Pu Songling "Liao Zhai Zhi Yi" 蒲松齢『聊斎志異』

Monday, 03 September 2007

蒲松齢 「偸桃」(『聊斎志異』より) Strange Stories from a Chinese Studio by Pu Songling (4)

        目次 Table of Contents

 Video 1  The Indian Rope Trick - Penn & Teller
 Video 2  The Most Elusive Trick in History, BBC Prime!
■ロシア語訳 Translation into Russian
■英訳 Translations into English
  (E1) Minford, 2006
  (E2) Giles, 1880
■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese
  (J1) 黒田 2009, 2011
  (J2) 立間 1997
  (J3) 戸倉 1990
  (J4) 金 1989
  (J5) 増田+松枝+常石 1971
  (J6) 柴田 1956, 1987, etc.
  (J7) 佐藤 1929, 1948, etc.
  (J8) 田中 1926, 1997, etc.
■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese
■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese
 Images  空にのびたロープの先から子供の首が落ちてくる
■バラバラ死体のマジック:その真偽は? ルーツは? Is this all hocus-pocus?
  (1) Indian rope trick
  (2) 17世紀の目撃証言:蒲松齢とE・メルトン
  (3) tomoki y. の記憶
  (4) 伝来の径路
■更新履歴 Change log


 Video 1 
The Indian Rope Trick - Penn & Teller

Uploaded to YouTube by awakekiwi on 16 Aug 2008. A segment from Penn & Teller's Magic and Mystery Tour.


 Video 2 
The Most Elusive Trick in History, BBC Prime!

Uploaded to YouTube by coder's channel on 26 Dec 2009


■ロシア語訳 Translation into Russian

[Omission]
  И вот сын ухватился за веревку и, извиваясь по ней, стал лезть вверх. Он перебирал руками, за которыми шли следом ноги, и лез, словно паук по паутине. Лез, лез – и понемногу стал уже входить в тучи, в высокое небо, где его стало больше не видать.
  Прошло довольно долгое время – и вдруг упал персик, величиной с хорошую чашку. Фокусник пришел в восторг, схватил персик и поднес господам в зале. В зале стали друг другу его передавать, рассматривать… Прошло опять порядочное время, а господа не могли понять, настоящий это или фальшивый.
  Вдруг веревка упала на землю. Фокусник принял испуганный вид.
– Погибло все, – вскричал он. – Там наверху кто-то срезал мою веревку. На чем же будет теперь мой сын?   Через несколько минут что-то упало. Фокусник посмотрел – оказывается, то была голова его сына. Он схватил ее обеими руками и стал плакать.
– Значит, он там крал персик, – причитал отец, – а надзиратель заметил… Сынок, пропал ты!
  Прошло еще некоторое время. Упала одна нога. За ней вскоре стали падать вразброд разные члены тела…
[Omission].

   Крадет персик
   Рассказы Ляо Чжая о необычайном
   Translated by Василий Михайлович Алексеев
   E-text at Либрусек


■英訳 Translations into English

(E1) Minford, 2006
[Translation text to be inserted later]

   12. Stealing a Peach
   Strange Tales from a Chinese Studio by Pu Songling
   Translated by John Minford
   Penguin Classics, 2006-05-25


(E2) Giles, 1880
[Omission]
  So his son seized the rope and swarmed up, like a spider running up a thread of its web; and in a few moments he was out of sight in the clouds. By-and-by down fell a peach as large as a basin, which the delighted father handed up to his patrons on the dais, who were some time coming to a conclusion whether it was real or imitation.
  But just then down came the rope with a run, and the affrighted father shrieked out, “Alas! alas! some one has cut the rope: what will my boy do now?” and in another minute down fell something else, which was found on examination to be his son’s head. “Ah me “said he, weeping bitterly and showing the head; “the gardener has caught him, and my boy is no more.” After that, his arms, and legs, and body, all came down in like manner; [Omission].

   104. Theft of the Peach
   ‪Strange Stories from a Chinese Studio‬ ‪by Pu Songling
   Translated by‪ Herbert A. Giles‬
‪   T. De la Rue & Company, 1880‬
   Preiew at Google Books
   Reprint editions include:
   Strange Stories From a Chinese Studio, Vol. 2 of 2 Forgotten Books, 2010-04-17
   E-text at Internet Archive: Wayback Machine


‬ ■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese

(J1) 黒田 2009, 2011
(……)
 それを聞いて、子供はしぶしぶ縄を持つと、ゆらりゆらり登っていき、まるでクモが糸をはうように手足を動かし、次第に雲の中に入って行くと、まったく見えなくなったのである。
 しばらくすると、お椀くらいの大きな桃が一個、空から落ちて来た。手品師は喜んでそれを大広間に持って行き、恭しく差し出した。広間の役人たちは、長い間、互いに手渡してはじろじろ見つめていたが、真偽のほどはわからなかった。不意に縄が地上に落ちてきた。手品師は、ギョッとして叫んだ。
「大変だ、天界で誰か縄を切っちまった。坊主はどうすりゃいいんだ。」
 ほどなくして、ドサッと何かが落ちた。見れば、子供の首だった。父は手に捧げ持つと、泣きわめいて言った。
「これはきっと桃を盗んだのが、見張り番に見つかっちまったんだ。ああ、もう万事休すだ。」
 さらに片足が落ちてきた、と思うと間もなく手足と胴体が一つ残らずバラバラと落ちてきた。(……)

   蒲松齢(ほ・しょうれい) 『聊斎志異』
   a. 「偸桃(ちゅうとう)」(天界の桃を盗む少年の話)
     楊逸(ヤン・イー)=著 黒田真美子(くろだ・まみこ)=現代語訳
     『楊逸が読む聊斎志異』 明治書院 2011/09/30 所収
   b. 「偸桃」(桃を偸む) (巻1-13)
     竹田晃(たけだ・あきら)+黒田真美子=編 黒田真美子=著
     『聊斎志異1 清代1』 中国古典小説選9 明治書院 2009/04/10 所収
   引用は b. に拠りました。原文の傍点を下線で置き換えました。b.
   底本は次の書物:

   底本:
   会校会注会評本 『聊斎志異』 (張友鶴輯校、上海古籍出版社 
   1986-08 第一版、1987-10 第四次印刷)。本書は、1963年、中華書局
   上海編輯所で出版された張友鶴輯校、いわゆる三会本12巻に、章培恒
   「新序」を付したもの。


(J2) 立間 1997
(……)
 子供はそこで縄をにぎり、くるくる回りながらよじ登りはじめた。まるで蜘蛛が糸をつたうようにすいすいと登っていって、やがて雲のなかに姿を消してしまったが、しばらくして、どんぶりほどもある大きな桃がひとつ落ちてきた。手品師は大喜びで早速広間に届ける。役人たちはかわるがわる手にとってとみこうみしていたが、本物かどうかいっこうに決めかねていた。
 ところへ不意に縄が落ちてきた。
「もうだめです。上に誰かがいて縄を切ったのです。これで息子は下りてこれなくなってしまいました」
 手品師が仰天して叫ぶとき、何かが落ちてきた。見れば子供の首である。手品師がその首を捧げ持って、
「桃を盗んだのを番人にみつかったのです。息子もこれで終わりです」
 と泣きだしたとき、足が一本落ちてき、ついで残りの足や身体がばらばらになって落ちてきた。(……)

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 立間祥介(たつま・よしすけ)=編訳
   「桃盗人—偸桃(ちゅうとう)」
   『聊斎志異(上)』 全2冊 岩波文庫 1997/01 所収


(J3) 戸倉 1990
(……)
 そう言われて子供は縄を取り、くるりくるりとまわりながら昇って行った。手が移れば足が従い、まるで蜘蛛(くも)が糸を伝わっていくようである。しだいに雲の彼方に達し、やがて姿も見えなくなった。しばらくすると、桃が一つ落ちてきた。椀(わん)ほどもある大きな桃である。術師は喜び、恭(うやうや)しく役人に差し出した。広間ではそれを手から手へ渡し、長いことかかってあらためたが、それが本物の桃かどうかはわからなかった。
 とその時、縄が地面に落ちてきた。術者はびっくりして言った。
 「たいへんだ! 誰かが上で縄を切った。息子はどうなるんだ!」
 ややあって、一つの物が落ちてきた。見れば子供の首である。術者はそれを捧げ持ち、泣きながら言った。
 「桃を偸(ぬす)んで、番人に見つかったに違いない。こんなざまになって!」
 またややあって、一本の足が落ちてきた。またつづけて胴やら腕やらバラバラと落ちてきたが、どれも原形を留めているものはなかった。(……)

   蒲松齢=著 戸倉英美(とくら・ひでみ)=訳・解説
   聊斎志異 「偸桃(とうとう)」
   竹田晃=編 『中国幻想小説傑作集
   白水Uブックス91 白水社 1990/12 所収


(J4) 金 1989
 (……)子供はそれを聞くとようやく縄を取り、ぐるぐるまわるように登っていった。手が移るとあとから足がついてゆき、まるで蜘蛛(くも)が糸の上をはうようで、そのうちに雲の中へと消え、とうとう見えなくなった。
 それからどれほどたっただろうか。上からお椀ほどもある桃が一つおちてきた。手品師はよろこんで、それを広間の役人に献上する。広間の上では、みな次から次へと手にとってじっくり見たが、本物かどうか誰も分からない。
 その時、突然縄がドサリと地面に落ちた。手品師はびっくりして、
 「大変だ。上でだれかが縄を切ったらしい。命の綱が切れてしまっては、息子はどうやっておりられよう」
 と言ううちに、まもなく、なにか物がおちてきた。みれば、なんと子供の首ではないか。父親はその首を両手にささげもって、泣きながら言った。
 「きっと桃をぬすんだのを番人にみつかったにちがいない。息子はもうおしまいじゃ」
 またしばらくすると、今度は足がひとつおちてくる。まもなく、手足、胴体が次から次へとバラバラに、とうとう体中ひとつ残らずおちてきた。
(……)

   蒲松齢=作 金文京(きん・ぶんきょう)=著(現代語訳)
   「偸桃」 聊斎志異
   『鑑賞 中国の古典23 中国小説選』 角川書店 1989/11 所収


(J5) 増田+松枝+常石 1971
(……)
 子供はそれを聞くと縄を持った。そしてゆらりゆらりとゆれながら上がっていった。手が移ると足もついて上がる。まるで蜘蛛(くも)が蜘蛛の糸を伝わるようだった。だんだん上がって雲の中へはいってゆき、もう見えなくなってしまった。しばらくたってから、桃の実が一つころがり落ちてきた。椀(わん)くらいの大きな桃だった。手品使いはよろこんで、それを持って広間の役人に差し出した。役人たちは次から次へ手にとって、しばらくながめていたが、真物(ほんもの)かどうかハッキリしたことが分からないでいた。ふと縄がドサリと地上に落ちて来た。手品使いは吃驚(びっくり)していった。
「こりゃ大へんだ。誰かが空中でわしの縄をたち切った。子供の命の縄を切ってしまった」
 間もなく何かが落ちて来た。よく見るとそれは子供の首であった。その首を両手に捧げて泣きながらその男はいった。
「きっと桃を盗んだのを番人に見つかったのだ。息子(むすこ)はやられた!」
 すると、足が片方落ちて来た。やがてまた手足と胴体とがバラバラになって落ちて来た。(……)

   蒲松齢=作 増田渉+松枝茂夫+常石茂=訳
   「桃を盗む少年(偸桃)」
   『聊斎志異(上)』 中国古典文学大系40(全60巻)
   平凡社 1970/04 所収


(J6) 柴田 1956, 1987, etc.
(……)
 子(こども)は、乃(そこで)、索(なは)を持つて盤旋(する/\)と上りはじめた。手が移る。足が随(つい)てゆく。まるで蛛(くも)が絲を趁(つた)ふやうに、雲霄(そら)に入つていつて、たうとう見えなくなつてしまつた。
 と、久之(しばらく)して桃が一つ墮ちてきた。〓(わん)のやうな大きさである。術人(てづまし)は喜んで、それを持つて公堂(ひろま)にのぼり、やくにんに獻(さしあ)げた。堂上(ひろま)のひとたちは、手から手にそれを傳(まは)して、しばらくのあひだ視(み)てゐたけれど桃の眞僞はわからなかつた。
 忽ち繩が地上に落ちて來た。術人(てづまし)は驚いてさけんだ、
 「殆矣(あぶない)! 上(そら)に人(だれ)かゐて、吾(わし)の繩を斷(き)つてしまつた! 兒(せがれ)は焉(なに)に託(たよ)るのだ!」
 そのうちに墮ちてきた物があるので、かけよつて視ると、子(せがれ)の首だつた。おやぢはそれを捧げて、泣きながら曰ふのである、
 「こりやあ必(きつ)と、桃を偸(ぬす)んだのを監者(ばんにん)に覺られたにちがひない。吾兒(せがれ)は休矣(だめ)だ!」
 それから又移時(しばらく)すると、一足(かたあし)が落ちてきた。そして無何(まもな)く、肢(あし)や體が紛々(ばら/\)になつて墜ちてきた。復(も)う存(のこ)つてゐるものは無いのである。(……)
(〓は央の下に皿)

   蒲松齢=作 柴田天馬=訳 「偸桃(とうたう)」
   a. ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(大活字版)』 第三書館 2007/01 所収
   b. ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(愛蔵版)』 第三書館 2004/07 所収
   c.ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊』 第三書館 1987/06 所収
   d.完譯聊齋志異8』(全8巻) 角川文庫 1957/04 所収
 
   引用は d. に拠りました。


(J7) 佐藤 1929, 1948, etc.
(……)
 子供はそこで縄につかまつてぐるり/\廻りながら上(あが)つて行きました。一つの手が挙ると一つの足もそれにつれて挙るのです。まるで蜘蛛が巣の上を走るようにする/\と高くなつて行つて、次第に雲の中へ姿をかくし、今はもうすっかり見えなくなつたのでした。
 しばらくたつと桃の実が一つ落ちて来ました。お椀ぐらゐの大きさの桃でした。手品師は喜んでそれをお役人にさゝげました。お役人達はその桃を順々に手に取つてしらべて見てゐましたが、ほんとうの物か偽(にせ)の物かわからないようでした。
 すると突然縄が地面の上へ落ちて来ました。手品師は悲しげに、
「あぶない。誰か上で縄を切つたやつがゐる。倅(せがれ)はつかまるところがないだらうに」
 少したつて何か上から落ちて来ました。よく視ると登つて行つた子供の首なのでした。手品師はそれを両手に捧げて泣いていひました。
「こりやあ、きっと、桃を盗んだので番人に見つけられたんだぞ。あゝ、倅ももうだめだ」
 また少したつと足が一本落ちて来ました。それからすぐに胴や手や足がばら/\と降つて来ました。皆ちぎれちぎれで、一つとして繋(つな)がつてゐるものはないのでした。(……)

   佐藤春夫=著 「桃を盗んだ子」
   a. 定本 佐藤春夫全集28 翻訳・翻案1』(全36巻)
     臨川書店 1998/11 所収 
   b.支那童話集』 復刻版日本児童文庫13 名著普及会 1981/10 所収
   c.百花村物語』 新日本少年少女選書 湘南書房 1948/03 所収
   d.佐藤春夫全集2 短篇小説』(全3巻) 日本文学大全集
     改造社 1932 所収
   e. 支那童話集』 日本児童文庫 アルス 1929/01(昭和4)所収

   佐藤春夫=著 「童話 桃を盗んだ児」
   f.東京日日新聞』 1929/01/01(昭和4)収載

   b.e. の復刻版。 初出は f.。引用は a. に拠りました。


(J8) 田中 1926, 1997, etc.
(……)
 子供はそこで繩を登つて往つた。それはちやうど蛛(くも)が糸を傅つて往くやうであつた。そしてだんだん雲の中へ登つて往つて見えないやうになつた。
 暫くして空から一つの桃が墜ちて來た。それは椀よりも大きなものであつた。彼の男は喜んで、それを堂の上の官人にたてまつつた。官人は順順にそれを見たが、それは眞(ほんとう)の桃であるかないかをしらべるやうなさまであつた。と、忽ち繩が空から落ちて來た。彼の男は驚いて叫んだ。
『あぶない、天に人がゐて、繩を斷つたのだ、悴がたいへんだ、』
 暫くして空から物が堕ちて來た。それは子供の首であつた。彼の男は首を抱きかかへて泣いて云つた。
『これは、きつと、桃を偸んでゐて、番人に見つかつたのだ。』
 又暫くして一つの足が落ちて來たが、それにつづいて手も胴も體もばらばらと堕ちて來た。(……)

   蒲松齢=著 田中貢太郎=訳 「偸桃」
   a.偸桃」 『聊斎志異』 青空文庫(電子テキスト)新字新仮名
     入力: 門田裕志 校正: 松永正敏 アップロード: 2007/08/12
   b. 公田 連太郎(こうだ・れんたろう)=注
     『聊斎志異』 明徳出版社 1997/04/30
   c.支那文學大觀12』 「聊齋志異」
     支那文學大觀刊行會 非賣品 1926/03(大正15)所収

   a. の底本は b.b. c. の複製。引用は c. に拠りました。


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

(……)子乃持索,盘旋而上,手移足随,如蛛趁丝,渐入云霄,不可复见。久之,坠一桃如碗大。术人喜,持献公堂。堂上传示良久,亦不知其真伪。
    忽而绳落地上,术人惊曰:“殆矣!上有人断吾绳,儿将焉托!”移时一物坠,视之,其子首也。捧而泣曰:“是必偷桃为监者所觉。吾儿休矣!”又移时一足落;无何,肢体纷坠,无复存者。(……)

   聊斋志异   蒲松龄 著
   巻一 偷桃
   E-text at:
   * 亦凡書庫 (yifan.net)
   * 時代書城 (mypcera.com)


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

(……)子乃持索,盤旋而上,手移足隨,如蛛趁絲,漸入雲霄,不可復見。久之,墜一桃,如碗大。術人喜,持獻公堂。堂上傳視良久,亦不知其真偽。
  忽而繩落地上,術人驚曰:「殆矣!上有人斷吾繩,兒將焉託!」移時,一物墮。視之,其子首也。捧而泣曰:「是必偷桃,為監者所覺。吾兒休矣!」又移時,一足落;無何,肢體紛墮,無復存者。(……)

   聊齋志異 蒲松齡
   卷一 偷桃
   E-text at 漢川草廬 (www.sidneyluo.net)


 Images 
空にのびたロープの先から子供の首が落ちてくる

a. Zpage256 b. Toutao_2 c. Toutao81_2

↑ Click to enlarge ↑

■バラバラ死体のマジック:その真偽は? ルーツは?
 Is this all hocus-pocus?

(1) Indian rope trick

  • 空からバラバラ死体が落ちてきたあと、また元どおりに一つになる。
    ——この奇抜な手品は、インドや中国では、かなり昔からあったらしいです。さかのぼれば、北魏や唐末などの目撃者の記録も残っています。マルコ・ポーロ (1254-1324) はインド・中国に滞在中に「インドのロープ・トリック」を見たとされています。
  • イスラム法学者で大旅行家のイブン=バットゥータ (1304- 没年未詳 1368 or 1377 ?) も、1346年、中国・杭州を旅行中に、この「インドの縄の奇術」に似たものを見たと主張しています。
  • 伝承によれば、類似の手品/奇術/マジック/トリックは、16〜19世紀のムガール帝国時代に、西はペシャワールから東はダッカまで、インド亜大陸における、ムガール勢力の中心地(たとえば、パトナ、アグラ、デリーなど)で演じられたとのことです。

(2) 17世紀の目撃証言:蒲松齢とE・メルトン

  • さて、上の引用には含めませんでしたが、「偸桃」の冒頭部分を読むと、蒲松齢じしんは、まだ若かった1659年、山東省の済南で、春分のお祭りの出し物として、この手品が演じられるのを実際に見たということです。
  • 画像〈左〉のイラストを描いたイギリス人の旅行家エドワード・メルトンは、もう1人の目撃者です。1670年、蒲松齢より遅れること11年、ジャワ島のバタビアで、中国人の手品師による同じような奇術を見たそうです。相当インパクトが強かったらしく、おかげで、このような絵が残されました。

(3) tomoki y. の記憶

  • 私 tomoki y. は、残念ながら、このような珍奇なものを目撃する機会にめぐまれません。けれども、このマジックの話じたいは、ずっとまえに読んだことがあります。出典を思い出せませんが、たしか明治生まれの日本人の学者が、戦前の中国かどこかで同じ手品を見た、もしくは見たという人の話を聞いた、というものでした。

(4) 伝来の径路


■更新履歴 Change log

  • 2013/09/09 目次を新設しました。
  • 2012/07/13 つぎの2本の YouTube 動画を追加しました。
    • Video 1: The Indian Rope Trick - Penn & Teller
    • Video 2: 20 of 50 Greatest Magic Tricks - Indian Rope Trick
  • 2012/06/26 ロシア語訳、John Minford による英訳の書誌情報、ならびに Herbert A. Giles による英訳を追加しました。
  • 2011/11/19 竹田晃+黒田真美子=著 2009/04/10 を追加しました。
  • 2010/10/03 田中貢太郎=訳の書誌情報を補足・修正しました。
  • 2007/11/18 佐藤春夫=著 1929/01/01, 1929/01, etc. を追加しました。
  • 2007/09/03 「バラバラ死体のマジック:その真偽は? ルーツは?」の項を、大幅に加筆しました。Wikipedia の記述に拠り、マルコ・ポーロの証言や、おもにインドにおける、この手品の伝播の状況などを補足しました。

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Friday, 31 August 2007

蒲松齢 「陸判」(『聊斎志異』より) Judge Lu - Strange Stories from a Chinese Studio by Pu Songling (3)

           目次 Table of Contents

     Video   『聊斎志異』 「陸判」 《聊斋志异》 陆判
          Judge Lu - Strange Stories from a Chinese Studio
    Audio 1  Flag_of_the_united_kingdomsvg 英訳のオーディオブック Audiobook in English
   ■Flag_of_the_united_kingdomsvg 英訳 Translations into English
     (E1) 王娟 1998
     (E2) Mair & Mair, 1989
     (E3) Lu, Chen, Yang & Yang, 1988 (fragment)
     (E4) Giles, 1880
   ■Flag_of_japan 現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese
     (J1) 黒田 2011
     (J2) 志村 2004
     (J3) 立間 1997/07
     (J4) 立間 1997/01
     (J5) 上野山 1994
     (J6) 中野 1988
     (J7) 丸山 1977
     (J8) 増田+松枝+常石 1971
     (J9) 田中 1970, 1987, etc.
     (J10) 柴田 1956, 1987, etc.
   ■Flag_of_the_peoples_republic_of_c_2 現代中国語による再話 A retelling in contemporary Chinese
    Audio 2  Flag_of_the_peoples_republic_of_c_2 中国語原文のオーディオブック Audiobook in Chinese
   ■Flag_of_the_peoples_republic_of_c_2 中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese
   ■Flag_of_the_peoples_republic_of_c_2 中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese
    Images   表紙画像 Cover photos
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


  Video  
『聊斎志異』 「陸判」 音声: 中国語 字幕: 簡体字中国語 09 of 30
《聊斋志异》 陆判 语言: 中文 字幕: 简体中文 09 of 30


 Audio 1 
英語版オーディオブック 翻訳: H・A・ジャイルズ 朗読: スコット・カーペンター
Audiobook in English, translated by H. A. Giles, read by Scott Carpenter
Librivoxlistmk_2
「陸判」の録音を聴くには 15. 14 - Judge Lu をクリック。下に引用する箇所の朗読は 4:58 あたりから。 Audio courtesy of LibriVox. To listen to Judge Lu, click 15. 14 - Judge Lu. Reading of the excerpt below starts around 4:58.


■英訳 Translations into English

(E1) 王娟 1998
  Suddenly, he in his sleep felt a pain in his stomach. He woke up and saw that Lu, who was sitting on the bed beside him, had opened up his belly and was arranging his entrails. Zhu was shocked and said,
  "We have never been enemies. Why would you kill me?"
  Lu laughed and said, "Don't worry, I am now exchanging your heart for a more intelligent one.
  Lu put his entrails back in a leisurely manner, closed his belly, and then bandaged his waist. [Omission] Seeing Lu placed a lump of flesh on the table, Zhu asked what it was. Lu said, "This is your heart, the reason why you could not write good essays was that the apertures of your heart were blocked. A moment ago, I found and exchanged for you a better heart from thousands of hearts in the nether world, and I will put your heart back in its place."

   42 Judge Lu (3)
   聊齋誌異一百段 王娟 商務印書館(香港), 1998
   Line breaks and indentation were added by tomoki y.


(E2) Mair & Mair, 1989
  Suddenly, in his drunken dream, Zhu was aware of a slight pain in his viscera. He woke up and looked: Lu was sitting upright by the bed drawing entrails out of Zhu's rent abdomen and putting the coils in order.
  "There has 'never been malice between us," said Zhu, shocked. "Why are you killing me?"
  "Never fear. I'm only putting in a brilliant heart in place of yours," said Lu laughingly.
  He calmly stuffed the intestines back in, pushed the incision together and finally wound strips of footbinding cloth around Zhu's loins. [Omission] He asked about the lump of flesh which he noticed the judge putting on the table. "This is your own heart. From your slowness at writing I knew your heart's apertures were blocked. Just now in the nether regions I picked out one excellent heart among tens of thousands. Now I have exchanged it for yours, which I'll keep to make up for the missing one."

   10. Judge Lu
   Strange Tales from Make-do Studio
   Translated by Denis C. Mair and Victor H. Mair
   Foreign Languages Press, 1989
   Snippet view at Google Books
   Line breaks and indentation were added by tomoki y.


(E3) Lu, Chen, Yang & Yang, 1988 (fragment)
[Omission] took note of a pain in his abdomen. He then took out Zhu's inside, rearranging it with great care.
  "You have no rancour against me," cried Zhu, flabbergasted, "Why should you seek to kill me?"
  "Don't be  afraid," said the Judge smiling, "I am just giving you a new and more intelligent heart."
  Placing Zhu's viscera back unhurriedly, he then closed up the opening and tied a puttee round his waist. [Omission] When he saw the Judge place a lump of flesh on the table, he asked what it was. "This was your heart," answered the Judge. "You weren't good at composition because its orifices were stuffed up. From tens of thousands of hearts in store in the nether world, I procured a fine one which I have just put into you. This I'll take back to put in its place."

   Judge Lu
   Strange Tales of Liaozhai by Pu Songling
   Translated by Lu Yunzhong, Chen Tifang, Yang Liyi, and Yang Zhihong
   Commercial Press, 1988


(E4) Giles, 1880
  In his drunken sleep he seemed to feel a pain in his stomach, and waking up he saw that the Judge, who was standing by the side of the bed, had opened him, and was carefully arranging his inside.
  "What harm have I done you?" cried Chu, "that you should thus seek to destroy me?"
  "Don't be afraid," replied the Judge, laughing, "I am only providing you with a more intelligent heart."
  He then quietly put back Chu's viscera, and closed up the opening, securing it with a bandage tied tightly round his waist. [Omission] Here he observed the Judge place a piece of flesh upon the table, and asked him what it was. "Your heart," said the latter," which wasn't at all good at composition, the proper orifice being stuffed up. I have now provided you with a better one, which I procured from Hades, and I am keeping yours to put in its place."

  XIV. Judge Lu. 
  Strange stories from a Chinese studio
  translated and annotated by H. A. Giles (Herbert Allen Giles)
  London: T. De La Rue, 1880
  E-book at Google Books
  Line breaks and indentation were added by tomoki y.


■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese

(J1) 黒田 2011
 朱は夢うつつの中、ふとはらわたに微かな痛みを感じた。ハッとして目を覚ましてよく見ると、陸がベッドの前で正座し、朱の腹を裂いて腸と胃を取り出し、一本一本きちんと仕分けている。ギョッとして、
 「何の怨があって、殺されるんだい。」
と叫ぶと、陸は笑いながら言った。
 「心配することはない、わしは君のために、聰明な心臓と取り換えているだけだよ。」
 陸は落ち着きすまして腸を朱の腹に納め入れると、再び合わせて閉じてから、最後に足を包む布で朱の腰を縛った。(……)陸が肉の塊(かたまり)を卓上に置いたのが目に入ったので、尋ねると、「これは君の心臓なんだ。作文の出来が悪いのは、君の毛穴がつまっているからだとわかったんだ。たまたま冥界の何千何万という心臓の中でいいのを一つ選べたから、君のために取り換えたんだ。これを持って行って数の埋め合わせをするぞ。」

   蒲松齢(ほ・しょうれい) 『聊斎志異』
   「陸判(りくはん)」(美容移植の夢をかなえる話)
   楊逸(ヤン・イー)=著 黒田真美子(くろだ・まみこ)=現代語訳
   『楊逸が読む聊斎志異』 明治書院 2011/09/30 所収。
   原文の傍点を下線で置き換えました。


(J2) 志村 2004
 (……)朱は夢の中で臓腑(ぞうふ)に痛みを感じて目を覚ます。すると、陸が寝台の前に座って、朱の腹を破り、腸と胃を取り出し、一本一本そろえていた。驚いた朱が、
「仇(あだ)も恨みもないはずなのに、どうしてわたしを殺すのだ」
 と尋ねると、判官は笑って、
「恐れなくてもよい。わたしは君のために利口な心と取り替えているのだ」
 と言い、悠然と腸を腹の中に入れて皮を合わせ、足を包む布で朱の腹をしばり、仕事を終えてしまう。(……)判官が肉塊を卓の上に置いたのを見て、
「何ですか」
 と訊くと、
「これはきみの心だ。きみの作文が下手なのは、きみの心の毛穴がふさがっていたためだから、いま冥途にある千万の心の中からよいものを一つ選び出して、きみの心と取り替えたのだ。きみの心は取っておいて、不足した冥途の分を補充するのだ」

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=著 志村有弘(しむら・くにひろ)=訳
   「首のすげかえ(陸判)」
   『聊斎志異の怪』 角川ソフィア文庫 2004/08 所収


(J3) 立間 1997/07
 (……)夢うつつに腹がちくちく痛むのを覚えて目をさました。見れば陸判官(りくはんがん)が寝台に座り、朱(しゅ)の破れた腹から腸を引き出してきれいにのばしているではないか。朱は驚いて抗議した。
 「わたしはあなたに恨まれるようなことをした覚えはありません。それなのに殺すとはひどいではありませんか」
 「ははは、ご心配にはおよばぬ。貴公(きこう)の心をできのよい心と取り替えているところでござる」
 陸判官は落ち着きはらって腸を腹に納めると、腹の皮を合わせ、最後に布でぐるぐる巻きにした。(……)陸判官が肉の塊(かたまり)を机のうえにおいたので、
 「それはなんですか」
と聞くと、
 「これは貴公の心でござる。貴公が小論文をうまく書けないのは、心の穴が詰まっているからでござったが、さきほど冥土(めいど)で何千何万という心のなかから、一ついいものを見つけたので、取り替えて差し上げたのでござる。こちらの心はこれから持って行って、向こうの腹の穴に埋めてまいる」
[ルビを一部省略しました - tomoki y.]

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 立間祥介(たつま・よしすけ)=編訳
   「首のすげかえ」 (原題・陸判)
   『聊斎志異』 岩波少年文庫 1997/07 所収


(J4) 立間 1997/01
 (……)夢うつつに腹がちくちく痛むのを覚えて目をさました。見れば陸が寝台に坐り、破った腹から臓物を引き出して揃えているではないか。驚いて、
「あなたに恨まれる筋合いもないのに、殺すとはひどいではありませんか」
 と言うと、陸は、
「ご心配には及ばぬ。貴公のためにできのよい心と取り替えているところでござる」
 と笑い、落ち着きはらって臓物を腹に納めると、腹の皮を合わせ、最後に足に巻く布(纏足の足を巻く包帯状の長い布)を巻きつけた。(……)陸が肉の塊りを机のうえに置いたので、「それは何」ときくと、
「これは貴公の心でござる。貴公が文章をうまく書けないのは、心の穴が詰まっているからでござったが、さきほど冥土で何千何万という心のなかから、一ついいの[ママ]ものを見つけたので、取り替えて差し上げたのでござる。こちらの心はこれから持って行って員数を合わせてまいる」

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 立間祥介(たつま・よしすけ)=編訳
   「美女の首—陸判(りくはん)」
   『聊斎志異(上)』 全2冊 岩波文庫 1997/01 所収


(J5) 上野山 1994
朱(ズー)は夢心地(ゆめごこち)のうちに、おなかの痛(いた)みを感(かん)じて目をさました。陸裁判官が寝台(しんだい)のまえにすわって、朱(ズー)のおなかをきりひらき、からだのなかから内臓(ないぞう)をすべてとりだし、一つ一つ整理(せいり)していた。朱はおどろいた。
「なんの恨(うら)みがあって、こんなことをするんです!」
 陸裁判官(ルウさいばんかん)はわらっていった。
「心配するな。わしは、きみのことを思って、りこうな心臓(しんぞう)ととりかえているんだ。」
 陸裁判官(ルウさいばんかん)は、腸(ちょう)をそっとおなかにおさめると、おなかの皮(かわ)を革(かわ)ひもでしばった。
(……)陸裁判官(ルウさいばんかん)がテーブルの上においた肉(にく)のかたまりをみて、朱(ズー)がたずねた。
「なんです?」
「きみの心臓(しんぞう)さ。きみの作文(さくぶん)がよくないのは、きみの心臓の穴(あな)がふさがっているからなんだ。あの世(よ)にあるたくさんの心臓(しんぞう)のなかから、いいのを一つえらんで、きみのととりかえておいたから、たりなくなったあの世(よ)のぶんを、きみのでおぎなっておかねばならないんだ。」

   蒲松齢(プー・ソンリン)=作 上野山賀子(うえのやま・よしこ)=編訳
   「首をすげかえる話」
   『中国の不思議な物語』 偕成社文庫 1994/04 所収


(J6) 中野 1988
 朱は突然、酔いの夢のなかで腹がチクチク痛むのを感じた。はっと目が覚める。陸が寝台(ねだい)の前にきちんと坐している。朱の腹を裂き、胃や腸をひっぱり出して、一本ずつそろえているではないか。これにはたまげて、
「これまで、何の仇(かたき)や怨みもなかったはずだ。それなのに、殺すつもりか。なぜだ?」
 陸は笑って、
「心配するなって。君のために、聡明な心を入れ替えてやってるだけなんだから」
 とて、悠々と腸を腹中に収めた。次いで、腹の傷口をくっつけ、纏足(てんそく)用の布を朱の腰にぐるぐる巻きつけた。(……)
 陸がなにやら肉塊を机の上に置いたので、何かとたずねた。
「これは、君の心臓さ。君の作文がへたくそなものだから、ははーん、心臓の毛穴がふさがっているなと察したわけだ。冥土にある何万もの心臓から、うまいぐあいに、ひとつ上等のをえらび取っておいたのだ。そいつを、君のと取り替えた、という次第さ。これはとっておいて、不足分の穴埋めにしよう」

   蒲松齢=作 中野美代子=訳 「生首交換」
   J・L・ボルヘス=編纂・序文 『聊斎志異』 バベルの図書館10
   国書刊行会 1988/12 所収


(J7) 丸山 1977
 ふと、朱爾旦(しゅじたん)はゆめのなかで、腹にかすかな痛みを感じた。はっと目をさまして見ると、陸判官(りくはんがん)がわきにすわって、朱爾旦の腹をさき、腸をとり出しているではないか。これにはおどろいた。
「せっかく友だちになったのに、なんのうらみがあってわたしを殺すのですか?」
 朱爾旦のことばに、陸判官はわらいながら、
「心配するな。きみのために、賢い心と取りかえているだけだよ。」
といって、ゆうゆうと腸を中におさめ、きず口をぴったりと合わせたあと、布をぐるぐる巻きつけた。(……)
 見ると、テーブルの上に肉のかたまりがひとつ置いてある。
「これは?」
「ああ、これがきみの心さ。きみの文章がまずいのは、この心の細いあながふさがっているせいなんだ。それで、あの世から優秀なのを一つえらんで、きみのととりかえたのさ。きみのは持って帰って、うめあわせておかなくてはな。」
[ルビを一部省略しました - tomoki y.]

   蒲松齢=作 丸山松幸(まるやま・まつゆき)=訳 「変身(陸判)」
   『清代の怪異小説—聊斎志異』 中国の古典文学13
   さ・え・ら書房 1977/03 所収


(J8) 増田+松枝+常石 1971
 突然、朱は夢の中で、臓腑(ぞうふ)がかすかに痛むのを覚え、はっと目を醒ましてみると、陸判官が寝床の前にきちんと腰掛けて、彼の腹を破って腸胃を取り出し、一本一本そろえていた。これにはさすがにびっくりして、
「これまで仇(あだ)も怨(うら)みもなかったはずだ。なぜ僕を殺すんです?」
 というと、判官は笑って、
「怖(こわ)がらなくてもいい。僕は君のために聡明(そうめい)な心と取り替えてやってるのさ」
 といいつつ、悠々(ゆうゆう)と腸を腹の中におしこみ、それがすむとまた皮を合わせ、最後に足を包む布(きれ)で朱の腰を巻きつけた。(……)朱は、判官が肉塊を机の上に置いているのを見て、何ですときくと、
「これは君の心なのさ。君の作文のまずいのは、つまり君の心の毛孔が細い塞(ふさ)がっているんだと思ったから、さっき冥界で何万何千もの心の中から優秀なのを一つ選び取ってきて、君のために取り替えて上げたのさ。」

   蒲松齢=作 増田渉+松枝茂夫+常石茂=訳 「首のすげかえ(陸判)」
   『聊斎志異(上)』 中国古典文学大系40(全60巻)
   平凡社 1970/04 所収


(J9) 田中 1970, 1987, etc.
 (……)朱はその時夢心地に臓腑に微かな痛みを覚えたので、眼を醒ました。陸が榻(ねだい)の前へ坐って、自分の胸を斬り裂いて腸胃を引き出し、それを一筋一筋整理しているところであった。朱は愕いて言った。
「何の怨みもないのに、なぜ僕を殺すのだ」
 陸は笑って言った。
「懼(おそ)れることはない、僕は君のために、聡明な心を入れかえているのだ」
 陸はしずかに腸(はらわた)を中へ納めて創口を合わせ、その後で足を包む布で朱の腹から腰のあたりを繃帯して手術を終ったが(……)。ふと見ると陸の置いた肉塊が案の上にあった。朱は怪しんで、
「それはなんだろう」
 と言って聞いた。陸は、
「それは君の心だよ、君の文章の拙いのは、君の心の毛穴が塞っているためだから、冥途に在る幾千万の心の中から、佳いのを一つ選びだして、君のために易(か)えたからね」

   田中貢太郎=著 「陸判(りくはん)」
   9a. 青空文庫(電子テキスト)2004/09/03 アップロード/公開
      入力:Hiroshi_O 校正:noriko saito
   9b.中国の怪談2』 河出文庫 1987/08 所収
   9c.支那怪談全集』 桃源社 1970/11 所収

   9a. の底本は 9b.9b. の親本は 9c.。引用は 9a. に拠りました。


(J10) 柴田 1956, 1987, etc.
 (……)ふと醉夢の中で臟腑に微痛を覺えたので眼を醒ましてみると、陸が牀(ねだい)の前に危坐(すわ)つて、朱の腔(はら)を破(や)ぶり、腸胃を取り出して一條(ひとすぢ)一條整理して居た。朱は愕(おどろ)いて、
 「何の仇も怨も無いのに、何故僕を殺すんだ」
 と尋ねると、陸は笑つて、
 「懼(おそ)れるな! 僕は君の爲に慧(りかう)な心と取易へて居るのだ」
 といつて、從容(しづか)に腸を入れて皮を合はせ、足を裹(つゝ)む布で朱の腰を束(しば)つて作用(しごと)を畢(をは)つたのである。(……)陸が几(つくゑ)の上に一片の肉塊を置いたのを見て、
 「何です」
 と問(き)くと、
 「これは君の心である。君の作文が不作(まづ)いのは君の心の毛竅(あな)が塞つてゐるためだから、いま冥間(めいど)にある千萬(たくさん)の心の中から、佳者(いゝの)を一枚揀(えら)びだして、君の心と取替へたのだ。そして闕數(たりなく)なつた冥(めいど)の分を補充するために、君の心が留(のこ)してあるのさ」

   蒲松齢=作 柴田天馬=訳 「陸判(りくはん)」
   10a. ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(大活字版)』 第三書館 2007/01 所収
   10b.ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(愛蔵版)』 第三書館 2004/07 所収
   10c.ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊』 第三書館 1987/06 所収
   10d.完譯聊齋志異5』(全8巻) 角川文庫 1956/03 所収
 
   引用は 10d. に拠りました。


■現代中国語による再話 A retelling in contemporary Chinese

一天夜里,朱尔旦在梦中感到五脏微痛,睁眼一看,陆判正在整理他的肠胃,大惊失色,陆判笑道:"你的文章写不好,是你的心脏毛窍被塞。我在阴间挑了一枚给你换了。

   《聊斋志异》 陆判
   華夏經緯網 (www.huaxia.com)


 Audio 2 
聊斎志異 - 中国語原文オーディオブック
Liaozhai Zhiyi - Audiobook in Chinese read by davidfan
Librivoxlistmk
「陸判」を聞くには 14 - Lu Pan をクリック。下に引用する箇所の朗読は 3:18 あたりから。 Audio courtesy of LibriVox. To listen to Judge Lu, click 14 - Lu Pan. Reading of the excerpt below starts around 3:18.


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

[略]忽醉梦中,脏腹微痛。醒而视之,则陆危坐床前,破腔出肠胃,条条整理。愕曰:“夙无仇怨,何以见杀?”陆笑云:“勿惧!我与君易慧心耳。”从容纳肠已,复合之,末以裹足布束朱腰。作用毕,[略]见陆置肉块几上,问之。曰:“此君心也。作文不快,知君之毛窍塞耳。适在冥间,于千万心中,拣得佳者一枚,为君易之,留此以补缺数。”

   《聊斋志异》 蒲松龄 著 〈陆判〉
   E-text at 時代書城 (mypcera.com)


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

[略]忽醉夢中,覺臟腑微痛;醒而視之,則陸危坐床前,破腔出腸胃,條條整理。愕曰:「夙無仇怨,何以見殺?」陸笑云:「勿懼,我為君易慧心耳。」從容納腸已,復合之,末以裹足布束朱腰。作用畢,[略]見陸置肉塊几上,問之。曰:「此君心也。作文不快,知君之毛竅塞耳。適在冥間,於千萬心中,揀得佳者一枚,為君易之,留此以補闕數。」

   『聊齋誌異』 蒲松齡 著  第二卷 「陸判」
   E-text at 開放文學 (open-lit.com)


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■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2013/10/27 上野山賀子=編訳 1994/04 を追加しました。
  • 2013/09/26 英語版と中国語原文のオーディオブックをプレイリスト形式に改めました。 
  • 2013/08/04 目次と外部リンクの項を新設し、1) 王娟訳、2) Mair & Mair 訳、3) Lu, Chen, Yang & Yang 訳、4) H. A. Giles 訳の4種類の英訳を追加しました。また、英語版オーディオブックと中国語原文オーディオブックへのリンクも追加しました。
  • 2011/11/19 黒田真美子=現代語訳 2011/09/30 を追加しました。
  • 2010/09/29 聊斋志异 - 陸判の YouTube 動画を追加しました。
  • 2007/09/17 志村有弘=訳 2004/08、および中野美代子=訳 1988/12 を追加しました。
  • 2007/09/10 立間祥介=編訳 1997/07 を追加しました。

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(2) Strange Tales from the Liaozhai Studio

(3) Strange Tales from Make-Do Studio

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Thursday, 23 August 2007

蒲松齢 「書癡/書痴」(『聊斎志異』より) Strange Stories from a Chinese Studio by Pu Songling (2)

           目次 Table of Contents

   ■はじめに Introduction
    Cover Photos  表紙画像
   ■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese
     (1) 竹田+黒田 2009
     (2) 立間 1997
     (3) 増田+松枝+常石 1971
     (4) 柴田 1955, 1987, etc.
     (5) 佐藤 1922, 1998
     Video   《鬼屋麗人》 (1970)——楊麗花電影精選
   ■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese
   ■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese
   ■外部リンク External links
   ■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

本を読むしか能のない、うぶで不粋で世間知らずの独身男——その名は郎玉柱(ろう・ぎょくちゅう)。そんな郎のまえに、ある日、本のページの間から絶世の美女が姿を現わす。郎は女に恋をして、ふたりは……。

清代中国版「奥さまは魔女」といった趣きもある、ちょっとエッチで、くすっと笑える小話。でも、結末は苦い。


 Cover Photos  表紙画像

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■現代日本語訳 Translations into contemporary Japanese

(1) 竹田+黒田 2009
 ある夜、郎は彼女に言った。
 「だいたい、人は、男女が同居すれば子供が生まれている。今、君と暮らして大分たつのに、どうして生まれないのだろう。」
 女は笑って言った。
 「あなたは、毎日、本ばかり読んでいるけれど、最初から、それは無駄と言ったでしょ。未だに〝夫婦〟というこの一章さえも、まだ理解していないなんて、〝枕席〟というこの二字は奥が深いのよ。」
 郎は驚いて尋ねた。
 「一体どんな奥の深さだい?」
 女は笑って答えなかったが、しばらくして、そっと彼を迎えて身を寄せた。郎は歓びを極めて言った。
 「夫婦の楽しみが、言葉では言えないほどだとは思いもよらなかったぞ。」
 そこで、人に会えば、それを言い、聞いた者は、誰しも笑いを隠さなかった。[以下略]

  • 蒲松齢(ほ・しょうれい) 『聊斎志異』 「書痴(しょち)」 竹田晃(たけだ・あきら)+黒田真美子(くろだ・まみこ)=編 竹田晃+黒田真美子=著 『聊斎志異2 清代2』 中国古典小説選 10 明治書院 2009/10/10
  • 底本: 会校会注会評本 『聊斎志異』 (張友鶴輯校、上海古籍出版社 1986-08 第一版、1987-10 第四次印刷)。本書は、1963年、中華書局上海編輯所で出版された張友鶴輯校、いわゆる三会本12巻に章培恒「新序」を付したもの。

(2) 立間 1997
 郎(ろう)はある夜、如玉(じょぎょく)に言った。
「世間では男と女が一緒にいれば必ず子供ができるものなのに、君ともう久しく一緒に暮らしているのにどうしてできないのだろう」
「ほほほ、わたしは毎日のお勉強など詮ないことと申しましたが、まったく、この年になって夫妻のこともご存知ないのですね。枕席という二字には別の意味があるのですわよ」
「えっ、別の意味が…」
 郎が驚くと、如玉は笑うばかりだったが、ややあって、そっと手をさしのべてきて導きおさめた。郎は感極まり、
「夫婦の楽しみがこんなに楽しいものとは思わなかった」
 と叫んだものだったが、以来、会う人ごとにこれを話したので、聞いて吹き出さない者はなかった。[以下略]

  • 蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 立間祥介(たつま・よしすけ)=編訳 「書中の美女——書痴(しょち)」 『聊斎志異(下)』 全2冊 岩波文庫 1997/02

(3) 増田+松枝+常石 1971
 彼はある夜、女に、
「だいたい夫婦がいっしょにくらせば、子供が生まれるものなのに、いまあなたとずいぶんながい間いっしょにいながら、どうして子供が生まれないのだろう?」
 とたずねた。女は笑って言った。
「あなたは毎日、書物ばかりお読みになっています。それを私は無益のことだといつも言っています。夫妻の間のことも、まだご存じないのですが、それは夜の臥所(ふしど)ということに工夫がいるのです」
「どんな工夫です?」
 女は笑って答えなかったが、しばらくしてから、そっと彼を迎えてそれを教えた。彼はひどく楽しかった。そして言った。
「私は夫婦の楽しみが、口に言えない楽しいものであることを知らなかった」
 そして逢う人ごとに、それを話したので、口をおおって可笑(おか)しがらない者はなかった。[以下略]

  • 蒲松齢=作 増田渉(ますだ・わたる)+松枝茂夫(まつえだ・しげお)+常石茂(つねいし・しげる)=訳 「書物気狂い(書癡)」 『聊斎志異(下)』 中国古典文学大系41(全60巻) 平凡社 1971/04

(4) 柴田 1955, 1987, etc.
 一夜(あるよ)、郎(らう)は女にむかひ、
 「一凡(いつたい)、人は、男と女が同(いつしよ)に居(ゐ)れば子を生むのに、卿(きみ)と久(なが)いこと同(いつしよ)に居ながら、何(ど)うして子どもができないのだらうね」
 といふので、女は笑つた、
 「君(あなた)が毎日書(ほん)を讀むのを、妾(あたし)固(もと)から無益なことだと云つてるでせう。今でも未だ、夫妻の一章すら悟(わか)らないぢやありませんか。枕席の二字には工夫が有るのよ」
 郎は驚いて、
 「何(ど)ういふ工夫があるんだ?」
 と問(き)いた。女は笑つて何とも言(い)はなかつたが、少間(しばらく)してから、潛(こつそ)り迎就之(をしへ)ると、郎は樂しさ極(きは)まつて、
 「我(ぼく)は夫婦の樂しみが、言(ことば)で傅へられないものとは意(おも)はなかつたよ」
 と曰(い)つたが、それから人に逢へば其の話をするのを[以下略]


(5) 佐藤 1922, 1998
 或る夜、郎は彼の女に言った。
『男と女とが一しよに住んでゐると子供が生れるといふ。私はお前と随分永い間住んでゐるのに私たちに子供がないのはどういふ理由(わけ)だらうか?』
 彼の女は笑ひながら言つた。
『だから私は、あなたがそんなに御勉強なさるのは無駄だと云つたではありませんか。あなたは今まできつと一度だつて「男と女」との章をほんたうにわかつて読んだことはないでせう。枕と蓆(むしろ)といふ二つの言葉は或る仕事を意味してゐるのでございます。』
 彼は驚いてそれはどんな仕事かと訊ねた。彼の女は笑つて黙つてしまつた。しかし彼が、それから、それについて彼の女の教示を受けた時、彼は総ての度を越えて喜んだ。
『私は、今までこんな深い、こんな深い、こんな得も言はれぬ喜(よろこび)を知らなかつた。』
 彼は逢ふ人毎(ごと)にその事を語つた。それを聞いた人々は皆んな彼を笑つた。[以下略]

  • 佐藤春夫=著 「書痴」
  • 初出は b。引用は a. 臨川書店 1998/11 に拠りました。原文にない改行を追加しました。

  Video  
《鬼屋麗人》 (1970)——楊麗花電影精選

『聊斎志異』のなかの「書痴」を脚色した作品。出演: 楊麗花張美瑤


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

郎一夜谓女曰:“凡人男女同居则生子;今与卿居久,何不然也?”
女笑曰:“君日读书,妾固谓无益;今即夫妇一章,尚未了悟,枕席二字有工夫。”
郎惊问:“何工夫?”女笑不言;少间,潜迎就之。郎乐极,曰:“我不意夫妇之乐,有不可言传者。”
于是逢人辄道,无有不掩口者。[略]


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

郎一夜謂女曰:「凡人男女同居則生子;今與卿居久,何不然也?」
女笑曰:「君日讀書,妾固謂無益。今即夫婦一章,尚未了悟,枕席二字有工夫。」
郎驚問:「何工夫?」女笑不言。少間,潛迎就之。郎樂極,曰:「我不意夫婦之樂,有不可言傳者。」
於是逢人輒道,無有不掩口者。[略]


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■洋書 Books in non-Japanese languages
(1) Pu Songling

(2) Strange Stories from a Chinese Studio

(3) Strange Tales from the Liaozhai Studio

■和書 Books in Japanese

  

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Monday, 13 August 2007

蒲松齢 「黄英」(『聊斎志異』より) Strange Stories from a Chinese Studio by Pu Songling (1)

 Video 
[ja] 山東省淄博市にある蒲松齡紀念館
[zh] 山東淄博 蒲松齡紀念館
[en] Pu Songling Museum in Zibo, Shandong Province

Uploaded to YouTube by lioncyber on 31 Mar 2008.
蒲松龄故居 - 山東省人民政府台灣事務辦公室(華夏經緯網)
蒲松龄故居 - 维基百科
蒲松齡紀念館


 Images 
表紙画像 Cover photos

a. 4807404067 b. Iwanami_shonen_bunko c. Babel10
↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■英訳 Translation into English

One day T'ao said to Ma, 'Taking advantage of your kindness, I daily enjoy hospitality from you, who are not a rich man yourself. This cannot go on for ever, and I propose to make a livelihood by selling chrysanthemums.' Ma, ever aloof and disdainful of the crowd, heard T'ao with disgust, observing, 'I thought you were a recluse above worldly considerations, and content with poverty. If you do what you propose, you would be converting your hermitage into a bazaar and a shame to your chrysanthemums,' T'ao replied, laughing; 'He is not covetous who lives by his own exertions; nor can he be considered vulgar who sells flowers as his occupation. Though the pursuit of wealth is far from admirable, there is little merit in the pursuit of poverty.'

   Yellow Pride
   from Liao-chai chih-i by Pu Songling
   Chinese Literature 3: Tales of the Supernatural
   Edited by H. C. Chang
   New York : Columbia University Press, 1984/10


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 竹田+黒田 2009、黒田 2011
 ある日のこと、陶は馬に言った。
 「あなたの家は、元々そんなに裕福ではないのに、僕は毎日のように、御馳走に与って迷惑をかけている。けれど、そんなことばかりしてはいられないので、菊を売って暮らしをたてようと思うんだ。」
 馬は、生来、節操堅固な男なので、陶の言葉を聞くと、ひどく軽蔑して言った。
 「僕は、君という人は風流な高潔の君子で、貧乏にも心安らかでおられると思ってきた。今、そんなことをおっしゃったら、隠遁の象徴の菊を俗世間に貶めて、菊を侮辱することになりますぞ。」
 陶は笑って答えた。
 「自分が働いて暮らしていくことは、貪欲ということではないでしょうし、花を売るのを仕事とするのは、俗なことではないでしょ。人は、もちろん、あくせく富を求めるべきではないけど、だからといって、貧乏を求める必要もないでしょ。」

   蒲松齢(ほ・しょうれい) 『聊斎志異』 「黄英(こうえい)」
   a. 楊逸(ヤン・イー)=著 黒田真美子(くろだ・まみこ)=現代語訳
     『楊逸が読む聊斎志異』 明治書院 2011/09/30 所収
   b. 竹田晃(たけだ・あきら)+黒田真美子=編 竹田晃+黒田真美子=著
     『聊斎志異2 清代2』 中国古典小説選10 明治書院 2009/10/10 所収

   引用は b. に拠りました。b. の底本は次の書物:
   会校会注会評本 『聊斎志異』 (張友鶴輯校、上海古籍出版社 
   1986-08 第一版、1987-10 第四次印刷)。本書は、1963年、中華書局
   上海編輯所で出版された張友鶴輯校、いわゆる三会本12巻に、章培恒
   「新序」を付したもの。


(2) 志村 2004
 ある日のこと、陶(とう)が馬(ば)に言った。
「あなたの家はもともと豊かではないのに、わたしたちは毎日食べものを世話になっている。いつまでも迷惑をかけてばかりはいられないので、さしあたっては菊を売って暮らしてゆこうと思います」
 馬には意固地な性格の部分があったので、陶の言い分をひどく卑しいと感じた。
「わたしはあなたのことを風流な心のある、高潔な人柄だと思っていた。いまさらそのようなことを言うのは、高雅な菊を卑俗なものにするようで、菊の花を辱めることになる」
 陶は笑って答えた。
「自分で食べていくのです。貪(むさぼ)るということではありません。花を売ることで生活してゆくというのは、卑俗なことではないでしょう。人間はもとよりかりそめにも富を求めてはいけないけれど、しかし、自分の方から進んで貧を求める必要もないと思います」

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=著 志村有弘(しむら・くにひろ)=訳
   「黄英(こうえい)」
   『聊斎志異の怪』 角川ソフィア文庫 2004/08 所収


(3) 立間 1997/07
 ある日、ふと、三郎(さんろう)がいった。
 「お宅も決して豊かではないのに、こう毎日のように押しかけてご馳走になっている訳にはまいりません。そこで考えたのですが、生活費の足しに菊を売ろうとおもうのですが、いかがでしょう」
 「菊を売るなんて、とんでもないことです。わたしは君がどんな貧乏暮らしをしても、のんびりと菊造りを楽しむことのできる風流な人だとおもっていたんですよ。それが菊を売り物にしようというのですか。それではせっかくの高尚な趣味を金儲けのタネにしようというもの、美しい菊をはずかしめるというものですよ」
 「そうでしょうか。生活のために働くのは決して貪欲(どんよく)とはいえませんし、花を売って生業(なりわい)とするのは、とりたてていやしい仕事とはいえないでしょう。もちろん必要以上の金を儲けようとするのは欲張りというものですが、だからといって、わざわざ貧乏生活をすることもないのではありませんか」
[ルビを一部省略しました - tomoki y.]

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 立間祥介(たつま・よしすけ)=編訳
   「菊の姉弟」 (原題・黄英)
   『聊斎志異』 岩波少年文庫 1997/07 所収


(4) 立間 1997/02
 ある日、陶がふと言い出した。
「お宅も決して豊かではないのに、こう毎日のように押し掛けてご馳走になっている訳にはまいりません。そこで考えたのですが、菊を売ればわたしどもも食っていけると思います」
 馬は狷介な性分だったので、陶の言葉に憤然とした。
「わたしは君が風流な人で、貧乏暮らしに甘んずることのできる人だと思っていたが、何です、それでは東籬(とうり)を市井(しせい)に替えるようなもの、菊を辱めるというものですよ」
「生活のために働くのは貪欲ではないし、花を売って生業(なりわい)とするのは、俗とは言えないでしょう。人はもとより富貴を求めるべきではありませんが、かといって望んで貧乏することもないでしょう」

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 立間祥介(たつま・よしすけ)=編訳
   「菊の姉弟——黄英(こうえい)」
   『聊斎志異(下)』 全2冊 岩波文庫 1997/02 所収


(5) 保永 1996
(……)ある日、陶三郎(とうさぶろう)は、馬子才(ばしさい)にむかって、いった。
「あなたのところも、くらしがあまりゆたかでないのに、いつも食べることで、あなたにごめいわくをかけています。このまま、ごやっかいになっているのは心苦しいので、さしあたり、きくを売って、くらしをたてたいと思います。」
 馬子才は、もともとがんこで、つむじまがりなところがあった。陶三郎のことばをきくと、にわかに、さげすんだ顔つきになって、
「きみは、花を愛し、自然をたのしむ人で、そのためには、びんぼうにもたえられる人だと、ぼくは思っていました。いま、そのようなことをいいだされるのは、気高いきくの花をはずかしめるものです。」
 陶三郎は、わらっていった。
「自分が、たんせいして作ったもので食べていくのは、いやしいことではないでしょう。花を売るのも、りっぱな職業です。人間は金持ちになることだけをねがってはいけません。けれども、また、むりにびんぼうになる必要もないでしょう。」
[原文は総ルビ]

   蒲松齢(ほ・しょうれい)=作 保永貞夫(やすなが・さだお)=訳
   「きくの精のきょうだい」
   ディケンズ〔ほか〕=作 白木茂〔ほか〕=訳
   『魔のトンネル』 講談社青い鳥文庫Kシリーズ5 1996/09 所収


(6) 金 1989
 ある日、陶は馬子才にこう言った。
 「あなたの家はもとから豊かではないのに、わたしは知りあいというだけで食事の厄介にまでなっています。こんなことがいつまでもつづけられるものではありません。今後のことを考えてみましたが、菊を売れば十分食べてゆけるでしょう」
 馬子才は元来が依怙地(いこじ)な性格なので、陶のこの言葉を聞くと、大いにいやしんで、
 「わたしは、あなたを風流高雅の士で、当然、貧乏にも安んじることのできる方だとばかり思っておりました。しかし、そのようなことをおっしゃるようでは、あの陶淵明が菊をとった東の籬(まがき)を町なかの市場にしてしまうようなもので、菊の花を辱(はずか)しめることになりましょう」
 と言った。すると陶は笑って言った。
 「自分の力で働いて食べてゆくのは貪欲(どんよく)ではありませんし、花を売るのを業(なりわい)とするのは俗ではないでしょう。人はもとよりかりそめに富(とみ)を求めてはなりませんが、かといって、つとめて貧乏になる必要もないのです」

   蒲松齢=作 金文京(きん・ぶんきょう)=著(現代語訳)
   「黄英(こうえい)」 (『聊斎志異(りょうさいしい)』より)
   『鑑賞 中国の古典23 中国小説選』 角川書店 1989/11 所収


(7) 丸山 1977
 ある日のこと、陶は馬子才(ばしさい)にいった。
「あなたのところも、あまりゆたかでないのに、毎日、食事までお世話になってごめいわくをかけています。いつまでもこうしていては心ぐるしいので、さしあたり菊(きく)を売って暮(く)らしをたてようと思います。」
 がんこものの馬子才は、菊(きく)を売ると聞いて、顔をしかめ、
「ぼくは、きみが風流で心の清らかな人だから、びんぼうにも無(む)とんちゃくだと思っていた。それなのに、菊で金もうけをしようなんて! それでは、気品のある菊をいやしめることになるじゃないか。」
 陶(とう)はわらって、
「自分で働いて食べていくことは、欲(よく)ばりとはちがいます。菊(きく)を売って生活しても、いやしいこととはいえません。まがったことをして金持ちになるのは感心しませんが、かといって無理にびんぼうを守ることもないでしょう。」

   蒲松齢=作 丸山松幸(まるやま・まつゆき)=訳 「菊の精(黄英)」
   『清代の怪異小説—聊斎志異』 中国の古典文学13
   さ・え・ら書房 1977/03 所収


(8) 増田+松枝+常石 1971
 ある日、陶は馬(ば)に言った。
「あなたのところも、あまり豊かでないのに、毎日、食べることであなたに迷惑をかけていますが、いつまでもご厄介ばかりかけているのは心ぐるしいから、さしあたり菊を売って暮らしをたてようと思います」
 馬(ば)はもともと片意地な男であったから、その陶の言葉をきくと、大へん卑(いや)しんで、言った。
「君は風流な高雅な人で、貧に安んじることのできる人だと僕は思っていました。いまそのようなことを言い出されるのは、気高い菊を卑俗にすることで、菊を辱(はず)かしめるものでしょう」
 陶は笑って言った。
「自分の丹精で食って行くことは、貪(むさぼ)るのとはちがうし、花を売るという業(なりわい)は俗なことではありません。人はもとよりかりそめに富を求めるべきではないけれども、しかしまた必ずしも貧を求めることもないでしょう」

   蒲松齢=作 増田渉(ますだ・わたる)+松枝茂夫(まつえだ・しげお)
   +常石茂(つねいし・しげる)=訳 「菊の姉弟(きょうだい)(黄英)」
   『聊斎志異(下)』 中国古典文学大系41(全60巻) 平凡社 1971/04 所収


(9) 田中 1970, 1987, etc.
 陶はある日、馬に言った。
「あなたの家も、もともと豊かでないのに、僕がこうして毎日厄介をかけているのですが、いつまでもこうしてはいられないのです、菊を売って生計(くらし)をたてたいとおもうのですが」
 馬は生れつき片意地な男であった。陶の言葉を聞いてひどく鄙(いやし)んで言った。
「僕は、君は風流の高士で、能(よ)く貧に安んずる人と思ってたが、今そんなことを言うのは、風流をもってあきないとするもので、菊を辱めるというものだね」
 すると陶は笑って言った。
「自分の力で喫ってゆくことは、貪(むさぼ)りじゃあないのです、花を販(う)って、生計をたてることは、俗なことじゃないのです、人はかりそめに富を求めてはならないですが、しかし、また務めて貧を求めなければならないこともないでしょう」

   田中貢太郎(たなか・こうたろう)=著 「黄英」
   9a. 青空文庫(電子テキスト)2003/08/03 作成
      入力:Hiroshi_O 校正:門田裕志、小林繁雄
   9b.中国の怪談2』 河出文庫 1987/08 所収
   9c.支那怪談全集』 桃源社 1970/11 所収
   9a. の底本は 9b.9b. の親本は 9c.。引用は 9a. に拠りました。


(10) 柴田 1955, 1987, etc.
 一日(あるひ)、陶は馬に謂つた、
 「君の家(うち)も固(もと)もと豐かではないのに、僕は毎日以口腹(たべもの)で君の累(せわ)になつてゐるが、常(いつ)もさうしてゐてはならんのだ。で、爲今計(さしあたり)菊を賣つても、亦(まあ)、足謀生(くらせる)と思ふ」
 馬は介(かたくな)な男だから、陶の言葉を甚(ひど)く鄙(いやし)いものと聞いた。
 「僕は君が風流の高士だから、能く貧に安んじて居ると思つて居たのだ。今更是(そん)なことを論(い)ふのは東籬(きくばたけ)を以て市井(いちば)にするものだ。菊花(きく)を辱しめることになる」
 陶は笑つて、
 「自分の力で食べるのだ。貪(むさぼ)るのではない。花を販(う)つて業(よすぎ)にするのは、俗(ぞく)なことでもなからう。人は固(もと)より苟(かりそめ)に富を求めては不可(いか)ん。然(しか)し亦貧を求めるにも及ぶまい」

   蒲松齢=作 柴田天馬(しばた・てんま)=訳
   10a. ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(大活字版)』 第三書館 2007/01 所収
   10b.ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊(愛蔵版)』 第三書館 2004/07 所収
   10c.ザ・聊斎志異—聊斎志異全訳全一冊』 第三書館 1987/06 所収
   10d.完譯聊齋志異5』(全8巻) 角川文庫 1956/03 所収
   引用は 10d. に拠りました。


■現代中国語による再話 A retelling in modern Chinese

一天,陶三郎對馬子才說:"你家也不富足,我們不如賣掉些菊花,也好貼補貼補。"馬子才素來清高,很不高興地說:"你說出這種話,不是對菊花的侮辱嗎?" 陶三郎笑著說:"自食其力,不算是貪;販花為業,也不算是俗。人固然不能茍且求富,但也不必安於貧因吧。"

   蒲松齡 《聊齋志異》 黃英
   華夏經緯網 (huaxia.com)


■中国語原文(簡体字)The original text in simplified Chinese

陶一日谓马曰:“君家固不丰,仆日以口腹累知交,胡可为常!为今计,卖菊亦足谋生。”马素介,闻陶言,甚鄙之,曰:“仆以君风流雅士,当能安贫;今作是论,则以东篱为市井,有辱黄花矣。”陶笑曰:“自食其力不为贪,贩花为业不为俗。人固不可苟求富,然亦不必务求贫也。”

   《聊斋志异》 黄英 作者:蒲松龄
   E-text at 天涯在線書庫 (tianyabook.com)


■中國語原文(繁體字)The original text in traditional Chinese

陶一日謂馬曰:「君家固不豐,僕日以口腹累知交,胡可為常。為今計,賣菊亦足謀生。」馬素介,聞陶言,甚鄙之,曰:「僕以君風流高士,當能安貧;今作是論,則以東籬為市井,有辱黃花矣。」陶笑曰:「自食其力不為貪,販花為業不為俗。人固不可苟求富,然亦不必務求貧也。」


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  • 2011/11/19 竹田晃+黒田真美子=著 2009/10/10 を追加しました。
  • 2011/05/31 蒲松齡紀念館の紹介ビデオを追加しました。
  • 2008/07/12 H. C. Chang による英訳 1984/10 を追加しました。
  • 2007/09/17 志村有弘=訳 2004/08 を追加しました。
  • 2007/09/10 立間祥介=編訳 1997/07、および保永貞夫=訳 1996/09 を追加しました。
  • 2007/08/20 田中貢太郎=著 1970/11, etc. を追加しました。また、柴田天馬=訳の書誌情報を修正しました。さらに、リンク切れ、リンク誤りの箇所を修正しました。
  • 2007/08/16 柴田天馬=訳 1956/03 を追加しました。

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