Chekhov, Anton

Friday, 30 March 2018

А. П. Чехов. Смерть чиновника The Death of a Government Clerk by Anton Chekhov チェーホフ 「役人の死」「小役人の死」「官吏の死」

◾️はじめに Introduction

  • 「役人の死」はチェーホフの初期の短篇のうちの一つ。1883年発表。筒井康隆の先祖が書いたかと思われるような作品。

◾️日本語訳 Translations into Japanese

  1. 沼野 2010
    • 「口をききたくもないってことか。そんなつもりはまったくありませんでした、これは自然の法則なんです、と説明しないと……。そうじゃないと、わざと唾をかけたと思うだろう。いまは思わなくても、きっと後でそう思うに違いない!……」
  2. 浦 2010
    • 《口をきくのもいやなんだ。その気がなかったことを説明しなければ……。自然の摂理だと説明しなければならん。さもないと、わざとつばをかけたと思われかねない。今はそう思っていないかもしれないが、きっとあとになったらそう思うにちがいない!》
  3. 松下 1994
    • 「口もききたくないんだな。釈明せにゃならんだろうて、そんなつもりはちっともなかったって……これはごく自然な要求なんだって。でなきゃ、わざと唾をはきかけたと思うかもしれん。いま思わなくたって、あとで思うかもしれん!……
      • 松下裕(まつした・ゆたか)=訳 「官吏の死」 チェーホフ全集 1 ちくま文庫 1994
  4. 東郷 1964
    • 『口もきくのも嫌なんだ。彼に説明せにゃなるまいて、自分は決してやるつもりはなかったのだ……これはごく自然の法則なんだと。さもないとぼくが唾をはきかけようと思ってたなんて考えるかもしれん。今は考えなくても、あとで考えるかもしれん!……』
  5. 池田 1960
    • 『いや、口もきくのもいやなんだ。こいつはどうあっても、僕がそんなつもりじゃなかったことを……あれは自然の法則だということを、説明しなくちゃなるまい。さもないと、ぼくが唾をかけようと思ったと思うだろうからな。今はそう思わなくても、あとでそう思うにきまっている!……』
  6. 中村 1933
    • 《それで口を利くこともいやがつてるんだ。こいつあどうしても、自分は決してそんなつもりではなかつた、これは自然の法則だといふことを説明してやらなければならぬ…… でないと、おれがわざと唾をかけたと思ふかも知れぬ。今は思つてないにしろ、あとではきつと思ふに違ひない……》
      • 中村白葉(なかむら・はくよう)=訳 「官吏の死」 チェーホフ全集 1 金星堂 1933(昭和8)
  7. 瀬沼 1908, 2000
    • 而して何だか話をするのも厭になつた。『自分が故意にしたのではない……そして又是は最も自然な事なのであると、奈何うしても、云譯をしなけりやならん さうしなければ、故意に唾を吐き掛けたものと思はれる。今さう考へないでも、後に屹度さう考へるだらう!……』

◾️イタリア語訳 Translation into Italian

  • Translator to be confirmed
    • «Non  vuol  nemmeno  parlare.  Bisognerebbe  spiegargli 
      che non desideravo affatto... che questa è una legge di natura,
      se no penserà ch'io volessi sputare. Se non lo penserà adesso, lo penserà poi!...».

◾️英訳 Translation into Englis

  • Garnett
    • "And he doesn't want to talk. I ought to explain to him . . . that I really didn't intend . . . that it is the law of nature or else he will think I meant to spit on him. He doesn't think so now, but he will think so later!"
      • The Death of a Government Clerk by Anton Chekhov. Translated by Constance Garnett
      • E-text at Wikisource

◾️ドイツ語訳 Translation into German

  • Czumikow
    • – Nicht einmal sprechen will er mit einem. Man müßte ihm auseinandersetzen, daß ich es ja gar nicht gewollt habe ... daß das ein Naturgesetz ist ... Sonst denkt er noch, daß ich auf ihn spucken wollte ... Wenn er es auch jetzt nicht denkt, so kann es ihm doch später in den Sinn kommen! ... –

◾️ロシア語原文 The original text in Russian

  • Чехов
    • -- И говорить не хочет. Надо бы ему объяснить, что я вовсе не желал... что это закон природы, а то подумает, что я плюнуть хотел. Теперь не подумает, так после подумает!.."
      • Антон Павлович Чехов. Смерть чиновника
      • E-text at Lib.ru

◾️関連音声・動画 Audio & Video

  • 英語版オーディオブック Audiobook in English

    上の引用箇所の朗読は 2:34 から始まります。 Reading of the excerpt above starts at 2:34.
     
  • ウクライナのアニメ作品 Ukrainian animation

    上の引用箇所に相当する部分は 4:47 から始まります。 The scene corresponding to the excerpt above starts at 4:47.
     
  • Смерть чиновника

    上の引用箇所に相当する部分は 3:13 から始まります。 The scene corresponding to the excerpt above starts at 3:13.

◾️外部リンク External links

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Thursday, 22 March 2018

А. П. Чехов. Устрицы Oysters by Anton Chekhov チェーホフ 「牡蠣」「かき」

◾️はじめに Introduction

  • 通りで父親とふたり、物乞いを始めたばかりの子どもが、意地悪な大人にレストランへ連れていかれて、食べたことのない、食べたくもない高級シーフードを無理やり食べさせられてトラウマになる……という悪い冗談のような話。
  • チェーホフならではの、おもしろ悲しい短篇。いまから130年以上まえの1884年に発表された作品だが、国と時代を超えてアピールする。チャップリンやウディ・アレンの思想的先祖ともいえそうだ。

◾️日本語訳 Translations into Japanese

  1. 沼野 2010
    • 「父ちゃん、カキって精進料理、なまぐさ料理?」と、おれは聞く。
      「生きたまま食べるのさ……」おやじは言う。「亀みたいに、殻をかぶっていてな……でも、殻は二枚あるんだ」
       そのとたん、美味しそうな匂いは体をくすぐるのをやめ、幻が消えうせた……。なんだ、そういうことか!
      「キモい!」おれはつぶやく。「キモいぜ!」
  2. 浦 2010
    • 「父ちゃん、かきって精進料理? それとも肉料理?」
      「生きたまま食べるんだ……」と父は言った。「そいつは亀のようにかたい殻のなかに入っているのさ。もっとも殻は二枚だがな」
       ぼくの体をくすぐっていたかぐわしい匂いは、この言葉を聞いてぴたりと止んだ……。これですっかりわかった。
      「ああ、気味わるい」ぼくはつぶやいた。「気色わるい」
  3. 松下 1994
    • 「とうちゃん、かきって、精進料理なの、それともふだんの料理なの?」と僕はたずねる。
      「生のまま食べるんだよ……」と父が言う。「殻をかぶってるんだ、亀のように、でも……二枚の殻だがね」
       うまそうな匂いはとたんにぼくの体をくすぐるのをやめ、まぼろしは消えてしまう……。これで正体つかめたぞ!
      「なんていやらしいんだ!」と、僕はつぶやく。「なんていやらしいんだ!」
      • 松下裕(まつした・ゆたか)=訳 「牡蠣」 チェーホフ全集 2 ちくま文庫 2009
      • ルビは省略しました。
  4. 神西 2002
    •  「とうちゃん、かきって、精進料理なの、それとも、なまぐさ料理なの?」と、ぼくはたずねる。
       「生きたままま食べるんのさ。……」と、父が言う。「かめのように、かたいからをかぶっているんだよ。もっとも……二枚のからだがね。」
       おいしいにおいは、とたんに、ぼくのからだをくすぐるのをやめ、まぼろしは消えうせる。……なんだ、そうなのか!
       「おお、いやだ!」と、ぼくはつぶやく。「おお、いやだ!」
  5. 東郷 1951
    •   「おとうちゃん、牡蠣って精進料理に使うの、それともなまぐさ料理に使うの?」と、ぼくは訊ねる。
        「それはなまで食うんだよ……」と、父がいう。「それは龜のこみたいに殻に入ってる、でも……二枚貝になってるのさ」
       おいしそうな匂いは一瞬にしてぼくの肉體をくすぐることをやめ、幻想は消えうせる……これでみんなわかった!
        「なんてげがらわしいもんだ」と、ぼくは囁く。「なんてげがらわしいもんだ!」
      • 東郷正延(とうごう・まさのぶ)=訳 「牡蠣」 喜び・仮面 岩波文庫 1951
  6. 中村 1934
    •  『パパ、かきは精進ものか、それともなまぐさかい?』とわたしは訊く。
       『それはね、生きたまゝで食べるんだよ……』と父は言ふ。『それは殻の中に入つてゐるのだ、龜のやうにな、併し……殻は半分のが二枚重なつてゐる。』
       おいしいにほひが忽ちわたしの身體を擽るのを止めて、幻影は消える……今こそわたしはすべてを了解する!
       『何ていやなんだらう。』とわたしは囁く——『何ていやなんだらう!』
      • 中村白葉(なかむら・はくよう)=訳 「牡蠣」 チェーホフ全集 1 金星堂 1934(昭和9)
  7. 廣津 1919
    • 『父ちゃん、斷食日でも牡蠣食べていゝのかい?』と私は訊いた。
      『生きたまゝ食べるんだよ……』と父は答へた。『貝殻に這入いつてゐてね……まるで龜の子のやうなのさ、唯殻が二重になつてゐるけれども』
       そそるやうな香ひは急に私の鼻の孔を擽らなくなつた、幻影は消えて了つた。今は私は了解したのである!
      『あゝ、恐い!』と私は叫んだ。『怖(おつ)かないなァ!』
      • 廣津和郎(ひろつ・かずお)=訳 「牡蠣」 チエホフ全集 2 新潮社 1919(大正8)
  8. 長塚 1912, 2000
    •  「お父つさん、牡蠣は精進日にでも食べられるの?」
       「今度、生きたまゝでお食べ」と父が返事をした 「殻の中に居るものだ……龜を見た樣にナ、只殻が兩蓋に成つて居る。」
       私の鼻を擽ぐつてゐた、そヽる樣な臭は忽ち止んで、空想は消えた。漸く分つて來た。
       「オー厭だ! オヽ氣味が惡い」
  9. 馬場 1909, 2000
    • 『父樣(とうさん)。斷食日(だんじきび)でも、牡蠣(かき)は食(く)つて宜(い)いの』斯(か)う問(き)くと、
      『生(い)きてるのを食(く)うんだ……殻(から)のなかに入(は)いつて居(ゐ)る……龜(かめ)の子(こ)のやうに、けども、殻(から)が二枚(まい)ある』
       甘(うま)さうな香氣(にほひ)が、パッタリ、鼻孔(はなのあな)を擽(くす)ぐら無(な)くなつた 幻象(まぼろし)は消(き)えた。……あゝ、解(わ)かつた。
      『あゝ、恐(こわ)い。厭(いや)だ、厭(いや)だ』

◾️フランス語訳 Translation into French

  • Roche, 1928
       – Papa, les huîtres, demandé-je, est-ce un plat maigre ou gras?
       – On les mange vivantes... dit mon père. Elles ont, comme les tortues, une carapace, une coquille... mais composée de deux parties...
       La succulente odeur cesse instantanément de me chatouiller, et l’illusion disparaît... Je comprends tout maintenant!
       – Quelle saleté, murmuré-je, quelle saleté!
    • Les Huîtres by Anton Tchekhov. Translated by Denis Roche. Paris, Librairie Plon, 1928
    • E-text at ebooksgratuits [PDF]

◾️英訳 Translation into English

  1. Garnett, 1922
    • "Papa, are oysters a Lenten dish?" I asked.
       
      "They are eaten alive . . ." said my father. "They are in shells like tortoises, but . . . in two halves."
       
      The delicious smell instantly left off affecting me, and the illusion vanished. . . . Now I understood it all!
       
      "How nasty," I whispered, "how nasty!"
      • Oysters. Translated by Constance Garnett
      • E-text at Wikisource
  2. Edward & Long, 1908
    • “Father, can you eat oysters on fast days?” I asked.
       
      “You eat them alive . . .” he answered. “They are in shells . . . like tortoises, only in double shells.”
       
      The seductive smell suddenly ceased to tickle my nostrils, and the illusion faded. Now I understood!

      “How horrible !” I exclaimed. “How hideous!”
      • Oysters. Translated by Robert Edward and Crozier Long
      • E-text at Wikisource

◾️ロシア語原文 The original text in Russian

  • Чехов
    •    — Папа, устрицы постные или скоромные? — спрашиваю я.
         — Их едят живыми...
         — говорит отец. — Они в раковинах, как черепахи, но... из двух половинок.
         Вкусный запах мгновенно перестает щекотать мое тело, и иллюзия пропадает... Теперь я всё понимаю!
         — Какая гадость, — шепчу я, — какая гадость!

◾️"Какая гадость — какая гадость!" の訳
 Translations of "Какая гадость — какая гадость!"

  • 日本語
    1. 沼野 「キモい!」 「キモいぜ!」
    2. 浦  「ああ、気味わるい」 「気色わるい」
    3. 松下 「なんていやらしいんだ!」 「なんていやらしいんだ!」
    4. 神西 「おお、いやだ!」 「おお、いやだ!」
    5. 東郷 「なんてけがらわしいもんだ」 「なんてけがらわしいもんだ!」
    6. 中村 『何ていやなんだらう。』 『何ていやなんだらう!』
    7. 廣津 『あゝ、恐い!』 『怖かないなァ!』
    8. 長塚 「オー厭だ! オヽ氣味が惡い」
    9. 馬場 『あゝ、恐い。厭だ、厭だ』
  • Français
    • – Quelle saleté, quelle saleté!
  • English
    1. Garnett: "How nasty," "how nasty!"
    2. Edward & Long: “How horrible !” I exclaimed. “How hideous!”

◾️関連音声・動画 Audio & Video

  • Audiobook in English

    Reading of the excerpt above starts at 5:56
     
  • Radio drama in English

    The scene corresponding to the excerpt above starts at 4:42
     
  • ロシア語原文オーディオブック Audiobook in Russian

    Reading of the excerpt above starts at 5:54
     
  • Антракт в Литературном музее. На основе рассказа А. Чехова «Устрицы»

     
  • Chekhov Museum in Moscow

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Wednesday, 21 March 2018

А. П. Чехов - Ванька Vanka by Anton Chekhov チェーホフ 「ワーニカ」「てがみ」「ワンカ」

◾️はじめに Introduction

  • 「ワーニカ」はチェーホフが1886年に発表した短編小説。表題のワーニカは9歳の男の子。この子が世界一おもしろくて世界一かなしい手紙をつづる。
  • 両親をなくし、田舎からモスクワへ丁稚(でっち)に出されたワーニカは、奉公先で虐待される毎日を送る。クリスマス・イブの晩、皆が出かけたすきに、ワーニカはSOSの手紙を書く。「お願い、ぼくを助け出して」。宛先は、たった一人の肉親である田舎のおじいちゃんだ。
  • ワーニカの文面は、たどたどしい。それが、おかしく悲しい。ワーニカは郵便の宛名の書き方を知らない。「村のじいちゃんへ」では、手紙は届かないだろう。かりに奇跡的に届いたとしても、じいちゃんは文盲で読めないにちがいない。
  • この短編が、どれほど面白悲しいか。理解するには、ロシアの人名についての基礎知識が必要だ。本名・愛称・父称・卑小形など。沼野充義氏の新訳 チェーホフ短篇集を読むのがベストだと思う。
  • ワーニカの手紙の結びちかくから抜粋して引用する。

◾️日本語訳

  1. 児島 2012
    • 〈いつまでもずっとあなたさまのマゴのイワン・ジューコフ、大すきなおじいちゃん、とんできて〉
       ワーニカは[略]ふと考えて、ペンをインクにひたして、宛先を書きました。
         村のボクのおじいちゃんへ
       それから、ちょっと頭を掻いて、少うし考えて、つけ足しました。〈コンスタンチン・マカールィチへ〉と。
      • 児島宏子(こじま・ひろこ)=訳 ワーニカ チェーホフ・コレクション 未知谷 2012
      • ルビを省略しました。
  2. 沼野 2010
    • 「いつまでもあなたの孫のイワン・ジューコフおねがいだからじいちゃん早くきて」
       ワーニカは[略]ちょっと考えてから、ペンをインクに浸して、宛先を書いた。
       
        村のじいちゃんへ
       
       それから頭をかいてまたちょっと考え、「祖父のコンスタンチンどの」と書き足した。
  3. 浦 2010
    • 「ぼくはいつまでもおじいちゃんのまごです。大好きなおじいちゃん、どうか助けに来てください」
       ワーニカは[略]しばらく思案したのち、ペンをインクに浸して、こう宛先を書いた。
       
         村のおじいちゃんへ
       
       それから頭をかいて考えて、「コンスタンチン・マカールイチさま」と書き足した。
  4. 松下 2009
    • 「まごのイワン・ジェーコフの敬具。ぼくのおじいちゃん、ここへ来てください」
       ワーニカは[略]ちょっと考えてから、ペンをインクにつけて、宛名を書いた。
       「村のおじいちゃんへ」 
       それから頭を掻(か)き掻き、ちょっと考えて、「コンスタンチン・マカールイチさま」と書き添えた。
  5. 鈴木 1975
    • 「さやうなら。ユウコフより。ほんとうに、だんなさま、きつとですよ。」
       [略]ユウコフは[略]しばらく考へてから、あて名をかきました。
      「ゐなかの、
      コンスタンチン・マカリッチの、だんなさま。」
  6. 原 1960
    • 『孫のイワン・ジューコフより。おじいちゃん、早く来てください。』
       [略]ちょっと考えてから、少年はペンにインクをたっぷりつけて、宛名を書いた。
         村のおじいちゃんへ 
       そのあと頭をかきながら少し考えて、『コンスタンチン・マカールイチさま』と書き足した。
  7. 中村 1934
    • 『いつまでもお前の孫のイワン・ジューコフ、かしいお祖父よ、早く來ておくれ。』
       [略]ちよつと考へてから、彼はペンをインクに浸して、宛名を書いた——
       『村のお祖父へ。』
       それから、ちよつと頭を掻いて、考へて、書き足した——『コンスタンチン・マカールイチ樣。』
      • 中村白葉(なかむら・はくよう)=訳 「ワーニカ」 チェーホフ全集 4 金星堂 1934(昭和9)
  8. 廣津 1919
    • 『[略]
                          あなたの孫なる、
                                     イワン・ジュウコフ
          お祖父樣、どうぞ御いで下さいまし』
       
       [略]彼は一寸考へてから、ペンをインクにひたして、そして宛名を書いた。
       
           『村のお祖父樣(ぢいさま)に』
       
       それから頭を引つ掻いて、一寸の間(ま)思案して、そしてかう附加へた。
           『コンスタンチン・マカリッチ』
      • 廣津和郎(ひろつ・かずお)=訳 「ワンカ」 チエホフ全集 2 新潮社 1919(大正8)

◾️英訳 Translation into English

  • Garnett
    • "I remain, your grandson, Ivan Zhukov, dear Grandpapa, do come."
         [Omission] He thought a little, dipped the pen into the ink, and wrote the address:"The village, to my grandfather." He then scratched his head, thought again, and added: "Konstantin Makarych."
      • Vanka by Anton P. Chekhov. Translated by Contance Garnett
      • E-text at Wikisource

◾️ロシア語原文 The original text in Russian

  • Чехов
    • "Остаюсь твой внук Иван Жуков, милый дедушка приезжай".
         [Omission] ... Подумав немного, он умокнул перо и написал адрес:
         
         На деревню дедушке.
         
         Потом почесался, подумал и прибавил: "Константину Макарычу".
      • Антон Павлович Чехов - Ванька
      • E-text at Lib.ru

◾️関連音声・動画 Audio & Video

  1. 英語版オーディオブック Audiobook in English

    上に引用した箇所の朗読は 10:14 から始まります。 Reading of the excerpt above starts at 10:14
     
  2. ソビエトウクライナ・アニメ (1981)

    上の引用箇所に相当するシーンは 6:51 から始まります。 The scene corresponding to the excerpt above starts at 6:51
     
  3. ソ連映画

    上の引用箇所に相当するシーンは 26:48 から始まります。 The scene corresponding to the excerpt above starts at 26:48

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Friday, 16 March 2018

А. П. Чехов. Шуточка The Little Trick by Anton Chekhov チェーホフ 「いたずら」「悪ふざけ」「たわむれ」「たはむれ」

◾️はじめに Introduction

  • 「いたずら」はチェーホフの短編小説。はじめユーモア雑誌『こおろぎ』 1886年第10号に掲載され、その後、マルクス社版チェーホフ著作集第2巻(1900年)に再録するにあたり、1899年にチェーホフ自身が大幅な書き換えを行なった。こんにち決定稿として、ロシアで出る著作集に収録されているのも、海外での翻訳の底本とされるのも、改訂版のほうである(以上、沼野氏訳書による)。
  • わたしが下に引用するのも、改訂版のほうだ。もともと日本語訳の揺れを見るつもりで、いろいろな訳者によるテキストを読み比べてみた。ところが、痛感したのは、訳のバラツキよりも、過去100年の日本語表現の激変ぶりのほうだった。語彙じたいも様変わりしているが、漢字・かな表記の変化も大きい。1世紀まえの日本語は、いまでは非常に読みづらい。

◾️日本語訳 Translations into Japanese

  1. 小宮山 2017
    • 「ちょっと、いいかしら?」と、ぼくを見ずに言う。

      「何かな?」

      「もう一回……滑ってみない?」

       ぼくらは階段を上って、またスロープのてっぺんへ。真っ青になって震えるナージャを再度そりに乗せ、再度危険なクレバスへ飛びこむ。再度風が唸り、そりのエッジがシャーッと氷を切る。そりのスピードと騒音のボリュームが最高点に達したとき、ぼくは再度ささやく。
      「ア・イ・シ・テ・ル!」
  2. 沼野 2010
    • 「あのね」と、彼女はぼくを見ないで言う。
      「何でしょう?」と、ぼくが聞き返す。
      「もう一度、その……橇に乗ってみましょうか」
       ぼくたちは階段をよじのぼって丘の上にもどる。もう一度、ぼくは青ざめて震えるナッちゃんを橇に乗せ、もう一度、ぼくたちは恐ろしい深淵に飛び込み、もう一度、風がうなり滑り木がきしみ、もう一度、飛ぶような橇の勢いが一番強くなり、そのざわめきが一番激しくなったとき、ぼくは声をひそめて言う。
      「す・き・だ・よ、ナッちゃん!」
  3. 浦 2010
    • 「ねーえ」ぼくのほうには目もくれないでナージャは言う。
      「なんです?」とぼくは問い返す。
      「もう一度……すべってみません?」
       ぼくたちは階段をのぼって丘に上がる。またぼくは青い顔をして打ちふるえているナージャを橇に乗せ、またしてもぼくたちはおそろしい奈落に飛び出していく。またしても風がうなり、滑り木がきしむ。そしてふたたびけたたましい音を立てる橇のスピードが最高潮に達すると、ぼくは小声でささやく。
      「ナージャ、あなたのことが好きです!」
  4. 松下 2009
    • 「あのねえ」と彼女はこちらを見ないで言う。
      「なあに」とわたし。
      「もう一ぺん……滑りましょうよ」
       わたしたちは階段づたいに丘を登って行く。またもや、真っ青になって震えているナージェニカを橇に乗せて、またもや恐ろしい深淵へと飛びこんで行く。ふたたび風が吼(ほ)え、滑り木が軋(きし)って、またしても橇の勢いとざわめきとが最も激しくなったときを狙(ねら)いすまして、小声でささやく。
      「好きだよ、ナージェニカ!」
  5. 児島 2006
    •  「あのね」
       彼女はわたしを見ないで言う。
       「なんですか」
       わたしがたずねると
       「も一度……滑りましょうよ」
       わたしたちは階段を登って丘の頂(いただき)にたどり着いた。わたしは青ざめ慄(おのの)いているナージェンカをまたソリに乗せた。そして再び恐ろしい断崖(だんがい)めがけて出発する。風はうなり、ソリがぎしぎし軋(きし)む。勢いと騒音(そうおん)が頂点に達したとき、わたしは小声でささやく。
       「わたしは あなたを 愛しています ナージェンカ!」
      • 児島宏子(こじま・ひろこ)=訳 たわむれ チェーホフ・コレクション 未知谷 2006 
  6. 木村 1976
    • 「あのねえ」ぼくの顔は見ずに彼女は言う。
      「なに?」ぼくはきく。
      「もう一度……すべりましょうよ」
       ぼくたちは階段を上って丘の上へゆく。またもやぼくはあおい顔をしてふるえているナーデンカをソリに乗せ、またもやふたりはおそろしい深淵をめがけて飛ぶ。またもや風がほえたけり、すべり木がきしむ。ソリがいちばん勢いよく、いちばん大きな音を立てて滑走する瞬間をねらって、またもやぼくは小さな声で言う。
      「ナーデンカ、ぼくは、あなたが、好きだ!」
  7. 原 1960
    • 「あの……」彼女はわたしを見ずに言う。
      「何ですか?」わたしはたずねる。
      「あの、もう一度、滑りません?」
       わたしたちは階段づたいに丘にのぼる。わたしは、顔色をなくしてふるえているナージェニカを、また橇にのせる。二人はまた恐ろしい深淵の底をさして滑りおりる。またしても風が唸り、滑り木が軋む。橇の滑降がもっとも勢いよく、もっとも騒がしくなった折りをみはからって、わたしはまた小さな声で言う。
      「僕 あなたを 愛してます ナージェニカ!」
  8. 中村 1934
    •  『あのねえ?』彼女はわたしの方は見ないで言ふ。
       『何ですか?』とわたしは問ひ返す。
       『ねえ、もう一度……滑りませうよ。』
       わたし達は階段傳ひに、山へよぢ上る。再びわたしは、眞蒼になつて顫へてゐるナーデニカを橇に乘せる。わたし達は再び恐ろしい深淵へ滑り下りる。再び風が唸り、滑走臺が軋む、そしてまたしても、橇の疾走の最も激しく騒然たる只中に、わたしは小聲で次ぎのやうに言ふ——
       『僕、あなたを愛します、ナーデニカ!』
      • 中村白葉(なかむら・はくよう)=訳 「たはむれ」 チェーホフ全集 3 金星堂 1934(昭和9)
  9. 瀬沼 1908, 2000
    • 『あのね、貴方(あなた)!』彼女は余が顏を見ないで云ふてゐる。
      『何です』と余は問ふた。
      『もう一度爲(し)ませうか……辷(すべ)りませんか』
      余等は階段(かいだん)を踏(ふ)んで氷山(こほりやま)の上に上る。
      余は再びくなつて、顫へてゐるナアデンカを橇に乘せ、舊(もと)の如く先の恐ろしい奈落(ならく)の底に辷り下りる。又も風は嘯ぶき、橇は呻吟(うな)り、何とも譬へやうのない恐(おそ)しさの加はり行く眞中、余は小聲で又言ふた。
      『ナアデンカ私は貴方(あなた)を愛します』
      • 瀬沼夏葉(せぬま・かよう)=訳 「たはむれ」
        1. 明治翻訳文学全集 新聞雑誌編 43 チェーホフ集 2 大空社 ナダ出版センター 2000
        2. 心の花 1908-01(明治41)
      • 1は2のスキャン画像を収録したもの。わたし (tomoki y.) が閲読したのは、1のほうです。

◾️ロシア語原文 The original text in Russian

  • Чехов
    •    — Знаете что? — говорит она, не глядя на меня.
         — Что? — спрашиваю я.
         — Давайте еще раз... прокатим.
         Мы взбираемся по лестнице на гору. Опять я сажаю бледную, дрожащую Наденьку в санки, опять мы летим в страшную пропасть, опять ревет ветер и жужжат полозья, и опять при самом сильном и шумном разлете санок я говорю вполголоса.
         — Я люблю вас, Наденька!
      • Антон Павлович Чехов - Шуточка
      • E-text at:

◾️関連音声・映像

  • ロシア語原文オーディオブック Audiobook in Russian

    上に引用した箇所の朗読は 3:29 から。Reading of the excerpt above starts at 3:29
  • ソ連のテレビ映画 Шуточка (Shutochka) 1966

    上に引用した箇所に相当するシーンは 5:08 から。The scene corresponding to the excerpt above starts at 5:08

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Thursday, 15 March 2018

А. П. Чехов - Женщина без предрассудков A Woman Without Prejudice by Anton Chekhov チェーホフ 「偏見のない女」「偏見を持たぬ女」「偏見を持たぬ婦人」「氣位の高くない女」

◾️はじめに Introduction

  • 「偏見のない女」はチェーホフが1883年に発表した短編小説。
  • 快男児マクシム(マクシーニカ)は、美女エレーナ(リョーリャ)のハートをつかんで、みごと結婚にこぎつける。ところが、彼は自分に恥ずべき過去があると信じ込んでいて、それを彼女に隠し続けている。良心の呵責にくるしむマクシムは、とうとうその過去を打ち明ける。すると、エレーナの反応は……。

◾️日本語訳 Translations into Japanese

  • 松下 2006
    • 「あなたが……ピエロを?」
       そしてリョーリャは、ソファからころげ落ちると……跳び起きて、駆け出した……。
       どうしたというのだろう。彼女は腹を抱えた……。寝室いっぱいにヒステリーじみた笑いが駆けめぐり振りまかれた……。
      「ハハハ……。あなたがピエロを? あなたが? マクシーニカ……。かわいい人ねえ! なにかやってみせて! あなたがピエロだった証拠を見せてちょうだい! ハハハ! かわいい人!」
  • 池田 1960
    • 「あなたが……曲芸師を?」
       そしてリョーリャは、寝椅子からころげ落ちると……飛び起きて、走り出した。……
       どうしたのか? 彼女は腹を抱えた。……寝室いっぱいに、ヒステリイじみた笑いが振りまかれた。……
      「アハハハ!…… あなたが曲芸師を? あなたが? マクシンカ……可愛い人! 何かやって見せて! あなたが曲芸師だった証拠を見せて! アハハハ! まあ可愛い人!」
  • 中村 1936
    •  『あなたが!? 道化?』
       そしてリョーリャは、寢椅子からころげおりると……跳ね起きて、驅け出した……
       どうしたと言ふのだらう? 腹を抱えて……寢室一ぱいに、ヒステリイじみた笑ひが、飛び廻り、振りまかれた……
       『ハハハハ…… あなたが道化だつた? あなたが? マクシーニカ…… 可愛いゝ人! どうぞ何かやつて見せて頂戴! あなたがほんとに道化だつたと言ふ證據を見せて頂戴! ハ、ハハ! 可愛いゝ人!』
  • 池谷 1931
    • 「あなた……あんたが道化者だつたんですつて?」
       イエレーナは長椅子の上へ踊り上つた。それから又下へ飛び下りて、今度は部屋中跳ね歩いた。
       一點どうしたと言ふのだらう。彼女は手で自分の身體を抱き締めた……寢は大きな笑ひ聲滿たされた。それは段々高くなつて行つた……まるでヒステリーの作のやうな騒ぎだつた……
      「オホ、まあ! ……道化者だつたんですつて? あんたが? 私の大好きなマキシム! ……ねえあんた、後生だから何か演つて見せてよ。ほんとにさうだつたつて言ふ證據を見せて、ね? ホヽ、ねえ、あんた、ようつてつたらよう。」
      • 池谷信三郎=訳 「氣位の高くない女」 世界大衆文学全集 74 改造社 1931
      • 「ドクトル・レエルの獨譯に依つた——譯者」とある。つまりロシア語原文からの直訳ではなく、ドイツ語訳からの重訳だということ。
      • ルビを省略しました。また、傍点を下線で置き換えました。

◾️ロシア語原文 The original text in Russian

  • Чехов
    • - Ты... клоуном?

      И Леля повалилась с кушетки... вскочила, забегала...

      Что с ней? Ухватилась за живот... По спальне понесся и посыпался смех, похожий на истерический...

      - Ха-ха-ха... Ты был клоуном? Ты? Максинька... Голубчик! Представь что-нибудь! Докажи, что ты был им! Ха-ха-ха! Голубчик!

      • А.П. Чехов - Женщина без предрассудков
      • E-text at dugward.ru

◾️関連動画・音声 Audio & Video

  • ロシア語原文オーディオブック Audiobook in Russian

  • 一人芝居

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Wednesday, 14 March 2018

А. П. Чехов. Егерь The Huntsman by Anton Chekhov チェーホフ 「おかかえ猟師」「お抱え猟師」「獵人」「獵師」

◾️はじめに Introduction

  • 「おかかえ猟師」はチェーホフがロシア語で書いた短編小説。A. チェホンテの署名で『ペテルブルグ新聞』 1885年7月18日号に発表された。結婚して12年になるというのに、ほとんど一緒に過ごしたことがないという男エゴールと、女ペラゲーヤの話。その終わり近くの一節を引用します。

◾️日本語訳 Translations into Japanese

  • 松下 1988
    • 黙ってはいるが、その顔つきやそびやかした肩から、なにやら言いたそうにしているのがペラゲーヤにわかる。彼女はおずおずと近づいて祈るような眼つきで彼を見る。
      「取りな!」と彼は言いながら、顔をそむける。彼はぼろぼろの一ルーブル札(さつ)を手わたして、足ばやに離れていこうとする。
      「さようなら! エゴール・ヴラースイチ」と言いながら、彼女は無意識に一ルーブル札を受けとる。
      • 「おかかえ猟師」 松下裕(まつした・ゆたか)=訳 チェーホフ全集 1 筑摩書房 1988-02-25
  • 池田 1960
    • 黙ってはいるが、その顔や肩のそびやかし方から、ペラゲーヤは彼が何か言いたそうにしているのがわかる。彼女はおずおずと彼に近づいて、祈るような眼で彼を眺める。
      「お前にやろう!」と彼は、そっぽを向きながら言う。
       彼は彼女にぼろぼろの一ルーブリ札を手渡して、足早に立ち去る。
      「さようなら、エゴール・ヴラースィチ!」と彼女は、機械的に一ルーブリ札を受取って言う。
      • 「お抱え猟師」 池田健太郎(いけだ・けんたろう)=訳 チェーホフ全集 4 中央公論社 1960-10-15
  • 中村 1934
    • 彼は默つてゐるが、その顏附と、搖り上げられた肩とで、ペラゲーヤには、彼が何か言ひたげにしてゐるのが讀める。彼女はおづ/\と彼の傍へ寄つて、祈るやうな眼で彼を眺める。
       『さあよ。』と彼は、くるりと外方を向きながら言ふ。
       彼は彼女に古ぼけた一ルーブリ紙幣を與へると、足早に步き出す。
       『あばよ、エゴール・ヴラースイチ!』と彼女は機械的に、ルーブリ札を受取ながら言ふ。
  • 秋庭 1923
    • 彼は何にも口はきかなかつたが、その顏附や、搖すり上げる肩付から察して、彼女は彼が何か云ひたがつてゐる容子を見て取つた。彼女はおづ/\と彼に近づいて行つて、哀願するやうな眼付で彼を見詰めた。
      『これを持つてくが好い。』と彼は眼をそらしながら云つた。
       彼は揉みくちやになつた留紙幣を彼女に與へた。そして急いで其處を離れた。
      『左樣なら、イエゴール・ウラーシツチ!』と彼女は我れともなく紙幣を受取りながら云つた。

◾️英訳 Translation into English

  • Garnett
    • He, as though he felt that gaze, stopped and looked round.... He did not speak, but from his face, from his shrugged shoulders, Pelagea could see that he wanted to say something to her. She went up to him timidly and looked at him with imploring eyes.
             “Take it,” he said, turning round.
             He gave her a crumpled rouble note and walked quickly away.   
             “Good-bye, Yegor Vlassitch,” she said, mechanically taking the rouble.

◾️ドイツ語訳 Translation into German

  • Czumikow
    • Er schweigt, aber in seinem Gesicht und den gehobenen Schultern erkennt Pelageja, daß er ihr etwas sagen will. Sie tritt schüchtern an ihn heran und blickt ihn mit flehenden Augen an.
             »Da hast du, nimm ...« sagt er, sich abwendend.
             Er gibt ihr einen zerfetzten Rubelschein und geht schnell von dannen.
             »Leben Sie wohl, Jegor Wlassitsch!« sagt sie, den Rubel mechanisch annehmend.

◾️ロシア語原文 The original text in Russian

  • Чехов
    • Он, словно чувствуя этот взгляд, останавливается и оглядывается... Молчит он, но по его лицу, по приподнятым плечам Пелагее видно, что он хочет ей сказать что-то. Она робко подходит к нему и глядит на него умоляющими глазами.
             -- На тебе! -- говорит он, отворачиваясь.
             Он подает ей истрепанный рубль и быстро отходит.
             -- Прощайте, Егор Власыч! -- говорит она, машинально принимая рубль.

◾️関連映像 Videos

  • 英語版オーディオブック Audiobook in English
  • ソ連映画 Егерь (1959)

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Thursday, 09 June 2011

Антон Павлович Чехов - Предложение A Marriage Proposal by Anton Chekhov チェーホフ/チェホフ/チエホフ/チエエホフ 「プロポーズ」「犬」「申込」「申込み」「結婚の申しこみ」「結婚申しこみ」「結婚申込」「結婚申込み」

        目次 Contents

   ■はじめに Introduction
    Video 1  [zh] 中国語(簡体字) 安东契科夫 - 求婚
   ■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese
    Video 2  [ja] 日本語 チェーホフ生誕150年「下北沢チェーホフ祭」
   ■日本語訳 Translations into Japanese
    (J1) 浦 2012
    (J2) 牧原+福田 2006
    (J3) 松下 1988, 1994, etc.
    (J4) 牧原 1969
    (J5) 原 1960, 1976
    (J6) 野崎 1960
    (J7) 中村 1935, 1952, etc.
    (J8) 文芸社編輯部 1929
    (J9) 高倉 1929
    (J10) 花井 1928
    (J11) 米川 1923, 1926, etc.
    (J12) 仲木 1915
    (J13) 小山内 1910, 1913, etc.
    Video 3  [tr] トルコ語 Anton Çehov - Bir Evlenme Teklifi
    Video 4  [en] 英語 Anton Chekhov - The Proposal
    Video 5  [en] 英語 Anton Chekhov - The Proposal
     Audio    [en] 英語 Anton Chekhov - The Proposal J・ウェスト英訳の朗読
   ■ジュリアス・ウェストによる英訳本 (1916) の複写画像
    Scanned page from an English translation (1916) by Julius West
   ■英訳 Translation into English
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
    Video 6  [fr] フランス語 Anton Tchekhov - Une demande en mariage
   ■フランス語訳 Translations into French
    (F1) Chaboseau, 1922
    (F2)
    (F3)
    Video 7  [de] ドイツ語 Anton Tschechov - Der Heiratsantrag
   ■ドイツ語訳 Translation into German
   ■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian
    Video 8  [ru] ロシア語 Антон Чехов - Предложение
   ■ロシア語原文 The original text in Russian
   ■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
    邦訳リストA  「プロポーズ Предложение」 訳者別新旧順
    邦訳リストB  「プロポーズ Предложение」 刊行年新旧順
   ■書誌情報——本とウェブサイト Bibliography: Books & Websites
   ■筒井康隆とチェーホフ「結婚申込」ほか
   ■チェーホフと太宰治・正宗白鳥・小山内薫など
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

隣家の娘にプロポーズをしに行った男が、両家の境界にある、取るに足らない土地の帰属をめぐって、その求婚相手と口論になり、意地の張り合いになってしまう。

男にしてみれば、本題のプロポーズにくらべたら土地の問題などどうでもいいのに、所有権の主張は譲れない。娘のほうも、結婚にはまったく異論がないくせに、言い分を引っ込めることができない。口論がようやく収まったかと思うと、つぎは飼い犬自慢をめぐって争いが始まる。ばかばかしいのが取りえの、一幕物喜劇。1888〜1889年発表。

下のさまざまなビデオを見ると、チェーホフがいかに国と文化と言葉の壁を越えて世界的人気を博しているかがわかる。


 Video 1  中国語(簡体字)
[zh] 安东契科夫 - 求婚 2 of 3

下に引用する台詞は1:15あたりから。The lines quoted below start around 1:15.


■中国語訳(簡体字) Translation into simplified Chinese

洛莫夫: 我请你听我说!我已经告诉了你,你父亲祖父的农人,替我伯母的祖母烧过砖,我伯母的祖母对他们有过好处……

娜妲丽亚: 祖父;祖母,伯母…… 我一点也不明白!那草地是我们的,说来说去是我们的!

洛莫夫: 是我的!

娜妲丽亚: 是我们的!就让你再争论两天,就让你再穿十五件燕尾服,可是那草地还是我们的,我们的,我们的![以下略]

   《求婚》 〔俄〕契诃夫 著
   Excerpt at:
   * 天涯社区
   * 百度知道


 Video 2  日本語
[ja] チェーホフ生誕150年「下北沢チェーホフ祭」〜チェーホフがいてくれた〜

2010年6/12〜6/20 下北沢、東京ノーヴイ・レパートリーシアター。「熊」「プロポーズ」「ワーニャ伯父さん」「桜の園」「イワーノフ」「三人姉妹」「かもめ」計7作品­を一挙上演。 Produced by Tokyo Novyi Repertory Theater


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 浦 2012
ローモフ まあ、ぼくの話も聞いてください! あなたのお父様のお祖父(じい)さんが抱えていらした農民たちは、すでにあなたに申し上げたとおり、ぼくの伯母の祖母のために煉瓦を焼いてくれました。で、伯母の祖母は、その人たちによかれと思って……。

ナターリヤ お祖父さんだとか、お祖母(ばあ)さんだとか、伯母さんだとか……そんなこと言われたって、あたしには関係ないことよ! 牛ヶ原はうちのものです、それでおしまい。

ローモフ うちのです!

ナターリヤ うちのですっ! あなたが二日かけて意地を張ったって、燕尾服を十五枚も着込んでこようが、あれはうちのだと言ったら、うちのです! ……。[以下略]

   チェーホフ=作 浦雅春(うら・まさはる)=訳 「プロポーズ」
   『桜の園/プロポーズ/熊』 光文社古典新訳文庫 2012-11-20
   版元によるこの本の紹介


(J2) 牧原+福田 2006
ローモフ ぼくの話も聞きなっせ、お願いですけん! ああたのお父っつぁまのお祖父さんの作男たちが、これはさっきも申しあげたばって、ぼくの伯母のお祖母さんのために煉瓦ば焼いたつですたい。伯母のお祖母さんは作男になにかしてあぎゅうて思うて……

ナターリヤ お祖父さん、お祖母さん、叔母さん……なんのこっちゃやらうちにはさっぱりわかりませんと! あん雄牛牛原はうちんばい、はい、そいでおしまい。

ローモフ ぼくのですたい!

ナターリヤ うちンですっと! そげんして明日まで言いよりなはってん、フロックば十五着着込(きこ)うで来なはってん、あそこはうちンもん、うちンもん、うちンもん!……。[以下略]

   アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ =著
   牧原純(まきはら・じゅん)+福田善之(ふくだ・よしゆき)=共訳 「結婚申込」
   『結婚、結婚、結婚 !(一幕戯曲選)』 ロシア名作ライブラリー7
   群像社 2006-12-04 版元によるこの本の紹介
   ロシアの田舎地主の語り口を熊本弁などの九州方言に移し替えた個性的な訳。


(J3) 松下 1988, 1994, etc.
ローモフ まあ、わたしの話もきいてください! いまも申しあげたとおり、あなたのおとうさまのおじいさんの百姓たちが、わたしのおばのおばあさんのために煉瓦(れんが)を焼いてくれたんですよ。そこで、おばのおばあさんが、お礼に何かしてあげたいと……

ナターリア・ステパーノヴナ おじいさんだの、おばあさんだの、おばさんだの……さっぱりわからないわ! あの草場はうちのものです、それだけだわ。

ローモフ うちのでございます!

ナターリア・ステパーノヴナ うちのものですよ! たとえあなたが二日(ふつか)がかりで証明しようとしたって、モーニングを十五着着こんでこられたって、あそこはうちのです、うちのです、うちのです!……。[以下略]

   チェーホフ=作 松下裕(まつした・ゆたか)=訳 「結婚申しこみ」
   『チェーホフ全集11 白鳥の歌・かもめ』 筑摩書房 1988-06-25
   版元によるこの本の紹介


(J4) 牧原 1969
ロモーフ ぼくの話もきいてくださいよ、お願いします! あなたのお父さまのお祖父さんの作男たちが、これはさっきも申しあげましたけど、わたしの伯母のお祖母さんのために煉瓦を焼いたのです。伯母のお祖母さんは作男たちになにかしてあげようと思って……

ナターリヤ お祖父さん、お祖母さん、伯母さん……なんのことやらわたしにはさっぱりわからないわ! あの雄牛原はうちのです、はい、それでおしまい。

ロモーフ ぼくのですとも!

ナターリヤ うちのですってば! そうやって明日(あす)まで言いはってらしたって、フロックを十五着もきてらしたって、あそこはうちのよ、うちのよ、うちのよ!……。[以下略]

   チェーホフ=作 牧原純(まきはら・じゅん)=訳 「結婚の申し込み」
   『デュエット版 世界文学全集 第43 三人姉妹・桜の園 他
   綜合社=編 集英社 1969-06-10


(J5) 原 1960, 1976
ロモフ お願いですから、まあ、わたしの話もきいて下さい! 今も申し上げた通り、あなたのお父さまのお祖父さんのやとってらした作男たちが、うちの叔母の祖母のために、煉瓦を焼いてくれたんですよ。そこで、叔母の祖母が、何かお礼をしてさし上げたいと思って……

ナターリア お祖父さんだの、お祖母さんだの、叔母さんだのって……何が何だかさっぱりわかりませんわ! とにかく、あの草場はうちの地所です、それだけの話じゃありませんか。

ロモフ うちのですよ!

ナターリア うちのですわ! たとい、あなたが二日がかりで言い張ったり、燕尾服を十五着も着ていらしたりしたって、あの地所がうちのであることに変りはありませんのよ、あそこはうちの地所です、うちのですとも![以下略]

   チェーホフ=作 原卓也=訳 「プロポーズ」
   『チェーホフ全集11』 中央公論社 1960-03


(J6) 野崎 1960
ローモフ どうかわたしのいうことを聞いてください。おねがいです! さきほども申しあげましたとおり、あなたのお父さんのおじいさんの百姓たちが、わたしの叔母のおばあさんのために煉瓦を焼いてくれたのです。叔母のおばあさんが、そのお礼になにかいいことをしてあげたいばかりに……

ナターリヤ おじいさんだの、おばあさんだの、叔母さんだのって……なにがなんだかちっともわかりませんわ! ともかくあの原はうちのものです、それだけですわ。

ローモフ わたしどものです!

ナターリヤ うちのです! たとえあなたが二日がかりで証明なさろうと、燕尾服を十五着着ていらっしゃろうと、あれはうちのものです、うちのものです、うちのものです!‥‥[以下略]

   チェーホフ=作 野崎韶夫(のざき・よしお)=訳註 「結婚申込み」
   『結婚申込み・熊』 大学書林 大学書林語学文庫 1960-01-15
   この本は露日対訳版です。


(J7) 中村 1935, 1952, etc.
ロモーフ 併し、わたしの言ふこともお聞き下さい、お願ひです! あなたのお父さんのおぢいさんの百姓達が、今も申上げました通り、わたしの叔母さんのおばあさんの爲めに煉瓦を燒いてくれたのです。叔母さんのおばあさんはそのお禮に何かいゝことをしようとして……

ナターリヤ・ステパーノヴナ おぢいさんだの、おばあさんだの、叔母さんだのつて……何が何だかわたしちつともわかりませんわ! 兎に角、原はわたし達のものです、それでおしまひですよ。

ロモーフ わたくしどものです!

ナターリヤ・ステパーノヴナ わたしどものです! あなたが二日かゝつて證明なすつても、燕尾服を十五着着ていらしても、あれはわたしどものです、わたしどものです、わたしどものです!‥‥[以下略]

   チェーホフ=著 中村白葉=譯 「結婚申込み」
   『三人姉妹・結婚申込み』 新潮社 新潮文庫 1952-09-15
   達・通の旧字は新字で置き換えました。


(J8) 文芸社編輯部 1929
[訳文は未見]

   チエホフ=著 文芸社編輯部=訳編 「犬(原題結婚申込)」
   『熊と犬』 文芸社 世界文芸叢書11 1929-10(昭和4)


(J9) 高倉 1929
ローモフ どうか私の言ふ事をお聞き下さい! あなたのお父さんのお祖父(ぢい)さんのお百姓達が、つまりいま申し上げました通り、私の伯母のお祖母(ばあ)さんに煉瓦を燒いて呉れたんです。伯母のお祖母(ばあ)さんは、その人達を喜ばせる積りで……

ナターリヤ・ステパーノウナ お祖父(ぢい)さんだの、お祖母(ばあ)さんだの、伯母さんだの……私そんな事は分かりません。原は私共のです。それだけです。

ローモフ いいえ。私のです。

ナターリア・ステパーノウナ いえ。私共のです。あなたが二日證明なさいましても、燕尾服を十五着着てお出でになつても、あれは私共のです、私共のです。私共のです……[以下略]

   チェーホフ=作 高倉輝=譯 「結婚申込」
   『近代劇全集28 露西亞篇』 第一書房 1929-01-10(昭和4)
   達・通の旧字は新字で置き換えました。


(J10) 花井 1928
[訳文は未見]

   アントン・チエホフ=著 花井修三郎=譯 「犬」
   『チエホフ集』 中央出版社 袖珍世界文学叢書5 1928-03(昭和3)


(J11) 米川 1923, 1926, etc.
ロモーフ どうぞわたしの言うこともきいて下さい、お願いです! 先程も申しましたとおり、あなたのお父さんの祖父さんの百姓たちが、わたしの伯母さんの祖母さんに煉瓦を焼いてくれたので、伯母さんの祖母さんが、その人たちに対するお礼心地で……

ナタリア 祖父さんだの、祖母さんだのって……わたしちっともわかりませんわ! とにかく原は宅のものです。それだけのことですわ。

ロモーフ 家のです!

ナタリア 宅のです! あなたがたとえ二日かかって口を酸っぱくなすったって、燕尾服を十五も着ていらしったって、あの地所はやっぱり宅のものです。宅のものです!……宅のものです![以下略]

   チェーホフ=作 米川正夫=訳 「結婚申込み」
   『ちくま文学の森 5 おかしい話』 筑摩書房 1988-04


(J12) 仲木 1915
ロモフ ま、何卒、終ひまで聞いて下さい! で、その貴女の叔父さんの祖父さんの小作人達は、先程も申す通り、私の叔母さんの祖母さんに煉瓦を燒いてくれました。其所で、叔母さんの祖母さんは、小作人達に何か禮をしやうと思つて……

ナタリア 祖父さんだの、祖母さんだの、叔母さんだのつて……妾には何が何だか、さつぱり解りません! あの牧場は宅(うち)の所有物に相違ないのですよ。最うそれ外には何も申す事はありません。

ロモフ 否え。私の所有物です!

ナタリア 宅(うち)のですよ! 貴方が二日間かゝつて證明しても、十五着燕尾服を來ていらしつたつてあの地面は矢張り宅(うち)のですとも、えゝ、宅のです。宅のです。宅のです!‥‥[以下略]

   チェホフ=作 仲木貞一=譯 結婚申込〔戯曲〕
   早稲田文学 1915-02(大正4)
   終・達・通の旧字は、それぞれ新字で置き換えました。


(J13) 小山内 1910, 1913, etc.
客。 まあ、どうかしまひまで聞いて下さい。先程から申し上げる通り、あなたのおとうさんのおぢいさんの小作人が、わたしの伯母さんのおばあさんに煉瓦を燒いて呉れました。そこで伯母さんのおばあさんは、なにかお禮をしようと思つて。

娘。 おぢいさんだの、おばあさんだのと……何だかさつぱり分かりませんわ。あの牧場は宅のでございます、それ以上何も申す所はございません。

客。 いいえ、内のです!

娘。 宅のですよ。二日議論を爲通(しどほ)しにして入らつしても、十五着燕尾服を着換えて入らしつても、やつぱりあそこは内のです、内のです、内のです……[以下略]

   アントン・チエエホフ=作 小山内薫=譯 「犬」
   『近代劇五曲』 大日本図書 1913-02-05(大正2)
   通の旧字は新字で置き換えました。


 Video 3  トルコ語
[tr] Anton Çehov - Bir Evlenme Teklifi. 1/4

Ankara Sanat Tiyatrosu (AST) 2001 yılı Gümrük Müsteşarlığı Tiyatrosu (Gümrük Vakfı Tiyatrosu) Oyuncular: Tatiana Zigalov - Mücella A. İvan Vasilyeviç - Burak Fuat KEYLAN Natalya Nazarovna - Gülseren A. Rejisör: Erman ATAR


 Video 4  英語
[en] Anton Chekhov - The Proposal. Part 1
The_proposal_2
著作権者の要望により動画の埋め込みは禁じられています。ビデオをご覧になりたいかたは ここ をクリックしてください。下に引用する台詞は8:08あたりから。 Uploaded by A1Collection1Of1Arts on 2011-01-01. Embedding disabled by request. To view the video, please click here. The lines quoted below start around 8:08. Produced by the Greenville Little Theater. Directed by Peter Lupu. Richard Beverage (Father), Jason Underwood (Young Suiter), Courtney Campbell (Daughter).


 Video 5  英語
[en] Anton Chekhov - The Proposal

Uploaded by JAMESLAKEacting on 2008-08-23.


 Audio  英語 ジュリアス・ウェストによる英訳の朗読(音声のみ)
[en] Anton Chekhov - The Proposal. an public domain audiobook by LibriVox

This public domain audiobook is narrated and recorded by John Eddings (Stepan Stepanovich Chubukov), Ruth Golding (Natalya Stepanovna), Simon Larois (Ivan Vassilevitch Lomov), and Philippa. The book is translated from Russian into English by Julius West.


■ジュリアス・ウェストによる英訳本 (1916) の複写画像
 Scanned page from an English translation (1916) by Julius West

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

Proposal_page_46
Image source: HathiTrust Digital Library - Plays : second series / by Anton Tchekoff ; translated with an introduction by Julius West. New York: Charles Scribner's Sons, 1916.


■英訳 Translation into English

LOMOV. Hear me out, I implore you! The peasants of your father's grandfather, as I have already had the honour of explaining to you, used to bake bricks for my aunt's grandmother. Now my aunt's grandmother, wishing to make them a pleasant...

NATALYA STEPANOVNA. I can't make head or tail of all this about aunts and grandfathers and grandmothers! The Meadows are ours, and that's all.

LOMOV. Mine.

NATALYA STEPANOVNA. Ours! You can go on proving it for two days on end, you can go and put on fifteen dress-jackets, but I tell you they're ours, ours, ours! [Omission]

   The Proposal
   from Plays by Chekhov, Second Series, by Anton Chekhov
   Translated by Julius West. New York: Charles Scribner's Sons, 1916.
   Scanned book at Hathi Trust Digital Library
   E-text at:
   * One-Act-Plays.com
   * Project Gutenberg


■スペイン語訳 Translation into Spanish

LOMOV.- ¡Le suplico que me escuche!.... Los campesinos del abuelo de su padre, como ya tuve el honor de decirle, cocían ladrillos para la abuela de mi tía… La abuela de mi tía, deseando complacerles…

NATALIA.- ¡El abuelo…, la abuela…, la tía!... ¡No comprendo absolutamente nada! ¡El pastizal de los bueyes es nuestro y punto concluido!

LOMOV.- ¡Es mío!

NATALIA.- ¡Es nuestro!... ¡Aunque se pasara usted dos días intentando demostrarlo, y aunque se vistiera usted con quince fracs, le digo que es nuestro, nuestro y nuestro!

   Pedido de mano by Antón Chejov
   E-text at Scribd


 Video 6  フランス語
[fr] Anton Tchekhov - Une demande en mariage

下に引用する台詞は5:43あたりから。The lines quoted below start around 5:43.


■フランス語訳 Translations into French

(F1) Chaboseau, 1922
LOMOF: Écoutez-moi, je vous en supplie. Les paysans du grand-père de votre père, comme j’ai déjà eu l’honneur de vous l’expliquer, confectionnaient des matelas pour la grand’mère de ma tante. Cette grand’mère, dans son désir de leur rendre service…

NATALIA: Grand-père, tante, grand’mère, c’est à n’y rien comprendre…, sinon que ce pré est à nous, et voilà tout.

LOMOF: À moi.

NATALIA: À nous. Vous pourriez passer là deux jours encore à tâcher de me le démontrer, vous pourriez endosser dix fracs, et ce pré n’en serait pas moins à nous, à nous, à nous, na !

   Une demande en mariage by Anton Tchekhov
   Translated by Augustin Chaboseau
   Paris : Stock, 1922
   E-text at Wikisource


(F2)
Lomov :   Mais écoutez-moi, je vous en supplie ! Les paysans du grand-père de votre père fabriquaient des briques pour la grand-mère de ma tante...

Nathalia Stepanovna - Grand-père, grand-mère, tante ... je n'y comprends rien! Le pré est à nous, voilà tout.

Lomov :  A moi !

Nathalia Stepanovna - A nous ! Vous passeriez deux jours à me démontrer le contraire, vous endosseriez quinze habits, que ce pré resterait à nous, à nous, à nous ! [Omission]

   La demande en mariage by A. P. Tchékhov (adaptation)
   E-text at l’Université Paris-Sorbonne (Paris IV)


(F3)
LOMOV. – Excusez-moi, je vous en supplie ! Les paysans du grand-père de votre père, comme j’ai déjà eu l’honneur de vous le dire, firent des briques pour la grand-mère de ma tante. La grand-mère de ma tante, voulant leur être agréable…

NATALIA STEPANOVNA. – Grand-père, grand-mère, tante… je n’y comprends rien… Les Petits-Prés sont à nous, voilà tout.

LOMOV. – Ils sont à moi, mademoiselle.

NATALIA STEPANOVNA. – A nous ! Quand vous essaieriez de le prouver pendant deux jours, quand vous mettriez quinze habits, ils sont à nous, à nous, à nous !…[Omission]

   Une demande en mariage
   by Anton Pavlovitch Tchekhov
   E-text at labo-BERGAHAMMOU


 Video 7  ドイツ語
[de] Anton Tschechov - Der Heiratsantrag

下に引用する台詞は9:26あたりから。The lines quoted below start around 9:26.


■ドイツ語訳 Translation into German

LOMOV: Hören Sie mich zu Ende, ich flehe Sie an! Die Bauern des Großvaters Ihres Herrn Vater haben, wie ich bereits zu sagen die Ehre hatte, für die Großmutter meiner Tante Ziegel gebrannt. Meiner Tante Großmutter hat, im Wunsche, ihnen etwas Gutes zu tun ...

NATALJA STEPANOVNA: Großvater, Großmutter, Tante ... ich verstehe überhaupt nichts! Die Wiesen gehören uns, und damit Schluß!

LOMOV: Sie gehören mir!

NATALJA STEPANOVNA: Nein, uns! Und wenn Sie zwei Tage brauchen, um es mir zu beweisen, und wenn Sie zehn, fünfzehn Fräcke anziehen, sie gehören uns, uns, uns! ...[Omission]

   Der Heiratsantrag by Anton Tschechow
   E-text at ODYSSEE Theater [PDF]


■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian

Л о м о в. Вислухайте мене, благаю вас! Селяни дідуся вашого батенька, як я вже мав честь доповісти вам, випалювали для бабці моєї тітоньки цеглу. Тітоньчина бабця, воліючи зробити їм приємсн6ість…

Н а т а л і я С т е п а н і в н а. Дідусь, бабуся, тітуся… нічого я тут до толку не зберу! Луки наші, і все!

Л о м о в. Мої-с!

Н а т а л і я С т е п а н і в н а. Наші! Хоч і два дні доказуйте, хоч надягніть п’ятнадцять фраків, а вони однаково наші, наші, наші!.. [Omission]

   Антон Чехов  - Пропозиція
   E-text at Lib.ru: "Івано-Франківський театр ляльок"


 Video 8  ロシア語
[ru] Антон Чехов - Предложение Часть 2

モスクワ芸術座による公演。下に引用する台詞は0:00あたりから。 Produced by the Moscow Art Theatre. The lines quoted below start around 0:00. Из спектакля МХАТ им. А.П.Чехова "Чеховские страницы", Реж-ры: И.Мирошниченко, Е.Радомысленский. Гастроли на Сахалине, съемка 1990 г.


■ロシア語原文 The original text in Russian

Л о м о в. Выслушайте меня,  умоляю  вас!  Крестьяне  дедушки  вашего  батюшки,  как я уже имел честь сказать вам,  жгли для бабушки моей тетушки  кирпич. Тетушкина бабушка, желая сделать им приятное...

Н а т а л ь я  С т е п а н о в н а.   Дедушка,   бабушка,  тетушка... ничего я тут не понимаю! Лужки наши, вот и всё.

Л о м о в. Мои-с!

Н а т а л ь я  С т е п а н о в н а.   Наши!   Хоть   вы    два    дня доказывайте,  хоть наденьте пятнадцать фраков,  а они наши,  наши, наши!.. [Omission]

   Антон Павлович Чехов - Предложение
   E-text at:
   * Интернет-библиотека
   * Lib.ru: "Классика"


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

「プロポーズ」
「犬」
「申込」
「申込み」
「結婚の申しこみ」
「結婚申しこみ」
「結婚申込」
「結婚申込み」


 邦訳リストA  「プロポーズ Предложение」 訳者別新旧順
★を付けたのが、上に引用した本

(J1) 浦雅春訳 2012
★2012-11  プロポーズ 光文社古典新訳文庫 『桜の園/プロポーズ/熊

(J2) 牧原純・福田善之訳 2006
★2006-12  結婚申込 群像社 ロシア名作ライブラリー7 『結婚、結婚、結婚 !(一幕戯曲選)

(J3) 松下裕訳 1988, 1994, etc.
  2004-09  結婚申しこみ 水声社 『チェーホフ戯曲選
  1994-05  結婚申しこみ 筑摩書房 ちくま文庫・『チェーホフ全集10
★1988-06  結婚申しこみ 筑摩書房 チェーホフ全集11

(J4) 牧原純訳 1969
★1969-06  結婚の申し込み 集英社 『デュエット版 世界文学全集 第43 三人姉妹・桜の園 他

(J5) 原卓也訳 1960, 1976
  1976     プロポーズ 中央公論社 『チェーホフ全集11』 再訂版
★1960-03  プロポーズ 中央公論社 『チェーホフ全集11

(J6) 野崎韶夫訳註 1960
★1960-01  結婚申込み 大学書林 大学書林語学文庫 『結婚申込み・熊

(J7) 中村白葉訳 1935, 1952, etc.
  1958-05  結婚申込み 修道社 ロシア文学全集21 『チェーホフ2
★1952-09  結婚申込み 新潮社 新潮文庫 『三人姉妹・結婚申込み
  1935-10  申込み 金星堂 『チェーホフ全集12

(J8) 文芸社編輯部訳 1929
  1929-10  犬(原題結婚申込) 文芸社 世界文芸叢書11 『熊と犬

(J9) 高倉輝(タカクラテル)訳 1929, 1953
  1953-08  結婚申込 タカクラテル訳 理論社 タカクラテル名作選 『チェホフ戯曲集
★1929-01  結婚申込 第一書房 近代劇全集28 『露西亜篇

(J10) 花井修三郎訳 1928
  1928-03  犬 中央出版社 袖珍世界文学叢書5 『チエホフ集

(J11) 米川正夫訳 1923, 1926, etc.
  2010-11  結婚申込み 筑摩書房 ちくま文庫・ちくま文学の森4 『おかしい話
★1988-04  結婚申込み 筑摩書房 ちくま文学の森5 『おかしい話
  1957-04  結婚申込み 角川書店 角川文庫 『結婚申込み・他四篇
  1949-12  結婚申込 小山書店 『チェーホフ選集5
  1939-02  結婚申込 岩波書店 岩波文庫 『チェーホフ一幕物全集
  1926-09  申込 岩波書店 『チェーホフ戯曲全集(上)
  1923-08  申込 近代劇大系刊行会 近代劇大系14 『露西亜篇2

(J12) 仲木貞一訳 1915
★1915-02  結婚申込〔戯曲〕 早稲田文学

(J13) 小山内薫訳 1910, 1913, etc.
  2003-03  犬 大空社・ナダ出版センター 明治翻訳文学全集翻訳家編20 『小山内薫集
  1927-12  犬 近代社(世界戯曲全集刊行会) 世界戯曲全集24・露西亜篇2 『露西亜 近代劇集
  1926-12  犬 春陽堂 ラヂオドラマ叢書4 『炭坑の中
★1913-02  犬 大日本図書 『近代劇五曲
  1910-07  犬(脚本) 新小説


 邦訳リストB  「プロポーズ Предложение」 刊行年新旧順
★を付けたのが、上に引用した本

 平成 
★2012-11  プロポーズ 浦雅春訳 光文社古典新訳文庫 『桜の園/プロポーズ/熊
  2010-11  結婚申込み 米川正夫訳 ちくま文庫 『おかしい話
★2006-12  結婚申込 牧原純・福田善之訳 群像社 『結婚、結婚、結婚 !(一幕戯曲選)
  2004-09  結婚申しこみ 松下裕訳 水声社 『チェーホフ戯曲選
  2003-03  犬 小山内薫訳 大空社 明治翻訳文学全集翻訳家編20 『小山内薫集
  1994-05  結婚申しこみ 松下裕訳 ちくま文庫 『チェーホフ全集10

 昭和 
★1988-06  結婚申しこみ 松下裕訳 筑摩書房 『チェーホフ全集11
★1988-04  結婚申込み 米川正夫訳 筑摩書房 『おかしい話
  1976     プロポーズ 原卓也訳 中央公論社 『チェーホフ全集11』 再訂版
★1969-06  結婚の申し込み 牧原純訳 集英社 『世界文学全集 第43 三人姉妹・桜の園 他
★1960-03  プロポーズ 原卓也訳 中央公論社 『チェーホフ全集11
★1960-01  結婚申込み 野崎韶夫訳註 大学書林 『結婚申込み・熊
  1958-05  結婚申込み 中村白葉訳 修道社 『チェーホフ2
  1957-04  結婚申込み 米川正夫訳 角川文庫 『結婚申込み・他四篇
  1953-08  結婚申込 タカクラテル訳 理論社 『チェホフ戯曲集
★1952-09  結婚申込み 中村白葉訳 新潮文庫 『三人姉妹・結婚申込み
  1949-12  結婚申込 米川正夫訳 小山書店 チェーホフ選集5
  1939-02  結婚申込 米川正夫訳 岩波文庫 『チェーホフ一幕物全集
  1935-10  申込み 中村白葉訳 金星堂 『チェーホフ全集12
  1929-10  犬(原題結婚申込) 文芸社編輯部訳 文芸社 『熊と犬
★1929-01  結婚申込 高倉輝訳 第一書房 近代劇全集28 『露西亜篇
  1928-03  犬 花井修三郎訳 中央出版社 『チエホフ集
  1927-12  犬 小山内薫訳 近代社 世界戯曲全集24・露西亜篇2 『露西亜 近代劇集

 大正 
  1926-12  犬 小山内薫訳 春陽堂 ラヂオドラマ叢書4 『炭坑の中
  1926-09  申込 米川正夫訳 岩波書店 『チェーホフ戯曲全集(上)
  1923-08  申込 米川正夫訳 近代劇大系刊行会 『露西亜篇2
★1915-02  結婚申込〔戯曲〕 仲木貞一訳 早稲田文学
★1913-02  犬 小山内薫訳 大日本図書 『近代劇五曲

 明治 
  1910-07  犬(脚本) 小山内薫訳 新小説


■書誌情報——本とウェブサイト Bibliography: Books & Websites

上のリストAとリストBを作成するにあたっては、つぎの各サイト・書籍を参考にさせていただきました:

   * チェーホフ翻訳作品 年表 榊原貴教氏 作成
   * チェーホフ作品カタログ - 日本ロシア語情報図書館
   * アントン・チェーホフ - 翻訳作品集成 Takashi Amemiya氏 作成
   * アントン・チェーホフ - Aga-Search N・M卿 作成
   * アントン・チェホフ - 翻訳アンソロジー/雑誌リスト てつの本棚
   * 国立国会図書館 NDL-OPAC
   * 図説 翻訳文学総合辞典 全5巻 大空社・ナダ出版センター 2009-11


■筒井康隆とチェーホフ「結婚申込」ほか

高校での最後の文化祭でぼくはほとんどの部員に、自分で脚色した漱石の『虞美人草』を演じさせ、ぼく自身は出演者三人だけで手堅くチェーホフの「結婚申込」を演じた。うちにあった近代劇大系『露西亜篇2』に米川正夫訳の戯曲が載っていたし、以前ラジオで文学座の舞台中継を聞いていたから、どう演じるべきかはわかっていた。[以下略]

   結婚申込 [著]チェーホフ [筆者] 筒井康隆(作家)
   朝日新聞 2009-09-13
   電子版: asahi.com 結婚申込 [著]チェーホフ - 漂流 本から本へ - BOOK


■チェーホフと太宰治・正宗白鳥・小山内薫など

チェーホフ作品の翻案や舞台公演などについての随想。

   チェーホフの芝居のことなど 【図書館長のつぶやき】
   筆者: 岩佐壮四郎(いわさ・そうしろう) 関東学院大学図書館館長
   Library talk : 関東学院大学図書館報 2010-11(ウェブ版公開は2011-04-19)


■外部リンク External links

 [ru] Русский
   * Библиография Антона Чехова — Википедия
 [en] English
   * Bibliography of Anton Chekhov - Wikipedia
   * Anton Chekhov Biography (Andreas Teuber Home Page)
 [ja] 日本語
   * アントン・チェーホフ - Wikipedia (1860-1904)


■更新履歴 Change log

2013-03-01 ウクライナ語訳を追加しました。
2013-01-23 浦雅春=訳 2012-11-20 を追加しました。
2011-07-13 ジュリアス・ウェストによる英訳の朗読の YouTube 画面を
         追加しました。
2011-06-26 牧原純=訳 1969-06-26 の訳文を挿入しました。
2011-06-17 野崎韶夫=訳註 1960-01-15 の訳文を挿入しました。また、
         原卓也=訳と牧原純=訳の書誌情報を補足しました。


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■洋書 Books in non-Japanese languages
[de] Tschechow

[es] Chejov

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[en] [fr] Tchekhov

■和書 Books in Japanese

  

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Tuesday, 09 March 2010

Антон Чехов - Скрипка Ротшильда / Rothschild's Fiddle by Anton P. Chekhov チェーホフ 「ロスチャイルドのバイオリン」「ロスチャイルドのヴァイオリン」「ロスチャイルドのワ゛ヰオリン」「提琴」

■はじめに Introduction

貧しい棺桶屋と彼の持つバイオリンについての短いお話。


■フレーイシュマン+ショスタコーヴィチ 歌劇「ロスチャイルドのヴァイオリン」1/3
 Fleishmann/Shostakovich "Rothschild's Violin" Part 1 of 3

チェーホフの短篇小説にもとづいた一幕物オペラ。夭逝した弟子フレーイシュマンが未完のまま残した作品を師ショスタコーヴィチが完成させた。


■日本語訳 Translation into Japanese

(1) 浦 2010
 その田舎町はちっぽけで、村に比べても見劣りがした。しかも、そこに住んでいるのはほとんど年寄りばかりで、これがまた滅多に死なず、腹立たしくなるくらいだ。病院でも監獄でも棺桶が注文されることはほとんどない。要するに、商売はあがったりなのだ。もしヤコフ・イワーノフが県庁所在地の棺桶屋であったなら、家一軒でんとかまえ、うやうやしくヤコフ・マトヴェーイチさまとでも称されたところだが、この町ではただたんにヤコフと呼び捨てにされ、どういうわけか〈青銅(ブロンザ)〉とあだ名されていた。暮らしぶりは水呑み百姓のように貧しく、一間っきりの小さなあばら屋に暮らし、その一間にヤコフとマルファ、暖炉、二人用の寝台、棺桶、作業台、商売道具の一切が収まっていた。

   アントン・チェーホフ=著 浦雅春(うら・まさはる)=編訳
   「ロスチャイルドのヴァイオリン」
   『馬のような名字—チェーホフ傑作選
   河出文庫 2010-03-20 版元による この本の紹介


(2) 沼野 2009, 2010
 ちっぽけな町で、村にもひけをとるくらいだった。住んでいるのも年寄りばかり、しかもなかなか死なないので、いまいましくなるくらいだ。病院からも、監獄からも、棺桶の注文はめったになかった。これじゃあ、商売あがったりだ。もしもヤーコフ・イワノフが県庁所在地の都会で棺桶屋をやっていたら、立派な家を構え、イワノフ様なんて呼ばれていたことだろう。でもこのしけた町では、おい、ヤーコフ、と呼びすてにされ、なぜか「青銅(ブロンザ)」というあだ名まで付けられていた。暮らしは貧しく、一部屋しかない古い小屋に、しがない農民のように住んでいた。その部屋には彼のほか、マルファと、暖炉と、二人用の寝台と、いくつもの棺桶と、作業台と、所帯道具の一切合財が詰め込まれていたのだ。

   アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ=著
   沼野充義(ぬまの・みつよし)=訳 「ロスチャイルドのバイオリン」
   a.新訳 チェーホフ短篇集』 集英社 2010-09-30
     版元による この本の紹介
   b.すばる』 集英社 2009年6月号
   初出誌は b.。引用は a. に拠りました。傍点を下線で置き換えました。


(3) 児島 2005
 その町はいかにも小さかった。
 暮らし向きは寒村よりさらにひどく、住んでいる人はといえばほとんどが老人だった。
 そして、この人たちが亡くなるのは腹立たしいほど稀(まれ)なこと。つまり、棺桶(かんおけ)なるものは病院でも牢屋(ろうや)でもまずは必要とされない。
 かいつまんで言うと、棺桶づくりの仕事は繁盛(はんじょう)とは、まず関係がなかった。
 ヤーコフ・イワーノフが、もし県都の棺桶屋だったら、きっと持家の一軒も建てて、ふつうにヤーコフ・マトヴェーヴィチと呼ばれたことだろう。
 だも彼はこの町で単にヤーコフと呼ばれ、巷(ちまた)ではなぜか綽名(あだな)の〈青銅(ブロンザ)〉で通っていた。
 暮らし向きは良くなく、大かたの農民と同じように、一部屋きりの古い小さな農家に、妻のマルファと暮らしていた。
 家には暖炉(ペチカ)、二人用の寝台、いくつかの棺桶、作業台、家事や仕事に必要な小道具類などが、手狭な場所にさらにすきなく置かれていた。

   アントン・P・チェーホフ=作 イリーナ・ザトゥロフスカヤ=絵
   児島宏子(こじま・ひろこ)=訳
   『ロスチャイルドのバイオリン』 チェーホフ・コレクション
   未知谷 2005-02-25 版元によるこの本の紹介


(4) 松下 1986
 このいなか町はちっぽけで、村にも劣り、ほとんど老人ばかりが住んでいたが、その老人たちがまた腹立たしいほどめったに死ななかった。病院だろうと監獄だろうと、棺桶(かんおけ)のいることなどそれこそめずらしかった。ひと口(くち)に言って商売はあがったりだった。もしもヤーコフ・イワーノフが県庁所在地の棺桶屋だったら、きっと自分の家も持ち、ちゃんとヤーコフ・マトヴェーイチと呼ばれたにちがいなかった。こんないなか町のこととて、ただヤーコフと呼びすてにされるだけで、通り名をなぜかブロンザ(青銅)と言い、たったひと間(ま)きりの小さな古ぼけた小屋に、水呑(みずのみ)百姓同然のしがない暮しをしていた。このひと間に、彼とマールファ、暖炉、ふたり用の寝台、棺桶、かんな台、そして世帯道具いっさいが同居しているのだった。

   チェーホフ=作 松下裕(まつした・ゆたか)=訳
   「ロスチャイルドのヴァイオリン」
   『幸福 谷間』 麥秋社 1986-11-25


(5) 池田 1960, 1976, etc.
 その田舎町は村よりちっぽけで、ほとんど老人ばかりが住んでいたが、その老人たちがいまいましくなるぐらい、めったに死ななかった。病院でも監獄でも、だから、棺桶が必要になるのはごく稀だった。ひと口に言えば、商売あがったりである。もしヤーコフ・イワーノフが県庁所在地の棺桶屋だったら、たぶん自分の家の一つも持って、まっとうにヤーコフ・マトヴェーイチと呼ばれただろうが、この田舎町ではただ素気なくヤーコフと呼ばれるだけで、なぜか通り名を「青銅(ブロンザ)」と言い、ひと間(ま)きりの小さい古い百姓小屋に、水呑み百姓も同じ貧乏暮らしを送っていた。このたったひと間に、彼とマルファと、暖炉と、二人用の寝台と、棺桶と、かんな台と、世帯道具いっさいが詰め込まれていたのである。

   チェーホフ=作 池田健太郎(いけだ・けんたろう)=訳
   「ロスチャイルドのバイオリン」
   a.チェーホフ 短篇と手紙』 みすず書房 2002-01-07
   b.チェーホフ全集9』 中央公論社 1976
   c.チェーホフ全集9』 中央公論社 1960
   引用は a. に拠りました。


(6) 中村 1936
 村よりひどい位のちつぽけな田舎町で、そこには殆ど老人ばかりが住んでゐたが、それがまた死なないことゝと言つたら、忌々しい位であつた。それで、病院でも、監獄でも、棺の需要は非常に少なかつた。一口に言ふと、商売が甚だ面白くなかつたのである。若しヤーコフ・イワーノフがこれで縣廳所在市の棺屋だつたら、彼は今頃はきつと自分の家の一つも持つて、人からもヤーコフ・マトヴェーイチと呼ばれて、幾らか立てられる身分にもなつてゐたであらうが、この町ではたゞマトヴェイと呼ばれるだけで、町での綽名は何故かブロンザ(青銅の意)と言ふのだつた、そしてまるで水呑百姓のやうに、一間きりの小さな古い家に貧乏暮らしをしてゐて、その一間に、彼と、マールファと、暖炉と、二人寝の寝台と、幾つもの棺と、仕事台と、一切の家財道具とがあるのだつた。

   チェーホフ=作 中村白葉(なかむら・はくよう)=譯
   「ロスチャイルドのワ゛ヰオリン」
   『チェーホフ全集9 黑衣の僧』 金星堂 1936-02-20(昭和11)


(7) 楠田 1910
[ルビを取り除いたテキスト]
町と云つても殆んど名ばかりで村と變らない。——住んで居る人々は多く老人のみだが、死亡と云ふ事は滅多に無い。是は彼に取つて明かに苦痛である。病院でも監獄でさへも棺の必要は餘り無い。言換れば商賣が繁昌しないのである。若しヤコブ・イバノフが市の棺造人であつたならば、彼は普通の家も有つて、ヤコブ・マヴイエッチと稱へて居たのであらう。然れども實際はヤコブと云ふ名で知られて居つて、其の理由は解らないがブロンザと云ふ綽名を有つて居る。唯一間しか無い昔の茅屋に住んで居つて、水呑百姓として貧しく暮して居つた。茅屋の内には妻のマーファも居れば、暖爐や、二人寢の寢臺、棺桶、指物師用の腰掛、其の他の器具もある。

[原文——ルビ付き]
町(まち)と云(い)つても殆(ほと)んど名(な)ばかりで村(むら)と變(かは)らない。——住(す)んで居(ゐ)る人々(ひと/゛\)は多(おほ)く老人(らうじん)のみだが、死亡(しぼう)と云(い)ふ事(こと)は滅多(めつた)に無(な)い。是(これ)は彼(かれ)に取(と)つて明(あきら)かに苦痛(くつう)である。病院(びやうゐん)でも監獄(かんごく)でさへも棺(くわん)の必要(ひつよう)は餘(あま)り無(な)い。言換(いひかへ)れば商賣(しやうばい)が繁昌(はんじやう)しないのである。若(も)しヤコブ・イバノフが市(し)の棺造人(くわんつくりにん)であつたならば、彼(かれ)は普通(ふつう)の家(うち)も有(も)つて、ヤコブ・マヴイエッチと稱(とな)へて居(ゐ)たのであらう。然(け)れども實際(じつさい)はヤコブと云(い)ふ名(な)で知(し)られて居(を)つて、其(そ)の理由(りいう)は解(わか)らないがブロンザと云(い)ふ綽名(あだな)を有(も)つて居(ゐ)る。唯(たゞ)一間(ひとま)しか無(な)い昔(むかし)の茅屋(こや)に住(す)んで居(を)つて、水呑(みづのみ)百姓(しやう)として貧(まづ)しく暮(くら)して居(を)つた。茅屋(こや)の内(うち)には妻(つま)のマーファも居(を)れば、暖爐(ストーブ)や、二人寢(ふたりね)の寢臺(ねだい)、棺桶(くわんをけ)、指物師用(さしものしよう)の腰掛(こしかけ)、其(そ)の他(た)の器具(きぐ)もある。

   チエーホフ=著 「提琴」
   表紙表示: 楠田麥圃(くすだ・ばくほ)=譯
   奥付表示: 楠田斧三郎(くすだ・おのさぶろう)=譯
   a.チエーホフ短篇集』 国立国会図書館 近代デジタルライブラリー
   b.チエーホフ短篇集』 内外出版協會 1910-02(明治43)
   亡・要・若の旧字は新字で置き換えました。


■イタリア語訳 Translation into Italian

La cittadina era piccola, peggio di un villaggio, e vi vivevano quasi soltanto dei vecchi, i quali morivano così raramente che era addirittura un dispetto. All'ospedale e alla prigione, di bare ne richiedevan pochissime. In una parola, gli affari erano cattivi. Se Jakov Ivànov fosse stato fabbricante di bare nella città principale del governatorato, certamente avrebbe avuta una casa propria e l'avrebbero chiamato Jakov Matvèi£c£; qui in questa cittaduzza lo chiamavano semplicemente Jakov, e per di più i ragazzi di strada gli avevano dato, chissà perché, il soprannome di Bronza; ed egli viveva poveramente, come un semplice contadino, in una piccola casupola vecchia, nella quale c'era soltanto una camera, e in questa camera avevano posto lui, Marfa, la stufa, un letto matrimoniale, le bare, il banco da lavoro e tutto quel che occorre alla vita quotidiana.

   Il violino di Rotschild by Anton Cechov
   E-text at Uto Ughi Fan Club - Letteratura


■スペイン語訳 Translation into Spanish

El pueblecito era pequeño, peor que una aldea; vivían en él casi nada más que viejos, los cuales morían tan de tarde en tarde que incluso fastidiaba. En el hospital y en los calabozos de la cárcel había poca necesidad de ataúdes. En una palabra, las cosas iban mal. Si Yakov Ivanov hubiera sido fabricante de ataúdes en una ciudad de provincia, seguramente tendría casa propia y le llamarían Yakov Matvéich, pero aquí en el pueblecilio le llamaban simplemente Yakov. Su apodo callejero era, no se sabe por que, Bronce, y vivía pobremente, como un simple campesino, en una pequeña y vieja isba, en la cual había una sola habitación, y en esa habitación tenían cabida él, Marfa, la estufa, la cama de matrimonio, el banco de trabajo y todos sus utensilios.

   El violín de Rothschild by Anton Chejov
   Quoted in La historia comienza: ensayos sobre literatura by Amos Oz
   Siruela, 2007


■フランス語訳 Translation into French

La ville était une petite, pire qu'un village, et il a été habité par à peine en mais vieux peuple qui sont morts avec une rareté qui ennuyé vraiment. Dans l'hôpital et dans la forteresse de prison très peu de cercueils ont été eus besoin. En fait l'affaire était mauvaise. Si Yakov Ivanov avait été entrepreneur des pompes funèbres dans la ville principale de la province il aurait eu certainement une maison de son propre, et les gens auraient l'adressé comme Yakov Matveyitch;  ici dans ce misérable peu les gens de ville l'ont appelé simplement Yakov;  son surnom dans la rue était pour quelque Bronze de la raison, et il habitait dans un chemin pauvre comme un humble paysan, dans un peu vieille hutte dans lequel il y avait seulement une pièce, et dans cette pièce lui et Marfa, le poêle, un double lit, les cercueils, son banc, et toutes leurs affaires ont été entassées ensemble.

   Le violon de Rothschild by Anton Pavlovich Chekhov
   E-text at Le douzième projet


■英訳 Translation into English

The town was a little one, worse than a village, and it was inhabited by scarcely any but old people who died with an infrequency that was really annoying. In the hospital and in the prison fortress very few coffins were needed. In fact business was bad. If Yakov Ivanov had been an undertaker in the chief town of the province he would certainly have had a house of his own, and people would have addressed him as Yakov Matveyitch; here in this wretched little town people called him simply Yakov; his nickname in the street was for some reason Bronze, and he lived in a poor way like a humble peasant, in a little old hut in which there was only one room, and in this room he and Marfa, the stove, a double bed, the coffins, his bench, and all their belongings were crowded together.

   Rothschild's Fiddle by Anton P. Chekhov
   from The Chorus Girl and Other Stories (1920)
   Translated by Constance Garnett
   E-text at The Literature Network


■ロシア語原文 The original text in Russian

Городок был маленький, хуже деревни, и жили в нем почти одни только старики, которые умирали так редко, что даже досадно. В больницу же и в тюремный замок гробов требовалось очень мало. Одним словом, дела были скверные. Если бы Яков Иванов был гробовщиком в губернском городе, то, наверное, он имел бы собственный дом и звали бы его Яковом Матвеичем; здесь же в городишке звали его просто Яковом, уличное прозвище у него было почему-то Бронза, а жил он бедно, как простой мужик, в небольшом старой избе, где была одна только комната, и в этой комнате помещались он, Марфа, печь, двухспальная кровать, гробы, верстак и всё хозяйство.

   Антон Чехов
   Скрипка Ротшильда
   E-text at Интернет-библиотека


■外部リンク External links

 書評 Book reviews
   * 『ロスチャイルドのバイオリン』 書評:児島宏子の奄美日記
   * 朝の書評:『チェーホフ 短篇と手紙』

 著者について On the author
   [zh] 安東·帕夫洛維奇·契訶夫 - 維基百科 (1860-1904)
   [ja] アントン・チェーホフ - Wikipedia (1860-1904)
   [fr] Anton Tchekhov - Wikipédia (1860-1904)
   [en] Anton Chekhov - Wikipedia (1860-1904)
   [de] Anton Pawlowitsch Tschechow – Wikipedia (1860-1904)
   [ru] Чехов, Антон Павлович — Википедия (1860-1904)


■更新履歴 Change log

2012-02-03 楠田斧三郎=譯 1910-02 を追加しました。
2012-02-02 イタリア語訳とスペイン語訳を追加しました。
2010-09-30 沼野充義=訳 2010-09-30 を追加しました。
2010-03-12 浦雅春=編訳 2010-03-20 を追加しました。


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Friday, 08 August 2008

Антон Чехов - Чайка (4) The Seagull by Anton Pavlovich Chekhov (4) チェーホフ『かもめ』 (4)

« 1 2 3 The Seagull »
« 1 2 3 かもめ »


■はじめに Introduction

『かもめ 四幕の喜劇』の第四幕のセリフから下に引用する。


■表紙画像 Cover photos

Leftかもめ』 新読書社 (2006)
Centre かもめ—四幕の喜劇』 ロシア名作ライブラリー 群像社 (2002)
Right かもめ・ワーニャ伯父さん』 新潮文庫 (1967)

↓ Click to enlarge ↓

4788070588 192370 31462006

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 佐藤 2011
トレープレフ:(……)月夜の描写は長くて気取ってばかりだ・・・トリゴーリンなら使う手が決まってるから楽なもんだ・・・月夜だろ、土手の上に空き瓶の破片がきらきらしている。水車が影を落としている。それでできあがりだ。

   アントン・チェーホフ=作 佐藤康(さとう・やすし)=訳
   「かもめ」(マルコヴィッチ&モルヴァンによるフランス語版から)
   その9(最終回)
   四幕の喜劇 1895年オリジナル版
   とんぼのメガネ 2011/01/10


(J2) 浦 2010
トレープレフ:(……)月明かりの夜の描写は長ったらしいし、もったいぶっている。トリゴーリンなら彼一流のやり方があって、こんなもの造作もないんだ……。やつなら、堤防の上に割れたボトルの口がきらりと光り、水車の影が黒ずんでいたとか書けば、月夜の描写は一丁上がりだ。

   チェーホフ=作 浦雅春(うら・まさはる)=訳
   『かもめ』 岩波文庫 2010/01/15


(J3) 沼野 2008
トレープレフ:(……)月夜の描写は長たらしくて、凝りすぎだ。トリゴーリンは自分の手法を編み出したから、彼にはお手のものだけれど……。あの男なら、割れたガラス瓶のくびが土手できらめき、水車の車輪が黒い影を投げている——それでもう月夜のいっちょ上がり。

   アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ=作 沼野充義=訳
   「かもめ—四幕のコメディ」 『すばる』 集英社 2008年7月号収載
   この翻訳を使用した舞台「かもめ」(演出:栗山民也、出演:藤原竜也、
   鹿賀丈史ほか)は、東京・大阪・広島・名古屋を巡業中。公演「かもめ」
   公式サイト(ホリプロ)は こちら。公式ブログは こちら


(J4) 中本 2006
トレープレフ:(……)月夜の描写は長たらしく、凝りすぎだ。トリゴーリンは、手法がきまっているから、楽なもんだ…… あいつなら、土手の上にこわれた瓶(びん)の首がきらきら光って、水車の影が黒く見える—それでもう月夜はできあがり。

   アントン・チェーホフ=作 中本信幸=訳
   『かもめ』 新読書社 2006/07


(J5) 堀江 2002
コースチャ:(……)月夜のシーンは長いし、凝り過ぎだ。トリゴーリンは自分の手法を身に付けているから、簡単でいい。彼の場合、土手の上の割れたガラス瓶が光って、水車の影が暗く見える——これで月夜ができあがり。

   アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ=作 堀江新二=訳
   『かもめ—四幕の喜劇』 ロシア名作ライブラリー4 群像社 2002/11


(J6) 堀内 2000-2005
トレープレフ:(……)月夜の描写も長ったらしいし、クドい。トリゴーリンだったらきっと、例の小技でやっつけちまうでしょう。「土手にきらめく割れた瓶と、水車の黒い影」……これで月夜ができちまう。

   アントン・チェーホフ=作 堀内仁=訳
   「かもめ現代演劇翻訳テキスト集
   Copyright (c) LABO! & Horiuchi Jin, 2000-2005
   LABO! の公演用に訳出されたもの。以下のような注記があります:

   なにより「面白い」上演のためのテキストたらんことを望みました。
   そのため、原書に対しては必ずしも忠実ではありません。
   また、アカデミックな研究には寄与するものではないことをご了解ください。


(J7) 小田島 1998
トレープレフ:(……)月夜の描写がまた——長すぎるし、凝りすぎてる。トリゴーリンは独特の小技(こわざ)を身につけてきたから——苦労しないですむんだ……貯水池の土手に割れた壜の首がキラキラ光り、そのかたわらに水車の影が黒々と落ちている——これでもう月夜ができてしまう。

   アントン・チェーホフ=作 小田島雄志=訳
   『かもめ』 ベスト・オブ・チェーホフ 白水Uブックス126 1998/12
   マイケル・フレインの英訳(The Seagull, translation by Michael Frayn, 
   Translation copyright (c) 1988, 1991)からの重訳


(J8) 松下 1988, 1993, etc.
トレープレフ:(……)月夜の描写が長たらしくて、しゃれすぎてるんだ。トリゴーリンなら手が決まってるから楽なもんだ……。あいつなら、土手に割れた瓶(びん)のくびがきらきらしてて、水車の影が黒く見える——それでもう月夜ができるんだ。

   アントン・チェーホフ=著 松下裕(まつした・ゆたか)=訳
   a. チェーホフ戯曲選』 水声社 2004/09 所収
   b.チェーホフ全集11 三人姉妹・桜の園』 ちくま文庫 1993/10 所収
   c.チェーホフ全集11 白鳥の歌・かもめ』 筑摩書房 1988/06 所収
   引用は c. に拠りました。


(J9) 木村(浩) 1979
トレープレフ:(……)月夜の描写なんて、長ったらしくて、凝りすぎている。でも、トリゴーリンなんかは手法が決ってるから、楽なもんだ。奴さんなら、土手の上に割れたびんの首がキラキラ光っていて、水車の黒い影がみえる——まあ、こんなところで月夜の描写は片がつくわけだが(……)

   チェーホフ=作 木村浩=訳 「かもめ」
   『世界文学全集39 チェーホフ』 学習研究社(学研) 1979/09/01 所収
   傍点は下線で置き換えました。


(J10) 原 1978, 1991
トレープレフ:(……)月夜の描写も長たらしくて、気取りすぎてるな。トリゴーリンなら、自分の手法を作りだしてるから、たやすいもんだ……あの男なら、土手の上に割れた壜(びん)の首が光っていて、水車の影が黒く落ちていれば、それでもう月夜は出来上がりだからな。

   チェーホフ=作 原卓也=訳 「かもめ」
   a.集英社ギャラリー [世界の文学]13 ロシア1』 集英社 1991/03 所収
   b.集英社版 世界文学全集59』 綜合社=編集 集英社=発行
     1978/04 所収
   引用は a. に拠りました。


(J11) 木村(彰) 1976
トレープレフ:(……)月夜の描写は長ったらしいし、それに凝りすぎている。トリゴーリンは完成された自分の手法があるから、仕事は楽なもんだ……あの男なら、こわれたびんの口がきらきら土手の上に光っていて、水車の影が黒く落ちていると書けば、もう月夜ができあがっちまう。

   チェーホフ=作 木村彰一=訳 「かもめ」
   『豪華版 世界文学全集22 チェーホフ』 講談社 1976/10 所収


(J12) 石山+飯田 1960
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

   チェーホフ=作
   石山正三(いしやま・しょうぞう)+飯田規和(いいだ・のりかず)=訳
   「かもめ」
   『ポータブル・チェーホフ』 ポータブル・ライブラリィ
   パトリア・ブックス22 パトリア書店 1960/05 所収


(J13) 中村 1959
トレープレフ:(……)月夜の描写は長すぎるばかりか、こりすぎだ。トリゴーリンにはもうちゃんと型ができているから楽なもんだ……あの男の手にかかると、土手の上にこわれた罎の口がきらきら光って、水車の影が黒くなっている——これでもう立派に月夜ができあがるのだ。

   チェーホフ=作 中村白葉=訳 「かもめ」
   『新版世界文学全集20 桜の園・三人姉妹
   新潮社 1959/01 所収


(J14) 倉橋 1956
トレープレフ:(……)月夜の描写は長ったらしい上に、凝りすぎている。トリゴーリンは自分の手法をちゃんと作ってしまっているからな、楽なもんだ……あの男なら、土手の上に毀れた壜の口がきらきら光って、水車の影が黒く映つている——これでもう月夜が出来あがってしまう。

   チェーホフ=作 倉橋健(くらはし・たけし)=訳 「かもめ」
   『チェーホフ名作集』 白水社 1956/09/20 所収


(J15) 神西 1954, 1967, etc.
トレープレフ:(……)月夜の描写が長たらしく、凝りすぎている。トリゴーリンは、ちゃんと手法がきまっているから、楽なもんだ。……あいつなら、土手の上に割れた瓶(びん)のくびがきらきらして、水車の影が黒く落ちている——それでもう月夜ができあがってしまう。

   チェーホフ=作 神西清=訳「かもめ」
   a. 青空文庫 電子テキスト作成作業中
   b. 新潮世界文学23 チェーホフ』 新潮社 1969/07 所収
   c.チェーホフ全集12 戯曲2』 中央公論社 1968/10 所収
   d.かもめ・ワーニャ伯父さん』 新潮文庫 1967/09 所収
   e.世界文学全集 第1期 第12』 河出書房 1954 所収

   神西訳は、以上のほか多数の版に収められています。その詳細なリストは、
   たとえば 『可愛い女・犬を連れた奥さん 他一篇』 岩波文庫(改版)
   2004/09 の巻末にある「神西清訳のチェーホフ作品」で見ることができます。
   a. の底本は d.。引用は d. に拠りました。


(J16) 湯浅 1952, 1976
トレープレフ:(……)月の晩の描写は長くて凝りすぎている。トリゴーリンは自分の手法を作ってしまっているからな、あの男は楽なんだ……あの男の場合は、堤(どて)の上に毀れた壜の口が光っていて、水車の車輪の影が黒ずんでいる——ほら、これで月夜はちゃんとできている。

   チェーホフ=作 湯浅芳子=訳
   a. かもめ』 岩波文庫(改版)1976/05
   b. 『かもめ』 岩波文庫(初版)1952/05
   引用は a. に拠りました。


(J17) 中村 1935
トレープレフ:(……)月夜の描冩は長過ぎるばかりか、綺麗すぎる。トリゴーリンにはもうちやんと立派に型が出來てゐるから樂なもんだ……あの男の手にかゝると、土手の上に、毀れた罎の口がきら/\光つて、水車の影が黒くなつてゐる——これでもう立派に月夜が出來上るのだ。

   チェーホフ=作 中村白葉=譯
   『チェーホフ全集13 かもめ』 金星堂 1935/07(昭和10)


(J18) 米川 1923, 1964, etc.
トレープレフ:(……)月夜の描冩は長つたらしくて、苦しさうだ。トリゴーリンは手法がちやんと決つて了つてるから樂なもんだ……あの男に書かせれば、土手の上に破れた壜の口がきら/\光つて、水車の影が黒く映つてゐる——これでもう月夜が出來上つて了ふのだ。

   チェーホフ=作 米川正夫=訳 「かもめ」
   a. 中村白葉〔ほか〕=訳
     『決定版ロシア文学全集15 チェーホフ1』(全35巻)
     日本ブック・クラブ 1970/09 所収
   b. 中村白葉、原久一郎〔ほか〕=訳
     『ロシア・ソビエト文学全集22 チェーホフ1』(全35巻)
     可愛い女 ヴァーニャ伯父さん 三人姉妹 かもめ
     六号室 犬をつれた奥さん 他
     平凡社 1964/05 所収
   c. 近代劇大系 第14卷 露西亞篇2
     近代劇大系刊行會 非賣品 1923/08(大正12)所収
   引用は c. に拠りました。


■スペイン語訳 Translation into Spanish

TREPLEV.- ( . . . ) La descripción del anochecer bañado por la luz de la luna, es larga y rebuscada... Trigorin ha dado ya con un estilo, y le resulta más fácil. . . ¡Con decir que el cuellecito roto de la botella brilla en la presa, y que negrea la sombra de la rueda del molino, tiene ya hecha la descripción de la noche de luna ( . . . )

   La gaviota by Anton Pavlovich Chejov
   Translated by E. Podgursky
   E-text at
   * World Public Library
   * Biblioteca Digital de Estudios Sociales (DOC)
   * Biblioteca Virtual Miguel de Cervantes


■ソ連映画 『チェーホフのかもめ』 監督: ユーリー・カラーシク Part 10
 Chayka / The Seagull (1970) directed by Yuli Karasik - Part 10

チェホフのかもめ (1971) - allcinema 下に引用する台詞が現れるのは1:10あたりから。 The lines quoted below appear around 1:10.


■英訳 Translations into English

(E1) Deemer, 2004
TREPLEV: ( . . . ) My description of a moonlit night is too long and precious. Trigorin has it all worked out, writing is easy for him: a broken piece of bottle, glittering on the dam; a mill wheel casts a dark shadow - and there's his moonlit night. ( . . . )

   The Seagull Hyperdrama
   A play with simultaneous action
   based on Chekhov's The Seagull
   Charles Deemer
   Sextant Books, 2004
   Paperback: Three Moons Media, 2004

   E-text at
   * Ibiblio Deemer Literary Archive
   * The Seagull Hyperdrama (PDF)


(E2) Calderon, 1912
TREPLIEFF. ( . . . ) This description of a moonlight night is long and stilted. Trigorin has worked out a process of his own, and descriptions are easy for him. He writes that the neck of a broken bottle lying on the bank glittered in the moonlight, and that the shadows lay black under the mill-wheel. There you have a moonlight night before your eyes ( . . . )

   The Sea-Gull, A Play in Four Acts
   by Anton Checkov
   Translated by George Calderon

   First published in:
   Two Plays by Tchekhof: The Seagull, The Cherry orchard
   Grant Richards: London, 1912.
   Scanned images of this edition at Internet Archive
   
   E-text at
   * Project Gutenberg
   * vtheatre.net
   * Landscapes in Russian Literature and Art (PDF)
    by Prof. Gerald Pirog, Rutgers University


■ロシア語原文 The original text in Russian

Треплев:  Описание лунного вечера длинно и изысканно. Тригорин выработал себе приемы, ему легко... У него на плотине блестит горлышко разбитой бутылки и чернеет тень от мельничного колеса — вот и лунная ночь готова ( . . . )

   Антон Павлович Чехов - Чайка
   E-text at
   * ilibrary.ru
   * Landscapes in Russian Literature and Art
    by Prof. Gerald Pirog, Rutgers University


■Bibliography on translations into English

   * Anton Chekhov Biography
    (Andreas Teuber Home Page)


■外部リンク External links

   * The Seagull - Wikipedia
   * Anton Chekhov - Wikipedia (1860-1904)
   * Anton Chekhov - drama21c.net
   * The Seagull - Mahalo
   * かもめ (チェーホフ) - Wikipedia
   * アントン・チェーホフ - Wikipedia


■更新履歴 Change log

2012/04/09 木村浩=訳 1979/09/01 の訳文を挿入しました。
2012/03/03 佐藤康=訳 2011/01/10 を追加しました。
2011/05/13 「はじめに」の項と、ソ連映画 『チェーホフのかもめ』の YouTube
         動画を追加しました。
2010/04/07 浦雅春=訳 2010/01/15 を追加しました。
2010/01/06 倉橋健=訳 1956/09/20 を追加しました。
2009/08/28 木村浩=訳 1979/09 の書誌情報を追加しました。訳文は
         追って挿入するつもりです。
2008/08/20 木村彰一=訳 1976/10、中村白葉=訳 1959/01、
         中村白葉=譯 1935/07、および米川正夫=訳 1923/08 を
         追加しました。また、神西清=訳の書誌情報を補足しました。


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Sunday, 25 May 2008

Антон Чехов - О любви (O lyubvi) (3) About Love / Concerning Love by Anton Pavlovich Chekhov (3) チェーホフ「恋について」(3)

« 1 2 About Love
« 1 2 恋について

■表紙画像 Cover photos

Leftチェーホフ・ユモレスカ2』 新潮社 (2007)
Centre 牧原純著 『北ホテル48号室—チェーホフと女性たち』 未知谷 (2006)
Right リジヤ・アヴィーロワ著 『私のなかのチェーホフ』 群像社 (2005)

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■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 中村(喜) 2009
こんなことわざがあります——《苦労が消えると、女は自分で苦労をしょい込む》。ルガノーヴィチ夫妻には心配ごとがありませんでした。そこで私と親しい付き合いがはじまったのでした。

   アントン・P・チェーホフ=作 イリーナ・ザトゥロフスカヤ=絵
   中村喜和(なかむら・よしかず)=訳
   『恋について』 チェーホフ・コレクション 未知谷 2009/02/01
   版元による この本の紹介


(J2) 松下 1987, 1993, etc.
ことわざにあるでしょう——『女が余計な仕事をしょいこんであたふたする』って。ルガノーヴィチ夫妻もわたしに親切にして余計な心配をしたのですよ。

   アントン・チェーホフ=著 松下裕(まつした・ゆたか)=訳 「恋について」
   2a. 北村薫=編 『謎のギャラリー—愛の部屋』 新潮文庫 2002/03 所収
   2b.チェーホフ全集8』 ちくま文庫 1993/05 所収
   2c.チェーホフ全集9 百姓たち・恋について』 筑摩書房 1987/09 所収
   2a. の底本は 2b.。引用は 2c. に拠りました。


(J3) 原 1978, 1988, etc.
百姓女は苦労がなくなると子豚を買う、という諺(ことわざ)があるでしょう。ルガノーウィチ夫妻は苦労がなかったので、わたしとあんなに親しくしてくれたんです。

   チェーホフ=作 原卓也=訳 「恋について」
   3a.集英社ギャラリー [世界の文学]13 ロシア1』 集英社 1991/03 所収
   3b.チェーホフ短篇集』 福武文庫 1988/11 所収
   3c. 集英社版 世界文学全集59』 綜合社=編集 集英社=発行
      1978/04 所収
   引用は 3a. に拠りました。


(J4) 木村 1971, 1975, etc.
《女は苦労がないと、豚の子を買う》という諺(ことわざ)がありますね。ルガノーヴィチ夫婦もなにひとつ苦労がなかったので、わたしと親しく交わるようになったのです。

   チェーホフ=作 木村彰一=訳 「恋について」
   4a.豪華版 世界文学全集22 チェーホフ』 講談社 1976/10 所収
   4b.世界文学全集60 チェーホフ』 講談社 1975/05 所収
   4c.筑摩世界文學大系51 チェーホフ』 筑摩書房 1971/11 所収
   引用は 4a. に拠りました。


(J5) 中村(白) 1964, 1970
女が苦労がないと、子豚を買う——こういう諺がありますね。ルガノーヴィッチ夫婦は苦労がなかったので、わたしと友誼を結んだのですよ。

   チェーホフ=作 中村白葉=訳 「恋について」
   5a.決定版 ロシア文学全集15 チェーホフ 可愛い女ほか
      日本ブック・クラブ 1970/09 所収
   5b.ロシア・ソビエト文学全集22 三人姉妹・桜の園ほか
      平凡社 1964/05 所収
   引用は 5b. に拠りました。


(J6) 池田 1960
《女は苦労がないと豚の子を買う》という諺があります。ルガノーヴィチ夫妻も何ひとつ苦労の種がなかったので、それでわたしと親身な付合いをはじめた。

   チェーホフ=作 池田健太郎=訳 「恋について」
   『チェーホフ全集11 小説 (1897-1903) 戯曲1
   中央公論社 1960/03 所収


(J7) 中村(白) 1939
女は苦勞がないと、仔豚を買ふ——かう言ふ諺がありますね。ルガノーヸッチ夫婦は苦勞がなかつたので、わたしと友誼を結んだのですよ。

   チェーホフ=作 中村白葉=譯 「戀に就いて」
   『チェーホフ小説選集7 風刺小説篇 公爵夫人
   金星堂 1939/05(昭和14)所収


■フランス語訳 Translation into French

Une femme qui n'avait pas de soucis, dit un proverbe, s'acheta un porc. Les Louganôvitch, qui n'avaient pas de soucis, lièlent amitié avec moi.

   D'amour by Anton Pavlovitch Tchekhov
   in L'homme à létui, 1883-1902 Paris, Plon, 1929
   Translation by Denis Roche
   E-text at:
   * ibiblio.org (pdf)
   * Scribd.com
   Free scanned book at Ebooks Libres et Gratuits (pdf) 


■英訳 Translations into English

(E1) Hingley, 2000
It was a bit like the farmer's wife in the story, the one who had no troubles -- not, that is, until she went and bought herself a pig! The Luganoviches had no troubles -- so they went and chummed up with me!

   Concerning Love by Anton Pavlovich Chekhov 
   Translated by Ronald Hingley
   in The Russian Master and Other Stories (Oxford World's Classics)
   Oxford University Press, 2000/03
   Scanned book at Google Book Search


(E2) Garnett, 1918
There is a proverb that if a peasant woman has no troubles she will buy a pig. The Luganovitchs had no troubles, so they made friends with me.

   About Love
   in The Wife and Other Stories by Anton Chekhov
   Translated by Constance Garnett
   The Chatto & Windus edition of
   The Tales of Chekhov, Volume 5 (1918)

   E-text at:
   * Classic Reader
   * Project Gutenberg
   * 201 Stories by Anton Chekhov
   * eBooks@Adelaide, The University of Adelaide Library


■ロシア語原文 The original text in Russian

Есть пословица: не было у бабы хлопот, так купила порося. Не было у Лугановичей хлопот, так подружились они со мной.

   Антон Чехов - О любви (O lyubvi)
   Concerning Love / About Love (1898) by Anton Pavlovich Chekhov
   E-text at ilibrary.ru


■ロシアのことわざ——その意味は?
 The Russian proverb: What does it mean anyway?

こんなことわざがあります——《苦労が消えると、女は自分で苦労をしょい込む》。中村(喜) 2009

ことわざにあるでしょう——『女が余計な仕事をしょいこんであたふたする』って。松下 1987, 1993, etc.

百姓女は苦労がなくなると子豚を買う、という諺があるでしょう。原 1978, 1988, etc.

《女は苦労がないと、豚の子を買う》という諺がありますね。木村 1971, 1975, etc.

女が苦労がないと、子豚を買う——こういう諺がありますね。中村(白) 1964, 1970

《女は苦労がないと豚の子を買う》という諺があります。池田 1960

女は苦勞がないと、仔豚を買ふ——かう言ふ諺がありますね。中村(白) 1939

Une femme qui n'avait pas de soucis, dit un proverbe, s'acheta un porc. - Roche, 1929
 
It was a bit like the farmer's wife in the story, the one who had no troubles--not, that is, until she went and bought herself a pig! - Hingley, 2000

There is a proverb that if a peasant woman has no troubles she will buy a pig. - Garnett, 1918

どなたかこのロシアのことわざの意味を説明していただけませんか?
Can anyone explain the meaning of this Russian proverb?


■Bibliography on translations into English

   * Anton Chekhov Biography
    (Andreas Teuber Home Page)


■外部リンク External links

   * Bibliography of Anton Chekhov - Wikipedia (Short stories)
   * Anton Chekhov - Wikipedia (1860-1904)
   * アントン・チェーホフ - Wikipedia


■更新履歴 Change log

2011/04/25 原卓也=訳の書誌情報を補足しました。
2010/03/26 中村喜和=訳 2009/02/01 を追加しました。


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