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Friday, 05 September 2008

A Woman's College from Outside by Virginia Woolf ヴァージニア・ウルフ 「外から見た女子学寮」

           目次 Table of Contens

   ■レズビアン文学とは? What is lesbian literature?
     Video   ドキュメンタリー 「ヴァージニア・ウルフ」 Virginia Woolf documentary
     Audio   ヴァージニア・ウルフ本人の声の録音
    Images  表紙画像その他 Cover photos, etc.
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 川本 1999
     (J2) 利根川 1998
   ■英語原文 The original text in English
   ■誤訳について On mistranslations
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■レズビアン文学とは? What is lesbian literature?

レズビアン文学の作品とは、ふつう次の2つの条件のうち、どちらかを充たすものを指す:
条件1:レズビアンである著者によって書かれた作品、
条件2:著者は異性愛者であるが、レズビアンがテーマとして扱われている作品。

そのほか、レズビアン文学に含まれることが多いのは:
条件3:著者はレズビアンだが、レズビアンがテーマとしては扱われていない作品。

他方、通常レズビアン文学と見なされないのは:
× 著者が異性愛者であって、レズビアンのテーマが作中で「ついで」のように触れられているだけの作品。

わたしはレズビアン文学の専門家ではありません。以上の定義は受け売りです。Wikipedia 英語版 List of lesbian literature の項から、冒頭部分をそのまま拝借して、わたしが大ざっぱに訳し、随意に修正をほどこしました。これらの定義の妥当性については、疑問が残ります。なぜならば、条件1 は、論理的にみて 条件3 と相互に排他的でない。つまり、条件1 に該当するものは、条件3 に該当するものをも含んでしまうからです。

さて、ヴァージニア・ウルフの場合は、条件1 を充たすことが明らかです。ウルフは結婚はしていましたが、夫との性生活は、ごく初めのころを除いて、殆どもしくは全くなかったらしい。同性の恋人ヴィタ・サックヴィル=ウェストの存在はよく知られていますし、彼女とのあいだに交わされたラブレターなども残っています。ウルフは、フェミニストの間でもレズビアンの間でも人気が高いですね。


  Video  
ドキュメンタリー 「ヴァージニア・ウルフ」 Virginia Woolf, Novelist, 1882-1941
Virginia_woolf_documentary
ビデオの埋め込みは禁じられているので、ご覧になるには  ここをクリック  してください。 Uploaded to YouTube by vocalissimo1 on 18 Apr 2012. Embedding disabled by request. To watch the video  CLICK HERE  DVD available from Amzaon.co.jp. More details here.


  Audio  
ヴァージニア・ウルフ本人の声の録音
Words Fail Me | Virginia Woolf  The recorded voice of Virginia Woolf

BBC National Programme.  First broadcast: 1937-04-29.  8 minutes. Transcript of this recording is available at Star Stuff


 Images 
表紙画像その他 Cover photos, etc.

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. A_woolf_kabe_no_shimi b. B_onna_tachi_lesbian c. C_books__portraits

d. D_woolf_time_cover e. E_woolf_passport_2


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 川本 1999
アンジェラは、他の連中がトランプ遊びをしているあいだ、アリス・アヴェリィとバンバラ城について話していた。夕暮れどきのそこの砂浜の色のことを。するとアリスは、八月に手紙を書くわ、そこに行く日を決めましょう、と言うと、身をかがめてアンジェラにキスした。少なくとも手でアンジェラの頭にさわったのだ。それでアンジェラは、風に叩きつけられた海のように胸が高鳴り、どうにもじっと座っていられず、この興奮を、てっぺんに黄金の果実をつけた不思議な木が思いがけなくも身をかがめてくれたことに対する驚きを鎮めるために、両腕を投げ出して、部屋(そうした光景の証人である)の中をあちこち歩きまわった——黄金の果実は彼女の腕の中に落ちてきたのではなかったか? アンジェラはその輝く果実をしっかりと抱えた。さわってはならないもの、思いめぐらしてはならないもの、口にしてはならないもの、腕の中で白熱の輝きを放つがままにしておかなければならないものだ。

   ヴァージニア・ウルフ=著 川本静子(かわもと・しずこ)=訳
   「外から見た女子学寮」
   『壁のしみ—短編集 ヴァージニア・ウルフ・‖コレクション
   みすず書房 1999/08 所収


(J2) 利根川 1998
ほかの人たちがトランプをしているあいだ、彼女はアリス・エイヴァリとバンボロー城について話しあっていたのだった。夕暮れ時にそこの砂浜がどんな色に染まるのか、八月になったら手紙を書いてその砂浜を訪ねる日取りを決めましょう、そう言うとアリスは上体をかがめて、彼女にキスをし、少なくとも彼女の頭に手を触れたのであり、アンジェラはじっとすわっていることなどとてもできず、風の吹きつける海のことしか考えられなくなった人のように、(いつもこうした場面の目撃者である)部屋の中を行ったり来たりし、この興奮を、この驚きを、てっぺんに金色の果実をつけた奇跡の木が信じがたくも身をかがめてくれたことに対する驚きを、鎮めようとして両腕を広げてみるのだった——あの金色の果実はこの腕の中に落ちてきたのではなかったか? 彼女はそれを輝くままに胸に抱えた。それは触れてはならないもの、考えてはならないもの、語ってはならないもの、ただそこで輝くにまかせなければならないものだった。

   ヴァージニア・ウルフ=著 利根川真紀(とねがわ・まき)=訳
   「外から見た女子学寮」
   利根川真紀=編訳 『女たちの時間—レズビアン短編小説集
   平凡社ライブラリー 1998/12 所収


■英語原文 The original text in English

She had been talking, while the others played, to Alice Avery, about Bamborough Castle; the colour of the sands at evening; upon which Alice said she would write and settle the day, in August, and stooping, kissed her, at least touched her head with her hand, and Angela, positively unable to sit still, like one possessed of a wind-lashed sea in her heart, roamed up and down the room (the witness of such a scene) throwing her arms out to relieve this excitement, this astonishment at the incredible stooping of the miraculous tree with the golden fruit at its summit--hadn't it dropped into her arms? She held it glowing to her breast, a thing not to be touched, thought of, or spoken about, but left to glow there.


■誤訳について On mistranslations

今回の記事に限らず tomokilog では、引用した訳文のなかに誤訳が見受けられても、原則としていちいち指摘しません(原則ですから、もちろん例外もあり)。理由はいくつかあります:

理由1:指摘するのは面倒、
理由2:一流の翻訳家であっても、ときおり誤訳するのはありふれたこと、
   わたくし自身、もっとひどい誤訳をしょっちゅうしているので、ひとさまの
   誤訳を指摘するなど、おこがましい、
理由3:誤訳をあげつらうよりも、翻訳の多様な可能性を楽しみたい、
理由4:その他もろもろ。

たとえば、上の2人の訳者は、原文の "like one possessed of a wind-lashed sea in her heart" を、明らかに異なる意味に解釈しています:

   川本 (1999):   風に叩きつけられた海のように胸が高鳴り
   利根川 (1998): 風の吹きつける海のことしか考えられなくなった人のように

どちらが、より適切な訳かは、あるていど英語のできる方なら察しがつくでしょう。わたくしの口から、どちらが「誤訳」であるなどと断じることは、あえて致しません。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013-09-10 目次を新設しました。
  • 2013-05-12 ドキュメンタリー 「ヴァージニア・ウルフ」へのリンクを追加しました。
  • 2010-09-12 ヴァージニア・ウルフ本人の声の録音の YouTube 画面を追加しました。


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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) lesbian + literature

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(1) レズビアン+文学

(2) ヴァージニア・ウルフ

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Comments

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Posted by: barstoolsgiant.com | Tuesday, 10 December 2013 11:34 pm

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