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Sunday, 06 July 2008

Afterward by Edith Wharton (2) イーディス・ウォートン「あとになって」「後になつて」「あとにならないと」 (2)

Left怪奇小説傑作集3 英米編3』創元推理文庫 新版 (2006)
Centre The Mount, the home of Edith Wharton, who designed the house and gardens. Image source: The Mount | Edith Wharton's Estate and Gardens
Right Edith Wharton (1862-1937). Image source: ¡¡Ábrete libro!!

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■はじめに Introduction

幽霊の気配の感じられる屋敷に住むボイン氏夫妻のメアリーとエドワード。ある日、夫エドワードが忽然と姿を消す。
 
 
■日本語訳 Translations into Japanese
 
(1) 千葉 1996
メアリーには、わかったのだ。エドワードはもうあらわれない。しかし、この屋敷は知っている。書斎はふたりの出会いを見ていた。ゆかはふたりの歩きぶりを知っている。玄関は……。
 メアリーは心をすませた。屋敷がなにかをいってくれるかもしれない。

   ワートン=作 千葉幹夫=文(再話)「あとになって」
   ホフマン〔ほか〕=作 那須辰造〔ほか〕=訳『鏡にうかぶ影
   講談社青い鳥文庫Kシリーズ 1996/07 所収
   原文にあるルビは省略しました。
 
 
(2) 乾 1988
 いや、夫がどうなったか、彼女には知るよしもあるまい……誰にも決してわかるまい。だがこの家は知っていたのだ、彼女が長い孤独な夜な夜なを過ごしているこの書斎は知っているのだ。というのは、最後の場面が演じられたのはここだったのだから。そして見知らぬ男がやって来て何ごとかしゃべったのがもとで、ボーインは立ち上がってその男について行ったのだ。彼女が踏んでいるこの床はあの男の足にも触れている。本棚の本はあの男の顔を見ているはずだし、また古く浅黒くなった壁の意識が高揚して声となり、彼らの秘密を暴露してくれそうに思える時もあった。

   イーディス・ウォートン=著 乾信一郎〔ほか〕=訳「あとにならないと」
   ロアルド・ダール=編  乾信一郎〔ほか〕=訳
   『ロアルド・ダールの幽霊物語』ハヤカワ・ミステリ文庫 1988/12 所収
   内容詳細は ここ

   原書:
   Roald Dahl's Book of Ghost Stories (1983)
   Table of contents provided by one of the reviewers.
 
 
(3) 橋本 1959, 1969, etc.
 もちろん、彼女にも、自分の良人がどうなったのかは生涯わからないにちがいない——という気がした——誰にもわからないにちがいないのだ。けれども、この家は 知っていた のだ。彼女が長い寂しい夕べをすごしたこの書斎は知っていたのだ。なぜなら、最後の場面が演じられたのは、ここでだったのだから。あの見知らぬ男がはいってきて、ボインに立ちあがってついてこさせる言葉を口にしたのは、ここでだったのだから。彼女が踏んでいるこの床はあの男の歩きぶりを感じとっているのだ。書斎の書物はあの男の顔を見ているのだ。ときには、すすけた古い壁のはりつめた意識が、耳に聞こえる声となって、叫びだし、その秘密を語ってくれそうに思える瞬間もあった。

   3a. イーディス・ウォートン=著 橋本福夫(はしもと・ふくお)=訳
    「あとになって」
    ラヴクラフト〔ほか〕=著 大西尹明(おおにし・ただあき)+橋本福夫=訳
    『怪奇小説傑作集3 英米編3』創元推理文庫 新版 2006/04 所収
    詳細は ここ
   3b. イーディス・ワートン=著 橋本福夫=訳「あとになって」
    ラヴクラフト〔ほか〕=著 大西尹明(おおにし・ただあき)+橋本福夫=訳
    『怪奇小説傑作集3 英米編3』創元推理文庫 旧版 1969/03 所収
    詳細は ここ
   3c. イーディス・ファートン=著 橋本福夫=訳「あとになつて」
    『世界恐怖小説全集7 こびとの呪』東京創元社 1959 所収
    詳細は ここ
   文中の太字箇所は原文では太字でなく傍点。引用は 3b. に拠りました。
 
 
(4) 松村 1941, 1993
 いや、ボインがどうなつたのかといふことはメアリーにも決して分らないだらう、——誰にだつて決して分らないだらう。だが、この家こそはそれを知つてゐるのだ。彼女がいつも永い夜をひとり寂しく過すこの書齊はそれを知つてゐるのだ。最後の場面が演ぜられたのは、——見知らぬ男がやつて來て何か言つたために、ボインが立ち上つてその後について行くやうになつたのは、この書齊での出來事なのだから。今メアリーが踏んでゐるこの床(ゆか)はボインの足が踏んだ床だ。書棚の書物はボインの顏を見てゐたのだ。それに、古びた薄暗い四方の壁があまり強く意識される瞬間には、それが今にも何か聲を出して、秘密を打ち明けさうな氣のすることさへあつた。

   イーデイス・ウオートン=著(目次と著者紹介ページの表記)
   イーディス・ウォートン=著(章扉の表記)
   松村達雄=譯「後になつて」
   4a.世界女流作家全集5 英米篇 植物園』全7巻 本の友社 1993/12 所収
   4b.世界女流作家全集5 英米篇 植物園』全7巻
    モダン日本社 1941/07(昭和16)所収
    国立国会図書館所蔵マイクロフィッシュ YD5-H-908.3-Se223ウ
   文中の太字箇所は原文では太字でなく傍点。4a.4b. の複製。
   引用は 4a. に拠りました。
 
 
■英語原文 The original text in English

No, she would never know what had become of him—no one would ever know. But the house KNEW; the library in which she spent her long, lonely evenings knew. For it was here that the last scene had been enacted, here that the stranger had come, and spoken the word which had caused Boyne to rise and follow him. The floor she trod had felt his tread; the books on the shelves had seen his face; and there were moments when the intense consciousness of the old, dusky walls seemed about to break out into some audible revelation of their secret.

   Afterward (1910) by Edith Wharton
   from Tales of Men and Ghosts. New York: Scribner's, 1910.
   First published in The Century Magazine, New York,1910/01.

   E-text at:
   * Electronic Text Center, University of Virginia Library
   * Project Gutenberg Consortia Center
   * The Literature Network
   * Infomotions' Gutenberg
   * Classic Short Stories
   * Project Gutenberg
   * Gaslight
 
 
■テレビ化作品 A TV adaptation

   Afterward (1985), directed by Simon Langton, starring Kate Harper,
   Michael Shannon, Penelope Lee. More details here.
 
 
■表記/訳題の異同 Variations of translation and transliteration

A) 著者名:Edith Wharton
   イーディス・ウォートン 橋本 2006
        〃      松村 1993(章扉)
        〃      乾  1988
        〃      松村 1941(章扉)
   イーディス・ファートン 橋本 1959
   イーディス=ワートン  千葉 1996
   イーディス・ワートン  橋本 1969
   イーデイス・ウオートン 松村 1993(目次と著者紹介ページ)
        〃      松村 1941(目次と著者紹介ページ)

B) 表題:Afterward
   「あとになって」    橋本 2006
      〃        千葉 1996
      〃        橋本 1969
   「あとになつて」    橋本 1959
   「後になつて」     松村 1993
      〃        松村 1941
   「あとにならないと」  乾  1988
 
 
■外部リンク External links

   * Edith Wharton - Wikipedia (1862-1937)
   * The Edith Wharton Society
   * Edith Wharton - The Internet Movie Database (IMDb)
   * イーディス・ウォートン - 翻訳作品集成
   * イーディス・ウォートン - 翻訳アンソロジー/雑誌リスト
 
 
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