« Tickets, Please by D. H. Lawrence (2) D・H・ロレンス 「切符拝見」「乗車券を拝見」「切符をお切りします!」「乗車券を、どうぞ」(2) | Main | Zen in the Art of Writing by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ 『ブラッドベリがやってくる―小説の愉快』 »

Saturday, 21 February 2009

I See You Never by Ray Bradbury (2) レイ・ブラッドベリ / レイ・ブラッドベリー / レイ・ブラッドベリイ 「もう会えない」「二度と見えない」「わかれ」 (2)

« 1 I See You Never »
« 1 二度と見えない »

 Video 
Remembering Ray Bradbury and His 'Cautionary Tales'

レイ・ブラッドベリは2012年6月5日、米国カリフォルニアで亡くなりました。 Published on 6 Jun 2012 by PBSNewsHour


 Images 
ホワイトハウスとニューヨーカー誌
The White House and the New Yorker magazine

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. Ray_bradbury_in_white_house_4 b. New_yorker_nov_1947

  • President George W. Bush and Laura Bush present the National Medal of Arts award to Ray Bradbury. White House photo by Susan Sterner. Image source: National Endowment for the Arts (NEA) News Room, 2004 National Medal of Arts
    ジョージ・W・ブッシュ米大統領、ローラ・ブッシュ夫妻から2004年度のアメリカ国民芸術勲章を授与されたレイ・ブラッドベリ。
  • The New Yorker, November 8, 1947. Ray Bradbury's story, "I See You Never," was originally published in this issue. Image source: The New Yorker
    ブラッドベリ氏の短篇「二度と見えない」が最初に掲載されたニューヨーカー誌1947年11月8日号の表紙。『ブラッドベリ、自作を語る』 (晶文社 2012年) によれば、原稿料は300ドル。氏いわく、「『ニューヨーカー』に売れたのは、あれが最初で最後だ。以後三十年、ことごとく不採用になってる」。

■はじめに Introduction

メキシコからカリフォルニアに渡ってきたラミレスさん。ビザの有効期限が切れたあとも米国に不法滞在して働いていたため逮捕された。本国へ強制送還されることになったラミレスさんは警官に伴われて、大家さんのもとを訪れる。お世話になった奥さんに、別れを告げにやってきたのだ。つたない英語だからこそ、つたわる何か……?


■I See You Never の日本語訳を収録した本と雑誌の一覧
 List of books and magazines that contain a Japanese translation of
 I See You Never

   1. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 2006.2.
           -- (ハヤカワ文庫 ; NV)
   2. 村上   Sudden Fiction / R.シャパード,J.トーマス[他]. -- 文芸春秋, 1994.1.
           -- (文春文庫)
   3. 稲葉   世界ショートショート傑作選. 1 / 各務三郎. -- 講談社, 1978.11.
           -- (講談社文庫)
   4. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 1976.1.
           -- (ハヤカワ文庫 ; NV)
   5. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 1962.
           -- (ハヤカワ・SF・シリーズ)
   6. 久慈   別冊宝石 -- 1961/7/15 No.107
   7. 久慈   別冊宝石 -- 1960/1/15 No.95


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 村上 1994
「ああ、奥さん!」と言って、彼は急に泣きだした。瞼の奥から涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。彼は両手を差し出して、感きわまったように彼女の手を取った。そしてそれを振り、絞りあげ、ぎゅっと握りしめた。「オブライエンさん、二度と会いません、二度と会いません!」
 警官たちはこれを聞いて微笑んだ。でもミスタ・ラミレスはそれに気づかなかったので、彼らはすぐに笑みをひっこめた。
「さよなら、オブライエンさん。あなたは良い方でした。さよなら、オブライエンさん、もうお会いしません!」

  • レイ・ブラッドベリー=著 村上春樹(むらかみ・はるき)=訳 「もう会えない」 ロバート・シャパード+ジェームズ・トーマス=編 『Sudden Fiction―超短編小説70』 文春文庫 1994.1
  • 原書: Sudden Fiction (1986) Edited by Robert Shapard & James Thomas

(J2) 稲葉 1978
「おくさん!」
 彼はだしぬけに叫んだ。涙の粒がまぶたを転がりおちた。両手をのばすと、夫人の手を熱っぽくにぎりしめ、ふり動かし、すがりついた。
「オブライエンのおくさん、もうお会いできません、おわかれです!」
 警官たちは微笑をふくんで見まもっていたが、ラミレス氏は気にもとめなかった。警官たちの微笑はすぐにきえた。
「さようなら、おくさん。とてもご親切にしていただきました。さようなら、おくさん。もうお会いできません!」


(J3) 小笠原 1962, 1976, etc.
「オブライアンさん!」と、ラミレス氏はとつぜん叫び、涙がまぶたからころがり出た。手をのばしたラミレス氏は、夫人の手を熱烈に握りしめ、何度も振り、まるですがりつくようなしぐさをした。「オブライアンさん、わたし、あなたと、二度と見えない、二度と見えない!」
 このことばを聞いて、警官たちは笑ったが、ラミレス氏はそれに気づかず、警官たちの笑いもすぐにとまった。
「さよなら、オブライアンさん。あなた、親切でした。さよなら、オブライアンさん。あなたと、二度と見えない!」


(J4) 久慈 1960, 1961
「おくさん!」
 かれはだしぬけにさけんだ。涙の粒がまぶたをころがり落ちた。両手をのばすと、夫人の手を熱っぽくにぎりしめ、ふり動かし、すがりついた。
「オブライエンのおくさん、もうお会いできません、おわかれです!」
 警官たちは微笑をふくんで見まもっていたが、ラミレス氏は気にもとめなかった。警官たちの微笑はすぐにきえた。
「さようなら、おくさん。とてもご親切にしていただきました。さようなら、おくさん。もうお会いできません!」

  • レイ・ブラッドベリー=著 久慈波之介(くじ・なみのすけ)=訳 「わかれ」
    引用は b. 1960年版に拠りました。


■ロシア語訳 Translation into Russian

— Миссис О'Брайен! — вдруг крикнул он, и по щекам его покатились слезы. Он протянул вперед обе руки, пылко схватил ее руку и тряс ее, сжимал, цеплялся за нее. — Миссис О'Брайен, я никогда вас не увижу больше, никогда не увижу!..

Полицейские улыбнулись, но мистер Рамирес не видел их улыбок, и они перестали улыбаться.

— Прощайте, миссис О'Брайен. Вы были очень добры ко мне. Прощайте! Я никогда вас не увижу больше!

  • Рэй Бредбери. Я никогда вас не увижу. Translated by Л. Жданов
  • E-text at Вокруг Света

■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

- Sra. O'Brian! - ele gritou subitamente, com lágrimas correndo de sob suas pálpebras. Estendeu a mão e tomou a dela febrilmente, apertando-a, torcendo-a, agarrando-se a ela. - Sra. O'Brian, até nunca mais ver, até nunca mais ver!

Os policiais sorriram, mas o Sr. Ramirez não percebeu, e logo eles pararam de sorrir.

Adeus, Sra. O'Brian. A senhora foi boa para mim. Adeus, Sra. O'Brian. Até nunca mais ver!


■スペイン語訳 Translation into Spanish

— Señora O’Brian -gritó el señor Ramírez de pronto, con lágrimas en los ojos.

Extendió las manos y apretó fervientemente la mano de la mujer, sacudiéndosela, retorciéndosela, acercándola a él-. ¡Señora O’Brian, nunca más la veo, nunca más la veo!

Los policías sonrieron, pero el señor Ramírez no lo notó, y las sonrisas murieron pronto.

— Adiós, señora O’Brian. Ha sido muy buena conmigo. Oh, adiós, señora O’Brian. Nunca más la veo.


■英語原文 The original text in English

"Mrs. O'Brian!" he cried suddenly, tears rolling out from under his eyelids. He reached out his hands and took her hand fervently, shaking it, wringing it, holding to it. "Mrs. O'Brian, I see you never, I see you never!"

The policemen smiled at this, but Mr. Ramirez did not notice it, and they stopped smiling very soon.

"Goodbye, Mrs. O'Brian. You have been good to me. Oh, goodbye, Mrs. O'Brian. I see you never"


■元ネタは実話 The story was inspired by a true incident

上述の『ブラッドベリ、自作を語る』 (晶文社 2012年) によれば、この短篇の素材は、ブラッドベリ自身が目撃した実話だそうだ。以下、同書からの抜粋:

[引用はじめ]
一九四○年代の初めから中頃だったが、僕の友人でグラント・ビーチという男の母親が、ロサンゼルスのダウンタウンに貸しアパートのビルを持っていた。フィゲロア通りとテンプル通りの交差点あたり。いまは消えてしまったのが残念至極だが、二十代の僕が住みついたも同然に出入りしたビルだ。
[略]
アパートの隣の家に、グラント・ビーチとその母親が住んでいた。ある日、そっちの家へ行って、軽いランチで卵サンドイッチを食べさせてもらってたら、ドアにノックの音がした。ビーチの母親がドアを開けると、男がいて、のぞき込むように「あのう、今度メキシコへ帰ることになって」と言う。誰かと思えば、ビーチの母親にとっては部屋を貸してる店子だ。ところが保安官もいる。不法移民をつかまえに来たんだな。これから国境まで連行して、メキシコ側へ放り出すらしい。また男が口を開いて、「ビーチさん、二度と見えない」と言った。ああいうことがあるんだな。そのセリフをメモしておいて、その日のうちに書き上げた。
[引用おわり]


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2012/09/22 久慈波之介=訳 1960/01/15 の訳文を挿入しました。
  • 2012/07/03 ロシア語訳を追加しました。また、「元ネタは実話」の項を新設しました。
  • 2012/06/07 Remembering Ray Bradbury and His 'Cautionary Tales' の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/05/22 ポルトガル語訳とスペイン語訳を追加しました。

 

« 1 I See You Never »
« 1 二度と見えない »

にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 英語ブログへにほんブログ村 外国語ブログへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 本ブログ 洋書へにほんブログ村 英語ブログ 通訳・翻訳へにほんブログ村 外国語ブログ マルチリンガルへ84595840v1308102456

  

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存

|

« Tickets, Please by D. H. Lawrence (2) D・H・ロレンス 「切符拝見」「乗車券を拝見」「切符をお切りします!」「乗車券を、どうぞ」(2) | Main | Zen in the Art of Writing by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ 『ブラッドベリがやってくる―小説の愉快』 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference I See You Never by Ray Bradbury (2) レイ・ブラッドベリ / レイ・ブラッドベリー / レイ・ブラッドベリイ 「もう会えない」「二度と見えない」「わかれ」 (2):

« Tickets, Please by D. H. Lawrence (2) D・H・ロレンス 「切符拝見」「乗車券を拝見」「切符をお切りします!」「乗車券を、どうぞ」(2) | Main | Zen in the Art of Writing by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ 『ブラッドベリがやってくる―小説の愉快』 »