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April 2011

Friday, 29 April 2011

老舍 《骆驼祥子》 (2) 老舎 『駱駝祥子』『ルオトゥオシヤンズ』『らくだのシアンツ』『駱駝のシャンヅ』 (2) Rickshaw Boy / Camel Xiangzi by Lao She (2)

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■はじめに Introduction

いまどきの日本では、人力車を見かける場所というと、浅草・鎌倉・京都・倉敷あたりだろうか。古い町並みの残る観光地以外では、まず見かけない。何度も舞台や映画になった『無法松の一生』を思い出すかたが、いらっしゃるかもしれない。あるいはコルカタ(カルカッタ)を舞台にした、もっと最近の映画『シティ・オブ・ジョイ』 (1992) を連想なさる向きもおありだろうか。

わたしは人力車に乗ったことはない。だが、自転車で引っ張る自転車タクシーなら、1980年代の中国滞在中、南方の蘇州を市内観光した際に乗った。それよりも60年むかしの北京では、人力車は今のタクシー並みにありふれた交通機関だった。『人力車の北京—1920年代の都市住民と政治』 (1993) という本のなかで、著者デヴィッド・ストランド (David Strand) は、こう述べている:

「人口100万人強のこの街で、1日に50万人もの人々を、6万人の男たちが運んだ。社会学者・李景漢 (Li Jinghan) の推定によれば、市内に住む16〜50歳の男性のうち、じつに6人に1人が人力車夫だった。人力車夫とその扶養家族は北京の総人口の20パーセント近くを占めていた」(拙訳。原書該当箇所はここ)。

作家・老舎は生粋の北京っ子である。1936年から1937年にかけて、彼は「らくだのシアンツ」というニックネームの人力車夫を主人公にして小説を書いた。老舎が目をつけたのは、ほろびゆく最底辺の社会階層という、ドラマティックな文学にとって絶好のモチーフだった。1949年の中華人民共和国成立後、共産党政府は人力車夫を抑圧される労働者の代表と見なして目のかたきにし、これを駆逐した。

時代が下って21世紀初めのいま。エコブームのなか、改良型の新しい人力車が一部で注目されている。わたしが蘇州で乗ったのと同じく、人が走って引っ張るのではなくペダルを踏んで進む自転車タクシーのタイプだ。ベロタクシーなどと呼ばれる。電動アシスト付きのタイプもあるそうだ。

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a. David_strand_rickshaw_beijing_2 b. La_cite_de_la_joie c. Muhoumatsu_inagaki_mifune_2


■古今東西の人力車または自転車タクシー
 Rickshaws and cycle rickshaws of various times and places

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a. Berlin_velotaxi_pressefoto_3 b. Kyoto_gion_maiko_20040320_2

c. Calcutta_rickshaw_2004_2 d. Poussepousse_madagascar_3

e. Becak_yogyakarta f. Hanoicyclotour

g. Ricsha_ride_la_1938_2 h. Japanese_rickshaw_c1897_2

  • ベルリンの街を走るベロタクシー。 Image source: Davao City and Samal Island
  • 京都・祇園の舞妓さんが乗っている人力車。2004年。 Image source: 京都祇園観光案内
  • コルカタ(カルカッタ)の人力車。2004年。 Image source: Wikipedia
  • アフリカ南東沖の島国マダガスカルの人力車「プスプス」。 Image source: Wikipedia
  • インドネシアの三輪自転車タクシー「ベチャ」。 Image source: Kompasiana
  • ベトナムの三輪自転車タクシー「シクロ」。 Image source: Vietnam Travel 360
  • ロサンゼルスの観光用人力車。1938年(昭和13)。 Image source: Wikipedia
  • 日本の人力車。1897年(明治30)ごろ。 Image source: Wikipedia

■現代京劇版 『駱駝祥子』 A Beijing opera adaptation of Camel Xianzi

[ja] 演出: 江蘇省京劇院 主演: 陳森蒼(祥子)、黄孝慈(虎妞)
[zh] 演出: 江苏省京剧院 领衔主演: 陈霖苍(祥子)、黄孝慈虎妞
[en] Produced by the Jiangsu Province Jingju Company. Starring Chen Lincang (Xiangzi), Huang Xiaoci (Hu Niu).


■京劇 『駱駝祥子』 Camel Xianzi, a Peking opera production

『駱駝祥子』は映画やテレビドラマだけでなく、上にご覧のとおり京劇にもなった。

中国・江蘇省京劇院による現代京劇版『駱駝祥子』は、初演はいつだったか知らない。が、老舎生誕100周年にあたる1999年の第2回中国京劇芸術祭(第二届中国京剧艺术节)では金賞を受賞した。中国共産党のお墨付きを得た演目といってよいのだろう。北京、南京、上海、マカオなどで公演をかさね、2000年6月には香港で、2002年11月には日中国交正常化30周年を記念して東京(池袋の東京芸術劇場中ホール)でも上演された。

来日公演についての詳しい紹介は鈴木靖三氏のサイトにある。氏のサイトは、あらすじやキャスト・スタッフについての情報だけでなく、文化大革命の混乱のなかで不幸な最期をとげた老舎についての解説(稲田直樹氏による「駱駝祥子の誕生と文豪老舎の死」)も掲載していて、たいへん参考になる。

この公演はDVD化されて発売もされた (a)。中国関係書籍の専門店・東方書店のサイトを見ると、日中対訳の上演台本付きパンフレットも発売されている (b)。主演の陳森蒼氏 (c) (d) は演劇人一家に生まれた著名な京劇俳優だ。

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a. Beijing_opera_rakuda_no_shianzu_dvd b. Beijing_opera_rakuda_no_shianzu_pam c. Chen_lincang
d. Jingju_chen_lincang_xiangzi_4

   a.  現代京劇 駱駝祥子DVD
     * 駱駝祥子DVD - 京劇 楽戯舎
     * 駱駝祥子DVD - 東方書店
   b.  現代京劇 駱駝祥子パンフレット - 東方書店
   c. d.  祥子に扮する陳森蒼。Image source: 互动百科


■英訳 Translations into English

(E1) Goldblatt, 2010
[Omission] where he saw bustling crowds of people and horses, where his ears were bombardes with a cacophany of noises and his nose struck by a dry stench. As he stepped on the spongy dirt road, he felt like getting down on his hands and knees to kiss the ground, the stinking, lovable ground that supplied him with a living. Having no parents, no brothers or sisters, no family at all, Xiangzi had but one friend: this ancient city. It had given him everything [Omission].

   Chapter Four
   Rickshaw Boy: A Novel by Lao She
   Translated by Howard Goldblatt
   Harper Perennial Modern Chinese Classics
   Harper Collins, 2010
   Excerpt at Amazon.com


(E2) Shi, 2005
The medley of horses and people there, the cacophony of sounds, the stench of dust so soft beneath his feet tempted him to stoop down and kiss the malodorous earth, the earth that he loved, that was his source of money. He had no parents or brothers, no relatives at all; the only friend he had was this ancient city. It had given him everything.

   Chapter 4
   Camel Xiangzi by Lao She
   Translated by Shi Xiaojing (施曉菁)
   with an introduction by Kwok-kan Tam (譚國根)
   Chinese-English Bilingual Edition (中英對照), Chinese University Press, 2005
   Excerpt at:


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 中山 1991
[略]人馬の忙しそうな往来を見、複雑な耳を刺す音響を聞き、乾燥した何ともいえない妙な臭いをかぎ、汚れたふわふわした灰のような地面を踏みしめたとき、祥子は、はいつくばって、この埃臭い土地、愛すべき土地、銭を生んでくれる土地に口づけしたいほどに感激した。両親、兄弟、本家、親戚、こんなものの一切ない彼の唯一の親友はすなわちこの古都である。この土地は彼に一切の物をくれ[略]

   四
   中山時子=監修 老舎=著 中山高志(なかやま・たかし)=訳
   『駱駝祥子(ルオトゥオシヤンズ)』 白帝社 1991-03
   底本は人間書屋の初版だと推定される。


(J2) 立間 1970, 1974, etc.
ひっきりなしに行き来する人や馬、ワーンという音、埃(ほこり)のにおい、よごれたやわらかい土。その場に身を投げだして、埃臭い、愛すべき、銀貨を生みだす大地に思いきり口づけしたいほどだった。親も兄弟もない、親戚(しんせき)もない彼にとって、北平は唯一の友だちだった。北平は、彼にすべてをあたえてくれた。

   四
   老舎=著 立間祥介(たつま・しょうすけ)=訳 「駱駝祥子」
   引用は下の a. に拠りました。


(J3) 市川+杉本 1969, 1970, etc.
 めまぐるしく行きかう人馬、さまざまな音がいりまじったざわめき、乾いた馬糞のにおい、そして足の裏に感じる軟らかな土、何もかもがなつかしい。この馬糞臭い土地、愛すべき土地、金を生み出す土地……彼は大地にひれふして接吻したい気持だった。親兄弟もなく親戚もない祥子にとって、心を許せる相手は北平の町だけである。北平は彼にすべてを与えてくれる。

   四
   市川宏+杉本達夫=訳 「駱駝祥子(らくだシアンツ)」
   引用は下の a. に拠りました。底本は人民文学出版社本 1955-01。


(J4) 飯塚 1960, 1961
めまぐるしく人馬のゆきかうのをながめ、入りまじる騒音を耳にし、ほこり臭いにおいが鼻にきて、よごれた軟かい土をふみしめると、ほこり臭いが、金を生む、愛すべき大地に接吻(せっぷん)でもしてやりたかった。父母も兄弟もない、自分の家も親戚もない、彼の唯一の友達はこの古城(北京)だった。この城は彼にすべてをあたえてくれる。

   四
   老舎(ろうしゃ)=著 飯塚朗(いいづか・あきら)=訳
   引用は下の a. に拠りました。a. の底本は人民文学出版社本 1955-01。


(J5) 岡本 1955
人馬のごたつくのが見え、複雑な、耳をさす音が聞え、かわいたにおいがして、やわらかな、よごれた土をふみつけたとき、祥子ははいつくばって、そのほこり臭い、愛すべき、銀貨を生みふやす土地に接吻したかった。父母兄弟も、一人の親戚もないかれの唯一の友達はこの古い町であった。この町は、かれにあらゆるものを与えた。

   老舍(ろうしゃ)=著 岡本隆三(おかもと・りゅうぞう)=譯
   「駱駝の祥子(シアンズ)」
   『老舍作品集』 新中國文學選集 靑木文庫 靑木書店 1955-07-15
   「断魂の槍」、「新月」、「駱駝の祥子」の三作を収録。
   底本は開明書店版『老舎選集』収録のダイジェスト本 1951-08。
   章番号は付いていない。


(J6) 竹中 1943, 1952
 おお! 人が、馬が、車が通る。ゴタゴタと入り乱れて通っている。いろいろな物音が騒然として聞こえて来る。そして一種特別な埃(ほこり)の臭いが、プーンと鼻に襲いかかって来た。靴の底に感じるアスファルトの感触の心地よさ! 祥子はそっと地上に這って、この埃臭い路面に接吻したいような衝動をさえ感じた。愛すべき路(みち)! 彼のために銀貨を産み出してくれる路ではないか!
 父母なく、兄弟なく、親戚も縁者もない彼にとって、この古都北京こそは唯一の友であり、家であるのだ。この北京城こそは彼の必要とする一切のものを与えてくれる。

   四
   老舎(ろうしゃ)=著 竹中伸(たけなか・しん)=訳
   底本は原書「初版本」(下の「原書の版の異同について」の項を参照)
   引用は下の a. に拠りました。


■中國語原文(繁體字) The original text in traditional Chinese

看見了人馬的忙亂,聽見了複雜刺耳的聲音,聞見了干臭的味道,踏上了細軟污濁的灰土,祥子想爬下去吻一吻那個灰臭的地,可愛的地,生長洋錢的地!沒有父母兄弟,沒有本家親戚,他的唯一的朋友是這座古城。這座城給了他一切[略]

   老舍 《駱駝祥子》 第四章
   E-text at:


■中国語原文(簡体字) Translation into simplified Chinese

看见了人马的忙乱,听见了复杂刺耳的声音,闻见了干臭的味道,踏上了细软污浊的灰土,祥子想爬下去吻一吻那个灰臭的地,可爱的地,生长洋钱的地!没有父母兄弟,没有本家亲戚,他的唯一的朋友是这座古城。这座城给了他一切[略]

   老舍 《骆驼祥子》 第4章
   E-text at:


■原書の版の異同について On variations of the editions in Chinese

河出世界文学全集21 魯迅・老舎』 (1989) の市川・杉本両氏による「解説」、岩波文庫 『駱駝祥子』 (1980) の立間氏による「解説」、および中山高志氏訳 『駱駝祥子』 (1991) の中山時子氏による「監修を終えて」の三つの文献、ならびに中国語で書かれたいくつかのウェブサイトを読み比べると、細部にいくつか食い違いが見られる。だが全部を総合すると、『駱駝祥子』各版の刊行の経緯と内容の異同は、だいたい以下のとおりらしい。

  1. 初出は、林語堂が編集していた中国の小品雑誌『宇宙風』第25号(1936-09-16)。この号に第1章が掲載され、そのあと第48号(1937-09-01)まで全24章が連載された。
  2. 1939年  3月 人間書屋(上海)から単行本の初版が発行された。
  3. 1940年     「満州国」版 発行
  4. 1941年11月 文化生活出版社(重慶)版 発行
  5. 1950年  5月 晨光出版公司 初 版 発行
  6. 1951年  2月 晨光出版公司 第二版 発行
  7. 1951年  7月 晨光出版公司 第三版 発行
  8. 1951年  8月 開明書店版『老舎選集』収録のダイジェスト本が発行された。
  9. 1955年  1月 人民文学出版社(北京)版 発行

上記 (6) までの版(かりに旧版と呼ぶ)と、(7) 以降の版(かりに新版と呼ぶ)とのあいだには、注目すべき違いがある。

まず、新版のうち (7) 晨光第三版は、旧版第24章の大部分を削除している。つぎに、(8) ダイジェスト本は旧版全体の約三分の一を削除した短縮版である。とくに、旧版の第23章後半と第24章全部を削除している。さらに、(9) 人民文学出版社版は (8) ダイジェスト本の大削除を踏襲しつつ、なおも (7) 晨光第三版に手直しを加えた「新中国の決定版といえるもの」(立間氏)である。


■邦訳各版の底本について On the source text of Japanese translations

竹中訳は旧版に、岡本訳は (8) ダイジェスト本に、立間 1974 は (7) 晨光第三版および (6) 晨光第二版に、 飯塚訳および市川・杉本訳は (7) 晨光第三版に、それぞれ拠っている。また、立間 1980 は (1) 初出誌および上記 (6) 晨光第二版に拠りながら、立間 1974 の削除箇所を補い、かつ訳文に改訂を加えたものである。中山訳は (2) 人間書屋の初版に拠ったと思われる。


■外部リンク External links

 [zh] 簡体中文
  骆驼祥子
   * 关于《骆驼祥子》手稿本 - 老舍学专题网站
   * 骆驼祥子 - 百度百科 (Baidu)
   * 骆驼祥子 - 互动百科 (Hudong)
   * 骆驼祥子 - 维基百科 (Wikipedia)
  老舎
   * 老舎 - 百度百科 (1899-1966) (Baidu)
   * 老舎 - 互动百科 (1899-1966) (Hudong)
   * 老舎 - 维基百科 (1899-1966) (Wikipedia)
   * 老舍文集 - 中国百科网 (www.chinabaike.com)
   * 老舍纪念网 (laoshe.netor.com)
   * 百年老舍(老舍诞辰一百周年纪念活动)

 [ja] 日本語
   * 老舎作品における思想 - 佐藤勝
     茨城大学人文学部人文学科 1999年度卒業論文
   * 老舎 - Wikipedia (1899-1966)

 [en] English
   * Rickshaw Boy - Wikipedia
   * Lao She - Wikipedia (1899-1966)
   * Lao She - Britannica Online Encyclopedia


■更新履歴 Change log

2011-04-30 インドネシアのベチャとベトナムのシクロの画像を追加しました。

 

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■洋書 Books in non-Japanese languages

■和書 Books in Japanese

  

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Sunday, 24 April 2011

老舍 《骆驼祥子》 (1) 老舎 『駱駝祥子』『ルオトゥオシヤンズ』『ロートシアンツ』『らくだのシアンツ』『駱駝のシャンヅ』 (1) Rickshaw Boy / Camel Xiangzi by Lao She (1)

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■はじめに Introduction

1920年代の北京を舞台に貧しい人力車夫を描いた小説。老舎の代表作。その冒頭部分を下に引用する。この作家のペンネームの後のほう(姓名の名)の漢字は、現代中国語の簡体字と現代日本語の常用漢字表に載っている字とでは、字形がわずかに異なる。

简体中文 异体字「舍」與「舎」的字义比较
日本語 区点 (X0208) 7150 JIS (X0208) 6752 舍 - ウィクショナリー

日本語 区点 (X0208) 2843 JIS (X0208) 3C4B 舎 - ウィクショナリー


■映画化作品 Film adaptation
 [ja] 駱駝の祥子 (1982) 日本語訳題
 [zh] 骆驼祥子 (1982) 中国語(簡体字)原題
 [en] Rickshaw Boy (1982) 英語訳題

[ja] リン・ツーフォン(監督)、チャン・フォンイー(祥子)、スーチン・ガオワー(虎妞)
[zh] 凌子风(导演)、张丰毅(祥子)、斯琴高娃(虎妞)
[en] Ling Zifeng (director), Zhang Fengyi (Xiangzi), Siqin Gaowa (Hu Niu)


■映画のポスターとDVDのジャケット A film poster and DVD covers

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a. Fr_rickshaw_boy_9129800 b. Zh_luotuo_xiangzi_095538_2

c. Zh_luotuo_xiangzi_aa500 d. Luotuo_xiangzi_poster
  • 骆驼祥子(DVD) 2010-01 音声: 北京語 字幕: 簡体中文&英語
  • 骆驼祥子(DVD) 2006-11 音声: 北京語 字幕: なし
  • 骆驼祥子(DVD) 1999-01 音声: 北京語 字幕: 英語
  • 駱駝祥子 (1982) ポスター / 骆驼祥子 (1982) 海报 / Rickshaw Boy (1982) poster. Image source: 第一电影网 (www.dy.com.cn)

■映画シナリオ Screenplay

   * 影剧本《骆驼祥子》 流金岁月 - 记忆123
   * 电影剧本《骆驼祥子》 革命文艺 - 中国文革研究网


■映画『駱駝祥子』で学ぶ中国語——サイト「あいうえお中国語」

   * 中国語講座(駱駝祥子1)
   * 中国語講座(駱駝祥子2)
   * 中国語講座(駱駝祥子3)


■テレビシリーズ 『駱駝祥子 (1998)』 Luotuo Xiangzi: TV adaptation

   片名: 骆驼祥子 (1998)
   导演: 李森
   演员: 谷智鑫 (祥子), 丁嘉莉(虎妞)


■表紙画像コレクション Cover photo collection

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ru Ru_laoshe_rickshaw hu Hu_lao_so_a_tigriskisasszony_meg_a_ sl Sl_rika_lao_she

sk Sk_laose_riksiar sv Sv_en_ricksha_i_peking de De_rikschakuli_ein_roman_2

fr Fr_lao_she_le_pousse_pousse_2 fr Fr_lao_sheh_arthaud_coeurjoyeux en En_rickshaw_boy_a_novel

en En_lao_she_camel_xiangzi en En_rickshaw_the_novel_loto_hsiang_t en En_rickshaw_boy_evan_king

en En_1945_rickshaw_boy_evan_king ja Ja_lao_she_9784891741501 ja Ja_rakuda_no_shiantsu

ko Ko_lao_she_luotuo_xiangzi zh Zh_lao_she_2


■言語と書誌情報 Linguistic and bibliographic information

[ru] Рикша, a downloadable e-book. Busya (2007) ロシア語
[hu] A tigriskisasszony meg a férje Európa Könyvkiadó (1957) ハンガリー語
[sl] Rikša Cankarjeva založba (1994) Image source: Bolha.com スロベニア語
[sk] Rikšiar Marenčin PT (2009) スロバキア語
[sv] En ricksha i peking Ljus (1946) スウェーデン語
[de] Rikscha - Kuli. Ein Roman Insel Verlag (1998) ドイツ語
[fr] Le Pousse-pousse Philippe Picquier (1998) フランス語
[fr] Coeur-joyeux, coolie de Pékin Arthaud (1948) フランス語
[en] Rickshaw Boy: A Novel Harper Perennial (2010) 英語
[en] Camel Xiangzi Indiana University Press (1982) 英語
[en] Rickshaw: The Novel Lo-t'o Hsiang Tzu University of Hawaii Press (1979) 英語
[en] Rickshaw Boy Reynal & Hitchcock (1945) Image source: Dakota Literature 英語
[en] Rickshaw Boy Reynal & Hitchcock (1945) Image source: Google Books 英語
[ja] 駱駝祥子 中山高志訳 白帝社 (1991) 日本語
[ja] 駱駝祥子 らくだのシアンツ 立間祥介訳 岩波文庫 (1980) 日本語
[ko] 낙타샹즈 출간일 (2008) 韓国語
[zh] 骆驼祥子(插图本) 人民文学出版社 (2004) 中国語(簡体字)


■英訳 Translations into English

(E1) Goldblatt, 2010
I'd like you to meet a fellow named Xiangzi, not Camel, because, you see, Camel is only a nickname. After I've told you about Xiangzi, we'll deal with his relationship with camels, and be done with it.

The city of Beiping has several classes of rickshaw men: first are those who are young, energetic, and fleet-footed; they rent handsome rickshaws, put in a whole day, and are free to come and go as they please. They stake out a spot at a rickshaw stand or by a manor gate and wait for people who are looking for speed. If luck is with them, they can land a fare right off, earning as much as a silver dollar or two. But if luck passes by, and they don't make enough to pay for that day's rental, well, so what? [Omission]

The second class includes men who are slightly older and who, for health reasons, cannot run as fast, or whose family situation will not allow them to go all day without a fare. [Omission]

   Chapter One
   Rickshaw Boy: A Novel by Lao She
   Translated by Howard Goldblatt
   Harper Perennial, Modern Chinese Classics
   Harper Collins, 2010
   Excerpt at Amazon.com


(E2) Shi, 1997
This story is about Xiangzi, not about Camel, because "Camel" was only his nickname. So let us start with Xiangzi, just mentioning in passing how he became linked with camels.

The rickshaw pullers of Beiping fall into many different categories. There are strong, fleet-footed young men who rent smart rickshaws and work round the clock, starting work or knocking off whenever they please. They pull their rickshaws to a rickshaw-stand or the gate of some big house and wait for fares who want a fast runner. With luck, a single trip can net one or two silver dollars; but it may happen to that they spend the whole day idle, not even recouping their rickshaw rent. Still, they take this all in their stride. [Omission]

Then there is a category of slightly older men, and others who for health reasons run not quite as fast, or who for family reasons cannot afford to let a day go by without earning anything. [Omission]

   Chapter 1
   Camel Xiangzi by Lao She
   Translated by Shi Xiaoqing
   Foreign Languages Press, 1997-01-01
   Excerpt at Amazon.com


(E3) James, 1979
The person we want to introduce is Hsiang Tzu, not Camel Hsiang Tzu, because "Camel" is only a nickname. We''ll just say Hsiang Tzu for now, having indicated that there is a connection between Camel and Hsiang Tzu.

The rickshaw men in Peking form form several groups. Those who are young and strong and springy of leg rent good-looking rickshaws and work all day. They take their rickshaws out when they feel like it and quit when they feel like it. They begin their day by going to wait at rickshaw stands or the residences of the wealthy. They specialize in waiting for a customer who wants a fast trip. They might get a dollar or two just like that if it's a good job. Having struck it rich they might take the rest of the day off. It doesn't matter to them--if they haven't made a deal on how much rent they'll have to pay to the rickshaw agency. [Omission]

Compare the first group to all those who are older, or to all those who, due to their physical condition, are lacking in vigor when they run, or to all those who, because of their families, do not dare waste one day. [Omission]

   Rickshaw: The Novel Lo-t'o Hsiang Tzu by Lao She
   Translated by Jean M. James
   University of Hawaii Press, 1979-06-01
   Preview at Google Books


(E4) King, 1945
The person we want to introduce is Happy Boy and not Camel, because Camel is only his nickname. So we will first speak of Happy Boy, and when we have reached that point we will relate how he came to be connected with a camel, whereafter we will forget the sobriquet and call him by his proper name anyway, which should settle the matter. [Omission]

   Rickshaw Boy by Lau Shaw
   Translated by Evan King
   Reynal and Hitchcock, 1945


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 中山 1991
 さて、これから話そうとしているのは祥子(シアンズ)のことで、駱駝(らくだ)のことではない。駱駝というのは彼の綽名(あだな)であるにすぎない。まず祥子から始めよう。そのついでに駱駝と祥子のかかわりを語っていけば、それでよいだろう。

 北京の洋車夫(ヤンチョフウ)にはいろいろの党派がある。年若く筋力逞(たくま)しく足に自信がある者どもは、丹念に奇麗な車を選んで借り、時間借りにせずに日借りにする。何時から何時まで働こうと、まったく自由である。彼らは車を借りてくると特定の溜まり場あるいは屋敷の門口に梶棒(かじぼう)を下ろし、もっぱらこういう速力の速い奇麗な車を選んで乗るお得意の来るのを待つのである。こうしてうまくいけば一気に一円、二円と稼ぐが、運が悪いと丸一日棒に振って、車の借り賃さえ当てにならないこともある。しかし、彼らはこんなことは平気なのである。[略]

 この種のにいさん達より少し年取った者や、身体の具合であまり速く走れない者や、また家庭の事情で一日じゅうぼんやり客を待ってはいられない者は、たいていは八分がた新しい車を借りる。[以下略]

   一
   中山時子=監修 老舎=著 中山高志(なかやま・たかし)=訳
   『駱駝祥子(ルオトゥオシヤンズ)』 白帝社 1991-03
   底本は人間書屋の初版だと推定される。


(J2) 立間 1970, 1974, etc.
 私がここに紹介しようと思っているのは祥子(シアンツ)のことであって、駱駝(らくだ)のことではない。というのは、「駱駝」はたんなるあだなにすぎないからであるが、そうであるからは、まず祥子のことからはじめて、祥子と駱駝との関係に触れてゆくのが筋というものだろう。

 北平(ペイピン)(国民党政府が南京を首都としていた時期の北京の呼称)の車引きにもいろいろある。若くて力があり、足が達者なものは、おなじ借りるにも新車をえらび、「日ぎめ」で借りきって、好き勝手にやる。稼(かせ)ぎにでても、きまった立て場かお屋敷の門の前で急ぎの客のつくのを待つ。で、運がよければひとっ走りで一円二円と稼ぐときもあり、また、間(ま)がわるければまる一日棒にふって損料もでないときもあるが、てんから気にしない。[略]

 この連中よりやや年をくった者、また、からだのぐあいで早くとばすことができない者、家族をかかえてその日暮らしをしている者は、たいてい新車同様の中古車を借りる。[以下略]

   一
   老舎=著 立間祥介(たつま・しょうすけ)=訳 「駱駝祥子」
   辻は旧字を新字で置き換えました。引用は下の a. に拠りました。


(J3) 市川+杉本 1969, 1970, etc.
 この物語の主人公はらくだではなく、祥子(シアンツ)という一人の男である。「らくだ」というのは、じつは祥子の綽名なのだ。祥子とらくだとどんな関係があるのか、それはいずれ述べるとして、まず祥子のことから話を始めることにしよう。

 ところで、北平(ペイピン)(今の北京)の車夫には、よく見るといくつかのタイプがある。

 その一つは、滅法足が速くて威勢のいい若者である。彼らは自分の引く車にうるさく、必ずピカピカの新車を選んで借りるが、その借り方もきまって「一日ぎめ」である。これなら、何時に借りようが何時に返そうが、こちらの都合できめられるのだ。車を借り出すと、彼らはそれぞれ自分のきめた「車溜り」かお屋敷の門前に梶棒を下ろす。めざす獲物は、速く走らせて車代をはずむ上客である。うまくこういう客がつかまれば、一回で一元(ユアン)や二元のかせぎはかたい。そのかわり、間が悪くて一日棒にふり、車の「損料」さえおぼつかぬこともあるが、そんなことを気にかける連中ではない。[略]

 次に、こういう若者に比べて、いくらか年をくった連中、年は若くても体が弱くてスピードがやや劣る連中、家族をかかえて一日でも無収入でいられぬ連中、こういう連中がもう一つのタイプを形成する。[以下略]

   一
   市川宏+杉本達夫=訳 「駱駝祥子(らくだシアンツ)」
   引用は下の a. に拠りました。傍点を下線で置き換えました。
   底本は人民文学出版社本 1955-01。


(J4) 飯塚 1960, 1961
 私が紹介しようというのは、祥子(シャンヅ)であって、駱駝(らくだ)ではない。「駱駝」というのは単なるあだ名にすぎないからだ。だから、わたしはまず祥子のことを話し、それから駱駝と祥子との関係を物語っていけばいいことになる。

 北平(ペイピン)(一九二八年六月国民政府は北京を北平と改称したが、一九四九年十月中有か人民共和国が成立して再び北京に改めた)の人力俥夫(しゃふ)にはいろいろな派別がある。年が若く力があって、足も達者なのは、立派な俥(くるま)を選(よ)って借りて、「一日貸切り」というのをひく。いつでも好きなときに、俥の出し入れは自由だ。俥を出すと、所定の駐車場かお邸(やしき)の門前に置いて、快速なのをご希望の客をじっと待つ。うまくいくと一回で一円二円とかせぐが、ひょっとすると一日じゅう客がなくて、「俥の損料」さえ出ないことがある。それでも彼らは平気だ。[略]

 この連中より少々年をとったもの、からだが弱くて走るのがややにぶいもの、あるいは家庭の事情で一日だってあぶれられないもの、そういう連中は大てい八割がた新品に近い俥を借りてひく。[以下略]

   一
   老舎(ろうしゃ)=著 飯塚朗(いいづか・あきら)=訳
   引用は下の a. に拠りました。a. の底本は人民文学出版社本 1955-01。
   傍点を下線で置き換えました。


(J5) 岡本 1955
 私が御紹介しようと思うのは、祥子(シアンズ)であって「駱駝」ではない。「駱駝」というのは、ただのあだ名だからである。で、私はまず祥子のことをお話し、かたわら駱駝と祥子との関係といったものを申し上げていけばことはすむことになる。

 祥子は、「駱駝」というあだ名と関係をもつまでは、割方自由の利く人力車夫であった。年が若く、力にあふれ、しかも自分の車をもっている仲間の一人で、自分の車も、自分の生活も、すべて自分の掌中にある高等車夫というわけであった。[以下略]

   老舍(ろうしゃ)=著 岡本隆三(おかもと・りゅうぞう)=譯
   「駱駝の祥子(シアンズ)」
   『老舍作品集』 新中國文學選集 靑木文庫 靑木書店 1955-07-15
   「断魂の槍」、「新月」、「駱駝の祥子」の三作を収録。
   底本は開明書店版『老舎選集』収録のダイジェスト本 1951-08。
   章番号は付いていない。傍点を下線で置き換えました。


(J6) 竹中 1943, 1952, etc.
 私がこれから御紹介しようと思うのは、祥子(シャンツ)であって、駱駝(らくだ)ではない。なぜならば、〈駱駝(ロート)〉というのは彼の綽名(あだな)だからである。

 で、私は、まず祥子についてお話をし、そのうえで駱駝と祥子とがどうして結びついたかを申し上げることにしよう。

 さて、北京(ペキン)の車夫には、実に種々様々な流派があって、若くて力が強く、脚力(あし)の達者なヤツは、素晴らしく立派な俥(くるま)を借りて来て、一日極めの〈貸切〉を稼ぐ。この種の車夫になると、自分の気の向いたときに出て行き、いやになると、さっさと引き揚げて来る。といった具合で、俥の出し入れは全く自由である。

 そして、俥宿から引き出して来た俥は、一定の〈辻(つじ)〉や、邸宅の門前などに梶棒(かじぼう)を下ろして、ジーッと、好(よ)い椋鳥(むくどり)のかかるのを待っている。うまくゆくと、一日に三元五元と、ぼろい儲(もう)けをすることがあるが、その代りに運の悪い日になると一日じゅうお客がなくて、俥宿に支払う借賃だけただ損をすることになる。が、彼等はそれくらいのことは平気の平左である。[略]

 次に、この一派に比べると、少し年をとりすぎたヤツ、または体力の関係で余り速く走れないヤツ、あるいは家族持ちなどで、悠々(ゆうゆう)と好い椋鳥のかかるのを待っておれぬ連中になると、大抵八部新(ぶしん)の俥をひく。[以下略]

   一
   老舎(ろうしゃ)=著 竹中伸(たけなか・しん)=訳
   底本は原書「初版本」(下の「原書の版の異同について」の項を参照)
   引用は下の a. に拠りました。傍点を下線で置き換えました。
   辻の旧字は新字で置き換えました。


■中國語原文(繁體字) The original text in traditional Chinese

  我們所要介紹的是祥子,不是駱駝,因為「駱駝」只是個外號;那麼,我們就先說祥子,隨手兒把駱駝與祥子那點關係說過去,也就算了。

  北平的洋車夫有許多派:年輕力壯,腿腳靈利的,講究賃漂亮的車,拉「整天兒」,愛什麼時候出車與收車都有自由;拉出車來,在固定的「車口」或宅門一放,專等坐快車的主兒;弄好了,也許一下子弄個一塊兩塊的;踫巧了,也許白耗一天,連「車份兒」也沒著落,但也不在乎。[略]

  比這一派歲數稍大的,或因身體的關係而跑得稍差點勁的,或因家庭的關係而不敢白耗一天的,大概就多數的拉八成新的車[略]

   第一章
   《駱駝祥子》 作者:老舍
   E-text at:


■中国語原文(簡体字) The original text in simplified Chinese

  我们所要介绍的是祥子,不是骆驼,因为“骆驼”只是个外号;那么,我们就先说祥子,随手儿把骆驼与祥子那点关系说过去,也就算了。

  北平的洋车夫有许多派:年轻力壮,腿脚灵利的,讲究赁漂亮的车,拉“整天儿”,爱什么时候出车与收车都有自由;拉出车来,在固定的“车口”或宅门一放,专等坐快车的主儿;弄好了,也许一下子弄个一块两块的;碰巧了,也许白耗一天,连“车份儿”也没着落,但也不在乎。[略]

  比这一派岁数稍大的,或因身体的关系而跑得稍差点劲的,或因家庭的关系而不敢白耗一天的,大概就多数的拉八成新的车[略]

   第1章
   《骆驼祥子》 作者:老舍
   E-text at:


■原書の版の異同について On variations of the editions in Chinese

河出世界文学全集21 魯迅・老舎』 (1989) の市川・杉本両氏による「解説」、岩波文庫 『駱駝祥子』 (1980) の立間氏による「解説」、および中山高志氏訳 『駱駝祥子』 (1991) の中山時子氏による「監修を終えて」の三つの文献、ならびに中国語で書かれたいくつかのウェブサイトを読み比べると、細部にいくつか食い違いが見られる。だが全部を総合すると、『駱駝祥子』各版の刊行の経緯と内容の異同は、だいたい以下のとおりらしい。

  1. 初出は、林語堂が編集していた中国の小品雑誌『宇宙風』第25号(1936-09-16)。この号に第1章が掲載され、そのあと第48号(1937-09-01)まで全24章が連載された。
  2. 1939年  3月 人間書屋(上海)から単行本の初版が発行された。
  3. 1940年     「満州国」版 発行
  4. 1941年11月 文化生活出版社(重慶)版 発行
  5. 1950年  5月 晨光出版公司 初 版 発行
  6. 1951年  2月 晨光出版公司 第二版 発行
  7. 1951年  7月 晨光出版公司 第三版 発行
  8. 1951年  8月 開明書店版『老舎選集』収録のダイジェスト本が発行された。
  9. 1955年  1月 人民文学出版社(北京)版 発行

上記 (6) までの版(かりに旧版と呼ぶ)と、(7) 以降の版(かりに新版と呼ぶ)とのあいだには、注目すべき違いがある。

まず、新版のうち (7) 晨光第三版は、旧版第24章の大部分を削除している。つぎに、(8) ダイジェスト本は旧版全体の約三分の一を削除した短縮版である。とくに、旧版の第23章後半と第24章全部を削除している。さらに、(9) 人民文学出版社版は (8) ダイジェスト本の大削除を踏襲しつつ、なおも (7) 晨光第三版に手直しを加えた「新中国の決定版といえるもの」(立間氏)である。


■邦訳各版の底本について On the source text of Japanese translations

竹中訳は旧版に、岡本訳は (8) ダイジェスト本に、立間 1974 は (7) 晨光第三版および (6) 晨光第二版に、 飯塚訳および市川・杉本訳は (7) 晨光第三版に、それぞれ拠っている。また、立間 1980 は (1) 初出誌および上記 (6) 晨光第二版に拠りながら、立間 1974 の削除箇所を補い、かつ訳文に改訂を加えたものである。中山訳は (2) 人間書屋の初版に拠ったと思われる。


■註訳書と中国語教材 Textbook, study notes and commentary

日本で発行されている『駱駝祥子』についての註訳書や、『駱駝祥子』を取り上げた中国語学習用教材には、たとえば次のものがあります:

  • 老舎—断魂槍,駱駝祥子抄』 老舎、大河内康憲=著 名作シリーズ 東方書店 1996-01
  • 駱駝祥子・暴風驟雨』 老舎ほか=原著 呂文華ほか=要約 香坂順一=改編 光生館 1983-02-10
  • 駱駝祥子(抄)』 老舎=著 北浦藤郎+太田愛子=訳註 江南書院訳註双書 12 江南書院 1957-10-29

■外部リンク External links

 [zh] 簡体中文
  骆驼祥子
   * 关于《骆驼祥子》手稿本 - 老舍学专题网站
   * 骆驼祥子 - 百度百科 (Baidu)
   * 骆驼祥子 - 互动百科 (Hudong)
   * 骆驼祥子 - 维基百科 (Wikipedia)
  老舎
   * 老舎 - 百度百科 (1899-1966) (Baidu)
   * 老舎 - 互动百科 (1899-1966) (Hudong)
   * 老舎 - 维基百科 (1899-1966) (Wikipedia)
   * 老舍文集 - 中国百科网 (www.chinabaike.com)
   * 老舍纪念网 (laoshe.netor.com)
   * 百年老舍(老舍诞辰一百周年纪念活动)

 [ja] 日本語
   * 老舎作品における思想 - 佐藤勝
     茨城大学人文学部人文学科 1999年度卒業論文
   * 老舎 - Wikipedia (1899-1966)

 [en] English
   * Rickshaw Boy - Wikipedia
   * Lao She - Wikipedia (1899-1966)
   * Lao She - Britannica Online Encyclopedia


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Saturday, 23 April 2011

山岡荘八 『徳川家康』 Tokugawa Ieyasu by Sohachi Yamaoka

■はじめに Introduction

2009年ごろ、大陸の中国で山岡荘八の歴史小説『徳川家康』が大ベストセラーになっているという報道があった。

現代中国には、吉川英治、山本周五郎、山岡荘八、司馬遼太郎らに相当するような歴史小説家は、いないのだろうか? 《三国志演義》という、あまりにも立派な古典があるので、現代中国の歴史小説家たちは相対的に影が薄いのだろうか?

いずれにせよ、『徳川家康』は、一種の自己啓発本・ビジネス書として売れているそうだ。だとすると、日本のサラリーマンたちのあいだでの読まれかたと大差ないことになる。もっとも、若い世代での人気の多くはゲームソフトに由来するらしい。

いっぽう韓国では、中国よりずっとまえに、『徳川家康』ブームがあったそうだ。ウィキペディア韓国語版記事によれば、この小説は、まず1970年に『大望 대망』という訳題で全12巻本として出版され、ベストセラーとなった。さらに2000年には新訳が、原題どおりの『徳川家康 도쿠가와 이에야스』というタイトルで全32巻本として出たとのこと。

また、台湾では1980年代に繁體字版の『徳川家康』が発売され、いまでも人気があるという。


■中国での『徳川家康』ブームに関する報道や解説
 Press coverage on the Tokugawa Ieyasu boom in China


■NHKテレビ大河ドラマ 『徳川家康 (1983)』 第一回 竹千代誕生
Nhk_tv_tokugawa_ieyasu
NHKオンデマンド無料お試し視聴はここ。YouTube 動画はここ。NHKエンタープライズ発売のDVDはここ

To preview a free NHK on-demand video clip, click here. To view a YouTube video clip, click here. To purchase a DVD produced by NHK Enterprises, click here.

オリジナル放映: 1983(昭和58)年1月9日〜12月18日 原作: 山岡荘八 脚本: 小山内美江子 音楽: 冨田勲 出演: 滝田栄(徳川家康)、近藤正臣(松平広忠)、大竹しのぶ(於大)


■表紙画像コレクション Cover photo collection

↓ Click to enlarge ↓

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■言語と書誌情報 Linguistic and bibliographic information

[zh] 中国語(簡体字)
タイトル: 德川家康1:乱世孤主 [平装]
著者: 山冈庄八 (作者), 柏杨 (编者), 岳远坤 (译者), 陈都伟 (译者) 
平装
出版社: 南海出版公司
出版年: 2007-11-01
ISBN-10 :
ISBN-13 : 9787544238151


[zh] 中國語(繁體字)
タイトル: 德川家康(袖1)破曉之前(不分售)
著者: 作者:山岡莊八, 譯者:黎莉,丁小艾 
裝訂:文庫
出版社: 遠流出版
出版年: 1999-03-16
ISBN-10 :
ISBN-13 : 9789573212225


[ko] 韓国語
タイトル: 도쿠가와 이에야스 (1)
著者: 야마오카 소하치 Yamaoka Sohachi (author) 이길진 Lee Gil-jin (translator) 
単行本
出版社: 솔출판사
出版年: 2002-02-01
ISBN-10 : 898133384X
ISBN-13 : 9788981333843
Publisher's page for this book


[ja] 日本語
タイトル: 徳川家康(1)出生乱離の巻 (山岡荘八歴史文庫)
著者: 山岡荘八 
文庫
出版社: 講談社
出版年: 1987-10-01
ISBN-10 : 4061950231
ISBN-13 : 9784061950238
Publisher's page for this book


[ja] 日本語
タイトル: NHK大河ドラマ 徳川家康 完全版 第壱集 [DVD]
出演: 滝田栄, 役所広司, 武田鉄矢, 大竹しのぶ, 八千草薫
DVD 7枚
販売元: ジェネオン エンタテインメント
DVD発売日: 2006-04-21
ASIN: B000EGCWCY


■山岡荘八=原作 横山光輝=漫画 『徳川家康』
 Mitsuteru Yokoyama's comic adaptation of Tokugawa Ieyasu

zh Zh_yokoyama_mitsuteru_tokugawa_ieya ko Ko_yokoyama_mitsuteru_tokugawa_ieya ja Ja_yokoyama_mitsuteru_tokugawa_ieya


[zh] 中國語(繁體字)
書名 德川家康:戰國風雲
作者 橫山光輝著,李蕙如譯
叢書名 日本歷史經典漫畫;1
裝訂方式 平裝
出版商 故鄉出版股份有限公司(臺北市)
出版年 初版 1994[民83]
ISBN-10 : 9576262577
ISBN-13 : 9789576262579


[ko] 韓国語
도서명 : 만화 도쿠가와 이에야스 (전 13권) 
저자 : 요코야마 미쯔데루
역자 : 이길진
출판사 : (주)에이케이 커뮤니케이션즈
발행일 : 2006 년 01 월 20 일
ISBN-10 : 8987103145
ISBN-13 : 9788987103143


[ja] 日本語
タイトル: 徳川家康(1) (講談社漫画文庫)
著者: 横山 光輝 
文庫
出版社: 講談社
出版年: 1996-12-11
ISBN-10 : 406260292X
ISBN-13 : 9784062602921
Publisher's page for this book


■中国語訳(簡体字)電子本 E-book in simplified Chinese


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

  天文十年,公元一五四一年。
  是年,武田信玄二十一岁,上杉谦信十二岁,织田信长八岁,日后的平民太阁丰臣秀吉,尚是一个蓬头垢面的六岁孩童。
  大海彼岸,一衣带水的邻邦大明国,已至其中后期。欧洲,查尔斯五世向法兰克一世宣战并入侵法国;亨利八世已继承爱尔兰王位,对苏格兰国王詹姆士虎视眈眈,只欲除之而后快……无论东方还是西方,处处笼罩着战争的乌云。
  三河冈崎城内。
  虽说还是冬日,但已到了正月,天气开始变得温和。院子里伊势的东条持广赠送的那棵柑橘树上,已经挂满金灿灿的果实,芳香四溢。恐是被香气所诱,院子里的鸟雀格外多。年仅十六的城主松平广忠已沉默地凝视鸟雀多时。和煦的阳光下,去年桃花盛开时节出生的长子勘六,不时爬到广忠身前,抬头看看愁容满面的父亲。
  每逢此时,阿久的心头便若有冷风吹过。阿久乃松平广忠同族松平左近乘正之女,十五岁时嫁与广忠做侧室,广忠当时年仅十三。如今,她已是一个年轻的母亲。她身形虽显柔弱,却亦颇有几分娇艳。若是遣退侍女,只剩下他们三人时,看起来不像是一家三口,倒像是姐姐在看护和照料着两个弟弟。
  “大人还未下定决心吗?”

   第一章 乱世破晓
   《德川家康 第1部 乱世孤主》 新经典文库
   (日)山冈庄八/著 岳远坤, 陈都伟/译 南海出版公司(海口) 2007-11
   E-text at 百度空间


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

  「身在亂世之中,人類的狡詐策謀根本無濟於事,然而,一切無意義的悲嘆,卻都源自於它。」
  天文十年,西曆一五四一年。
  武田信玄二十一歲。
  上杉謙信十二歲。
  織田信長八歲。
  而,日後的平民太閤--豐臣秀吉還祇是蓬首垢面的六歲小童。
  海之彼岸,一衣帶水的中國正是明朝天下。
  在歐洲,查理五世向法西斯一世宣戰,入侵法國;亨利八世繼承愛爾蘭王位,正積極地召集手下,虎視眈眈地想除掉蘇格蘭王詹姆斯。
  這段時期不論東方或西方,都籠罩在戰國風雲之中。
  時值冬季正月,卻因今年氣候較往年暖和,三州岡崎城內栽植的、伊勢的東條持廣贈送之柑橘,正結滿纍纍的金色果實,庭院裡瀰漫著甜美的芳香。或許是逐香而來的吧,今年庭院內的小鳥也特別多。
  十六歲的年輕城主松平廣忠(德川家康生父)已沉默半晌之久,犀利的視線一直凝注於那些鳥兒身上。
  甫於去年桃花季節出生的長子勘六,悄悄爬到膝邊,抬起頭,彷彿在凝視著年輕父親的苦惱!
  每次見到這種情景,比廣忠年長兩歲的久子便覺得胸口泛涼,有如一陣寒風拂過一般。
  「你還沒下定決心?」

   破曉之前
   《德川家康(袖1)破曉之前》(不分售)
   作者:山岡莊八 譯者:黎莉,丁小艾
   遠流出版(台湾) 1999-03-16
   Excerpt at YLib 遠流博識網


■韓国語訳 Translation into Korean

 타케다 신겐은 스물한 살. 우에스기 켄신은 열두 살. 오다 노부나가는 여덟 살. 뒷날의 평민 타이코, 도요토미 히데요시는 말라 주름 투성이에 때낀 얼굴의 여섯 살 난 어린아이였다.
 텐분 10년(1541)- 일의대수 바다 건너는 명나라  시대, 유럽에서는 칼 5세가 프랑수아1세에게 선전포고를 하고 프랑스에 침입했으며, 아일랜드 왕위를 차지한 헨리 8세는 스코틀랜드왕 제임스를 제거하고자 호시탐탐 기회를 노리고 있던 서기 1541년. 
 동서 가릴 것 없이 모두 전란의 풍운에 휩싸여 있던 16세기 중엽, 산슈의 오카자키 성안 깊숙한 곳이었다.
 계절은겨울. 그러나 이미 해를 넘겨 정월에 접어들어 있었다. 올해 날씨는 여느 해보다 따뜻하여, 이세의 토죠 모치히로에게서 받은 뜰의 감귤나무 열매는 벌써 황금빛으로 물들어 달콤한 향기를 사방에 가득 내뿜고 있었다.
 그 향기가 그리워서 찾아온 것일까. 올해는 유난히 뜰에 새가 많았다. 열여섯이 된  젊은성주 마츠다이라 지로사부로 히로타다는 이 새들에게 쏘는 듯한 시선을 던진 채 벌써 한참동안이나 침묵을 지키고 있었다.  지난해 복사꽃이 필 무렵에  태어난 장남 칸로쿠가 때때로양지쪽에서 무릎 옆으로 살금살금 기어와, 젊은 아버지의 고뇌에 찬 얼굴을 빤히 쳐다보고는 다시 기어갔다.
 그럴 때마다 히로타다보다 두 살 위인 오히사의 가슴에는 싸늘한 바람이훑고 지나갔다. "아직 결심이 서지 않으셨습니까?"

   동트기 전
   도쿠가와 이에야스
   지은이 : 야마오카 소하치 (이길진 옮김)
   출판사 : 솔출판사
   Excerpt at 잊혀진 책들의 도시


■日本語原文 The original text in Japanese

 武田信玄は二十一歳。
 上杉謙信は十二歳。
 織田信長は八歳。
 後の平民太閤、豊臣秀吉はしなびた垢面の六歳の小童だった。
 この年、天文十年——
 一衣帯水の海のかなたは明の時代、ヨーロッパではチャールス五世が、フランシス一世に開戦を宣してフランスに侵入し、ヘンリー八世はアイルランドの王位を得て、スコットランド王ジェームスを除かんと虎視眈々爪牙を矯めるという西暦一五四一年。
 西も東も、おなじ戦国の風雲につつまれた十六世紀中葉の、わが三州岡崎城の奥であった。
 季節は冬。といってもすでに年は越して正月だったが、今年の気候はいつもより温かく、伊勢の東条持広から贈られた庭の柑橘の実は金色にいろづいて、甘い芳香をあたりいっぱいに撒きちらしていた。
 その香をしたって来るのだろうか。今年は庭に小鳥が多い。十六歳になった若い城主松平次郎三郎広忠はその小鳥に射かけるような視線を投げて、もう半刻も黙っている。
 去年の桃の季節に生まれた長子の勘六が、ときどき陽だまりから膝のほとりに這いよって、この若い父親の苦悩をきょとんと見上げてゆく。
 広忠より二つ年上のお久の方はそのたびに、胸の中を冷たい風に吹きぬかれた。
「まだ、ご決心はつきませぬか」

   暁以前
   山岡荘八=著 『徳川家康1 出生乱離の巻』

   初出は h.。引用は a. に拠りました。ルビは省略しました。


■『戦国無双2 徳川家康』 音声: 日本語 字幕: 繁體字中國語
 《战国无双2 德川家康》 语言: 日语 字幕: 繁体中文
 Sengoku Musou 2 (Samurai Warriors 2) Sound : Japanese. Subtitles: Chinese

戦国無双2 オフィシャルサイト


■外部リンク External links

 [en] English
   * Tokugawa Ieyasu - Wikipedia (1543-1616)

 [zh] 簡体中文
   * 德川家康 - Wikipedia (1543-1616)
   * 山冈庄八 - Wikipedia (1907-1978)

 [ko] 한국어
   * 도쿠가와 이에야스 - 위키백과 (1543-1616)
   * 도쿠가와 이에야스 (소설) - 위키백과
   * 야마오카 소하치 - 위키백과 (1907-1978)

 [ja] 日本語
   * 徳川家康 - Wikipedia (1543-1616)
   * 徳川家康 (山岡荘八) - Wikipedia
   * 山岡荘八 - Wikipedia (1907-1978)


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Saturday, 09 April 2011

Flavor of the Month: Why Smart People Fall for Fads by Joel Best ジョエル・ベスト 『なぜ賢い人も流行にはまるのか—ファッドの社会心理学』

■はじめに Introduction

フラフープ、ダッコちゃん、紅茶キノコ、もつ鍋、ルーズソックス、たまごっち、マイナスイオン、ビリーズブートキャンプ、バナナダイエット、食べるラー油、……。ブームだか流行だか知らないが、現れては消えていく現象がある。

20世紀はじめに男性用の腕時計が登場したとき、それは一過性の流行りであると考えた人が多かったそうだ。当時、ほんものの紳士は鎖のついた蓋付きの懐中時計をベストのポケットに忍ばせるものと相場が決まっていた。

一過性の熱狂に翻弄されないためのヒントが欲しいかたは、この本の最後の「7. ファッドへの抵抗力をつける」という章を読むと参考になるかもしれない。ただし、著者の結論は当たり前すぎて、新鮮味があまりないのだけれど。


■表紙画像と著者 Cover photos and the author

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■書誌情報その他 Bibliographic information, etc.

[ja] 日本語
タイトル: なぜ賢い人も流行にはまるのか—ファッドの社会心理学
著者: ジョエル ベスト (著), 林 大 (翻訳)
単行本
出版社: 白揚社
出版年: 2009-05-20
ISBN-10 : 4826901542
ISBN-13 : 9784826901543
Publisher's page for this book

    

[en] 英語
タイトル: Flavor of the Month: Why Smart People Fall for Fads
著者: Joel Best 
Hardcover
出版社: University of California Press
出版年: 2006-04-10
ISBN-10 : 0520246268
ISBN-13 : 9780520246263
Publisher's page for this book


[JB] Dr. Joel Best ジョエル・ベスト(博士)
Professor, Department of Sociology and Criminal Justice at the University of Delaware. デラウェア大学社会学・刑事司法学部教授 Image source: Sociology & Criminal Justice, University of Delaware


■日本語訳の第1章——tomoki y. による抜粋
 Chapter 1 in Japanese translation, excerpted by tomoki y.

◎ファッド——一時的な熱狂

  • ファッドとは、長つづきしない熱狂のことなのである。人気が急速に失われるのがファッドのファッドたるゆえんだ。(17ページ)
  • 真面目な専門職業人でさえ、短期間しかつづかずに終わる熱狂——つまりファッドにとらえられてしまう。医師が、ある時期に特定の診断(病気ファッド)や治療法(治療ファッド)を好む。経営者が、ビジネス慣行を改善する方法(経営ファッド)を採用し、それから放棄する。教育者が教育手法(教育ファッド)を考案し、それから棄てる、などなど。(19ページ)
  • こうした制度ファッド、とくにビジネス、教育、医療に現れるものが、この本の主題だ。(20ページ)

◎ファッドとイノベーション

  • イノベーション[略]は、初めはゆっくり広まる傾向がある。それから人気が急速に高まったあと横ばいになる。このプロセスが普及だ。(22〜23ページ)
  • 人々の予測は間違っていることが少なくない。その場合、二種類の誤りがありうる。(24ページ)
  • 一つ目の誤りは、[略]腕時計をただのファッドと片づけたときに、また、一九五〇年代の大人たちが、ロックンロールはまもなく姿を消すと主張したとき犯したものだ。つまり、目新しいものが、ファッドに終わると人々が予測したのに実際には人気を保ちつづけるという場合である。(24ページ)
  • 二つ目の誤りが起こるのは、何かが、最新の重要な開発品だという触れ込みのもとにお披露目されながら失敗に終わるときだ。[略]このような場合、人々は、普及するという錯覚と私たちが呼ぶものを経験する。(24ページ)

◎ファッドはファッションとどう違うか

  • ファッドはエピソード的——一回限りの熱狂なのだ。フラフープが人気を失っても、必ずしも何かがそれに取って代わるといわけではない。(29ページ)
  • これに対してファッションは系統的(システマティック)だ。変化を制度化し、予定に組み込んでいる。[略]「ファッションというものは必ず一時性を帯びているが、それは、規則的なものにされている一時性だ」。(29〜30ページ)

◎社会制度ファッド

  • ついきのう鳴り物入りでお披露目された新奇なものが、きょうはもう人気を失い、あしたになれば忘れられてしまうという目まぐるしい移り変わり[略]。この絶え間ない入れ替わりはどう説明できるだろうか。その原因は何で、それがもたらす結果はどんなものなのだろう。(42ページ)

   ジョエル・ベスト=著 林大(はやし・まさる)=訳
   『なぜ賢い人も流行にはまるのか—ファッドの社会心理学
   白揚社 2009-05-20


■英語原文第1章——tomoki y. による抜粋
 Chapter 1, the original text in English, excerpted by tomoki y.

◎A fad is a short-lived enthusiasm

  • a fad is a short-lived enthusiasm. What makes something a fad is its rapid loss of popularity. (p.2)
  • Even serious professionals get caught up in what turn out to be short-term enthusiasm--that is, fads. Physicians go through periods when they favor particular diagnosis (disease fads) or therapists (treatment fads); managers adopt and then reject methods for improving business practices (management fads); educators devise and then drop teaching techniques (educational fads); and so on. (pp.3-4)
  • These institutional fads, especially in business, education, and medicine, are this book's subject. (pp.4-5)

◎Fad and innovation

  • Innovations [Omission] tend to spread slowly at first; then their popularity rapidly increases, before leveling off. This process is called diffusion. (p.7)
  • [Omission] people's predictions are often wrong--and two sorts of mistakes are possible. (p.8)
  • The first error is what happened when [Omission] dismissed the wristwatch, or when 1950s adults insisted that rock and roll would soon disappear: that is, people predict that a novelty will be a fad, but it actually turns out to remain popular. (p.8)
  • The second mistake occurs when something is heralded as the newest important development, but it turns out to be a bust. [Omission] In such cases, people experience what we'll call the illusion of diffusion [Omission]. (p.8)

◎What is the difference between a fad and a fashion?

  • Fads are episodic--one-short enthusiasms. When hula hoops lose popularity. (pp.11-12)
  • In contrast, fashion is systematic; it institutionalizes change, puts it on a schedule. [Omission] "Fashion implies transience, but transience regularized." (p.12)

◎Institutional fads

  • [Omission] some novelty, only yesterday heralded with great fanfare [Omission] has fallen out of favor today, and is on its way to being forgotten by tomorrow. How can we explain this constant turnover? What are its causes, and what are its consequences?

   1. The Illusion of Diffusion
   Flavor of the Month: Why Smart People Fall for Fads
   by Joel Best
   University of California Press, 2006-04-10
   Preview at Google Books
   Excerpt at Amazon.com


■外部リンク External links

   * Joel Best - University of Delaware
   * Joel Best - Statlit.org


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