Wilde, Oscar

Wednesday, 21 November 2007

The Canterville Ghost by Oscar Wilde オスカー・ワイルド 『カンタヴィルの幽霊』『カンタヴィル・ゴースト』

       目次 Table of Contents

 Video 1  独TV カンタベリー城と秘密の扉 (2005) Ghost of Canterville (2005)
 Video 2  TV The Canterville Ghost (1997) The Canterville Ghost (1997)
 Video 3  TV 幽霊は臆病者 (1996) The Canterville Ghost (1996)
 Video 4  TV カンターヴィル・ゴースト (1986) The Canterville Ghost (1986)
 Video 5  ソ連製アニメ The Canterville Ghost (1970)
 Video 6  映画 幽霊は臆病者 (1944) Film The Canterville Ghost (1944)
■おはなし The Story
 Audio 1  日本語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Japanese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 南條 2015
  (J2) 田多良 2014
  (J3) さやの 公開年月未確認
  (J4) tomoki y. 2009
  (J5) 福田 1992
  (J6) 高橋 1989
  (J7) 西村 1988
  (J8) 前川 1982
  (J9) 平井 1977
  (J10) 福田+福田 1977
  (J11) 小野 1976, 1988
  (J12) 後藤 1965
  (J13) 内山 1957, 1980
  (J14) 西村 1950
  (J15) 矢口 1924
  (J16) 秋田 1920, 1995
■ロシア語訳 Translation into Russian
 Audio 2  ドイツ語版オーディオブック(朗読) Audiobook in German
■ドイツ語訳 Translations into German
  (D1)
  (D2) Blei, 1905
■イタリア語訳 Translation into Italian
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■フランス語訳 Translation into French
 Audio 3  英語原文のドラマ仕立ての朗読 Dramatized audiobook in English
 Audio 4  英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook in English
■英語原文 The original text in English
 Gallery   ビデオ・DVDのジャケットなど VHS/DVD covers, etc.
■著作権に関わる警告 Warning on copyright
■邦題の表記 Transliteration variations of the title in Japanese
■テレビ/映画化 Filmography
■外部リンク External links
■更新履歴 Change log


 Video 1 
ドイツのテレビ オスカー・ワイルドの カンタベリー城と秘密の扉 (2005) 予告篇
TV Ghost of Canterville (2005) Trailer
Das Gespenst von Canterville (2005) - original title in German

ドイツ語音声、英語字幕 Published on 11 Sep 2012 by PROROMMEDIATRADE. Directed by .


 Video 2 
テレビ The Canterville Ghost (1997) 日本未公開? 邦題未確認
TV The Canterville Ghost (1997)

監督: クリスピン・リース、出演: イアン・リチャードソン、セリア・イムリー、サラ=ジェーン・ポッツ。 Directed by Crispin Reece. Starring Ian Richardson, Celia Imrie, Sarah-Jane Potts.


 Video 3 
テレビ 幽霊は臆病者 カンタヴィル・ゴースト (1996)
TV The Canterville Ghost (1996)

監督: シドニー・マッカートニー、出演: パトリック・スチュワート、ネーヴ・キャンベル。 Directed by Sydney Macartney. Starring Patrick Stewart, Neve Campbell.


 Video 4 
テレビ カンターヴィル・ゴースト/カンタヴィル家の亡霊 (1986)
TV The Canterville Ghost (1986)

監督: ポール・ボガート、出演: ジョン・ギールグッド、テッド・ワス、アリッサ・ミラノ。 Directed by Paul Bogart. Starring John Gielgud, Ted Wass, Andrea Marcovicci and Alyssa Milano.


 Video 5 
ソ連製アニメ The Canterville Ghost (1970)
The Canterville Ghost (1970) - A Russian animation

Союзмультфильм (Soyuzmultfilm), 1970 г.
Directed by Valentina Brumberg (Валентина Брумберг) and Zinaida Brumberg (Зинаида Брумберг).


 Video 6 
映画 幽霊は臆病者 (1944)
Film The Canterville Ghost (1944)

監督: ジュールス・ダッシン、出演: チャールズ・ロートン、ロバート・ヤング、マーガレット・オブライエン。 Directed by Jules Dassin. Starring Charles Laughton, Robert Young and Margaret O'Brien.


■おはなし The Story

下にご紹介するのは、イギリスの幽霊と、アメリカの少女との会話。少女の父親は外交官。駐英公使としてロンドンに赴任した父親は、カンタヴィル卿という貴族から屋敷を買い取って、家族で移り住む——その家には先祖の幽霊が出ると、卿が警告したにもかかわらず。

案の定、一家はじきにカンタヴィル卿のご先祖さまに出会う。ところが、万事に実利的な、このアメリカ人一家は(父も娘も、娘の兄弟たちも)幽霊をちっとも怖がらない。おかげで調子がくるったのは、幽霊のほう……。


 Audio 1 
日本語版オーディオブック(朗読) Audiobook in Japanese

下に引用する箇所の朗読は 26:10 から始まります。 Embedding prohibited. To listen, click the screen above and go to Niconico Video. Reading of the excerpt below starts at 26:10


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 南條 2015
「あなた、なんにも知らないのね。移民して、考えを改めた方が良いわ。うちのお父さんは喜んで渡航許可証をくれるでしょうし、お酒(スピリッツ*)はどんな種類でも重い税金がかかるけど、税関の人はみんな民主党支持だから、問題ないわ。ニューヨークに着いてしまえば、あなたはきっと引っぱり凧(だこ)よ。あすこには、ひとかどのお祖父(じい)さんを持つためなら十万ドル払うっていう人がたくさんいるし、家つきの幽霊を持てるんだったら、もっと払うでしょう」
「わしゃア、どうもアメリカは好かんなあ」

* 原語 spirits には「強い酒」と「霊」の意味がある。


(J2) 田多良 2014
あなたは何も分かっていないわね。あなたにとって一番よいことは、アメリカに移住して精神を啓発することよ。お父さんは喜んで船賃をただにしてくれるわ。あらゆる種類の酒類に重税 [a heavy duty on spirits] がかかるけど、税関は問題にならないわ。だって、役人はみんな民主党だから。ニューヨークに着いたら、あなたはきっと大成功するわ。アメリカには祖父を買うためなら十万ドル払うって人がたくさんいるし、先祖の幽霊を持つためならなおさらそうよ。

  • 田多良俊樹(たたら・としき)=著 「植民地の逆襲と、あえてその名を告げぬ民族主義: オスカー・ワイルド「カンタヴィルの幽霊」の喜劇性、ゴシック性、政治性」 東雅夫(ひがし・まさお)+下楠昌哉(しもくす・まさや)=編 『幻想と怪奇の英文学』 春風社 2014/04 所収
  • この本は、ワイルドの小説の全訳を収録したものではない。上の引用箇所は、田多良氏によるワイルド作品についての論考のなかに現れる。ワイルドの原文の一部であり、田多良氏が和訳したものである。

(J3) さやの 公開年月未確認
 「何も分かっていないのね。いちばんいいのは引っ越して、あなたの考えを改善することよ。私の父はただ幸せになりすぎて、あなたに自由な道を与えられないわ。どんな人にも重い税があるけど、役員はみんな民主主義だから、税関について大変なことは全くないわ。ニューヨークに行けば、あなたはきっと大成功する。ニューヨークには祖父1人を持つのに10万ドル払う人はたくさんいて、家族の幽霊を持つためにお金を払う人よりずっと多いのよ。」
 「アメリカが好きになるとは思わないな。」

  • オスカー・ワイルド=作 さやの=訳 「キャンタービルの幽霊」 Library for Wilde 公開年月未確認
  • 誤訳がたくさん見受けられますが、面倒なのでいちいち指摘いたしません。

(J4) tomoki y. 2009
「あなた、なんにも知らないのね。いい? こうするのがいちばん。アメリカに移住して精神を向上なさい。父がよろこんで無料の切符をプレゼントしてくれるわ。オサケもオバケも重い税金がかかるけど、税関のことなら心配ご無用。だって係官はみんな民主党支持者だから。ひとたびニューヨークに着いたら大人気まちがいなしよ。アメリカではね、自分のお祖父さんが手に入るなら十万ドルでも平気で出すっていう人が大勢いるんだから。ましてやご先祖さまの亡霊ともなれば、そりゃもう」
「どうもアメリカは性に合わなさそうだ」


(J5) 福田 1992
[訳文は下の (4) 福田+福田 1977 とおなじ。ただし、表記は旧字・旧かな。版は新しいのに表記はむしろ古い。復古主義、伝統主義というのでしょうか - tomoki y.]


(J6) 高橋 1989
「あら、そんなことわからないわよ。ぜひアメリカに移住して、心をいれかえるのがいちばんだわ。それを聞いたら、わたしのお父さん、大喜びであなたにただで船のきっぷをくれると思うわ。もしかしたら、幽霊のような貴重なものには税金がかかるかもしれないけれど、港の税関の人だってきっとわかってくれると思うわ。
 いったんニューヨークに着いてしまえば、まちがいなく人気者になれるはずよ。あちらは、ふるさとの国をでてきた人ばかりだから、おじいさんのいない家がおおいの。だから、大金をはらって、だれかおじいさんになってくれる人をさがしていることもしょっちゅうだわ。ご先祖の幽霊なら、いくらでもはらうと思うわ」
「どうもアメリカはすきになれそうにないな」
[ルビは省略しました - tomoki y.]

  • オスカー・ワイルド=著 高橋啓(たかはし・けい)=訳 「カンタヴィルの幽霊」 江河徹=編 『恐ろしい幽霊の話』 幻想文学館 1 くもん出版 1989/08 所収

(J7) 西村 1988
「なんにもわかっちゃいないわ、だからアメリカへ移住して精神を啓発するのが一番よ。うちの父ならそれはもう喜んで船賃をただにしてくれるわよ、スピリット*はどんな種類でも重税がかかるけど、でも税関は大丈夫よ、役人はみんな民主党だから。ニューヨークに着いたら、きっと引っぱり凧よ。お祖父さんを手に入れるためなら十万ドルでも出そうってひとが一杯いるし、まして名門の幽霊ならもっともっと出すわ。」
「アメリカは好きになれそうにもないな。」

* 「幽霊」と「酒類」とをかけたもの。


(J8) 前川 1982
「なにもわかっちゃいないのね。是非アメリカへ移住して勉強しなおすといいわ。あたしの父が喜んで船賃をただにしてくれると思うわ。どんな種類でもスピリット*と呼ばれるものには重税がかかるけど、税関はきっと大丈夫、役人はみんな民主党員ですからね。いったんニューヨークに着いてしまえば大成功疑いなしよ。あそこには〈おじいさん〉を手にいれるためなら十万ドル出そうという人がいくらでもいるし、ご先祖の幽霊のためならいくらでも払うわ」
「どうもアメリカは好きになれそうにない」

* 英語では酒類も幽霊もどちらもスピリットである。

  • ワイルド=著 前川祐一=訳 「カンタヴィルの幽霊」 ド・クィンシー〔ほか〕=著 小池滋+富山太佳夫=編 『悪魔の骰子—ゴシック短篇集』 ゴシック叢書 19 国書刊行会 1982/08 所収

(J9) 平井 1977
「そんなこと御存じにならなくてもいいのよ。そんなことよりもね、あなたは、なによりもまず、アメリカへ移住して、精神を改良なさるのが、いちばんいいことなんだわ。父はきっと喜んで、無料の旅券を出して下さってよ。幽霊だって、税金はそうとう重くかかるけど、でも税関のことなら、あすこのお役人はみんな民主党だから、むずかしいことはちっともないわ。いちどニューヨークへいらしてごらんなさい。きっとあなたは引っぱりだこになるから。だって、お祖父さまを買うのに、十万ドルも出す人が大ぜいいるんですもの。自分の家の幽霊を買うとなったら、もっと大金を出すにちがいないわ。」
「わしはアメリカはどうも気に入りそうもないて。」


(J10) 福田+福田 1977
「何も知ってはいらっしゃらないじゃないの、移民でもなさって、そういう考え方を改めるのが何よりも大事ね。父は喜んであなたに無条件の旅券を交付してくれるでしょうよ、そりゃあらゆるスピリット(訳註、原文 'spirit' には「強いアルコール飲料」と「幽霊」の二つの意味が掛けられている)には高い関税がかかるでしょうけれど、税関の方は問題ないと思うわ、あそこのお役人は皆民主党ですもの。一旦ニューヨークに着きさえすれば、大成功疑い無しよ。お祖父さんを持つ為なら十万ドル出そうという人達が一杯いるのですもの、先祖の幽霊を持てるとなったらそれ以上出すこと間違いなしだわ」
「どうもアメリカは性に合わんな」

  • O・ワイルド=著 福田恆存(ふくだ・つねあり)+福田逸(ふくだ・はやる)=訳 「カンタヴィルの幽霊」 『アーサー卿の犯罪』 中公文庫 1977/05 所収

(J11) 小野 1976, 1988
「何も分かってはいないわ。あなたはアメリカに移住して、自分の精神を啓発するのがいちばんよ。うちの父に頼めば、よろこんで船賃はただにしてくれるわ。スピリット*にはみんな重税がかかるのだけど、でも税関は大丈夫、役人はみんな民主党だから。ニューヨークに着いたら、あなたはきっと引っ張りだこよ。アメリカには祖父を手に入れるためなら十万ドルでも出すって人がいくらもいるし、まして先祖の幽霊ともなればいくらでも出すわよ」
「アメリカはどうもわしには好きになれんようじゃ」

*「幽霊」の意味と「酒類」の意味とをかけたもの。


(J12) 後藤 1965
 「あなたにアメリカがわかるものですか。一番いいのはアメリカに移住して心を入れ替えなさることよ。お父様はきっと喜んであなたをただでお連れするわ。それに税関はみんな民主党員だからきっと問題ないわ。ニューヨークにいらしたらきっと皆が大さわぎよ。アメリカでは何十万、何百万ドル出してもいいから、れっきとしたお祖父様がほしいという人が大勢いるわ。家付の幽霊だったらさぞかしよ」
 「わしはアメリカなど好きにはなれまい」


(J13) 内山 1957, 1980
 「あなたは何も御存知ないのですわ。あなたが移住して御気持を変えられますと一番いいのですが。父は勿論喜んでフリー・パスを差し上げますわ。どんな種類のスピリットにも重い関税がかかりますので、あなたにも関税はかかるでしょうが、役人達はみんな民主党員ですから税関がむずかしい、ということも無いでしょう。一たびニューヨークへ行けばあなたはきっと大成功者になれてよ。私にはわかっていますが、ニューヨークでは祖父を持てましたら十万ドルも出す方が沢山おりましょう。まして名門の幽霊を手に入れられるのでしたらもっとずっと沢山出しましょう。」
 「わたしにはアメリカが好きになれそうにもありませんねえ。」


(J14) 西村 1950
「あなたは何もご存じないのね、だからあなたにできる一等いいことは移住して改心なさることですわ。お父さまだってそれは喜んで無料切符をくださるでしょうし、火酒(スピリツツ)(スピリッツは幽靈の意も兼ねている)だとどんなのでも高い關税がかかるけど、税關なんか問題ありませんわ、お役人はみんな民主黨員ですもの。ニウ・ヨークにお着きにさえなれば、きっと大成功なさることよ。お祖父さまが貰えるなら十萬ドル出そう、名門の幽靈ならもっともっと出すという人もニウ・ヨークで大勢知ってますから。」
「アメリカには馴染めそうにないな。」


(J15) 矢口 1924
『あなたこそ何も知つてゐませんわ。あなたにとつて一番いゝ事は、移住して心を改めることですわ。お父さまは、あなたに旅行券を差し上げることなら、喜んで致しますわ。尤も幽靈にはどんなものにでも重い税がかゝりますけれど、税關なんて何の面倒もありません。お役人はみんな民主主義者ですから。で、ニューヨークへ着きさへすれば、あなたはきつと大成功です。大抵の人なんざ祖父さんなど分りはしないのだから祖父さんが持てるのなら十萬弗出さうといふ人をどつさり知つてゐますし、名門の幽靈なら、もつともつと出しますわ。』
『私はアメリカが好きになりたいとは思はない。』

  • オスカァ・ワイルド=作 矢口達=譯 「カンタヴィルの幽靈」 『謎の女』 海外文学新選21 新潮社 價六拾錢 1924/12(大正13)所収

(J16) 秋田 1920, 1995
『いゝえ、あなたこそ何にも知つてはゐませんわ。あなたに一番いゝ事は、移住して改心なさるといふことですわ。お父さまにも、あなたに通行權を差上げることなら、それや喜んで致しますわ。尤もお酒にはどんな種類のものでも重い税がかゝりますけれど、税關なんて何の面倒もありませんわ、お役人はみんな民主主義者ですから。で、紐育へ着きさへすれば、あなたも屹度大成功しますわ。祖父さんが貰へるなら十万弗出さうといふ人もどつさり知つてゐますし、それに名門の幽靈ならもつと出しますわ。』
『私はアメリカが好きになりたいとは思はん。』

  • ワイルド=著 秋田雨雀=譯 「カンタウイールの幽靈」
  • a. は b. の復刻。引用は b. 天佑社版 1920 に拠りました。表題は b. の目次に拠りました。おなじ本の章扉、本文などには、「カンタヴイールの幽靈」「カンターヴィルの幽靈」「カンターウイルの幽靈」といった表記も見られ、きわめて不統一です。

■ロシア語訳 Translation into Russian

     - Ничего вы не понимаете. Поехали бы лучше в Америку,  да  подучились немного. Папа с радостью устроит вам бесплатный билет, и хотя на спиртное и, наверно, на спиритическое пошлина очень высокая, вас  на  таможне  пропустят без  всяких.  Все  чиновники  там  -  демократы.  А  в  Нью-Йорке  вас  ждет колоссальный успех. Я знаю многих людей, которые дали бы сто тысяч  долларов за обыкновенного деда, а за семейное привидение - и того больше.

     - Боюсь, мне не понравится ваша Америка.

  • Оскар Уайльд. Кентервильское привидение
  • E-text at Lib.Ru

 Audio 2 
ドイツ語版オーディオブック(朗読) Audiobook in German

朗読: ヴィルヘルム・ゲッツェ。下の2種類の引用に相当する箇所の朗読は 5:28 あたりから。ただし、朗読の台本は下のどちらの訳文とも完全には一致しません。 Uploaded on 16 Nov 2010 by Liegebird. Read by Wilhelm Götze. The recording corresponding to the excerpts below starts around 5:28, although the script is an exact match to neither of the translations.


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1)
"Davon wissen Sie überhaupt nichts, und am besten wäre es, Sie wanderten aus und lernten etwas dazu. Mein Vater wird nur allzu glücklich sein, Ihnen die Überfahrt zu bezahlen, und obgleich auf jederlei Geistigem ein hoher Zoll liegt, wird es keine Schwierigkeiten geben, da die Zollbeamten alle Demokraten sind. Und sind Sie erst einmal in New York, ist Ihnen bestimmt ein großer Erfolg gewiss. Ich kenne eine Menge Leute, die hunderttausend Dollar hergeben würden, um einen Großvater zu besitzen, und noch viel mehr für ein Familiengespenst."

"Ich glaube, mir würde Amerika nicht gefallen"

  • Das Gespenst von Canterville by Oscar Wilde
  • E-text at Cordula's Web

(D2) Blei, 1905
„Darüber wissen Sie gar nichts, und das beste wäre, Sie wanderten aus und vervollkommneten drüben Ihre Bildung. Mein Vater wird nur zu glücklich sein, Ihnen freie Überfahrt zu verschaffen, und wenn auch ein hoher Zoll auf geistige Sachen jeder Art liegt, so wird es doch auf dem Zollamt keine Schwierigkeiten geben, denn die Beamten sind alle Demokraten. Wenn Sie erst mal in New York sind, so garantiere ich Ihnen einen grossen Erfolg. Ich kenne eine Menge Leute, die 1000 Dollars dafür geben würden, einen Grossvater zu haben, und noch unendlich viel mehr für ein Familiengespenst.“

„Ich glaube, mir würde Amerika nicht gefallen.“


■イタリア語訳 Translation into Italian

"Lei non sa nulla di ciò che interessa a noi, e la cosa migliore che dovrebbe fare sarebbe quella di emigrare e migliorare il suo cervello. Mio padre non sarà che troppo felice di procurarle un passaggio gratuito, e per quanto vi sia una forte tassa sugli spiriti e gli alcoolici in genere, l'ufficio della dogana non le farà difficoltà, dato che i funzionari sono tutti democratici. Una volta a Nuova York, stia certo che avrà un successo formidabile. Conosco un sacco di gente che darebbe centomila dollari per avere un nonno, figurarsi poi se potesse trovare un fantasma di famiglia".

"Non credo che l'America mi piacerebbe".

  • Il Fantasma di Canterville by Oscar Wilde
  • E-text at readme.it

■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

“O senhor não sabe nada a esse respeito, e o melhor que tem a fazer é emigrar, para cultivar o espírito. Meu pai não deixará de sentir-se muitíssimo feliz em lhe conseguir uma passagem gratuita. O senhor não encontrará dificuldade alguma, na alfândega, onde todos os funcionários são democratas. Uma, vez em Nova Iorque, o senhor alcançará o maior dos êxitos. Conheço uma porção de gente que daria cem mil dólares para ter um antepassado, e ainda mais para ter um fantasma na família.”

“Estou convicto de que não gostaria da América.”


■スペイン語訳 Translation into Spanish

-No sabe usted nada, y lo mejor que puede hacer es emigrar, y así se formará idea de algo. Mi padre tendrá un verdadero gusto en proporcionarle un pasaje gratuito, y aunque haya fuertes impuestos sobre los espíritus, no le pondrán dificultades en la Aduana. Y una vez en Nueva York, puede usted contar con un gran éxito. Conozco infinidad de personas que darían cien mil dólares por tener antepasados y que sacrificarían mayor cantidad aún por tener un fantasma para la familia.

-Creo que no me divertiría mucho en Estados Unidos.

  • El fantasma de Canterville by Oscar Wilde
  • E-text at Ciudad Seva

■フランス語訳 Translation into French

— Vous n’en savez rien, et ce que vous pouvez faire de mieux, c’est d’émigrer, cela vous formera l’esprit. Mon père se fera un plaisir de vous donner un passage gratuit, et bien qu’il y ait des droits d’entrée fort élevés sur les esprits de toute sorte, on ne fera pas de difficultés à la douane. Tous les employés sont des démocrates. Une fois à New-York, vous pouvez compter sur un grand succès. Je connais des quantités de gens qui donneraient cent mille dollars pour avoir un grand-père, et qui donneraient beaucoup plus pour avoir un fantôme de famille.

— Je crois que je ne me plairais pas beaucoup en Amérique.


 Audio 3 
英語原文のドラマ仕立ての朗読 Dramatized audiobook in English

下に引用する箇所は 49:21 から始まります。 Uploaded to YouTube by Fadi Kalo on 4 Apr 2013. The excerpt below starts at 49:21


 Audio 4 
英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook in English

下に引用する箇所は 40:48 から始まります。 Uploaded to YouTube by rt20bg on 12 Oct 2012. Audio courtesy of LibriVox. Read by Mike Harris. The excerpt below starts at 40:48.


■英語原文 The original text in English

'You know nothing about it, and the best thing you can do is to emigrate and improve your mind. My father will be only too happy to give you a free passage, and though there is a heavy duty on spirits of every kind, there will be no difficulty about the Custom House, as the officers are all Democrats. Once in New York, you are sure to be a great success. I know lots of people there who would give a hundred thousand dollars to have a grandfather, and much more than that to have a family Ghost.'

'I don't think I should like America.'


 Gallery 
ビデオ・DVDのジャケットと挿絵 VHS/DVD covers and an illustration

  • The Canterville Ghost (1997) [DVD] [Import] 監督: Crispin Reece. 出演: Ian Richardson, Celia Imrie, Sarah-Jane Potts. Bfs Entertainment, 2000-06-27 ISBN : 9780773316713
  • The Canterville Ghost (1996) [DVD] TV adaptation 監督: Sydney Macartney. 出演: Patrick Stewart, Neve Campbell. Region 1 (U.S. and Canada only) DVD release: 2004-08-31 ASIN: B0002IQJBO
  • The Canterville Ghost (1990) [DVD] [Import] 監督: William F. Claxton. 出演: Richard Kiley, Jenny Beck. Image Entertainment, 1999-04-13 ISBN : 9786305339847
  • The Canterville Ghost (1986) [VHS] [Import] 監督: Paul Bogart. 出演: John Gielgud, Ted Wass, Alyssa Milano. VHS Sony Pictures, 1996-08-20 ISBN : 9786302874723
  • The Canterville Ghost (1944) [VHS] [Import] 監督: Jules Dassin, 出演: Charles Laughton, Robert Young and Margaret O'Brien. VHS MGM (Warner), 1992-12-02 ISBN : 9786301967556 Image source: allmovie
  • 挿絵: "Suddenly there leaped out two figures" Illustration by Wallace Goldsmith. Imprint 1906, John W. Luce and Company, Boston and London. Image source: Project Gutenberg
↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. Canterville_ghost_1997 b. Canterville_ghost_1996_2 c. Canterville_ghost_1990

d. Canterville_ghost_1986 e. Canterville_ghost_1944 f. Image10h


■著作権に関わる警告 Warning on copyright

Spirit の掛け言葉の冗談を、上のように「オサケもオバケも」と翻案したのは、わたくし Tomoki Yamabayashi(通称 tomoki y.)の独創、すなわち専売特許(!)であります。したがって、もしも借用/引用なさりたい場合には、ちゃんと訳者名を明示するように。マジです(笑)。


■邦題の表記 Transliteration variations of the title in Japanese

  「カンターウイルの幽霊」……秋田 1920(頁端)
  「カンタービル館の幽靈」……後藤 1965
  「カンターヴィルの幽霊」……秋田 1920(本文)
  「カンタウイールの幽霊」……秋田 1920(目次)
  「カンタヴィルの幽霊」………
南條 2015 tomoki y. 2009 高橋 1989
                小野 1988
  「カンタヴィルの幽霊」………前川 1982 平井 1977 福田+福田 1977
  「カンタヴィルの幽霊」………矢口 1924
  「カンタヴイールの幽霊」……秋田 1920(章扉)
  「キャンタービルの幽霊」……さやの 公開年月未確認
  「キャンタビル邸の幽霊」……内山 1957, 1980
  「キャンタヴィルの幽霊」……西村 1950, 1988


■テレビ/映画化 Filmography

   List of film and TV adaptations at IMDb


■外部リンク External links


■更新履歴 Change log

  • 2016/01/22 南條竹則=訳 2015/11/20 を追加しました。
  • 2015/11/24 日本語版オーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2014/10/21 田多良俊樹=部分訳 2014/04 を追加しました。
  • 2014/09/01 英語原文のドラマ仕立ての朗読の YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/03/30 英語原文のオーディオブックの YouTube 画面を追加しました。
  • 2013/02/25 リンク先で消えていた詳細未確認の動画を削除し、代わりにドイツのテレビ映画 オスカー・ワイルドの カンタベリー城と秘密の扉 (2005) 予告篇の YouTube 動画を掲載しました。また、ドイツ語版オーディオブックの YouTube 画面と Franz Blei によるもう一種類のドイツ語訳も追加しました。
  • 2012/10/12 後藤優=訳 1965/08/20 を追加しました。
  • 2012/08/27 ポルトガル語訳を追加しました。
  • 2012/08/13 ロシア語訳を追加しました。
  • 2010/04/26 さやの=訳 公開年月未確認 を追加しました。
  • 2010/04/12 1997年テレビ版、1996年テレビ版、1970年ソ連製アニメ、それに詳細未確認の新しい映像化作品の予告篇の、合わせて4本の YouTube 動画を追加しました。また、DVD・VHSジャケットの画像も追加しました。さらに、ブログ記事のタイトルに邦題をもう一つ追加して、つぎのように変更しました。

    旧題: The Canterville Ghost by Oscar Wilde
        オスカー・ワイルド 「カンタヴィルの幽霊」
    新題: The Canterville Ghost by Oscar Wilde
        オスカー・ワイルド 『カンタヴィルの幽霊』『カンタヴィル・ゴースト』

  • 2009/08/16 1986年テレビ版と1944年映画版の2つの映像化作品の YouTube 動画を追加しました。
  • 2009/01/10 Tomoki Yamabayashi=訳 2009/01、平井呈一=訳 1977/12、および「著作権に関わる警告」の項を追加しました。
  • 2008/07/05 内山正平=訳 1980/07 を追加しました。
  • 2007/12/16 前川祐一=訳 1982/08 を追加しました。
  • 2007/11/22 訳文は掲載しませんでしたが、福田恆存=譯 1992/07 について言及しておきました。
  • 2007/11/21 西村孝次=譯 1950/12、矢口達=譯 1924/12、および秋田雨雀=譯 1920/03 を追加しました。

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■洋書 Books in non-Japanese languages

■和書 Books in Japanese

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Monday, 25 September 2006

The Happy Prince by Oscar Wilde オスカー・ワイルド 『しあわせな王子』『幸福の王子』『幸福な王子』『幸福な皇子』『幸せの王子』『幸福王子』『幸福皇子』『皇子と燕』

           目次 Contents

    Gallery 1  ワイルドの肖像写真 Photographs of Oscar Wilde
     Video 1   朗読 シスター・ユニティ Sister Unity recites The Happy Prince
     Video 2   アニメ映画 The Happy Prince (1983)
     Video 3   アニメ映画 The Happy Prince (1974)
   ■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese
   ■韓国語訳 Translations into Korean
     (Ko1)
     (Ko2)
   ■日本語訳 Translations into Japanese
     (J1) 小尾 2017
     (J2) 柴田 2011
     (J3) 曽野 2006
     (J4) 金原 2006
     (J5) 結城 2000
     (J6) 大橋 1999
     (J7) 富山 1999
     (J8) 今村 1993
     (J9) 井村 1989
     (J10) 西村 1988
     (J11) 矢川 1988
     (J12) 海老池 1987
     (J13) 三浦 1979
     (J14) 西村 1968
     (J15) 大石 1965
     (J16) 松村 1960
     (J17) 阿部 1954, 1961
     (J18) 西村 1950
     (J19) 守屋 1950, 1974
     (J20) 葉河 1932
     (J21) 南日 1932
     (J22) 佐藤 1927
     (J23) 本間 1926
   ■邦題の異同 Variations of the title in Japanese
   ■インドネシア語訳 Translation into Bahasa Indonesia
   ■ロシア語訳 Translations into Russian
     (R1) Сергеев & Нуждин
     (R2) Чуковского 1990
   ■イタリア語訳 Translations into Italian
     (It1)
     (It2)
   ■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
   ■スペイン語訳 Translation into Spanish
   ■フランス語訳 Translation into French
   ■ドイツ語訳 Translations into German
     (D1) Seiffert
     (D2) Salvani, 2000
   ■オランダ語訳 Translations into Dutch
     (NL1)
     (NL2)
     Audio 1   朗読 スティーヴン・フライ Stephen Fry reads The Happy Prince
     Audio 2   ラジオドラマ O・ウェルズほか出演 Radio drama with Orson Welles
     Audio 3   朗読 CCプローズ CCProse presents The Happy Prince
     Audio 4   朗読 ジョン・ギールグッド John Gielgud reads The Happy Prince
   ■英語原文 The original text in English
    Gallery 2  1910年版サンプル頁 Sample pages from the 1910 edition
   ■更新履歴 Change log


 Gallery 1 
ワイルドの肖像写真 Photographs of Oscar Wilde

a. 2n215 b. 2n16 c. 2n11

  • Photographer: Elliott & Fry, London.  Place: London.  Date: 19 March 1881?
  • Photographer: unknown.  Place: unknown.  Date: late 1881 (per Merlin Holland)
  • Photographer: unknown.  Place: unknown.  Date: late 1881

Image source: William Andrews Clark Memorial Library, University of California Los Angeles


  Video 1  
朗読 シスター・ユニティ Sister Unity recites The Happy Prince

物語は脚色されており、下に引用する原文と完全には一致しません。 Uploaded to YouTube by SisterUnity on 3 Apr 2009. The story has been adapted and does not correspond exactly to the original text quoted below.


  Video 2  
アニメ映画 The Happy Prince (1983)

下に引用した箇所は 5:17 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by whitty1074 on 26 Sep 2010. Illustrations by Peter Dennis. Read by Tim Curry. A Marshall Cavendish Production for Story Teller. Reading of the excerpt below starts around 5:17.


  Video 3  
アニメ映画 The Happy Prince (1974) Part 2

下に引用する箇所の朗読は 3:13 から始まります。 Uploaded to YouTube by 4Gingergirl4 on 4 Jul 2009. Director: Michael Mills. Voice of the Prince: Christopher Plummer. Reading of the excerpt below starts at 3:13.


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

(C1) 王林
  「我願意陪你再過一夜,」燕子説,他的確有顆善良的心。「我是不是再送他一塊紅寶石?」
  「唉!我現在沒有紅寶石了。」王子説,「所剩的只有我的雙眼。它們由稀有的藍寶石做成,是一干多年前從印度出産的。取出一顆給他送去。他會將它賣給珠寶商,好買回食物和木柴,完成他寫的劇本。」
  「親愛的王子,」燕子説,「我不能這樣做,」説完就哭了起來。
  「燕子,燕子,小燕子,」王子説,「就照我説的話去做吧。」

   [英] 王爾德   王林譯 《快樂王子》
   E-text at:
   * 好讀網站 (haodoo.net)
   * tw001.net


(C2) 巴金
  "我願意陪你再待一夜,"燕子説,他的確有好心腸,"你要我也給他送一塊紅寶石去嗎?"
  "唉! 我現在沒有紅寶石了,"王子説,"我就只剩下一對眼睛。它們是用珍奇的藍寶石做成的,這對藍寶石還是一千年前在印度出産的,請你取出一顆來給他送去。他會把它賣給珠寶商,換錢來買食物、買木柴,好寫完他的戲。"
  "我親愛的王子,我不能(多句)這樣做。"燕子説著哭起來了。
  "燕子,燕子,小燕子,"王子説,"你就照我吩咐你的話做罷。"

   《快樂王子》 [英] 王爾德  譯者  巴金
   E-text at wei9 的個人首頁 (wei9's homepage)


■韓国語訳 Translations into Korean

(Ko1)
"그럼 하룻밤만 더 왕자님 곁에 머물게요."
마음씨 착한 제비가 말했습니다.

"그 사람에게도 루비를 가져다 줄까요?"
"아니, 이제 루비는 없단다."
왕자는 슬픈 목소리로 말했습니다.

"남은 것은 내 두 눈뿐이야. 내 눈에는 아주 귀한 사파이어가 박혀있지. 천 년 전에 인도에서 들여온 거란다. 그 중 하나를 빼서 저 청년에게 가져다주렴. 그가 이걸 보석상에 가져가 팔면 먹을 것과 땔감을 살 수 있을 거야."

"눈을 뽑으라고요? 전 그렇게 할 수 없어요."
제비는 마음이 너무 아팠습니다.
"제비야, 제발 내 부탁을 들어줘."

   행복한 왕자/오스카 와일드
   E-text at 그런 날도 있으리니


(Ko2)
“그럼 하룻밤만 더 왕자님 곁에 머물게요. 그 사람에게도 루비를 가져다 줄까 요?”
“아니, 이제 루비는 없단다. 남은 것은 내 두 눈뿐이야. 내 눈에는 아주 귀한 사파이어가 박혀 있지. 천 년 전에 인도에서 들여온 거란다. 그 중 하나를 빼 서 저 청년에게 가져다 주렴. 그가 이걸 보석상에 가져가 팔면 먹을 것과 땔감 을 살 수 있을 거야.”
“눈을 뽑으라고요? 전 그렇게 할 수 없어요.”
제비는 마음이 너무 아팠습니다.
“제비야, 제발 내 부탁을 들어줘.”

   행복한 왕자 오스카 와일드
   E-text at 행복한 왕자 [PDF] 작은별들 주일학교


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 小尾 2017

「もう一晩だけ、おそばにいましょう」燕はほんとうに温かな心の持ち主だったのである。「紅玉(ルビー)をまたひとつ届けてやりましょうか?」

「ああ、悲しいかな! もう紅玉はないのだよ」王子は申された。「残っているのはわたしの二つの目だけなのだ。目は珍しい蒼玉(サファイア)で、千年も昔にインドからもたらされたものだ。片方の目を突つきだして、それをあの青年のところに届けてやってはくれまいか。宝石商に売れば、食べ物と薪(まき)を買って芝居を書き上げることができるだろう」

「王子さま、わたしにそんなことはできません」そういうと燕は泣きだした。

「燕よ、燕よ、かわいい燕よ」王子は申された。「わたしの命じたとおりにしておくれ」

   オスカー・ワイルド=作 小尾芙佐(おび・ふさ)=訳 「幸福な王子」

   『幸福な王子/柘榴の家』 光文社古典新訳文庫 2017/01/20


(J2) 柴田 2011
「あとひと晩あなたのもとで待ちましょう」とツバメは言った。ほんとうはこころやさしいツバメだったのだ。「またルビーをもっていきましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだ」と王子は言った。「わたしにはもう目しかのこっていない。この目はたぐいまれな、一千年前にインドからもち出されたサファイアでできている。片方をもぎとって、若者にもっていってやりなさい。そうすれば宝石商に売って、たきぎを買って、お芝居を仕上げられるだろう」
「王子さま、それはできません」とツバメは言って、しくしく泣きだした。
「ツバメよ、ツバメよ、ちいさなツバメ」と王子は言った。「わたしの命じるとおりにしなさい」

   オスカー・ワイルド=著 柴田元幸(しばた・もとゆき)=訳 「しあわせな王子」
   柴田元幸=責任編集 『モンキービジネス 2011 Winter vol.12 人生の意味号
   ヴィレッジブックス 2011/01/20


(J3) 曽野 2006
 ほんとうは心の優しいつばめは言った。
「もう一晩、お付き合いしますよ。ルビーをもう一つ持っていきましょうか?」
 王子は言った。
「私には、もうルビーはないんだ。残っているのは私の眼だけだ。これはめずらしいサファイアで、千年も昔にインドから持ってこられたものなんだ。これを一つ、えぐり出して、あの青年に持っていってやってくれないか。彼は宝石屋に売って、食べ物と薪(まき)を買って、書きかけの芝居を完成させるだろう」
「王子さん。それはできませんよ」
 つばめはそう言って泣き始め、王子は言った。
「かわいいつばめ君、言われた通りにしなさい」

   オスカー・ワイルド=原作 曽野綾子=訳 
   建石修志(たていし・しゅうじ)=画・装幀
   『幸福の王子』 バジリコ 2006/12


(J4) 金原 2006
「もうひと晩、ここにいましょう」
つばめはほんとうに優しい心を持っていた。
「またルビーを持っていきましょうか?」
「いや、残念だけど、もうルビーはない。この目が残っているだけだ。目は珍しいサファイアで、一千年前にインドから持ってこられたものだ。ひとつ取って、持っていってくれないか。宝石商に売れば、食べ物と薪(たきぎ)が買えるし、そうすれば芝居もしあがる」
「そんなこと、できませんよ」つばめは泣きだした。
「つばめ、つばめ、小さなつばめ」王子が声をかけた。
「たのむから、そうしてくれ」

   オスカー・ワイルド=原作 金原瑞人(かねはら・みずひと)=訳 
   清川あさみ=絵 今井智己(いまい・ともき)=写真
   『幸せな王子』 リトルモア 2006/03


(J5) 結城 2000
「もう一晩、あなたのところに泊まりましょう」よい心をほんとうに持っているツバメは言いました。「もう一つルビーを持っていきましょうか」
「ああ! もうルビーはないのだよ」王子は言いました。「残っているのは私の両目だけだ。私の両目は珍しいサファイアでできている。これは一千年前にインドから運ばれてきたものだ。私の片目を抜き出して、彼のところまで持っていっておくれ。 彼はそれを宝石屋に売って、食べ物と薪を買って、芝居を完成させることができるだろう」
「王子様」とツバメは言いました。「私にはできません」そしてツバメは泣き始めました。
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「私が命じたとおりにしておくれ」
 
   オスカー・ワイルド=作 結城浩=訳 「幸福の王子」
   プロジェクト杉田玄白正式参加作品 2000/11
   E-text at:
   * 青空文庫
   * 翻訳の部屋


(J6) 大橋 1999
「じゃあ、もう一晩だけ、あなたのところにいましょう」とツバメはいいました。根はやさしい心の持ち主だったのです。「その人にもルビーをもっていってあげますよ」
「いえ、もうルビーはないのです」と王子。「残っている宝石は、この両眼だけ。世にもめずらしいサファイアで、千年まえインドからわたってきたものです。そのひとつをくりぬいて、あの人のところにもっていってください。あの人が宝石商に売れば、そのお金で食べ物と薪が手に入る。芝居も完成するのです」
「王子さま」とツバメはいいました。「ぼくに、そんなことできない」と泣きはじめました。
「ツバメさん、ツバメさん、ちいさなツバメさん」と王子。「いわれたとおりにしなさい」

   オスカー・ワイルド=作 大橋洋一=訳 「幸福な王子」
   O・ワイルドほか=作 大橋洋一=監訳 『ゲイ短編小説集
   平凡社ライブラリー 1999/12


(J7) 富山 1999
「もうひと晩だけ、あなたのおそばにいることにします」と、ツバメは答えました。ほんとうに心がやさしいのです。「またルビーをとどけましょうか?」
「ああ、残念だけれど、もうルビーはないんだよ。残っているのは、わたしのこの目だけ。千年も前にインドからもち出した珍しいサファイアでできたこの目だけ。その片方をとりだして、とどけてほしい。そしたらそれを宝石商に売って、食べものと、まきが買える、劇がしあがる」。
「王子さま、やさしい王子さま。ぼくにはそんなこと、できません」。そう言って、ツバメは泣きはじめました。
「ツバメくん、ツバメくん、わたしの言うとおりにしてくれないか」。

   オスカー・ワイルド=作 富山多佳夫=訳
   富山多佳夫+富山芳子=編 『幸福な王子
   妖精文庫1 青土社 1999/08


(J8) 今村 1993
「ぼく、もうひと晩(ばん)だけ、お役にたつことにします」
 ほんとうのところは、心根(こころね)のやさしいツバメがいいました。
「べつのルビーを、ぼく、あの人にとどけましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだ」
 王子はいいました。
「この私のふたつの目が、私にのこされたもののすべてだ。私の目は、千年ものむかしにインドからもたらされた、めずらしいサファイアでできている。私の片目をとりだして、彼のところにもってゆけ。それを宝石商に売れば、薪(まき)を買って、芝居(しばい)をかきあげることができるだろう」
「王子さま」
 ツバメはいいました。
「そんなこと、ぼくにはできません」
 そしてツバメは、泣(な)きはじめました。
「ツバメよ、ツバメ、小さなツバメ」
 王子がいいました。
「私の命(めい)じるままにするがよい」

   オスカー・ワイルド=作 今村葦子(いまむら・あしこ)=訳
   『幸せの王子』 偕成社 1993/10


(J9) 井村 1989
「もう一晩、王子さまのところにいてあげます。」ツバメはいいました。ほんとうは、やさしい心の持(も)ち主(ぬし)だったのです。「その人にもルビーをもっていきましょうか。」
「ああ。わたしにはもうルビーはないんだ。」王子はいいました。「残(のこ)っているのはこの目だけなんだ。めずらしいサファイアで、千年も昔(むかし)にインドからもってきたものなんだ。
 わたしの目を一つぬきとって、あの男にもっていってやってくれないか。あの男は、それを宝石商(ほうせきしょう)に売って、食(た)べ物(もの)と薪(まき)を買い、あの脚本(きゃくほん)を書きあげるだろう。」
「王子さま。そんなこと、ぼくにはできません。」ツバメはこういうと、泣(な)きだしました。
 王子はいいました。
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん。わたしの言(い)いつけどおりにしてください。」

   オスカー=ワイルド=作 井村君江=訳
   『幸福の王子—オスカ−=ワイルド童話集』 偕成社文庫 1989/03


(J10) 西村 1988
「あとひと晩だけご用をつとめましょう、」と根はやさしい心の持ち主だけに、つばめはそういいました。「その人にもルビーをもっていってあげましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだよ。残ってるのはただこの目だけ。千年も昔にインドから到来した、めったにないサファイアで作ってある。それをひとつ抜きとって、あの青年のところへもっていって。かれはそれを宝石商に売って、たべものと薪(まき)を買い、劇をしあげるだろう。」
「王子さま、そんなこと、できません」とつばめはいうと、泣きだしました。
「つばめちゃん、つばめちゃん、小さなつばめちゃん、いいつけどおりになさい。」

   オスカー・ワイルド=作 西村孝次=訳 「幸福の王子」
   『オスカー・ワイルド全集3』 青土社 1988/09


(J11) 矢川 1988
「ぼく、もうひと晩のこりますよ」つばめは言ってしまった。まったくお人好しもいいいところだった。「またルビイでも届けましょうか?」
「それがもう、ルビイはないんだ」王子がいう。「あとはこの両眼だけだ。千年もまえにインドからもってきた、世にもめずらしいサファイアでね、こいつを片っぽ、つつきだして、あの若者にもってっておやり。宝石商に売れば、食物や薪(まき)を買えるし、それで芝居を仕上げられるだろう」
「王子さま、そんなことできませんよう」つばめはいい、すすり泣きはじめた。
「つばめ、つばめ、小さなつばめ、わたしのいうとおりにするんだ」

   オスカー・ワイルド=作 矢川澄子=訳 「幸せの王子」
   J・L・ボルヘス=編纂・序文 『アーサー・サヴィル卿の犯罪
   バベルの図書館6 国書刊行会 1988/07


(J12) 海老池 1987
「もうひと晩ここにいることにしましょう」とつばめは言った。ほんとうにやさしい心の持ち主だったから。「もひとつのルビーを持って行ってやりましょうか」
「残念だが、もうルビーはないのだ」と王子は言った。「残っているのはこの目だけだ。珍しいサファイアでできている。千年も昔にインドから持って来たものだ。それをひとつ抜き取って、あの男のところへ持って行ってやりなさい。あの男はそれを宝石屋に売って、食物とまきを買うだろう。そして、戯曲を書き上げるだろう」
「王子さま」とつばめは言った。「そんなことはできません」そして、泣き始めた。
「つばめよ、つばめよ、小さいつばめよ」と王子は言った。「わたしの命令どおりにしなさい」

   Oscar Wilde=作 海老池俊治=訳注 「幸福な王子」
   『The Happy Prince and Other Stories 幸福な王子 他4編
   [改訂版]研究社新訳注双書 研究社出版 1987/02


(J13) 三浦 1979
「もう一晩だけ、おそばにいましょう」とツバメが言いました。根がやさしいたちなのです。「またルビーを持ってゆきましょうか」
「残念なことに、もうルビーはない」と王子が言いました。「目しか残っていないのだ。これは珍しいサファイアで、千年も前にインドからわたってきたものだ。これを一つくりぬいて、彼の所に持っていってやれ。彼はこれを宝石屋に売って、薪を買い、戯曲を仕上げるだろう」
「王子さま」とツバメが言いました。「それはできません」そしてツバメが泣きはじめました。
「ツバメよ、ツバメ、小さなツバメ」と王子が言いました。「命令した通りにするのだ」

   ワイルド=著 三浦朱門(みうら・しゅもん)=訳 「幸福王子」
   『世界中短編名作集』 世界文学全集46(全50巻)
   学習研究社(学研) 1979/08/01


(J14) 西村 1968
「もうひと晩だけご用をつとめましょう」とつばめは言いましたが、ほんとうはやさしい心の持ち主なのです。「もうひとつのルビーを持っていってやりましょうか?」
「ああ! もうルビーはないのだ。残っているのはこの目だけなのだ。珍しいサファイアでできていて、千年も昔にインドから到来した品なのだ。それをひとつ抜きとって、あの男のところへ持っていってください。あの男はそれを宝石商に売って、食べものと薪(たきぎ)を買い、戯曲を書きあげるだろう」
「王子様、そんなことはできません」とつばめは言うと、泣きだしました。
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、わたしの言いつけどおりにしなさい」

   ワイルド=作 西村孝次=訳 「幸福な王子」
   『幸福な王子—ワイルド童話全集』 新潮文庫 1968/01


(J15) 大石 1965
[略]気のいいつばめは、おもわず、こういってしまいました。
「しかたがない。じゃあ、あなたのために、もうひと晩だけ泊まってあげましょう。こんどは、なにを持っていっていくんですか。ルビーですか。」
「いや、もう、ルビーはないのだよ。残っているのは、わたしの目だけだ。この目は、千年もまえにインドから運んできたサファイアでできているのだ。
 これを引き抜いて、あの若者のところに持っていっておくれ。そうすれば、あの若者はこれを宝石商に売ってお金にかえ、まきでもパンでも買うことができるだろう。そうしたら若者も戯曲を仕上げることができるにちがいない。」
「王子さま、あなたの目を引きぬくなんて‥‥そんなひどいことは、わたしはできません。」
 そういっって、つばめは、しくしく泣きだしました。
「いや、泣かなくてもよい。かわいいつばめ、いいから、わたしのいうとおりにしなさい。」

   ワイルド=原作 大石真(おおいし・まこと)=訳・文 「幸福な王子」
   『少年少女世界の名作文学 7 イギリス編5』(全50巻) 小学館 1965/09/20
   原文は総ルビですが、上の引用ではすべて省略しました。


(J16) 松村 1960
「それじゃ、もう一(ひと)ばんだけ、あなたのおそばに、のこりましょう。そしてまた、ルビーの玉(たま)をもっていってやりましょうか」
と、やさしいつばめはいいました。
「ところが、こまったことに、もうルビーはないのだ。」
と、王子(おうじ)はいいました。
「もうのこっているのは、ぼくの目(め)だけなんだ。この、ぼくの目(め)は、インドからもってきた、 すばらしいサファイアでできているのだ。つばめさん、どうか、この目(め)を一つだけ、あのわかもののところへ、もっていっておくれ。そしたら、わかものは、それをほうせき屋(や)にうって、たべものと、まきとをかって、おしばいをかきあげられるだろうよ。」
「でも、王子(おうじ)さま、そんなことが、このぼくにどうしてできましょう。」
と、つばめはいって、なきだしました。
「つばめさん、かわいいつばめさん、どうかおねがいだから、ぼくのいうとおりに、しておくれ。」
と、王子(おうじ)はいいました。

   オスカー・ワイルド=作 松村達雄(まつむら・たつお)=訳 「しあわせな王子」
   久米元一(くめ・げんいち)+白木茂(しらき・しげる)+松村達雄=訳
   『世界童話文学全集 5 イギリス童話集』(全18巻) 講談社 1960/07/10


(J17) 阿部 1954, 1961
「ぼく、もうひと晩だけここにいましょう」根から心のやさしいこのつばめは、それをきいてこたえた。「で、紅玉をもうひとつ持って行ってやりましょうか」
「残念なことに、もう紅玉はないのだよ」と王子はいった。「のこっているのは、ただこのわたしの目だけだ。これは、千年も前にインドからはこんできたという、この上もない青玉でできている。一方をつついて取って、あの男に持っていってやりなさい。それを宝石屋に売って、食物とまきとを買って、芝居を書くことができるだろうから」
「王子さま、とてもそんなこと、ぼくにはできません」そういって、つばめは泣きだした。
「つばめ、つばめ、小さなつばめ、わたしの言いつけどおりにするのだ」と王子はいった。

   オスカー・ワイルド=作 阿部知二=訳 「幸福の王子」
   a.モーム編 世界文学100選2』 河出書房新社 1961/05
   b.世界少年少女文学全集6 イギリス編4』 創元社 1954/05
   引用は a. に拠りました。


(J18) 西村 1950
「もう一晩だけ御用をいたしましょう、」燕はいったが、ほんとうは燕は親切な心をもっていたのである。「もうひとつの紅玉をその男のところへもってまいりましょうか?」
「ああ! 紅玉はもうないのです、」王子はいった。「兩眼だけしか殘っていないのです。ぼくの兩眼は世にも珍しい青玉で出來ていて、千年も昔にインドからもってきたものです。そのひとつを抜きとってあの男のところへもっていってください。それを寶石商へ賣って、食べものと薪を買い、脚本を仕上げるでしょう。」
「王子様、」燕はいった、「そればかりはできません。」そうして燕は泣き出した。
「燕さん、燕さん、可愛い燕さん、」王子はいった、「ぼくのいうとおりになさい。」

   ワイルド=作 西村孝次=訳 「幸福の王子」
   『世界文學全集 ワイルド篇』 河出書房 1950/12


(J19) 守屋 1950, 1974
 「もうひと晩、君のとこにいたげよう」つばめはいうのでした。つばめは、ほんとうは、思いやりのある心を持っていたのです。「もう一つのルビイを持ってこうか?」
 「ああ! ぼくにはもうルビイはないんだ」王子はいいました。「ぼくの眼(め)が、手許(てもと)に残ってるすべてなんだ。それらは、珍らしいサファイアでできている。千年も前に、インドから持ってきたものなんだ。ぼくの眼をひとつ抜きとって、あの男に持ってってやってくれないか。あの男は、それを宝石商(ほうせきしょう)に売って、食物やまきを買うだろう。そうして脚本を書き上げるだろう」
 「王子さん」つばめはいいました。「ぼくにそんなことできない」そしてつばめは、泣き始めるのでした。
 「つばめ、つばめ、小さなつばめ」王子はいいました。「ぼくのいう通りになさい」

   ワイルド=作 守屋陽一(もりや・よういち)=訳 「幸福な王子」
   a.改訳 幸福な王子 他四篇』 角川文庫 改訳版20版 1974/08
   b.幸福な王子 他四篇』 角川文庫 初版 1950/11
   引用は a. に拠りました。


(J20) 葉河 1932
 「貴方のところでもう一晩だけ御用を致しませう。」と燕は云つた。燕は本當に親切な心を持つてゐたのであつた。「もう一つの紅玉をあの男のところへ持つて參りませうか。」
 「あゝ! 紅玉はもう無いのです。」と皇子は答へた。「兩眼だけが殘つてゐるのです。私の兩眼は青玉で出來てゐます。千年も前に印度から持つて來たものです。一方を拔き取つて男のところへ持つて行つてお呉れ。それを寶石商へ賣つて食物と薪を買ひ、そして脚本を仕上げるでせう。」
 「皇子さま」と燕は云つた。「私にはそんなことは出來ません。」さうして燕は泣き出した。
 「燕よ、燕よ、小燕よ。」皇子は云つた。「私のいふ通りになさい。」

   Oscar Wilde=作 葉河憲吉(はがわ・けんきち)=譯 「幸福な皇子」
   葉河憲吉=譯註 『英學生文庫7 ハツピープリンス
   春陽堂 1932/06(昭和7)
   扉の表題は "The Happy Prince and Other Tales"


(J21) 南日 1932
 「ではもう一晩延ばしませう」と燕は云ひましたが、實際中々情に篤いのでした。「又たルビー(紅玉)を持つて行つてやるのですか。」
 「情けないこッたがもうルビーは無い」と皇子が云つた、「今殘つてゐるのは兩眼ばかり。どちらも珍しいサファイア(碧玉)で、千年前に印度から來たものです。これを一つ拔き取つてやつて來ておくれ。靑年はこれを寳玉商に賣つて、食物と薪を買つて脚本を仕上げようから。」
 「皇子さま、私にそんなことは出來ません」と燕が云つて泣き出しました。
 「燕、燕、可愛い燕さん」と皇子は云ひました、「私の命令通りなさい。」

   オスカ・ワイルド=作 南日恒太郎(なんにち・つねたろう)=譯 「幸福皇子」
   南日恒太郎=著 『英詩文鑑賞』 北星堂書店 1932/05/01(昭和7)
   情・福・通の旧字はそれぞれ新字で置き換えました。


(J22) 佐藤 1927
 「ぢや、もう一晩(ひとばん)、あなたのそばに泊(とま)りませう。」
と、燕(つばめ)が答(こた)へました。心(こゝろ)だてのやさしい燕(つばめ)でありました。
 「ルビーをまた、その人(ひと)において來(き)ませう。」
 「あゝ、もうルビーは持(も)つてゐない。この目(め)だけしか殘(のこ)つてゐない。この二(ふた)つの目(め)は、たぐひまれなサフハイヤで作(つく)つたもので、千年前(せんねんぜん)にインドから持(も)つてきたもの。この二(ふた)つのどれかを拔(ぬ)き出(だ)して、あの若者(わかもの)にやつてくれ。若者(わかもの)は寶玉商(はうせきしやう)に賣(う)るだらう。そして食物(しよくもつ)と薪(たきゞ)とを買(か)つて、あの脚本(きやくほん)を書(か)きあげようから。」
 「王子(わうじ)さま。僕(ぼく)にはとても、そんなことができません。」
 燕(つばめ)は言(い)つて泣(な)きだしました。
 「燕(つばめ)よ、燕(つばめ)よ、小(ちひ)さな燕(つばめ)よ。」
と,王子(わうじ)は聲(こゑ)をかけました。
 「わたしの言(い)ふとほりにしておくれ。」

   ワイルド=原作 佐藤武(さとう・たけし)=訳
   「幸福な王子」 ワイルド物語
   佐藤武=編著 『世界名作物語讀本 3』 定價金貳圓五拾錢
   文敎書院 1927/02/27(昭和2)


(J23) 本間 1926
 『もう一晩、あなたさまとご一しよに居りませう』本當に善良な心を持つて居りますので、燕はかう申しました。『も一つの紅玉(ルビー)をあの男のところへ持つて參りませうかしら?』
 『あゝ、予(わし)にはもう紅玉(ルビー)はない』皇子は云ひました。『予(わし)に殘つてゐるのは二つの眼ばかりだ。予(わし)のこの二つの眼は、何千年か前に印度から持つて來た、類(たぐい)のない靑玉(サフアイヤー)で出來てゐる。一つの方を啄(つゝ)き出して、あの男のところへ行つてお呉れ。あの男はそれを寳(たから)玉商人のところへ賣つて、食物と薪とを買ひ、そして芝居を書き上げるだらうから。』
 『でも、そんなことはいたされません。皇子さま』燕はかう云つて、やがてしく/\泣き出しました。
 『燕よ、燕よ、小さい燕よ。かまはないから予(わし)の言ひつけた通りにしてお呉れ』皇子は云ひました。

   オスカア・ワイルド=作 本間久雄(ほんま・ひさお)=譯 「皇子と燕」
   『世界短篇小説大系 英吉利篇(上)』 非賣品 近代社 1926/01/28(大正15)
   通の旧字は新字で置き換えました。また、傍点を下線で置き換えました。


■邦題の異同 Variations of the title in Japanese

ご覧のとおり、日本語訳の題名はバラバラです。

  「しあわせな王子」 柴田 2011 松村 1960
  「幸福な王子」   小尾 2017 大橋 1999 富山 1999 海老池 1987
            守屋 1974 西村 1968 大石 1965 守屋 1950
            佐藤 1927
  「幸福の王子」   曽野 2006 結城 2000 井村 1989
            西村 1988 阿部 1954, 1961 西村 1950
  「幸せの王子」   矢川 1988 今村 1993
  「幸せな王子」   金原 2006
  「幸福な皇子」   葉河 1932
  「幸福王子」    三浦 1979
  「幸福皇子」    南日 1932
  「皇子と燕」    本間 1926


■インドネシア語訳 Translation into Bahasa Indonesia

" Aku akan menemanimu satu malam lagi," kata burung layang-layang, yang sebenarnya memiliki hati yang baik. " Haruskah aku mengambil sebuah batu rubi merah delima lain?"

" Aduh! Aku tidak memiliki batu rubi merah delima lainnya," katakan Pangeran; " Satu-satunya yang aku miliki adalah mataku. Mereka dibuat dari batu safir langka, dibawa jauh dari India beribu tahun yang lalu. Cabutlah satu dan bawa kepadanya. Ia akan menjual ke toko permata, dan menggunakan uangnya untuk membeli makanan dan kayu bakar, dan menyelesaikan naskah dramanya."

" Pangeranku sayang," katakan burung layang-layang kecil, " Aku tidak bisa melakukannya"; dan iapun mulai menangis.

" Burung layang-layang, burung layang-layang kecil," yang dikatakan Pangeran, " lakukanlah sesuai perintahkanku."

   Pangeran Yang Bahagia by Oscar Wilde
   E-text at Wikisource


■ロシア語訳 Translations into Russian

(R1) Сергеев & Нуждин
  "Я останусь с тобой еще на одну ночь", -- сказал  Скворец. У  него действительно было доброе сердце. "Мне отнести еще один рубин?"

  "Увы! У меня больше нет рубинов", --  сказал  Принц.  "Все что   осталось   --  это  мои  глаза.  Они  сделаны  из  редких драгоценных сапфиров, которые  привезли  из  Индии  тысячу  лет назад.  Выклюй  один  из  них,  и  отнеси юноше. Он продаст его ювелиру, купит себе дров, и окончит пьесу.

  "Дорогой Принц", -- сказал Скворец, -- но я не могу  этого сделать",  и горько заплакал. "Маленький, маленький скворчонок, -- промолвил Принц, -- сделай, как я велю".

   Оскар Уайлд. Счастливый Принц
   Translated by П.В.Сергеев, Г.Нуждин
   E-text at Lib.Ru


(R2) Чуковского 1990
  - Хорошо, я останусь с тобой до утра! - сказала   Ласточка Принцу. У  нее было предоброе сердце. - Где же у тебя другой рубин?
  - Нет у меня больше рубинов, увы! -  молвил  Счастливый  Принц.  -  Мои глаза - это все, что осталось. Они сделаны из редкостных сапфиров  и  тысячу лет назад были привезены  из  Индии.  Выклюй  один  из  них  и  отнеси  тому человеку. Он продаст его ювелиру и купит себе еды и  дров  и  закончит  свою пьесу.
  - Милый Принц, я не могу сделать это! - И Ласточка стала плакать.
  - Ласточка, Ласточка, маленькая Ласточка! Исполни волю мою!

   Оскар Уайльд. Счастливый принц
   Translated by К. Чуковского
   Оскар Уайльд. Избранное. М., Просвещение, 1990
   E-text at Lib.Ru


■イタリア語訳 Translations into Italian

(It1)
"Resterò con te un'altra notte", disse la Rondine, che in verità aveva buon cuore. "Devo portargli un altro rubino?"

"Ahimé! Non ho più rubini" disse il Principe. "Mi restano solo gli occhi. Sono fatti di zaffiri rari, portati dall'India mille anni fa. Spiccamene uno e portarglielo. Egli lo venderà al gioielliere, e comprerà del cibo e della legna, e finirà la sua commedia".

"Caro Principe", disse la rondine, "non posso far questo", e cominciò a piangere.

"Rondine, Rondine, piccola Rondine", disse il Principe, "fa' quello che ti ordino".

   Il Principe Felice
   in Tutte le opere by Oscar Wilde
   Newton Compton Editori, 2011/04/19
   E-text at Homolaicus.com [PDF]


(It2)
"Va bene, aspetterò presso di te un'altra notte" disse il Rondinotto, che aveva proprio un cuore d'oro. "Devo portargli un altro rubino?"

"Ahimè, non ho più rubini, ormai" disse il Principe, "tutto ciò che mi è rimasto sono i miei occhi, ma sono fatti di zaffiri rari, e furono portati dall'India più di mille anni fa. Strappane uno e portaglielo. Lo venderà al gioielliere, e si comprerà legna da ardere, e finirà la sua commedia".

"Caro Principe" disse il Rondinotto, "io non posso fare questo"

"Rondinotto, Rondinotto, piccolo Rondinotto" disse il Principe, piangendo, "ubbidiscimi, ti prego".

   Il principe felice by Oscar Wilde
   E-text at Pinu raccolta di fiabe (pinu.it)


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

— Ficarei contigo mais uma noite — disse a andorinha, que tinha realmente um bom coração. Queres que lhe leve outro rubi?

— Ai! Já não tenho mais rubis — disse o Príncipe Feliz. — Só me restam os meus olhos. São duas raras safiras há mil anos trazidas da índia. Arranca-me um deles e leva-o. Ele o venderá a um joalheiro, comprará comida e lenha e acabará a sua peça.

— Querido Príncipe — disse a andorinha — não posso fazer semelhante coisa. E pôs-se a chorar.

— Andorinha, andorinha, querida andorinha — disse o Príncipe — fazes o que te mando.

   O Príncipe feliz by Oscar Wilde
   E-text at:
   * A Liberdade É Amoral
   * Dil e Lú Ateliê


■スペイン語訳 Translation into Spanish

      —Bueno, me quedaré otra noche aquí contigo —dijo la golondrina que de verdad tenía buen corazón—. ¿Hay que llevarle otro rubí?
      —¡Ay, no tengo más rubíes! —se lamentó el Príncipe—. Sin embargo aún me quedan mis ojos. Son dos rarísimos zafiros, traídos de la India hace mil años. Sácame uno de ellos y llévaselo. Lo venderá a un joyero, comprará pan y leña y podrá terminar de escribir su obra.
      —Pero mi Príncipe querido —dijo la golondrina—, eso yo no lo puedo hacer.
      Y se puso a llorar.
      —Golondrina, golondrina, pequeña golondrina —le rogó el Príncipe—, por favor, haz lo que te pido.

   El Príncipe Feliz by Oscar Wilde
   E-text at literatura.us


■フランス語訳 Translation into French

—Je demeurerai encore une nuit avec vous, dit l'Hirondelle, qui avait réellement un bon coeur. Dois-je lui porter un autre rubis?
—Hélas! je n'ai plus de rubis, dit le Prince. Mes yeux sont la seule chose qui me reste. Ce sont de rares saphirs qui furent rapportés des Indes il y a un millier d'années. Arrachez l'un d'eux et prenez-le pour lui. Il le vendra à un joaillier. Il achètera de quoi se nourrir et de quoi se chauffer et finira sa pièce.
—Cher Prince, dit l'Hirondelle, je ne puis faire cela.
Et elle se mit à pleurer.
—Hirondelle, Hirondelle, petite Hirondelle! dit le Prince. Faites ce que je vous commande.

   Le Prince Heureux de Oscar Wilde
   Traduit de l'anglais par Albert Savine
   E-text at Project Gutenberg


■ドイツ語訳 Translations into German

(D1) Seiffert
»Ich will diese eine Nacht noch bei dir bleiben«, sagte die Schwalbe, die wirklich ein gutes Herz hatte. »Soll ich ihm auch einen Rubin bringen?«

»Ach nein, ich habe keinen Rubin mehr«, sagte der Prinz, »meine Augen sind alles, was mir geblieben ist. Sie sind aus köstlichen Saphiren gemacht, die man vor tausend Jahren aus Indien hergebracht hat. Reiß eines von ihnen aus und trag es zu ihm hin. Er wird den Edelstein zum Goldschmied bringen und Nahrung und Feuerholz kaufen und sein Stück vollenden.«

»Lieber Prinz«, sagte die Schwalbe, »das kann ich nicht.« Und sie begann zu weinen.

»Schwalbe, Schwalbe, kleine Schwalbe«, sagte der Prinz, »tu, wie ich dich heiße.«

   Der glückliche Prinz by Oscar Wilde
   Translated by Alice Seiffert
   E-text at Projekt Gutenberg-DE - Kultur - Spiegel Online


(D2) Salvani, 2000
"Gut, ich werde noch eine weitere Nacht bei dir bleiben", sagte die Schwalbe, die wirklich ein gutes Herz hatte. "Soll ich auch ihm einen Rubin bringen?"

"O weh, ich habe keinen Rubin mehr", sagte der Prinz, "meine Augen sind alles, was mir geblieben ist. Sie sind aus kostbaren Saphiren gefertigt, die vor tausend Jahren aus Indien hergebracht wurden. Brich einen von ihnen heraus und bring ihn dem jungen Mann. Er wird ihn dem Juwelier verkaufen, dafür Essen und Brennholz erwerben und das Theaterstück beenden".

"Lieber Prinz", sagte die Schwalbe, "das kann ich nicht machen", und sie begann zu weinen.

"Schwalbe, Schwalbe, kleine Schwalbe, tu, wie ich es dich geheißen habe", sagte der Prinz.

   Der glückliche Prinz, Ein Kunstmärchen, by Oscar Wilde
   Translated by Jean Francesco Salvani, www.salvani.de, April 2000
   E-text at:
   * Projekt Gutenberg-DE - Kultur - Spiegel Online
   * Welt der Fantasie


■オランダ語訳 Translations into Dutch

(NL1)
'Ik zal nog één nacht bij je blijven,' zei de zwaluw, die echt een goed hart had. 'Zal ik een andere robijn naar hem toe brengen?'

'Helaas, heb ik nu geen robijn meer,' zei de prins. 'Mijn ogen zijn alles wat ik over heb. Ze zijn gemaakt van saffieren, die duizend jaar geleden uit India zijn gebracht. Pik ze eruit en breng ze naar hem. Hij zal het aan de juwelier verkopen en voedsel en brandhout kopen en zijn toneelstuk afmaken.'

'Lieve prins,' zei de zwaluw, 'dat kan ik niet doen.' En hij begon te huilen.'Zwaluw, zwaluw, kleine zwaluw,' zei de prins, 'doe wat ik je opdraag.'

   De gelukkige prins by Oscar Wilde
   E-text at absolute1.net


(NL2)
"Goed, ik blijf nog één nacht," zei de zwaluw, "moet ik hem ook een robijn brengen?"

"Een robijn heb ik niet meer," zei de prins, "maar mijn ogen zijn gemaakt van kostbare saffieren. Neem één van mijn ogen en breng die naar hem toe. Hij kan er eten en brandstof voor kopen en dan zijn stuk afmaken."

"Dat kan ik niet doen," zei de zwaluw en begon te huilen.

"Kleine zwaluw," zei de prins, "doe toch wat ik je vraag!"

   De gelukkige prins by Oscar Wilde
   E-text at beleven.org


  Audio 1  
朗読 スティーヴン・フライ Stephen Fry reads The Happy Prince 2 of 3

下に引用した箇所は 1:29 あたりから始まります。 Uploaded by macolleague on May 11, 2010. Unabridged presentation by Harper Collins Publishers Limited. The excerpt below starts around 1:29.


  Audio 2  
ドラマ録音 The Happy Prince (1946)

デッカ・レコードによるドラマ仕立ての録音。脚色・演出: オーソン・ウェルズ 出演: オーソン・ウェルズ、ビング・クロスビー。1946年製作。下に引用した箇所は 5:15 あたりから。
Orson Welles and Bing Crosby star in the storytelling adaptation recording of "The Happy Prince" (adapted and directed by Welles), made by Decca for one of its Specialty Series albums in 1946. The recording was reissued as The Masterworks of Orson Welles: The Happy Prince/The Red Room/Shredni Vashtar/The Secret Sharer/Wakefield/The Tell-Tale Heart/Letter to the Reverend Dr. Hyde [Abridged] [Audio Cassette]. More info is here. The excerpt below starts around 5:15.


  Audio 3  
The Happy Prince, presented by CCProse

下に引用した箇所は 0:12:01 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by CCProse on Dec 3, 2011. The excerpt below starts around 0:12:01.


  Audio 4  
朗読 ジョン・ギールグッド(物語冒頭のサンプル録音)
John Gielgud reads The Happy Prince (sample recording)
Naxos_music_library_john_gielgud_th
音源: ナクソス・ミュージック・ライブラリー (NML) 全文の朗読CDおよびダウンロード用MP3は Amazon.co.jp で購入可能。 Source: Naxos Music Library. Full audio CD available from Amazon.com


■英語原文 The original text in English

"I will wait with you one night longer," said the Swallow, who really had a good heart. "Shall I take him another ruby?"

"Alas! I have no ruby now," said the Prince; "my eyes are all that I have left. They are made of rare sapphires, which were brought out of India a thousand years ago. Pluck out one of them and take it to him. He will sell it to the jeweller, and buy food and firewood, and finish his play."

"Dear Prince," said the Swallow, "I cannot do that"; and he began to weep.

"Swallow, Swallow, little Swallow," said the Prince, "do as I command you."


 Gallery 2 
D・ナット社刊1910年版のサンプルページ
Sample pages from the 1910 edition published by D. Nutt

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

Happyprinceother00wild_0016_2 Happyprinceother00wild_0017_2
The happy prince and other tales, Seventh impression, by Oscar Wilde ; illustrated by Walter Crane and Jacomb Hood. Published 1910 by D. Nutt in London. Full bibliography at Open Library Image source: Internet Archive


■更新履歴 Change log

  • 2017/02/02 小尾芙佐=訳 2017/01/20 を追加しました。
  • 2013/12/15 アニメ映画 The Happy Prince (1983) の YouTUbe 画面を追加しました。
  • 2013/08/23 2種類の韓国語訳、ジョン・ギールグッドによる朗読のサンプル録音、およびD・ナット社刊1910年版のサンプルページを追加しました。
  • 2013/07/24 松村達雄=訳 1960/07/10 を追加しました。
  • 2013/05/24 シスター・ユニティによる朗読の YouTube 動画、南日恒太郎=譯 1932/05/01、および本間久雄=譯 1926/01/28を追加しました。
  • 2012/08/08 もう1種類のイタリア語訳を追加しました。
  • 2012/08/04 CCProse による朗読の YouTUbe 画面を追加しました。
  • 2012/06/26 大石真=訳・文 1965/09/20 を追加しました。
  • 2012/06/15 2種類のロシア語訳を追加しました。
  • 2012/04/22 三浦朱門=訳 1979/08/01 を追加しました。
  • 2011/12/04 スティーヴン・フライによる朗読の YouTUbe 画面を追加しました。
  • 2011/03/04 アニメ映画 The Happy Prince (1974) と ドラマ録音 The Happy Prince (1946) の2本の YouTube 動画、柴田元幸=訳 2011-01-20、およびインドネシア語訳を追加しました。また、ブログ記事のタイトルに邦題『しあわせな王子』を追加しました。さらに、目次を新設しました。
  • 2011/01/12 ポルトガル語訳を追加しました。また、イタリア語訳にあった訳文の誤りを修正しました。
  • 2010/12/18 Alice Seiffert によるドイツ語訳を追加しました。
  • 2008/10/23 巴金による中國語譯(繁體字)を追加しました。また、阿部知二=訳の書誌情報を補足しました。
  • 2007/10/03 葉河憲吉=譯 1932/06 の引用箇所がまちがっておりましたので訂正しました。他の版とテキストが呼応していない、原書が異なるせいか? この版が抄訳であるからか? などと、これまで記載しておりましたのは、完全に私の勘違い。葉河譯でも、他の訳に対応する箇所は、ちゃんと訳出されております。お恥ずかしい。また、この記事のタイトルに、異題『幸せの王子』を追加しました。
  • 2007/09/30 海老池俊治=訳 1987/02 を追加しました。
  • 2007/09/20 葉河憲吉=譯 1932/06 を追加しました。また、この記事のタイトルに、異題『幸福な王子』を追加しました。さらに、中國語譯(繁體字)の電子テキストへのリンクがリンク切れになっていましたので、訂正して他のサイトにリンクを張りなおしました。
  • 2007/06/05 曽野綾子=訳 2006/12 を追加しました。
  • 2007/02/08 「邦題の異同」の項を補足しました。
  • 2006/10/17 富山多佳夫=訳 1999/08 を追加しました。
  • 2006/09/27 大橋洋一=訳 1999/12、今村葦子=訳 1993/10、井村君江=訳 1989/03、西村孝次=訳 1988/09、守屋陽一=訳 1974/08、阿部知二=訳 1961/05、および西村孝次=訳 1950/12 を追加しました。

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Wednesday, 15 March 2006

Salome / Salomé by Oscar Wilde オスカー・ワイルド 『サロメ』

        目次 Table of Contents

 Image  Aubrey Beardsley, Oscar Wilde's Salome (1893)
■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese
■日本語訳 Translations into Japanese
  (J1) 平野 2012
  (J2) 工藤 2001
  (J3) 河野 1979
  (J4) 望月 1968
  (J5) 福田 1959, 2000
  (J6) 西村 1953
  (J7) 高塚 1952
  (J8) 佐々木 1936
  (J9) 葉河 1931, 1938
  (J10) 楠山 1929
  (J11) 日夏 1928, 1995
  (J12) 生田 1914
  (J13) 村上 1914
  (J14) 若月 1913, 1921
  (J15) 森 1909, 1910, etc.
  (J16) 小林 1909, 1996
  (J17) その他
■トルコ語訳 Translation into Turkish
■フィンランド語訳 Translation into Finnish
■ロシア語訳 Translations into Russian
  (R1) Бальмонта
  (R2) Петрова, 1999
■チェコ語訳 Translation into Czech
■ドイツ語訳 Translation into German
■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese
■スペイン語訳 Translation into Spanish
■英訳 Translations into English
  (E1) Donohue, 2011
  (E2) Douglas
■フランス語原文 The original text in French
■ワイルド作品の初期邦訳に関する書誌
 Bibliography on early translations of Wilde's works into Japanese
■森鴎外のワイルド紹介
■更新履歴 Change log


 Image 
beardsley_2
Aubrey Beardsley, Oscar Wilde's Salome (1893)


■中國語譯(繁體字) Translation into traditional Chinese

啊!你為什麼不看我呢,約翰?你把自己的臉藏在了你的雙手和你滿口的詛咒後面。你滿心想著見你的上帝,這使你的雙眼猶如蒙上了綁帶。是啊,你見到了祂,你的上帝,約翰,可是我呢,我呢……你卻一點也看不見。如果你看見了我的話,你一定會愛上我。因為我看見了你,約翰,還愛上了你。

   《莎樂美》 奧斯卡。王爾德
   Excerpt at 《 莎樂美 SALOME 》OSCAR WILDE (奧斯卡。王爾德 )1892年


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 平野 2012
ね! どうしてわたしを見てくれなかったの、ヨカナーン? お前は、その手と、冒涜的な言葉の奥に、お前の顔を隠してた。お前は神を見ようとする者として、その目を覆って、他に何も見ないようにしてた。で、お前は見たんだね、お前の神を、ヨカナーン、でも、わたしを、このわたしを、……お前は、そう、わたしを決して見なかった。もしわたしを見ていれば、きっと、わたしを好きになったはず。わたしは、だって、ヨカナーン、お前を見て、お前を好きになったんだから。

   オスカー・ワイルド=作 平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)=訳
   『サロメ』 光文社古典新訳文庫 2012/04/20


(J2) 工藤 2001
ああ! どうしてあたしを見てはくれなかったのだえ、ヨカナン? みずからの手と呪いの言葉で、顔を隠してしまった。神さまを見たいと望む者の目隠しで、おまえは自分の眼をおおってしまった。ほら、おまえは神さまを見ることができたのだろうね、ヨカナン、でも、あたしを、このあたしを、おまえはついに見てくれなかった。あたしを見てくれたら、きっと愛してくれたであろうに。あたしはね、ヨカナン、おまえを見て、それで愛してしまった。

   オスカー・ワイルド=作 工藤庸子(くどう・ようこ)=訳 「サロメ 一幕劇」
   『サロメ誕生 フローベール/ワイルド
   新書館 2001/05/10


(J3) 河野 1979
ああ、おまえはどうしてあたしを見なかった、ヨカナーン。たしかに、おまえはおまえの神を見たけれど、あたしを見てはくれなかった。一目でも、あたしを見てくれていたならば、恋してくれただろうに。あたしはおまえを見たのだよ、そうして、おまえに恋してしまったのだよ。

   ワイルド=作 河野多恵子 「サロメ」
   吉行淳之介=編 『世界恋愛名作集
   グラフィック版 世界の文学 別巻2 世界文化社 1979 所収
   この本は完訳ではなさそうです。河野氏が行なったのは「翻訳」なのか
   「再話」なのか「抄訳」の作成なのか、詳細は存じません。


(J4) 望月 1968
ああ! ヨカナーン、なぜあたしを見てくれなかったの? おまえの両の手と、罵りの言葉のうしろに、おまえは自分の顔をかくしてしまった。おまえは、目に、神を見たいと願う者たちがする、あの目かくしをつけていたのだ!…… そう、ヨカナーン、おまえは見た、おまえの神を! でも、このあたし、このあたしをおまえは見てくれなかった! もしおまえがあたしを見ていたら、おまえはあたしを愛しただろうに!! このあたしはおまえを見て、そのためおまえを愛してしまった!!

   望月一雄=訳注 『サロメ』 大学書林(仏和対訳) 1968/02


(J5) 福田 1959, 2000
あゝ! どうしてお前はあたしを見なかつたのだい、ヨカナーン? 手のかげに、呪ひのかげに、お前はその顔を隠してしまつた。神を見ようとする者の目隠しで、その眼を覆うてしまつたのだ。たしかに、お前はそれを見た、お前の神を、ヨカナーン、でも、あたしを、このあたしを……お前はたうとう見てはくれなかつたのだね。一目でいゝ、あたしを見てくれさへしたら、きつといとしう思うてくれたらうに。だのに、あたしは、このあたしはお前を見てしまつたのだよ、ヨカナーン、さうして、あたしはお前を恋してしまつたのだ。

   a. 福田恆存=訳 『サロメ』 岩波文庫(改版)2000/05
   b. 福田恆存=訳 『サロメ』 岩波文庫 1959/01


(J6) 西村 1953
ああ、なぜあたしを見つめてくれなかったの、ヨカナーン? その手の陰に、その呪いの陰に、おまえは顔を隠していた。わが神を見たいと思う者の目隠しを、おまえは自分の目にかけてしまった。なるほど、おまえは自分の神は見たであろう、ヨカナーン、でも、あたしを、このあたしを、おまえはとうとう見てはくれなかった。もしひと目でも見さえすれば、おまえとてあたしを愛してくれたであろうに。あたしは、あたしはおまえを見てしまった、ヨカナーン、そしておまえを愛してしまった。

   西村孝次=訳 「サロメ」 『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇
   新潮文庫 1953/04 所収


(J7) 高塚 1952
ああ! お前はなぜわたしを見つめてはくれなかったのだえ、ヨカナーン? お前は自分の手と、その惡口の後に自分の顏を隱していたね、お前は自分の神を見たいと思っている者の目隱しの布でお前の眼を隱していたね。そうとも、お前はその、お前の神を見たのだよ、ヨカナーン。だが、わたしを、わたしをば……お前はわたしをば一度も見はしなかった。もしわたしを見ていたら、お前はわたしを愛してくれただろうに。わたしは、お前を見たのだ、ヨカナーン、そしてお前を愛したのだ。

   オスカー・ワイルド=作 高塚洋太郎(たかつか・ようたろう)=譯註
   『サロメ』 仏蘭西文學譯註叢書 21 白水社 定價十錢 1952/06/25


(J8) 佐々木 1936
ああ! なぜお前はわたしを見つめてくれなかつたのだえ、ヨカナーン? お前は自分の手と自分の惡口の後(うしろ)に、自分の顏を隱してゐたね。お前は、自分の神を見たいと思つてゐる者の眼隱しの布で、お前の眼を蔽うてゐたね。いかにも、お前はお前の神を見たであらう、ヨカナーンや。けれども、わたしを、わたしを…………お前はわたしを決して見なかつたのだ。もしわたしを見たなら、お前はわたしを愛してくれたらうに。わたしはお前を見て、ヨカナーン、そしてお前を愛したのだ。

   佐々木直次郎=訳 『サロメ』 岩波文庫 1936/02(昭和11)


(J9) 葉河 1931, 1938
あゝ! ヨカーナン、お前は何故妾を見なかつたの。兩の手と色んな惡罵のかげにお前は顏を匿したのよ。お前は神樣を求めてやまぬ人の目かくしをしてゐたわ。それや、お前は神樣を見ただらうが、ヨカーナン、お前は妾を、この妾を見てくれなかつたのね。妾を見てさへくれたらお前は妾を愛しただらうにさ。妾は、妾はお前を見たのよ、ヨカーナン、そしてお前を戀したのよ。

   a. 葉河憲吉(はがわ・けんきち)=譯註 『サロメ、ウィンダミヤ夫人の扇其他
     現代英米文學大系 第11囘配本 春陽堂書店教育図書出版部
     豫約定價 金壹圓五拾錢 1938/03(昭和13)所収
     上の書名は奥付に拠ります。背と表紙の書名は "Salome, Lady
     Windermere's Fan." 扉の署名は "Salome, Lady Windermere's
     Fan and the The Ballad of Reading Gaol."
   b. 葉河憲吉=譯「サロメ」 『英米近代文学叢書 第1輯 第9巻』
     春陽堂 1931/08(昭和6)所収
   引用は a. に拠りました。


(J10) 楠山 1929
あゝヨカナーン、お前はなぜわたしの顏を見てくれなかつたのでせう。よくもお前は兩手の蔭に、呪詛(のろひごと)の蔭に、お前の顏を隱してしまつたのね。よくもお前は自分の神を見ようとしてゐるものゝ布をとつて、お前の目を隱したのね。成程ヨカナーン、お前は神を見たゞらう。けれどわたしを、わたしを……決してわたしを見ずにしまつたのだ。もしわたしを見たなら、お前はきつとわたしを愛してくれたらう。ほんにわたしはお前を見た、ヨカナーン。さうしてわたしはお前を愛したのだ。

   オスカー・ワイルド=作 楠山正雄=譯 「サロメ」
   『世界文學全集35 近代戲曲集』 新潮社 非賣品 1929/11(昭和4)所収


(J11) 日夏 1928, 1995
嗟呼(ああ)! 約翰(ヨハネ)よ、なぜわたしを眺めてくれぬのぢや? 雙手(もろて)のかげに、呪ひのかげにそちは顏を匿してをつた。わが神さまを見ようと思うてをる人の目蔽(めかく)しでわが身の眼を蔽うてをつた。ほんに、そちは、約翰(ヨハネ)よ、神さまをば見たのぢやが、この、このわたしをばよう見てはくれなんだ。わたしを能(よ)う見てくれたなら、わたしを、可愛(いとし)う思うてくれた筈ぢや。わたし、わたしの方では、約翰(ヨハネ)よ、そちを能(よ)う見て戀慕したのぢや。

   日夏耿之介(ひなつ・こうのすけ)=譯 「サロメ」
   a.ポオ詩集・サロメ』 現代日本の翻訳 講談社文芸文庫 1995/02 所収
   b.近代劇全集41 英吉利西篇』 第一書房 1928(昭和3)所収
   引用は b. に拠りました。


(J12) 生田 1914
嗚呼などお前は我を見ざりしや、ヨカナアン。お前の手をもて、お前の誹謗をもて、お前は其面を隱しき。お前はかの、その神を見るべかりし者の被覆(おほいもの)をお前の目の上に置(お)きぬ。さてお前はお前の神を見たり、ヨカナアンよ。されど我を、お前は竟に我を見ざりき。お前若し我を見たらむには、我を愛したるべし。我はお前を見き。而して我お前を愛しき。

   オスカア・ワイルド=著 生田長江(いくた・ちょうこう)=譯
   『サロオメ』 文明叢書 第2編 植竹書院 定價十錢 1914/11/02(大正3)
   国立国会図書館デジタル化資料
   神の旧字は新字で置き換えました。


(J13) 村上 1914
ハヨナアン[ママ]、お前はどうして妾を見なかつたの。お前は自分の手と呪(のろ)ひの言葉で、自分の顏を隱(かく)したのね。神を見やうとする目隱(めかく)しで、お前の眼(め)を隱したのね。ヨハナアン、お前は神を見ました。けれども妾を見なかつたのね。妾を少しも見なかつた。もし妾を見たことなら、お前は妾を愛したらうに。妾は、妾はお前を見た。ヨハナアン。そしてお前を愛したのだ。

   村上靜人(むらかみ・せいじん)=編譯 『サロメ
   アカギ叢書 第八編 赤城正藏=發行 定價金拾錢 1914/07/10(大正3)
   国立国会図書館デジタル化資料
   神の旧字は新字で置き換えました。


(J14) 若月 1913, 1921
マア、どうしてお前はあたしを見なかつたのねえ、ヨカナアンや? 自分の手と惡口との後ろに、お前は顏を隱したのね。自分の神を見たがつてるもゝの布をとつて、お前は自分の眼をかくしたのね。マア、お前は自分の神を見たけど、ヨカナアンや、それでも、あたしを、あたしを、どうしても見なかつたのね。もしお前があたしを見たら、あたしを愛したゞらうにね。あたしは、あたしはお前を見たのよ。ヨカナアンや、そしてお前を愛しいと思つたのよ。

   ワイルド=著 若月紫蘭(わかつき・しらん)=譯
   a.サロメ』 極光社 1921(大正10)
   b.サロメ』 奥付の表記は「著譯者 若月保治」
     近代脚本叢書 第4篇 現代社 定價金四拾錢 1913/06/15(大正2)
     国立国会図書館デジタル化資料
   引用は b. に拠りました。神の旧字は新字で置き換えました。
   原文は総ルビですが、ここではそれを省きました。


(J15) 森 1909, 1910, etc.
おう。ヨハナアンや。なぜお前はわたしの顏を見てくれなかつたの。ようもお前は、お前の兩手を袖にして、お前の顏を隱したのね。お前の惡態を袖にして、お前の顏を隱したのね。ようもお前は、自分の神を見ようと思つてゐるものの目隱の巾でお前の目を隱したね。ヨハナアンや。成程お前は、神をば見てゐただらう。其癖わたしを、わたしを、わたしをちつとも見なかつたのね。もしわたしを見たなら、きつとわたしを愛してくれたに違ひない。わたしはお前を見てやつた。そしてお前を愛してやつた。

   森林太郎(森鴎外)=訳 「サロメ」
   a. 鴎外全集 翻譯篇 第八卷』 岩波書店 1939/08(昭和14)所収
   b.一巻物(続)』 易風社 1910(明治43)所収
   c. 「戯曲/サロメ」 「歌舞伎」 110号、111号
     1909/09、1909/10(明治42)収載
   引用は a. に拠りました。


(J16) 小林 1909, 1996
あゝ! 何故貴方は妾を見ては下さらぬ? ヨカナアン! 貴方の手貴方の呪詛のうしろに、貴方は顏を隠された。貴方御目の上に、神を見るといふ人の被ひを置かれてあつた。さう、貴方は貴方の神を御覧であつた、ヨカナアン。けれど妾、妾を一度も御見てはなかつた。若し貴方が妾を見られたら、貴方は妾を戀はれましたらう。妾は妾は御身を見ました、ヨカナアン、さて貴方を戀ひました。

[原文は次のとおり総ルビ]
あゝ! 何故(なぜ)貴方(あなた)は妾(わらは)を見(み)ては下(くだ)さらぬ? ヨカナアン! 貴方(あなた)の手(て)貴方(あなた)の呪詛(のろひ)のうしろに、貴方(あなた)は顏(かほ)を隠(かく)された。貴方(あなた)は御目(おめ)の上(うへ)に、神(かみ)を見(み)るといふ人(ひと)の被(おほ)ひを置(お)かれてあつた。さう、貴方(あなた)は貴方(あなた)の神(かみ)を御覧(ごらん)であつた、ヨカナアン。けれど妾(わらは)、妾(わらは)を一度(ど)も御見(おみ)てはなかつた。若(も)し貴方(あなた)が妾(わらは)を見(み)られたら、貴方(あなた)は妾(わらは)を戀(こ)はれましたらう。妾(わらは)は妾(わらは)は御身(おんみ)を見(み)ました、ヨカナアン、さて貴方(あなた)を戀(こ)ひました。

   a. 小林愛雄(こばやし・あいゆう)=訳 「悲劇 サロメ」
     川戸道昭+榊原貴教=編 『明治翻訳文学全集 新聞雑誌編10 ワイルド集
     大空社 1996/10 所収
   b. 小林愛雄=訳 「悲劇 サロメ」
     『新小説』 第14巻第3号 1909/03 (明治42)収載
   b. の1909年小林訳がワイルド『サロメ』の本邦初訳とされているようです。
   引用は a. に拠りました。


(J17) その他
以上のほか、つぎに挙げるものなど多数の邦訳があります。

   * 阿部謙太郎=訳 『サロメ 仏和対訳』 平原社 1934(昭和9)
   * 内藤濯+宮原晃一郎=共訳 『サロメ』 訳註叢書 白水社 1923(大正12)
   * 中村吉蔵=訳 「サロメ」 『ワイルド全集2』 天佑社 1920(大正9)


■トルコ語訳 Translation into Turkish

Ah! Neden bana bakmadın Yahya? Ellerinin ve küfürlerinin örtüsüyle yüzünü sakladın. Gözlerinin üstüne tanrısını görmek isteyenin bağını koydun. İşte sen Tanrı'nı gördün Yahya, ama beni asla görmedin. Eğer beni görseydin, severdin. Ben seni gördüm ve seni sevdim.

   Salome by Oscar Wilde. Translated by Murat Erşen, İmge Kitapevi
   Excerpt at Bu Nasıl Sevmek Salome?!


■フィンランド語訳 Translation into Finnish

Ah, mikset sinä katsonut minua, Jokanaan? Peitit silmäsi niin kuin se, joka tahtoo katsella Jumalaansa. Hyvä! Olet nähnyt Jumalasi, Jokanaan, mutta minua, minua et ole koskaan nähnyt. Jos olisit nähnyt minut, olisit rakastanut minua!

   Salome by Oscar Wilde.
   Excerpt at Lataa käsiohjelma - Yle [PDF]


■ロシア語訳 Translations into Russian

(R1) Бальмонта
А! Почему ты не смотрел на меня, Иоканаан? За твоими руками и за хулениями твоими скрыл  ты  лицо свое. На глаза свои ты  надел повязку, как  тот, кто  хочет  видеть своего Бога.  Ну, что же, ты видел своего Бога, Иоканаан,  но  меня,  меня ты никогда не видал.  Если бы ты  меня увидел, ты полюбил бы меня. Я  видела тебя, Иоканаан, и я  полюбила  тебя!

   Оскар Уайлд. Саломея
   Translated by Константина Бальмонта
   E-text at Lib.Ru


(R2) Петрова, 1999
О, почему ты  не  смотрел  на меня, Иоканаан?  Ты  закрыл лицо словами и  проклятьями. Ты  надел  на глаза повязку того, кто хочет  видеть  Бога. Да, ты видел Бога, Иоканаан, но меня, меня... ты никогда не видел. Если бы ты увидел меня, ты бы полюбил меня. Я - я увидела  тебя,  Иоканаан, и я  полюбила тебя.

   Оскар Уайльд. Саломея
   Translated by П.Н. Петрова
   E-text at Lib.Ru


■チェコ語訳 Translation into Czech

Ach! Proč nepohlédl's na mne také, Jochanaane? Pod rouchem rukou svých a pod rouchem rouhání svých dobře tvář svou jsi schovával. Své oči přikryl’s rouchem slova kohos, kdož patřil na svého Boha. Dobře, svého Boha viděl's, Jochanaane, ale mne’s, neviděl nikdy, ba ne. Kdybys byl pod roucha svá se neschoval, tak bys byl býval jest mě pilně miloval. Já na tebe se podívala a také jsem tě milovala.

   Salomé by Oscar Wilde
   Translated by Ivan Vohrna, Praha 2003
   E-text at Písmák.cz


■ドイツ語訳 Translation into German

Ah! Warum hast du mich nicht angesehen, Jochanaan? Du legtest über deine Augen die Binde eines, der seinen Gott schauen wollte. Wohl! Du hast deinen Gott gesehn, Jochanaan, aber mich, mich hast du nie gesehn. Hättest du mich gesehn, du hättest mich geliebt! Ich dürste nach deiner Schönheit. Ich hungre nach deinem Leib.

   Salome: Drama in einem Aufzuge by Oscar Wilde
   Translated by Hedwig Lachmann
   E-text at:
   * Projekt Gutenberg-DE - SPIEGEL ONLINE
   * Zeno.org


■ポルトガル語訳 Translation into Portuguese

Ah! Por que não olhaste para mim, Iokanaan? Com o manto das tuas mãos, e com o manto das tuas blasfêmias, escondeste teu rosto. Puseste sobre teus olhos o velame daquele que via seu Deus. Bem, tu viste teu Deus, Iokanaan, mas a mim, a mim nunca viste. Se me tivesses visto, tu me amarias. Eu te vi e te amei.

   Salomé by Oscar Wilde. Translated by Dirceu Villa.
   Excerpt at Germina


■スペイン語訳 Translation into Spanish

¡Ah! ¿Por qué no me miraste, Jokanaan? Tras el manto de tus manos y tras el manto de tus blasfemias ocultaste tu rostro. Pusiste sobre tus ojos la venda de aquel que quiere ver a su dios. Bueno, ya has visto a tu dios, Jokanaan, pero a mí, a mí, tú nunca me viste. Si me hubieras visto me habrías amado. Yo te vi, y te amé.

   Salomé by Oscar Wilde.
   E-text at Wikisource


■英訳 Translations into English

(E1) Donohue, 2011
[Text to be inserted later - tomoki y.]

   Salomé: A Tragedy in One Act by Oscar Wilde
   Translated by Joseph Donohue. Illustrated by Barry Moser
   University of Virginia Press, 2011-11-07


(E2) Douglas
Ah! wherefore didst thou not look at me, Jokanaan? Behind thine hands and thy curses thou didst hide thy face. Thou didst put upon thine eyes the covering of him who would see his God. Well, thou has seen thy God, Jokanaan, but me, me, thou didst never see. If thou hadst seen me thou wouldst have loved me. I saw thee, Jokanaan, and I loved thee.

   Salome
   Translated from the French of Oscar Wilde by Lord Alfred Douglas
   E-text of Salome at Moonstruck Drama Bookstore


■フランス語原文 The original text in French

Ah! pourquoi ne m’as-tu pas regardée, Iokanaan?  Derrière tes mains et tes blasphèmes tu as caché ton visage.  Tu as mis sur tes yeux le bandeau de celui qui veut voir son Dieu.  Eh bien, tu l’as vu, ton Dieu, Iokanaan, mais moi, moi . . . tu ne m’as jamais vue.  Si tu m’avais vue, tu m’aurais aimée.  Moi, je t’ai vu, Iokanaan, et je t’ai aimé.

   Salomé
   Original French text by Oscar Wilde
   The Project Gutenberg EBook of Salomé


■ワイルド作品の初期邦訳に関する書誌
 Bibliography on early translations of Wilde's works into Japanese

オスカー・ワイルド作品の本邦初訳以来の明治期の翻訳史については、つぎの本が、たいへん参考になります。上の 12a. にも挙げたものです。

   川戸道昭(かわと・みちあき)+榊原貴教(さかきばら・たかのり)=編
   ナダ出版センター=制作
   『明治翻訳文学全集《新聞雑誌編》10 ワイルド集』(全50巻・別巻2)
   大空社 1996/10
   内容詳細は、ナダ出版センター・ホームページ内の ここここ


■森鴎外のワイルド紹介
ネットで閲読できる文献としては、つぎの論考が参考になります。

   Philosophie de Schoenen 森鴎外のワイルド紹介 (PDF)


■更新履歴 Change log

  • 2015/07/24 工藤庸子=訳 2001/05/10 を追加しました。
  • 2014/10/30 繁體字中國語譯、トルコ語訳、フィンランド語訳、チェコ語訳、ポルトガル語訳、およびスペイン語訳を追加しました。
  • 2013/06/10 高塚洋太郎=譯註 1952/06/25、生田長江=譯 1914/11/02、および村上靜人=編譯 1914/07/10 を追加しました。また、若月紫蘭=譯 1913/06/15 の訳文を挿入しました。
  • 2012/07/05 ドイツ語訳を追加しました。また、フランス語原文に抜けていたアクセント記号を補いました。
  • 2012/07/04 平野啓一郎=訳 2012/04/20 と2種類のロシア語訳を追加しました。
  • 2011/10/29 Joseph Donohue による新しい英訳に関する書誌情報を追加しました。訳文は追って挿入するつもりです。
  • 2009/02/13 小林愛雄=訳 1996/10 を追加しました。
  • 2008/02/13 楠山正雄=譯 1929/11 を追加しました。また、森鴎外=訳および小林愛雄=訳に関する書誌情報を加筆修正しました。さらに、「森鴎外のワイルド紹介」の項目を新設しました。
  • 2008/01/27 河野多恵子 1979 を追加しました。
  • 2007/09/24 葉河憲吉=譯 1938/03 を追加し、「ワイルド作品の初期邦訳に関する書誌」の項を新設しました。また、検索の便を考慮して、ブログ記事のタイトルに、邦題「オスカー・ワイルド 『サロメ』」を追加しました。さらに、書誌情報を修正・補足し、リンクを修正・補充しました。
  • 2006/09/23 書誌情報を補足・修正しました。また、リンクを追加しました。
  • 2006/04/22 日夏耿之介=訳 1928 を追加しました。また、書誌情報を補足しました。
  • 2006/05/06 佐々木直次郎=訳 1936 を追加しました。
  • 2006/07/06 Amazon.co.jp の該当ページへのリンク、および無料電子テキスト・サイトの該当ページへのリンクを張りました。

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