Akutagawa Ryunosuke 芥川龍之介

Friday, 08 March 2013

芥川龍之介 「芋粥」 Yam Gruel by Ryūnosuke Akutagawa

■はじめに Introduction

  • 先日(2013年3月1日)、生誕121年目を迎えた芥川龍之介。

 Video 1 
Ryūnosuke Akutagawa's 121st Birthday - Google Logo Doodle (2013-03-01)

Uploaded to YouTube by FlairChris on 28 Feb 2013


 Video 2 
芥川龍之介の警句・箴言 Quotes and Aphorisms by Ryunosuke Akutagawa
Akutagawa
この動画を見るには  ここをクリック  To watch this video  CLICK HERE 


■ロシア語訳 Translation into Russian

Люди иногда посвящают свою жизнь таким желаниям, о которых не знают, можно их удовлетворить или нельзя. Тот же, кто смеется над подобными причудами, - просто ничего не понимает в человеческой природе.

   Рюноскэ Акутагава. Бататовая каша
   Translated by А.Стругацкий
   E-text at Lib.Ru


■クロアチア語訳(部分) Translation into Croatian (fragment)

Covjek posveti ponekad sav svoj zivot nekoj zelji za koju nije siguran da li ce mu se ikada ispuniti.

   Ryunosuke Akutagawa
   Quoted in Covjek posveti... - Facebook


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Es1)
Un hombre algunas veces dedica su vida a un deseo que no está seguro de alcanzar en toda su vida. Aquellos que se ríen de este personaje, después de todo, no son mas que espectadores de la vida.

   Sopa de ñame (also known as Gachas de ñame)
   by Ryunosuke Akutagawa
   Quoted in Aprende Matemáticas - Facebook


(Es2)
Un hombre a veces dedica su vida a un deseo del que no está seguro que podrá cumplir algún día. Aquellos que se burlan de esta locura son, después de todo, no más que meros espectadores de la vida.


■フランス語訳 Translation into French

Il arrive parfois qu'un homme consacre sa vie entière à un désir qu'il ne pourra peut-être jamais réaliser. Celui qui se moque d'une telle illusion ne connaît rien à la vie.


 Video 3 
Look inside - Rashomon & Other Stories by Ryunosuke Akutagawa

「薮の中」「羅生門」「芋粥」「奉教人の死」「袈裟と盛遠」「龍」の6編を収録した英訳版短編集。 Uploaded by jcustomer on 24 Jan 2012


■英訳 Translation into English

A man sometimes devotes his life to a desire which he is not sure will ever be fulfilled. Those who laugh at this folly are, after all, no more than mere spectators of life.

  • Yam Gruel
    from Rashomon and Other Stories by Ryūnosuke Akutagawa
    Translated by Takashi Kojima
    Tuttle Classics of Japanese Literature Series. Tuttle Publishing, 2007
  • Preview at Google Books

■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

为了一个不知能否实现的愿望,人有时会豁出一辈子的。笑其愚蠢的人,毕竟只是人生中的过客而已。


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

人類有時會爲了能滿足或不能滿足的莫名欲望而窮畢一生。若有哂比爲愚者,其實不過是「人生」的一名陌路之人罷了。

  • 芥川龍之介 芋粥
  • 羅生門  作者: 芥川龍之介 譯者: 石榴紅文字工作坊 久大文化 1991

■韓国語訳 Translation into Korean

[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

  • 아쿠타가와 류노스케(芥川龍之介) 고구마죽(芋粥)

 Audio 1 
芋粥1/5(芥川龍之介)朗読

下に引用する箇所は 18:04 あたりで聞ける。 Published by amakiyou on 19 Apr 2012. The excerpt below can be heard around 18:04.


 Audio 2 
芥川龍之介「芋粥」全文朗読一回読み切り

下に引用する箇所は 10:06 あたりで聞ける。 Published by maguchiish on 31 Mar 2012. The excerpt below can be heard around 10:06.


 Audio 3 
芥川龍之介「芋粥」(朗読:甲斐卓雄)―名作名文ハイライト

下に引用する箇所は 13:46 あたりで聞ける。 Published by teabreakt on  6 May 2011. The excerpt below can be heard around 13:46.


■日本語原文 The original text in Japanese

人間は、時として、充されるか充されないか、わからない欲望の為に、一生を捧げてしまふ。その愚を哂(わら)ふ者は、畢竟(ひつきやう)、人生に対する路傍の人に過ぎない。

  • 芥川龍之介 「芋粥」
       a. 「芋粥」 青空文庫 入力: j.utiyama 校正: 吉田亜津美
         1999-05-29 公開 2004-02-17 修正
       b. 『現代日本文学大系 43 芥川龍之介集』 筑摩書房 1968-08-25
       c. 「芋粥」 『新小説』 1916 (大正5)
  • 以上のほか、岩波書店と筑摩書房から出ている全集、ならびに岩波・新潮・角川・文春・旺文社・小学館などの各文庫に収録。初出は c。a の底本は b。引用は a に拠りました。

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Thursday, 04 February 2010

芥川龍之介から愛児宛ての遺書 Suicide note from Ryunosuke Akutagawa to his children

■はじめに Introduction

芥川龍之介は1927(昭和2)年7月24日日曜日早朝に自殺した。妻や子どもや友人たちに宛てて遺書を残している。先日このブログでは妻・芥川文子宛ての遺書をとりあげた。今回下に引用するのは、3人の幼い息子たちに宛てた遺書である。


 Video 1 
Ryunosuke Akutagawa's 121st Birthday - Google Doodle (2013-03-01)

Published by AaAbabyvideo on 3 Mar 2013


 Video 2 
芥川龍之介の遺書——直筆原稿見つかる
Novelist Akutagawa's suicide notes found

2008-07-18 NHKニュース 芥川龍之介の遺書 直筆原稿見つかる
Source: 動画共有サイト - zoome


■愛児宛て遺書 Suicide note from Ryunosuke Akutagawa to his children

(1) やぶちゃん翻刻版 2009

 わが子等に。

 一人生は〔死に至る〕戰ひなることを忘るべからず。
 二從つて汝等の力を恃むことを勿れ。 汝
等の力を養ふを旨とせよ。
 三 小穴隆一を父と思へ。 從つて小穴の教
訓に從ふべし。
 四若しこの人生の戰ひに破れし時には汝等
の父の如く自殺せよ。 但し汝等の父の如く他
に不幸を及ぼすを避けよ。
 四五茫々たる天命は知り難しと雖も、努めて
あらゆる〔汝等の家〕族に恃まず、 汝等の欲望を抛棄せ
よ。 是反つて汝等をして後年汝等を幸福にす〔平和ならし〕
〔む〕る途なり。
 六汝等の母を憐憫せよ。 然れどもその憐
憫に爲に汝等の意志を抂ぐべからず。 是亦却
つて汝等をして後年〔年〕汝等の母を■〔を〕幸福ならしむ
べし。
 七汝等は皆汝等の父の如く神經質なるを免
れざるべし。 殊にその事実に注意せよ。 若し
 八汝等の父は汝等を愛す。 (若し汝等を愛せ
ざら〔ん〕乎、 或は汝等を棄てて顧みざる〔べ〕し。 汝
等を棄てて顧みざる能はらん乎、]〔る能は〕ば、 生路も亦なきに
しもあらず)
            芥川龍之介

  • 芥川龍之介遺書全6通 他 関連資料1通 ≪2008年に新たに見出されたる遺書原本 やぶちゃん翻刻版 附やぶちゃん注≫ 翻刻電子テクスト及び注・解釈 2009 Yabtyan
  • tomoki y. 注
    上掲テキストは、やぶちゃん氏が『芥川龍之介の書画』所収の写真図版を丹念に凝視して、直筆の改行箇所や字空けや芥川による推敲の跡までも忠実に克明に再現しようとしたもの。翻刻の際に採られた原則のさらなる詳細については、上掲やぶちゃん氏サイトの注や後注をご参照ください。

(2) 日本近代文学館版 2009

1枚目
わが子等に。
一人生は死に至る戦ひなることを忘るべからず。
二従つて汝等の力を恃むことを勿れ。汝等の力を養ふを旨とせよ。
三 小穴隆一を父と思へ。従つて小穴の教訓に従ふべし。
四若しこの人生の戦ひに破れし時には汝等の父の如く自殺せよ。但し汝等の父の如く他に不幸を及ぼすを避けよ。

2枚目
五茫々たる天命は知り難しと雖も、努めて汝等の家族に恃まず、汝等の欲望を抛棄せよ。是反つて汝等をして後年汝等を平和ならしむる途なり。
六汝等の母を憐憫せよ。然れどもその憐憫の為に汝等の意志を抂ぐべからず。是亦却つて汝等をして後年汝等の母を幸福ならしむべし。
七汝等は皆汝等の父の如く神経質なるを免れざるべし。殊にその事実に注意せよ。

3枚目
八汝等の父は汝等を愛す。(若し汝等を愛せざらん乎、或は汝等を棄てて顧みざるべし。汝等を棄てて顧みざる能はば、生路も亦なきにしもあらず)
芥川龍之介

  • 遺書「わが子等に」
    図版解題: 石割透 二百字詰め原稿用紙3枚・ペン書き 各24.5x17.5cm 昭和2年
  • 「遺書篇」
    財団法人 日本近代文学館=編 池内輝雄(いけうち・てるお)=編集・解説 石割透(いしわり・とおる)=編集・解題 『芥川龍之介の書画』 二玄社 2009-10-20

(3) 岩波全集版 1998
わが子等に
 一人生は死に至る戦ひなることを忘るべからず。
 二従つて汝等の力を恃むことを勿れ。汝等の力を養ふを旨とせよ。
 三小穴隆一を父と思へ。従つて小穴の教訓に従ふべし。
 四若しこの人生の戦ひに破れし時には汝等の父の如く自殺せよ。但し汝等の父の如く 他に不幸を及ぼすを避けよ。
 五茫々たる天命は知り難しと雖も、努めて汝等の家族に恃まず、汝等の欲望を抛棄せよ。是反つて汝等をして後年汝等を平和ならしむる途なり。
 六汝等の母を憐憫せよ。然れどもその憐憫の為に汝等の意志を抂ぐべからず。是亦却つて汝等をして後年汝等の母を幸福ならしむべし。
 七汝等は皆汝等の父の如く神経質なるを免れざるべし。殊にその事実に注意せよ。
 八汝等の父は汝等を愛す。(若し汝等を愛せざらん乎、或は汝等を棄てて顧みざるべし。汝等を棄てて顧みざる能はば、生路も亦なきにしもあらず)

                              芥川龍之介


■tomoki y. によるコメント Comments by tomoki y.

人生の戦いに負けたら、オレが自殺するように、おまえたちも自殺しろ。

こんなふうにわが子に命じる親は、めったにいないと思う。しかも、この親は子供たちを愛していると言い、母親を哀れと思いやれとも命じている。さらに、おまえたちは親に似て神経質なはずだから注意しろとも。

明敏すぎる人は、生命体としては種の保存や繁栄にあまり向いていないようだ。透徹した精神は、地上にいて衆生を富ませるよりは、夜空の星となって輝きつづける。


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(1) 関口安義+芥川龍之介

(2) 遺書

(3) 芥川龍之介+遺書

(4) 芥川龍之介+手紙

(5) 芥川龍之介+書簡

  

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Monday, 01 February 2010

芥川龍之介から妻・芥川文子宛ての遺書 Suicide note from Ryunosuke Akutagawa to Fumiko Akutagawa

 Video 
菊池寛、35歳の芥川龍之介、芥川の息子(比呂志・多加志)らの映像(昭和2年)
Akutagawa, aged 35, two of his sons, Kikuchi Kan, et al. in 1927

Uploaded by goulfully on Nov 27, 2011. 改造社の『現代日本文学全集』、いわゆる円本全集の宣伝のため、昭和2年6月に撮影された映画フィルム。いまならさしずめプロモーション・ビデオといったところ。芥川の死の1、2か月まえ。場所は東京・田端の芥川宅らしい。


 Image gallery 1 
「羅生門」——表紙画像 Rashomon: Cover photos

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

it It_rashomon_e_altri_racconti pt Pt_akutagawa_rashomon es Es_rashomon_y_otros_relatos_3

fr Fr_rashomonautrescontes_2 de De_akutagawa_rashomon_2 en En_akutagawa_murakami

ru Ru_akutagawa_rashomon he He_akutagawa_rashomon zh Zh_rashomon_akutagawa

ko Ko_rashomon_akutagawa_3 ja Ja_akutagawa_zenshu1


■「羅生門」——言語と書誌情報
 Rashomon: Linguistic and bibliographic information

[it] イタリア語
タイトル: Rashomon e altri racconti
著者: Akutagawa Ryunosuke 訳者: Ghio K.
出版社: TEA
出版年: 2002
ISBN-10 : 8850202083
ISBN-13 : 9788850202089


[pt] ポルトガル語
タイトル: Rashômon e Outros Contos
著者: Akutagawa 訳者: Madalena Hashimoto e Junko Ota
出版社: Hedra
出版年: 2002
ISBN-10 :
ISBN-13 : 9788577150946
More info at Americanas.com


[es] スペイン語
タイトル: Rashomon y Otros Relatos (Clasicos Elegidos)
著者: Ryunosuke Akutagawa 
ハードカバー
出版社: Errepar
出版年: 2003-07
ISBN-10 : 9875503118
ISBN-13 : 9789875503113


[fr] フランス語
タイトル: Rashômon et autres contes (Poche)
著者: Ryûnosuke Akutagawa (Auteur), Arimasa Mori (Traduction)
出版社: Gallimard
出版年: 2003-10-09
ISBN-10: 2070304051
ISBN-13: 9782070304059


[de] ドイツ語
タイトル: Rashomon
著者: Ryunosuke Akutagawa 
ペーパーバック
出版社: Luchterhand Literaturvlg
出版年: 2001-09
ISBN-10 : 3630620124
ISBN-13 : 9783630620121


[en] 英語
タイトル: Rashomon and Seventeen Other Stories
著者: Ryunosuke Akutagawa Translation by Jay Rubin
    Introduction by Haruki Murakami  Cover illustration by Yoshihiro Tatsumi
    翻訳: ジェイ・ルービン 序文: 村上春樹 表紙絵: 辰巳ヨシヒロ
ペーパーバック
出版社: Penguin Classics Deluxe Edition
出版年: 2006-10-31
ISBN-10 : 0143039849
ISBN-13 : 9780143039846


[ru] ロシア語
タイトル: Ворота Расемон. Новеллы
著者: Акутагава Рюноскэ (Akutagawa Ryunosuke)
ハードカバー
出版社: Эксмо (Eksmo)
出版年: 2007
ISBN-10 : 5699207775
ISBN-13 : 9785699207770


[he] ヘブライ語
タイトル: ראשומון
著者: אקוטגווה ריונוסקה (Akutagawa Ryunosuke)
出版社: הוצאת גוונים - עלים
出版年: 2002
ISBN-10:
ISBN-13:


[zh] 中國語(繁體字)
タイトル: 羅生門—芥川龍之介全集1
著者: 芥川龍之介 訳者: 文潔若
平裝
出版社: 格林
出版年: 2001-05-24
ISBN-10: 9577454399
ISBN-13: 9789577454393


[ko] 韓国語
タイトル: 라쇼몽
著者: 아쿠타가와 류노스케 (Ryunosuke Akutagawa) 訳者: 김영식
出版社: 문예출판사
出版年: 2008-04-20
ISBN-10 : 8931005911
ISBN-13 : 9788931005912


[ja] 日本語
タイトル: 芥川龍之介全集〈第1巻〉羅生門 鼻
著者:芥川 龍之介 
出版社: 単行本 岩波書店
出版年: 1995-11
ISBN-10 : 4000919717
ISBN-13 : 9784000919715


■芥川龍之介の「遺書」 Ryunosuke Akutagawa's suicide notes

芥川龍之介は1927(昭和2)年7月24日日曜日早朝に自殺した。つぎのとおり複数の「遺書」を残している。

   a. 妻・芥川文子 宛て(原稿用紙2枚)
   b. 妻・芥川文子宛て断片1(同1枚)
   c. 妻・芥川文子宛て断片2(同1枚)
   d. 「わが子等に」 比呂志多加志也寸志 の息子3人がいた(同3枚)
   e. 友人・菊池寛 宛て(同2枚)
   f. 友人・小穴隆一 宛て(同5枚) そして
   g.或旧友へ送る手記」(友人・久米正雄 宛てだとされる)

「将来に対するぼんやりした不安」という、あの有名な文句が書かれているのは g. である。「遺書」とも「作品」ともとれるこの文章は7月24日、芥川の亡くなったその日の午後9時、久米正雄の朗読によって報道機関のまえで発表された。全文は翌25日月曜の『東京日日新聞』朝刊に掲載された。


■遺書の「発見」 The "discovery" of the suicide notes

下に引用するのは、上記 a. 妻・文子宛て遺書の全文である。a. は、それが存在したことが以前から知られていた。全文が過去数回編まれた芥川全集にも収録されている。しかし、末尾に「直ちに焼棄せよ」という芥川の文言があるため、その指示どおり、ある時期に処分されたものと一般には信じられていた。

原本が現存することが明らかになったのは2008年5月のこと。芥川の孫にあたる 芥川耿子(あくたがわ・てるこ)氏が他の遺書などとともにこれを財団法人 日本近代文学館 に寄贈した結果、初めて一般に公開されるにいたった。

a.f. は今ではその全葉の写真画像を2009年10月刊行の大型本『芥川龍之介の書画』で見ることができる。この書画集によって「初公開」された遺書は、上記のうち a. b. d. および e. の4通である。


■妻・芥川文子宛遺書 Suicide note to Fumiko Akutagawa, his wife

(1) やぶちゃん翻刻版 2009

 一、 生かす工夫絶對に無用
 二、 絶命後小穴君に知らすべし。 絶命前に
は小穴君を苦しますこ〔め并せて世間を騷がす〕惧れあり。
 三、 絶命すまでは來客には「暑さあたり」と披露
すべし。
 四、 下島先生と〔御〕相談の上、 自殺とする
]〔病〕殺とするも可。 若し自殺と定まりし時
は遺書(菊地宛)を菊地に与ふべし。 然らざれ

---------------------------------------------------

ば燒き棄てよ。 他の遺書(文子宛)は如何に関ら
ず披見し、 出來るだけ遺志に從ふやうにせよ。
 五、 遺物には小穴君に蓬平の蘭を贈るべし。
又義敏に松花硯(小硯)を進贈贈るべし。
 六この遺書は直ちに燒棄せよ。

[やぶちゃん注:全2枚。松屋20×20=200字詰原稿用紙。25㎝×17.5㎝(底本は画像に縮小が施されているため、底本の石割透氏の図版解題の数値を示す)。罫色は画像では暗い藍色に見える。下欄外右方に製造社内の原稿用紙規格を示すものと思われる『(SM印 B…1  10…20)』の印刷、左欄外下方に独特の書体活字の『松屋製』の印刷。ペン書き(私にはブラックに見える)。冒頭2行空き。「燒き棄てよ。……」以下は2枚目。原稿用紙仕様は同一。]

   芥川龍之介遺書全6通 他 関連資料1通
   ≪2008年に新たに見出されたる遺書原本
   やぶちゃん翻刻版 附やぶちゃん注≫
   翻刻電子テクスト及び注・解釈 2009 Yabtyan

   tomoki y. 注
   上掲テキストは、やぶちゃん氏が『芥川龍之介の書画』所収の
   写真図版を丹念に凝視して、直筆の改行箇所や芥川による
   推敲の跡までも忠実に克明に再現しようとしたもの。翻刻の際に
   採られた原則のさらなる詳細については、上掲やぶちゃん氏
   サイトの注や後注をご参照ください。


(2) 日本近代文学館版 2009

1枚目
一、生かす工夫絶対に無用。
二、絶命後小穴君に知らすべし。絶命前には小穴君を苦しめ并せて世間を騷がす惧れあり。
三、絶命すまで来客には「暑さあたり」と披露すべし。
四、下島先生と御相談の上、自殺とするも病殺とするも可。若し自殺と定まりし時は遺書(菊池宛)を菊池に与ふべし。然らざれ

2枚目
ば燒き捨てよ。他の遺書(文子宛)は如何に関らず披見し、出来るだけ遺志に従ふやうにせよ。
五、遺物には小穴君に蓬平の蘭を贈るべし。又義敏に松花硯(小硯)を贈るべし。
六この遺書は直ちに燒棄せよ。

   芥川文子宛遺書
   図版解題: 石割透
   二百字詰め原稿用紙2枚・ペン書き 各25x17.5cm 昭和2年

   「遺書篇」
   財団法人 日本近代文学館=編
   池内輝雄(いけうち・てるお)=編集・解説
   石割透(いしわり・とおる)=編集・解題
   『芥川龍之介の書画』 二玄社 2009-10-20

   tomoki y. 注
   上掲やぶちゃん氏サイトでも指摘されているが、写真図版と見くらべると、
   句読点、旧字・新字の別など細部が芥川の直筆とは異なることがわかる。


(3) 岩波全集版 1998
 一、生かす工夫絶対に無用。
 二、絶命後小穴君に知らすべし。絶命前には小穴君を苦しめ幷せて世間を騷がす惧れあり。
 三、絶命すまで来客には「暑さあたり」と披露すべし。
 四、下島先生と御相談の上、自殺とするも病殺とするも可。若し自殺と定まりし時は遺書(菊池宛)を菊池に与ふべし。然らざれば燒き棄てよ。他の遺書(文子宛)は如何に関らず披見し、出来るだけ遺志に従ふやうにせよ。
 五、遺物には小穴君に蓬平の蘭を贈るべし。又義敏に松花硯(小硯)を贈るべし。
 六、この遺書は直ちに燒棄せよ。

   芥川龍之介=著 「遺書」
    『芥川龍之介全集〈第23巻〉日録・講演メモ 他』(全24巻)
   岩波書店 1998-01-29
   E-text at 青空文庫


 Image gallery 2 
芥川龍之介——フォトアルバム
Akutagawa_photo_album_2
日本近代文学館 資料写真検索 の簡易検索画面に「芥川龍之介」と入力すると、上の6枚を含む全部で171枚の写真が得られる。芥川本人の写真のほか、家族や友人の写真、書影などを含む。


■外部リンク External links

 [ja] 日本語
  (1) 遺書見つかる
   * 芥川龍之介:妻子らにあてた幻の遺書4通見つかる
      - 文芸同志会通信(毎日新聞 2008-07-18 記事を転載)
   * 【文壇】芥川龍之介の“幻の”遺書が見つかる…
     「わが子等に」と題して妻子に宛てた4通(実物写真あり)
      - ニュース速報+@2ch (読売新聞 2008-07-18 記事を転載)
   * 芥川龍之介の遺書4通公開
      - 観劇レビュー&旅行記 (朝日新聞 2008-07-18 記事を転載)
   * ニュース写真特集 - 毎日新聞 2008-07-19
   * 芥川龍之介の遺書 - 84歳の人間の考えること/ウェブリブログ 2008-07-20
     芥川の自殺を報じた東京日日新聞 1927-07-25 記事の複製を掲載
  (2) 人と作品
   * 芥川龍之介 - Wikipedia (1892-1927)
   * 芥川竜之介 - 青空文庫
   * 芥川竜之介 - 近代デジタルライブラリー - 国立国会図書館
   * 芥川龍之介私的データベース

 [en] English
   * Ryūnosuke Akutagawa - Wikipedia (1892-1927)
   * Ryunosuke Akutagawa - Project Gutenberg
   * Akutagawa Ryunosuke (1892-1927) - Biography by Petri Liukkonen


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(2) 芥川龍之介+遺書

(3) 芥川龍之介+手紙

(4) 芥川龍之介+書簡

  

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Wednesday, 20 June 2007

La morte amoureuse by Théophile Gautier ゴーチェ / ゴーチエ / ゴーティエ 「死霊の恋」「死女の恋」「クラリモンド」

 Images 

a. 31331178 b. Liv20001 c. 482pxthc3a9ophil_gautier
↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 千葉 1996
「ロミュアールさま、わたしは、あなたにお目にかかるまえから、あなたを愛していたのです。ですから、わたし、あなたをいっしょうけんめいさがしました。あなたは、わたしの夢だったのです。ようやく見つけたときが、あの運命のときでした。あなたが一生を神にささげる儀式のとき。わたしはあなたを見て、すぐにこの人だ、とわかりました。そこでわたし、いままでもっていたすべての愛と、あなたのためにもつ未来の愛をこめて、あなたを見つめたのです。わたしのその目で見られたら、どんなえらいお坊さんでも、ころりとまいってしまいます。王さまでも高貴な貴族でも、わたしの足もとにひざまづくのです。
 それなのに、あなたはへいきでした。わたしではなく、神さまを選んでしまったのですもの。(……)」
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.]

  • ゴーチェ=作 千葉幹夫=文 「吸血鬼の恋人」 ディケンズ〔ほか〕=作 『魔のトンネル』 青い鳥文庫Kシリーズ 講談社 1996/09

(J2) 小柳 1992, 2004
 「お会いするずっと前から私はあなたを愛していたのよ、いとしいロムアルド。それで、くまなくあなたを探し廻っていたの。あなたは私の夢だった。そしてギリギリのときになって教会であなたを見かけたのよ。私はすぐに《あの人だ!》って言ったわ。私はそれまで抱いてきた、そのときも抱いていた、その後も抱き続けるはずのあなたへの愛を一つに集めたまなざしをジッとあなたに注いだのよ。枢機卿(すうきけい)をも地獄に突き落とし、廷臣全員の前で国王をも私の足下にひざまずかせるほどのまなざしだったわ。なのに、あなたはビクともせずに私より神さまにほうを選んだのよ。(……)」


(J3) 高野 1989
「ねえ、ロミュアール。わたし、あなたに会うずっとまえから、あなたのことを愛していたのよ。あなたはわたしの理想の人だったの。どこかにあなたみたいな人がいるにちがいない、そう思って、わたし、ずいぶんいろいろなところをさがしたわ。そして、とうとうあの教会であなたを見つけたの。
 はじめてあなたを見たとき、わたしは、この人だ、この人こそわたしがさがし求めていた人なんだって思った。だから、ありったけの思いをこめて、あなたを見つめたの。ごぞんじかしら、ほんの少し見つめただけで、わたしは、どんなにりっぱな司教さまでも誘惑(ゆうわく)できるし、どんなにえらい王さまでも足もとにひざまずかせることができるのよ。それなのに、あなたは平気な顔をしていた。そして、わたしより、神さまのほうを選んでしまった……。(……)」

  • ゴーチエ=著 高野優(たかの・ゆう)=訳 「死女の恋」 江河徹(えがわ・とおる)=編 『ファンタスティックな恋の話』 幻想文学館5 くもん出版 1989/08

(J4) 野内 1986
「あたしはあなたにお目にかかるずっと前から、あなたをお慕いしてましたのよ、ロミュアルド。それは方々お捜ししましたわ。あなたはあたしの夢だったのです。そしてあの運命の瞬間に、教会でお姿を目にしたのです。あたし、とっさに『あの方だわ!』と声に出してしまいました。あたしはあなたに視線を投げかけました。今まで抱きつづけ、そして今もこれからも抱きつづける想いのたけを込めて。枢機卿さまだって地獄に突き落し、並居る廷臣の前で王様だってあたしの足もとにひざまずかせる眼差よ。なのに、あなたったら知らんぷり。あたしより神さまをお選びになったのね。(……)」


(J5) 店村+小柳 1977
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

  • ゴーチェ=著 店村新次(たなむら・しんじ)+小柳保義=訳 「死女の恋」 『ゴーチェ幻想作品集』 ブックスメタモルファス 創土社 1977/03

(J6) 田辺 1951, 1963, etc.
「あたしあなたにお目にかかるずっと前から、あなたをお愛ししていましたのよ、恋しいロミュオーさま。そして、ほうぼうお捜ししていましたの。あなたはあたしの夢だったのです。教会でせっぱつまった瀬戸ぎわにお見かけしたとき、あたし〝あの方だ!〟と、すぐに言いましたの。そして、あなたに対して、それまで持っていたし、今も持っているし、将来も持つにちがいない、すべての愛をこめた眼ざしを送ったのです。僧正さまさえ地獄におとし、王さまでも宮廷にいならぶ人々の前で足もとにひざまずかせる眼ざしでしたわ。それなのに、あなたは知らん顔して、あたしよりも神さまをおえらびになったのね。(……)」


(J7) 青柳 1948, 1959, etc.
「ねえ、ロミュアール、あたし、あなたにお目にかかる前からあなたを愛していましたのよ。だから、あたし、ほうぼう捜しまわりましたわ。あなたはあたしの夢でしたん。そして、とうとう、せっぱつまった瀬戸ぎわに、教会でお目にかかったのよ。あたしすぐ、『これがあのかただ!』っていったの。そこであたし、いままでにもっていた愛、あのときもっていた愛、今後もつであろう愛、それらの愛のことごとくをこめた眼差しで見あげたの。その目で見られれば、どんな大僧正でも誘惑されるし、どんな王様だって、宮臣の眼前でわたしの足下にひざまずいてしまうのよ。それだのに、あなたは平気でいたわね。そして、あたしよりも神様のほうを選んじゃったのね。(……)」

  • ゴーティエ / ゴーチェ=著 青柳瑞穂=訳 「死女の恋」「魔女の恋」
  • 引用は b. 創元推理文庫版に依拠しました。

(J8) 岡本 1929, 1970, etc.
「ロミュオーさま。わたしはあなたをお見かけ申した前から愛していました。そうして、あなたを捜していたのです。あなたは私の夢にえがいていたかたです。教会のなかで、しかもあの運命的な瀬戸ぎわにあなたを初めてお見かけ申したのです。わたしはその時すぐに〈あの方だ〉と自分に言いました。わたしは今までに持っていたすべての愛、あなたのために持つ未来のすべての愛、それは司教の運命も変え、帝王もわたしの足もとにひざまずかせるほどの愛をこめてあなたを見つめたのです。それをあなたは、わたしには来て下さらないで、神様をお選びになったのです……。(……)」


(J9) 佐々木 1926
『私はあなたにお會ひするずつと以前から、あなたをお慕ひ申してゐたのです、私のいとしいロミュアルド樣、そして私は、諸所方々あなたのお姿をさがしてゐたのでございます。あなたは、私の夢でございました。そして私は、あの、もう取りかへしのつかない悲しい時機になつて、あなたを教會の中でお見掛けしたのです。私はすぐに申しました。《あの方だ》と。私は、私が持つてゐただけの……あなたに對して持つてゐた、いや持たねばならなかつただけの、ありつたけの愛をこめたまなざしを、あなたに投げたのでした。それは樞機官をも盲目にし、王者をもその廷臣達の面前で、私の足許へひざまづかせることの出來るまなざしでございます。だのに、あなたは平氣でいらつしやいました。さうして私よりも神樣の方をお選びなさいました。(……)』

  • テオフィル・ゴオチェ=作 佐々木孝丸=譯 「死戀」 『佛蘭西歴代名作集』 世界短篇小説大系9 佛蘭西篇(上) 近代社 非賣品 1926/07(大正15)

(J10) 芥川 1914, 1921, etc.
「貴方に会はないずつと前から私は貴方を愛してゐてよ。可愛いゝロミュアル、さうして方々探してあるいてゐたのだわ。貴方は私の愛だつたのよ。あの時あの教会で始めてお目にかゝつたでせう。私、直に『之があの人だ』つて云つたわ、それから、私の持つてゐた愛、私の今持つてゐる、私の是から先きに持つと思ふ、すべての愛を籠めた眸(め)で見て上げたの——其眼(め)で見ればどんな大僧正でも王様でも家来たちが皆見てゐる前で、私の足下に跪いてしまふのよ。けれど貴方は平気でいらしつたわね、私より神様の方がいゝつて。(……)」

  • ゴーティエ / ゴーチエ=著 芥川龍之介=訳 「クラリモンド」
  • 初出は 1914/10(大正3)の h.。
  • 引用は b. に依拠しました。この b. は、g. を底本とし、h.と照合してあります。
  • g. と h. の訳は、久米正雄名義になっており、目次、中扉、奥付のどこにも、芥川の名前は記載されていません。しかし、これら2つの訳は、じつは「全部芥川氏によつて訳されたものである」と、f. の月報第8号 (1929/02) の「編輯者のノオト」にあります。
  • h. の久米正雄による「序」に、こうあります。「友人、山宮允、柳川隆之介、成瀬正一 三君の大なる助力なくば、今日の小成をすらなす事ができなかつたのだ」。柳川隆之介は芥川の号の1つです。
  • おなじく h. の久米正雄「序」に、こうあります。「原語の読めぬ私はやむなくラフカヂオ・ヘルンの英訳を用ゐた」。つまり、上の芥川訳はすべて、ゴーチェによるフランス語原典からの直訳ではなく、ラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)による英訳からの重訳なのです。

(J11) 久米 1914, 1921
「貴方に會はないずつと前から私は貴方を愛してゐてよ。可愛いゝロミュアル、さうして方々探してあるいてゐたのだわ。貴方は私の愛だつたのよ。あの時あの教會で始めてお目にかゝつたでせう。私、直に『之があの人だ』つて云つたわ、それから、私の持つてゐた愛、私の今持つてゐる、私の是から先きに持つと思ふ、すべての愛を籠めた眸(め)で見て上げたの——其眼(め)で見ればどんな大僧正でも王樣でも家來たちが皆見てゐる前で、私の足下に跪いてしまふのよ。けれど貴方は平氣でいらしつたわね、私より神樣の方がいゝつて。(……)」

  • ゴーティエ / ゴーチエ=作 久米正雄=譯 「クラリモンド」
    • 〔ゴーティエ=原著〕 久米正雄=譯 『クレオパトラの一夜』 新潮社 定價金九拾五錢 1921/04(大正10)
    • ゴーチエ=作 久米正雄=譯 『クレオパトラの一夜』 新潮文庫 第1期第10編 定價貮拾五錢 1914/10(大正3)
  • a. 新潮社版 1921 は、上掲芥川訳の g. とおなじ。b. 新潮文庫版 1914 は芥川訳 h. とおなじ。(J10) 芥川の項に述べたとおり、これら2つの訳は、どちらもじつは芥川龍之介によるものです。
  • 引用は a. 新潮社版 1921 に依拠しました。(J10) 芥川訳と同文ですが、旧字である点が異なります。

■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

  「死霊の恋」……………………田辺 1963, 1975, 1982, 1988
  「死女の恋」……………………高野 1989 店村+小柳 1977
                青柳 1959, 1969, 2006
  「死戀」…………………………佐々木 1926
  「魔女の恋」……………………青柳 1948
  「吸血鬼の恋人」………………千葉 1996
  「吸血女の恋」…………………小柳 2004
  「クラリモンド」………………芥川 1914, 1921, 1929, 1955, etc. 
                岡本 1929, 1987 久米 1914, 1921
  「遊女クラリモンドの恋」……野内 1986


■著者名の日本語表記の異同
 Transliteration variations of the author's name in Japanese

  ゴーチェ………千葉 1996 
  ゴーチェ………芥川 1995
  ゴーチェ………店村+小柳 1977
  ゴーチェ………岡本 1987
  ゴーチェ……… 〃 1970
  ゴーチェ………田辺 1975
  ゴーチェ……… 〃 1963
  ゴーチェ………青柳 1948
  ゴーチエ………小柳 2004
  ゴーチエ……… 〃 1992
  ゴーチエ………高野 1989
  ゴーチエ………野内 1986
  ゴーチエ………田辺 1988
  ゴーチエ………
 〃 1982
  ゴーチエ………
 〃 1975
  ゴーチエ………芥川 1914(大正3)
  ゴーチエ………久米 1914( 〃  )
  ゴーティエ……芥川 1998
  ゴーティエ……田辺 1951
  ゴーティエ……芥川 1921(大正10)
  ゴーティエ……久米 1921( 〃  )
  ゴーチヱ………岡本 1929(昭和4)
  ゴオチェ………佐々木 1926(昭和1)
  (未確認)………芥川 1977
  (未確認)……… 〃 1967
  (未確認)……… 〃 1955


 Video 1 
Romuald/Clarimonde - Hellfire

Uploaded by CrimsonRoseOfDanube on 13 Jan 2012. From the TV series The Hunger: Season 1, Episode 21. Clarimonde (Original broadcast: 20 Mar. 1998), based on the story by Théophile Gautier.


 Audio 1 
 Audio 1 
英語版オーディオブック 朗読: ジョイ・チャン Audiobook in English read by Joy Chan

下の引用箇所の朗読は 57:12 から始まります。 Uploaded to YouTube by Audiobooks on YouTube on 26 Dec 2014. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 57:12.


■英訳 Translation into English

"I loved thee long ere I saw thee, dear Romuald, and sought thee everywhere. Thou wast my dream, and I first saw thee in the church at the fatal moment. I said at once, 'It is he!' I gave thee a look into which I threw all the love I ever had, all the love I now have, all the love I shall ever have for thee—a look that would have damned a cardinal or brought a king to his knees at my feet in view of all his court. Thou remainedst unmoved, preferring thy God to me! (....)"

  • La Morte Amoureuse by Théophile Gautier. Translated by Lafcadio Hearn. テオフィル・ゴーティエ=原作 ラフカディオ・ハーン=英訳 佐竹竜照(さたけ・りゅうしょう)+内田英一(うちだ・えいいち)=訳注 『クラリモンド』 大学書林 1997/01
  • E-text at:

 Video 2 
フランス語原文のビデオブック La morte amoureuse: Videobook

朗読は小説冒頭部分から。 Uploaded by Editionseponymes on Dec 14, 2009. The recording starts at the beginning of the story.


 Audio 2 
フランス語原文のオーディオブック La morte amoureuse: Audiobook

下に引用した箇所は 0:53:43 あたりから始まります。 Published on 5 Nov 2012 by Audiolude. The excerpt below starts around 0:53:43


■フランス語原文 The original text in French

« Je t'aimais bien longtemps avant de t'avoir vu, mon cher Romuald, et je te cherchais partout. Tu étais mon rêve, et je t'ai aperçu dans l'église au fatal moment ; j'ai dit tout de suite « C'est lui! » Je te jetai un regard où je mis tout l'amour que j'avais eu, que j'avais et que je devais avoir pour toi ; un regard à damner un cardinal, à faire agenouiller un roi à mes pieds devant toute sa cour. Tu restas impassible et tu me préféras ton Dieu. (...) »

  • La morte amoureuse by Théophile Gautier
  • E-text at munseys.com

■更新履歴 Change log

  • 2014/01/27 リンク先の英語版オーディオブックが削除されていたので、代わりに別の録音を掲載しました。
  • 2014/01/26 テレビ Clarimonde の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/03/02 英訳版のオーディオブックとフランス語原文のオーディオブックの YouTube 動画を追加しました。
  • 2011/11/27 フランス語原文のビデオブックの YouTube 動画を追加しました。
  • 2011/07/01 英訳の書誌情報を修正しました。
  • 2007/06/30 佐々木孝丸=譯 1926/07 を追加しました。
  • 2007/06/30 野内良三=訳 1986/05 を追加しました。
  • 2007/06/24 小柳保義=訳 1992/05 を追加しました。

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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) La morte amoureuse

(2) Theophile Gautier

■和書 Books in Japanese

  

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Tuesday, 01 August 2006

Tu Tze-chun, a Tang Dynasty story and its adaptation / Toshishun / 李諒(李復言),牛僧孺, 芥川龍之介ほか(唐人傳奇『續玄怪錄』から)「杜子春」「杜子春伝」「杜子春傳」「杜子春の物語」

 Video 1 
蔡志忠 《鬼狐仙怪系列——杜子春》
Du Tz Chuen: An animated film by Cai Zhizhong

冒頭部分。おちぶれた杜子春が、路上で老人に出会うところまで。 Uploaded by tomorallen on Dec 7, 2006


 Video 2 
芥川龍之介原作 「杜子春 (1979)
TVアニメ 日本名作童話シリーズ 赤い鳥のこころ より

監修: 木下恵介 原作: 芥川龍之介 プロデューサー: 木下忠司・矢吹公郎 監督・作画: 蔡志忠 脚本: 折戸伸弘 音楽: 木下忠司 このアニメシリーズの詳細はウィキペディアを参照。 Uploaded by ROMANSEORIGINAL on Dec 12, 2011.


■表紙画像 Cover photos
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■日本語訳 Translations into Japanese
 Classical Chinese >>> Contemporary Japanese

(J1) やぶちゃん 2006
 (……)杖をついた一人の老人が杜子春の前に立っています。老人は、杜子春に、こう訊ねました。
「お前さまは何を嘆いておられるのじゃ?」
杜子春は自分のどんなにかやりきれない思いを述べ始めて、まさにあの親戚の薄情さを訴える段となると、その憤りたるや、顏の色がすっかり変わってしまうほどでした。
すると老人は、即座に聞きました。
「幾らあったら、お前さま充分かね?」
「三万か、五萬ぐらいもあれば、やっていけますか……。」
老人は即座に返しました。
「まだまだ。」
そこで、
「十万。」
と、杜子春が言うと、またしても、
「まだまだ。」
それならばと、
「百万。」
と答えると、またしても
「まだまだ。」
杜子春が思い切って、
「三百万。」
と答えた時、初めて老人は
「いいじゃろ。」
と頷き、無造作に袖から銭一さしを取り出して、
「これは、当座、お前さまの今夜の分じゃ。明日の正午きっかり、お前さまを西の市の北のペルシャ人屋敷で待っていよう。くれぐれもその刻限に遅れてはならん。」
と言い捨てて、去って行きました。
翌日定刻通り、杜子春が行ってみると、老人は果して三百萬の銭をくれて、そうして名も告げずに立ち去ったのでした。

   李復言=著 やぶちゃん=訳「杜子春の物語」2006/07/30
   訳者注によると、『太平廣記』を底本として諸本によって校閲された
   『唐人小説』(中華書局 1959)を底本とした、
   『中国の古典32 六朝・唐小説集』別冊(学習研究社 1983)
   の原文を元とした「やぶちゃん版訓読」をベースとした由。


(J2) 内田+乾 1996
 すると一人の老人が、杖をついて前に現れ、たずねて言った、
「あなたは、何を嘆いているのか」と。
 杜子春は、自分の思いを言い、さらに親戚の薄情さに文句を述べたが、その時の表情には興奮しているさまがよく分かった。老人が言うには、
「いくらあれば十分なのだ」と。
 杜子春が言うには、
「三、五万あれば、生活していけます」と。
 老人が言うには、
「まだ十分ではない」と。さらに、
「十万」と言うと、
「まだ十分ではない」と言う。そこで、
「百万」と言うと、
「まだ十分ではない」と言う。そして今度は
「三百万」
 というと、そこで初めて、
「よかろう」
 と言って、袖の中から一さしの銭を取り出して言うには、
「おまえにやろう。今は夜なので、明日の正午に、おまえを西の市場のペルシャ人屋敷で待っている。時間に遅れないように気を付けなさい」と。
 約束の時間に、杜子春は出かけた。老人は先の言(げん)のように、銭三百万を与えると、自分の姓名を言わずに立ち去った。

   李復言(り・ふくげん)=撰「杜子春伝」
   内田泉之助(うちだ・せんのすけ)+乾一夫(いぬい・かずお)=著
   波出石実(はでいし・みのる)=編『唐代伝奇』新書漢文大系10
   明治書院 1996/06 所収


(J3) 竹田 1990
 (……)一人の老人が杖をついて子春の前に現れて言葉をかけた。
 「あなたはなにを嘆いておられるのじゃ」
 子春は胸のうちを訴え、また、親戚の冷たいしうちに対する不満を述べているうちに、憤激の思いが顔に現れてきた。すると老人は言った。
 「いくらあったらやっていけるのかね」
 子春は答えた。
 「四、五万もあればなんとか暮らしていけるでしょう」
 老人は言う。
 「そんなもんじゃだめじゃろう」
 「それでは十万」
 「まだだめ」
 「百万」
 「まだまだ」
 「三百万」
 すると老人はやっと、
 「よかろう」
 と言うと、袖の中から銭(ぜに)を一緡(ひとさし)(ひもに通した穴あき銭千枚)取り出してこう言った。
 「今日はとりあえずこれだけさしあげておこう。明日の正午、西市のペルシャ人屋敷(1)で待っておるから、くれぐれも遅れないように」
 約束の時刻に子春が行ってみると、老人は約束どおり三百万の銭をくれると、姓名も名乗らずに立ち去った。

   注(1) 当時の長安は国際都市のにぎわいを見せ、ペルシャ商人も住みついて
   おり、富豪が多かった。
   李復言=著 竹田晃=訳・解説「杜子春の物語」
   竹田晃=編『中国幻想小説傑作集
   白水Uブックス91 白水社 1990/12 所収


(J4) 金 1989
 (……)一人の老人が杖をつきながら前の方に現れ、
 「お前さん、何をお歎きだい」
 と尋ねた。子春は自分の心のうちを述べたが、親戚の薄情な仕打ちが腹にすえかね、興奮のあまり顔が上気するほどであった。老人が、
 「銭がなん貫(がん)ほどあれば足りるのじゃ」
 と言うので、子春は、
 「四、五万もあれば生きてゆけます」
 と答えると、老人は、
 「まだまだじゃ、もっと言うてみよ」
 そこで「十万」と言うと、「いやまだまだ」
 思い切って「百万」と言ってみると、やはり「まだまだ」
 「三百万」と言うと、やっと「よかろう」と、袖から銭一緡(ひとさし)を取り出し、
 「これは今晩の分じゃ。明日の正午、西市の波斯邸(ペルシャやしき)で待っておる。おくれるでないぞ」
 と言った。
 約束の刻限に、子春が行ってみると、老人は果たして三百万銭をくれ、名も告げずに立ち去った。

   李復言=編 金文京(きん・ぶんきょう)=著(現代語訳)「杜子春」
   『鑑賞 中国の古典23 中国小説選』角川書店 1989/11 所収


(J5) 今村 1988
 (……)一人の老人が杖をつき、面前にたたずんで、訊ねた。
 「なぜ溜息をついていなさる?」
 杜子春は、思っていたことをさらけ出し、親戚が薄情だと憤激した。憤激の情は顔に表われた。
 「いく緡(さし)(3)あったなら、足りるのかな?」
 「三万か四万あれば、やっていけるでしょう」
 ところが、老人は、
 「それでは足りるまい。もっと言ってごらん」
と言うのである。
 「十万」
 「それでは足りるまい」
 そこで百万と言ったが、やはり、
 「それでは足りるまい」
 「三百万」
と言うと、やっと、
 「それならよかろう」
と言いながら、袖から一緡取り出して、
 「これは今晩の分だ。明日の正午、西市のペルシャ人屋敷(4)で待っている。時間に遅れないように」
と言った。
 その刻限に、杜子春が約束の場所へ行くと、老人は彼に銭三百万与えて、姓名を名のらないまま立ち去った。

   注(3) 唐代は、貨幣として銭と帛を使用し(……)これをみても、袖から
   一緡取り出して若者に渡したという老人がただ者でないことが判る。
   注(4) (……)当時、長安に来ていたペルシャ人の居住にあてた所か、
   あるいは商品をあずけておく所だろうという(……)。

   牛僧孺(ぎゅう・そうじゅ)=著 今村与志雄=訳「杜子春」
   『唐宋伝奇集(下)—杜子春 他三十九篇』(全2册)
   岩波文庫 1988/09 所収


(J6) 高橋+西岡 1982
 と、一人の老人が杖(つえ)をつきながら、ふいと目の前に現れて、
「お前さんは、何をそんなに嘆いているんだね?」
 と問いかけた。子春(ししゅん)は自分のやりきれない気持ちこの老人に喋(しゃべ)りはじめたが、薄情な親類のしうちを訴える段になると、顔面が紅潮するほどに興奮してしまった。
 老人は、そこで、
「いくらあればお前さんは満足かね?」
 と訊(たず)ねる。子春が、
「三万から五万ぐらいあればやっていけます」
 と答えると、老人は
「それじゃ足らんだろう」
 と言う。そこで、
「十万ぐらい」
 と言ったが、
「まだ足らんな」
 と言い、
「百万」
 と言っても、やはり、
「まだだな」
 と言う。そこで、
「三百万です」
 と言うと、
「それで、よかろう」
 と答え、袖(そで)から一さしの銭を取り出して、
「これは今夜の食いぶちだ。明日の正午に、西市のペルシャ人屋敷で、お前さんを待っている。遅れないように来なさいよ」
 と言いすてて、去っていった。
 翌日、子春が行ってみると、老人は果たして銭三百万を彼にくれて、名も告げずにいなくなった。

   李復言=著 高橋稔+西岡晴彦=訳「杜子春伝」
   藤堂明保=監修『六朝・唐小説集』中国の古典32
   学習研究社 1982/05 所収


(J7) 村山 1976
 (……)かれのまえに、杖(つえ)をついたひとりの老人があらわれた。
「なにをそんなになげいておられるのかな。」
 杜子春(とししゅん)は自分がどんなにこまっているかをうったえ、親戚(しんせき)の薄情(はくじょう)なしうちをののしった。ののしっているうちに、しだいにこうふんして、顔色まで変わってきた。このようすを見て、老人がいった。
「いくらあればたりるかな。」
「四、五万もあれば、なんとかやっていけるのですが……。」
「それではたらんだろう。」
「では、十万。」
「まだたるまい。」
「それなら、百万。」
「まだまだ、それでもたるまい。」
「では、三百万。」、
「まあ、よかろう。」
 老人は、そういって袖(そで)から銭をひとつかみとり出した。
「さしあたって、今晩(こんばん)の費用にこれだけさしあげよう。わしはあす正午、西市(さいし)にあるペルシア人のやしきで待っている。おくれないように来なさるがよい。」
 あくる日、やくそくの時刻(じこく)にいってみると、老人は銭三百万をさしだし、名まえもつげずに立ち去った。

   李復言=著 村山孚(むらやま・まこと)=訳「杜子春」
   村山孚=訳『唐代の小説』中国の古典文学6
   さ・え・ら書房 1976/10 所収


(J8) 乾 1971
 この時、一人の老人が杖をついて前に現われ、問うて言う、
「そなたは何を嘆いているのじゃ」と。
 杜子春は自分の気持を述べ、さらに親戚の薄情なことを憤っては、興奮の気配が顔色にまで現われていたのだった。老人が言うのに、
「いくらあったら用に足りるのかね」と。
 子春は言う、
「三万か五万あれば生活できましょう」と。
 老人は言う、
「まだそれではだめだな」と。さらに、
「十万」と言った。言う、、
「まだだめだな」と。そこで、
「百万」と言ったが、またもや
「まだだめだな」と言う。
「三百万」
 と言うと、やっと、
「よかろう」
 と言い、袖の中から銭を一貫(ひとさし)取り出して、
「そなたに進ぜよう。今は夜だから、明日の正午にそなたを西の市場のペルシャ屋敷で待っている。くれぐれも約束の時間に遅れないようにな」と言うのであった。
 約束の時間になって子春が行ってみると、老人は果たして三百万の銭をくれ、姓名を告げずに立ち去った。

   李復言(り・ふくげん)=撰 乾一夫=訳「杜子春傅」
   内田泉之助+乾一夫=著『唐代伝奇』新釈漢文大系44
   明治書院 1971/09 所収


(J9) 前野 1964
 そのとき一人の老人が杖をつきながら子春(ししゅん)の目の前に現われて、言葉をかけたのである。
「なにを嘆いておられるのかな」
 子春は自分の気持を訴え、さらに親戚の冷淡さに対する不平をも話して、表情にまで興奮の色を浮かべるのであった。すると老人は、
「いくらあったら十分なのかね」
 子春は答えた。
「四、五万もあれば暮らしは立つでしょう」
 しかし老人は言う。
「そのくらいではまだだめだね」
「それでは十万」
「まだまだ」
「百万」
「まだまだ」
「三百万」、
 すると老人はようやく、
「よかろう」
 そして袖の中から銭をひとさし取り出すと、
「今夜はこれだけ進ぜよう。明日の正午、西市のペルシア人屋敷(注)で待っているよ。遅れないように気をつけてな」
 約束の時刻に子春が行ってみると、老人は約束どおり三百万の銭をくれた。そして姓名も名のらずに立ち去った。

(注)当時の長安の町には各国の人たちが集まっていた。ペルシアの商人もその一つで、大富豪が多かった。

   李復言=著 前野直彬=訳「杜子春の物語」続玄怪録
   前野直彬=編訳『唐代伝奇集2』(全2巻)東洋文庫16
   平凡社 1964/04 所収


(J10) 川端 1926
 そこへ一人の老人が杖をついてやつて來た。
『君は何を嘆息してゐるのだね。』
 杜子春は事情を話し、顏色を變へて親戚の薄情を憤慨した。すると老人が云つた。
『ふん。して、一體金がどれくらゐあればいいのだね。』
『三萬か五萬もあれば結構暮して行けるでせう。』
『何だけちくさい。それつぱかりか。同じことなら、もつと澤山ほしいと云へ。』
『では、百萬。』
『何だ。それつぱかりか。』
『ぢやあ三百萬。』
『よろしい。』
 そして老人は袖の中から錢貫(ぜにさし)を一つ出して云つた。
『今は持合せがないから、これだけやつて置く。明日、やつぱり夕方の今頃に西市のペルシヤ人の邸へ來給へ。よく氣をつけて、遲刻しないやうにし給へ。』
 杜子春は約束の時間に行つた。すると果して老人は錢三百萬を與へ、名前も云はずに何處かへ行つてしまつた。

   鄭還古=撰 川端康成=譯「杜子春傅」
   『支那文學大觀8
   支那文學大觀刊行會 非賣 1926/09 所収


■漢文読み下し Japanized reading of the original text in Chinese

一老人杖を道に策(つゑつ)くあり、問うて曰(いは)く、君子何をか歎ずると。子春(ししゆん)其心を言ひ、且つ其親戚の疎薄(そはく)を憤る。感激の氣顏色(がんしよく)に發す。老人曰く幾緡(いくびん)ならば則ち用に豐(た)ると。子春曰く三五萬ならば則ち以て活くべしと。老人曰く、未(いまだ)しなり、更に之を言へと。十萬なりと。曰く未しなりと。乃ち百萬と言ふ。亦曰く未しなりと。曰く三百萬と。乃ち曰く可なりと。是に於て袖より一緡を出(いだ)して曰く、子に給(あた)へん。今は夕(ゆふべ)なり。明日(みやうにち)午時(ごじ)子(そなた)を西市(せいし)の波斯邸(ぺるしやてい)に俟(ま)たん。愼(つつし)んで期(き)に後(おく)るるなかれと。時に及び子春往く。老人果して錢三百萬を與(あた)へ、姓名を告げずして去る。

[原文は総ルビですが、ここでは一部を省略しました - tomoki y.]

   唐代小説 神怪類 一、道釋篇
   鄭還古=撰「杜子春傅」
   『國譯漢文大成 文學部第十二卷 晉唐小説
   著作權者:鶴田久作 發行者:財團法人 東洋文化協會
   1955/08 複版 所収


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

有一老人策杖于前,問曰:“君子何嘆?”子春言其心,且憤其親戚之疏薄也,感激之氣,發于顏色。老人曰:“幾緡則豐用?”子春曰:“三五萬則可以活矣。”老人曰:“未也。”更言之:“十萬。”曰:“未也。”乃言“百萬”。亦曰:“未也。”曰:“三百萬。”乃曰:“可矣。”於是袖出一緡曰:“給子今夕,明日午時,候子于西市波斯邸,慎無後期。”及時子春往,老人果與錢三百萬,不告姓名而去。

   續玄怪録(太平廣記)
   巻六 仙 杜子春(Tu Tzu-ch'un)
   * E-text at Chinese E-Texts
   * E-text at Chinese Literature in Translation,
    a site created to supplement courses in Chinese literature in
    translation at the Division of Asian & Middle Eastern Languages
    and Cultures, the University of Virginia.
   * E-text at 椰林風情
   * Download 李復言賣玄怪録杜子春.doc at 中山大學哲研所討論區
    (ファイルを閲覧するには、パソコンに繁体字中国語フォントが
    インストールされている必要があります)
   李復言「杜子春傳」 
   * E-text at 心朽窩旧館 やぶちゃんの電子テクスト集:小説・随筆篇
    (句読点や改行が、上記.docファイルと異なりますが、それら以外の点では
    同文)


 Audio 1 
芥川龍之介「杜子春」オーディオブック(朗読: yukari)
Toshishun by Ryunosuke Akutagawa, an audiobook read by yukari

Uploaded by teabreakt on May 6, 2011. 音源: 朗読プチメゾン


 Audio 2 
「杜子春」オーディオブック(提供: でじじ)
Toshishun, an audiobook presented by Degigi

下に引用した箇所は 2:10 あたりから。ノーカット版録音 (MP3) は でじじ でダウンロード購入可能。詳細は ここ。 Uploaded by panrolling on Aug 20, 2009.


■日本語翻案 Adaptation in Japanese
 Classical Chinese >>> Contemporary Japanese

 (……)突然彼の前へ足を止めた、片目眇(すがめ)の老人があります。それが夕日の光を浴びて、大きな影を門へ落すと、ぢつと杜子春の顔を見ながら、
「お前は何を考へてゐるのだ。」と、横柄(わうへい)に言葉をかけました。
「私ですか。私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考へてゐるのです。」
 老人の尋ね方が急でしたから、杜子春はさすがに眼を伏せて、思はず正直な答をしました。
「さうか。それは可哀さうだな。」
 老人は暫(しばら)く何事か考へてゐるやうでしたが、やがて、往来にさしてゐる夕日の光を指さしながら、
「ではおれが好いことを一つ教へてやらう。今この夕日の中に立つて、お前の影が地に映つたら、その頭に当る所を夜中に掘つて見るが好い。きつと車に一ぱいの黄金が埋まつてゐる筈だから。」
「ほんたうですか。」
 杜子春は驚いて、伏せてゐた眼を挙げました。所が更に不思議なことには、あの老人はどこへ行つたか、もうあたりにはそれらしい、影も形も見当りません。
(中略)
 杜子春(とししゆん)は一日の内に、洛陽の都でも唯一人といふ大金持になりました。あの老人の言葉通り、夕日に影を映して見て、その頭に当る所を、夜中にそつと掘つて見たら、大きな車にも余る位、黄金が一山出て来たのです。

   芥川龍之介=著「杜子春」
   * 初出:雑誌「赤い鳥」1920年(大正9)
   * 電子テキスト at 青空文庫
    底本:『現代日本文学大系43 芥川龍之介集』筑摩書房 1968/08
    入力:j.utiyama 校正:野口英司
    1998/05/20 公開 2004/03/12 修正


■上の翻訳と翻案の比較(tomoki y. によるコメント)
 Comparaison of the four translations and one adaptation above

この説話の原作者については、(1) 李復言、(2) 牛僧孺、(3) 他のだれか、と諸説があるそうです。上掲岩波文庫版の今村与志雄氏の訳注によると、とくに (1) か (2) かについては、「絶対的にどちらかとはきめにくいところがある」のだそうです。

内容について見ると、初めの日本語訳3種類は、いずれも原文のほぼ忠実な翻訳であって、大差ないといってよいでしょう。4つめのバージョン、すなわち芥川による翻案は、とても有名な作品ではありますが、直訳風の前者3バージョンに比べて、むしろ面白みに欠けるような気がします。

なぜならば、一つには、原文に見られる、老人と杜子春との間の、あの奇妙なオークション風の掛け合いが、芥川バージョンでは、省略されてしまっているから。

そして、もう一つの理由は、「ここ掘れわんわん」めいたカネ(黄金)の発見(発掘)方法が、芥川バージョンにたいして、不必要におとぎ話めいた印象を与えてしまっているように思われるからです。

皆さんは、どうお考えでしょうか?


■中国語原文の日本語翻案の英訳
 English translation of a Japanese adaptation of the Chinese original
 Classical Chinese >>> Contemporary Japanese >>> Contemporary English

   Tu Tze-chun by Ryunosuke Akutagawa, 
   translated by Dorothy Britton, with woodcuts by Naoko Matsubara.
   Kodansha International in conjunction with Ward Lock, 1965
   この英訳本は未見。


■中国語原文の日本語翻案の英訳の再話
 Retold English translation of a Japanese adaptation of the Chinese original
 Classical Chinese >> Contemporary Japanese >> Contemporary English
 >> Retold contemporary English

Then suddenly--who knows from where--an old man with one bad eye appeared in front of Toshishun. Standing against the setting sun, he threw an enormous shadow on the gate. He looked down into Toshishun's face and said, "What are you thinking?"
  Toshishun replied, "Me? Since I don't have any place to sleep tonight, I was wondering what I should do." The old man's question had caught Toshishun by surprise, and so he had given a straight answer without thinking.
  "Is that so? That's too bad," The old man said. And then, after thinking for a second, he pointed at the setting sun and spoke again. "Let me tell you something good. Stand in the setting sun so that you throw a shadow on the ground. At the place where the shadow of your head falls, dig a hole in the shadow of your head falls, dig a hole in the dark of night. You will find enough gold there to fill a cart."
  Toshishun was surprised and said, "Is that true?" But when he looked up, the old man had disappeared. [Omission]
  On that day Toshishun became the richeset man in all of Luoyang. It had happened just as the old man had said. In the dark of night, he had dug a hole where the shadow of his head had fallen in the setting sun, and he had found enough gold to fill a cart.

   Toshishun by Ryunosuke Akutagawa
   Translated and retold by Michael Brase.
   IBC Publishing, 2005/08
   This is a retold edition for learners of English.
   Level 1 (1000-word), according to the publisher's classification,
   芥川龍之介=著 マイケル・ブレーズ=訳『Toshishun 杜子春
   洋販ラダ-シリーズ 2005/08


■外部リンク External links

 [en] English
   * Ryūnosuke Akutagawa - Wikipedia (1892-1927)

 [zh] 中国語
   * 唐人傳奇 - 維基百科
   * 李諒 - 維基百科
   * 杜子春 (芥川龍之介) - 維基百科

 [ja] 日本語
   * 杜子春 - Wikipedia


■更新履歴 Change log

2012/10/05 つぎの2つの YouTube 画面を追加しました。
         1. TVアニメシリーズ 赤い鳥のこころ 『杜子春 (1979)』
         2. 朗読プチメゾンによるオーディオブック 『杜子春』
2010/09/29 アニメ「鬼狐仙怪II-杜子春、板橋十三娘子」の YouTube 動画と
         でじじ発売のオーディオブックのサンプル録音を追加し、外部
         リンクの項を新設しました。また、このブログ記事のタイトルを
         つぎのとおり変更しました。

         旧題: Tu Tze-chun / Toshishun / 杜子春
         新題: Tu Tze-chun, a Tang Dynasty story and its adaptation /
             Toshishun / 李諒(李復言),牛僧孺,芥川龍之介ほか
             (唐人傳奇『續玄怪錄』から)「杜子春」「杜子春伝」
             「杜子春傳」「杜子春の物語」

2009/01/30 マイケル・ブレーズ=英訳/再話 2005/08 を追加しました。
2007/12/03 内田泉之助+乾一夫=著 1996/06、および乾一夫=訳
         1971/09 を追加しました。
2007/12/02 高橋稔+西岡晴彦=訳 1982/05、および前野直彬=訳
         1964/04 を追加しました。
2007/11/19 村山孚=訳 1976/10、川端康成=譯 1926/09、および漢文
         読み下しを追加しました。
2007/08/10 金文京=著(現代語訳)1989/11 を追加しました。


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Sunday, 18 December 2005

芥川龍之介 「藪の中」 In a Grove by Ryunosuke Akutagawa

_1
 
 
◾️はじめに Introduction

芥川龍之介の短編小説「薮の中」の冒頭部分を引用します。


■英訳 Translations into English

(E1) Rubin, 2006
That is true, Your Honor. I am the one who found the body. I went out as usual this morning to cut cedar in the hills behind my place. The body was in a bamboo grove on the other side of the mountain. Its exact location? A few hundred yards off the Yamashina post road. A deserted place where a few scrub cedar trees are mixed in with the bamboo.

  • The Testimony of a Woodcutter under Questioning by the Magistrate, In a Bamboo Grove. Rashomon and Seventeen Other Stories by Ryunosuke Akutagawa. Translated by Jay Rubin. Illustrated by Yoshihiro Tatsumi. Penguin Classics Deluxe Edition. Penguin, 2006
  • Preview at Google Books

(E2) Kojima, 1952
Yes, sir.  Certainly, it was I who found the body.  This morning, as usual, I went to cut my daily quota of cedars, when I found the body in a grove in a hollow in the mountains.  The exact location?  About 150 meters off the Yamashina stage road.  It's an out-of-the-way grove of bamboo and cedars.

  • The Testimony of a Woodcutter Questioned by a High Police Commissioner. In a Grove. Rashomon and Other Stories by Ryunosuke Akutagawa. Translated by Takashi Kojima. Originally published in 1952.
  • Paperback: Tuttle Publishing, 2001/06

◾️中國語譯(繁體字) Translations into traditional Chinese

(Zh1) 曹賜固, 1997
是的,發現那具死屍的,確實是我。我今天早上照常到後山去砍杉樹,而在山陰的竹林裏發現了那具死屍。你問我死屍在什麼地方嗎?那地方離山科的驛路大約有半公里吧。在竹林裏夾雜著細長的杉樹,那是個荒無人跡的地方。

  • 竹藪中 樵夫被檢察官所盤問的筆錄 作者:芥川龍之介 《地獄變─芥川龍之介選集》 曹賜固譯,志文出版社,1997年2月新譯版,2007年8月再版
  • E-text at cgelh.csu.edu.tw:88 [PDF]

(Zh2) 石榴紅文字工作坊 1991
一點也不錯,發現那具屍骸的確實就是我。我是在今天早上依慣例到山裏伐杉時,在山陰的藪之中撞見的。在那裏?唔,哪裏離山科的驛路大約有四,五町遠。竹林中間雜著細瘦的杉樹,是個杳無人煙的地方。

  • 藪之中 樵夫答覆檢察官的談話內容 羅生門 作者:芥川龍之介 譯者:石榴紅文字工作坊 久大印行 1991年
  • 文中の「藪」と「町」の後にそれぞれ括弧(  )入りで挿入されている訳注は省きました。

■日本語原文 The original text in Japanese

さようでございます。あの死骸を見つけたのは、わたしに違いございません。わたしは今朝いつもの通り、裏山の杉を伐りに参りました。すると山陰の藪の中に、あの死骸があったのでございます。あった処でございますか? それは山科の駅路からは、四五町ほど隔たって居りましょう。竹の中に痩せ杉の交った、人気のない所でございます。

  • 検非違使に問われたる木樵りの物語 芥川龍之介 「藪の中」
    1. 藪の中」 E-text at 青空文庫 入力:平山誠、野口英司 校正:もりみつじゅんじ 1997/11/10 公開 2004/03/09 修正
    2. 芥川龍之介全集4』 ちくま文庫 1987/01
    3. 筑摩全集類聚版 芥川龍之介全集2』 筑摩書房 1971
    4. 『新潮』 1922年1月号(大正11)
  • 初出誌は4。1の底本は2。2の親本は3。

■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2018/02/21 Jay Rubin による英訳と2種類の繁体字中国語訳を追加しました。 
  • 2007/12/11 書誌情報を補足しました。また、 電子テキストやオンライン書店へのリンクを張りました。さらに、日本語原文、英訳の順だったのを逆にしました。

  
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Thursday, 01 December 2005

Begin at the beginning... - Alice's Adventures in Wonderland by Lewis Carroll キャロル『不思議の国のアリス』

 Video 
映画 『アリス』 (1988) 監督: ヤン・シュヴァンクマイエル
Neco z Alenky (1988) a.k.a. Alice, directed by Jan Svankmajer

製作国: チェコスロバキア・スイス・イギリス・西ドイツ Countries: Czechoslovakia, Switzerland, UK & West Germany.


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

“从开始的地方开始吧,一直读到末尾,然后停止。”国王郑重地说。

   刘易斯·卡洛尔 著 管绍淳 译
   《爱丽丝漫游奇境记》
   E-text at 新時代書城 (www.mypcera.com)


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

“從開始的地方開始吧,一直讀到末尾,然后停止。”國王鄭重地説。

   劉易斯・卡羅爾 著  管紹淳 譯
   《愛麗絲漫游奇境記
   E-text at 熾天使書城 (Angelibrary.com)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 高山 2015
「はじめからはじめよ」とても重々しくキングが言います。「終わりまでいったら、そこが終わりなのじゃ」
   ルイス・キャロル=作 高山宏(たかやま・ひろし)=訳 佐々木マキ=絵
   『不思議の国のアリス』 亜紀書房 2015/04


(J2) 河合 2010
「初めから始めなさい。」王様はとてもおごそかにおっしゃいました。「そして終わりまで続け、終わりでやめなさい。」
   ルイス・キャロル=著 河合祥一郎(かわい・しょういちろう)=訳
   『不思議の国のアリス』 角川文庫 2010/02/25


(J3) 石井 2008
「はじめから始めよ」王はとてもおごそかに言った。「読み進み、終わりになったら読みやめるのだ」
   ルイス・キャロル=作 リスベート・ツヴェルガー=絵
   石井睦美(いしい・むつみ)=訳 『不思議の国のアリス
   BL出版 2008/11/10


(J4) 久美 2006
「はじめからはじめよ」王はおごそかに告げた。「終わりまで読んだら、そこで終わりじゃ」
   ルイス・キャロル=著 ヤン・シュヴァンクマイエル=挿画
   久美里美(ひさみ・さとみ)=訳 『不思議の国のアリス
   エスクァイア マガジン ジャパン 2006/11


(J5) 村山 2006
「初めから始めよ」と、王様はもったいぶって言った。「そして、終わりがくるまで続けて、そこでやめよ」
   ルイス・キャロル=作 村山由佳=訳 『不思議の国のアリス
   メディアファクトリー 2006/03


(J6) 楠本 2006
「初めから始め、終わりまで読み進み、そこで終わるのじゃ」王様は重々しく言いました。
   キャロル=作 楠本君恵=訳 『不思議の国のアリス』 論創社 2006/02


(J7) 山形 2003
王さまはもったいぶった口調で言います。「はじめからはじめるがよい。そして最後にくるまで続けるのじゃ。そうしたらやめるのだ」
   キャロル=作 山形浩生=訳 『不思議の国のアリス』 朝日出版社 2003/06


(J8) 大西 2002-2006
「初めのところから、はじめよ」王さまは、実におごそかに、おっしゃった。「そして、ずっと読んでいって終わりまで来る。――そこで、やめるのじゃ」
   キャロル=作 大西小生=訳 『ふしぎの国のアリス
   新「アリス」訳解 2002-2006   


(J9) 脇 2000
「はじめからはじめよ」と、王さまがもったいぶって言いました。「そして、終わりになるまでつづけ、終わりになったら、そこでやめよ。」
   キャロル=作 脇明子=訳 『不思議の国のアリス』 岩波少年文庫 2000/06


(J10) 中村 2000
「はじめからはじめよ」と王はおごそかにいいました。「しまいまで読みとおしたらやめてよい」
   キャロル=作 中村妙子=訳 『ふしぎの国のアリス』 児童図書館・文学の部屋
   評論社 2000/03


(J11) 高山 1994
「はじめから始めるのじゃ」と、とても重々しく王様は申されました、「そして終るところまでは終るな。そして、そこでやめるのじゃ」
   キャロル=作 マーティン・ガードナー=注 ピーター・ニューエル=画
   高山宏=訳 『新注 不思議の国のアリス』 東京図書 1994/09


(J12) 矢川 1994
「はじめからはじめろ」王さまはいともおごそかに、「終りまで読んだら、そこでストップだ」
   キャロル=作 矢川澄子=訳 『不思議の国のアリス』 新潮文庫 1994/02


(J13) 吉田 1993
「はじめからはじめて――終わりまで読んで、終わりになったら読むのをやめろ」と、王さまがまじめな調子で言いました。
   キャロル=著 吉田健一=訳 『不思議の国のアリス
   世界文学の玉手箱 6 河出書房新社 1993/01


(J14) 北村 1992
「初めから始めるのさ」と王がおごそかにいった。「どんどん読んでいってだな、終わりがきたら終えるんだ」
   キャロル=作 北村太郎=訳 『ふしぎの国のアリス』 集英社文庫 1992/03


(J15) 柳瀬 1990
「はじめからはじめるのじゃ。」王さまは、おもおもしくいいます。「終わりまでいって、そこでやめるのじゃ。」
   キャロル=作 柳瀬尚紀=訳
   『少年少女世界名作の森18 不思議の国のアリス』 集英社 1990/08


(J16) 柳瀬 1988
「はじめからはじめるのじゃ。」王さまはおもおもしくいいます。「終わりまでいって、そこでやめるのじゃ。」
   キャロル=作 柳瀬尚紀=訳 『少年少女希望図書館4 ふしぎの国のアリス
   第三文明社 1988/12


(J17) 高橋+高橋 1988
「はじめからはじめろ。そして終りになるまでつづけろ。それからやめるんじゃ」
   キャロル=作 高橋康也+高橋迪(たかはし・みち)=訳
   『不思議の国のアリス』 河出文庫 1988/10


(J18) 多田 1988
「はじめから始めよ」と王さまはいとも重々しい口調で言われました。「そして終わりに来るまで読みつづけるのじゃ。そしたらやめるのじゃ」
   多田幸蔵=訳 『不思議の国のアリス』 中学生・高校生必読名作シリーズ
   旺文社 1988/03


(J19) 柳瀬 1987
「始めからはじめよ」王は重々しくいった。「終わりまでいって、そこでやめるのじゃ」
   キャロル=作 柳瀬尚紀=訳 『不思議の国のアリス』 ちくま文庫 1987/12


(J20) 中山 1986
「はじめからはじめなさい」王さまは、たいへんおごそかに、おっしゃいました。「そして、ずうっとつづけて読んで、おわりまで読んだらやめなさい」
   キャロル=作 中山知子=訳 『ふしぎの国のアリス
   フォア文庫 岩崎書店 1986/07


(J21) 高杉 1983
「はじめから読みはじめるんだ」と、王さまはいかめしい声でいいました。「それから、おわりまで読みつづけて、おわりへきたらやめるんだ」
   ルイス・キャロル=作 高杉一郎=訳 『ふしぎの国のアリス
   講談社文庫 1983/09


(J22) 芹生 1979
「はじめからはじめよ。そして、終わりまで読みすすみ、しかるのちやめるのじゃ」と、王さまはたいそうおもおもしくいいました。
   キャロル=作 芹生一(せりう・はじめ)=訳 『ふしぎの国のアリス
   偕成社文庫 1979/12


(J23) 福島 1975
「初めから始めよ」と王様が、重々しい口調でいいました。「最後にいたるまで読み進み、しかるのちやめよ」
   キャロル=作 福島正実=訳 『不思議の国のアリス』 角川文庫 1975/08


(J24) 生野 1971
「はじめからはじめよ」と、たいそうおごそかに王さまは言いました。「そして終わるところまで読みつづけよ。そこでやめるのじゃ」
   ルイス・キャロル=作 生野幸吉(しょうの・こうきち)=訳
   ジョン・テニエル=画
   『ふしぎの国のアリス』 福音館古典童話シリーズ 4 1971/07


(J25) 田中 1955
「はじめから読みはじめて、ずーっと読む。おしまいまでいったらやめるのじゃ。」と王さまは、おごそかに申されました。
   キャロル=作 田中俊夫=訳 『ふしぎの国のアリス』 岩波少年文庫 1955/03


(J26) 吉田 1954
「はじめから始めて――」と、王さまがまじめな調子(ちょうし)で言いました。「おわりまで読んで、おわりになったら読むのをやめろ。」
   キャロル=著 吉田健一=訳 「ふしぎの国のアリス」
   『世界少年少女文学全集6 イギリス編4』 創元社 1954/05 所収


(J27) 岩崎 1952
「初めから始めい」と王はまじめくさって申されました「それから読みつづけて、終わりに来たらやめるのじゃ」
   ルーイス・キャロル=作 岩崎民平(いわさき・たみへい)=訳
   『不思議の国のアリス』 角川文庫(旧版)1952/04


(J28) 菊池+芥川 1927
「初(はじ)めから始(はじ)めよ。」と王樣(わうさま)は重重(おもおも)しく言(い)ひました。そしてしまひまで讀(よ)んで、そこで止(や)めるんだ。」
   菊池寛+芥川龍之介=共訳 『アリス物語
   小學生全集 第二十八卷(初級用) 興文社(文藝春秋社) 1927/11(昭和2)


(J29) 丸山 1910
『初(はじ)めから始(はじ)めて』と王樣(わうさま)は嚴格(げんかく)に、『それから、ずつと終(しま)ひまで、濟(す)んだから止(や)め』
   ルイス・キャロル=著 丸山英観(まるやま・えいかん;丸山薄夜)=訳
   『愛ちやんの夢物語』 東京:内外出版協会 1910/02(明治43)
   国立国会図書館 近代デジタルライブラリー で閲覧可能


(J30) その他
邦訳は、以上のほかにも、1908(明治41)年の初訳以来、

   1921(大正10)年の鈴木三重吉=訳 「地中の世界」『赤い鳥』  所収
   『鈴木三重吉童話全集7』 文泉堂書店 1975/09 に再録

ほか、数多くの版が出ています。その歴史については、大西小生氏による、たいへん詳細な、すばらしい解説 『不思議の国』邦訳書誌 を参照なさることをお薦めします。


■ジョン・テニエルによる挿し絵 Illustration by Sir John Tenniel
aiw42


■ロシア語訳 Translation into Russian

-- Начни с начала, -- важно ответил Король,  --  продолжай, пока не дойдешь до конца. Как дойдешь -- кончай!

   Льюис Кэрролл. Приключения Алисы в стране чудес
   Translated by Нина Демурова
   E-text at Lib.Ru


■ドイツ語訳 Translation into German

„Fange beim Anfang an,“ sagte der König ernsthaft, „und lies bis du an’s Ende kommst, dann halte an.“

   Alice’s Abenteuer im Wunderland (Alice im Wunderland) by Lewis Carroll
   Translated by Antonie Zimmermann
   Leipzig : Johann Friedrich Hartknoch, 1869.
   E-text at:
   * Librito.de [PDF]
   * Wikisource


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

“Comece pelo começo”, disse o Rei com muita gravidade, “e siga até o fim: daí pare.”

   Alice no País das Maravilhas by Lewis Carroll
   Translated by Clélia Regina Ramos
   E-text at eBookLibris


■スペイン語訳 Translation into Spanish

--Empieza por el principio --dijo el Rey con gravedad-- y sigue hasta llegar al final; allí te paras.

   Las Aventuras de Alicia en el País de las Maravillas
   (Alicia en el País de las Maravilla) by Lewis Carroll
   Translated by Humpty Dumpty
   E-text at:
   * CiberTextos Interactivos -- La Celestina, de Fernando de Rojas
   * Pagina de Lewis Carroll
   * OjoconelArte.cl


■フランス語訳 Translation into French

– Commencez au commencement, dit le Roi d’un ton grave, et continuez jusqu’à ce que vous arriviez à la fin ; ensuite, arrêtez-vous.

   Chapitre XII La déposition d’Alice
   Alice au pays des merveilles by Lewis Carroll
   E-text at Wikisource (Last modified 2006)


 Audio 
英BBCラジオ4によるラジオドラマ 『Alice's Adventures in Wonderland
BBC Radio 4's Alice's Adventures in Wonderland

Starring Roy Hudd as the Mad Hatter, Sarah-Jane Holm as Alice and David Bamber as the White Rabbit. A downloadable audiobook (Windows Media) is available at Audio Book Central.


■英語原文 The original text in English

"Begin at the beginning," the King said, very gravely, "and go on till you come to the end: then stop."

   Chapter XII Alice's Evidence
   Alice's Adventures in Wonderland (1865) by Lewis Carroll
   E-text at:
   * The University of Adelaide Library
   * Project Gutenberg
   * Indiana University


■更新履歴 Change log

2015/04/30 高山宏=訳 2015/04 と高山宏=訳 1994/09 を追加しました。
2012/08/03 ロシア語訳とポルトガル語訳を追加しました。
2010/09/08 英BBCラジオ4によるラジオドラマ Alice's Adventures in Wonderland 
         の YouTube 画面を追加しました。
2010/05/08 ヤン・シュヴァンクマイエル監督の映画『アリス』 (1988) の YouTube
         動画を追加しました。
2010/05/06 石井睦美=訳 2008/11/10 を追加しました。また、ドイツ語訳の
         書誌情報を補足しました。
2010/02/27 河合祥一郎=訳 2010/02/25 を追加しました。
2008/10/24 吉田健一=訳 1954/05 を追加しました。
2007/08/21 久美里美=訳 2006/11 を追加しました。また、中國語譯(繁體字)
         の電子テキストのリンクがまちがっていたので訂正しました。
2006/09/27 菊池寛+芥川龍之介=共訳 1927/11 および丸山英観=訳
         1910/02 を追加しました。
2006/08/29 高杉一郎=訳 1983/09 を追加しました。日本語訳の番号を
         振り直しました。
2006/08/15 中國語譯(繁體字)、生野幸吉=訳 1971/07、および岩崎民平=訳
         1952/04 を追加しました。また、日本語訳の番号を振り直しました。
2006/07/31 吉田健一=訳 1993、中国語訳(簡体字)、ドイツ語訳、スペイン語訳、
         およびフランス語訳を追加しました。
2006/05/05 中山知子=訳 1986/07 を追加しました。
2006/04/30 脇明子=訳 2000/06 を追加しました。また、配列を旧→新から
         新→旧に変更しました。
2006/04/22 芹生一=訳 1979/12 および中村妙子=訳 2000/03 を追加しました。
2006/04/20 多田幸蔵=訳 1988/03 と大西小生=訳 2002-2006 を追加しました。
         また、書誌情報を補足・修正しました。
2006/03/11 村山由佳=訳 2006/03 を追加しました。
2006/02/20 楠本君恵=訳 2006/02 を追加しました。


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Friday, 28 October 2005

Curiouser and curiouser! - Alice's Adventures in Wonderland by Lewis Carroll へんてこりんがどんどこりん! - キャロル 『不思議の国のアリス』

        目次 Table of Contents

 Video 1  アリス・イン・ワンダーランド (2010) Alice in Wonderland (2010)
■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 高山 2015
  (J2) 坂本 2010
  (J3) 河合 2010
  (J4) 石井 2008
  (J5) 久美 2006
  (J6) 村山 2006
  (J7) 楠本 2006
  (J8) 山形 2003
  (J9) 大西 2002-2006
  (J10) 脇 2000
  (J11) 中村 2000
  (J12) 高山 1994
  (J13) 矢川 1994
  (J14) 吉田 1993
  (J15) 宗方 1992
  (J16) 北村 1992
  (J17) 柳瀬 1990
  (J18) 柳瀬 1988
  (J19) 高橋+高橋 1988
  (J20) 多田 1988
  (J21) 柳瀬 1987
  (J22) 中山 1986
  (J23) 高杉 1983
  (J24) 芹生 1979
  (J25) 福島 1975
  (J26) 生野 1971
  (J27) 田中 1955
  (J28) 吉田 1954
  (J29) 岩崎 1952
  (J30) 楠山 1948
  (J31) 菊池+芥川 1927
  (J32) 丹羽 1911, 2009
  (J33) 丸山 1910, 2009
  (J34) その他
■邦訳史・邦訳書誌 History and bibliography of Japanese translations
■邦訳レビュー Reviews of Japanese translations
 Video 2  不思議の国のアリス (1903) Alice in Wonderland (1903)
 Image 1  ジョン・テニエルによる挿絵 Illustration by Sir John Tenniel
■ロシア語訳 Translations into Russian
  (R1) Демурова
  (R2) Заходера
  (R3) Others
■デンマーク語訳 Translation into Danish
■ドイツ語訳 Translation into German
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
  Audio    Alice's Adventures in Wonderland Audiobook
■英語原文 The original text in English
■『地下の国のアリス』 Alice's Adventures Under Ground
 Image 2  Alice's Adventures Under Ground: Carroll's handwritten manuscript
■更新履歴 Change log


 Video 1 
映画『アリス・イン・ワンダーランド』 (2010) ティム・バートン監督 予告篇
Alice in Wonderland (2010) directed by Tim Burton. Trailer

アリス・イン・ワンダーランド: ディズニー オフィシャルサイト
Alice in Wonderland: Disney official site


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

“奇怪啊奇怪,”爱丽丝喊道,她那么惊奇,霎时,竟说不成话了
   刘易斯·卡洛尔 著 管绍淳 译
   《爱丽丝漫游奇境记》 眼泪的池塘
   E-text at:
   * 新时代书城 (www.mypcera.com)
   * 亦凡书库 (Yifan.com)


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

“奇怪啊奇怪,”愛麗絲喊道,她那么惊奇,霎時,竟說不成話了
   劉易斯·卡洛爾 著 管紹淳 譯
   《愛麗絲漫游奇境記》 眼淚的池塘
   E-text at 熾天使書城 (Angelibrary.com)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 高山 2015
「あれえっれれれっ!」と、アリスは大声を出しました(びっくりしすぎて、ちゃんとした言葉になりません)。
   ルイス・キャロル=作 高山宏(たかやま・ひろし)=訳 佐々木マキ=絵
   『不思議の国のアリス』 亜紀書房 2015/04


(J2) 坂本 2010
「ありえない! ありえないってば!」アリスは叫びました。(驚きのあまり、この際正しい言葉使いなんて吹き飛んでしまったようです)
   ルイス・キャロル=著 坂本美雨(さかもと・みう)=訳
   オリジナル新訳 「不思議の国のアリス」
   『Switch』 第28巻 第5号(通巻242号) スイッチ・パブリッシング 2010/04/20
   この訳の原書は Alice's Adventures in Wonderland ではなくて、ルイス・
   キャロル自筆手製の Alice's Adventures under Ground のほうです。


(J3) 河合 2010
「へんてこりんがどんどこりん!」アリスはさけびました。(あんまりびっくりしたものだから、きちんとした言いかたを忘れてしまったのです。)
   ルイス・キャロル=著 河合祥一郎(かわい・しょういちろう)=訳
   『不思議の国のアリス』 角川文庫 2010/02/25


(J4) 石井 2008
「ヘンテコリンのコンテコリン!」とアリスは叫んだ(おどろきすぎてちゃんとした言葉づかいを忘れちゃったんだ)。
   ルイス・キャロル=作 リスベート・ツヴェルガー=絵
   石井睦美(いしい・むつみ)=訳 『不思議の国のアリス
   BL出版 2008/11/10


(J5) 久美 2006
「なんこれはなの、なんこれはなの!」アリスは叫んだ(おどろきのあまり、一瞬まともな話し方を忘れてしまった)。
   ルイス・キャロル=著 ヤン・シュヴァンクマイエル=挿画
   久美里美(ひさみ・さとみ)=訳 『不思議の国のアリス
   エスクァイア マガジン ジャパン 2006/11


(J6) 村山 2006
「何これ、どんどんヘンテコりょん!」とアリスは叫んだ(あんまりびっくりしたものだから、一瞬まともな言葉づかいを忘れちゃったわけさ)。
   ルイス・キャロル=作 村山由佳=訳 『不思議の国のアリス
   メディアファクトリー 2006/03


(J7) 楠本 2006
「きみょうね、きみょうね!」アリスは叫びました。(とてもびっくりして、一瞬、どこにアクセントをつけるか忘れてしまったのです)
   キャロル=作 楠本君恵=訳 『不思議の国のアリス
   論創社 2006/02


(J8) 山形 2003
「チョーへん!」とアリスはさけびました(びっくりしすぎて、ちゃんとしたしゃべり方を忘れちゃったんだね)。
   キャロル=作 山形浩生=訳 『不思議の国のアリス』 朝日出版社 2003/06


(J9) 大西 2002-2006
「変すぎ、すぎるわよ!」と、アリスの悲鳴(あんまりおどろいたんで、正しい言葉づかいを、ど忘れしてしまったんだ)。
   キャロル=作 大西小生=訳 『ふしぎの国のアリス
   新「アリス」訳解 2002-2006


(J10) 脇 2000
「まあ、へんてこてんだわ!」と、アリスはさけびました。(あんまりびっくりしたので、正しい言葉づかいを忘れてしまったのです。)
   キャロル=作 脇明子=訳 『不思議の国のアリス』 岩波少年文庫 2000/06


(J11) 中村 2000
「おどろき、モモの木、サンショの木!」とアリスはさけびました(あまりびっくりしたもので、すぐにはまともな言葉が出てこなかったのです)。
   キャロル=作 中村妙子=訳 『ふしぎの国のアリス
   児童図書館・文学の部屋 評論社 2000/03


(J12) 高山 1994
「ふぎしったら、ふぎし!」とアリスは大声で言いました(あんまりびっくりしたので、一瞬ちゃんとしたしゃべり方をすっかり忘れてしまっていたのです)。
   キャロル=作 マーティン・ガードナー=注 ピーター・ニューエル=画
   高山宏=訳 『新注 不思議の国のアリス』 東京図書 1994/09


(J13) 矢川 1994
「へんてこんて、へんてこんてえ!」アリスはわめきだした(まあ、おどろいたのなんの、まともなことばづかいだって、とっさには出てこなくてね)。
   キャロル=作 矢川澄子=訳 『不思議の国のアリス』 新潮文庫 1994/02


(J14) 吉田 1993
「おかしいみたいなようで、たまらないわ」と、アリスはさけびました。(アリスは、あんまりびっくりしたので、正しいことばのつかいかたを、ちょっと忘れたのでした)
   キャロル=著 吉田健一=訳 『不思議の国のアリス
   世界文学の玉手箱6 河出書房新社 1993/01


(J15) 宗方 1992
「てんてこりんだわ、てんてこりん!」びっくりしたアリスは、へんてこな言葉をさけんでしまいました。
   ルイス・キャロル=作 宗方あゆむ=訳『ふしぎの国のアリス
   金の星社 1992/10


(J16) 北村 1992
「てこへん、へんてこ!」アリスは大声でこう叫んだんだけど、あんまりびっくりして、つい正しい英語を忘れちゃったのさ。
   キャロル=作 北村太郎=訳 『ふしぎの国のアリス』 集英社文庫 1992/03


(J17) 柳瀬 1990
「きみょうれてきつ! きみょうれてきつ!」アリスはさけびました。(なにしろびっくり仰天したもので、『きみょうきてれつ』という正しい言いかたをまちがえたのです。)
   キャロル=作 柳瀬尚紀=訳
   『少年少女世界名作の森18 不思議の国のアリス』 集英社 1990/08


(J18) 柳瀬 1988
「きみょうれてきつ! きみょうれてきつ!」アリスはさけびました。(なにしろびっくり仰天したもので、『きみょうきてれつ』という正しい言いかたをまちがえたのです。)
   キャロル=作 柳瀬尚紀=訳
   『少年少女希望図書館4 ふしぎの国のアリス』 第三文明社 1988/12


(J19) 高橋+高橋 1988
「ますます、妙だわ、ちきりんよ!」とアリスは叫びました。あまりびっくりしたので、さすがのアリスも正しいことばづかいを一瞬忘れてしまったのです。
   キャロル=作 高橋康也+高橋迪(たかはし・みち)=訳
   『不思議の国のアリス』 河出文庫 1988/10


(J20) 多田 1988
「いよいよもって奇妙きてれつだわ!」とアリスは叫びました(あんまりびっくりしたので、とっさには立派な言葉がとんと出てこなかったのです)。
   キャロル=作 多田幸蔵=訳 『不思議の国のアリス
   中学生・高校生必読名作シリーズ 旺文社 1988/03


(J21) 柳瀬 1987
「奇妙れてきつ! 奇妙れてきつ!」アリスは大きな声でいった。(なにしろびっくり仰天したもので、一瞬、正しい言葉遣いを忘れてしまったのだ。)
   キャロル=作 柳瀬尚紀=訳 『不思議の国のアリス』 ちくま文庫 1987/12


(J22) 中山 1986
「きゃあ、とてっぴょうしもないよ!」アリスは、思わず、さけびました。あんまりびっくりしたので、とっさに、ちゃんとしたことばなんか、でてきませんでした。
   キャロル=作 中山知子=訳『ふしぎの国のアリス
   フォア文庫 岩崎書店 1986/07


(J23) 高杉 1983
「だんだん、へんちきりんになっていくわ!」と、アリスはさけびました。(あんまりびっくりしたものだから、とっさには正しいことばのつかいかたも思いだせなかったのです。)
   ルイス・キャロル=作 高杉一郎=訳 『ふしぎの国のアリス
   講談社文庫 1983/09


(J24) 芹生 1979
「てこへんだわ。ほんとにてこりんへん。」アリスは思わずこうさけびました。あんまりびっくりして、ちゃんとしたことばを度忘れしてしまったのです。
   キャロル=作 芹生一(せりう・はじめ)=訳 『ふしぎの国のアリス
   偕成社文庫 1979/12


(J25) 福島 1975
「変てこりんなの、おかしいの!」と、アリスは叫びました。(あんまりびっくりしたので、すぐには上品なことばづかいをするのを思いつかなかったのです)
   キャロル=作 福島正実=訳 『不思議の国のアリス』 角川文庫 1975/08


(J26) 生野 1971
「ますます変(へん)てこりんになってくわ!」とアリスはさけびました。(あまりびっくりしたので、正しいことばづかいをとっさに忘(わす)れてしまったのでした)。
   ルイス・キャロル=作 生野幸吉(しょうの・こうきち)=訳
   ジョン・テニエル=画
   『ふしぎの国のアリス』 福音館古典童話シリーズ4 1971/07


(J27) 田中 1955
「まあ、へんてこれんな!」とアリスは叫びました。(あんまりおどろいたので、とっさのまに正しいことばづかいを忘れてしまったのです。)
   キャロル=作 田中俊夫=訳 『ふしぎの国のアリス』 岩波少年文庫 1955/03


(J28) 吉田 1954
「おかしいみたいなようで、たまらないわ。」と、アリスは叫(さけ)びました。(アリスは、あんまりびっくりしたので、正(ただ)しいことばの使いかたを、ちょっと忘(わす)れたのでした。)
   キャロル=著 吉田健一=訳 「ふしぎの国のアリス」
   『世界少年少女文学全集6 イギリス編4』 創元社 1954/05 所収


(J29) 岩崎 1952
「いよいよますます奇妙きてれつだわ!」とアリスは叫びました。(あんまり驚いたものですから、しばらくは立派な言葉が口に出なかったのです)
   ルーイス・キャロル=作 岩崎民平(いわさき・たみへい)=訳
   『不思議の国のアリス』 角川文庫(旧版)1952/04


(J30) 楠山 1948
「へんちきりんだわ。へんちきりんだわ」と、アリスはさけびたてました。(あんまりびっくりしたひょうしに、この子は、つい、おぎょうぎのいいことばをつかうことをわすれました)。
   リュイス・キャラル=作 楠山正雄=譯
   『ふしぎの国のアリス』 小峰書店 定價二八◯圓 1948/05
   (書名は、表紙と扉が「国」と新字、奥付は『國』と旧字表記)


(J31) 菊池+芥川 1927
「變(へん)ちきりんん、變(へん)ちきりん。」とアリスは叫(さけ)びました。(餘(あま)り驚(おどろ)いたものですから、アリスはその時(とき)、もつと正(ただ)しい言葉(ことば)を使(つか)ふことを忘(わす)れてしまつたのでした。)
   ルウヰス・カロル=著 菊池寛+芥川龍之介=共訳
   『アリス物語』 小學生全集 第二十八卷(初級用)
   興文社(文藝春秋社)1927/11(昭和2)


(J32) 丹羽 1911, 2009
不思議(ふしぎ)な氣持(きもち)、不思議(ふしぎ)な氣持(きもち)、思(おも)はず胸(むね)に手(て)を置(お)いて何(な)んとも云(い)ふことの出來(でき)ない此(こ)の不思議(ふしぎ)な氣持(きもち)を考(かんが)へた時(とき)、綾子(あやこ)さんの身體(からだ)は[以下略]
   a. 丹羽五郎(にわ・ごろう)=編 芳村椿花=絵 「長編お伽噺 子供の夢」
     『不思議の国のアリス : 明治・大正・昭和初期邦訳本復刻集成1
     千森幹子(ちもり・みきこ)=編集・解説 エディション・シナプス 2009/02
   b. 丹羽五郎=編 芳村椿花=絵 『長篇お伽噺 子供の夢
     東京:籾山書店(もみやましょてん) 1911/04/01(明治44)
   この本は原書に忠実な「翻訳」ではなくて「翻案」。a.b. を復刻したもの。


(J33) 丸山 1910, 2009
『奇妙々々(きめう/\)!』と愛(あい)ちやんが叫(さけ)びました(非常(ひじやう)に驚(おどろ)いた爲(ため)に何(なん)と云(い)つて可(い)か些(ちよつ)と解(わか)らず)
   a. ルイス・キャロル=著 丸山英観(まるやま・えいかん)=訳
     「愛ちやんの夢物語」
     『不思議の国のアリス : 明治・大正・昭和初期邦訳本復刻集成1
     千森幹子(ちもり・みきこ)=編集・解説 エディション・シナプス 2009/02
   b.  レウィス、キァロル(「はしがき」文中の表記)=著 丸山薄夜=譯
     『愛ちやんの夢物語』 東京:内外出版協會 1910/02/01(明治43)
     国立国会図書館 近代デジタルライブラリーで 複写画像 を閲覧可能
   a.b. を復刻したもの。


(J34) その他
邦訳は、以上のほかにも、1908(明治41)年の初訳以来、

   1921(大正10)年の鈴木三重吉=訳 「地中の世界」 『赤い鳥』 所収
   『鈴木三重吉童話全集7』 文泉堂書店 1975/09 に再録

ほか、数多くの版が出ています。


■邦訳史・邦訳書誌 History and bibliography of Japanese translations

『不思議の国のアリス』の日本語訳の歴史については、つぎの大西小生氏のウェブサイトや、楠本君恵氏の著書、川戸道昭氏+榊原貴教氏=共編の著書などが参考になります。

明治・大正・昭和初期の『不思議の国のアリス』邦訳については、つぎの千森幹子氏による論考が参考になります。

最初期つまり明治時代の『不思議の国のアリス』および『鏡の国のアリス』の日本への紹介については、つぎの稿が参考になります。


■邦訳レビュー Reviews of Japanese translations

現在、書店でわりと容易に入手できる、比較的新しいタイトルの訳文・挿絵などの良否については、木下信一さんの運営するサイト The Rabbit Hole のなかにある、『アリス』邦訳ブックレビュー のページが参考になります。


 Video 2 
映画『不思議の国のアリス』 (1903) 監督: セシル・ヘプワース、パーシー・ストウ
Alice in Wonderland (1903) directed by Cecil M. Hepworth and Percy Stow

『不思議の国のアリス』の世界最初の映画化作品 (1903年)。英国映画協会 (BFI) が全12分のフィルムのうち現存する8分余りを修復し、2010年2月24日に公開した。
More details at BFI Screenonline: Alice in Wonderland (1903)
The video can be viewed also at YouTube - BFIfilms's Channel


 Image 1 
ジョン・テニエルによる挿絵 Illustration by Sir John Tenniel

54_1361_m

■ロシア語訳 Translations into Russian

(R1) Демурова
-- Все  страньше  и  страньше!  --  вскричала   Алиса.   От изумления  она  совсем  забыла, как нужно говорить. --
   Глава Ii. Море слез
   Приключения Алисы в стране чудес
   Льюис Кэрролл
   Translated by Нина Демурова
   E-text at Lib.Ru


(R2) Заходера
- Ой, все чудесится и чудесится! - закричала Алиса. (Она была в таком изумлении, что ей уже не хватало обыкновенных слов, и она начала придумывать свои.) -
   Глава вторая,
   в которой Алиса купается в слезах
   Алиса в стране чудес
   Льюис Кэрролл
   Translated by Бориса Заходера
   E-text at Lib.Ru


(R3) Others
More Russian translations can be found at Lib.Ru


■デンマーク語訳 Translation into Danish

"Det bliver mere og mere mærkeligere!" råbte Alice. (Hun var så forbavset, at hun helt glemte at tale ordentligt).
   Kapitel 2 - En hel sø af tårer
   Alice i Eventyrland by Lewis Carroll
   E-text at www.ebbemunk.dk


■ドイツ語訳 Translation into German

„Verquerer und verquerer!“ rief Alice. (Sie war so überrascht, daß sie im Augenblick ihre eigene Sprache ganz vergaß)
   Zweites Kapitel. Der Thränenpfuhl
   Alice’s Abenteuer im Wunderland (Alice im Wunderland) by Lewis Carroll
   Translated by Antonie Zimmermann
   E-text at Wikisource


■イタリア語訳 Translation into Italian

— Stranissimo, e sempre più stranissimo! esclamò Alice (era tanta la sua meraviglia che non sapeva più parlare correttamente) —
   Capitolo II : Lo stagno di lagrime
   Alice nel Paese delle meraviglie
   Translated by Silvio Spaventa Filippi
   E-text at Wikisource


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

“Muito curiosíssimo e muito curiosíssimo!”, gritou Alice (ela estava tão surpresa, que por um momento quase esqueceu como falar um bom inglês).
   Capítulo II : A lagoa de lágrimas
   Alice no País das Maravilhas
   Translated by Clélia Regina Ramos
   E-text at BbooksBrasil


■スペイン語訳 Translation into Spanish

--¡Curiorífico y curiorífico! --exclamó Alicia (estaba tan sorprendida, que por un momento se olvidó hasta de hablar correctamente)--.
   Capítulo 2 - El Charco de Lágrimas
   Alicia en el país de las maravillas
   E-text at:
   * Pagina de Lewis Carroll
   * pacomova.eresmas.net


■フランス語訳 Translation into French

« De plus-t-en plus curieux ! s’écria Alice (elle était si surprise que, sur le moment, elle en oublia complètement de parler correctement)
   Chapitre II La mare de larmes
   Alice au pays des merveilles
   E-text at Wikisource


  Audio  
Alice's Adventures in Wonderland Audiobook

Uploaded by CCProse on Sep 27, 2011. The excerpt below starts around 0:12:54. 下に引用した個所は 0:12:54 あたりから始まります。


■英語原文 The original text in English

"Curiouser and curiouser!" cried Alice (she was so much surprised, that for the moment she quite forgot how to speak good English).

   Chapter II The Pool of Tears
   Alice's Adventures in Wonderland (1865) by Lewis Carroll
   E-text at:
   * The University of Adelaide Library
   * Project Gutenberg
   * Indiana University


■『地底の国のアリスの冒険』または『地下の国のアリス』
 Alice's Adventures Under Ground

"Curiouser and curiouser!" cried Alice, (she was so surprised that she quite forgot how to speak good English,).

   Chapter I
   Alice's Adventures Under Ground by Lewis Carroll
   E-text at Negative Space


 Image 2 
『地下の国のアリス』——キャロル自筆の挿絵付き手稿本
Alice's Adventures Under Ground: Carroll's handwritten manuscript with illustrations

  • Alice's Adventures Under Ground. The original is Carroll's handwritten manuscript with illustrations by Carroll himself. It was given to Alice Liddell on 26 November 1864 and now owned by the British Library.
  • キャロル自身による挿絵がついた手稿本。1864年にキャロルからアリス・リデルへ贈られたもの。現在は大英図書館が所蔵。
↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓
Alice_page11full_4

Image source: British Library » Online Gallery » Virtual books » Lewis Carroll's Alice's Adventures Under Ground - Pages 10 and 11 Copyright © The British Library Board


■更新履歴 Change log

2015/04/30 高山宏=訳 2015/04 と高山宏=訳 1994/09 を追加しました。
2012/08/04 CCProse による朗読の YouTube 画面を追加しました。
2011/05/18 丹羽五郎(にわ・ごろう)=編 1911, 2009 を追加しました。また、
         丸山英観(薄夜)=訳の書誌情報と「邦訳史・邦訳書誌」の項を
         補足・修正しました。
2011/05/17 坂本美雨=訳 2010/04/20 を追加しました。
2011/04/25 デンマーク語訳とポルトガル語訳を追加しました。
2010/08/16 YouTube - BFIfilms's Channel のリンクを追加しました。
2010/05/12 大英図書館所蔵のルイス・キャロル自筆イラストつき
         手稿本 Alice's Adventures Under Ground の複写画像を
         追加しました。
2010/05/08 Нина Демурова 訳と Бориса Заходера 訳の2種類の
         ロシア語訳、およびイタリア語訳を追加しました。
2010/05/05 映画『アリス・イン・ワンダーランド』 (2010) と Alice in
         Wonderland (1903) の計2本の YouTube 動画、および
         石井睦美=訳 2008/11/10 を追加しました。また、
         丸山英観(薄夜)=訳の書誌情報を補足しました。
2010/02/27 河合祥一郎=訳 2010/02/25 を追加しました。
2008/10/24 吉田健一=訳 1954/05 を追加しました。
2007/08/21 久美里美=訳 2006/11 を追加しました。
2007/08/06 宗方あゆむ=訳 1992/10 と楠山正雄=譯 1948/05 を
         追加しました。また、「邦訳史・邦訳書誌」の項と
         「邦訳レビュー」の項を新設しました。
2006/09/27 菊池寛+芥川龍之介=共訳 1927/11 を追加しました。
2006/09/24 丸山英観(薄夜)=訳 1910/02 を追加しました。
2006/08/29 高杉一郎=訳 1983/09 を追加しました。
2006/08/15 中國語譯(繁體字)と生野幸吉=訳 1971/07 を追加しました。
2006/08/13 岩崎民平=訳 1952/04 を追加しました。
2006/07/31 中国語訳(簡体字)、ドイツ語訳、スペイン語訳、および
         フランス語訳を追加しました。
2006/05/05 中山知子=訳 1986/07 を追加しました。
2006/04/30 脇明子=訳 2000/06 を追加しました。また、配列を
         旧→新から新→旧に変更しました。
2006/04/22 芹生一=訳 1979/12 と中村妙子=訳 2000/03 を追加
         しました。
2006/04/20 多田幸蔵=訳 1988/03 と大西小生=訳 2002-2006 を
         追加しました。また、書誌情報を補足・修正しました。
2006/03/11 村山由佳=訳 2006/03 を追加しました。
2006/02/14 楠本君恵=訳 2006/02 を追加しました。


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Sunday, 06 February 2005

順不同028 しぜんしつぎょうりつ

shijiritsu3


             順不同028

           ぎょうざ 餃子
         はくちょうざ 白鳥座
        せろんちょうさ 世論調査

           ちょうど 丁度
         せいきょうと 清教徒
        しょうきょうと 小京都
       さいほうじょうど 西方浄土
       ほっぽうりょうど 北方領土
      えいぎょうじょうと 営業譲渡

          ふぶんりつ 不文律
         しちょうりつ 視聴率
        ゆきつもどりつ 行きつ戻りつ
       さんけんぶんりつ 三権分立
      えいせいちゅうりつ 永世中立
     しぜんしつぎょうりつ 自然失業率
    しょうひんかいてんりつ 商品回転率
  こいずみないかくのしじりつ 小泉内閣の支持率

            じぶん 自分
           おーぶん oven
          びせきぶん 微積分
         そうろうぶん 候文
        せぶんいれぶん 7-Eleven
       おもしろはんぶん 面白半分
      そつぎょうろんぶん 卒業論文
     ぜんぽうこうえんふん 前方後円墳
   こくぜいたいのうしょぶん 国税滞納処分
  げんじゅうくんかいしょぶん 厳重訓戒処分
 ちょうかいげんきゅうしょぶん 懲戒減給処分

           こしょう 胡椒
          ちくしょう 畜生
         ひゃくしょう 百姓 
        のうすいしょう 農水相
       あくたがわしょう 芥川賞
      むらさきずいしょう 紫水晶
     ふかんぜんねんしょう 不完全燃焼
    えんけいだつもうしょう 円形脱毛症
   きょういんめんきょじょう 教員免許状
  ありえるしゃろんしゅしょう アリエル・シャロン首相
 うぇすとみんすたーけんしょう ウェストミンスター憲章
ぎゅうかいめんじょうのうしょう 牛海綿状脳症(BSE)


2002 (C) Tomoki Yamabayashi

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