Mansfield, Katherine

Friday, 14 September 2007

Bliss by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「幸福」「至福」「彼女の幸福」

            目次 Contents

    Video  Bliss: The Beginning of Katherine Mansfield (2011) DVD Trailer
    Images  表紙画像 Cover photos
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 芹澤 2017
     (J2) 西崎 2002
     (J3) 利根川 1998
     (J4) 大澤 1975, 1999
     (J5) 崎山 1969
     (J6) 海老池 1964, 1980
     (J7) 黒沢 1961, 1966
     (J8) 江上 1960
     (J9) 伊藤 1958, 1986
     (J10) 萩原 1937
     (J11) 崎山 1934
     (J12) 平田 1930, 1936
     (J13) 山本 1929
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese
     (Pt1) Sardinha, 1997
     (Pt2) Cupertino, 1991
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
    Audio  英語原文オーディオブック Audiobook in English
   ■英語原文 The original text in English
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


 Video 
Bliss: The Beginning of Katherine Mansfield (2011): DVD Trailer

Uploaded by NZditto on Oct 12, 2011. "Bliss: The Beginning of Katherine Mansfield" 2011 TVC for Roadshow Entertainment New Zealand created by Jeremy Freeman of Dot.com and Christian de Ment of ditto. Written and Directed by Fiona Samuel. Starring Kate Elliott.


 Images 
表紙画像 Cover photos

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a. Penguin b. 41b05vt2xql c. Bloomsbury


■日本語訳 Translations into Japanese
 
(J1) 芹澤 2017

 ハリーは食事を愉しんでいた。彼は食べ物についてよく語った。たとえば「ロブスターの白い身となると恥知らずなまでの情熱を抱く」とか「ピスタチオ・アイスクリームに見られる緑色は、そうだな、エジプトの踊り子の瞼のような涼やかな緑だ」と。こんなふうに自分のことばに得意になるのは、彼の性格というよりも才能の一種であって、断じてポーズなどではないし、敢えて言うならば、彼という人を形づくる何かだった。


(J2) 西崎 2002
 ハリーは食事を楽しんでいた。それは性格というよりは彼の才能だった。そしてそれは断じてポーズではなく——彼を形成する何か——もっと重要な何かだった。彼が食べ物について語って得意がることは。「ロブスターの白い肉への恥知らずな情熱」あるいは「ピスタチオ・アイスの緑色——エジプトの踊り子の瞼のような冷たい緑」。

  • 「幸福」 キャサリン・マンスフィールド=著 西崎憲(にしざき・けん)=編訳 『マンスフィールド短篇集』 ちくま文庫 2002/10

(J3) 利根川 1998
 ハリーは晩餐を楽しんでいた。食事について語ること、「ロブスターの白い肉への慎みのない情熱」や「エジプトの踊り子のまぶたのように緑で冷たい、ピスタチオ風味のアイスクリームの緑色」を得意がることは、夫の一部であり——厳密にいえば夫の本性の一部ではなく、もちろんポーズの一部なのでもなかったが——夫の——なにかしらの一部だった。


(J4) 大澤 1975, 1999
 ハリーは晩餐を楽しんでいた。食物の話をして「海老の白肉となると厚かましいほどに目のないこと」と「ピスタチオ入りアイスクリームの緑の部分——エジプトの踊り子のまぶたのように緑色で冷たい」とか得意になって述べるのは、彼の——そう、正確に言って、彼の本性ではない、確かに彼のポーズでもなし、彼の何かというところだった。


(J5) 崎山 1969
 ハリーは食事を楽しんでいる。それは彼の——なんというか、性質ではない、厳密にいうなら、もちろんポーズじゃない——彼の——なにかしら、なんでもいいわ、あるものの一部なんだけれど、食べものの話をし、「ロブスター(いせえびの類)の白い肉には見えも外聞もないほど目がないんだ」とか「ピスターシオウ・アイス(南欧産の小木ピスターシオウのナッツをつぶして香料としたアイスクリーム)のみどり色——エジプトの踊子の瞼(まぶた)のようにみどり色で冷たくて」と悦にいっている。


(J6) 海老池 1964, 1980
 ハリーは食事を楽しんでいた。幾分か——そう、生まれつきといっては当たらないし、気取りなんていうものじゃないが——何かある特有のやりかたで——彼は食物の話をして、「蝦の白い肉にたいする厚顔な情熱」とか「ピスタチオ・シャーベットの緑色——エジプトの踊り子の瞼のように緑色で冷たい」とか、得意になってまくし立てた。


(J7) 黒沢 1961, 1966
 ハリイは食事を楽しんでいた。食物の話をしたり「えびの白い肉」や「エジプトの踊り子の眼瞼のように青く冷い——緑の冷いピスターシオに対するみっともない程の情熱」を誇りに思うのは彼の——まあ、生れつきの性質では必ずしもないし、またポーズでも勿論ない——彼の——何かはっきりわからないもののせいである。


(J8) 江上 1960
[この本には Bliss の邦訳は収録されていません - tomoki y.]


(J9) 伊藤 1958, 1986
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

  • マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
    1. マンスフィルド短篇集 園遊会他』 英米作家対訳双書 Kinseido's books 金星堂 1986
    2. 『マンスフィルド短篇集 園遊会他』  Kinseido's books 金星堂 1958/10

(J10) 萩原 1937
 ハリーは御馳走を滿喫してゐた。食べ物の話をして、いや「ざらがに(#原文は太字でなく傍点)の白い肉が無性に好きだ」の「埃及の踊り子の瞼のやうに青くつて冷たい——ピスダシュウ入りのアイスクリームの青さ」だのと述べたてゝ得意になるのが、彼の——さう、必ずしも生れつきとは云へないが、といつて、確かに氣取つてゐるといふのではなく——彼の——何だかはつきりとはいへないけれど、まあ彼の性格の一部といつてもよかつたのだ。


(J11) 崎山 1934
 ハリイはおいしさうに食べてゐました。食物の話をして、「海老の白肉(しろみ)がたまらなくすきだ」といひ、ピスタショ(落花生の一種)入りのアイスクリームの青い色は、丁度「エジプトの踊りつ子の瞼のやうに、青く冷たい」と得意になるのは、彼の性質——とはいへないし、勿論、見榮えといふ言葉もあたらないし、まあしかし、彼ハリイの何かであつたことは間違ひないところです。


(J12) 平田 1930, 1936
 ハリイは頻(しき)りと食事(しよくじ)を賞美(しやうび)してゐた。それが先生(せんせい)の——さう、必(かなら)ずしも本性(ほんしやう)といふ次第(しだい)ぢやないが、確(たし)かに態度(たいど)ぢやないんで——先生(せんせい)の——何(なに)かしらの一部(ぶ)だつたのだ、食物(たべもの)の話(はなし)をして、「伊勢蝦(いせえび)の白(しろ)い肉(にく)が無性(むしやう)に好(す)きでならないこと」や、「埃及(エヂプト)の踊(をど)り子(こ)の瞼(まぶ た)のやうに靑(あを)くて、冷(つめた)い——ピスタシヨオ入(い)りの氷菓子(アイスクリーム)の靑(あを)い」のに大得意(だいとくい)になるのが。

  1. 「幸福」 マンスフイルド=著 平田禿木(ひらた・とくぼく)=譯 『蜜月・幸福』 山本文庫 3版 山本書店 1936(昭和11)
    • 山本文庫の総目録は、林哲夫氏のサイト daily sumus 2005/06/12
          項や、紀田順一郎+谷口雅男=監修『ニッポン文庫大全』ダイヤモンド社
          1997/11 の317ページなどで一覧できます。
  2. 「幸福」 カザリン・マンスフィルド=著 平田禿木=譯 『世界大衆文學全集第三十七卷 グランド・バビロン・ホテル』 改造社 1930/06/06(昭和5)
    • 電子テキストアーカイブ 青空文庫 では、平田訳「幸福」電子版の同文庫での公開を目指して、2を底本としたテキストの入力が進行していましたが、どうやらその計画は中途で放棄された模様です。上の引用は2に拠りました。食の旧字は新字で置き換えました。

(J13) 山本 1929
 ハアリイは晩餐を味はつてゐた。——彼の——さうね、生れ付きぢや可笑(をか)しいわね——と言つて、猶更、氣取つてゐる譯でもなく——彼の——えゝ、何でもいゝわ——それで、いつも、食物の話をし、得意になつて、「海老の白い肉に對する彼の厭(あ)くことなき情熱」や「埃及の踊り女(め)の眼瞼(まぶた)のやうな冷やかな緑色——ピスタショオ氷の緑色」を述べ立てた。


■ロシア語訳 Translation into Russian

Гарри наслаждался ужином. Это было, ну, не совсем в его натуре и, конечно, не поза - говорить о еде и предаваться "в бесстыдной страсти белой плоти лобстеров и фисташковым шарикам мороженого - зеленым и холодным, как веки египетских танцовщиц".

  • Кэтрин Мэнсфилд "Счастье". Translated by Слободкина Ольга
  • E-text at lit.lib.ru

■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese

(Pt1) Sardinha, 1997
Harry estava apreciando o jantar. Era parte de sua — bem, não exatamente sua natureza, e certamente não de sua pose — de sua — alguma coisa nele — falar sobre comida e se vangloriar de sua "desavergonhada paixão pela carne branca da lagosta" e "o verde dos sorvetes de "desavergonhada paixao pela carne branca da lagosta" e "o verde dos sorvetes de pistache, verdes e frios como pálpebras de bailarinas egípcias".


(Pt2) Cupertino, 1991
Harry estava gostando do jantar. Era próprio dele — bem, não sua natureza, exatamente, e não, certamente, uma pose — bem, um pouco de cada coisa — falar sobre comida e alardear sua paixão "impudica por carne branca de lagosta e o verde dos sorvetes de pistache, verdes e frios como pálpebras de bailarinas egípcias".


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Harry disfrutaba la cena. No estaba siendo natural pero tampoco era una postura; era un algo que lo caracterizaba. Hablaba de la comida y se vanagloriaba de su tímida pasión por la carne blanca de la langosta y el verde del helado de pistacho -verde y frío como ojos de bailarinas egipcias.


 Audio 
英語原文オーディオブック Audiobook in English

下に引用する箇所の朗読は 20:09 から始まります。 Uploaded to YouTube by The16thCavern on 13 Jan 2013. Audio courtesy of LibriVox. Read by Julie VW. Reading of the excerpt below starts at 20:09.


■英語原文 The original text in English

Harry was enjoying his dinner. It was part of his -- well, not his nature, exactly, and certainly not his pose -- his -- something or other -- to talk about food and to glory in his "shameless passion for the white flash of the lobster" and "the green of pistachio ices -- green and cold like the eyelids of Egyptian dancers."


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2018/02/24 目次と芹澤恵=訳 2017/04 を追加しました。
  • 2012/09/27 平田禿木=譯 1930/06/06 の訳文を挿入しました。
  • 2012/06/19 Bliss: The Beginning of Katherine Mansfield の YouTube 動画を追加しました。また、ロシア語訳とスペイン語訳も追加しました。
  • 2011/11/25 Maura Sardinha による、もうひとつのポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/08/21 LibriVox による朗読へのリンクを追加しました。
  • 2011/01/22 ポルトガル語訳を追加しました。
  • 2009/07/31 江上照彦=訳 1960/04/30 の現物にあたって、本作品 A Cup of Tea が収録されていないことを確認しました。
  • 2007/10/16 平田禿木(ひらた・とくぼく)=譯 1930, 1936 の見出しを追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。
  • 2007/09/20 海老池俊治=訳 1964/01 を追加しました。
  • 2007/09/14 萩原恭平=譯註 1937/07、および山本修二=譯 1929/07 を追加しました。また、Links に日本語で書かれたサイト2つを追加しました。

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Thursday, 13 September 2007

A Cup of Tea by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「一杯のお茶」「一杯の茶」「お茶を一杯」

■はじめに Introduction

下に引用するのはニュージーランド出身の作家キャサリン・マンスフィールドの短編小説「一杯のお茶」の冒頭部分です。さまざまな訳や朗読のあとに、英語の原文を掲載します。


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表紙画像 Cover photos

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a. New_zealand_stories b. 12436 c. 014144181x

■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh1) 徐志摩 2012
罗斯玛丽?费尔并不怎样的美。不,你不会得叫她美。好看?呒是的,要是你把她分开来看……可是为什么要拿一个好好的人分开来看,这不太惨了吗?她年纪是轻 的,够漂亮,十分的时新,穿衣服讲究极了的,专念最新出的新书博学极了的,上她家去的是一群趣极了的杂凑,社会上顶重要的人物以及……美术家——怪东西, 她自己的“发现”,有几个怕得死人的,可也有看得过好玩的。


(Zh2) 大连工业 孔韶辉 2012
  罗斯玛丽·费尔不算漂亮。
  真的,你不能称她为漂亮。长得标致吗?这个嘛,如果你把她的五官拆开,单看她的每一部分……可是,我们干吗要如此狠心,非得把人家的五官拆开来看呢?她年轻、聪颖,非常新潮,穿着考究,读过无数最新出版的书。她结交的人可以形成一个绝佳组合,不是真正的重要人物,就是……艺术家们——稀奇古怪的人物,都是她物色的,他们当中有一些人怪异得难以形容,不过有一些倒也很体面,很风趣。

  • 〈一杯茶〉 作者: 凯瑟琳·曼斯菲尔德 译者: 大连工业 孔韶辉 外语教学与研究出版社 2012
  • E-text at 爱洋葱 (iyangcong.com)

■日本語訳 Translations into Japanese

(J0) 芹澤 2017
 ローズマリー・フェルは、厳密に言えば美人ではない。そう、彼女を美人と呼ぶことには無理がある。では、かわいらしいと呼ぶことは? まあ、部分ごとに見てみれば、呼べなくもないだろうが……だが、人の造作をばらばらにするなどという残酷なことをする必要がどこにあろう? 彼女は若く、あでやかで、すこぶる現代的で、洗練された着こなしに長(た)け、新刊書のなかでも最新の作品に驚くほど通じ、彼女がパーティーを催せば本来の重要人物に混じって、—風変わった、いわゆる、その……芸術家たちが集い、実に興味深く、贅沢な顔ぶれとなる。芸術家というのは、言うなれば彼女が見つけてきた掘り出し品でなかにはことばにするのもはばかられるような者もいるにはいるが、大方は礼儀をわきまえ、つきあうにはおもしろい連中である。


(J1) The Creative CAT, 2006
ローズマリー・フェルは正確にいうと美しくはありませんでした。いえいえ、美しいなんてとても言えなかったでしょう。可愛いかって? そうね、いろんな部分部分はね。でも誰かをばらばらの部分にしちゃうのは酷すぎると思わないこと? 彼女は若く、華やかで、ものすごくいい物を着ていて、くらくら来るほど新刊中の新刊を読んでいて、パーティーには本当の貴人を呼んでいました…まあ、そういう人以外にも芸術家という輩---こっちは奇人ね。彼女が見つけてくるの---も参加していて、連中の中には口にするのもどうかと思う程酷いのもいたけど、他の人達はちゃんと見苦しくなく楽しい皆さんでした。

  • 一杯のお茶」 キャサリン・マンスフィールド=著 The Creative CAT=訳
  • E-text at The Creative CAT's Centre, Uploaded 2006/01/12

(J2) 西崎 2002
 ローズマリー・フェルは正確に言えば美人ではない。そうではない。彼女を美人と呼ぶことはできない。可愛らしい? そう、もしばらばらにして、それから……。いや、誰かの顔をばらばらにするなんて、そんなひどいことができるだろうか。彼女は若く、輝かしく、素晴らしく現代的で、溜息がでるほど良い服を着て、新しい本のなかでもさらに新しい本を読んだ。そうして彼女の開くパーティーは真に重要な人たちと、それに……芸術家たちの豪華な混合物だった。芸術家——風変わりな人たち、彼女に発見された人々、そのうちの何人かは説明するのすら恐ろしい人たちだった。けれど、それ以外の者は礼儀正しく、楽しい人物だった。

  • 「一杯のお茶」 キャサリン・マンスフィールド=著 西崎憲(にしざき・けん)=訳 西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集』 ちくま文庫 2002/10 所収

(J3) 大澤 1975, 1999
 ローズマリー・フェルは、正確にいって、美人ではなかった。そう、美人だなどとよぶことはできなかった。可愛らしいかって? そう、彼女をばらばらにして考えるならば……しかしなぜ人をばらばらにして考えるなんて残酷なことができようか? 彼女は若くて、聡明で、このうえなく現代的で、みごとな服の着こなしだし、新刊書の最新のものに驚くほど精通していた。それに彼女の仲間は実際社会的に有力な人びとや……芸術家たち——風変わりな人たちで、彼女の見つけてきた掘り出しもの、なかには何とも言いようのないほどすさまじいものもいれば、またじゅうぶん人前にだせる面白いものもいる——そういった非常に愉快な連中であった。

  • 「一杯のお茶」 キャサリン・マンスフィールド=著 大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳
  • 引用は a. 新水社版 1999/06 に拠りました。

(J4) 崎山 1969
 ローズマリー・フェルは、とくに、美人というわけではありません。いや、美人だなんどとはとてもいえません。それでは、かわいいといえるかしら? そうですね、顔の造作を一つ一つとりあげてみたら……でも顔をばらばらにするなんて、少しひどいですね。若くて、聡明で、とてもモダンで、すばらしく趣味のよい身なりをしていて、新刊書をよく読んでいて、彼女の集まりといえば、まことに楽しい人たちのよりあいで、社会的地位の高い人たち……それから芸術家仲間——これがまた変わった人種で、彼女の掘り出しもので、そのうちのいくたりかにはなんともいいようのないくらいいやな人もいますが、ほかの人は、まったく見た目にもりっぱだし、気持もよい人たちです。


(J5) 海老池 1964
 ローズマリー・フェルはかくべつ美人ではなかった。そう、美人とはいえなかった。が、かわいいかどうかは、その目鼻立ちをひとつひとつ取り上げると……だが、女の目鼻立ちをひとつひとつ取り上げるというような残忍なことをするものではない。彼女は若く、人目をひき、まったく現代的で、すばらしくしゃれた衣裳を身につけ、最新刊の書物に驚くほど通じていた。彼女が招く客はその選びかたがこの上なく気が利いていて、本当に貫禄のある人々と、そして……芸術家たち——風変わりな、彼女が発見した連中だった。なかには、ちょっといいようのないほど困った男もいたが、体裁が悪くなく、気晴らしになるものもいた。

  • 「お茶を一杯」 カサリン・マンスフィールド=著 海老池俊治(えびいけ・しゅんじ)=訳 『マンスフィールド短篇集』 八潮版・イギリスの文学 2 八潮出版社 1964/01 所収

(J6) 工藤 1963
 ロウズマリー・フェルは美人というわけではありません。だれが見てもそうはいえないでしょう。きれいですかって? 顔の造作を分解してみれば、まあ……でも、分解なんて、残酷なことはしないほうがいいでしょう? 若くて、才気煥発で、とてもモダーンで、すごくいい着物を着て、とびきりの新刊書をあきれるほどよく読んでいます。つきあっているのは、本当に偉い人たちとそれに芸術家というすてきな組み合わせです。芸術家——これは毛色の変った人種で、彼女の掘り出しもので、中にはあきれて口もきけないくらいの人たちもいますが、大体は客の前に出して恥ずかしくない、面白い人たちです。


(J7) 江上 1960
[下の江上氏の本には A Cup of Tea の邦訳は収録されていません - tomoki y.]

  • キャサリン・マンスフィールド=著 江上照彦(えがみ・てるひこ)=訳

(J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
 ローズマリ・フェルは美人とは言えなかった。実際、誰だって彼女のことを美しいなんて言えやしない。愛嬌があるって? まあ、顔だちの一つ一つをとれば……。 だが何だって人をばらばらにするような残酷な真似をするのか。彼女は若くて、才気に溢れ、非常にハイカラで、着付けも実に見事で、最新刊の本のことなら驚くばかりによく知っていた、そして彼女のとこの実に楽しいパーティには社会的に有力な人達にまじって……芸術家というのがいた——風変りな連中で、彼女が見つけた人達である、中には言葉に言えぬほどぞっとするようなのもいたが、大抵はみなりちゃんとして愉快な連中であった。


(9) 伊藤 1958, 1986
 ローズマリ・フェルは本当の美人じゃありませんでした。ええ、とても美人とは言えませんでした。でも、可愛かったかと仰しゃるんですか? そうですね、ばらばらにして見れば……でも、まさか、人をばらばらになんて出来やしませんよ。彼女は若くて、才気のある、とてもモダンで、すばらしい身なりをしていて、新刊書と来たら一番新らしいものまで驚く程よく目を通し、仲間はまた本当に有名な方々と……それに芸術家達の加わったとても気持のいい連中で、もっとも、芸術家と言っても風変りな人達で、彼女の掘り出し物で、中には口に出せない程ひどいものもいますが、他は恥ずかしくない面白い人々でした。


(10) 野崎 1953
 ローズマリ・フェルは、正確に言うと、美貌ではありません。そうです、美貌と称するわけには参りますまい。では綺麗か、とおつしやるのですか。そうですね、若し部分的に見るならば——でも、人を部分的にみるなんて、そんな残酷な事が出来ますかしら。彼女は若く、溌剌として、とても近代的で、素晴らしい洋服を身につけ、新しい中でも新しい本を、びつくりする程よく読んでいました。それから彼女の開く社交会——これが実に楽しい会合で、集まる者は本当のお歴々、それから芸術家達——これがまた、変つた連中で、彼女の堀出しもの[ママ]なのです。中には口にするのも憚られる凄いのも居リますが、どこへ出しても恥かしくない面白い人達もまじつていました。

  • 「一杯の茶」 マンスフィールド=著 野崎孝=訳 岡鹿之助=装幀 『入江にて』 ウェルテル文庫 早川書房 1953/10 所収

(11) 崎山 1934
 ローズメリーは美人ではありません。誰が見たつてさうとはいへないのです。でも、顔だちは——顔の造作を、一つ一つ分解したら……顔の分解なんて、少しひどいですね。若くて、溌剌としてゐて、とてもモダンで、非常にいゝ着物を着て、新刊書はずつと眼を通してゐるし、友人といふと社會に樞要な地位を占めてゐる人達と、それから藝術家連中——これが又、變つた人種で、彼女のめつけもので、中には口に出せないくらゐ突拍子もないのもゐるが、大體は人柄もよく、氣持もいゝものです。


■ポルトガル語訳(部分) Translation into Portuguese (fragment)

Rosemary Fell não era exatamente linda. Não, não se poderia chamá-la de linda. Bonitinha? Bem, se a ana- lisássemos por partes [Omission] Mas por que ser tão cruel ao ponto de dissecar uma pessoa?


 Audio 
「一杯のお茶」 英語原文のオーディオブック(朗読)
A Cup of Tea - Audiobook courtesy of LibriVox

Uploeaded to YouTube by Short Stories Cafe on 6 Feb 2016. Read by Julie VW.


■英語原文 The original text in English

Rosemary Fell was not exactly beautiful. No, you couldn't have called her beautiful. Pretty? Well, if you took her to pieces... But why be so cruel as to take anyone to pieces? She was young, brilliant, extremely modern, exquisitely well dressed, amazingly well read in the newest of the new books, and her parties were the most delicious mixture of the really important people and... Artists - quaint creatures, discoveries of hers, some of them too terrifying for words, but others quite presentable and amusing.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016/11/16 伊藤恭二郎=訳註 1958/10/31の訳文を挿入しました。
  • 2014/06/14 2種類の簡体字中国語訳を追加しました。
  • 2013/05/21 「はじめに」の項を新設しました。また、オーディオブック(朗読)へのテキスト・リンクを YouTube の画面で置き換えました。
  • 2011/08/21 LibriVox による「A Cup of Tea」の朗読へのリンクを追加しました。
  • 2009/07/31 江上照彦=訳 1960/04/30 の現物にあたって、本作品 A Cup of Tea が収録されていないことを確認しました。
  • 2007/09/28 野崎孝=訳 1953/10 を追加しました。
  • 2007/09/20 海老池俊治=訳 1964/01 を追加しました。
  • 2007/09/14 工藤昭雄=訳 1963/05 を追加しました。

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Wednesday, 12 September 2007

The Voyage by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「船の旅」「海の旅」「船旅」「航海」

        目次 Table of Contents

 Video 1  キャサリン・マンスフィールド A Portrait of Katherine Mansfield
 Video 2  ニュージーランドの町ピクトン Picton, New Zealand
 Images   表紙画像と切手 Book covers and a postal stamp
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 芹澤 2017
  (J2) 平戸 2003
  (J3) 西崎 2002
  (J4) 大澤 1975, 1999
  (J5) 崎山 1969
  (J6) 江上 1960
  (J7) 黒沢 1960, 1961, etc.
  (J8) 伊藤 1958, 1986
  (J9) 安藤 1957
  (J10) 崎山 1934
■ロシア語訳 Translation into Russian
■スペイン語訳 Translation into Spanish
  Audio   英語原文のオーディオブック Audiobook in English read by Lucy Burgoyne
■英語原文 The original text in English
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Video 1 
キャサリン・マンスフィールド——作家の肖像 A Portrait of Katherine Mansfield

Uploaded to YouTube by Rogério Bettoni on 22 Oct 2014


 Video 2 
ニュージーランドの町ピクトン Picton, New Zealand

マンスフィールドはピクトンに縁がある。彼女の祖父母と父ハロルド・ボーシャンは、オーストラリアからニュージーランドへ移住したあと、一時期ピクトンに住んでいた。また、祖父アーサー・ボーシャンは1866年から翌67年まで、この地区選出の国会議員だった。 Uploaded to YouTube by World Travel Guides on 16 Apr 2014


 Images 
表紙画像と切手 Book covers and a postal stamp

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a. Kennedykm b. Image_upload c. Katherine_mansfield_nz_post

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 芹澤 2017
 南島のピクトン行きの汽船は、午後十一時半に出港することになっている。穏やかな美しい夜で、星がたくさん出ていたけれど、みんなで辻馬車を降りて港に長く突きだした旧埠頭を歩きはじめたとき、海から吹いてくる風に帽子を吹き飛ばされそうになり、フェネラは慌てて片手で帽子を押さえた。旧埠頭は暗かった。とても暗かった。羊毛の梱(こり)を貯蔵しておく小屋、家畜運搬用の貨車、空に首を伸ばす起重機(クレーン)、ずんぐりとした小型の機関車——どれも闇の塊を削ってこしらえたように見えた。


(J2) 平戸 2003
 ピクトン行きの船は十一時半の出港予定だった。穏やかで、星明かりの美しい夜だったが、それでも車から下りて港に突き出ている旧桟橋を歩き始めると、海から吹きつける風にフィネラのかぶった帽子ははためき、彼女は片手を上げてそれを押さえた。旧桟橋の上は暗かった。ひどく暗い。羊毛格納庫、家畜運搬車、とっても高く立ち上がっている起重機、小さくてずんぐりした鉄道機関車、そうした物はみんな漆黒の闇に彫りこんだように見えた。

  • キャサリン・マンスフィールド=著 平戸喜文(ひらど・よしふみ)=訳 「船の旅」 トマス・ハーディ〔ほか〕=著 『イギリス名作短編集』 近代文芸社 2003/02 所収

(J3) 西崎 2002
 ピクトン行きの汽船は十一時半に出港することになっていた。穏やかな美しい夜で、頭上では夥しい星が瞬いていた。けれども、タクシーを降りて、港に深く切れこむ旧埠頭通りを歩きはじめた時、海から風が吹いてきて、フェネラの帽子は吹き飛ばされそうになった。フェネラは帽子を手で押さえた。旧埠頭通りは暗かった。とても暗かった。羊毛を貯めておく小屋、家畜運搬車、空に突きでたクレーン、うずくまる小さな蒸気機関車、みんな固形の闇を彫って造ったように見えた。

  • キャサリン・マンスフィールド=著 西崎憲(にしざき・けん)=訳 「船の旅」 西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集』 ちくま文庫 2002/10 所収

(J4) 大澤 1975, 1999
 ピクトン行きの船は十一時半に出ることになっていた。穏やかな、星のきらめく、美しい夜だったが、しかし彼らが馬車から降りて、港の方へ突き出た旧桟橋に沿って歩き出した時には、水の上を渡ってくるそよ風が、フェネラの帽子の下の髪をそよがせ、彼女は手をあげて帽子を押さえた。旧桟橋の上は暗かった、まっ暗だった。羊毛置場、牛をのせた無蓋貨車、非常に高くそびえているクレーン車、小さなずんぐりした機関車、すべてが暗黒の塊で彫って作ってあるように思われた。

  • キャサリン・マンスフィールド=著 大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳 「船の旅」
    1. 大澤銀作+相吉達男(あいよし・たつお)+河野芳英(かわの・よしひで)+柴田優子=訳 『マンスフィールド全集』 新水社 1999/06 所収
    2. マンスフィールド作品集』 文化書房博文社 1975 所収
  • 引用は1に拠りました。

(J5) 崎山 1969
 ピクトン行きの船は十一時半出航の予定だった。暖かで、星のかがやく美しい夜であった。しかし、みんなが、馬車から下りて、港につき出ている「旧波止場(はとば)」を歩き出すと、海面から吹いて来るかすかな風が、フィネラの帽子の下でパタパタして、片手を上げて、それをおさえなければならなかった。「旧波止場(はとば)」の上は暗かった——まっくらだった。羊毛刈場、家畜貨車、そびえ立つ起重機、小さなずんぐりした鉄道機関車——みんな深いやみのなかに、彫りもののように見えた。


(J6) 江上 1960
 ピクトン*航路の船は、十一時半に出帆(しゅっぱん)の予定だった。美しいおだやかな星月夜だった、ただ、彼女たちが馬車を降りて、港の中に突出している「旧埠頭(ふとう)」を歩みはじめたとき、水の上を吹渡ってくる微風がフェネラの帽子をあふったので、彼女は手をあげてそれをおさえた。「旧埠頭」の上は暗かった、まっ暗だった。羊毛倉庫、家畜運搬車、高くそびえている起重機、小さなずんぐりした機関車、すべてが固い闇を刻(きざ)んだもののように見えた。

* 訳註 Picton ニュージーランドの南島にある港市。北島のウエリントンからここへ行くには、船でクック海峡を渡る。


(J7) 黒沢 1960, 1961, etc.
 ピクトン行きの船は十一時半に出ることになっていた。そんなに寒くない、星のある、美しい夜で、ただ、彼等が馬車をおりて港に突出ている旧棧橋を歩き出した時に、海を渡ってくる微かな風がフェネラの帽子の下の髪をそよがせた、彼女は手をあげて帽子をおさえた。旧棧橋の上は暗かった、とても暗かった、羊毛置場、牛をのせた貨車、高く立っている起重機、小さなずんぐりした機関車、すべてが暗黒の塊を彫って造ったようにみえる。


(J8) 伊藤 1958, 1986
[伊藤恭二郎氏による下の2種類の対訳本には The Voyage は収録されていません]


(J9) 安藤 1957
 ピクトン行汽船(訳注 ピクトンはニュージーランドの南島にある港市。北島のウェリントンから渡るもので、この間にクック海峡がある)は、十一時半に出るはずだった。美しい夜で、おだやかに、星がきらめき、ただ、彼らが馬車からおりて、埠頭(ふとう)に突き出している「旧桟橋」を歩きだそうとしたときに、水の上をわたってくるかすかな風が、フェネラの帽子をあおったので、手をあげてそれをおさえた。「旧桟橋」の上は暗かった、とても暗かった。羊毛置場、家畜運搬車、高くそびえている起重機、小さな、ずんぐりした鉄道の機関車——すべてが固い暗闇から彫りぬかれたようだった。


(J10) 崎山 1934
 ピクトン號は十一時半出帆の筈だつた。その夜は、強い風もなく、空には美しい星がかゞやいてゐた。一行が馬車から下りて、港の中に突き出てゐる古い棧橋を歩いて行く時、波間からそよと吹きよせて來る肌ざはりのいゝ風が——それが、たゞ一つの動くものだつた——それが、フェネラの帽子をまくし上げ、彼女は手を差しのばして、それをおさへた。古棧橋の上は眞暗だつた。羊毛置場、家畜車、そびえ立つてゐる起重機、うずくまつてゐる小さな機關車——さうしたものがぼんやりと浮び上つてゐるのだつた。


■ロシア語訳 Translation into Russian

Пароход на Пиктон отходил в половине двенадцатого. Вечер был чудесный, тихий, звездный; только когда они вылезли из пролетки и двинулись по Старой пристани, что вдавалась прямо в гавань, морской ветерок чуть не сдул с Фенеллы шляпу и пришлось придержать ее рукой. На Старой пристани было темно, очень темно; навесы, под которыми складывают тюки шерсти, платформы для скота, высоченные краны, приземистый паровозик – все, казалось, вырублено из плотной тьмы.

  • Кэтрин Мэнсфилд - Путешествие.  Переведен в 1981 г. Первая публикация: Английская новелла ХХ века. М.: Худож. лит., 1981. - с.180-188.
  • E-text at ВАВИЛОН: Проекты: Нора Галь

■スペイン語訳 Translation into Spanish

El barco de Picton debía zarpar a las once y media. La noche era hermosa, tibia, llena de estrellas, pero cuando salieron del taxi y empezaron a caminar por el Muelle Viejo que sobresalía en el puerto, una ligera brisa procedente del mar agitó el sombrero de Fenela por debajo y tuvo que levantar la mano para sujetárselo. El Muelle Viejo estaba oscuro, muy oscuro; los tinglados de lana, los camiones de ganado, las grúas erguidas a gran altura, la pequeña y rechoncha locomotora, todo parecía estar labrado en una oscuridad sólida.


 Audio 
「園遊会」その他の短編 英語原文のオーディオブック 朗読: ルーシー・バーゴイン
The Garden Party and Other Stories. Audiobook read by Lucy Burgoyne

「航海」は9番目の録音です。 Audio courtesy of LibriVox. The Voyage is Track 9.


■英語原文 The original text in English

The Picton boat was due to leave at half-past eleven.  It was a beautiful night, mild, starry, only when they got out of the cab and started to walk down the Old Wharf that jutted out into the harbour, a faint wind blowing off the water ruffled under Fenella's hat, and she put up her hand to keep it on.  It was dark on the Old Wharf, very dark; the wool sheds, the cattle trucks, the cranes standing up so high, the little squat railway engine, all seemed carved out of solid darkness.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2018-02-25 芹澤恵=訳 2017/04 を追加しました。
  • 2016-11-16 伊藤恭二郎氏による対訳本についての書誌情報を修正しました。
  • 2014-12-22 ピクトンを紹介するビデオと英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2012-06-19 ロシア語訳とスペイン語訳を追加しました。
  • 2010-12-25 The Life & Writings of Katherine Mansfield の YouTube 動画を追加しました。
  • 2009-07-31 江上照彦=訳 1960/04/30 を追加しました。

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Sunday, 09 September 2007

The Garden Party by Katherine Mansfield キャサリン・マンスフィールド 「ガーデン・パーティー」「園遊会」「園遊會」

             目次 Table of Contents

   ■はじめに Introduction
    Images  表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait
   ■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese
     (Zh1) 鱼翔浅底
     (Zh2) 茶茶小语
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 浅尾 2008
     (J2) 西崎 2002
     (J3) 白木 1985
     (J4) 大澤 1975, 1999
     (J5) 崎山 1969
     (J6) 海老池 1964
     (J7) 江上 1960
     (J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
     (J9) 伊藤 1958, 1986
     (J10) 安藤 1953, 1957, etc.
     (J11) 野崎 1953
     (J12) 崎山 1934, 1936
   ■邦題の異同 Variation of the title in Japanese
     Video   ウェルカム・トゥ・ブーンドックス The Garden Party - The Boondocks
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■オランダ語訳 Translation into Dutch
   ■イタリア語訳 Translation into Italian
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
   ■フランス語訳 Translation into French
    Audio 1  英語原文の朗読 Audiobook read by Luci Burgoyne
    Audio 2  英語原文の朗読 Audiobook read by Eve Karpfe
   ■英語原文 The original text in English
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

「ガーデン・パーティ」はニュージーランド出身の作家キャサリン・マンスフィールドが1922年に発表した短編小説。


 Images 
表紙画像と肖像写真 Cover photos and a portrait

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

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■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh2) 鱼翔浅底
“让游园会停下来?亲爱的萝拉,别傻了。我们不能就这样让游园会停下来。这是肯定的。没有人会希望我们停办游园会,不要说那么傻的话。”

可我们怎么能在前门刚刚死了一个人的情况下开游园会呢?

这件事说起来那还真是有些傻,提到那片小房子——在那座陡峭的小山脚,有一条属于他们的街道,那条街道一直通往谢里登家的住宅。一条宽阔的大路横贯其中。是的,那片小房子和谢里登家离的太近了。 [略] 居住在那里的是些工人,那里总是聚集一群小孩子。当谢里登家的孩子们还很小的时候,他们就被禁止去那里,以防染上些可怕的疾病。可当他们稍稍长大了些时,萝拉和劳瑞有时会从中穿行,那是件令人作呕的事。可是,做为一个人必需什么地方都去,什么事都要看看。于是,他们有会有意地从那片地方穿行。

   《游园会》 作者: 凯瑟琳•曼斯菲尔德 译者: 鱼翔浅底
   E-text at 星辰儿童文学


(Zh2) 茶茶小语
“停止花园茶会?我亲爱的劳拉,别傻了。我们当然不会为此做任何事,没有人期待我们去做,别那么不切实际。”

“但是我们不可能在一个人就死在前门外的时候还举办什么花园茶会呀?”

那确实太不切实际了。因为那些小屋坐落在自己的小巷子里,位于通往大房子的陡坡的最底部。一条宽阔的马路贯穿其中。的确,他们离得太近了。 [略] 在这个小巷子里住着洗衣妇、清洁工、修鞋匠和一个用小鸟笼堆满前门的男人。孩子成群结队。当谢尔登家的孩子还小的时候,他们是禁止涉足那里的,因为那里脏话连篇怕把他们熏染坏了。但他们长大后,劳拉和劳里有时候偷偷地在那里经过。那种感觉又恶心、又龌龊。他们都不寒而栗了。但是人总得到处走走、看看。所以他们穿过了那条小巷。

   《花园茶会》 作者: 凯瑟琳·曼斯菲尔德 译者: 茶茶小语
   E-text at 译言网


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 浅尾 2008
「園遊会を? ねえローラ、ばか言わないで。そんなことできるわけないでしょ。わたしたちにそうしてほしいと思ってる人なんて、ひとりもいやしないわよ。無茶なこと言わないでちょうだい」
「でも、うちの門のすぐ外で人ひとりが死んだっていうのに、園遊会なんてやってられないじゃないの」
 確かに無茶な話ではあった。小さな家々が立ち並ぶその路地というのは、この屋敷に続く急な坂道を下(くだ)りきったところにある。 [略] その路地に住むのは洗濯女に煙突掃除人、靴の修理職人といった人々で、家の前に小さな鳥籠をたくさんぶら下げている男もいる。子供も群れるほどいた。シェリダン家の子供たちがまだ小さかったころ、そのあたりには近づくなと言われていた。言葉遣いもがらが悪いし、もしかするとおかしなことを覚えてくるかもしれないからである。しかし、大きくなってからは、ローラやローリーはときどき、その路地をふらっと通り抜けることがあった。いかにもむさ苦しい、ぞっとするような場所だった。通り過ぎてから身震いすることもあった。それでも、人はあらゆるところに足を運び、あらゆるものを自分の目で見なければならない。だから彼らはその路地も通ったのだ。

   マンスフィールド=作 浅尾敦則(あさお・あつのり)=訳 「園遊会」
   ポプラクリエイティブネットワーク=編 『諸国物語
   ポプラ社 2008/02 所収
   ルビを一部省略しました。この訳は新訳。つまり、この本が初出です。


(J2) 西崎 2002
「ガーデン・パーティーを中止する? ローラ、ばかなことを言わないで。もちろん、わたしたちにはそんなことできないわ。そんなことするとは誰も思ってないわ。無茶なこと言わないで」
「でも、表門のすぐそばに死んだ人がいるのに、ガーデン・パーティーなんてできるわけないわ」
 それは確かに無茶なことだった。ローラの邸は高台にあって、高台の急な斜面の底には狭い道があった。そしてその道沿いに小さな家が並んでいた。 [略] 家には洗濯女たちが住んでいた。煙突掃除人、靴直し、それに家の前を小さな鳥籠で埋めた男が住んでいた。子供たちは大勢いた。シェリダン家の子供たちは小さい時、その場所に足を踏みいれることを禁じられていた。なぜならそこで話される言葉はひどいものだったし、病気がうつるかもしれなかったからだ。けれど、大きくなってからローラとローリーは散歩の時たまにそこを通り抜けた。家並みは不潔で、吐き気を覚えるほどだった。ふたりは身震いしてそこを通り抜けた。けれど、人というものはどんなところでも行かなければならないものだし、どんなものでも見なければならないものだった。だから、ふたりはその道を通り抜けた。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   西崎憲(にしざき・けん)=訳 「ガーデン・パーティー」
   西崎憲=編訳 『マンスフィールド短篇集』 ちくま文庫 2002/10 所収


(J3) 白木 1985
「ガーデン・パーティーをやめるだなんて。ローラったら、ばかなこといわないでよ。もちろん、そんなことできっこないわ。だれだって、そんなこと考えもしないでしょう。そんな、とほうもないこと、いうものじゃなくてよ」
「でも、表門のすぐまえの人が死んだのよ。ガーデン・パーティーなんか、できると思って?」
 じっさい、それはとっぴな考えであった。その家というのは、ローラたちの住んでいる邸(やしき)に通じるきゅうな坂道の下にあって、小道をはさんでひとかたまりにくっつきあっている数軒のなかのひとつだった。[略]
 その一画には、洗たく女だとか、煙突掃除夫、靴直し、それから、表戸のまえに、ちっちゃな魚かごをいっぱいぶらさげている男とか——そういったような人たちが住んでいた。子どもは、うじゃうじゃいた。シェリダン家の子どもたちは、ちいさいとき、そこへいってはいけないといわれた。ことばが乱暴なうえに、どんな病気をうつされるかわからないからだった。
 だが、かなり大きくなってからは、ローラと兄のローリーは、散歩のついでに、そこの小道を通りぬけることがあった。きたない、不ゆかいなところだった。ふたりは、ぞっとしながら、そこからでてくるのだった。
 しかし、人というものは、どこへでもいってみなければならない、なんでもみておかなければならない、という考えから、ふたりは、よくそこを通りぬけた。

   マンスフィールド=作 白木茂(しらき・しげる)=訳 「ガーデン・パーティー」
   『はじめての舞踏会』 世界の名作文学29 岩崎書店 1985/01/30 所収


(J4) 大澤 1975, 1999
 「園遊会をやめにするんですって? まあ、ローラ、そんなばかなこと言ってはいけないわ。もちろん、私たちはそんなことできやしないわ。誰も私たちにそんなことをしてもらおうなんて思ってやしないわ。そんな無茶なこと言ってはいけないわ」
 「でも、表門のすぐ外で人が死んだというのに、私たちは園遊会などとても開くことはできないわ」
 それは実際無茶なことだった、なぜなら小さな家々が邸へ通ずる急な坂のまさに下に、小径に自分たちだけでかたまって建っていた。 [略] 洗たく女がその小径に住んでいた、また掃除人や、靴直しや、家の前にはところせましと、小っちゃな小鳥かごを散在させている人が。子供たちが群がっていた。シェリダン家の連中は幼い頃、下品な言葉と、病気が感染するかもしれないために、そこに足を踏み入れることを禁じられていた。しかし、大きくなってからは、ローラとローリーは散歩の途中に時々通り抜けた。いまわしい、不潔なところだった。身震いして抜け出た。しかし、人はどこへでも行かなければならない、人はなんでも見なければならない。それでそこを通り抜けた。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   大澤銀作(おおさわ・ぎんさく)=訳 「園遊会」
   4a. 大澤銀作+相吉達男(あいよし・たつお)
      +河野芳英(かわの・よしひで)+柴田優子=訳
      『マンスフィールド全集』 新水社 1999/06 所収
   4b. マンスフィールド作品集』 文化書房博文社 1975 所収 
   引用は 4a. に拠りました。


(J5) 崎山 1969
 「園遊会をやめるって? ねローラ、そんな無茶なこと……そんなこと、全然できないわ。誰だって、私たちがやめるなんて思わないことよ。そんな無茶なことしないで……」
 「でも表門のすぐ前で死んだ人があるというのに園遊会をするなんて考えられないわ。」
 無茶といえば、たしかに無茶である。というのは、あの小さな家々は、彼女たちの家へ通じている急な坂道のどん底の路地に、ひとかたまりになって建っている。 [略] その路地には、洗濯婆さん、煙突掃除人、靴なおし、それから表に小さな鳥籠を一面にぶらさげている男などが住んでいる。子供たちが わんさ(#原文は太字でなく傍点)といる。シェリダン家の子供たちは、小さいときには、そこへ足をふみいれてはいけないといわれていた。言葉が乱暴だし、病気がうつされるかもしれないというわけである。しかし、ローラやローリーは大きくなると、ときどき散歩のついでにそこをぶらつくこともあった。いやな、むかむかするところだった。二人はぞっとしながら通り抜けるのであった。しかし、人間というものはどこへでも行かなければならない、なんでも見なければいけない——そう考えて、彼らは通り抜けるのであった。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   崎山正毅(さきやま・せいき)=訳 「園遊会」
   崎山正毅+伊澤龍雄(いざわ・たつお)=訳
   『マンスフィールド短篇集—幸福・園遊会 他十七篇
   岩波文庫 1969/03 所収


(J6) 海老池 1964
「園遊会を中止するんですって、ローラ。とんでもない。そんなことできっこないじゃないの、誰も中止しろなんていいやしないのに。とほうもないことをいうもんじゃないわ」
「だって、表門のすぐ外で人が死んだのに、園遊会なんかできないじゃないの」
 じつさい[ママ]、とほうもないことだった。<小屋>というのはシェリダン家へ通じる急な坂の下の小道に、離れて、ひとかたまりになっていたからだ。 [略] 洗濯女がその小道に住んでいた。それから、掃除人夫と靴直しのほかに、ある男の家には、前にいっぱい小さな鳥籠が下げてあった。うじゃうじゃと子供がいた。シェリダン家の兄妹は小さいころそこへ足を入れることを禁じられていたが、それは下種っぽい言葉使いと伝染病が心配だったからだ。が、大きくなってから、ローラとローリーは散歩の途中にときどきそこを通った。むさくるしく、胸が悪くなった。身慄いしながら出て来た。が、それにしても、ひとはどこへでも行き、なんでも見なければならないのだ。で、二人はそこを通った。

   マンスフィールド=著 海老池俊治(えびいけ・しゅんじ)=訳 「園遊会」
   『マンスフィールド短篇集』 八潮版・イギリスの文学2
   八潮出版社 1964/01 所収


(J7) 江上 1960
 「園遊会を中止するって? まあ、ローラ、とんでもないこといわないでよ。もちろん、そんなことできるわけがないわ。たれだって、そんなの思いもかけないでしょう。あんまり無茶をいわないでね」
 「でも、表門の鼻先に、人死にがあったというのに、園遊会なんてとてもできないわ」
 それこそ全く無茶である、というのは、この家に至るけわしい坂の、ほんのその下の、袋小路に、例の部落はあったのだから。 [略] その小路には洗濯女(せんたくおんな)たちが住んでいた、そのほか煙突掃除夫、靴直し、家の表に小さな鳥籠(とりかご)をやたらにぶら下げている男、そうした面々が住んでいた。子供たちがうようよしていた。シェリダン家の子供らは、まだ小さかった頃、そこに足を踏み入れてはいけないといましめられていた。言葉が乱暴だし、何を覚えてくるかわからないからであった。しかし、大きくなってしまってからは、ローラとローリイは、たまには足の向くままに、そこを通り抜けることもあった。いやらしい、うす穢(ぎたな)いところだった。二人はおじけをふるって、出てくるのだった。でもやはり、人はどこへでも行かねばならぬ、何でも見ておかねばならぬ。というわけで、そこを通った。

   キャサリン・マンスフィールド=著
   江上照彦(えがみ・てるひこ)=訳 「園遊会」  
   7a.マンスフィールド短編集』 グーテンベルク21 所収
      ドットブック版 179KB/テキストファイル 170KB
   7b.園遊会 他十四篇』 角川文庫 1960/04 所収
   引用は 7b. に拠りました。


(J8) 黒沢 1960, 1961, etc.
「園遊会をやめるんですって。ねえローラ、そんな馬鹿なこと言うものではないわ。勿論そんなこと出来っこない。誰だってそんなことになると思ってやしない。突飛なこと言うものでないわ。」
「だって表門のすぐ前の人が死んだというのに園遊会なんて出来やしない。」
 実際それは突飛なことであった、その小さな粗末な家というのはこの邸に通ずる急な坂道の下の路次にかたまっていたからである。 [略] その路次には洗濯女が住んでいた。煙突掃除、靴直し、それから家の前に小ちゃな鳥篭を一杯にかけている男がいた。子供達が大勢いた。シェリダン家の子供達は小さい時に、言葉がひどくどんな病気がうつるかも知れないというので、そこへ足を入れるのを禁じられた。しかし大きくなってから、ローラとローリィはこっそり歩きながら時々そこを通りぬけた。不快な汚らしいところであった。彼等は身震いしながら出てきた。しかしそれでもどこへでも行ってみねばならない、何でも見ておかねばならない。そこで彼等は出かけた。

   マンスフィールド=著 黒沢茂=訳 「園遊会」
   8a. 立風書房編集部=編 『世界青春文学館1』 立風書房 1973 所収
   8b. マンスフィールド全集3』 垂水叢書 垂水書房 1966 所収
   8c. 学習研究社書籍編集部=編
      『世界青春文学名作選 第16-19』 全4冊
      ガッケン・ブックス 学習研究社 1964-1965 所収
   8d. 加納秀夫=編『イギリス短篇名作集』 学生社 1961 所収
   8e.マンスフィールド全集3』 垂水書房 1961/07 所収
   8f.園遊会』 Tarumi Library 垂水書房 1960
   引用は 8e. に拠りました。


(J9) 伊藤 1958, 1986
 「ガーデン・パーティーを止めるんですって? まあ、ローラ。そんなの無茶よ。もちろん、そんなことは出来ないわ。誰もそんなこと考えてないでしょう。そんな途方もないことしないでよ。」
 「だって、表門のすぐ前に、死んだ人がいるというのに、ガーデン・パーティーなんかとても出来やしないわ。」
 本当に、それは途方もない考えだった。というのは、その小さい家並みは、一とかたまりになって、小路になっていて、この邸(やしき)へ通じている急な坂道の下になっていたのだから。 [略] その小路に住んでいるのは、洗濯(せんたく)女、煙突掃除夫、靴直(くつなお)しや、家の正面に小さな鳥籠(とりかご)を一杯にぶら下げている男などであった。子供らがうじゃうじゃしていた。シェリダン家の子供達が小さかったころは、言葉のひどいのと、どんな病気をうつされるか分らないのとで、足をそこへふみ入れることは禁じられていた。しかし、大きくなってからは、ローラもローリーも、ぶらぶら散歩に出かけた時、そこを通ることもあった。むかつくような、汚ならしいところだった。身ぶるいして、二人は出て来たのであった。でも、人間は何処へでも行って見なければいけないし、何でも見なければいけない。それで二人はそこを通ったのであった。

   マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳
   「園遊会(ガーデン・パーティー)」
   9a. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』 英米作家対訳双書
      Kinseido's books 金星堂 1986
   9b. マンスフィルド=著 伊藤恭二郎=訳註
      『マンスフィルド短篇集 園遊会他』
      Kinseido's books 金星堂 1958/10 
   引用は 9b. に拠りました。


(J10) 安藤 1953, 1957, etc.
「園遊会(ガーデン・パーティー)をやめるって? まあ、ローラ、馬鹿なこと言わないで。もちろん、そんなことできないわ。だれだって、あたしたちがやめるなどとは思わないでしょう。そんな気狂(きちが)いじみたことしないで」
「だって、表門のすぐ外に死んだ人があるというのに、園遊会(ガーデン・パーティー)をするなんていうこと、どうしたってできないわよ」
 それこそ、まったく気狂いじみている、その小さな家々は、邸のところへ出る急な坂の下で、それだけ一かたまりになって、小路(こうじ)にあるのだから。 [略] その小路には、洗濯女や、煙突掃除夫や、靴直しや、また家の正面にちっちゃな鳥籠をいっぱいぶらさげた男などが住んでいた。子供たちがうじゃうじゃいた。シェリダンの子供たちが小さかったときは、そこに足をふみ入れることは禁じられていた。言葉が悪いのと、どういう病気をうつされてくるかわからないからであった。だが、彼らが大きくなってからは、ローラとローリーはぶらぶら歩きに出たとき、ときにそこを通ることがあった。胸がむかつくほど、汚らしかった。二人はおぞ気をふるいながら、帰ってきた。しかし、ひとはどこへでも行かなければならない、どんなものでも見なければならない。それで、彼らはそこを通りぬけた。

   キャサリン・マンスフィールド=著 安藤一郎=訳
   「園遊会(ガーデン・パーティー)」
   10a.世界の文学53 イギリス名作集・アメリカ名作集
      中央公論社 1966 所収
   10b.世界文学全集45』 新潮社 1964 所収
   10c.マンスフィールド短編集』 新潮文庫 1957/08 所収
   10d.マンスフィールド傑作選2 園遊会』 全2冊 英宝社 1955
   10e.園遊会(ガーデン・パーテイ)』 英宝社 1953 
   引用は 10c. に拠りました。


(J11) 野崎 1953
 「園遊会を止めるつて? ねえ、ローラ、あんまり馬鹿な事、言わないでね。そんな事、出来ないにきまつてるじやないの。私達がそんな事するなんて、誰も思つてないわ。そんな極端な事、言わないでよ。」
 「でも、お家のすぐ前で人が死んでるのに、まさか園遊会は開けないわ。」
 それは実際極端な話だつた。だつて、その小さな家々は、ローラ達の家まで登つて来る急な坂の一番下の、そちらへ分れて行く小径に並んでいるのだから。 [略] その小径には、洗濯女が何人か住んでいた。それから、煙突掃除夫、靴直しが一人、家の正面に小さな鳥籠を一杯ぶらさげた男も一人居た。子供達がうじやうじやしている。シェリダン家の子供達がまだ小さかつた頃は、言葉がきたないし、何を覚えて来るか分らないというので、そこへ足をふみ入れる事は禁じられていた。然し、大きくなつてからは、ローラとローリーは、ちよつとぶらつきに出たついでに、そこを通りぬけることが時々あつた。そこは胸がむかつく程汚ならしかつた。彼等は身ぶるいしながら抜け出して来る。だが、それでも人はどこへでも行かなければならぬ、何でも見なければならぬ。それで彼等もそこを通り抜けるのだつた。

   マンスフィールド=著 野崎孝=訳 岡鹿之助=装幀 「園遊会」
   『入江にて』 ウェルテル文庫 早川書房 1953/10 所収


(J12) 崎山 1934, 1936
 「園遊會をやめるんですつて? ね、ローラ、そんな無茶なこと……そんなこと出來ませんわ。みんながびつくりしますわ。そんな無法なことしないで頂だい」
 「でも玄關のすぐ外のところに、死んでゐる人があるのに、園遊會なんかやれるものですか」
 考へ方では、實際無法なことかも知れない。といふのは、ローラ達の家へと續いてゐるけはしい坂の一番下に、粗末な小さな家が數軒、それだけで二列に竝んで立つてゐるのだつた。 [略] その小路には、洗濯婆さん、掃除人夫、靴直し、それから表戸に小さな鳥籠を一面に出してゐる男が住んでゐた。子供達がワンサ/\とゐるのだつた。シェリダン家の子供は、小さい頃に、そこへ足を踏み入れちやいけないと止められてゐた。言葉が亂暴だし、何を覺えてくるかわからないところだから……然し、ローラとローリイは少し大きくなつて、散歩のついでに、その道を通り拔けることがあつた。汚いいやなところだつた。二人はブルリふるへながら出て來るのだつた。でも然し、人間は何處へでも行つて、何でも見ておかねばならないのだと考へて、通り過ぎたのだつた。

   12a. マンスフィールド=著 崎山正毅=譯 「園遊會」
      十一谷義三郎(じゅういちや・ぎさぶろう)=譯編
      『世界短篇傑作全集1 英米短篇集
      河出書房 1936/09(昭和11)所収
   12b. キァサリン・マンスフィールド=著 崎山正毅=譯 「園遊會」
      『マンスフィールド短篇集—疲れた子・少女・幸福・人形の家 他九篇
      岩波文庫 1934/08(昭和9)所収
   12a.12b. とでは、用字・句読点など細部が若干異なります。
   引用は 12b. に拠りました。


■邦題の異同 Variation of the title in Japanese

「ガーデン・パーティー」……西崎 2002 白木 1985
「園遊会」………………………浅尾 2008 大澤 1975, 1999
              崎山 1969 海老池 1964 江上 1960
              黒沢 1960, 1961, etc. 伊藤 1958, 1986
              安藤 1953, 1955, etc. 野崎 1953
「園遊會」………………………崎山 1934, 1936


  Video  
ウェルカム・トゥ・ブーンドックス (2005) - アニメ「ブーンドックス」シリーズから
The Garden Party (2005) - The Boondocks: Season 1, Episode 1

「ウェルカム・トゥ・ブーンドックス」は日本の衛星/ケーブルTV放映時の題。この番組は、キャサリン・マンスフィールドの短篇を原作にしているわけではありません。小説とアニメのあいだに直接の関係はありません。しかし、階級間格差あるいは人種差別を扱っている点で相通ずる面がないとも言えません。 Uploaded to YouTube by TheBoondocksArena on 18 Mar 2013


■ロシア語訳 Translation into Russian

  "Отменить вечеринку? Моя дорогая Лора, не будь так абсурдна. Конечно, мы не можем ничего сделать этакого. Никто не ожидает этого от нас. Не будь так экстравагантна."
  "Но у нас не может быть вечеринки, когда недалеко от парадных ворот мёртвый человек."
  Это действительно было экстравагантно, поскольку небольшие дома были в переулке и располагались напротив друг друга, в самом низу крутого подъема, который вёл к их дому. [Omission] В переулке жили прачки, трубочисты, сапожники и человек, фасад дома которого был облеплен по всей длине мелкими птичьими клетками. Дети копошились. Когда Шериданы были маленькими, им запрещали ступать туда, из-за отвратительного жаргона, и мало ли чему они там научатся. Но по мере того, как они подрастали, Лора и Лори в своих блужданиях, иногда забредали туда. Это было отвратительно и противно. Они выходили оттуда с содроганием. Но, тем не менее, нужно побывать всюду, нужно повидать всё. Таким образом, через это они прошли.

   Кэтрин Мэнсфилд - Вечеринка на открытом воздухе
   E-text at Lib.ru


■オランダ語訳 Translation into Dutch

'Het tuinfeest afgelasten? Mijn beste Laura, doe niet zo raar. Natuurlijk kan dat niet meer. Niemand verwacht dat van ons. Doe niet zo excentriek.'

'Maar we kunnen onmogelijk een tuinfeest houden, nu er vlak voor ons huis een man is verongelukt.'

Dat was werkelijk overdreven, want de kleine huisjes stonden aan een straatje helemaal onder aan de steile heuvel waarop hun huis zich bevond.  [Omission]  In het straatje woonden wasvrouwen en schoorsteenvegers, een schoenlapper en een man wiens huis aan de voorkant totaal verdween achter talloze piepkleine vogelkooitjes. Overal zwierven kinderen rond. Toen de Sheridan-kinderen klein waren, mochten ze daar absoluut niet komen vanwege het weerzinwekkende taalgebruik en de ziektes die ze er konden oplopen. Maar sinds ze volwassen waren, kwamen Laura en Laurie op hun rondzwer- vingen wel eens door de gemeenschap. Het was er walgelijk en smerig. Ze kwamen er altijd huiverend vandaan. Maar men moet overal zijn geweest; men moet alles hebben gezien. En dus liepen ze er dwars doorheen.

   Het tuinfeest
   Het tuinfeest en andere vertellingen by Katherine Mansfield
   Kemper Conseil Publishing, 2004-10-28
   Preview at Google Books


■イタリア語訳 Translation into Italian

“Fermare la festa in giardino? Mia cara Laura, non dire assurdità. È ovvio che non possiamo fare una cosa del genere. Nessuno se lo aspetta. Non essere eccessiva.”

“Ma non possiamo certo fare una festa in giardino con un uomo morto appena fuori dal nostro cancello.”

Quella sì che era una cosa eccessiva, dato che le casette erano raggruppate in un vicolo proprio ai piedi di una ripida salita che conduceva a casa loro. [Omission] Nel vicolo vivevano lavandaie e spazzacamini, un ciabattino e un uomo che aveva la facciata della sua casa tappezzata di minuscole gabbie per gli uccellini. C'erano sciami di bambini. Da piccoli agli Sheridan era vietato metterci piede, per via del linguaggio scurrile e delle malattie che avrebbero potuto prendersi. Ma adesso che erano grandi, a Laura e Laurie capitava di passarci durante le loro passeggiate. Era un posto rivoltante e squallido. Uscivano di lì con i brividi. Eppure bisognava andare ovunque, bisognava vedere tutto. E così ci andavano.

   La festa in giardino
   in Felicità ~ La festa in giardino by Katherine Mansfield
   Translated by Marcella Maffi
   La Bibliothèque électronique du Québec
   Collection Classiques du 20e siècle, Volume 107: version 1.0
   Excerot at La biblioteca di Repubblica-L'Espresso


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

— Suspender a festa no jardim? Minha querida Laura, não seja tão absurda. Claro que não podemos fazer nada disso. Ninguém espera que o façamos. Não seja tão extravagante.

— Mas não podemos, de modo algum, dar uma festa ao ar livre com um homem morto logo ali fora do portão da frente.

Isto era realmente extravagante, pois os pequenos bangalôs ficavam numa viela própria, bem ao final de uma subida íngreme que levava até a casa. [Omission] Lavadeiras habitavam a viela, varredores e um remendão, além de um homem cuja casa tinha a fachada toda enfeitada de minúsculas gaiolas. Enxames de crianças. Quando os Sheridan eram pequenos, eram proibidos de pôr o pé lá, devido à linguagem repulsiva e às doenças que poderiam pegar. Mas desde que haviam crescido, Laura e Laurie, em suas rondas, algumas vezes atravessavam a viela. Era revoltante e sórdido. Saíam de lá com um estremecimento. Mas, ainda assim, era preciso ir a toda parte; era preciso ver tudo. Assim, por ali passavam.

   A Festa ao Ar Livre by Katherine Mansfield
   Translated by Luiza Lobo
   As filhas do falecido coronel e outras histórias
   Ediouro Publicações, 1997
   Preview at Google Books


■スペイン語訳 Translation into Spanish

-¿Suspender la fiesta? Mi querida Laura, no seas loca. No podemos hacer nada de eso. Nadie espera tal cosa. No seas extravagante.

-Pero no es posible celebrar una fiesta en el jardín con un muerto frente a nuestra puerta.

Decir eso era realmente exagerado, porque las casitas estaban en un terreno aparte, en el fondo de una cuesta empinada que llevaba a la casa.  [Omission]  Vivían lavanderas y barrenderos, y un remendón, y un hombre que tenía todo el frente de la casa con jaulitas de pájaros. Los chicos hormigueaban. Cuando los Sheridan eran pequeños les estaba prohibido acercarse, por el lenguaje que usaban los pobres y las enfermedades que podían contagiarles. Pero desde que eran grandes Laura y Josefina, en sus andanzas, solían meterse por ahí. Era sórdido y asqueroso. Salían estremecidas. Pero se debe ir a todas partes; uno debe verlo todo. Por eso iban.

   Fiesta en el jardín by Katherine Mansfield
   E-text at:


■フランス語訳 Translation into French

  – Empêcher la garden-party ? Ma chère Laura, ne sois pas si absurde. On ne peut pas faire des choses pareilles, cela va sans dire. Personne n’attend cela de nous. Ne sois pas si extravagante.
  – Mais il n’est pas possible que nous donnions une garden-party quand un homme vient de mourir juste à notre porte.
  Idée vraiment extravagante que celle-là, puisque les cottages se trouvaient tout seuls dans une ruelle, au pied même d’une pente abrupte qui montait jusqu’à la maison. [Omission] Dans la ruelle habitaient des blanchisseuses, des marronneurs et un homme dont la maison avait sa façade toute parsemée de minuscules cages d’oiseaux. Les enfants fourmillaient. Quand les Sheridan étaient petits, il leur était défendu de mettre le pied dans ce chemin à cause du langage odieux qu’on y entendait et des maladies qu’ils auraient pu attraper. Mais, depuis qu’ils avaient grandi, Laura et Laurie dans leurs escapades y passaient quelquefois. L’endroit était dégoûtant et sordide. Ils en sortaient avec un frisson. Mais cependant il fallait bien aller partout ; il fallait tout voir. Donc ils y allaient.

   La garden-party
   in La garden-party et autres nouvelles by Katherine Mansfield
   Translated by Marthe Duproix
   E-text at La Bibliothèque électronique du Québec [PDF]
   Collection Classiques du 20e siècle, Volume 107: version 1.0


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック 朗読: Luci Burgoyne
Audiobook in English read by Luci Burgoyne

下の引用箇所の朗読は 19:14 から始まります。 Uploaded to YouTube by The 16th Cavern on 10 Jan 2013. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 19:14.


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック(冒頭部分) 朗読: Eve Karpfe
Audiobook in English (Opening segment) read by Eve Karpfe

Uploaded to YouTube by AudiobooksMP3 on 28 Aug 2009. Produced by Robert Nichol. Audio productions by Ipodity.


■英語原文 The original text in English

"Stop the garden-party?  My dear Laura, don't be so absurd.  Of course we can't do anything of the kind.  Nobody expects us to.  Don't be so extravagant."

"But we can't possibly have a garden-party with a man dead just outside the front gate."

That really was extravagant, for the little cottages were in a lane to themselves at the very bottom of a steep rise that led up to the house.  [Omission]  Washerwomen lived in the lane and sweeps and a cobbler, and a man whose house-front was studded all over with minute bird-cages.  Children swarmed.  When the Sheridans were little they were forbidden to set foot there because of the revolting language and of what they might catch.  But since they were grown up, Laura and Laurie on their prowls sometimes walked through.  It was disgusting and sordid.  They came out with a shudder.  But still one must go everywhere; one must see everything.  So through they went.


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/10/20 Luci Burgoyne による英語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2014/06/27 ロシア語訳を追加しました。
  • 2013/05/28 目次、「はじめに」、「邦題の異同」の各項を新設しました。また、2種類の簡体字中国語訳、イタリア語訳、フランス語訳、およびアニメ「ウェルカム・トゥ・ブーンドックス」 (2005) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/01/30 白木茂=訳 1985/01/30 を追加しました。
  • 2011/11/25 ポルトガル語訳を追加しました。
  • 2011/08/21 スペイン語訳とオランダ語訳を追加しました。
  • 2010/04/30 英語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2008/02/15 浅尾敦則=訳 2008/02 を追加しました。
  • 2007/09/28 野崎孝=訳 1953/10 を追加しました。
  • 2007/09/23 江上照彦=訳 1960/04 と伊藤恭二郎=訳 1958/10 を追加しました。
  • 2007/09/20 海老池俊治=訳 1964/01 を追加しました。
  • 2007/09/11 黒沢茂=訳 1961/07 と崎山正毅=訳 1934/08 を追加しました。
  • 2007/09/10 西崎憲=訳 2002/10 を追加しました。

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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) Katherine Mansfield

(2) The Garden Party

■和書 Books in Japanese
(1) キャサリン・マンスフィールド

(2) 園遊会

  

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