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Thursday, 05 June 2008

John Keats' Negative Capability キーツのネガティブ・ケイパビリティ

           目次 Table of Contents

    Images  キーツの手紙、本の表紙 Keats' letter and book covers
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) ウィキペディア 2010
     (J2) 出口 1997
     (J3) 谷 1988
     (J4) 田村 1977
     (J5) 岡崎 1976
     (J6) 出口 1974, 1978, etc.
     (J7) 松浦 1971, 1989
     (J8) 佐藤 1952
     (J9) 梅原 1949
     (J10) 中橋 1940, 1948
   ■日本語による紹介/解説 Commentaries and explanations in Japanese
     (C1) 高橋 2007
     (C2) 藤田 2004
     (C3) 伊藤 2003
     (C4) 伊木 2000
     (C5) 斎藤ほか 1985
   ■ドイツ語による紹介または解説 Explanations in German
     (D1)
     (D2)
     (D3)
   ■フランス語訳 Translation into French
   ■英語原文 The original text in English
   ■"Negative capability" の日本語訳 "Negative capability" in Japanese
   ■"Uncertainties, mysteries, doubts" および "fact and reason" の日本語訳
    "Uncertainties, mysteries, doubts," and "fact and reason" in Japanese
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


 Images 
キーツの手紙、本の表紙 Keats' letter and book covers

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■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) ウィキペディア 2010
私の心の中で数多くのことがぴたりと符合しハッとした。特に文学において、人に偉業を成し遂げしむるもの、シェイクスピアが桁外れに有していたもの――それがネガティブ・ケイパビリティ、短気に事実や理由を求めることなく、不確かさや、不可解なことや、疑惑ある状態の中に人が留まることが出来る時に見出されるものである。


(J2) 出口 1997
文学において偉大な仕事を達成する人間を形づくる特質、つまりシェイクスピアがあれほど所有していた特質、それが何であるか、ぼくは「消極的受容力」というものについて言っているのだが、人間が不確実とか不可解とか疑惑の中においても、事実や原因を究明していらいらすることのない状態を指すのです。

  • Keats' Letter to George and Tom Keats, 22 Dec. 1817. 出口保夫(でぐち・やすお)=著 『キーツとその時代(上)』 中央公論社 1997/11

(J3) 谷 1988
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]


(J4) 田村 1977
いくつかのことがぼくの心の中でぴったりと適合しあい、すぐに次のことが思い浮んだ。それは特に文学において偉大な仕事を達成する人間を形成している特質、シェイクスピアがあれほど厖大に所有していた特質、それが何であるかということだ——ぼくは「消極的能力(ネガティブ・ケイパビリティ)」のことを言ってるのだが、つまり人が不確実さとか不可解さとか疑惑の中にあっても、事実や理由を求めていらいらすることが少しもなくていられる状態のことだ(……)

  • キーツ=著 田村英之助(たむら・えいのすけ)=訳 『詩人の手紙』 冨山房百科文庫 5 1977/04
  • この訳文は次の本に引用されています:
    富田光明(とみた・みつあき)=著 『キーツ—人と文学』 世界の作家 勉誠出版 2005/09

(J5) 岡崎 1976
いくつかのことがらは私の心にぴったり適合しました。そして、どのような特質(これはシェイクスピアが非常に豊かに持っていたものですが)が偉人、ことに文学界における偉人を形成するようになるのかということがただちに私の脳裡にひらめいたのです——私が申しあげたいのは、消極でいられる能力 (Negative Capability)、すなわち、事実と理屈を苛だって追い求めたりせずに、不確かさ、曖昧さ、疑問の中にいられる状態、ということです(……)

  • ジョン・キーツからジョージ・キーツおよびトーマス・キーツへの手紙 1817年12月 アンソニー・ストー=著 岡崎康一(おかざき・こういち)=訳 『創造のダイナミックス』 晶文社 1976/08
  • 引用文中の傍点を下線で置き換えました。

(J6) 出口 1974, 1978, etc.
いくつかのことがぼくの心のなかにつながり合って、突然思いついたことは、特に文学において功をなしとげた人間を構成する特質、シェイクスピアがすばらしく多量にもっていた特質で、ぼくはそれを「受容能力」とします。それは人間が事実や理性をいらだたしく追求しないで、不安と神秘と懐疑のなかにいられる能力をさします。

  • Keats' Letter: To George Keats, Jan. 21, 1817 出口保夫=著 『キーツ 人と作品』
  • 引用は b. 白凰社版 1978 に拠りました。

(J7) 松浦 1971, 1989
いつかの事柄が、私の心の中で、ぴったりと接合し合い、文学においてとくに秀れた仕事をした人を構成している特質、シェイクスピアが、ありあまるほど備えていた特質がどんなものか、ふいに頭に閃きました。——それは〈消極的受容力〉、つまり人間が真理や理由に苛立って到達しようとせずに、かえって不確かさや、謎や、疑惑のなかに安んじていられるときの力なのです。

  • キーツ=著 松浦暢(まつうら・とおる)=訳
  • 引用は b. 吾妻書房版 1971 に拠りました。

(J8) 佐藤 1952
いくつかのことが私の心のなかでつながり合って、咄嗟に思いついたことは、特に、文學において、えらい仕事を仕遂げた人を構成する性質、シェイクスピアが多量にもっていた性質——私が消極能力という性質のことです。この消極能力というのは、人が、事實や理性などをいらだたしく追求しないで、不確定、神秘、疑惑の状態にとどまっていられるときを言うのです。

  • キーツ=著 佐藤清(さとう・きよし)=選訳 『キーツ書簡集』 岩波文庫 1952/07
  • 引用文中の傍丸を下線で置き換えました。

(J9) 梅原 1949
種々の事柄が僕の心の中で繋がり合つてゐる。如何なる性質(シェイクスピアが非常に多く持つてゐた性質だが)立派な仕事、特に文學に於ける立派な仕事を成就した人を形づくるのに與つたかといふことが、ふと頭に浮んだ。それは消極的(ネガテイヴ)能力(ケイパビリテイ)を意味する。即ち、事實や理由を焦立つて索めることをせずに、不安、神秘、疑惑の中に安住し得る性質を意味する。

  • 梅原義一=著 『キーツ書翰集』 弘文選書 弘文社 定價130圓 1949/08

(J10) 中橋 1940, 1948
僕の心の内に種々の事が繋り合つて、特に文學に於て、一藝に達した人を形成してゐる特質にふと思ひ當つた。それはシェイクスピアが甚だ多く持つてゐるもので、『否定的能力(ネガテイブ・ケイパビリテイ)』と言ふものだ——即ち事實や確證とかを捉へんと焦らずに、不確實、神秘、疑惑の中に安んじてゐることの出來る能力を言ふ。


■日本語による紹介/解説 Commentaries and explanations in Japanese

(C1) 高橋 2007
(……)ジョン・キーツという詩人がいる。彼の書簡の中に、Negative Capability(直訳すると消極的能力)という言葉がある。これは「人生や物事における不確かさ、不思議さ、疑い、わからなさのただ中にあって、手っ取り早くその理由や意味をつかみ取ろうとはせず、むしろその不確かさの中にあえて積極的に居続けられる能力」を意味する。「わからなさを保持する力」といってもいいだろう。キーツはこれが優れた詩人にとって必要不可欠な能力であると語った。


(C2) 藤田 2004
キーツによればこの「負の能力、消極的受容能力」とは「人が事実や推量にいらだって手を伸ばすことなく、不確かさや謎や疑惑のなかに安んじていられる能力」のことです。キーツ自身はこの能力を創造的芸術活動にとって必須の条件として理解していましたが(……)。ネガティヴ・ケイパビリティとは「謎に直面しつつ、何ものも期待しないで注意深く待ち続ける力」のことだと言えるでしょう。


(C3) 伊藤 2003
(……)「消極的受容能力」("Negative Capability") という言葉である。「つまり人間が真理や理由に苛立って到達しようとせずに、かえって不確かさや、謎や、疑惑の中に安んじていられるときの力なのです。」とキーツは彼の弟にあてた手紙の中で説明をしている。不安な時代、危険な時代、何が真理なのかわからない時代の中で、自分自身を見失うのでなく、その不安の真っただ中にじっくりと腰を据え、やがて訪れるであろう真理の到来、救いの到来を待つという考え方であろう。

  • 伊藤和男 巻頭辞 「早春に思うこと」 京都文教大学図書館・短期大学図書館 図書館情報誌 「あーゆす」 8号 2003/04/01

(C4) 伊木 2000
[テキストは追って挿入するつもりです - tomoki y.]

  • キーツ=著 伊木和子=注釈 『キーツ書簡集』 研究社小英文叢書 研究社出版 2000/12

(C5) 斎藤ほか 1985
negative capability
Keats が弟たちにあてた手紙(1817年12月21日)で用いた言葉。「消極的でいられる能力。」Shakespeare が悠然として,不確実なことをそのままに看取して,それを事実としたり理屈をつけたりするような焦燥をまぬかれ,無理をしないでいられる性質をいう。


■ドイツ語による紹介または解説 Explanations in German

(D1)
Und mir gefällt John Keats' Definition der 'negativen Fähigkeit' - 'die Eigenschaft in Zweifel und Unsicherheit zu verbleiben, ohne sich auf eine beunruhigende Suche nach Fakten und Begründungen einzulassen.


(D2)
Der romantische Dichter John Keats sprach einmal von der „negative capability“. Mit der „negativen Fähigkeit“ meinte er das Vermögen, sich abseits sicherer Erkenntnis mit Leidenschaft zum Unsicheren und Mysteriösen zu bekennen und dem Zweifel am Erlebten Raum zu geben.


(D3)
Je-mand besitzt diese ‚Negative Fähigkeit’, “wenn er in der Lage ist, mit Ungewißheiten, Geheimnissen und Zweifeln zu leben, ohne irritiert nach Fakten und Gründen zu greifen.” – so Keats in einem Brief von 1817 an seine Brüder (zit. nach Grinberg et.al. 1973, S.139).


■フランス語訳 Translation into French

(...) j’ai été frappé tout d’un coup de la qualité essentielle à la formation d’un Homme d’Art accompli particulièrement en Littérature et que Shakespeare possédait à un degré énorme – je veux dire la Capacité Négative, je veux dire celle de demeurer au sein des incertitudes, des Mystères, des doutes, sans s’acharner à chercher le fait et la raison.


■英語原文 The original text in English

(...) it struck me what quality went to form a Man of Achievement, especially in Literature, and which Shakespeare possessed so enormously - I mean Negative Capability, that is, when a man is capable of being in uncertainties, mysteries, doubts, without any irritable reaching after fact and reason.


■"Negative capability" の日本語訳 "Negative capability" in Japanese

  ネガティブ・ケイパビリティ……ウィキペディア 2010
  受容能力…………………………
出口 1974, 1978, etc.
  消極でいられる能力……………
岡崎 1976
  消極的でいられる能力…………
斎藤ほか 1985
  消極的受容能力…………………
伊藤 2003
  消極的受容力……………………
出口 1997
  消極的受容力……………………
松浦 1971
  消極的能力………………………
高橋 2007
  消極的能力………………………
田村 1977
  消極的能力………………………
梅原 1949
  消極能力…………………………
佐藤 1952
  否定的能力………………………
中橋 1940, 1948
  負の能力、消極的受容能力……
藤田 2004
    [未確認]        伊木 2000
    [未確認]        谷  1988


■"Uncertainties, mysteries, doubts" および "fact and reason" の日本語訳
 "Uncertainties, mysteries, doubts," and "fact and reason" in Japanese

不安    神秘    懐疑  事実 や 理性  出口 1974, 1978, etc.
不安    神秘    疑惑  事實 や 理由  梅原 1949
不確かさ 不可解なこと 疑惑  事実 や 理由  ウィキペディア 2010
不確かさ  不思議さ  疑い  理由 や 意味  高橋 2007
不確かさ  曖昧さ   疑問  事実 と 理屈  岡崎 1976
不確かさ  謎     疑惑  事実 や 推量  藤田 2004
不確かさ  謎     疑惑  真理 や 理由  伊藤 2003
不確かさ  謎     疑惑  真理 や 理由  松浦 1971
不確定   神秘    疑惑  事實 や 理性  佐藤 1952 
不確実   ——    ——  事実 — 理屈  斎藤ほか 1985
不確実   不可解   疑惑  事実 や 原因  出口 1997
不確実さ  不可解さ  疑惑  事実 や 理由  田村 1977
不確實   神秘    疑惑  事實 や 確證  中橋 1940
          [未確認]          伊木 2000
          [未確認]          谷  1988


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2015/03/18 中橋一夫=譯の書誌情報を補足しました。
  • 2011/10/16 ウィキペディア訳 最終更新 2010-08-18 を追加しました。
  • 2011/01/06 フランス語訳を追加しました。
  • 2008/06/25 松浦暢=訳 1971/11 を追加しました。また、"uncertainties, mysteries, doubts" および "fact and reason" の日本語訳の項を新設しました。
  • 2008/06/16 佐藤清=選訳 1952/07 を追加しました。
  • 2008/06/10 梅原義一=著 1949/08 を追加しました。

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