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Saturday, 08 November 2008

The Condition of the Working Class in England by Friedrich Engels (2) エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』 『英国労働階級の状態』 『イギリスに於ける勞働階級の状態』(2)

■はじめに Introduction

ロンドンにいたころ、いつ通っても必ずホームレスの人を見かけるスポットがあった。テムズ河をまたいで、チャリング・クロスとサウス・バンクとを結ぶ歩行者専用橋のたもと。ウォータールー駅ちかくの地下通路。ソーホー近辺の地下鉄駅の階段や出口のそば、などなど。

「オレよりもカネを持っているオマエに対して、オレは25セント硬貨を要求する権利がある」――みたいな強引さで迫ってくるニューヨークの乞食は、ちょっと怖い。旧世界の物乞いは、こんなに強圧的ではない。「どうか数ペンスを」と道端に座り込んで弱々しい声で訴えるロンドンの乞食は、ほとんど古典的といっていいほど、哀れでみすぼらしい。雨の降る冬の晩、毛布1枚/寝袋1つで身をちぢめていたら、なおさらだ。それに比べたら、京都の鴨川の橋の下に青いシートを張って住居を構えている人たちは、はるかに余裕のある暮らしぶりのように見える。

いまどき「紳士の国イギリス」などという、カビの生えた常套句を聞かされると、アホくさ(!)と思う。トラファルガー広場のすぐそばの表通りで、週末の夜、立小便をしている酔っ払いを見た。というか、歩いていたら、雨でもないのに前の歩道がだんだん濡れていくので、水源を目で追ったら……(サイテー)。たとえて言うなら、東京の日本橋、大阪の北浜、京都の三条京阪、名古屋の栄のような場所ですよ、ここは。

ウィンブルドン――といえば世界中のテニス・ファンは、あのセンター・コートを思い浮かべるだろう。地元民にとっては、あのコートをとりまくロンドン南西部の一帯を指す地名だ。その最寄り駅がウィンブルドン駅。構内の通路で、ウイークデーの朝の出勤どきに、ぶっ倒れている金髪の若い白人女性を見かけた。顔のすぐ横に小間物屋を広げていた。え、小間物屋が分からない? 吐瀉(としゃ)物。嘔吐物。ゲロですよ! orz ゆうべはさぞかし愉快だったのでしょうけど、ちょっと度を過ごしましたね、お嬢さん。みな、目もくれずに通り過ぎる。イギリスは紳士ばかりの国じゃない。はたしてイギリス女性は、淑女ばかりかどうか……。


■エンゲルスと彼の同時代人 Engels and his contemporaries

Left Marx and Engels lego blocks. マルクスとエンゲルスのレゴ。Photo by courtesy of Dunechaser
Right Caricature of Max Stirner (1806-1856) taken from a sketch by Engels. エンゲルスが描いた、ドイツの哲学者マックス・シュティルナー (1806-1856) のスケッチ。シュティルナーの写真や肖像画は残っていない。したがって、エンゲルスの画才のほどは正確には分からない。Image source: Max Stirner - Wikipedia

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Marx_engels_lego  Stirner02


■エンゲルスの住んでいた家(ロンドン) Engels' house in London

Google Map of Engels' house in London indicated by the blue sign either B or C (I don't know which is correct). He lived here at 122 Regent's Park Road, Primrose Hill, NW1, 1870-1894.

エンゲルスが1870年から死ぬ前年まで住んでいた家。ロンドン北部プリムローズ・ヒルにある。青い印で表示されているBかCの場所(どちらが正しいかは知らない)。マルクスとともに、万国の労働者の団結を呼びかけた偉大な思想家・革命家・社会主義者の住処は、ブルジョワでないとちょっと住めないようなところだった。かなりいいエリア。彼が財政援助をしてやっていたマルクスの家よりも、もちろん上等。


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■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

各报在报道萨雷的验尸官卡特先生1843年11月14日检验四十五岁的安·高尔威的尸体的情形时曾描写过死者的住所。她和丈夫及十九岁的儿子住在伦敦百蒙得锡街白狮子大院3号的一间小屋子里面;里面没有床,没有铺盖,也没有任何家具。死者和她的儿子并排躺在一堆羽毛上(……),因为他们既没有被子,也没有床单。

   恩格斯 《英国工人阶级状况》
   根据亲身观察和可靠材料
   (1845年3月15日)
   E-text at Marx-Engels Archive


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 浜林 2000
サリーの検死官カーター氏が、1843年11月16日に アン・ゴールウェイ という四五歳の女性の死体を検死したときに、新聞はこの死者の住居について以下のように伝えている。彼女はロンドンのバーモンジー・ストリートのホワイト・ライオン・コート三番地に、夫と一九歳の息子とともに小さな一部屋で暮らしていた。そこにはベッドも寝具もなく、それ以外の家具もなかった。彼女は、ひとかたまりの羽毛のうえで息子のかたわらで死んでいた。(……)掛けぶとんもシーツもなかったからである。

   F・エンゲルス=著 浜林正夫(はまばやし・まさお)=訳
   『イギリスにおける労働者階級の状態(上)』(全2冊)
   科学的社会主義の古典選書
   新日本出版社 2000/05
   太字箇所は原文では太字でなく傍点。
   年月日の漢数字表記を算用数字に改めました。

(2) 一條+杉山 1990
サリーの検死官カーター氏が、1843年11月14日に、アン・ゴールウェイという四五歳の婦人の死体を検死した際に、死者の住居にかんして新聞は次のように報じている。彼女はバーモンジー・ストリート、ホワイト・ライオン・コート三番地で、寝台や寝具も、その他にも家具がいっさいない小さな一部屋に、夫と一九歳になる息子といっしょに住んでいた。彼女の死体は息子のかたわらで、ひとかたまりの羽毛の上に横たわっていた。毛布も敷布もなかったので(……)

   エンゲルス=著
   一條和生(いちじょう・かずお)+杉山忠平(すぎやま・ちゅうへい)=訳
   『イギリスにおける労働者階級の状態(上)』(全2冊)大都市
   岩波文庫 1990/02
   年月日の漢数字表記を算用数字に改めました。


(3) 【参考】 選集翻訳委員会 1973 【未収録】
   フリードリヒ・エンゲルス=著
   マルクス=エンゲルス8巻選集翻訳委員会=訳
   「イギリスにおける労働者階級の状態」(抜粋)
   『マルクス=エンゲルス8巻選集1』(全2冊)
   大月書店 1973/10
   上の引用箇所は収録されていません。


(4) 全集刊行委員会 1971
サリーの検死官のカーター氏が、1843年11月16日、アン・ゴールウェイ という四五歳の婦人の死体を検死したとき、新聞はこの死者の住宅について次のように報じている。この婦人は、ロンドンのバーモンジー・ストリートのホワイト・ライオン・コート三番地に、その夫と一九歳になる息子といっしょに小さな一室に住んでいた。その部屋には、寝台や寝具はおろかそのほかの家具さえもなかった。彼女はその息子のかたわらに、ひとかたまりの羽毛のうえで死んでいた。(……)掛けぶとんもシーツもなかったからである。

   フリードリヒ・エンゲルス=著 全集刊行委員会=訳
   「イギリスにおける労働者階級の状態」
   『イギリスにおける労働者階級の状態1』(全2冊) 大都市
   国民文庫34a 大月書店 1971/02
   「凡例」によれば「訳文は、邦訳版全集第二巻の訳文(岡茂男訳、
   土屋保男校閲)にさらに中林賢二郎が推敲をくわえたものである」。
   太字箇所は、原文では太字でなく傍点。
   年月日の漢数字表記を算用数字に改めました。


(5) 武田 1960
   エンゲルス=著 武田隆夫(たけだ・たかお)=訳
   「イギリスにおける労働階級の状態」
   『マルクス・エンゲルス選集2』 新潮社 1960/11 所収


(6) 杉本 1960
サリーの検死官のカーター氏が、1843年11月16日、アン・ゴールウェイ という四五歳の婦人の死体を検死したとき、新聞はこの死者の住宅についてつぎのように報じている。この婦人は、ロンドンのバーモンジー・ストリートのホワイト・ライオン・コート三番地に、その夫と一九歳になる息子といっしょに小さな一室に住んでいた。その部屋には、寝台はおろかそのほかの家具さえもなかった。彼女はその息子のかたわらに、ひとかたまりの羽毛のうえで死んでいた。(……)掛けぶとんもシーツもなかったからである。

   フリードリヒ・エンゲルス=著
   大内兵衛(おおうち・ひょうえ)+細川嘉六(ほそかわ・かろく)=監訳
   杉本俊朗(すぎもと・としろう)=訳
   「イギリスにおける労働者階級の状態」 大都市
   『マルクス=エンゲルス全集2 1844-1846
   大月書店 1960/04 所収
   太字箇所は、原文では太字でなく傍点。
   年月日の漢数字表記を算用数字に改めました。


(7) マルクス-レーニン主義研究所 1955
サリーの檢屍官カーター氏が四十五才の女 アン・ゴールウェイ の屍体について1843年11月16日に檢屍をおこなったさいに、新聞はこの死者の住居についてつぎのようにかたっている。この女はロンドン、バーモンヅィー・ストリート、ホワイト・ライオン・コート三番地に夫と十九才の息子といっしょに小さな一室にすんでいた。その部屋には寢台も敷布もほかの家具もなかった。彼女は息子のわきに、一かたまりの羽根のうえに死んでいた。(……)というのは、かけ蒲團も敷布もなかったからである。

   マルクス-レーニン主義研究所=編
   フリードリヒ・エンゲルス=著
   『イギリスにおける労働者階級の状態』 大都市
   マルクス=エンゲルス選集 補巻2
   大月書店 1955/01 所収
   太字箇所は、原文では太字でなく傍点。
   年月日の漢数字表記を算用数字に改めました。


(8) 竹内 1949
   フリードリツヒ・エンゲルス=著 竹内謙二(たけうち・けんじ)=訳
   『英国労働階級の状態(上)
   慶友社 改訳3版 1949


(9) 河西+東井+荘原 1929
サリ (Surrey) の檢屍官カートナア氏 (Cartner) 氏[ママ]が1843年11月14日にアン・ゴールウエー (Ann Galway) と言ふ四十五歳の婦人の屍體を臨檢した際に、新聞は此死者の住居について次のことを物語つてゐる。此婦人はロンドンのバーモンドヂー・ストリートのホワイト・ライオン・コート三番地に於て夫と十九歳になる息子と共に小さな一室に住んで居つたのであるが、その室には寢所もなければ寢具もなく、尚其他の家具もなかつた。彼女は其息子の傍で一塊の羽毛の上に死んで横はつて居つた(……)と云ふのはそこには何の被物も、夜具もなかつたから。

   エンゲルス=著
   河西太一郎(かさい・たいちろう)+東井金平(とうい・きんぺい)
   +荘原達(しょうばら・とおる)=共譯
   「イギリスに於ける勞働階級の状態」 大都市(1845年)
   『マルクス=エンゲルス全集 3
   改造社 1929/07(昭和4)所収
   年月日の漢数字表記を算用数字に改めました。


(10) 竹内 1926
   エンゲルス=著 竹内謙二=譯
   『英国労働階級の状態
   同人社書店 1926(大正15)
   国立国会図書館所蔵マイクロフィッシュ YD5-H-530-256


■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

Under den rättsundersökning, som genomfördes den 16 november 1843 av mr Carter, coroner i Surrey, rörande liket av Ann Galway, 45 år gammal, återgav tidningarna följande omständigheter kring den avlidna. Hon hade bott på White Lion Court 3, Bermondsey Street, London, med sin make och en nittonårig son i ett litet rum, i vilket varken säng eller något annat möblemang kunde återfinnas. Hon låg död bredvid sin son på en hög fjädrar, vilka var utspridda över hennes i det närmaste nakna kropp. Både lakan och täcke saknades.

   De stora städerna
   Den arbetande klassens läge i England
   by Friedrich Engels
   E-text at Marx-Engels Archive


■スペイン語訳 Translation into Spanish

En la oportunidad de una descripción practicada por Mr. Carter, coraner de Surrey, sobre la causa de la muerte de Ann Galway, de 45 años de edad, el 16 de noviembre de 1843, los periódicos describieron la vivienda de la difunta en estos términos: ella vivía en el núm. 3 de White Lion Court, Bermondsey Street, Londres, con su marido y su hijo de 19 años, en una pequeña habitación donde no había ni cama, ni sábanas ni mueble alguno. Ella yacía muertañal lado de su hijo sobre un montón de plumas, ( . . . ), pues no había allí ni frazada ni sábanas.

   Prólogo
   La Situación de la clase obrera en Inglaterra
   by F. Engels
   E-text at Marx-Engels Archive


■フランス語訳 Translation into French

A l'occasion d'une inspection mortuaire pratiquée par M. Carter, coroner de Surrey, sur le corps de Ann Galway âgée de quarante-cinq ans, le 16 novembre 1843, les journaux décrivirent le logement de la défunte en ces termes : elle habitait au n° 3, White Lion Court, Beréondsey Street, Londres, avec son mari et son fils âgé de dix-neuf ans, dans une petite chambre, où il n'y avait ni lit, ni draps ni quelque meuble que ceéfût. Elle gisait morte à côté de son fils sur un tas de plumes ( . . . ), car il n'y avait ni couverture, ni draps.

   Les grandes villes
   La situation de la classe laborieuse en Angleterre
   by Friedrich Engels
   E-text at Marx-Engels Archive


■英語版原文 The original text from the English edition

On the occasion of an inquest held Nov. 16th, 1843, by Mr. Carter, coroner for Surrey, upon the body of Ann Galway, aged 45 years, the newspapers related the following particulars concerning the deceased: She had lived at No. 5 White Lion Court, Bermondsey Street, London, with her husband and a nineteen- year-old son in a little room, in which neither a bedstead nor any other furniture was to be seen. She lay dead beside her son upon a heap of feathers ( . . . ), there being neither sheet nor coverlet.

   The Great Towns
   Condition of the Working Class in England
   by Frederick Engels
   Translated from German by Florence Kelley,
   (also known as Mrs. F. Kelley Wischnewetzky)
   Authorized by Engels and published in 1887
   E-text at Marx-Engels Archive


■ドイツ語版原文 The original text from the German edition

Bei Gelegenheit einer Totenschau, die Herr Carter, Coroner für Surrey, über die Leiche der 45jährigen Ann Galway am 14. November 1843 abhielt, erzählen die Journale folgendes von der Wohnung der Verstorbenen: Sie hatte in Nr. 3, White Lion Court, Bermondsey Street, London, mit ihrem Mann und ihrem l9jährigen Sohne in einem kleinen Zimmer gewohnt, worin sich weder Bettstelle oder Bettzeug noch sonstige Möbel befanden ( . . . ), denn es war weder Decke noch Bettuch vorhanden.

   Die großen Städte
   Die Lage der arbeitenden Klasse in England:
   Nach eigner Anschauung und authentischen Quellen (1845)
   by Friedrich Engels
   E-text at Marx-Engels-Werke Band 2, S. 225 - 506.


■外部リンク External links

 [en] English
   * Friedrich Engels - Wikipedia (1820-1895)
   * The Condition of the Working Class in England in 1844 - Wikipedia
   * Marx/Engels Image Library(画像多数、おすすめ)

 [de] Deutsch
   * Die Lage der arbeitenden Klasse in England - Wikipedia

 [ja] 日本語
   * フリードリヒ・エンゲルス - Wikipedia (1820-1895)


■更新履歴 Change log

2009/12/21 中国語訳(簡体字)の訳文を挿入しました。
2008/11/27 浜林正夫=訳 2000/05 を追加しました。


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