Bradbury, Ray

Monday, 19 March 2018

The Veldt (The World the Children Made) by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ 「草原」「かべの中のアフリカ」

■はじめに Introduction

  • 「草原」はレイ・ブラッドベリが1950年に発表した短編小説。翌1951年に出版された短編集『刺青の男』に収録されました。バーチャルリアリティを描いたSFの草分けと言われる作品です。その一部を下に引用します。

■日本語訳 Translations into Japanese

  1. 日暮 1995
    • 部屋の中は、しんとしていた。暑い真昼のジャングルにある林間の空き地のように、がらんとしている。三方の壁はまっさらで、凹凸は感じられない。だがジョージとリディアが部屋の中ほどに立つと、壁はゴロゴロと音を立てて後退していった。どこまで動いたのか、やがて壁がまったく見えなくなったかと思うと、そこにはアフリカの草原が現れた。どちらを向いても完全に立体的で、天然の色がつき、小石や藁の一片にいたるまで本物そっくりの草原だ。頭上には抜けるような空が広がり、黄色っぽい太陽がぎらぎら輝いている。
  2. 川本 1978
    • 子ども部屋は静まり返っていた。暑い昼下がりの、ジャングルのあいだの空き地のようにガランとしている。ジョージとリディア・ハドレイのふたりがその部屋のまん中に立つと、四方の壁が音たててうしろに後退し始め、ついには水晶のように透明に、遠くかなたに遠のいたように見えた。そしてアフリカの草原があらわれた。三次元で作られ、どの面も色がついている。小石やワラはほんもののようだ。頭上の天井は深い空に変わり、そこには暑い黄色い太陽が輝いている。
      • 川本三郎(かわもと・さぶろう)=訳 「草原」 万華鏡 サンリオSF文庫 1978/7/25
      • 原書: The Vintage Bradbury 1965
  3. 福島 1970, 1996, etc.
    • そこには、アフリカの草原があった。
      焼けつくようなみどり色の草原。遠くにはジャングルがひろがって、その上の青い空に、黄色くぎらぎらかがやく太陽が照っていた。
  4. 小笠原 1960, 1969, etc.
    • 二人は、子供部屋の草ぶきの床に立っていた。そこは、暑い真昼のジャングルのなかの空地みたいに、がらんとしている。壁はまっしろな平面である。ジョージとリディア・ハードリーが、おもむろに部屋の中央に立つと、壁はごろごろ音を立てて、無限の彼方まで後退するように見えた。まもなく、アフリカの草原が立体的にあらわれた。どこもかしこも、小石や藁屑に至るまで、みごとな天然色である。あたまの上の天井は、黄色い太陽がかがやく深い空に変化した。

■英語原文 The original text in English

  • Bradbury
    • The nursery was silent. It was empty as a jungle glade at hot high noon. The walls were blank and two dimensional. Now, as George and Lydia Hadley stood in the center of the room, the walls began to purr and recede into crystalline distance, it seemed, and presently an African veldt appeared, in three dimensions, on all sides, in color reproduced to the final pebble and bit of straw. The ceiling above them became a deep sky with a hot yellow sun.

◾️関連音声・動画 Audio & Video

  1. 音楽 deadmau5 feat. Chris James - The Veldt

     
  2. オーディオブック(朗読) Audiobook read by Leonard Nimoy

    上の引用箇所の朗読は 1:19 から。 Reading of the excerpt above starts at 1:19
     
  3. テレビドラマ The Veldt (1989) - The Ray Bradbury Theater - S03E11
     
  4. 映画 The Illustrated Man (1969) Trailer

     
  5. ラジオドラマ The Veldt (1951) - Dimension X Episode 43, NBC Radio

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Wednesday, 27 June 2012

Listen to the Echoes: The Ray Bradbury Interviews by Ray Bradbury & Sam Weller レイ・ブラッドベリ+サム・ウェラー 『ブラッドベリ、自作を語る』

■はじめに Introduction

先日(2012年6月5日)他界したレイ・ブラッドベリは、車を運転しなかった。62歳で初めて飛行機に乗るまで「飛ぶのがこわい」症だった。コンピュータは最後まで持ったことがなく、持とうともしなかった。

薄型テレビやウォークマン、iPod、ヴァーチャルリアリティなどの出現を予言した、この偉大なSF作家は、インターネットや電子書籍については、どう思っていたのか?


 Video 1 
Ray Bradbury: Story of a Writer (1963) by Terry Sanders

A half-hour television documentary about Ray Bradbury (1963) produced and directed by Terry Sanders [incorrectly attributed on archive.org to David L. Wolper]. Included is Bradbury's "Dial Double Zero," a short story about intelligence within a telephone system.


■表紙画像 Cover photos

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ja Ja_9784794967817 en En_9781935554035

[ja] 日本語
レイ・ブラッドベリ、自作を語る』 レイ・ブラッドベリ (著), サム・ウェラー (著), 小川高義 (翻訳) 晶文社 2012-06-10 ISBN : 9784593503032 版元によるこの本の紹介

[en] English
Listen to the Echoes: The Ray Bradbury Interviews  Ray Bradbury (Author), Sam Weller (Author), Black Francis (Foreword)  Stop Smiling Books, 2010-06-29.  ISBN : 9780385306973  Publisher's page for this book


■日本語訳 Translation into Japanese

どうでもいいことを、べちゃくちゃと飽きもせずしゃべってるだろ。しゃべりすぎだよ。いいかげんにしてもらいたい。このあいだヤフーのCEOから電話があって、インターネットに発表する小説を書いてくれないかと言われたんで、バカ言えと答えた。「いいか、よく聞けよ、聞いてるか、バカも休み休み言え」

そんなもの書いたって、本にはならない。コンピューターを持つのと本を手にするのは違うんだ。いまは電子ブックとか何とかやかましいが、あんなのどうでもいいと僕は思ってる。コンピューターには匂いがない。紙の本には匂いが二つあるね。新しい本は、すごくいい匂いがする。古くなると、もっとよくなる。まるで古代エジプトの匂いだな。やっぱり本には匂いがなくちゃ。

   レイ・ブラッドベリ+サム・ウェラー=著 小川高義(おがわ・たかよし)=訳
   『レイ・ブラッドベリ、自作を語る』 晶文社 2012-06-10


■英語原文 The original text in English

People are talking too much blah blah blah. Too much talk. Come on. The CEO of Yahoo called me recently and asked if I would write a novel to put up on the Internet. I told him to go to hell. I said, `Prick up your ears! Prick up your ears! Go to hell!' That's not a book.

You cannot hold a computer in your hand like you can a book. I don't care what they say about `e-books.' A computer does not smell. There are two perfumes to a book: a book is new, it smells great; a book is old, it smells even better. It smells like ancient Egypt. A book has got to smell.

   Listen to the Echoes: The Ray Bradbury Interviews
   Ray Bradbury (Author), Sam Weller (Author), Black Francis (Foreword)
   Stop Smiling Books, 2010-06-29
   Quoted in:
   * Amazon.com: Gregory E. Frohbieter's review
   * Geometry.Net
   * Goodreads


 Video 2 
NEA Big Read: Meet Ray Bradbury

Uploaded by NEAarts on Jun 7, 2010


■外部リンク External links

 [en] English
   * Ray Bradbury official site
   * Ray Bradbury - Wikipedia  (1920-2012)
   * Sam Weller - Wikipedia (1967-  )

 [ja] 日本語
   * レイ・ブラッドベリ - Wikipedia (1920-2012)


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Friday, 19 August 2011

Fahrenheit 451 by Ray Bradbury (2) レイ・ブラッドベリ / レイ・ブラドベリー 『華氏451度』『華氏四五一度』 (2)

« 1 Fahrenheit 451 »
« 1 華氏451度 »

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Video 1  レイ・ブラッドベリ死去 Ray Bradbury, Author of 'Fahrenheit 451,' Dies
 Video 2  華氏451 (1966) 英語版予告篇 Fahrenheit 451 (1966) Trailer in English
 Images   映画ポスター&DVDジャケット Film posters and DVD covers
■華氏451 (1966) ——言語とタイトル Fahrenheit 451 (1966): Language and Title
■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 伊藤 2014
  (J2) 宇野 1964, 1970, etc.
  (J3) 南井 1956
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
■ポーランド語訳 Translation into Polish
■チェコ語訳 Translation into Czech
■ドイツ語訳 Translation into German
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
  Audio    英語原文のオーディオブック Audiobook in English
■英語原文 The original text in English
 Video 3  華氏451 (1966) 中国語字幕版
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

本の所有と読書が禁じられた社会。ところが、主人公モンターグは、ふとしたきっかけでこの掟に背いてしまう。追われる身となったモンターグが、逃亡のすえにたどりついたところは……?

レイ・ブラッドベリによる近未来小説の最終章から引用します。


 Video 1 
レイ・ブラッドベリ死去 Ray Bradbury, Author of 'Fahrenheit 451,' Dies

Published on Jun 6, 2012 by AssociatedPress

レイ・ブラッドベリさん、やすらかにお眠りください。 2012年6月5日
Ray Bradbury, Master of Science Fiction, Dies at 91. New York Times, 2012-06-06

レイ・ブラッドベリさん、91歳のお誕生日おめでとうございます! 2011年8月22日
Happy 91st birthday, Ray Bradbury! Los Angeles Times, 2011-08-22


 Video 2 
華氏451 (1966) 英語版予告篇 Fahrenheit 451 (1966) Trailer in English

監督: フランソワ・トリュフォー 出演: オスカー・ウェルナー、ジュリー・クリスティ。邦題は、ブラッドベリの原作が『華氏451度』、トリュフォー監督の映画版が『華氏451』。「度」が付くか付かないかで区別できる。 Directed by François Truffaut, Starring Oskar Werner, Julie Christie.


 Images 
華氏451 (1966) ——ポスター&DVDジャケット
Fahrenheit 451 (1966): Posters and DVD covers

↓ Click to enlarge ↓

ja Ja_451 he He_fahrenheit_451 ru Ru_451

hu Hu_451_fahrenheit en En_fahrenheit_451 en En_poster_fahrenheit451


■華氏451 (1966) ——言語とタイトル
 Fahrenheit 451 (1966): Language and Title


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

將來有一天,我們荷載的東西也許能幫助某個人。但許久之前,我們手頭有書的時候,也沒有運用書中得來的知識。我們一味侮蔑先人,一味唾罵所有可憐的故哲。往後這一星期,一個月,一年,我們會遇見許多孑然孤靈的人。等他們問我們在做甚麼,你們可以說:我們在記憶。這樣我們才會終究獲勝。


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 伊藤 2014
「いつか、われわれが携えている荷物が誰かの助けになる日が来るかもしれない。しかしだ、ずっと昔、本を手に持っていた時代でさえ、われわれは本から得たものをまともに利用してはいなかった。われわれは死者を侮辱することばかりに汲々としていた。われわれより先にこの世を去ったあわれな人たちの墓に唾を吐きかけるようなことばかりしていた。われわれは来週、来月、来年と、多くの孤独な人びとに出会うことになるだろう。彼らに、なにをしているのかとたずねられたら、こう答えればいい。われわれは記憶しているのだ、と。長い目で見れば、それがけっきょくは勝利につながることになる。」

  • 第三部 明るく燃えて レイ・ブラッドベリ=作 伊藤典夫(いとう・のりお)=訳 『華氏451度 新訳版』 ハヤカワ文庫SF 2014-06-25

(J2) 宇野 1964, 1970, etc.
「いまこうして、重いおもいをしてもち運んでおる荷物が、いつかだれかの役に立つのだと、それだけを心がけるべきだ。遠いむかし、手近に多くの書物をおいていたころでも、わしたちはその書物から得たものを、役立てようとしなかった。わしたちは死者を侮辱することしか考えなかった。わしたちよりもまえに死んだ哀れな人たちの墓に、唾をかけることしか知らなかった。わしたちはこれからも、孤独な人たちに大勢会うことだろう。来週も来月も来年も。そして、その人たちは、わしたちにむかって、なにをしておるのかとたずねるだろう。そのときは、こういって、こたえよう。わしたちは記憶しているのです、とね。それがけっきょく、最後の勝利をうる道なのだ」

  • 第三部 火はあかるく燃えて レイ・ブラッドベリ=作 宇野利泰(うの・としやす)=訳 『華氏451度』
  • a. は b. に手をくわえたもの。引用は a. ハヤカワ文庫SF 2008年版に拠りました。

(J3) 南井 1956
「いつかはわしらが自分で持ちはこんでいる荷物がだれかを助けるかも知れない。しかし、たとえわしらが手近なところに本をたくさん持っていた遠い昔でさえも、わしらは自分がその本から得たものを使うことをしなかった。わしらはただ一筋に死者を侮辱するばかりだった。わしらはただ一筋に、わしらよりも前に死んだ貧しい人々の墓に唾を吐きつけるばかりだった。わしらはたくさんいる孤独な人たちと会おう、来週も来月も来年も。そしてその人たちがわしらに向って、わしらは何をしているのだとたずねたら、こう言おう、わしらは記憶しているのです、と。そうしてこそわしらは結局、勝ち抜くことであろう」

  • 第三部 明るく燃えて レイ・ブラドベリー=著 南井慶二(みない・けいじ)=訳 『華氏四五一度』 最新科学小説全集 7 元々社(げんげんしゃ) 1956-06-25

■ロシア語訳 Translation into Russian

Не мы важны, а то, что мы храним в  себе. Когда-нибудь  оно пригодится людям. Но заметьте -  даже в те давние времена, когда мы свободно  держали книги в руках, мы  не использовали всего, что они давали нам. Мы продолжали  осквернять память  мертвых,  мы плевали на могилы тех, кто жил до нас. В ближайшую неделю, месяц, год мы всюду будем встречать одиноких людей.  Множество одиноких людей. И когда они  спросят  нас, что мы делаем, мы ответим: мы вспоминаем. Да, мы память человечества,  и поэтому мы в  конце концов  непременно победим.

  • Часть 3. Огонь горит ярко. Рэй Брэдбери - 451 градус по Фаренгейту. Translated by Т. Шинкарь
  • E-text at Lib.Ru

■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

Някой ден товарът, който носим със себе си, може да помогне някому. Но дори когато преди много време книгите ни бяха подръка, ние не се възползувахме докрай от онова, което можеха да ни дадат. Не преставахме да храчим върху гробовете на всички бедняци, които бяха загинали преди нас. През идущата седмица и идущия месец, и идущата година ние ще срещнем много самотни хора. И когато те ни попитат какво правим, можете да им отговорите: ние помним. Само така с течение на времето ще победим. 

  • Трета част Яркият огън. Рей Бредбъри 451° по Фаренхайт. Translated by Веселин Измирлиев. 1990
  • E-text at Моята библиотека (chitanka.info)

■ポーランド語訳 Translation into Polish

Któregoś dnia ładunek, jaki nosimy, może komuś pomóc. Ale nawet, kiedy bardzo dawno temu mieliśmy książki w ręku, nie wykorzystywaliśmy tego, czego się z nich dowiedzieliśmy. Wciąż obrażaliśmy umarłych. Wciąż pluliśmy na groby wszystkich biedaków, którzy umarli przed nami. W następnym tygodniu, miesiącu czy roku spotkamy wielu samotnych ludzi. A kiedy spytają nas, co robimy, możecie powiedzieć: pamiętamy. Oto gdzie znajduje się nasze zwycięstwo na dłuższą metę.


■チェコ語訳 Translation into Czech

Jednou snad náklad, který s sebou vláčíme, někomu pomůže. Vždyť ani tenkrát, před dávnými a dávnými časy, když jsme měli knihy po ruce, nevyužívali jsme toho, co jsme z nich mohli získat. Pořád a pořád jsme uráželi mrtvé. Pořád a pořád jsme plivali na hroby těch chudáků, kteří zemřeli před námi. V příštím týdnu, měsíci, roce potkáme spoustu osamělých lidí. A když se nás zeptají, co děláme, můžeme jim říci: Pamatujeme si. Tímhle nakonec zvítězíme.


■ドイツ語訳 Translation into German

Vielleicht wird das, was wir mit uns herumschleppen, eines Tages jemand etwas nützen. Aber auch damals, als wir die Bücher noch zur Hand hatten, machten wir keinen Gebrauch von dem, was wir darin fanden. Wir fuhren fort, die Toten zu beleidigen. Wir fuhren fort, all den Bedauernswerten, die vor uns gestorben waren, ins Grab zu spucken. Im Verlauf der kommenden Woche werden wir eine Menge einsamer Menschen treffen, und den ganzen nächsten Monat und das ganze nächste Jahr. Und wenn man uns fragt, was wir eigentlich tun, könnt ihr sagen: "Wir erinnern uns." Damit werden wir uns auf die Dauer durchsetzen.

  • Fahrenheit 451 by Ray Bradbury. Translated by Fritz Güttinger & Jürgen Langowski. Heyne Verlag, Revised edition, 2000-03
  • E-text at gleichsatz.de

■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Algum dia, a carga que estamos carregando conosco poderá ajudar alguém. Mas, mesmo quando tínhamos os livros à mão, muito tempo atrás, não usávamos o que tirávamos deles. Continuávamos a insultar os mortos. Continuávamos a cuspir nos túmulos de todos os infelizes que morreram antes de nós. Durante a próxima semana iremos encontrar muitas pessoas solitárias, tal como no próximo mês e no próximo ano. E quando nos perguntarem o que estamos fazendo, poderemos dizer: estamos nos lembrando. É aí que, no longo prazo, acabaremos vencendo.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Algún día nuestra carga puede ser una ayuda. Pero recuerden que cuando teníamos los libros a mano, hace mucho tiempo, no utilizábamos lo que ellos nos daban. Continuamos con nuestros insultos a los muertos. Continuamos escupiendo sobre las tumbas de todos los desgraciados que murieron antes que nosotros. Encontraremos a muchos solitarios la semana próxima, y el mes próximo, y el año próximo. Y cuando esa gente nos pregunte qué hacemos, podemos responder: recordamos. Así triunfaremos en última instancia.


 Audio  
英語原文のオーディオブック Audiobook in English

下の引用箇所の朗読は 42:41 から始まります。 Uploaded to YouTube by The Pen Pixie on 16 Jan 2014. Reading of the excerpt below starts at 42:41.


■英語原文 The original text in English

Some day the load we're carrying with us may help someone. But even when we had the books on hand, a long time ago, we didn't use what we got out of them. We went right on insulting the dead. We went right on spitting in the graves of all the poor ones who died before us. We're going to meet a lot of lonely people in the next week and the next month and the next year. And when they ask us what we're doing, you can say, 'We're remembering'. That's where we'll win out in the long run.


 Video 3 
華氏451 (1966) 字幕: 繁體字中國語 1/18
Fahrenheit 451 (1966) Subtitles in traditional Chinese. Part 1 of 18
Film_zh_trad_subtitles
リクエストにより埋め込み無効。動画を観るには、ここをクリック。
Embedding disabled by request. To watch the video, click here.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014-09-16 伊藤典夫=訳 2014-06-25、ブルガリア語訳、ポルトガル語訳、および英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012-06-07 レイ・ブラッドベリ死去を報じる Associate Press の報道へのリンクを追加しました。
  • 2011-08-25 電子テキストへのリンクが一部まちがっていたので修正しました。

 

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Friday, 12 August 2011

Fahrenheit 451 by Ray Bradbury (1) レイ・ブラッドベリ / レイ・ブラドベリー 『華氏451度』『華氏四五一度』 (1)

« Fahrenheit 451 2 »
« 華氏451度 2 »

           目次 Table of Contents

   ■はじめに Introduction
    Video 1  A look into Ray Bradbury's thoughts
    Images   表紙画像ギャラリー Cover photo gallery
   ■言語・ISBN・タイトル・出版社・出版年など Language, ISBN, Title, Publisher, etc.
   ■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
   ■中國語譯(繁體字) Translations into traditional Chinese
     (Zh1) 于而彥 2006
     (Zh2) 高英哲 1975, 2013
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 伊藤 2014
     (J2) 宇野 1964, 1970, etc.
     (J2) 南井 1956
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian
   ■リトアニア語による、この小説の紹介 Description of the novel in Lithuanian
   ■ポーランド語訳 Translation into Polish
   ■チェコ語訳 Translation into Czech
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
   ■フランス語訳 Translation into French
    Audio 1  英語原文の朗読 Audiobook in English
    Audio 2  英語原文の朗読 Audiobook in English
   ■英語原文 The original text in English
    Audio 3  華氏451度——米国芸術基金 (NEA) によるラジオ番組
    Video 2  ナチスによる焚書(ふんしょ) Nazi Book Burning
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

電子書籍が普及すると、紙に印刷した本は滅びるのか?

この問題に真剣に悩む人もいる。愚問だと却下する人もいる。レイ・ブラッドベリの代表作『華氏451度』は、もちろん、これに答えようとしたものではない。小説が出版されたのは半世紀以上もまえである。

筋書きからいえば、この作品はディストピア小説(=反ユートピア小説)だ。読書と本の所有が禁じられた未来社会を描いている。著者自身は、テレビやラジオなどのマスメディアが文学と読書に及ぼす悪影響をテーマにしたという。だが、作品は、ひとたび発表されれば、作者の意図には縛られない。1953年の初版発行以来、たくさんの異なる時代背景との関連で読み解かれてきた。

たとえば、ナチス・ドイツなど歴史上のさまざまな体制による焚書(ふんしょ)、あるいはブラッドベリの執筆当時すなわち冷戦初期のアメリカにおけるジョセフ・マッカーシーによる「赤狩り」、さらには共産主義圏や世界各地の軍事独裁政権における言論の弾圧などとの関わりである。

下に引用するのは、小説の冒頭部分。


 Video 1 
A look into Ray Bradbury's thoughts

レイ・ブラッドベリは2012年6月5日に亡くなりました。 Published on Jun 6, 2012 by CNN


 Images 
表紙画像ギャラリー Cover photo gallery

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

zh Zh_simp_451_9787536671492 zh Zh_trad_9789868934221_fahrenheit_45 zh Zh_trad__451_9789573322290

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fr Fr_fahrenheit_451_9782070415731 en En_f451_50th_anni_9780345342966 en En_f451_ballantine_books_1st_ed_bib


■言語・ISBN・タイトル・出版社・出版年など
 Language, ISBN, Title, Publisher, Year, etc.

[zh] ISBN: 9787536671492 华氏451 竹苏敏译 重庆出版社 2005 简体中文
[zh] ISBN: 9789868934221 華氏451度 高英哲譯 WANDERER 2013 繁體中文
[zh] ISBN: 9789573322290 華氏451度 于而彥譯 皇冠 2006 繁體中文
[ko] ISBN: 9788982739088 화씨 451 황금가지 2009 韓国語
[ja] ISBN: 9784150119553 華氏451度 伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫SF 2014 日本語
[ja] ISBN: 9784150116910 華氏451度 宇野利泰訳 ハヤカワ文庫SF 2008 日本語
[ja] ISBN: 9784150401061 華氏451度 宇野利泰訳 ハヤカワ文庫NV 1975 日本語
[ja] ASIN: B000JB0S9S   華氏四五一度 南井慶二訳 元々社 1956 日本語
[fa] ISBN: 9786001170379 فارنهایت 451 سبزان 1390 ペルシア語
[ar] ISBN: 4249809977978 فهرنهايت 451 دار الشروق 2008 アラビア語
[he] ISBN: 9657198127   פרנהייט 451 הוצאת אודיסיאה 2002 ヘブライ語
[ru] ISBN: 9785699285143 451 градус по Фаренгейту ЭКСМО 2008 ロシア語
[uk] ISBN: 9780743247221 451 градус за Фаренгейтом 1985 ウクライナ語
[lv] ISBN:        451 grāds pēc Fārenheita Zinātne, 1975 ラトビア語
[lt] ISBN: 9955130504   451 Farenheito Jotema, 2006 リトアニア語
[pl] ISBN: 9788375900279 451 stopni Fahrenheita Solaris, 2008 ポーランド語
[cs] ISBN: 9788072143801 451 stupňů Fahrenheita Baronet, 2001 チェコ語
[hr] ISBN: 9789536184422 Fahrenheit 451 Zagreb : Pegaz, 1997 クロアチア語
[de] ISBN: 9783896142054 Fahrenheit 451 Hörbuch, 2001 [Cassette] ドイツ語
[de] ISBN: 9783453164123 Fahrenheit 451 Heyne Verlag, 2000 ドイツ語
[it] ISBN: 9788804320258 Fahrenheit 451 Mondadori, 1999 イタリア語
[pt] ISBN: 9789721050860 Fahrenheit 451 Europa-América, 2011 ポルトガル語
[es] ISBN: 9780307347978 Fahrenheit 451 Plaza y Janes Mexico, 2006 スペイン語
[es] ISBN: 9788497930055 Fahrenheit 451 DeBolsillo, Barcelona, 2005 スペイン語
[fr] ISBN: 9782070415731 Fahrenheit 451 Gallimard, 2000 フランス語
[en] ISBN: 9780345342966 Fahrenheit 451, 50th Anniversary Edition Ballantine Books, 1991 英語
[en] ASIN: B000TZ19TC   Fahrenheit 451, First Edition Ballantine Books, 1953 英語


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

  烧东西乐趣无穷
  看着东西被火苗吞噬、烧焦变形,会给人一种特殊的乐趣。手里紧握着黄铜制的喷嘴——这条巨蟒向全世界喷吐着毒液般的煤油,头脑里血脉膨胀,双手仿佛技术精湛的指挥家一般指挥着烈焰与火舌织就的交响曲,让历史的碎片和炭屑在空中四散激扬。感觉迟钝的脑袋上带着那顶象征他身份的标着451 的头盔,映满桔红色火焰的眼睛关注着下一个目标——他轻轻一击,打开喷火装置,房子上立即窜起噬人的火焰,映红了天空,把夜空照得忽明忽暗。他大步流星地走在密集的萤火虫之中。书页像鸽子的翅翼一般扑扇着,飘落在屋前的门廊和草坪上,慢慢死去;此时,他的最大渴望——正如那则古老笑话所言——to shove a marshmallow on a stick in the furnace. 书页在闪着红光的火焰中冉冉飘飞,被升起的黑色浓烟吹向远处。

   第一部 壁炉和火蜥蜴 第一章 烧东西乐趣无穷
   《华氏451》 作者: 雷·布拉德伯雷  译者: 竹苏敏
   重庆出版社 2005
   Excerpt at:
   * 炫浪网络社区 - 小说在线阅读 (ncs.xvna.com)
   * 从前以后-科幻小说|科幻在线 (love1021.info)
   * 小书楼免费小说阅读网 (xiaoshulou.net)


■中國語譯(繁體字) Translations into traditional Chinese

(Zh1) 于而彥 2006
  焚燒是一種快感。
  看著東西被吞噬、焦黑、變樣,是一種特殊的快感。手握銅質管嘴,巨蟒般的噴管將它有毒的煤油吐向世間,血液在他的頭顱內悸動,而他的手則是某個讓人驚歎的指揮家之手,演奏著各式各樣熾火烈焰的交響曲,記錄歷史的殘渣和焦墟。他呆鈍的腦袋上戴著號碼『四五一』的符誌頭盔,想到即將出現的景況,他雙眼布滿橘紅色火焰。他啟動點火器;屋宇在狼吞虎嚥的烈焰中進飛,傍晚的天際染成了紅色、黃色和黑色。他昂首闊步走在烽起的火星中。他尤其想用根細棍插上一顆軟糖塞入火爐中──就像那老掉牙的笑話──而同時,撲拍著鴿翼的書本死在屋舍的前廊和草坪上。書本熊熊盤旋而上,乘風飛去,燒成焦黑。

   第一章 爐灶與火蜥蜴
   《華氏451度》 作者: 雷.布萊伯利  譯者: 于而彥
   皇冠 2006-04-10
   Excerpt at:
   * 博客來書籍館
   * 中學生網站


(Zh2) 高英哲 1975, 2013
  燃燒令人愉悅。
  看到東西被火吞噬,焦黑然後變形,有一種特別的快感。他手握銅製噴嘴,手中這條巨蟒把毒液般的煤油噴向世間,血液衝上他的頭部,他的雙手就好似某位令人讚歎的指揮家般,演奏著熾熱燃燒的交響樂,把一切燒成歷史的殘渣與焦炭。他那一臉淡定的頭上頂著編號四五一的招牌頭盔,眼裡全是在想著接下來要燒些什麼的橘色火焰,然後把點火器撥開,整棟房子霎時被一道狼吞虎嚥的火焰吞噬,把傍晚的天空照得赤黃帶黑。他邁步走向一團火星,很想要像老笑話說的那樣,拿火鏟去撥棉花糖,而那些振翅欲飛的書本就這麼死在房子的門廊跟草坪上。旋迴的火光隨風吹拂,書頁在燃燒中變得焦黑。

   第一部 火爐與火蜥蜴
   華氏451度 Ray Bradbury 著 高英哲 譯
   WANDERER Digital Publishing, 1975. eBook edition, 2013.
   ISBN: 9868934222, 9789868934221
   Preview at iTunes
   Excerpt at Pubu 電子書城


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 伊藤 2014
 火を燃やすのは愉しかった。
 ものが火に食われ、黒ずんで、別のなにかに変わってゆくのを見るのは格別の快感だった。真鍮の筒さきを両のこぶしににぎりしめ、大いなる蛇が有毒のケロシンを世界に吐きかけるのをながめていると、血流は頭のなかで鳴りわたり、両手はたぐいまれな指揮者の両手となって、ありとあらゆる炎上と燃焼の交響曲をうたいあげ、歴史の燃えかすや焼け残りを引き倒す。シンボリックな451の数字が記されたヘルメットを鈍感な頭にかぶり、つぎの出来事を考えて、目をオレンジの炎でかがやかせながら昇火器にふれると、家はたちまち猛火につつまれ、夜空を赤と黄と黒に染めあげてゆく。彼は火の粉を蹴たてて歩いた。夢にまで見るのは、古いジョークにあるように、串に刺したマシュマロを火にかざしてぱくつきながら、家のポーチや芝生で、本が鳩のようにはばたきながら死んでゆくのをながめること。本がきらめく渦を描きながら、煤けた黒い風に乗って散ってゆくのをながめることだった。

   第一部 炉と火竜
   レイ・ブラッドベリ=作 伊藤典夫(いとう・のりお)=訳
   『華氏451度 新訳版』 ハヤカワ文庫SF 2014-06-25


(J2) 宇野 1964, 1970, etc.
 火の色は愉しかった。
 ものが燃えつき、黒い色に変っていくのを見るのは、格別の愉しみだった。真鍮の筒さきをにぎり、大蛇のように巨大なホースで、石油と呼ぶ毒液を撒きちらすあいだ、かれの頭のうちには、血液が音を立て、その両手は、交響楽団のすばらしい指揮者のそれのように、よろこびに打ちふるえ、あらゆるものを燃えあがらせ、やがては石炭ガラに似た、歴史の廃墟に変えさせるのだった。
 それが任務のしるしである451とナンバーを打ったヘルメットを、非情の頭にかぶり、双の眼に、やがてくるものの運命を予想さすオレンジ色の炎をきらめかせ、手にした発火器の火花を撒きちらすと、家はたちまち、あらゆるものを啖(くら)いつくす焰へと変わって燃えあがる。夜空に、赤く、黄に、そして黒に。
 ホタルが群れをなして飛びちがうなかに、かれは足を踏み入れる。なによりもかれがのぞむのは、古い笑話にあるように、棒のさきにつけたマシュマロを、暖炉のなかへつっこむことにある。死んだ書物は、ハトのような羽をひらめかして、ポーチの上へ、庭の芝生へ、落下してくる。なかにはまた、火花の渦をまいて、空高く舞いあがるものもある。だが、やがてはそれも風に吹きとばされ、燃えつきると、くろぐろと地上に落ちてくる。

   第一部 炉床と火トカゲ
   レイ・ブラッドベリ=作 宇野利泰(うの・としやす)=訳 『華氏451度』
   a.華氏451度』 ハヤカワ文庫SF 2008-11
   b.華氏451度』 ハヤカワ文庫NV 1975-11
   c.世界SF全集 13』 早川書房 1970
   d.華氏451度』 ハヤカワ・SF・シリーズ 1964-03
   a.b. に手をくわえたもの。引用は a. に拠りました。


(J3) 南井 1956
 ものを燃やすのは気持がよかった。
 めらめらと焰に食われるのを見たり、黒焦げになって跡形もなく変り果てていくさまを眺めたりするのは、格別いい気持であった。真鍮の筒口を両の手に握りしめながら、この巨大な怪蛇の口から、現世の万物にその毒のガソリンを吐きつけさせる時、彼の頭の中では血潮が高く脈打ち、手はそのままに驚嘆すべき指揮者の手となって、燃えさかり焼きつくすありとあらゆる交響楽を奏でつつ、そこに歴史のぼろ屑と化した残滓とをぶちまける。451と数字の符号を打った鉄甲をその鈍い頭に冠り、両の眼はオレンジ色の炎に血走って、瞬時に起ることを思い描きながら、彼はカチリと発火器のバネを鳴らした。たちまちその建物はむさぼり食う火焰の中に跳ねあがって、夕空を赤と黄と黒に焼きこがした。光る火の虫の大群の中を彼は大股に歩いて行った。その家の玄関と芝生のところで、羽ばたきする鳩のように幾冊もの本が市に絶えていくころ、何よりも彼は、昔から冗談にいう通りマシマロを一つ棒切れに突きさして、それを火炉の中へ押しこみたくてたまらなかった。そのうちに本は火の粉の渦巻となって飛びまわり、黒い煙に巻かれて散って行った。

   第一部 炉と火獣
   レイ・ブラドベリー=著 南井慶二(みない・けいじ)=訳
   『華氏四五一度』 最新科学小説全集 7 元々社(げんげんしゃ) 1956-06-25


■ロシア語訳 Translation into Russian

Жечь  было наслаждением. Какое-то особое наслаждение видеть, как  огонь пожирает  вещи, как они чернеют и  меняются. Медный  наконечник  брандспойта зажат в кулаках, громадный питон  изрыгает на  мир  ядовитую струю керосина, кровь  стучит  в  висках,  а  руки  кажутся   руками  диковинного  дирижера, исполняющего симфонию огня  и  разрушения,  превращая  в  пепел  изорванные, обуглившиеся страницы истории.  Символический  шлем,  украшенный цифрой 451, низко  надвинут на лоб, глаза сверкают  оранжевым пламенем  при мысли о том, что должно сейчас произойти:  он  нажимает  воспламенитель  -  и огонь жадно бросается на  дом,  окрашивая вечернее небо в багрово-желто-черные тона.  Он шагает в рое огненно-красных светляков,  и больше всего  ему хочется сделать сейчас то, чем он  так часто забавлялся в  детстве,- сунуть в огонь прутик с леденцом, пока книги, как  голуби, шелестя крыльями-страницами,  умирают  на крыльце и на лужайке перед домом, они взлетают в огненном вихре, и черный от копоти ветер уносит их прочь.

   Часть 1. Очаг и саламандра.
   Рэй Брэдбери - 451 градус по Фаренгейту
   Translated by Т. Шинкарь
   E-text at Lib.Ru


■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian

Так приємно було дивитись, як вогонь поглинає речі, як вони чорніють і змінюються. В кулаках— мідний наконечник брандспойта; величезний пітон випльовує отруйний гас; кров бухкає у скронях, а руки, що перетворюють на попіл подерті сторінки історії, здаються руками дивовижного музики, який диригує симфонію полум’я й горіння. Символічний шолом з цифрою 451 низько насунений на чоло; очі палають жовтогарячим вогнем від думки, що буде далі. Він натискає на запальник — і будинок ніби підстрибує в жадібному полум’ї, що забарвлює вечірнє небо в червоне, жовте й чорне. Він сягнисто ступає крізь рій вогненно-червоних світляків. Йому нестерпно хочеться, як колись, у дитинстві, встромити в вогонь паличку з льодяником саме тоді, коли книжки, змахуючи, наче голуби, крилами-сторін-ками, вмирають на ґанку й на лужку перед будинком, злітають іскристими вихорами, і чорний від кіптяви вітер відносить їх геть.

   Рей Бредбері - 451° за Фаренгейтом
   Translated by Євген Крижевич
   Excerpt at Электронная библиотека LikeBook.Ru


■リトアニア語による、この小説の紹介 Description of the novel in Lithuanian

Aprašymas: Gajus Montegas dešimt metų dirbo gaisrininku ir mėgo savo dirbą: be galo žavėjo vidurnakčio reidai ir kėlė dvasią oranžinės gaisro liepsnos. Bet kartą jis sutiko septyniolikmetę mergaitę, kuri papasakojo apie praeitį, kai žmonės nebijoję... Paskui jis sutiko profesorių, kantriai laukiantį tokių laikų, kai žmonės pradės mąstyti. Ir staiga Gajus Montegas suvokė, ką jis būtinai turįs padaryti...
Review: skaityta.lt.

   451 Farenheito by Ray Bradbury
   Translated by Edita Mažonienė
   Jotema, 2006


■ポーランド語訳 Translation into Polish

Przyjemnie było palić.
  Sprawiało specjalną przyjemność patrzenie, jak ogień pożera wszystko, jak wszystko czernieje i się zmienia. Gdy wielki wąż pluł jadowitą naftą na świat, Montag zaciskał w pięściach mosiężne okucie, krew huczała mu w głowie, a jego dłonie były dłońmi jakiegoś cudownego dyrygenta prowadzącego wszelkie symfonie płomieni i pożarów, by zniszczyć różne strzępy i zwęglone ruiny historii. W symbolicznym, oznaczonym numerem 451 hełmie na swej obojętnej głowie i oczami jak pomarańczowe płomienie na myśl o tym, co zaraz nastąpi, szarpał zapalacz i dom wybuchał żarłoczną pożogą, która rozjarzała wieczorne niebo czerwienią, żółcią i czernią. Kroczył wśród roju iskier. Miał ochotę, jak by powtarzając żart z czasów dzieciństwa, wsunąć do paleniska ślazowego lizaka na patyku, podczas gdy trzepoczące, gołębioskrzydłe książki zamierały na ganku i trawniku przed domem lub unosiły się w sypiących iskrami wirach i odlatywały na wietrze poczerniałe od żaru.

   451 stopni Fahrenheita by Ray Bradbury
   Translated by Adam Kaska
   Polish edition: 1960
   Excerpted in a slightly different translation at: mizuumi's soup
   E-text at Ray Bradbury [DOC] - Kuratorium Oświaty w Rzeszowie


■チェコ語訳 Translation into Czech

Byla to rozkoš - pálit.
  Pozoroval s obzvláštní rozkoší, jak jsou předměty pohlcovány, jak věci černají a jak se mění. Krev mu bušila ve spáncích, když svíral v dlaních mosaznou trysku — toho obrovského hada, který plival na svět jedovatý petrolej - a jeho ruce byly rukama podivuhodného dirigenta řídícího nesmírnou symfonii žáru a ohně, v níž mizí cáry a zuhelnatělé zbytky dějin. V očích pod helmou se symbolickým číslem 451, nasazenou na lhostejné hlavě, vzplál oranžový žár, když si představil, co bude následovat: stiskl zapalovač a dům se vzepjal ve žravých plamenech, které zbarvily večerní oblohu do červena, do žlutá a do smolné černi. Kráčel obklopen rojem světlušek. Pocítil neodolatelnou touhu strčit do žhnoucí pece pár pěnových bonbonů na klacku, jak se to žertem dělávalo, zatímco poletující, žárem zkroucené knihy umíraly u vchodu a na trávníku. A když se knihy ve víru jisker vznesly vzhůru a letěly pryč, vítr potemněl dýmem spáleniště.

   Část první – Ohniště a salamandr
   451 stupňů Fahrenheita by Ray Bradbury
   Translated by Josef Škvorecký, Jarmila Emmerová
   Baronet, 2001
   E-text at:
   * Igráčkův Web (igracek Web) [PDF]
   * Wattpad
   Preview at Google Books


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Era Estupendo Quemar.
  Constituía un placer especial ver las cosas consumidas, ver los objetos ennegrecidos y cambiados. [Omission] deflagador y la casa quedó rodeada por un fuego devorador que inflamó el cielo del atardecer con colores rojos, amarillos y negros. El hombre avanzó entre un enjambre de luciérnagas. Quería por encima de todo, como en el antiguo fuego, empujara un malvavisco hacia la hoguera, en tanto que los libros se elevaban convertidos en torbellinos incandescentes y eran aventados por un aire que el incendio ennegrecía.

   Fahrenheit 451 by Ray Bradbury
   a. ISBN: 9780307347978 Plaza y Janes, 2006
   b. ISBN: 9789505470013 Minotauro, 2005
   E-text at sadee.sytes.net
   Quoted in Ética actual y profesional:
   lecturas para la convivencia global en el siglo XXI
   by Alberto Hernández Baqueiro


■フランス語訳 Translation into French

Le plaisir d'incendier !
  Quel plaisir extraordinaire c'était de voir les choses se faire dévorer, de les voir noircir et se transformer. Les poings serrés sur l'embout de cuivre, armé de ce python géant qui crachait son venin de pétrole sur le monde, il sentait le sang battre à ses tempes, et ses mains devenaient celles d'un prodigieux chef d'orchestre dirigeant toutes les symphonies en feu majeur pour abattre les guenilles et les ruines carbonisées de l'Histoire. Son casque symbolique numéroté 451 sur sa tête massive, une flamme orange dans les yeux à la pensée de ce qui allait se produire, il actionna l'igniteur d'une chiquenaude et la maison décolla dans un feu vorace qui embrasa le ciel du soir de jaune et de noir. Comme à la parade, il avança dans une nuée de lucioles. Il aurait surtout voulu, conformément à la vieille plaisanterie, plonger dans le brasier une boule de guimauve piquée au bout d'un bâton, tandis que les livres, comme autant de pigeons battant des ailes, mouraient sur le seuil et la pelouse de la maison. Tandis que les livres s'envolaient en tourbillons d'étincelles avant d'être emportés par un vent noir de suie.

   Fahrenheit 451 by Ray Bradbury
   Translated by Henri Robillot
   Denoël, 1955


 Audio 1 
英語原文の朗読 Audiobook in English

録音は下に引用する小説冒頭から。 Uploaded to YouTube by The Pen Pixie on 7 Jan 2014. The recording starts from the beginning of the novel as quoted below.


 Audio 2 
英語原文の朗読 Audiobook in English

録音は下に引用する小説冒頭から。 Uploaded to YouTube by AudioBooksWave on 13 Dec 2012. The recording starts from the beginning of the novel as quoted below.


■英語原文 The original text in English

It was a pleasure to burn.
  It was a special pleasure to see things eaten, to see things blackened and changed. With the brass nozzle in his fists, with this great python spitting its venomous kerosene upon the world, the blood pounded in his head, and his hands were the hands of some amazing conductor playing all the symphonies of blazing and burning to bring down the tatters and charcoal ruins of history. With his symbolic helmet numbered 451 on his stolid head, and his eyes all orange flame with the thought of what came next, he flicked the igniter and the house jumped up in a gorging fire that burned the evening sky red and yellow and black. He strode in a swarm of fireflies. He wanted above all, like the old joke, to shove a marshmallow on a stick in the furnace, while the flapping pigeon-winged books died on the porch and lawn of the house. While the books went up in sparkling whirls and blew away on a wind turned dark with burning.


 Audio 3 
華氏451度——米国芸術基金 (NEA) によるラジオ番組
Fahrenheit 451: Listen to the NEA's Big Read Radio Show
The_big_read_nea
NEAは全米芸術基金あるいは国立芸術基金とも訳される。ラジオ番組を聴くには
 ここをクリック  (mp3, 29分07秒) 番組の詳細はここ。 To listen to Fahrenheit 451 Radio Show presented by the National Endowment for the Arts  CLICK HERE  (mp3, 29:07).

The Radio Show is narrated by Dana Gioia and features Ray Bradbury, Orson Scott Card, John Crowley, Paquito D'Rivera, Hector Elizondo, Nat Hentoff, Ursula K. Le Guin, Azar Nafisi, Luis Alberto Urrea and Sam Weller. More details are here.


 Video 2 
ナチスによる焚書(ふんしょ) Nazi Book Burning

提供: アメリカ合衆国ホロコースト記念博物館 Uploaded to YouTube by the United States Holocaust Memorial Museum (USHMM) on 13 May 2013. Related website: Fighting the Fires of Hate: America and the Nazi Book Burnings


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014-09-09 伊藤典夫=訳 2014-06-25 と、2種類の英語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013-09-21 高英哲によるもう1種類の繁體字中國語譯とその表紙画像を追加しました。
  • 2013-09-08 目次とナチスによる焚書の項を新設しました。
  • 2012-06-07 レイ・ブラッドベリ氏は2012年6月5日に91歳で亡くなりました。CNNテレビとニューヨーク・タイムズ紙の関連報道へのリンクを追加しました。
  • 2011-11-12 ペルシア語版の表紙画像と書誌情報を追加しました。
  • 2011-08-25 電子テキストへのリンクが一部まちがっていたので修正しました。
  • 2011-08-12 「はじめに」の項を大幅に書き換えました。

 

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■DVD

■CD

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■和書 Books in Japanese

  
  

| | Comments (2)

Saturday, 09 October 2010

Switch on the Night by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ 『夜のスイッチ』『夜をつけよう』

■はじめに Introduction

レイ・ブラッドベリの手になる、おそらく唯一の絵本。米国でも日本でも、異なるイラストレーションの付いた2種類の版が出ている。

原書初版はマデリン・ゲキエアによる挿絵。あとから出たのはレオ&ダイアン・ディロンによる挿絵。日本語版は、原書とは逆の順番に出ている。つまり先に出たのがレオ&ダイアン・ディロン絵、あとから出たのがマデリン・ゲキエア絵。


■表紙画像コレクション Cover photo collection

↓ Click to enlarge ↓

ja Ja_2008_yoru_no_switch_bradbury ja Ja_1998_yoru_o_tsukeyou_bradbury es Es_encender_la_noche

en En_switch_on_the_night_gekiere en En_switch_on_the_night_bradbury es Es_la_nina_que_ilumino_la_noche


■言語と書誌情報 Linguistic and bibliographic information

[ja] 日本語
タイトル: 夜のスイッチ
著者: レイ・ブラッドベリ=文 マデリン・ゲキエア=絵 北山克彦=訳 
ハードカバー
出版社: 晶文社
出版年: 2008-09-01
ISBN-10 : 4794967276
ISBN-13 : 9784794967275
版元による この本の紹介


[ja] 日本語
タイトル: 夜を つけよう
著者: レイ・ブラッドベリ=文 ディロン夫妻(レオ&ダイアン・ディロン)=絵 今江祥智=訳 
大型本
出版社: BL出版
出版年: 1998-07
ISBN-10 : 489238688X
ISBN-13 : 9784892386886


[es] スペイン語
タイトル: Encender la noche
著者: [texto] Ray Bradbury ; [ilustrationes] Noemí Villamuza ; [traducción de Ester Rubio]
ハードカバー
出版社: Kokinos
出版年: 2006-07-30
ISBN-10 : 8488342918
ISBN-13 : 9788488342911
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More info at PaperBackSwap.com


[en] 英語
タイトル: Switch on the Night [Import] [Hardcover]
著者: Ray Bradbury (Author), Madeleine Gekiere (Illustrator) 
Hardcover
出版社: Pantheon Books; 1st edition
出版年: 1955
ISBN-10 : B0000CJACW
ISBN-13 :


[en] 英語
タイトル: Switch on the Night
著者: Ray Bradbury (author), Leo Dillon and Diane Dillon (illustrators) 
ペーパーバック
出版社: Dragonfly Books
出版年: 2004-09-14
ISBN-10 : 0553112449
ISBN-13 : 9780553112443
Publisher's page for this book


[es] スペイン語
タイトル: La nina que ilumino la noche
著者: Ray Bradbury (author), Juan Marchesi (illustrator)
ペーパーバック
出版社: De La Flor/Argentina
出版年: 2006-09-30
ISBN-10 : 9505158041
ISBN-13 : 9789505158041
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* PaperBackSwap.com
* AddALL


■日本語訳 Translation into Japanese

(1) tomoki y. 2010

むかし あるところに 男の子がいたよ。
夜のきらいな男の子だったよ。

男の子が すきなのは
ランプに ランタン
たき火に たいまつ
でんとうに とうだい
かがり火に かいちゅうでんとう
でも 夜はきらいな 男の子だったよ。
[以下略]

   レイ・ブラッドベリ=作 Tomoki Yamabayashi=部分訳
   『夜にスイッチ・オン』
   tomokilog - うただひかるまだがすかる 2010-10-09
   下の北山氏の訳と今江氏の訳を、あえて参照せずにつくった拙訳。
   おそまつさまです。


(2) 北山 2008
むかし、〈〉の嫌(きら)いな
男の子がいた。

その子が好(す)きだったのは
ランタンにランプ
そして
たいまつにろうそく
そして
灯台(とうだい)にかがり火
そして
懐中電灯(かいちゅうでんとう)にゆらめく炎。
でも、〈〉は嫌いだった。
[以下略]

   レイ・ブラッドベリ=文 マデリン・ゲキエア=絵
   北山克彦(きたやま・かつひこ)=訳
   『夜のスイッチ』 晶文社 2008-09-05
   版元による この本の紹介


(3) 今江 1998
むかし 小さな男の子がいて
その子は夜が すきじゃなかった。

すきだったのは
電灯(でんとう)にランプ
松明(たいまつ)にろうそく
かがり火にたき火
それと
懐中電灯(かいちゅうでんとう)にほのお。
だけど夜はすきじゃなかった。
[以下略]

   レイ・ブラッドベリ=文 ディロン夫妻(レオ&ダイアン・ディロン)=絵
   今江祥智(いまえ・よしとも)=訳
   『夜を つけよう』 BL出版 1998-07-10


■あるどこかの優しそうな女性が朗読する『夜のスイッチ』『夜をつけよう』
 Switch on the Night, read by some nice and friendly lady


■英語原文 The original text in English

Once there was a little boy
who didn't like the Night.

He liked
lanterns and lamps
and
torches and tapers
and
beacons and bonfires
and
flashlights and flares.
But he didn't like the Night.
[Omission]

   Switch on the Night by Ray Bradbury
   a. Switch on the Night
     Illustrations by Leo and Diane Dillon
     Knopf Books for Young Readers. 1993-03-23
   b. Switch on the Night
     Illustrations by Madeleine Gekiere
     Pantheon Books. a division of Random House, Inc. 1955
   E-text at deviantART
   Excerpt at Amazon.com


■外部リンク External links

 [en] English
   * Ray Bradbury Official Website
   * Ray Bradbury - Wikipedia (1920-2012)

 [ja] 日本語
   * レイ・ブラッドベリ - Wikipedia (1920-2012)
   * 夜のスイッチ - 一冊たちブログ (タナカ氏による) 2008-12-16
     コメント欄 2009-02-27 で、北山氏訳と今江氏訳の抜粋を引用して
     比較し、両者の訳のトーンのちがいは、絵のちがいが喚起する
     イメージのちがいに由来するのではないかと推論している。


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2010-10-10 「夜のスイッチ - 一冊たちブログ」へのリンクを追加しました。


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Monday, 23 February 2009

Zen in the Art of Writing by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ 『ブラッドベリがやってくる―小説の愉快』

■はじめに Introduction

『ブラッドベリがやってくる―小説の愉快』は、原題を『小説作法における禅 (Zen in the Art of Writing)』といって、1961年から1986年のあいだに、雑誌むけの記事や自作への序文として書かれた九つのエッセイを集め、さらに八つの詩を加えたものである。(「訳者あとがき」より)


■表紙画像 Cover photos

a.ブラッドベリがやってくる―小説の愉快』晶文社 (1996)
b. Lo zen e l’arte della scrittura DeriveApprodi (2000)  ISBN: 88-87423-34-2 More details here. Table of contents here.  Image source: traspi.net  イタリア語版
c. Zen en el arte de escribir Minotauro (1997) スペイン語版
d. Zen in der Kunst des Schreibens Autorenhaus Verlag (2003) ドイツ語版
e. Zen in the Art of Writing: Essays on Creativity, Expanded Joshua Odell Editions (1994)

↓ Click to enlarge ↓

a. Bradbury_ga_yattekuru  b. Lo_zen_e_larte_della_scrittura c. Zen_en_el_arte_de_escribir

d. Zen_in_der_kunst_des_schreibens  e. Bradbury_zen_art_of_writing


■では、書いていて何がわかるのか。
 And what, you ask, does writing teach us?

[ja] 日本語訳 Translation into Japanese

 では――と言われるかもしれない――書いていて何がわかるのか。
 まずは第一に、われわれは生きているということがわかる。そして、生きているのは特別にあたえられた状態なのであって、もとからの権利なのではないともわかる。ひとたび生命なるものを授与されたなら、今度は生命を保つべく働かなければならない。(……)
 第二に、書くことはサバイバルである。いかなる芸術も、良質の芸術であるならば、すべてそうである。
 かなりの人間にとって、書かないということは死につながる。
 一日たりとも、武器をとらない日があってはならない。完勝までは望めないとわかっているかもしれないが、でも戦いは避けられない。たとえ、ささやかな小競りあいでも、かならず戦っておく。(……)あるピアニストが言ったではないか――一日練習をさぼると自分でわかり(……)
 作家の場合には(……)にしても、やはり似たようなことは言える。
 作家がどうなるかというと、世界に追いつかれて心が病みそうになる。書くことを一日さぼれば、そういう病毒が身体にたまって死にかける。ないしは、発狂したようになる。ないしは、その両方である。
 つまり、書くことに酔っていないといけない。それでもって現実に滅ぼされずにすむ。
 書いていることによって、真理、生命、現実の正しい味わい方ができる。料理法さえ正しければ、食べて飲んで消化しても、はあはあ息苦しくなってベッドでのたうちまわり、死んだ魚のようにならなくてすむ。

      レイ・ブラッドベリ「序文」


[en] 英語原文 The original text in English

  And what, you ask, does writing teach us?
  First and foremost, it reminds us that we are alive and that it is a gift and a privilege, not a right.  We must earn life once it has been awarded us....
  Secondly, writing is survival.  Any art, any good work, of course, is that.
  Not to write, for many of us, is to die.
  We must take arms each and every day, perhaps knowing that the battle cannot be entirely won, but fight we must, if only a gentle bout.....Remember the pianist who said that if he did not practice every day he would know....  A variation of this is true for writers.
  What would happen [if you did not write every day] is that the world would catch up with and try to sicken you...the poisons would accumulate and you would begin to die, or act crazy, or both.
  You must stay drunk on writing so reality cannot destroy you.
  For writing allows just the proper recipes of truth, life, reality as you are able to eat, drink, and digest without hyperventilating and flopping like a dead fish in your bed.

      "Preface" by Ray Bradbury


■やる気、その気、愛情、おもしろがる精神、などというものがないくせに……
 If you are writing without zest, without gusto, without love, without fun. . .

[ja] 日本語
やる気、その気、愛情、おもしろがる精神、などというものがないくせに書いているとしたらならば、とうてい作家になりきってはいない。
      レイ・ブラッドベリ「書くことの喜び」

[en] English
If you are writing without zest, without gusto, without love, without fun, you are only half a writer.
      "The Joy of Writing" by Ray Bradbury


■サイエンス・フィクションは、未来を見ているふりをして、じつは……
 Science fiction pretends at futures in order to. . .

[ja] 日本語
サイエンス・フィクションは、未来を見ているふりをして、じつは今日の路傍に倒れる病んだ犬を癒そうというのである。遠まわし表現こそ命。メタファーが薬。
      レイ・ブラッドベリ「ロボット博物館の黄昏」

[en] English
Science fiction pretends at futures in order to cure sick dogs lying in today's road.  Indirection is everything.  Metaphor is the medicine.
      "On the Shoulders of Giants" by Ray Bradbury


■出典 Sources

[ja] 日本語訳 Translation into Japanese
   レイ・ブラッドベリ=著 小川高義(おがわ・たかよし)=訳
   『ブラッドベリがやってくる―小説の愉快
   晶文社 1996/06

[en] 英語原文 The original text in English
   Zen in the Art of Writing by Ray Bradbury
   * Hardcover Santa Barbara, CA: Capra Press, 1990
   * Paperback Bantam Books, 1992/04
   * Expanded edition paperback Joshua Odell Editions, 1994/04
   * E-text at RayBradbury.ru
   * Excerpt at Steven Mills - Quotes


■外部リンク External links

[en] English
   * Ray Bradbury official site
   * Ray Bradbury - Wikipedia (1920-2012)

[ja] 日本語
   * レイ・ブラッドベリ - Wikipedia (1920-2012)
   * レイ・ブラッドベリ - 翻訳作品集成


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Saturday, 21 February 2009

I See You Never by Ray Bradbury (2) レイ・ブラッドベリ / レイ・ブラッドベリー / レイ・ブラッドベリイ 「もう会えない」「二度と見えない」「わかれ」 (2)

« 1 I See You Never »
« 1 二度と見えない »

 Video 
Remembering Ray Bradbury and His 'Cautionary Tales'

レイ・ブラッドベリは2012年6月5日、米国カリフォルニアで亡くなりました。 Published on 6 Jun 2012 by PBSNewsHour


 Images 
ホワイトハウスとニューヨーカー誌
The White House and the New Yorker magazine

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. Ray_bradbury_in_white_house_4 b. New_yorker_nov_1947

  • President George W. Bush and Laura Bush present the National Medal of Arts award to Ray Bradbury. White House photo by Susan Sterner. Image source: National Endowment for the Arts (NEA) News Room, 2004 National Medal of Arts
    ジョージ・W・ブッシュ米大統領、ローラ・ブッシュ夫妻から2004年度のアメリカ国民芸術勲章を授与されたレイ・ブラッドベリ。
  • The New Yorker, November 8, 1947. Ray Bradbury's story, "I See You Never," was originally published in this issue. Image source: The New Yorker
    ブラッドベリ氏の短篇「二度と見えない」が最初に掲載されたニューヨーカー誌1947年11月8日号の表紙。『ブラッドベリ、自作を語る』 (晶文社 2012年) によれば、原稿料は300ドル。氏いわく、「『ニューヨーカー』に売れたのは、あれが最初で最後だ。以後三十年、ことごとく不採用になってる」。

■はじめに Introduction

メキシコからカリフォルニアに渡ってきたラミレスさん。ビザの有効期限が切れたあとも米国に不法滞在して働いていたため逮捕された。本国へ強制送還されることになったラミレスさんは警官に伴われて、大家さんのもとを訪れる。お世話になった奥さんに、別れを告げにやってきたのだ。つたない英語だからこそ、つたわる何か……?


■I See You Never の日本語訳を収録した本と雑誌の一覧
 List of books and magazines that contain a Japanese translation of
 I See You Never

   1. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 2006.2.
           -- (ハヤカワ文庫 ; NV)
   2. 村上   Sudden Fiction / R.シャパード,J.トーマス[他]. -- 文芸春秋, 1994.1.
           -- (文春文庫)
   3. 稲葉   世界ショートショート傑作選. 1 / 各務三郎. -- 講談社, 1978.11.
           -- (講談社文庫)
   4. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 1976.1.
           -- (ハヤカワ文庫 ; NV)
   5. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 1962.
           -- (ハヤカワ・SF・シリーズ)
   6. 久慈   別冊宝石 -- 1961/7/15 No.107
   7. 久慈   別冊宝石 -- 1960/1/15 No.95


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 村上 1994
「ああ、奥さん!」と言って、彼は急に泣きだした。瞼の奥から涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。彼は両手を差し出して、感きわまったように彼女の手を取った。そしてそれを振り、絞りあげ、ぎゅっと握りしめた。「オブライエンさん、二度と会いません、二度と会いません!」
 警官たちはこれを聞いて微笑んだ。でもミスタ・ラミレスはそれに気づかなかったので、彼らはすぐに笑みをひっこめた。
「さよなら、オブライエンさん。あなたは良い方でした。さよなら、オブライエンさん、もうお会いしません!」

  • レイ・ブラッドベリー=著 村上春樹(むらかみ・はるき)=訳 「もう会えない」 ロバート・シャパード+ジェームズ・トーマス=編 『Sudden Fiction―超短編小説70』 文春文庫 1994.1
  • 原書: Sudden Fiction (1986) Edited by Robert Shapard & James Thomas

(J2) 稲葉 1978
「おくさん!」
 彼はだしぬけに叫んだ。涙の粒がまぶたを転がりおちた。両手をのばすと、夫人の手を熱っぽくにぎりしめ、ふり動かし、すがりついた。
「オブライエンのおくさん、もうお会いできません、おわかれです!」
 警官たちは微笑をふくんで見まもっていたが、ラミレス氏は気にもとめなかった。警官たちの微笑はすぐにきえた。
「さようなら、おくさん。とてもご親切にしていただきました。さようなら、おくさん。もうお会いできません!」


(J3) 小笠原 1962, 1976, etc.
「オブライアンさん!」と、ラミレス氏はとつぜん叫び、涙がまぶたからころがり出た。手をのばしたラミレス氏は、夫人の手を熱烈に握りしめ、何度も振り、まるですがりつくようなしぐさをした。「オブライアンさん、わたし、あなたと、二度と見えない、二度と見えない!」
 このことばを聞いて、警官たちは笑ったが、ラミレス氏はそれに気づかず、警官たちの笑いもすぐにとまった。
「さよなら、オブライアンさん。あなた、親切でした。さよなら、オブライアンさん。あなたと、二度と見えない!」


(J4) 久慈 1960, 1961
「おくさん!」
 かれはだしぬけにさけんだ。涙の粒がまぶたをころがり落ちた。両手をのばすと、夫人の手を熱っぽくにぎりしめ、ふり動かし、すがりついた。
「オブライエンのおくさん、もうお会いできません、おわかれです!」
 警官たちは微笑をふくんで見まもっていたが、ラミレス氏は気にもとめなかった。警官たちの微笑はすぐにきえた。
「さようなら、おくさん。とてもご親切にしていただきました。さようなら、おくさん。もうお会いできません!」

  • レイ・ブラッドベリー=著 久慈波之介(くじ・なみのすけ)=訳 「わかれ」
    引用は b. 1960年版に拠りました。


■ロシア語訳 Translation into Russian

— Миссис О'Брайен! — вдруг крикнул он, и по щекам его покатились слезы. Он протянул вперед обе руки, пылко схватил ее руку и тряс ее, сжимал, цеплялся за нее. — Миссис О'Брайен, я никогда вас не увижу больше, никогда не увижу!..

Полицейские улыбнулись, но мистер Рамирес не видел их улыбок, и они перестали улыбаться.

— Прощайте, миссис О'Брайен. Вы были очень добры ко мне. Прощайте! Я никогда вас не увижу больше!

  • Рэй Бредбери. Я никогда вас не увижу. Translated by Л. Жданов
  • E-text at Вокруг Света

■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

- Sra. O'Brian! - ele gritou subitamente, com lágrimas correndo de sob suas pálpebras. Estendeu a mão e tomou a dela febrilmente, apertando-a, torcendo-a, agarrando-se a ela. - Sra. O'Brian, até nunca mais ver, até nunca mais ver!

Os policiais sorriram, mas o Sr. Ramirez não percebeu, e logo eles pararam de sorrir.

Adeus, Sra. O'Brian. A senhora foi boa para mim. Adeus, Sra. O'Brian. Até nunca mais ver!


■スペイン語訳 Translation into Spanish

— Señora O’Brian -gritó el señor Ramírez de pronto, con lágrimas en los ojos.

Extendió las manos y apretó fervientemente la mano de la mujer, sacudiéndosela, retorciéndosela, acercándola a él-. ¡Señora O’Brian, nunca más la veo, nunca más la veo!

Los policías sonrieron, pero el señor Ramírez no lo notó, y las sonrisas murieron pronto.

— Adiós, señora O’Brian. Ha sido muy buena conmigo. Oh, adiós, señora O’Brian. Nunca más la veo.


■英語原文 The original text in English

"Mrs. O'Brian!" he cried suddenly, tears rolling out from under his eyelids. He reached out his hands and took her hand fervently, shaking it, wringing it, holding to it. "Mrs. O'Brian, I see you never, I see you never!"

The policemen smiled at this, but Mr. Ramirez did not notice it, and they stopped smiling very soon.

"Goodbye, Mrs. O'Brian. You have been good to me. Oh, goodbye, Mrs. O'Brian. I see you never"


■元ネタは実話 The story was inspired by a true incident

上述の『ブラッドベリ、自作を語る』 (晶文社 2012年) によれば、この短篇の素材は、ブラッドベリ自身が目撃した実話だそうだ。以下、同書からの抜粋:

[引用はじめ]
一九四○年代の初めから中頃だったが、僕の友人でグラント・ビーチという男の母親が、ロサンゼルスのダウンタウンに貸しアパートのビルを持っていた。フィゲロア通りとテンプル通りの交差点あたり。いまは消えてしまったのが残念至極だが、二十代の僕が住みついたも同然に出入りしたビルだ。
[略]
アパートの隣の家に、グラント・ビーチとその母親が住んでいた。ある日、そっちの家へ行って、軽いランチで卵サンドイッチを食べさせてもらってたら、ドアにノックの音がした。ビーチの母親がドアを開けると、男がいて、のぞき込むように「あのう、今度メキシコへ帰ることになって」と言う。誰かと思えば、ビーチの母親にとっては部屋を貸してる店子だ。ところが保安官もいる。不法移民をつかまえに来たんだな。これから国境まで連行して、メキシコ側へ放り出すらしい。また男が口を開いて、「ビーチさん、二度と見えない」と言った。ああいうことがあるんだな。そのセリフをメモしておいて、その日のうちに書き上げた。
[引用おわり]


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2012/09/22 久慈波之介=訳 1960/01/15 の訳文を挿入しました。
  • 2012/07/03 ロシア語訳を追加しました。また、「元ネタは実話」の項を新設しました。
  • 2012/06/07 Remembering Ray Bradbury and His 'Cautionary Tales' の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/05/22 ポルトガル語訳とスペイン語訳を追加しました。

 

« 1 I See You Never »
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Friday, 13 February 2009

I See You Never by Ray Bradbury (1) レイ・ブラッドベリ / レイ・ブラッドベリー / レイ・ブラッドベリイ 「二度と見えない」「もう会えない」「わかれ」 (1)

« I See You Never 2 »
« 二度と見えない 2 »

        目次 Table of Contents

 Video 1  追悼——レイ・ブラッドベリ In Memoriam: Ray Bradbury, 1920–2012
■上の詩 "If Only We Had Taller Been" のテキストを載せている本とブログ
 Books and blogs that contain the text of "If Only We Had Taller Been"
 Images   表紙画像 Cover photos
■はじめに Introduction
■日本語訳のリスト List of translations into Japanese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J0) tomoki y. 2009
  (J1) 村上 1994
  (J2) 稲葉 1978
  (J3) 小笠原 1962, 1976, etc.
  (J4) 久慈 1960, 1961
■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian
■ギリシャ語訳 Translation into Greek (fragment)
■ロシア語訳 Translation into Russian
■スウェーデン語訳 Translation into Swedish
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■英語原文 The original text in English
 Video 2  しぶとく書き続けることの大切さ Ray Bradbury on Writing Persistently
■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Video 1 
追悼——レイ・ブラッドベリ 1920年8月22日〜2012年6月5日
In Memoriam: Ray Bradbury, August 22, 1920 – June 5, 2012

Uploaded to YouTube by JPLnews on Jun 6, 2012. Through the years, Ray Bradbury attended several major space mission events at NASA Jet Propulsion Laboratory and California Institute of Technology.

On Nov. 12, 1971, on the eve of Mariner 9 going into orbit at Mars, Bradbury took part in a symposium at Caltech with Arthur C. Clarke, journalist Walter Sullivan, and scientists Carl Sagan and Bruce Murray. In this excerpt, Bradbury reads his poem, "If Only We Had Taller Been."


■上の詩 "If Only We Had Taller Been" のテキストを載せている本とブログ
 Books and blogs that contain the text of "If Only We Had Taller Been"

上のビデオでブラッドベリが朗読している詩のうち、"O, Thomas, will a Race one day stand really tall..." 以下の部分は戯曲版の『火星年代記』に収録されています。詩の全文は下の本やブログに掲載されています。

The final part of the poem appears in ‪the drama version of The Martian Chronicles (Dramatic Publishing, 1986)‬. The text of the complete poem can be found in the following books and blogs:


 Images 
表紙画像 Cover photos

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. Murakami_ogawa_sudden_fiction b. Sudden_fiction_2 c. Kagami_shortshort_kodansha_2


■はじめに Introduction

メキシコからカリフォルニアに移り住んだミスター・ラミレスは、ヴィザの有効期限が過ぎても米国に滞在しつづけたため、逮捕された。本国へ強制送還されるまえに、ミスター・ラミレスは大家(おおや)であるミセス・オブライアンに別れを告げる。


■I See You Never の日本語訳を収録した本と雑誌の一覧
 List of books and magazines that contain a Japanese translation of
 I See You Never

   1. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 2006.2.
           -- (ハヤカワ文庫 ; NV)
   2. 村上   Sudden Fiction / R.シャパード,J.トーマス[他]. -- 文芸春秋, 1994.1.
           -- (文春文庫)
   3. 稲葉   世界ショートショート傑作選. 1 / 各務三郎. -- 講談社, 1978.11.
           -- (講談社文庫)
   4. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 1976.1.
           -- (ハヤカワ文庫 ; NV)
   5. 小笠原 太陽の黄金の林檎 / レイ・ブラッドベリ[他]. -- 早川書房, 1962.
           -- (ハヤカワ・SF・シリーズ)
   6. 久慈   別冊宝石 -- 1961/7/15 No.107
   7. 久慈   別冊宝石 -- 1960/1/15 No.95


■日本語訳 Translations into Japanese

(J0) tomoki y. 2009
 そっとノックする音が聞こえた。台所のドアだ。オブライアン夫人が行って戸を開けると、そこにいたのは、彼女の間借り人のうち最も善良な人、ラミレス氏だった。警察官が二人、両側に立っている。二人に包囲された形で、ラミレス氏は、ちぢこまっていた。
 「あら、ラミレスさん!」と、オブライエン夫人は言った。
 ラミレス氏は打ちひしがれていた。どう弁解したらいいか、言葉が見つからないという様子だった。


(J1) 村上 1994
 台所のドアが小さくノックされた。ミセス・オブライエンがドアを開けると、バック・ポーチには彼女の最良の間借り人であるミスタ・ラミレスがいた。警官が二人、その両わきに立っていた。ミスタ・ラミレスは二人の間に挟み込まれるように、からだを小さくしていた。
 「まあ、ラミレスさん!」とミセス・オブライエンは言った。
 ミスタ・ラミレスはがっくりと落ち込んでいた。いったいどう切り出せばいいのか、言葉に窮しているようだった。

  • レイ・ブラッドベリー=著 村上春樹(むらかみ・はるき)=訳 「もう会えない」
    ロバート・シャパード+ジェームズ・トーマス=編
    Sudden Fiction―超短編小説70』 文春文庫 1994.1
  • 原書: Sudden Fiction (1986) Edited by Robert Shapard & James Thomas

(J2) 稲葉 1978
 台所のドアに、やわらかなノックがきこえた。
 オブライエン夫人がドアを開けると、裏のポーチに、彼女のまたとかけがえのない間借り人であるラミレス氏が立っていた。左右両側から二人の警官にはさまれて、ラミレス氏は小さくなっているようだった。
「まあ、ラミレスさん!」と、オブライエン夫人は口にだしていった。
 ラミレス氏はうちひしがれたようすに見えた。説明の言葉もみあたらないようだ。


(J3) 小笠原 1962, 1976, etc.
 キッチンのドアを軽く叩く音がきこえ、オブライアン夫人がドアをあけると、裏のポーチには、おとなしい下宿人ラミレス氏と、それを両側から挟むように二人の警官が立っていた。ラミレス氏は、警官の間で小さくなっている。
 「あら、ラミレスさん!」と、オブライアン夫人は言った。
 ラミレス氏は恥ずかしそうだった。弁解のことばもないといった風情である。


(J4) 久慈 1960, 1961
 台所のドアにやわらかなノックがきこえた。
 オブライエン夫人がそれを開けると、裏のポーチに、彼女の二人とかけがえのない間借り人であるラミレス氏がたっていた。左右両側から二人の警官にはさまれて、ラミレス氏は小さくなっているようだった。
「まあ、ラミレスさん!」
 と、オブライエン夫人は口にだした。
 ラミレス氏はうちひしがれたようすに見えた。説明の言葉もみあたらないようだ。

  • レイ・ブラッドベリー=著 久慈波之介(くじ・なみのすけ)=訳 「わかれ」
      a. 別冊宝石 -- 1961/07/15 No.107 この雑誌の詳細
      b. 別冊宝石 -- 1960/01/15 No.95 この雑誌の詳細
    引用は b. に拠りました。

■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

A konyhaajtón halk kopogás hallatszott, és amikor Mrs. O'Brian kinyitotta, a verandán ott állt a legjobb bérlője, Mr. Ramirez. Nem egyedül jött, két rendőrtiszt kísérte.

- De miért, Mr. Ramirez? - kérdezte megrőkönyödve Mrs. O'Brian.

Mr. Ramirez nagyon zaklatottnak látszott. Hiába próbált megszólalni, egy hang sem jött ki a torkán.

  • Már nem látom többé by Ray Bradbury
  • E-text at Zak Nyafija

■ギリシャ語訳(部分) Translation into Greek (fragment)

Το σιγανό χτύπημα ακούστηκε στην πόρτα της κουζίνας, και όταν την άνοιξε η κυρία Ο’Μπράιαν, στην πίσω βεράντα ήταν ο καλύτερος νοικάρης της, ο κύριος Ραμίρεζ, και δύο αστυνομικοί, ένας από κάθε μεριά του. Ο κύριος Ραμίρεζ στεκόταν εκεί, περιστοιχισμένος και μικρός. [Omission]


■ロシア語訳 Translation into Russian

Послышался тихий стук в кухонную дверь, и когда миссис О'Брайен отворила, то увидела на крыльце своего лучшего жильца мистера Рамнреса и двух полицейских, по одному с каждой стороны. Зажатый между ними, мистер Рамирес казался таким маленьким.

— Мистер Рамирес! — озадаченно воскликнула миссис О'Брайен.

Мистер Рамирес был совершенно уничтожен. Он явно не мог найти слов, чтобы объясниться.

  • Рэй Бредбери. Я никогда вас не увижу
    Translated by Л. Жданов
  • E-text at Вокруг Света

■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

En lätt knackning hördes på köksdörren och när Mrs. O'Brian öppnade, stod hennes bäste hyresgäst, Mr. Ramirez, där på trappan med en polis på vardera sidan. Mr. Ramirez bara stod där, inklämd och liten.

"Vad har hänt, Mr. Ramirez?" sa Mrs. O'Brian.

Mr. Ramirez var alldeles ifrån sig. Han tycktes inte kunna finna ord.

  • Jag får aldrig se er by Ray Bradbury
  • E-text at www4.gu.se [PDF]

■イタリア語訳 Translation into Italian

Vi fu un lieve colpo alla porta della cucina, e quando la signora O’Brian l’aprì, là,sul portico, c’era il suo migliore inquilino, il signor Ramirez, e due agenti di polizia,uno da ogni parte. Il signor Ramirez stava là ritto, chiuso fra i due e minuscolo.

— Come, signor Ramirez! — disse allora la signora O’Brian.

Il signor Ramirez era sopraffatto. Sembrava non avere parole per spiegare.

  • Non ci vedremo più by Ray Bradbury. Translated by Roberta Rambelli. © 1964 Casa Editrice La Tribuna. Apparso in appendice a Giallissimo n. 37 (1° gennaio 1965), La Tribuna.
  • E-text at Scribd
  • Excerpt at Wikiquote

■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Bateram de leve na porta da cozinha, e quando a Sra. O'Brian a abriu, encontrou na soleira seu melhor pensionista, o Sr. Ramirez, ladeado por dois policiais. O Sr. Ramirez não fez menção de entrar nem de falar, acuado e pequenino.

- Mas o senhor, Sr.   Ramirez! - disse a Sra. O'Brian.

O Sr. Ramirez estava arrasado. Não parecia sequer poder explicar o que estava acontecendo.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Alguien golpeó suavemente la puerta de la cocina, y cuando la señora O’Brian abrió, allí estaba su mejor inquilino, el señor Ramírez, entre dos oficiales de policía. El señor Ramírez se quedó en el porche, inmóvil, pequeño.

— ¡Señor Ramírez! -dijo la señora O’Brian.

El señor Ramírez parecía agobiado, como si no encontrara palabras para explicar la situación.


■英語原文 The original text in English

The soft knock came at the kitchen door, and when Mrs. O'Brian opened it, there on the back porch were her best tenant, Mr. Ramirez, and two police officers, one on each side of him. Mr. Ramirez just stood there, walled in and small.

"Why, Mr. Ramirez!" said Mrs. O'Brian.

Mr. Ramirez was overcome. He did not seem to have words to explain.


 Video 2 
レイ・ブラッドベリは語る——しぶとく書き続けることの大切さ
Ray Bradbury on Writing Persistently


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

   「二度と見えない」……tomoki y. 2009
   「二度と見えない」……小笠原 1962, 1976, etc.
   「わかれ」  ……………稲葉 1978
   「わかれ」  ……………久慈 1960, 1961
   「もう会えない」 ………村上 1994


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/01/17 ハンガリー語訳とギリシャ語訳(部分)を追加しました。
  • 2013/06/26 目次を新設しました。
  • 2012/09/22 久慈波之介=訳 1960/01/15 の訳文を挿入しました。
  • 2012/07/04 スウェーデン語訳とイタリア語訳を追加しました。
  • 2012/07/03 ロシア語訳を追加しました。
  • 2012/06/22 詩「If Only We Had Taller Been」のテキストを掲せている本とブログの項を追加しました。
  • 2012/06/07 「追悼: レイ・ブラッドベリ」の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/05/22 ポルトガル語訳とスペイン語訳を追加しました。
  • 2010/04/19 Ray Bradbury on Writing Persistently の YouTube 動画を追加しました。
  • 2009/02/16 稲葉明雄=訳 1978.11 を追加しました。

 

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Wednesday, 28 January 2009

Night Train to Babylon by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ「バビロン行きの夜行列車」「夜汽車はバビロンへ」

■表紙画像 Cover photos

a.バビロン行きの夜行列車』角川春樹事務所 (1998)
b.夜汽車はバビロンへ EQMM90年代ベスト・ミステリー』扶桑社ミステリー (2000)
c. Driving Blind. Pocket Books (1998)
d. The Cutting Edge: Best and Brightest Mystery Writers of the 90s from Ellery Queen's Mystery Magazine. Carroll & Graf Publishing (1998)

↓ Click to enlarge ↓

a. Babylon_iki_no_yakouressha  b. Yogisha_wa_babylon_e

c. Driving_blind  d. The_cutting_edge_90s


■はじめに Introduction

ベテランの翻訳家による2種類の訳。初出はほとんど同時期。おなじ年で、ほんの数か月ちがい。読みくらべると、たがいに驚くほど似ている箇所と、微妙に異なる箇所、そして意外なまでに違っている箇所とがある。原書が読みこなせるに越したことはないけれど、翻訳ならではの、こうした読みくらべの楽しみというものもある。


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 金原+野沢 1998
 ジェームズ・クルーソーを乗せた夜行列車はシカゴを飛び出し、酔っ払いのように大きく左右に揺れながら走っていた。ラウンジカーの通路を、車掌がよろめきながら歩いてくると、バーのほうをちらっとみてからクルーソーに片目をつぶってみせ、通り過ぎていった。クルーソーは聞き耳をたてた。
 どよめきと叫びとどなり声。
 まるで大騒ぎしている羊の群れだ。もうじき毛を刈られて丸裸になってしまうというのに、そうとは知らずに浮かれている羊たち。そうでなきゃ、崖から飛び降りようとしてる翼のないハンググライダーか。

   レイ・ブラッドベリ=著
   金原瑞人(かねはら・みずひと)+野沢佳織(のざわ・かおり)=訳
   「バビロン行きの夜行列車」
   金原瑞人+野沢佳織=訳『バビロン行きの夜行列車
   角川春樹事務所 1998/10 所収

   原書:
   Driving Blind by Ray Bradbury


(2) 深町 1998, 2000
 ジェームズ・クルーソーは、列車のラウンジカーにいた。シカゴを出た夜汽車は、さながら酔いどれのように大きく傾いたり揺れたりしながら、一路驀進(ばくしん)をつづけていた。車掌がよろめきながら近づいてきて、ちらりとバーのほうへ目をやり、クルーソーに片目をつむってみせてから、またよろめきつつ歩み去った。クルーソーはなおも耳をすましていた。
 どっとあがる歓声、叫喚(きょうかん)、わめき声。
 そう、これがその音だ、とクルーソーは思った。狂乱した羊の群れの声――毛を刈られて丸裸になろうとしているのに、なにも知らずに騒いでいる羊たちの。あるいはまた、ハンググライダ-――翼も持たずに断崖(だんがい)のふちからとびだそうとしているハンググライダ-の音。

   レイ・ブラッドベリ=著 深町眞理子(ふかまち・まりこ)=訳「夜汽車はバビロンへ」
   2a. ジャネット・ハッチングズ=編 深町眞理子〔ほか〕=訳
      『夜汽車はバビロンへ EQMM90年代ベスト・ミステリー
     扶桑社ミステリー 2000/09 所収
   2b.EQ』1998年3月号収載
   2a.2b. を改稿したもの。引用は 2a. に拠りました。

   原書:
   The Cutting Edge: The Best and Brightest Mystery Writers of the 90s
   Edited by Janet Hutchings


■英語原文 The original text in English

James Cruesoe was in the club car of a train plummeting out of Chicago, rocking and swaying as if it were drunk, when the conductor, lurching by, glanced at the bar, gave Cruesoe a wink, and lurched on. Cruesoe listened.

Uproars, shouts and cries.

That is the sound, he thought, of sheep in panic, glad to be fleeced, or hang gliders, flung off cliffs with no wings.

   Night Train to Babylon
   from Driving Blind (1997) by Ray Bradbury
   Excerpt at:
   * Powell's Books
   * Amazon.co.jp
   * Amazon.com
   * Amazon.ca
   * Amazon.de
   * Amazon.fr
 
 
■外部リンク External links

 [en] English
   * Ray Bradbury official site
   * Driving Blind - Wikipedia
   * Ray Bradbury - Wikipedia (1920- 2012)

 [ja] 日本語
   * レイ・ブラッドベリ - Wikipedia (1920-2012)
   * レイ・ブラッドベリ - 翻訳作品集成


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The Pedestrian by Ray Bradbury レイ・ブラッドベリ / レイ・ブラドベリ「散歩」「歩く人」「孤独な散歩者」「歩行者」

 Video 1 
Ray Bradbury's The Pedestrian (2004) directed by Ian MacKenzie

Uploaded to YouTube by Fried Time on 11 Jun 2015


 Video 2 
TV 「夜間外出禁止令」 世紀末の恐怖 (1989) レイ・ブラッドベリ シリーズ 第3期第5話
TV The Pedestrian (1989) The Ray Bradbury Theater, Season 3, Episode 5

監督: アラン・ボリンジャー 出演: レイブラッドベリ、 デヴィッド・オグデン・スタイアーズ、グラント・ティリー Uploaded to YouTube by Vondur on 7 Aug 2009. Director: Alun Bollinger. Starring Ray Bradbury, David Ogden Stiers, Grant Tilly.


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 佐柳 1984
 霧(きり)深い十一月の夜八時、街の静寂(せいじゃく)に入りこみ、コンクリートの歩道を踏(ふ)みし め、草ののぞく割れ目をひょいひょいと跳(と)び越えて進んでいく。手をポケットにつっこみ、静寂のなかを歩いていくのが、レオナード・ミード氏がこよなく愛したことだった。彼は交差点の角に立ち、四方にどこまでも続く月明かりに照らされた道を見渡してから、どちらに行こうか決めるのであった。しかし、どの道を選ぼうとさほど違いはなかったのだ。この2053年の世界に、氏はただひとりだった――いや、ほとんどひとりだった。最後の決断をくだし、道を選ぶと、氏は大股(おおまた)に歩き始める。あとに葉巻の煙のような白い息を残しながら。

  • レイ・ブラッドベリ=著 佐柳ゆかり(さやなぎ・ゆかり)=訳 「散歩」 アイザック・アシモフ+M・H・グリーンバーグ+C・G・ウォー=編 『海外SFショート・ショート秀作選2』 集英社文庫コバルトシリーズ 1984/02 所収
  • 原書:

(J2) 柳 1977
この静寂(しじま)の奥深くへ――十一月の霧に包まれた宵の八時のこの町の静寂の奥深くへと入りこんでゆく、街筋のでこぼこになったアスファルトを踏みしめ、割れ目や裂け穴に新しい生命を伸ばしている雑草の上に足ざわりを歩一歩確かめ、そうして、手はポケットにつっこんで、あたり一面幾重にもひろがる静寂を押しひろげるように歩を進める――それはレナード・ミード氏にとって何ものにも代えがたい娯しみだった。四ツ角ごとに立ち止まっては、月の青い光に仄かに明るむ長い長い並木路に沿って、前後左右、窺うように目を配ってみる、そうして、今宵はどの道を行くべきか、しばし想いをめぐらしてみる、そんなこともひどく気に入っていたのだ(ほんとうのところを言えば、これはまったく何の意味もない思案だった――2052年のこの世界中に、ミード氏は敵もなければ友もない天涯孤独、まあ大概それに似たような状態だったのだから)。けれども、とにかくそんな風にして進むべき方向を定めるのだ、そうしてやがてのことに、大股に颯々と歩き始める、タバコの煙でも吐き出す調子で凍るように冷たい夜気をふっふっと大きく吐き出してみるのである。


(J3) 一ノ瀬 1971
 レナード・ミード氏がこよなく愛したことといえば、霧に煙る十一月の宵に、静まりかえった街中に出て、コンクリートの歩道を踏みしめ、その割れ目に雑草の生え茂っているのを避けながら、両手をポケットにいれて静寂の中を散策することであった。交差点の角に立って、四方に続く、月光に照らされた路地を見わたしてから、行くべき道を決める。しかしどちらへ行くかはどうでもよかった。彼はこの世、すなわち西暦2053年のこの世に生きるひとりぽっちの、いやほとんどひとりぽっちといえる人間だった。そして最後の決断を下して進むべき道を選ぶと、彼はパイプの煙のように白い息をはきながら大またで歩きはじめる。

  • レイ・ブラッドベリ=著 一ノ瀬直二(いちのせ・なおじ)=訳 「孤独な散歩者」 『スは宇宙のス』 創元SF文庫 1971/10 所収

(J4) 小笠原 1962, 1976, etc.
 十一月の霧深い夜、午後八時の街のしずけさに身をひたすこと、敷石の反りかえった歩道を歩むこと、草の生えた敷石の継ぎ目をまたいで先へ進むこと、ポケットに手をつっこみ静寂のなかを歩きつづけること、それがレナード・ミード氏の最大の喜びであった。交差点にぶつかると、月光に照らされた四本の道路をすかすようにじっとながめ、どちらへ行こうかと考えるが、実はどの道をえらんだとしても違いはなかった。この2053年の世界にあって、かれは孤独だった。あるいは、おおむね孤独だったというべきか。ようやく決心がつき、道路の選択がすむと、かれは葉巻の煙のように白く凍る息を吐きながら、大股に歩き始める。


■トルコ語訳 Translation into Turkish

Sisli bir kasım akşamı saat sekizde kentin büründüğü o sessizliğe girmek, genleşen beton kaldırıma basmak, üzeri et kaplı çatlakları adımlamak ve elleri cepte sessizliklerin arasından yürümek: Bay Leonard Mead’in yapmayı en çok sevdiği şey buydu işte. Bir kavşağın köşesinde durur, ay ışığının aydınlattığı dört yöne doğru uzanan yaya kaldırımlarına bakar, hangi yana gideceğine karar vermeye çalışırdı, ama aslında hiç de önemi yoktu bunun; MS. 2052 yılının bu dünyasında yapayalnızdı, ya da onun gibi bir şey; sonunda kararını verir, bir yol seçer ve önüne sigara dumanı gibi buzlu hava kalıpları göndererek yürümeye koyulurdu.

   Son Yaya by Ray Bradbury
   Translated by İrma Dolanoğlu
   Istanbul: Nisan Yayinlari, 1986
   E-text at Tramvay Durağı


■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

Ha kilépett egy ködös novemberi este, nyolc óra tájt a város csöndjébe, ha a gidres-gödrös betonjárdát taposta, ha át-átlépte a gyomverte repedéseket, ha zsebre vágott kézzel, némán rótta az utat: ez volt Mr. Leonard Mead legnagyobb gyönyörűsége. Megállt egy-egy utcasarkon, ahol két sugárút metszette egymást, végignézett négy irányban a holdvilágos járdán, s eldöntötte, hogy merre menjen, bár igazában olyan mindegy; egymaga volt, vagy mintha egymaga lett volna ezen a világon az Úr 2053. esztendejében, s miután döntött, kinézte az útját, továbbballagott, s mint a szivarfüstöt, eregette száján a fagyos párát.

   Ray Bradbury - A gyalogjáró
   Translated by Göncz Árpád
   E-text at Scribd


■ロシア語訳 Translation into Russian

Больше всего на свете Леонард Мид  любил  выйти  в тишину, что туманным ноябрьским вечером, часам к восьми, окутывает город, и --  руки в карманы -- шагать сквозь тишину по неровному асфальту тротуаров, стараясь  не наступить на проросшую из трещин траву. Остановясь на  перекрестке, он  всматривался в длинные  улицы,  озарен­ные  луной, и решал,  в  какую  сторону  пойти, -- а впрочем, невелика разница: ведь  в этом мире, в лето  от Рождества  Христова две тысячи пятьдесят третье,  он один или все равно что один;  и наконец  он решался, выбирал  дорогу  и шагал, и перед ним, точно дым сигары, клубился в мороз­ном воздухе пар его дыхания.

   Рэй Брэдбери. Пешеход
   © Ray Bradbury
   © Copyright Нора Галь, наследники перевод
   Текст из 1999 Электронной библиотеки Алексея Снежинского


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

Да навлиза в това мъртвило, което представляваше градът в осем часа в някоя мъглива ноемврийска вечер, да стъпва върху разнебитената бетонна пътека, да прекрачва подалата се от пукнатините трева и да си пробива път с ръце в джобовете сред безмълвието — ето това мистър Ленард Мийд най-много обичаше. Той заставаше на ъгъла на някоя пресечка, гледаше надолу по дългите осветени от лунна светлина просторни тротоари в четирите посоки, колебаейки се кой път да поеме, макар че в действителност нямаше никакво значение; той беше сам в този свят през 2053 от н.е. или почти сам и най-после направил своя избор, избрал пътека, той се отдалечаваше бавно, а дъхът му се виеше като цигарен дим в мразовития въздух.

   Рей Бредбъри . Пешеходец
   Translated by Лидия Цекова-Маринова, 1985
   E-text at Моята библиотека (chitanka.info)


■ドイツ語訳 Translation into German

An einem nebligen Novemberabend um acht Uhr in die Stille der Stadt hinauszugehen, den Fuß auf den buckligen Beton zu setzen, über grasbewachsene Risse hinwegzutreten und, die Hände in den Taschen, dahinzuwandern durch all das Schweigen, das Mr. Leonard Meads Lieblingsbeschäftigung. Dann stand er an der Ecke einer Straßenkreuzung und spähte die langen mondbeschienen Alleen in vier Richtungen hinunter; er war allein auf dieser Welt des Jahres 2052 oder so gut wie allein, und wenn er sich dann endgültig für einen Pfad entschieden hatte, schritt er weiter und schickte in der frostigen Luft Atemwolken vor sich her wie Zigarrenrauch.

   Geh nicht zu Fuß durch stille Straßen by Ray Bradbury
   E-text at Pastebin.com


■イタリア語訳 Translation into Italian

Entrare in quel silenzio che era la città alle otto di un'opaca sera di novembre, sentire sotto le suole quei riquadri di cemento raggrinzito, calpestare l'erba cresciuta fra gli interstizi e aprirsi un varco, con le mani in tasca, in mezzo ai silenzi: era questo che il signor Leonard Mead amava fare sopra ogni altra cosa. Si fermava al primo crocicchio e scrutava i lunari corridoi dei marciapiedi nelle quattro direzioni, come se sceglierne una piuttosto che un'altra facesse qualche differenza. Poi, presa la decisione e stabilito l'itinerario, tornava ad avviarsi, spingendo davanti a sé, come fumo di sigaro, volute d'aria gelida.

   Il Pedone by Ray Bradbury
   E-text at Il foro di Settecolori - Raccontini brevi


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Ingressar no silêncio que era a cidade às oito de uma noite enevoada de novembro, pôr os pés na calçada irregular de concreto, evitando pisar nas fendas onde crescia o mato e ir em frente, mãos nos bolsos, através dos silêncios, era o que o Sr. Leonard Mead mais gostava de fazer. Parava em uma esquina e olhava para as longas avenidas enluaradas que se estendiam nas quatro direções, decidindo para que lado ir. Na verdade, não fazia diferença. Estava só neste mundo de 2053 d.C, ou praticamente só, e tomando finalmente uma decisão, escolhendo um caminho, seguiria em frente, lançando baforadas de ar gelado como se fossem a fumaça de um charuto.

   O pedestre by Ray Bradbury
   E-text at Visionvox


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Entrar en aquel silencio que era la ciudad a las ocho de una brumosa noche de noviembre, pisar la acera de cemento y las grietas alquitranadas, y caminar, con las manos en los bolsillos, a través de los silencios, nada le gustaba más al señor Leonard Mead. Se detenía en una bocacalle, y miraba a lo largo de las avenidas iluminadas por la Luna, en las cuatro direcciones, decidiendo qué camino tomar. Pero realmente no importaba, pues estaba solo en aquel mundo del año 2052, o era como si estuviese solo. Y una vez que se decidía, caminaba otra vez, lanzando ante él formas de aire frío, como humo de cigarro.

   El Peatón by Ray Bradbury
   E-text at Recuerdo de Ray Bradbury - elmundo.es


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック 朗読:ダニエル・ショートランド
Audiobook in English read by Daniel Shortland

Uploaded to YouTube by The Reading Project on 24 May 2015


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック 朗読: クリス・ストックデール
Audiobook in English read by Chris Stockdale

Uploaded to YouTube by stockyard71 on 16 Mar 2012


■英語原文 The original text in English

To enter out into that silence that was the city at eight o'clock of a misty evening in November, to put your feet upon that buckling concrete walk, to step over grassy seams and make your way, hands in pockets, through the silences, that was what Mr Leonard Mead most dearly loved to do. He would stand upon the corner of an intersection and peer down long moonlit avenues of sidewalk in four directions, deciding which way to go, but it really made no difference; he was alone in this world of 2053 A.D., or as good as alone, and with a final decision made, a path selected, he would stride off, sending patterns of frosty air before him like the smoke of a cigar.


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  • 「孤独な散歩者」……一ノ瀬 1971
  • 「散歩」………………佐柳 1984
  • 「歩く人」 ……………柳 1977
  • 「歩行者」……………小笠原 1962, 1976, etc.

■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016/12/16 ダニエル・ショートランド朗読による英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。また、イアン・マッケンジーによる短編アニメがリンク先で削除されていたので、おなじ動画についての別のリンクを張りなおしました。
  • 2014/07/11 英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/03/13 トルコ語訳、ハンガリー語訳、ブルガリア語訳、ドイツ語訳、イタリア語訳、ポルトガル語訳、およびスペイン語訳を追加しました。また、レイ・ブラッドベリ シリーズ/世紀末の恐怖 (1989) の YouTube 動画も追加しました。
  • 2011/01/22 ロシア語訳を追加しました。
  • 2009/02/22 佐柳ゆかり=訳 1984/02 の訳文を追加しました。また、「邦題の異同」の項を新設しました。
  • 2009/02/07 佐柳ゆかり=訳 1984/02 の書誌情報を追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。
  • 2009/02/02 一ノ瀬直二=訳 1971/10 を追加しました。

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