Lu Xun 魯迅

Thursday, 12 April 2012

鲁迅 「藤野先生」 (『朝花夕拾』より) Mr Fujino (from Dawn Blossoms Plucked at Dusk) by Lu Xun

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Video  魯迅の師、藤野先生の故郷・福井を訪ねて<福井県>
 Related website  関連ウェブサイト
  鲁迅和东北大学 / 魯迅と東北大学 / Lu Xun and Tohoku University
■英訳 Translation into English
■日本語訳 Translations into Japanese
■日本語訳(訳者別、新旧順)
  Translations into Japanese (by translator, in chronological order)
■日本語訳の書誌情報 Bibliography on Japanese translations
 Audio  『朝花夕拾』 中国語版オーディオブック(朗読)
  Chao hua si she: Audiobook in Chinese
■中國語原文(繁體字) The original text in traditional Chinese
■中国語原文(簡体字) The original text in simplified Chinese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

魯迅の自伝小説風のエッセー集『朝花夕拾(ちょうかせきしゅう)』 (1928)。10篇の小品を収めるこの本の、最後から2つめの作品が「藤野先生」である。そこに魯迅は日本留学時代に仙台医学専門学校(現・東北大学医学部)で出会った解剖学教授・藤野厳九郎(ふじの・げんくろう、1874-1945) の思い出をつづっている。

下に引用するのは、その冒頭の一文。原文と幾種類かの翻訳で示す。いっけん唐突な書き出しに見えるが、これはひとつ前の作品「追想断片」で、彼が南京の複数の学校で学んだもののぱっとせず、渡日するに至った経緯を語ったのを受けている。


 Video 
魯迅の師、藤野先生の故郷・福井を訪ねて<福井県>

Uploaded to YouTube by 福井県 観光連盟 on 15 Oct 2012. 企画・著作: 福井県 制作: 福井テレビ、杭州文化広播電視集団


 Related website  関連ウェブサイト
鲁迅和东北大学 / 魯迅と東北大学 / Lu Xun and Tohoku University
Lu_xun_and_tohoku_university
[zh] 鲁迅和东北大学 -动荡历史中的留学生-东北大学史料馆
[ja] 魯迅と東北大学-歴史のなかの留学生 | 東北大学史料館 魯迅記念展示室


■英訳 Translation into English

Tokyo was not so extraordinary after all.

   Mr. Fujino by Lu Xun (Lu Hsun)
   E-text at 中国文革研究网


■日本語訳 Translations into Japanese

東京もかわりばえしなかった。…………………(02) 渡辺 2007
東京もそんなふうでしかなかつた。……………(13) 鹿地+松枝ほか 1936
東京もたいして変わりばえはしなかった。……(12) 松枝 1947, 1955, etc.
東京もたいして変わりばえはしなかった。……(07) 松枝+和田 1975, 1976
東京もどうせこんなものだった。………………(01) 藤井 2009
東京もまあこんなふうであった。………………(03) 小田 1990
東京も似たようなものだった。…………………(08) 丸山 1975
東京も別に変わりはなかった。…………………(10) 増田 1961, 1975
東京も同じことだった。…………………………(04) 立間 1985
東京も同じようでしかなかった。………………(06) 駒田 1979, 1998
東京も格別のことはなかった。…………………(11) 竹内 1956, 1974, etc.
東京も格別のことはなかった。…………………(09) 高橋 1967, 1995
東京も特別変わりはありませんでした。………(05) 西本 1985
東京も相變らずであつた。………………………(14) 佐藤+増田 1935


■日本語訳(訳者別、新旧順)
 Translations into Japanese (by translator, in chronological order)

(01) 藤井 2009        東京もどうせこんなものだった。
(02) 渡辺 2007        東京もかわりばえしなかった。
(03) 小田 1990        東京もまあこんなふうであった。
(04) 立間 1985        東京も同じことだった。
(05) 西本 1985        東京も特別変わりはありませんでした。
(06) 駒田 1979, 1998     東京も同じようでしかなかった。
(07) 松枝+和田 1975, 1976  東京もたいして変わりばえはしなかった。
(08) 丸山 1975        東京も似たようなものだった。
(09) 高橋 1967, 1995     東京も格別のことはなかった。
(10) 増田 1961, 1975     東京も別に変わりはなかった。
(11) 竹内 1956, 1974, etc.  東京も格別のことはなかった。
(12) 松枝 1947, 1955, etc.  東京もたいして変わりばえはしなかった。
(13) 鹿地+松枝ほか 1936   東京もそんなふうでしかなかつた。
(14) 佐藤+増田 1935     東京も相變らずであつた。


■日本語訳の書誌情報 Bibliography on Japanese translations

(01) 藤井 2009
   魯迅=作 藤井省三(ふじい・しょうぞう)=訳
   「藤野先生」 『朝花夕拾(ちょうかせきしゅう)』
   『故郷/阿Q正伝』 光文社古典新訳文庫 2009-04

(02) 渡辺 2007
   魯迅=原作 渡辺襄=翻訳と評注 「藤野先生」
   『藤野先生と魯迅—惜別百年』 「藤野先生と魯迅」刊行委員会=編
   東北大学出版会 2007-03-23

(03) 小田 1990
   魯迅=作 小田嶽夫(おだ・たけお)=訳 「藤野先生」
   『阿Q正伝・故郷』 偕成社文庫 1990-05

(04) 立間 1985
   魯迅=作 立間祥介(たつま・しょうすけ)=訳 「藤野先生」
   『魯迅全集 3 野草・朝花夕拾・故事新編』 学習研究社 1985-11-20

(05) 西本 1985
   魯迅=作 西本鶏介(にしもと・けいすけ)=訳 「藤野先生」
   『阿Q正伝 世界の名作文学 12』 岩崎書店 1985-01-30

(06) 駒田 1979, 1998
   魯迅=作 駒田信二=訳 「藤野先生」
   a. 『阿Q正伝・藤野先生』 講談社文芸文庫 1998-05
   b. 『世界文学全集 44 魯迅』 学習研究社 1979-07
   引用は a. 講談社文芸文庫版に拠りました。

(07) 松枝+和田 1975, 1976
   魯迅=作 松枝茂夫+和田武司=訳 「藤野先生」
   a. 『豪華版 世界文学全集 35 魯迅』 講談社 1976-10-20
   b. 『世界文学全集 93 魯迅』 講談社 1975
   a. の解説(p.489)によると「この翻訳はすでに公にしてある松枝茂夫訳をもとに、
   和田訳の新稿を加え、両者で訳文を検討しあって成ったものである」。

(08) 丸山 1975
   魯迅=作 丸山昇=訳 「藤野先生」
   『阿Q正伝』 新日本文庫 1975-11

(09) 高橋 1967, 1995
   魯迅=作 高橋和己=訳 「藤野先生」
   a. 『世界の文学セレクション 36 (33)』 中央公論社 1995-01
   b. 『世界の文学 47 魯迅』 中央公論社 1967-06-10
   引用は b. 世界の文学 47に拠りました。

(10) 増田 1961, 1975
   魯迅=作 増田渉(ますだ・わたる)=訳 「藤野先生」
   a. 『鋳剣—魯迅作品集』 ゆまにて 1975-03-31
   b. 『阿Q正伝』 角川文庫 1961-04
   引用は b. 角川文庫版に拠りました。

(11) 竹内 1956, 1974, etc.
   魯迅=作 竹内好=訳 「藤野先生」
   a. 『魯迅文集 2』 ちくま文庫 筑摩書房 2009-11-07
   b. 『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇』 岩波文庫 改訳 1981-02
   c. 『筑摩世界文学大系 78 魯迅、茅盾』 筑摩書房 1974
   d. 『魯迅選集 第2集 作品. 第2』 岩波文庫 1956-07-22
   引用は b. 岩波文庫版 改訳に拠りました。

(12) 松枝 1947, 1955, etc.
   魯迅=作 松枝茂夫=訳 「藤野先生」
   a. 『阿Q正伝・狂人日記』 旺文社文庫 1970-03
   b. 『朝花夕拾』 岩波文庫 1955-10-05
   c. 『魯迅作品集 2 朝華夕拾』 東西出版社 1947-01
   引用は a. 旺文社文庫版に拠りました。

(13) 鹿地+松枝+井上+増田+佐藤 1936
   魯迅=作 鹿地亘+松枝茂夫+井上紅梅+增田渉+佐藤春夫=譯
   「藤野先生」 『朝華夕拾』
   『大魯迅全集 2』 改造社 1936-04-20(昭和11)
   梅・增・渉・迅・造・社の旧字は、それぞれ新字で置き換えました。

(14) 佐藤+増田 1935
   魯迅=作 佐藤春夫+増田渉=訳 「藤野先生」
   『魯迅選集』 岩波文庫 1935-06(昭和10)


 Audio 
『朝花夕拾』 中国語版オーディオブック(朗読) 「藤野先生」は10番目の録音です。
Chao hua si she: Audiobook in Chinese. The tenth track is Mr Fujino.
Source: Internet Archive. Audio courtesy of LibriVox.

■中國語原文(繁體字) The original text in traditional Chinese

東京也無非是這樣。

   鲁迅 《藤野先生》
   E-text at Wikisource


■中国語原文(簡体字) The original text in simplified Chinese

东京也无非是这样。

   鲁迅 《藤野先生》
   E-text at 时代书城


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016-04-06 「魯迅と東北大学」のサイトが変更されていたので、リンクを修正しました。
  • 2014-11-10 外部リンクの項に「藤野先生」の原題が書き換えられていたとする報道記事の中国語版と日本語版へのリンクを追加しました。
  • 2013-09-05 オーディオブック(朗読)へのリンクを追加しました。

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Sunday, 23 March 2008

魯迅 「戦争をやめさせる話」「非攻」 (『故事新編』より) Opposing Aggression (from Old Tales Retold) by Lu Xun

           目次 Table of Contents

    Cover photos  表紙画像
   ■英訳 Translation into English
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (1) 藤井 2010
     (2) 木山 1985
     (3) 竹内 1979
     (4) 松枝+和田 1976
     (5) 高橋 1967
     (6) 増田(?) 1936
   ■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese
   ■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese
   ■ほぼ網羅的な邦訳リスト A more or less complete list of Japanese translations
   ■更新履歴 Change log


 Cover photos  表紙画像

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a. 51gse5rx07l b. 510frxt7kcl c. Image


■英訳 Translation into English


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 藤井 2010
 「(……)宋に何の罪があるのでしょう? 楚の国には有り余るほどの土地があり、足りないのは民衆です。足りぬものを殺し余るものを争うは、智と言えず、宋に罪なくして、これを攻めるは、仁と言えず、知りながら、否と言わぬは、忠とは言えず、否と言って、説得できねば、強とは言えず、義として少数を殺さずとも、多数を殺すは、道理を知るとは言えません。先生のお考えはいかに?……」
 「それは……」公輸般(こうしゅはん)は考えていたが、「先生のおっしゃるとおりです」
 「それでは、手を引いてはいかがですか?」
 「それはできません」公輸般(こうしゅはん)は辛そうに答えた。「私はすでに王に話してしまったのです」
 「それでは、私を王に会わせて下さればよろしい」
(……)

   魯迅=作 藤井省三(ふじい・しょうぞう)=訳
   「非攻(ひこう)——平和主義者の墨子(ぼくし)と戦争マニアの物語」
   『故事新編(こじしんぺん)』
   『酒楼にて/非攻』 光文社古典新訳文庫 2010.10.20


(2) 木山 1985
 「(……)宋に何の罪科(つみとが)がありますか。楚は土地が有り余って民の足りぬ国です。足りぬものを殺して有り余るものを争うのは、智(ち)とはいえぬでしょう。宋に罪なくしてこれを攻めるのは、仁とはいえぬでしょう。そうと知りながら、諌(いさ)めぬなら、忠とはいえぬでしょう。諌めても無効なら、強とはいえぬでしょう。義として少数を殺さぬがしかし多数は殺すとなれば、類を知るとはいえぬでしょう。これをどうお考えなさる……」
 「それは……」と公輸般は考えながら、「お説のとおりです」
 「だったら、とりやめられませんか?」
 「それがだめなので」公輸般は苦り切って、いった。
 「もう王に進言してしまったんですから」
 「だったら、王にお引き合わせ願いたい」
(……)

   魯迅=著 木山英雄(きやま・ひでお)=訳 「非攻」 『故事新編』
   相浦杲(あいうら・たかし)〔ほか〕=編 立間祥介=訳者代表
   『魯迅全集3 野草・朝花夕拾・故事新編
   学習研究社, 1985.11 所収


(3) 竹内 1979
 《(……)宋にはどんな罪がありますか? 楚国には土地はあり余っており、足りぬものは人民です。足りぬものを殺して、あり余るものを奪うのは智とは申せません。罪のない宋を攻めるのは仁とは申せません。主君の過ちを知りながら諌(いさ)めぬのは、忠とは申せません。諌めてしかも成らぬのは、強とは申せません。義において少数を殺さぬとしながら、多数を殺すのは類推の理を知るとは申せません。ご高見はいかが? ……》
 《それは……》公輸般はしばらく考えた。《まことに、おっしゃるとおりです》
 《では中止できませんか?》
 《それができんのです》公輸般はしょげた。《すでに王に説(と)いてしまったのです》
 《では、わたしを王に会わせてください》
(……)

   魯迅=作 竹内好(たけうち・よしみ)=訳 「戦争をやめさせる話」
   『故事新編』 岩波文庫, 1979.9 所収
 
  1. 竹内 新・ちくま文学の森9. -- 筑摩書房, 1995.5
  3. 竹内 魯迅文集2. -- ちくま文庫, 1991.4
  5. 竹内 河出世界文学大系75. -- 河出書房新社, 1980.11
  6. 竹内 魯迅選集3. -- 岩波書店, 1980
★ 9. 竹内 故事新編. -- 岩波文庫, 1979.9
 10. 竹内 魯迅文集2. -- 筑摩書房, 1976.12
 13. 竹内 筑摩世界文学大系78. -- 筑摩書房, 1974
 14. 竹内 世界文学全集47. -- 河出書房新社, 1974
 15. 竹内 現代中国文学1. -- 河出書房新社, 1970
 16. 竹内 世界文学全集35. -- 河出書房新社, 1969
 17. 竹内 筑摩世界文学大系92. -- 筑摩書房, 1969
 19. 竹内 魯迅作品集2. -- 筑摩叢書, 1966
 20. 竹内 魯迅選集3. -- 改訂版. -- 岩波書店, 1964.3
 21. 竹内 世界文学大系62. -- 筑摩書房, 1958
 22. 竹内 魯迅選集3. -- 岩波書店, 1956
 23. 竹内 魯迅作品集(続). -- 筑摩書房, 1955
 24. 竹内 魯迅作品集. -- 筑摩書房, 1953


(4) 松枝+和田 1976
「(……)宋には、どんな罪があるのでしょうか? 楚国に余っているものは土地で、欠けているものは人民です。欠けているものを殺して、余っているものを争うのは、智とはいえますまい。宋には罪がないのに、これを攻めるのは、仁とはいえますまい。主君の過ちを知りつつ、これを諌めぬのは、忠とはいえますまい。諌めて、しかも成功せぬのは、強とはいえますまい。義として、少なきを殺さぬとしながら、多きを殺すのは、類推の理を知るとはいえますまい。先生は、どう思われます? ……」
「それは……」公輸般はしばらく考えてから、「まことに、仰せのとおりです」
「では、やめることはできませんか」
「それは、だめです」公輸般は、嘆息して言った。「すでに王に説いてしまったのです」
「では、私を王に会わせてくださればよろしい」
(……)

   魯迅=著 松枝茂夫+和田武司=訳 「非攻」 (『故事新編』より)
   相浦杲〔ほか〕=編 『豪華版世界文学全集35
   講談社, 1976.10 所収

 10. 松枝+和田 世界文学全集44. -- 学習研究社, 1979.7
★12. 松枝+和田 豪華版世界文学全集35. -- 講談社, 1976.10
 14. 松枝+和田 世界文学全集93. -- 講談社, 1975


(5) 高橋 1967
「(……)宋に何の罪があるのだろうか? 楚国では余っているのは土地であり、足らないのは人民だ。足らないものを殺して余っているものを争う、これは智とはいえない。宋には罪はないのに、それを攻めようとするのは、仁とは言えない。義において一人を殺さず、しかも多数を殺すのは、論理を知るものとはいえぬ。先生どうお思いか?……」
「それは……」公輸般は考えた、「先生のおっしゃることはもっともだ」
「それなら止めることはできまいか?」
「それは駄目です」公輸般はしょんぼりと言った。「わたしはもう王に対してそう説いてしまった」
「それなら、私を王に会わせてくださればよろしい」
(……)

   魯迅=著 高橋和巳=訳 「非攻」 故事新編(抄)
   伊藤整〔ほか〕=監修 『世界の文学47』 中央公論社, 1967.6 所収

  2. 高橋 世界の文学セレクション36. -- 中央公論社, 1995.1
  7. 高橋 高橋和巳全集17. -- 河出書房新社, 1979.5
★18. 高橋 世界の文学47. -- 中央公論社, 1967.6

   なぜか「忠」と「強」の箇所が訳出されていません - tomoki y.


(6) 増田(?) 1936
「(……)宋にどんな罪科があるのです? 楚國に有り餘つてゐるものは土地、足りないものは人民です。足りないものを殺して有り餘つてゐるものを爭ふといふのは、これは智といふことが出來ない。宋に罪もないのに、却つて彼を攻めようとするのは、それは仁といふことが出來ない。知つてゐて、却つて爭はないのは、それは忠といふことが出來ない。爭つて、而もそれを遂げなければ、これは強といふことが出來ない。義として少きを殺さず、然して多きを殺すは、これは類を知ると言ふことが出來ない。先生どう思ひますか?……」
「それは………」と公輸般は考へて「先生の言はれることは全く正しいので。」
「それぢや止してくれませんか?」
「それは併し駄目です」と公輸般は殘念さうに云つた「私はもう國王に話してしまひました。」
「それぢや、わしを連れて行つて國王に會はせて下さればよい。」
(……)

   魯迅=著 増田渉=訳(?) 「非攻」 (『故事新編』より)
   鹿地亘(かじ・わたる)〔ほか〕=譯 『大魯迅全集2
   改造社 定價金貳圓 1936/04 所収

   この本の訳者は鹿地亘、松枝茂夫、井上紅梅、増田渉、佐藤春夫の
   5氏ですが、収録作それぞれの訳者が誰であるかについての記載は
   見あたりません。『故事新編』の「解題」の筆者が、増田渉氏と
   なっていることから、「非攻」の訳者は増田氏だと推定しました。
   もし誤りならば、ご指摘ください。


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

  “[略]宋有什么罪过呢?楚国有余的是地,缺少的是民。杀缺少的来争有余的,不能说是智;宋没有罪,却要攻他,不能说是仁;知道着,却不争,不能说是忠;争了,而不得,不能说是强;义不杀少,然而杀多,不能说是知类。先生以为怎样?……”
  “那是……”公输般想着,“先生说得很对的。”
  “那么,不可以歇手了么?”
  “这可不成,”公输般怅怅的说。“我已经对王说过了。”
  “那么,带我见王去就是。”
[略]

   《故事新编》 「非攻」 作者:鲁迅
   E-text at 天涯在线书库 (www.tianyabook.com)


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

  「[略]宋有什麼罪過呢?楚國有餘的是地,缺少的是民。殺缺少的來爭有餘的,不能說是智;宋沒有罪,卻要攻他,不能說是仁;知道著,卻不爭,不能說是忠;爭了,而不得,不能說是強;義不殺少,然而殺多,不能說是知類。先生以為怎樣?……」
  「那是……」公輸般想著,「先生說得很對的。」
  「那麼,不可以歇手了麼?」
  「這可不成,」公輸般悵悵的說。「我已經對王說過了。」
  「那麼,帶我見王去就是。」
[略]

   魯迅 「非攻」 (1934)
   《故事新編》 (1935) 所収
   魯迅小説集. -- 人民文学出版社, 1956
   故事新編. -- 人民文学出版社, 1952
   E-text at:
   * 雲臺書屋 (www.b111.net)
   * Wikisource


■ほぼ網羅的な邦訳リスト
 A more or less complete list of translations into Japanese

★は、上にその訳文の抜粋を掲載したもの。

★ 0. 藤井 酒楼にて/非攻 -- 光文社古典新訳文庫, 2010.10
  1. 竹内 新・ちくま文学の森9. -- 筑摩書房, 1995.5
  2. 高橋 世界の文学セレクション36. -- 中央公論社, 1995.1
  3. 竹内 魯迅文集2. -- ちくま文庫, 1991.4
★ 4. 木山 魯迅全集3. -- 学習研究社, 1985.11
  5. 竹内 河出世界文学大系75. -- 河出書房新社, 1980.11
  6. 竹内 魯迅選集3. -- 岩波書店, 1980
  7. 高橋 高橋和巳全集17. -- 河出書房新社, 1979.5
  8. 松枝+和田 世界文学全集44. -- 学習研究社, 1979.7
★ 9. 竹内 故事新編. -- 岩波文庫, 1979.9
 10. 竹内 魯迅文集2. -- 筑摩書房, 1976.12
★11. 松枝+和田 豪華版世界文学全集35. -- 講談社, 1976.10
 12. 松枝+和田 世界文学全集93. -- 講談社, 1975
 13. 竹内 筑摩世界文学大系78. -- 筑摩書房, 1974
 14. 竹内 世界文学全集47. -- 河出書房新社, 1974
 15. 竹内 現代中国文学1. -- 河出書房新社, 1970
 16. 竹内 世界文学全集35. -- 河出書房新社, 1969
 17. 竹内 筑摩世界文学大系92. -- 筑摩書房, 1969
★18. 高橋 世界の文学47. -- 中央公論社, 1967.6
 19. 竹内 魯迅作品集2. -- 筑摩叢書, 1966
 20. 竹内 魯迅選集3. -- 改訂版. -- 岩波書店, 1964.3
 21. 竹内 世界文学大系62. -- 筑摩書房, 1958
 22. 竹内 魯迅選集3. -- 岩波書店, 1956
 23. 竹内 魯迅作品集(続). -- 筑摩書房, 1955
 24. 竹内 魯迅作品集. -- 筑摩書房, 1953
★25. 増田? 鹿地亘〔ほか〕大魯迅全集2. -- 改造社, 1936.4


■更新履歴 Change log

  • 2013-07-31 目次を新設しました。
  • 2012-04-17 藤井省三=訳 2010.10.20 と木山英雄=訳 1985.11 を追加しました。また、これまで誤って「公輸殿」と記していた箇所を「公輸般」に訂正しました。

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Sunday, 03 December 2006

易子而食 - 春秋左氏伝 宣公十五年 Zuo Zhuan 504 B.C.

■表紙画像 Cover photos
A B


■日本語訳 Translations into Japanese

以下の引用は、いずれも宣公十五年(紀元前504年)の記録。

(J1) 小倉 1988
「寡君(わがきみ)は、宋の窮状をこう申せと元(わたし)に命じられた。敝邑(わがくに)は、子供を交換して食べ、死人の骨を割いて炊事をする程になっている。だが、城下の盟だけは、たとえ国が亡びても、受け入れられぬ。もし〔一舎〕三十里だけ兵を引かれれば、仰せには何なりと従おう、と」

   小倉芳彦(おぐら・よしひこ)=訳 『春秋左氏伝(上)』(全3冊)
   岩波文庫 1988/11/16


(J2) 貝塚 1970
「主人の命令をうけ、宋の窮状を訴えにまいりました。主人は、『わが宋では、今では互に子供を取りかえて食(た)べ、死人の骨をうち砕いてたきものにするといった有様です。しかし、城下の盟だけはたとえ国が亡んでも結ぶことはできません。いま楚の方で三十里だけ後退してくださるなら、どんな仰せでも従います』と申しています」

   貝塚茂樹=編 『春秋左氏伝 世界古典文学全集13』(全50巻)
   筑摩書房 1970/11


(J3) 鎌田 1968, 1974
「わが君にはこの私を使者として宋の苦しい状態を訴えさせるのです。宋はいまや兵糧がなくなり、子供を交換して食べあい、燃料もなくなったので、死者の骨を折りくだいて炊事をしているという状態です。とは申すものの、城下に攻めこまれて降服の盟いをすることは、たとい国が滅亡しようとも、できない相談です。どうか宋を三十里退却してください。そうすればどんなご命令にも従います。」

  • 鎌田正=著 『春秋左氏伝』 中国古典新書(全100巻) 明徳出版社 1968/09/15
  • 鎌田正=著 『新釈漢文大系31 春秋左氏伝2』 明治書院 1974/09 も、用字・仮名づかいなど細部の違いを除けば、ほぼ同文。

(J4) 竹内 1968
「宋公がわたくしを使者に、宋の苦しさを訴えるのだ。今や宋は子どもを取り換えて食い、屍(かばね)を薪に用いねばならぬ。しかも城下の盟いだけは、国が亡んでも、結びたくないのだ。楚が三十里だけ退却してくれたら、どんないいぶんでも聞くつもりでいる」

   竹内照夫=訳 『春秋左氏伝 中国古典文学大系』(全60巻)
   平凡社 1968/09/05


■中国語原文(簡体字) The original text in simplified Chinese

宣公十五年 (504 B.C.)
寡君使元以病告.曰.敝邑易子而食.析骸以爨.虽然.城下之盟.有以国毙.不能从也.去我三十里.唯命是听.

   春秋左氏传
   E-text at Wikisource


■中國語原文(繁體字) The original text in traditional Chinese

宣公十五年 (504 B.C.)
寡君使元以病告.曰.敝邑易子而食.析骸以爨.雖然.城下之盟.有以國斃.不能從也.去我三十里.唯命是聽.

   春秋左氏傳
   E-text at Wikisource


■「易子而食 析骸以爨」の意味

  • 原 文   易子而食 析骸以爨
  • 読み下し文 子を易えて食ひ、骸を析きて爨ぐ
  • 読みかた  こをかえてくらい、がいをさきてかしぐ
  • 意 味   子どもを交換して食べ、死人の骨をくだいて炊事する

「子どもを交換して食べる」とは——いくら戦乱の世で飢餓に苦しんでいるとはいえ、自分の子どもを食べるのは、さすがに忍びない。そこで、近所の人の子どもと取りかえて、近所の人の子どもを食べて飢えをしのぐ——という意味だそうです。
 
「春秋左氏伝」の哀公八年(紀元前487年)の記述にも、おなじ表現が見られます。また、魯迅の短篇小説「狂人日記」(1918年。中国語原文は ここ)にも、前半部分「易子而食」の字句が登場します。中国では、ひろく知られた表現だそうです。といっても、こんにち正確にどのていど認知されているかは存じませんが。


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■更新履歴 Change log

  • 2010/03/26 中国語原文(簡体字)を追加しました。
  • 2006/12/08 書誌情報を修正・補足しました。

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Sunday, 26 November 2006

魯迅 『狂人日記』 A Madman's Diary by Lu Xun

■表紙画像 Cover photos
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[Left] English translation by William A. Lyell
[Right] Japanese translation by Yoshimi Takeuchi


■ロシア語訳 Translation into Russian

Несколько дней тому назад из деревни Волчьей пришел арендатор сообщить о неурожае, он рассказал моему старшему брату, что жители этой деревни сообща убили одного злодея из своей же деревни; потом вынули у него сердце и печень, зажарили и съели, чтобы стать более храбрыми. Я вмешался было в разговор, но тут арендатор и брат несколько раз взглянули на меня. Только сегодня я понял, что их взгляды были точно такими же, как и у тех людей на улице.

При мысли об этом меня всего, с головы до пят, бросило в дрожь.

Раз они могут есть людей, значит, могут съесть и меня.

   Лу Синь - Записки сумасшедшего
   Translated by Сергей Леонидович Тихвинский
   E-text at FictionBook.ru


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Hace algunos días, uno de nuestros arrendatarios de la aldea de los Lobos, al venir a informar sobre la sequía que reina en el campo, contó a mi hermano mayor que los campesinos habían dado muerte a un conocido malhechor del lugar. Luego algunos hombres le arrancaron el corazón y el hígado, los frieron y se los comieron, para criar valor. Los interrumpí con una palabra y mi hermano y el labrador me lanzaron muchas miradas raras. Hoy comprendo que sus miradas eran absolutamente iguales a las de los hombres de la calle.

Sólo de pensar en ello me estremezco de la cabeza a los pies.

Si comen hombres, ¿por qué no habrían de comerme a mí?

   El diario de un loco by Lu Sin
   E-text at Ciudada Seva


■フランス語訳 Translation into French

Il y a quelques jours, l’un de nos fermiers du village du Louveteau vint annoncer que les récoltes étaient désastreuses, et il raconta à mon frère aîné que les villageois avaient battu à mort un mauvais garçon de l’endroit; puis, certains lui avaient enlevé le cœur et le foie, les avaient fait frire à l’huile et les avaient mangés dans le but de stimuler leur courage. Le fermier et mon frère me dévisagèrent lorsque je voulus risquer un mot. Et je réalise aujourd’hui seulement que leurs regards avaient exactement la même expression que celle des gens dans la rue.

Rien que d’y penser, j’en frissonne du sommet de la tête à la plante des pieds.

Ils se nourrissent de chair humaine, pourquoi un jour ne me mangeraient-ils pas?

   Le journal d’un fou by Lu Sin
   E-text at Les contes de Lu Xun - hst1061


■英訳 Translations into English

(E1) Lyell, 1990
A few days back one of our tenant farmers came in from Wolf Cub Village to report a famine. Told my elder brother the villagers had all ganged up on a "bad" man and beaten him to death. Even gouged out his heart and liver. Fried them up and ate them to bolster their own courage! When I tried to horn in on the conversation, Elder Brother and the tenant farmer both gave me sinister looks. I realized for the first time today that the expression in their eyes was just the same as what I saw in those people on the street.

As I think of it now, a shiver's running from the top of my head clear down to the tips of my toes.

If they're capable of eating people, then who's to say they won't eat me?

   Diary of a madman and other stories by Lu Xun
   Translated by William A. Lyell
   University of Hawaii Press, 1990


(E2) Yang & Yang, 1960, 1972

A few days ago a tenant of ours from Wolf Cub Village came to report the failure of the crops, and told my elder brother that a notorious character in their village had been beaten to death; then some people had taken out his heart and liver, fried them in oil and eaten them, as a means of increasing their courage. When I interrupted, the tenant and my brother both stared at me. Only today have I realized that they had exactly the same look in their eyes as those people outside.

Just to think of it sets me shivering from the crown of my head to the soles of my feet.

They eat human beings, so they may eat me.

   A Madman's Diary
   Selected Stories of Lu Hsun (Lu Xun)
   By Lu Hsun (Lu Xun)
   [The True Story of Ah Q, and Other Stories (written 1918-1926)]
   Translated by Yang Hsien-yi and Gladys Yang
   Published by Foreign Languages Press, Peking, 1960, 1972
   * E-text at the Marxists Internet Archive
   * PDF at the Dickinson State University website


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 藤井 2009
 数日前、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えてきて、僕の大兄(おおにい)さんに向かって言うには、村にとんでもない悪人がいて、みんなで殴り殺したところ、数人の者がその男の心臓と肝臓をえぐり出し、油で炒めて食べたという――肝っ玉が太くなるからだ。僕が口を挟むと、小作人も大兄さんもジロジロと僕を見ていた。今日になって二人が、外の連中とまったく同じ目つきをしていたことに気がついた。
 思い出すと、全身に寒気を覚える。
 奴らは人食いをするのだから、僕のことも食べてしまうかもしれない。

   魯迅=作 藤井省三(ふじい・しょうぞう)=訳 「狂人日記」
   『故郷/阿Q正伝』 光文社古典新訳文庫 2009/04 所収


(J2) 駒田 1998
 数日前、狼子村(ろうしそん)の小作人が凶作を訴えに来て、兄に話していた。彼らの村の極悪人がみんなになぐり殺されたが、数人の者がその男の心臓と肝臓をえぐり出し、油でいためて食った。そうすると肝っ玉が大きくなるという。おれが口をはさんだら、小作人も兄貴もじろじろとおれを見た。今日やっとわかったのだが、彼らの眼つきは外のあの連中とまったく同じだ。
 思い出すと、頭のてっぺんから足のつまさきまでゾッとする。
 彼らは人間を食うのだ。とすれば、おれを食わないとはかぎらない。

   魯迅=作 駒田信二=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝・藤野先生』 講談社文芸文庫 1998/05 所収


(J3) 竹内 1955, 1981
 二、三日前、狼子村(ランズツン)から小作人が来て、不作をこぼして、兄貴に話していったっけ。やつらの村に大悪人がいて、みんなに殴り殺されたが、そいつの内臓をえぐり出して、油でいためて食ったやつがあるそうで、そうすると肝っ玉が太くなるという話だ。おれがちょっと脇から口を入れたら、小作人と兄貴とが、じろじろおれの方を見たっけ。今日やっとわかった。やつらの眼つきは、町にいた連中の眼つきとそっくりそのままじゃないか。
 思い出しただけで、おれは頭のてっぺんから脚の先まで、ゾッとなる。
 やつらは人間を食いやがる。してみると、おれを食わないという道理はない。

   魯迅=作 竹内好=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊)』
   岩波文庫(初版 1955/11|改訳 1981/02)所収


(J4) 松枝+和田 1976
 二、三日前、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えにきたとき、兄貴にこんな話をしていた。やつらの村に大悪党がいて村の連中になぐり殺されたそうだ。そのとき、そいつの臓腑(はらわた)をえぐり出して、油でいためて食ったものがいて、なんでもそれを食うと、肝っ玉が大きくなるんだそうだ。わきからおれがちょっと口をはさんだら、小作人も兄貴も、じろじろおれのほうを見たっけ。きょうになって気がついたんだが、その目つきが、あの町の連中の目つきとまるっきりそっくりじゃないか。
 そう思うだけで、おれは頭のてっぺんから足の先までゾッとなる。
 やつらは人間を食うんだ。おれを食わないという保証はないぞ。

   魯迅=作 松枝茂夫+和田武司=訳 「狂人日記」
   『豪華版 世界文学全集35 魯迅』 講談社 1976/10 所収


(J5) 丸山 1975
 数日前、狼子(ランツ)村の小作人が、不作の訴えにきて、兄貴に話していた。彼らの村に大悪人が一人いたが、みんなに殴り殺された、数人のものがその心臓と肝臓をえぐり出して、油でいためて食った、肝(きも)が太くなるのだ、という。おれがひとこと口をはさむと、小作人も兄貴もおれをじろじろ見た。きょうはじめてわかった、彼らの眼つきも、外のあの連中とそっくりなのだ。
 考えて、おれは頭のてっぺんからかかとの先までぞっとした。
 彼らが人を食えるのだとすれば、おれを食わないとは限らない。

   魯迅=作 丸山昇=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝 他九編』 新日本文庫 1975/11 所収


(J6) 松枝 1970
 何日か前に、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えに来て、おれの兄に向かって話していた。彼らの村の大悪党がみんなになぐり殺され、何人かの者はそいつの臓腑(はらわた)をえぐり出して、油でいためて食ったんだそうだ。それを食うと肝っ玉が大きくなるというのだ。おれがわきから一言口をはさんだら、小作人も兄もおれをじろじろ見た。彼らの目つきが、町の連中のそれとそっくり同じであることを、きょうになって気がついた。
 思い出すと、おれは頭のてっぺんから足のカカトまで、ぞうっとする。
 彼らは人間を食うことができるんだから、おれを食うことができないとはいえない。

   魯迅=作 松枝茂夫=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝・狂人日記 他六編』 旺文社文庫 1970/03 所収


(J7) 高橋 1967
 数日前、狼子(ランツ)村の小作人が不作を訴えにきて、兄に話していた。彼らの村の極悪人が、皆に殴り殺され、数人が彼の心臓と肝臓をえぐり出して、油でいためて食った、と。胆力が増すのだそうだ。わたしが言葉をはさむと、小作人と兄がじろじろとわたしを見た。今日になってわかったことだが、彼らの眼付は、街のやつらと全く同じだった。
 想い出すと、頭のてっぺんから足の先までぞっとする。
 彼らは人間を食えるのだ。とすればわたしを食わないとは言いきれぬ。
  
   魯迅=作 高橋和己=訳 「狂人日記」
   『世界の文学47 魯迅』 中央公論社 1967/06 所収


(J8) 増田 1961
 五、六日前、狼子(ランツ)村の小作人が饑饉(ききん)で収穫のないことを訴えてきて、私の兄貴(あにき)に、彼等の村の一人の大悪人が、大勢に打ち殺された話をした。何人かの者はその男の内臓をほじくり出し、肝(きも)ッ玉を太くするのだといって、油でいためて食ったという。私が一こと口をはさむと、小作人と兄貴は私をジロジロと見た。今日はじめて私は彼等の眼の色が、外部のあの一群の者たちと全く同じであることを知った。
 それを思い出すと、私は頭のてっぺんから足のさきまでサッと冷たくなる。
 彼等は人を食うことができる、だとすれば私を食わないものでもない。

   魯迅=作 増田渉=訳 「狂人日記」
   『阿Q正伝』 角川文庫 1961/04 所収


(J9) 井上 1932, 2004
 四五日前に狼村(おおかみむら)の小作人が不況を告げに来た。彼はわたしの大(おお)アニキと話をしていた。村に一人の大悪人(だいあくにん)があって寄ってたかって打殺(うちころ)してしまったが、中には彼の心臓をえぐり出し、油煎(あぶらい)りにして食べた者がある。そうすると肝が太くなるという話だ。わたしは一言(ひとこと)差出口(さしでぐち)をすると、小作人と大アニキはじろりとわたしを見た。その目付がきのう逢った人達の目付に寸分違いのないことを今知った。
 想い出してもぞっとする。彼等は人間を食い馴(な)れているのだからわたしを食わないとも限らない。

   魯迅=作 井上紅梅=訳 「狂人日記」
   E-text at 青空文庫
   底本: 『魯迅全集』 改造社 1932/11/18
   旧字、旧仮名を新字、新仮名に改めてあります。
   底本は総ルビですが、一部を省いてあります。
   入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(上村要)
   校正:京都大学電子テクスト研究会(高柳典子)
   2004/11/19 作成


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

  前几天,狼子村的佃户来告荒,对我大哥说,他们村里的一个大恶人,给大家打死了;几个人便挖出他的心肝来,用油煎炒了吃,可以壮壮胆子。我插了一句嘴,佃户和大哥便都看我几眼。今天才晓得他们的眼光,全同外面的那伙人一模一样。
  想起来,我从顶上直冷到脚跟。
  他们会吃人,就未必不会吃我。

   鲁迅 《狂人日记》
   E-text at Lu Xun Home Page


■更新履歴 Change log

2013/05/24 フランス語訳を追加しました。
2012/03/19 William A. Lyell によるもう一つの英訳を追加しました。
2012/03/02 ロシア語訳を追加しました。
2012/01/28 スペイン語訳を追加しました。
2009/04/14 藤井省三=訳 2009/04 を追加しました。
2006/11/30 井上紅梅=訳 1932/11/18 を追加しました。


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Saturday, 29 October 2005

魯迅 《阿Q正传》 《阿Q正傳》 『阿Q正伝』 The True Story of Ah Q by Lu Xun

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        目次 Table of Contents

 Video 1  1分で名著「阿Q正伝」ってこんな話 The True Story of Ah Q in a minute
■英訳 Translations into English
  (E1) Lyell, 1990
  (E2) Yang & Yang, 1960, 1972.
■フランス語訳 Translation into French
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■ドイツ語訳 Translation into German
■ロシア語訳 Translation into Russian
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 藤井 2009
  (J2) 駒田 1998
  (J3) 丸尾 1992
  (J4) 小田 1990
  (J5) 西本 1985
  (J6) 松枝+和田 1976
  (J7) 丸山 1975
  (J8) 松枝 1970
  (J9) 高橋 1967, 1973
  (J10) 増田 1961
  (J11) 竹内 1955, 1981
  (J12) 田中+中沢 1952
  (J13) 佐藤+増田 1935
  (J14) 井上 1932, 1937, etc.
 Video 2  [zh] 阿Q正传 (1981) [ja] 阿Q正伝 (1981) [en] The True Story of Ah Q
 Audio 1  中国語原文の朗読 Audiobook in Chinese
 Audio 2  中国語原文の朗読 Audiobook in Chinese read by Jing Li
■簡体字中国語原文 The original text in simplified Chinese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Video 1 
1分で名著「阿Q正伝」ってこんな話 The True Story of Ah Q in a minute

Uploaded to YouTube by プープーテレビ on 24 Jun 2014


■英訳 Translations into English

(E1) Lyell, 1990
"Have you ever seen a de-capi-tation?" Ah Q asked. "Wow! Is that ever somethin' to see! Killin' the revolutionaries — yup, that's a real sight!" He shook his head with such appreciative enthusiasm that spittle flew from his mouth and landed on the face of Zhao Sichen, seated directly opposite him. All who heard this chapter and verse assumed an air of solemnity.


(E2) Yang & Yang, 1960, 1972.
"Have you seen an execution?" asked Ah Q. "Ah, that's a fine sight. . . . When they execute the revolutionaries. . . . Ah, that's a fine sight, a fine sight. . . . ." " As he shook his head, his spittle flew on to the face of Chao Szu-chen who stood directly opposite. This part of the story made all who heard it tremble.


■フランス語訳 Translation into French

—Avez-vous vu une exécution? demanda Ah Q. Ah, c’est beau! on décapitait des révolutionnaires. Ah, c’était beau, que c’était beau! . . . Il hocha la tête et envoya des gouttelettes de salive sur le visage de Tchao Se-tchen qui se trouvait en face de lui. Les auditeurs frissonnaient de peur.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

  —¿Han visto ustedes una decapitación? —preguntaba A Q—. ¡Ah, es un hermoso espectáculo!... ¡Cuando ejecutan a los revolucionarios!... ¡Ah, es un hermoso, hermoso espectáculo!...
  Sacudió la cabeza y lanzó un salivazo sobre la cara de Chao Si-chen, que estaba al frente. Esta parte de la historia hacía temblar a todos.

  • VI. De la rehabilitación a la decadencia. La Verídica Historia De A Q by Lu Xun
  • E-text at:

■ドイツ語訳 Translation into German

„Und hat jemals einer von euch eine Enthauptung gesehen?" fragte A Q plötzlich. „Ach, welch einen großartigen Anblick bietet das Köpfen von Revolutionären. Großartig, sage ich euch, wirklich ein großartiger Anblick!" Er nickte so heftig und übersprudelte sich so beim Reden, daß sein Speichel dem Nachtwächter Zhao ins Gesicht flog. Dieser Teil der Geschichte ließ die Zuhörer erzittern.

  • Die wahre Geschichte des A Q. Lu Xun, Zeitgenosse, Vol. 1 Authors: Lu Xun, Egbert Baqué, Heinz Spreitz, Marion Kollbach; Leibniz-Gesellschaft für Kulturellen Austausch.; et al. Berlin : Leibnitz-Gesellschaft für kulturellen Austausch, 1979.

■ロシア語訳 Translation into Russian

– А видели вы, как рубят голову? – неожиданно спросил А-кыо. – Эх, красиво революционеров… Вот это зрелище! – Он тряс головой и брызгал слюной прямо в лицо стоявшему перед ним Чжао Сы-чэню.

  • VI От возрождения к закату. Лу Синь. Подлинная история А-кью.
  • E-text at Fictionbook.ru

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 藤井 2009
「おまえ達、首斬りなんか見たことないだろう?」と阿Qは語る。「そりゃもう、おもしろいんだ。革命党の首を切る。まったく、おもしろいったらありゃしない……」彼は首を振り振り、正面の趙司晨(チャオスーチェン)に向かってつばきを飛ばす。このひと言に、聞く者はみな緊張した。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 藤井省三(ふじい・しょうぞう)=訳 「阿Q正伝」 『故郷/阿Q正伝』 光文社古典新訳文庫 2009/04

(J2) 駒田 1998
「おまえら、首斬りを見たことあるかい?」阿Qはいった。「うん、いいぞ。革命党を斬るんだ。ああ、いいのなんのって……」彼は首をふりながらそういい、正面にいる趙司晨(チャオスーチェン)の顔に唾を飛ばした。この一段に、聞き手はみな慄然(りつぜん)とした。

  • 第六章 中興から末路へ 魯迅=作 駒田信二=訳 「阿Q正伝」 『阿Q正伝・藤野先生』 講談社文芸文庫 1998/05

(J3) 丸尾 1992
「おまえら首斬りを見たことがあるか」阿Qはいった。「おい、おもしれえぞ。革命党を殺すんだ。ああ、おもしれえのなんのって。……」首を振り振りこういって、つばが正面の趙司晨(チャオスーチェン)の顔にとんだ。この話は、聞く者を粛然とさせた。

  • 第六章 中興から末路へ 魯迅=作 丸尾常喜=訳 「阿Q正伝」 中野美代子+武田雅哉=編 『中国怪談集』 河出文庫 1992/03

(J4) 小田 1990
「おめえらは首切りを見たことがあるけえ。」阿Qがいった。「へん、たいしたもんだ、革命党を殺すんだ、たいしたもんだぞ!」 彼は頭を振り、つばの飛ばっちりを、ま向かいにいる趙司晨(ちょうししん)の顔に飛ばした。この話にはみんなは感動した。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 小田嶽夫(おだ・たけお)=訳 「阿Q正伝」 『阿Q正伝・故郷』 偕成社文庫 1990/05

(J5) 西本 1985
「ところで、おまえたち、首をちょん切るの、見たことあるめいが」
 と阿Qはいいました。
「そりゃあ、すごいぞ。革命党(かくめいとう)のやつらを殺すんだ。すごいのなんのって……」
 阿Qは首を振り振り、ちょうど一番前にいた趙司晨(チャオスーチェン)の顔につばきをひっかけました。
 聞いていた連中(れんぢゅう)は、ぞっとして思わず背筋(せすじ)が寒くなりました。

  • 六 中興(ちゅうこう)から末路(まつろ)まで 魯迅=作 西本鶏介(にしもと・けいすけ)=訳 「阿Q正伝」 『阿Q正伝 世界の名作文学12』 岩崎書店 1985/01/30

(J6) 松枝+和田 1976
「お前たち首をちょん斬るところを見たことがあるかい?」と阿Qはいった。「そりゃ、見物(みもの)だぜ。革命党を殺すんだ。うん、まったくそりゃ大した見物だぜ、……」彼はかぶりをふって、唾(つば)を真正面にいた趙司晨(チャオスーチェン)の顔に飛ばした。この話は、聞き手を凛然(りんぜん)とさせた。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 松枝茂夫+和田武司=訳 「阿Q正伝」 『豪華版 世界文学全集35 魯迅』 講談社 1976/10
  • 解説(p.489)によると「この翻訳はすでに公にしてある松枝茂夫訳をもとに、和田訳の新稿を加え、両者で訳文を検討しあって成ったものである」。

(J7) 丸山 1975
「お前たち首斬(くびき)りを見たことあるかい」阿Qはいった。「ヘン、おもしれえんだぞ。革命党を殺すんだ。ああ、おもしれえおもしれえ、……」 彼は首を振って、つばきを正面にいた趙司晨の顔にはねさせた。これで、聞いた者は背筋が寒くなった。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 丸山昇=訳 『阿Q正伝』 新日本文庫 1975/11

(J8) 松枝 1970
「お前たち首をちょん斬るところを見たことがあるかい?」と阿Qはいった。「そりゃ、見物(みもの)だぜ。革命党を殺すんだ。うん、まったくそりゃ大した見物だぜ、……」彼はかぶりをふって、唾(つば)を真正面にいた趙司晨(チャオスーチェン)の顔に飛ばした。この一くさりに、聞いていた人々はみな凛然(りんぜん)となった。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 松枝茂夫=訳 「阿Q正伝」 『阿Q正伝・狂人日記』 旺文社文庫 1970/03

(J9) 高橋 1967, 1973
「おまえら首斬りを見たことがあるか?」阿Qは言った。「ふん、いいぜ。革命党を殺すんだ。ふん、すごいぜェ……」彼は頭を振り、正面の趙司晨の顔に唾(つばき)をとばした。この話に聴き手はぞくっとした。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 高橋和己=訳 「阿Q正伝」
  • 引用は b. 中央公論社 1967/06 に拠りました。

(J10) 増田 1961
「お前たちはだが首斬りを見たことあるめいが」と阿Qはいう「そりゃ、面白れえぞ。革命党を殺すのだ。そりゃ面白れえ、面白れいもんだぞ、……」と彼は頭をふりふり、唾(つばき)のとばっちりをちょうど真正面にいた趙司晨(チャオスーチェン)の顔に飛ばした。この一くさりは、聞くものをみなゾッとさせた。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 増田渉(ますだ・わたる)=訳 『阿Q正伝』 角川文庫 1961/04

(J11) 竹内 1955, 1981
《おめえたち、首をちょん切るの、見たことあるか?》と阿Qは言った。《ヘン、すげえぞ。革命党をやっつけるんさ。すげえの何のって……》首をふりふり、真正面にいる趙司晨(チャオスーチェン)の顔に唾(つば)をとばした。聞き手はこの話に肌寒くなった。


(J12) 田中+中沢 1952
「お前たち首切りを見たことあるかい?」と阿Qがいう。
「ヘッ、とても面白えぞ。革命党をきるんだ。面白えのなんのって……」かれは頭をゆすると、ま正面に坐っていた趙司晨の顔につばきを飛ばした。このくだりをきくと、きき手は思わず身がひきしまるようだった。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=著 丁聰=繪 田中清一郎+中沢信三=訳 『阿Q正傳』 ハト書房 1952/10/05

(J13) 佐藤+増田 1935
「お前たち首斬を見たことがあるかい?」と阿Qは云った「エヘン、面白えぞ。革命黨を斬るんだ。フン、面白えぞ……」と彼は頭をふりながら、唾沫を眞正面にゐた趙司晨の顔へ飛ばした。この一事は、聴くものみな凛然とした。

  • 第六章 中興から末路まで 魯迅=作 佐藤春夫+増田渉=訳 「阿Q正伝」 『魯迅選集』 岩波文庫 1935/06

(J14) 井上 1932, 1937, etc.
「てめえ達は、首斬(くびきり)を見たことがあるめえ」と阿Qは言った。「ふん、見てくれ、革命党を殺すなんておもしれえもんだぜ」 彼は首をふると、ちょうどまん中にいた趙司晨の顔の上に唾(つばき)がはねかかった。この一言に皆の者はぞっとした。

  • 第六章 中興から末路へ 魯迅=作 井上紅梅=訳 「阿Q正伝」
  • a の底本は c。ただし a では c の旧字旧かなが新字新かなに改めてあります。引用は a. 青空文庫版に拠りました。

 Video 2 
[zh] 阿Q正传 (1981) 导演: 岑范 主演: 严顺开
[ja] 阿Q正伝 (1981) 監督: 岑範(ツェン・ファン)主演: 厳順開(イエン・シュンカイ)
[en] The True Story of Ah Q (1982) Directed by Cen Fan. Starring Yan Shunkai.

阿Qのセリフ「おまえたち、首切りを見たことがあるかい?」は 52:44 から。
阿Q的“你们可看见过杀头么?”可以听到在52:44
Ah Q's "Have you seen an execution?" line starts at 52:44.


 Audio 1 
中国語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook in Chinese

下に引用する箇所の朗読は 47:17 から始まります。 Reading of the excerpt below starts at 47:17.


 Audio 2 
中国語原文の朗読 Audiobook in Chinese read by Jing Li

下の引用箇所の朗読は 2:54:27 から始まります。 Uploaded to YouTube by GreatAudioBooks on 19 Aug 2014. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 2:54:27.


■簡体字中国語原文 The original text in simplified Chinese

“你们可看见过杀头么?”阿Q说,“咳,好看。杀革命党。唉,好看好看,……”他摇摇头,将唾沫飞在正对面的赵司晨的脸上。这一节,听的人都凛然了。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2015/03/03 1分で名著「阿Q正伝」ってこんな話の YouTube 画面を追加しました。また、リンク先の中国語オーディオブックが削除されていたので他の録音と差し替えました。
  • 2014/02/08 田中清一郎+中沢信三=訳 1952/10/05 を追加しました。
  • 2013/06/11 中国語原文のオーディオブック(朗読)の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/05/24 ドイツ語訳、スペイン語訳、およびフランス語訳を追加しました。また、外部リンクの項を新設しました。
  • 2012/03/19 William A. Lyell によるもう一つの英訳を追加しました。
  • 2012/01/30 西本鶏介=訳 1985/01/30 を追加しました。
  • 2012/01/28 映画 『阿Q正伝』の YouTube 動画を追加しました。
  • 2011/02/26 ロシア語訳と簡体字中国語原文を追加しました。
  • 2009/04/14 藤井省三=訳 2009/04 を追加しました。
  • 2008/06/16 書誌情報を補足・修正しました。
  • 2008/03/22 この記事のタイトルを次のとおり変更しました。
    • 旧題: 魯迅 Lu Xun 『阿Q正伝 The True Story of Ah Q』
    • 新題: 魯迅 『阿Q正伝』 The True Story of Ah Q by Lu Xun
  • 2006/11/12 丸尾常喜=訳 1992/03 を追加しました。
  • 2006/10/25 松枝茂夫+和田武司=訳 1976、および高橋和己=訳 1967/06 を追加しました。また、Amazon.co.jp の該当ページや電子テキストへのリンクを張りました。
  • 2006/05/19 丸山昇=訳 1975 を追加しました。また、日本語訳の配列を、旧→新から新→旧に変更しました。
  • 2006/04/28 松枝茂夫=訳 1970 を追加しました。
  • 2006/04/22 小田嶽夫=訳 1990 を追加しました。また、書誌情報を補足しました。さらに、この記事のタイトルを次のとおり変更しました。
    • 旧題: 魯迅 「阿Q正伝」
    • 新題: 魯迅 Lu Xun 『阿Q正伝 The True Story of Ah Q』
  • 2006/02/20 井上紅梅=訳 1932 を追加しました。
  • 2006/02/12 佐藤春夫+増田渉=訳 1935 を追加しました。

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