Song of the Open Road (from Leaves of Grass) by Walt Whitman ホイットマン「広々とした道の歌」「オープンロードの歌」「大道の歌」「街道の歌」(『草の葉』より)
■オープンロード? 大道?
オープンロードってなんだろう? 大道ってなに? 大道芸人なら聞いたことあるけど……。
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[ja] おれにはアメリカの歌声が聴こえる—草の葉(抄) 光文社古典新訳文庫 (2007)
[de] Grashalme. Diogenes Verlag AG (1985) ドイツ語版
[it] Foglie d'erba. Rizzoli (1988) イタリア語版
[es] Hojas De Hierba. Andromeda (2007) スペイン語版
[fr] Feuilles d'herbe (1855). Éditions José Corti (2008) フランス語版
[en] The Portable Walt Whitman. Penguin Classics (2003)
■日本語訳 Translations into Japanese
(J1) tomoki y. 2008
馬にも車にも乗らないで、のんきに放浪の旅に出る。
元気だし自由だし。目の前には世界が待っている。
この、長い土の道を進めば、どこだって好きなところへ行ける。
これからはもう、ラッキーなんて求めない。おれ自身、ラッキーだから。
これからはもう、ブーたれない、先のばしにしない、なにも欲しがらない。
ひきこもりも、本の虫も、うだうだ人をけなすのも、ヤメだ。
力はある。不満はない。さあ、放浪の旅に出るのさ。
[以下略]
ウォルト・ホイットマン=作 Tomoki Yamabayashi=訳
「広々とした道の歌」
tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/09/14
(J2) 飯野 2007
足の向くまま、心も軽く、おれはオープンロードを行く、
健康で自由、世界は目の前に広がり、
長い褐色の道が伸びている、さあどこへなりと行けとばかりに。
この先おれは幸運を求めない、おれ自身が幸運だから、
この先おれはもう泣きごとを言わない、もう先延ばししない、何も求めない、
家でうじうじしたり、図書館にこもったり、ねちこく批判したりもしない、
たくましく、足るを知り、おれはオープンロードを旅する。
[以下略]
ホイットマン=著 飯野友幸(いいの・ともゆき)=訳 「オープンロードの歌(抄)」
『おれにはアメリカの歌声が聴こえる—草の葉(抄)』
光文社古典新訳文庫 2007/06 所収
(J3) 酒本 1998
心も軽く徒歩でぼくは大道に出る、
健康で、自由で、世界がぼくの前にあり、
望みのところへ連れ出してくれる長い褐色の道がぼくの前にあり。
今からのちはぼくはもう幸運なんか求めまい、このぼく自身が幸運そのもの、
今からのちはぼくはもう二度と泣きごとなんか言うまい、二度と延期はすまい、愚痴も言うまい、
壁のなかでの繰りごとや書物談義、口うるさい批評などにはおさらばして、
力強く、満ち足りて、ぼくは大道をゆく。
[以下略]
ホイットマン=作 酒本雅之(さかもと・まさゆき)=訳「大道の歌」
『草の葉(上)』(全3冊) 岩波文庫 1998/01 所収
(J4) 瀧田 1976
徒歩 そして心も軽く ぼくは大道へ出る、
健康だ、自由だ、世界はぼくの前にある、
長い褐色の道が前にあり どこへでも好きな所へ通じている。
今からぼくは幸運を頼まない、ぼく自身が幸運だ、
これからはもう泣き面かかず、先へのばさず、何も要らない、
引きこもっての不平不満、書物いじりに、愚痴めく小言、きれいさっぱり片をつけ、
強く 満たされ 大道を ぼくは旅ゆく。
[以下略]
ウォルト・ホイットマン=作 瀧田夏樹(たきた・なつき)=訳 「大道の歌」
亀井俊介〔ほか〕=編 『ウォルト・ ホイットマン』
アメリカ古典文庫5 研究社 1976/03 所収
(J5) 木島 1969, 1997
徒歩で、心も軽く、わたしは大道に魅(ひ)きつけられる、
健康で、自由、世界はわたしの前にある、
わたしの前にある長い褐色の路は、わたしの選ぶどこへでも導いていく。
これからは、わたしは幸運を求めない、わたしじしんが幸運なのだ、
これからは、わたしは泣言をいわない、ぐずぐずしない、何ひとつ要るものはない、
屋内の不平、書斎、ぶつくさ言う批評には片をつけて、
力強く、満足して、わたしは大道を旅する。
[以下略]
ホイットマン=作 木島始(きじま・はじめ)=訳 「大道の歌」
5a. 木島始=編 『対訳 ホイットマン詩集—アメリカ詩人選 (2)』
岩波文庫 1997/03 所収
5b.『カラー版 世界文学全集 別巻1 世界名詩集』
河出書房新社 1969/05 所収
引用は 5b. に拠りました。
(J6) 白鳥 1965
徒歩にて心軽く私は大道を行く、
健康で自由に、世界は私の前に、
長い鳶色の路は私の前に私の選ぶ何処へも導き行く。
今後私は幸運を求めない、私自身こそ幸運である。
今後私は不平を言わない、躊躇もしない、なんにも要らない。
室内の泣言、書斎、不満の批評を去って
剛健と満足とに大道を旅する。
[以下略]
ホイットマン=作 白鳥省吾=訳 「大道の歌」
『ホイットマン詩集』 世界の詩27 彌生書房 1965/12 所収
(J7) 長沼 1950
徒歩で、心も輕く、私は大道を行く、
健康にして自由、世界はわが前にある、
私の前に展けた褐色の一路は、私の行こうとする何處へも導くのだ。
これから先、私は幸運を求めない、私自身がその幸運なのだ、
これから先、私はもう不平を言わない、躊躇もしない、何ものも要しない、
屋内の不平、書齋、口やかましい批評をかなぐり捨てて、
強健にして、心滿ち足らい、私はこの大道の旅にのぼる。
[以下略]
ホイットマン=作 長沼重隆(ながぬま・しげたか)=訳 「大道の歌」
『草の葉(上)』(全2卷) 世界文學選書38
三笠書房 1950/08 所収
(J8) 富田 1949
徒歩で、陽氣に、わたしは大道を歩き出す、
健康で、自由に、わたしの眼の前の世界は、
わたしの眼の前の褐色の路はわたしが選擇する何處であらうと先導する。
今から後わたしは幸運を求めない、このわたし自身が幸運なのだ、
今から後わたしはもう不平を鳴らさない、もう遷延はせぬ、何ものも要らない、
家の内での愚痴や、物識りや、あら捜したらだらの批評など飽き飽きした、
力強く、滿足して、わたしは大道を旅する。
[以下略]
ウォールト・ホヰットマン=作 富田碎花(とみた・さいか)=譯 「大道の歌」
『詩集 草の葉』 朝日新聞社 1949/05 所収
(J9) 有島 1921, 1924, etc.
脚にまかせ、心も輕く、私は大道を濶歩する、
健全に、自由に、世界を眼の前に据ゑて、
私の前の黒褐の一路は、欲するがまゝに私を遠く導いてゆく。
これから私は幸運を求めない——私が幸運そのものだ、
これからもう私はくよ/\しない、躇はない、又何者をも要しない、
剛健に飽滿して、私は大道を旅してゆく。
[以下略]
ホイットマン(/ホヰットマン)=作
有島武郎(ありしま・たけお)=訳「大道の歌」
9a. 『有島武郎全集6』 筑摩書房 1981/02 所収
9b. 『現代日本文學全集93 現代譯詩集』 筑摩書房 1957/10 所収
9c. 『草の葉』 アメリカ古典文学叢書1 共和出版社 1948/05 所収
9d. 『草の葉—ホイットマン詩集』 岩波文庫 1934/10(昭和9)所収
9e. 『有島武郎全集4』 新潮社 1929/07(昭和4)所収
9f. 『有島武郎全集8』 叢文閣 1924/10(大正13)所収
9g. 『ホヰットマン詩集 第一輯』 叢文閣 1921/11(大正10)所収
9d. は 9g. および叢文閣 1923/02 刊第二輯の2冊を1冊にまとめて
復刻したもの。引用は 9d. に拠りました。
(J10) 富田 1919
徒歩で氣輕に、私は大道をつかむ、
世界は私の前に健康で、自由だ、
私の前の長い褐色の道路は、私が何處を擇ばうとも通じてゐる。
今から後、私は幸運を希ひはしない——私自身が幸運なのだ、
今から後、私は不平を鳴らしはしない、最早猶豫はしない、何ものも要らない、
丈夫で、滿足して私は大道を旅する。
[以下略]
ウオールト・ホヰツトマン=作 富田碎花=譯 「大道の歌」
『詩集 草の葉』 大鐙閣 定價貳圓五拾錢 1919/05/31(大正8)所収
(J11) 白鳥 1919
徒歩にて心輕く私は大道を行く、
健康、自由、世界は私の前に、
長い鳶色の路は私の前に
わが欲する何處へも導きゆく。
今後私は幸運を求めず、私自身こそ幸運である、
今後私は最早や嗚咽せず繰延べず何物をも要せず、
戸内の泣言、書齋、不滿の批評を去つて、
剛健と滿足とに大道を旅す。
[以下略]
ホイットマン=著 白鳥省吾=譯 「大道の歌」
『ホイットマン詩集』 新潮社 定價金八拾五錢
1919/05/28(大正8)所収
(J12) 岩野 1909, 1999
歩んで 氣輕に 僕は 街道に 出る、
自由で、健全で、僕の 前に 世が あり、
僕の 前に 長い 鳶色の 路が あつて 僕の 欲する ところに 導く。
この後 僕は 幸運を 願はない、僕その物が 幸運で ある、
この後 僕は もう 泣かない、もう 延期しない、何物をも、要しない、
済んでしまつたぞ 私宅の 訴へ、書齋、不滿の 批評、
強健、滿足、以つて 僕は 街道を旅行する。
[以下略]
[原文は次のとおり総ルビ]
歩(あゆ)んで 氣輕(きがる)に 僕(ぼく)は 街道(かいだう)に 出(で)る、
自由(じゆう)で、健全(けんぜん)で、僕(ぼく)の 前(まへ)に 世(よ)が あり、
僕(ぼく)の 前(まへ)に 長(なが)い 鳶色(とびいろ)の 路(みち)が あつて
僕(ぼく)の 欲(ほつ)する ところに 導(みちび)く。
この後(ご) 僕(ぼく)は 幸運(こううん)を 願(ねが)はない、
僕(ぼく)その物(もの)が 幸運(こううん)で ある、
この後(ご) 僕(ぼく)は もう 泣(な)かない、もう 延期(えんき)しない、
何物(なにもの)をも、要(よう)しない、
濟(す)んでしまつたぞ 私宅(したく)の 訴(うつた)へ、書齋(しよさい)、
不滿(ふまん)の 批評(ひへう)、
強健(きやうけ[ママ])、滿足(まんぞく)、以(も)つて 僕(ぼく)は
街道(かいだう)を旅行(りよかう)する。
[以下略]
ホイトマン=著 岩野泡鳴=譯 「街道の歌(ホイトマンの散文詩)」
12a. 『明治翻訳文学全集 《新聞雑誌編》 22 アメリカ詩集』(全50巻・別巻2)
ナダ出版センター=制作 大空社=発行 1999/12 所収
12b. 『太陽』 1909/01(明治42)所収
引用は 12a. に拠りました。
■スペイン語訳 Translations into Spanish
(Es1) Kariakin, 2005
A pie y con el corazón ligero, tomo hacia el camino abierto,
saludable, libre, el mundo ante mí,
la larga ruta parda ante mí orientándome adonde yo elija.
Por tanto, no pido buena fortuna, yo mismo soy buena fortuna,
Por tanto, no me quejo más, no pospongo más, necesito nada,
he terminado con quejas tras puertas, bibliotecas, y molestos criticismos,
fuerte y satisfecho viajo el camino abierto.
[Omission]
Canción del camino abierto (Fragmento) by Walt Whitman
Translated by Kira Kariakin
E-text at k-minos 2005-09-28
(Es2)
A pie y con el corazón gozoso salgo al camino público.
Saludable, libre, siento que el mundo se extiende ante mí.
El largo y pardo sendero ante mí me lleva al lugar que yo elija.
Ya no apelaré a la buena suerte: yo mismo soy la buena suerte.
Ya no imploraré nada, no pospondré nada. Nada necesito.
He acabado con las quejas domésticas, con las bibliotecas, con las críticas pendencieras.
Fuerte y satisfecho, viajo por el camino público.
[Omission]
Canto del Camino Público (Fragmento) by Walt Whitman
Cromos - Issues 4571-4575, 2005
Snippet view at Google Books
Audio 1
Song of the Open Road (1 of 2)
Uploaded to YouTube by PoemsBeingReadToo on 22 Aug 2010.
Audio 2
Song of the Open Road (1 of 2)
Uploaded to YouTube by tndowns1122 on 23 Jul 2009.
■英語原文 The original text in English
Afoot and light-hearted I take to the open road,
Healthy, free, the world before me,
The long brown path before me leading wherever I choose.
Henceforth I ask not good-fortune, I myself am good-fortune,
Henceforth I whimper no more, postpone no more, need nothing,
Done with indoor complaints, libraries, querulous criticisms,
Strong and content I travel the open road.
[Omission]
Song of the Open Road (1856)
from Leaves of Grass by Walt Whitman
Recent paperback editions include:
- Leaves of Grass. Oxford World's Classics, 2008/11 (forthcoming)
- The Complete Poems. Penguin Classics, 2005/03
- Walt Whitman's Leaves of Grass. Penguin Classics, 1986/03
Scanned book at Google Book Search
E-text at:
- Leaves of Grass (1856) - The Walt Whitman Archive
- Leaves of Grass (1860) - The Walt Whitman Archive
- Leaves of Grass (1867) - The Walt Whitman Archive
- Leaves of Grass (1871-72) - The Walt Whitman Archive
- Leaves of Grass (1881-82) - The Walt Whitman Archive
- Leaves of Grass (1891-92) - The Walt Whitman Archive
- Leaves of Grass - Project Gutenberg
■外部リンク External links
- [en] Walt Whitman - Wikipedia (1819-1892)
- [en] Leaves of Grass - Wikipedia
- [ja] ウォルト・ホイットマン - Wikipedia (1819-1892)
- [ja] ウオルト・ホイットマン文献目録
■更新履歴 Change log
- 2013/12/14 2種類のスペイン語訳を追加しました。
- 2013/06/03 tomoki y. 訳の4行目をつぎのように修正しました。
- 修正前 自分じしんがラッキーだから。
- 修正後 おれ自身、ラッキーだから。
- 2010/07/12 英語原詩朗読の YouTube 動画を追加しました。
- 2008/12/31 岩野泡鳴=訳 1909/01 を追加しました。
- 2008/09/18 瀧田夏樹=訳 1976/03 を追加しました。また、有島武郎=訳の書誌情報を補足しました。
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