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Friday, 26 February 2010

The Autobiography of Benjamin Franklin ベンジャミン・フランクリン 『フランクリン自伝』『フランクリン自叙伝』『勤勉立志 富蘭克林自叙傳』

        目次 Table of Contents

 Image  100ドル紙幣 U.S. $100 note
 Video  90秒でわかるB・フランクリン(仮題)History in a Nutshell: Benjamin Franklin
■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
■フランクリン自伝邦訳リスト List of books with Franklin's autobiography in Japanese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (1) 鶴見 1974
  (2) 斎藤 1973
  (3) 岡田 1973
  (4) 渡辺 1970, 1980, etc.
  (5) 三浦 1968
  (6) 荒木 1964
  (7) 松本+西川 1957, 1960, etc.
  (8) 松本 1937
  (9) 金井 1936
  (10) 阿部 1936, 1998, etc.
  (11) 竹村 1910
  (12) 深沢 1897
  (13) 川上 1897
  (14) 國木田 1896, 1947, etc.
  (15) 望月 1889
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ドイツ語訳 Translation into German
■フランス語訳 Translation into French
 Audio  英語原書の朗読(全巻) Full audiobook of Franklin's autobiography
■英語原文 The original text in English
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Image 
フランクリンの肖像が刷り込まれているアメリカ合衆国の100ドル紙幣の表側
Front of the U.S. $100 Federal Reserve note with a portrait of Benjamin Franklin

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Image source: Wikipedia


 Video 
90秒でわかるベンジャミン・フランクリン(仮訳題)
History in a Nutshell: Benjamin Franklin
A fun and fast paced history report on Benjamin Franklin

Produced by HCPS-TV - Henrico County Public Schools Television in Richmond, Virginia


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

我从小就爱好读书,我一直把我手上的全部零用钱都花在书上。[略]这种对书籍的爱好最后使我父亲决定叫我学印刷业[略]这时我有机会阅读较好的书籍了。

这时我爱上了诗歌,写了几首小诗。我哥哥认为写诗可能以后有用,所以鼓励我并且命我编写两首应时故事诗。一首叫做《灯塔悲剧》,叙述华萨雷船长和他的两个女儿溺毙的故事。[略]这两首都是毫无价值的东西,是用低级小调的格式写成的。

第一首销路很好,因为它所叙述的是新近发生的、曾经轰动一时的事件。这事使我沾沾自喜;但是我父亲却反对,他嘲笑我的诗歌,他说诗人一般都是穷光蛋。

   《富兰克林自传》
   E-text at Kxup.com


■フランクリン自伝邦訳リスト
 List of books incorporating a Japanese translation of Franklin's autobiography

渡辺  1. フランクリン自伝 / フランクリン[他]. -- 中央公論新社, 2004.12.
       -- (中公クラシックス)
阿部  2. 世界名作選. 1 / 山本有三. -- 新潮社, 2003.1. -- (新潮文庫)
阿部  3. 世界名作選. 1 / 山本有三. -- 新潮社, 1998.12. -- (日本少国民文庫)
松本+西川 4. フランクリン自伝 / 松本慎一,西川正身.
       -- 岩波書店, 1982.8. -- (岩波クラシックス ; 10)
渡辺  5. 世界の名著. 40. / 渡辺利雄. -- 中央公論社, 1980.6. -- (中公バックス)
国木田 6. 定本国木田独歩全集. 第8巻 / 国木田独歩全集編纂委員会.
       -- 増訂版. -- 学習研究社, 1978.3
岡田  7. フランクリン自伝 / 岡田忠軒. -- 潮出版社, 1973. -- (潮文庫)
斎藤  8. フランクリン自伝 / 斎藤正二. -- 講談社, 1973. -- (講談社文庫)
渡辺  9. 世界の名著. 33. / 渡辺利雄. -- 中央公論社, 1970
三浦  10. 人生の名著. 第8. / 三浦富美子. -- 大和書房, 1968
鶴見  11. フランクリン自伝 / 鶴見俊輔. -- 旺文社, 1967. -- (旺文社文庫)
国木田 12. 国木田独歩全集. 第8巻. -- 学習研究社, 1965
荒木  13. フランクリン自伝 / 荒木敏彦. -- 角川書店, 1964. -- (角川文庫)
松本+西川 14. 世界ノンフィクション全集. 第11 /
       中野好夫,吉川幸次郎,桑原武夫. -- 筑摩書房, 1960
松本+西川 15. フランクリン自伝 / 松本慎一,西川正身.
       -- 岩波書店, 1957. -- (岩波文庫)
国木田 16. 国木田独歩全集. 第7巻. -- 鎌倉文庫, 1947
松本  17. フランクリン自伝 / 松本慎一. -- 岩波書店, 1937. -- (岩波文庫)
金井  18. フランクリン自叙伝 / ジエー・スパークス[他]. -- 実業之日本社, 1936
阿部  19. 世界名作選. 1 / 山本有三. -- 新潮社, 1936.2.
       -- (日本少國民文庫 ; 第14卷)
竹村  20. フランクリン自叙伝 / 竹村脩. -- 内外出版協会, 1910 
       ■近代デジタルライブリー
深沢  21. フランクリン自伝講訳. 上巻 / 深沢由次郎. -- 静寿館, 1897 
       ■近代デジタルライブリー
川上  22. ベンジャミン・フランクリン自叙伝. 上巻 / 川上武若.
       -- 浅岡書籍店, 1897 ■近代デジタルライブリー
国木田 23. 少年伝記叢書. -- 民友社, 1896
望月  24. ベンジャミン・フランクリン自叙伝 / 望月興三郎(玉砕軒主人).
       -- 上田済生堂, 1889 ■近代デジタルライブリー


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 鶴見 1974
わたしは、子供のころから本を読むのが好きで、少しでも金がはいると、それを本代に使った。[略]父は、わたしがとても本が好きだというのを知って、[略]わたしもまた印刷屋にしたのである。[略]わたしは、兄のところに奉公するようになって、前よりもよい本に接するようになった。[略]

わたしはそのころ、詩にとりつかれており、自分でも短いものをいくつか書いていた。兄はわたしの詩がお金になるかもしれないと考えて、わたしをおだてて、きわものを扱った唄(うた)を書かせた。その一つは、ワージレイク船長が二人の娘といっしょに溺死(できし)した事件をとりあげたもので、「灯台の悲劇」という題であり[略]。両方とも低級なはやり唄のようなくだらないものだったが[略]。

最初のは事件が新しいし、とても評判になっていたときなので、びっくりするほど売れた。わたしがいい気持ちになっていると、父はわたしの自惚(うぬぼ)れをあざ笑って、はやり唄を作るなどということは、だいたい乞食のするようなことだといった。

  • フランクリン=著 鶴見俊輔(つるみ・しゅんすけ)=訳 『フランクリン自伝』 旺文社文庫 1974-11-01

(2) 斎藤 1973
子供のときから、わたしは、読書をするのが大好きだった。そして、少ないながら手にはいる金は、残らず、本を買うのに使ってしまった。[略]この本好きな性質を見て、とうとう、父は、わたしを印刷屋にしようと決心した。[略]わたしは、いまや、以前よりももっとよい書物に接する機会を得た。[略]

いまや、わたしは、詩に夢中になり、いくつかの短詩をつくった。兄は、それが金になるかもしれないと考えて、わたしをおだてあげ、時事譚詩(オケイジョナル・バラード)をつくらせた。一つは「灯台の悲劇」と題するもので、船長ワージレークが二人の娘とともに溺死(できし)した事件を扱い[略]。これらは、いずれも低俗な流行歌ふうに書かれた駄作であった。[略]

最初のほうの詩は、事件が真新しくて大評判になっていたさいだったので、すばらしく売れた。この成功は、わたしの自負心を満足させた。しかし、父は、わたしの作品をさんざんにこき下ろし、小唄作りなんぞというものは大体が乞食みたいなものだと言ったりしたので、わたしはがっかりしてしまった。

  • フランクリン=著 斎藤正二(さいとう・しょうじ)=訳 『フランクリン自伝』 講談社文庫 1973-12-15

(3) 岡田 1973
子供のときからわたしは読書が好きだった。わずかでも金が手にはいると、みんな本に使ってしまう。[略]この本好きを見て、ついに父はわたしを印刷屋にしようと決めた。[略]今では前よりも良い本に接しられるようになった。[略]

そのころわたしは詩が好きになり、いくつかの短い詩を作った。これが利用できそうだと考えた兄は、わたしをおだてて時事歌謡を作らせた。その一つは「燈台悲劇」というので、ワージレイク船長と二人の娘の溺死事件[略]。二つとも低俗な流行歌風のくだらぬしろものだが[略]。

最初の歌はまだ新しい事件で、大評判になっただけに、素晴らしい売行きだった。わたしはすっかり得意になった。だが父はわたしの作品をからかい、歌作りなんか大体乞食と同じだと言って、わたしをがっかりさせた。

  • フランクリン=著 岡田忠軒(おかだ・ちゅうけん)=訳 『フランクリン自伝』 潮出版社 潮文庫 1973-07-20

(4) 渡辺 1970, 1980, etc.
子供のころから、私は本を読むのが好きで、少しでも金が手にはいると、それらを残らず本代に使ったものである。[略]私のこうした本好きの性質をみた父は、ついに[略]私を印刷屋にする決心を固めた。[略]そのころ、私はもっとためになる書物に接する機会をもつようになった。[略]

私はそのころ詩が好きになって、短い詩をいくつか書いていたが、私の兄は、そうした私の詩が金になるかもしれないと考え、私をおだてあげ、時事小唄を作らせたことがあった。その一つは「灯台の悲劇」と題した詩で、二人の娘とともに溺死したワージレイク船長の物語をあつかい[略]。どちらの詩も低俗なはやり歌に類したつまらないものであったが[略]。

最初のほうの詩は、題材にした事件が最近のもので、しかも大さわぎを引き起こしたものだったので、それこそ飛ぶように売れた。私は自分が書いた詩がこのように成功したため、内心得意になっていたが、私の父はせっかく書いた私の作品を笑いものにするとともに、詩などをつくる人間というのは、だいたいにおいて乞食みたいな連中だといって、私のはやる気持に水をさすようなことをしたが[略]

  • フランクリン=著 渡辺利雄(わたなべ・としお)=訳 「自伝」
  • 引用は b. 中公バックス版に拠りました。

(5) 三浦 1968
幼少の頃からわたしは本を読むのが大好きで、手にはいったわずかな金は、全部本を買うのに使った。[略]このように、わたしは本好きだったので、父はわたしを印刷屋にしようと決めたが[略]それまでより、良い本に接するようになり[略]。

わたしはその頃、詩が好きになっていて、短い詩をいくつか書いていた。兄は、わたしの詩でひともうけできるかもしれないと考え、わたしにすすめて、当時のでき事をうたったバラッド(素朴な用語と短い連で書かれた伝説民話を歌う詩)を二篇書かせた。一篇はワージレイク船長が二人の娘と難破したこと(ボストンに最初に作られた灯台の番人、ワージレイクが、妻と一人の娘と事故で溺死したこと。「二人の娘」とあるのは、フランクリンの誤り)をうたって、『燈台の悲劇』と題し[略]。どちらも、低俗なバラッド風のくだらない代物(しろもの)だったが[略]。

『燈台の悲劇』のほうは、事件があってまもなくであったし、大変な騒ぎだったので、驚くほど売れた。こんなに成功したので、わたしはうぬぼれていい気になっていたが、父はわたしの作品をあざけり、へぼ詩人などは、大体乞食なんだと言った。

  • B・フランクリン=著 三浦冨美子(みうら・ふみこ)=訳 「フランクリン自伝」 『人生の名著8』 大和書房 1968-11-30

(6) 荒木 1964
幼少の頃からわたしは本を読むのが大好きで、手にはいったわずかな金は、全部本を買うのに使った。[略]このように、わたしは本好きだったので、父はわたしを印刷屋にしようと決めたが[略]それまでより、良い本に接するようになり[略]。

わたしはその頃、詩が好きになっていて、短い詩をいくつか書いていた。兄は、わたしの詩でひともうけできるかもしれないと考え、わたしにすすめて、当時のでき事をうたったバラッド(素朴な用語と短い連で書かれた伝説民話を歌う詩)を二篇書かせた。一篇はワージレイク船長が二人の娘と難破したこと(ボストンに最初に作られた灯台の番人、ワージレイクが、妻と一人の娘と事故で溺死したこと。「二人の娘」とあるのは、フランクリンの誤り)をうたって、『燈台の悲劇』と題し[略]。どちらも、低俗なバラッド風のくだらない代物(しろもの)だったが[略]。

『燈台の悲劇』のほうは、事件があってまもなくであったし、大変な騒ぎだったので、驚くほど売れた。こんなに成功したので、わたしはうぬぼれていい気になっていたが、父はわたしの作品をあざけり、へぼ詩人などは、大体乞食なんだと言った。

  • B・フランクリン=著 荒木敏彦(あらき・としひこ)=訳 『フランクリン自伝』 角川文庫 1964-11-10

(7) 松本+西川 1957, 1960, etc.
幼い時から私は本を読むのが好きで、わずかながら手に入る金はみんな本代に使った。[略]この本好きの性質を見てとって、父はついに私を印刷屋にすることに決めた。[略]これまでのよりもっと良い書物に接する機会もいまは多くなった。[略]

私はそのころ詩が非常に好きになって短い詩をいくつか書いた。兄はこれは金になるかも知れないと考え、私をおだてて時事小唄(真新しい事件を取扱った民謡風の詩、新聞紙のない時代盛んに行われ、売子が売り歩いた)を作らせた。一つは「灯台の悲劇」という題で、船長ワージレイクが二人の娘とともに溺死(できし)した事件(ボストンに初めてできた灯台の番人ワージレイクが、一七一八年十一月、妻と一人の娘とともに事故で溺死した事件。「二人の娘云々」とあるのは、フランクリンの記憶の誤り)[略]。どちらも低級な流行歌風の愚にもつかぬ代物だったが[略]

最初のほうのは、何しろ事件が真新しく大評判になっていた際なので、すばらしく売れた。この成功でいい気持になっていると、父は私の作品をひやかし、また歌作りという者は大体が乞食のようなものだと言ったりしたので、私はがっかりしてしまった。


(8) 松本 1937
幼い時から私は本を讀むのが大好きで、手にはいる金はみんな本代になつた。[略]この本好きの性質をみて、とう/\父は私を印刷屋にすることに決めた。[略]良書に接する機會も今は多くなつた。[略]

私はこの頃詩が非常に好きになつて幾篇かの短詩を書いた。兄は儲けになるかも知れぬといふ考へから、私を煽てて時事民謡(Occasional ballads. 眞新しい事件を取扱つた民謡風の詩、新聞紙の無い時代盛んに行はれ、賣子が賣り歩いた。)を二つ作らせた。一つは「燈臺の悲劇」といふ題で、船長ウァージレークが二人の娘と共に難船する話[略]。兩方ともくだらぬ駄作で、流行唄風に出來てゐた。[略]

最初の方のは、何分事件が眞新しく大評判になつてゐた際なので、素睛しく賣れた。この成功でいゝ氣持になつてゐると、父は私の作品のあらをほじくり、また一體歌作りといふ者は乞食のやうなものだと云つたりしたので、私はがつかりしてしまつた。

  • フランクリン=著 松本愼一(まつもと・しんいち)=譯 『フランクリン自傳』 岩波文庫 1937-07-01(昭和12)
  • 既の旧字を新字で置き換えました。

(9) 金井 1936
幼い頃から私は本を見るのが非常に好きであつて、手に入つた金は全部殘らず本を買ふのに使つた。[略]私のこの愛書癖をみて父は遂に私を印刷屋にすることに決めた。[略]今度はよい本が澤山手に入るやうになつた。[略]

この頃私は詩が大好きになり自分でも二三の短篇を書いた。兄は之は利用出來ると思つて、私を勵まし、私に勸めて、二つの際物の詩を作らせた。一つは『燈臺の悲劇』といふ題で、ワーセレークといふ船長が二人の娘と共に難船した話を歌つたものであつた。[略]。此等の詩は街の俗歌體で書かれた詰らないものであつたが[略]。

始めの詩は事件が極く最近の事で、大騒ぎになつてゐた爲か、非常に澤山賣れた。この成功に私はすつかり好い氣持になつた。併し父は私の詩を酷評し、詩人は大概乞食だなんかと云つて私の出鼻を挫いてしまつた。

  • フランクリン=著 金井朋和(かない・ともかず)=譯 『フランクリン自叙傳』 實業之日本社 1936-10-12(昭和11)
  • 原文は総ルビですが、ここではルビを省きました。既の旧字と概の旧字を、それぞれ新字で置き換えました。

(10) 阿部 1936, 1998, etc.
子供の時から本好きであつた私は、手もとにはいつてくる金はみな本を買ふことに使ふのだつた。[略]私が本好きなことを見た父は、とう/\私を印刷屋にすることにきめた。[略]いゝ本を手にする機會も多くなつた。[略]

私はそこで詩が非常に好きになつて、ちょつとしたものも作れるやうになつた。兄は、何かの利益になるかも知れん、と思つたのだらう、私をおだてゝ、その頃起こつた事件を題にして二つほど作らせた。一つは『燈臺の悲劇』といふので、ワーシレイク船長とその二人の娘の難船を歌つたもの[略]。どちらも流行唄のやうなつまらぬものだつたが[略]。

第一の方は何分事件が最近の事で大評判になつてゐた時だつたので、ばか/\しいほど賣れた。この成功で私はだいぶ得意になつてゐたが、父は私の詩を批評しながら、詩を作つてゐたんぢやあ乞食になるくらゐが落ちだ、とひやかして、私の氣をくぢくのだつた。

  • ベンジャミン・フランクリン=著 阿部知二=譯 「私の少年時代」—「自叙傳」より—
  • a. は b. を文庫化したもの。b. は c. を新字新かなに改め、判型を変更し、図版の一部を割愛し、装釘・造本に修整を加え、挿し絵を再編集して復刊したもの。a.〜c. はいずれも児童向けの部分訳。引用は c. 1936年版に拠りました。ルビは省略しました。
  • 収録作品一覧: 翻訳作品集成

(11) 竹村 1910
余は幼よりいたく讀書を好み、錢あれば則ち悉く之を書籍購入に費したり。[略]予の讀書熱は、父をして余を印刷業者たらしめんと決心せしむるに至れり。[略]余は今や良書に接する機會を至り[略]

斯くして余は詩を愛讀するに至り、自ら二三小作に筆を執りしが、兄は金儲(かねもうけ)主義より余を奬勵し、當時の出來事を材として二篇の唄を作らしめたり。其の一は『燈臺守の悲劇』といふ。こはウヮーシレーク船長の、其の二女と共に難船したるを歌へるものにして[略]、何れも拙劣見るに堪へずして、歌調亦鄙俗なりしも[略]。

『燈臺守』の歌は、新しく世の注意を惹起せる事件なりしかば、意外に賣れ行けり。此の成功は、甚しく余の虚榮心を煽動せしが、父は余の作を批評して、俗曲作者は乞丐と一般なりとて痛罵せり。[略]。


(12) 深沢 1897
幼少より余は熱心に讀書を好み、余が手に入れる金は悉く書籍の購入に費したり[略]。斯く學問を好めるが故に、終に父をして[略]、余をも活版屋に爲さんと决心せしめぬ。[略]今や余は以前よりよき書物を手に入るゝを得るに至りぬ。[略]

余は今頗る詩歌を好むに至り自らまた二三の短篇を作れり。兄はこれが「もの」になると思ひ、余を奬勵し、二篇の時節柄の俗謡を作らしむるに至りぬ。甲は「燈臺悲劇」と題し、二人の娘を連れ、船長ヲーシレーキが難船せるの話をふくめり[略]二篇共坊間にて歌ふ俗謡躰の悪詩にして[略]。

「燈臺悲劇」の方は、事未だ新しく、大評判を惹き起したるとなれば、非常に賣れたり。斯く成功せるがため、余は得意になりて、詩人たらんなどの虚誇心を催し來りしが、父は余が作を批評し且つ詩人は大概乞食なりと云ひて、余が氣を挫きたり。[略]


(13) 川上 1897
私ノ幼少ノ時ヨリ私ハ熱心ニ讀書ヲ好ミテアリシ而シテ私ノ手ニ迄來リシ所ノ凡テノ金錢ハ書籍ノ購買ニ拂ハレテアリシ[略]。此書籍ヲ好ム傾向ハ[略]遂ニ私ヲシテ印刷業者ト爲スベク私ノ父ヲ決定セシ[略]私ハ今ヨリ善キ書籍ニ迄接近ヲ持チシ[略]。

私ハ今詩ニ向テ猛烈ナル傾向ヲ取リシ而シテ二ノ時事ニ關スル歌ヲ組立ツベク私ヲ導キシ、一ハ燈臺悲劇と唱ヘラレシ而シテ彼ノ二人ノ娘ト共に船長ウォーシレークノ難船ノ物語ヲ保テシ[略]彼等ハ俗謡ノ文体ニ於テノ難澁ナル實質デアリシ[略]。

最初ノモノハ出來事ガ新シク而シテ大ナル聲を爲シタ所デ驚クベク賣レシ、此成効ハ私ノ虚望ヲ悦バセシ乍併私ノ父ハ私ノ著作ヲ批評スルコト及ビ詩人ハ一般ニ乞食デアリシコトヲ私ニ語ル[略]。


(14) 國木田 1896, 1947, etc.
余は幼少の頃より痛く讀書を好み、手中に入る金錢は總てこれを書籍購求の爲めに擲ちたり[略]。父は讀書の好癖あるを見て、終に[略]印刷工たらしめんことに定めぬ。[略]今や好書を得るの機會到來せり。[略]

此時、フランクリンは詩歌を愛讀し、自ら一二の短編をものするに至りぬ。兄ジエームス見て多少の利得あるべしとなす兄に勵まされ二詩を作りぬ。其一を『燈臺悲劇』と題し、ウオルジレーキてふ船長が其二人の娘と共に難船したる事實を歌ひたるもの。[略]

難船の事實は、當時の新聞なりしかば、忽ち人氣を引き、賣口極めて目ざましかりき。此成功は彼れの野心を煽動したれども、父は其作を執て手ひどく批難し、而して曰く『歌讀みは要するに乞食なりき』と。高慢の鼻忽ち折られて[略]

  • 國木田獨歩=著 「フランクリンの少壯時代」
  • 國木田獨歩によるこの著作は、「フランクリン自伝」とは題されていないし、原著者としてフランクリンの名が明示されているわけでもない。しかし、実質的には「自伝」の抄訳といってよい。引用は b. 学習研究社全集版に拠りました。

(15) 望月 1889
少小より讀書を好み、手に入る所の金錢は、悉く投じて書籍を購へり[略]。予が讀書の癖は、畢に父をして予を印刷人とならしむるに至る[略]。

當時予は詩學に耽り、或時試に短篇をものして兄に示せしに兄之れを異とし、更に予をして時事に係はる二つの歌曲を作らしむ、一は燈臺悲劇と名け、キヤピテン、ウオルセレーキが其二人の娘と共に難船に遇ひし事蹟を述べたるものにして[略]。

燈臺悲劇は近事の珍聞に係るを以て、一時之れを購讀するもの多く、大に世人の好評を得たり、此が爲めに予の名譽心を刺衝せしこと酷だしく殆ど身を風流の巷に寄せ、長く紙筆の奴隷とならんとするに至りしも、父大に予の作を非難し、且つ古より詩を能くするものは、多く乞丐人なりと言はれけるが爲[略]。


■ロシア語訳 Translation into Russian

С малых лет я страстно любил читать и все те небольшие .деньги, которые попадали мне в руки, откладывал на покупку книг. [Omission] Эти мои книжные склонности в конце концов привели к тому, что отец решил сделать из меня печатника, [Omission]. Теперь у меня был доступ к более хорошим книгам.

Теперь я пристрастился к поэзии и сам сочинил несколько стихотворений. Мой брат решил, что на этом можно заработать, и стал поощрять меня к сочинительству. По его побуждению я написал две баллады на случай. Одна называлась «Трагедия у маяка», и в ней рассказывалось о кораблекрушении, жертвой которого сделались капитан Уортилейк и его две дочери, [Omission].

Это была жалкая стряпня в духе уличных баллад; [Omission]. Первую из них брали нарасхват, так как описанное в пей событие произошло недавно и наделало большой шум. Этот успех приятно щекотал мое самолюбие, но отец обескуражил меня, высмеяв мои вирши и объяснив, что стихотворцы всегда бывают нищими.


■ドイツ語訳 Translation into German

Von frühester Zeit hatte ich leidenschaftlich gern gelesen, und das bißchen Geld, welches ich erhielt, in Büchern angelegt. [Omission] Meine Vorliebe für Bücher bestimmte meinen Vater endlich, einen Buchdrucker aus mir zu machen, [Omission]. Jetzt hatte ich Zutritt zu besseren Büchern. [Omission]

Damals ergriff mich eine seltsame Leidenschaft für die Dichtkunst, und ich verfaßte mehrere kleinere Sachen. Mein Bruder glaubte dabei seine Rechnung finden zu können und ermunterte und veranlaßte mich, zwei Balladen zu schreiben. Die eine schilderte unter dem Titel: »Die Leuchtturm-Tragödie« den Wellentod des Kapitän Worthilake und seiner beiden Töchter, [Omission]

Es waren, was den Stil anlangt, jämmerliche Verse, wahrhafte Gassenhauer [Omission]. Die erste hatte ungeheuren Absatz, weil der Vorfall noch neu war und viel Aufsehen erregte. Dies schmeichelte meiner Eitelkeit; aber mein Vater wußte meinen Jubel durch Verspottung meiner Erzeugnisse und die Bemerkung zu dämpfen, daß Versemacher meist Bettler seien.


■フランス語訳 Translation into French

D'un enfant j'étais de la lecture affectueuse avec, et tout le peu d'argent cela est entré dans mes mains a jamais été présenté dans les livres. [Omission] Cette inclination studieuse à durée a déterminé mon père pour me faire un imprimeur,  [Omission] Je maintenant eu l'accès aux meilleurs livres. [Omission]

J'ai maintenant apporté une envie à poésie, et fait quelques petits morceaux; mon frère, le penser que, peut tourner pour estimer, m'a encouragé, et m'a mis en composant des ballades occasionnelles. On a été appelé La Tragédie de Phare, et a contenu un compte de la noyade de Capitaine Worthilake, avec ses deux filles, [Omission]

Ils étaient truc misérable, dans le Ver Rue Ballade style,; [Omission] Les premiers se sont vendus merveilleusement, l'événement qui est récent, après ayant fait, un grand bruit. Cela a flatté ma vanité;  mais mon père a découragé j'en ridiculisant mes performances, et me dire aux vers faiseurs été généralement des mendiants.


 Audio  英語原書のオーディオブック(全巻朗読) Full Audio Book
フランク・ウッドワース・パイン編 『フランクリン自伝』
The Autobiography of Benjamin Franklin, edited by Frank Woodworth Pine

Uploaded to YouTube by GreatestAudioBooks on 28 Nov 2012. Audio courtesy of LibriVox. Read by Gary Gilberd.


■英語原文 The original text in English
(The numerals in blue indicate the time shown on the recording above. Click the numerals and you will jump to the exact section.)

45:33 From a child I was fond of reading, and all the little money that came into my hands was ever laid out in books. [Omission] 46:48 This bookish inclination at length determined my father to make me a printer [Omission] 47:38 I now had access to better books. [Omission]

48:17 I now took a fancy to poetry, and made some little pieces; my brother, thinking it might turn to account, encouraged me, and put me on composing occasional ballads. One was called _The Lighthouse Tragedy_, and contained an account of the drowning of Captain Worthilake, with his two daughters [Omission]

48:44 They were wretched stuff, in the Grub-street-ballad style;[17] [Omission] 48:52 The first sold wonderfully, the event being recent, having made a great noise. This flattered my vanity; but my father discouraged me by ridiculing my performances, and telling me verse-makers were generally beggars.  


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013-07-21 目次を新設しました。
  • 2013-03-28 英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012-06-13 ロシア語訳、ドイツ語訳、およびフランス語訳を追加しました。
  • 2011-05-25 「90秒でわかるベンジャミン・フランクリン」(仮訳題)の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010-04-29 阿部知二=訳 1936, 1998, etc. の書誌情報を補足しました。

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Comments

The region also boasted an enviable supply of cheese. While the early New York pizzerias had been forced to sell by the slice to draw lunchtime business, most pies outside the five boroughs were sold whole, making it nearly impossible to eat pizza alone (although Jackie Gleason attributed his girth to having accomplished the feat many times, sometimes within the span of a single meal).

Posted by: Pizza | Tuesday, 22 March 2011 07:36 pm

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