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Sunday, 05 July 2009

A Visitor from Down Under by L.P. Hartley L・P・ハートリー/L・P・ハートレー「豪州からの客」「遠い国からの訪問者」「豪州からきたお客」

■はじめに Introduction

落語の「粗忽長屋」やエドガー・アラン・ポーの短篇「ウィリアム・ウィルソン」。分身やドッペルゲンガーや「自分を目の当たりにする自分自身」といったモティーフは、おもしろい。そして、あとを引くこわさがある。


■表紙画像 1 Cover photos 1

Left憑かれた鏡』河出書房新社 (2006)
Centre恐怖の分身』朝日ソノラマ (1986) Image source: 銀の知識人たち
Right消えた心臓』世界恐怖小説全集4 東京創元社 (1959) Image source: 北米探偵小説論再構築

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Tsukareta_kagami  Kyoufu_no_bunshin  Kieta_shinzou_tokyo_sougensha_2

■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 小山 2006
「どうして君が――いや、誰にしても――わたしを捕まえなくちゃならん? わたしは君らに何の危害も加えていないのに」
「いやいや、そうはまいりませんよ」
「なぜ?」
「あなたがその辺をうろついてると分かってたら、うかうか寝てなんかいられませんですな。いつまた人を殺すか知れないんだから。誰かが捕まえないといけない」
「しかし、誰もいなければ?」
「何でございます?」
「殺された男に親戚も友人もいなければ、さ。その男がふっと消えて、誰もそいつが死んだと知らなければ?」
「それはです」ウェイターは勿体らしくウィンクしてみせた。「そんな場合にゃ、殺された本人が追っ手になるでしょうな。のんびり墓で眠ってるわけにはいきませんよ。そうですとも、相手に殺されたと分かってるのにね」

   L・P・ハートリー=著 小山太一(こやま・たいち)=訳
   「豪州からの客」
   E・ゴーリー=編 柴田元幸+小山太一+宮本朋子=訳
   『憑かれた鏡―エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談
   河出書房新社 2006/08

   このアンソロジーの詳細:
   『憑かれた鏡』 - 翻訳アンソロジー/雑誌リスト
   原書:
   The Haunted Looking Glass: Ghost Stories Chosen and
   Illustrated by Edward Gorey.
   First published in 1959.
   Recent paperback editions include:
   The Haunted Looking Glass, New York Review Books, 2001/03

(2) 長井 1986
「おまえであれだれであれ、なぜ私を追いかける必要がある?」ランボルド氏は訊ねた。「私はおまえにもそのほかの人たちにも、何にも危害を加えていないじゃないか」
「でも、そうしなければなりますまい」
「どうして?」
「あなたが自由に歩き回っている限りは、おちおち眠ってもいられませんからね。あなたはもう一度同じ罪を犯すかもしれない。だからだれかが、あなたを捕まえなければならないんですよ」
「でも、だれもいなかったとしたら?」
「といいますと?」
「殺された男には親戚も友人もいなかったとする。そして、ただ姿が見えなくなっただけで、だれも彼が死んだことを知らないとしたら?」
「そうですね、旦那様」ウエイターは薄気味悪いウインクをして、答えた。「その場合には、その男自身があなたを追いかけに出てこなくちゃならないでしょうね。でないと、心安らかに眠れませんや。そうですとも。自分が何をすべきかくらいは心得ているでしょうし」

   L・P・ハートレー=著 長井裕美子(ながい・ゆみこ)=訳
   「遠い国からの訪問者」
   デズモンド・マッカーシー〔ほか〕=著 シンシア・アスキス=選
   『恐怖の分身 : ゴースト・ストーリー傑作選
   ソノラマ文庫  海外シリーズ31 朝日ソノラマ 1986/09

   このアンソロジーの詳細:
   * 『恐怖の分身』 - 翻訳アンソロジー/雑誌リスト
   * 『恐怖の分身』 - 翻訳作品集成
   原書:
   The Ghost Book (1927) compiled by Cynthia Asquith


(3) 大西 1958
「どうしてまた、きみが、いや、そのだれかしらが、そんな役割を演じてわたしを逮捕したいんだね? わたしはきみに、いやだれにも、悪いことはしたおぼえはないんだが」
「はあ、それでもやはりそうしないわけにはまいりませんのです」
「どうして?」
「あなたさまがつかまらずにいるのを知っていながら、枕を高くして寝るわけにはまいらないからでございます。あなたさまのことでございますから、もう一度同じことをやりかねません。だれかがそれに気をつけていなければならないのでございます」
「だが、だれもいなかったとしたらどうだね?」
「と申しますと?」
「つまり、殺されたものに、親戚も友人もなく、ただ行方不明になっただけで、だれひとりそいつが死んだのを知らないばあいはどうなるのだね?」
「はあ、その点でございますか」とクラットサムはものものしくウィンクをしてみせながらいった。「そのばあいには、その男みずから、あなたさまのあとをつけなくてはなりません。墓のなかにおちついてはおられますまい。そうでございますとも。おちついてはおられません。犯人のしわざを知っていながらでは」

   L・P・ハートレー=著 大西尹明(おおにし・ただあき)=訳
   「豪州からきたお客」
   M・R・ジェイムス〔ほか〕=著 平井呈一+大西尹明=訳
   『消えた心臓』世界恐怖小説全集4 東京創元社 1959/10/10

   このアンソロジーの詳細:
   * 世界恐怖小説全集 - 本棚の中の骸骨
   * 『消えた心臓』 - 翻訳アンソロジー/雑誌リスト
   * 『消えた心臓』 - 翻訳作品集成


■英語原文 The original text in English

  'Why should you or they,' asked Mr Rumbold, 'want to round me up? I haven't done you any harm, or them.'
  'Oh, but we should have to, sir.'
  'Why?'
  'We couldn't rest in our beds, sir, knowing you was at large. You might do it again. Somebody'd have to see to it.'
  'But supposing there was nobody?'
  'Sir?'
  'Supposing the murdered man hadn't any relatives or friends; supposing he just disappeared, and no one ever knew that he was dead?'
  'Well, sir,' said the waiter, winking portentously, 'in that case he'd have to get on your track himself. He wouldn't rest in his grave, sir, no, not he, and knowing what he did.'

   A Visitor from Down Under (1926) by L.P. Hartley
   The excerpt is taken from The Oxford Book of English Ghost Stories
   Edited by Michael Cox & R. A. Gilbert
   Oxford University Press, USA (December 15, 2008)
   Preview at Google Books


■表紙画像 2  Cover photos 2

a. The Collected Macabre Stories of L.P. Hartley
著者: L.P. Hartley
ハードカバー
出版社:The Tartarus Press
発売日:2001-12-01
ISBN-10 : 1872621627

b. Night Fears and Other Supernatural Tales (Everyman)
著者: L. P. Hartley
ペーパーバック
出版社:Phoenix (an Imprint of The Orion Publishing Group Ltd)
発売日:1993-11-04
ISBN-10 : 0460873601

c. The Complete Short Stories of L.P. Hartley
著者: L. P. Hartley
ハードカバー
出版社:Beaufort Books
発売日:1986-10
ISBN-10 : 0825303532

d. The Traveling Grave and Other Stories
著者: L. P. Hartley
ハードカバー
出版社:Arkham House
発売日:1948
Image source: The Travelling Grave and Other Stories - Wikipedia

e. Night Fears
著者: L. P. Hartley
出版社:Putnam’s & Sons, London
発売日:1924(大正13)
注記:ハートレーの最初の著書の初版本。ロンドンの古書店 Peter Harrington によると「500部限定版」という著者の主張の真偽はともかくとして、カバー(=ダストジャケット)付きで、しかもこの保存状態の品は稀とのこと。同書店の付けた売値は£875.00。
Image source: Peter Harrington

 

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a. The_collected_macabre_stories_of_lp b. Night_fears_and_other_supernatural_ c. Hartley_complete_short_stories_2

d. Travelling_grave e. Night_fears_by_l_p_hartley

■外部リンク External links

   * L. P. Hartley - Wikipedia (1895-1972)
   * L. P. Hartley - Fantastic Fiction
   * L. P. Hartley - Internet Book List
   * L. P. Hartley - A Guide to Supernatural Fiction
   * Great Ghost Stories/Great Horror Stories - SF Site
   * Visitor From Down Under - Wilson Swain, 2006-06-20


■更新履歴 Change log

2011/06/30 英語原文のテキストを挿入しました。
2009/07/05 「表紙画像2」の項を新設しました。また、英語原文を仕入れるのを
         忘れていたのに気がつきました。追って入手したら挿入するつもりです。


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