Faith and Despondency by Emily Brontë エミリ・ブロンテ 「信念と失意」
■はじめに Introduction
「信念と失意」は『嵐が丘』で名高いエミリ・ブロンテが書いた詩。姉のシャーロット、妹のアンといっしょに自費出版した『カラー、エリス、アクトン・ベル詩集』(1846年)に収録されています。その詩の冒頭部分を下に引用します。
■日本語訳 Translations into Japanese
(J1) 田代 2016
「冬の風はうるさくてはげしいね
こっちへおいで いとしいわが娘(こ)
本もひとりあそびもやめて
夜が薄やみを深めていくあいだお話をして
ものうげなときをやりすごすとしようよ——[以下略]
- エミリ・ブロンテ=作 田代尚路(たしろ・なおみち)=訳 「信念と失意」 エミリ・ブロンテ詩選集 桜庭一樹(さくらば・かずき)=編 『ブロンテ姉妹 ポケットマスターピース 12』 集英社文庫ヘリテージシリーズ 2016-11-25
(J2) 川股 1996
『冬の風は 声高(こわだか)く 荒々しい、
わたしのそばに来なさい、愛(いと)しい子よ。
あなたの本を置き 相手のない遊びを 止(や)めなさい、
夜が 夕闇を 閉じてゆくあいだ、
わたしたちは話をし 憂いに沈んだ時間(とき)を過ごそう——[以下略]
- エミリ・ブロンテ=作 川股陽太郎(かわまた・ようたろう)=訳 「一七七 I・M I・Gによせて」 川股陽太郎+橋本清一(はしもと・せいいち)=訳 『詩集 2 ブロンテ全集 10』 みすず書房 1996-10-18
(J3) 中岡 1991
「冬の風は音高く 荒々しい
わたしのそばにおいで 愛しいわが子よ!
おまえの本を置き 相手のない遊びをお止(や)め
灰色に夜が 迫ってくる間
お話をして もの悲しい時間を過ごそう――[以下略]
- エミリ・ジェイン・ブロンテ=作 中岡洋(なかおか・ひろし)=訳 「一七七 I・M I・Gによせて」 中岡洋=訳 『エミリ・ジェイン・ブロンテ全詩集』 国文社 1991-09-24
■英語原詩 The original poem in English
“The winter wind is loud and wild,
Come close to me, my darling child;
Forsake thy books, and mateless play;
And, while the night is gathering grey,
We'll talk its pensive hours away;— [Omission]
- Faith and Despondency by Emily Brontë
- Poems by Currer, Ellis, and Acton Bell Originally published by London: Aylott and Jones, 8, Paternoster Row, 1846. Preview on Google Books
- The Complete Poems of Emily Brontë Originally published in 1908. Scanned book at Internet Archive
- E-text at:
Audio
英語原詩のオーディオブック 朗読: エリザベス・クレット
Audiobook in English read by Elizabeth Klett
引用箇所の朗読は 0:24 から始まります。 Reading of the excerpt above starts at 0:24.
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