。
  17. 澤瀉 1965
     上野の安蘇の麻の束をかき抱くやうに、あの子をかき抱いて寢ても飽かぬのを、何と私はしよう。
  18. 大系 1960
     かき抱いて寝てもまだ満ち足りた心地がしない。ああ私はどうしたらいいだろう。
  19. 土屋 1954
     上野の安蘇の、まその束を績ぐごとく、抱いて寢るけれども、まだ十分でないのを、何と私はしよう。
  20. 斎藤 1938, 1948, etc.
     真麻(まそ)むらの麻の束を抱(だ)きかかえるように(序詞)可哀いお前を抱いて寝たが、飽きるということがない、どうしたらいいのか

 
 
■出典 Sources

  1. 新大系 2002
    佐竹昭広+山田英雄+工藤力男(くどう・りきお)+大谷雅夫+山崎福之(やまざき・よしゆき)=校注 『新日本古典文学大系3 萬葉集3』 岩波書店 2002/07 
  2. 佐々木 2002
    佐々木幸綱=著 「相聞歌はどううたわれたか」 『朝日百科 世界の文学5 ヨーロッパ5』(全13巻) 朝日新聞社 2002/04 
  3. 稲岡 2004
    稲岡耕二(いなおか・こうじ)=著 『萬葉集3』 和歌文学大系3 明治書院 2004/02
  4. 伊藤 1997
    伊藤博(いとう・はく)=著 『萬葉集釋注7』 集英社 1997/09
  5. 新編全集 1995
    小島憲之(こじま・のりゆき)+木下正俊(きのした・まさとし)+東野治之(とうの・はるゆき)=校注・訳 『新編日本古典文学全集8 萬葉集3』(全4冊) 小学館 1995/12
  6. 水島 1986
    水島義治(みずしま・よしはる)=著 『萬葉集全注 巻第十四』(全20巻) 有斐閣 1986/09
  7. 清川 1986, 1996
    清川妙(きよかわ・たえ)=著 創美社=編
    引用は 7b. に拠りました。
  8. 中西 1984
    中西進=著 『万葉の秀歌(下)』 講談社現代新書 1984/06 
  9. 集成 1982
    青木生子(あおき・たかこ)+井手至(いで・いたる)+伊藤博+清水克彦+橋本四郎=校注 『新潮日本古典集成55 萬葉集4』 新潮社 1982/11
  10. 犬養 1978, 1981
    犬養孝(いぬかい・たかし)=著
    引用は 10a. に拠りました。
  11. 中西 1976
    中西進=編 『鑑賞 日本古典文学3 万葉集』 角川書店 1976/10
  12. 犬養 1975, 1983
    犬養孝=著
    引用は 12a. に拠りました。 
  13. 桜井 1974
    桜井満(さくらい・みつる)=訳注 『現代語訳対照万葉集(中)』 旺文社文庫 1974/09
  14. 全集 1973
    小島憲之(こじま・のりゆき)+木下正俊(きのした・まさとし)+佐竹昭弘(さたけ・あきひろ)=校注・訳 『日本古典文学全集4 萬葉集3』(全4冊) 小学館 1973/12
  15. 永井 1972, 1979, etc.
    永井路子(ながい・みちこ)=著
    引用は 15b. に拠りました。
  16. 窪田 1967
    窪田空穂(くぼた・うつぼ)=著 『窪田空穂全集18 萬葉集評釋6』 角川書店 1967/01
  17. 澤瀉 1965
    澤瀉久孝(おもだか・ひさたか)=著 『萬葉集注釋 卷第十四』 中央公論社 1965/03
  18. 大系 1960
    高木市之助(たかぎ・いちのすけ)+五味智英(ごみ・ともひで)+大野晋(おおの・すすむ)=校注 『日本古典文学大系6 萬葉集3』 岩波書店 1960/10
  19. 土屋 1954
    土屋文明=著 『萬葉集私注14』 筑摩書房 1954/05
  20. 斎藤 1938, 1948, etc.
    斎藤茂吉=著 『万葉秀歌(下)』(全2冊) 岩波新書 1938/11

その他
21. 上野 2005
上野誠=著 佐藤秀明=写真『小さな恋の万葉集』小学館 2005/12
この記事でとりあげた歌は収録されていませんが、現代的で新鮮で大胆な意訳が試みられていて、万葉の世界への入門書としてはとても親しみやすい、オススメの本です。


■大意 The gist of the poem

あぁ、やりてぇ、やりてぇ、やりてぇ! ったくもう、どうしたらいいんだ!!
O, I need to fuck and fuck and fuck!  What the heck should I do!!

  • 出典:不明 Source: unknown

 
 
■原文 The original text in 7th-8th century Japanese

14-3404

[仮名] かみつけの, あそのまそむら, かきむだき, ぬれどあかぬを, あどかあがせむ

[訓読] 上つ毛野 安蘇のま麻むら かき抱き 寝れど飽かぬを あどか我がせむ

[原文] 可美都氣努 安蘇能麻素武良 可伎武太伎 奴礼杼安加奴乎 安杼加安我世牟

 
 
■外部リンク External links

 
 
■更新履歴 Change log

  • 2009/05/14 永井路子=著 1995/10 を追加しました。なお、この本の存在は、下のコメント欄にご覧のとおり、かわうそさんに教えていただきました。かわうそさん、ありがとうございました。
  • 2008/02/12 伊藤博=著 1997/09、水島義治=著 1986/09、中西進=著 1984/06、犬養孝=著 1983/06、犬養孝=著 1981/12、澤瀉久孝=著 1965/03、土屋文明=著 1954/05、および斎藤茂吉=著 1938/11 を追加しました。。

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Comments

はじめまして。1年以上も前のエントリーに書き込んで申し訳ありません。
「かみつけの」で検索したら行き当たりました。大好きな歌です。
といっても万葉集で知っているのは10首位なんですが…。
現代語訳がいろいろ並んでいますねv
よくこれだけお調べになりましたね。
ひとつ私が好きな本からの訳を上げさせていただきますね。

かわいい恋人を掻きいだき、愛撫抱撫をくり返しているけれども、まだそれでもものたりないほど、いとしくてならない。ああ、いったいおれはどうしたらいいんだ。

永井路子「万葉恋歌」光文社より

Posted by: かわうそ | Thursday, 07 May 2009 01:42 am

かわうそさん

はじめまして。コメントありがとうございました。いいえ、新しいのでも古いのでも、記事へのコメントは、いつでも歓迎いたしますよ。

現代語訳を集めたのは、いわば私の職業病のせいです(苦笑)。本業が翻訳屋なものですから、よその国の言葉に限らず、遠い昔の言葉を今の日本語に移すことにも興味があります。ただし、古代や中世の日本語など、私にとっては外国語同然なので、自分では決して訳せませんが。

永井路子さんの訳をご紹介くださってありがとうございます。平明で自然な、良い訳ですね。こんど実際に本を手に取って、目をとおしてみようと思います。

かさねてお礼まで。

Posted by: tomoki y. | Thursday, 07 May 2009 02:48 pm

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Tracked on Monday, 04 February 2008 01:36 am

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