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Monday, 22 December 2008

Mr Loveday's Little Outing by Evelyn Waugh イーヴリン・ウォー 「ラヴデイ氏のちょっとした遠出」「ラヴデイ氏の遠足」「ラヴデイ氏の短い休暇」「ラヴディ氏のささやかな外出」「ラヴデイ氏の短い外出」

           目次 Table of Contents

   ■はじめに Introduction
    Video 1  作家イーヴリン・ウォー Evelyn Waugh
   ■邦訳のリスト(新→旧の順) List of Japanese translations
   ■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 高儀 2016
     (J2) 別宮 1978
     (J3) 永井 1973, 2008
     (J4) 吉田 1970, 1976
     (J5) 橋口 1961
   ■英語原文 The original text in English
    Video 2  TV Movie Mr Loveday's Little Outing (2006)
    Video 3  Evelyn Waugh Face To Face BBC Interview (June 1960)
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

毎年、園遊会の日になると、きまって自殺騒ぎを起こしたモーピング卿。精神病院に入院して10年になる。ある日、妻と娘が卿を見舞いに精神病院を訪れる。しかし、モーピング卿は物語の主役ではない。この短篇のほんとうの主人公は、下の引用箇所のあとに登場するラヴデイ氏。その正体は徐々に明らかになる。


 Video 1 
作家イーヴリン・ウォー Evelyn Waugh

Uploaded by bigbadpoo on Nov 3, 2008


■「ラヴデイ氏——」の邦訳を収録した本のリスト(新→旧の順)
 Mr Loveday's Little Outing: List of Japanese translations


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  • 「ラヴディ氏のささやかな外出」……吉田 1970, 1976
  • 「ラヴデイ氏のちょっとした遠出」…高儀 2016
  • 「ラヴデイ氏の遠足」………………別宮 1978
  • 「ラヴデイ氏の短い外出」…………橋口 1961
  • 「ラヴデイ氏の短い休暇」…………永井 1973, 2008

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 高儀 2016
 「お父様はそんなにお変わりになってはいないと思うでしょうよ」とレディー・モーピングは、車が州立精神病院の門の中に入って行くと言った。
 「患者用の服を着てらっしゃるのかしら? 」
 「いいえ、お前、もちろん違うの。あの人は至れり尽くせりの世話をしてもらってる」
 それはアンジェラの最初の訪問で、自分で言い出したものだった。
 モーピング卿が病院に連れて行かれた、あの晩夏の俄雨の降った日から十年が経っていた。それは彼女にとっては、混乱しているが苦い思い出の日だった。それはレディー・モーピングの年に一度の園遊会の日で、気紛れな天候のせいで、思い出の中ではいつも混乱し、苦いものになっていた。天候は最初の客が来るまでは晴れていて輝かしく、ずっとそのままもちそうだったが、不意に黒雲が出て疾風が吹き荒れ、雨が激しく降った。客は濡れない場所に向かって慌てて走った。大天幕が引っくり返った。クッションと椅子が遽(あわただ)しく中に運び込まれた。テーブルクロスがチリ松の大枝まで高く飛び、雨の中ではためいた。晴れ間が現われると、客たちはおっかなびっくり、びしょ濡れの芝生に出た。またしても雨が激しく降った。すると、二十分ほど陽が射した。忌まわしい午後で、とどのつまりは、六時頃、アンジェラの父が自殺を図った。[以下略]

  • イーヴリン・ウォー=著 高儀進(たかぎ・すすむ)=訳 「ラヴデイ氏のちょっとした遠出」 イーヴリン・ウォー傑作短篇集 -- 白水社, 2016.7. -- (エクス・リブリス・クラシックス)

(J2) 別宮 1978
「お父さま大して変わっていらっしゃらなくてよ」ハンドルを切って州立精神病院の門をくぐる車の中で、レディ・モーピングは言った。
「患者服を着ていらっしゃるかしら」とアンジェラがたずねた。
「いいええ、とんでもない。最高の看護を受けていらっしゃるのよ」
 これは、アンジェラとしてははじめての見舞で、彼女が自分からしようと言いだしたことだった。
 夏も終わりに近い夕立ちの降る日にロード・モーピングが連れて行かれてから、十年の月日が流れていた。アンジェラには、ごたごたした苦い思い出の日。レディ・モーピングの毎年恒例のガーデン・パーティは、いつもきまって苦さをともなうのだが、特にその日がごたごたしていたというのは、気まぐれな天気のせいで、最初の客が到着するまでは、雲もなく晴れわたって、まず間違いない空模様と見えていたのに、一天にわかにかきくもって夕立ちがやってきたのだった。あわててかげに走りこむと、今度はテントがひっくりかえって、クッションや椅子を持ち出そうと上を下への大騒ぎ。テーブル・クロスが杉の木の枝にひっかかって、雨風にパタパタはためいてい た。と見るうちに、かっと日が照ってきて、ぬれた芝生に客がおっかなびっくり姿を現わす。また一雨。また二十分の日ざし。どうにもやりきれない午後だったが、そのあげくが、六時頃の父親の自殺未遂だった。[以下略]

  • イヴリン・ウォー=著 別宮貞徳=訳 「ラヴデイ氏の遠足」 イヴリン・ウォー作品集 / 別宮貞徳. -- 八潮出版社, 1978.5. -- (八潮版・イギリスの文学 ; 17)

(J3) 永井 1973, 2008
 「お父さまはそれほど変わっておりませんよ」自動車が州立精神病院(カウンティ・アサイラム)の正門を通りすぎたとき、モーピング夫人はいった。
 「患者用の服を着せられているのかしら?」と、娘のアンジェラがたずねた。
 「いえいえ、もちろん違いますとも。ここの人たちはとても気をつかってくれているんですよ」
 今日がアンジェラの初めての病院訪問だった。しかも、これは彼女が自分からいい出したことなのだ。
 夏も終わりに近い大雨の日に、モーピング卿が病院に運び去られてから、すでに十年の歳月が流れ去った。アンジェラにとって、その一日は、混乱した悲しい思い出以外の何物でもなかった。モーピング夫人主催の例年の園遊会、それは最初のお客の到着と同時に、それまでの思わせぶりな上天気がたちまち崩れて、篠つく豪雨に変わるという気まぐれな空模様のために、思い出すだに腹立たしい混乱の一日と化してしまった。人々は雨宿りの場所を求めて右往左往し、大天幕はあお向けにひっくりかえり、大あわてでソファや木の椅子が屋内に運び込まれ、テーブルクロースは風にあおられてチリー松の枝に舞いあがり、はためいていた。しかも、やがて顔をのぞかせた晴れ間を見はからって、人々が恐る恐る濡れた芝生に戻ってくるやいなや、またしても二度目の豪雨が見舞った。
 しかも、この厄日のうんざりするような出来事は、彼女の父親が自殺を企てた夕方の六時に到ってついに最高潮に達した。[以下略]

  

(J4) 吉田 1970, 1976
「おとうさまはそんなにお変わりになっていませんよ」
 車が州立精神病院の門にさしかかると、モーピング夫人はそう言った。
「おとうさまはお仕着せを着てらっしゃるの?」と、アンジェラがたずねた。
「いいえ、とんでもない。最高の待遇を受けてらっしゃるのですよ」
 アンジェラがここを訪問するのはこれが初めてで、それを言いだしたのも彼女だった。
 モーピング卿がここに送りこまれたのは、夏もおわりの、にわか雨があった日のことで、それからすでに十年の歳月がたっていた。彼女にとって、それはあわただしくも忌わしい思い出のまつわる日だった。モーピング夫人主催の恒例の園遊会の日には、きまってなにかいやなことがもちあがるのだったが、その日は気まぐれな天気のせいで混乱が起こったのだった。最初の客が現われるまでは、空は青く澄みわたり、太陽は輝いて、万事うまくゆきそうに思えたのだが、たちまち暗雲が空をおおい、驟雨が襲った。客は雨宿りに走り、天幕は倒れ、クッションや椅子は四散し、テーブル・クロスは吹き飛ばされて大杉の枝にひっかかり、雨のなかではためいた。かと思うと、また陽が射し、客はおずおずと、濡れた芝生に出ていった。と、またしても雨。それからまた二十分ほどの晴間。まさに忌わしい午後だったが、六時ごろモーピング卿が自殺未遂事件を起こし、忌わしさは頂点に達した。[以下略]


(J5) 橋口 1961
 「お父さまはそんなに変ってはいらっしゃらなくてよ。」車が州立精神病院の門を入るところで、モウピング夫人が言った。
 「病院の制服を着てらっしゃるの?」アンジェラはたずねた。
 「あら、いやだ、そんなことなくてよ。とても親切にして頂いてるんですもの」
 アンジェラにとって、これは初めての訪問であった。自分から言いだして連れて来てもらったのだった。
 モウピング卿が病院に連れて行かれたのは、十年前の、驟雨のあった晩夏の日であった。それは、アンジェラにとって、悲しい思い出にかき乱されている日である。年に一度のモウピング夫人の園遊会の日であった。その日は毎年きまって悲しい日であった。しかも、その年にかぎって思い出がかき乱されているのは、気まぐれだった天候のせいである。早い客が着き始める頃までは明るく晴れていた空が、急にまっくらになって、はげしく雨が降りだした。雨を避けて逃げまどう人。風に飛ばされるテント。椅子やクッションがいそがしく運びこまれる。杉の樹の枝に飛ばされたテーブル・クロースが雨の中でぱたぱた鳴る。また陽が照りだしたのを見て、人びとは濡れた芝生の上におずおず姿を現わす。するとまた、はげしい雨。それからまた、廿分ほど日光が輝やく。このいまわしい午後は、六時頃になって、父が自殺をはかるという事件によって、終りを告げたのだった。[以下略]

  • ウォー=著 橋口稔=訳 「ラヴデイ氏の短い外出」 イギリス短篇名作集 / 加納秀夫. -- 学生社, 1961.9

■英語原文 The original text in English

"You will not find your father greatly changed," remarked Lady Moping as the car turned into the gates of the County Asylum.

"Will he be wearing a uniform?" asked Angela.

"No, dear, of course not. He is receiving the very best attention,"

It was Angela's first visit and it was being made at her own suggestion.

Ten years had passed since the showery day in late summer when Lord Moping had been taken away; a day of confused but bitter memories for her; the day of Lady Moping's annual garden party, always bitter, confused that day by the caprice of the weather which, remaining clear and brilliant with promise until the arrival of the first guests had suddenly blackened into а squall.

There had been a scuttle for cover; the marquee had capsized; a frantic carrying of cushions and chairs; a table-cloth lofted to the boughs of the monkey- puzzler, fluttering in the rain; a bright period and the cautious emergence of guests on to the soggy lawns; another squall; another twenty minutes of sunshine. It had been an abominable afternoon, culminating at about six o'clock in her father's attempted suicide. [Omission]


 Video 2 
TV Movie Mr Loveday's Little Outing (2006)

監督: サム・ホブキンソン 出演: プルネラ・スケイルズ、フェネラ・ウールガー、デヴィッド・ワーナー、アンドリュー・サックス Loveday 1 投稿者 englishatcui  Directed by Sam Hobkinson. Starring Prunella Scales (Lady Moping), Fenella Woolgar (Angela Moping), David Warner (Lord Moping), Andrew Sachs (Mr Loveday)                                   


 Video 3 
Evelyn Waugh Face To Face BBC Interview (June 1960)

Published on May 21, 2012 by superbootcamps. Introduced by Joan Bakewell. Interview conducted in June 1960 by John Freeman. A transcript of the full interview can be found at Evelyn Waugh in his own Words: The Face to Face Interview in Full. Information on the Face to Face TV series can be found at Wikipedia.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016/08/06 高儀進訳 2016.7 を追加しました。
  • 2015/02/12 BBC Four によるテレビ映画の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/10/07 目次を新設しました。
  • 2012/07/24 Evelyn Waugh Face To Face BBC Interview の YouTube 動画を追加しました。
  • 2008/12/27 別宮貞徳訳 1978.5 を追加しました。
  • 2008/12/23 「はじめに」を加筆修正しました。また、mixi (ミクシィ) 内の「イーヴリン・ウォー」コミュニティへのリンクを追加しました。

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Comments

Great post however , I was wanting to know if you could write a litte more on this subject? I'd be very thankful if you could elaborate a little bit further. Cheers!

Posted by: pool table | Friday, 25 October 2013 at 06:35 PM

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