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Monday, 21 July 2008

The Time Machine by H. G. Wells (4) H・G・ウェルズ 『タイム・マシン』『タイムマシン』 (4)

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[SF小説] ブログ村キーワード

■表紙写真など Cover photos, etc.

[ja] タイムマシン 偕成社文庫 (1998)
[tr] Zaman Makinesi İthaki Yayınları (2000) トルコ語版
[es] La máquina del tiempo Ancora (1986) スペイン語版
[fr] La Machine à explorer le temps Gallimard (1997) フランス語版
[de] Die Zeitmaschine 4 Audio-CDs, Hörbuchproduktionen (2000) ドイツ語版オーディオブック
DC The time machine, a computer graphics image by Danny Cardle. Image source: The Time Machine Project

↓ Click to enlarge ↓

ja Ja_time_machine tr Tr_zaman_makinesi es Es_la_maquina_del_tiempo_2

fr Fr_la_machine_a_explorer de De_die_zeitmaschine DC Time_machine
 
 
■はじめに Introduction
 
物語の最終章。ウェルズの文明観が、色濃くにじみ出ている。この小説が世に出てから、すでに1世紀以上が経つ。いま、わたしたちは未来をどう見るべきだろうか。
 
 
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

我知道[略]他对人类的进步持悲观态度,并且把越积越高的文明看作是愚蠢的堆积,认为它最终必将倒下来压住它的创造者,把他们彻底毁灭。如果真是这样,我们还得若无其事地活下去。但对我来说,未来仍然是黑越越的,苍茫的,是一个巨大的未知数,只有偶然的几处被他那难忘故事所照亮。

   《时间机器》 赫伯特·乔治·威尔斯 著
   E-text at 语文备课大师


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 池 2012
タイム・トラヴェラーは常々、人類の進歩にあくまでも悲観的だった。(……)肥大する文明の蓄積は、必ずや逆転して、ついには生みの親である人類を滅ぼす愚かしい増殖でしかないというのが持論だった。だとしたら、われわれはせめてのことに、そうはならないように祈るしかない。しかしながら、私にとって未来は今なお遠見のきかない不案内な領域である。タイム・トラヴェラーの土産話の記憶が極く稀に微かな光を点すばかりの大いなる暗闇である。

 

(2) tomoki y. 2008
彼は人類の進歩について悲観的だった――文明の築いた城など、たんなるバカの山。いつかは、それを造った当人たちの上に崩れ落ちてきて、彼らを滅ぼしてしまう。どうあがいたとしても。だとすると、人類の生きる道は、ただひとつ。崩れ落ちなどしないと自分たちをだましていくしかないのさ――と。しかし、わたしから見れば、未来はあいかわらず暗くて空っぽ。茫漠たる無知蒙昧(もうまい)だ。わずかに数か所だけ、気まぐれに照らし出されている。その明かりをともすのは追憶だ。彼のかたった物語の追憶が、照らし出しているのである。

 

(3) 山形 2003
かれは、人類の進歩についてきわめて暗い考えを持っていたことをわたしは知っている(……)。そしてかれは、山積する文明の中に、いずれ結局はその創造者たちの上に崩れ落ち、破壊することになってしまう、愚かしい山しか見ていなかった。もしそうであるなら、われわれとしては自分がそうした存在ではないかのごとくに生き続けることができるだけだ。だがわたしにとって、未来は未だに暗く白紙のままだ――広大な無知の領域であり、かれの物語の記憶によって、ほんの数カ所あちこちが照らされているだけだ。

 

(4) 金原 2000
TTは、人類の進歩については明るい見通しを持っていなかった。おそらく文明は進み、どんどん蓄積されていくだろうが、結局それは、その作り手である人間の上にくずれ落ちてきて、すべてを押しつぶしてしまうだろうと考えていた。もしそうなら、われわれは知らん顔をして生きていくだけだ。しかしわたしにとって、未来はまだ空白のままでなにもみえない。いってみれば未知の宇宙であり、TTの話が照らし出してくれたのは、そのうちのほんの一部にすぎない。

 

(5) 雨沢 1998
タイムトラベラーは人類が進歩するとは思っていなかった。文明が発達すれば、人間のおろかさもつみかさなっていく。そうなれば、かならず反動がおこり、文明のつくり手をほろぼすことになる。もしも、そのとおりになるならば、わたしたちは、そんなことはあるはずがないとごまかしながら生きるしかない。でも、わたしにいわせれば、未来はやはり黒くてからっぽの世界なのだ――彼の話でわずかに光がさしたものの、はてしない空白がひろがっているような気がする。

 

(6) 眉村 1997
彼は、人類の進歩を、悲観的にしか見ていなかった。文明が進むというのはばかげたことにすぎず、やがてはそれを作った者たちの上にくずれ落ち、作った者たちを押しつぶす――というのが、彼の考えだったのだ。もしもそうだとすれば、私たちはそのことに気づかぬふりをして生きていくしかないだろう。ま、彼にとってはそうでも、私にとっては未来は、まだ、闇であり空白であり、広大な未知の世界なのである。そのほんの二、三か所は、彼の話の記憶で照らされているけれども……それ以外はすべて未知、としなければならない。

 

(7) 橋本 1991
彼に言わせれば、人類の進歩 などはたいしたものではなかった。文明の増大は愚かさの増大にすぎず、やがて反動的に人類を破滅させるだろうと彼は言うのだ。そうだとすれば、私たちは そうでない ふりをして生きて行くしかない。だが私にとって未来はあいかわらず暗黒であり空白である――つまり彼の話の記憶によって、断片的に照らしだされているだけの、広大無辺の未知の世界である。

 

(8) 瀬尾 1976
タイム・トラベラーが、『人類の進歩』などということについては極めて悲観的で、文明の増大は、愚かさの増大にすぎず、やがてははね返って来て、人類を破滅させるだろう、と考えていたことは私もよく承知している(……)。そのように、文明というものがやがては破滅するのなら、われわれは、あたかもそうでないかのように生きてゆくより仕方がない。しかし、私にとっては、未来は暗闇であり、空白だ――つまり、タイム・トラベラーの話の記憶の光で、二、三箇所が照し出されているにすぎない、巨大な未知の世界なのだ。

 

(9) 塩谷 1972, 1979, etc.
かれは人類の進歩については、悲観的な見方をしていた。文明がすすむということは、ばかげたことで、それはいまにくずれおちて、それをつくった者たちを押しつぶしてしまうだろうと考えていたのだ。たといそうだとしても、わたしたちは、そんなことはないようなふりをして、生きていくよりしかたがない。わたしにとって、未来は黒い未知の世界である。かれの話から、ほんのすこしわかっただけの、広大な未知の世界なのだ。

 

(10) 石川 1966, 2002
彼は人類の進歩を悲観的にしか考えていなかった。そして、文明の蓄積は、愚かな建造物にすぎず、いつかは崩壊して、その建造者を退廃せしめずにはおかないものだと言っていた。もしそうなら、僕らは、それに気づかないふりをして生きていくより他はない。だが、僕はそうは考えない、人類の未来はまだまだ暗黒であり、空白だと思う――つまり、広大な未知の世界だと思う。タイム・トラヴェラーの思い出話が僕らに教える点はほんの二、三の思いつきの面にしかすぎない。

 

(11) 阿部 1965
彼は人類の進歩を悲観的にしか考えていなかった。人類の文化の蓄積はばかげた建築物にすぎず、ついにはその建築者たち自身に崩れかかって、彼らを破壊してしまうことは避けられないというのだ。もし人類がそういう運命にあるなら、われわれとしては、それに気づかないふりをして生きていくしかないわけだ。だが、わたしにとって未来はまだ暗黒であり空白である――つまり、広大無辺な未知の世界であり、ほんの二、三個所が彼の話の記憶で照らされているにすぎない。

 

(12) 宇野 1962, 1978
彼は人類の前途に、暗澹たるものを見ていた。文明の進歩とは愚かさの集積であり、不可避的に崩壊し、いずれはその創造者を滅ぼさずにはおかぬという。もしそれが事実とすれば、ぼくたちの生きる道は、そうでないような顔をしてすごすだけである。しかし、ぼくは未来を、空白の世界とみる――それは広大な未知の世界。時間航行家(タイム・トラベラー)の物語の記憶も、わずかにそのところどころを照らし出しているだけで、なんら決定的な資料とはならなかった。

 

■ロシア語訳 Translation into Russian

Развивающаяся цивилизация представлялась ему в виде беспорядочного нагромождения материала, который в конце концов должен обрушиться и задавить строителей. Но если это и так, все же нам ничего не остается, как продолжать жить. Для меня будущее неведомо, полно загадок и только кое-где освещено его удивительным рассказом.

   Герберт Уэллс. Машина времени
   E-text at Lib.Ru


■英語原文の朗読 Videobook presented by CCProse

下に引用する箇所は 13:43 あたりから始まります。 Excerpt below starts around 13:43.


■英語原文 The original text in English

He, I know ( . . . ) thought but cheerlessly of the Advancement of Mankind, and saw in the growing pile of civilization only a foolish heaping that must inevitably fall back upon and destroy its makers in the end. If that is so, it remains for us to live as though it were not so. But to me the future is still black and blank--is a vast ignorance, lit at a few casual places by the memory of his story.

   The Time Machine (1895) by H. G. Wells

   Recent editions include:
   * The Time Machine, Phoenix Pick, 2008/06
   * The Time Machine, Penguin Classics, 2006/08
   * The Time Machine, Signet Classics, 2002/10

   E-text at:
   * Project Gutenberg Australia
   * PublicLiterature.Org
   * Project Gutenberg
   * eBooks@Adelaide
   * 4Literature.net
   * Fourmilab.ch
 
 
■訳語の異同 Variations of translation

 A) the growing pile of civilization only a foolish heaping
   肥大する文明の蓄積は(……)愚かしい増殖 池 2012
   山積する文明の中に(……)愚かしい山   山形 2003
   人類の文化の蓄積はばかげた建築物     阿部 1970
   文明がすすむということは、ばかげたこと  塩谷 1972, 1979, etc.
   文明が進むというのはばかげたこと     眉村 1997
   文明が発達すれば、人間のおろかさもつみかさなって 雨沢 1998
   文明の進歩とは愚かさの集積        宇野 1962, 1978
   文明の増大は、愚かさの増大        瀬尾 1976
   文明の増大は愚かさの増大         橋本 1991
   文明の築いた城など、たんなるバカの山   tomoki y. 2008
   文明の蓄積は、愚かな建造物        石川 1966, 2002
   文明は進み、どんどん蓄積され       金原 2000

 
 B) a vast ignorance
   はてしない空白     雨沢 1998
   不案内な領域      池 2012
   巨大な未知の世界    瀬尾 1976
   広大な未知の世界    眉村 1997
      〃        塩谷 1972, 1979, etc.
      〃        石川 1966, 2002
      〃        宇野 1962, 1978
   広大な無知の領域    山形 2003
   広大無辺な未知の世界  阿部 1965
   広大無辺の未知の世界  橋本 1991
   未知の宇宙       金原 2000
   茫漠たる無知蒙昧    tomoki y. 2008

 
 
■外部リンク External links

 [en] English
   * List of H.G. Wells works currently in print
    in the United Kingdom and abroad (updated through February 2005)
    by The H.G. Wells Society (UK)
   * The Time Machine - Wikipedia
   * Time Machine Project by Don & Mary Coleman
    1960年版映画『タイムマシン/80万年後の世界へ』のためのトリビュート・
    サイト。画像満載。
   * The Time Machine - Wikiquote
   * The H.G. Wells Society

 [ja] 日本語
   * ハーバート・ジョージ・ウェルズ - Wikipedia (1866-1946)
   * H・G・ウェルズ - 翻訳作品集成
   * H・G・ウェルズ - MISDAS ミスダス
   * H・G・ウェルズ - PIPITTO (BiblioStyle)
 
 
■日本語訳の書誌情報 Bibliography on Japanese translations

(1) 池 2012
   ウェルズ=作 池央耿(いけ・ひろあき)=訳
   『タイムマシン』 光文社古典新訳文庫 2012/04/20
 
(2) tomoki y. 2008
   H・G・ウェルズ=作 Tomoki Yamabayashi=訳
   tomokilog - うただひかるまだがすかる 2008/07/21
   このブログ記事のために訳した拙訳。部分訳。
 
(3) 山形 2003
   ハーバート・ジョージ・ウェルズ 著 山形浩生(やまがた・ひろお)=訳
   『タイムマシン』 プロジェクト杉田玄白 正式参加作品 2003
 
(4) 金原 2000
   H・G・ウェルズ=作 金原瑞人(かねはら・みずひと)=訳
   『タイムマシン』 岩波少年文庫 2000/11
   上掲引用文中では、ルビを省略しました。
 
(5) 雨沢 1998
   H・G・ウェルズ=作 雨沢泰(あめざわ・やすし)=訳
   『タイムマシン』 偕成社文庫 1998/07
   上掲引用文中では、ルビを省略しました。
 
(6) 眉村 1997
   H・G・ウェルズ=原作 眉村卓(まゆむら・たく)=文(再話)
   『タイムマシン』 痛快 世界の冒険文学2 講談社 1997/11 
   原文は総ルビですが、上掲引用文中では、これを省略しました。
 
(7) 橋本 1991
   H・G・ウエルズ=作 橋本槙矩(はしもと・まきのり)=訳
   『タイム・マシン 他九篇』 岩波文庫 1991/05
   引用文中の太字箇所は、原文では太字でなく傍点です。
   原書:
   The Short Stories of H. G. Wells. London, Ernest Benn, 1952.
 
(8) 瀬尾 1976
   H・G・ウエルズ=著 瀬尾裕(せお・ゆたか)=訳
   「タイム・マシーン」
   木村彰一〔ほか〕=編集委員
   『世界文学全集84 ウエルズ, ハックスリー』 講談社 1976/03 所収
 
(9) 塩谷 1972, 1979, etc.
   H・G・ウェルズ=著 塩谷太郎(しおや・たろう)=訳
   a. タイムマシン』 今井修司=さし絵 SF名作コレクション2 岩崎書店 2005/10
   b.タイムマシン』 SFロマン文庫 岩崎書店 1986/01
   c.タイムマシン』 岩淵慶造(いわぶち・けいぞう)=画 フォア文庫
     岩崎書店 1979/10
   d.タイム・マシン』 岩淵慶造=絵 SF少年文庫21 岩崎書店 1972
   a. の底本は d.。引用は a. に拠りました。
 
(10) 石川 1966, 2002
   H・G・ウェルズ=著 石川年(いしかわ・ねん)=訳
   a.タイムマシン』 角川文庫 2002/06
   b.タイム・マシン 他六篇』 角川文庫 1966/12
   a.b. を一部改題し、再文庫化したもの。引用は a. に拠りました。
 
(11) 阿部 1965
   H・G・ウェルズ=著 阿部知二=訳
   『ウェルズSF傑作集1 タイム・マシン』創元SF文庫 1965/12
   詳細は ここ
 
(12) 宇野 1962, 1978
   a. H・G・ウエルズ=著 宇野利泰(うの・としやす)=訳
     『H・G・ウエルズ傑作集2 タイム・マシン
     ハヤカワ文庫SF 1978/01 著者名の表記は「ウエルズ」
   b. H・G・ウェルズ=著 宇野利泰=訳
     早川書房編集部=編 『H・G・ウェルズ短篇集2 タイム・マシン
     ハヤカワ・SF・シリーズ 早川書房 1962/05 著者名の表記は「ウェルズ」
   引用は a. に拠りました。
 
 
■更新履歴 Change log

2012/07/07 池央耿=訳 2012/04/20 を追加しました。
2011/11/21 英語原文の朗読の YouTube 動画を追加しました。
2011/04/01 中国語訳(簡体字)を追加しました。
2011/02/14 ロシア語訳を追加しました。
2008/12/04 山形浩生=訳 2003 を追加しました。
2008/11/09 塩谷太郎=訳 2005/10 を追加しました。


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