Poe, Edgar Allan

Thursday, 27 August 2009

The Premature Burial by Edgar Allan Poe (2) エドガー・アラン・ポー 「早すぎた埋葬」「早すぎる埋葬」「早まった埋葬」「早過ぎた埋葬」 (2)

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 Video 
The Premature Burial, a short film adaptation.
Uploaded by theshirtevent, 2007-02-24


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

她的屍体被放在了家族的地窖里,此后整整三年无人来此地窖。后来她丈夫往地窖里运一口石棺,打开了地窖门。但是天哪,他看到的是一副多么可怕的景象啊! 他刚一把大门推开,一具白花花的东西就倒在了他怀里。原来是妻子的骨架,上面的尸布尚未完全朽烂。

   《活葬》 埃德加·爱伦·坡作品集
   E-text at 亦凡公益图书馆 (shuku.net)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小川 2006
遺体は地下の墓所に葬られ、静かな時が流れた。三年後に、新しく石棺を入れることになって、墓所の扉が開けられた。すると、扉に手をかけた夫を待ちかまえていたのは、いかなる恐怖の衝撃であったろうか。両開きの戸が引かれると、何やら白く装ったものが、夫の腕の中へがたがたと倒れ込んできた。妻の骸骨だ。死装束(しにしょうぞく)は腐っていなかった。

   エドガー・アラン・ポー=作 小川高義(おがわ・たかよし)=訳
   「早すぎた埋葬」
   『黒猫/モルグ街の殺人』 光文社古典新訳文庫 2006/10


(J2) 谷崎 1985
彼女は一家の墓室(ぼしつ)へほうむられた。そして三年のあいだそのままになっていたが、ちょうど三年めに、べつの石棺(せきかん)をいれるため、墓室(ぼしつ)はふたたびひらかれた。おお! なんとおそろしいショックがとびらをあけた夫(おっと)の身をおそったことであろう! とびらがそとへゆれたとたんに、なにか白い布(ぬの)のかかったものが、彼の腕(うで)へかさかさとなっておちた。それはまだくさっていない きょうかたびら をまとったままの彼の妻(つま)の骸骨(がいこつ)であった。

   エドガー=アラン=ポー=作 谷崎精二=訳 「早すぎた埋葬」
   『エドガー=アラン=ポー怪奇・探偵小説集1』 偕成社文庫 1985
   児童書。下掲 (6) 谷崎 1962, 1969, etc. の字句・表記を修正したもの。
   文中の「きょうかたびら」の太字は、原文では太字でなく傍点。


(J3) 永川 1978
彼女の棺は家族用の納骨室におさめられ、その後三年間はだれもそこに出入りしなかった。ほぼ三年後にべつの石棺をおさめるために、納骨室の扉をひらくことになったが――ああ! なんというおそろしい驚愕(きょうがく)が、彼女の夫を待ちうけていたか! 扉をひらいたのは彼だった。外側に大きくそれを開けはなつと同時に、なにか白装束のものが乾いた音をたてて彼の腕のなかに倒れかかってきた。彼の妻の骸骨である。その屍衣(しい)はまだ腐ってもいなかった。

   ポー=作 永川玲二=訳 「早まった埋葬」
   五木寛之〔ほか〕=編 『世界文学全集1 ポー/ホーソーン
   学習研究社 1978/09


(J4) 田中 1974
夫人はその家の納骨室に安置され、その後三年間、納骨室の平安を乱す者はなかった。この三年という期間が過ぎると、石棺に入れるために、納骨室は開かれた――だが、ああなんという恐ろしい驚愕が、その夫を待ち受けていたことか! かれは自分で扉を押し開いた。扉が外側に大きく開け放たれると、なにか白い衣装を纏(まと)ったものが、からからと音を立てて、かれの腕の中に崩れ落ちて来た。それは、まだ朽ちていない経帷子(きょうかたびら)に包まれた、妻の骸骨だったのだ。

   エドガー・アラン・ポオ=作 田中西二郎=訳 「早まった埋葬」
   『ポオ小説全集1』 創元推理文庫 1974/06


(J5) 田桐 1964
夫人はその家の地下納骨堂に安置され、その後三年間、この部屋は平安のうちに過ぎた。三年という期間が過ぎたとき、石の霊柩(れいきゅう)を納めるために納骨堂が開かれた――だが、ああ、みずから扉を押し開いた夫に何という恐ろしいショックが待ちかまえていたことだろう。左右の扉が外側に開け放たれたとき、何か白いものをまとったものが、かわいた音をたてて彼の両腕に倒れてきた。それは、まだもとのままの形をとどめている経帷子を着た妻の骸骨だった。

   ポオ=作 田桐大澄(たぎり・ひさずみ)=訳 「早すぎた埋葬」
   『ポオ短篇集』 八潮版・アメリカの文学 八潮出版社 1964/08


(J6) 谷崎 1962, 1969, etc.
女は一家の墓へ葬られた。そして三年のあいだそのままになっていたが、ちょうど三年目に一つの石棺を入れるためにふたたび開かれた。おお! いかに恐ろしい激感(ショック)がみずからその扉を投げ開(あ)けた夫の身を襲ったことであろう! 扉が外へ揺(ゆ)れたとたんに、何か白い布のかかったものが、彼の腕へかさかさと鳴って落ちた。それはまだ腐らなかった屍衣(きょうかたびら)を纏(まと)うたままの彼の妻の骸骨であった。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=訳 「早すぎた埋葬」
   a.ポオ小説全集2 幻怪小説』(全4巻)新装版 春秋社 1998/09
   b.エドガア・アラン・ポオ全集2』(全6巻)春秋社 1969/11
   c.ポオ小説全集2 - 幻怪小説編』(全4巻・別巻1)春秋社 1962/07
   引用は b. に拠りました。


(J7) ダイジェスト・シリーズ刊行会 1950
 それから、三年間、彼女は、同家の墓穴に安置されていたが、その後、石棺にうつしおさめることになり、墓穴をひらいてみた。
 おどろいてはいけない。死んだ彼女のご亭主たる辯護士が、墓穴の扉を、ひきあけたとたん死人のまとう、白衣が、かれのほうに、倒れかかり、その下から骸骨が、ガラガラ、音立てて崩れ落ちた。

   エドガー・アラン・ポオ=作
   編著者:ダイジエスト・シリーズ刊行會 代表:磯部秀見 「早すぎた埋葬」
   『怪奇と詩情―ポーの人と作品』ダイジエスト・シリーズ3
   ジープ社 定價八○圓 1950/06/15 所収
   「ダイジエスト・シリーズ」というシリーズ名からも察せられるとおり、
   この訳は完訳ではなく抄訳です。


(J8) 佐々木 1931, 1951, etc.
夫人はその一家の墓舎に納められた。その墓舎はそれから三年間開かれなかったが、三年目の終りに一つの石棺に入れるために開かれた。――ところが、おお! なんという恐ろしい衝撃(ショック)が、自らその扉をさっと開いた夫を待ち受けていたろう! 門が外側へまわったとたん、なにか白装束のものが彼の腕にがらがらと落ちかかってきたのだ。それはまだ腐らない屍衣(きょうかたびら)を着た妻の骸骨であった。

   エドガー・アラン・ポー(エドガア・アラン・ポオ)=作
   佐々木直次郎(ささき・なおじろう)=訳 「早すぎる埋葬」
   a.早すぎる埋葬」 青空文庫 電子テキスト
     入力:江村秀之 校正:鈴木厚司 公開:2005-01-27
   b.新版世界文学全集19 ジーキル博士とハイド氏・黒猫』 新潮社 1959
   c.モルグ街の殺人事件』 新潮文庫 1951-08-15
   d.エドガア・アラン・ポオ小説全集1 軽気球虚報』 第一書房 1931(昭和6)
   a. の底本は c.(2004-02-05, 100刷)。引用は c. に拠りました。


(J9) 江戸川 1929
夫人は一族累代の墓地に納められた。その墓地の窖はそれから三年と言ふものはそのまま手を付けられなかつた。が、三年目の終りに、もう一つの棺を入れる爲に窖が開かれる事になつた。だが、これはまた!! なんと言ふ恐怖がその扉を自ら押し開いた良人を待受けてゐたことであらう! 扉が外側に搖れ開いた瞬間、何やら白い布を纏うた物がカラカラと奇妙な音を立てて良人の腕へ しなだれ 落ちて來た。それは彼の妻の骸骨であつた。――未だ腐らなかつた經帷子を着たままの。

[原文は次のとおり、総ルビ]

夫人(ふじん)は一族(ぞく)累代(るゐだい)の墓地(ぼち)に納(をさ)められた。その墓地(ぼち)の窖(あな)はそれから三年(ねん)と言(い)ふものはそのまま手(て)を付(つ)けられなかつた。が、三年目(ねんめ)の終(をは)りに、もう一(ひと)つの棺(くわん)を入(い)れる爲(ため)に窖(あな)が開(ひら)かれる事(こと)になつた。だが、これはまた!! なんと言(い)ふ恐怖(きようふ)がその扉(ドア)を自(みづか)ら押(お)し開(ひら)いた良人(をつと)を待受(まちう)けてゐたことであらう! 扉(ドア)が外側(そとがは)に搖(ゆ)れ開(ひら)いた瞬間(しゆんかん)、何(なに)やら白(しろ)い布(きれ)を纏(まと)うた物(もの)がカラカラと奇妙(きめう)な音(おと)を立(た)てて良人(をつと)の腕(うで)へ しなだれ 落(お)ちて來(き)た。それは彼(かれ)の妻(つま)の骸骨(がいこつ)であつた。――未(ま)だ腐(くさ)らなかつた經帷子(きやうかたびら)を着(き)たままの。

   アラン・ポー=作 江戸川亂歩=譯 「早すぎた埋葬」
   『世界大衆文學全集30 ポー、ホフマン集』 改造社 1929/04/03(昭和4)
   文中の「しなだれ」は原文では太字でなく傍点。


(J10) 谷崎 1929
女は一家の土窖(つちあな)へ葬られた。そして三年の間そのまゝになつてゐたが、丁度三年目に一つの石棺を入れる爲めに再び開かれた。おゝ! 如何に恐ろしき激感(シヨツク)が自らその扉を投げ開けた夫の身を襲(おそ)つたことであらう! 扉が外へ搖(ゆ)れた途端に、何か白い布の掛つた物が彼の腕へかさ/\と鳴つて落ちた。それはまだ腐らなかつた屍衣(きやうかたびら)を纏(まと)うたまゝの彼の妻の骸骨であつた。

   ポオ=作 谷崎精二=譯 「早過ぎた埋葬」
   『世界文學全集11 ポオ傑作集 緋文字・其他
   新潮社(非賣品)1929/01/15(昭和4)


■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

A hölgyet a családi sírboltba helyezték, amelyet a rákövetkező három évben nem bolygattak meg. Ennek az időnek leteltével felnyitották, hogy egy szarkofágot helyezzenek el benne; de jaj, minő rémületes megrázkódtatás várt a férjre, aki személyesen tárta fel az ajtót! Amint szárnyai kilódultak helyükből, egy fehérbe burkolt valami hullott csörömpölve a férj karjaiba. Feleségének csontváza volt az, amelynek leplét még nem lepte be a penész.

   Az elsietett temetés by Edgar Allan Poe. Translated by Fóthy János.
   E-text at MEK


■ロシア語訳 Translation into Russian

Женщину захоронили в  фамильном  склепе,  и  три  года  туда  никто  не  заглядывал. На четвертый год усыпальница была открыта - доставили  саркофаг;  но, увы! - какой страшный  удар  ожидал  мужа,  собственноручно  отпиравшего  склеп! Едва дверцы растворились, фигура в белом с сухим  треском  повалилась  ему в объятия. То был скелет его жены  в  еще  не  истлевшем  саване.

   Эдгар Алан По.
   Преждевременные похороны
   E-text at Lib.ru


■イタリア語訳 Translation into Italian

La signora venne tumulata nella tomba di famiglia, che per i tre anni successivi non fu più toccata. Al termine di questo periodo, venne aperta per deporvi un sarcofago; ma ahimè! quale terribile colpo aspettava il marito che spalancò di persona la porta! Quando i battenti vennero spinti indietro, un oggetto rivestito di bianco gli cadde rumorosamente tra le braccia. Era lo scheletro della moglie, avvolto nel sudario ancora intatto.

   La Sepoltura Prematura by Edgar Allan Poe
   E-text at Sonia Baglieri


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Es1) Cortázar
La señora fue depositada en la bóveda familiar, que permaneció cerrada durante los tres años siguientes. Al expirar este plazo fue abierta para la recepción de un sarcófago; mas, ¡ah!, ¡qué espantoso choque aguardaba al marido cuando abrió en persona la puerta! Al empujar los batientes, un objeto vestido de blanco cayó rechinando en sus brazos. Era el esqueleto de su mujer con la mortaja todavía puesta.

   El entierro prematuro by Edgar Allan Poe
   Translated by Julio Cortázar
   E-text at Lector Online


(Es2) Translator unknown
La dama fue depositada en la cripta familiar, que permaneció cerrada durante los tres años siguientes. Al expirar ese plazo se abrió para recibir un sarcófago, pero, ¡ay, qué terrible choque esperaba al marido cuando abrió personalmente la puerta! Al empujar los portones, un objeto vestido de blanco cayó rechinando en sus brazos. Era el esqueleto de su mujer con la mortaja puesta.

   El entierro prematuro by Edgar Allan Poe
   E-text at Wikisource


■フランス語訳 Translation into French

La dame fut deposee dans le caveau de famille, et rien n’y fut derange pendant les trois annees suivantes. Au bout de ces trois ans, on ouvrit le caveau pour y deposer un sarcophage. — Quelle terrible secousse attendait le mari qui lui-meme ouvrit la porte! Au moment ou elle se fermait derriere lui, un objet vetu de blanc tomba avec fracas dans ses bras. C’etait le squelette de sa femme dans son linceul encore intact.

   L’Ensevelissement prématuré by Edgar Allan Poe
   Translated by Félix Rabbe
   E-text at Wikisource


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック 朗読: チキート・クラスト
Audiobook in English read by Chiquito Crasto

下の引用箇所の朗読は 4:42 から始まります。 Uploaded to YouTube by The 16th Cavern on 11 Nov 2014. Reading of the excerpt below starts at 4:42.


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック 朗読: ピーター・イアーズリー
Audiobook in English read by Peter Yearsley

下の引用箇所の朗読は 5:21 から始まります。 Uploaded to YouTube by Audiobook Warehouse on 14 Jul 2014. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 5:21.


■英語原文 The original text in English

The lady was deposited in her family vault, which, for three subsequent years, was undisturbed. At the expiration of this term it was opened for the reception of a sarcophagus;——but, alas! how fearful a shock awaited the husband, who, personally, threw open the door! As its portals swung outwardly back, some white-apparelled object fell rattling within his arms. It was the skeleton of his wife in her yet unmoulded shroud.

   The Premature Burial (1844) by Edgar Allan Poe
   E-text at Project Gutenberg


■"Door," "portals swung outwardly back"などの理解について

"Door" が単数形なのにたいして "portals" は複数形となっている。扉はいくつあるのか? また、"outwardly back" とあるが、扉はどちら向きに、どのように開くのか? 小川高義氏は、上掲 (1) 小川 2006 に引用したとおり「両開きの戸が引かれると」と訳している。そう訳した理由・背景について小川氏は、ことし4月に上梓した次の著書のなかで、するどくて説得力のある説を展開しておられる。

   小川高義(おがわ・たかよし)=著
   『翻訳の秘密―翻訳小説を「書く」ために
   研究社 2009-04-01


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

   「早すぎた埋葬」……小川 2006
   「早すぎた埋葬」……谷崎 1985
   「早すぎた埋葬」……田桐 1964
   「早すぎた埋葬」……谷崎 1962, 1969, etc.
   「早すぎた埋葬」……ダイジェスト・シリーズ刊行会 1950
   「早すぎる埋葬」……佐々木 1931, 1951, etc.
   「早まった埋葬」……永川 1978
   「早まった埋葬」……田中 1974
   「早過ぎた埋葬」……江戸川 1929
   「早過ぎた埋葬」……谷崎 1929


■更新履歴 Change log

2014-11-08 ハンガリー語訳を追加しました。
2012-08-11 Julio Cortázar によるスペイン語訳を追加しました。
2010-01-05 中国語訳の訳文を修正しました。
2009-09-15 ダイジエスト・シリーズ刊行會=編著 1950/06/15 を追加しました。
2009-09-06 佐々木直次郎=訳の書誌情報を補足し、訳例の配列を変更しました。


 

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■洋書 Books in non-Japanese languages

■和書 Books in Japanese
(1)「ポオ」表記のもの

(2)「ポー」表記のもの

(3) 小川高義

  

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Wednesday, 26 August 2009

The Premature Burial by Edgar Allan Poe (1) エドガー・アラン・ポー 「早すぎた埋葬」「早すぎる埋葬」「早まった埋葬」「早過ぎた埋葬」 (1)

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        目次 Table of Contents

■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
 Audio 1  日本語版オーディオブック Audiobook in Japanese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 小川 2006
  (J2) 谷崎 1985
  (J3) 永川 1978
  (J4) 田中 1974
  (J5) 田桐 1964
  (J6) 谷崎 1962, 1969, etc.
  (J7) ダイジェスト・シリーズ刊行会 1950
  (J8) 佐々木 1931, 1951, etc.
  (J9) 江戸川 1929
  (J10) 谷崎 1929
■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian
■ポーランド語訳 Translation into Polish
■チェコ語訳 Translation into Czech
 Audio 2  ドイツ語版オーディオブック Audiobook in German
■ドイツ語訳 Translation into German
■イタリア語訳 Translation into Italian
 Audio 3  スペイン語版オーディオブック Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translations into Spanish
  (Es1) Summers, Froufe, Álvarez, 2007
  (Es2) Cortázar
  (Es3) Translator unknown
 Audio 4  フランス語版オーディオブック Audiobook in French
■フランス語訳 Translations into French
  (F1) Rabbe, 1887
  (F2) Hennequin, 1882
 Audio 5  英語朗読: グレッグ・キルバーガー Dramatic reading by Greg Kilberger
 Audio 6  ラジオドラマ The Premature Burial (1975) - radio drama
■英語原文 The original text in English
■"in the neighboring city of Baltimore"の訳は?
■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

毫无疑问,被活活埋葬,可谓一桩最大的痛苦。[略] 其中一个极富特点、读者们尚记忆犹新的,不久前就发生在巴爾的摩市,当时它引起了极大的轰动。

   《活葬》 埃德加·愛倫·坡作品集
   E-text at 亦凡公益圖書館 (shuku.net)
   簡体字の一部が正しく表示されていません。追って修正するつもりです。


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

   愛倫·坡 〈過早埋葬〉
   《黑貓:愛倫坡驚悚故事集
   出版社:商周出版
   出版日期:2005-11-03
   ISBN:9861245057


 Audio 1 
「早すぎる埋葬」 日本語版オーディオブック(朗読試聴)9分6秒
The Premature Burial: An audiobook sample of a Japanese translation (09:06)

佐々木直次郎=訳「早すぎる埋葬」の朗読サンプル。全編約56分のうち最初の9分あまりが聴ける。新潮文庫版でいうと全21ページのうち最初の3ページあまりに相当する。この録音全体の購入方法など詳細は こちら

なお、訳者の没後50年を経て著作権保護期間が終了し、パブリック・ドメインに移っている佐々木直次郎氏 (1901-1943) の訳の全文は、電子テキスト・アーカイブ(=電子図書館) 青空文庫 で無料で閲読できる。


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小川 2006
もし生きながら埋められるとしたら、人間の運命としてこの上もない恐怖であるに違いない。[略] まず瞠目(どうもく)の例を一つ。これについては記憶に新しい読者もあろう。さほど昔のことではない。すぐ隣のボルティモア市で、痛恨事として知れ渡ったものである。

   エドガー・アラン・ポー=作 小川高義(おがわ・たかよし)=訳
   「早すぎた埋葬」
   『黒猫/モルグ街の殺人』 光文社古典新訳文庫 2006-10-20


(J2) 谷崎 1985
生きながらほうむられるということは、かつて人類の運命(うんめい)におちてきた不幸(ふこう)のなかでも、もっともおそろしいものである。[略] そのもっともおどろくべき、また読者(どくしゃ)の記憶(きおく)にまだ新(あら)たな例(れい)は、このあいだボルティモアの付近(ふきん)の市街地(しがいち)でおこった、いたましい、そのうえ強いおどろきをうけた事件(じけん)である。

   エドガー=アラン=ポー=作 谷崎精二(たにざき・せいじ)=訳
   「早すぎた埋葬」
   『エドガー=アラン=ポー怪奇・探偵小説集1』 偕成社文庫 1985-03
   児童書。下掲 (6) 谷崎 1962, 1969, etc. の字句・表記を修正したもの。


(J3) 永川 1978
生きながら埋葬されてしまうこと――これこそは、かつて人の身に降りかかった極度の苦難のうち、最たるものと言うべきだろう。[略] そのひとつは、きわめて特異な事件だから、読者のなかにも事情をまだ生々しくおぼえているひともすくなくないと思う。比較的最近、ボルティモア付近の町でおこったその事件が、地元のひとびとのあいだでは苦痛にみちた、激烈な、広汎な興奮をまきおこした。

   ポー=作 永川玲二(ながかわ・れいじ)=訳 「早まった埋葬」
   五木寛之〔ほか〕=編 『世界文学全集1 ポー/ホーソーン
   学習研究社 1978-09


(J4) 田中 1974
まだ生きているうちに埋葬されてしまう――これこそ疑いもなく、これまでただの人間に降りかかった極度の苦痛のうちでも、最も恐ろしいものにちがいない。[略] 読者の中には、まだその事情を生々(なまなま)しく記憶しておられる方々もあろうが、まことに驚くべき特色を持った一つの例が、比較的最近、ボルティモアに近い、ある町で起こり、この町の広範囲の人々の間に、苦痛な、激しい驚愕(きょうがく)を惹き起こした。

   エドガー・アラン・ポオ=作 田中西二郎(たなか・せいじろう)=訳 
   「早まった埋葬」
   『ポオ小説全集1』 創元推理文庫 1974-06-28


(J5) 田桐 1964
生きながら埋葬されるということが、普通の人間の運命にふりかかった極度の苦痛の中でも最も恐ろしいものであることは疑いの余地がない。[略] 読者の中には、まだ当時の事情をはっきり記憶しておいでのかたもあると思うが、非常に顕著な特徴のある一つの例がボールティモアに近いある都市に起こり、各方面にわたって痛ましく凄まじいセンセーションを起こしたことがあったが、これはさして古い話ではない。

   ポオ=作 田桐大澄(たぎり・ひさずみ)=訳 「早すぎた埋葬」
   『ポオ短篇集』 八潮版・アメリカの文学 八潮出版社 1964-08-30


(J6) 谷崎 1962, 1969, etc.
生きながら葬られるということは、かつて人類の運命に落ちきたったこれらの極端な不幸の中で、疑いなくもっとも恐ろしいものである。[略] そのもっとも驚くべき、かつまた読者の記憶にまだ新たな例は、あまり久しくない前にボルティモーアの付近の市街に起こって、強い、いたましい、かつ広大な驚きを与えたのであった。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=訳 「早すぎた埋葬」
   a.ポオ小説全集2 幻怪小説』(全4巻)春秋社 新装版 1998-09
   b.エドガア・アラン・ポオ全集2』(全6巻)春秋社 1969-10-20
   c.ポオ小説全集2 - 幻怪小説編』(全4巻・別巻1)春秋社 1962-07
   引用は b. に拠りました。


(J7) ダイジェスト・シリーズ刊行会 1950
いろいろな悲惨事のうちで、最もいたましいものの一つに、まだ生きているのに、あやまつて、埋葬されるという事實が、あげられる。[略] 「早すぎた埋葬」の實例は、いくつもあるが、例えばボルモチア州[ママ]のある市に起つた、辯護士夫人の場合など、まだ諸君の記憶に新たなるものがあろう。

   エドガー・アラン・ポオ=作
   編著者:ダイジエスト・シリーズ刊行會 代表:磯部秀見 「早すぎた埋葬」
   『怪奇と詩情―ポーの人と作品』 ダイジエスト・シリーズ3
   ジープ社 定價八○圓 1950/06/15 所収
   「ダイジエスト・シリーズ」というシリーズ名からも察せられるとおり、
   この訳は完訳ではなく抄訳です。


(J8) 佐々木 1931, 1951, etc.
まだ生きているあいだに埋葬されたということは、疑いもなくかつてこの世の人間の運命の上に落ちてきた、これらの極度の苦痛のなかでも、もっとも恐ろしいものである。[略] そのたいへん有名な、そして読者のなかのある人々の記憶にはまだ新たな一件が、あまり古くはないころ、ボルティモアの付近の市に起り、痛ましい強烈な驚きを広く世人に与えたことがある。

   エドガー・アラン・ポー(エドガア・アラン・ポオ)=作
   佐々木直次郎(ささき・なおじろう)=訳 「早すぎる埋葬」
   a.早すぎる埋葬」 青空文庫 電子テキスト
     入力:江村秀之 校正:鈴木厚司 公開:2005-01-27
   b.新版世界文学全集19 ジーキル博士とハイド氏・黒猫』 新潮社 1959
   c.モルグ街の殺人事件』 新潮文庫 1951-08-15
   d.エドガア・アラン・ポオ小説全集1 軽気球虚報』 第一書房 1931(昭和6)
   a. の底本は c.(2004-02-05, 100刷)。引用は c. に拠りました。


(J9) 江戸川 1929
[……]生きながら葬られる――此事こそ、これまで人間の運命の上に落ちて來た極端な不幸の中で、特に疑ひもなく最も怖ろしいものである。[略] その中の最も顯著な一つとして、讀者のある方々には尚記憶新なる事實がバルチモアに近接したある市に起つたのである。その事件は痛々しい強烈な且つ廣汎な驚駭を捲き起した。

[原文は次のとおり総ルビ - tomoki y.]

[……]生(い)きながら葬(はうむ)られる――此事(このこと)こそ、これまで人間(にんげん)の運命(うんめい)の上(うへ)に落(お)ちて來(き)た極端(きよくたん)な不幸(ふかう)の中(うち)で、特(とく)に疑(うたが)ひもなく最(もつと)も怖(おそ)ろしいものである。[略] その中(うち)の最(もつと)も顯著(けんちよ)な一(ひと)つとして、讀者(どくしや)のある方々(かた/゙\)には尚(なほ)記憶(きおく)新(あらた)なる事實(じじつ)がバルチモアに近接(きんせつ)したある市(まち)に起(おこ)つたのである。その事件(じけん)は痛々(いた/\)しい強烈(きやうれつ)な且(か)つ廣汎(くわうはん)な驚駭(きやうがく)を捲(ま)き起(おこ)した。

   ポー=作 江戸川亂歩(えどがわ・らんぽ)=譯 「早過ぎた埋葬」
   『世界大衆文學全集30 ポー、ホフマン集』 改造社 1929-04-03(昭和4)


(J10) 谷崎 1929
生きながら葬(はうむ)られるといふ事は、嘗て人類の運命に落ち來つた是等の極端な不幸の中で、疑ひなく最も恐ろしきものである。[略] その最も驚くべき、且つ又讀者の記憶に未だ新たなる例は、餘り久しからざる以前にバルティモーアの附近の市街に起つて、強い、傷(いた)ましい、且つ廣大な驚愕を與へた事であつた。

   エドガア・アラン・ポオ=著 谷崎精二=譯 「早過ぎた埋葬」
   『世界文學全集11 ポオ傑作集 緋文字・其他
   新潮社(非賣品) 1929-01-15(昭和4)


■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

Kétségtelen, hogy az élve eltemettetés az elhalálozás legiszonyúbb végleteinek egyike. [Omission] Egy igen figyelemreméltó eset, amelynek körülményei még frissen élhetnek néhány olvasóm emlékezetében, nemrégiben történt, a szomszédos Baltimore városban, ahol kínos, heves és széles körű izgalmat váltott ki.

   Az elsietett temetés by Edgar Allan Poe.  Translated by Fóthy János.
   E-text at MEK


■ロシア語訳 Translation into Russian

Самое же тяжкое  из  всех  испытаний,  когда-либо  выпадавших  на  долю  смертного, - погребение заживо.  [Omission]  Один из них  весьма  примечателен,  к  тому же и его обстоятельства, вероятно, еще памятны кое-кому из читающих эти  строки, - произошел он сравнительно недавно в городке  близ  Балтимора,  где  вызвал большое смятение и наделал много шума.

   Эдгар Алан По. Преждевременные похороны
   E-text at Lib.Ru


■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian

Бути похованим живцем - це, безперечно, найстрахітніше з лих, які будь-коли випадали на долю смертного. [Omission]  Один, вельми, прикметний, - обставини його, можливо, ще свіжі в пам’яті багатьох читачів, - стався нещодавно в недалекому місті Балтіморі, де спричинив дуже прикру, гостру и поширену на все місто тривогу.

   Едгар Аллан По. Поховані живцем
   © ЛІСНЯК Ю. Я., переклад з англійської, 1992.
   E-text at Український Центр (ukrcenter.com)


■ポーランド語訳 Translation into Polish

Być pogrzebanym za życia jest niewątpliwie najostateczniejszą okropnością, jaka może przydarzyć się człowiekowi śmiertelnemu. [Omission]  Jeden, nadzwyczaj osobliwy, którego szczegóły nie zatarły się zapewne jeszcze w pamięci mych czytelników, zdarzył się nie tak dawno temu w sąsiednim mieście Baltimore i stał się przyczyną silnego, przykrego i powszechnego wzburzenia.

   Przedwczesny pogrzeb by Edgar Allan Poe
   E-text at Piotr Kuras


■チェコ語訳 Translation into Czech

Být pohřben zaživa patří nesporně k těm nejstrašlivějším mukám, jaká mohou být údělem ubohých smrtelníků. [Omission]  K takové pozoruhodné události, jejíž okolnosti budou snad ještě v živé paměti některých čtenářů, došlo před nedávnem v sousedním Baltimoru, kde vyvolala silné pohnutí a značný rozruch.

   Předčasný pohřeb by Edgar Allan Poe
   E-text at V noci jsem snil, že jsem motýlem


 Audio 2 
「早すぎた埋葬」 ドイツ語版のオーディオブック(朗読)
Lebendig Begraben: Audiobook of German translation

下の引用箇所の朗読は 1:533:29 から始まります。 Uploaded to YouTube by GreatAudioBooks on 16 Jun 2014. Reading of the excerpt below starts at 1:53 and 3:29.


■ドイツ語訳 Translation into German

Lebendig begraben zu werden, ist ohne Frage die grauenvollste aller Martern, die je dem Sterblichen beschieden wurde. [Omission] Einer derselben, dessen eigenartige Umstände einigen meiner Leser noch frisch im Gedächtnis sein dürften, ereignete sich vor nicht allzulanger Zeit in der benachbarten Stadt Baltimore, wo er in allen Kreisen tiefe und schmerzliche Aufregung hervorrief.

   Lebendig Begraben by Edgar Allan Poe
   Translated by Gisela Etzel
   E-text at Sterneck.net


■イタリア語訳 Translation into Italian

Essere sepolti vivi è, senza dubbio, il più terribile tra gli orrori estremi che siano mai toccati in sorte ai semplici mortali. [Omission]  Un esempio molto significativo, delle cui circostanze forse è ancora vivo il ricordo in qualcuno dei miei lettori, si verificò non molto tempo fa nella vicina città di Baltimora, dove suscitò una sensazione dolorosa, profonda e di estesa risonanza.

   La Sepoltura Prematura by Edgar Allan Poe
   E-text at Sonia Baglieri


 Audio 3 
スペイン語版オーディオブック Audiobook in Spanish

Uploaded to YouTube by Jesús Alberto Arbeláez Arce on 21 Jul 2013


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Es1) Summers, Froufe, Álvarez, 2007
Ser enterrado vivo es, sin ningún género de dudas, el más terrorífico de esos extremos que pueda sobrevenirle al ser humano. [Omission]  Uno de los más notables, y cuyas circunstancias puede que aún estén frescas en la memoria de muchos lectores, ocurrió no hace mucho tiempo en la ciudad vecina de Baltimore, donde produjo una sensación intensa y dolorosa difundida por todas partes.

   El enterramiento prematuro by Edgar Allan Poe
   Revelación mesmérica: Antología VII
   Translated by Ricardo Summers, Aníbal Froufe, Francisco Álvarez
   EDAF, 2007
   Preview at Google Books


(Es2) Cortázar
Ser enterrado vivo es, fuera de toda discusión, el más terrible de los extremos que jamás haya caído en suerte al simple mortal. [Omission]  Uno de características muy notables, y cuyas circunstancias quizá se conserven frescas todavía en la memoria de algunos de mis lectores, aconteció no hace mucho en la vecina ciudad de Baltimore, donde provocó una penosa, intensa y dilatada conmoción.

   El entierro prematuro by Edgar Allan Poe
   Translated by Julio Cortázar
   E-text at Instituto Latinoamericano de la Comunicación Educativa (ILCE) [PDF]


(Es3) Translator unknown
Ser enterrado vivo es, sin ningún género de duda, el más terrorífico extremo que jamás haya caído en suerte a un simple mortal. [Omission]  Uno de características muy asombrosas, y cuyas circunstancias igual quedan aún vivas en la memoria de algunos de mis lectores, ocurrió no hace mucho en la vecina ciudad de Baltimore, donde causó una conmoción penosa, intensa y muy extendida.

   El entierro prematuro by Edgar Allan Poe
   E-text at Wikisource


 Audio 4 
フランス語版オーディオブック 訳文は Émile Hennequin に拠る
Audiobook in French based on translation by Hennequin

下の引用箇所の朗読は 1:57 から始まります。 Uploaded to YouTube by  on . Reading of the excerpt below starts at 1:57.


■フランス語訳 Translations into French

(F1) Rabbe, 1887
Être enseveli vivant, c’est à coup sûr la plus terrible des extrémités qu’ait jamais pu encourir une créature mortelle. [Omission] Un de ces exemples, d'un caractère fort remarquable, et dont les circonstances peuvent être encore fraîches dans le souvenir de quelques-uns de mes lecteurs, s'est présenté il n'y a pas longtemps dans la ville voisine de Baltimore, et y a produit une douloureuse, intense et générale émotion.

  • L'ensevelissement prématuré (from Derniers Contes) by Edgar Allan Poe. Translated by Félix Rabbe (1887).
  • E-text at:

(F2) Hennequin, 1882
Être enterré vivant est certes la plus terrible des extrémités qui se soient jamais appesanties sur une créature mortelle. [Omission]

  • L’Inhumation prématurée (from Contes grotesques) by Edgar Allan Poe. Translated by Émile Hennequin (1882).
  • E-text at Wikisource

 Audio 5 
英語原文のドラマ仕立ての朗読: グレッグ・キルバーガー
Dramatic reading in English by Greg Kilberger

下の引用箇所の朗読は 1:383:12 から始まります。 Uploaded to YouTube by Strobie Studios on 31 Oct 2011. Reading of the excerpts below starts at 1:38 and 3:12. Directed by Scott Strosahl.


 Audio 6 
「早すぎた埋葬」 ラジオドラマ
The Premature Burial (1975) - CBSRMT Episode 197

Uploaded by vangelis721 on Sep 20, 2011. The CBS Radio Mystery Theater. Original broadcast: January 6, 1975. Hosted by E. G. Marshall. Starring Keir Dullea, Paul Hecht, Marian Seldes.


■英語原文 The original text in English

To be buried while alive is, beyond question, the most terrific of these extremes which has ever fallen to the lot of mere mortality. [Omission]  One of very remarkable character, and of which the circumstances may be fresh in the memory of some of my readers, occurred, not very long ago, in the neighboring city of Baltimore, where it occasioned a painful, intense, and widely extended excitement.


■"in the neighboring city of Baltimore"の訳は?

英語原文にある "in the neighboring city of Baltimore" の意味は「ボルティモアの隣町で」ですか? いいえ、正しくは「近隣のボルティモア市で」でしょう。筆者の居場所からみて隣町にあたるのがボルティモアです。定冠詞 the の理解に関わる基本事項なのに、上の日本語訳者のうち、小川高義氏以外の全員が誤訳しているのは不思議です。

通常、tomokilog では誤訳をとりたてて指摘しません。誤訳はどんな名人だってするし、ありふれている。私のようなへなちょこ翻訳屋が得意がって言い立てるのはおこがましいからです。

しかし、このボルティモアの件は極端な例かもしれません。この点や、この短篇の他の箇所の訳し方については、小川氏の次の著書にとりあげられています。

   小川高義(おがわ・たかよし)=著
   『翻訳の秘密―翻訳小説を「書く」ために
   研究社 2009-04-01

ただし、この本は先人たちの誤訳をあげつらうような趣旨のものではありません、念のため。


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

   「早すぎた埋葬」……小川 2006
   「早すぎた埋葬」……谷崎 1985
   「早すぎた埋葬」……田桐 1964
   「早すぎた埋葬」……谷崎 1962, 1969, etc.
   「早すぎた埋葬」……ダイジェスト・シリーズ刊行会 1950
   「早すぎる埋葬」……佐々木 1931, 1951, etc.
   「早まった埋葬」……永川 1978
   「早まった埋葬」……田中 1974
   「早過ぎた埋葬」……江戸川 1929
   「早過ぎた埋葬」……谷崎 1929


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014-12-21 フランス語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2014-12-16 Ricardo Summers, Aníbal Froufe, Francisco Álvarez によるスペイン語訳、およびスペイン語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2014-11-08 ハンガリー語訳を追加しました。
  • 2013-10-29 目次を新設し、ウクライナ語訳を追加しました。
  • 2012-08-15 ドイツ語訳とつぎの2つの YouTube 画面を追加しました。
    1. ドイツ語版オーディオブック
    2. 英語原文の朗読
    3. 「早すぎた埋葬」 ラジオドラマ
  • 2012-08-11 Julio Cortázar によるスペイン語訳を追加しました。
  • 2009-11-08 チェコ語訳を追加しました。
  • 2009-09-15 ダイジエスト・シリーズ刊行會=編著 1950/06/15 を追加しました。
  • 2009-09-06 佐々木直次郎=訳の書誌情報を補足し、訳例の配列を変更しました。

 

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(1)「ポオ」表記のもの

(2)「ポー」表記のもの

(3) 小川高義

  

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Saturday, 16 February 2008

The Angel of the Odd by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「奇妙さの天使」「不条理の天使」「奇態な天使」

 Images 
表紙画像 Cover photos

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a. 41ge89kjz8l b. Du003680 c. 51epmklicml


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 入沢 1968, 2007
「そもそも君は何者なのだ、おい?」と私は、いくらかは面くらいながらも、大いに威厳をとりつくろって言いました、「どうやってここへ入って来た? そこでいったい何をつべこべ言っているのだ?」
「トウヤッテパイッタナゾ」と化物は言い返しました、「チミノチッタコトカヨ。ナニヲチャペッテイルカトイエパ、ポクハポクノチャペリタイコトヲチャペッテルタケタ。ポクガタレカトイウコトニチュイテハ、チミジチンノメデタチカメチャチェテヤロウト、コウチテキテ、ヤッテイルチャナイカ。」

   エドガー・ポー=作 入沢康夫=訳 「奇妙さの天使」
   (シャルル・ボードレール訳による。つまりフランス語訳からの重訳)
   アンドレ・ブルトン=編著 山中散生+窪田般弥+小海永二(ほか)=訳
   1a.黒いユーモア選集1』(全2冊) 河出文庫 2007/08 所収
   1b.黒いユーモア選集(上)』(全2冊) セリ・シュルレアリスム1
      国文社 1968/06 所収
   1a.1b. を底本として、新たに編集を加えたもの。
   引用は 1a. に拠りました。


(J2) 永川 1963, 1974, etc.
「君はいったい何者だ?」とぼくは毅然(きぜん)として尋たね[ママ]けれども、実はだいぶ動転していた。「どうやってこの部屋に入ったんだ? それに、いったい何の話をしているんだ?」
「とうやって入ろうと」と怪物は言った。「お前の知ったことてはない。それに、何の話たろうと、おれは自分のしゃぺりたいしゃぺるのたよ。それから、おれか何者かということは、それをわからせてやるためにわさわさこうして姿を見せているてはないか」

   エドガー・アラン・ポオ=著 永川玲二=訳 「不条理の天使」
   2a. 風間賢二=編『天使と悪魔の物語』 ちくま文庫 1995/10 所収
   2b. 丸谷才一〔ほか〕=訳 『ポオ小説全集4』(全4冊)
      創元推理文庫 1974/09 所収
   2c. 佐伯彰一+福永武彦+吉田健一=編
      『ポオ全集2 小説 1841-49年』 限定版(全3冊)
      東京創元新社 1963 所収
   引用は 2b. に拠りました。


(J3) 谷崎 1948, 1962, etc.
「君は誰です?」少し面食らいながらも、私はおおいに威厳を保って言った。「どうしてここへ来たんです? そしていったい君はなにを話しているんです?」
「どうしてここへ来たかってのは、君の知ったことじゃない。おれが何を話しているかっていうに、おれが適当と思うことをしゃべっているんだ。そしておれが誰だかってことは、それこそ君が自分でわかるようにここへ来たんだぞ」と彼は言った。

   E・A・ポオ=著 谷崎精二=訳 「奇態な天使」
   3a.ポオ小説全集2 幻怪小説』(全4巻) 新装版 春秋社 1998/09 所収       
   3b.エドガア・アラン・ポオ全集2』(全6巻) 春秋社 1969 所収 
   3c.エドガア・アラン・ポオ小説全集2 幻怪小説』(全4巻・別巻1)
      春秋社 1962 所収
   3d.ポオ小説全集1』(全6冊) 春陽堂 1948 所収
   引用は 3a. に拠りました。


■ロシア語訳 Translation into Russian

  - Помилуйте, кто вы такой? -  с  достоинством, хотя и слегка озадаченно спросил я. - Как вы сюда попали? И что вы тут такое говорите?
  -  Как  я  сюда попал,  не тфвоя забота, -  отвечала  фигура. - А что я гофорю, так я гофорю то, что надо. А кто я такой, так я затем и пришел сюда, чтобы ты уфидел сфоими глазами.

   Эдгар Аллан По. Ангел необъяснимого
   E-text at Lib.Ru


■チェコ語訳 Translation into Czech

"Kdo jste, prosím vás?" zeptal jsem se důstojně, třebaže s jistými rozpaky. "Jak jste se šem dostal ao čem to vlastně mluvíte?"

"Jak já sem taty tostal," pravila postava, "to fam po tom nyc nény. A o čem mlufim? O tom mlufim, co je potle mě dobže mlufit. A kto ja sem? No, proto sem táty pšišel, apyste na flastny oka fiděl."

   Andel pitvornosti by Edgar Allan Poe
   E-text at Literární doupě


■ドイツ語訳 Translation into German

»Bitte, wer sind Sie?« fragte ich voll Würde, obwohl ein wenig erstaunt, »wie kamen Sie hier herein, und wovon reden Sie?«

»Wie ich hier rainchekommen bin«, entgegnete das Geschöpf, »das cheht Sie char nichts an; und wovon ich spreche? Nun – ich spreche davon wovon mich chut dünkt zu sprechen; und wer ich bin? Ich bin cherade darum herchekommen, daß Sie es gelber sehen.«

   Der Engel des Wunderlichen : Eine Extravaganz by Edgar Allan Poe
   E-text at Kunst und Wahn - Phil-Splitter


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Es1) Cortázar
—¿Quién es usted, si puede saberse? —pregunté con mucha dignidad, aunque un tanto perplejo—. ¿Cómo ha entrado en mi casa? ¿Y qué significan sus palabras?

—Cómo he entrado aquí no es asunto suyo —replicó la figura—; en cuanto a mis palabras, yo hablo de lo que me da la gana; y he fenido aquí brecisamente para que sepa quién soy.

   El Ángel de lo Singular by Edgar Allan Poe
   Translated by Julio Cortázar
   E-text at Lector Online


(Es2)
-Dígame quién es usted, se lo suplico -lo interrogué con mucha dignidad,aunque algo desconcertado-. ¿Cómo ha entrado aquí? ¿Qué se le ofrece?

- Cómo he entrado -replicó el monstruo -ez coza que no le impogta, y menoglo que hago aquí, y en cuanto quién zoi llo he venido senziyamente paga que ugtéze entere pog zí mizmo.

   El ángel de lo raro by Edgar Allan Poe
   E-text at Scribd


■フランス語訳 Translation into French

— Qui êtes-vous, je vous prie ? — dis-je avec beaucoup de dignité, quoique un peu démonté ; — comment êtes-vous entré ici ? et qu’est-ce que vous débitez là ?

— Gomment che zuis handré, — répliqua le monstre, — za ne phus recarte bas ; et gand à ze gue che tépide, che tépide ze gue che drouffe pon te tépider ; et gand à ze gue che zuis, ché zuis chistement phenu bur gue phus le phoyiez bar phus-memme.

   L'ange du bizarre by Edgar Allan Poe
   Translated by Charles Baudelaire
   E-text at Wikisource


 Video 
StrAngel: The Angel of the Odd (2013) Trailer

カナダとドイツの合作映画。監督: ゲオルク=セバスチャン・ドレスラー、ダニエル・フォン・ブラウン。撮影は完了しているが、邦題や日本での公開予定の有無や公開予定日などは未確認。 Uploaded by morroimages on 30 Jul 2012. Directors: Georg-Sebastian Dreßler, Daniel von Braun. Status: Completed. Release date yet to be confirmed.


 Audio 1 
英語原文のオーディオブック 朗読: デイヴィッド・ウェールズ
Audiobook in English read by David Wales

下の引用箇所の朗読は 6:33 から始まります。 Uploaded to YouTube by The 16th Cavern on 4 Dec 2014. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 6:33.


 Audio 2 
英語原文のオーディオブック 朗読: ジョゼフ・フィンクバーグ
Audiobook in English read by Joseph Finkberg

下の引用箇所の朗読は 5:50 から始まります。 Uploaded to YouTube by LibriVox audiobooks on 26 Nov 2014. Audio courtesy of LibriVox. Reading of the excerpt below starts at 5:50.


■英語原文 The original text in English

"Who are you, pray?" said I, with much dignity, although somewhat puzzled; "how did you get here? and what is it you are talking about?"

"Az vor ow I com'd ere," replied the figure, "dat iz none of your pizzness; and as vor vat I be talking apout, I be talk apout vot I tink proper; and as vor who I be, vy dat is de very ting I com'd here for to let you zee for yourzelf."


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014/12/28 2種類の英語原文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/03/16 ドイツ語訳と StrAngel: The Angel of the Odd (2013) 予告編の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/08/11 フリオ・コルタサル (Julio Cortázar) によるスペイン語訳を追加しました。
  • 2012/06/18 ロシア語訳とスペイン語訳を追加しました。また、チェコ語訳の訳文を挿入しました。

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■CD

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Friday, 04 January 2008

The Mystery of Marie Roget by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「マリー・ロジェの謎」「マリイ・ロオジェの秘密」「マリー・ロオジエの秘譚」

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Images  肖像写真と本の表紙 A portrait and book covers
  Video   マリー・ロジェの秘密 (1942) 予告篇 Mystery of Marie Roget (1942) Trailer
■中國語譯(繁體字) Translations into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 中野 1978
  (J2) 丸谷 1970, 1973, etc.
  (J3) 小川 1968
  (J4) 鈴木 1961
  (J5) 佐々木 1951
  (J6) ダイジエスト・シリーズ刊行會 1950
  (J7) 谷崎 1941, etc.
  (J8) 江戸川 1929
  (J9) 谷崎 1929
  (J10) 平林 1926, 1998
  (J11) 平野 1924
■ロシア語訳 Translation into Russian
  Audio   ドイツ語版オーディオブック(朗読) Audiobook of German translation
■ドイツ語訳 Translation into German
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title in Japanese
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

エドガー・アラン・ポーの短篇小説「マリー・ロジェの謎」は、殺人ミステリーのなかでも、細部にいたるまで現実の犯罪にもとづいて書かれた作品としては、最初のものだそうです(参照:Wikipedia)。美人で人気のあったニューヨークの葉巻売り子メアリー・ロジャーズの殺害事件を、ポーはパリに舞台を移し、名前をマリー・ロジェと変えて描きました。

"The Mystery of Marie Roget" is a short story by Edgar Allan Poe written in 1842.  According to Wikipedia, this is the first murder mystery based on the details of a real crime.


 Images 
肖像写真と本の表紙 A portrait and book covers
a. Mary_rogers b. 512cb4z6gcl c. 5183cgfbtpl

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  Video  
マリー・ロジェの秘密 (1942) 予告篇 Mystery of Marie Roget (1942) Trailer

監督: フィル・ローゼン 出演: マリア・モンテス、パトリック・ノウルズ Uploaded by unannounced72 on Apr 15, 2008. Directed by Phil Rosen. Starring Patric Knowles, Maria Montez.


■中國語譯(繁體字) Translations into traditional Chinese

這顯然是一起謀殺,由于此案的殘暴性質,由于受害人的年輕美貌,特別是她以前的名气,敏感的巴黎人不禁對此案极感興趣。我真想不起來有哪件類似的事情曾產生過如此廣泛的強烈影響。

   《羅杰疑案》 愛倫·坡 翻譯:趙本
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 中野 1978
殺し方の残虐さ(むろん他殺であることは、一見してわかった)、被害者の若くて、美人だったこと、それになによりも、以前からとにかく評判が高かったこと、そんなことが一緒になって、たちまち事件は、物見高いパリっ子たちの間に、強い反響を呼んだ。僕自身の記憶から言っても、この種事件で、これほど広い、これほど強い聳動を与えたものは、寡聞にして知らない。

   ポオ=作 中野好夫=訳
   マリ・ロジェエの迷宮事件—「モルグ街の殺人事件」続篇
   『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』 岩波文庫 1978/12 所収


(J2) 丸谷 1970, 1973, etc.
殺し方の残虐さ(他殺であることは一目瞭然だった)、被害者の若さと美貌、そして何よりもまず以前からとかくの評判のある女性だったこと、などは、敏感なパリジァンの心に激しい興奮をもたらした。この種の事件で、これほどまでに広く、これほどまでに激しい感銘を与えたものを、ぼくは他に知らない。

   ポオ=作 丸谷才一=訳
   マリー・ロジェの謎—『モルグ街の殺人』の続篇
   2a.ポオ小説全集3』(全4巻) 創元推理文庫 1974/06 所収
   2b.ポー名作集』 中公文庫 1973/08 所収
   2c.デュエット版・世界文学全集18』(全66巻)
      綜合社=編集 集英社=発行 1970/07 所収
   引用は 2a. に拠りました。


(J3) 小川 1968
殺しかた(殺人であることは一目瞭然であった)の残虐な点、被害者の若さと美貌、そして、何よりも彼女の素行に良からぬ評判があったこと、これらが相まって、物見高いパリっ子の心に強い興奮をひき起した。この種の事件でこのように広範でこのように強烈な影響をおよぼしたものを、ぼくは思い出すことはできない。

   ポオ=著 小川和夫=訳 「マリー・ロジェー殺しの謎」
   『世界文学全集26 ポオ、ボオドレール集
   筑摩書房 1968 所収


(J4) 鈴木 1961
この殺害の残虐さ(というのは殺害が行なわれたことはただちに明らかだったから)、被害者の若さと美しさ、とりわけ彼女の以前の評判などがいっしょになって、感じやすいパリ市民たちの心にはげしい動揺をひきおこした。私はこれと同様な事件であんなに広い、あんなにはげしい反響をおこした事件というものを思い出せない。

   エドガー・アラン・ポー=著 鈴木幸夫(すずき・ゆきお)=訳
   「マリー・ロジェーの怪事件」
   鈴木幸夫〔ほか〕=訳 『ポー代表作選集(下)』(全3巻)
   鏡浦書房 1961/01 所収


(J5) 佐々木 1951
この殺害(他殺であることは一目で明らかであった)の残虐なこと、被害者が若くて美貌であること、とりわけ彼女が前に評判が高かったことなどが一緒になって、感じやすいパリ人の心に強い反響を呼び起したのであった。このような出来事でそんなに広く、またそんなに強く、世間を騒がした事件というのを、私は思い出せない。

   ポー=作 佐々木直次郎=訳
   マリー・ロジェエの怪事件—『モルグ街の殺人事件』続編
   『モルグ街の殺人事件』 新潮文庫 1951/08 所収
   E-text at 青空文庫(現在作業中)


(J6) ダイジエスト・シリーズ刊行會 1950
 他殺であることは、一目で知れた、しかも、ひどく殘虐なやりかたで、殺されていた。
 被害者が美貌の女賣子であることから、俄然、事件は、パリ市民の間に、異常な昂奮を、まきおこした。

   エドガー・アラン・ポオ=作
   編著者:ダイジエスト・シリーズ刊行會 代表:磯部秀見 「マリイ・ロジエの殺害」
   『怪奇と詩情―ポーの人と作品』 ダイジエスト・シリーズ3
   ジープ社 定價八○圓 1950/06/15 所収
   「ダイジエスト・シリーズ」というシリーズ名からも察せられるとおり、
   この訳は完訳ではなく抄訳です。


(J7) 谷崎 1941, etc.
この殺人(他殺である事は一見して明かであった)の残虐性、被害者の妙齢と美貌、とくに彼女の生前の評判などからして、感じやすいパリっ子は異常な昂奮をひき起こした。こうした事件で、これほど深い感動を生んだものはないだろう。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=訳
   「マリイ・ロオジェの秘密」
   7a. エドガア・アラン・ポオ全集1』(全6巻)
      新装版 春秋社 1969/10 所収
   7b. エドガア・アラン・ポオ小説全集1 推理小説編
      春秋社 1962/05 所収
   7c.ポオ小説全集2 マリイ・ロオジエの秘密
      春陽堂書店 1956/02 所収
   7d. エドガア・ポオ小説全集2 天邪鬼
      春陽堂書店 1941/07(昭和16)所収
   引用は 7a. に拠りました。


(J8) 江戸川 1929
この殺害(一目見て他殺であることが判つた)の殘酷さと、被害者の若さと美しさと、また何よりも豫々(かね/゛\)評判者だつた點などからして、感動し易い巴里人(パリーじん)の心をおそろしく煽(あふ)り立てた。私は同じ種類の事件で斯(か)く迄旺(さかん)に斯くまで廣く世間を騒がせた例を思ひ出せない。
[原文は総ルビですが、ここではその一部を省略しました - tomoki y.]

   アラン・ポー=作 江戸川亂歩=譯 「マリイ・ロオジエ事件の謎」
   『世界大衆文學全集30 ポー、ホフマン集
   改造社 1929/04(昭和4)所収


(J9) 谷崎 1929
この殺人(他殺であることは一見して明瞭であつた)の殘虐性、被害者の妙齡と美貌、特に彼女の生前の評判などからして、感じ易い巴里つ子は異常な昂奮を惹起した。かうした事件でこれ程深い感動を醸(かも)し出した物はないだらう。

   エドガア・アラン・ポオ=著 谷崎精二=譯
   「マリイ・ロージェの祕密」
   『世界文學全集11 ポオ傑作集/緋文字・其他
   新潮社 非賣品 1929/01(昭和4)所収


(J10) 平林 1926, 1998
此の殺害(他殺であることは一眼で明瞭であつた)が實に酸鼻を極めてゐること、被害者が妙齡の美人であること、とりわけ以前に評判の高かつた娘であることなどは、相俟つて、物見高い巴里つ子の心をいやが上にも興奮させた。これ位な出來事で、こんなに多くの人の心を、こんなに強く感動さした例は、私には外に思ひ出せない。
[原文は総ルビですが、ここでは省略しました - tomoki y.]

   エドガー・アラン・ポオ=著 平林初之輔=譯
   マリイ・ロオジェ事件—「モルグ街の殺人事件」後日談
   10a.「新青年」復刻版 大正15年 第7巻 合本5
      第9号(8月号)・第10号(夏期増刊号)』
      第3期第1回配本(大正15年分)本の友社 1998/09 所収
   10b. 「新青年」第10号 1926/08(大正15)夏期増刊号 収載
   10a.10b. の復刻版。初出は 10b.。引用は 10a. に拠りました。


(J11) 平野 1924
死體は明かに、他殺の痕をとゞめてゐた。この事件はモルグ街の時よりも數倍世間をさはがした。何しろ殺されてゐるのが、評判の美人でその上、前から色々疑問の眼を以てむかへてゐたマリーのことだから死體發見と同時に、巴里全市は名状し難い程の不安と驚駭の渦中に投げられた形であつた。

   エドガー・アラン・ポオ=著 平野威馬雄(ひらの・いまお)=訳
   「マリー・ロオジエの秘譚」
   『モルグ街の殺人』 アルス 定價壹圓貳拾銭 1924/11/06(大正13)
   国立国会図書館デジタル化資料
   ルビは省略しました。状・難の旧字は新字で置き換えました。


■ロシア語訳 Translation into Russian

Столь зверское убийство  (в том,  что это -  убийство, никаких сомнений быть  не  могло),  молодость  и  красота  жертвы,  а  главное,  ее  недавняя известность  пробудили  живейший интерес  падких до сенсаций  парижан.  Я не припомню никакого другого  происшествия, которое вызвало бы столь всеобщее и сильное  волнение.

   Эдгар Аллан По. Тайна Мари Роже
   Translated by И. Гуровой
   E-text at Lib.Ru


  Audio  
ドイツ語版オーディオブック(朗読)
Das Geheimnis der Marie Roget: Audiobook of German translation

下に引用した箇所は 8:04 あたりから始まります。 Published on Apr 5, 2012 by allenzadock. The excerpt below starts around 8:04.


■ドイツ語訳 Translation into German

Die Gräßlichkeit dieses Mordes – denn es war klar, daß ein Mord geschehen war –, die Jugend und Schönheit des Opfers und vor allem des Mädchens allgemeine Beliebtheit riefen bei den leicht erregbaren Gemütern der Pariser große Aufregung hervor. Ich kann mich keines ähnlichen Ereignisses erinnern, das einen so allgemeinen und so tiefen Eindruck gemacht hätte.

   Das Geheimnis der Marie Rogêt by Edgar Allan Poe
   Translated by Julio Cortázar
   E-text at Projekt Gutenberg-DE


■ポルトガル語訳 Translation into Spanish

A atrocidade desse crime (pois era de pronto evidente que fora cometido um crime), a mocidade e beleza da vítima e, acima de sua anterior notoriedade conspiravam para produzir intensa comoção no espírito dos sensíveis parisienses. Não me recordo de caso semelhante que houvesse provocado efeito tão geral e tão intenso.

   O Mistério de Marie Rogêt by Edgar Allan Poe
   Translated by Julio Cortázar
   E-text at:
   * Dc393.4shared.com
   * Scribd


■スペイン語訳 Translation into Spanish

La atrocidad del crimen (pues desde un principio fue evidente que se trataba de un crimen), la juventud y hermosura de la víctima y, sobre todo, su pasada notoriedad, conspiraron para producir una intensa conmoción en los espíritus de los sensibles parisienses. No recuerdo ningún caso similar que haya provocado efecto tan general y profundo.

   El misterio de Marie Rogêt
   (Continuación de «Los crímenes de la calle Morgue»)
   by Edgar Allan Poe
   Translated by Julio Cortázar
   E-text at Lector Online


■フランス語訳 Translation into French

L'atrocité du meurtre (car il fut tout d'abord évident qu'un meurtre avait été commis), la jeunesse et la beauté de la victime, et, par-dessus tout, sa notoriété antérieure, tout conspirait pour produire une intense excitation dans les esprits des sensibles Parisiens. Je ne me souviens pas d'un cas semblable ayant produit un effet aussi vif et aussi général.

   Le Mystère de Marie Roget
   in Histoires extraordinaires by Edgar Allan Poe
   Translated by Charles Baudelaire
   Michel Lévy, 1869
   Preview at Google Books Page 446
   E-text at Ebooks Libres et Gratuits


■英語原文 The original text in English

The atrocity of this murder, (for it was at once evident that murder had been committed,) the youth and beauty of the victim, and, above all, her previous notoriety, conspired to produce intense excitement in the minds of the sensitive Parisians. I can call to mind no similar occurrence producing so general and so intense an effect.

   The Mystery of Marie Roget
   A Sequel to "The Murders in the Rue Morgue" (1842)
   by Edgar Allan Poe

   The story first appeared in Snowden's Ladies' Companion in three
   installments, November and December 1842 and February 1843.

   E-text at:
   * Project Gutenberg
   * Wikisource
   * Whitewolf Site
   * Penn State Electronic Classics Series Publication, Volume 1 (PDF)


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

   マリ・ロジェエの迷宮事件……中野 1978
  マリー・ロジェーの怪事件………鈴木 1961
  マリー・ロジェー殺しの謎………小川 1968
  マリー・ロジェの謎………………丸谷 1970, 1973, 1974
  マリー・ロジェエの怪事件………佐々木 1951
  マリイ・ロージェの秘密…………谷崎 1929
  マリイ・ロオジェの秘密…………谷崎 1941, 1956, 1962, 1969
  マリイ・ロオジェ事件……………平林 1926, 1998
  マリー・ロオジエの秘譚…………平野 1924
  マリイ・ロオジエ事件の謎………江戸川 1929
  マリイ・ロジエの殺害……………ダイジエスト・シリーズ刊行會 1950


■外部リンク External links

   * The Mystery of Marie Roget - Wikipedia
   * Edgar Allan Poe - Wikipedia
   * All about Mary Rogers' Mysterious Murder
   * エドガー・アラン・ポー - Wikipedia
   * 殺人博物館〜メアリー・ロジャース事件


■更新履歴 Change log

2013/08/16 平野威馬雄=訳 1924/11/06、ポルトガル語訳、およびフランス語訳を
         追加しました。
2012/08/14 ドイツ語訳を追加しました。また、ドイツ語版オーディオブック(朗読)と
         マリー・ロジェの秘密 (1942) 予告篇の YouTube 画面も追加しました。
2012/08/11 スペイン語訳を追加しました。
2012/06/17 ロシア語訳を追加しました。
2009/09/15 ダイジエスト・シリーズ刊行會=編著 1950/06/15 を追加しました。
2009/08/25 中國語譯(繁體字)を追加しました。また、谷崎精二=譯 1929/01 の
         訳文が、同氏の後年の訳と細部において異なることに留意して、これ
         を独立して立項しました。
2008/01/27 鈴木幸夫=訳 1961/01 を追加しました。
2008/01/21 小川和夫=訳 1968 を追加しました。
2008/01/12 谷崎精二=訳 1969/10 と江戸川亂歩=譯 1929/04 を追加しました。
2008/01/05 「はじめに」の項を加筆修正しました。また、外部リンクの項に「殺人
         博物館〜メアリー・ロジャース事件」を追加しました。このようなページ
         のあることは、きょう知りました。


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Monday, 16 July 2007

The Tell-Tale Heart by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「告げ口心臓」「裏切る心臓」「物言ふ心臟」

         目次 Table of Contents

  Images   グラフィック・ノヴェル、フランス語訳、DVD
 A graphic novel, a French translation and a DVD
■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 高家 2010
  (J2) 西崎 2007
  (J3) 小川(高)2006
  (J4) 金原 2006
  (J5) 李 2002
  (J6) 中野 1978
  (J7) 田中 1974
  (J8) 八木 1971, 1974
  (J9) 小川(和)1968
  (J10) 田桐 1964
  (J11) 谷崎 1948, 1956, etc.
  (J12) 江戸川 1929
  (J13) 谷崎 1929
  (J14) 小日向 1900, 1996
■ロシア語訳 Translation into Russian
 Audio  1  ポーランド語版の朗読 Audiobook in Polish
■ポーランド語訳 Translation into Polish
■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian
■チェコ語訳 Translation into Czech
■スウェーデン語訳 Translation into Swedish
■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian
■デンマーク語訳(部分) Translation into Danish (fragment)
 Audio  2  ドイツ語版の朗読 Audiobook in German
■ドイツ語訳 Translations into German
  (D1)
  (D2)
■オランダ語訳 Translation into Dutch
■ルーマニア語訳 Translation into Romanian
 Audio  3  イタリア語版の朗読 Audiobook in Italian
■イタリア語訳 Translations into Italian
  (It1) Baldini
  (It2) Arbib, 1903
■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese
  (Pt1) Portocarrero, 2007
  (Pt2) Schiller, 2004
■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan
 Audio  4  スペイン語版の朗読 Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translation into Spanish
 Audio  5  フランス語版の朗読 Audiobook in French
■フランス語訳 Translation into French
 Audio  6  英文朗読: デイヴィッド・ローレンス Read by David Lawrence
 Audio  7  英文朗読: ミスタークリーピーパスタ Read by MrCreepyPasta
 Audio  8  英文朗読: ジョーダン・ラナン Read by Jordan Lannan
 Audio  9  英文朗読: イギー・ポップ Read by Iggy Pop
 Audio 10  英文朗読: ベラ・ルゴシ Read by Bela Lugosi
 Video  1  The Tell Tale Heart (2009) by Travis Mays, Darren Walker
 Video  2  The Tell Tale Heart (2008) by Ryan Shovey
 Video  3  Der Verrückte, das Herz und das Auge (2006) by Dashuber & Jung
 Video  4  The Tell Tale Heart (2004) by Stephanie Sinclaire
 Video  5  The Tell Tale Heart by Stephen J Conley and John Dur
 Video  6  The Tell-Tale Heart (1960) by Ernest Morris
 Video  7  The Tell-Tale Heart (1953) by Ted Parmelee
 Video  8  The Tell-Tale Heart (1941) by Jules Dassin
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese
■tomokilog 関連記事 Related articles from tomokilog
■更新履歴 Change log


  Images  
グラフィック・ノヴェル、フランス語訳、DVD
A graphic novel, a French translation and a DVD

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓
a. Telltale_heart b. Poe_french_3 c. Telltaleheart

■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

对!——我神经过敏,非常,非常过敏,十二万分过敏,过去是这样,现在也是这样;可您干吗偏偏说人家疯了呢饿?犯了这种病,感觉倒没失灵,倒没迟钝,反而敏锐了。尤其是听觉,分外灵敏。天上人间的一切声息全都听见。阴曹地府的种种声音也在耳边。那么怎是疯了呢?听!瞧我哦跟您谈这一切,有多精神,有多镇静。

   《泄密的心》 艾德加-爱伦-坡
   E-text at 豆瓣电影


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

對!——我神經過敏,非常,非常過敏,十二万分過敏,過去是這樣,現在也是這樣;可您干嗎偏偏説人家瘋了呢餓?犯了這種病,感覺倒沒失靈,倒沒遲鈍,反而敏鋭了。尤其是听覺,分外靈敏。天上人間的一切聲息全都听見。陰曹地府的種種聲音也在耳邊。那麼怎是瘋了呢?听!瞧我哦跟您談這一切,有多精神,有多鎮靜。

   《泄密的心》 愛倫·坡
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 高家 2010
たしかに私は、すごく、すごく神経質になっていましたし、いまでもそうだと思います。だけど、なんで、どうして私のこと、病んでるなんて言うんですか? 私は病んでなんかいません。精神が侵されているとか鈍くなっているなんて思わないでください。むしろ、鋭敏になっているのですから。特に、聴覚は、これまでにないくらい研ぎ澄まされています。天界で起きていること、地上で起きていること、ぜーんぶ耳にはいってきます。地獄の底の音だって、ほとんど……。ね、病んでなんかいないでしょう? だから、口を挟まないでいただけますか。私が病んでいるかどうかは、私がこれから語る内容を聞いてから判断してください。とても落ち着いて、論理的に話すことができるのですから。

   エドガー・アラン・ポオ=作 高家あさひ=訳 「てるてる☆はあと」
   ブログ アーカムなう。 (ミスカトニック大学留学日記) 2010-01-19


(J2) 西崎 2007
それは確かだ――神経が昂(たか)ぶっていた――とても、とても、昂ぶっていたし、いまもそうだ。けれど、なぜあんたたちは狂っていると言うのか。神経の昂ぶりは感覚を鋭敏にしただけだ――損なったわけじゃない――鈍らせたわけでもない。とくに聴覚が鋭くなった。天国の音も、地上の音も、何によらず聞き取れる。おれの耳には地獄の音さえ少なからず聞こえた。しかし、どこが狂っていると言うのだろう。あんたたちはおれの話を聞くべきだ。そうしてどれほど正気か知るべきだ――おれがどんなに冷静に一切を語るかを。

   エドガー・アラン・ポー=著 西崎憲(にしざき・けん)=訳 「告げ口心臓」
   『エドガー・アラン・ポー短篇集』 ちくま文庫 2007/05 所収


(J3) 小川(高)2006
もちろんだ! たしかに緊張した。とんでもなく神経が張りつめていた。まだおさまらない。だからといって異常だとは決めつけないでもらいたい。感覚は病気のせいで鋭くなっていたのであって、おかしくなったり鈍くなったりはしていない。それに何より聴覚が研ぎすまされていた。天地の音を聞き逃すことがなかった。地獄の音だって聞こえた。そういう人間がおかしいわけはなかろう。まあ、聞くがいい。どれだけ健全に、冷静に、語りつくせるか、とくとご覧(ろう)じろ。

   エドガー・アラン・ポー=作 小川高義=訳 「告げ口心臓」
   『黒猫/モルグ街の殺人』 光文社古典新訳文庫 2006/10 所収


(J4) 金原 2006
うそじゃない! 神経がぴりぴりしてしょうがなかったんだ。今もそうだ。だが、頭はまともだ。ただ、神経をやられて、感覚が鋭くなってしまったんだ。感覚がなくなったわけでも、鈍くなったわけでもない。とくに耳が鋭くなった。天上のことも、地上のこともすべてきこえる。地獄のことまで、あれこれきこえてくる。頭がおかしいなんてことがあるものか。まあ、きいてくれ! そして判断してくれ。落ちついて冷静に話してみるから。最初から最後までな。

   エドガー・アラン・ポー=作 金原瑞人(かねはら・みずひと)=訳 「告げ口心臓」
   R・スティーヴンスン、C・ディケンズ〔ほか〕=著
   金原瑞人=編 『英米ホラーの系譜』 ホラーセレクション9
   ポプラ社 2006/03 所収
   原文にあるルビは省略しました。


(J5) 李 2002
本当なのです。私は神経質に、それもかなり酷い神経質になっていたのでございます。それは今も続いております。それなのに、どういうわけ理由であなた様は私の気がふれているなどとおっしゃるのでしょうか? 病気のせいで神経が過敏になっていただけのことでございます。私の精神は鈍りも壊れもしてはおりません。何よりも聴覚が人一倍鋭くなっていたのです。私には天上と地上のどんな音でも聞き取ることができました。地獄の音もたくさん耳にしました。それなのに、どうして私の気がふれているのでしょうか? それなら、どうぞよくお聴きになって下さいませ。私がいかにまともに、いかに落ち着いて事の一部始終をお話できるかお聴きになるとよろしいでしょう。

   エドガー・アラン・ポー=作 李三宝=訳 「暴露させる心臓
   プロジェクト杉田玄白 正式参加テキスト 2002


(J6) 中野 1978
いかにも! 私は、——ひどい神経質、——いや、神経質も神経質、病的なまでにひどい神経質になっておりました。今もそうでございます。だが、それにしても貴下方は、なぜ私を狂人だとおっしゃりたいのでございます? 病気のために、私の感覚は、異常に鋭敏になっておりました。——駄目になるどころか、——鈍らされてもおりませんでした。とりわけ物音を聞きつける感覚は、恐ろしいほどでございました。天地の間のあらゆる物音を、私の耳は聞きました。地獄の音さえ聞きました。だが、それにしても、なぜ私が狂人なのでございましょう? お聞き下さいませ、この通り一部始終を私は立派に、常人同様に、——冷静に申し上げることができるのでございます。

   ポオ=作 中野好夫=訳 「裏切る心臓」
   『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』 岩波文庫 1978/12 所収


(J7) 田中 1974
その通りです!——神経が——そりゃもう、怖ろしく神経が立っていました、いまだって立っていますぜ! だがなぜお前さんがたは、わしを狂人(きちがい)だと言いたがるんです? その神経の病気で、わしの五官は——いいや、五官が駄目になったんじゃありません——鈍ったんでもねえ——逆に鋭くなったんです。なかでも耳が、ばかにはっきりしちまいました。空の上でも地の底でも、ありとあらゆる物音が聞えるんです。地獄の物音まで聞えました。どうです、これでもわしは狂人かね? 聴いて下さい! どのくらい尋常に、どのくらい落着いて、話の一部始終をわしが話せるか、見てやって下さい。

   エドガー・アラン・ポオ=作 田中西二郎=訳 「告げ口心臓」
   『ポオ小説全集3』 創元推理文庫 1974/06 所収


(J8) 八木 1971, 1974
ええ——神経質のなんのって——小生、まったくもってひどく神経質でしたし、げんにそうですが、だからといって、なんだってわたしを気違いとおっしゃりたいのか。病気で小生の感覚は鋭くなったものの——だめになったわけでも——にぶくなったわけでもない。とりわけ聴覚が鋭敏になって、天のこと、地のこと、なんでも聞きました。地獄のことも、たんと聞きました。となると、わたしのどこがどう狂っているのか。まずはとくとお聞きください——わたしがどんなに尋常に、どんなに冷静にことの次第を物語るかを——そして、そのうえでご判断のほどを。

   ポオ=作 八木敏雄=訳 「告げ口心臓」
   8a.世界文学全集32 ポー/ホーソン』 講談社 1974/09 所収
   8b.世界文学ライブラリー8』 講談社 1971 所収
   8c.黄金虫・黒猫・アッシャ−家の崩壊 ほか五編
      講談社文庫 1971/07 所収
   引用は 8c. に拠りました。


(J9) 小川(和)1968
いえ、本当でございます! じっさい私は神経過敏、そりゃもう、ひどく、おそろしいほど神経過敏でございましたし、いまでもそうなんでございます。しかし、どうしてまた旦那がたは、私が気違いだとおっしゃりたいんで? 病気で私の感覚はかえって鋭くなっていたんでして、滅茶苦茶になったのでもなければ、鈍(にぶ)くなったのでもございません。とりわけ聴覚が鋭くなっておりました。天の上、地の底、一切の音が聞えたのでございます。地獄の音もたんと聞きました。その私がなんで気が違っているものですか。まあ聞いてくださいまし! この通り、尋常に、冷静に、一部始終のお話が申しあげられるじゃございませんか。

   ポオ=著 小川和夫=訳 「告げ口心臓」
   『世界文学全集26 ポオ、ボオドレール集
   筑摩書房 1968 所収


(J10) 田桐 1964
いかにも仰(おお)せのとおり!――私は神経過敏だ――全く救いがたいほどの神経過敏に悩まされてきた、いや現に今だってそうなのだ。しかし、だからと言って、君は 一体 なぜこの私を気違い呼ばわりしようというのだ。病気したおかげで私の感覚はとぎすまされていた――だめになるどころか――鈍ってさえいなかった。五感のなかでもとりわけ聴覚は鋭かった。天の物音も地の物音も、私は残らず聞きつけたのだ。地獄の物音だっていろいろ聞こえたくらいなんだ。それなのに何だってこの私が気違いなんだ。まあ聞いてもらいたい! 私が一から十までどんなに理路整然と常人とおんなじに、どんなに落ち着いて話ができるか見てもらいたいものだ。

   エドガー・アラン・ポオ=作 田桐大澄(たぎり・ひさずみ)=訳 「告げ口する心臓」
   『ポオ短篇集』 八潮版・アメリカの文学 八潮出版社 1964/08 所収
   文中の太字箇所は、原文では太字でなく傍点。


(J11) 谷崎 1948, 1956, etc.
本当だ! 私は神経衰弱——非常に恐ろしく神経過敏であったし、いまもそうなのだ。それだのになぜ諸君は私を気違いだと言おうとするのか! 病気は私の感覚をただ鋭くしたのだ——いためたのでも、にぶくしたのでもない。ことに聴覚は鋭敏であった。私は天地のあらゆる物音を聞いた。地獄のさまざまの物音さえも聞いた。それだのに、どうして私は気違いであろう? まあ聞きたまえ、そしていかに健全に、いかに静かに、私がいっさいの顛末(てんまつ)を物語るかに注意したまえ。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=訳 「告げ口心臓」
   11a. ポオ小説全集1 推理小説』(全4巻) 新装版 春秋社 1998/09 所収
   11b.エドガア・アラン・ポオ全集1』(全6巻) 新装版
       春秋社 1969/10 所収
   11c.エドガア・アラン・ポオ小説全集1 推理小説』(全4巻・別巻1)
       春秋社 1962/05 所収
   11d.ポオ小説全集3 モルグ街の殺人』 春陽堂 1956 所収
   11e.ポオ小説全集3』 春陽堂 1948 所収
   引用は 11a. に拠りました。11a. の底本は 11b. です。


(J12) 江戸川 1929
さうです。——神經過敏——その時私は、實に實に世にも恐しい神經過敏症でした。いや今に到るもその通りです。けれどそれであなたは私を狂人だと仰有いますか。勿論病氣は私の神經を磨き尖らせました。然し、役に立たなくしたのでも痴呆にしたのでもないのです。中にも聽覺の鋭さと言つたら素晴らしいものでした。私は天地萬物に籠るあらゆる音を聞きました。地獄のどよめきも聞きました。それでも私を狂人と言ふんですか、まあ御聞きなさい。私が如何に正確に、どんなに平然と一部始終をお話するか御聞きなさい。

[原文は以下のとおり、総ルビです]
さうです。——神經過敏(しんけいくわびん)——その時(とき)私(わたし)は、實(じつ)に實(じつ)に世(よ)にも恐(おそろ)しい神經過敏症(しんけいくわびんしやう)でした。いや今(いま)に到(いた)るもその通(とほ)りです。けれどそれであなたは私(わたし)を狂人(きちがひ)だと仰有(おつしや)いますか。勿論(もちろん)病氣(びやうき)は私(わたし)の神經(しんけい)を磨(みが)き尖(とが)らせました。然(しか)し、役(やく)に立(た)たなくしたのでも痴呆(ばか)にしたのでもないのです。中(なか)にも聽覺(ちやうかく)の鋭(するど)さと言(い)つたら素晴(すば)らしいものでした。私(わたし)は天地萬物(てんちばんぶつ)に籠(こも)るあらゆる音(おと)を聞(き)きました。地獄(じごく)のどよめきも聞(き)きました。それでも私(わたし)を狂人(きちがひ)と言(い)ふんですか、まあ御聞(おき)きなさい。私(わたし)が如何(どんな)に正確(せいかく)に、どんなに平然(へいぜん)と一部始終(ぶしじう)をお話(はなし)するか御聞(おき)きなさい。

   アラン・ポー=作 江戸川亂歩=譯 「物言ふ心臟」
   『世界大衆文學全集30 ポー、ホフマン集
   改造社 1929/04(昭和4)所収


(J13) 谷崎 1929
本當だ! 私は神經衰弱——非常に恐ろしい神經過敏であつたし、今もさうなのだ。それだのに何故諸君は私を氣違ひだと言はうとするのか? 病氣は私の感覺をたゞ鋭くしたのだ——傷(いた)めたのでも、鈍(にぶ)くしたのでもない。就中聽覺は鋭敏であつた。私は天地のあらゆる物音を聞いた。地獄のさま/゛\の物音さへも聞いた。それだのにどうして私は氣違ひであらう? まあ聞き給へ、そして如何に健全に、如何に静かに、私が一切の顛末(てんまつ)を物語るかに注意し給へ。

   ポオ=作 谷崎精二=譯 「告げ口心臟」
   『世界文學全集11 ポオ傑作集 緋文字・其他
   新潮社(非賣品)1929/01 所収


(J14) 小日向 1900, 1996
わが極めて稀なる、神經質の男なること、何時も渝らざるが故に、我を狂へるものと言はむと欲したまふか、ことわりなきことなり。我ひとたび、重き病痾に罹りてより、神經はいやが上に、鋭くなりまさりつ、別きて聽覺の怪しきまでに、過敏となれる、天籟地籟、あらゆる物の音は、もれず、我耳に入らざるなく、地獄の鬼の、うそぶく聲をだに、聞き分くるに、難からざるがゆゑに、狂へるものとなし給ふか。毛一筋のみだれもなく、こゝろおちつきて、語る所を聽き給へ。

   小日向是因=譯 「心の音」
   14a. 川戸道昭+榊原貴教=編 ナダ出版センター=制作
       『明治翻訳文学全集《新聞雑誌編》19 ポー集』(全50巻・別巻2)
       大空社 1996/06 所収
   14b. 『帝國文學』 1900/05(明治33)収載
   初出誌は 14b.14a.14b. を複製したもの。


■ロシア語訳 Translation into Russian

Правда! Я нервный - очень даже нервный, просто  до  ужаса,  таким  уж уродился; но как можно называть меня сумасшедшим? От болезни  чувства  мои только  обострились  -  они  вовсе  не  ослабели,  не  притупились.  И   в особенности - тонкость слуха. Я слышал все, что совершалось на небе  и  на земле. Я слышал многое,  что  совершалось  в  аду.  Какой  я  после  этого сумасшедший?  Слушайте  же!  И  обратите  внимание,  сколь  здраво,  сколь рассудительно могу я рассказать все от начала и до конца.

   Эдар Аллан По. Сердце-обличитель
   "Эдгар По. Стихотворени. Проза",
   Изд-во "Худ.лит.", Москва, 1976
   E-text at Lib.Ru



 Audio 1 
「告げ口心臓」 ポーランド語版のオーディオブック(朗読) Audiobook in Polish
Serce oskarżycielem: Audiobook of German translation

Uploaded to YouTube by AudioBook PL on 21 Aug 2014


■ポーランド語訳 Translation into Polish

Bez wątpienia — jestem zbyt nerwowy, strasznie nerwowy, zawszem był taki… Na jakiej wszakże zasadzie chcecie koniecznie upatrzyć we mnie szaleńca? Choroba zaostrzyła moje zmysły — nie znicestwiła ich — nie przytłumiła. Ponad innymi zmysłami — słuch mój górował niezwykłą czujnością. Słyszałem wszystko, cokolwiek działo się w niebiosach i na ziemi. Słyszałem wieleć z tego, co się działo w piekle. Skądże mi do szaleństwa? Chwila uwagi! Baczcie jeno, z jakim nadmiarem zdrowia i pogody ducha mogę wam opowiedzieć wszystko, co się stało.

   Edgar Allan Poe. Serce — oskarżycielem
   Translated by Bolesław Leśmian
   E-text at Wolne Lektury


■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

Van-e, aki százszor is nem kapta rajta magát azon, hogy valami hitvány vagy együgyű dolgot követ el, pusztán azért, mert tudja, hogy nem volna szabad elkövetnie? Nem él-e bennünk örökösen az a hajlam, hogy legjobb belátásunk ellenére is megszegjük a törvényt, csak azért, mert tudjuk, hogy törvény? Fölébredt bennem, mondom, a csökönyösségnek ez a szelleme, hogy végképp tönkretegyen.

   A fekete macska by Edgar Allan Poe
   E-text at Olvasókuckó


■チェコ語訳 Translation into Czech

Nervy - ano, mé nervy byly a jsou stále strašlivě rozervány, strašlivě; ale proč chcete tvrdit, že jsem šílený? Choroba zbystřila mé smysly, nezničila je, neotupila. Především sluch jsem měl citlivý. Co se jen šustlo mezi nebem a zemí, všecko jsem slyšel. Slyšel jsem zvuky i ze samého pekla. Jak to tedy, že jsem šílený? Poslouchejte a sami posuďte, jak rozumně, jak chladně vám celý příběh vypovím.

   Zrádné srdce by Edgar Allan Poe
   E-text at V noci jsem snil, že jsem motýlem


■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

Sant, så sant – jag har varit och är fruktansvärt nervös, men varför påstår ni att jag är galen? Sjukdomen har skärpt mina sinnen – inte förstört – eller avtrubbat dem. Framför allt var min hörsel god. Jag hörde allting i himlen och på jorden. Jag hörde många ting i helvetet. Hur skulle jag då kunna vara galen? Hör nu på! Och observera hur normalt och lugnt jag kan berätta hela historien.

   Det skvallrande hjärtat by Edgar Allan Poe
   E-text at edstromskasbkurs.weebly.com [DOC]


■ノルウェー語訳 Translation into Norwegian

Sant nok! - nervøs - veldig, veldig nervøs har jeg vært og er jeg; men hvorfor påstår du at jeg er gal? Sykdommen hadde skjerpet sansene mine - ikke ødelagt - ikke svekket dem. Fremfor alt var hørselsansen styrket. Jeg hørte alle ting i himmelen ogjorden. Jeg hørte mangt i helvete. Hvordan skulle jeg da være gal? Hør på! Å legg merke til - hvor rolig jeg kan fortelle deg hele historien.

   Sladrehjertet by Edgar Allan Poe
   E-text at Poe, Forster and T.S. Eliot in Norwegian


■デンマーク語訳(部分) Translation into Danish (fragment)

Javel, det er sandt... nervøs, ja... meget, overmåde meget, frygtelig nervøs har jeg været... og jeg er det endnu. Men hvorfor vil De absolut paastaa, at jeg er forrykt? Sygdommen har bare skærpet mine Sanser - ikke ødelagt eller forvirret dem. Frem for alt var det min Høresans. Min Evne til at høre skarpt. Jeg hørte alle Ting i Himlen og paa Jorden. Jeg kunde ogsaa høre mange Ting i Helvede. Hvorfor finder De saa paa, at jeg skulde være gal?

   [Hjertet der røbede] by Edgar Allan Poe
   Excerpt at Anne Frederiksen


 Audio 2 
「告げ口心臓」 ドイツ語版のオーディオブック(朗読)
Das verräterische Herz: Audiobook of German translation

Read by Bernd Kuschmann. Uploaded to YouTube by scyliorhinus on 3 Apr 2010.


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1)
Es ist wahr! Nervös, schrecklich nervös war ich und bin ich noch; aber weshalb soll ich wahnsinnig sein? Mein Übel hatte meine Sinne nur geschärft, nicht zerstört oder abgestumpft. Vor allem war mein Gehörsinn außerordentlich empfindlich geworden. Ich hörte alle Dinge, die im Himmel und auf der Erde vor sich gingen, und auch vieles, was in der Hölle geschah. Wie könnte ich also wahnsinnig sein? Hören Sie nur zu, wie vernünftig und ruhig ich lhnen die ganze Geschichte erzählen werde.

   Das verräterische Herz by Edgar Allan Poe
   E-text at versalia.de


(D2)
Wahr ist es: nervös, entsetzlich nervös war ich damals und bin es noch. Warum aber müßt ihr durchaus behaupten, daß ich wahnsinnig sei? Mein nervöser Zustand hatte meinen Verstand nicht zerrüttet, sondern ihn geschärft, hatte meine Sinne nicht abgestumpft, sondern wachsamer gemacht. Vor allem hatte sich mein Gehörsinn wunderbar fein entwickelt. Ich hörte alle Dinge im Himmel und auf Erden. Ich hörte viele Dinge in der Hölle. Und das sollte Wahnsinn sein? Hört zu und merkt auf, wie sachlich, wie ruhig ich die ganze Geschichte erzählen kann.

   Das schwatzende Herz by Edgar Allan Poe
   Edgar Allan Poe - Gesammelte Werke Null Papier Verlag
   Preview at Google Books
   E-text at Zeno.org


■オランダ語訳(未完) Translation into Dutch (work in progress)

Of ik zenuwachtig was? Heel, heel erg zenuwachtig was ik en dat ben ik nog steeds. Maar waarom wilt u zeggen dat ik gek ben? De ziekte had mijn zintuigen verscherpt, niet vernietigd. Bovenal was het zintuig van het horen aanwezig. Ik hoorde alle dingen in de hemel en op aarde. Ik hoorde veel dingen in de hel. Waarom dan ben ik gek? Luister! En merk op hoe gezond en hoe rustig ik u het hele verhaal kan vertellen.

   Het verraderlijke hart by Edgar Allan Poe
   A wiki-based translation under construction.
   E-text at Wikisource
   ウィキソースのサイト上で共同制作進行中の訳稿


■ルーマニア語訳 Translation into Romanian

Adevărat! Nervos, foarte, îngrozitor de nervos am fost şi sînt încă; însă de ce să susţii că aş fi nebun? Boala mi‑a ascuţit simţurile, nu mi le‑a distrus, nu mi le‑a tocit. Mai presus de toate, auzul îmi era ascuţit. Auzeam toate lucrurile din cer şi de pe pămînt. Auzeam multe lucruri din iad. Cum atunci să fiu nebun? Ascultă! Şi observă cît de normal, cît de calm îţi pot relata întreaga poveste.

   Inima care-şi spune taina by Edgar Allan Poe
   E-text at Si totusi povestile...


 Audio 3 
バルディーニによるイタリア語訳の朗読 Audiobook of the Italian translation by Baldini

Uploaded to YouTube by TheCrusius on 23 Feb 2012


■イタリア語訳 Translations into Italian

(It1) Baldini
Sul serio! Io sono nervoso, molto nervoso, e lo sono sempre stato. Ma perché pretendete che io sia pazzo? Si, è vero, la malattia ha reso più penetranti i miei sensi, ma non li ha rovinati, non li ha distrutti! Io avevo, finissimo, il senso dell'udito e ho ascoltato tutte le voci del cielo e della terra. E molte anche dell'Inferno. Come potrei esser pazzo, allora? State dunque attenti e notate con quanto giudizio e, soprattutto, con quanta calma io posso narrarvi tutt'intero il fatto.

   Il cuore rivelatore by Edgar Allan Poe
   Translated by Gabriele Baldini
   E-text at:
   * Traduzione di Gabriele Baldini
   * Letteratura - homolaicus.com


(It2) Arbib, 1903
Sì; è vero – sono nervosissimo, spaventevolmente nervoso – e lo sono stato sempre; ma perché volete pretendere ch’io sia pazzo? La malattia m’ha aguzzato i sensi, ma non li ha distrutti, non li ha ottusi. Più di tutti gli altri, avevo finissimo il senso dell’udito. Ho sentito tutte le cose del cielo e della terra. Ne ho sentite molte dell’inferno. E dite che son pazzo? State attenti! E osservate con quale precisione, con quale calma vi posso raccontare tutta la storia.

   Il cuore rivelatore by Edgar Allan Poe
   Translated by Rodolfo Arbib
   Milano : Società editrice Sonzogno, 1903
   E-text at EdgarAllanPoe.it


■ポルトガル語訳 Translations into Portuguese

(Pt1) Portocarrero, 2007
É verdade! Nervoso, muito, muito nervoso mesmo eu estive e estou; mas por que você vai dizer que estou louco? A doença exacerbou meus sentidos, não os destruiu, não os embotou. Mais que os outros estava aguçado o sentido da audição. Ouvi todas as coisas no céu e na terra. Ouvi muitas coisas no inferno. Como então posso estar louco? Preste atenção! E observe com que sanidade, com que calma, posso lhe contar toda a história.

   O coração delator by Edgar Allan Poe
   Translated by Celina Portocarrero
   Os melhores contos de loucura Ediouro, 2007
   E-text at Projeto Releituras


(Pt2) Schiller, 2004
É verdade! — nervoso —, eu estava assustadoramente nervoso e ainda estou; mas por que você diria que estou louco? A doença tinha aguçado os meus sentidos —não destruído —, não amortecido. Acima de tudo, aguçado estava o sentido da audição. Eu escutava todas as coisas no céu e na terra. Eu escutava muitas coisas do inferno. Como posso estar louco? Ouça com atenção! E veja com que sanidade,com que calma sou capaz de contar a história inteira.


■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan

És cert! Sempre he sigut nerviós, molt, molt nerviós, terriblement nerviós. Però... per què afirmen vostès que estic boig? La malaltia ha esmolat els meus sentits, no els ha pas destruïts, no els ha pas esmussats. I era el sentit de l'oïda el més agut de tots. He sentit totes les coses al cel i a la terra. He sentit moltes coses a l'infern. Com puc estar boig, doncs? Escoltin... i observin amb quin seny, amb quina calma puc explicar la meva història.

   El cor delator by Edgar Allan Poe
   Translated by Felipe Ortega
   Lo Càntich. N.13. Dilogia, 2012.
   E-text at Lo Càntich


 Audio 4 
スペイン語版の朗読 Audiobook in Spanish

Uploaded to YouTube by Terror Y Nada Más on 12 Jun 2013


■スペイン語訳 Translation into Spanish

¡Es cierto! Siempre he sido nervioso, muy nervioso, terriblemente nervioso. ¿Pero por qué afirman ustedes que estoy loco? La enfermedad había agudizado mis sentidos, en vez de destruirlos o embotarlos. Y mi oído era el más agudo de todos. Oía todo lo que puede oírse en la tierra y en el cielo. Muchas cosas oí en el infierno. ¿Cómo puedo estar loco, entonces? Escuchen... y observen con cuánta cordura, con cuánta tranquilidad les cuento mi historia.

   El corazón delator by Edgar Allan Poe
   E-text at Ciudad Seva


 Audio 5 
ボードレールによるフランス語訳の朗読 Audiobook of the Italian translation by Baldini

Uploaded by pilmix12 on 20 Feb 2013


■フランス語訳 Translation into French

Vrai ! — je suis très nerveux, épouvantablement nerveux, — je l’ai toujours été ; mais pourquoi prétendez-vous que je suis fou ? La maladie a aiguisé mes sens, — elle ne les a pas détruits, — elle ne les a pas émoussés. Plus que tous les autres, j’avais le sens de l’ouïe très fin. J’ai entendu toutes choses du ciel et de la terre. J’ai entendu bien des choses de l’enfer. Comment donc suis-je fou? Attention ! Et observez avec quelle santé, — avec quel calme je puis vous raconter toute l’histoire.

  • Le Cœur révélateur by Edgar Allan Poe. Translated by Charles Baudelaire.
  • E-text at:

 Audio 6 
英文朗読: デイヴィッド・ローレンス Read by David Lawrence

Uploaded to YouTube by GreatestAudioBooks on 13 Jun 2013


 Audio 7 
英文朗読: ミスタークリーピーパスタ Read by MrCreepyPasta

Uploaded to YouTube by MrCreepyPasta on 4 Sep 2012


 Audio 8 
英文朗読: ジョーダン・ラナン Read by Jordan Lannan

Uploaded to YouTube by jordanslannan on 1 Nov 2010


 Audio 9 
朗読: イギー・ポップ Read by Iggy Pop

From the CD set: Closed on Account of Rabies: Poems and Tales of Edgar Allan Poe (1997) Disc 1


 Audio 10 
朗読: ベラ・ルゴシ Read by Bela Lugosi

ベラ・ルゴシによる「告げ口心臓」の朗読。おそらく1946〜47年ごろに録音されたと思われる。なお、このような録音が存在することは映画の國というサイトの「細川晋 世界映画DVD発見」というコラムで知りました。後日、YouTube にアップロードされたのを見つけました。

The Tell-Tale Heart read by Bela Lugosi. Uploaded to YouTube by Sally Zom Bie on 31 Oct 2011. The recording was perhaps made during the 1946-47 period. More details at lugosidvd.com, Open Culture and viewers' comments at YouTube.


 Video 1 
The Tell Tale Heart (2009) Directed by Travis Mays, Darren Walker

Uploaded by Travis Mays on Jul 14, 2010


 Video 2 
The Tell Tale Heart (2008) Directed by Ryan Shovey

Uploaded by Ryan Shovey on 18 Feb 2011


 Video 3 
Der Verrückte, das Herz und das Auge (2006) Directed by Gregor Dashuber, Annette Jung

Uploaded by Trickpiraten on 21 Aug 2013


 Video 4 
The Tell Tale Heart (2004) Directed by Stephanie Sinclaire

Uploaded by TheFilmandTVChannel on 21 Sep 2009


 Video 5 
The Tell Tale Heart Directed by Stephen J Conley and John Dur

Uploaded by Taletube1 on 16 Nov 2008. DVD is available from Amazon.com.


 Video 6 
The Tell-Tale Heart (1960) Directed by Ernest Morris

Uploaded by horrorsnark on 26 Apr  2011


 Video 7 
The Tell-Tale Heart (1953) Directed by Ted Parmelee

Uploaded by taromaru on 13 Jun 2006. Narrated by James Mason.


 Video 8 
The Tell-Tale Heart (1941) Directed by Jules Dassin

Published on 31 Oct 2012 by oobleckboy


■英語原文 The original text in English

TRUE! - nervous - very, very dreadfully nervous I had been and am; but why will you say that I am mad? The disease had sharpened my senses - not destroyed - not dulled them. Above all was the sense of hearing acute. I heard all things in the heaven and in the earth. I heard many things in hell. How, then, am I mad? Hearken! and observe how healthily - how calmly I can tell you the whole story. 


■邦題の異同 Variations of the title translated into Japanese

  「てるてる☆はあと」……高家 2010
  「告げ口する心臓」………田桐 1964
  「告げ口心臓」……………西崎 2007
  「告げ口心臓」……………小川(高)2006
  「告げ口心臓」……………金原 2006
  「告げ口心臓」……………田中 1974
  「告げ口心臓」……………八木 1971, 1974
  「告げ口心臓」……………小川(和)1968
  「告げ口心臓」……………谷崎 1948, 1956, 1962, 1969, 1998
  「告げ口心臟」……………谷崎 1929
  「心の音」…………………小日向 1900, 1996
  「物言ふ心臟」……………江戸川 1929
  「暴露させる心臓」………李 2002
  「裏切る心臓」……………中野 1978


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■更新履歴 Change log

  • 2015/10/31 ベラ・ルゴシ朗読の録音へのリンクを差し替え、情報を補足しました。
  • 2014/12/02 ポーランド語版朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/09/09 スペイン語版朗読と David Lawrence による英語原書朗読の2本の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/05/27 フランス語訳の朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/03/08 スウェーデン語訳、ノルウェー語訳、デンマーク語訳(部分)、オランダ語訳(未完)、ルーマニア語訳、およびカタルーニャ語訳を追加しました。また、ベラ・ルゴシによる朗読へのリンクと The Tell Tale Heart (2008) の YouTube 動画も追加しました。
  • 2013/03/05 MrCreepyPasta による朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/11/20 つぎの2本の YouTube 画面を追加しました。
    1. Jordan Lannan による朗読
    2. The Tell-Tale Heart (1960) by Ernest Morris
  • 2012/11/19 つぎの3本の YouTube 動画を追加しました。これらのうち 2. について教えてくださった Y. M. さん、ありがとうございます!
    1. Der Verrückte, das Herz und das Auge (2006)
    2. The Tell-Tale Heart (1953) by Ted Parmelee
    3. The Tell-Tale Heart (1941) by Jules Dassin
  • 2012/08/14 もう1種類のドイツ語訳を追加しました。また、ドイツ語訳の朗読の YouTube 画面も追加しました。
  • 2012/08/08 2種類のイタリア語訳ともう1種類のポルトガル語訳を追加しました。また、イタリア語訳の朗読へのリンクを張りました。
  • 2012/07/07 ポーランド語訳を追加しました。
  • 2012/05/02 イギー・ポップによる朗読とステファニー・シンクレアによる映画の2本の YouTube 画面を追加しました。
  • 2011/12/01 高家あさひ=訳 2010-01-19 を追加しました。
  • 2011/01/24 ハンガリー語訳を追加しました。
  • 2011/01/22 ロシア語訳、ドイツ語訳、およびポルトガル語訳を追加しました。
  • 2010/04/24 アニメ映画 The Tell-Tale Heart の YouTube 動画を追加しました。また、中国語訳(簡体字)のリンクがリンク切れになっていたのを修正しました。
  • 2009/11/08 チェコ語訳を追加しました。
  • 2009/08/25 中國語譯(繁體字)を追加しました。
  • 2009/04/26 田桐大澄=訳 1964/08 を追加し、「邦題の異同」の項を新設しました。
  • 2008/12/04 李三宝=訳 2002 を追加しました。
  • 2008/01/21 小川和夫=訳 1968 を追加しました。

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Thursday, 01 March 2007

The System of Doctor Tarr and Professor Fether by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー「タール博士とフェザー教授の療法」

 Images 
表紙画像 Cover photos

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↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■中国語訳(簡体字) Translations into simplified Chinese

(Zh1) 曹
“我们这儿曾经有个家伙,”坐在我右边的一位小个子胖先生讲道,“一个认为自己是把茶壶的家伙;顺便说一句,这个怪念头那么经常地钻进精神病患者的脑袋,这难道不是特别奇怪吗?法国几乎没有一家疯人院不能够提出一把这样的人茶壶。我们的这位先生是一把不列颠合金壶,他每天早晨都要用鹿皮和铅粉拭擦他的身子。”

  • 塔尔博士和费瑟尔教授的疗法 爱伦·坡 著 曹明伦 译
  • E-text at 百度空间


(Zh2) 马 2001

  • 爱伦·坡 〈焦油博士和羽毛教授的疗法〉 《爱伦·坡短篇小说选》 英汉对照英美文学精品 (美)坡 著,马爱农 译  外文出版社 2001-01-01

■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 大岡 1998
「昔、こんな男がおりましたな」と、私の右にすわっている太った小柄な紳士が切りだした。
「自分のことをティー・ポットだと思いこんでいたんです。ついでながら、ティー・ポットになりたがる妄想が患者の脳に入りこむ場合がとりわけ多いのは、不思議なことですな。フランスじゅうどこに行っても、ティー・ポット人間のいない精神病院は、まず見当たりませんね。で、ここの紳士は、イギリス製のティー・ポットだと言っとりました。毎朝かならず、シカ革と白い顔料(がんりょう)でからだをみがきあげていましたよ」

  • エドガー・アラン・ポー=作 大岡玲(おおおか・あきら)=訳 「タール博士とフェザー教授の治療法」

(2) 八木 1980
「こんな患者がいましてね」と、私の右手の小ぶとりの紳士が言った——「この男は自分のことを茶瓶だと思いこんだのですな。ところで、この茶瓶という特定の奇想がしばしば狂人の頭に忍びこむとは、まことに不思議なことではありませんか? フランスの精神病院で、人間茶瓶のいないようなのは、まずありませんな。当院の紳士は英国製の茶瓶でして、毎朝欠かさず鹿皮と胡粉(ごふん)でせっせと自分を磨いておりましたな」

  • E・A・ポー=著 八木敏雄=訳 「タール博士とフェザー教授の療法」

(3) 佐伯 1963, 1969, etc.
「以前ここにいた患者で」私の右隣りの小柄な肥った紳士が言った。「自分が茶瓶になったと思いこんだのがおりましてね。ついでながら、とくに茶瓶という気まぐれが、ひんぱんに狂者の脳髄にいりこむというのは、不思議な話じゃないでしょうか。フランス中、どこの精神病院をとって見ても、人間茶瓶のいない所は、まず見当りませんね。当院の紳士は、イギリス製の茶瓶で、毎朝忘れずに鹿皮と胡粉で身体を磨き立てておりました」

  • E・A・ポー=著 佐伯彰一(さえき・しょういち)=訳 「タール博士とフェザー教授の療法]

(4) 谷崎 1948, 1955, etc.
「かつてこういう男がいましたよ」私の右手に坐っている、太った紳士が言った。「自分を土瓶(どびん)だと思っているんです。こんな変な考えが、この狂人の頭にはいったということは、ずいぶん奇妙じゃありませんか。もっともフランスの精神病院で人間の土瓶がいないところは一つもありませんがね。この男はブリタニア焼きの土瓶で、鹿皮に胡粉(ごふん)をつけて、毎朝ていねいに自分を磨いていましたよ」

  • ポオ=著 谷崎精二=訳 「タア博士とフェザア教授の療法」

(5) 田内 1970
「いつかここにある男が入院していましたよ。」私の右方(みぎて)に坐っていた小柄な肥っちょの紳士が言った、「その男は自分を茶瓶(びん)だと想いこんでいたのです。ね、そういう一定の奇妙奇てれつ(#「てれつ」に傍点)な考えがその狂人の頭脳(あたま)にしょっちゅう浮んで来たというのは取分け稀代(きたい)なことじゃありませんか? もっとも仏蘭西(フランス)には、人間茶瓶のいない一疋(ぴき)ぐらい提供できないような狂気病院はまあ一軒もありませんがね。わが(#「わが」に傍点)紳士は、英国(ブリタニア)製の茶瓶なんでして、先生毎朝毎朝牡鹿(おじか)の皮に胡粉(ごふん)をつけて、われとわが身体をごしごし磨かねば承知しませんでしたよ。」

  • ポー=作 田内長太郎=訳 「瘋癲病院異変」

■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

— По-рано тук имаше един приятел — обади се въздебеличък, дребен джентълмен, седнал от дясната ми страна, — един приятел, който си въобразяваше, че е чайник; впрочем не е ли извънредно странно колко често в главата на лудия се загнездват подобни своеобразни чудатости? Едва ли във Франция има психиатрична болница, в която да не може да се намери човекочайник. Нашият джентълмен беше чайник, изработен от сплав, имитираща сребро, и всяка сутрин най-грижливо се лъскаше с парче еленова кожа и тебеширен прах.

  • Едгар Алън По. Системата на доктор Тар и професор Федър
  • E-text at Моята библиотека (chitanka.info)

■チェコ語訳 Translation into Czech

„Měli jsme tu kdysi chlapíka,“ pravil tlustý mužík vpravo ode mne, „chlapíka, který si namlouval, že je čajník. A mimochodem, není to zvláštní, jak často zrovna tahle podivnůstka vleze bláznům na mozek? Stěží byste našli ve Francii sanatorium, kde by nechovali lidský čajník. Náš džentlmen byl čajníkem ze starého cínu a každé ráno se důkladně leštil jelenicí a plavenou křídou.“


■フランス語訳 Translation into French

« Nous avions ici autrefois un gaillard, – dit un gros petit monsieur, assis à ma droite, – qui se croyait théière ; et, soit dit en passant, n’est-ce pas chose remarquable que cette lubie particulière entre si souvent dans la cervelle des fous ? Il n’y a peut-être pas en France un hospice d’aliénés qui ne puisse fournir une théière humaine. Notre monsieur était une théière de fabrique anglaise, et il avait soin de se polir lui-même tous les matins avec une peau de daim et du blanc d’Espagne.


 Audio 
英語原書のオーディオブック(朗読) Audiobook in English

下に引用する箇所の朗読は 15:30 から始まります。 Uploaded to YouTube by Free Audio Books and Recordings on 29 Aug 2013. Reading of the excerpt below starts at 15:30.


■英語原文 The original text in English

"We had a fellow here once," said a fat little gentleman, who sat at my right, -- "a fellow that fancied himself a tea-pot; and by the way, is it not especially singular how often this particular crotchet has entered the brain of the lunatic? There is scarcely an insane asylum in France which cannot supply a human tea-pot. Our gentleman was a Britannia -- ware tea-pot, and was careful to polish himself every morning with buckskin and whiting."


■日本語訳の書誌情報 Bibliography on translations into Japanese

(1) 大岡 1998

  • エドガー・アラン・ポー=作 大岡玲(おおおか・あきら)=訳 「タール博士とフェザー教授の治療法」 『アモンティラードの樽 その他』 地球人ライブラリー 小学館 1998/03 所収 

(2) 八木 1980

  • E・A・ポー=著 八木敏雄=訳 「タール博士とフェザー教授の療法」 『ポオのSF2』 講談社文庫 1980/03 所収

(3) 佐伯 1963, 1969, etc.

(4) 谷崎 1948, 1955, etc.

(5) 田内 1970, 1975, etc.

  • ポー=作 田内長太郎=訳 「瘋癲病院異変」
    • 松本清張〔ほか〕=監修 中島河太郎=編 横溝正史=訳者代表 『新青年傑作選4 翻訳編』(新装版) 立風(りっぷう)書房 1991/09 所収
    • 松本清張+水谷準+横溝正史=監修 中島河太郎=編 『新青年傑作選4 翻訳編』 立風書房(初版 1970|新装版 1975)所収

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■更新履歴 Change log

  • 2013/10/21 英文オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/03/21 曹明伦による中国語訳(簡体字)、およびブルガリア語訳を追加しました。
  • 2010/06/18 中国語訳(簡体字)と中國語譯(繁體字)の書誌情報を修正しました。
  • 2009/11/08 チェコ語訳を追加しました。
  • 2007/05/15 八木敏雄=訳 1980/03 を追加しました。

↓ 以下の本・CD・DVDのタイトルはブラウザの画面を更新すると入れ替わります。 
↓ Renew the window to display alternate titles of books, CDs and DVDs.

■DVD

■和書 Books in Japanese

■洋書 Books in non-Japanese languages

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Wednesday, 23 August 2006

Annabel Lee by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「アナベル・リー」「アナベル・リイ」「アンナベル・リイ」

          目次 Contents

    Video 1  ポエトリー・コミック Poetry Comic performed by Renee LaTulippe
    Video 2  動画 Presented by I'm happy, hope you're happy too...
   ■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese
     (C1)
     (C2)
     (C3) 曹明伦
   ■中國語譯(繁體字)Translations into traditional Chinese 
     (Tw1)
     (Tw2)
   ■韓国語訳 Translation into Korean
    Audio 1  ベン・ウィショー朗読 Read by Matthew Ben Whishaw
    Audio 2  ロバート・ニコル・オーディオ制作 Created by Robert Nichol Audio
    Audio 3  マシュー・グレイ・ギュブラー朗読 Read by Matthew Grey Gubler
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 福田 2014
     (J2) ウィキペディア 2012
     (J3) 加島 2009
     (J4) 巽 2009, 2012
     (J5) 松本 2008
     (J6) サンドラ 2005
     (J7) 齊藤 2002
     (J8) 松浦 2000
     (J9) 渡辺 1997
     (J10) 加島 1997
     (J11) 亀井 1993
     (J12) 尾形 1987
     (J13) 中桐 1978
     (J14) 八木 1972, 1976
     (J15) 沢崎 1969
     (J16) 島田 1965
     (J17) 福永 1963, 1965, etc.
     (J18) 阿部 1956
     (J19) 日夏 1959, 1995
     (J20) 葉河 1946
     (J21) 成田 1936
     (J22) 水谷 1924, 1991
     (J23) 佐藤 1923
     (J24) 若目田 1922
     (J25) 片上 1909, 1936, etc.
     (J26) くれなゐ 1904, 1996
     Image   「アナベル・リー」 ポー自筆原稿 Annabel Lee: Poe's Manuscript
   ■トルコ語訳 Translations into Turkish
     (Tr1) Tuğlu, 2013
     (Tr2) Anday
   ■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian
   ■ロシア語訳 Translation into Russian
   ■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
   ■ポーランド語訳 Translations into Polish
   ■チェコ語訳 Translation into Czech
   ■ドイツ語訳 Translations into German
     (G1)
     (G2)
   ■オランダ語訳 Translation into Dutch
   ■イタリア語訳 Translation into Italian
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan
   ■スペイン語訳 Translations into Spanish
     (Sp1) Sánchez
     (Sp2) Condor & Falaquera
     (Sp3) Lasplace
   ■フランス語訳 Translations into French
     (F1) Roseau
     (F2) Beauchemin
     (F3) Wronski
     (F4) Evariste
     (F5) Isabelle
     (F6) Bouali
     (F7) Bloch
     (F8) Baudelaire
    Audio 4  ジョーン・バエズ歌 Sung by Joan Baez
    Audio 5  B・ラスボーン朗読 Read by Basil Rathbone
    Audio 6  マリアンヌ・フェイスフル朗読 Read by Marianne Faithfull
   ■英語原詩の全文 The complete original poem in English
   ■アナベル・リーかアナベル・リイか?
   ■そして、ポーか、ポオか、ポウか? エドガーかエドガアか?
   ■tomokilog 関連記事 Related articles from tomokilog
   ■更新履歴 Change log


 Video 1 
ポエトリー・コミック Poetry Comic performed by Renée M. LaTulippe

Uploaded to YouTube by NoWaterRiver on 23 May 2013. Drawings by Julian Peters. More info at julian peters comics.


 Video 2 
動画 Presented by I'm happy, hope you're happy too...

Uploaded to YouTube by I'm happy, hope you're happy too... on 26 Apr 2009


■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese

(C1)
很久很久以前,
在一个滨海的国度里,
住着一位少女你或许认得,
她的芳名叫安娜贝尔.李;
这少女活着没有别的愿望,
只为和我俩情相许。 [略]

   爱伦坡 《安娜贝尔.李》
   E-text at:
   * 百度知道
   * 心雨亭


(C2)
很久很久以前,
在大海边的一个王国里,
住着一位少女你或许认得,
她名叫安娜贝尔丽。
少女活着没有别的愿望,
只为了与我相爱。 [略]

   爱伦·坡 《安娜贝尔丽》
   E-text at 谷米1008的空间


(C3) 曹明伦 2012
那是在很多年很多年以前,

在大海边一个王国里,

 住着位你也许认识的姑娘,

她名叫安娜贝尔·李——

那姑娘她活着没别的心愿,

与我相爱是她的心思。[略]

   《安娜贝尔·李》 埃德加·爱伦·坡 译者: 曹明伦 《爱伦·坡诗集
   湖南文艺出版社 2012
   E-text at 豆瓣读书


■中國語譯(繁體字)Translations into traditional Chinese 

(Tw1)
那是在許多年、許多年以前,
  在海邊的一個王國里
住著位姑娘,你可能也知道
  她名叫安娜蓓爾·李:
這姑娘的心里沒別的思念,
  就除了她同我的情意。 [略]

   愛倫·坡 《安娜蓓爾·李》
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


(Tw2)
很久很久以前,
在大海邊一個王國里,
住著一位少女你或許認得,
她名叫安娜貝李;
這少女活著沒有別的願望;
只為了與我相愛。 [略]

   愛倫・坡 《安娜貝李》
   E-text at anopos


■韓国語訳 Translation into Korean

아주 여러 해 전
바닷가 어느 왕국에
당신이 아는지도 모를 한 소녀가 살았지.
그녀의 이름은 애너벨 리─
날 사랑하고 내 사랑을 받는 일밖엔
소녀는 아무 생각도 없이 살았네. [Omission]

   에드거 앨런 포 - 애너벨 리
   E-text at:
   * 세계의 명시 :: 애너벨 리 - 에드거 앨런 포우
   * 애너벨 리 : 네이버캐스트


 Audio 1 
「アナベル・リー」 朗読: ベン・ウィショー
Annabel Lee read by Ben Whishaw

Uploaded to YouTube by Hayley the Elf on 18 Jul 2014


 Audio 2 
「アナベル・リー」 音声制作: ロバート・ニコル・オーディオ・プロダクションズ 2000
Annabel Lee - Audio created by Robert Nichol Audio Productions London 2000

Uploaded to YouTube by Audio Productions on 12 Dec 2012


 Audio 3 
「アナベル・リー」 朗読: マシュー・グレイ・ギュブラー
Annabel Lee read by Matthew Grey Gubler

Uploaded to YouTube by faitherica on 28 Dec 2008


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 福田 2014
むかしむかしのことでした
 海のほとりの王国に
住んでいました女の子
 名はひと呼んでアナベル・リー、
思いはひとつこのぼくと
 愛し愛され暮らすこと。 [以下略]

  • エドガー・アラン・ポー=作 福田昇八(ふくだ・しょうはち)=訳 「アナベル・リー」 福田昇八=著 『英詩のこころ』 岩波ジュニア新書 2014/01/21

(J2) ウィキペディア 2012
昔々のお話です
海のほとりの王国に
一人の娘が住んでいた
その子の名前はアナベル・リー
いつも心に思うのは
僕への愛と僕の愛 [以下略]


(J3) 加島 2009
幾年(いくとし)も幾年も前のこと
海の浜辺の王国に
乙女がひとり暮していた。その名は
アナベル・リー
その乙女、思いはただ
ひたすら、ぼくを愛し、ぼくに愛されることだった [以下略]


(J4) 巽 2009, 2012
むかしむかし
海辺の王国に (In a kingdom by a sea)
ひとりの少女が住んでいて、
アナベル・リーの名で知られていた
そしてこの少女が人生をかけて思い貫いたのは
ただひとつ、このわたしを愛し
このわたしに愛されること [以下略]


(J5) 松本 2008
とおいとおいむかしのこと
  うみのほとりの王国に
ひとりの少女がすんでいて
  なまえをアナベル・リーといいました
少女の心はぼくを愛しぼくに愛される
  そのことだけでいっぱいだった [以下略]


(J6) サンドラ 2005
昔むかしのこと
 海のほとりの王国に
乙女がひとり暮らしていた。そのひとの名は
 アナベル・リー──
乙女の思いはたた一つ
 ただひたすら、ぼくを愛し、ぼくに愛されることだけだった。[以下略]


(J7) 齊藤 2002
それは とおい昔のことだった、
 海のそばの王国に、
アナベル・リーという名で知られた
 乙女がひとり 住んでいた。
そして乙女は ぼくを愛して 愛される
 ただそれだけを願いながら 生きていた。[以下略]

  • エドガー・アラン・ポー=作 齊藤貴子=訳 「アナベル・リー」 出口保夫+齊藤貴子=訳 『音読・暗唱 愛と夢の英詩集』 講談社+α文庫 2002/05

(J8) 松浦 2000
あれは 杳(はる)か とおい むかし
海辺の とある王国の ことだった。
その名も アナベル・リーという
乙女が 住んでいた。
乙女のおもいは ただ ひとつ
わたしを愛し 愛される ことだった。[以下略]


(J9) 渡辺 1997
それはもう ずっと ずっと 昔の話
   海のほとりの王国に
女の子がひとり住んでいた 知ってるかもしれないが
   名前を アナベル・リーっていった
この女の子は ただただ ぼくを愛して
   ぼくに愛される それだけを考え 生きていた [以下略]


(J10) 加島 1997
幾年(いくとし)も幾年も前のこと
 海の浜辺の王国に
乙女がひとり暮していた、そしてそのひとの名は
 アナベル・リー——
そしてこの乙女、その思いはほかになくて
 ただひたすら、ぼくを愛し、ぼくに愛されることだった。[以下略]


(J11) 亀井 1993
昔むかしのことでした、
 海のほとりの王国に、
ひとりの乙女が住んでいました
 アナベル・リーというなつかしい名の——
乙女の思いはただひとつ 
 ぼくと愛し愛されることでした。[以下略]

  • エドガー・アラン・ポー=作 亀井俊介(かめい・しゅんすけ)=訳 「アナベル・リー」 亀井俊介+川本皓嗣(かわもと・こうじ)=編 『アメリカ名詩選』 岩波文庫 1993/03

(J12) 尾形 1987
ああ いくとせも むかしなり
  海のほとりの ある王国に
アナベル・リーと呼ばれたる
  うるわしき乙女ぞ住みたり。
われを愛し 愛される
  ただ これのみをその胸に秘め。[以下略]


(J13) 中桐 1978
とおいとおい昔のこと、
海のほとりの王国に、
一人の乙女が住んでいて、
その名を聞けばアナベル・リイ、
生きる願いはただ一つ、 
私を愛し、愛されて。[以下略]


(J14) 八木 1972, 1976
いくとせ昔、その昔
   海のほとりの王国に
乙女がひとり住んでいて
   アナベル・リイといいました
乙女の思いはただひとつ  
   ぼくを愛し、愛されたいと、そればかり [以下略]


(J15) 沢崎 1969
遠い遠いはるかむかし
  海のほとりのある国でのこと、
アナベル・リーという名で知られる
  ひとりの娘が暮らしていた。
わたしと愛し愛されることのみ
  ひたすら思いつづけていた。[以下略]


(J16) 島田 1965
そのかみの、そのかみの昔がたりよ。
 海のほとりの王領に、
住みにけり、をとめ子ひとり。その御名(みな)の
 アナベル・リーに、君、あるは知り給ふらむ。
そのをとめ、その女人(ひと)は、われを慕いつ、われにまた
思はれむねがひをのぞみねがひつつ、ただ生きにけり。[以下略]

  • ポオ=作 島田謹二=訳 「アナベル・リー」 丸山薫=編 『世界の名作23 世界の名詩』 集英社コンパクト・ブックス 1965/05

(J17) 福永 1963, 1965, etc.
今は多くの多くの年を経た、
  海のほとりの或る王国に、
一人の少女が住んでいてその名を
  アナベル・リイと呼ばれていた。——
そしてこの少女、心の想いはただ私を愛し、  
  愛されること、この私に。[以下略]


(J18) 阿部 1956
幾年か昔のことであつた。
  海沿いの王領に、
アナベル・リイと言う名前で
  人の知る乙女の住んでいたのは、
そしてこの乙女私と愛し合つていることの外は、
  餘念もなかつた。[以下略]

  • エドガー・アラン・ポオ=作 阿部保(あべ・たもつ)=訳 「アナベル・リイ」 『ポー詩集』 (表紙とカバー折返しは「ポー」、扉と奥付は「ポオ」) 新潮文庫 1956/11

(J19) 日夏 1959, 1995
在りし昔のことなれども
わたの水阿(みさき)の里住みの
あさ瀬をとめよそのよび名を
アナベル・リイときこえしか。
をとめひたすらこのわれと
なまめきあひてよねんもなし。[以下略]


(J20) 葉河 1946
遠き昔のことなりき
海のほとりの王國に
ひとりの乙女住みにけり
君知るや アナベル・リーと呼ばれしを
この乙女 われを慕ひつ
われにまたいとほしまれんその他の
思ひもなくて暮しけり[以下略]

  • エドガ・アラン・ポウ=作 葉河憲吉(はがわ・けんきち)=譯 「アナベル・リー」 『あひびき』 出水書園 1946/12/25

(J21) 成田 1936
ずつと昔のことでした、
海沿ひの或る王國(くに)に
アンナベル・リイといふ乙女が住んで居りました。
乙女は私を愛し、
私に愛されるほかに思ひはなく
暮して居りました。[以下略]

  • ポウ・エドガア・アラン=作 成田一夫=譯 「アンナベル・リイ」 『戀愛詩讀本 譯詩集』 日本書荘 1936/09/15(昭和11)
  • 沿の旧字は新字で置き換えました。

(J22) 水谷 1924, 1991
ずっとずっと昔
海のそばの国に
アンナベル・リイという
名前で知られている
娘がありました。
この娘はわたしから愛され
わたしを愛したいと思うほか
なにひとつ考えずに
暮しておりました。[以下略]

  • エドガー・A・ポー=作 水谷まさる=訳 「アンナベル・リイ」
    • 西條八十+水谷まさる=訳 『世界童謡集』 冨山房百科文庫 1991/12
    • 西條八十+水谷まさる=訳 初山滋+武井武雄+角田次郎+岡本帰一=挿画 『新訳 世界童謡集』 冨山房 模範家庭文庫 第1輯第12巻 1924(大正13)
  • a. は b. の再刊。用字・字体・仮名づかい・ルビ・作者名の表記などは改められています。引用は a. 冨山房百科文庫版に拠りました。

(J23) 佐藤 1923
ずつとずつと昔のことに、
海のほとりの王國で、
一人の娘が住んでゐた、呼ぶ名によると、
アナベルリイ、
その娘、その娘にはなんにもなかつた
私と互ひにいとしがる外、


(J24) 若目田 1922
よほど昔のことでした、
海のほとりの王國に
その名をアナベル、リイと云ふ
乙女が住んで居りました。
乙女はわたしを可愛がり、
可愛がられるためだけに
乙女は暮して居りました。


(J25) 片上 1909, 1936, etc.
こゝらの年の昔とぞ、
海のほとりの王領に
ひとりの少女住みにけり、
アンナベル・リイと呼ばれにし、名にこそ君も知るならめ、
われを慕ひつ、われにまた、いとほしまれんそのほかの
思ひもなくて暮しけれ。[以下略]


(J26) くれなゐ 1904, 1996
いくつ歳こそ重ねしか
わだつみ近きこの國に
少女住みしは汝れ知らむ、
やさ名こそあなべる・りい。
戀ふる戀ひらるこのほかに
おもひは無くて過ぎにたり。[以下略]

  • アラン、ポー=作 くれなゐ=譯 「あなべる・りい」
  • 初出誌は b.。a. は b. を複製したもの。引用は a. 大空社版に拠りました。

  Image  
「アナベル・リー」 エドガー・アラン・ポーによる署名入り自筆原稿
"Annabel Lee" Edgar Allan Poe's Manuscript, Page 1 of 2, ca. May 1849

Annabel_lee

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Image source: The Rare Book and Manuscript Library of Columbia University


■トルコ語訳 Translations into Turkish

(Tr1) Tuğlu, 2013
Yıllar, pek çok yıllar öncesiydi,
  Bir kız yaşardı tertemiz,
Denizin kıyısındaki bir krallıkta
  İsmi ANNABEL LEE belki de tanırsınız;
Beni sevmekten, bence sevilmekten gayrı bir şey
  Düşünmeden yaşardı bu kız. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Osman Tuğlu
   E-text at Antoloji.Com


(Tr2) Anday
Seneler,seneler evveldi;
Bir deniz ülkesinde
Yaşayan bir kız vardı,bileceksiniz
İsmi Annabel Lee;
Hiçbir şey düşünmezdi sevilmekten
Sevmekden başka beni. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Melih Cevdet Anday
   E-text at Şiir Ana Sayfa (siir.gen.tr)


■ハンガリー語訳 Translation into Hungarian

Sok-sok év elmúlt azóta,
A tengerpart fövenyén,
Élt egy lány kit ismerhettek,
Annabel Lee, kit így neveztek,
E lányban nem élt más remény,
Csak hogy szeressen, s szeressem én. [Omission]

   Annabel-Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at Verhás Péter


■ロシア語訳 Translation into Russian

Это было давно, это было давно,
В королевстве приморской земли:
Там жила и цвела та, что звалась всегда,
Называлася Аннабель-Ли,
Я любил, был любим, мы любили вдвоем,
Только этим мы жить и могли.
[Omission]

   Э́дгар А́ллан По - Аннабель Ли
   Перевод К. Бальмонта (Translated by Balmont)
   E-text at:
   * Американская поэзия (США) в русских переводах (uspoetry.ru)
   * Викитека (Wikisource)


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

Отдавна, преди много, тъй много лета,
в едно царство в приморски земи,
девойка живя, нека знаете това,
тя казваше се Анабел Ли.
Живя там тази девойка с мисъл една —
с любов вечна мене да дари.
[Omission]

   Едгар Алън По. Анабел Ли
   Translated by Явор Димитров, 2000
   E-text at Моята библиотека (chitanka.info)


■ポーランド語訳 Translations into Polish

(P1)
To było wiele i wiele lat temu,
W królestwie aa nad morzem,
Ta dziewczyna żyła, których być może wiesz
W imię Annabel Lee;
I ta dziewczyna żyła bez innych myśli
Niż kochać i być kochanym przeze mnie; [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at Teksty.net


(P2)
Stało się wiele lat temu, żę była
W królestwie nadmorskiej mgły
Dziewczyna, którą, być może poznacie
Pod imieniem Annabel Lee;
Tym jedynie żyjąca, by mnie kochać i być mi
Ukochaną po kres naszych dni.

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at:
   * zadane.pl
   * mhkm 


(P3) Przesmycki
Wiele, o wiele już temu lat, 
Nad brzegiem, gdzie ocean grzmi, 
Żyła dziewczyna jak wonny kwiat, 
Imię jej było Annabel Lee. 
Jam w tym dziewczęciu miał cały świat, 
A sam znów światem byłem jej. 

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Zenon Przesmycki
   E-text at Onet Dziecko


■チェコ語訳 Translation into Czech

Je to už mnoho a mnoho let,
co v přímořském království
bydlela dívka, již poznali byste hned
podle jména Annabel-Lee -
ta žila jen jediné myšlence,
že má mne ráda tak jako já ji. [Omission]

   Annabel-Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at V noci jsem snil, že jsem motýlem


■ドイツ語訳 Translations into German

(G1)
Es ist lange her, da lebte am Meer,
Ich sag euch nicht wo und wie –
Ein Mägdelein zart, von seltener Art,
Mit Namen Annabel Lee.
Und das Mägdelein lebte für mich allein,
Und ich lebte allein für sie. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at Projekt Gutenberg-DE


(G2)
Es ist viele, viele Jahre her,
  Dasz am Meeresufer allhie
Ein Mädchen lebt', o fragt nicht mehr,
  Mit Namen Annabel Lee;
Und das Mädchen es lebte für mich allein
  Und ich lebte allein für sie. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Excerpt at The Edgar Allan Poe Society of Baltimore


■オランダ語訳 Translation into Dutch

Het was eenmaal, ver in een koninkrijk
Aan de bruisende zee nabij,
Dat een meisje daar woonde, geen ander gelijk,
In vroeg bloeiend levensgetij;
Niets bestond voor haar op het wereldrond
Dan haar liefde en de liefde van mij. [Omission]

   Annabel-Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at Forum. Jaargang 2


■イタリア語訳 Translation into Italian

Or son molti e molti anni
che in un regno in riva al mare
viveva una fanciulla che col nome
chiamerete di Annabel Lee:
e viveva questa fanciulla con non altro pensiero
che d’amarmi e d’essere amata da me.

   Annabel-Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at edgarallanpoe.it


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Foi há muitos e muitos anos atrás, que viveu
À beira-mar, num reino que há ali,
Uma dama, que talvez conheçam, a quem alguém deu
O nome de Annabel Lee;
E esta dama não pensava em mais nada para além
De amar-me e ser amada por mim.
   In a kingdom by the sea,

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   E-text at Amendual


■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan

Fa molts i molts anys,
En un regne a prop del mar,
Hi vivia una donzella coneguda
Amb el nom d’Annabel Lee,
I aquesta donzella no vivia amb un altre pensament
Que no fos estimar i ser estimada per mi. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Mònica Batet
   E-text at L’habitació grisa


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Sp1) Sánchez
Sucedió hace muchos, muchos años,
en un reino junto al mar.
Allí vivía una doncella conocida
por el nombre de Annabel Lee;
y esa doncella no vivía con otro pensamiento
que el de amarme y que yo la amara. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Arturo Sánchez
   Excerpt at demasiado que leer


(Sp2) Condor & Falaquera
Hace muchos, muchos años,
en un reino junto al mar,
vivía una doncella
cuyo nombre era Annabel Lee;
y vivía esta doncella sin otro pensamiento
que amarme y ser amada por mí. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by María Condor y Gustavo Falaquera
   Excerpt at demasiado que leer


(Sp3) Lasplace
Hace ya bastantes años,
en un reino más allá de la mar
vivía una niña que podéis conocer
con el nombre de Annabel Lee.
Esa niña vivía sin ningún otro pensamiento
que amarme y ser amada por mí. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Alberto Lasplace
   Excerpt at demasiado que leer


■フランス語訳 Translations into French

(F1) Roseau
C'était il y a longtemps, très longtemps,
Dans un royaume au bord de l'océan,
y vivait une vierge que vous pourriez connaître
Du nom d'Annabel Lee;
Cette vierge vivait sans autre pensée
Que de m'aimer et d'être mon aimée. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Roseau
   E-text at Club des Poetes


(F2) Beauchemin
Il y a bien longtemps
Dans un royaume près de la mer
Vivait une jeune fille,qui vous le savez peut-être
Avait pour nom Annabel Lee
Et cette jeune fille ne vivait avec d'autre pensée
Que de m'aimer et d'être aimé de moi. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Philippe Beauchemin
   E-text at Club des Poetes


(F3) Wronski
Voici mainte et mainte année
Dans un royaume bordé de mer
Vivait une jeune fille, on la connaît peut-être ici
Son nom était Annabel Lee
Et cette jeune fille vivait sans nulle autre pensée que celle
De son amour pour moi, de mon amour pour elle. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by J-L Wronski
   E-text at Club des Poetes


(F4) Evariste
C'était il y a longtemps et plus longtemps encore
Dans un royaume près de la mer
Une jeune fille y vivait que peut-être vous connaissez,
Elle s'appellait Annabel Lee
Et cette jeune fille vivait sans nulle autre pensée
Que de n'aimer que moi et de moi être aimée. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Evariste
   E-text at Club des Poetes


(F5) Isabelle
C'était il y a longtemps, longtemps déjà,
Dans un royaume près de la mer
Vivait une jeune fille, que peut-être vous connaissez
Sous le nom d'Annabel Lee
Et cette jeune fille ne vivait que
Pour m'aimer et pour que je l’aime. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Isabelle
   E-text at Club des Poetes


(F6) Bouali
C'était il y a bien des années,
Dans un royaume au bord la de la mer,
Qu'une jeune fille vivait, connue
Sous le nom d'Annabelle Lee; --
Et cette jeune fille vivait avec la seule idée
De m'aimer et de n'aimer que moi. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Boumediene Bouali
   E-text at Club des Poetes


(F7) Bloch
Il fut un an et un an davantage
Aux rives d'un royaume
Une jeune fille y vivait, connue
Sous le nom d'Annabelle Lee
Et cette amie ne vivait que par la pensée
De m'aimer et d'être aimée par moi. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Alain Bloch
   E-text at Club des Poetes


(F8) Baudelaire
Il y a mainte et mainte année,
dans un royaume près de la mer,
vivait une jeune fille, que vous pouvez connaître
par son nom Annabel Lee,
et cette jeune fille ne vivait avec aucune autre pensée
que d'aimer et d'être aimée de moi. [Omission]

   Annabel Lee by Edgar Allan Poe
   Translated by Charles Baudelaire
   E-text at:
   * The Department of French at the University of Victoria
   * TheHouseOfUsher.net


 Audio 4 
「アナベル・リー」 歌: ジョーン・バエズ
Annabel Lee - Sung by Joan Baez

Uploaded to YouTube by orcid1 on 30 Jan 2009


 Audio 5 
「アナベル・リー」 朗読: ベイジル・ラスボーン
Annabel Lee - Read by Basil Rathbone

Uploaded to YouTube by Avirup Ghosh on 23 Jan 2009


 Audio 6 
「アナベル・リー」 朗読: マリアンヌ・フェイスフル
Annabel Lee - Read by Marianne Faithfull

Published to YouTube by nnekra on 12 Jan 2009. From the CD set: Closed on Account of Rabies: Poems and Tales of Edgar Allan Poe (1997) Disc 2


■英語原詩の全文 The complete original poem in English

 It was many and many a year ago,
   In a kingdom by the sea,
 That a maiden there lived whom you may know
   By the name of ANNABEL LEE;
 And this maiden she lived with no other thought
   Than to love and be loved by me.

 I was a child and she was a child,
   In this kingdom by the sea:
 But we loved with a love that was more than love--
   I and my ANNABEL LEE;
 With a love that the winged seraphs of heaven
   Coveted her and me.

 And this was the reason that, long ago,
   In this kingdom by the sea,
 A wind blew out of a cloud, chilling
   My beautiful ANNABEL LEE;
 So that her highborn kinsmen came
   And bore her away from me,
 To shut her up in a sepulchre
   In this kingdom by the sea.

 The angels, not half so happy in heaven,
   Went envying her and me--
 Yes!--that was the reason (as all men know,
   In this kingdom by the sea)
 That the wind came out of the cloud by night,
   Chilling and killing my ANNABEL LEE.

 But our love it was stronger by far than the love
   Of those who were older than we--
   Of many far wiser than we--
 And neither the angels in heaven above,
   Nor the demons down under the sea,
 Can ever dissever my soul from the soul
   Of the beautiful ANNABEL LEE.

 For the moon never beams without bringing me dreams
   Of the beautiful ANNABEL LEE;
 And the stars never rise but I see the bright eyes
   Of the beautiful ANNABEL LEE;
 And so, all the night-tide, I lie down by the side
 Of my darling, my darling, my life and my bride,
   In her sepulchre there by the sea--
   In her tomb by the side of the sea.

   Annabel Lee (1849) by Edgar Allan Poe
   * The Fall of the House of Usher and Other Writings
    Penguin Classics, 2003
   * The Project Gutenberg EBook of
    Edgar Allan Poe's Complete Poetical Works


■アナベル・リーかアナベル・リイか?

   「アナベル・リー」  福田 2014 巽 2012   齊藤 2002 松浦 2000 渡辺 1997
                加島 1997 亀井 1993 尾形 1987 沢崎 1969 島田 1965

   「アナベル・リイ」  中桐 1978 八木 1972, 1976 福永 1963, 1965, etc. 
                日夏 1959, 1995, etc.  阿部 1956

   「アナベル、リイ」  若目田 1922

   「アナベルリイ」   佐藤 1923

   「あなべる・りい」  くれなゐ 1904, 1996

   「アンナベル・リイ」 片上 1909, 1936, etc. 水谷 1924, 1991

ご覧のとおり、1970年代ごろまでは「アナベル・リイ」、それ以後は「アナベル・リー」と表記する例が多いようです。

ちなみに、大江健三郎氏が最新作のタイトルを『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』(新潮社 2007/11)となさったのは、なぜか?

私はこの本を未読なので、正確なことは存じません。が、新潮社のPR誌『波』2007年12月号に収録された 刊行記念インタビュー で、大江氏は日夏耿之介訳に言及しておられました。ですから、きっと日夏訳の表記にしたがったということなのでしょう。

この書名のせいで、世間一般が復古的に「アナベル・リイ」表記に揺り戻すかどうか? さあ、それは私には予想がつきません。


■そして、ポーか、ポオか、ポウか? エドガーかエドガアか?

ついでながら、ポウか、ポオか、ポーか、またエドガーかエドガアか、といった疑問があります。今日では、それぞれ「ポー」「エドガー」が標準でしょう。ためしに Google 検索でヒット数をくらべると、次のとおり(2008年3月12日現在)。

        "アラン・ポー" 約105,000件
        "アラン・ポオ"  約10,900件
        "アラン・ポウ"  約1,320件

   "エドガー・アラン・ポー"  約96,500件
   "エドガー・アラン・ポオ"  約8,270件
   "エドガー・アラン・ポウ"   約825件

   "エドガア・アラン・ポー"   約276件
   "エドガア・アラン・ポオ"  約2,380件
   "エドガア・アラン・ポウ"   約380件

        "E・A・ポー"  約3,400件
        "E・A・ポオ"  約1,400件
        "E・A・ポウ"   約427件

       "エドガー・ポー"  約5,640件
       "エドガー・ポオ"  約1,210件
       "エドガー・ポウ"    約50件

       "エドガア・ポー"    約6件
       "エドガア・ポオ"   約807件
       "エドガア・ポウ"    約6件

     "エドガー・A・ポー"  約1,380件
     "エドガー・A・ポオ"    約88件
     "エドガー・A・ポウ"   約355件

     "エドガア・A・ポー"    No hit
     "エドガア・A・ポオ"    約72件
     "エドガア・A・ポウ"    No hit

      "E・アラン・ポー"   約198件
      "E・アラン・ポオ"    約74件
      "E・アラン・ポウ"    約5件


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■更新履歴 Change log

  • 2015/03/08 ポエトリー・コミックの動画、I'm happy, hope you're happy too... による動画、およびベン・ウィショーによる朗読を追加しました。
  • 2015/01/08 巽孝之=訳の書誌情報を補足しました。
  • 2014/09/05 福田昇八=訳 2014/01/21、ハンガリー語訳、およびカタルーニャ語訳を追加しました。
  • 2014/02/15 片上伸=譯の書誌情報を修正・補足しました。また、これまでこの訳者名に「かたがみ・のびる」とルビを振っていたのは誤りでした。正しくは「かたがみ・のぶる」です。お詫びして訂正します。
  • 2013/09/23 Osman Tuğlu によるトルコ語訳を追加しました。
  • 2013/09/06 片上伸=譯の書誌情報を修正・補足しました。
  • 2013/08/16 佐藤一英=譯 1923/07/10 を追加しました。
  • 2013/08/03 韓国語訳を追加しました。
  • 2013/05/15 若目田武次=譯 1922/12/16 を追加しました。
  • 2013/04/05 成田一夫=譯 1936/09/15 を追加しました。
  • 2013/03/19 ウィキペディア=訳 2012/02/04 とポルトガル語訳を追加しました。
  • 2013/01/25 ブルガリア語訳を追加しました。
  • 2012/09/25 2種類のポーランド語訳とイタリア語訳を追加しました。
  • 2012/08/25 葉河憲吉=譯 1946/12/25 を追加しました。
  • 2012/07/10 ポーランド語訳と、ジョーン・バエズによる歌の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/05/02 マリアンヌ・フェイスフルによる朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2012/04/21 巽孝之=訳 2012/04/01 を追加しました。
  • 2012/02/05 松本一裕=訳 を追加しました。
  • 2011/09/20 マシュー・グレイ・ギュブラーによる朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2011/06/20 目次を新設しました。
  • 2011/02/11 トルコ語訳、ロシア語訳、オランダ語訳、および3種類のスペイン語訳を追加しました。
  • 2010/06/13 Robert Nichol  Audio Productions 制作による、もう1本の朗読ビデオの YouTube 画面を追加しました。
  • 2010/04/24 アレクサンドラ・イザベル・デ・ウィンター(ハンドル名: サンドラ)=訳 2005/01/03 を追加しました。また、これまで掲載していた Poem Animation Movie (Uploaded by poetryanimations, 2008-06-26 がユーザーによって削除されたので、代わりに Basil Rathbone による朗読の画面(音声のみ)に差し替えました。
  • 2009/12/18 中国語訳(簡体字)を2種類追加しました。また、加島祥造=訳 2009/06/15 を追加しました。この新訳のあることを教えてくださったK様、ありがとうございました。
  • 2009/11/08 チェコ語訳を追加しました。
  • 2009/08/25 もう一つの中國語譯(繁體字)を追加しました。
  • 2009/08/24 中國語譯(繁體字)、ポーのアニメーション動画、そして2つめのドイツ語訳を追加しました。
  • 2008/09/16 亀井俊介=訳 1993/03 を追加し、八木敏雄=訳 の書誌情報を補足しました。
  • 2008/08/27 片上伸=訳の書誌情報を補足修正し、訳例の配列を変更しました。
  • 2008/08/03 尾形敏彦=訳 1987/04 を追加しました。
  • 2008/07/02 水谷まさる=訳 1991/12 を追加しました。
  • 2008/04/04 島田謹二=訳 1965/05 を追加しました。
  • 2008/03/12 片上伸=訳 1972/08 を追加し、「そして、ポーか、ポオか、ポウか?」の項を加筆修正しました。
  • 2008/02/16 ドイツ語訳を挿入しました。
  • 2007/12/03 「アナベル・リーかアナベル・リイか?」の項、および「そして、ポーか、ポオか、ポウか?」の項を新設しました。
  • 2007/07/16 くれなゐ=譯 1996/06、1904/12 を追加しました。
  • 2007/06/12 福永武彦=訳の書誌情報を大幅に修正・補足しました。
  • 2007/02/06 中桐雅夫=訳 1978/09 を追加しました。
  • 2006/11/16 松浦暢=訳 2000/10 を追加しました。
  • 2006/11/08 tomokilog 関連記事の項を新設しました。
  • 2006/09/19 八木敏雄=訳 1976/10 を追加しました。
  • 2006/08/31 齊藤貴子=訳 2002/05 を追加しました。

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(1) エドガー・アラン・ポー

(2) エドガー・アラン・ポオ

(3) エドガア・アラン・ポオ

(4) アナベル・リイ

  

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Sunday, 20 August 2006

The Raven by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「カラス」「大がらす」「からす」「大烏」「大鴉」「鴉」

         目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
  Image   肖像と署名 Portrait and signature
 Video 1  The Raven (2015) directed by Thad Ciechanowski
 Video 2  Ask Lovecraft - The Raven
 Video 3  稀覯本 The Raven. Illustrated by Gustave Doré, 1884. 1st edition.
 Video 4  The Raven. Read by Chris Goringe
 Video 5  The Raven. Read by John De Lancie
 Video 6  The Raven. Directed by Steven Conley & John Dur
 Video 7  The Raven... Nevermore (1999) directed by Tinieblas González
■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
■韓国語訳 Translation into Korean
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 小川 2016 「大鴉」
  (J2) Magictrain.biz 2010 「大鴉」
  (J3) 加島 2009 「大鴉」
  (J4) 松本 2008 「カラス」
  (J5) 沢田 1997 「大がらす」
  (J6) 渡辺 1997 「大烏」
  (J7) 加島 1997 「大鴉」
  (J8) 安藤 1991 「大鴉」
  (J9) 尾形 1987 「大鴉」
  (J10) 中桐 1978 「大鴉」
  (J11) 沢崎 1969 「大がらす」
  (J12) 福永 1963, 1965, etc. 「鴉」
  (J13) 島田 1959 「鴉」
  (J14) 阿部 1956, 1967 「大鴉」
  (J15) 齋藤 1948 「からす」
  (J16) 日夏 1930, 1959, etc. 「大鴉」
  (J17) 佐藤 1923 「大鴉」
  (J18) 西條(/西条) 1920, 1967, etc. 「大鴉」
■トルコ語訳 Translations into Turkish
  (Tr1) Tuğlu, 2013
  (Tr2) Tamer
 Video 8  ハンガリー語版朗読 A Holló translated by Tóth Árpád
■ハンガリー語訳 Translations into Hungarian
  (Hu1) Árpád
  (Hu2) Mihály
 Video 9  ロシア語版朗読 Ворон translated by Валерий Яковлевич Брюсов
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
■ボスニア語訳 Translation into Bosnian
■スロバキア語訳 Translation into Slovak
■デンマーク語訳 Translation into Danish
 Video 10  ドイツ語版朗読 Der Rabe translated by Hans Wollschläger
 Video 11  ドイツ語版朗読 Der Rabe translated by Theodor Etzel
 Video 12  ドイツ語版朗読 Der Rabe translated by Hedwig Lachmann
■ドイツ語訳 Translations into German
  (D1) Wollschläger
  (D2) Etzel
  (D3) Lachmann
■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Ukrainian
 Video 13  フランス語版朗読 Le Corbeau translated by Maurice Rollinat
 Video 14  フランス語版朗読 Le Corbeau translated by Charles Baudelaire
■フランス語訳 Translations into French
  (F1) Hajji, 2004
  (F2) Rollinat, 1894, 1919, etc.
  (F3) Mallarmé, 1875, 1887, etc.
  (F4) Baudelaire, 1853, 1854, etc.
■オランダ語訳、スペイン語訳、ポルトガル語訳、イタリア語訳、スウェーデン語訳、
 フィンランド語訳、およびラテン語訳
 Translations into Dutch, Spanish, Portuguese, Italian, Swedish, Finnish, and Latin
 Video 15  クリストファー・ウォーケン朗読 Christopher Walken reads
 Video 16  ジェームズ・アール・ジョーンズ朗読 James Earl Jones reads (1990)
 Video 17  ヴィンセント・プライス出演 Vincent Price performs
 Video 18  オーディオブックスMP3朗読 AudiobooksMP3 presents
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title in Japanese
 Video 19  ウーリー・ロメル『大鴉』 The Raven (2006) directed by Ulli Lommel
 Video 20  P・ブラッドリー『大鴉』 The Raven (2003) directed by Peter Bradley
 Video 21  ティム・バートン『ヴィンセント』 Vincent (1982) directed by Tim Burton
 Video 22  ポー原作の映像化作品いろいろ Edgar Allan Poe Filmography
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■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

「大ガラス」はエドガー・アラン・ポーの書いた詩のうち、おそらく最も有名なもの。英詩の歴史においても、とくに知られた作品といっていい。下に引用するとおり、邦訳も多数ある。


  Image   肖像と署名 Portrait and signature
Edgar_allan_poe
Image source: Globusz.com


 Video 1 
The Raven (2015) directed by Thad Ciechanowski

Edgar Allan Poe's The Raven from PoeMovies on Vimeo.


 Video 2 
Ask Lovecraft - The Raven

Uploaded to YouTube by Leeman Kessler on 19 Jan 2014, the 205th birthday of Edgar Allan Poe.


 Video 3 
稀覯本 The Raven. Illustrated by Gustave Doré. 1st edition.

エドガー・アラン・ポーの詩にギュスターヴ・ドレが27点の挿絵を添えた豪華本『大鴉』。ハーパー&ブラザーズ社、1884年。初版。価格120,000円。詳細は天牛書店サイト。 Uploaded to YouTube by tengyuantik on 27 Dec 2012. The Raven by Edgar Allan Poe, illustrated by Gustave Doré. Harper & Brothers, 1884. 1st edition. Price: JPY120,000. More info at Tengyu Shoten, Osaka.


 Video 4 
The Raven. Read by Chris Goringe

Uploaded to YouTube by CCPoems on Oct 11, 2011. Audio courtesy of Librivox.


 Video 5 
The Raven. Read by John De Lancie

Uploaded to YouTube by qmxonline on 28 Oct 2010.


 Video 6 
The Raven. Directed by Steven Conley & John Dur.

Uploaded to YouTube by Taletube1 on Nov 23, 2009


 Video 7 
The Raven... Nevermore (1999) directed by Tinieblas González. Part 1

監督: ティニエブラス・ゴンザレス 出演: ゲイリー・ピケル、サヴィトリ・セバイオス Uploaded to YouTube by LolaBukowski on 11 Sep 2007. Directed by Tinieblas González. Starring Gary Piquer, Savitri Ceballos.


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

从前一个阴郁的子夜,我独自沉思,慵懒疲竭, 
沉思许多古怪而离奇、早已被人遗忘的传闻—— 
当我开始打盹,几乎入睡,突然传来一阵轻擂, 
仿佛有人在轻轻叩击,轻轻叩击我的房门。 
“有人来了,”我轻声嘟喃,“正在叩击我的房门—— 
唯此而已,别无他般。”

   爱伦·坡 《乌鸦》
   E-text at 月光軟件 (moon-soft.com)


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

從前一個陰郁的子夜,我獨自沉思,慵懶疲竭,
沉思許多古怪而离奇、早已被人遺忘的傳聞——
當我開始打盹,几乎入睡,突然傳來一陣輕擂,
仿佛有人在輕輕叩擊,輕輕叩擊我的房門。
“有人來了,”我輕聲嘟喃,“正在叩擊我的房門——
唯此而已,別無他般。”

   愛倫・坡 《烏鴉》
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


■韓国語訳 Translation into Korean

언젠가 쓸쓸한 한밤중 내가 피로와 슬픔에 젖어
잊혀진 전설의, 기묘하고 신비로운 얘기책을 떠올리다가
선잠이 들어 머릴 꾸벅일 때 갑자기 들려왔지. 문 두드리는 소리가-.
누군가 살며시 나의 방문을 두드리는 소리.
"누가 왔나 봐"난 혼자 중얼거렸지. "방문을 두드리기만 하며
딴 짓은 않고"

   에드거 앨런 포 갈가마귀
   E-text at 서울대학교 커뮤니티 (community.snu.ac.kr)


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小川 2016
とある寂しい真夜中に、遠い昔のあまたの奇書を
もの思いつつ、読み疲れ——
眠りかけて、こくりと首を垂れていると、ことりと静かな音がして
そうっと誰かが来たような、戸をたたいたような音だった
「客だろう」私は口に出していた。「ことりと戸をたたく人がいる——
    それだけのことだ、ほかにない」(以下略)


(J2) Magictrain.biz 2010
独りきりの深夜のこと、私は、考え込んで、弱り疲れて、
忘れ去られたたくさんの奇妙で物珍しい伝承の本ゆえに
眠りに近く、まどろむ頃合、不意に何かが来て叩いている
何者かが優しくこつこつと、私の部屋の扉をこつこつと叩いている。
「来客がいるのか」私は呟いた。「部屋の扉がこつこつと叩かれている
それだけのことか、nothing more(他には何もない)。」(以下略)


(J3) 加島 2009
あれは嵐の吹き荒れる夜のことだった
それも真夜中だ。
悲しさにぐったりした気持で
もう世に忘れられた古い怪奇な物語を
読んでいた。ふと、うとうと
睡りはじめた。と、とつぜん
こつ、こつ、こつ、まるで誰かがドアをそっと
叩くような音。
「誰かが訪ねてきて
ドアをノックしているんだ」とぼくは呟いた。
「ただそれだけだ、なあんでもないのさ」(以下略)


(J4) 松本 2008
 うらさみしい真夜中のこと とおい昔の言い伝えをあつめた
めずらしい本をいろいろ読みふけり あたまがつかれて
 うとうとしはじめたころ ふと こつこつと
 だれかがそっと わたしの部屋のドアをたたくような 音がした
「だれかお客が」とわたしがつぶやいた「ドアをたたいている——
     それだけのこと ほかにはありえない」(以下略)


(J5) 沢田 1997
ものさびしい真夜中、わたしはすっかり疲れ、深く思いに沈んでいた。
忘れられた伝説の不思議な本を読みながら。
うとうととまどろんでいると、突然コツコツという音。
だれかがそっとわたしの部屋の扉をたたいたのだ。
「どなたですか」とわたしはつぶやいた、「わたしの部屋の扉をたたくのは?」
            しかしそれきり、何の音もない。(以下略)


(J6) 渡辺 1997
ある わびしい夜のこと わたしが 心弱く疲れて
忘れ去られた物語 風変わりで興味深い書物に 思いをめぐらしているときに——
わたしがうつらうつらと ほとんど居眠りしていた そのときに 突然 こつこつと
 いう音がした
まるで だれかが優しくドアを叩くよう わたしの部屋のドアを優しく叩くようだった
「だれか訪ねてきて」わたしが呟く「わたしの部屋のドアを優しく叩いている——
                   それだけだ、それ以上ではない」(以下略)


(J7) 加島 1997
ある嵐もようの夜、それも陰気な真夜中のこと、
  私はひとりぐったりとした気分で
もう忘れられた古い不思議な物語の数々を読んでいて——
思わずうとうとと睡りはじめた、と、とつぜん
  こつ、こつ、こつ、という音
まるで誰かがこの部屋のドアを、
  そっと叩くかのよう——
〝誰かが訪ねてきて〟と私はつぶやいた
  〝部屋のドアを叩いているのだ——
     ただそれだけのこと、なんでもない〟(以下略)


(J8) 安藤 1991
かつてもの寂しい真夜中のこと 身も心も疲れ果て 忘れられた学問の
古風で奇妙な書物を読みながら 物思いに耽っていたとき——
うつらうつら眠りかけていると 突然聞こえてきたのはこつこつという音
だれかがやさしく 部屋の扉をこつこつこつこつと叩いているような——
わたしは呟いた 「たれか客人にちがいない 部屋の扉を叩いているのは——
            ただそれだけだ ほかにない」(以下略)


(J9) 尾形 1987
むかし わびしい真夜中に 疲れはて
かずかずの古書を開いて思いに耽り
まどろむとき ふときこえる 戸を軽く打つ音。
そっと——部屋の戸を叩く音——
「客か」 わたしはつぶやいた 「戸を打つのは——
    その音のほか なにもない」(以下略)

  • E・A・ポー=作 尾形敏彦=訳 「大鴉」 尾形敏彦=著 『詩人E・A・ポー』 山口書店 1987/04

(J10) 中桐 1978
昔のことだ、物寂しい真夜中に力尽き疲れ果て、
人も忘れた古い不思議な学問の書物のことを考えて、
こっくり転寝(うたたね)しかけた時、不意にこつこつたたく音、
だれかが部屋のドアを静かに軽くたたいているよう。
私は呟いた、「ああ、客が部屋のドアをたたいている——
          それだけだ、それだけのことだ」(以下略)


(J11) 沢崎 1969
あるうらさびれた夜半のこと、心弱り倦みはて、
忘れられた学問の奇怪な不思議な書物の数々に読み耽ける折——
いまにもまどろまんばかりに首を垂れた折、ふいにこつこつと、
何者かが部屋の扉をそって叩くように、こつこつと叩くのが聞えた。
「客人らしい」 わたしは呟いた。「部屋の扉を叩くのは。
         それだけのこと、ほかのことではない」(以下略)


(J12) 福永 1963, 1965, etc.
嘗てもの寂しい真夜中に、人の忘れた古い科学を書きしるした、
数々の珍しい書物の上に眼を通し、心も弱く疲れはてて——
思はずもうとうととまどろみかけたその時に、ふと、こつこつと叩く音、
誰やらがそつとノックする音のやう、私の部屋の戸をひびかせて。
『ああ客か、』私は呟いた、『私の部屋の戸を叩くのは——
     ただそれだけのこと、ほかにはない。』(以下略)


(J13) 島田 1959
あるひと夜、荒涼たる真夜中(まよなか)のこと、
 力なく疲れ心地にうつらうつら、
忘られし学問のいにしえの奇(く)しき書(ふみ)の上(え)、
 わが思い鎮めいし時、——
うとうととまどろみかけつ、うなずきて眠りいし時、
 ほとほととにわかに軽く叩く音——
わが部屋のドアうち叩く、
 ほとほとと誰(た)そやしずかに敲(たた)く音。
われ呟きぬ——「こは客人(まろうど)のわが部屋のドアをうつ音。
   ただその音のみぞ、ただその音のみぞ。」(以下略)

  • エドガー・アラン・ポオ=作 島田謹二=訳 「詩集 鴉 その他の詩集」 福田陸太郎(ふくだ・りくたろう)=訳者代表 『世界名詩集大成11 アメリカ篇』 平凡社 1959/05

(J14) 阿部 1956, 1967
むかし凄凉の夜半のこと、私がやつれ疲れて、すでに人の忘れた學問の
おかしな珍奇な書物をあまた開いて、思いに耽つていたとき——
まるでうたたねでもするかのように、私が微睡(まどろ)んでいたとき、ほとほとと音が聞えた。
誰かがそつと私の部屋の戸をこつこつと——叩いてでもいるかのように。
「誰だろう、」私は呟いた、「私の部屋の戸を叩いている——
    それだけだ、何でもない。」(以下略)

  • ポー/ポオ=作 阿部保(あべ・たもつ)=訳 「大鴉」
    1. ポオ詩集』 世界の詩47 彌生書房 1967/07
    2. ポー詩集』 (表紙とカバー折返しは「ポー」、扉と奥付は「ポオ」) 新潮文庫 1956/11

(J15) 齋藤 1948
あるうら寂しい眞夜中、くたびれ果てた私は、
忘れられた物語の奇妙な本をあれこれと見入つて居ると、
居ねむりかけて舟漕ぎを初めてゐると、急にタツ、タツ、タツ、タツと、
誰か、靜かに叩くやうな 戸を叩くやうな音が聞えた。
「お客樣が、」私は獨言を云つた、「部屋の戸を叩くのだな 唯それ丈け、それ丈けなのだ」
(以下略)

  • エドガア・アラン・ポー=作 齋藤博(さいとう・ひろし)=譯 「からす」 『譯詩集 移植林』 讀書展望社 1948/02/15
  • 上の作者名表記は目次に拠ります。本文ページでの表記は「エドガー・アラン・ポウ」。急・戸・丈の旧字はそれぞれ新字で置き換えました。

(J16) 日夏 1930, 1959, etc.
むかし凄凉の夜半(よは)なりけり いたづきみつれ默座しつも
忘卻の古學の蠹卷(ふみ)の奇古なるを繁(しじ)に披(ひら)きて
黄奶(くわうねい)のおろねぶりしつ交睫(まどろ)めば 忽然(こちねん)と叩叩(こうこう)のおとなひあり。
この房室(へや)の扉(と)をほとほとと ひとありて剥啄(はくたく)の聲あるごとく。
儂(われ)呟(つぶや)きぬ「賓旅(まれびと)のこの房室(へや)の扉(と)をほとほとと叩けるのみぞ。
   さは然(さ)のみ あだごとならじ。」(以下略)


(J17) 佐藤 1923
或物寥い夜半のこと、疲れ心地に思ひをひそめる、忘れられた昔の奇妙な數々の書物の中に——<br />
うとうととやがて眠りに入らうとすると忽ち響く、
扉(ドア)をうつ、部屋のドアを輕くうつ誰かのおとなひ、
(誰であらうか)ひとりつぶやく(部屋のドアうつ輕い音——輕い音の外はない、)


(J18) 西條(/西条)1920, 1967, etc.
わびしき夜更(よふ)け、われ弱(よは)くくたびれごこち、
忘(わす)られし教(おしへ)の奇(く)しき卷々(まき/\)に、
こころ濳(ひそ)めつ、いつとなく、うつらうつらと睡(ねぶ)るとき、
にはかにかろく敲(たゝ)くおと、
誰(たれ)びとか、いとひそやかに打(う)つごとく、
わが室(へや)の扉(と)を、ほとほとと、
「こは賓人(まらうど)」と呟(つぶや)きぬ、「わが室(へや)の扉(と)を
 ひたうつは」——
 音(おと)のみ、かくて影(かげ)はなし。(以下略)


■トルコ語訳 Translations into Turkish

(Tr1) Tuğlu, 2013
Bir vakitler bir gece yarısı sıkkın, kafa yoruyorken, yorgun argın,
Unutulmuş eski ilimlerin garip ve acayip kitap ciltleri üzerine ben-
Kestiriyordum, tam dalacağım esnada, ani bir tıkırtı geldi öteden,
Odamın kapısını kibarca birisi vuruyor, vuruyordu sanki tak tak.
'Bu', diye söylendim, 'odamın kapısını tıklatılıp duran bir konuk,
Sadece bu, başka bir şey yok.' [Omission]

   The Raven Edgar Allan Poe
   Translated by Osman Tuğlu
   E-text at Antoloji.Com


(Tr2) Tamer
Ortasında bir gecenin, düşünürken yorgun, bitkin
O acayip kitapları, gün geçtikçe unutulan,
Neredeyse uyuklarken, bir tıkırtı geldi birden,
Çekingen biriydi sanki usulca kapıyı çalan;
"Bir ziyaretçidir" dedim, "oda kapısını çalan,
           Başka kim gelir bu zaman?" [Omission]

   Kuzgun by Edgar Allan Poe
   Translation by Ülkü TAMER
   E-text at Şiir Ana Sayfa (www.siir.gen.tr)


 Video 8 
ハンガリー語版朗読 A Holló translated by Tóth Árpád

Uploaded to YouTube by 77Littleflower on 11 Dec 2012.


■ハンガリー語訳 Translations into Hungarian

(Hu1) Árpád
Egyszer egy bús éjféltájon, míg borongtam zsongva, fájón
S furcsa könyvek altatgattak, holt mesékbõl vén bazár,
Lankadt fõm már le-ledobbant, mikor ím valami koppant,
Künn az ajtón mintha roppant halkan roppanna a zár,
"Vendég lesz az", így tûnõdtem, "azért roppan künn a zár,
Az lesz, más ki lenne már?" [Omission]

   A Holló by Edgar Allan Poe
   Translated by Tóth Árpád
   E-text at Elektronikus Periodika Archívum és Adatbázis (EPA)


(Hu2) Mihály
Egyszer - únt éjfél közelgett - bóbiskoltam elfelejtett
Tudományok furcsa könyvén, ellankadva terhesen,
Fejem csügge... egyre jobban... s im egyszerre ajtóm roppan,
Mintha egy kéz félve koppan - dobban ajtóm csöndesen.
S szóltam: "Éji vendég toppan küszöbömre csöndesen:
- Az lehet, más semmisem." [Omission]

   A holló by Edgar Allan Poe
   Translated by Babits Mihály
   E-text at MEK (Magyar Elektronikus Könyvtár) (mek.oszk.hu)


 Video 9 
『大鴉』 ロシア語訳の朗読(ワレリー・ブリューソフ訳)
Ворон: Audiobook in Russian translation

Uploaded to YouTube by derasier 23 Feb 2010. Translated by Valery Bryusov.


■ロシア語訳 Translation into Russian

Как-то в полночь, в час унылый, я вникал, устав, без силы,
Меж томов старинных, в строки рассужденья одного
По отвергнутой науке и расслышал смутно звуки,
Вдруг у двери словно стуки - стук у входа моего.
"Это - гость,- пробормотал я,- там, у входа моего,
Гость, - и больше ничего!"

   Эдгар Аллан По. Ворон
   Translation by Валерий Яковлевич Брюсов (Valery Bryusov)
   E-text at Cordula's Web


■ウクライナ語訳 Translation into Ukrainian

Якось опівночі, в годину похмурий, повний обтяжливою думою,
Над старовинними томами я схилявся в напівсні,
Мріям дивним віддавався, – раптом неясний звук пролунав,
Ніби хтось постукав – постукав у двері до мене.
“Це, правда, – прошепотів я, – гість в опівнічний тиші,
Гість стукає у двері до мене “.

   Едгар Аллан По. Ворон
   E-text at w3 Hardware


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

В късна нощ — преди години — сам над книгите старинни,
безотраден, вниквах, жаден, в знания незнайни тук; —
скръбен, търсех без сполука мир във тайната наука —
но оборен в сънна скука, чух внезапно бавен звук.
„Някой гост навярно чука — казах, вслушан в тихий звук. —
Някой гост — и никой друг!“

   Едгар Алън По. Гарванът
   E-text at Моята библиотека (chitanka.info)


■ボスニア語訳 Translation into Bosnian

Jednom jedne strašne noći, ja razmišljah u samoći,
Čitah crne, prašne knjige, koje staro znanje skriše;
Dok sam u san skoro pao, netko mi je zakucao,
Na vrata mi zakucao - zakucao tiho - tiše -
"To je putnik" ja promrmljah, "koji bježi ispred kiše",
Samo to i ništa više.

   Gavran by Edgar Allan Poe
   E-text at Gavran (Edgar Allan Poe) - Wikipedia


■スロバキア語訳 Translation into Slovak

Bola polnoc – čas zlý, krutý – a ja slabý pochudnutý
Študoval som staré spisy v hrubých zväzkoch zviazané.
Sadal na mňa opar driemot, odo dvier však zaznel klepot,
tichý klepot z nočných temnôt, tajuplné ťukanie.
„Nejaký hosť,“ snažil som sa vysvetliť to ťukanie,
„iba hosť, a nič viac nie.

   Havran by Edgar Allan Poe
   E-text at Chomikuj.pl


■デンマーク語訳 Translation into Danish

I en midnat mørk og øde, da med øjne matte, røde
træt jeg gransked folianter om en fortids karakter,
mens jeg blunded, træt i tanken, lød der pludselig en banken
på min dør, et slag mod planken, som en gæst der ankom her.
Det er blot en gæst, der banker. Det er bare det, der sker.
Dette kun, og intet mer.  [Omission]

   Ravnen by Edgar Allan Poe
   Translation by Arne Herløv Petersen
   Copyright © 1995 Arne Herløv Petersen for oversættelsen
   E-text at herlov.dk


 Video 10 
ドイツ語版朗読(ハンス・ヴォルシュレガー訳)
Der Rabe translated by Hans Wollschläger

Uploaded to YouTube by 9Volt1987 on 21 Oct 2008.


 Video 11 
ドイツ語版朗読(テオドール・エッツェル訳)
Der Rabe translated by Theodor Etzel

Uploaded to YouTube by CCPoems on 8 Oct 2011.


 Video 12 
ドイツ語版朗読(ヘートヴィヒ・ラックマン訳)
Der Rabe translated by Hedwig Lachmann

Uploaded to YouTube by derasier on 19 Feb 2010.


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1) Wollschläger
Einst, um eine Mittnacht graulich, da ich trübe sann und traulich
müde über manchem alten Folio lang vergess'ner Lehr' -
da der Schlaf schon kam gekrochen, scholl auf einmal leis ein Pochen,
gleichwie wenn ein Fingerknochen pochte, von der Türe her.
"'s ist Besuch wohl", murrt' ich, "was da pocht so knöchern zu mir her -
das allein - nichts weiter mehr."

   Der Rabe by Edgar Allan Poe
   Translated by Hans Wollschläger
   Reprinted in Ulrich Greiners Lyrikverführer by Ulrich Greiner
   Preview at Google Books
   E-text at Cordula's Web


(D2) Etzel
Einst in dunkler Mitternachtsstunde,
Als ich in entschwundender Runde
Wunderlicher Bücher forschte,
Bis mein Geist die Kraft verlor
Und mir's trübe ward im Kopfe,
Kam mir's plötzlich vor, als klopfe
Jemand leis ans Tor, als klopfe -
Klopfe jemand sacht ans Tor.
"Irgendein Besucher", dacht' ich,
"Pocht zur Nachtzeit noch ans Tor -
Weiter nichts - so kommt mir's vor."

   Der Rabe by Edgar Allan Poe
   Translated by Theodor Etzel
   E-text at McSquirrel's Homepage


(D3) Lachmann
Eines Nachts aus gelben Blättern mit verblichnen Runenlettern
Tote Mähren suchend, sammelnd, von des Zeitenmeers Gestaden,
Müde in die Zeilen blickend und zuletzt im Schlafe nickend,
Hört’ ich plötzlich leise klopfen, leise doch vernehmlich klopfen
Und fuhr auf erschrocken stammelnd: „Einer von den Kameraden,“
                    „Einer von den Kameraden!“

   Der Rabe by Edgar Allan Poe
   Translated by Hedwig Lachmann
   E-text at Wikisource


■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan

Temps ha, una nit desolada, feble, cansat, l’oblidada
saviesa meditava d’uns llibres rars, primicers,
i quan la son m’abaltia, em va semblar que sentia
un truc suau que colpia al portal del meu recés.
«Serà algú», vaig dir, «que truca al portal del meu recés-
                       tan sols deu ser això i res més.»

   El corb by Edgar Allan Poe
   E-text at El teixit contra la barbàrie [PDF]


 Video 13 
『大鴉』 フランス語訳の朗読(モーリス・ロニナ訳)
Le Corbeau: Audiobook of French translation

Uploaded to YouTube by Gilles-Claude Thériault on 14 Aug 2012. Translated by Maurice Rollinat.


 Video 14 
『大鴉』 フランス語訳の朗読(シャルル・ボードレール訳)
Le Corbeau: Audiobook of French translation

Uploaded to YouTube by Cécile Gatina on 28 Dec 2011. Translated by Charles Baudelaire. Read by Cécile Belluard.


■フランス語訳 Translations into French

(F1) Hajji, 2004
Triste fatalité, minuit juste sonnait.
Distrait dans mes idées, éreinté et vanné;
Je dodinais la tête, à moitié assoupi,
Et ne pensais à rien, l'esprit lassé de tout.
Accablé de soucis, de hantise émoussé,
Je lisais un précis d'une science dépassée,
Puis, tombant de fatigue, fourbu et harassé,
j'ai déposé mon livre, oubliant presque tout.
C'est quelqu'un qui tapote la porte de ma chambre,
C'est quelque visiteur ne sachant pas du tout
où se rendre à cette heure, qui tape et puis c'est tout. [Omission]

   Le Corbeau by Edgar Allan Poe
   Translated by Raouf Hajji, 2004-06-10
   E-text at Cordula's Web


(F2) Rollinat, 1894, 1919, etc.
Vers le sombre minuit, tandis que fatigué
J’étais à méditer sur maint volume rare
Pour tout autre que moi dans l’oubli relégué,
Pendant que je plongeais dans un rêve bizarre,
Il se fit tout à coup comme un tapotement
De quelqu’un qui viendrait frapper tout doucement
Chez moi. Je dis alors, bâillant, d’une voix morte :
« C’est quelque visiteur – oui – qui frappe à ma porte :
C’est cela seul et rien de plus ! » [Omission]

   Le Corbeau by Edgar Allan Poe
   Translation into French by Maurice Rollinat
   E-text at Wikisource


(F3) Mallarmé, 1875, 1887, etc.
Une fois, par un minuit lugubre, tandis que je m’appesantissais, faible et fatigué, sur maint curieux et bigarre volume de savoir oublié - tandis que je dodelinais la tête, somnolant presque : soudain se fit un heurt, comme de quelqu’un frappant doucement, frappant à la porte de ma chambre - cela seul et rien de plus. [Omission]


(F4) Baudelaire, 1853, 1854, etc.
Une fois, sur le minuit lugubre, pendant que je méditais, faible et fatigué, sur maint précieux et curieux volume d’une doctrine oubliée, pendant que je donnais de la tête, presque assoupi, soudain il se fit un tapotement, comme de quelqu’un frappant doucement, frappant à la porte de ma chambre. « C’est quelque visiteur, – murmurai-je, – qui frappe à la porte de ma chambre ; ce n’est que cela et rien de plus. » [Omission]


■オランダ語訳、スペイン語訳、ポルトガル語訳、イタリア語訳、スウェーデン語訳、
 フィンランド語訳、およびラテン語訳への翻訳
 Translations into Dutch, Spanish, Portuguese, Italian, Swedish, Finnish, and Latin

上記各言語への翻訳は、Cordula's Web で読むことができます。
Translations into the above languages can be viewed at Cordula's Web


 Video 15 
クリストファー・ウォーケン朗読 ギュスターヴ・ドレ挿絵 『大鴉』
The Raven. Read by Christopher Walken, Illustrations by Gustave Doré

Uploaded to YouTube by quebeckromeovictor on Mar 13, 2010. Closed on Account of Rabies: Poems and Tales of Edgar Allan Poe [Compilation] A 2-CD set (released 1997-12-09) which includes Christopher Walken's reading above


 Video 16 
アニメ 『シンプソンズ』 (1990) 「大鴉」の登場するエピソード(音声のみ)
ジェームズ・アール・ジョーンズによる朗読が含まれている
Treehouse of Horror (1990) - Simpsons (sound only)
featuring James Earl Jones reading The Raven

Original airdate: 1990-10-25. Uploaded to YouTube by Agaliarept777 on Jun 27, 2011. More info at:
* Treehouse of Horror episode capsule - The Simpsons Archive
* Treehouse of Horror - Wikipedia


 Video 17 
ヴィンセント・プライス出演 ジョニー・トンプソン演出 『大鴉』
The Raven. Performed by Vincent Price Directed by Johnny Thompson

英語音声 ポルトガル語字幕 Uploaded to YouTube by lipecostenaro on Jun 5, 2010. Sound in English. Subtitles in Portuguese


 Video 18 
オーディオブックスMP3朗読『大鴉』 The Raven presented by AudiobooksMP3

Uploaded to YouTube by AudiobooksMP3 on Sep 2, 2009


■英語原文 The original text in English

Once upon a midnight dreary, while I pondered, weak and weary,
Over many a quaint and curious volume of forgotten lore,
While I nodded, nearly napping, suddenly there came a tapping,
As of some one gently rapping, rapping at my chamber door.
"'T is some visiter," I muttered, "tapping at my chamber door--
                         Only this, and nothing more."


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

  • 「からす」………齋藤 1948
  • 「カラス」………松本 2008
  • 「大がらす」……沢田 1997
            沢崎 1969
  • 「大烏」…………渡辺 1997
  • 「大鴉」…………Magictrain.biz 2010
            加島 1997, 2009
            安藤 1991
            尾形 1987
            中桐 1978
            阿部 1956, 1967
            日夏 1930, 1949, 1959, 1995, 2004, etc.
            佐藤 1923
            西條 1920, 1967, 1982, 1995
  • 「鴉」……………福永 1963, 1965, 1979, 1987
            島田 1959

 Video 19 
ウーリー・ロメル監督のオリジナルビデオ作品 『大鴉』 (2006) 予告篇
The Raven (2006) directed by Ulli Lommel: Trailer

Uploaded to YouTube by flashbackent on May 18, 2008. Edgar Allan Poe: The Raven - Flashback Entertainment


 Video 20 
ピーター・ブラッドリー監督 『大鴉』 (2003) The Raven (2003) directed by Peter Bradley

出演: ジェニー・ガイ。 Uploaded to YouTube by trilobitepictures on 27 Jan 2013. Starring Jenny Guy, Louis Morabito.


 Video 21 
ティム・バートン監督 『ヴィンセント』 (1982)
Vincent (1982) directed by Tim Burton

監督: ティム・バートン、声: ヴィンセント・プライス。この短篇アニメの日本語による紹介は、たとえばここにあります。 Uploaded to YouTube by petrover on 30 Apr 2006. Written and Directed by Tim Burton. Starring Vincent Price.


 Video 22 
ポー原作の映像化作品いろいろ Edgar Allan Poe Filmography

Uploaded to YouTube by MoviePosterMM on Mar 9, 2012.


■外部リンク External links


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■更新履歴 Change log

  • 2016/05/15 「はじめに」の項を新設しました。また、小川高義=訳 2016/05/20 を追加しました。
  • 2016/02/25 Thad Ciechanowski による2015年の短篇映画を追加し、プライベート映像に指定変更されていた Pearls of Wisdom による朗読を削除しました。
  • 2014/01/22 Ask Lovecraft - The Raven の YouTube 動画を追加しました。また、外部リンクの項を新設しました。
  • 2013/09/28 ボスニア語訳を追加しました。
  • 2013/09/23 Osman Tuğlu によるトルコ語訳を追加しました。
  • 2013/08/16 佐藤一英=譯 1923/07/10 を追加しました。
  • 2013/05/23 齋藤博=譯 1948/02/15 を追加しました。
  • 2013/04/01 ピーター・ブラッドリー監督 『大鴉』 (2003) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/03/31 もう1種類のハンガリー語訳、ロシア語訳、および3種類のドイツ語訳を追加しました。また、つぎの8本の YouTube 画面も追加しました。
    1. ギュスターヴ・ドレ挿絵の豪華本『大鴉』初版 (1884) の紹介ビデオ
    2. ジョン・デ・ランシーによる朗読
    3. ハンガリー語版の朗読
    4. ロシア語版の朗読
    5. フランス語版の朗読(モーリス・ロリナ訳)
    6. ドイツ語版の朗読(ハンス・ヴォルシュレガー訳)
    7. ドイツ語版の朗読(テオドール・エッツェル訳)
    8. ドイツ語版の朗読(ヘートヴィヒ・ラックマン訳)
  • 2013/03/17 韓国語訳、ハンガリー語訳、およびブルガリア語訳を追加し、日夏耿之介=譯の書誌情報を補足しました。
  • 2013/03/15 The Raven... Nevermore (1999) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/03/08 スロバキア語訳を追加しました。
  • 2013/02/27 短篇アニメ Vincent (1982) の YouTube 動画を追加しました。また、ページを整理するため、トルコ語訳、ウクライナ語訳、デンマーク語訳、カタルーニャ語訳および Raouf Hajji によるフランス語訳を追加し、Fernando Pessoa によるポルトガル語訳を削除しました。
  • 2012/08/16 フランス語版朗読の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/07/27 Pearls of Wisdom による朗読の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/07/16 オーディオブックスMP3による朗読の YouTube 動画を追加しました。
  • 2012/04/23 Magictrain.biz=訳 2010-05-23 を追加しました。
  • 2012/02/05 松本一裕=訳 2008/12/10 を追加しました。
  • 2011/11/19 CCPoems による朗読の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/12/12 Edgar Allan Poe Filmography の YouTube 動画を追加しました。また、目次を新設しました。
  • 2010/04/24 Steven Conley & John Dur の両監督によるアニメ版 The Raven の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/04/11 クリストファー・ウォーケン朗読の YouTube 動画をテキストのみ表示のものから、ギュスータヴ・ドレによるイラスト付きのものに差し替えました。また、つぎの3本の YouTube 動画を追加しました。ただし、1. は音声のみ。
      1. アニメ 『シンプソンズ』(ジェームズ・アール・ジョーンズの朗読)
      2. ヴインセント・プライス出演 『大鴉』
      3. ウーリー・ロメル監督のオリジナルビデオ 『大鴉』 (2006) 予告篇
  • 2009/12/18 加島祥造=訳 2009/06/15 を追加しました。この新訳のことを教えてくださったK様、ありがとうございました。
  • 2009/09/23 俳優クリストファー・ウォーケンによる朗読のYouTube動画を追加しました。
  • 2009/08/25 中國語譯(繁體字)と Rollinat によるフランス語訳を追加しました。
  • 2008/08/01 尾形敏彦=訳 1987/04 を追加しました。
  • 2007/08/28 沢田京子=訳 1997/11、安藤邦男=訳 1991/07、および Baudelaire によるフランス語訳を追加しました。また、「その他の言語への翻訳」の項を新設しました。さらに、検索精度の向上にすこしは役立つかと思い、この記事のタイトルに異題「大がらす」「鴉」を追加しました。
  • 2007/06/12 西條八十=訳の典拠を、白凰社 新装版 1982/02 から『白孔雀』初版 1920/01 に変更しました。また、これまで掲載しておりました、その本文に写しまちがいがありましたので、訂正しました。
  • 2007/06/11 福永武彦=訳および西條八十=訳の書誌情報を、大幅に修正・補足しました。
  • 2007/05/30 日夏耿之介=訳の書誌情報を、大幅に修正・補足しました。
  • 2007/04/20 島田謹二=訳 1959/05 を追加しました。
  • 2007/02/06 中桐雅夫=訳 1978/09 を追加しました。また、「邦題の異同」の項、および「tomokilog 関連記事」の項を新設しました。
  • 2006/09/23 日夏耿之介=譯へのリンクを追加しました。


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Tuesday, 30 May 2006

The Purloined Letter by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「盗まれた手紙」「盗難書類」

          目次 Table of Contents

 Image gallery  表紙画像 Cover photos
■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
 Audio 1  日本語版オーディオブック Audiobook in Japanese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 巽 2009
  (J2) 堀内 2001
  (J3) 富士川 1989, 1992
  (J4) 松村+繁尾 1987, 2010
  (J5) 谷崎 1985
  (J6) 小鷹 1984
  (J7) 深町 1984
  (J8) 岡上 1984
  (J9) 中野 1978
  (J10) 志貴 1978
  (J11) 砧 1975
  (J12) 丸谷 1974
  (J13) 八木 1974
  (J14) 小川 1968, 1973
  (J15) 大橋 1966
  (J16) 田桐 1964
  (J17) 松村 1962
  (J18) 谷崎 1962, 1969, etc.
  (J19) 鈴木 1961
  (J20) 佐々木 1951, 2004
  (J21) ダイジエスト・シリーズ刊行會 1950
  (J22) 山本 1934
  (J23) 谷崎 1929
  (J24) 江戸川 1929
  (J25) 森田 1896, 1996
 Audio 2  ロシア語版オーディオブック Audiobook in Russian
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
 Audio 3  ドイツ語版オーディオブック Audiobook in German
■ドイツ語訳 Translation into German
 Audio 4  イタリア語版のドラマ仕立ての朗読 Dramatic reading in Italian
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
 Audio 5  スペイン語版オーディオブック Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translations into Spanish
  (Es1) La editorial Planeta, 2013
  (Es2) Cortázar, 1970
  (Es3)
 Audio 6  フランス語版オーディオブック Audiobook in French read by Ka00
 Audio 7  フランス語版オーディオブック Audiobook in French
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 8  英語原文のオーディオブック Audiobook of the original English text
 Audio 9  ラジオドラマ Radio drama: The Watson Files Episode 17
■英語原文 The original text in English
■邦題の異同 Variations of the title in Japanese
■tomokilog 関連記事 Related articles from tomokilog:
■更新履歴 Change log


 Image gallery 
表紙画像 Cover photos

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pt Pt_a_carta_roubada__9789722339483 es Es_la_carta_robada_9788485876334 fr Fr_9782725603377

[ko] ISBN : 9788955615661 도둑맞은 편지 (바벨의 도서관) 韓国語
[ja] ISBN : 9784336025661 盗まれた手紙 (バベルの図書館) 日本語
[tr] ISBN : 9758457012008 Çalınan Mektup - Babil Kitaplığı トルコ語
[de] ISBN : 9783940111203 Der entwendete Brief: Die Bibliothek von Babel ドイツ語
[de] ISBN : 9783828967670 Der entwendete Brief: Die Bibliothek von Babel ドイツ語
[it] ISBN : 9788821602160 La lettera rubata: La Biblioteca di Babele イタリア語
[pt] ISBN : 9789722339483 A carta roubada: A Biblioteca de Babel ポルトガル語
[es] ISBN : 9788485876334 La carta robada: La Biblioteca de Babel スペイン語
[fr] ISBN : 9782725603377 La lettre volée: La bibliothèque de Babel フランス語 
    Image source: BDFI


■中国語訳(簡体字)Translation into simplified Chinese

  “不明白吗?好吧;如果把文件透露给第三个人,现在且不说他的姓名,那可要使人们对一个地位极高的人的名誉产生怀疑;这样就使持有文件的人占了优势,弄得那位辉煌人物的名誉和安静生活都要因此受到危险。”
  “可是要依仗这种优势,”我插嘴说,“盗信的人得知道失信人也知道谁是盗信的人。谁会敢……”

   《失窃的信》 作者:爱伦·坡 雨宁 译
   E-text at:
   * 時代書城 (www.mypcera.com)
   * 小説閲讀網 (readnovel.com)


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

  “不明白嗎?好吧;如果把文件透露給第三個人,現在且不說他的姓名,那可要使人們對一個地位极高的人的名譽產生怀疑;這樣就使持有文件的人占了優勢,弄得那位輝煌人物的名譽和安靜生活都要因此受到危險。”
  “可是要依仗這種優勢,”我插嘴説,“盜信的人得知道失信人也知道誰是盜信的人。誰會敢……”

   《失竊的信》 作者:愛倫・坡 譯者:雨宁
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


 Audio 1 
日本語版オーディオブック・サンプル Audiobook sample in Japanese

下の引用箇所の朗読は 8:13 から始まります。 Uploaded to YouTube by panrolling on 20 Aug 2009. Reading of the excerpt below starts at 8:13.


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 巽 2009
「おや、そうかね? この文書を、いまは名を秘す第三者の手に渡してしまったことで、さるたいへんに高貴なお方の名誉が汚(けが)されるんだぞ。その結果、この文書泥棒は、名誉も安泰も脅(おびや)かされるようになったこの高貴なるお方に対して優位に立つ、というわけだ」
「しかし、いくら優位に立つとは言っても」とわたしは口をさしはさむ。「そうなるためには、文書の持ち主に泥棒が誰だか悟られているということを泥棒自身が意識していなくちゃならないんじゃないか。いったい誰が好きこのんで――」

   エドガー・アラン・ポー=作 巽孝之(たつみ・たかゆき)=訳 「盗まれた手紙」
   『モルグ街の殺人・黄金虫—ポー短編集2 ミステリ編
   新潮文庫 2009/05/01 所収


(J2) 堀内 2001
「そうかね? よろしい、その書類が名前のいえない、ある第三者に見せられると、きわめて高貴な位にいらっしゃる、あるかたの名誉が危険にさらされるのだ。この事実から、書類の保持者は、その高貴なおかたにたいして優位に立つことができ、そのかたの名誉と平和をおびやかしているんだ」
「しかし、その優位というのは」とぼくがさえぎった。「書類を盗まれた被害者がそれがどう使われようとしているかを知っているということを、泥棒が知っているという前提に立っていますよね。ずいぶん大胆な考えだ――」
[原文にあるルビは省略しました - tomoki y.]

   エドガー・アラン・ポー=作 堀内一郎=訳 大久保浩=絵 「盗まれた手紙」
   『オーギュスト・デュパン モルグ街の怪事件 他
   世界の名探偵1 岩崎書店 2001/04 所収


(J3) 富士川 1989, 1992
「わからない? いいですか、名前は明かさないでおくが、その書類がある第三者に暴露されれば、さる身分の高い方の名誉が傷つけられることになるんだよ。と言うことはつまり、その書類の所有者は、名誉と平安がひどく危ういものとなっている、さる有名な方に対して優位に立っているというわけでね」
「しかし、優位に立っているとしたところで」とわたしが口をはさんだ。「犯人が誰か被害者にわかっていることを、犯人だって知っているんだからな。犯人がいくら図々しくても――」

   エドガー・アラン・ポー=作 富士川義之=訳 「盗まれた手紙」
   3a. 黒猫』 集英社文庫 1992/05 所収
   3b. ホルヘ・ルイス・ボルヘス=編纂・序文 『盗まれた手紙
      バベルの図書館11 国書刊行会 1989/03 所収


(J4) 松村+繁尾 1987, 2010
「まだわからない? つまりですな、もしその書類が第三者にあばかれると、名まえはいえませんが、その身分の高い方の名誉が傷つけられてしまう。こういったわけで、書類をぬすんだ男は、その身分の高い方に対して有利な立場にたっている。そのために、身分の高い方の名誉と平安がおびやかされているというしだいなんです。」
「でも、たとえ有利な立場といっても」と、わたしがさえぎった。
「もし被害者が犯人がだれかわかっている、またそのことを犯人が知っているというのでなければ、話はべつでしょうな。それなのに、あえて犯人がわざわざなにか……。」

   エドガー=アラン=ポー=作 松村達雄+繁尾久=訳 「ぬすまれた手紙」
   4a.21世紀版少年少女世界文学館 13』 講談社 2010 所収
   4b.少年少女世界文学館 13』 講談社 1987/12/21 所収
   引用は 4b. 講談社 1987/12/21 に拠りました。ルビは省略しました。


(J5) 谷崎 1985
「まだですか? 名前はいえないが、その書類が第三者にあばかれると、ある高貴な方の名誉をきずつけることになるのです。こうした事情がその高貴の方に対し、書類をぬすんだ男が優位にたち、高貴な方の名誉と平和があやうくなるのです。」
「だが、ぬすまれた方が、だれがぬすんだかしらなくては、そんな威力はあらわれないでしょう。そうでなくって、だれが……」わたしはことばをはさんだ。

   エドガー=アラン=ポー=作 谷崎精二=訳 「ぬすまれた手紙」
   『エドガー=アラン=ポー怪奇・探偵小説集2』 偕成社文庫 1985/03 所収
   下記 (J18) 谷崎の用字・仮名遣い・ルビなどを改めた児童書。
   ルビは省略しました.


(J6) 小鷹 1984
「わからない? うん、その文書だがね、名前は伏せておくが、ある第三者の目に触れると、さる非常に高貴なお方の名誉が傷つく。つまり、その文書の所有者はこのやんごとなき人物の名誉と安穏をおびやかし、優位に立っているということだ」
「しかし、そうやって優位に立つには」わたしは言葉をはさんだ。「誰が盗んだのかを被害者が知っているということを、当の犯人が知ってなきゃならないことになる。誰がわざわざそんなことを――」

   エドガー・アラン・ポー=作 小鷹信光(こだか・のぶみつ)=訳 「盗まれた手紙」
   『ラヴレターにご用心』 手紙ミステリ傑作集
   大和書房 1984/05/31 所収


(J7) 深町 1984
「わかりませんか。よろしい、つまりですね、この書類の内容が、いまは名を伏せておきますが、ある第三者に暴露されると、さるやんごとない貴人の体面があやうくなるのです。そしてこの事実により、書類の所有者はある力を持ちうる。その名誉、その安泰が非常な危険にさらされている問題の貴人にたいして、ある種の影響力を働かせることができるのです」
「しかし、その影響力というのも」と、私は口をはさんだ。「盗まれたほうで盗んだのがだれか知っているということを、盗んだ当人が心得ている場合に限るでしょう。盗んだことが相手に知られているとわかっていて、だれがそんな大胆な――」

   エドガー・A・ポー=作 深町真理子=訳 「盗まれた手紙」
   エラリー・クイーン+各務三郎=編 『クイーンの定員1』 光文社
   1984/05/30 所収


(J8) 岡上 1984
「わかりませんかねえ。よろしい。つまりですね、この手紙をある第三者に暴露することは、高貴なお方の体面にかかわるのです。地位や名誉をきけんにさらされる方にたいして、書類を持っている者は、権力をふるうことができるのできます。」
「しかし、その権力がふるえるというのも、ぬすまれたほうで、ぬすんだのはだれかと知っていることを犯人が知っているかどうかで、きまることですね。だれがそんなことを――。」

   エドガー・アラン・ポー=作 岡上鈴江(おかのうえ・すずえ)=訳
   「ぬすまれた手紙」 『モルグ街の殺人』 世界こわい話ふしぎな話傑作集5
   金の星社 1984/03 所収
   ルビは省略しました。


(J9) 中野 1978
 「わからない? じゃ、言うがね、もしその書類の内容がだねえ、名前は言えないが、ある第三者にわたったとなると、これもある高貴な方の名誉が、大いに問題になろうというのだ。そしてまたそのことがね、書類の所有者を、今もいった、それによって名誉と平安を侵された高貴な方に対して、非常に有利な立場に立たせるわけだねえ。」
 「だが、その有利な立場という奴はだよ、」と、僕が、口を挾んだ。「被害者が、犯人を知っているという、そのことを、また犯人が知っているという、一にそうした条件にかかっているのじゃないかな。してみると、誰が、そんなことを……。」

   ポオ=作 中野好夫=訳 「盗まれた手紙」
   『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』 岩波文庫 1978/12 所収


(J10) 志貴 1978
「わからん? じゃあ――その書類が、名前は言うわけにはいかないが、さる第三者に暴露されると、さるやんごとない方の名誉が問題になるんだ。で、このことがあるから、書類の所有者は、名誉と心の安らぎが危険にさらされているその高貴な人物にたいして力をふるうことができるというわけなんだよ」
「しかし、力をふるうと言っても」とわたしは口をはさんだ。「盗んだ男を盗まれた方がご存じだということを、盗んだ男が知ってるから生じることなんだろ。いったい誰がそんなあつかましい……」

   ポー=作 志貴宏(しき・ひろし)=訳 「盗まれた手紙」
   五木寛之〔ほか〕=編 『世界文学全集1 ポー/ホーソーン
   学習研究社 1978/09 所収


(J11) 砧 1975
「わからんて? こうなんだよ。つまり、その名を口にするわけには行かんが、あるお人に、その書類の内容を知られると、さるやんごとなき女人の名誉が、危くなるのだ。そんな事情からして、書類のもち主は、それをもつておるだけで、その名誉と平和とに、不安を感じておられる高貴のおかたにもまさる権勢をほしいままにすることとなるのだがね。」
「しかし――」わたしは、ことばをさしはさんだ。「そうした種類の権勢は、ぬすんだものが、ほかならぬ自分であるというそのことが、ぬすまれた側にも確かにわかつているのでなければ、なんにもならんでしよう。そんな大それたことを、誰が――」

   E・A・ポー=作 砧一郎=訳 「ぬすまれた手紙」
   トーマス・バーク〔ほか〕=著 黒沼健〔ほか〕=訳
   『黄金の十二―世界短篇ベスト集
   ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブック No.219 1975/10 所収


(J12) 丸谷 1974
「判らないかい? ふむ、もしその書類が、名前は言えないけれど或る第三者に暴露されると、さる高貴な方の名誉が問題になるんだ。そのことがあるから、書類の所有者は、名誉と平安が危険にさらされているさる有名な方に対して、有利な位置に立っているというわけだ」
「でも、有利な位置と言ったって」と、ぼくは口をはさんだ。「誰が盗んだか被害者は知っているということを、犯人のほうでも知っているわけだからな。いくら犯人がずうずうしくても……」

   エドガー・アラン・ポオ=作 丸谷才一=訳 「盗まれた手紙」
   『ポオ小説全集4』(全4冊) 創元推理文庫 1974/09/27 所収


(J13) 八木 1974
「おわかりにならない? いいですか、この書類が名前は伏せておくが、ある第三者に暴露された場合、あるきわめて地位の高いお方の名誉がそこなわれることになる。で、書類を握っている人物が、この高貴な方に対して権勢を振るえる立場に立っているわけで、この高貴なお方の名誉と安泰がいまや危惧(きぐ)にさらされているというわけだ」
「しかしそういう権勢が振るえるためには」とわたしは口をはさんだ。「盗まれたひとが、盗んだ者が誰かを知っていることを、盗んだ本人が知っているということが前提なんだな。誰がわざわざ――」

   ポオ=作 八木敏雄=訳 「盗まれた手紙」
   『世界文学全集32 ポオ/ホーソン』 講談社 1974/09/18 所収


(J14) 小川 1968, 1973
「わからない? じゃ、こう言おう。その書類が、名前は言えぬが或る第三者に暴露されると、或る非常に地位の高いかたの名誉にかかわるのだ。こういう工合にその高貴なかたの名誉と平安がいま危難にさらされているので、文書の持ち主はそのかたにたいして、支配権を持っていることになるのだ」
「しかしその支配権にしてもだな、」とぼくは口をはさんだ、「それは盗(と)られた方が誰が盗(と)ったか知っているということを、盗った方が知っている、ということが土台になってるはずだ。誰がそんなひどいことを――」

   ポオ=著 小川和夫=訳 「盗まれた手紙」
   14a.筑摩世界文學大系37 ポオ/ボオドレール』 筑摩書房 1973/11 所収
   14b. 世界文学全集26 ポオ、ボオドレール集』 筑摩書房 1968 所収


(J15) 大橋 1966
 「そうかい。名前は言えないが、ある第三者にその書類を見せると、ある高貴な人の名誉がきずつけられるのだ。その手紙をもっている人物は、その高貴な人よりも優位に立つことができ、その人の名誉と平和をおびやかすことになるんだ」
 「しかし」と私は口をはさんだ。「盗まれた人がだれに盗まれたのかわかっているということを、盗んだ人物が知っていなければ、盗んだほうが優位に立つことはできないだろう。そんな勇気が――」

   E・A・ポー=作 大橋吉之輔(おおはし・きちのすけ)=訳 「盗まれた手紙」
   『黒猫・黄金虫』 角川文庫 1966/12/15 所収


(J16) 田桐 1964
「わからんかなあ。こうなんだよ。名前を明かすわけにはいかんが、ある第三者に、その文書の内容が漏れるようなことがあると、非常に身分の高いあるお方の名誉があやうくなるのだ。つまり、その文書を手に入れた人物は、名誉と安心をまさに失おうとしておられる件(くだん)の高貴のお方に対して絶対優位の立場を得る、ということになるのだ」
「しかしだよ、その優位の立場なるものは、盗まれた人が、盗んだ奴を知っている、ということを、また当の盗んだ奴が承知して、はじめて意味があるわけだろう。一体、どこの馬鹿が……」

   エドガー・アラン・ポオ=作 田桐大澄(たぎり・ひさずみ)=訳 「盗まれた手紙」
   『ポオ短篇集』 八潮版・アメリカの文学 八潮出版社 1964/08 所収


(J17) 松村 1962
「わかりませんか。いや、よろしい、つまりですね、この書類を、名まえは伏せておきますが、ある第三者に暴露することは、やんごとないさるお方の御体面を危うくすることになるのです。そしてこの事実が、この書類の所有者をして、その御名誉と御安泰がかくも危険にさらされるさる貴顕の方に対して権威を振るい得るようにさせるのです」
「しかしその権威が振るえるというのも」とわたしは口をはさんだ、「盗まれたほうで盗んだのはだれかわかっているということを、盗んだ当人が知っているかどうかできまることですね。いったいそもそもだれがそんな――」

   ポー=作 松村達雄=訳 「盗まれた手紙」
   『世界文学全集11 ポー/ホーソン』 河出書房新社 1962/08 所収


(J18) 谷崎 1962, 1969, etc.
「まだですか? 名前は言えないが第三者にその手紙をあばくと、或る高貴の方の名誉を傷つけることになるのです。こうした事情がその高貴の方に対して手紙を盗った男に権力をふるわせ、高貴の方の名誉と平和とがあやうくされるのです」
「だがその権力は、書類を失った方(かた)が盗んだ者を知っているということを、その盗んだ当人が知っていなければ駄目でしょう。それでなくって誰が……」私が言葉をはさんだ。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=訳 「盗難書類」
   18a. ポオ小説全集1 推理小説』(全4巻)新装版 春秋社 1998/09 所収
   18b.エドガア・アラン・ポオ全集1』(全6巻) 春秋社 1969/10 所収 
   18c.エドガア・アラン・ポオ小説全集1 推理小説編』(全4巻・別巻1)
      春秋社 1962/05 所収
   これらの版は、下記 (J22) 谷崎 1929 の用字・仮名遣いを、新字・新仮名に
   改め、若干の字句・句読点・ルビなどを変更したもの。


(J19) 鈴木 1961
「わからない? なるほど。事件の書類を、名前は言えないがある第三者へあばかれると、ある非常に高い地位の方の名誉が怪しくなる。で、この事実がその書類の所有者に、その高官の上に権勢をふるわせ、その方の名誉と安泰が危険にさらされているわけです」
「しかしね」と私は口をはさんだ。「この権勢は、誰が盗んだのかを盗まれた者が知っている、ということを当の犯人が知っている上で成り立つわけでしょう。で一体誰がそんな盗みを?」

   エドガー・アラン・ポー=著 鈴木幸夫(すずき・ゆきお)=訳 「盗まれた手紙」
   鈴木幸夫〔ほか〕=訳 『ポー代表作選集(下)』(全3巻)
   鏡浦書房 1961/01 所収


(J20) 佐々木 1951, 2004
「わからない? よろしい。その書類を、名は言えないがある第三者にあばくと、ある非常に高い地位の方の名誉にかかわるのですな。そしてこの事実は、書類の所持者にその高貴な方に対して権力を揮(ふる)わせ、その方の名誉と平和とが危うくされているのです」
「しかしその権力なるものは」と私は語をはさんだ。「盗まれた人が盗んだ人を知っているということを、その盗んだ当人が知ってのことでしょう。誰がそんなひどいことを――」

   エドガー・ポー=作 佐々木直次郎=訳 「盗まれた手紙」
   20a. E-text at 青空文庫 入力:鈴木厚司 校正:小酒井博士
      2004年5月15日作成
   20b.黒猫・黄金虫』 新潮文庫 1951/08 所収
   20a. の底本は 20b.


(J21) ダイジエスト・シリーズ刊行會 1950
Dはその手紙をタネに、その貴婦人を、壓迫し、じぶんの權力を擴張しようとしているというわけだ。

   エドガー・アラン・ポオ=作
   編著者:ダイジエスト・シリーズ刊行會 代表:磯部秀見 「盜まれた手紙」
   『怪奇と詩情―ポーの人と作品』 ダイジエスト・シリーズ3
   ジープ社 定價八○圓 1950/06/15 所収
   「ダイジエスト・シリーズ」というシリーズ名からも察せられるとおり、
   この訳は完訳ではなく抄訳です。


(J22) 山本 1934
「分らんのですか。では、名前は云へないのだが第三者にその書類を曝くと、或る高貴の方の名譽を傷ける事になるのです。かうした事情が書類の所有者に高貴な方を牛耳る勢力を與え、高貴の方の名譽と平和とが從つて危くされるのです。」
「併しこの勢力といふのは」と私は言葉を挿んだ。「書類を失つた者が盜んだ者を知つてゐるといふ事を、その盜んだ者が又知つてゐての事でせう。それでなくて誰が大膽に――」

   Edgar Allan Poe=作 山本供平=譯註 「盜難書類」
   『Prose Tales』 英學生文庫
   春陽堂 定價金六拾五錢 1934/09(昭和9)所収
   奥付に表示された書名は「プローズ・テールズ」


(J23) 谷崎 1929
「まだですか? 名前は言へないが第三者にその手紙を曝(あば)くと、或る高貴の方の名譽を傷(きず)つける事になるのです。かうした事情がその高貴の方に對して手紙を取つた男に權力を揮(ふる)はせ、高貴の方の名譽と平和とが危くされるのです。」
「だがその權力は書類を失つた方が盜んだ者を知つて居るといふ事を、その盜んだ當人が知つてゐなければ駄目でせう。それでなくつて誰が……」私が言葉を挿(はさ)んだ。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=譯 「盗難書類」
   『世界文學全集11 ポオ傑作集 緋文字・其他
   新潮社 1929(昭和4)所収


(J24) 江戸川 1929
「解らん? では、その書類を或る第三者に、名前は言ふわけにいかんが、見せると、或る最も高位の方の名譽に抱はることになるので、それのことはこの書類の所持者にその高貴の方に對する優越權を與へると同時にその高貴の方の名譽竝びに平和が極めて危くなつて來るのだ。」
「だが、優越權たるや……」と私は遮つた。「盜んだ者を盜まれた者が知つてゐるのを盜んだ者が知つてゐることに依るのではないかな。誰が敢へて――」

[原文は以下のとおり総ルビです - tomoki y.]

「解(わか)らん? では、その書類(しよるゐ)を或(あ)る第(だい)三者(しや)に、名前(なまへ)は言(い)ふわけにいかんが、見(み)せると、或(あ)る最(もつと)も高位(かうゐ)の方(かた)の名譽に抱(かゝ)はることになるので、それのことはこの書類(しよるゐ)の所持者(しよぢしや)にその高貴(かうゐ)の方(かた)に對(たい)する優越權(いうゑつけん)を與(あた)へると同時(どうじ)にその高貴(かうき)の方(かた)の名譽(めいよ)竝(なら)びに平和(へいわ)が極(きは)めて危(あやふ)くなつて來(く)るのだ。」
「だが、優越權(いうゑつけん)たるや……」と私(わたし)は遮(さえぎ)つた。「盜(ぬす)んだ者(もの)を盜(ぬす)まれた者(もの)が知(し)つてゐるのを盜(ぬす)んだ者(もの)が知(し)つてゐることに依(よ)るのではないかな。誰(たれ)が敢(あ)へて――」

   ポー=著 江戸川亂歩=譯 「竊まれた手紙」
   『世界大衆文學全集30 ポー、ホフマン集
   改造社 1929/04(昭和4)所収


(J25) 森田 1896, 1996
總監「解得する能わずと。好し。其の書類を把りて第三の人(ひと)、この人(ひと)は姑く無名氏となすべし、第三の人(ひと)に遞示(ていし)するときは、ある最も高貴なる地位に在る所の人の名譽に、陰翳(くもり)を與ふることを得べし。是れが爲めに、其の書類の所持者は斯の高貴の人に對して、一種の權力を握有することを得。蓋し斯の高貴の人の名譽と平和とは、其の書類の所持者の手の裡(うち)に係(かゝ)ればなり」。
余「然れども、そは唯だ其の竊者が、被竊者の己れの之を竊取して保持するを覺(さと)りをることを、知りて、然る後ち始めて其の權力成(せい)立するものなり」。

   森田思軒=譯 「秘密書類」
   25a. 川戸道昭+榊原貴教=編 ナダ出版センター=制作
      『明治翻訳文学全集《新聞雑誌編》19 ポー集』(全50巻・別巻2)
      大空社 1996/06 所収
   25b. 「名家談叢第五號附録」1896/01(明治29)
   初出は 25b.


  Audio 2 
ロシア語版オーディオブック(朗読) Похищенное письмо  - Audiobook in Russian

下の引用箇所の朗読は 6:30 から始まります。 Uploaded to YouTube by Зарубежная литература on 5 Jun 2014. Reading of the excerpt below starts at 6:30.


■ロシア語訳 Translation into Russian

-  Да? Ну,  хорошо: передача  этого  документа  третьему лицу,  которое останется  неназванным, поставит под угрозу честь весьма  высокой  особы,  и благодаря этому обстоятельству  тот, в  чьих руках находится документ, может диктовать  условия  той  весьма  знатной  особе,  чья  честь  и благополучие оказались в опасности.
- Но  ведь  эта власть, - перебил я, -  возникает  только в том случае, если похититель знает, что  лицу, им ограбленному, известно, кто похититель. Кто же дерзнет...

   Эдгар Аллан По. Похищенное письмо
   Translated by И.Гуровой
   E-text at Lib.Ru


■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

— Така ли? Вижте какво. Разкриването на този документ на трето лице, чието име няма да споменавам, ще засегне честта на една много високопоставена особа, а това обстоятелство осигурява на притежателя на документа власт над знатната особа, честта и спокойствието на която по този начин са застрашени.
— Но тази власт — намесих се аз — ще зависи от това, дали крадецът знае, че е известен на пострадалата. Кой би се решил…

   Эдгар Аллан По. Откраднатото писмо
   Translated by Борис Миндов, 1990
   E-text at Моята библиотека (chitanka.info)


  Audio 3 
ドイツ語版オーディオブック(朗読) Der entwendete Brief - Audiobook in German

下の引用箇所の朗読は 5:08 から始まります。 Uploaded to YouTube by EAPoeProductions on 15 Jul 2011. Reading of the excerpt below starts at 5:08.


■ドイツ語訳 Translation into German

  »Nicht? Also: würde der Inhalt des Dokumentes einer dritten Person, die ich hier ungenannt lassen will, eröffnet, so würde das die Ehre einer sehr hochstehenden Persönlichkeit in ein schlechtes Licht setzen, und dieser Umstand gibt dem Inhaber des Papiers ein Übergewicht über die erlauchte Person, deren Ruhe und Ehre dadurch gefährdet sind.«
  »Aber dieses Übergewicht«, warf ich ein, »würde nur dann bestehen, wenn der Dieb wüßte, daß der Bestohlene selbst genaue Kenntnis von der Person des Täters hat. Wer aber könnte wagen...«

   Der entwendete Brief
   in Verbrechergeschichten by Edgar Allan Poe
   Translated by Gisela Etzel
   Verlag Ullstein GmbH, Volume Nr. 2721
   E-text at Projekt Gutenberg-DE - SPIEGEL ONLINE


  Audio 4 
イタリア語版のドラマ仕立ての朗読
La lettera rubata - Dramatic reading in Italian

Uploaded to YouTube by TheCrusius on 10 Apr 2012


■イタリア語訳 Translation into Italian

  «Niente? Dunque questo documento, mostrato a una terza persona di cui non faccio il nome, metterebbe in questione l'onore di una personalità del più alto rango. Questo fatto dà al possessore del documento un potere sull'illustre personaggio di cui sono messi a repentaglio l'onore e la pace.»
  «Questo presunto ascendente», mi intromisi io, «dipende dal fatto che il ladro sa che il derubato conosce chi è il ladro. Chi oserebbe…»

   La lettera rubata
   in Tutti i racconti del mistero, dell'incubo e del terrore
   by Edgar Allan Poe
   Newton Compton Editori, 2010/12/14
   Preview at Google Books


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

- Não? Bem. A exibição desse documento a uma terceira pessoa, cujo nome não mencionarei, comprometeria a honra de uma personalidade da mais alta posição, e tal fato concede à pessoa que possui o documento ascendência sobre essa personalidade ilustre, cuja honra e tranqüilidade se acham, assim, ameaçadas.
- Mas essa ascendência - intervim - depende de que o ladrão saiba que a pessoa roubada o conhece. Quem se atreveria.

   A Carta Roubada by Edgar Allan Poe
   E-text at:
   * UFRGS
   * Scribd


  Audio 5 
スペイン語版オーディオブック(朗読) La carta robada - Audiobook in Spanish

下の引用箇所に相当する部分の朗読は 5:42 から始まります。 Uploaded to YouTube by chacosago on 22 Dec 2012. Reading of the excerpt below starts at 5:42.


■スペイン語訳 Translations into Spanish

(Es1) La editorial Planeta, 2013
—¿No? Bueno; la revelación de ese documento a una tercera persona, cuyo nombre silenciaré, pondría en entredicho el honor de alguien del más alto rango, y esto daría al poseedor del documento un ascendiente sobre el ilustre personaje cuyo honor y tranquilidad están así en peligro.
— Pero ese ascendiente — interrumpí — depende de que el ladrón sepa que la persona robada le conoce. ¿Quién osaría...?

   La Carta Robada in Cuentos by Edgar Allan Poe
   © 1986, Julio Gómez de la Serna, traducción cedida por la editorial Planeta
   Random House Mondadori, 2013/02/21


(Es2) Cortázar, 1970
—¿No? Veamos: la presentación del documento a una tercera persona que no nombraremos pondría sobre el tapete el honor de un personaje de las más altas esferas, y, ello da al poseedor del documento un dominio sobre el ilustre personaje cuyo honor y tranquilidad se ven de tal modo amenazados.
—Pero ese dominio —interrumpí— dependerá de que el ladrón supiera que dicho personaje lo conoce como tal. ¿Y quién osaría... ?

   La Carta Robada by Edgar Allan Poe
   Cuentos 1 - Edgar Allan Poe translated by Julio Cortázar
   Alianza Editorial, 1970
   E-text at La Maquina de Tiempo


(Es3)
— ¿No? Bueno; la predestinación del papel a una tercera persona, que es imposible nombrar, pondrá en tela de juicio el honor de un personaje de la más elevada posición; y este hecho da al poseedor del documento un ascendiente sobre el ilustre personaje, cuyo honor y tranquilidad son así comprometidos.
—Pero este ascendiente —repuse— dependería de que el ladrón sepa que dicha persona lo conoce. ¿Quién se ha atrevido…?

   La carta robada by Edgar Allan Poe
   E-text at Wikisource


  Audio 6 
フランス語版オーディオブック(朗読)
La Lettre volée - Audiobook in French read by Ka00

下の引用箇所の朗読は 5:04 から始まります。 Uploaded to YouTube by pilmix12 on 20 Feb 2013. Reading of the excerpt below starts at 5:04


  Audio 7 
フランス語版オーディオブック(朗読) La Lettre volée - Audiobook in French

下の引用箇所の朗読は 5:12 から始まります。 Uploaded to YouTube by Audiolude on 26 Oct 2012. Reading of the excerpt below starts at 5:12.


■フランス語訳 Translation into French

— Rien, vraiment ? Allons ! Ce document, révélé à un troisième personnage, dont je tairai le nom, mettrait en question l’honneur d’une personne du plus haut rang ; et voilà ce qui donne au détenteur du document un ascendant sur l’illustre personne dont l’honneur et la sécurité sont ainsi mis en péril.
— Mais cet ascendant, interrompis-je, dépend de ceci : le voleur sait-il que la personne volée connaît son voleur ? Qui oserait… ?

   La Lettre volée by Edgar Allan Poe
   Histoires extraordinaires, 1856
   Translated by Charles Baudelaire
   E-text at Wikisource


  Audio 8 
英語原文のオーディオブック(朗読)
The Purloined Letter - Audiobook in the original English

下の引用箇所の朗読は 5:30 から始まります。 Uploaded to YouTube by audiobooksfree on 22 Dec 2011. Reading of the excerpt below starts at 5:30.


  Audio 9 
「盗まれた手紙」 ラジオドラマ
The Watson Files Episode 17 - The Purloined Letter

下の引用箇所の朗読は 4:11 から始まります。 Uploaded to YouTube by StrobieStudios on 10 Sep 2010. Reading of the excerpt below starts at 4:11


■英語原文 The original text in English

"No? Well; the disclosure of the document to a third person, who shall be nameless, would bring in question the honor of a personage of most exalted station; and this fact gives the holder of the document an ascendancy over the illustrious personage whose honor and peace are so jeopardized."
"But this ascendancy," I interposed, "would depend upon the robber's knowledge of the loser's knowledge of the robber. Who would dare -"

   The Purloined Letter (1844) by Edgar Allan Poe
   E-text at Project Gutenberg


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

   「ぬすまれた手紙」……松村+繁尾 1987, 2010
   「ぬすまれた手紙」……谷崎 1985
   「ぬすまれた手紙」……岡上 1984
   「ぬすまれた手紙」……砧 1975
   「盗まれた手紙」………巽 2009
   「盗まれた手紙」………堀内 2001
   「盗まれた手紙」………富士川 1989, 1992
   「盗まれた手紙」………小鷹 1984
   「盗まれた手紙」………深町 1984
   「盗まれた手紙」………中野 1978
   「盗まれた手紙」………志貴 1978
   「盗まれた手紙」………丸谷 1974
   「盗まれた手紙」………八木 1974
   「盗まれた手紙」………小川 1968, 1973
   「盗まれた手紙」………大橋 1966
   「盗まれた手紙」………田桐 1964
   「盗まれた手紙」………松村 1962
   「盗まれた手紙」………鈴木 1961
   「盗まれた手紙」………佐々木 1951, 2004
   「盗難書類」……………谷崎 1962, 1969, etc.
   「盗難書類」……………谷崎 1929
   「秘密書類」……………森田 1896, 1996
   「盜まれた手紙」………ダイジエスト・シリーズ刊行會 1950
   「盜難書類」……………山本 1934
   「竊まれた手紙」………江戸川 1929


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■更新履歴 Change log

  • 2014/12/09 日本語版オーディオブックとロシア語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/09/15 もう1種類のスペイン語訳と、もう1種類のフランス語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/08/25 目次を新設し、松村達雄+繁尾久=訳 1987/12/21 を追加しました。
  • 2013/04/28 トルコ語版の表紙画像を追加しました。
  • 2013/04/12 ドイツ語訳を追加しました。また、ドイツ語版、イタリア語版、スペイン語版、フランス語版、および英語原文のオーディオブックの YouTube 画面も追加しました。
  • 2013/02/11 ブルガリア語訳とイタリア語訳を追加しました。
  • 2012/06/11 ロシア語訳とポルトガル語訳を追加しました。
  • 2010/12/12 巽孝之=訳 2009/05/01 を追加しました。
  • 2010/11/06 大橋吉之輔=訳 1966/12/15 と、The Watson Files の YouTube 画面を追加しました。
  • 2010/06/18 2種類のスペイン語訳を追加しました。
  • 2010/04/11 表紙画像を入れ替えました。これまで載せていたフランスのプレイアード叢書の表紙をやめて、代わりにボルヘスが編纂した「バベルの図書館」シリーズから、日本語版・ドイツ語版・フランス語版の表紙画像を新たに掲載しました。
  • 2009/09/15 ダイジエスト・シリーズ刊行會=編著 1950/06/15 を追加しました。また、「邦題の異同」の項を新設しました。
  • 2009/08/25 中國語譯(繁體字)を追加しました。
  • 2008/10/17 田桐大澄=訳 1964/08 を追加しました。
  • 2008/01/27 鈴木幸夫=訳 1961/01 を追加しました。
  • 2007/10/31 堀内一郎=訳 2001/04 を追加しました。
  • 2007/09/17 山本供平=譯 1934/09 を追加しました。
  • 2007/07/16 森田思軒=譯 1996/06、1896/01 を追加しました。
  • 2007/07/01 谷崎精二=訳 1985/03 を追加しました。
  • 2007/06/22 小川和夫=訳 1973/11 を追加しました。
  • 2007/06/17 1962年以降の谷崎精二=訳が、1929年版とくらべて、用字・仮名遣いその他の表記の点で、かなり異なる点にかんがみて、1962年以降の谷崎精二=訳を別項として立てました。
  • 2007/06/06 岡上鈴江=訳 1984/03 を追加しました。
  • 2007/03/13 谷崎精二=訳に関する書誌情報を補足しました。
  • 2007/01/22 志貴宏=訳 1978/09、および砧一郎=訳 1975/10 を追加しました。
  • 2006/12/13 書誌情報を修正/補足しました。
  • 2006/11/24 中国語訳(簡体字)を追加しました。
  • 2006/06/06 八木敏雄=訳 1974/09/18、谷崎精二=譯 1929、および江戸川亂歩=譯 1929/04/03 を追加しました。

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Monday, 03 April 2006

The Cask of Amontillado by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「アモンティリャードの樽」「アモンティラードの樽」

        目次 Table of Contents

 Video 1  The Cask of Amontillado (2011)
 Video 2  The Cask of Amontillado, The Ultimate Tale of Revenge (Taletube)
 Video 3  Nightmares from the Mind of Poe (2006)
 Video 4  Edgar Allan Poe: Terror of the Soul (1995)
 Video 5  Cask of Amontillado, an animation by Ace Gallagher
■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese
  (C1) 曹明伦
  (C2)
■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese
  Image   挿絵 Illustration
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 柴田 2010
  (J2) 小川 2006
  (J3) 八木 2006
  (J4) 李 2002
  (J5) 金原 2002
  (J6) 大岡 1998
  (J7) 中島+清水+多賀谷 1989
  (J8) 佐伯 1974
  (J9) 田中 1974
  (J10) 吉田 1970, 1971
  (J11) 松村 1965, 1968, etc.
  (J12) 谷崎 1962, 1969, etc.
  (J13) 谷崎 1929
  (J14) 佐藤 1919, 1924, etc.
  (J15) 平塚 1912, 1996
■日本語表記のゆれ Transliteration variations in Japanese
 Audio 1  ロシア語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Russian
■ロシア語訳 Translation into Russian
■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian
 Audio 2  ポーランド語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Polish
■ポーランド語訳 Translation into Polish
■スウェーデン語訳 Translation into Swedish
■チェコ語訳 Translation into Czech
 Audio 3  ドイツ語版オーディオブック(朗読) Audiobook in German
■ドイツ語訳 Translation into German
 Audio 4  イタリア語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Italian
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan
 Audio 5  スペイン語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Spanish
■スペイン語訳 Translation into Spanish
 Audio 6  フランス語版オーディオブック(朗読) Audiobook in French
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 7  英語原文朗読: ロイ・マクレディ Audiobook read by Roy Macready
■英語原文 The original text in English
■更新履歴 Change log


 Video 1 
The Cask of Amontillado (2011) trailer

Edgar Allan Poe's The Cask of Amontillado from PoeMovies on Vimeo.
Directed by Thad Ciechanowski. Starring  David Bielewicz, Ron Gielarowski, Frank Tirio Jr.


 Video 2 
The Cask of Amontillado, The Ultimate Tale of Revenge (Taletube)

Uploaded to YouTube by Taletube1 on 16 Nov 2008. Directed by Stephen J. Conley and John Dur. Illustrations by Joel Rives. Music by Felix Pando. Edited by Allan Wright.


 Video 3 
Nightmares from the Mind of Poe (2006) trailer

Uploaded to YouTube by willinghearts on 13 Jun 2008. Directed by Ric White. Starring  James R. Anderson, David Ballasso, David Bayer.


 Video 4 
"American Masters" Edgar Allan Poe: Terror of the Soul (1995)

Uploaded to YouTube by GottfriedGeist on 9 Mar 2007. Directed by Joyce Chopra. Starring John Heard, Rene Auberjonois.


 Video 5 
Cask of Amontillado, an animation by Ace Gallagher

An Ace Gallagher Production. The tune Cask of Amontillado by The Alan Parsons Project (APP). Lyrics at APP's Official Website


■中国語訳(簡体字)Translations into simplified Chinese

(C1) 曹明伦
对福尔图纳托加于我的无数次伤害,我过去一直都尽可能地一忍了之;可当那次他斗胆侮辱了我,我就立下了以牙还牙的誓言。你对我的脾性了如指掌,无论如何也 不会认为我的威胁是虚张声势。我总有一天会报仇雪恨;这是一个明确设立的目标——正是设立这目标之明确性消除了我对危险的顾虑。我不仅非要惩罚他不可,而 且必须做到惩罚他之后我自己不受惩罚。若是复仇者自己受到了惩罚,那就不能算已报仇雪恨。若是复仇者没让那作恶者知道是谁在报复,那同样也不能算是报仇雪恨。

   《一桶蒙特亚白葡萄酒》 爱伦·坡 曹明伦 译
   E-text at 网易读书


(C2)
福吐纳托对我百般迫害,我都尽量忍在心头,可是一旦他胆敢侮辱我,我就发誓要报仇了,您早就摸熟我生 性脾气,总不见得当我说说吓唬人。总有一天我要报仇雪恨;这个注意坚定不移,既然拿定主意不改,就没想到会出危险。我不仅要给他吃吃苦头,还要干得绝了后患。报仇的自己得到报应,这笔仇就没了清。复仇的不让冤家知道是谁害他,这笔仇也没了清。

   《一桶白葡萄酒》 作者:爱伦·坡
   E-text at:
   * 小説閲読網 (readnovel.com)
   * 推理书库
   * 艾伦坡


■中國語譯(繁體字)Translation into traditional Chinese

福吐納托對我百般迫害,我都盡量忍在心頭,可是一旦他膽敢侮辱我,我就發誓要報仇了,您早就摸熟我生性脾气,總不見得當我說說嚇唬人。總有一天我要報仇雪恨;這個注意堅定不移,既然拿定主意不改,就沒想到會出危險。我不僅要給他吃吃苦頭,還要干得絕了后患。報仇的自己得到報應,這筆仇就沒了清。复仇的不讓冤家知道是誰害他,這筆仇也沒了清。

   《一桶白葡萄酒》 愛倫·坡
   E-text at 龍騰世紀 (millionbook.net)


 Image  挿絵 Illustration
Image4


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 柴田 2010
フォルトゥナートから受けた数多(あまた)の無礼に精一杯耐えてきたものの、面と向かって侮辱されるに至り、私は復讐を誓った。とはいえ、我が気質をよく御存知の諸君なら、私がよもや脅しの文句を口にしたなどとは思わぬであろう。最後は必ず復讐を遂げる——これは断固決まっている。そして断固そう決めたからこそ、危うさを伴う要素ははじめから排除していた。単に罰するというだけでなく、こちらはいっさい害を被らず罰せねばならない。処罰する者に懲罰が及んでしまっては、悪を是正したことにはならない。そしてまた復讐者が、己が復讐者であることを悪を為した者に伝えねば、やはり悪を是正したことにはならないのだ。

   エドガー・アラン・ポー=作 柴田元幸(しばた・もとゆき)=訳
   「アモンティリャードの樽」
   『モンキービジネス 2010 Winter vol.8 音号
   ヴィレッジブックス 2010/01/20 この雑誌の内容紹介


(J2) 小川 2006
フォルトゥナートという男にはさんざん苦しい目に遭わされて、ひたすら我慢を重ねたのです。しかし、ついに侮辱という形をとられては、もはや復讐あるのみと思いました。とはいえ、私の精神をご存じである以上、よもや脅し文句を口にする人間だったとは思われますまい……。
——いまに見ろ。と、そこまでは断固として決めたわけだが、断固としていればこそ、万に一つの手抜かりもあってはならなかった。処罰してやるのはよいが、逆襲が跳ね返ってくるのはいけない。報復であるからには、じわじわと思い知ってもらいたいし、誰の恨みで誅(ちゅう)されるのかわからせないと、それもまた悪を正したことにはならない。

   エドガー・アラン・ポー=作 小川高義(おがわ・たかよし)=訳
   「アモンティリャードの樽」
   『黒猫/モルグ街の殺人』 光文社古典新訳文庫 2006/10


(J3) 八木 2006
フォルトゥナートの数々の無礼は大目に見てきたが、侮辱となれば話は別で、私は復讐を誓った。しかし、わが性分よくご存知の方ならお見通しだろうが、私は脅迫めいたことは口にしなかった。だが、たっぷり(# たっぷりに傍点)お礼はさせていただく所存だった。その点は決定ずみだった——が、こうはっきりと心に決めた以上、絶対に危ない橋は渡ってはならない。報復はしても、処罰されてはならない。報復する者の身に懲罰が及ぶようでは、悪が正されたことにはならない。同様に、報復者が、かつてあだをなした相手に、いまこそわれは復讐されてあり、と痛感させるのでなければ、やはり本当に復讐したことにはならない。

   エドガー・アラン・ポオ=作 八木敏雄=訳 「アモンティラードの酒樽」
   『黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇』 岩波文庫 2006/04


(J4) 李 2002
数え上げたらきりがないほどフォーチュネートから侮辱され、それでも私はじっとこらえて耐えてきた。だが、そこまでして私を傷つけるのかいう言動に出たとき、復讐を誓ったのだ。私が言葉で人を脅すような性分でないことを君はよく知っているはずだ。いずれ必ずこの恨みは晴らしてやる。この決心だけは揺らぐことはない。だが、私の心は決まったとはいえ、フォーチュネートに感づかれるような馬鹿な真似はしなかった。この男に制裁を加えるだけではなくこちらが罰を受けないように事を運ばなければならない。復讐者がその報いをうけるようでは復讐したことにはならない。また復讐を果たしても相手がその事に全く気づいていないときも復讐をなし遂げたとは言えないのだ。

   エドガー・アラン・ポー=作 李三宝(Lee Sanpoe)=訳
   「アモンティリャードの酒樽」 プロジェクト杉田玄白正式参加作品
   E-text at ダークライブラリー 2002


(J5) 金原 2002
あのフォルチュナートにはさんざん嫌な目に合わされてきたが、なんとかいままでがまんしてきた。しかしあそこまで侮辱されては、復讐を誓わざるをえない。わたしの性格をよく知っている人には、わたしが口先だけでそんなことをいうような男でないことはよくわかっているはず。徹底的に復讐してやる。わたしはそう決意した。しかしその決意を実行に移すにしても、決して危険をおかすようなことはしないという決意も、そこにはふくまれていた。ただあいつを罰するだけでなく、罪に問われないように罰しなくてはならない。また、相手に思い切り復讐をしてやったという喜びを全身で感じることができなければ、そんなものは復讐にならない。

   E・A・ポー=作 金原瑞人=訳 「アモンティリァードの樽」
   『モルグ街の殺人事件』 岩波少年文庫 2002


(J6) 大岡 1998
フォルトゥナートから受けた数知れない危害にも、私はできるかぎり耐えてきた。しかし、侮辱(ぶじょく)されたとあっては、復讐(ふくしゅう)せずにはいられない。とはいえ、私の性格をよくご存じの君ならおわかりのはずだが、おどかしめいたセリフなどひとことも口にしなかった。かならず思い知らせてやる。この点ははっきりきまっていた——だが、こうはっきり決心した以上、あぶない橋は絶対渡ってはいけない。罰をあたえて、しかもこちらは無傷でいなければだめだ。復讐しても、自分が罰せられてしまっては、復讐にはならない。また、かつてひどい目に遭わせた相手に、今の今復讐せられているのだ、と思い知らせてやるのでなければ、やはり真の復讐とはいえないのだ。

   エドガー・アラン・ポー=作 大岡玲(おおおか・あきら)=訳
   「アモンティラードの樽」 『アモンティラードの樽 その他
   地球人ライブラリー 小学館 1998/03


(J7) 中島+清水+多賀谷 1989
フォルチュナートの数知れぬ無礼には、我慢の限り耐えてきたが、彼奴がいよいよ侮辱の段にまで及んだ時、私は心に復讐を誓った。だが、この私が如何なる性質(たち)の人間だか、よく御存知の諸君なら、私が威(おどし)の文句で応えたなどとは思うまい。今に見ておれ、必ずこの恨みは晴らしてくれようぞ——私が胆に命じたのは、この一点であった。しかし、この折角の決意も、捨て身の暴挙に出たのでは話にならぬ。ただ罰するだけでは是非もないのだ。相手から仕返しを受けずに罰責しなければならぬ。不正は、正す側に報復が及んだのでは、匡(ただ)されたことにならぬ。しかも、不埒なその相手に復讐に参上仕ったと感得させた上でのことでなければ、これまた匡されたことには相ならぬ。

   エドガー・アラン・ポー=作
   中島剛(なかじま・たけし)+清水武雄(しみず・たけお)
   +多賀谷弘孝(たがや・ひろたか)=訳 「樽詰めのアモンティリャード」
   ナサニエル・ホーソン〔ほか〕=著 清水武雄=監訳 『失楽の群像
   ニューカレントインターナショナル 1989/11


(J8) 佐伯 1974
フォルトゥナートの加えた数知れぬ危害には、できるだけ耐え忍んできたぼくだったが、侮辱されたとあっては、復讐を誓った。とはいえ、ぼくの気性をよくご存知の君ならお判りのはずだが、おどしめいた文句は、ただ一言も口にはしなかった。必ず復讐はしてやる。この点ははっきりきまっている——が、こうはっきりと決心した以上、危ない瀬戸は絶対に渡ってはならぬ。罰を加えてやって、しかもこちらは無傷でいなければならない。復讐をしても、処罰されるのでは、復讐ということにはならない。また、かつて危害を加えた相手にいま復讐されていると思い知らせてやるのでなくては、やはり本当の復讐とはいえない。

   佐伯彰一=訳 「アモンティラードの樽」
   『世界文学全集32 ポオ/ホーソン』 講談社 1974


(J9) 田中 1974
フォルチュナアトから蒙った数限りもない不快を、忍べるだけは忍んで来たものの、彼奴(きゃつ)が不敵にも侮辱を加えて来たとき、わたしは復讐を心に誓った。とはいえわたしの性情をよく御存知の諸君のことゆえ、わたしが威嚇(おどかし)がましいことを口に出したろうなどとは思うまい。とどのつまりは、きっと思い知らせてやるぞ、きっぱりと腹に据えたのはこの一念であった——だがこう腹を据えたことは、とりもなおさず危ない橋を決して渡らぬということでもあった。誅罰(ちゅうばつ)を与えるだけではなく、罪を蒙らぬようにして誅罰せねばならぬのだ。悪を矯(ただ)した者の身に報復が及ぶとすれば、その悪は矯されたことにはならぬ。また、報復者が、その悪を行うた者に対して、われ復讐せりと感ずることができぬとすれば、同じく矯されたことにはならぬ。

   エドガー・アラン・ポー=作 田中西二郎=訳 「アモンティリャアドの酒樽」
   『ポオ小説全集4』 創元推理文庫 1974/09


(J10) 吉田 1970, 1971
フォルテュナトが私にたいして犯した数々の不都合は、何とか我慢してきたが、彼があえて私を侮辱するに及んで私は復讐を誓ったのだった。しかし私の性格を知っているものは私がそのような意向を洩(も)らさなかったことを理解するにちがいない。私はいつかは(#「いつかは」に傍点)復讐するのだった。これは確定的なことであって、——それだけに失敗の余地が残っていてはならなかった。すなわち私は彼を罰するのみならず、安全に彼を罰することが必要だった。なぜなら復讐したものがその結果報復されるようなことがあれば復讐は失敗したことになるからである。また同様に、もし復讐した場合に自分がそれを行なったことを相手に知らすことができなければ、その復讐はやはり失敗に帰するのである。

   ポー=作 吉田健一=訳 「アモンティラドの樽」
   10a.世界文学全集18 アシャー館の崩壊/黒猫 他』 集英社 1970/07
   10b.新集 世界の文学7 ホーソン/ポー』 中央公論社 1971
   引用は 10a. に拠りました。


(J11) 松村 1965, 1968, etc.
フォルテュナートの数々のひどい仕打ちはできるだけ我慢してきたが、あえて侮辱を加えるに至って、ぼくは復讐を誓ったのである。しかし、ぼくの性格をよく知りぬいているきみなら、口に出して相手をおどしつけたりしなかったことは想像がつくだろう。ついにはきっと恨みを晴らしてやる、これだけははっきり決めた――だが、断然そう決心したればこそ、ゆめ危険はおかすまいというつもりだった。罰は加えてやる、だが、こちらは無傷でそうしなくちゃいけない。復讐が復讐者にはね返ってくるようなら、仕返しをしたことにはならない。復讐者が、不正を働いた相手にこちらの報復をそれと気づかせられなかったら、これまた仕返しをしたことにはならない。

   エドガー・アラン・ポー=作 松村達雄=訳 「アモンティリャードの酒樽」
   11a.アモンティリャードの酒樽」 グーテンベルク21 電子書籍
   11b.カラー版 世界文学全集 13』 河出書房新社 1968
   11c.世界文学全集 8』 河出書房新社 1965
   引用は 11a. に拠りました。


(J12) 谷崎 1962, 1969, etc.
フォルチュナトにさんざんいじめられてできるだけ我慢していた私も、彼が私に侮辱を加えようとしたので、復讐を心に誓わずにいられなかった。もっとも私の性質をよく知っている人は、私が口へ出して彼を威嚇したとは思うまい。つまりは、復讐してやる——これが私の決心した要点だった。だがこうした決心には、やがて危険を予防する気持もあった。ただ彼を懲らすだけでなく、私に罪がふりかからないようにして懲らさなければならなかった。悪を懲らした人が返報を受けては、本当に悪が懲らされたことにならないのだ。そしてまた、悪事を行なった人に「返報されたのだな」と感じさせることができなかったら、やはりそれは懲らすことにならない。

   エドガア・アラン・ポオ=作 谷崎精二=訳 「アモンティラアドの樽」
   12a.ポオ小説全集1 推理小説』(全4巻)新装版 春秋社 1998/09
   12b.エドガア・アラン・ポオ全集1』(全6巻)新装版
      春秋社 1969/10
   12c.エドガア・アラン・ポオ小説全集1 推理小説』(全4巻・別巻1)
      春秋社 1962/05
   これらの訳は、下記 (J13) 谷崎 1929/01 の用字・仮名遣いなどを改めたもの。


(J13) 谷崎 1929
フォルチュナトにさん/゛\苛(いぢ)められて、出來るだけ我慢してゐた私も、彼が更に私に侮辱を加へようとしたので、復讐を心に誓はずにゐられなかつた。尤も私の性質をよく知つてゐる人は、私が口へ出して彼を威嚇(ゐかく)したとは思ふまい。つまりは、復讐してやる——これが私の決心した要點だつた。だがかうした決心にはやがて危險を豫防する氣持もあつた。たゞ彼を懲(こら)すだけでなく、私に罪がふりかゝらないやうにして懲さなければならなかつた。惡を懲した人が返報を受けては、本當に惡が懲された事にならないのだ。そして又、惡事を行つた人に『返報されたのだな』と感じさせる事が出來なかつたら、やはりそれは懲す事にならない。

   ポオ=作 谷崎精二=譯 「アモンティラアドの樽」
   『世界文學全集11 ポオ傑作集 緋文字・其他
   新潮社(非賣品)1929/01(昭和4)


(J14) 佐藤 1919, 1924, etc.
幾度か知れないフォチュナトオの暴害を私は出来るだけは忍んだ。けれども、彼が侮辱を敢てした時、私は復讐を誓つた。君は、私の心の性質を非常によく知つてゐる君は、しかし、私が威嚇を口に洩したとは想像しないであらう。結局(#原文は太字でなく傍点)私は復讐をする。これは私が確実に決定してゐる点である——しかしこの決心の確実こそは、私に軽はずみを戒めたものであつた。私は単に返報するだけではない、然も刑罰をのがれて返報するのだ。若し復讐者が罰せられる程ならば、その復讐は遂げられたことにはならない。同じくまた復讐者が相手の奴に復讐者としての自分を見せつけてやれないやうではその復讐は遂げられたことにはならない。

   14a. E.A. Poe=原作 佐藤春夫=訳 「復讐」
      『定本 佐藤春夫全集28 翻訳・翻案1』(全36巻)
      臨川書店 1998/11
   14b. E.A. Poe=原作 佐藤春夫=訳 「復讐」
      『佐藤春夫全集9』 講談社 1968
   14c. E.A. Poe=原作 佐藤春夫=訳 「復讐」
      『美人』 新潮社 1924/01(大正13)
   14d. 佐藤春夫=訳 「アモンチリャドウの樽(エドガア・アラン・ポオ)」
      『解放』 第6号 1919/11/01(大正8)
   初出は 14d.14a. の底本は 14c.。引用は 14a. に拠りました。


(J15) 平塚 1912, 1996
ホルチュネートから加へられた無數の損害を出來るだけ堪へた私も侮辱された時は誓つて復讐した。だが私の性質をよく知つてゐる人は私が威嚇するやうな言葉を口にしたとは御考へになるまい。己れいつかは復讐せずに置くものかといふこと丈は、實に動かすことの出來ぬ迄、決定した一點で、この覺悟の中には危險な思想を宿してゐた。と言ふのは私自身は罰せられるどころか全く無罪でなければならぬ。報が來るやうな復讐ぢや恨は晴されない。又敵の心に復讐されたといふことを深く感じさせることが出來ないやうでは矢張りいけない。

   ポー=作 平塚らいてう=訳 「アモンティレードの樽」
   15a. 川戸道昭+榊原貴教=編 ナダ出版センター=制作
      『明治翻訳文学全集《新聞雑誌編》19 ポー集』(全50巻・別巻2)
      大空社 1996/06
   15b. 『青踏』 1912/06(明治45)
   初出は 15b.15a.15b. を複製したもの。引用は 15a. に拠りました。


■日本語表記のゆれ Transliteration variations in Japanese

 "Amontillado" のカタカナ表記

  アモンチリャドウ………佐藤 1919, 1924
  アモンティラド…………吉田 1970, 1971
  アモンティラアド………谷崎 1929, 1962, 1969, 1998
  アモンティラード………八木 2006
  アモンティラード………大岡 1998
  アモンティラード………佐伯 1974
  アモンティリァード……金原 2002
  アモンティリャード……柴田 2010
  アモンティリャード……小川 2006
  アモンティリャード……李 2002
  アモンティリャード……中島+清水+多賀谷 1989
  アモンティリャード……松村 1965, 1968, etc.
  アモンティリャアド……田中 1974
  アモンティレード………平塚 1912, 1996

 "Fortunato" のカタカナ表記

  フォチュナトウ…………佐藤 1919, 1924
  フォルチュナアト………田中 1974
  フォルチュナト…………谷崎 1929, 1962, 1969, 1998
  フォルチュナート………金原 2002
  フォルチュナート………中島+清水+多賀谷 1989
  フォルテュナート………松村 1965, 1968, etc.
  フォルテュナト…………吉田 1970, 1971
  フォルトゥナート………柴田 2010
  フォルトゥナート………八木 2006
  フォルトゥナート………小川 2006
  フォルトゥナート………大岡 1998
  フォルトゥナート………佐伯 1974
  フォーチュネート………李  2002
  ホルチュネート…………平塚 1912, 1996


 Audio 1 
「アモンティリャードの樽」 ロシア語版オーディオブック(朗読)
Бочонок Амонтильядо : Audiobook in Russian

Uploaded to YouTube by Книгочей Наш on 12 Jan 2016.


■ロシア語訳 Translation into Russian

Тысячу обид я безропотно вытерпел от Фортунато, но, когда он нанес мне оскорбление, я поклялся отомстить. Вы, так хорошо знающий природу моей души, не думаете, конечно, что я вслух произнес угрозу. В конце концов я буду отомщен: это было твердо решено, -- но самая твердость решения обязывала меня избегать риска. Я должен был не только покарать, но покарать безнаказанно. Обида не отомщена, если мстителя настигает расплата. Она не отомщена и в том случае, если обидчик не узнает, чья рука обрушила на него кару.

  • Эдгар Аллан По. Бочонок амонтильядо. Translated by О.Холмской. Источник: "Эдгар По. Стихотворени. Проза", Изд-во "Худ.лит.", Москва, 1976, Библиотека Всемирной литературы, Серия вторая - литература XIX в.
  • OCR: Alexander Jurinsson
  • E-text at Lib.Ru

■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

Хилядите несправедливости на Фортунато понесох, доколкото съумях, но когато той дръзна да ме обиди, аз се зарекох да отмъстя. Вие, които така добре познавате естеството на моята душа, едва ли бихте допуснали, че съм изрекъл някаква заплаха. Най-после мъст — този въпрос беше решен категорично, но самата категоричност на решението ми изключваше идеята за риск. Трябва не просто да накажа, а да накажа безнаказно. Една злина не е поправена, щом възмездието засегне поправящия. И еднакво непоправена е тя, ако отмъстителят не принуди сторилия злината да осъзнае отмъщението.

   Едгар Алън По. Бъчвата с Амонтилядо
   Translated by Огнян Ковачев, 1999
   E-text at Моята библиотека (chitanka.info)


 Audio 2 
「アモンティリャードの樽」 ポーランド語版オーディオブック(朗読)
Beczka Amontillada : Audiobook in Polish

Uploaded to YouTube by ThePietruchowski on 15 Dec 2012.


■ポーランド語訳 Translation into Polish

Zemsta, Kara Tysiące krzywd, zadanych mi przez Fortunata, zniosłem cierpliwej, niźli to było w mej mocy, lecz gdy doszło do zniewagi, poprzysiągłem sobie zemstę. Wy wszakże, którzy dobrze znacie mój charakter, nie pomyślicie chyba, że się zdradziłem choćby jedną pogróżką. Prędzej, później pomsta nadejść musiała — było to postanowienie, które zapadło ostatecznie. Sama jednak doskonałość powziętego pomysłu wykluczała wszelką myśl o narażeniu go na niebezpieczeństwo. Winienem był nie tylko ukarać, lecz ukarać bezkarnie. Nie wytępi obelgi ta kara, która tępiciela dosięga. Nie wytępi i wówczas, gdy pomstujący zaniedba odsłonięcia swej osoby przed tym, kto go zelżył.

   Beczka Amontillada by Edgar Allan Poe
   Translated by Bolesław Leśmian
   E-text at Wolne Lektury


■スウェーデン語訳 Translation into Swedish

T han tusen skador av Fortunato jag hade burit som jag bäst kunde, men när han vågade sig på förolämpa jag svor att hämnas. Du, som så väl vet vilken typ av min själ, kommer inte att tro, men det gav uttryck åt ett hot. Till sist skulle jag hämnas, vilket var en punkt definitivt, fast - men själva definitiveness som det beslutades förhindrad tanken på risken. Jag ska inte bara straffa utan straffa ostraffat. Ett fel är unredressed när vedergällning förbi sin redresser. Det är lika unredressed när hämnare underlåter att göra sig känt som sådant till honom som har gjort fel.

   Fat av Amontillado by Edgar Allan Poe
   Excerpt at sevenCrystal.com


■チェコ語訳 Translation into Czech

Bezpočet příkoří, jimiž mne Fortunato sužoval, jsem snášel trpělivě; jakmile se však opovážil urážet mě, zapřisáhl jsem se, že se mu pomstím. Vy, kteří tak dobře znáte mou pravou povahu, zajisté nepředpokládáte, že jsem svou hrozbu vyslovil nahlas. Jednou, až nastane čas, pomsta přijde - to jsem si nezvratně umínil; a právě nezvratnost tohoto rozhodnutí mi zapovídala riskovat nezdar. Musím nejen trestat, musím trestat beztrestně. Křivda zůstává neodčiněna, jestliže se odplata vymstí tomu, kdo odplácí. A právě tak zůstává neodčiněna, jestliže se mstitel neodhalí jako mstitel tomu, kdo se křivdy dopustil.

   Sud vína by Edgar Allan Poe
   E-text at V noci jsem snil, že jsem motýlem


 Audio 3 
「アモンティリャードの樽」 ドイツ語版オーディオブック(朗読)
Das Faß Amontillado : Audiobook in German

Uploaded to YouTube by Edgar Allan Poe on 8 Jul 2012.


■ドイツ語訳 Translation into German

Alle die tausend kränkenden Reden Fortunatos ertrug ich, so gut ich konnte, als er aber Beleidigungen und Beschimpfungen wagte, schwor ich ihm Rache. Ihr werdet doch nicht annehmen – ihr, die ihr so gut das Wesen meiner Seele kennt –, daß ich eine Drohung laut werden ließ. Einmal würde ich gerächt sein! Aber die Bestimmtheit, mit der ich meinen Entschluß faßte, verbot mir alles, was mein Vorhaben gefährden konnte. Ein Unrecht ist nicht bestraft, wenn den Rächer Vergeltung trifft für seine Rachetat; es ist auch nicht bestraft, wenn es dem Rächer nicht gelingt, sich als solcher seinem Opfer zu zeigen.

   Das Faß Amontillado by Edgar Allan Poe
   E-text at Zeno.org


 Audio 4 
イタリア語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Italian

Uploaded to YouTube by Ménéstrandise Audiolibria on 6 Aug 2013.


■イタリア語訳 Translation into Italian

Avevo sopportato come meglio avevo potuto le mille offese di Fortunato. Ma quando egli si spinse sino ad insultarmi giurai vendetta. Voi pero' che ben conoscete la natura del mio animo non immaginerete certo che io possa avere espresso alcuna minaccia. Mi sarei vendicato COL TEMPO; questo lo avevo ben stabilito, ma la determinazione stessa con la quale avevo deciso di agire precludeva ogni idea di rischio. Non soltanto dovevo punire, ma dovevo farlo senza riportarne danno. Un torto non e' riparato, se la punizione ricade sul vendicatore; e rimane ugualmente inespiato, se il vendicatore non riesce a farsi riconoscere da colui che gli ha recato offesa.

   Il Barilozzo di Amontillado by Edgar Allan Poe
   E-text at Readme.it


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Suportei o melhor que pude as mil e uma injúrias de Fortunato; mas quando começou a entrar pelo insulto, jurei vingança. Vós, que tão bem conheceis a natureza da minha índole, não ireis supor que me limitei a ameaçar. Acabaria por vingar-me; isto era ponto definitivamente assente, e a própria determinação com que o decidi afastava toda e qualquer idéia de risco. Devia não só castigar, mas castigar ficando impune. Um agravo não é vingado quando a vingança surpreende o vingador. E fica igualmente por vingar quando o vingador não consegue fazer-se reconhecer como tal àquele que o ofendeu.

   O Barril de "Amontillado" by Edgar Allan Poe
   E-text at Cultura Brasileira


■カタルーニャ語訳(カタロニア語訳) Translation into Catalan

Havia suportat el millor que podia les mil injúries de Fortunato. Però quan arribà l’insult, jurí venjar-me. Vosaltres, que coneixeu tan bé la naturalesa del meu caràcter, no arribareu a suposar, no obstant això, que pronunciara la menor paraula respecte al meu propòsit. A la llarga, jo em venjaria: això era definitiu. Però la mateixa decisió amb què ho havia resolt excloïa tota idea de perill per la meua part. No sols havia de castigar, sinó castigar impunement. Una injúria queda sense reparar quan el seu just càstig perjudica el venjador. Igualment queda sense reparació quan aquesta deixa de donar a entendre a qui li ha agreujat que és ell qui es venja.

   La bóta d'amontillado by Edgar Allan Poe
   E-text at 1 - Castellnou Editora Valenciana [PDF]


 Audio 5 
「アモンティリャードの樽」 スペイン語版オーディオブック(朗読)
El barril de amontillado : Audiobook in Spanish

Uploaded to YouTube by COHENAMANTEDEHASHEM on 13 Oct 2012.


■スペイン語訳 Translation into Spanish

Lo mejor que pude había soportado las mil injurias de Fortunato. Pero cuando llegó el insulto, juré vengarme. Ustedes, que conocen tan bien la naturaleza de mi carácter, no llegarán a suponer, no obstante, que pronunciara la menor palabra con respecto a mi propósito. A la larga, yo sería vengado. Este era ya un punto establecido definitivamente. Pero la misma decisión con que lo había resuelto excluía toda idea de peligro por mi parte. No solamente tenía que castigar, sino castigar impunemente. Una injuria queda sin reparar cuando su justo castigo perjudica al vengador. Igualmente queda sin reparación cuando ésta deja de dar a entender a quien le ha agraviado que es él quien se venga.

   El barril de amontillado by Edgar Allan Poe
   E-text at Ciudad Seva


 Audio 6 
「アモンティリャードの樽」 フランス語版オーディオブック(朗読)
La barrique d'Amontillado : Audiobook in French

Uploaded to YouTube by Cécile Gatina on 6 Mar 2013.


■フランス語訳 Translation into French

J'avais supporte du mieux que j'avais pu les mille injustices de Fortunato; mais, quand il en vint a l'insulte, je jurai de me venger. Vous cependant, qui connaissez bien la nature de mon ame, vous ne supposerez pas que j'aie articule une seule menace. A la longue, je devais etre venge; c'etait un point definitivement arrete; -- mais la perfection meme de ma resolution excluait toute idee de peril. Je devais non seulement punir, mais punir impunement. Une injure n'est pas redressee quand le chatiment atteint le redresseur; elle n'est pas non plus redressee quand le vengeur n'a soin de se faire connaitre a celui qui a commis l'injure.

  • La Barrique d'amontillado, publiee dans l'ouvrage d'Edgar Poe, Nouvelles histoires extraordinaires (traduction de Charles Baudelaire, 1857)
  • E-text at Wikisource

 Audio 7 
「アモンティリャードの樽」 朗読: ロイ・マクレディ
The Cask of Amontillado read by Roy Macready

Produced by SpidersHouseAudio


■英語原文 The original text in English

The thousand injuries of Fortunato I had borne as I best could; but when he ventured upon insult, I vowed revenge.  You, who so well know the nature of my soul, will not suppose, however, that I gave utterance to a threat.  _At length_ I would be avenged; this was a point definitively settled - but the very definitiveness with which it was resolved, precluded the idea of risk.  I must not only punish, but punish with impunity.  A wrong is unredressed when retribution overtakes its redresser.  It is equally unredressed when the avenger fails to make himself felt as such to him who has done the wrong.


■更新履歴 Change log

  • 2016/02/26 ロシア語版オーディオブックとイタリア語版オーディオブックのYouTube 画面を追加しました。
  • 2016/02/25 Thad Ciechanowski 監督による映画 (2011) の予告編映像を追加しました。
  • 2013/09/09 ポーランド語版オーディオブックとドイツ語版オーディオブックの2本の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/08/08 松村達雄=訳を追加しました。
  • 2013/05/20 目次を新設しました。
  • 2013/04/07 カタルーニャ語訳、スペイン語版とフランス語版オーディオブック、およびEdgar Allan Poe: Terror of the Soul (1995) の YouTube 動画を追加しました。
  • 2013/03/05 Nightmares from the Mind of Poe (2006) の動画リンクを張りました。
  • 2013/02/11 ブルガリア語訳を追加しました。
  • 2012/07/07 ポーランド語訳を追加しました。
  • 2011/11/16 柴田元幸=訳 2010/01/20 の訳文を挿入しました。また、李三宝=訳2002 を追加しました。
  • 2011/02/01 柴田元幸=訳の書誌情報を追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。また、ロシア語訳とスウェーデン語訳を追加しました。さらに、ブログ記事のタイトルをつぎのように変更しました。
    • 旧題: The Cask of Amontillado by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー「アモンティラードの樽」
    • 新題: The Cask of Amontillado by Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポー 「アモンティリャードの樽」「アモンティラードの樽」
  • 2011/01/28 ドイツ語訳、イタリア語訳、およびポルトガル語訳を追加しました。
  • 2010/09/08 Cask of Amontillado, an animation by Ace Gallagher の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/05/26 Stephen J. Conley と John Dur の両監督によるアニメとロイ・マクレディによる朗読の計2本のYouTube 動画を追加しました。
  • 2010/04/20 曹明伦による中国語訳(簡体字)を追加しました。
  • 2009/11/08 チェコ語訳を追加しました。
  • 2009/08/25 中國語譯(繁體字)を追加しました。
  • 2007/11/18 佐藤春夫=訳 1998/11, 1924/01, 1919/11 を追加しました。
  • 2007/07/16 平塚らいてう=訳 1996/06, 1912/06 を追加しました。
  • 2007/06/17 谷崎精二=譯 1929/01 を追加しました。
  • 2007/06/07 中島剛+清水武雄+多賀谷弘孝=訳 1989/11 を追加しました。
  • 2007/04/13 スペイン語訳を追加しました。
  • 2007/03/13 谷崎精二=訳に関する書誌情報を補足しました。
  • 2007/02/21 大岡玲=訳 1998/03 を追加し、"Amontillado" と "Fortunato" の日本語表記に関する注釈を補足しました。
  • 2006/11/24 中国語訳(簡体字)を追加しました。
  • 2006/11/23 小川高義=訳 2006/10 を追加しました。
  • 2006/09/28 Amazon.co.jp や電子テキストの該当ページへのリンクを張りました。
  • 2006/05/16 佐伯彰一=訳 1974 を追加しました。"Amontillado" と "Fortunato" の日本語表記に関する注釈をつけました。
  • 2006/04/25 八木敏雄=訳 2006 を追加し、書誌情報を修正・補足しました。
  • 2006/04/18 吉田健一=訳 1971 を追加しました。

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