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January 2010

Wednesday, 27 January 2010

Gorilla by Anthony Browne アントニー・ブラウン/アンソニー・ブラウン 『すきですゴリラ』

■はじめに Introduction

ハナちゃんはゴリラが大好き。でも、パパは……


■表紙画像 Cover photos

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zh Zh_gorilla_anthony_browne zh Zh_trad_gorilla_anthony_browne

ko Ko_gorilla_anthony_browne ja Ja_sukidesu_gorilla_2

he He_gorilla_anthony_browne_3 es Es_gorila_anthony_browne_2

fr Fr_anna_et_le_gorille_2 en En_gorilla_big_books_2


■言語と書誌情報 Linguistic and bibliographic information

[zh] 中国語(簡体字)
タイトル: 大猩猩 启发系列绘本(启发绘本)
著者: 作者: (英) 安东尼·布朗 (Anthony Browne) 文图  译者: 林良
ハードカバー
出版社: 河北教育出版社
出版年: 2007-04-01
ISBN-10 : 754346464
ISBN-13 : 9787543464643


[zh] 中國語(繁體字)
タイトル: 大猩猩
著者: 作者  安東尼.布朗 Browne, Anthony  譯者: 林良
ハードカバー
出版社: 格林文化事業股份有限公司
出版年: 2005-02-24
ISBN-10 :
ISBN-13 : 4717702039769
More info at 誠品網路書店 (www.eslite.com)


[ko] 韓国語
タイトル: 고릴라 (Gorilla)
著者: 앤서니 브라운 
出版社: 유아열람실
出版年: 2007
ISBN-10 : 8949110482
ISBN-13 :
More info at:
* Bandi & Luni's
* YES24


[ja] 日本語
タイトル: すきですゴリラ あかねせかいの本 (12)
著者: アントニー・ブラウン 
大型本
出版社: あかね書房
出版年: 1985-12
ISBN-10 : 4251005120
ISBN-13 : 9784251005120


[he] ヘブライ語
タイトル: גורילה (Gorilla)
著者: Anthony Browne 
ハードカバー
出版社: Modan Publishing House
出版年: 2008-06-10
ISBN-10 : 9657141583
ISBN-13 : 9789657141588


[es] スペイン語
タイトル: Gorila (Especiales de a la Orilla del Viento)
著者: Anthony Browne 
ハードカバー
出版社: Fondo De Cultura Economica USA
出版年: 1995-10
ISBN-10 : 9681636503
ISBN-13 : 9789681636500


[fr] フランス語
タイトル: Anna et le gorille
著者: Anthony Browne 
ハードカバー
出版社: Kaleidoscope
出版年: 1996
ISBN-10 : 2877671127
ISBN-13 : 9782877671125


[en] 英語
タイトル: Gorilla (Big Books)
著者: Anthony Browne 
ハードカバー
出版社: Walker Books Ltd
出版年: 2000-11-06
ISBN-10 : 0744578477
ISBN-13 : 9780744578478


■挿絵見本 Sample illustrations

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 Anthonybrownegorillail005_2  Anthonybrownegorillail002_2

 Anthonybrownegorillail004_2
 Image source: Guardian.co.uk


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) tomoki y. 2010
ハナちゃんはゴリラがだいすき。よむほんは、ゴリラについてのほん。みるテレビは、ゴリラのばんぐみ。えにかくのも、ゴリラのえ。でも、ほんもののゴリラは、まだいちどもみたことがありませんでした。

ハナちゃんのパパは、おおいそがし。ゴリラをみに、どうぶつえんへつれていってくれるひまがなかったのです。というより、なんにもするひまがなかったのです。

   アントニー・ブラウン=文・絵 Tomoki Yamabayashi=抜粋訳
   『ゴリラ』
   tomokilog - うただひかるまだがすかる 2010-01-27
   下の山下氏の訳を、あえて見ないでつくった拙訳。おそまつさま。


(2) 山下 1985
ハナは、ゴリラが だいすき。ゴリラの ほんは いっぱい よんだし、ゴリラのテレビも いっぱい みたし、ゴリラのえも いっぱい かいた。だけどね、ハナは まだいちども、いきている ゴリラを みたことがないんだ。 ハナのおとうさんは、どうぶつえんに ハナを つれていってくれるひまが ないんだって。おとうさんったら、なにをする ひまもないんだ。

    アントニー・ブラウン=作・絵 山下明生(やました・はるお)=訳
   『すきですゴリラ』 あかねせかいの本12
   あかね書房 1985-12-10


■英語原文 The original text in English

Hannah loved gorillas. She read books about gorillas, she watched gorillas on television, and she drew pictures of gorillas. But she had never seen a real gorilla.

Her father didn't have time to take her to see one at the zoo. He didn't have time for anything.

   Gorilla
   Story and Pictures by Anthony Browne
   First published 1983 by Julia MacRae Books
   Excerpt at Amazon.co.jp


■外部リンク External links

 [en] English
   * Anthony (Edward Tudor) Browne (1946-) Biography
   * Anthony Browne - WorldCat Identities
   * Anthony Browne - Wikipedia (1946–  )

 [ja] 日本語
   * アンソニー・ブラウン - やまねこ翻訳クラブ
   * アンソニー・ブラウン - 絵本ナビ


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■洋書 Books in non-Japanese languages

■和書 Books in Japanese

   

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Tuesday, 19 January 2010

The Son of the Chimera (from Pereat Mundus) by Leena Krohn レーナ・クルーン(『ペレート・ムンドゥス』より)「キメラの子」

■はじめに Introduction

再生医療やクローン技術など、生命科学は日々、進歩している。もしあなたの父親が、チンパンジーとオオカミとヤギと人間のハイブリッド(混合種)だとしたらどうだろう?

そんな小説を書いた人がいる。レーナ・クルーン (1947-  ) というフィンランドの女性作家。邦訳はこれまでに5、6冊出ている。著書『ペレート・ムンドゥス』の裏表紙折り返しには「現代フィンランド文学を代表する作家の一人」と紹介されている。

叙事詩『カレワラ』を読んでいないわたしにとっては、トーベ・ヤンソンのムーミン・シリーズ以来はじめて接するフィンランド文学の作品だ。もっとも、トーべ・ヤンソンはスウェーデン系フィンランド人なので作品はスウェーデン語で書いた。だから「フィンランド語」作家としては、レーナ・クルーンがわたしにとって初めての人ということになる。


■表紙画像 Cover photo

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ja Ja_pereat_mundus_2 en En_pereat_mundus fi Fi_pereat_mundus


■言語と書誌情報 Linguistic and bibliographic information

[ja] 日本語
タイトル: ペレート・ムンドゥス—ある物語
著者: レーナ・クルーン 
単行本
出版社: 新評論
出版年: 2005-09-10
ISBN-10 : 4794806728
ISBN-13 : 9784794806727
版元による この本の紹介


[en] 英語
タイトル: Pereat Mundus
著者: Leena Krohn 
ペーパーバック
出版社: Omnidawn Publishing
出版年: 2010-01-30
ISBN-10 : 1890650404
ISBN-13 : 9781890650407
Publisher's page for this book


[fi] フィンランド語
タイトル: Pereat mundus. Romaani, eräänlainen
著者: Leena Krohn 
出版社: WSOY
出版年: 1998
ISBN-10 : 9510230057
ISBN-13 : 9789510230053
Publisher's page for this book


■日本語訳 Translation into Japanese

(1) tomoki y. 2010 (下の英訳版からの重訳)
わたしが生まれたのは、だれが望んだからでもない。生まれることが可能だということすら、だれも知らなかった。なぜなら、わたしの母は人間、父はキメラだったから。父は複合交配種としては草分けの部類に属する個体だった。

父の姿を写したものは一枚しか残っていない。写真ではなくて水彩画で、母が描いたものだ。絵のなかで父は肘掛け椅子に座っている。片手に本を持ち、両方のひづめをそっと重ねている。母によれば、父は挿絵つきの本をパラパラとめくるのが好きだったという。といっても、字は読めなかったそうだ。エレガントな淡い青色のスーツの上衣を着ているが、ズボンは穿いていない。力強い脚は腿(もも)からひづめまで灰色の毛でびっしりと覆われている。突き出た額には小さな両角が優美に弧を描いている。顔でとくに目立つのは、丸くて黄色い両眼と、とてつもなく横長の口と、小さな顎(あご)と、ばかでかい、しかし平べったい鼻だった。[以下略]

   「キメラの息子」
   レーナ・クルーン=作 Tomoki Yamabayashi=抜粋訳
   『ペレート・ムンドゥス』
   tomokilog - うただひかるまだがすかる 2010-01-19

   下の末延氏の邦訳はあえて参照せずに、英訳だけを見てつくった拙訳。
   フィンランド語の原文に、はたしてどこまで忠実な訳になっているかは
   わからない。が、日本語としての自然さでは末延氏の訳に到底及ばない。


(2) 末延 2005
この世に生まれたけれども誰のためでもない。こんなことができるなんて、誰も思ってもいなかった。だって、母親は人間で、父親はキメラなんだ。父は、多種をかけあわせた初期の混合種だった。

父親といっても、絵が一枚残っているだけで、しかも写真ではなく母親が描いた水彩画だ。本を手に肘かけ椅子に座っている父は、しなやかに偶蹄(ぐうてい)を組んでいる。母の話では、字は読めなかったけれど絵本が好きで見ていたらしい。仄かに青みがかった上品な上着だけをはおり、ズボンは履いていない。冷ややかな毛皮がたくましい肢を蹄の先まで覆っていた。ちょこんと突き出た角が、でっぱった額を覆うように優雅にカーブし、顔には——と言うより、顔面には——くりっとした黄色い目に、異様なほどのっぺりとした口、あるようでなさそうな下顎に巨大なぺちゃんこ鼻。[以下略]

注)キメラ: 二種以上の異種間混合によってつくられた生物。

   「キメラの子」
   レーナ・クルーン=作 末延弘子(すえのぶ・ひろこ)=訳
   『ペレート・ムンドゥス—ある物語
   新評論 2005-09-10


■フランス語訳 Translation into French

Je suis né, mais personne ne l'a voulu. Personne n'imaginait même que ce soit possible, car ma mère était une femme et mon père une chimère. Il était l'un des premiers hybrides issus de plusieurs espèces.

De lui, il n'existe qu'un portrait, pas même une photo, juste une aquarelle peinte par ma mère. Mon père y est assis dans un fauteuil, un livre à la main, un sabot gracieusement croisé sur l'autre. Il aimait, au dire de ma mère, à feuilleter des albums illustrés, bien qu'il n'est jamais appris à lire. Il est vêtu d'un élégant veston bleu nuit, mais ne porte pas de pantalon. Une toison gris argenté recouvre ses fortes jambes jusqu'aux sabots. De charmantes petites cornes pointent sur son front bombé. Le plus frappant, dans son visage - ou plus exactement sa face -, ce sont ses yeux ronds et jaunes, sa bouche d'une largeur démesurée, son menton quasi inexistant et son nez étonnamment grand mais plat. [Omission]

   Fils de chimère
   A short story from Pereat mundus by Leena Krohn
   Translated by Hélène Lattunen

   Lit across frontiers
   Transcript est une publication de Littérature Sans Frontières
   E-text at Transcript-review.org


■英訳 Translation into English

I was born, but not because anyone wanted it to happen. No one even knew it was possible, for my mother was a human being, my father a chimera. He was one of the first multi-species hybrids.

Only one picture of my father survives. It is not a photograph, but a water-colour, painted by my mother. My father is sitting in an armchair, book in hand, one cloven hoof placed delicately on top of the other. According to my mother, he liked to leaf through illustrated books, although he never learned to read. He is wearing an elegant, muted blue suit jacket, but no trousers at all. Thick grey fur covers his strong legs, right down to his hoofs. Small horns curve gracefully over his convex forehead. Striking in his face are his round, yellow eyes, his extraordinarily wide mouth, his tiny chin and his surprisingly large but flat nose. [Omission}

   The Son of the Chimera
   A short story from Pereat mundus by Leena Krohn
   Translated by Hildi Hawkins
   Omnidawn Publishing, 2010-01-30
   E-text at Transcript-review.org


■フィンランド語原文 The original text in Finnish

[原文は未見 - tomoki y.]

   Pereat mundus. Romaani, eräänlainen
   by Leena Krohn
   Published by WSOY, 1998


■外部リンク External links

 [fi] フィンランド語
   * Leena Krohn's Official Website

 [en] 英語
   *  Leena Krohn - Wikipedia (1947-  )

 [ja] 日本語
   * フィンランド文学情報サイト / Kirjojen Puutarha
     末延弘子、五十嵐淳の両氏が運営するサイト
      - ペレート・ムンドゥス - Kirjojen Puutarha
      - レーナ・クルーン - Kirjojen Puutarha
      - 末延弘子 - Kirjojen Puutarha
   * レーナ・クルーン - Wikipedia (1947-  )
   * 毎日新聞書評 2006-02-05 評者: 富山太佳夫


■更新履歴 Change log

2010-04-14 富山太佳夫氏による書評へのリンクを追加しました。
2010-01-20 末延弘子=訳 2005-09-10 にあった「キメラ」についての
         注を挿入しました。


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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) Leena Krohn

(2) Finnish literature

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■和書 Books in Japanese
(1) レーナ・クルーン

(2) フィンランド+文学

(3) フィンランド

  

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Sunday, 17 January 2010

Franz Kafka's testament カフカの「遺言」または「遺書」

■Max Brod: Paradies (words written by Franz Kafka)

Max Brod: Paradies - Encyclopedia.com
映し出されるスケッチはカフカ自身が描いたもの。マックス・ブロートがその友カフカの「遺言」にそむき、いわばカフカを裏切ったために、わたしたちは現在こうして目にすることができる。だが、カフカの真意はどうだったか?


■はじめに Introduction

死が近いことを予感していた病身のフランツ・カフカは、自分の既刊・未刊の著作について、どのようにしてほしいと思っていたか? 友人マックス・ブロート宛てに書き残した2枚の紙片が、カフカの死後、彼の机のなかから見つかった。1枚はペン書きで、もう1枚は鉛筆書き。このうち、ペン書きの紙片のほうから下に引用する。


■言語と書誌情報 Linguistic and bibliographic information

[zh] 中国語(簡体字)
タイトル: 城堡 (名著译林) 第1版
著者: 作者: (奥地利)弗朗茨·卡夫卡  译者:米尚志
平装
出版社: 译林出版社
出版年: 2009-01
ISBN-10 : 7544708802
ISBN-13 : 9787544708807
目次


[ja] 日本語
タイトル: ロストブックス—未刊の世界文学案内
著者:スチュアート・ケリー 
単行本
出版社: 晶文社
出版年: 2009-08-22
ISBN-10 : 4794967454
ISBN-13 : 9784794967459
出版社による この本の紹介


[ja] 日本語
タイトル: カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと (理想の教室)
著者:三原 弟平 
単行本
出版社: みすず書房
出版年: 2005-12
ISBN-10 : 4622083159
ISBN-13 : 9784622083153
出版社による この本の紹介


[fr] フランス語
タイトル: Franz Kafka ou le cauchemar de la raison
著者: Ernst Pawel 
Mass Market Paperback
出版社: Seuil
出版年: 1998-01-01
ISBN-10 : 2020257327
ISBN-13 : 9782020257329


[en] 英語
タイトル:The Basic Kafka
著者: Franz Kafka 
マスマーケット
出版社: Pocket
出版年: 1984-06-03
ISBN-10 : 067153145X
ISBN-13 : 9780671531454
目次


[de] ドイツ語
タイトル: Eine Freundschaft. II. Briefwechsel
著者: Max Brod Franz Kafka 
ハードカバー
出版社: Fischer S. Verlag
出版年: 1989-03
ISBN-10 : 3100083067
ISBN-13 : 9783100083067


■表紙画像 Cover photos

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zh Zh_kafka_castle_3 ja Ja_lost_books ja Ja_mihara_kafka_danjiki

fr Fr_le_cauchemar_de_la_raison en En_the_basic_kafka de De_eine_freundschaft_briefwechsel


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 金原+野沢+築地 2009
親愛なるマックス、最後のお願いだ。ぼくが残したもの(つまり、自宅と仕事場の本棚、整理ダンス、机のなか、その他どこにせよ、きみがみつけたもの)はすべて、ノート、原稿、手紙(ぼくが書いたものも、ぼく宛のものも)、スケッチ等、どんなものであれ、一ページも読まずに燃やしてほしい。また、ぼくの書いた原稿やメモなどで、きみが持っているものはもちろん、他の人々が持っているものもぼくに代わってもらい受け、燃やしてほしい。[以下略]

   第22章 フランツ・カフカ
   スチュアート・ケリー=著
   金原瑞人(かねはら・みずひと)+野沢佳織(のざわ・かおり)
   +築地誠子(つきじ・せいこ)=訳
   『ロストブックス—未刊の世界文学案内
   晶文社 2009-08-25 【目次


(J2) 三原 2005
ぼくの遺品中に日記、原稿、自他を問わず手紙類、素描画(スケッチ)などが見つかったら、残らず、読まずに、焼いてしまってくれ。また、君やほかの人(彼らにはぼくの名で君からたのんでくれ)が持っているすべての書きものや素描画(スケッチ)類も同様だ

   第2回 〈わたし〉の寓話
   三原弟平(みはら・おとひら)=著
   『カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと』 理想の教室
   みすず書房 2005-12-10


(J3) 明星 2002
親愛なるマックス、最後のお願いだ。僕の遺品中に(つまり、本棚、戸棚、自宅と事務所の机、その他どこでも何かがしまわれているところ、君の気づいたところで)、日記、原稿、自他を問わず手紙、スケッチなどがみつかったら、残らず、読まずに焼いてくれ。また、君やほかの人がもっている原稿やスケッチも——ほかの人の分は僕の名で君から頼んで手に入れて——同様に焼いてほしい。[以下略]

   第一章 カフカの「遺書」
   明星聖子(みょうじょう・きよこ)=著
   『新しいカフカ——「編集」が変えるテクスト
   慶應義塾大学出版会 2002-02-15


(J4) 辻 1966
親愛なマックス、私の最後の頼みだ。私の遺品のなかに(つまり本箱や、下着のたんすや、家と事務所の机のなかや、あるいはそのほかどこなりと、なにかを入れ忘れてあって、君が思いつくようなところすべてだが)、日記、原稿、人から来たのと私が人にあてて書いた手紙、 絵に描いたもの等々で見つかるものは、一つも残らず読まないで焼きすててくれたまえ。僕の書いたもの描いたもので、君が持っていたり、ほかの人の手中にあるものについても、おなじことだ。ほかの人たちには僕の名前で君から頼んでほしい。[以下略]

   「あとがき」(訳者による)
   カフカ=作 辻瑆(つじ・ひかる)=訳
   『審判』 岩波文庫 1966-09-10


(J5) 中野 1981, 1992
愛するマックス、最後の頼みだ。ぼくの遺品中に(つまり、本箱、戸棚、自宅と事務所の机、その他どこでも何かがしまわれているところ、きみの気づいたところで)、日記、原稿、自他を問わず手紙、スケッチ、等々が見つかったら、残らず、読まずに焼いてしまってくれ。またきみやほかの人が(彼らにはぼくの名できみから頼んでください)持っている手紙やスケッチも同様に焼いてくれたまえ。[以下略]

   マックス・ブロート=筆 中野孝次(なかの・こうじ)=訳 「最初の版のあとがき」
     マックス・ブロート=編 フランツ・カフカ=著 中野孝次=訳
   a.決定版 カフカ全集5 審判』(全12冊セット)
     新潮社 1992-10-10
   b.決定版 カフカ全集5 審判
     新潮社 1981-01 【詳細
   引用は a. に拠りました。


(J6) 大山 1954
マックス君、ぼくの最後のねがいだ。ぼくの遺稿の全部(というのは、本棚や整理ダンスや机のなか、家のなかと事務所のなかを問わず、およそ何かがどこかに持つてゆかれ、それが君の眼にとまるかぎり)日記、原稿、自他の手紙、覺え書の類(たぐい)は、一つのこらず、中味を讀まずに、焼却してくれたまえ。ぼくが書いたもの、ぼくがメモしたもので、君の手もとにあるものはもちろん、君以外の人間の持つているものを、いつさい焼き棄ててほしいのだ。他人の手にあるものは、君がぼくに代つて請求してよろしい。[以下略]

   大山定一=筆 「解説」
   『現代世界文學全集7 審判・變身・流刑地にて
   新潮社 1954-07-20


(J7) 原田+渡邊+石中 1954
最も親愛なマックス、僕の最後の賴みだ。私の遺品中に、(つまり、本箱、下着戸棚、家や事務所の机、そういつたものの中、或いはそのほかの何かを入れてありそうなところとか君の氣についた場所とかで)日記、原稿、他人のでも僕のでも手紙類、 描いたもの、その他あるものはなんでも、殘らず、讀まないで、焼いてくれたまえ。同樣に、君や、君が僕の名の下に賴んでくれるようお願いするが、ほかの人々が持つている書き物やスケッチ類は、すべて焼いてくれたまえ。[以下略]

   マックス・ブロート=筆 原田義人(はらだ・よしと)
   +渡邊格司(わたなべ・かくじ)+石中象治(いしなか・しょうじ)=譯
   「初版の跋文」
   マックス・ブロート=編 カフカ=著 原田+渡邊+石中=譯
   『カフカ全集2 審判・アメリカ
   新潮社 1953-04-30
   一人称が「僕」だったり「私」だったり不統一だが原文のまま。

■フランス語訳 Translation into French

(F1) Pawel, 1988
Mon cher Max Brod, voici mon dernier souhait : tout ce qui peut se trouver dans les papiers que je laisse (dans l'armoire à livres, les placards à linge, les tiroirs de la table de travail à la maison et au bureau, et tout ce qui aurait pu s'égarer ailleurs et que tu pourrais remarquer), journaux, manuscrits, lettres écrites, ou revues, dessins etc..., je te prie de les brûler, sans rien en laisser et sans le lire, comme aussi tous mes écrits ou dessins qui peuvent se trouver chez toi ou chez d'autres auxquels je te demande de les réclamer en mon nom.

   Franz Kafka ou le cauchemar de la raison by Ernst Pawel
   Points Ed. du Seuil, 1988
   E-text at Jacqueline Sudaka-Bénazéraf [PDF]
   Excerpt at Vers une affaire Kafka? - NouvelObs.com


(F2)
Mon très cher Max, ma dernière volonté: tout ce qui se trouve dans ce que je laisse derrière moi (donc dans la bibliothèque, l'armoire à linge, la table de travail, chez moi et au bureau ou bien dans quelque lieu où cela aurait été transporté et tomberait sous tes yeux), tout, qu'il s'agisse de journaux intimes, de manuscrits, de lettres (écrites par moi ou par d'autres), de dessins, etc., doit être totalement brûlé sans être lu, de même tous les textes et tous les dessins que toi ou toute autre personne à qui tu devras les demander en mon nom pouvez détenir.

   Premier testament
   E-text at Kafka: testaments - Minotaure


■英訳 Translation into English

Dearest Max, My last request: Everything I leave behind me (in my bookcase, linen-cupboard, and my desk both at home and in the office, or anywhere else where anything may have got to and meets your eye), in the way of diaries, manuscripts, letters (my own and others'), sketches, and so on, [is] to be burned unread; also all writings and sketches which you or others may possess; and ask those others for them in my name. [Omission}

   Publisher's Note
   The Castle by Franz Kafka, translated by Mark Harman
   Schocken Books, 1998-12-31
   E-text at:  Nabokov's Attempted Murder - Vladimir Nabokov Forum
   Excerpt at:
   * Wikipedia > Book burning > In literature and film
   * Scribd


■ドイツ語原文 The original text in German

Liebster Max, meine letzte Bitte: alles was sich in meinem Nachlass (also im Bücherkasten, Wäscheschrank, Schreibtisch zuhause und im Bureau, oder wohin sonst irgendetwas vertragen worden sein sollte und Dir auffällt) an Tagebüchern, Manuscripten, Briefen, fremden und eigenen, Gezeichnetem u.s.w. findet restlos und ungelesen zu verbrennen, ebenso alles Geschriebene oder Gezeichnete, das Du oder andere, die Du in meinem Namen darum bitten sollst, haben. [Omission]

   Kafkas Testamente
   Max Brod und Franz Kafka : Eine Freundschaft. II. Briefwechsel
   Hrsg. von Malcolm Pasley,
   Frankfurt am Main : S. Fischer, 1989-03-01
   上掲 明星氏著書の日本語表記によれば、
   1989年に出版されたマルコム・ペィスリー編集の手紙集
   『マックス・ブロートとフランツ・カフカ、友情の記録、第二巻、手紙篇』
   E-text at Franz Kafka (www.franzkafka.de)
   Excerpt at Wikipedia


■外部リンク External links

 [de] Deutsch
   * Franz Kafka - Wikipedia (1883-1924)

 [en] English
   * Franz Kafka - Wikipedia (1883-1924)
   * The Complete Stories of Franz Kafka - Wikipedia
   * Joseph K.'s Franz Kafka Homepage
   * Piotr Dumala - AWN Famous Animator Gallery Series

 [ja] 日本語
   * フランツ・カフカ - Wikipedia (1883-1924)
   * フランツ・カフカ - 青空文庫


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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) Kafka + Brief

(2) Kafka + letters

(3) Franz Kafka

■和書 Books in Japanese
(1) カフカ+手紙

(2) カフカ

■DVD

■CD

  

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Wednesday, 13 January 2010

Atlas of Human Migration by Russell King ラッセル・キング 『図説 人類の起源と移住の歴史』

■スティーヴン・オッペンハイマー教授の描く「人類の旅」
 Journey of Mankind by Stephen Oppenheimer

もともとアフリカ東部の熱帯にいた少数のグループの人間たちが、過去160,000年のあいだに、全地球上に広がっていく様子を、時間を追って示したインタラクティブ動画地図。気候変動が人類の移動におよぼした影響も、氷河の拡大・縮小などによって同時進行で示されている。ここ で見られる。 To view this interactive map, click here .

Journey_of_mankind_map
   Image source: The Bradshaw Foundation
   Stephen Oppenheimer - University of Oxford
   Stephen Oppenheimer - Wikipedia


■はじめに Introduction

人類の祖先のアフリカから諸大陸への広がり、ゲルマン系「蛮族」の移動、イスラム系勢力やモンゴル人の侵略、新大陸への移住、アフリカと欧米とのあいだの奴隷貿易、アイルランド人のアメリカ移民、ロシア・東欧系ユダヤ人の亡命、華僑たちの世界への拡散、などなど。

ラッセル・キング教授が編集した『図説 人類の起源と移住の歴史』は、人類史における大規模な人口の移動のうちの主なものを、もれなく取りあげて、見やすくわかりやすい地図や写真で示した良書。日本語版は値が張るが(定価:本体12,000円+税)、図書館でも本屋の立ち読みでもいいから、ぜひ一度ご覧になるとよいと思う。


■表紙画像 Cover photos

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ja Ja_jinrui_no_kigen_to_iju_2  cz Se_lidskemigraceoriginal en En_us_2010_atlas_of_human_migration

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■言語と書誌情報 Linguistic and bibliographic information

[ja] 日本語
タイトル: 図説 人類の起源と移住の歴史—旧石器時代から現代まで
著者: ラッセル・キング=編 蔵持不三也(くらもち・ふみや)=監訳
    リリー・セルデン(Lili Selden)=日本語訳
ハードカバー (大型本)
出版社: 柊風舎(しゅうふうしゃ)
出版年: 2008-11
ISBN-10 : 490353023X
ISBN-13 : 9784903530239


[cz] チェコ語
タイトル: Atlas lidské migrace
著者: Russell King
ハードカバー 
出版社: Mladá fronta
出版年: 2008
ISBN-10 : 8020417060
ISBN-13 : 9788020417060
More info at Legenda Online


[en] 英語(アメリカ)
タイトル: The Atlas of Human Migration: Global patterns of people on the move
著者: Russell King 
ハードカバー
出版社: University of California Press (Berkeley)
出版年: 2010-09 (forthcoming)
ISBN-10 :
ISBN-13 :


[en] 英語(南アフリカ共和国)
タイトル: Origins: An Atlas of Human Migration [No image]
著者: Russell King 
ハードカバー
出版社: Struik Publishers (Cape Town)
出版年: 2008-09-01
ISBN-10 : 1770076727
ISBN-13 : 9781770076723


[en] 英語(アメリカ)
タイトル: Atlas of Human Migration
著者: Russell King Jonathan Bastable 
ハードカバー
出版社: Firefly Books (New York)
出版年: 2007-11-02
ISBN-10 : 1554072875
ISBN-13 : 9781554072873
Publisher's page for this book


[en] 英語(イギリス)
タイトル: The History of Human Migration
著者: Russell King, Peter Mitchell, Michael Whitby, Leonie Hicks, Janet Dickenson
ハードカバー
出版社: New Holland Publishers (London)
出版年: 2007-08-31
ISBN-10 : 1845377966
ISBN-13 : 9781845377960
More info at Booktopia.com.au


[en] 英語(オーストラリア)
タイトル: Origins: An Atlas of Human Migration
著者: Russell King 
ハードカバー
出版社: ABC Books for Australian Broadcasting Corporation (Sydney)
出版年: 2007-01
ISBN-10 : 073331936X
ISBN-13 : 9780733319365
More info at Dymocks.com.au


■労働人口の移動— 『人類の起源と移住の歴史』 英語版ページ見本
 Labour Migration: Sample page from the Atlas of Human Migration

左ページは戦後の日本、右ページはヨーロッパにおける労働人口の移動パターン。

↓ Click to enlarge ↓

Migration_sample_page
 Image source: Myriad Editions


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) tomoki y. 2010
 人類の移住とは何か?
 ふつうの辞書でしらべると、おおよそ次のように定義されている。すなわち、「ある国・地域から、べつの国・地域へと、人々が移動し定住すること」であると。しかし、このような定義では、移住の持つ意味の奥深さや広がりは、ほとんど伝わらない。現代世界についてみても、長い歴史においてみても然り。
 いわゆる先進国における入国管理の問題を考える際、ともすれば見逃されがちな点がある。それは移住が、長い歴史を通じて多くの地域に根本的な利益をもたらしてきたという点、言いかえると、移住のおかげで、多くの都市ばかりか一国の全体さえもが、経済を成長させ、その土地固有の長所をはぐくむことができたという点である。
 本書が語るのは、文明と文明の移動、すなわち概念と文化の移動についての一大叙事詩、より良い生活を求めて生まれ故郷を去る人々を主人公とした一大巨編である。
 情報伝達と教育を目的とする、ほかのすべての良書がそうであるように、本書では世界中から丹念に選び出された興味あふれる詳細な現地のケーススタディを援用する。それによって、人類史を連綿と紡いできた移住についての「壮大なドラマ」を輝かしく照らし出すものである。

   はじめに
   ラッセル・キング=編 Tomoki Yamabayashi=抜粋訳
   『(仮題)人類移住大アトラス』
   tomokilog - うただひかるまだがすかる 2010-01-11
   下のセルデン氏の訳をあえて参照せずにつくった拙訳。
   文意は比較的読み取りやすいかと思うが、滑らかさのない
   生硬な訳になっている。


(2) セルデン 2008
一般的な辞書で人間の移住について調べてみようか。そこには、「ある場所ないし国から別の地に移り住む人々の動き」といった定義が述べられているだけで、 現代世界や通史におけるこの現象の深い意味や規模まで示唆しているものはほとんどない。今日、いわゆる先進国では移民をどう制限するかが関心の的となっている。しかし、そこでは移民たちが時代を超えて多くの地にもたらした根本的なさまざまな恩恵、経済発展のみならず、多くの都市の、いや、国全体の特徴すらもつくりあげてきた恩恵が、ややもすれば見過ごされている。本書では、世界各地の文明とその変容に関する壮大な物語が語られているが、畢竟それは、旅に対する考え方や文化の、さらにはよりよい生活を求めて故郷を離れる人々の物語となる。何かを知らせ、教えようとする善良な書と同様、本書は、世界各地から慎重に選ばれた魅力的で詳細な事例研究を用いながら、人類史の流れの中で絶えずくり返されてきた、移動や移住の「グランド・ナラティヴ(偉大な物語)」を浮彫りにしようとするものである。

   序文
   ラッセル・キング=編 蔵持不三也(くらもち・ふみや)=監訳
   リリー・セルデン(Lili Selden)=日本語訳
     ファーストネームの表記は、表紙・扉・奥付が「リリー」、
     奥付上の訳者略歴と裏表紙折り返しが「リリィ」
   『図説 人類の起源と移住の歴史—旧石器時代から現代まで
   柊風舎(しゅうふうしゃ) 2008-11-20
   出版社による 内容詳細


■英語原文 The original text in English

The standard dictionary definition of human migration, which usually runs along the lines of "the movement of people from one place or country to settle in another," suggests little of the depth of meaning or the scale of the phenomenon, both in the contemporary world and throughout history. The current preoccupation with controlling immigration in the so-called developed world tends to overlook the fundamental benefits that migration has brought to many places through the ages, contributing to both the economic development and the special character of many cities and even entire countries. This book tells this epic story of civilizations and their movement -- of ideas and cultures that travel, and of people leaving home in search of a different and better way of life. Like all good books that seek to inform and educate, it brilliantly illuminates the "grand narrative" -- of the constant thread of migration running through the weave of human history -- using the fascinating detail of local case studies carefully selected from around the world.

   Introduction
   Atlas of Human Migration
   Editor-in-Chief: Russell King
   Firefly Books, 11/02/2007
   Publisher's page for this book


■外部リンク External links

   * Russell King - University of Sussex
   * Review: Atlas of Human Migration - Barnes & Noble


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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) Russell King + migration

(2) atlas + migration

■和書 Books in Japanese
(1) 移住+歴史

(2) 移民+歴史

(3) 移住

  

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Monday, 04 January 2010

Letter from Johann Wolfgang von Goethe to Charlotte von Stein ゲーテからシャルロッテ・フォン・シュタインへの手紙

■はじめに Introduction

シャルロッテ・フォン・シュタインは、ゲーテの親友だった女性。ゲーテの芸術と人生に大きな影響を与えたとされる。


■切手と本の表紙 A postal stamp and book covers

↓ Click to enlarge ↓

a. Charlotte_von_stein_timbre b. Ja_goethe_zenshu_15 c. De_briefe_von_goethe_schiller

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 堀田 1994
 そうなんです、ロッテ。今やっとあなたが私の半身で、これからもそうだということが、よく分かったのです。私だけでは何者でもありませんし、一人立ちした存在でもありません。あなたに私の弱さのすべてを支えてもらい、私のひ弱な部分を守ってもらい、私の足りなさを補うのです。だから、あなたと離れているとき、私はとても奇妙な状態に陥ることになります。一方で武装し、しっかりと鍛えるのですが、他方で生卵のようにもろいのです。というのも、あなたが私の防御であり隠れ屋となってくれているために、鎧を着けるのを怠っていたからです。ああ、完全にあなたのものとなって、もうすぐあなたに逢えるのは、どんなにうれしいことでしょうか。
 私はあなたのすべてを愛しておりますし、どんなことからでも更にあなたを愛するようになるのです。[略]

   ゲーテからシャルロッテ・フォン・シュタインへ
   一七八四年六月二十八日、アイゼナハ

   ダニエル・ヴォル=編 堀田敏幸(ほった・としゆき)=訳
   『愛の手紙』 小沢書店 1994-08-20
   原書: Mots d'Amour by Danielle Volle. Jean-Claude Lattès, 1991.


(J2) 小栗 1981, 2003
 まことに、愛するロッテよ、君こそはぼくの半身であることを、いつまでもそうであることを、いまにしていよいよはっきり感じる。ぼくは一人の、自立した存在ではない。ぼくの弱点はことごとく君によせかけてしまった。軟弱な面は君によって守り、欠陥は君によってふさいだ。こうしてはなれていると、ぼくの状態はすこぶる妙なものになってしまう。一面ではぼくの装備は万全だが、他面では生卵のようなものだ。君が楯とも覆いともなっているのをいいことにして武装を怠ったからだ。ことごとく君のものとなるのはなんという喜びだろう。もうすぐお会いできる。
 君のすべてを愛する。すべてが君をいやましに愛させずにはおかない。[略]

   シャルロッテ・フォン・シュタインあて
   アイゼナハ、一七八四年六月二十八日

   小栗浩(おぐり・ひろし)=訳 「書簡」
   a.ゲーテ全集15 書簡 年譜 他』 潮出版社 新装普及版 2003-11
   b.ゲーテ全集15』 潮出版社 1981-11-25
   引用は b. に拠りました。


(J3) 木村 1937, 1948
 まことに、愛するロツテよ、今こそ初めておんみが僕自身の半身であり、且いつ迄もさうであることが明かになる。僕は個立的存在でもなければ、獨立的存在でもない。僕は弱點の全部をあげておんみに凭せかけ、おんみによつて僕の薄弱な側面を防護し、おんみによつて僕の缺陷を充塡した。ところが僕がおんみから遠く離れると、僕の狀態は極めて不思議なものとなる。一面に於て僕は物の具にきびしく身を堅めてはゐるが、他面ではまるでなまの玉子の樣なものだ。その譯は僕は、おんみが僕の掩護物とも楯ともなつてくれるところでは、わが身に物の具を裝ふのを怠つたからである。全くおんみのものとなりきり、近々のうちに再會できるのを、僕はいかばかり愉しいことに思つてゐるだらう!
 僕はおんみに關はる一切を愛する。而して一切が僕をしていよ/\おんみを愛させるのだ。[略]

   シヤルロツテ・フオン・シユタイン宛
   〔アイゼナハ〕 八四年六月廿八日

   a. ゲーテ=著 木村謹治(きむら・きんじ)=譯 
     『人間創造の記録(上) ゲーテ書簡・日記2』 櫻井書店 1948-11-20
   b. ゲーテ=著 木村謹治(きむら・きんじ)=譯 
     『ゲーテ全集30 書簡及び日記第2冊』 改造社 1936-09-19(昭和11)
   引用は a. に拠りました。


(J4) 舟木 1928
 今初めて、あなたが私自身の半身であることがはつきり分りました。私は一つの、獨立した存在ではないのです。私は總ての私の弱點をあなたによつて支へ、私の缺點をあなたによつて護り、私の缺陷をあなたによつて滿たしてゐるのです。あなたと離れてゐると、私の狀態は非常に不思議なものになります。一方面は武裝し、鍛へられてゐますが、他方面は生玉子のやうなのです。あなたが私を護つて下さる所を、私は武裝するのを怠つてゐたからです。すつかりあなたのものとなつて、ぢきに又あなたにお目にかかることを、私はどんなに悦んでゐることでせう。

   シャルロッテ・フォン・シュタインに
   (アイゼナハ) 八十四年六月二十八日

   ゲーテ=著 舟木重信(ふなき・しげのぶ)=譯 
   『ゲーテ全集18 書簡』 大村書店 1928-02-18(昭和3)


■英訳 Translation into English

  Yes, dear Lotte, now is it first plain how thou hast become and remainest my own half. I am no individual, independent being. All my weaknesses have I hung upon thee, have protected my vulnerable points by thee, have supplied by thee all my defects. When I am far from thee my condition is a strange one. On one side I am armored and weaponed, on the other like a raw egg, for I have neglected to harness myself where thou art shield and shelter. I delight in belonging entirely to thee, and in soon seeing thee again.
  I love everything about thee, and everything makes me love thee more.

   Letter from Johann Wolfgang von Goethe to Charlotte von Stein.
   28 June 1784
   in Unhappy loves of men of genius
   by Thomas Hitchcock
   New York : Harper & Brothers, 1891
   E-text at Internet Archive


■ドイツ語原文 The original text in German

  Ja liebe Lotte ietzt wird es mir erst deutlich wie du meine eigne Hälfte bist und bleibst. Ich bin kein einzelnes kein selbstständiges Wesen. Alle meine Schwächen habe ich an dich angelehnt, meine weichen Seiten durch dich beschützt, meine Lücken durch dich ausgefüllt. Wenn ich nun entfernt von dir bin so wird mein Zustand höchst seltsam. Auf einer Seite bin ich gewaffnet und gestählt, auf der andern wie ein rohes Ey, weil ich da versäumt habe mich zu harnischen wo du mir Schild und Schirm bist. Wie freue ich mich dir ganz anzugehören. Und dich nächstens wieder zu sehen.
  Alles lieb' ich an dir und alles macht mich dich mehr lieben.

   Goethes Verhältnis zu Charlotte von Stein
   [Montag] d 28 Jun 84.
   by Johann Wolfgang von Goethe
   E-text at:
   * Druckansicht - Projekt Gutenberg-DE
   * www.wissen-im-Netz.info
   * Astronomen.net


■外部リンク External links

 [de] Deutsch
   * Johann Wolfgang von Goethe - Wikipedia (1749-1832)
   * Charlotte von Stein - Wikipedia (1742-1827)
 [en] English
   * Johann Wolfgang von Goethe - Wikipedia (1749-1832)
   * Charlotte von Stein - Wikipedia (1742-1827)
 [ja] 日本語
   * ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ - Wikipedia (1749-1832)
   * シャルロッテ・フォン・シュタイン - Wikipedia (1742-1827)


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