Wodehouse, P.G.

Friday, 04 February 2011

Episode of the Dog McIntosh (from Very Good, Jeeves!) by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス (『でかした、ジーヴス!』から) 「犬のマッキントッシュの事件」「預かった犬」

■はじめに Introduction

頭の回転のおそい男と、はやい女。あるいは、オツムの弱い男と、強い女。ふたりが交わすマヌケな会話。聡明な女性と話すと、わたしもこの男みたいに相手をじれったがらせてしまうことがある。こういうのは遺伝するよね。そうじゃない?


 Video 
テレビシリーズ 『ジーヴス&ウースター (1990-1993)』 第1期第2話 (1990)
TV series Jeeves and Wooster (1990-1993) Series 1 Episode 2 (1990)
Episode title: "The Dog McIntosh" a.k.a. "Tuppy and the Terrier," "Bertie is in Love" or "The Golf Tournament."

監督: ロバート・ヤング 出演: ヒュー・ローリー(ウースター)、スティーヴン・フライ (ジーヴス) Directed by Robert Young. Starring Hugh Laurie (Bertie Wooster), Stephen Fry (Reginald Jeeves). Original broadcast: 1990-04-29. More info on this episode or series at:


 Images 
風刺画、本の表紙、写真 A caricature, a book cover and a photo

a. Bertie_wooster_others_caricature b. Wodehouse_very_good_jeeves c. P_g_wodehouse__wife_ethel

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■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 森村 2006
「説明するわ。ママのことは知ってるでしょ?」
「誰のママさ?」
「あたしのママよ」
「ああ、知ってる。そのガキのママのことかと思ったんだ」
「あのガキにママはいないの。父親だけよ。その人はアメリカの大物劇場経営者なの。ちょっと前の晩にパーティーで会ったの」
「父親に?」
「そうよ、父親によ」
「そのガキじゃなくて?」
「そう、そのガキじゃなくてよ」
「わかった。今のところ全部大丈夫。次に進んで」
「それでね、ママ——あたしのママよ——は、小説をひとつ脚本化してあるの。それであたしがこの父親、というかこの劇場経営者の父親ね、に会って、それであたしたちとっても話が合ったんで、あたし〈やっちゃえ〉って思ったの」
「何をやっちゃえだって?」
「ママの脚本をその人に売り込んでやれ、って」
「君のママの脚本?」
「そうよ、その人のママの脚本じゃなくてね。彼も息子と同じで、お母さんがいないの」
「そういうのは遺伝するんだ、そうじゃない?」

  • P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳 「5. 犬のマッキントッシュの事件」 『でかした、ジーヴス!』 ウッドハウス・コレクション 国書刊行会 2006/07 所収

(J2) 乾 1956
「つまりね……あなた、おかあさん知ってるでしょう?」
「だれのおかあさんですか?」
「あたしのおかあさんよ」
「ああそうですか。ぼくァその男の子のおかあさんかと思った」
「その子には、おかあさんなんかないのよ。おとうさんは偉いのよ。アメリカのあるとても大きな劇場(げきじょう)の支配人(しはいにん)なの。そのおとうさんに、あたしこないだ会ったの……」
「おとうさんに……?」
「ええ、おとうさんに」
「その子供にではなく?」
「ええ、その子供にではなくね」
「わかった。で……」
「で、おかあさんが——あたしのおかあさんよ——最近自分の小説を自分で脚色(きゃくしょく)したのよ。そこんところであたしがこのおとうさん——劇場支配人(げきじょうしはいにん)たるおとうさんよ——に会ったってわけなの。で、あたし思ったわ——これこれ!——とね」
「何がこれこれですか?」
「これこれ、この支配人におかあさんの戯曲(ぎきょく)を売りつけてやろうと思ったのよ」
「あなたのおかあさんの戯曲をですか?」
「ええ、あたしのおかあさんの戯曲をよ。その支配人には、おかあさんなんかありゃしないわよ」
「どうも、少々ごたごたしとるですな」

  • P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎(いぬい・しんいちろう)=訳 「預かった犬」 ジョンストン・マッカレー〔ほか〕=著 『地下鉄サム』 世界大ロマン全集6 東京創元社 1956/11 所収

■英語原文 The original text in English

  "I'll tell you. You know mother ?"
  "Whose mother?"
  "My mother."
  "Oh, yes. I thought you meant the kid's mother." "He hasn't got a mother. Only a father, who is a big theatrical manager in America. I met him at a party the other night."
  "The father?"
  "Yes, the father."
  "Not the kid?"
  "No, not the kid."
  "Right. All clear so far. Proceed."
  "Well, Mother — my mother — has dramatized one of her novels, and when I met this father, this theatrical manager father, and, between ourselves, made rather a hit with him, I said to myself, "Why not?"
  "Why not what?"
  "Why not plant Mother's play on him."
  "Your mother's play?"
  "Yes, not his mother's play. He is like his son, he hasn't got a mother, either."
  "These things run in families, don't they?"

  • Episode of the Dog McIntosh from Very Good, Jeeves! (1930) by P.G. Wodehouse
  • The story first appeared in the October 1929 issue of the Strand magazine.

■外部リンク External links


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Saturday, 28 March 2009

Gone Wrong by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス「堕落」「身の程知らずもほどほどに」

■はじめに Introduction

ビバリーヒルズですっかりスポイルされてしまった犬についての短いお話。語り手は犬。その名はスティッフィーもしくはスティフィ。聞き手は人間。オレもしくは私。


■表紙画像 Cover photos

Left犬と作家の素敵な24の物語』 バベルプレス (2006)
Centre犬のいい話―ヤツラのいない生活なんて』 心交社 (1992)
Right Best Dog Stories. Outlet (1991)

↓ Click to enlarge ↓

Inu_to__sakka_no_24_no_monogatari  Inu_no_ii_hanashi  Omara_best_dog_stories

■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 山岡 2007
「そうさ、クラリーと一緒に映画に出ているんだ」
「クラリー?」
「クララ・スヴェルトさ。なかなかいい娘(こ)だぜ。彼女以上の相手役はいないだろうな。あのガルボっていう娘が評判ほどでなかったら、次回作でもクラリーと組まない理由はないんだがね。ガルボが使えるかどうか、目下観察中さ。あのスウェーデン語なまりはちょっといただけないが、それでもオレは使えると思うね。さて、相棒、そろそろ時間だろう? しゃべりすぎはのどに良くないんでね。それにもうすぐ使いの車が来て、スタジオまで送ってもうらんだ。それじゃあ、会えて楽しかったぜ」

   P.G.ウッドハウス=著 山岡由美子=訳 「堕落」
   アナトール・フランス〔ほか〕=著 岡本千晶=監訳 石家佳代子〔ほか〕=訳
   『犬と作家の素敵な24の物語』 バベルプレス 2007.1 所収

   この本の内容詳細はつぎの各サイト:
   * e翻訳堂
   * 羽島市立図書館
   * 翻訳アンソロジー/雑誌リスト


(2) 芦 1992
 「ああ。クラリーと映画を撮ってる」
 「ク、クラリー?」
 「クララ・スヴェルト。可愛い子ちゃんだぜ。いいよ、あの娘は。次の作品でもつかおうと思ってる……例のグレタ・ガルボとかって娘が評判ほどでなかったら、の話だけどね。今度グレタと一本撮ろうかと思ってね、目下検討中。スウェーデン語なまりの英語はいただけないけど、まあ、なんとかいけるだろう。さてと、そろそろ失礼するよ。のどを休ませてやらないと。それに、おっつけ迎えの車もくるんだ。いや、君に会えて楽しかったよ」

   P・G・ウッドハウス=著 芦真璃子=訳 「身の程知らずもほどほどに」
   レスリー・オマラ=編 堀たほ子〔ほか〕=訳
   『犬のいい話―ヤツラのいない生活なんて』 心交社 1992.10 所収

   この本の内容詳細はつぎの各サイト:
   * 翻訳アンソロジー/雑誌リスト
   * 日の出町立図書館

   原書:
   Best Dog Stories
   Introduction by Gerald Durrell ; edited by Lesley O'Mara.
   Wing Books, New York 1991.


■英語原文 The original text in English

  'Yes,' he said. 'Doing a picture with Clarry.'
  'Clarry?'
  'Clara Svelte. A nice little thing. I could wish no better support. I see no reason why I should not use her in my next, unless this girl Garbo is as good as they say. I am having Greta watched closely, with a view to taking her on. That Swedish accent is a bit of a drawback, of course, but I could carry her. And now, my dear fellow,' said Stiffy, T know you will excuse me. I have to save my voice. And my man will be along in a moment wih the car to take me to the lot. So glad to have seen you.'

   Gone Wrong by P.G. Wodehouse
   in Best Dog Stories
   Introduction by Gerald Durrell ; edited by Lesley O'Mara.
   * ISBN: 1854790811. London : O’Mara, 1990-09-20.
   * ISBN: 0517064987.
    New York : Wings Books, Distributed by Outlet Book Co., 1991-08-27.
   * ISBN: 0330317350, Pan Books, 1991-11-08.

   More details at:
   * Internet Book List
   * Great River Regional Library
   * Missouri River Regional Library


■外部リンク External links

 [en] English
   * P. G. Wodehouse - Wikipedia (1881-1975)
   * P. G. Wodehouse - Every Author

 [ja] 日本語
   * 「身の程知らずもほどほどに(Gone Wrong)」(1932)
     - 文芸誌ムセイオン P・G・ウッドハウスを読む
   * ウッドハウス邦訳書誌


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2010/11/20 英語原文のテキストを挿入しました。


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(1) Dog stories

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(1) 犬+作家+物語

(2) P・G・ウッドハウス

  

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Wednesday, 04 February 2009

A Bit of Luck for Mabel by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス/ピー・ジー・ウォドハゥス/ウオドハウス「メイベル危機一髪」「メイベルの小さな幸運」「彼女の幸運」

■Jeeves & Wooster - Minnie the Moocher

Jeeves & Wooster, a British TV series (1990-1993) adapted from P.G. Wodehouse's Jeeves stories, It starred Stephen Fry as Jeeves and Hugh Laurie as Bertie Wooster. More information at the following websites:

   * Jeeves and Wooster (1990) - IMDb
   * Jeeves and Wooster - Wikipedia
   * Minnie the Moocher - Wikipedia


■Minnie the Moocher lyrics 「ミニ・ザ・ムーチャ」歌詞

- Cab Calloway Lyrics


■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 岩永+小山 2008
「なあ、相棒。人生って妙なもんだな」
 それまでソファにじっと横になっていたユークリッジが、天井を向いたまま言った。こっちは、てっきり眠り込んだと思っていた。柄になく静かだったのは、睡眠中でなく思索中だったわけだ。
「まったく、奇妙奇天烈(きてれつ)だ」
 ユークリッジは上半身を起こして窓から外を見た。僕が借りている田舎コテージの居間からは、遠くの木立まで広がる芝生が見える。世界が目を覚ましつつある気配が、窓を通して忍び込んできた。ひんやりとした微風は、夏の夜明けが間近い証拠だ。
「うへっ!」腕時計を見て僕が叫んだ。「きみの長話で、とうとう徹夜じゃないか」
 ユークリッジは答えなかった。(……)

   P・G・ウッドハウス=著
   岩永正勝(いわなが・まさかつ)+小山太一(こやま・たいち)=訳
   「メイベル危機一髪」
   『ユークリッジの商売道』P・G・ウッドハウス選集4
   文藝春秋 2008/12


(2) 森村 2008
「人生ってのはさ、なあ」ユークリッジが言った。「とっても変だな」
 奴はしばらく黙ったまま、顔を天井に向けてソファに仰向けに寝そべっていた。だから僕は奴は眠っているんだと思っていた。だが今や、奴には稀(まれ)な沈黙をもたらしたのは、眠りではなく思考であったことがわかった。
「とても、とっても変だ」
 奴は身体を起こすと、窓の外を眺(なが)めやった。僕が田舎に借りているこのコテージの居間の窓は、雑木林(ぞうきばやし)に囲まれた芝生の広がりを見下ろしている。そして今、この窓を抜け、目覚めつつある外界から、夏の日の夜明けを告げる涼風が吹き入ってきた。
「なんてこった!」時計を見て僕は言った。「お前、僕を一晩しゃべらせて起こしてたってことがわかってるのか?」
 ユークリッジは答えなかった。(……)

   P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳「メイベルの小さな幸運」
   『エッグ氏、ビーン氏、クランペット氏』ウッドハウス・スペシャル
   国書刊行会 2008/04


(3) 梶原 1926, 1927, etc.
『人生なんて妙なものだなァ。』とアクリッジが言つた。
 それまでソファに凭れ込んで天井を向いたままおとなしくしてゐたので、てつきり居眠りしてゐるものと思つてゐたのだが、してみるとめづらしくひつそりしてゐたのは敢て居眠りをしてゐたわけではなく、何か瞑想に耽つてゐたものとみえる。
『實に實に妙なものだ。』
 アクリッジは立ち上つて窓の外を見た。私の借りてゐる田舎家の窓からは廣い芝生のその向ふにちよつとした林が見えるのだ。ところでその窓から、夏の夜明けを告げる涼しい風がスーとながれ込んできた。
『冗談ぢやない! 一晩僕を寢せない氣かい?』と、私は懐中時計を見ながら言つてやつた。
 アクリッジは返事をしなかつた。(……)

[原文は次のとおり総ルビ]
『人生(じんせい)なんて妙(めう)なものだなァ。』とアクリッジが言(い)つた。
 それまでソファに凭(もた)れ込(こ)んで天井(てんじやう)を向(む)いたままおとなしくしてゐたので、てつきり居眠(ゐねむ)りしてゐるものと思(おも)つてゐたのだが、してみるとめづらしくひつそりしてゐたのは敢(あへ)て居眠(ゐねむ)りをしてゐたわけではなく、何(なに)か瞑想(めいさう)に耽(ふけ)つてゐたものとみえる。
『實(じつ)に實(じつ)に妙(めう)なものだ。』
 アクリッジは立(た)ち上(あが)つて窓(まど)の外(そと)を見(み)た。私(わたし)の借(か)りてゐる田舎家(ゐなかや)の窓(まど)からは廣(ひろ)い芝生(しばふ)のその向(むか)ふにちよつとした林(はやし)が見(み)えるのだ。ところでその窓(まど)から、夏(なつ)の夜明(よあ)けを告(つ)げる涼(すゞ)しい風(かぜ)がスーとながれ込(こ)んできた。
『冗談(じようだん)ぢやない! 一晩(ばん)僕(ぼく)を寢(ねか)せない氣(き)かい?』と、私(わたし)は懐中時計(くわいちうどけい)を見(み)ながら言(い)つてやつた。
 アクリッジは返事(へんじ)をしなかつた。(……)

   ピー・ジー・ウォドハゥス=著 梶原信一郎(かじわら・しんいちろう)=譯
   「彼女の幸運(かのぢよのかううん)」
   3a.「新青年」復刻版 大正15年 第7巻 合本5 第9号・第10号
     第3期第1回配本(大正15年分)本の友社 1998/09
   3b. ウツドハウス=著 梶原信一郎=訳
     『どもり綺譚』 博文館〈新青年叢書〉1929(昭和4)
   3c. 欧米名作家=著 森下雨村=編
     『怪奇探偵 探偵名玉集』探偵傑作叢書 第50編
     博文館 1927(昭和2)
   3d. 「新青年」1926(大正15)第10号(夏期増刊号) この号の詳細目次は ここ

   初出は 3d.。「ピー・ジー・ウォドハゥス」という著者名は 3a. の本文ページの表記
   に拠るもの。おなじ 3a. の目次では、イニシャルなしで「ウオドハウス」とだけ表示
   されています。引用は 3a. に拠りました。


■英語原文 The original text in English

"LIFE, LADDIE," said Ukridge, "is very rum."
  He had been lying for some time silent on the sofa, his face towards the ceiling; and I had supposed that he was asleep. But now it appeared that it was thought, not slumber, that had caused his unwonted quietude.
  "Very, very rum," said Ukridge.
  He heaved himself up and stared out of the window. The sitting-room window of the cottage which I had taken in the country looked upon a stretch of lawn, backed by a little spinney ; and now there stole in through it from the waking world outside that first cool breeze which heralds the dawning of a summer day.
  "Great Scott! " I said, looking at my watch. "Do you realize you've kept me up talking all night?" Ukridge did not answer. [Omission]

   A Bit of Luck for Mabel by P.G. Wodehouse
   This story first appeared in:
   UK: January 1926 Strand
   US: 26 December 1925 Saturday Evening Post

   It was later included in:
   Eggs, Beans and Crumpets by P.G. Wodehouse
   First published in:
   UK: 26 April 1940 by Herbert Jenkins, London
   US: 10 May 1940 by Doubleday, Doran, New York


■外部リンク External links

 [en] English
   * www.PGWodehouseBooks.com
   * A Bit of Luck for Mabel - Wikipedia
   * Eggs, Beans and Crumpets - Wikipedia
   * Eggs, Beans, and Crumpets - The Russian Wodehouse Society

 [ja] 日本語
   * P・G・ウッドハウス「彼女の幸運」- 文芸誌ムセイオン
   * ミステリー・推理小説データベース Aga-Search
   * 乱歩の世界|新青年の世界
   * ウッドハウス邦訳書誌
 
 
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2010/12/19 英語原文のテキストを挿入しました。


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Friday, 09 November 2007

Leave It to Jeeves (The Artistic Career of Corky) by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「コーキーの芸術家稼業」「コーキーの画業」「コーキイの芸術的生涯」

 Images 
本の表紙と著者とその妻 Book covers, the author and his wife

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■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 森村 2005
 ウォープル氏のキャラクター研究に関して最後にひとこと付言しておくならば、彼はきわめて機嫌の変わりやすい気分屋な人物であり、コーキーが哀れなバカで、奴が自分で判断して行うことはそれが如何(いか)なる方向性をとるとしても奴の先天的白痴性の新たな証明に過ぎないと考える全体的傾向がある。ジーヴスも僕のことをまったく同じように考えているとは僕の想像するところだ。

   P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳
   「2. コーキーの芸術家稼業」
   『それゆけ、ジーヴス』 ウッドハウス・コレクション
   国書刊行会 2005/10 所収


(J2) 井上 1966
 ワープル氏の性格研究を完全にするためにつけ加えると、彼は恐ろしく気まぐれで、しかもコーキーのことを、哀れな薄のろ、何をやらせてもほっておいたら生まれつきの阿呆さを証明するだけの男と考えているのだった。おそらくジーヴズも、わたしについてはそっくり同じような気持ちを抱いているのだろう。

   ウッドハウス=著 井上一夫=訳 「コーキーの画業」 ジーヴズ物語
   『世界文学全集37 20世紀の文学
   ウッドハウス/マルセル・エイメ/ジャック・ペレー/
   イリフ、ペトロフ/ケストナー
   集英社 1966/12 所収


(J3) 大木 1960
 ミスタ・ワープルが、ひとの性格を、裏の裏まで見抜くには、あまりにもむら気な男だったからである。そんなわけで彼は、コーキーの奴はかわいそうに頭が足りない、なにをやっても生れつきの馬鹿さかげんを証明するだけだ、と考えがちだった。おそらく、ジーヴズも私についてやはりおなじ気持を抱いていたのではないかと思う。

   P・G・ウッドハウス=著 大木澄夫=訳 真鍋博=画
   従僕ジーヴズ・シリーズ第一話 「コーキイの芸術的生涯」
   『宝石』 1960年7月号(昭和35)収載


 Audio 
英語原文のオーディオブック 朗読: マーク・ネルソン
Audiobook in English read by Read by Mark Nelson

下に引用する箇所は 8:45 から始まります。 Chapter 1: Leave it to Jeeves. Classic Literature VideoBook with synchronized text, interactive transcript, and closed captions in multiple languages. Audio courtesy of Librivox. The excerpt below starts at 8:45.


■英語原文 The original text in English

To complete the character-study of Mr. Worple, he was a man of extremely uncertain temper, and his general tendency was to think that Corky was a poor chump and that whatever step he took in any direction on his own account, was just another proof of his innate idiocy. I should imagine Jeeves feels very much the same about me.


■外部リンク External links


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2011-11-26 英語原文の朗読の YouTube 動画を追加しました。


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Tuesday, 30 October 2007

Cats Will Be Cats by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「猫は猫なり」「猫と僧正」


 Images 
表紙画像 Cover photos
a. 517xbwwdol b. 51v6y0sekrl c. 5170cn21jwl

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■はじめに Introduction

まえにご紹介した P・G・ウッドハウス「ウェブスター物語」 の続編。ランスロットは留守中の叔父さんのために、ウェブスターという名の猫を預っている。叔父さんは、帰国途中にウィドリントン夫人と、その母パルトニー・バンクス夫人という2人の英国女性と知り合う。ランスロットは彼女らに初めて会って唖然……。


■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 森岡 1960
どうもこの連中は手ごわいゾ。パルトニー・バンクス夫人の方はまるでショールのかいこみたいだ。ウィドリントン夫人ははっきり見える。しかしこの女は好かん。ウィドリントン屋敷の女主人はイングランドの田舎独特の、めのうの眼をした、企みのある、ツイードのドレスを着た婦人の一人じゃワイ。エリザベス女王も若い時はこんなでもあったカナ。肝のすわった邪悪な典型的人物だ。お互に猫が好きからとは言え、よくもおとなしい叔父がこんな女のところにころがりこんで来たもんだ。


(J2) 黒 1940, 1949
手硬い御連中である。母堂はまるで肩掛のダルマであるが、夫人はむき出しになつてゐる。ランスロツトにはその顏附が氣に食はなかつた。英國の田舍によく居る、瑪瑙色の目をした、意味ありげの、厚ぼつたい服を着た婦人で、エリザベス女王の存命時代を思ひ出させた。いかに猫に對する趣味で一致しようと、どうしてあの優しい叔父さんが、こんなものに心惹かれたかと不思議な氣がした。


■英語原文 The original text in English

They looked to him a hard bunch. Of Mrs Pulteney-Banks he could see little but a cocoon of shawls, but Lady Widdrington was right out in the open, and Lancelot did not like her appearance. The chatelaine of Widdrington Manor was one of those agate-eyed, purposeful, tweed-clad women of whom rural England seems to have a monopoly. She was not unlike what he imagined Queen Elizabeth must have been in her day. A determined and vicious specimen. He marveled that even a mutual affection for cats could have drawn his gentle uncle to such a one.

  • Cats Will Be Cats, from Mulliner Nights (1933), by P.G. Wodehouse
  • The story first appeared under a different title in the following magazines:
    • March 1932 American (US) (The Bishop's Folly)
    • June 1932 Strand (UK) (The Bishop's Folly)
  • Recent editions include:
  • Excerpt at RootsWeb.com

■外部リンク External links


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  • 2014-10-27 黒豹介=訳 1940-09-05 の訳文を挿入しました。

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Thursday, 04 October 2007

Uncle Fred Flits By by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「天翔けるフレッド叔父さん」「フレッド叔父」

 Images 

a. Hero b. 415ftxj181l c. Pg044
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■日本語訳 Translations into Japanese
 
(J1) 岩永+小山 2005
「ジュリア!」ピンク男は叫んだ。
「ウィルビー!」娘が歓声を上げた。
 娘は男の腕の中に飛び込んでいき、古い公園の蔦(つた)みたいにからみついたらしいが、ポンゴはこんなに胸糞の悪くなる情景を見たことがなかったらしい。ピンク男に特別の遺恨はないが、娘には強い関心を抱いていたから、彼女が他の男にこんな形で密着するのは見るに耐えなかったのだ。

  • P・G・ウッドハウス=著 岩永正勝+小山太一=編訳 「天翔(あまか)けるフレッド叔父さん」 『エムズワース卿の受難録』 P・G・ウッドハウス選集 2 文藝春秋 2005/12

(J2) 大久保 1961
「ジュリア!」彼はさけんだ。
「ウィルビー!」若い女も鋭い声をあげた。
 そしてポンゴは、生れてから、これほど気分のわるくなる情景を見たことがなかった。彼女はウィルバーフォースの腕のなかへ身を投げこみ、古い庭の塀の蔦(つた)みたいに彼にからみついたのである。ポンゴは、べつに桃色の男に、ふくむところがあったわけではない。しかし、この若い女から、深刻な印象をあたえられていたので、そんなふうに彼女が他の男にぴったりくっついたりするのが、なんとも不愉快だったのである。

  • ウッドハウス=著 大久保康雄=訳 「フレッド叔父」 サマセット・モーム=編 『モーム編 世界文学100選 3』 河出書房新社 1961/07

■英語原文 The original text in English

  "Julia!" he cried.
  "Wilby!" yipped the girl.
  And Pongo says he never saw anything more sickening in his life than the way she flung herself into the blighter's arms and clung there like the ivy on the old garden wall. It wasn't that he had anything specific against the pink chap, but this girl had made a deep impression on him and he resented her glueing herself to another in this manner.


 Video 
TV Four Star Playhouse: Uncle Fred Flits By" (1955)

Uploaded to YouTube by Onecountryboy on 29 Jan 2016. Originally broadcast: 5 May 1955 (Season 3, Episode 32). The role of the Earl of Ickenham played by David Niven. More details at IMDb
 
 
■外部リンク External links


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  • 2016/04/06 テレビ番組の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/12/20 英語原文のテキストを挿入しました。

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Sunday, 02 September 2007

Scoring Off Jeeves by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ウースター一族の誇り傷つく」「心配係の休暇」「ジーブスがゐなくては」

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a. Hero1 b. Lwj1 c. Ph098_2

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■日本語訳 Translations into Japanese
 
(J1) 森村 2005
 しかし、ビンゴは明らかに彼女にぞっこんらしい。間違いない。奴の目には恋の灯が点っている。
「俺は彼女を崇拝しているんだ、バーティー。彼女が歩いたその地面にひれ伏したいよ」
 病人は大きな、よく通る声で言った。フレッド・トンプソンと奴の仲間が二、三人入ってきたし、バーテンダーのマクガーリーも耳を拡げて話を聞いている。しかしビンゴにひるんだ様子はない。奴を見ているといつも僕は、ステージの中心に位置取り、若者たちに円く囲まれ、声を張り上げて自分の恋について語るミュージカル・コメディーの主役を思わずにはいられない。
「彼女には伝えたのか?」
「いや、勇気がなくてさ。だがほとんど毎夜、二人で散歩したし、彼女が僕を見る目つきが何かを語ろうとしてる時もあった」
「あの目つきなら知ってるぞ。特務曹長みたいなあれだろ」
「まったくちがう。優しき女神だ」

  • P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳 「5. ウースター一族の誇り傷つく」 『比類なきジーヴス』 ウッドハウス・コレクション 国書刊行会 2005/02 所収
  • 原典: Chapter 5: The Pride of the Woosters Is Wounded. The Inimitable Jeeves. from Life with Jeeves by P.G. Wodehouse. Penguin, 1983/09
    このペンギン版は「ジーヴズもの」の代表作 The Inimitable Jeeves, Very Good, Jeeves! および Right Ho, Jeeves の3タイトルを1冊にまとめたペーパーバック。

(J2) 乾 1939, 1940, etc.
 とはいえ、どうもビンゴーのやつは、見たところオノリヤに首ったけになっているらしい。だいいち目の色がただではない。
「きみの前だがね、ぼくは彼女を崇拝(すうはい)してるんだよ、ねきみ、ぼくァ彼女の足跡(そくせき)といえども崇拝してるんだ」
 と、あたりかまわず、大きな声をする。恋愛病患者(れんあいびょうかんじゃ)はこれだからやりきれん。
「じゃきみ、彼女にその切(せつ)なる胸のうちでもうち明けたのかい?」
 と、ぼくはいちおう尋(たず)ねてみた。
「いや、それだけの勇気がないんだよ。だが、彼女とは毎晩のように散歩をしとる。そして彼女の目つきもまた近ごろじゃ、ただじゃないんだ」
「ただでないのは今はじまったこっちゃないさ。まるで飢(う)えたる鷲(わし)みたいな目つきだろう」
「いやどうしてどうして、優(やさ)しき女神(めがみ)のような目つきだね……」

   2a. P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎=訳 「心配係の休暇」
      ジョンストン・マッカレー〔ほか〕=著
      『世界大ロマン全集6 地下鉄サム』 東京創元社 1956/11 所収
   2b. P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎=訳 「心配係の休暇」
      『専用心配係』 東成社 1940(昭和15)所収
   2c. P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎=訳 「心配係の休暇」
      『ユーモア傑作集1 専用心配係』 東成社 1939(昭和14)所収
 
   2b.2c. は未見。引用は 2a. に拠りました。


(J3) 上塚 1929, 1994
 とは云へ、どうもビンゴーの奴は、見た所オノリヤに首つたけになつてるらしい。目の色が違ふ。
『僕ァ彼女を崇拝(すうはい)してるだよ、ね君、僕ァ彼女の足跡(あしあと)と雖(いへど)も崇拝してるんだ!』とあたり關(かま)はず大きな聲(こゑ)をする。戀愛病患者(れんあいびやうくわんじや)はこれだからやりきれない。
『ぢや君、彼女にさう打明けたのかい?』と、ぼくは一應(おう)訊(たづ)ねてみた。
『いや、それだけの勇氣(ゆうき)がないのだよ。だが彼女とは毎晩の樣(やう)に散歩をしてる。そして彼女の目附(めつき)も又近頃ぢや只ぢやないんだ。』
『たゞでないのは僕も知つてる。丸で陸軍曹長殿みたいな目附だらう?』
『いやどうして/\、優しい女神(めがみ)のやうだ。』
[原文は総ルビですが、上の引用ではその一部を省略しました - tomoki y.

   P・G・ウッドハウス=著 上塚貞雄=譯 「ジーブスがゐなくては」
   3a. 「新青年」復刻版 昭和4年(第10巻)合本3
      第5号(4月増大号)・第6号(5月号)
      本の友社 1994/07 復刻版第1刷 所収
      (目次の表記は「ジーブスが居なくては」)
   3b. 『新青年』 1929年4月(昭和4)増大号収載

   引用は 3a. に拠りました。なお、3a. の存在については、
   文芸誌ムセイオン 管理人BのHernaniさんに教えていただきました。
   Hernaniさん、ありがとうございました。


■作品/原典の異同
 On the differences between the translations and their sources

ウッドハウスは、その長い作家生活を通じて、まえに発表した自分の作品を、のちに書き直し、別の題名をつけて再発表するということを、たびたび行なっています。上掲作も、その一例。

(J1) 森村訳 2005 「ウースター一族の誇り傷つく」
   原題:The Pride of the Woosters Is Wounded
   所収単行本:
   英:The Inimitable Jeeves (Herbert Jenkins, 1923/05)
   米:Jeeves (George H. Doran, 1923/09)

(J2) 乾 訳 1956 「心配係の休暇」
   英:Scoring Off Jeeves 初出誌:Strand (1922/02)
   米:Bertie Gets Even  初出誌:Cosmopolitan (1922/03)

(J3) 上塚訳 1929 「ジーブスがゐなくては」
   英:Scoring Off Jeeves 初出誌:Strand (1922/02)
   米:Bertie Gets Even  初出誌:Cosmopolitan (1922/03)

ご覧のように、(J2) と (J3) は、邦題は異なりますが、原典はおなじ。"Scoring Off Jeeves" という短篇です。ウッドハウスは、これを英米の雑誌に発表した翌年、作品を前後2篇に分けて加筆修正し、前篇・後篇を、それぞれ "The Pride of the Woosters Is Wounded," "The Hero's Reward"(森村訳では邦題「英雄の報酬」)と名づけて、単行本 "The Inimitable Jeeves" に収めました。

この単行本収録作の前篇部分を訳したのが (J1) です。(J1) と、(J2) (J3) との間で、訳文に対応しない箇所があるのは、こういった事情のせいです(以上は、おもに The Russian Wodehouse Society に拠る)。

もともとおなじ作品が、ちがう年にちがう題で、しかも英国と米国とでも、ちがう題で出たり。ウッドハウスは、書誌編纂者泣かせです(苦笑)


■訳者の異同:乾信一郎と上塚貞雄 Identity of the two Japanese translators
 
上の訳文 (J2) と (J3) を読みくらべていただけばお分かりのとおり、両者は細部が異なるだけで、ほとんどおなじものです。それもそのはず、2つの訳の翻訳者はおなじだからです。どちらが本名で、どちらが筆名か、といったことは存じません。が、ともあれ、乾信一郎氏と上塚貞雄氏は、同一人物です。


 Video 
Jeeves & Wooster Season 1 Episode 1 Part 2/5

下の引用箇所に相当する会話は 2:50 あたりから始まります。 Uploaded to YouTube by wolfxbloed on 10 Jun 2009. The conversation corresponding to the excerpt below starts around 2:50.


■テレビ化作品 Jeeves and Wooster, a TV adaptation

Series 1. Directed by Robert Young.
Episode 1. Jeeves Takes Charge. (original broadcast: April 22, 1990)   

Bertie Wooster's Aunt Agatha orders him to marry Honoria Glossop, who Agatha believes will "reform" him. Bertie finds his friend Bingo Little is infatuated with her, but his scheme to get them together fails. His capable new valet Jeeves steps in with a plan to convince Sir Roderick and Lady Glossop that their potential son-in-law is unfit to marry their daughter.

Also called "In Court After the Boat Race" or "Jeeves' Arrival." Adapted from:

  • "Jeeves Takes Charge"
  • "The Pride of the Woosters is Wounded" (from The Inimitable Jeeves)
  • "Introducing Claude and Eustace" (The Inimitable Jeeves)
  • "Sir Roderick Comes to Lunch" (The Inimitable Jeeves)
  • "The Hero's Reward" (The Inimitable Jeeves)

   Source: Jeeves and Wooster - Wikipedia
   More information at IMDb
   DVD available from Amazon.co.jp


■英語原文 The original text in English

  Yet here was young Bingo obviously all for her. There was no mistaking it. The love light was in the blighter's eyes.
  'I worship her, Bertie! I worship the very ground she treads on!' continued the patient, in a loud, penetrating voice. Fred Thompson and one or two fellows had come in, and McGarry, the chappie behind the bar, was listening with his ears flapping; but there's no reticence about Bingo.
  'Have you told her?'
  'No. I haven't had the nerve. But we walk together in the garden most evenings, and it sometimes seems to me that there is a look in her eyes.
  'I know that look. Like a sergeant-major.'
  'Nothing of the kind! Like a tender goddess.'

   Scoring Off Jeeves (1922) by P.G. Wodehouse
   E-text at Rojer's Garbage Heap


■更新履歴 Change log

  • 2013/05/02 Jeeves & Wooster Season 1 Episode 1 の YouTube 動画を追加しました。
  • 2010/12/19 英語原文のテキストを挿入しました。
  • 2007/10/14 上塚貞雄=譯 1994/07 を追加しました。また、訳者の異同に関する項を新設しました。


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Tuesday, 14 August 2007

The Man Upstairs by P. G. Wodehouse P・G・ウドハウス 「上の部屋の男」「階上の男」

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表紙画像 Cover photos

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a. 3227010 b. 1803 c. 1802

■日本語訳 Translation into Japanese

(1) 陰陽師 2005
人生には、決して謝ることなかれ、という黄金律がある。正しい人間なら、他人に謝罪を求めるようなことはしないし、よこしまな人間は、謝罪につけこもうとする。

   P・G・ウッドハウス=著 陰陽師=訳 「階上の男
   ghostbuster's book web.
   初出 2005/03/08 - 2005/03/15
   改訂 2005/03/18


(2) 小野寺 1987
この世では、ぜったいに謝らないほうが賢明である。ちゃんとした人間は人に謝罪など求めないし、悪質な人間はそれにつけこもうとするのだから。
 
   P・G・ウドハウス=著 小野寺健(おのでら・たけし)=訳
   「上の部屋の男」
   小野寺健=編訳 『20世紀イギリス短篇選(上)
   岩波文庫 1987/07 所収


(3) 井上 1961
[訳文は追って挿入するつもりです - tomoki y.]

   P・G・ウッドハウス=著 井上一夫=訳 「階上の男」
   早川書房 「ミステリマガジン」 1961年10月号(64号)収載


 Audio 
英語原文のオーディオブック 朗読: マイク・ハリス
Audiobook in English read by Mike Harris.

下の引用箇所の朗読は 16:00 から始まります。 Uploaded to YouTube by FULL audio books for everyone on 3 Jul 2014. Audio courtesy of LibiVox. Reading of the excerpt below starts at 16:00.


■英語原文 The original text in English

It is a good rule in life never to apologize. The right sort of people do not want apologies, and the wrong sort take a mean advantage of them.

   The Man Upstairs (1914) by P.G. Wodehouse
   The story originally appeared in:
   UK: March 1910 issue of Strand Magazine
   US: March 1910 issue of Cosmopolitan

   E-text at:
   * The Russian Wodehouse Society
   * Project Gutenberg
   * Infomotions, Inc.


■更新履歴 Change log

2013/05/19 オーディオブック(英文)の YouTube 画面を追加しました。
2007/09/15 陰陽師=訳 2005/03 を追加しました。


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Thursday, 09 August 2007

Jeeves and the Unbidden Guest by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ジーヴスと招かれざる客」「君子豹変談」

 Images 
オーディオブック、初版本、ウッドハウス父娘
Audiobook, first edition, and Wodehouse with his daughter

↓ クリックして拡大 Click to enlarge ↓

a. My_man_jeeves_cd b. My20man20jeeves202 c. Pg061

■日本語訳 Translations into Japanese

(J1) 富山 2006
レディ・マルヴァーンは元気で、明るく、健康な、迫力満点の女性で、背丈はそれほどないものの、体の上手(かみて)から下手(しもて)まで六フィートあり、その不足を補ってあまりあった。彼女が私のところの最大の肘掛け椅子にズドンと坐ると、それが何とまあピッタリで、その社交シーズンには腰から尻にピッタリ着用の肘掛け椅子がはやると読んでいた誰かが彼女の特注に答えたかのような感じがした。しかも、明るい二つのドングリ眼に、やたらと豊かな黄色い髪、喋るとおよそ五十七本の前歯がむき出しになる。ひとの能力を機能停止に追い込んでしまうタイプの女性であった。

  • 第3章 御主人様はアホですから—執事の伝統 富山太佳夫(とみやま・たかお)=著 『笑う大英帝国—文化としてのユーモア』 岩波新書 2006/05
  • 上掲書はウッドハウス作品の訳書ではありません。けれども、このブログ記事で私がとりあげたのと、ちょうど同じ箇所を、著者・富山氏が自著のなかで翻訳し、引用しておられることに気がついたので、ここに挙げることにしました。最後の2センテンスは、残念ながら訳出されていません。

(J2) 森村 2005
レディー・マルヴァーンは、はしゃいで上機嫌で健康的で、人を圧倒する力をもったいまいましい種類の女性だった。背はそれほど高くないが、向かって左手から右手までさし渡しが一八三センチくらいあり、それでもって背の分の埋め合わせはつけている。うちで一番大きな肘掛け椅子に、今シーズンはきつめの肘掛け椅子を腰バキするのが流行、と承知してる誰かがあつらえて拵えてくれたみたいに、ぴっちり収まっている。明るく光る、とび出した目をして、毛髪は黄色くて豊富だ。彼女がしゃべると、口から前歯が五十七本くらいのぞいて見えた。彼女は男性の身体精神機能を麻痺させる類いの女性だ。僕がまるで十歳の子供で、日曜日の礼服に着替えさせられて居間にごきげんようを言わされに連れてこられたところだ、みたいな気分にさせてくれた。全面的全体的絶対的に、朝食前に我が家の居間に見出したいと思うようなシロモノではない。

  • P・G・ウッドハウス=著 森村たまき=訳 「3. ジーヴスと招かれざる客」 『それゆけ、ジーヴス』 ウッドハウス・コレクション 国書刊行会 2005/10

(J3) 井上 1966
メルヴァーン夫人は明るく幸福そうで、健康で力のあふれているようなすごい女性。背はそう高くはないが、それを上手(かみて)から下手までぐるりとまわって計れば六フィートはあろうという太さで補っている。うちのいちばん大きな肘掛け椅子に、このシーズンはからだにぴったりの肘掛け椅子を腰にはめるのが流行だと知っているだれかが彼女に合わせて設計でもしたみたいに、ぴったりとおさまっていた。よく光るとびだした目にふさふさした黄色い髪、口を開いたら五十七本ぐらいありそうな前歯を見せる。男性の機能を麻痺させてしまうようなタイプの女性だった。なんだかわたしは十歳ぐらいの少年になり、よそ行きを着せられて客間にご機嫌ようとご挨拶につれだされているような気分だった。もちろんこれは、朝飯前に自分の居間でお目にかかりたいような相手ではない。

  • ウッドハウス=著 井上一夫=訳 「招かれざる客」 ジーヴズ物語 『世界文学全集37 20世紀の文学』 ウッドハウス/マルセル・エイメ/ジャック・ペレー/イリフ、ペトロフ/ケストナー 集英社 1966/12

(J4) 村上 1960
マルヴァーン夫人は、見るからに元気で、丈夫そうな——背はあまり高くないけれど、その代りに胴廻りの方が六フィート近くもありそうに見える——大柄な女丈夫だった。幸い彼女はわたしの一番大きなアームチェアにぴったりと合った。それはまるで、こんどのシーズンには腰のまわりにぴたっとくっつくアームチェアが流行するのを見越して、誰かがわざわざ彼女のために作っておいてでもくれたようだった。彼女はキラキラ光る出眼とふさふさして黄色い髪の持ち主で、しゃべるとズラッと前歯があらわれた。世の中には相手の能力を麻痺させてしまう女がいるものだが、彼女もまさしくその一人だった。

  • P・G・ウッドハウス=著 村上啓夫=訳 金森馨=画 「ジーヴズと招かれざる客」 従僕ジーヴズ・シリーズ第二話 宝石 8月号 第15巻第10号 宝石社 1960-08-01

(J5) 乾 1956
マルバーン夫人は、健康第一、精力絶倫(せいりょくぜつりん)、身長六フィートといったものすごい女だ。客間でいちばん大きな肘掛(ひじか)け椅子(いす)に腰かけているんだが、腰かけているというより、お尻をはめているとしか見えない。ぎろりと飛び出しそうな目つきをしているうえに、黄色い髪の毛ときている。笑う段になると、四十七本の歯をみんなむき出しにして笑うんだからけだし見物(みもの)だ。
 このばあさんの前に出ると、なんだか自分が十歳ぐらいの子供になっちまったようなひけ目を感じてならない。なにしろ、朝飯前にはあまり会いたくない人物である。

  • P・G・ウッドハウス=著 乾信一郎(いぬい・しんいちろう)=訳 「君子豹変談(ひょうへんだん)」 ジョンストン・マッカレー〔ほか〕=著 『世界大ロマン全集6 地下鉄サム』 東京創元社 1956/11

 Video 
Jeeves & Wooster Season 3, Episode 1 "Bertie Sets Sail" a.k.a. "Safety in New York"

Uploaded to YouTube by The Wode Less Traveled: Bringing back Jeeves and Wooster. on 14 Jun 2009.


 Audio 
英語原文のオーディオブック(朗読) Audiobook - The original text in English

下に引用する箇所の朗読は 05:21 から始まります。 Uploaded to YouTube by CCProse Audiobooks on 21 Sep 2011. Audio courtesy of LibriVox. Read by Mark Nelson. Reading of the excerpt below starts at 05:21.


■英語原文 The original text in English

Lady Malvern was a hearty, happy, healthy, overpowering sort of dashed
female, not so very tall but making up for it by measuring about six feet
from the O.P. to the Prompt Side. She fitted into my biggest arm-chair as if it had been built round her by someone who knew they were wearing arm-chairs tight about the hips that season. She had bright, bulging eyes and a lot of yellow hair, and when she spoke she showed about fifty-seven front teeth. She was one of those women who kind of numb a fellow's faculties. She made me feel as if I were ten years old and had been brought into the drawing-room in my Sunday clothes to say how-d'you-do. Altogether by no means the sort of thing a chappie would wish to find in his sitting-room before breakfast.

  • Jeeves and the Unbidden Guest, from My Man Jeeves (1919) and Carry On, Jeeves (1925), by P.G. Wodehouse
  • The story first appeared in:
    • US: Saturday Evening Post, December 9, 1916
    • UK: Strand, March 1917
  • E-text at:

■ウッドハウス邦訳のリスト
 List of P.G. Wodehouse's works translated into Japanese

真田氏の書誌は2003年7月現在のもの。したがって、つぎの国書刊行会と文藝春秋のシリーズは記載されていません。


■更新履歴 Change log

  • 2016/05/03 村上啓夫=訳 1960-08-01 を追加しました。
  • 2016/02/18 Jeeves & Wooster の動画を追加しました。
  • 2011/09/30 英語原文のオーディオブック(朗読)の YouTube 画面を追加しました。また、「ウッドハウス邦訳のリスト」の項を更新しました。
  • 2007/09/30 富山太佳夫=訳 2006/05 を追加しました。

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Monday, 30 July 2007

Strychnine in the Soup by P.G. Wodehouse P・G・ウッドハウス 「ストリキニーネ・イン・ザ・スープ」「スープの中のストリキニーネ」「スープの中の毒藥」

■DVDジャケット、本の表紙、ポートレート Cover photos and a portrait

a. Wodehouse_playhouse_series2 b. Mulliner_nights c. Wodehouse2
↑ クリックして拡大 Click to enlarge ↑

■日本語訳 Translations into Japanese

(1) 岩永+小山 2007
「ミステリ劇がお好きなんですね」
「ええ、大好き」
「ぼくもです。ミステリ小説は?」
「もちろん!」
「『手すりの血痕』はお読みになりましたか?」
「はい! 『裂かれた喉』よりいい出来だと思いました」
「ぼくも同感」とシリル。「はるかに良かった。殺人に冴えがあるし、探偵にも切れがある。伏線も気が利いてるし……すべての面で勝っています」
[略]
「アミーリア・バセットと申します」
「ぼくはシリル・マリナー。……バセット?」シリルは眉を寄せて考え込んだ。「そのお名前、聞いた記憶が」
「きっと母のことをお聞きになったんでしょう。レイディ・バセット。猛獣狩りと探検で有名ですから。ジャングルを歩き回ったりなんかして。[略]それで、お願いなんですけど——」娘はちょっとためらった。「こうしてお話ししてるところを見つかったら、どうか母には、ポルターウッド邸で出会ったとおっしゃって」
「なるほど」
「母は、正式に紹介されていない方がわたしに話しかけるのを嫌がるんです。気に入らないとなると、誰彼かまわずどやしつける癖があって」
「ははあ、『血の潮』に出てくる〝人間ゴリラ〟みたいにね」
「どんぴしゃ」そこで娘は話題を変えた。「ところで、あなたが百万長者だったら、ペンナイフで背中を刺されるほうを選ぶ、それとも恐怖の目を見開いたまま何の痕跡もなく死んでるほうを選ぶ?」

  • P・G・ウッドハウス=著 岩永正勝+小山太一=編訳 「ストリキニーネ・イン・ザ・スープ」 『マリナー氏の冒険譚』 P・G・ウッドハウス選集 3 文藝春秋 2007/07

(2) 井上 1969
「こういう芝居がお好きのようですね」
「ええ、大好きですわ」
「ぼくも、そうなんです。探偵小説は?」
「ええ、好きですわ」
「〝欄干の血〟はお読みになりました?」
「ええ、読みましたわ。あのほうが〝切られた喉〟よりいいと思いました」
「ぼくもそう思いましたよ」シリルはいった。「ずっといいですよ。殺人犯も気がきいてるし、探偵も緻密(ちみつ)だし、筋も新鮮です……どこからみても、ずっといいですよ」
[略]
「私、アメリア・バセットといいます」娘が名乗った。
「ぼくはシリル・マリナーです。バセット?」彼は何か考えこむように顔をしかめた。「聞いたことのある名前だなあ」
「たぶん母の名前を聞いているんですわ。バセット夫人という名よ。獅子狩りや探検旅行でかなり有名ですわ。ジャングルやなんかを探検して廻ってるんです。[略]それはそうと——」彼女はちょっとためらった。「私たちが話してるのを母に見つかったら、私たちポルター・ウッズでお目にかかったことがあるということにしといてくださいね?」
「よくわかりました」
「おわかりでしょう。母は、ちゃんとした紹介のない人と話したりすると嫌がります。それに、母はだれかが気にくわないとなったら、それこそ何か固いもんで頭をぶちかねませんわ」
「なるほど」シリルはいった。「まるで〝ギャロンの凝血〟の猿人みたいですね」
「全くですわ。それはそうと」娘は話題をかえた。「もしあなたが百万長者だったら、ペーパーナイフで背中を刺されたほうが、どこかわからない汚ならしいところに、うつろな目をして、身許を示すものをなに一つ身につけずに死んでるよりいいでしょう?」

  • P・G・ウッドハウス=著 井上一夫=訳 「スープの中のストリキニーネ」 P・G・ウッドハウス、ソーン・スミス=著 『マリナー氏ご紹介/トッパー氏の冒険』 世界ユーモア文学選 筑摩書房 1969/07

(3) 長谷川 1939
『怪奇劇がお好きですね』
『大好きですの』
『僕もです。怪奇小説は?』
『ええ』
『「欄干の血痕」をお讀みですか?』
『ええ! あれは「切開かれた咽喉」よりいいと思ひましたわ』
『僕もさう思ひました』シリルは云つた。
『ずつと傑作です。殺人法も優れてゐますし、探偵術も精妙ですし、手がかりも新し味がありますし……あらゆる點で優れてゐますよ』
[略]
『私はアミリア・バセツトと申しますの』娘が云つた。
『僕はシリル・マリナーです。バセツド[ママ]と仰言いましたか?』彼は考へ深さうに眉を顰めた。『伺つた樣な御苗字ですね』
『私の母の事をお聽きでいらつしやるのかも知れませんわ。バセツト卿夫人ですの。可成り知られた猛獸狩りの名人で探檢家ですの。ジヤングルを踏破したりなどするんですわ。[略]あの、時に……』彼女は一寸ためらつた。『……若し母が私達のお話して居る所を見ましたら、すみませんけれどポウルターウッド家でお知合ひになつた事にして頂けませんこと?』
『承知しました』
『あの、母は正式の紹介なしに人が私に話かけるのを好みませんの。それから、母は誰方でも氣に入りませんと、往々にして其の方の頭を何か堅い物でぶつ癖がございますの』
『なる程』シリルは云つた。『「ギヤロンの凝血」の人猿の樣にですね』
『その通りですわ。お話し下さいませんか』娘は話題を變へながら云つた。『若し貴方が百萬長者だつたとなさいましたら、紙切ナイフで背後から刺される方がお望みでして、それとも、何の標識もなく何か怖ろしい物の姿を見つめる樣な空虚な目を見開いて死んで發見される方がお望みでして?』

  • P・G・ウッドハウス=著 長谷川修二=譯 「スープの中の毒藥」 『玉子を生む男』 P・G・ウッドハウス ユーモア傑作集 東成社 定價壹圓參拾錢 1939/11(昭和14)所収

■ロシア語訳 Translation into Russian

  -- Видимо, вам нравятся пьесы такого жанра.
  -- Обожаю их.
  -- Как и я. А детективные романы?
  -- Ода!
  -- Вы читали "Кровь на перилах"?
  -- О  да-да! По-моему, даже  "Перерезанные глотки" ни в какое сравнение не идут.
  -- По-моему, тоже.  Ни в какое. Убийства более увлекательные, детективы более проницательные, улики позабористее... Никакого сравнения!
[Omission]
  -- Я -- Амелия Бассетт, -- сказала девушка.
  -- Сирил Муллинер. Бассетт? Почему эта фамилия мне знакома?
  -- Вероятно, вы слышали о моей матери, леди Бассетт. Она  ведь довольно известная охотница на крупную дичь и путешественница по неведомым пустыням и дебрям.  Топает  по джунглям и тому  подобному.  [Omission]  Кстати... --  Девушка запнулась. -- Если она застанет  нас за разговором, вы не забудете, что мы познакомились у Полтервудов?
  -- Я понимаю.
  -- Видите  ли,  мама  не  любит,  когда  со  мной  разговаривают  люди, формально мне  не представленные. А когда  маме кто-нибудь не  нравится, она имеет обыкновение обрушивать ему на голову какие-нибудь тяжелые предметы.
  -- Ах так! -- сказал Сирил. -- Как горилла в "Крови ведрами"?
  -- Именно. Скажите  мне,  -- спросила девушка, меняя  тему,  -- будь вы миллионером, предпочли  бы вы удар в спину ножом  для вскрытия конвертов или чтобы  вас  нашли  без  каких-либо  следов  насилия на  теле  пустым  взором созерцающим нечто жуткое?

  • Пэлем Грэнвил Вудхауз. Стрихнин в супе © Copyright Перевод Перевод И. Гуровой (2000) Опубликовано в сборнике "Мир мистера Муллинера" Origin: The Russian Wodehouse Society (wodehouse.ru)
  • E-text at Lib.Ru

■ブルガリア語訳 Translation into Bulgarian

  — Очевидно обичате криминалните пиеси.
  — Обожавам ги!
  — Аз също. А криминалните романи?
  — О, да!
  — Чели ли сте „Кръв по парапета“?
  — Разбира се! Хареса ми повече от „Прерязани гърла“.
  — Споделям вашето мнение. Далеч по-добър. И убийствата са по-сочни, и детективите са по-изтънчени, и следите, оставени от убиеца, са къде-къде по-интелигентни… Във всяко едно отношение е по-добър.

[Omission]

  — Аз се казвам Амелия Басет — представило се момичето.
  — А аз — Сирил Мълинър. Басет ли казахте? — Той смръщил леко вежди. — Къде съм чувал това име?
  — Може би сте чували за майка ми — лейди Басет. Тя е прочут ловец на диви животни и изследовател на Африка. Постоянно се скита из разни джунгли. Сега излезе във фоайето да изпуши една цигара. Впрочем — момичето се поколебало, преди да продължи, — ако ни свари да разговаряме, бихте ли й споменали, че сме се запознали у Полтърудови?
  — Напълно ви разбирам.
  — Защото мама не обича хората да се заприказват, без да са били официално представени. А когато мама не обича някой, тя е склонна да го цапардоса с тъп предмет по главата.
  — Ясно — кимнал Сирил. — Също като човекоподобната маймуна в „Прободен с рога“.
  — Точно така. Кажете — сменило момичето темата, — ако бяхте милионер, какво бихте предпочели — да ви намушкат с нож в гърба, или да ви открият мъртъв без никаква следа от насилие, загледан с изцъклен поглед в нещо неописуемо ужасно?


Wodehouse Playhouse - Strychnine in the Soup (1976-04-09)

Uploaded by nathanrj on Jul 21, 2011. Starring John Alderton (Cyril Mulliner), Pauline Collins (Amelia Bassett).


■英語原文 The original text in English

  "You are evidently fond of mystery plays."
  "I love them."
  "So do I. And mystery novels?"
  "Oh, yes!"
  "Have you read Blood on the Banisters?"
  "Oh, yes! I thought it was better than Severed Throats!"
  "So did I," said Cyril. "Much better. Brighter murders, subtler detectives, crisper clues . . . better in every way."

[Omission]

  "My name is Amelia Bassett," said the girl.
  "Mine is Cyril Mulliner. Bassett?" He frowned thoughtfully. "The name seems familiar."
  "Perhaps you have heard of my mother. Lady Bassett. She's rather a well-known big-game hunter and explorer. She tramps through jungles and things.  [Omission]  By the way"--she hesitated--"if she finds us talking, will you remember that we met at the Polterwoods'?"
  "I quite understand."
  "You see, Mother doesn't like people who talk to me without a formal introduction. And when Mother doesn't like anyone, she is so apt to hit them over the head with some hard instrument."
  "I see," said Cyril. "Like the Human Ape in Gore by the Gallon."
  "Exactly. Tell me," said the girl, changing the subject, "if you were a millionaire, would you rather be stabbed in the back with a paper knife or found dead without a mark on you, staring with blank eyes at some appalling sight?"


■更新履歴 Change log

  • 2014/10/29 ブルガリア語訳を追加しました。
  • 2012/08/02 ロシア語訳を追加しました。
  • 2007/08/30 記事のタイトルに表示した邦題に1字脱字がありましたので、訂正しました。「ストリキーネ」ではなくて、正しくは、もちろん「ストリキニーネ」です。

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