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Sunday, 02 November 2008

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 (2) Night of the Milky Way Railway / Milky Way Railroad / Night Train to the Stars / Night on the Milky Way Train, by Kenji Miyazawa (2)

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
  Video   NHK 宮沢賢治 映像童話集 『銀河鉄道の夜』
 Images  DVDのジャケット DVD covers
■英訳 Translations into English
  (E1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005
  (E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
  (E3) Pulvers, 1996
  (E4) Strong, 1991. 2002
  (E5) Naruse, 1991
  (E6) Bester, 1987, 1996
■tomoki y. による、英訳からの重訳 tomoki y's retranslation of the English translation
  (J1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005 » tomoki y., 2008
  (J2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008 » tomoki y., 2008
  (J3) Pulvers, 1996 » tomoki y., 2008
  (J4) Strong, 1991, 2002 » tomoki y., 2008
  (J5) 成瀬 1991 » tomoki y., 2008
  (J6) Bester, 1987, 1996 » tomoki y., 2008
■宮沢賢治による日本語の原文 Miyazawa's original text in Japanese
■比較 Comparison
  (1) 「輕便鐵道」=狭軌鉄道?
  (2) A night train=夜の列車=夜汽車=夜行列車?
  (3) 「ごとごとごとごと」
■ジヨバンニ→ケンジ、カムパネルラ→ミノル 固有名詞の「翻訳」
  (1) 人名の「翻訳」
  (2) クリエイティブな翻案
  (3) 創造的翻案/意訳(?)の例
  (4) 文化の「翻訳」
■英題の異同 Variations of the title translated into English
■英訳の書誌情報詳細 Complete bibliography on English translations
  (E1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005
  (E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
  (E3) Pulvers, 1996
  (E4) Strong, 1991, 2002
  (E5) 成瀬 1991
  (E6) Bester, 1987, 1996
■英訳の書誌情報詳細(日本語による表示) Bibliography on English translations (described in Japanese)
  (E1) ヴァーナム=アットキン+豊崎 2005
  (E2) ジグリスト(シグリスト?)+ストラウド 1996, 2008
  (E3) パルバース 1996
  (E4) ストロング 1991, 2002
  (E5) 成瀬 1991
  (E6) ベスター 1987, 1996
■宮沢賢治による日本語原文の書誌情報 Bibliography on Kenji Miyazawa's original text in Japanese
  (1) 電子テキスト E-texts
  (2) 本 Books
  (3) 上に引用した日本語原文の底本、および稿本の違いなど Source of quotations; Difference of editions
■中國語譯(繁體字)Translations into traditional Chinese
  (Tw1) 李 2003
  (Tw2) 滕+郭 1991, 2002
  (Tw3) 滕 1998
■イタリア語訳 Translation into Italian
■フランス語訳 Translations into French
  (F1) Morita, 1991, 1995, etc.
  (F2) Lecoeur, 1989, 1990, etc.
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log

■はじめに Introduction

日本語原文→英訳→日本語訳の「重訳」あそび。第4回は宮沢賢治『銀河鉄道の夜』その2。


  Video  
宮沢賢治 映像童話集 『銀河鉄道の夜』 前編 (後編はここ) 

80年後のKENJI ~宮沢賢治21世紀映像童話集~ NHK-BSプレミアム オリジナル放送: 2013年3月6日 第五回 「銀河鉄道の夜」(前編)、第六回 「銀河鉄道の夜」(後編) 実写&CG合成: 望月一扶 出演: 太賀、染谷将太ほか Uploaded to YouTube by yoshiyuki sumiregusa on 30 Jun 2013.


 Images 
DVDのジャケット DVD covers
a. B000kqgn28new b. B000pmlaacnew c. Waga_kokoro_no_dvdnew_10

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■英訳 Translations into English

(E1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005
Giovanni found himself sitting in the car of a little night train. He was looking out of the window. The car was almost empty. It was lit by small yellow lights ( . . . )

   The Night of the Milky Way Train
   Translated and retold by Stuart Varnam-Atkin & Yoko Toyozaki, 2005/08


(E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
Then, looking intently around, Kenji discovered he was in a small railroad coach which was clickety-clacking along a narrow track. He was, in fact, riding the night train on a narrow-gauge line in a small, yellow, brightly lit coach, and he was looking out the window.

   Milky Way Railroad
   Translated and adapted by Joseph Sigrist & D. M. Stroud
   2a. Milky Way Railroad. 2008/09
   2b. Milky Way Railroad. 1996/06
   The quotation is based on 2b.


(E3) Pulvers, 1996
By the time he came to, he had, for sometime now, been chugging along on the little train. It was really him on the nighttime narrow-gauge railroad, gazing out the window of a wagon with its little row of yellow lights.

   Night on the Milky Way Train
   Translated by Roger Pulvers. 1996/03


(E4) Strong, 1991. 2002
Looking around him, Giovanni found that the noisy little train he had been riding on for some time now was continuing on its way. In fact, Giovanni was seated, looking out the window of a narrow-gauge railway car. It was night and the carriage was lit by a row of small yellow lights.

   Night of the Milky Way Railway. Translated by Sarah M. Strong
   4a. Masterworks of Miyazawa Kenji: Poems and Fairy Tales. 2002/08
   4b. Night of the Milky Way Railway. 1991/07
   The quotation is based on 4a.


(E5) Naruse, 1991
Before he knew it, Giovanni found himself on a small train. He was seated in a moving train, and looking out of the window as the night scenes passed away before him brightened by yellow light.

   成瀬武史=編訳『銀河鉄道の夜』 1991/07


(E6) Bester, 1987, 1996
When he recovered, the little train that he was riding in had been clattering along the tracks for some time. Yes, he was sitting in the carriage, with its rows of small yellow lights, of a little narrow-gauge night train, looking out of the window..

   Night Train to the Stars. Translated by John Bester
   5a. Night Train to the Stars. 1996/08
   5b. Night Train to the Stars and Other Stories. 1987/10
   The quotation is based on 5b.


■tomoki y. による、英訳からの重訳
 tomoki y's retranslation of the English translation

(J1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005 » tomoki y., 2008
ジョヴァンニは、気がつくと、小さな夜行列車の車内に座っていました。彼は窓の外を見ていました。車両はガラガラでした。小さな黄色い灯りで照らされていて(……)

   Varnam-Atkin & Toyozaki=訳(和英) Tomoki Yamabayashi=重訳(英和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/11/02


(J2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008 » tomoki y., 2008
さて、じっとまわりを見まわして、ケンジは気がつきました――自分が小さな鉄道の客車の中にいて、列車は幅の狭い線路をゴトンゴトンと走っていることに。事実、ケンジは狭軌の路線を走る夜行列車に乗っていたのでした。小さな黄色い灯りが客車を明るく照らしていて、彼は窓の外を見ていたのです。

   Sigrist & Stroud=訳(和英) Tomoki Yamabayashi=重訳(英和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/11/02


(J3) Pulvers, 1996 » tomoki y., 2008
気がつくと、彼は小さな列車に乗って、それまでかなりの時間、カタカタ走り続けていたのでした。たしかに彼は夜の狭軌鉄道の列車に乗って、客車の窓からじっと外を見ていました。小さな黄色い灯りが並んで車内を照らしていました。

   Pulvers=訳(和英) Tomoki Yamabayashi=重訳(英和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/11/02


(J4) Strong, 1991, 2002 » tomoki y., 2008
見わたすと、ジョヴァンニは、だいぶまえから自分の乗っている騒々しい小さな列車が、まだ走り続けているのに気がつきました。実際、ジョヴァンニは座席にすわって、狭軌鉄道の列車の窓から外を見ていたのです。外は夜で、客車は小さな黄色い灯りの列によって照らされていました。

   Strong=訳(和英) Tomoki Yamabayashi=重訳(英和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/11/02


(J5) 成瀬 1991 » tomoki y., 2008
いつの間にか、ジョヴァンニは自分が小さな列車に乗っていることに気がつきました。彼は走っている列車の座席にすわって、窓の外を見ていました。夜の景色が黄色い灯りに照らされて目の前を通り過ぎるのを見つめていたのでした。

   成瀬武史=訳(和英) Tomoki Yamabayashi=重訳(英和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/11/02


(J6) Bester, 1987, 1996 » tomoki y., 2008
正気にかえったときには、彼の乗っていた、その小さな列車は、もうかなりの時間、がたがた走り続けていました。そう、彼は客車に座っていたのです。小さな黄色い灯りが並んで照らし出している、狭軌の小さな夜行列車に乗って、窓から外を見ていたのです。

   Bester=訳(和英) Tomoki Yamabayashi=重訳(英和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/11/02


■宮沢賢治による日本語の原文 Miyazawa's original text in Japanese

氣がついてみると、さつきから、ごとごとごとごと、ジヨバンニの乘つてゐる小さな列車が走りつづけてゐたのでした。ほんたうにジヨバンニは、夜の輕便鐵道の、小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、窓から外を見ながら坐つてゐたのです。

   宮沢賢治=著『銀河鐵道の夜』 六 銀河ステーシヨン
   岩波文庫版『銀河鉄道の夜
   青空文庫 初登録(=アップロード):2006/09/17


■比較 Comparison

(1) 「輕便鐵道」=狭軌鉄道?

   けいべんてつどう 【軽便鉄道】
   * 一般の鉄道より簡便な規格で建設された鉄道。
             『広辞苑』 第五版 1998
   * 幅の狭い軌道上に小型の機関車・車両を走らせる鉄道。
             『新明解国語辞典』 第六版 2005

鉄道には詳しくありません。「輕便鐵道」というコトバを聞くと、素人のわたしは、地方ののどかな路線を思い浮かべます。鉄道マニアのかたに、教えていただきたい。「輕便」の定義とは何ですか? それは、はたして広軌と狭軌のちがい、つまりレールとレールの間の幅(=ゲージ)だけで決まるものなのでしょうか? 上の英訳者たちは皆、そう理解して訳しているようですが。

「軽」という字に注目して、ライト・レールウェイのことかな、と考えると、大都市のいわゆる新交通システムを連想してしまいます。神戸のポートライナー、大阪のニュートラム、東京のゆりかもめ、ロンドンのドックランズ・ライト・レイルウェイ (DLR)、サンフランシスコのBART、などなど。どれも賢治の「輕便鐵道」のイメージからは、ほど遠いですね。(苦笑)

(2) A night train=夜の列車=夜汽車=夜行列車?
原文は「夜の輕便鐵道の(……)車室」。A night train と訳した場合、それは、
   * 夜の列車
   * 夜汽車
   * 夜行列車
のうち、どれを意味するのか? それぞれ少しずつ意味はちがうように思うのですが。鉄道マニアのかた、「夜行」には明快な定義はあるのでしょうか?


(3) 「ごとごとごとごと」
「ごとごとごとごと、(……)列車が走りつづけてゐたのでした」。
オノマトペ(擬音語/擬声語)というのは、英和にせよ和英にせよ、概して訳しにくいものです。上の訳者たちも、それぞれ苦心しています。
   * was clickety-clacking
   * had ( . . . ) been chugging
   * the noisy little train (下線は tomoki y.)
   * had been clattering


■ジヨバンニ→ケンジ、カムパネルラ→ミノル 固有名詞の「翻訳」

(1) 人名の「翻訳」
 上記 (E2) と (J2) でご覧のとおり、Sigrist & Stroud=訳 1996, 2008 では、登場人物の名前が、わざわざ変更してあります。ジヨバンニは Kenji に、(上には出てきませんが)カムパネルラは Minoru へと。
 序文で訳者ストラウド氏は、おおむね次のように言います。「キャラクターは日本人。状況設定は日本。なのに、名前はヨーロッパ風(イタリア風)」という原文の引き起こす混乱を、この修正によって防ぐことができると信じるものである」
 はたして、ストラウド氏は親切か? おせっかいか? わたしには分かりません。この訳書のおもな読者と想定されるアメリカ人たちが決めることでしょう。


(2) クリエイティブな翻案
 欧米の一部の国では、かなり教養のある人でも、「字幕のついた映画を見るのは苦手」と平気で言う人が珍しくありません。いわゆる外国語アレルギーですね。
 たとえ外国語アレルギーでなくとも、異文化摂取の、とくに初期段階では、予備知識のない読者や観客のために、原作を換骨奪胎することは、よくありますね。つまり、翻訳ではなく、翻案にあたる例です。これは、一概に悪いとは言えません。むしろ大胆な翻案は、忠実な翻訳より、クリエイティブで深い洞察にもとづく営みであることも多い。


(3) 創造的翻案/意訳(?)の例
 日本では、明治の翻訳文学の黎明期に、よく翻案が行なわれましたね。シェイクスピアの『ヴェニスの商人』が、翻案歌舞伎『何桜彼桜銭世中(さくらどきぜにのよのなか)』になるなど。
 時代が下って昭和になっても、たとえば、カレル・チャペックの作品『長い長いお医者さんの話』が岩波少年文庫から中野好夫訳で出たとき、初版は英訳本からの重訳だったので、英訳版でなされた言い換えが、そのまま邦訳にも反映されていました。つまり、チェコの人名や地名の多くが、イギリスの類似の固有名詞に置き換えてあったのです。
   ハラブルトくん → ライトフットくん
   ホラスくん → キッチンくん
   プラハ → ロンドン  などなど。
これは「翻案」というべきか、広義の「意訳」というべきか、知りませんが。のちに中野氏訳の改版が出たとき、チェコ語の原書に忠実な訳語に修正されました。


(4) 文化の「翻訳」
 コトバの問題からは、それますが、「異文化の翻訳」ともいうべき日本アニメの海外への伝播/移植に関連して。このまえ見たNHKスペシャル『日本とアメリカ 第2回 日本アニメ vs ハリウッド』によると、現在 Imagi が製作中のハリウッド版フルCGアニメ 『鉄腕アトム / Astro Boy (2009)』では、主人公アトムの年齢設定を改変して、原作よりも年長にするそうです。製作者によると、手塚治虫のアトムはアメリカ市場向けには幼すぎる。アメリカの子供は、自分たちより少し年上の主人公を好むから、だそうです。


■英題の異同 Variations of the title translated into English

Milky Way Railroad  …………………… Sigrist & Stroud, 1996, 2008
Night Train to the Stars ……………… Bester 1987, 1996
Night of the Milky Way Railway  ……… Strong, 1991, 2002
Night on the Milky Way Train ………… Pulvers, 1996
The Night of the Milky Way Train  …… Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005

See also:
Night on the Galactic Railroad  ……… The title adopted by Wikipedia
The amimated film adaptation directed by Gisaburo Sugii is often called by this title as well.


■英訳の書誌情報詳細 Complete bibliography on translations into English

A simple, incomplete list can be found at Main English Translation of Kenji's Works (in The World of Kenji Miyazawa website)

(E1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005
   The Night of the Milky Way Train by Kenji Miyazawa
   Translated and retold by Stuart Varnam-Atkin & Yoko Toyozaki
   Tokyo : IBC Publishing, 2005/08. Publisher details here.
   This book is a retold edition for learners of English.
   Preview at Google Book Search

(E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
   Milky Way Railroad by Kenji Miyazawa
   Translated and adapted by Joseph Sigrist & D. M. Stroud
   2a. Milky Way Railroad. ISBN: 1933330406
     Stone Bridge Fiction, Stone Bridge Press, 2008/09
   2b. Milky Way Railroad. ISBN: 1880656264
     Rock Spring Collection of Japanese Literature
     Stone Bridge Press, 1996/06
   The quotation above is based on 2b.

(E3) Pulvers, 1996
   Night on the Milky Way Train by Kenji Miyazawa
   Translated by Roger Pulvers
   Published by Tokyo : Chikuma Shobo, 1996/03

(E4) Strong, 1991, 2002
   4a. Night of the Milky Way Railway
     Translated by Sarah M. Strong
     in Masterworks of Miyazawa Kenji: Poems and Fairy Tales
     Translated by Sarah M. Strong & Karen Colligan-Taylor
     Publisher: International Foundation for the Promotion of
     Languages and Culture (IFLC), Tokyo
     Distributor: Sunmark Publishing Inc., 2002/08
       Table of Contents:
       * Four Poems
       * Night of the Milky Way Railway
       * Goesch the Cellist (a.k.a. Gauch the Cellist)
       * Matasaburo of the Wind
       * The Restaurant of Many Orders
       * The Life of Gusukoh Budori
   4b. Night of the Milky Way Railway by Miyazawa Kenji.
     Translation and guide by Sarah M. Strong.
     Illustration by Bryn Barnard.
     Armonk, N.Y. : M.E. Sharpe Inc., 1991/07
   The quotation above is based on 4a.

(E5) 成瀬 1991
   宮沢賢治=原作 成瀬武史=編訳 Bruce M. Wilkerson=英文校閲
   『銀河鉄道の夜』英訳 日本名作シリーズ1
   日本英語教育協会 1991/07
   「英検3級レベルの英語力で読みかつ味わえるように、原作を編集して英訳した」
   リライト版。

(E6) Bester, 1987, 1996
   6a. Night Train to the Stars by Kenji Miyazawa.
     Translated by John Bester. Kodansha Bilingual books.
     Kodansha International, 1996/08
   6b. Night Train to the Stars and Other Stories by Kenji Miyazawa.
     Translated by John Bester ; Sketches by Makoto Obo.
     Kodansha English library. Kodansha International, 1987/10
   The quotation above is based on 6a.


■英訳の書誌情報詳細(日本語による表示)
 Complete bibliography on translations into English (described in Japanese)

完全(=網羅的)ではありませんが簡潔で見やすいリストならば 「宮沢賢治の宇宙」|Main English Translation of Kenji's Works にあります。

(E1) ヴァーナム=アットキン+豊崎 2005
   英題:The Night of the Milky Way Train
   宮沢賢治=著 ステュウット・A.ヴァーナム=アットキン+豊崎洋子=訳
   『銀河鉄道の夜』洋販ラダーシリーズ
   アイビーシーパブリッシング=発行 日本洋書販売=発売 2005/08
   この訳は、英語学習者向けに易しく書き直したもの。詳細は ここ

(E2) ジグリスト(シグリスト?)+ストラウド 1996, 2008
   英題:Milky Way Railroad
   宮沢賢治=作
   J・ジグリスト(シグリスト?)+D・M・ストラウド=訳
   2a. Milky Way Railroad
     Stone Bridge Fiction, Stone Bridge Press, 2008/09
   2b. Milky Way Railroad
     Rock Spring Collection of Japanese Literature
     Stone Bridge Press, 1996/06
   引用は 2b. に拠りました。

(E3) パルバース 1996
   英題:Night on the Milky Way Train
   宮沢賢治=著 ロジャー・パルバース=訳
   『英語で読む銀河鉄道の夜』ちくま文庫 1996/03

(E4) ストロング 1991, 2002
   英題:Night of the Milky Way Railway
   宮沢賢治=著 サラ・ストロング=訳 「銀河鉄道の夜」
   4a. サラ・ストロング+カレン・コリガン=テーラー=訳
     『英文 宮沢賢治傑作選
     発行:国際言語文化振興財団 発売:サンマーク出版 2002/08 所収
      収録作品:
      詩四篇、銀河鉄道の夜、セロ弾きのゴーシュ、風の又三郎、
      注文の多い料理店、グスコーブドリの伝記
   4b. Night of the Milky Way Railway
     作:宮沢賢治 訳・解説:サラ・ストロング 画:ブリン・バーナード
     発行:Armonk, NY : M.E. Sharpe, 1991/07
   引用は 4a. に拠りました。

(E5) 成瀬 1991
   宮沢賢治=原作 成瀬武史=編訳 Bruce M.Wilkerson=英文校閲
   『銀河鉄道の夜』英訳 日本名作シリーズ1
   日本英語教育協会 1991/07

(E6) ベスター 1987, 1996
   6a. 英題:Night Train to the Stars
     宮沢賢治=作 ジョン・ベスター=訳
     『銀河鉄道の夜』 講談社バイリンガル・ブックス
     講談社インターナショナル 1996/08
   6b. 英題:Night Train to the Stars and Other Stories
     宮沢賢治=作 ジョン・ベスター=訳 おぼ まこと=画
     『銀河鉄道の夜―宮沢賢治童話集2
     講談社英語文庫 講談社インターナショナル 1987/10
   引用は 6a. に拠りました。


■宮沢賢治による日本語原文の書誌情報
 Bibliography on Kenji Miyazawa's original text in Japanese

  1. 電子テキスト E-texts
    • 角川文庫版 銀河鉄道の夜 (新字新かな) E-text at 青空文庫 アップロード: 2005/08/18 底本は下の 2-d。
    • 岩波文庫版 銀河鉄道の夜 (旧字旧仮名) E-text at 青空文庫 アップロード: 2006/09/17 底本は下の 2-f。
    • 新潮文庫版 銀河鉄道の夜 (新字新かな) E-text at 青空文庫 アップロード: 1997/10/29 底本は下の 2-b。
  2. 紙の本 Printed books
  3. 底本や稿本の違い Difference of sources and editions
    • 初刊は 2-h。
    • 現時点でもっとも信頼できるテキストは 2-a らしいです。「4次稿」あるいは「最終形」と呼ばれる版です。わたしはまだ、現物を確かめていません。
    • 上の引用は、とりあえず 1-b 青空文庫(岩波文庫版)に拠りました。

■中國語譯(繁體字)Translations into traditional Chinese

(Tw1) 李 2003
   《銀河鐵道之夜:日本國寶級作家宮澤賢治百年經典童話》
   作者:宮澤賢治/著 譯者:李毓昭
   出版社:晨星 出版日期:2003/10 ISBN: 9574555070
   Available from books.com.tw

(Tw2) 滕+郭 1991, 2002
   2a.《銀河鐵道之夜――宮澤賢治全集1》
     作者:宮澤賢治著 ; 滕若榕, 郭美惠譯
     出版社:遊目族 出版日期:2002/02 ISBN:9577454968
     Available from: hkbookcity.com ruten.com.tw

   2b.《銀河鐵道之夜》
     作者:宮澤賢治著 ; 滕若榕, 郭美惠譯
     出版社:遊目族文化出版 出版日期:1991/02 ISBN:9577454968
     Available from intra.tpml.edu.tw

(Tw3) 滕 1998
   《銀河鐵道之夜》
   作者:宮澤賢治著 ; 滕若榕譯
   出版社:麥田 書系:麥田物語 出版日期:1998/04
   ISBN:957708592X
   Available from: cite.com.tw books.com.tw


■イタリア語訳 Translation into Italian
   Una notte sul treno della Via Lattea e altri racconti
   Editore: Marsilio
   Collana: Letteratura Universale. Mille Gru, 1994/09
   ISBN: 8831760335


■フランス語訳 Translations into French

(F1) Morita, 1991, 1995, etc.
   Train de nuit dans la voie lactée by Kenji Miyazawa
   Translated by Hélène Morita
   1a. Train de nuit dans la voie lactée
     Serpent à plumes; E'dition: Nouvelle édition, 2000/04
   1b. Train de nuit dans la voie lactée
     Collection: Motifs 021. Serpent à plumes, 1995/06
   1c. Train de nuit dans la voie lactée: et autres récits
     Lettres du monde entier. Grands textes. Intertextes, 1991


(F2) Lecoeur, 1989, 1990, etc.
  Quand il repris ses esprits, il se trouvait dans un petit train qui roulait déjà depuis un moment, tchou, tchou, tchou, tchou, Giovanni était assis dans un wagon éclairé d'une rangée de minuscules lampes jaunes; il regarda par la fenêtre.

   6. La gare de la Voie lactée
   2a. Le Train de la Voie lactée by Kenji Miyazawa
     Translated by Françoise Lecoeur
     Paris: Critérion, 2002/12
   2b. Le Train de la Voie lactée by Kenji Miyazawa
     Translated by Françoise Lecoeur
     Paris: Critérion, 1990
       Table of Contents:
       * Préface
       * Avant-propos
       * Le Dieu de la terre et le renard (土神と狐)
       * L'Etoile de l'engoulevent (よだかの星)
       * Les Glands et le chat sauvage (どんぐりと山猫)
       * Le Mois des narcisses (水仙月の四日)
       * L'Homme de la montagne (山男の四月)
       * Gauche et le violoncelliste (セロ弾きのゴーシュ)
       * Le Train de la voie lactée (銀河鉄道の夜)
       * Matasaburo l'enfant du vent (風の又三郎)
       * Opbel et l'éléphant (オッベルと象)
       * Le Restaurant aux nombreuses commandes (注文の多い料理店)
     More details at WebOPAC 名古屋大学
   2c. Dans la voie lactée by Kenji Miyazawa
     Translated by Françoise Lecoeur
     ISBN: 2877300242  Philippe Picquier, 1989/01
   The quotation is based on 2b.


■外部リンク External links

 
 
■更新履歴 Change log

  • 2013/09/27 NHK-BS 宮沢賢治21世紀映像童話集 「銀河鉄道の夜」の YouTube 動画を追加しました。
  • 2008/11/24 成瀬武史=編訳 1991/07 を追加しました。

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Wednesday, 29 October 2008

An Inconvenient Truth by Al Gore vs How Not to Be Fooled by Erroneous Global Warming Claims by Syun-Ichi Akasofu アル・ゴア 『不都合な真実 ECO入門編』 vs 赤祖父俊一 『正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために』

■注意 Note

赤祖父氏の著書の英題 "How Not to Be Fooled by Erroneous Global Warming Claims" は、正式なものではありません。わたくしが勝手に訳してつけた仮題です。

The English title of Professor Akasofu's book: "How Not to Be Fooled by Erroeous Global Warming Claims" is not official. It is my tentative translation from Japanese.


■表紙画像 Cover photos

Left不都合な真実 ECO入門編 地球温暖化の危機』 ランダムハウス講談社 (2007)
Centre An Inconvenient Truth: The Crisis of Global Warming and What We Can Do About It (Young Adult Version). Bloomsbury Publishing PLC (2007)
Right正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために』 誠文堂新光社 (2008)

↓ Click to enlarge ↓

Al_gore_an_inconvenient_truth_eco  An_inconvenient_truth_ya_edition  Akasofu_chikyu_ondanka

   

■アル・ゴア氏の主張 Mr Al Gore's statement

科学者は、温暖化の原因についてはほぼ完全に合意しています。

カリフォルニア大学では、この10年間に出された温暖化に関する専門家による科学的な研究結果すべてに目を通し、大規模なサンプルをランダムに選び出しました。それを調べたところ、科学界の主流の認識と意見が相反する研究結果は1つもありませんでした。

  過去10年間に、論文審査を受けて
  科学の学術雑誌に発表された
  「地球温暖化」に関する論分数    928

  温暖化の原因を疑う論文の割合   0%

  ―――――――――――――――――― 

  過去14年間に一般向け新聞
  に掲載された温暖化に関する
  記事の数               3,543

  温暖化の原因を疑う記事の割合   53%

    以上、第14章 「真実を否定してはならない」 pp.160-161より

 

地球温暖化をめぐるありがちな10の誤解

誤解その1
「人間が地球の気候変動を引き起こしているのかどうかに関して、科学者の意見は一致していない」
                       ↓
実際には、科学的な意見は「人間の活動が地球の気候を変えている」ということでしっかり一致している。(……)

誤解その3
「気候とは、時の経過とともに自然に移り変わるものだ。だから、私たちが今見ている変化はどれも、自然の周期の一環にすぎない」
                       ↓
確かに気候は自然に変化するものである。(……)しかしそのような変化が起こった際の自然な二酸化炭素濃度の変動はどれも、私たちが現在引き起こしているものより小さい。(……)

     以上、「地球温暖化をめぐるありがちな10の誤解」 p.205より
 
 
■赤祖父俊一氏の主張 Mr Syun-Ichi Akasofu's statement

(……)現在進行中の温暖化の大部分(約六分の五)は地球の自然変動であり、人類活動により放出された炭酸ガスの温室効果によるのはわずか約六分の一程度である可能性が高い(……)。すなわち、現在進行している温暖化の六分の五は、「小氷河期」という比較的寒かった期間(1400~1800年)から地球が回復中のためである。寒い期間からの回復は当然温暖化であり、「小氷河期」は地球上で人類活動に無関係に進行する現象、すなわち自然変動である。

(……)地球温暖化問題はまだ(……)学問の初期段階であり、国際政治、政策に関与する段階ではない(……)。

(……)日本の現在の状態は 「米国前副大統領アル・ゴアを救世主として温暖化狂想曲で踊っており、報道はその調子を鼓舞して太鼓を叩いている」 とでも表現しようがない。

    以上、「はしがき」 p.12, pp.15-16より。太字は原文から。


世界最大の問題の一つは貧困である。裕福国と貧困国の差である。この問題を解決しない限り世界は不安定である(テロの発生源でもある)。したがって貧困こそ世界人類にとって将来の最大問題ではないのか。なぜこの現存する重大問題より不確定な温暖化問題に集中しなければならないのか。

    以上、「第七章 地球温暖化問題はどうしてこんな騒ぎになってしまったのか」
    p.158より


これからの日本にとって最も重要な問題は日本の将来を確固たるものにすることである。そのためには具体的にはまず将来のエネルギーと食糧を確保することである。(……)炭酸ガスの温室効果による温暖化は、世界にとっても、日本にとっても最重要、最緊急問題ではない。地球温暖化が本当の危機であるならこれは 贅沢な危機 である。優先順位を誤ってはいけない。なぜ日本がそんな問題で世界のリーダーとなりたいのか、わからない。

    以上、「第九章 日本はどうすればよいか」 p.171より
    太字箇所は、原文では太字でなく傍点。


■出典 Sources

   アル・ゴア=著 枝廣淳子(えだひろ・じゅんこ)=訳
   『不都合な真実―地球温暖化の危機 ECO入門編
   ランダムハウス講談社 2007/06
   Adaptation of: An Inconvenient Truth by Al Gore, 2006

   赤祖父俊一(あかそふ・しゅんいち)=著
   『正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために
   成文堂新光社 2008/07

 

■外部リンク External links

 概説 General information
   * Global warming - Wikipedia
   * Climate change - Wikipedia
   * Kyoto Protocol - Wikipedia

 主張者と反対者 Advocates and opponents
   * Intergovernmental Panel on Climate Change - Wikipedia (IPCC)
   * Al Gore - Wikipedia (1948- )
   * Syun-Ichi Akasofu - Wikipedia (1930-  )

 議論 Discussions
   * Climate change: A guide for the perplexed
   * 地球温暖化問題懐疑論へのコメント


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(1) Global warming

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(1) Global warming

(2) Climate change

(3) The Kyoto Protocol

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(1) 地球温暖化

(2) 気候変動

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■CD


  

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Monday, 20 October 2008

宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』 (1) Night of the Milky Way Railway / Milky Way Railroad / Night Train to the Stars / Night on the Milky Way Train, by Kenji Miyazawa (1)

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Image gallery  本の表紙、DVDのジャケット Book & DVD Covers
■英訳 Translations into English
  (E1) Varnam-Atkin & Toyozaki ヴァーナム=アットキン+豊崎 2005
  (E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
  (E3) Pulvers パルバース 1996
  (E4) Strong, 1991, 2002
  (E5) Naruse, 1991
  (E6) Bester ベスター 1987, 1996
■tomoki y. による、英訳から日本語への重訳
 tomoki y's retranslation of the English translation back into Japanese
  (J1) tomoki y. 2008 « retranslation of Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005
  (J2) tomoki y. 2008 « retranslation of Sigrist & Stroud, 1996, 2008
  (J3) tomoki y. 2008 « retranslation of Pulvers, 1996
  (J4) tomoki y. 2008 « retranslation of Strong, 1991, 2002
  (J5) tomoki y. 2008 « retranslation of 成瀬 1991
  (J6) tomoki y. 2008 « retranslation of Bester, 1987, 1996
■宮沢賢治による日本語の原文 Miyazawa's original text in Japanese
■英題の異同 Variations of the title translated into English
■宮沢賢治の原文と tomoki y. 重訳との比較
 Comparison between Miyazawa's original and tomoki y's retranslations
■英訳の書誌情報詳細 Complete bibliography on translations into English
  (E1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005
  (E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
  (E3) Pulvers, 1996
  (E4) Strong, 1991, 2002
  (E5) Naruse, 1991
  (E6) Bester, 1987, 1996
■英訳の書誌情報詳細(日本語による表示)
 Complete bibliography on translations into English (described in Japanese)
  (E1) ヴァーナム=アットキン+豊崎 2005
  (E2) ジグリスト(シグリスト?)+ストラウド 1996, 2008
  (E3) パルバース 1996
  (E4) ストロング 1991, 2002
  (E5) 成瀬 1991
  (E6) ベスター 1987, 1996
■宮沢賢治による日本語原文の書誌情報
 Bibliography on Kenji Miyazawa's original text in Japanese
  (1) 電子テキスト E-texts
  (2) 本 Books
  (3) 上に引用した日本語原文の底本
    Source of the original Japanese text quoted above
■中國語譯(繁體字)Translations into traditional Chinese
  (Tw1) 李 2003
  (Tw2) 滕+郭 1991, 2002
  (Tw3) 滕 1998
■イタリア語訳 Translation into Italian
■フランス語訳 Translations into French
  (F1) Morita, 1991, 1995, etc.
  (F2) Lecoeur, 1989, 1990, etc.
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

日本語原文→英訳→日本語訳の「重訳」あそび。太宰治作品を2回続けたあと、この第3回は、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』。英訳はわたくしの知るかぎり、抄訳/再話や、おなじ訳者による異版もふくめ、少なくとも7種類出ています。


 Image gallery 
本の表紙、DVDのジャケット Book & DVD Covers

a. 2842611926_2 b. Lecoeur_voie_lacteejpg c. 1933330406

d. 4896840283 e. 476312322x f. 4480031634_2

g. Bester_4770021313jpg h. Strong_0873328205jpg i. 4770022174

j. 9577454968_2 k. 9574555070_3 l. Night_on_the_galactic_railroadjpg

↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑



■英訳 Translations into English

(E1) Varnam-Atkin & Toyozaki ヴァーナム=アットキン+豊崎 2005
  "Now, do you know what this long white thing is?" asked the teacher. "Some people say it's a river. Other people say it's made of milk."
  There was a large black map of the stars hanging on the blackboard. He was pointing at something that looked like a white belt. It went all the way from the top to the bottom.

   [en] The Night of the Milky Way Train
     Translated and retold by Stuart Varnam-Atkin & Yoko Toyozaki
     2005/08
   [ja] 『銀河鉄道の夜
     ステュウット・A.ヴァーナム=アットキン+豊崎洋子=訳 2005/08


(E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
  "Well then, everybody, while it's been called a river or a leftover spill of milk, can you tell me if this pale white thing is in fact a river?"
  The teacher pointed to the whitish Milky Way zone stretching from top to bottom of the star map that hung over the blackboard.

   Milky Way Railroad by Kenji Miyazawa
   Translated and adapted by Joseph Sigrist & D. M. Stroud
   2a. Milky Way Railroad. 2008/09
   2b. Milky Way Railroad. 1996/06
   引用は 2b. に拠りました。


(E3) Pulvers パルバース 1996
  "So you see, boys and girls, that is why some have called it a river, while others see a giant trace left by a stream of milk. But does anyone know what really makes up this hazy-white region in the sky?"
  The teacher pointed up and down the smoky white zone of the Milky Way that ran across a huge black starmap suspended from the top of the blackboard. He was asking everybody in the class.

   [en] Night on the Milky Way Train
     Translated by Roger Pulvers. 1996/03
   [ja] 『英語で読む銀河鉄道の夜
     ロジャー・パルバース=訳 1996/03


(E4) Strong, 1991, 2002
  "As we have seen, this indistinct white band has been variously described as a river, as the residue of a flow of milk, and so forth. Who knows what it really is?"
  The teacher directed his question to the entire class, pointing to the hazy white galactic sash that stretched from the top to the bottom of the big black star map mounted on the board.

   4a. Night of the Milky Way Railway
     Translated by Sarah M. Strong
     in Masterworks of Miyazawa Kenji: Poems and Fairy Tales, 2002/08
   4b. Night of the Milky Way Railway
     Translated by Sarah M. Strong, 1991/07
   引用は 4a. に拠りました。


(E5) Naruse, 1991
  "Some say this vaguely white thing is a river. Others say it's just a trace of spilled milk. What do you think it really is?" the teacher asked, pointing at the band of the Milky Way on the star chart.

   成瀬武史=編訳 『銀河鉄道の夜』 1991/07


(E6) Bester ベスター 1987, 1996
  "Now, boys--what about this vague white blur that, as I just told you, people used to say was a river, or a 'Milky Way'--do you know what really is?"
  As he put the question to the class, the teacher pointed to the smoky white part, stretching in a galactic band from top to bottom, of the big black map of the constellations hung on the blackboard.

   Night Train to the Stars. Translated by John Bester
   ジョン・ベスター=訳『銀河鉄道の夜』
   6a.
    [en] Night Train to the Stars. 1996/08
    [ja] 『銀河鉄道の夜』 1996/08
   6b.
    [en] Night Train to the Stars and Other Stories. 1987/10
    [ja] 『銀河鉄道の夜―宮沢賢治童話集2』 1987/10
   引用は 6a. に拠りました。


■tomoki y. による、英訳からの重訳
 tomoki y's retranslation of the English translation

(J1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005 » tomoki y., 2008
「さて、この長い白いものが、なにだかわかりますか?」と先生は尋ねました。「ある人は川だと言い、 ほかの人はミルクでできたものだと言います」
 大きくて黒い、星の地図が黒板の上に掛かっていました。先生は、なにか白い帯のように見えるものを指さしていました。その帯のようなものは、てっぺんからいちばん下まで流れていました。

   宮沢賢治=原著 『銀河鉄道の夜』
   Stuart Varnam-Atkin & Yoko Toyozaki=訳(和→英)
   Tomoki Yamabayashi=重訳(英→和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/10/18


(J2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008 » tomoki y., 2008
「それでは、みなさん、これは今まで、川だと呼ばれたり、こぼれたミルクの跡だと呼ばれたりしてきましたが、この青白いものが実のところ川であるかかないか、わかりますか?」
 先生は、白っぽい天の川の帯を指さしました。その帯は黒板に吊り下げられた星図の上から下まで伸びていました。

   宮沢賢治=原著 『銀河鉄道の夜』
   Joseph Sigrist & D. M. Stroud=訳(和→英)
   Tomoki Yamabayashi=重訳(英→和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/10/18


(J3) Pulvers, 1996 » tomoki y., 2008
「さて、みなさん、そんなわけで、ある人はそれを川だと言い、ある人はミルクが流れてできた巨大な跡に見えるというわけです。しかし、だれかわかりますか?――空にある、この濁った白い部分が、本当は何でできているのか?」
 先生は、天の川のくすんだ白い帯の上や下を指さしました。天の川は黒板のてっぺんから吊り下げてある、大きくて黒い、星図の上から下まで流れていました。先生はみんなに質問していました。

   宮沢賢治=原著 『銀河鉄道の夜』
   Roger Pulvers=訳(和→英)
   Tomoki Yamabayashi=重訳(英→和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/10/18


(J4) Strong, 1991, 2002 » tomoki y., 2008
「いま見たように、このぼんやりした白い帯については、これまでいろいろなことが言われてきたのですよ。川だとか、ミルクの流れた跡だとか、ほかにもいろいろね。だれかわかりますか、これは本当は何だか?」
 先生はこの質問を教室の全員に向かって投げかけました――白くにごった銀河の帯を指さしながら。その帯は、黒板に掛けた大きな黒い星の地図のてっぺんからいちばん下まで伸びていました。

   宮沢賢治=原著 『銀河鉄道の夜』
   Sarah M. Strong=訳(和→英)
   Tomoki Yamabayashi=重訳(英→和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/10/18


(J5) 成瀬 1991 » tomoki y., 2008
「このぼんやりと白いものは川だと言う人がいます。いや、たんなるミルクのこぼれた跡だと言う人もいます。皆さんは、本当は何だと思いますか?」先生は尋ねました、星図に描かれた天の川の帯を指差しながら。

   宮沢賢治=原作 『銀河鉄道の夜』
   成瀬武史=訳(和→英)
   Tomoki Yamabayashi=重訳(英→和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/10/18


(J6) Bester, 1987, 1996 » tomoki y., 2008
「さて、みなさん、このぼんやりした白いものですけど、いまお話したように、むかしの人は、これは川だと言いました。あるいは“天の川”だと。でも、本当は何だかわかりますか?」
 先生は、教室のみんなに質問しながら、くすんだ白い部分を指さしました。この白い部分は、銀河の帯となって伸びていました。黒板の上に掛けてある、大きくて黒い、星座の地図のてっぺんからいちばん下 まで。

   宮沢賢治=原著 『銀河鉄道の夜』
   John Bester=訳(和→英)
   Tomoki Yamabayashi=重訳(英→和)
   tomokilog - うただひかるまだがすかる, 2008/10/18


■宮沢賢治による日本語の原文 Miyazawa's original text in Japanese

「ではみなさん、さういふふうに川だと云はれたり、乳の流れたあとだと云はれたりしてゐた、このぼんやりと白いものが何かご承知ですか。」
 先生は、黒板に吊した大きな黒い星座の圖の、上から下へ白くけぶつた銀河帶のやうなところを指しながら、みんなに問ひをかけました。

   宮沢賢治=著 『銀河鐵道の夜』 一 午後の授業
   岩波文庫版 『銀河鉄道の夜
   青空文庫 初登録(=アップロード):2006/09/17


■英題の異同 Variations of the title translated into English

Milky Way Railroad -- Sigrist & Stroud, 1996, 2008
Night Train to the Stars -- Bester 1987, 1996
Night of the Milky Way Railway -- Strong, 2002
Night of the Milky Way Railway -- Strong, 1991
Night on the Milky Way Train -- Pulvers, 1996
The Night of the Milky Way Train -- Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005

Cf. Night on the Galactic Railroad -- The title adopted by Wikipedia
  The animated film adaptation directed by Gisaburo Sugii is often
  called by this title as well.


■宮沢賢治の原文と tomoki y. 重訳との比較
 Comparison between Miyazawa's original and tomoki y's retranslations

わたくしの重訳は、どれもパッとしませんね。この物語は、冒頭から、どことなく現実離れした雰囲気が漂っていて、そこが魅力の一つでもあるのですが、それをうまく訳し出すことができませんでした。


■英訳の書誌情報詳細 Complete bibliography on translations into English

A simple, partial list can be found at the link below:
   Main English Translation of Kenji's Works
   (in The World of Kenji Miyazawa website)

(E1) Varnam-Atkin & Toyozaki, 2005
   The Night of the Milky Way Train by Kenji Miyazawa
   Translated and retold by Stuart Varnam-Atkin & Yoko Toyozaki
   Tokyo : IBC Publishing, 2005/08. Publisher details here.
   This book is a retold edition for learners of English.
   Scanned images of this book at Google Book Search

(E2) Sigrist & Stroud, 1996, 2008
   Milky Way Railroad by Kenji Miyazawa
   Translated and adapted by Joseph Sigrist & D. M. Stroud
   2a. Milky Way Railroad ISBN: 1933330406
     Stone Bridge Fiction, Stone Bridge Press, 2008/09
   2b. Milky Way Railroad ISBN: 1880656264
     Rock Spring Collection of Japanese Literature
     Stone Bridge Press, 1996/06
   The quotation above is based on 2b.

(E3) Pulvers, 1996
   Night on the Milky Way Train by Kenji Miyazawa
   Translated by Roger Pulvers
   Published by Tokyo : Chikuma Shobo, 1996/03

(E4) Strong, 1991, 2002
   4a. Night of the Milky Way Railway
     Translated by Sarah M. Strong
     in Masterworks of Miyazawa Kenji: Poems and Fairy Tales
     Translated by Sarah M. Strong & Karen Colligan-Taylor
     Publisher: International Foundation for the Promotion of
     Languages and Culture (IFLC), Tokyo
     Distributor: Sunmark Publishing Inc., 2002/08

     Table of Contents:
     * Four Poems
     * Night of the Milky Way Railway
     * Goesch the Cellist (a.k.a. Gauch the Cellist)
     * Matasaburo of the Wind
     * The Restaurant of Many Orders
     * The Life of Gusukoh Budori

   4b. Night of the Milky Way Railway by Kenji Miyazawa.
     Translation and guide by Sarah M. Strong.
     Illustration by Bryn Barnard.
     Armonk, N.Y. : M.E. Sharpe Inc., 1991/07
   The quotation above is based on 4a.

(E5) Naruse, 1991
   宮沢賢治=原作 成瀬武史=編訳 Bruce M. Wilkerson=英文校閲
   『銀河鉄道の夜』 英訳 日本名作シリーズ1
   日本英語教育協会 1991/07

(E6) Bester, 1987, 1996
   6a. Night Train to the Stars
     by Kenji Miyazawa.
     Translated by John Bester. Kodansha Bilingual books.
     Kodansha International, 1996/08
   6b. Night Train to the Stars and Other Stories
     by Kenji Miyazawa.
     Translated by John Bester ; Sketches by Makoto Obo.
     Kodansha English library. Kodansha International, 1987/10
   The quotation above is based on 6a.


■英訳の書誌情報詳細(日本語による表示)
 Complete bibliography on translations into English (described in Japanese)

(E1) ヴァーナム=アットキン+豊崎 2005
   英題:The Night of the Milky Way Train
   宮沢賢治=著 ステュウット・A.ヴァーナム=アットキン+豊崎洋子=訳
   『銀河鉄道の夜』 洋販ラダーシリーズ
   アイビーシーパブリッシング=発行 日本洋書販売=発売 2005/08
   この訳は、英語学習者向けに易しく書き直したもの。詳細は ここ

(E2) ジグリスト(シグリスト?)+ストラウド 1996, 2008
   英題:Milky Way Railroad
   宮沢賢治=作
   J・ジグリスト(シグリスト?)+D・M・ストラウド=訳
   2a. Milky Way Railroad
     Stone Bridge Fiction, Stone Bridge Press, 2008/09
   2b. Milky Way Railroad
     Rock Spring Collection of Japanese Literature
     Stone Bridge Press, 1996/06
   引用は 2b. に拠りました。

(E3) パルバース 1996
   英題:Night on the Milky Way Train
   宮沢賢治=著 ロジャー・パルバース=訳
   『英語で読む銀河鉄道の夜』 ちくま文庫 1996/03

(E4) ストロング 1991, 2002
   4a. 英題:Night of the Milky Way Railway
      宮沢賢治=著 サラ・ストロング=訳 「銀河鉄道の夜」
      サラ・ストロング+カレン・コリガン=テーラー=訳 『英文 宮沢賢治傑作選
      発行:国際言語文化振興財団 発売:サンマーク出版 2002/08 所収

      収録作品:
      詩四篇、銀河鉄道の夜、セロ弾きのゴーシュ、風の又三郎、
      注文の多い料理店、グスコーブドリの伝記

   4b. 英題:Night of the Milky Way Railway
      作:宮沢賢治 訳・解説:サラ・ストロング 画:ブリン・バーナード
      発行:Armonk, NY : M.E. Sharpe, 1991/07
   引用は 4a. に拠りました。

(E5) 成瀬 1991
   宮沢賢治=原作 成瀬武史=編訳 Bruce M. Wilkerson=英文校閲
   『銀河鉄道の夜』 英訳 日本名作シリーズ1 日本英語教育協会 1991/07
   「英検3級レベルの英語力で読みかつ味わえるように、原作を編集して英訳した」
   リライト版。

(E6) ベスター 1987, 1996
   6a. 英題:Night Train to the Stars
     宮沢賢治=作 ジョン・ベスター=訳
     『銀河鉄道の夜』 講談社バイリンガル・ブックス
     講談社インターナショナル 1996/08
   6b. 英題:Night Train to the Stars and Other Stories
     宮沢賢治=作 ジョン・ベスター=訳 おぼ まこと=画
     『銀河鉄道の夜―宮沢賢治童話集2
     講談社英語文庫 講談社インターナショナル 1987/10
   引用は 6a. に拠りました。


■宮沢賢治による日本語原文の書誌情報
 Bibliography on Kenji Miyazawa's original text in Japanese

(1) 電子テキスト E-texts
   a. 角川文庫版 『銀河鉄道の夜』 (新字新かな) E-text at 青空文庫
     入力:幸野素子 校正:土屋隆
     初登録(=アップロード):2005/08/18
   b. 岩波文庫版 『銀河鉄道の夜』 (旧字旧仮名) E-text at 青空文庫
     入力:高柳典子 校正:土屋隆
     初登録(=アップロード):2006/09/17
   c. 新潮文庫版 『銀河鉄道の夜』 (新字新かな) E-text at 青空文庫
     入力:野口英司、中村隆生 校正:野口英司
     初登録(=アップロード):1997/10/29

(2) 本 Books
   d.新編 銀河鉄道の夜』 新潮文庫 1989/06
   e.新修 宮沢賢治全集12』 筑摩書房 1980/01
   f.銀河鉄道の夜』 角川文庫(改版)1969/07
   g. 宮澤賢治全集10』 筑摩書房 1967/10
   h.銀河鉄道の夜 他十四篇 童話集』 岩波文庫 1951/10(旧字旧仮名)
   i.宮澤賢治全集3』 十字屋書店 1939(昭和14)(旧字旧仮名)

(3) 上に引用した日本語原文の底本
 Source of the original Japanese text quoted above

   a. の底本は f.b. の底本は h.c. の底本は d.
   引用は b. に拠りました。


■中國語譯(繁體字)Translations into traditional Chinese

(Tw1) 李 2003
   《銀河鐵道之夜:日本國寶級作家宮澤賢治百年經典童話》
   作者:宮澤賢治/著 譯者:李毓昭
   出版社:晨星 出版日期:2003/10 ISBN: 9574555070
   Available from:
   * books.com.tw
   * book4u.com.tw

(Tw2) 滕+郭 1991, 2002
   2a.《銀河鐵道之夜――宮澤賢治全集1》
     作者:宮澤賢治著 ; 滕若榕, 郭美惠譯
     出版社:遊目族 出版日期:2002/02 ISBN:9577454968
     Available from:
     * hkbookcity.com
     * ruten.com.tw
     * cite.com.tw
   2b.《銀河鐵道之夜》
     作者:宮澤賢治著 ; 滕若榕, 郭美惠譯
     出版社:遊目族文化出版 出版日期:1991/02 ISBN:9577454968
     Available from:
     * intra.tpml.edu.tw

(Tw3) 滕 1998
   《銀河鐵道之夜》
   作者:宮澤賢治著 ; 滕若榕譯
   出版社:麥田 書系:麥田物語 出版日期:1998/04
   ISBN:957708592X
   Available from:
   * cite.com.tw
   * books.com.tw


■イタリア語訳 Translation into Italian
   Una notte sul treno della Via Lattea e altri racconti
   Editore: Marsilio
   Collana: Letteratura Universale. Mille Gru, 1994/09
   ISBN: 8831760335


■フランス語訳 Translations into French

(F1) Morita, 1991, 1995, etc.
   Train de nuit dans la voie lactée by Kenji Miyazawa
   Translated by Hélène Morita
   1a. Train de nuit dans la voie lactée
     Serpent à plumes; E'dition: Nouvelle édition, 2000/04
   1b. Train de nuit dans la voie lactée
     Collection: Motifs 021. Serpent à plumes, 1995/06
   1c. Train de nuit dans la voie lactée: et autres récits
     Lettres du monde entier. Grands textes. Intertextes, 1991


(F2) Lecoeur, 1989, 1990, etc.
  -- Eh bien, les enfants! Cette chose blanche et floue que l'on appelle Rivière du Ciel, la Voie lactée, savez-vous ce que c'est en réalité?
  Le maître posa la question aux élèves, montrant sur la grande carte céleste noire, suspendue au tableau, une zone vaguement laiteuse qui s'étalait de haut en bas.

   2a. Le Train de la Voie lactée by Kenji Miyazawa
     Translated by Françoise Lecoeur
     Paris: Critérion, 2002/12
   2b. Le Train de la Voie lactée by Kenji Miyazawa
     Translated by Françoise Lecoeur
     Paris: Critérion, 1990

     Table of Contents:
     * Préface
     * Avant-propos
     * Le Dieu de la terre et le renard (土神と狐)
     * L'Etoile de l'engoulevent (よだかの星)
     * Les Glands et le chat sauvage (どんぐりと山猫)
     * Le Mois des narcisses (水仙月の四日)
     * L'Homme de la montagne (山男の四月)
     * Gauche et le violoncelliste (セロ弾きのゴーシュ)
     * Le Train de la voie lactée (銀河鉄道の夜)
     * Matasaburo l'enfant du vent (風の又三郎)
     * Opbel et l'éléphant (オッベルと象)
     * Le Restaurant aux nombreuses commandes (注文の多い料理店)
     More details at Shunkin.net

   2c. Dans la voie lactée by Kenji Miyazawa
     Translated by Françoise Lecoeur
     ISBN: 2877300242  Philippe Picquier, 1989/01
   The quotation is based on 2b.
 
 
■外部リンク External links

 [ja] 日本語

 [en] English


■更新履歴 Change log

  • 2013/05/28 目次を新設しました。
  • 2013/01/17 外部リンクを補足しました。
  • 2008/11/24 成瀬武史=編訳 1991/07 を追加しました。
  • 2008/10/28 外部リンクを補足しました。
  • 2008/10/26 Françoise Lecoeur によるフランス語訳 1990 の書誌情報を補足しました。また、John Bester=英訳 1996/08、Sarah M. Strong=英訳 1991/07、および Françoise Lecoeur=フランス語訳 1990 の表紙画像を追加しました。
  • 2008/10/25 Sarah M. Strong & Karen Colligan-Taylor=訳 2002/08、Joseph Sigrist & D. M. Stroud=訳 1996/06、ならびに、tomoki y. による、これら2つの英訳から日本語への重訳 2008/10 を追加しました。
  • 2008/10/22 Françoise Lecoeur によるフランス語訳 1990 を追加しました。

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Tuesday, 14 October 2008

Howards End by E. M. Forster (2) E・M・フォースター 『ハワーズ・エンド』『ハワーズ・エンド邸』 (2)

 Video 
映画 『ハワーズ・エンド』予告編 Howards End Trailer

Howards End (1992) - The Internet Movie Database (IMDb)


■はじめに Introduction

お金と愛情。マーガレットのセリフ。


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) tomoki y. 2008
「貧乏人は、だれか愛したい相手があっても、その人の足元までたどり着けるとは限らない。だれかあいそを尽かした相手があっても、その人と縁を切れないのは、よくある話」

   E・M・フォースター=著 Tomoki Yamabayashi=訳
   『ハワーズ・エンド』
   tomokiilog - うただひかるまだがすかる, 2008/10/14

   原書:
   Howards End by E. M. Forster
   Project Gutenberg Europe


(J2) 小池 1970, 1994
「貧しい人たちは自分たちの愛したいと思う人のところまで行けない場合もあるし、もはや愛していない人から逃げられない場合もあるのですもの」

   E・M・フォースター=著 小池滋(こいけ・しげる)=訳
   2a.ハワーズ・エンド』E・M・フォースター著作集3
    みすず書房 1994/03
   2b.「ハワーズ・エンド」『新集 世界の文学28 フォースター
    中央公論社 1970 所収
   2a.2b. に手を加えたもの。引用は 2a. に拠りました。


(J3) 鈴木 1967, 1987
「貧しい人は、自分が愛したいと思う人たちの所へ行けるとは限らないし、もう愛していない人々から逃れることも容易にはできないのです」

   E・M・フォースター=著 鈴木幸康(すずき・ゆきやす)=訳
   3a.ハワーズ・エンド邸』八潮版・イギリスの文学10
    八潮出版社 改訳新版 1987/06
   3b.ハワーズ・エンド邸』八潮版・イギリスの文学10
    八潮出版社 1967/02
   引用は 3b. に拠りました。

   原書:
   エドワード・アーノルド社のポケット・エディション (1956年版)


(J4) 吉田 1965, 1980, etc.
「貧乏な人たちは自分が愛したい人たちの所まで行けないし、もう愛さなくなった人たちから離れることもできないんですから」

   E・M・フォースター=著 吉田健一(よしだ・けんいち)=訳
   4a.ハワーズ・エンド』世界文学全集1-7 河出書房新社 2008/05
   4b.ハワーズ・エンド』綜合社=編集 集英社=発行 1992/05
   4c.「ハワーズ・エンド」『世界文学全集71 モーム, E.M.フォースター
    集英社 1980/06 所収
   4d.「ハワーズ・エンド」
    伊藤整〔ほか〕=編『世界文学全集16 20世紀の文学
    フォースター, ゴールディング 集英社 1965 所収
   引用は 4b. に拠りました。


 Audio 
Howards End Audiobook Chapters 1-7

Published on Jun 20, 2012 by CCProse. The excerpt below starts around 2:05:53. 下に引用する箇所は 2:05:53 あたりから始まります。


■英語原文 The original text in English

The poor cannot always reach those whom they want to love, and they can hardly ever escape from those whom they love no longer.

   Chapter 7
   Howards End (1910) by E. M. Forster


■出典 Sources

 (1) 初版本の各ページの複写画像 Scanned book at Internet Achive

 (2) 電子テキスト E-text
   * The Literature Network
   * Project Gutenberg Europe
   * Project Gutenberg
   * Classic Reader
   * GradeSaver


■外部リンク External links

 [en] English
   * E. M. Forster - Wikipedia (1879-1970)
   * Howards End - Wikipedia
   * Aspects of E.M. Forster: Howards End
   * Only Connect: The Unofficial E. M. Forster Site
   * Pharos: E.M. Forster by Rob Doll

 [ja] 日本語
   * E・M・フォースター - 翻訳作品集成
   * E・M・フォースター - 翻訳アンソロジー/雑誌リスト
   * E.M.フォースター邦訳作品リスト


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Saturday, 11 October 2008

感謝:100,000アクセス Thanks: 100,000 page views

tomokilog は、先日、100,000アクセスを突破しました(ページ右下にアクセス・カウンター)。数字にふかい意味はありませんが、一種の記録には違いありません。このブログを見に来てくださる皆さん、ありがとうございます。(*^-^)

tomokilog marked the 100,000 page view milestone on the other day (access counter at the right bottom of the page). Thank you very much for your readership.

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Monday, 29 September 2008

太宰治 『人間失格』 No Longer Human by Osamu Dazai

        目次 Table of Contents

■はじめに Introduction
 Video 1  映画 人間失格 (2009) Film The Fallen Angel (2010)
 Images   さまざまな言語の版 Editions in various languages
■キーン氏による英訳 Professor Keene's translation into English
■tomoki y. による、英訳からの重訳 tomoki y's retranslation of the English translation
■太宰による日本語の原文 Dazai's original text in Japanese
  Audio   日本語原文オーディオブック Audiobook in Japanese
■比較 Comparison
 Video 2  アニメ 人間失格 ディレクターズカット版 (2009)
■『人間失格』 日本語版各種 Partial list of Dazai's original Japanese editions
 Video 3  テレビ朝日『驚きももの木20世紀』 太宰治を愛した女 (1995)
 Video 4  フジテレビ『文學ト云フ事』 第4回 「人間失格」 太宰治 (1994)
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


■はじめに Introduction

まえの記事に引き続き、日本語原文→英訳→日本語訳の「重訳」あそび。今回も太宰治をとりあげます。代表作『人間失格』。そしてドナルド・キーン氏による、その英訳。

『人間失格』も、私は大昔に読んで以来、読み返していません。あの冒頭部分は、さすがにうっすらと覚えています。ですが、今回は太宰の文体を、あえて模倣しないことにします。まねようとしたところで、ろくなものにはならないことが分かりましたから(苦笑)。

かわりに、こんなことを意識しています。つまり、日本語を知らない人たちが、日本の文学作品の英訳を読んでいる最中に頭のなかに思い浮かべる内容——いわば英語人の脳内スクリーンに映るイメージ——とは、日本語にストレートに復元したら、どんな感じのものになるのだろうか? そんなことを考えながら訳してみます。


 Video 1 
映画 人間失格 (2009) 予告篇 The Fallen Angel (2010) Trailer

監督: 荒戸源次郎 出演: 生田斗真、伊勢谷友介、寺島しのぶ Drected by Genjiro Arato. Starring Toma Ikuta, Yusuke Iseya, Shinobu Terajima


 Images  
さまざまな言語で出版された『人間失格』 No Longer Human in various languages

de De_dazai_gezeichnet_3 es Es_dazai_humano fr Fr_dazai

en En_dazai_0870117793 en En_dazai_no_longer_human kr Kr_893746103x

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↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑


■キーン氏による英訳 Translation into English by Professor Keene

Mine has been a life of much shame.

I can't even guess myself what it must be to live the life of a human being. I was born in a village in the Northeast, and it wasn't until I was quite big that I saw my first train. I climbed up and down the station bridge, quite unaware that its function was to permit people to cross from one track to another, I was convinced that the bridge had been provided to lend an exotic touch and to make the station premises a place of pleasant diversity, like some foreign playground. I remained under this delusion for quite a long time, and it was for me a very refined amusement indeed to climb up and down the bridge. I thought that it was one of the most elegant services provided by the railways. When later I discovered that the bridge was nothing more than a utilitarian devise, I lost all interest in it.


■tomoki y. による、英訳からの重訳
 tomoki y's retranslation of the English translation

 私の人生は、これまで恥だらけだった。
 人として生きるとはどういうことか、見当もつかない。私は東北地方のある村の生まれだ。汽車を初めて目にしたのは、かなり大きくなってからだった。駅の陸橋を昇り降りした。ところが、陸橋が一つの番線から別の番線へと渡るためのものだということを、まったく知らなかった。私は勝手に思いこんでいたのだ。陸橋というのは、駅にエキゾチックな印象をあたえ、楽しい変化をつけるためのものだと——あたかも外国の遊園地かなにかのように。私はずっと長いあいだ、このような誤解を抱きつづけた。実際のところ、私にとって陸橋を昇り降りするのは、非常に洗練されたエンタテインメントだったのだ。陸橋は鉄道が提供するサービスのなかで、もっともエレガントなものの一つだと思った。後年、それはたんなる実用の施設にすぎないと知ったら、一気に興味がうせてしまった。


■太宰による日本語の原文 Dazai's original text in Japanese

 恥の多い生涯を送って来ました。
 自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。自分は東北の田舎に生れましたので、汽車をはじめて見たのは、よほど大きくなってからでした。自分は停車場のブリッジを、上って、降りて、そうしてそれが線路をまたぎ越えるために造られたものだという事には全然気づかず、ただそれは停車場の構内を外国の遊戯場みたいに、複雑に楽しく、ハイカラにするためにのみ、設備せられてあるものだとばかり思っていました。しかも、かなり永い間そう思っていたのです。ブリッジの上ったり降りたりは、自分にはむしろ、ずいぶん垢抜(あかぬ)けのした遊戯で、それは鉄道のサーヴィスの中でも、最も気のきいたサーヴィスの一つだと思っていたのですが、のちにそれはただ旅客が線路をまたぎ越えるための頗る実利的な階段に過ぎないのを発見して、にわかに興が覚めました。

  • 太宰治=著 『人間失格』 第一の手記
    • 人間失格』 E-text at 青空文庫 入力:細渕真弓 校正:八巻美惠 1999/01/01 公開 2004/02/23 修正
    • 人間失格』 新潮文庫 1952/10
  • a の底本は b。引用は a に拠りました。

  Audio  
「人間失格」 オーディオブック Audiobook in Japanese

朗読: wis  Uploaded to YouTube by teabreakt on 4 May 2011


■比較 Comparison

(1) だ/である vs です/ます Blunt style vs Distal style
太宰の原文が「ですます調」であることは、うっすら記憶していました。しかし、上にも示唆したように、ここでは、あえて違うスタイルを採用して訳すことにしました。
 
(2) タイトル The title
Title
 
(3) いくつかの表現 Some of the expressions
Expressions
 
(4) 全体の印象 Overall impression
『人間失格』をお読みになったかたならご記憶でしょうが、上の引用箇所は「はしがき」のあとに続く「第一の手記」と題された章の冒頭部です。「手記」の名にふさわしく、太宰の原文には、主人公の肉声による「告白」の空気が濃厚にただよっています。ところが、キーン氏の訳や私の訳には、その雰囲気が、あまり/ほとんどない。特定の色づけのない、中立的な叙述に近い感じです。個々のコトバの「意味」を越えた「雰囲気」といったものは、翻訳のなかで受け継いで伝えるのがむずかしいようです。


 Video 2 
アニメ 『人間失格 ディレクターズカット版』 (2009) 予告篇

監督: 浅香守生 アニメーション制作: マッドハウス 声の出演: 堺雅人


■太宰治『人間失格』:さまざまな版
 Partial list of the titles containing Dazai's original Japanese text

  1. 人間失格 ケータイ名作文学 ゴマブックス 2008/08
  2. 人間失格, 桜桃 角川文庫 改版 2007/06
  3. 人間失格 集英社文庫 新装版 2007/06
  4. 人間失格 新潮文庫 改版 2006/01
  5. 斜陽・人間失格・桜桃・走れメロス 外七篇 文春文庫 2000/10
  6. ザ・太宰治 第三書館 1999/02
  7. 太宰治全集10 小説9 筑摩書房 1999/01
  8. 人間失格 E-text at 青空文庫 入力: 細渕真弓 校正:八巻美恵 初登録(=アップロード) 1999/01 (新字新かな)
  9. 人間失格 集英社文庫 1990/11
  10. 太宰治全集9 筑摩書房 1990/10
  11. 太宰治全集9 ちくま文庫 1989/05
  12. 人間失格、グッド・バイ 他一篇 岩波文庫 1988/05
  13. 太宰治全集9 筑摩書房 1976
  14. 太宰治全集9 筑摩書房 1956
  15. 人間失格 新潮文庫 1952
  16. 太宰治全集15 八雲書店 1949
  17. 人間失格 筑摩書房 1948
  18. 展望 筑摩書房 1948年6月号〜8月号

以上のほか多数の版に収録。8 の底本は 15。初出誌は 18。引用は 8 に拠りました。


 Video 3 
テレビ朝日『驚きももの木20世紀』 顛末 武蔵野心中 太宰治を愛した女 (1995-11-17)


 Video 4 
フジテレビ『文學ト云フ事』 第4回 「人間失格」 太宰治 (1994-05-10)


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2014-09-27 目次を新設し、オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2010-05-25 つぎの4本の YouTube 動画を追加しました。
    1. 映画『人間失格』 (2009) 予告篇
    2. アニメ『人間失格 ディレクターズカット版』 (2009) 予告篇
    3. テレビ朝日『驚きももの木20世紀』 顛末 武蔵野心中 太宰治を愛した女 (1995)
    4. フジテレビ『文學ト云フ事』 第4回 「人間失格」(1994)

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Sunday, 28 September 2008

太宰治 「親友交歡」「親友交歓」 The Courtesy Call by Osamu Dazai

■はじめに Introduction

翻訳論やコミュニケーション論などの論者がときどき話題として取り上げる「重訳」を自分でやってみました。「翻訳の翻訳」を原文と比べて、どれだけ原意からずれているかを見る。伝言ゲームのバイリンガル文書版みたいなものです。別にむずかしい理屈をならべるつもりはありません。たんなるお遊びです。

太宰治に「親友交歡」という題のノンフィクション風短篇小説があります。私はこの作品を、ずっと前に読んだ気がしますが、今回この重訳を試みる時点では、内容をまったく覚えていませんでした。アイヴァン・モリスというイギリス人による英訳が出ています。太宰の原文をわざと見ないようにして、このモリス氏の英訳を日本語に訳し戻してみました。はたして、どれだけ太宰ふうに訳せるか?


 Images 
表紙画像 Cover photos

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

de De_dazai_gezeichnet es Es_elocaso fr Fr_la_femme_de_villon

en En_morris_japanese_stories zh H_dazai_villons_wife ja Ja_dazai_kishida


■tomoki y. による、英訳からの重訳
 tomoki y's retranslation of the English translation

その男のことは死ぬまで忘れない。去る九月の午後、家(うち)へやってきた男のことだ。うわべだけ見たら、彼の来訪には何も格別なところはなかったかもしれない。だが、私は固く信じている。あれは、わが人生における一大事件だったのだ、と。なぜなら、私にとって、この男は新人類の出現を予言するものだったからだ。東京にいた時分、私はよく最低級の飲み屋へ行っては、唖然とするほどの極道者たちと交わったものだった。だが、この男は図抜けていた。どこからどう見ても、私がこれまでに会った人間のなかで、最もいやな、最もいけ好かない奴だった。こいつには善良さのかけらもなかった。

 
 
■モリス氏による英訳 Translation into English by Mr Morris

Until the day of my death I shall not forget the man who came to my house that afternoon last September. Although on the surface there may have been nothing very spectacular about his visit, I am convinced that it was a momentous event in my life. For to me this man foretold a new species of humanity. During my years in Tokyo, I had frequented the lowest class of drinking house and mixed with some quite appalling rogues. But this man was in a category of his own: he was far and away the most disagreeable, the most loathesome, person I had ever met; there was not a jot of goodness in him.

  • The Courtesy Call by Dazai Osamu. Translated by Ivan Morris. Modern Japanese Stories: An Anthology edited by Ivan Morris. Rutland, Vermont and Tokyo, Japan : Charles E. Tuttle Company, 1962

 
 
 Audio 
日本語原文朗読 Audiobook in Japanese

Uploaded to YouTube by atoyaku さんのチャンネル on 3 Feb 2013


■太宰による日本語の原文 Dazai's original text in Japanese

 昭和二十一年の九月のはじめに、私は、或る男の訪問を受けた。
 この事件は、ほとんど全く、ロマンチツクではないし、また、いつかうに、ジヤアナリスチツクでも無いのであるが、しかし、私の胸に於いて、私の死ぬるまで消し難い痕跡を殘すのではあるまいか、と思はれる、そのやうな妙に、やりきれない事件なのである。
 事件。
 しかし、やつぱり、事件といつては大袈裟かも知れない。私は或る男と二人で酒を飲み、別段、喧嘩も何も無く、さうして少くとも外見に於いては和氣藹々裡に別れたといふだけの出來事なのである。それでも、私にはどうしても、ゆるがせに出來ぬ重大事のやうな氣がしてならぬのである。
 とにかくそれは、見事な男であつた。あつぱれな奴であつた。好いところが一つもみじんも無かつた。
 (数行略)東京生活に於いては、最下等の居酒屋に出入りして最下等の酒を飲み、所謂最下等の人物たちと語り合つてゐたものであつて、たいていの無頼漢には驚かなくなつてゐるのである。しかし、あの男には呆れた。とにかく、ずば抜けてゐやがつた。

  • 太宰治=著 「親友交歡」 初出: 『新潮』 第43巻第12号 1946/12

 
 
■比較 Comparison

  1. 省略/削除 Omission/Deletion
    • アイヴァン・モリス氏の英訳が、かなり自由に省略や変更を行なっているのが意外でした。まず、冒頭の一文からして違う。太宰の前置き的なコトバもいくつか削っている。たとえば、「ロマンチツクではないし、また、いつかうに、ジヤアナリスチツクでも無い」の語句に相当する英語は見あたりません。
       
    • 原文で「数行略」と記した箇所も訳出されていませんが、ここには、著者「私」が、罹災したあと、隠遁生活を送っていた様子の叙述があります。会話でもそうですが、一般に英語でのコミュニケーションは、日本語でのそれにくらべて、前置きや回りくどい表現を嫌う傾向があるようです。単刀直入が好まれる。これは私の英語圏での何年かの経験などにもとづいて言っているので、個人的偏見かもしれませんが。
       
    • しかし、なかには、省略してしまってよかったのかどうか、と考えさせられる箇所も、ないわけではありません。たとえば、原文引用箇所の中ほどの「とにかくそれは、見事な男であつた。あつぱれな奴であつた。」という2文。「見事」「あつぱれ」という字句のすぐあとに「好いところが一つもみじんも無かつた。」と続く。この皮肉な反語的なユーモアの味は、なんとか活かして英語にして欲しかった気もします。
       
  2. 人称代名詞 Personal pronouns
    • 人称代名詞の問題は、日本語をヨーロッパ語に翻訳する場合についてまわる宿痾(しゅくあ)のようなものですね。拙訳でも、どうしようか迷いました。「私」「奴」を使ってみたら、太宰の原文と一致していたのは、まぐれあたりとはいえ、ちょっと嬉しかったです。
       
  3. タイトル Titles
    • タイトルの変わりぶりも、おもしろかった。
         「親友交歡」 → The Courtesy Call → 「表敬訪問」
      この作品は、手短かにいえば、とんでもなく嫌な奴が訪ねてきたという話です。なので、「親友交歡」という原題には、もともと皮肉がこめられているのです。その諧謔的含意を、モリス氏の英題が巧みにくみ取り、私の重訳題がかろうじて受け継いでいる。翻訳は、ときとして、あやうい綱渡りに似た様相を呈します。
       
  4. 全体の印象 Overall impression
    • 私の翻訳がへたなせいも、大いにあるでしょうが、太宰と私とでは、文体というか、文章全体が与える印象は、あきらかに異なりますね。太宰の文章の、あの粘着質なところが、私の訳ではぜんぜん表されていない。モリス氏が英訳した時点で、すでにかなり乾いた文章に変質していますが、私のは、なんだかパサパサした、やっぱりどことなく翻訳調の日本語になっている気がします。

 
 
■さらに細部についての比較 Comparison on further details

Tomoki_y_vs_dazai_2


■上に引用した、太宰の日本語原文を収録するタイトル
 Titles containing Dazai's original Japanese text quoted above

  1. 太宰治 ちくま日本文学 8 筑摩書房 2008/01
  2. 太宰治滑稽小説集 大人の本棚 みすず書房 2003/05
  3. ザ・太宰治 第三書館 1999/02
  4. 親友交歓 E-text at 青空文庫 入力:細渕真弓 校正:細渕紀子 初登録(=アップロード)1999/01 (新字新かな)
  5. 太宰治全集 9 小説 8 筑摩書房 1998/12 (旧字旧仮名)
  6. 太宰治全集 8 筑摩書房 1990/08 (新字旧仮名)
  7. 太宰治全集 8 筑摩書房 1976/09 (旧字旧仮名)
  8. ヴィヨンの妻・桜桃 他八編 岩波文庫 1957 (新字新かな)
  9. ヴィヨンの妻 新潮文庫 1950/12 (新字新かな)
  10. ヴィヨンの妻 筑摩書房 1947
  11. 新潮 第43巻第12号 新潮社 1946/12/01 発行 「創刊五百号記念」の「小説特輯」欄に掲載。

以上のほか多数の版に収録。4 の底本は 9。初出誌は 11。初出単行本は 10。引用は 5 に拠りました。


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 1215/02/27 日本語原文朗読の YouTube 画面を追加しました。

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Wednesday, 24 September 2008

Howards End by E. M. Forster (1) E・M・フォースター 『ハワーズ・エンド』『ハワーズ・エンド邸』 (1)

■はじめに Introduction

彼女マーガレットと彼ヘンリーは、もともと違った世界の人間どうし。二人は結びつくことができるのか? 二人が結びつくことは、なにを意味するのか?


 Image Gallery 
表紙画像、DVD箱装、諷刺画、肖像写真
Cover photos, a DVD package, a caricature and a portrait

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. Ja_howards_end_kawade b. Howards_end_dvd c. En_howards_end_penguin

d. Rooksnest_stevenage e. Forster_beerbohm f. E_m_forster_cambridge

  • ハワーズ・エンド 世界文学全集1-7 河出書房新社 (2008)
  • ハワーズ・エンド Howards End (1992), a film directed by James Ivory, produced by Ismail Merchant, starring Vanessa Redgrave, Helena Bonham Carter, Emma Thompson, Anthony Hopkins. 日本版DVD (2001) More info at IMDb
  • Howards End Penguin Classics (2000)
  • Rooks Nest House, Weston Road, Stevenage, Hertfordshire, UK. フォースターが1883〜93年(4〜14歳)の時期を過ごし「ハワーズ・エンド」邸のモデルになったとされる家「ルックス・ネスト・ハウス」。ロンドンから北へ約50キロ。ハーフォードシャー州ステヴネジという町にある。現在は私邸であり非公開。Google Map The Forster Country Map Image source: Aspects of E.M. Forster
  • Max Beerbohm's caricature of E. M. Forster. Image source: Jane Austen Society of North America
  • E. M. Forster at Cambridge circa 1899. Image source: Pharos

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) tomoki y. 2008
ヘンリーは、たしかにオトナではあった。だが、マーガレットは思った。自分なら、彼を手伝って橋を架けさせてやることができるかもしれない——彼と自分の内面にある、平凡不粋と情熱激情とを結びつける、虹の架け橋を。この橋を架けないことには、二人とも無意味な切れ端にすぎない。二人とも、はんぶん僧侶で、はんぶん野獣。つながっていない二つのアーチ。いまだ人間になりそこないの存在だ。この橋があってこそ、愛は生みだされる。愛は、虹の描く弧の頂点に舞い降りる。愛は、背景がグレーに沈むときには輝き、赤く燃えるときには、落ち着きをかもし出す。(……)

合体あるのみ! マーガレットがヘンリーに説き教えたいのは、ただそれだけだった。ひたすら合体せよ——空疎な単調さと、ほとばしる激情とを。そうすれば散文体も興奮調も高みに登り、人間の愛は最高のかたちとなる。切れ端のままで生きるのをやめよ。合体せよ。そうすれば、獣と僧は、そのどちらにとっても生存に不可欠な条件である孤立を失って、死ぬのである。


(J2) 小池 1970, 1994
あの人はもう一人前の大人だけれども、あの人を助けて、私たちの中にある散文と情熱を結び合わせる虹の掛け橋を作ることができるかもしれない。その橋がないと、私たち人間は半分は聖者で半分は獣の無意味な断片(かけら)、結びついて一人の人間になれなかった未完成のアーチにすぎないのだ。その橋とともに愛が生まれて、虹のアーチの頂に降り立つと、それは日常生活の灰色を背景にすれば絢爛(けんらん)と輝いて見え、情熱の火を背景にすると地味に落ち着いて見えるのだ。(……)

ただ結び合わせよ! これが彼女の説教のすべてであった。散文と情熱をただ結び合わせよ。そうすればその両者ともに高められ、人間の愛はその至高の姿をとるであろう。もはや切れ切れに生きてはならない。ただ結び合わせよ。そうすれば孤立してしか生きていけない獣と聖者とは、ともに死んでしまうのである。

  • E・M・フォースター=著 小池滋(こいけ・しげる)=訳
  • a. は b. に手を加えたもの。引用は a. みすず書房版に拠りました。

(J3) 鈴木 1967, 1987
彼は分別盛りではあったが、今からは、彼女が彼を助けて、われわれの中にある散文を情熱と結び合わす虹の橋をかけさせることができるかもしれない。それなくしては、われわれは、無意味な断片、半修道僧、半獣人、結び合って一人の人間になったことのないちぎれちぎれのアーチである。その虹の橋とともに愛は生まれ、虹の頂点に降下し、灰色を背景に燃え輝き、火を背景にくすんで見えるのだ。(……)

結合のみ! それが彼女の説教のすべてであった。散文と熱情とをただ結合せよ、そうすればその両方とも高められ、人間の愛はその至高において見られるであろう。もはや断片の中に生きるな。ただ結合せよ、そうすれば、野獣と修道僧は、そのどちらにとっても生命である孤立を奪われて死ぬであろう。

  • E・M・フォースター=著 鈴木幸康(すずき・ゆきやす)=訳
  • 引用は b. 八潮出版社 1967年版に拠りました。
  • 原書: エドワード・アーノルド社のポケット・エディション (1956年版)

(J4) 吉田 1965, 1980, etc.
相手はもう成熟した人間だったが、まだわれわれのうちにある散文と詩を虹の橋で結びつける仕事を彼がするのをマーガレットに手伝うことができるかも知れなかった。その橋がなければわれわれは半ば修道僧、半ば獣の無意味な断片で、一個の人間になっていない離ればなれの橋板と桁(けた)にすぎないのである。その橋とともに愛が生まれて、橋の中央に降下し、灰色の背景では輝き、火を背負っては地味にそこにあって(……)

ただ結びつけることさえすれば、というのが彼女が説きたいことの全部だった。ただ詩と散文を結びつけることさえすれば、そのいずれもが光を発し、人間的な愛はその頂点に達することになる。もう断片的に生きるのはやめて、結びつけさえすれば、人間のうちに孤立してしか生きて行けない獣も、修道僧も死ぬのである。


■イタリア語訳(部分) Translation into Italian (fragment)

Solo connettere! Questo era il senso della sua predica. Solo connettere la prosa e la passione, e entrambe saranno esaltate, e l'amore umano sarà visto in tutta la sua altezza. Non vivere più in frammenti. Solo connettere...


■スペイン語訳(部分) Translation into Spanish (fragment)

¡Sólo construir el puente! Ese era todo el sermón. Sólo construir un puente entre la prosa y la pasión y ambas resurgirían y el amor humano brillaría en su cima. No más vida fragmentaria. Sólo construir el puente y la bestia y el mono, alejados del aislamiento que les da vida, morirían.


■フランス語訳(部分) Translation into Italian (fragment)

Relier ! C'était tout son sermon. Relier simplement la prose et la passion, afin qu'ils soient tous deux exaltés et que l'amour humain surgisse en plein ciel. Ne vivez plus fragmentairement. Reliez : le moine et la bête, alors, privés tous deux de l'isolement dont ils vivent, mourront.


 Audio 
英語原文の朗読 第22章 Audiobook: Chapter 22 - Howards End

Uploaded to YouTube by CCProse on Jun 20, 2012 . The "Mature as he was..." starts around 00:11. The "Only connect!" starts around 02:04.


■英語原文 The original text in English

Mature as he was, she might yet be able to help him to the building of the rainbow bridge that should connect the prose in us with the passion. Without it we are meaningless fragments, half monks, half beasts, unconnected arches that have never joined into a man. With it love is born, and alights on the highest curve, glowing against the gray, sober against the fire. ( . . . )

Only connect! That was the whole of her sermon. Only connect the prose and the passion, and both will be exalted, and human love will be seen at its height. Live in fragments no longer. Only connect, and the beast and the monk, robbed of the isolation that is life to either, will die.

  • Chapter 22, Howards End (1910) by E. M. Forster

■英語原文の出典 Sources of the original text in English

  1. 初版本の各ページの複写画像 Scanned book at Internet Achive
  2. 電子テキスト E-text

 Video 
E. M. Forster Talks About Writing Novels - 'Only Connect'

Uploaded to YouTube by John Hall on 25 Aug 2013. From a talk given at the BBC in 1958.


■外部リンク External links

  1. E.M. Forster and his works
  2. Rooks Nest House

■更新履歴 Change log

  • 2013/03/21 スペイン語訳(部分)とフランス語訳(部分)を追加しました。また、E. M. Forster Talks About Writing Novels の YouTube 画面も追加しました。
  • 2012/07/11 英語原文の朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2008/09/26 イタリア語訳(部分)を追加しました。
  • 2008/09/25 Tomoki Yamabayashi=訳 2008/09/24 の細部に修正を施しました。
  • 2008/09/24 Tomoki Yamabayashi=訳 2008/09/24 を追加しました。

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Saturday, 06 September 2008

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